JP2013203686A - 根こぶ病菌の菌密度低減方法および根こぶ病の防除方法 - Google Patents

根こぶ病菌の菌密度低減方法および根こぶ病の防除方法 Download PDF

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奈香子 蓮沼
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Abstract

【課題】従来の根こぶ病の防除方法に比べて優れた防除効果が発現される防除方法を提供すること。
【解決手段】おとり作物をアブラナ科作物の前作として栽培する根こぶ病の防除方法において、3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミド又は4−クロロ−2−シアノ−N,N−ジメチル−5−p−トリルイミダゾール−1−スルホンアミドを、前記おとり作物の播種前、播種時または播種後に栽培土壌に施用することを特徴とする、アブラナ科作物の根こぶ病の防除方法。
【選択図】なし

Description

本発明は栽培土壌中の根こぶ病菌の菌密度低減方法およびアブラナ科作物の根こぶ病の防除方法に関する。
アブラナ科野菜根こぶ病(以下、根こぶ病と称する)は、根こぶ病菌(Plasmodiophora brassicae)によって引き起こされる難防除土壌病害のひとつであり、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリーを始めとするアブラナ科作物の栽培において収穫量を大幅に減少させ、世界中で深刻な被害を与える重要病害である。
根こぶ病菌は、通常、土壌中では耐久体である休眠胞子として存在し、宿主植物(すなわちアブラナ科作物)の根がその近傍に伸長してくると発芽して第一次遊走子になり、根毛感染(一次感染)を起こす。その後、根毛内で遊走子のうを形成し、そこから再び土壌中に放出された第二次遊走子によって皮層感染(二次感染)を起こし、根の細胞内で増殖して根こぶ形成を起こす。形成された根こぶ(罹病根)中には次世代の休眠胞子が含まれており、根こぶの腐敗に伴い土壌中に拡散することとなる。
根こぶ病の防除方法として、従来より、土壌中の休眠胞子の発芽を促進することにより、菌密度を減少させる植物として定義されるおとり作物(おとり植物ともいう)の作付け、抵抗性品種の作付け、石灰窒素等の石灰質資材やキチン等の有機質資材などの発病抑止資材の使用、化学合成農薬や微生物等の生物農薬の使用等の方法が提案・施用されている。
例えば、特許文献1には、フルスルファミド(化学名:N−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−3−トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミド)がアブラナ科野菜の根こぶ病等に対して優れた防除効果を示すことが記載され、また特許文献2には、前記フルスルファミドやフルアジナム(化学名:3−クロロ−N−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−α,α,α,−トリフルオロ−2,6−ジニトロ−p−トルイジン)を用いることによる根こぶ病を防除する育苗方法が開示されている。
特公平6−27113号公報 特許第2582045号明細書
上述した従来の根こぶ病の防除方法において、抵抗性品種はその罹病化が見られたり、一方、おとり作物の作付けは作付け箇所での根こぶ病菌密度の減少は認められるものの、圃場全体における菌密度の低減効果は望めないなどの問題が残されていた。また有機質資材などの発病抑止資材は、実用的には施用量が多いことが問題とされること、さらに、現在広く用いられているフルスルファミドやフルアジナム等の化学合成農薬は、根こぶ病の発病を抑制することはできるものの、土壌内の根こぶ病菌の菌密度そのものの低減効果は期待できないことなどの課題が残されており、より効果的かつ根本的な根こぶ病の新たな防除方法が要望されている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の根こぶ病の防除方法に比べて優れた防除効果が発現される防除方法を提供することである。
本発明者らは鋭意研究した結果、栽培土壌に葉ダイコン等のアブラナ科作物のおとり作物の播種前、播種時または播種後に、一般名でいうところアミスルブロムまたはシアゾファミドを施用することにより、根こぶ病菌の菌密度を飛躍的に低減でき、アブラナ科作物の根こぶ病の防除を効果的にできることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記[1]〜[4]に関するものである。
[1]おとり作物の播種前、播種時または播種後に、3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミドまたは4−クロロ−2−シアノ−N,N−ジメチル−5−p−トリルイミダゾール−1−スルホンアミドを該栽培土壌に施用することを特徴とする、栽培土壌中の根こぶ病菌の菌密度低減方法。
[2]前記おとり作物が、葉ダイコン、エンバク及びホウレンソウからなる群から選択される、[1]に記載の根こぶ病菌の菌密度低減方法。
[3]おとり作物をアブラナ科作物の前作として栽培する根こぶ病の防除方法において、おとり作物の播種前、播種時または播種後に、3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミドまたは4−クロロ−2−シアノ−N,N−ジメチル−5−p−トリルイミダゾール−1−スルホンアミドを作物栽培土壌に施用することを特徴とする、アブラナ科作物の根こぶ病の防除方法。
[4]前記おとり作物が、葉ダイコン、エンバクおよびホウレンソウからなる群から選択される、[3]に記載の根こぶ病の防除方法。
本発明方法によれば、従来の根こぶ病の防除方法に比べて、栽培土壌内の根こぶ病菌の菌密度を大きく低減でき、非常に優れた根こぶ病の防除効果が発現される。
本発明は、おとり作物の播種前、播種時または播種後に、3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミド(一般名:アミスルブロム、以下、本明細書において一般名にて記載する)又は4−クロロ−2−シアノ−N,N−ジメチル−5−p−トリルイミダゾール−1−スルホンアミド(一般名:シアゾファミド、以下、本明細書において一般名にて記載する)を栽培土壌に施用することを特徴とする、土壌内の根こぶ病菌の菌密度を低減する方法に関する。
また本発明は、おとり作物をアブラナ科作物の前作として栽培する根こぶ病の防除方法において、おとり作物の播種前、播種時または播種後に、アミスルブロム又はシアゾファミドを作物栽培土壌に施用することを特徴とする、アブラナ科作物の根こぶ病の防除方法に関する。
[おとり作物]
本発明は、おとり作物の播種前、播種時または播種後に、後述するアミスルブロム又はシアゾファミドを栽培土壌に施用することを特徴とする。
おとり作物は、前述したとおり土壌中の休眠胞子の発芽を促進することにより、菌密度を減少させる植物として定義され、アブラナ科作物におけるおとり作物の好ましい例としては、葉ダイコン、エンバク、ホウレンソウ等をあげることができる。葉ダイコンは品種名CR−1、エンバクは品種名ヘイオーツなどが利用されている。
おとり作物は育成後、通常、土壌に鋤き込むことにより処理される。
[アブラナ科作物]
根こぶ病防除の対象となるアブラナ科作物としては、アブラナ、大阪白菜、カブ、からし菜、カリフラワー、キャベツ、京菜、クレソン、ケール、小松菜、コールラビ、搾菜(からし菜の変種)、山東菜、すぐき菜、タアサイ、カイワレダイコン、大根、タイサイ、高菜、チンゲンサイ、唐菜(ながさきはくさい)、薹菜(ミズカケナ)、菜の花、野沢菜、白菜、パクチョイ、二十日大根(ラデッシュ)、日野菜、広島菜、ブロッコリー、ホースラデッシュ、水掛菜、ロケットサラダ(ルコラ)、芽きゃべつおよびわさび等が挙げられる。
[アミスルブロム又はシアゾファミドの栽培土壌への施用]
アミスルブロム又はシアゾファミドを栽培土壌に施用する際の形態としては、液剤(soluble concentrate)、乳剤(emulsifiable concentrate)、水和剤(wettable powder)、水溶剤(water soluble powder)、顆粒水和剤(water dispersible granule)、顆粒
水溶剤(water soluble granule)、懸濁剤(suspension concentrate)、乳濁剤(concentrated emulsion)、サスポエマルジョン(suspoemulsion)、マイクロエマルジョン(microemulsion)、粉剤(dustable powder)、微粒剤(micro granule)、粒剤(granule
)およびゲル剤(gel)等の農薬製剤の形態、あるいはこれ農薬製剤を水で希釈して調製
したものが挙げられる。希釈する場合は、通常1〜20000倍に水で希釈して使用するのが望ましい。
上記の農薬製剤は、通常、上記化合物(アミスルブロム又はシアゾファミド)を適当な固体担体又は液体担体と混合し、更に所望により界面活性剤、浸透剤、展着剤、増粘剤、凍結防止剤、結合剤、固結防止剤、崩壊剤、消泡剤、防腐剤及び分解防止剤等の農薬製剤に通常使用される各種添加剤を添加して得ることが出来る。
固体担体としては、例えば石英、カオリナイト、パイロフィライト、セリサイト、タルク、ベントナイト、酸性白土、アタパルジャイト、ゼオライト及び珪藻土等の天然鉱物質類、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム及び塩化カリウム等の無機塩類、合成シリカならびに合成シリケート、小麦粉、デンプン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン等の天然高分子、グルコース、マントース、ラクトース、シュクロース等の糖類、尿素等が挙げられる
液体担体としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール及びイソプロパノール等のアルコール類、キシレン、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類、ブチルセロソルブ等のエーテル類、シクロヘキサノン等のケトン類、γ−ブチロラクトン等のエステル類、N−メチルピロリドン及びN−オクチルピロリドン等の酸アミド類、大豆油、ナタネ油、綿実油及びヒマシ油等の植物油ならびに水が挙げられる。
これら固体及び液体担体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えば以下の(A)、(B)、(C)、(D)および(E)が挙げられる。また、界面活性剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(A)ノニオン性界面活性剤:
(A−1)ポリエチレングリコール型界面活性剤:
例えば、ポリオキシエチレンアルキル(C1218)エーテル、アルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(C812)フ
ェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(C812)フェニルエ
ーテルのホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)フェニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン(モノ、
ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキル(C1218)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、アルキル(C812)フェニルポリオキシエチレンポリオキシプロピレ
ンブロックポリマーエーテル、ポリオキシエチレンビスフェニルエーテル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸(C1218)モノエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸(C1218)ジエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸(C1218)エステル、グリセロール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、アルキル(C1218)アミンエチレンオキサイド付加物および脂肪酸(C1218)アミドエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
(A−2)多価アルコール型界面活性剤:
例えば、グリセロール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸(C1218)エステル、ソルビタン脂肪酸(C1218)エステル、ショ糖脂肪酸エステル、多価アルコールアルキルエーテルおよび脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
(A−3)アセチレン系界面活性剤:
例えば、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物およびアセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
(A−4)その他の界面活性剤:
例えば、アルキルグリコシド等が挙げられる。
(B)アニオン性界面活性剤:
(B−1)カルボン酸型界面活性剤:例えば、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリマレイン酸、マレイン酸とオレフィン(例えばイソブチレンおよびジイソブチレン等)との共重合物、アクリル酸とイタコン酸の共重合物、メタアクリル酸とイタコン酸の共重合物、マレイン酸とスチレンの共重合物、アクリル酸とメタアクリル酸の共重合物、アクリル酸とアクリル酸メチルエステルとの共重合物、アクリル酸と酢酸ビニルとの共重合物、アクリル酸とマレイン酸の共重合物、N−メチル−脂肪酸(C1218)サルコシネート、樹脂酸および脂肪酸(C1218)等のカルボン酸、並びにそれらカルボン酸の塩が挙げられる。
(B−2)硫酸エステル型界面活性剤:
例えば、アルキル(C1218)硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(C1218)エーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(C812)フ
ェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(C812
)フェニルエーテルのポリマーの硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)フェニルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマーの硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの硫酸エステル、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸および硫酸化オレフィン等の硫酸エステル、並びにそれら硫酸エステルの塩が挙げられる。
(B−3)スルホン酸型界面活性剤:
例えば、パラフィン(C1222)スルホン酸、アルキル(C812)ベンゼンスルホン
酸、アルキル(C812)ベンゼンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレゾールスルホン
酸のホルマリン縮合物、α−オレフィン(C1416)スルホン酸、ジアルキル(C812
)スルホコハク酸、リグニンスルホン酸、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(C812)フェニルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキル(C1218)エ
ーテルスルホコハク酸ハーフエステル、ナフタレンスルホン酸(モノまたはジ)アルキル(C16)ナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、(モノまたはジ)アルキル(C16)ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物、アルキル(C812)ジフェニルエーテルジスルホン酸
、イゲポンT(商品名)、ポリスチレンスルホン酸およびスチレンスルホン酸とメタアクリル酸の共重合物等のスルホン酸、並びにそれらスルホン酸の塩が挙げられる。
(B−4)燐酸エステル型界面活性剤:
例えば、アルキル(C812)燐酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(C1218
)エーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(C812)フ
ェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)アルキル(C812)フェニルエーテルのポリマーの燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジま
たはトリ)フェニルフェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマーの燐酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの燐酸エステル、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールイミンおよび縮合燐酸(例えばトリポリリン酸等)等の燐酸エステル、並びにそれら燐酸エステルの塩が挙げられる。
上記の(B−1)〜(B−4)における塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウムおよびカリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウム等)、アンモニウムおよび各種アミン(例えばアルキルアミン、シクロアルキルアミンおよびアルカノールアミン等)等が挙げられる。
(C)カチオン性界面活性剤:
例えば、アルキルアミン塩およびアルキル4級アンモニウム塩等が挙げられる。
(D)両性界面活性剤:
例えば、ベタイン型界面活性剤およびアミノ酸型界面活性剤等が挙げられる。
(E)その他の界面活性剤:
例えば、シリコーン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤等が挙げられる。
本発明の方法において土壌に施用する農薬製剤の配合例を以下の表1に示す。なお、以下の配合例において「部」は質量部を意味する。
Figure 2013203686
本発明において、アミスルブロムまたはシアゾファミドを栽培土壌に施用する時期としては、通常、おとり作物の播種前の圃場に散布処理することが好ましく、この場合には薬剤散布処理後、薬剤と土壌と混和処理することが好ましい。薬剤の処理時期は、通常播種の1月前以内であり、好ましくは1週間前以内であり、より好ましくは3日前以内である。
また、上記播種前の期間のみならず、播種時、および、播種後但し覆土前の期間(土壌に播種した種上(植え穴)あるいは播種溝に薬剤を潅注または散布し、その後に覆土する)、並びに、播種後且つ覆土後の期間(覆土の土壌表面に薬剤を潅注または散布処理する)に適用してもよい。薬剤の処理時期は、通常播種の1週間後以内であり、好ましくは3日後以内であり、より好ましくは1日後以内である。
播種前の期間、並びに、播種後且つ覆土後の期間に適用する際、10アールあたりの農薬活性化合物(アミスルブロム又はシアゾファミド)量としては、0.1質量部〜5000質量部であることが望ましい。
また、播種後但し覆土前の期間に適用する際には、おとり作物の種子1粒あたりの農薬活性化合物(アミスルブロム又はシアゾファミド)量としては、0.00001質量部〜10質量部であることが望ましい。
本発明は、アミスルブロム又はシアゾファミドとおとり作物とを併用する点に大きな特徴を有する。
おとり作物は土壌中の休眠胞子の発芽を促し、根毛感染を誘発するものの、その後の病徴は進展しない。また根こぶ病菌の遊走子は生きた植物中でしか生存することができず、おとり作物に感染した根こぶ病菌はこれら植物体が死滅するのと同時に死滅する。このように、おとり作物は根こぶ病菌の根内での増殖による根こぶの形成を抑制することで、新たな休眠胞子の生産を阻害し、その結果、根こぶ病菌の休眠胞子密度を、発芽させた分だけ減少させることができる。
一方、本発明で使用する薬剤:アミスルブロム及びシアゾファミドは、ミトコンドリア内電子伝達系コンプレックスIIIのQiサイトを阻害する化合物として知られ、これら化合物は、特に根こぶ病菌が作物に感染するときの遊走子のうからの遊走子の放出には作用せず、遊走子の遊泳および被のう胞子の発芽を阻害することによる宿主感染阻害に優れる化合物とされる。
このため、おとり作物とアミスルブロム又はシアゾファミドの併用により、おとり作物で誘発された根こぶ病菌発芽により生じた遊走子(第一次遊走子及び第二次遊走子)をこれら薬剤が殺菌し、おとり作物の生育が良好となり、さらにおとり作物が根こぶ病菌の発芽を誘発し、発芽した遊走子をさらにこれら薬剤が殺菌することにより、土壌内の根こぶ病菌の飛躍的な低減効果を実現するものと考えられる。
本発明の有用性について、以下の試験例において具体的に説明する。但し、本発明はこれらのみに制限されるものではない。
[汚染土壌の調製]
根こぶ病罹病根に水を加えて作製した休眠胞子懸濁液を、根こぶ病菌密度が90,000cfu/土壌1gとなるように健全土壌に加え、汚染土壌を作製した。
[供試作物(おとり作物)の栽培]
ビニール袋内に調製した汚染土壌約200mLを入れ、ここに供試薬剤として3種の薬剤(アミスルブロム粉剤(農薬活性成分0.5%含有)、フルスルファミド粉剤(農薬活性成分0.3%含有)、フルアジナム粉剤(農薬活性成分0.5%含有))130mg(薬
剤30kg/土壌10アール 相当)をそれぞれ加えて約30回撹拌し、200mL容量
のスチロールカップにそれぞれ充填した。また、供試薬剤を混合せずに汚染土壌約200mLをそのまま200mL容量のスチロールカップに充填し、計4種の土壌ポットを準備した。
これら計4種の土壌ポットに、葉ダイコン(品種:CR−1)を各ポット2粒ずつ播種し、4週間育成後、各土壌を回収した。
[根こぶ病菌休眠胞子測定用観察試料の作製]
土壌を風乾後、2mmの篩で篩分した土壌を供試土壌とした。
この供試土壌1gに水20mLを加えて1分間強震後、ここに1MのNaOH溶液を加えて土壌pHを10に調整し、5分間超音波処理をした。その後、土壌懸濁液を32μmの篩で篩分し、篩上の土壌を水で洗浄しながら通過液50mLを回収した。得られた通過液を遠心分離した後、上澄み液45mLを取り除き、残り5mLを観察試料とした。
なおこの観察試料は、上記4種の土壌に加え、供試薬剤を混合せず且つおとり作物を育成せずにそのまま4週間経過後の土壌についても対照例として作製した。
またこの観察試料は、上位各土壌から2試料ずつ作製した。
[根こぶ病菌休眠胞子測定方法]
上述の手順にて調製した計5種の観察試料をそれぞれ20μLずつ量りとり、これに発色液として0.02%カルコフロール・ホワイトM2R液 20μLをそれぞれに加え混合した。格子線付きスライドグラス上に10μL滴下し、24×36mmのカバーガラスをその上に被せ、蛍光顕微鏡(フィルタ WU)にて、格子状の最小区画内に存在する根こぶ病菌の休眠胞子の数を計10区画についてそれぞれカウントし、1区画当たりの平均休眠胞子数を求めた。この平均休眠胞子数の値と以下の式により、土壌1g当たりの根こぶ病菌の菌密度を算出した。各土壌の2試料の平均値を菌密度とした。
(算出式)根こぶ病菌 菌密度(乾燥土壌1g当たりの休眠胞子数)
=1区画当たりの平均休眠胞子数×3.24×104
得られた結果を表2に示す
Figure 2013203686
表2に示すように、アミスルブロム粉剤とおとり作物栽培を併用した実施例1においては、根こぶ病菌を56.6%も低減したとする結果が得られ、本発明が根こぶ病菌の菌密度の低減作用に優れ、根こぶ病菌の防除方法として有用であるとする結果が得られた。
一方、従来より根こぶ病菌の防除に使用されてきたフルスルファミド粉剤又はフルアジナム粉剤とおとり作物栽培の併用の場合(比較例1及び比較例2)には、おとり作物栽培のみの場合(比較例3)と比べて、根こぶ病菌の菌密度の低減効果は同程度もしくはそれ以下となり、これらの併用に関しては菌密度の低減効果は全く得られないとする結果が得られた。これは、フルスルファミド及びフルアジナムは土壌中の根こぶ病菌の休眠胞子自体に強く作用して根毛感染を阻害することから、休眠胞子の発芽を促進させて菌密度を減少させるというおとり作物の効果をもかえって阻害したことによるものと考えられる。

Claims (4)

  1. おとり作物の播種前、播種時または播種後に、3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミドまたは4−クロロ−2−シアノ−N,N−ジメチル−5−p−トリルイミダゾール−1−スルホンアミドを栽培土壌に施用することを特徴とする、栽培土壌中の根こぶ病菌の菌密度低減方法。
  2. おとり作物が、葉ダイコン、エンバク及びホウレンソウからなる群から選択される、請求項1に記載の根こぶ病菌の菌密度低減方法。
  3. おとり作物をアブラナ科作物の前作として栽培する根こぶ病の防除方法において、おとり作物の播種前、播種時または播種後に、3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミドまたは4−クロロ−2−シアノ−N,N−ジメチル−5−p−トリルイミダゾール−1−スルホンアミドを作物栽培土壌に施用することを特徴とする、作物の根こぶ病の防除方法。
  4. おとり作物が、葉ダイコン、エンバクおよびホウレンソウからなる群から選択される、請求項3に記載の根こぶ病の防除方法。
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JPWO2016068013A1 (ja) * 2014-10-27 2017-08-10 石原産業株式会社 農薬製剤

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