JP2013208771A - 長尺斜め延伸フィルムの製造装置及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】湾曲レール部を任意の湾曲形状に変更しても滑らかな湾曲形状を保持することができるとともに、さまざまな延伸条件に対応可能な長尺斜め延伸フィルムの製造装置を提供することである。
【解決手段】長尺斜め延伸フィルムの製造装置は、行きレール部11及び戻りレール部の一部分の湾曲レール部11aと、湾曲レール部11aの一端に連結された第1レール部11bと、湾曲レール部11aの他端に連結された第2レール部11cと、第1レール部11bを固定する第1レールベース13と、第2レール部11cを固定する第2レールベース14と、第1レールベース13に回動可能に、第2レールベース14にスライド可能に取り付けられるリンクアーム15と、リンクアーム15と、行きレール部11の湾曲レール部11aとに連結されるレール保持ブロック16と、を備える。
【選択図】図6
【解決手段】長尺斜め延伸フィルムの製造装置は、行きレール部11及び戻りレール部の一部分の湾曲レール部11aと、湾曲レール部11aの一端に連結された第1レール部11bと、湾曲レール部11aの他端に連結された第2レール部11cと、第1レール部11bを固定する第1レールベース13と、第2レール部11cを固定する第2レールベース14と、第1レールベース13に回動可能に、第2レールベース14にスライド可能に取り付けられるリンクアーム15と、リンクアーム15と、行きレール部11の湾曲レール部11aとに連結されるレール保持ブロック16と、を備える。
【選択図】図6
Description
本発明は、長尺フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸して長尺斜め延伸フィルムを製造する長尺斜め延伸フィルムの製造装置及び製造方法に関する。
樹脂を延伸してなる延伸フィルムは、その光学異方性を利用して、各種ディスプレイ装置において様々な光学的機能を果たす光学フィルムとして用いられている。例えば、液晶表示装置において、該延伸フィルムを着色防止、視野角拡大などの光学補償などのための光学補償フィルムとして用いたり、該延伸フィルムと偏光子とを貼り合わせることで、該延伸フィルムを、偏光板保護フィルムを兼ねた位相差フィルムとして用いたりすることが知られている。
一方、近年では、新たなディスプレイ装置として、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置のような自発光型の表示装置が注目されている。自発光型表示装置は、バックライトが常に点灯している液晶表示装置に対して消費電力を抑制できる余地がある。更に、有機EL表示装置のような、各色に対応した光源がそれぞれ点灯する自発光表示装置では、コントラスト低減の要因となるカラーフィルターを設置する必要がないため、コントラストを更に高めることが可能である。
しかしながら、有機EL表示装置においては、光の取り出し効率を高めるべく、ディスプレイの背面側にアルミニウム板等の反射体が設けられるため、ディスプレイに入射した外光がこの反射体で反射されることで画像のコントラストが低下する問題がある。
そこで、外光反射防止による明暗コントラスト向上のために、該延伸フィルムと偏光子とを貼り合わせて円偏光板を形成し、この円偏光板をディスプレイの表面側に用いることが知られている。このとき、上記の円偏光板は、偏光子の透過軸に対して、該延伸フィルムの面内遅相軸が所望の角度で傾斜するように、偏光子と該延伸フィルムとを貼り合わせることによって形成される。
ところが、一般的な偏光子(偏光フィルム)は、搬送方向に高倍率延伸することで得られるものであり、その吸収軸が搬送方向と一致している。したがって、従来の位相差フィルム(延伸フィルム)は、縦延伸または横延伸によって製造され、原理的に面内の遅相軸がフィルムの長尺方向に対して0°または90°の方向になる。このため、上記のように偏光子の吸収軸と延伸フィルムの遅相軸とを所望の角度で傾斜させるには、長尺の偏光フィルムおよび/または延伸フィルムを特定の角度で切り出してフィルム片同士を1枚ずつ貼り合せるバッチ式を採用せざるを得ず、生産性の悪化や切り屑等の付着による製品の歩留まりの低下が問題として挙げられていた。
これに対して、長尺方向に対して所望の角度の方向に(斜め方向に)フィルムを延伸し、遅相軸の方向を、フィルムの長尺方向に対して0°でも90°でもない方向に自在に制御可能な長尺の位相差フィルムの製造方法が種々提案されている(例えば特許文献1〜3参照。)。これらの方法では、樹脂フィルムを延伸後のフィルムの巻き取り方向とは異なる方向から繰り出して、該樹脂フィルムの両端部を一対の把持具によって把持して搬送する。そして、樹脂フィルムの搬送方向を途中で変えることにより、樹脂フィルムを斜め方向に延伸する。これにより、長尺方向に対して0°を超え90°未満の所望の角度に遅相軸を有する長尺状の延伸フィルムが製造される。
このような長尺方向に対して遅相軸が傾斜した延伸フィルムを使用することにより、従来のバッチ式の貼り合わせではなく、長尺の偏光フィルムと延伸フィルムとをロール・トゥ・ロールで貼り合わせて円偏光板を製造することが可能になる。その結果、円偏光板の生産性は飛躍的に向上し、歩留まりも大幅に改善することができる。
このような樹脂フィルムを斜め方向に延伸する装置においては、把持具が取り付けられるレールに湾曲部分が存在する。そして、延伸フィルムの品質を向上させるためには、この湾曲部分の形状を精度良く保持する必要がある。そこで、例えば、レールの少なくとも一方を、第1レール部と、この第1レール部に連結される湾曲自在な湾曲レール部と、この湾曲レール部に連結される第2レール部と、前記湾曲レール部の中央部を保持して、第1レール部と第2レール部との交差角度における二等分線上に沿ってスライドさせる湾曲レール保持手段とから構成したテンター装置が提案されている(特許文献4参照)。
ここで、特許文献4では湾曲レール部を円弧形状に保持するために、湾曲レール部の中央を保持部により保持し、保持部の上流及び下流に設けられた第1レール部と第2レール部との交差角度における二等分線上に沿ってスライドさせる湾曲レール保持手段を設ける構成とされている。このような構成によれば、湾曲レール部の中央が固定され、中央の固定部を中心として湾曲レール部は左右対称(上流側及び下流側で対象)な形状に限定される。また、特許文献4の構成によれば、湾曲レール部の中央に設けられた保持部は、フィルム幅を調整する為に設けられたリード軸に設けられた押動ブロックに固定されているため、湾曲レール部の中央部は前後方向(フィルムの搬送方向における上流、下流)に動くことができない。
そのため、湾曲レール部の上流及び下流におけるレール部は湾曲レール部の中央部に設けられた保持部を基点(中心)とした動きに制限されることになる。このような構成によれば、延伸装置における搬送レールのレール旋回角度に制約を与えることになるとともに、湾曲部の前後に設けられたレールの設定位置の制約にもつながり、任意の延伸条件の設定が困難となる場合がある。
本発明は、湾曲レール部を任意の湾曲形状に変更しても滑らかな湾曲形状を保持することができるとともに、さまざまな延伸条件に対応可能な長尺斜め延伸フィルムの製造装置を提供することを目的とする。また、その製造装置を用いて長尺斜め延伸フィルムを製造する長尺斜め延伸フィルムの製造方法を提供することも目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、供給される長尺フィルムの幅手方向の両端部を各把持具によって把持し、各把持具を対向するレールに沿って移動させながら前記長尺フィルムを搬送するとともに、前記長尺フィルムの搬送方向を途中で変えることにより、前記長尺フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸する長尺斜め延伸フィルムの製造装置において、前記レールの少なくとも一方を構成する無限軌道の行きレール部及び戻りレール部と、前記行きレール部及び戻りレール部の対向した一部分であって湾曲可能な湾曲レール部と、前記湾曲レール部の一端に連結された第1レール部と、前記湾曲レール部の他端に連結された第2レール部と、前記第1レール部を固定する移動可能な第1レールベースと、前記第2レール部を固定する移動可能な第2レールベースと、前記第1レールベース又は前記第1レール部に回動可能に取り付けられ、第2レールベース又は前記第2レール部にスライド可能に取り付けられるリンクアームと、前記リンクアームと、前記行きレール部の湾曲レール部とに連結されるレール保持ブロックと、を備えたことを特徴とする。
上記の長尺斜め延伸フィルムの製造装置において、前記レール保持ブロックが前記戻りレール部の湾曲レール部に連結されることが望ましい。
また上記の長尺斜め延伸フィルムの製造装置において、前記第1及び第2レールベースを回動可能に連結するレールベース保持ブロックと、前記レールベース保持ブロックに連結されたリードブロックと、前記リードブロックに螺合し、螺合度合いによって前記リードブロックを移動させるリード軸と、を備えることが望ましい。
また上記の長尺斜め延伸フィルムの製造装置において、例えば、前記リンクアームに設けられたスリットに、前記第2レールベース又は前記第2レール部に設けられた突起部が挿通されることで前記リンクアームをスライド可能とすることができる。
また上記の長尺斜め延伸フィルムの製造装置において、例えば、前記リンクアームに設けられた突起部が、前記第2レールベース又は前記第2レール部に設けられたガイド溝に摺動可能に挿入されることで前記リンクアームをスライド可能とすることができる。
また上記の長尺斜め延伸フィルムの製造装置において、例えば、前記リンクアームに設けられた貫通孔と、前記第2レールベース又は前記第2レール部に設けられたガイド軸と、該ガイド軸に摺動可能に挿通されたスライダーと、該スライダーに設けられ、前記貫通孔に回動可能に挿通される突起部と、を備えることで前記リンクアームをスライド可能とすることができる。
また上記の長尺斜め延伸フィルムの製造装置において、例えば、前記リンクアームに設けられた貫通孔と、前記第2レールベース又は前記第2レール部に設けられた2本のガイド軸と、該ガイド軸に摺動可能に挟持された回転ホイールと、該回転ホイールに設けられ、前記貫通孔に回動可能に挿通される突起部と、を備えことで前記リンクアームをスライド可能とすることができる。
また上記の長尺斜め延伸フィルムの製造装置において、例えば、前記リンクアームに設けられた伸縮機構部に、前記第2レールベース又は前記第2レール部に設けられた突起部が挿通されることで前記リンクアームをスライド可能とすることができる。
また本発明は、上記の何れかに記載の長尺斜め延伸フィルムの製造装置を用いて長尺斜め延伸フィルムを製造する長尺斜め延伸フィルムの製造方法とする。
本発明によると、湾曲レール部をリンクアームを用いて保持することにより、湾曲レール部を任意の湾曲形状に変更しても滑らかな湾曲形状を保持することができるとともに、さまざまな延伸条件に対応可能となる。
また本発明によると、第1レールベース、第2レールベースの前後方向移動に追従することができる。さらに、リンクアームが湾曲レール部の下部にレイアウトできるため、省スペース化が可能であり、延伸部に配置される他の構造物との干渉を回避することで、ノズルレイアウトの自由度を高められる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施形態に係る長尺延伸フィルムの製造装置は、長尺フィルムを斜め延伸することによって、延伸後の長尺フィルムの幅手方向に対して任意の角度に面内遅相軸を有する長尺延伸フィルムの製造装置である。
ここで長尺とは、フィルムの幅に対し、少なくとも5倍程度以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍もしくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻回されて保管または運搬される程度の長さを有するもの(フィルムロール)としうる。長尺のフィルムの製造装置では、フィルムを連続的に製造することにより、所望の任意の長さにフィルムを製造しうる。なお、長尺延伸フィルムの製造装置は、長尺フィルムを製膜した後にこれを一度巻芯に巻き取って巻回体(長尺フィルム原反)とし、この巻回体から長尺フィルムを斜め延伸工程に供給して斜め延伸フィルムを製造するようにしてもよいし、製膜後の長尺フィルムを巻き取ることなく、製膜工程から連続して斜め延伸工程に供給して斜め延伸フィルムを製造してもよい。製膜工程と斜め延伸工程とを連続して行うことは、延伸後のフィルムの膜厚や光学値の結果をフィードバックして製膜条件を変更し、所望の長尺延伸フィルムを得ることができるので好ましい。
本実施形態に係る長尺延伸フィルムの製造装置では、フィルムの幅手方向に対して0°を超え90°未満の角度に遅相軸を有する長尺延伸フィルムを製造する。ここで、フィルムの幅手方向に対する角度とは、フィルム面内における角度である。遅相軸は、通常延伸方向または延伸方向に直角な方向に発現するので、本実施形態に係る製造装置では、フィルムの幅手方向に対して0°を超え90°未満の角度で延伸を行うことにより、かかる遅相軸を有する長尺延伸フィルムを製造しうる。長尺延伸フィルムの幅手方向と遅相軸とがなす角度、すなわち配向角は、0°を超え90°未満の範囲で、所望の角度に任意に設定することができる。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、リンクアームを用いることで、上記目的を達成できることを見出した。そして、さらに検討を進め、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係る実施態様は、供給される長尺フィルムの幅手方向の両端部を各把持具によって把持し、各把持具を対向するレールに沿って移動させながら前記長尺フィルムを搬送するとともに、前記長尺フィルムの搬送方向を途中で変えることにより、前記長尺フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸する長尺斜め延伸フィルムの製造装置において、前記レールの少なくとも一方を構成する無限軌道の行きレール部及び戻りレール部と、前記行きレール部及び戻りレール部の対向した一部分であって湾曲可能な湾曲レール部と、前記湾曲レール部の一端に連結された第1レール部と、前記湾曲レール部の他端に連結された第2レール部と、前記第1レール部を固定する移動可能な第1レールベースと、前記第2レール部を固定する移動可能な第2レールベースと、前記第1レールベース又は前記第1レール部に回動可能に取り付けられ、第2レールベース又は前記第2レール部にスライド可能に取り付けられるリンクアームと、前記リンクアームと、前記湾曲レール部の行きレール部と、前記湾曲レール部の戻りレール部とに連結されるレール保持ブロックと、を備えたことを特徴とする長尺斜め延伸フィルムの製造装置である。以下、本発明の実施態様を、適宜図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態において、「長尺フィルム」と記載したときは、斜め延伸前の長尺フィルムを指すものとする。
<長尺フィルムについて>
まず、本実施形態で延伸対象となる長尺フィルムについて説明する。
まず、本実施形態で延伸対象となる長尺フィルムについて説明する。
本実施形態の長尺斜め延伸フィルムの製造装置(詳細は後述する)にて延伸対象となる長尺フィルムとしては、特に限定されず、熱可塑性樹脂から構成されているフィルムであれば何でも良いが、例えば、延伸後のフィルムを光学用途に使用する場合には、所望の波長に対して透明な性質を有する樹脂からなるフィルムが好ましい。このような樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、脂環構造を有するオレフィンポリマー系樹脂(脂環式オレフィンポリマー系樹脂)、セルロースエステル系樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、透明性や機械強度などの観点から、ポリカーボネート系樹脂、脂環式オレフィンポリマー系樹脂、セルロースエステル系樹脂が好ましい。その中でも、光学フィルムとした場合の位相差を調整することが容易である、脂環式オレフィンポリマー系樹脂、セルロースエステル系樹脂が更に好ましい。
<長尺フィルムの製膜法>
上述した樹脂からなる本実施形態の長尺フィルムは、以下に示す溶液流延法、溶融流延法のどちらでも製膜することができる。以下、各製膜法について説明する。なお、以下では、長尺フィルムとして、例えばセルロースエステル系樹脂フィルムを製膜する場合について説明するが、他の樹脂フィルムの製膜についても勿論適用することができる。
上述した樹脂からなる本実施形態の長尺フィルムは、以下に示す溶液流延法、溶融流延法のどちらでも製膜することができる。以下、各製膜法について説明する。なお、以下では、長尺フィルムとして、例えばセルロースエステル系樹脂フィルムを製膜する場合について説明するが、他の樹脂フィルムの製膜についても勿論適用することができる。
〔溶液流延法〕
フィルムの着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制、フィルムの平面性、透明度に優れるなどの観点からは、長尺フィルムを溶液流延法で製膜することが好ましい。
フィルムの着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制、フィルムの平面性、透明度に優れるなどの観点からは、長尺フィルムを溶液流延法で製膜することが好ましい。
(有機溶媒)
本実施形態に係るセルロースエステル系樹脂フィルムを溶液流延法で製造する場合のドープを形成するのに有用な有機溶媒は、セルロースアセテート、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。
本実施形態に係るセルロースエステル系樹脂フィルムを溶液流延法で製造する場合のドープを形成するのに有用な有機溶媒は、セルロースアセテート、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系でのセルロースアセテートの溶解を促進する役割もある。
特に、メチレンクロライド、および炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、アクリル樹脂と、セルロースエステル樹脂と、アクリル粒子の3種を、少なくとも計15〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうち、ドープの安定性を確保でき、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等から、エタノールが好ましい。
(溶液流延)
本実施形態に係るセルロースエステル系樹脂フィルムは、溶液流延法によって製造することができる。溶液流延法では、樹脂および添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程により行われる。
本実施形態に係るセルロースエステル系樹脂フィルムは、溶液流延法によって製造することができる。溶液流延法では、樹脂および添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程により行われる。
ドープ中のセルロースアセテートの濃度は高いほうが、金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
流延工程の金属支持体の表面温度は、−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。支持体温度が高いほうがウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
好ましい支持体温度としては、0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。または、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いるほうが、熱の伝達が効率的に行われ、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短くなるため、好ましい。
温風を用いる場合は、溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度および乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
セルロースエステル系樹脂フィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量が10〜150質量%であることが好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。ここで、残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量(g)であり、NはMを115℃で1時間の加熱した後の質量(g)である。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量(g)であり、NはMを115℃で1時間の加熱した後の質量(g)である。
また、セルロース系樹脂フィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では、一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
〔溶融流延法〕
溶融流延法は、後述する斜め延伸後のフィルムの厚み方向のリタデーションRtを小さくすることが容易となり、残留揮発性成分量が少なくフィルムの寸法安定性にも優れる等の観点から、好ましい製膜法である。溶融流延法は、樹脂および可塑剤などの添加剤を含む組成物を、流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、流動性のセルロースアセテートを含む溶融物を流延してフィルムを製膜する方法をいう。溶融流延によって形成される方法は、溶融押出(成形)法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの中で、機械的強度および表面精度などに優れるフィルムが得られる溶融押出法が好ましい。また、溶融押出法で用いる複数の原材料は、通常、予め混錬してペレット化しておくことが好ましい。
溶融流延法は、後述する斜め延伸後のフィルムの厚み方向のリタデーションRtを小さくすることが容易となり、残留揮発性成分量が少なくフィルムの寸法安定性にも優れる等の観点から、好ましい製膜法である。溶融流延法は、樹脂および可塑剤などの添加剤を含む組成物を、流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、流動性のセルロースアセテートを含む溶融物を流延してフィルムを製膜する方法をいう。溶融流延によって形成される方法は、溶融押出(成形)法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの中で、機械的強度および表面精度などに優れるフィルムが得られる溶融押出法が好ましい。また、溶融押出法で用いる複数の原材料は、通常、予め混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法で行えばよい。例えば、乾燥セルロースアセテートや可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出し機に供給し、1軸や2軸の押出し機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷または空冷し、カッティングすることでペレット化できる。
添加剤は、押出し機に供給する前に混合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。また、粒子や酸化防止剤等の少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
押出し機は、剪断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、2軸押出し機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。もちろんペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーで押出し機に供給し、そのままフィルム製膜することも可能である。
上記ペレットを1軸や2軸タイプの押出し機を用いて、押出す際の溶融温度を200〜300℃程度とし、リーフディスクタイプのフィルターなどで濾過し異物を除去した後、Tダイからフィルム状に流延し、冷却ロールと弾性タッチロールとでフィルムをニップし、冷却ロール上で固化させる。
供給ホッパーから押出し機へ上記ペレットを導入する際は、真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。
押出し流量は、ギヤポンプを導入するなどして安定に行うことが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し接触箇所を焼結し一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、濾過精度を調整できる。
可塑剤や粒子などの添加剤は、予め樹脂と混合しておいてもよいし、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサーなどの混合装置を用いることが好ましい。
冷却ロールと弾性タッチロールとでフィルムをニップする際のタッチロール側のフィルム温度は、フィルムのTg(ガラス転移温度)以上Tg+110℃以下にすることが好ましい。このような目的で使用する弾性体表面を有するロールは、公知のロールを使用できる。
弾性タッチロールは挟圧回転体ともいう。弾性タッチロールとしては、市販されているものを用いることもできる。
冷却ロールからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
なお、上記した各製膜法で製膜される長尺フィルムは、単層若しくは2層以上の積層フィルムであってもよい。積層フィルムは共押出成形法、共流延成形法、フィルムラミネイション法、塗布法などの公知の方法で得ることができる。これらのうち共押出成形法、共流延成形法が好ましい。
<長尺フィルムの仕様>
本実施形態における長尺フィルムの厚さは、好ましくは20〜400μm、より好ましくは30〜200μmである。また、本実施形態では、後述する延伸ゾーンに供給される長尺フィルムの流れ方向(搬送方向)の厚みムラσmは、後述する斜め延伸テンター入口でのフィルムの引取張力を一定に保ち、配向角やリタデーションといった光学特性を安定させる観点から、0.30μm未満、好ましくは0.25μm未満、さらに好ましくは0.20μm未満である必要がある。長尺フィルムの流れ方向の厚みムラσmが0.30μm以上となると、長尺延伸フィルムのリタデーションや配向角といった光学特性のバラツキが顕著に悪化する。
本実施形態における長尺フィルムの厚さは、好ましくは20〜400μm、より好ましくは30〜200μmである。また、本実施形態では、後述する延伸ゾーンに供給される長尺フィルムの流れ方向(搬送方向)の厚みムラσmは、後述する斜め延伸テンター入口でのフィルムの引取張力を一定に保ち、配向角やリタデーションといった光学特性を安定させる観点から、0.30μm未満、好ましくは0.25μm未満、さらに好ましくは0.20μm未満である必要がある。長尺フィルムの流れ方向の厚みムラσmが0.30μm以上となると、長尺延伸フィルムのリタデーションや配向角といった光学特性のバラツキが顕著に悪化する。
また、長尺フィルムとして、幅方向の厚み勾配を有するフィルムが供給されてもよい。長尺フィルムの厚みの勾配は、後工程の延伸が完了した位置におけるフィルム厚みを最も均一なものとしうるよう、実験的に厚み勾配を様々に変化させたフィルムを延伸することにより、経験的に求めることができる。長尺フィルムの厚みの勾配は、例えば、厚みの厚い側の端部の厚みが、厚みの薄い側の端部よりも0.5〜3%程度厚くなるように調整することができる。
長尺フィルムの幅は、特に限定されないが、500〜4000mm、好ましくは1000〜2000mmとすることができる。
長尺フィルムの斜め延伸時の延伸温度での好ましい弾性率は、ヤング率で表して、0.01MPa以上5000MPa以下、更に好ましくは0.1MPa以上500MPa以下である。弾性率が低すぎると、延伸時・延伸後の収縮率が低くなり、シワが消えにくくなる。また、弾性率が高すぎると、延伸時にかかる張力が大きくなり、フィルムの両側縁部を保持する部分の強度を高くする必要が生じ、後工程のテンターに対する負荷が大きくなる。
長尺フィルムとしては、無配向なものを用いてもよいし、あらかじめ配向を有するフィルムが供給されてもよい。また、必要であれば長尺フィルムの配向の幅手方向の分布が弓なり状、いわゆるボウイングを成していてもよい。要は、長尺フィルムの配向状態を、後工程の延伸が完了した位置におけるフィルムの配向を所望なものとしうるよう、調整することができる。
<長尺斜め延伸フィルムの製造方法および製造装置>
次に、上述した長尺フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸して長尺斜め延伸フィルムを製造する、長尺斜め延伸フィルムの製造方法および製造装置について説明する。
次に、上述した長尺フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸して長尺斜め延伸フィルムを製造する、長尺斜め延伸フィルムの製造方法および製造装置について説明する。
(装置の概要)
図1は、長尺斜め延伸フィルムの製造装置1の概略の構成を模式的に示す平面図である。また、図2は、製造装置1の他の構成を模式的に示す平面図であり、図3は、製造装置1のさらに他の構成を模式的に示す平面図である。図1に示すように、本実施形態の製造装置1は、長尺フィルムの搬送方向上流側から順に、フィルム繰り出し部2と、搬送方向変更部3と、ガイドロール4と、延伸部5と、ガイドロール6と、搬送方向変更部7と、フィルム巻き取り部8とを備えている。なお、延伸部5の詳細については後述する。
図1は、長尺斜め延伸フィルムの製造装置1の概略の構成を模式的に示す平面図である。また、図2は、製造装置1の他の構成を模式的に示す平面図であり、図3は、製造装置1のさらに他の構成を模式的に示す平面図である。図1に示すように、本実施形態の製造装置1は、長尺フィルムの搬送方向上流側から順に、フィルム繰り出し部2と、搬送方向変更部3と、ガイドロール4と、延伸部5と、ガイドロール6と、搬送方向変更部7と、フィルム巻き取り部8とを備えている。なお、延伸部5の詳細については後述する。
フィルム繰り出し部2は、上述した長尺フィルムを繰り出して延伸部5に供給するものである。このフィルム繰り出し部2は、長尺フィルムの製膜装置と別体で構成されていてもよいし、一体的に構成されてもよい。前者の場合、長尺フィルムを製膜後に一度巻芯に巻き取って巻回体となったものをフィルム繰り出し部2に装填することで、フィルム繰り出し部2から長尺フィルムが繰り出される。一方、後者の場合、フィルム繰り出し部2は、長尺フィルムの製膜後、その長尺フィルムを巻き取ることなく、延伸部5に対して繰り出すことになる。
搬送方向変更部3は、フィルム繰り出し部2から繰り出される長尺フィルムの搬送方向を、斜め延伸テンターとしての延伸部5の入口に向かう方向に変更するものである。このような搬送方向変更部3は、例えばフィルムを搬送しながら折り返すことによって搬送方向を変更するターンバーや、そのターンバーをフィルムに平行な面内で回転させる回転テーブルを含んで構成されている。
搬送方向変更部3にて長尺フィルムの搬送方向を上記のように変更することにより、製造装置1全体の幅をより狭くすることが可能となるほか、フィルムの送り出し位置および角度を細かく制御することが可能となり、膜厚、光学値のバラツキが小さい長尺延伸フィルムを得ることが可能となる。また、フィルム繰り出し部2および搬送方向変更部3を移動可能(スライド可能、旋回可能)とすれば、延伸部5において長尺フィルムの幅手方向の両端部を挟む左右のクリップ(把持具)のフィルムへの噛込み不良を有効に防止することができる。
なお、上記したフィルム繰り出し部2は、延伸部5の入口に対して所定角度で長尺フィルムを送り出せるように、スライドおよび旋回可能となっていてもよい。この場合は、図2および図3に示すように、搬送方向変更部3の設置を省略した構成とすることもできる。
ガイドロール4は、長尺フィルムの走行時の軌道を安定させるために、延伸部5の上流側に少なくとも1本設けられている。なお、ガイドロール4は、フィルムを挟む上下一対のロール対で構成されてもよいし、複数のロール対で構成されてもよい。延伸部5の入口に最も近いガイドロール4は、フィルムの走行を案内する従動ロールであり、不図示の軸受部を介してそれぞれ回転自在に軸支される。ガイドロール4の材質としては、公知のものを用いることが可能である。なお、フィルムの傷つきを防止するために、ガイドロール4の表面にセラミックコートを施したり、アルミニウム等の軽金属にクロームメッキを施す等によってガイドロール4を軽量化することが好ましい。
また、延伸部5の入口に最も近いガイドロール4よりも上流側のロールのうちの1本は、ゴムロールを圧接させてニップすることが好ましい。このようなニップロールにすることで、フィルムの流れ方向における繰出張力の変動を抑えることが可能となる。
延伸部5の入口に最も近いガイドロール4の両端(左右)の一対の軸受部には、当該ロールにおいてフィルムに生じている張力を検出するためのフィルム張力検出装置として、第1張力検出装置、第2張力検出装置がそれぞれ設けられている。フィルム張力検出装置としては、例えばロードセルを用いることができる。ロードセルとしては、引張または圧縮型の公知のものを用いることができる。ロードセルは、着力点に作用する荷重を起歪体に取り付けられた歪ゲージにより電気信号に変換して検出する装置である。
ロードセルは、延伸部5の入口に最も近いガイドロール4の左右の軸受部に設置されることにより、走行中のフィルムがロールに及ぼす力、即ちフィルムの両側縁近傍に生じているフィルム進行方向における張力を左右独立に検出する。なお、ロールの軸受部を構成する支持体に歪ゲージを直接取り付けて、該支持体に生じる歪に基づいて荷重、即ちフィルム張力を検出するようにしてもよい。発生する歪とフィルム張力との関係は、予め計測され、既知であるものとする。
フィルム繰り出し部2または搬送方向変更部3から延伸部5に供給されるフィルムの位置および搬送方向が、延伸部5の入口に向かう位置および搬送方向からズレている場合、このズレ量に応じて、延伸部5の入口に最も近いガイドロール4におけるフィルムの両側縁近傍の張力に差が生じることになる。したがって、上述したようなフィルム張力検出装置を設けて上記の張力差を検出することにより、当該ズレの程度を判別することができる。つまり、フィルムの搬送位置および搬送方向が適正であれば(延伸部5の入口に向かう位置および方向であれば)、上記ガイドロール4に作用する荷重は軸方向の両端で粗均等になるが、適正でなければ、左右でフィルム張力に差が生じる。
したがって、延伸部5の入口に最も近いガイドロール4の左右のフィルム張力差が等しくなるように、例えば上記した搬送方向変更部3によってフィルムの位置および搬送方向(延伸部5の入口に対する角度)を適切に調整すれば、延伸部5の入口部の把持具によるフィルムの把持が安定し、把持具外れ等の障害の発生を少なくできる。更に、延伸部5による斜め延伸後のフィルムの幅方向における物性を安定させることができる。
ガイドロール6は、延伸部5にて斜め延伸されたフィルム(長尺斜め延伸フィルム)の走行時の軌道を安定させるために、延伸部5の下流側に少なくとも1本設けられている。
搬送方向変更部7は、延伸部5から搬送される延伸後のフィルムの搬送方向を、フィルム巻き取り部8に向かう方向に変更するものである。搬送方向変更部7は、例えば、長尺斜め延伸フィルムの面内で延伸方向に平行または垂直な方向に沿って、延伸後のフィルムを少なくとも1回折り返す折り返し機構で構成することができる。
ここで、配向角(フィルムの面内遅相軸の方向)の微調整や製品バリエーションに対応するために、延伸部5の入口でのフィルム進行方向と延伸部5の出口でのフィルム進行方向とがなす角度の調整が必要となる。
また、製膜および斜め延伸を連続して行うことが、生産性や収率の点で好ましい。製膜工程、斜め延伸工程、巻取工程を連続して行う場合、搬送方向変更部3および/または搬送方向変更部7によってフィルムの進行方向を変更し、製膜工程と巻取工程とでフィルムの進行方向を一致させる、つまり、図1および図3に示すように、フィルム繰り出し部2から繰り出されるフィルムの進行方向(繰り出し方向)と、フィルム巻き取り部8にて巻き取られる直前のフィルムの進行方向(巻き取り方向)とを一致させることにより、フィルム進行方向に対する装置全体の幅を小さくすることができる。
なお、製膜工程と巻取工程とでフィルムの進行方向は必ずしも一致させる必要はないが、フィルム繰り出し部2とフィルム巻き取り部8とが干渉しないレイアウトとなるように、搬送方向変更部3および/または搬送方向変更部7によってフィルムの進行方向を変更することが好ましい。
上記のような搬送方向変更部3・7としては、エアーフローロールを用いるなど、公知の手法で実現することができる。
フィルム巻き取り部8は、延伸部5から搬送方向変更部7を介して搬送されるフィルムを巻き取るものであり、例えばワインダー装置、アキューム装置、ドライブ装置などで構成される。フィルム巻き取り部8は、フィルムの巻き取り位置を調整すべく、横方向にスライドできる構造であることが好ましい。
フィルム巻き取り部8は、延伸部5の出口に対して所定角度でフィルムを引き取れるように、フィルムの引き取り位置および角度を細かく制御できるようになっている。これにより、膜厚、光学値のバラツキが小さい長尺延伸フィルムを得ることが可能となる。また、フィルムのシワの発生を有効に防止することができるとともに、フィルムの巻き取り性が向上するため、フィルムを長尺で巻き取ることが可能となる。本実施形態において、延伸後のフィルムの引取張力T(N/m)は、100N/m<T<300N/m、好ましくは150N/m<T<250N/mの間で調整することが好ましい。
上記の引取張力が100N/m以下では、フィルムのたるみや皺が発生しやすく、リタデーション、配向角のフィルム幅方向のプロファイルも悪化する。逆に、引取張力が300N/m以上となると、配向角のフィルム幅方向のバラツキが悪化し、幅収率(幅方向の取り効率)を悪化させてしまう。
また、本実施形態においては、上記引取張力Tの変動を±5%未満、好ましくは±3%未満の精度で制御することが好ましい。上記引取張力Tの変動が±5%以上であると、幅方向および流れ方向(搬送方向)の光学特性のバラツキが大きくなる。上記引取張力Tの変動を上記範囲内に制御する方法としては、延伸部5の出口側の最初のロール(ガイドロール6)にかかる荷重、すなわちフィルムの張力を測定し、その値が一定となるように、一般的なPID制御方式により引取ロール(フィルム巻き取り部8の巻取ロール)の回転速度を制御する方法が挙げられる。上記荷重を測定する方法としては、ガイドロール6の軸受部にロードセルを取り付け、ガイドロール6に加わる荷重、すなわちフィルムの張力を測定する方法が挙げられる。ロードセルとしては、引張型や圧縮型の公知のものを用いることができる。
延伸後のフィルムは、延伸部5の把持具による把持が開放されて、延伸部5の出口から排出され、把持具で把持されていたフィルムの両端(両側)がトリミングされた後に、順次巻芯(巻取ロール)に巻き取られて、長尺延伸フィルムの巻回体となる。なお、上記のトリミングは、必要に応じて行われればよい。
また、長尺延伸フィルムを巻き取る前に、フィルム同士のブロッキングを防止する目的で、マスキングフィルムを長尺延伸フィルムに重ねて同時に巻き取ってもよいし、巻き取りによって重なる長尺延伸フィルムの少なくとも一方(好ましくは両方)の端にテープ等を貼り合わせながら巻き取ってもよい。マスキングフィルムとしては、長尺延伸フィルムを保護することができるものであれば特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙げられる。
(延伸部の詳細)
次に、上述した延伸部5の詳細について説明する。図4は、延伸部5のレールパターンの一例を模式的に示す平面図である。但し、これは一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
次に、上述した延伸部5の詳細について説明する。図4は、延伸部5のレールパターンの一例を模式的に示す平面図である。但し、これは一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
長尺延伸フィルムの製造装置1は、延伸部5として、斜め延伸可能なテンター(斜め延伸機)を用いて行われる。このテンターは、長尺フィルムを、延伸可能な任意の温度に加熱し、斜め延伸する装置である。このテンターは、加熱ゾーンZと、左右で一対のレールRi・Roと、レールRi・Roに沿って走行してフィルムを搬送する多数の把持具Ci・Co(図4では、1組の把持具のみを図示)とを備えている。なお、加熱ゾーンZの詳細については後述する。レールRi・Roは、それぞれ、複数のレール部を連結部で連結して構成されている(図4中の白丸は連結部の一例である)。把持具Ci・Coは、フィルムの幅手方向の両端を把持するクリップで構成されている。
図4において、長尺フィルムが延伸装置に繰入る際の長尺フィルムの走行方向(延伸前の走行方向)D1は、延伸装置から繰出る際の長尺延伸フィルムの走行方向(延伸後の走行方向)D2と異なっており、延伸後の走行方向D2との間で繰出角度θiを成している。繰出角度θiは0°を超え90°未満の範囲で、所望の角度に任意に設定することができる。
このように、延伸前の走行方向D1と延伸後の走行方向D2とが異なっているため、テンターのレールパターンは左右で非対称な形状となっている。そして、製造すべき長尺延伸フィルムに与える配向角θ、延伸倍率等に応じて、レールパターンは手動または自動で調整できるようになっている。本実施形態で用いられる斜め延伸機では、レールRi・Roを構成する各レール部およびレール連結部の位置を自由に設定し、レールパターンを任意に変更できることが好ましい。
本実施形態において、テンターの把持具Ci・Coは、前後の把持具Ci・Coと一定間隔を保って、一定速度で走行するようになっている。把持具Ci・Coの走行速度は適宜選択できるが、通常、1〜150m/分である。左右一対の把持具Ci・Coの走行速度の差は、走行速度の通常1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。これは、延伸工程出口でフィルムの左右に進行速度差があると、延伸工程出口におけるシワ、寄りが発生するため、左右の把持具の速度差は、実質的に同速度であることが求められるためである。一般的なテンター装置等では、チェーンを駆動するスプロケットの歯の周期、駆動モーターの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これらは本発明の実施形態で述べる速度差には該当しない。
本発明の実施形態に係る製造方法で用いられる斜め延伸機において、特にフィルムの搬送が斜めになる箇所において、把持具の軌跡を規制するレールには、しばしば大きい屈曲率が求められる。急激な屈曲による把持具同士の干渉、あるいは局所的な応力集中を避ける目的から、屈曲部(湾曲部)では把持具の軌跡が滑らかな曲線を描くようにすることが望ましい。湾曲部の詳細な構成については後述する。
このように、長尺フィルムに斜め方向の配向を付与するために用いられる斜め延伸テンターは、レールパターンを多様に変化させることにより、フィルムの配向角を自在に設定でき、さらに、フィルムの配向軸(遅相軸)をフィルム幅方向に渡って左右均等に高精度に配向させることができ、かつ、高精度でフィルム厚みやリタデーションを制御できるテンターであることが好ましい。
次に、延伸部5での延伸動作について説明する。長尺フィルムは、その両端を左右の把持具Ci・Coによって把持され、加熱ゾーンZ内を把持具Ci・Coの走行に伴って搬送される。左右の把持具Ci・Coは、延伸部5の入口部(図中Aの位置)において、フィルムの進行方向(延伸前の走行方向D1)に対して略垂直な方向に相対しており、左右非対称なレールRi・Ro上をそれぞれ走行し、延伸終了時の出口部(図中Bの位置)で把持したフィルムを開放する。把持具Ci・Coから開放されたフィルムは、前述したフィルム巻き取り部8にて巻芯に巻き取られる。一対のレールRi・Roは、それぞれ無端状の連続軌道を有しており、テンターの出口部でフィルムの把持を開放した把持具Ci・Coは、外側のレールを走行して順次入口部に戻されるようになっている。
このとき、レールRi・Roは左右非対称であるため、図4の例では、図中Aの位置で相対していた左右の把持具Ci・Coは、レールRi・Ro上を走行するにつれて、レールRi側を走行する把持具CiがレールRo側を走行する把持具Coに対して進行する位置関係となる。
すなわち、図中Aの位置でフィルムの繰出方向D1に対して略垂直な方向に相対していた把持具Ci・Coのうち、一方の把持具Ciがフィルムの延伸終了時の位置Bに先に到達したときには、把持具Ci・Coを結んだ直線がフィルムの延伸後の走行方向D2に略垂直な方向に対して、角度θLだけ傾斜している。以上の所作をもって、長尺フィルムが幅手方向に対してθLの角度で斜め延伸されることとなる。ここで、略垂直とは、90±1°の範囲にあることを示す。
次に、上記した加熱ゾーンZの詳細について説明する。延伸部5の加熱ゾーンZは、予熱ゾーンZ1、延伸ゾーンZ2および熱固定ゾーンZ3で構成されている。延伸部5では、把持具Ci・Coによって把持されたフィルムは、予熱ゾーンZ1、延伸ゾーンZ2、熱固定ゾーンZ3を順に通過する。
予熱ゾーンZ1とは、加熱ゾーンZの入口部において、フィルムの両端を把持した把持具Ci・Coが、左右で(フィルム幅方向に)一定の間隔を保ったまま走行する区間を指す。
延伸ゾーンZ2とは、フィルムの両端を把持した把持具Ci・Coの間隔が開き出し、所定の間隔になるまでの区間を指す。このとき、上述のような斜め延伸が行われるが、必要に応じて斜め延伸前後において縦方向あるいは横方向に延伸してもよい。
熱固定ゾーンZ3とは、延伸ゾーンZ2より後の把持具Ci・Coの間隔が再び一定となる区間であって、両端の把持具Ci・Coが互いに平行を保ったまま走行する区間を指す。
なお、延伸後のフィルムは、熱固定ゾーンZ3を通過した後に、ゾーン内の温度がフィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg(℃)以下に設定される区間(冷却ゾーン)を通過してもよい。このとき、冷却によるフィルムの縮みを考慮して、予め対向する把持具Ci・Coの間隔を狭めるようなレールパターンとしてもよい。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgに対し、予熱ゾーンZ1の温度はTg〜Tg+30℃、延伸ゾーンZ2の温度はTg〜Tg+30℃、熱固定ゾーンZ3の温度はTg−30〜Tg℃に設定することが好ましい。
なお、幅方向のフィルムの厚みムラの制御のために、延伸ゾーンZ2において幅方向に温度差を付けてもよい。延伸ゾーンにおいて幅方向に温度差をつけるには、温風を恒温室内に送り込むノズルの開度を幅方向で差を付けるように調整する方法や、ヒーターを幅方向に並べて加熱制御するなどの公知の手法を用いることができる。予熱ゾーンZ1、延伸ゾーンZ2および熱固定ゾーンZ3の長さは適宜選択でき、延伸ゾーンZ2の長さに対して、予熱ゾーンZ1の長さは通常100〜150%、熱固定ゾーンZ3の長さは通常50〜100%である。
また、延伸前のフィルムの幅をWo(mm)とし、延伸後のフィルムの幅をW(mm)とすると、延伸工程における延伸倍率R(W/Wo)は、好ましくは1.3〜3.0、より好ましくは1.5〜2.8である。延伸倍率がこの範囲にあると、フィルムの幅方向の厚みムラが小さくなるので好ましい。斜め延伸テンターの延伸ゾーンZ2において、幅方向で延伸温度に差を付けると、幅方向厚みムラをさらに良好なレベルにすることが可能になる。なお、上記の延伸倍率Rは、テンター入口部で把持したクリップ両端の間隔W1がテンター出口部において間隔W2となったときの倍率(W2/W1)に等しい。
<長尺延伸フィルムの品質>
本発明の実施形態に係る製造装置により得られた長尺延伸フィルムにおいては、配向角θが巻取方向に対して、例えば0°より大きく90°未満の範囲に傾斜しており、少なくとも1300mmの幅において、幅方向の、面内リタデーションRoのバラツキが3nm以下、配向角θのバラツキが0.6°以下であることが好ましい。
本発明の実施形態に係る製造装置により得られた長尺延伸フィルムにおいては、配向角θが巻取方向に対して、例えば0°より大きく90°未満の範囲に傾斜しており、少なくとも1300mmの幅において、幅方向の、面内リタデーションRoのバラツキが3nm以下、配向角θのバラツキが0.6°以下であることが好ましい。
すなわち、本発明の実施形態に係る製造装置により得られた長尺延伸フィルムにおいて、面内リタデーションRoのバラツキは、幅方向の少なくとも1300mmにおいて、3nm以下であり、1nm以下であることが好ましい。面内リタデーションRoのバラツキを上記範囲にすることにより、長尺延伸フィルムを偏光子と貼り合せて円偏光板とし、これを有機EL画像表示装置に適用したときに、黒表示時の外光反射光の漏れによる色ムラを抑えることができる。また、長尺延伸フィルムを例えば液晶表示装置用の位相差フィルムとして用いた場合に表示品質を良好なものにすることも可能になる。
また、本発明の実施形態に係る製造装置により得られた長尺延伸フィルムにおいて、配向角θのバラツキは、幅方向の少なくとも1300mmにおいて、0.6°以下であり、0.4°以下であることが好ましい。配向角θのバラツキが0.6°を超える長尺延伸フィルムを偏光子と貼り合せて円偏光板とし、これを有機EL表示装置などの画像表示装置に据え付けると、光漏れが生じ、明暗のコントラストを低下させることがある。
本発明の実施形態に係る製造装置により得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションRoは、用いられる表示装置の設計によって最適値が選択される。なお、前記Roは、面内遅相軸方向の屈折率nxと面内で前記遅相軸に直交する方向の屈折率nyとの差にフィルムの平均厚みdを乗算した値(Ro=(nx−ny)×d)である。
本発明の実施形態に係る製造装置により得られた長尺延伸フィルムの平均厚みは、機械的強度などの観点から、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは10〜60μm、特に好ましくは15〜35μmである。また、上記長尺延伸フィルムの幅方向の厚みムラは、巻き取りの可否に影響を与えるため、3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。
<円偏光板>
本実施形態の円偏光板は、偏光板保護フィルム、偏光子、λ/4位相差フィルムがこの順で積層されており、前記λ/4位相差フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸(または透過軸)とのなす角度が45°である。なお、上記の偏光板保護フィルム、偏光子、λ/4位相差フィルムは、それぞれ、図5の保護フィルム313、偏光子312、λ/4位相差フィルム311にそれぞれ対応している。本実施形態においては、長尺状偏光板保護フィルム、長尺状偏光子、長尺状λ/4位相差フィルム(長尺延伸フィルム)がこの順で積層して形成されることが好ましい。
本実施形態の円偏光板は、偏光板保護フィルム、偏光子、λ/4位相差フィルムがこの順で積層されており、前記λ/4位相差フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸(または透過軸)とのなす角度が45°である。なお、上記の偏光板保護フィルム、偏光子、λ/4位相差フィルムは、それぞれ、図5の保護フィルム313、偏光子312、λ/4位相差フィルム311にそれぞれ対応している。本実施形態においては、長尺状偏光板保護フィルム、長尺状偏光子、長尺状λ/4位相差フィルム(長尺延伸フィルム)がこの順で積層して形成されることが好ましい。
本実施形態の円偏光板は、偏光子として、ヨウ素または二色性染料をドープしたポリビニルアルコールを延伸したものを使用し、λ/4位相差フィルム/偏光子の構成で貼合して製造することができる。偏光子の膜厚は、5〜40μm、好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは5〜20μmである。
偏光板は、一般的な方法で作製することができる。アルカリ鹸化処理したλ/4位相差フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わされることが好ましい。
偏光板は、更に当該偏光板の偏光板保護フィルムの反対面に剥離フィルムを貼合して構成することができる。保護フィルムおよび剥離フィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。
<有機EL画像表示装置>
図5は、本実施形態の有機EL画像表示装置100の概略の構成を示す断面図である。なお、有機EL画像表示装置100の構成は、これに限定されるものではない。
図5は、本実施形態の有機EL画像表示装置100の概略の構成を示す断面図である。なお、有機EL画像表示装置100の構成は、これに限定されるものではない。
有機EL画像表示装置100は、有機EL素子101上に接着層201を介して円偏光板301を形成することによって構成されている。有機EL素子101は、ガラスやポリイミド等を用いた基板111上に、順に、金属電極112、発光層113、透明電極(ITO等)114、封止層115を有して構成されている。なお、金属電極112は、反射電極と透明電極とで構成されていてもよい。
円偏光板301は、有機EL素子101側から順に、λ/4位相差フィルム311、偏光子312、保護フィルム313を積層してなり、偏光子312がλ/4位相差フィルム311と保護フィルム313とによって挟持されている。偏光子312の透過軸と本実施形態の長尺延伸フィルムからなるλ/4位相差フィルム311の遅相軸とのなす角度が約45°(または135°)となるように両者を貼り合わせることで、円偏光板301が構成されている。
上記の保護フィルム313には硬化層が積層されていることが好ましい。硬化層は、有機EL画像表示装置の表面のキズを防止するだけではなく、円偏光板301による反りを防止する効果を有する。更に、硬化層上には、反射防止層を有していてもよい。上記有機EL素子101自体の厚さは1μm程度である。
上記の構成において、金属電極112と透明電極114とに電圧を印加すると、発光層113に対して、金属電極112および透明電極114のうちで陰極となる電極から電子が注入され、陽極となる電極から正孔が注入され、両者が発光層113で再結合することにより、発光層113の発光特性に対応した可視光線の発光が生じる。発光層113で生じた光は、直接または金属電極112で反射した後、透明電極114および円偏光板301を介して外部に取り出されることになる。
一般に、有機EL画像表示装置においては、透明基板上に金属電極と発光層と透明電極とを順に積層して発光体である素子(有機EL素子)が形成されている。ここで、発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、このような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層との積層体や、これらの正孔注入層、発光層、電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL画像表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL画像表示装置においては、発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL画像表示装置において、発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL画像表示装置の表示面が鏡面のように見える。
本実施形態の円偏光板は、このような外光反射が特に問題となる有機EL画像表示装置に適している。
すなわち、有機EL素子101の非発光時に、室内照明等により有機EL素子101の外部から入射した外光は、円偏光板301の偏光子312によって半分は吸収され、残りの半分は直線偏光として透過し、λ/4位相差フィルム311に入射する。λ/4位相差フィルム311に入射した光は、偏光子312の透過軸とλ/4位相差フィルム311の遅相軸とが45°(または135°)で交差するように配置されているため、λ/4位相差フィルム311を透過することにより円偏光に変換される。
λ/4位相差フィルム311から出射された円偏光は、有機EL素子101の金属電極112で鏡面反射する際に、位相が180度反転し、逆回りの円偏光として反射される。この反射光は、λ/4位相差フィルム311に入射することにより、偏光子312の透過軸に垂直(吸収軸に平行)な直線偏光に変換されるため、偏光子312で全て吸収され、外部に出射されないことになる。つまり、円偏光板301により、有機EL素子101での外光反射を低減することができる。
<湾曲部の詳細>
次に、上述した長尺延伸フィルムの製造装置1における延伸部5の湾曲部の詳細について5つの実施例を挙げて説明する。湾曲部は、延伸部5のレールのうち、図4中の予熱ゾーンZ1と延伸ゾーンZ2との連結部周辺、延伸ゾーンZ2と熱固定ゾーンZ3との連結部周辺の構成である。
次に、上述した長尺延伸フィルムの製造装置1における延伸部5の湾曲部の詳細について5つの実施例を挙げて説明する。湾曲部は、延伸部5のレールのうち、図4中の予熱ゾーンZ1と延伸ゾーンZ2との連結部周辺、延伸ゾーンZ2と熱固定ゾーンZ3との連結部周辺の構成である。
図6は、実施例1の湾曲部の片側のレール周辺の構成を示す斜視図であり、図7は、実施例1の湾曲部の屈曲率が大きい状態の平面図、図8は、実施例1の湾曲部の屈曲率が小さい状態の平面図である。なお、図6では、行きレール部11と把持具20の図示を省略し、図7、8では、リードブロック18と、リード軸19と、一部の把持具20の図示を省略している。
延伸部5の片側(長尺フィルムの幅手方向の片側)の湾曲部周辺には、行きレール部11と、戻りレール部12と、第1レールベース13と、第2レールベース14と、リンクアーム15と、レール保持ブロック16と、レールベース保持ブロック17と、リードブロック18と、リード軸19と、把持具20とが配設されている。
レールRi及び/又はレールRoは無限軌道のレールであり、長尺フィルムの進行方向に進む把持具を規制する行きレール部11と、長尺フィルムの進行方向とは逆方向に進む把持具を規制する戻りレール部12とで構成される。本実施例では、行きレール部と戻りレール部とは略平行に配設されているものとする。そして、行きレール部11及び戻りレール部12は、湾曲部周辺にそれぞれ湾曲レール部11a、12aと、第1レール部11b、12bと、第2レール部11c、12cとを有している。
湾曲レール部11a、12aは、行きレール部11及び戻りレール部12の対向した一部分であって、板バネ等で形成されており、応力を加えることで湾曲可能なレール部分である。第1レール部11b、12bは、湾曲レール部11a、12aの一端に連結されたレール部分であって、ここでは第1レール部11b、12bを、行きレール部11の湾曲レール部11aから見て把持具20の進行方向上流側のレール部分とする。また、第2レール部11c、12cは、湾曲レール部11a、12aの他端に連結されたレール部分であって、ここでは第2レール部11c、12cを、行きレール部11の湾曲レール部11aから見て把持具20の進行方向下流側のレール部分とする。
第1レールベース13は第1レール部11b、12bの下方に配置され、第1レール部11b、12bを固定して支持し、それ自体が水平方向に移動可能な部材である。移動は後述するレールベース保持ブロック17を中心に回動することで行われる。第1レールベース13と第1レール部11b、12bとは、例えば、棒状部材で接続することができる。
第2レールベース14は第2レール部11c、12cの下方に配置され、第2レール部11c、12cを固定して支持し、それ自体が水平方向に移動可能な部材である。移動は後述するレールベース保持ブロック17を中心に回動することで行われる。第2レールベース14と第2レール部11c、12cとは、例えば、棒状部材で接続することができる。
リンクアーム15は直線的な長板状の部材であり、一端が第1レールベース13に回動可能に取り付けられ、他端が第2レールベース14にスライド可能に取り付けられる。
本実施例では、リンクアーム15の一端に上下方向に貫通するように設けられた円形の貫通孔15aに、第1レールベース13の上面に一端が固定されて上方へ突出した円柱状の突起部21が挿通されることで、リンクアーム15が回動可能となっている。
また本実施例では、リンクアーム15の他端に上下方向に貫通するように設けられたスリット15bに、第2レールベース14の上面に一端が固定されて上方へ突出した円柱状の突起部22が挿通されることで、リンクアーム15がスライド可能となっている。スリット15bはリンクアーム15の長手方向に沿って延びている。
なお、リンクアーム15の一端は、第1レールベース13の代わりに第1レール部11b又は12bに回動可能に取り付けられてもよい。また、リンクアーム15の他端は、第2レールベース14の代わりに第2レール部11c又は12cにスライド可能に取り付けられてもよい。
レール保持ブロック16は、少なくともリンクアーム15と、行きレール部11の湾曲レール部11aとに連結される部材である。本実施例においては戻りレール部12の湾曲レール部12aにも連結されており、湾曲レール部11aと湾曲レール部12aとを一定間隔に保持するとともに、延伸時の行きレール部11の剛性を高めている。本実施例においてレール保持ブロック16は、リンクアーム15の上面の中央付近に一端が固定されて上方へ突出した円柱状の突起部16aと、突起部16aの上端付近に固定された角柱部材16bとで構成されている。そして、角柱部材16bの長手方向の一端が湾曲レール部11aにネジ等で固定され、角柱部材16bの長手方向の他端が湾曲レール部12aにネジ等で固定されている。
レールベース保持ブロック17は、第1レールベース13と第2レールベース14とを回動可能に連結する円柱状の部材である。これにより、第1レールベース13と第2レールベース14とがレールベース保持ブロック17を軸として水平面内で回動可能となっている。
リードブロック18は、レールベース保持ブロック17の下方に配置され、レールベース保持ブロック17に連結された部材である。リードブロック18はリード軸19と螺合する水平方向に切られた雌ねじ部を有している。リード軸19は、リードブロックに螺合する雄ねじ部を有する棒状部材であり、湾曲レール部11a、12aの接線に略垂直に配置される。そして、リード軸19を手動又は自動で回転させることによりリードブロック18との螺合度合いが変化し、リードブロックを移動させることができる。リード軸19を自動で回転させるには、モーター等の駆動手段を用いればよい。
把持具20は、ピン又はクリップで延伸フィルムを把持する部材であり、チェーンを介してレール上を移動するものである。把持具20はレール上に一定間隔で設けられている。
このような構成により、リード軸19を手動又は自動で回転させることで、リードブロック18との螺合度合いが変化してリードブロックとレールベース保持ブロック17が移動し、それに伴い、第1レールベース13と第2レールベース14とが回動し、それに伴い、リンクアーム15の一端が回動し、他端が、スライドしてリンクアーム15が移動する。このリンクアーム15の移動によりレール保持ブロック16が移動し、レール保持ブロック16に固定されている湾曲レール部11aと湾曲レール部12aとが一定間隔を保持したまま移動する。その結果、湾曲レール部11a、12aの屈曲率の変化(繰出角度θiの変化)に対して滑らかな湾曲形状を保持することができる。
例えば、リード軸19を回転させてリードブロック18を図6の紙面左方向に移動させると、第1レールベース13と第2レールベース14とが近づく方向(ハの字が狭まる方向)に回動し、突起部21と突起部22との距離が縮まる。それに伴い、リンクアーム15の一端が回動し、他端が、スライドしてリンクアーム15が移動する。このリンクアーム15の移動によりレール保持ブロック16も一緒に移動し、レール保持ブロック16に固定されている湾曲レール部11aと湾曲レール部12aとが一定間隔を保持したまま移動する。その結果、図7に示したように、湾曲レール部11a、12aの屈曲率が大きくなるように変化する。
また逆に、リード軸19を回転させてリードブロック18を図6の紙面右方向に移動させると、第1レールベース13と第2レールベース14とが離れる方向(ハの字が広がる方向)に回動し、突起部21と突起部22との距離が広がる。それに伴い、リンクアーム15の一端が回動し、他端がスライドしてリンクアーム15が移動する。このリンクアーム15の移動によりレール保持ブロック16も一緒に移動し、レール保持ブロック16に固定されている湾曲レール部11aと湾曲レール部12aとが一定間隔を保持したまま移動する。その結果、図8に示したように、湾曲レール部11a、12aの屈曲率が小さくなるように変化する。
このように、湾曲レール部11a、12aを任意の湾曲形状に変更しても滑らかな湾曲形状を保持することができる。これは湾曲レール部11a、12aが長いほど効果が高い。また、レール保持ブロック16はレールベース保持ブロック17の直上で連結されていないため、第1レール部11b、12b及び第2レール部11c、12cの中心に配置する必要がない。したがって、熱による伸びなどを考慮した、延伸部全長における基準レール位置の制約がないため、上下流方向の位置ズレに対する自由度が大きい。
また、レール保持ブロック16はレールベース保持ブロック17の直上で連結されていないため、リード軸19に直接負荷がかからないのでリードブロック18の小型化が可能である。また、リンクアーム15は第1レールベース13が支点となり、スライド機構で第2レールベース側へ逃げる構造のため、レール保持ブロック16が第1レール部11bと第2レール部11cの二等分線上をスライドしないため、省スペース化が可能となる。
また、第1及び第2レールベース13、14上にリンクアーム15を配置することで、水平方向の省スペース化ができ、延伸部5に配置されるプレナムノズル(不図示)やダクト(不図示)など他の部材との干渉を回避できる。また、湾曲レール部11a、12aの移動に沿ってリンクアーム15も移動するため、リンクアーム15にレールや把持具20をサポートする他の構成を付加する余地があり、設計の自由度が高い。
図9は、実施例2の湾曲部の片側のレール周辺の構成を示す斜視図であり、図10は、実施例2の湾曲部の屈曲率が大きい状態の平面図、図11は、実施例2の湾曲部の屈曲率が小さい状態の平面図である。なお、図9では、行きレール部11と把持具20の図示を省略し、図10、11では、リードブロック18と、リード軸19と、一部の把持具20の図示を省略し、リンクアーム23を透過図で示している。
実施例2が実施例1と異なる点は、リンクアーム23の他端を第2レールベース24にスライド可能に取り付ける構成であり、その他の構成は実施例1と同様である。したがって、実施例1と同様の構成については同符号を付し、その詳細な説明を省略する。
リンクアーム23は直線的な長板状の部材であり、一端が第1レールベース13に回動可能に取り付けられ、他端が第2レールベース14に対してスライド可能に取り付けられる。
本実施例では、リンクアーム23の一端に上下方向に貫通するように設けられた円形の貫通孔23aに、第1レールベース13の上面に一端が固定されて上方へ突出した円柱状の突起部21が挿通されることで、リンクアーム23が回動可能となっている。
また本実施例では、リンクアーム23の他端に下方へ突出した円柱状の突起部23bが設けられている。一方、第2レールベース24の上面にガイド溝24aが形成されている。そして、突起部23bがガイド溝24aに摺動可能に挿入されることで、リンクアーム23がスライド可能となっている。ガイド溝24aは第2レールベース24の長手方向に沿って延びている。
なお、リンクアーム23の一端は、第1レールベース13の代わりに第1レール部11b又は12bに回動可能に取り付けられてもよい。また、リンクアーム23の他端は、第2レールベース24の代わりに第2レール部11c又は12cにスライド可能に取り付けられてもよい。
本実施例のような構成であっても、実施例1と同様の作用効果が得られる。
図12は、実施例3の湾曲部の片側のレール周辺の構成を示す斜視図であり、図13は、実施例3の湾曲部の屈曲率が大きい状態の平面図、図14は、実施例3の湾曲部の屈曲率が小さい状態の平面図である。なお、図12では、行きレール部11と把持具20の図示を省略し、図13、14では、リードブロック18と、リード軸19と、一部の把持具20の図示を省略している。また、リンクアーム25は図12〜図14において透過図で示している。
実施例3が実施例1と異なる点は、リンクアーム25の他端を第2レールベース14にスライド可能に取り付ける構成であり、その他の構成は実施例1と同様である。したがって、実施例1と同様の構成については同符号を付し、その詳細な説明を省略する。
リンクアーム25は直線的な長板状の部材であり、一端が第1レールベース13に回動可能に取り付けられ、他端が第2レールベース14に対してスライド可能に取り付けられる。
本実施例では、リンクアーム25の一端に上下方向に貫通するように設けられた円形の貫通孔25aに、第1レールベース13の上面に一端が固定されて上方へ突出した円柱状の突起部21が挿通されることで、リンクアーム25が回動可能となっている。
また本実施例では、リンクアーム25の他端に上下方向に貫通する円形の貫通孔25bが設けられている。一方、第2レールベース14には、その上面に並設されたガイド軸26と、ガイド軸26に摺動可能に挿通されたスライダー27と、スライダー27の上面に一端が固定されて上方へ突出した円柱状の突起部28とが備えられている。そして、突起部28が貫通孔25bに回動可能に挿通されることで、スライダー27の移動に応じてリンクアーム25がスライド可能となっている。ガイド軸26は第2レールベース14の長手方向に沿って延びている。
なお、リンクアーム25の一端は、第1レールベース13の代わりに第1レール部11b又は12bに回動可能に取り付けられてもよい。また、リンクアーム25の他端は、第2レールベース14の代わりに第2レール部11c又は12cにスライド可能に取り付けられてもよい。
本実施例のような構成であっても、実施例1と同様の作用効果が得られる。
図15は、実施例4の湾曲部の片側のレール周辺の構成を示す斜視図であり、図16は、実施例4の湾曲部の屈曲率が大きい状態の平面図、図17は、実施例4の湾曲部の屈曲率が小さい状態の平面図である。なお、図15では、行きレール部11と把持具20の図示を省略し、図16、17では、リードブロック18と、リード軸19と、一部の把持具20の図示を省略している。また、リンクアーム25は図15〜図17において透過図で示している。
実施例4が実施例1と異なる点は、リンクアーム25の他端を第2レールベース14にスライド可能に取り付ける構成であり、その他の構成は実施例1と同様である。したがって、実施例1と同様の構成については同符号を付し、その詳細な説明を省略する。
リンクアーム25は実施例3のものと同様であり、一端が第1レールベース13に回動可能に取り付けられ、他端が第2レールベース14に対してスライド可能に取り付けられる。
本実施例では、リンクアーム25の一端に上下方向に貫通するように設けられた円形の貫通孔25aに、第1レールベース13の上面に一端が固定されて上方へ突出した円柱状の突起部21が挿通されることで、リンクアーム25が回動可能となっている。
また本実施例では、リンクアーム25の他端に上下方向に貫通する円形の貫通孔25bが設けられている。一方、第2レールベース14には、その上面に並設された2本のガイド軸29、29と、ガイド軸29、29に摺動可能に挟持された円盤状の回転ホイール(ベアリング)30と、回転ホイール30の上面中央に一端が固定されて上方へ突出した円柱状の突起部31とが備えられている。そして、突起部31が貫通孔25bに回動可能に挿通されることで、回転ホイール30の移動に応じてリンクアーム25がスライド可能となっている。ガイド軸29、29は第2レールベース14の長手方向に沿って平行に延びている。
なお、リンクアーム25の一端は、第1レールベース13の代わりに第1レール部11b又は12bに回動可能に取り付けられてもよい。また、リンクアーム25の他端は、第2レールベース14の代わりに第2レール部11c又は12cにスライド可能に取り付けられてもよい。
本実施例のような構成であっても、実施例1と同様の作用効果が得られる。
図18は、実施例5の湾曲部の片側のレール周辺の構成を示す斜視図であり、図19は、実施例5の湾曲部の屈曲率が大きい状態の平面図、図20は、実施例5の湾曲部の屈曲率が小さい状態の平面図である。なお、図18では、行きレール部11と把持具20の図示を省略し、図19、20では、リードブロック18と、リード軸19と、一部の把持具20の図示を省略している。
実施例5が実施例1と異なる点は、リンクアーム32の他端を第2レールベース14にスライド可能に取り付ける構成であり、その他の構成は実施例1と同様である。したがって、実施例1と同様の構成については同符号を付し、その詳細な説明を省略する。
リンクアーム32は一端からレール保持ブロック16を固定する部分までが直線的な長板状の部材であり、そこから他端までがパンタグラフとなっている。なお、パンタグラフでなくとも伸縮自在の機構であればよい。そして、一端が第1レールベース13に回動可能に取り付けられ、他端が第2レールベース14に対してスライド可能に取り付けられる。
本実施例では、リンクアーム32の一端に上下方向に貫通するように設けられた円形の貫通孔32aに、第1レールベース13の上面に一端が固定されて上方へ突出した円柱状の突起部21が挿通されることで、リンクアーム32が回動可能となっている。
また本実施例では、リンクアーム32の他端に上下方向に貫通するように設けられた円形の貫通孔32bに、第2レールベース14の上面に一端が固定されて上方へ突出した円柱状の突起部22が挿通されることで、パンタグラフの伸縮に応じてリンクアーム23がスライド可能となっている。
なお、リンクアーム23の一端は、第1レールベース13の代わりに第1レール部11b又は12bに回動可能に取り付けられてもよい。また、リンクアーム23の他端は、第2レールベース14の代わりに第2レール部11c又は12cにスライド可能に取り付けられてもよい。
本実施例のような構成であっても、実施例1と同様の作用効果が得られる。
本発明は、有機EL画像表示装置の外光反射防止のための円偏光板に適用される長尺斜め延伸フィルムの製造に利用可能である。
1 長尺斜め延伸フィルムの製造装置
5 延伸部
11 行きレール部
12 戻りレール部
11a、12a 湾曲レール部
11b、12b 第1レール部
11c、12c 第2レール部
13 第1レールベース
14、24 第2レールベース
15、23、25、32 リンクアーム
16 レール保持ブロック
17 レールベース保持ブロック
18 リードブロック
19 リード軸
20、Ci、Co、 把持具
22 突起部
26、29 ガイド軸
27 スライダー
30 回転ホイール
Ri、Ro レール
5 延伸部
11 行きレール部
12 戻りレール部
11a、12a 湾曲レール部
11b、12b 第1レール部
11c、12c 第2レール部
13 第1レールベース
14、24 第2レールベース
15、23、25、32 リンクアーム
16 レール保持ブロック
17 レールベース保持ブロック
18 リードブロック
19 リード軸
20、Ci、Co、 把持具
22 突起部
26、29 ガイド軸
27 スライダー
30 回転ホイール
Ri、Ro レール
Claims (9)
- 供給される長尺フィルムの幅手方向の両端部を各把持具によって把持し、各把持具を対向するレールに沿って移動させながら前記長尺フィルムを搬送するとともに、前記長尺フィルムの搬送方向を途中で変えることにより、前記長尺フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸する長尺斜め延伸フィルムの製造装置において、
前記レールの少なくとも一方を構成する無限軌道の行きレール部及び戻りレール部と、
前記行きレール部及び戻りレール部の対向した一部分であって湾曲可能な湾曲レール部と、
前記湾曲レール部の一端に連結された第1レール部と、
前記湾曲レール部の他端に連結された第2レール部と、
前記第1レール部を固定する移動可能な第1レールベースと、
前記第2レール部を固定する移動可能な第2レールベースと、
前記第1レールベース又は前記第1レール部に回動可能に取り付けられ、第2レールベース又は前記第2レール部にスライド可能に取り付けられるリンクアームと、
前記リンクアームと、前記行きレール部の湾曲レール部とに連結されるレール保持ブロックと、を備えたことを特徴とする長尺斜め延伸フィルムの製造装置。 - 前記レール保持ブロックが前記戻りレール部の湾曲レール部に連結されることを特徴とする請求項1記載の長尺斜め延伸フィルムの製造装置。
- 前記第1及び第2レールベースを回動可能に連結するレールベース保持ブロックと、
前記レールベース保持ブロックに連結されたリードブロックと、
前記リードブロックに螺合し、螺合度合いによって前記リードブロックを移動させるリード軸と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の長尺斜め延伸フィルムの製造装置。 - 前記リンクアームに設けられたスリットに、前記第2レールベース又は前記第2レール部に設けられた突起部が挿通されることで前記リンクアームがスライド可能となっていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の長尺斜め延伸フィルムの製造装置。
- 前記リンクアームに設けられた突起部が、前記第2レールベース又は前記第2レール部に設けられたガイド溝に摺動可能に挿入されることで前記リンクアームがスライド可能となっていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の長尺斜め延伸フィルムの製造装置。
- 前記リンクアームに設けられた貫通孔と、
前記第2レールベース又は前記第2レール部に設けられたガイド軸と、
該ガイド軸に摺動可能に挿通されたスライダーと、
該スライダーに設けられ、前記貫通孔に回動可能に挿通される突起部と、を備えことで前記リンクアームがスライド可能となっていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の長尺斜め延伸フィルムの製造装置。 - 前記リンクアームに設けられた貫通孔と、
前記第2レールベース又は前記第2レール部に設けられた2本のガイド軸と、
該ガイド軸に摺動可能に挟持された回転ホイールと、
該回転ホイールに設けられ、前記貫通孔に回動可能に挿通される突起部と、を備えことで前記リンクアームがスライド可能となっていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の長尺斜め延伸フィルムの製造装置。 - 前記リンクアームに設けられた伸縮機構部に、前記第2レールベース又は前記第2レール部に設けられた突起部が挿通されることで前記リンクアームがスライド可能となっていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の長尺斜め延伸フィルムの製造装置。
- 請求項1〜8の何れかに記載の長尺斜め延伸フィルムの製造装置を用いて長尺斜め延伸フィルムを製造する長尺斜め延伸フィルムの製造方法。
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