JP2013204641A - シリンダヘッドガスケット - Google Patents
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Abstract
【効果】 上記燃焼室孔2の周囲の面圧は、ボルト孔3の近傍位置Aで大きく、ボルト孔3から離隔した離隔位置Bで小さくなるが、折返し部11の高さを上述のように設定すれば、燃焼室孔の周囲の面圧を可及的に均一にすることができる。そして折返し部の内面の空間高さによりばね性が得られるので、一層のシール性の向上を期待することができる。
【選択図】 図3
Description
ところで一般に、シリンダヘッドガスケットは、エンジンのシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に挟持され、その状態で上記ボルト孔に貫通された締付ボルトによって一体に連結されるようになっている。その結果、上記燃焼室孔の周囲の面圧は、ボルト孔の近傍位置で大きく、ボルト孔から離隔した離隔位置で小さくなるので、面圧の小さい部分におけるシール性が相対的に低下するようになる。
そして、例えば上記ボルト孔が燃焼室孔の周囲4箇所に形成されている場合には、上記面圧の大小によりシリンダボアが真円よりクローバー形状に変形されるクローバー形変形つまり4次成分変形が生じることが知られており、そのようなクローバー形変形はシリンダボアを異常摩耗させ、オイル消費の増大と燃費の低下を招くようになる。
上記特許文献2に記載されたシリンダヘッドガスケットにおいては、燃焼室孔を囲繞するシム板を中間板に重合させ、該シム板の板厚を一定に設定する一方、中間板のシム板と重合する部分の肉厚を、上述したようにボルト孔の近傍位置で薄く、ボルト孔から離隔した離隔位置で厚く設定している。
このように構成したシリンダヘッドガスケットによれば、面圧が大きくなるボルト孔の近傍位置で肉厚が薄くなっているので、その面圧が大きくなるのを抑制でき、他方、面圧が小さくなるボルト孔から離隔した離隔位置で肉厚が厚くなっているので、その面圧が小さくなるのを防止できる。その結果、肉厚の厚さを好適となるように設定することによって燃焼室孔の周囲の面圧を可及的に均一とすることができ、それにより面圧の低い部分におけるシール性の低下を防止することができる。
本発明はそのような事情に鑑み、燃焼室孔の周囲の面圧を均一にするための部分にばね性を付与することにより、従来に比較してより一層のシール性の向上を期待することができる新規な構成のシリンダヘッドガスケットを提供するものである。
上記燃焼室孔の周囲に折返し部を形成したストッパ板を設けて、該折返し部の内面の空間高さを、上記ボルト孔の近傍位置で零ないしは小さくして当該近傍位置における折返し部の高さを低く設定するとともに、上記ボルト孔から離隔した離隔位置で上記折返し部の内面の空間高さを大きくして当該離隔位置における折返し部の高さを高く設定したことを特徴とするものである。
そして燃焼室孔の周囲の面圧を可及的に均一にすることができれば、前述のクローバー形変形といったシリンダボアの変形を抑制することができるので、それによってシリンダボアの異常摩耗やオイル消費の増大と燃費の低下とを防止することができる。
これに加えて、上記折返し部の内面に空間高さを確保すれば当該折返し部にばね性を付与することができるので、シリンダヘッドやシリンダブロックの振動に対する追従性を確保することができ、それにより従来に比較して一層のシール性の向上を期待することができる。
上記シリンダヘッドガスケット1は、例えば一直線上に直列に配置された複数の燃焼室孔2(図1では1つのみ表示)を備えており、これら複数の燃焼室孔2は、それぞれ図示しないシリンダブロックに形成されたシリンダボアの位置に合わせて穿設されている。
またシリンダヘッドガスケット1には、締結ボルトを挿通するための複数のボルト孔3と、ブローバイガスを流通させるブローバイ孔4と、潤滑油を流通させる油孔5と、さらに冷却水を流通させる水孔6とが穿設されている。
そして上記折返し部11と凹部13aとを重合させながら、上記ストッパ板12と調整板13とを相互に重合させるとともに、それらストッパ板12と調整板13の外側にそれぞれ上記ビード板14を重合させている。
他方、下方のビード板14に形成したフルビード部14aは、シリンダヘッドに向けて上方に突出するように形成してあり、したがって両フルビード部14a、14aは積層重合されて、それぞれストッパ板2と調整板3側に向けて突出するようになる。
このストッパ板12は各シリンダボア毎に配置してあり、各シリンダボア毎に配置したリング状となるストッパ板12は、各シリンダボアの中間位置で相互に一体的に連結することにより、組み立ての容易性を向上させている。しかしながらストッパ板12は、それぞれシリンダボア毎に別体に製造してもよい。
そしてボルト孔3の近傍位置Aにおける折返し部11aは、該折返し部11aをヘミング加工によって形成する際に強くストッパ板12の本体部12aに向けて加圧してあり、それによって折返し部11aの内面に形成される空間高さh1が零ないしは小さくなるようにしてある。
つまりボルト孔3の近傍位置Aにおける折返し部11aの高さは、上記空間高さh1が零ないしは小さくなるようにすることにより、低くなるように設定してある。
そしてボルト孔3の離隔位置Bにおける折返し部11bは、該折返し部11bをヘミング加工によって形成する際に上記ボルト孔3の近傍位置Aにおける折返し部11aよりも弱い力でストッパ板12の本体部12aに向けて加圧してあり、それによって当該折返し部11bの内面に形成される空間高さh2は、上記ボルト孔3の近傍位置Aにおける折返し部11aの空間高さh1よりも大きくなるようにしてある。
つまりボルト孔3から離隔した離隔位置Bにおける折返し部11bは、上記空間高さh2を大きくすることにより、高くなるように設定してある。
なお、上記高さが変化する折返し部11を形成するに当たっては、最初に大きな空間高さh2を有する折返し部11を全域に形成しておき、次にプレス加工により上記折返し部11を本体部12aに向けて押し潰す金型に、該折返し部11を本体部12aに向けて強く押し潰す部分と弱く押し潰す部分とを環状に連続的に設ければよい。
しかしながら、ボルト孔3の近傍位置Aにおける折返し部11aの高さは低く、ボルト孔3から離隔した離隔位置Bにおける折返し部11bの高さは高いので、燃焼室孔2の周囲の面圧を可及的に均一にすることができる。
したがってこれにより、面圧が低くなる部分におけるシール性の低下を防止して、良好なシール性を確保することができる。
また、上記燃焼室孔2の周囲の面圧を可及的に均一にすることができるので、シリンダボアの変形を抑制することができ、それによってシリンダボアの異常摩耗やオイル消費の増大、並びに燃費の低下を防止することができる。
さらに、少なくとも上記折返し部11bの内面には空間高さh2が確保されているので、この部分の折返し部11bはばね性を有しており、したがってシリンダヘッドやシリンダブロックの振動に対する追従性を確保することができる。その結果、ばね性を有しない従来技術に比較して、一層のシール性の向上を期待することが可能となる。
つまり上記ストッパ板12の本体部12aを調整板13とほぼ同一の形状に形成した場合には、該本体部12aによる面圧上昇効果はシリンダヘッドガスケット1の全域に亘るようになるので、局部的な面圧上昇効果が得られない。しかるに本実施例によれば、本体部12aを設けた範囲で局部的な面圧上昇効果を得ることができるので、その部分の面圧を増大させて、一層のシール性の向上を図ることが可能となる。
そして上記環状溝13bよりも燃焼室孔2側は、上記ストッパ板12の折返し部11が燃焼室孔2側に突出するのを阻止する環状突出部13cとして形成してある。
このとき、上記環状突出部13cの高さは、ストッパ板12の肉厚の2倍の高さと同一か、それよりも低く設定することが望ましい。すなわち環状突出部13cの高さがストッパ板12の肉厚の2倍の高さと同一であるということは、上記折返し部11aの内面に形成される空間高さh1が零の場合における折返し部11aの全体の高さであって、環状突出部13cの高さをその高さを超えた高さに設定すると、折返し部11aに加わるべき荷重を環状突出部13が受け止めてしまい、折返し部11aに必要な荷重が加わらなくなって燃焼室孔2の周囲の面圧を可及的に均一にすることを阻害するからである。
それ以外の構成は上記第1実施例と同様に構成してあり、第1実施例と同一又は相当部分には、第1実施例と同一の符号を付して示してある。
それ以外の構成は上記第1実施例と同様に構成してあり、第1実施例と同一又は相当部分には、第1実施例と同一の符号を付して示してある。
上記第3実施例においても、第1実施例と同等の作用効果が得られることは明らかであり、また本実施例では、上記凹部13aの粗面によりストッパ板12の折返し部11が燃焼室孔2側に突出するのを抑制することができる。
また本実施例では、ストッパ板12は各ビード板14、14とほぼ同一の形状に形成してある。
それ以外の構成は上記第1実施例と同様に構成してあり、第1実施例と同一又は相当部分には、第1実施例と同一の符号を付して示してある。
上記第4実施例においても、燃焼室孔2の周囲の面圧を可及的に均一にすることができることは明らかである。
3 ボルト孔 11、11a、11b 折返し部
12 ストッパ板 12a 本体部
13 調整板 13a 凹部
13b 環状溝 13c 環状突出部
14 ビード板 14a フルビード部
A 近傍位置 B 離隔位置
h1、h2 高さ
Claims (7)
- 燃焼室孔とボルト孔とを備え、上記燃焼室孔の周囲の肉厚を、ボルト孔の近傍位置で薄く、ボルト孔から離隔した離隔位置で厚く設定したシリンダヘッドガスケットにおいて、
上記燃焼室孔の周囲に折返し部を形成したストッパ板を設けて、該折返し部の内面の空間高さを、上記ボルト孔の近傍位置で零ないしは小さくして当該近傍位置における折返し部の高さを低く設定するとともに、上記ボルト孔から離隔した離隔位置で上記折返し部の内面の空間高さを大きくして当該離隔位置における折返し部の高さを高く設定したことを特徴とするシリンダヘッドガスケット。 - 上記シリンダヘッドガスケットは、上記ストッパ板の折返し部の外側で、上記燃焼室孔を囲むフルビード部を設けたビード板を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。
- 上記シリンダヘッドガスケットは、上記燃焼室孔の周囲に上記折返し部の折返し厚さよりも小さい段差の凹部を設けた調整板を備えており、上記ストッパ板の折返し部は上記調整板の凹部に重合されていることを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。
- 上記調整板に、燃焼室孔を囲む環状溝を形成してその環状溝内を上記凹部として形成してあり、該環状溝よりも燃焼室孔側は、上記折返し部が燃焼室孔に突出するのを阻止する環状突出部として形成されていることを特徴とする請求項3に記載のシリンダヘッドガスケット。
- 上記環状突出部の高さは、上記ストッパ板の肉厚の2倍の高さと同一か、それよりも低く設定されていることを特徴とする請求項4に記載のシリンダヘッドガスケット。
- 上記凹部の表面は、上記折返し部が燃焼室孔に突出するのを抑制する粗面に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のシリンダヘッドガスケット。
- 上記シリンダヘッドガスケットは、上記折返し部と凹部の外側で上記燃焼室孔を囲むフルビード部を設けたビード板を備えており、上記ストッパ板は、上記フルビード部を越えた位置まで設けられて、その超えた位置の外側で省略してあることを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれかに記載のシリンダヘッドガスケット。
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