JP2013196922A - リチウムイオン電池用電解質 - Google Patents

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Abstract

【課題】中温域で動作可能なリチウム二次電池及びリチウム二次電池用電解質を提供する。
【解決手段】一般式(I)
Figure 2013196922

(式中、4つのRは、同一の炭化水素基を示すか、あるいは隣接する2組のR基は、各々一緒になって−(CH−(nは4〜7の整数を示す)で表される基を示す。)で表されるカチオンと、FTA、TFSA、BETA、(トリフルオロメチルスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミド、(トリフルオロメチルスルホニル)(ノナフルオロブチルスルホニル)アミド、TSACおよびトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドからなる群から選ばれるアニオンから構成されるリチウム二次電池用電解質。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム二次電池用電解質に関し、詳しくは中温域、特に従来の有機溶媒電解液では作動が困難とされる少なくとも65℃以上、望ましくは85℃以上での動作に耐え得るリチウム二次電池用電解質およびそれを含むリチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池は、低温での使用が重視され、イオン液体を電解質として使用することが提案されている(特許文献1,2)。一方、太陽光発電やコジェネレーションシステムなどの普及、東日本大震災などの災害時にも使用可能な発電システムが求められるようになり、車載用を含む据え置き型のリチウム二次電池の需要が増大している。既に実用化している有機溶媒を用いるリチウム二次電池は、充放電の際に発熱するため、高温にならないような安全対策を施す必要がある。特に、昨今定置用の大容量の蓄電装置に対するニーズが増加しており、できるだけ設置面積が小さくなるような手だてが重要である。電池の作動温度を65℃以下に押さえるためには、熱管理を考慮したパック電池の設置ならびに場合によってはファンで強制的に空冷する必要がある。このような工夫は、如何に容量密度が大きなパック電池を開発したとしても、それらを組み合わせて大型システムとする場合に、総合的な容量の低下や、リチウム二次電池の冷却に電力が消費されることが問題となる。
リチウム二次電池の現在の電解質である有機溶媒電解質は、低温での動作は可能であるが、揮発性や可燃性の有機溶媒を電解液として用いているため、高温での安定性に問題があるため、熱管理が安全対策として重要である。
イオン液体は、近年、難揮発性かつ難燃性であることから難燃性電解質として注目され、中でもビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドからなるイオン液体は、アニオンの中でも熱安定性に優れ、かつリチウム塩の熱安定性も高いことから、熱安定性に優れた電解液として期待できる。さらに脂肪族四級アンモニウムカチオンと組み合わせた場合、リチウム金属に対する安定性も増すことが分かっており(特許文献1)、熱安定性に優れたリチウム二次電池電解液として期待できるが、中温域での作動についてはあまり検討されているとは言えず、さらに中温域での作動におけるイオン液体構成カチオンについてどのようなものが好適に使用できるかについては、あまり検討されているとは言い難い。
特許第2981545号公報
本発明は、従来の有機電解液では極めて困難である、85℃以上の中温域で安定に動作可能なリチウム二次電池及び電解質を提供することを目的とする。
本発明者らは、室温で作動するイオン液体を開発すれば、イオン液体は一般的に耐熱性であるので、当然に85℃以上でも安定に作動すると考えていた。ところが、イオン液体自体は中温域で安定であったとしても、リチウム二次電池では十分な耐熱性が必ず得られるということではなく、特定のカチオン種でのみリチウム二次電池が高温で安定作動することを見出した。
本発明は、以下のリチウム二次電池用電解質およびそれを用いたリチウム二次電池に関する。
項1. 一般式(I)
Figure 2013196922
(式中、4つのRは、同一の炭化水素基を示すか、あるいは隣接する2組のR基は、各々一緒になって−(CH−(nは4〜7の整数を示す)で表される基を示す。)
で表されるカチオンと、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(FTA)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(TFSA)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミド(BETA)、(トリフルオロメチルスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミド、(トリフルオロメチルスルホニル)(ノナフルオロブチルスルホニル)アミド、(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド(TSAC)およびトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドからなる群から選ばれるアニオンから構成されるリチウム二次電池用電解質。
項2. 前記アニオンがTFSAである、項1に記載の電解質。
項3. Rは炭素数1〜10の直鎖または分岐を有するアルキル基である、項1又は2に記載の電解質。
項4. Rはエチル基である、項3に記載の電解質。
項5. 項1〜4のいずれかに記載の電解質を含むリチウム二次電池。
本発明の電解質は、中温域で安定して作動することができるため、リチウム二次電池のケース内での冷却を抑制することができ、単位体積当たりの蓄電効率のよいリチウム二次電池が提供できる。
Li/LiFePO4 セルのサイクル特性を測定した結果を示す。 Li/LiFePO4セルのサイクル特性を測定した結果を示す。 Li/LiFePO4セルのサイクル特性を測定した結果を示す。 Li/LiFePO4セルのサイクル特性を測定した結果を示す。 Li/LiFePO4セルのサイクル特性を測定した結果を示す。 Li/LiFePO4セルのサイクル特性を測定した結果を示す。 試験例1の結果を示す。
本発明で使用する電解質のカチオンは、以下の一般式(I)で示される:
Figure 2013196922
(式中、4つのRは、同一の炭化水素基を示すか、あるいは隣接する2組のR基は、各々一緒になって−(CH−(nは3〜7の整数を示す)で表される基を示す。)
4つのR基は、各々等価であるので、中温域での安定性が高まると考えられる。ここで、中温域とは、65℃〜250℃程度の温度範囲を意味する。
4つのR基は、直鎖または分岐を有するアルキル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。2組のR基が各々一緒になって−(CH−(nは4〜7の整数を示す)で表される基を示す場合、一般式(I)のカチオンは、以下の構造を示す:
Figure 2013196922
直鎖または分岐を有するアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の直鎖または分岐を有するアルキル基が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる。
好ましい実施形態において、R〜Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルなどの炭素数1〜4の直鎖または分岐を有するアルキル基が好ましく、あるいは、RとR、RとRが各々一緒になって環状炭化水素基を形成するとき、同時にRとRが一緒になってシクロペンチル基またはシクロヘキシル基が挙げられる。本発明の好ましいカチオンを以下に例示する:
Figure 2013196922
本発明で使用するアニオンとしては、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(FTA)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(TFSA)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミド(BETA)、(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド(TSAC)トリフルオロメチルスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミド、(トリフルオロメチルスルホニル)(ノナフルオロブチルスルホニル)アミド、およびトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドなどが挙げられ、好ましくはTFSAが挙げられる。
本発明のリチウム二次電池は、集電体上に活物質層を有し、電解質として、本発明の電解質が使用されている。1つの電極は、セパレータで仕切られている。
正極に用いることのできる集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの金属板などの他に、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させた含有または被覆させた合金を好ましく用いることができる。
負極に用いられる集電体としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましい。
集電体の形状としては、通常フィルムシート状のものが使用されるが、多孔質体、発泡体なども用いることができる。前記集電体の厚みとしては、特に限定されないが、1〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
正極活物質としては、Li0.3MnO、LiMn12、V、LiCoO、LiMn、LiNiO、LiFePO、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、Li1.2(Fe0.5Mn0.50.8、Li1.2(Fe0.4Mn0.4Ti0.20.8、Li1+x(Ni0.5Mn0.51−x、LiNi0.5Mn1.5、LiMnO、Li0.76Mn0.51Ti0.49、LiNi0.8Co0.15Al0.05、Fe、LiCoPO、LiMnPO、LiMPOF(M=Fe,Mn)、LiMn0.875Fe0.125PO、LiFeSiO、Li2−xMSi1−x(M=Fe,Mn)、LiMBO(M=Fe,Mn)、FeF、LiFeF、LiTiF、LiFeS、TiS、MoS、FeSなどが挙げられる(但し、xは0〜1の範囲である)。
負極活物質は、特に制限は無く公知の負極活物質が利用できる。本発明の非水電解液二次電池に好ましく用いることのできる負極活物質としては、炭素材料があげられ、リチウムイオンを挿入可能な金属酸化物や金属窒化物などもあげられる。炭素材料としては天然黒鉛、人造黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、メソカーボンマイクロビーズ、炭素ファイバー、活性炭、ピッチ被覆黒鉛などがあげられ、リチウムイオンを挿入可能な金属酸化物としては、スズやケイ素を含む金属化合物、例えば酸化スズや酸化ケイ素等があげられ、金属窒化物としては、Li2.6Co0.4N等があげられる。さらに、黒鉛やスズ合金と結着剤の混合物、シリコン薄膜、リチウム箔が挙げられる。
活物質層は、上記正極活物質または負極活物質を含有するが、さらに導電剤および結着剤を含有することが好ましく、その他の材料として、フィラー、リチウム塩が添加されていても良い。導電剤としては、天然黒鉛、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体などが挙げられ、結着剤としては、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)などが挙げられる。
フィラーは、本発明の非水電解液二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば、何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜30質量%が好ましい。リチウム塩としては、中温域で耐熱性を示すもの、例えば、LiBF、LiCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等の塩が使用できる。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
好ましい実施形態において、本発明のリチウム二次電池はラミネートセルの構成をそのまま使用することができる。セパレータには、イオン液体の含浸性にすぐれ、かつ、耐熱性に優れたものが好ましく、具体的にはシリカナノ粒子含有ポリオフィレフィンセパレータや無機ガラス製フィルターを挙げることができる。
また、電池の正極には、耐熱性に優れているLiFePO4が好ましく例示できる。
本発明の実施例では、従来の有機溶媒電解液に最適化されている一般的に用いられている電極シートを使用するために、結着剤としてPVDF、導電助剤としてアセチレンブラックを混ぜたものを使用した。本発明者らは、このような特段中温域での作動を考慮していないシート電極が、本発明の特定のカチオンでは作動することを確認した。
高温で作動する電池は、室温で動く電池であればそのまま使えるとも考えられるが、実は、従来の有機溶媒電解液を使った電池は、高温で作動しないため、十分に空冷する必要がある。また空気の流通路を形成させるため、空間充填率が低下し、単位セルあたりの容量が大きくても、システム全体の効率が低下する。本発明の耐熱性に優れた電解質は、耐熱性に優れた電池の開発につながり、特に定置用の大型の蓄電池の場合効率が大幅に向上するために好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、シート型、角型、シリンダー型などいずれの形状にも適用でき、電極の形状も用いられる非水電解液二次電池の形状に合わせて、最適な形状を選択することができる。
正極活物質層および負極活物質層は、集電体の上に設けられる。正極活物質層および負極活物質層は、集電体の片面に設けても、両面に設けても良く、両面に設けた電極を用いることがより好ましい。正極板に対する負極板の大きさの割合に特に制限はない。好ましい正極板の面積は、負極板の面積1に対し、0.9〜1.1が好ましく、0.95〜1.0が特に好ましい。電極は、活物質を含有する塗布液を集電体表面に塗布し、乾燥し、さらにプレスして、活物質層を形成することで得られる。
塗付液としては、例えば、必要に応じ、上記導電助剤、結着剤およびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、水、トルエンなどの分散媒を含むスラリー状の塗布液が用いられる。
塗布方法としては、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法およびスクイーズ法が挙げられる。その中でも、ブレード法、ナイフ法およびエクストルージョン法が好ましい。また、塗布速度は、0.1〜100m/分で行われることが好ましい。この際、塗布液の溶液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選定することにより、良好な塗布層の表面状態を得ることができる。塗布液の塗布は、片面ずつ逐時でも、両面同時に行ってもよい。
リチウム二次電池の電解液としては、例えば耐熱性に優れたTFSAなどのスルホンアミドアニオンからなるイオン液体に、所望の耐熱性を有すると考えられるアルカリ金属塩を溶解ないし混合したものが挙げられる。両者は、本発明で例示した塩と混合することで得られる混合塩の融点以上に加熱することで均一に混合することができる。支持電解質塩のアニオンとしては、BF 、(CFSO、(CFCFSO、(C、(CFSO、CFSO 等さらには本発明の電解質のアニオンであるビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(TFSA)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミド(BETA)、トリフルオロメチルスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミド、(トリフルオロメチルスルホニル)(ノナフルオロブチルスルホニル)アミド、(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド(TSAC)、テトラフルオロホウ酸(BF)などが挙げられ、本発明の電解質と同じアニオンを用いるのが好ましい。支持電解質のカチオンとしては、Liが好ましい。
好ましい実施形態において、本発明のリチウム二次電池は、セパレータの一つの面に前記正極活物質層を有し、他の面に負極活物質層を有する積層体構造を有し、さらに活物質層においてセパレータとは反対の面に集電体を有する。また、セパレータ層は支持電解質と本発明の電解質を有する電解質混合物を必要に応じて加熱して溶解状態として含浸する。
積層体構造としては、単に一層積層された形態に限定されるものでなく、この積層体構造を複数有する多層積層体構造、集電体の両面に積層したものを組み合わせた形態、さらにこれらを巻回した形態が挙げられる。
据え置き型(定置用)のリチウム二次電池の場合、多層積層体構造を有しているが、本発明の電解質は中温域での安定性が高いので、冷却のためのファン、冷却のための空気の流路を少なくすることができ、単セルを組み上げて得られる組電池状態での単位体積当たりの蓄電量を大きくすることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づきより詳細に説明する。
比較例1
まず作成したセルの作動確認のため、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートを1:1で含む混合溶媒に1M LiPF6を溶解させた有機溶媒電解液を用い、以後の試験で使用するLiFePO4/Liセル(セパレータ:シリカナノ粒子含有ポリオレフィン、厚み 40μm)のサイクル特性を測定した。(図1)これから、従来の電解液では85℃以上では急激に劣化することが明らかとなった。
比較例2
次にTFSAアニオンからなる代表的なイオン液体である、芳香族系の1ーエチルー3メチルーイミダゾリウム(EMI+)TFSAイオン液体におよそ1M LiTFSAを溶解させたものを電解液とした場合のサイクル特性を図2に示す。これから、有機溶媒電解液では劣化した85℃以上の温度も安定して充放電していることが分かったが、125℃において急激な容量低下が起こる事が分かった。
比較例3
次にTFSAアニオンからなる代表的な脂肪族系イオン液体である、N,N-ジエチル-N-メチル-2-メトキシメチルアンモニウム(DEME+)TFSAイオン液体におよそ1M LiTFSAを溶解させたものを電解液とした場合のサイクル特性を図3に示す。これからEMI[TFSA]と同じく、いずれの場合も、有機溶媒電解液では劣化した85℃以上の温度も安定して充放電していることが分かったが、125℃において急激な容量低下が起こる事が分かった。
比較例4
一方、酸素原子を含まない脂肪族系であるN-メチル-N-プロピルピペリジニウム(PP13+)TFSAイオン液体におよそ1M LiTFSAを溶解させたもので同様のサイクル試験を行った結果を図4に示す。EMI[TFSA]やDEME[TFSA]では急激に劣化した125℃でもより安定に作動するもののおよそ50サイクルで劣化し始めることがわかった。
実施例1
ところが、同じく酸素を含まない脂肪族系カチオンでも、対称性の高いカチオンであるテトラエチルアンモニウム(N2222+)からなるTFSA塩は、室温で固体であるためイオン液体と表記しないが、LiTFSAを添加すると融点が大きく低下し、イオン液体に準じて使用することができる。これを用いて同様にサイクル試験を検討したところ、図5に示すように、PP13[TFSA]で劣化した125℃でも安定に充放電することが分かった。これまで示してきた代表的なTFSA塩やLiTFSAのいずれもが単独では300℃以上の耐熱性を有していることから、今回使用した電池の劣化の原因が用いた電解液の熱安定性以外の要因にあることが示唆される。
実施例2
さらに、N2222+と同じく対称性の高い脂肪族カチオンである5-アゾニアスピロ[4.4]ノナン(AS44+)からなるTFSA塩を検討した。この塩もN2222[TFSA]と同じく室温では固体の塩であるが、LiTFSAを添加すると融点が低下するが、室温では溶融しなかった。そこで、65℃からのサイクル試験を検討したところ、図6に示すように、N2222[TFSA]と同様に、125℃でも安定な充放電を示し、さらに145℃の充放電が可能である事が分かった。これまでの結果から中温域での電池の安定作動には用いたイオン液体を構成するカチオン種に対称性の高いものを用いる事が重要であることが示唆された。
試験例1
イオン液体としてPP13[TFSA]、N2222[TFSA]、EMI[TFSA]、DEME[TFSA]を各々使用し、該イオン液体に1M LiTFSAを溶解させたものを電解液とした場合のサイクル特性の結果を図7に示す。N2222[TFSA]は125℃でも安定に充放電するが、他の汎用されているイオン液体では125℃の高温では十分な安定性が得られないことが明らかになった。

Claims (5)

  1. 一般式(I)
    Figure 2013196922
    (式中、4つのRは、同一の炭化水素基を示すか、あるいは隣接する2組のR基は、各々一緒になって−(CH−(nは4〜7の整数を示す)で表される基を示す。)
    で表されるカチオンと、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(FTA)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(TFSA)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミド(BETA)、(トリフルオロメチルスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミド、(トリフルオロメチルスルホニル)(ノナフルオロブチルスルホニル)アミド、(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド(TSAC)およびトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドからなる群から選ばれるアニオンから構成されるリチウム二次電池用電解質。
  2. 前記アニオンがTFSAである、請求項1に記載の電解質。
  3. Rは炭素数1〜10の直鎖または分岐を有するアルキル基である、請求項1又は2に記載の電解質。
  4. Rはエチル基である、請求項3に記載の電解質。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の電解質を含むリチウム二次電池。
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