JP2013196492A - 画像重畳処理装置、方法およびプログラム - Google Patents

画像重畳処理装置、方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】遮蔽物の背面のおけるカメラの設置や運動視差を用いることなく簡便な方法で即時的且つ直感的な透明視を実現することができる画像重畳処理装置方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】画像配置手段は、境界位置算出手段によって算出された境界の表示画面上の対応位置と重なるように仮想物画像を表示画面上に配置する。輝度算出手段は輝度データを参照して物体の輝度と、背景の輝度と、仮想物画像が表示画面上において物体と重なる第1の部分の輝度と、仮想物画像が表示画面上において背景と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように仮想物画像の第1の部分の輝度および第2の部分の輝度を調整する。
【選択図】図1

Description

本発明は、現実環境に存在する物体またはその画像上に仮想物画像を重ねて表示する画像重畳処理装置、方法およびプログラムに関する。
近年、現実の環境から知覚に与えられる情報に、コンピュータが作り出した情報を重ね合わせることにより補足的な情報を与える拡張現実(AR:augmented reality)という技術が注目されつつある。例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)のような眼前に装着できる透過型のディスプレイに、装着者の見ている対象物と関連する文字、画像、映像などを重ね合わせて表示することで、肉眼では見えない部分を見えるようにしたり、関連情報を提供したりする実装例が提案されている。
コンピュータが作り出す付加情報の提示形態としては、現実環境に存在する壁などの遮蔽物をあたかも透視するかのように関連画像等を遮蔽物に重ねて表示する形態が考えられる。そのような表示形態を用いる場面としては、例えば、自動車で見通しの悪い交差点を通過するときに、通信手段を用いて遮蔽物の背後に存在する車両や人の画像をその遮蔽物に重ねて表示することにより、ユーザに遮蔽物の背後に車両や人が存在することを報知するような場合が挙げられる。このような場合において、単に車両や人の画像を遮蔽物に重ねて表示しただけでは、その画像は遮蔽物の背後に存在するものとして知覚されず、遮蔽物の表面にその画像が描かれているように知覚されてしまうおそれがある。すなわち、単に遮蔽物に画像を重ねるだけでは透明視が成立しない場合がある。
例えば、特許文献1および非特許文献1には、遮蔽物の背面にカメラを設置し、取得した画像を観測者視点から見た画像となるように画像変換することにより遮蔽物の透明視を実現する技術が記載されている。
また、非特許文献2には、運動視差を利用することにより物体表面とその内部で別個のオプティカルフローを生じさせることで物体の透明視を実現する技術が記載されている。
特開2008−198196号公報
上記した特許文献1や非特許文献1に記載の技術においては、遮蔽物の背面に設置したカメラによって取得した画像を遮蔽物の後方の背景と繋げて遮蔽物上に重畳させることにより透明視を実現している。しかしながら、この場合、遮蔽物の背面にカメラを設置することが必要となるため、かかる手法を利用できる場面が著しく限定されることとなる。
一方、非特許文献2に記載の技術では、運動視差を用いて透明視を実現しているので、重畳する画像を移動させなければ透明視が成立せず、また、透明視を行う対象物が遠方に存在する場合には運動視差が生じるのに時間がかかるといった問題がある。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、遮蔽物の背面のおけるカメラの設置や運動視差を用いることなく、より簡便な方法で即時的且つ直感的な透明視を実現することができる画像重畳処理装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る画像重畳処理装置は、表示画面を通して視認される現実環境における物体に仮想物画像を重畳させて前記表示画面上に表示する重畳画像処理装置であって、前記物体と前記物体後方の背景との境界を検出する境界検出手段と、前記物体の輝度と前記背景の輝度とを測定して前記物体の輝度と前記背景の輝度とを示す輝度データを生成する輝度測定手段と、前記境界検出手段によって検出された前記境界の前記表示画面上の対応位置を算出する境界位置算出手段と、前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得する仮想物画像取得手段と、前記境界位置算出手段によって算出された前記境界の前記表示画面上の対応位置と重なるように前記仮想物画像を前記表示画面上に配置する画像配置手段と、前記輝度データを参照して、前記物体の輝度と、前記背景の輝度と、前記仮想物画像が前記表示画面上において前記物体と重なる第1の部分の輝度と、前記仮想物画像が前記表示画面上において前記背景と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように前記仮想物画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整する輝度調整手段と、を含んで構成されている。
本発明に係る他の態様の画像重畳処理装置は、表示画面を通して視認される現実環境における物体に仮想物画像を重畳させて前記表示画面上に表示する重畳画像処理装置であって、前記物体と前記物体後方の背景との境界を検出する境界検出手段と、前記物体の輝度と前記背景の輝度とを測定して前記物体の輝度と前記背景の輝度とを示す輝度データを生成する輝度測定手段と、前記境界検出手段によって検出された前記境界の前記表示画面上の対応位置を算出する境界位置算出手段と、前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得する仮想物画像取得手段と、前記表示画面上に表示されるべきマーカ画像を、生成または前記マーカ画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するマーカ画像取得手段と、前記境界位置算出手段によって算出された前記境界の前記表示画面上の対応位置と重なるように前記マーカ画像を配置するとともに前記表示画面上において前記物体と重なる位置に前記仮想物画像を配置する画像配置手段と、前記輝度データを参照して、前記物体の輝度と、前記背景の輝度と、前記マーカ画像が前記表示画面上において前記物体と重なる第1の部分の輝度と、前記マーカ画像が前記表示画面上において前記背景と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように前記マーカ画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整する輝度調整手段と、を含んで構成されている。
本発明に係る他の態様の画像重畳処理装置は、現実環境における物体の画像に仮想物画像を重畳させて表示画面上に表示する重畳画像処理装置であって、前記物体と前記物体後方の背景を撮像して物体画像と背景画像を含む現実環境画像を生成する撮像手段と、前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを検出して前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを示す輝度データを生成する輝度検出手段と、前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得する仮想物画像取得手段と、前記仮想物画像を前記物体画像と前記背景画像の境界上に配置する画像配置手段と、前記輝度データを参照し、前記物体画像の輝度と、前記背景画像の輝度と、前記仮想物画像の前記物体画像と重なる第1の部分の輝度と、前記仮想物画像の前記背景画像と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように前記仮想物画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整する輝度調整手段と、を含んで構成されている。
本発明に係る他の態様の画像重畳処理装置は、現実環境における物体の画像に仮想物画像を重畳させて表示画面上に表示する重畳画像処理装置であって、前記物体と前記物体後方の背景を撮像して物体画像と背景画像を含む現実環境画像を生成する撮像手段と、前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを検出して前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを示す輝度データを生成する輝度検出手段と、前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得する仮想物画像取得手段と、前記現実環境画像に重畳表示されるべきマーカ画像を、生成または前記マーカ画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するマーカ画像取得手段と、前記マーカ画像を前記物体画像と前記背景画像の境界上に配置するとともに前記仮想物画像を前記物体画像上に配置する画像配置手段と、前記輝度データを参照して、前記物体画像の輝度と、前記背景画像の輝度と、前記マーカ画像の前記物体画像と重なる第1の部分の輝度と、前記マーカ画像の前記背景画像と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように、前記マーカ画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整する輝度調整手段と、を含んで構成されている。
本発明に係る画像重畳処理方法は、表示画面を通して視認される現実環境における物体に仮想物画像を重畳させて前記表示画面上に表示する重畳画像処理方法であって、制御手段が、境界検出手段に現実環境における物体と前記物体後方の背景との境界を検出させるステップと、制御手段が、輝度測定手段に前記物体の輝度と前記背景の輝度とを測定させ前記物体の輝度と前記背景の輝度とを示す輝度データを生成させるステップと、境界位置算出手段が、前記境界検出手段によって検出された前記境界の前記表示画面上の対応位置を算出するステップと、仮想物画像取得手段が、前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するステップと、画像配置手段が、前記境界位置算出手段によって算出された前記境界の前記表示画面上の対応位置と重なるように前記仮想物画像を前記表示画面上に配置するステップと、輝度調整手段が、前記輝度データを参照して、前記物体の輝度と、前記背景の輝度と、前記仮想物画像が、前記表示画面上において前記物体と重なる第1の部分の輝度と、前記仮想物画像が前記表示画面上において前記背景と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように前記仮想物画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整するステップと、を含んで構成されている。
本発明に係る他の態様の画像重畳処理方法は、表示画面を通して視認される現実環境における物体に仮想物画像を重畳させて前記表示画面上に表示する重畳画像処理方法であって、制御手段が、境界検出手段に現実環境における物体と前記物体後方の背景との境界を検出させるステップと、制御手段が、輝度測定手段に前記物体の輝度と前記背景の輝度とを測定させ前記物体の輝度と前記背景の輝度とを示す輝度データを生成させるステップと、境界位置算出手段が、前記境界検出手段によって検出された前記境界の表示画面上の対応位置を算出するステップと、仮想物画像取得手段が、前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するステップと、マーカ画像取得手段が、前記表示画面上に表示されるべきマーカ画像を、生成または前記マーカ画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するステップと、画像配置手段が、前記境界位置算出手段によって算出された前記境界の前記表示画面上の対応位置と重なるように前記マーカ画像を配置するとともに前記表示画面上において前記物体と重なるように前記仮想物画像を配置するステップと、輝度調整手段が、前記輝度データを参照して、前記物体の輝度と、前記背景の輝度と、前記マーカ画像が前記表示画面上において前記物体と重なる第1の部分の輝度と、前記マーカ画像が前記表示画面上において前記背景と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように前記マーカ画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整するステップと、を含んで構成されている。
本発明に係る他の態様の画像重畳処理方法は、現実環境における物体の画像に仮想物画像を重畳させて表示画面上に表示する重畳画像処理方法であって、制御手段が、撮像手段に前記物体と前記物体後方の背景を撮像させ物体画像と背景画像を含む現実環境画像を生成させるステップと、輝度検出手段が、前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを検出して前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを示す輝度データを生成するステップと、仮想物画像取得手段が、前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するステップと、画像配置手段が、前記仮想物画像を前記物体画像と前記背景画像の境界上に配置するステップと、輝度調整手段が、前記輝度データを参照し、前記物体画像の輝度と、前記背景画像の輝度と、前記仮想物画像の前記物体画像と重なる第1の部分の輝度と、前記仮想物画像の前記背景画像と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように前記仮想物画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整するステップと、を含んで構成されている。
本発明に係る他の態様の画像重畳処理方法は、現実環境における物体の画像に仮想物画像を重畳させて表示画面上に表示する重畳画像処理方法であって、制御手段が、撮像手段に前記物体と前記物体後方の背景を撮像させ物体画像と背景画像を含む現実環境画像を生成させるステップと、輝度検出手段が、前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを検出して前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを示す輝度データを生成するステップと、仮想物画像取得手段が、前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するステップと、マーカ画像取得手段が、前記現実環境画像に重畳表示されるべきマーカ画像を、生成または前記マーカ画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するステップと、画像配置手段が、前記マーカ画像を前記物体画像と前記背景画像の境界上に配置するとともに前記仮想物画像を前記物体画像上に配置するステップと、輝度調整手段が、前記輝度データを参照して、前記物体画像の輝度と、前記背景画像の輝度と、前記マーカ画像の前記物体画像と重なる第1の部分の輝度と、前記マーカ画像の前記背景画像と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように、前記マーカ画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整するステップと、を含んで構成されている。
本発明に係る画像重畳処理プログラムは、上記した画像重畳処理方法の各ステップをコンピュータに実行させる画像重畳処理プログラムである。
本発明に係る画像重畳処理装置、方法およびプログラムによれば、遮蔽物の背面のおけるカメラの設置や運動視差を用いることなく、従来よりも簡便な方法で即時的且つ直感的な透明視を実現することが可能となる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像重畳処理装置の構成を示すブロック図である。 図2(a)は、安定透明視が成立している場合を示す図である。図2(b)は、両義的透明視が成立している場合を示す図である。図2(c)は、透明視が成立していない場合を示す図である。 図3は、本発明の実施形態に係る画像重畳処理装置によって生成される画像を表示するためのディスプレイを示す模式図である。 図4は、本発明の実施形態に係る境界位置検出部の構成を示すブロック図である。 図5(a)および図5(b)は、本発明の実施形態に係る画像重畳処理装置における画像重畳処理を示す図である。 図6は、本発明の実施形態に係る画像重畳処理装置によって実行される画像重畳処理ルーチンを示すフローチャートである。 図7は、本発明の実施形態に係る輝度算出部によって実行される輝度算出処理ルーチンを示すフローチャートである。 図8(a)〜図8(f)は、本発明の実施形態に係る画像重畳処理装置による仮想物画像に対する輝度調整の結果を示す図である。 図9は、本発明の実施形態に係る画像重畳処理装置によって生成された画像を示す図である。 図10は、本発明の第2の実施形態に係る画像重畳処理装置の構成を示すブロック図である。 図11は、透明視の伝搬の効果を示す図である。 図12は、透明視の伝搬の効果を実証するための試験に使用した刺激パターン一覧を示す図である。 図13は、透明視の伝搬の効果を実証するための試験の結果を示すグラフである。 図14は、本発明の第2の実施形態に係る画像重畳処理装置における画像重畳処理を示す図である。 図15は、本発明の第2の実施形態に係る画像重畳処理装置によって実行される画像重畳処理ルーチンを示すフローチャートである。 図16は、本発明の第2の実施形態に係る画像重畳処理装置によって生成された画像を示す図である。 図17は、本発明の第2の実施形態に係る画像重畳処理装置によって形成された画像を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る画像重畳処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係る画像重畳処理装置の構成を示すブロック図である。 図20は、本発明の第4の実施形態に係る画像重畳処理装置によって実行される画像重畳処理ルーチンを示すフローチャートである。 本発明の第5の実施形態に係る画像重畳処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第6の実施形態に係る画像重畳処理装置の構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。尚、各図において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像重畳処理装置1の構成を示すブロック図である。画像重畳処理装置1は、ヘッドアップディスプレイやヘッドマウントディスプレイのような光透過性を有する画像表示画面を透過して視認される現実環境に存在する壁や建物などの物体に、コンピュータによって生成された仮想物画像を表示画面上において重ねて表示するものであり、仮想物画像と現実環境における物体との間で透明視が成立するように仮想物画像の画像処理を行うものである。
ここで、図2(a)は、図形101と図形102との間で安定透明視(Unique Transparency)が成立している場合を示している。すなわち、透明な図形101の背後に図形102が存在しているかのように視認することができる。
このような安定透明視が成立するための条件は2つある。第1番目の条件は、図形101の外縁線(エッジ)E1を横切るように図形102が重ねられ、図形101の外縁線(エッジ)E1と、図形102の外縁線(エッジ)E2とが十字交点Xを形成していることである。
安定透明視が成立するための第2番目の条件は、十字交点Xの周りの4つの領域R1、R2、R3、R4のそれぞれの輝度a、a’、b、b’の大きさが以下に示す式(1)および式(2)の双方を満たすことである。
1>(a’−b’)/(a−b)>0 ・・・(1)
(a−a’)/(b−b’)<0 ・・・(2)
上記の式(1)は、領域R2の輝度a’と領域R4の輝度b’の大小関係が領域R1の輝度aと領域R3の輝度bの大小関係と一致しており且つ領域R2と領域R4との間のコントラスト(輝度差:a’−b’)が、領域R1と領域R3との間のコントラスト(輝度差:a−b)よりも小であることを意味している。
上記の式(2)は、領域R3の輝度bと領域R4の輝度b’の大小関係が、領域R1の輝度aと領域R2の輝度a’の大小関係と逆転していることを意味している。
上記の式(1)および(2)より、領域R1〜R4の輝度の順序が、
b>b’>a’>a
又は
a>a’>b’>b
を満たすとき図形101と図形102との間で安定透明視が成立する、と導くことができる。
図2(b)は、図形101と図形102との間で両義的透明視(BistableTransparency)が成立している場合を示している。すなわち、図形101と図形102の前後関係が不明確であるものの、図形101と図形102との間で透明視が成立している場合である。
両義的透明視が成立するための条件は、図形101と図形102が十字交点Xを形成して交差することに加え、十字交点Xの周りの4つの領域R1、R2、R3、R4のそれぞれの輝度a、a’、b、b’が以下に示す式(3)および式(4)の双方を満たすことである。
1>(a’−b’)/(a−b)>0 ・・・(3)
(a−a’)/(b−b’)>0 ・・・(4)
上記の式(3)は、領域R2の輝度a’と領域R4の輝度b’の大小関係が領域R1の輝度aと領域R3の輝度bの大小関係と一致しており且つ領域R2と領域R4との間のコントラスト(輝度差:b−b’)が、領域R1と領域R3との間のコントラスト(輝度差:a−a’)よりも小であることを意味している。
上記の式(4)は、領域R3の輝度bと領域R4の輝度b’の大小関係が、領域R1の輝度aと領域R2の輝度a’の大小関係と一致していることを意味している。
上記の式(3)および(4)より、領域R1〜R4の輝度の順序が、
b>(b’,a)>a’
又は
a’>(b’,a)>b
又は
b’>(b,a’)>a
又は
a>(b,a’)>b’
(但し括弧内は順不同、いずれも|a’−b’|<|a−b|)
のいずれかを満たすとき、図形101と図形102との間で安定透明視が成立すると、導くことができる。
図2(c)は、領域R1〜R4の輝度順序が上記した安定透明視条件または両義的透明視条件を満たしておらず、透明視が成立していない場合を示したものである。
本発明の実施形態に係る画像重畳処理装置1は、現実環境に存在する物体と、コンピュータによって生成された仮想物画像との間で安定透明視または両義的透明視が成立するように、仮想物画像の配置設定や輝度調整を行って、透過型のディスプレイ上において仮想物画像を現実空間の物体に重ねて表示する。
図1を参照して、ディスプレイ60は、本発明の実施形態に係る画像重畳処理装置1によって構築された仮想物画像を表示する表示画面である。ディスプレイ60は、ハーフミラーで構成された光透過性を有する画像表示画面である。図3に示すように、ディスプレイ60は、ユーザUの眼前に配置され、現実環境からの像Aを透過させる一方、プロジェクタ50から出射される仮想物画像VをユーザUに向けて反射させる。ユーザUは現実環境の物体の像Aと、仮想物画像Vとを同時に視認することができる。ディスプレイ60は、所謂ヘッドアップディスプレイまたはヘッドマウントディスプレイの形態を有するものであってもよい。
境界位置検出部11は、現実環境に存在する壁や建物等の遮蔽物となり得る物体とその物体の後方に延在する背景との境界を検出して、検出した境界の位置を示す境界位置データを出力する。境界位置検出部11は、例えば図4に示すように、カメラ111、遮蔽物候補抽出部112、境界候補抽出部113および境界判定部114により構成される。
カメラ111は、現実環境の対象領域を撮影する撮像装置である。遮蔽物候補抽出部112は、予め遮蔽物の画像特徴の機械学習がなされ、学習内容に基づいてカメラ111によって撮影された画像から遮蔽物候補領域を抽出する。境界候補抽出部113は、カメラ111で撮影された画像に含まれる縦方向エッジを境界候補として抽出する。境界判定部114は、境界候補抽出部113によって抽出された境界候補のうち、遮蔽物候補抽出部112によって抽出された遮蔽物候補領域に隣接し且つ縦方向の長さが遮蔽物候補領域の高さに最も近いものを選択して、選択した境界候補の位置座標を上記の境界位置データとして出力する。
尚、遮蔽物候補抽出部112、境界候補抽出部113および境界判定部114は、コンピュータにより構成することができる。また、遮蔽物候補抽出部112は、例えばレーザを用いて物体の3次元形状を検出する3次元形状計測装置により構成されていてもよい。
境界位置検出部11によって生成される境界位置データは、カメラ111によって撮影された画像上の座標系で表示され得る。境界位置検出部11は、制御部20から供給される制御信号に応じて遮蔽物と背景の境界位置を検出して境界位置データを生成し、生成した境界位置データを制御部20に供給する。制御部20は、受信した境界位置データを境界位置算出部13に供給する。
境界位置算出部13は、制御部20から供給される境界位置データに基づいて、遮蔽物と背景との境界の、ディスプレイ60上における位置を算出する。すなわち、ユーザの視点からディスプレイ60を介して遮蔽物を見たときに、ディスプレイ60上のどこに遮蔽物と背景との境界が位置することになるのかを算出する。図5(a)は、ディスプレイ60を介して視認される遮蔽物Cと、その後方に延在する背景Bとを示したものである。境界位置算出部13は、制御部から供給された境界位置データによって示される境界位置をディスプレイ60における座標系に変換することによりディスプレイ60上における遮蔽物Cと背景Bとの境界の対応位置Lを特定する。境界位置算出部13は、対応位置Lをディスプレイ60における座標系で表示した変換座標境界位置データを生成し、これを配置算出部16に供給する。
輝度測定部12は、境界位置検出部11による境界位置検出の対象となった遮蔽物および背景の輝度を測定し、遮蔽物および背景の輝度を示す輝度データを生成する。尚、輝度測定部12は、境界位置検出部11による遮蔽物と背景との境界位置の検出結果に基づいて遮蔽物と背景の位置を検出することができる。輝度測定部12は、制御部20から供給される制御信号に応じて輝度測定を開始して輝度データを生成し、生成した輝度データを制御部20に供給する。制御部20は、受信した輝度データを輝度算出部16に供給する。
仮想物画像取得部15は、ディスプレイ60に表示すべき仮想物画像を生成する。仮想物画像は、コンピュータグラフィックス(CG)であり、人物や物の画像であってもよいし、文字、図形、記号などであってもよい。仮想物画像取得部15は、制御部20から供給される制御信号に基づいて仮想物画像を生成する。尚、仮想物画像取得部15は、制御部20から供給される制御信号に基づいて予め記憶媒体に記憶された複数の仮想物画像の中から1の仮想物画像を抽出することにより仮想物画像を取得してもよい。仮想物画像取得部15は、取得した仮想物画像の画像データを輝度算出部14および画像構築部17に供給する。
配置算出部16は、図5(b)に示すように、境界位置算出部13によって生成された変換座標境界位置データによって特定されるディスプレイ60上における遮蔽物Cと背景Bとの境界の対応位置L上に、仮想物画像取得部15によって取得された仮想物画像Vを重ねるべく仮想物画像の配置を算出する。すなわち、配置算出部16は、仮想物画像Vがディスプレイ60上において遮蔽物Cと十字交点を形成して交差することとなる仮想物画像Vの配置を算出する。配置算出部16は、算出した仮想物画像の配置をディスプレイ60上における座標系で表示した配置データとして出力する。配置データは、画像構築部17に供給される。
輝度算出部14は、図5(b)に示すように、配置データに基づいて仮想物画像Vがディスプレイ60上に配置されたときに、遮蔽物Cと仮想物画像Vとの間で透明視が成立する仮想物画像Vの輝度を算出する。すなわち、輝度算出部14は、輝度測定部12によって生成された輝度データによって示される遮蔽物C(領域R4)の輝度および背景B(領域R3)の輝度と、仮想物画像取得部15によって取得された仮想物画像について予め設定されている初期の輝度を参照し、領域R1〜R4の輝度の大きさの順序が上記した安定透明視または両義的透明視の成立条件を満たすような仮想物画像Vの輝度(領域R1および領域R2の輝度)を算出する。ここで、領域R1は、仮想物画像Vの背景Bと重なる部分の領域である。領域R2は、仮想物画像Vの遮蔽物Cと重なる部分の領域である。領域R3は、背景Bの仮想物画像Vと重ならない部分の領域である。領域R4は、遮蔽物Cの仮想物画像Vと重ならない部分の領域である。
輝度算出部14は、領域R1の輝度a、領域R2の輝度a’、領域R3の輝度bおよび領域R4の輝度b’の大きさの順序が安定透明視の成立条件であるb>b’>a’>a若しくはa>a’>b’>bを満たすように、または両義的透明視の成立条件であるb>(b’,a)>a’若しくはa’>(b’,a)>b若しくはb’>(b,a’)>a若しくはa>(b,a’)>b’(但し括弧内は順不同、いずれも|a’−b’|<|a−b|)を満たすような仮想物画像Vの背景Bと重なる部分(領域R1)の輝度aと、仮想物画像Vの遮蔽物Cと重なる部分(領域R2)の輝度a’の値を算出し、算出した輝度値を変調輝度データとして出力して画像構築部17に供給する。
画像構築部17は、仮想物画像の背景と重なる部分(領域R1)の輝度aおよび仮想物画像の遮蔽物と重なる部分(領域R2)の輝度a’を、それぞれ、輝度算出部14によって算出された輝度となるように調整するとともに、仮想物画像を配置算出部16によって算出された位置に配置するように仮想物画像の構築を行い、構築した画像の画像データをプロジェクタ50に供給する。
プロジェクタ50は、画像構築部17で構築された仮想物画像をディスプレイ60上に投影する。
制御部20は、画像重畳処理装置1の全体的な制御を司る構成部分であり、上記したように、各構成部分に対して制御信号を例えば出力し、また各種データの送受信を行う。
境界位置算出部13、輝度算出部14、仮想物画像取得部15、配置算出部16、画像構築部17および制御部20は、図6に示される後述の画像重畳処理ルーチンの各ステップを記述した画像重畳処理プログラムを格納したROMと、画像重畳処理プログラムを実行するためのCPUと、CPUにおける処理内容を一時的に記憶しておくためのRAM等を備えたコンピュータで構成することができる。
次に本発明の第1の実施形態に係る画像重畳処理装置1によって実行される画像重畳処理ルーチンについて図6に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
ステップS1において、制御部20は、例えば外部から供給される制御入力に応じて境界位置検出部11に対して境界位置検出を開始すべき制御信号を供給する。これにより、境界位置検出部11は、現実環境における壁や建物などの遮蔽物と、その後方に延在する背景との境界を検出して境界位置データを生成し、生成した境界位置データを制御部20に供給する。制御部20は受信した境界位置データを境界位置算出部13に供給する。
ステップS2において、制御部20は輝度測定部12に対して輝度測定を開始すべき制御信号を供給する。これにより、輝度測定部12は、境界位置検出部11によって検出された遮蔽物と背景の各々の輝度を測定して輝度データを生成し、生成した輝度データを制御部20に供給する。制御部20は受信した輝度データを輝度算出部14に供給する。
ステップS3において、制御部20は仮想物画像取得部15に対して仮想物画像を取得すべき制御信号を供給する。この制御信号には取得すべき仮想物画像の内容が示されていてもよい。仮想物画像取得部15は、制御信号に基づいて仮想物画像を生成し又は予め仮想物画像を記憶した記憶媒体から抽出する。仮想物画像取得部15は、取得した仮想物画像の画像データを輝度算出部14および画像構築部17に供給する。
ステップS4において、境界位置算出部13は、制御部20から供給される境界位置データに基づいて、遮蔽物と背景との境界が透過型のディスプレイ60上のどの位置に対応するのかを算出する。すなわち、境界位置算出部13は、境界位置データによって示される遮蔽物と背景との境界位置をディスプレイ60における座標系で表示した変換座境界位置データを生成し、これを配置算出部16に供給する。
ステップS5において、配置算出部16は、変換座標境界位置データによって示されるディスプレイ60上における遮蔽物と背景との境界の対応位置上に、仮想物画像取得部15によって取得された仮想物画像を重ねるべく仮想物画像の配置を算出する。すなわち、配置算出部16は、仮想物画像が遮蔽物と十字交点を形成して交差することとなる仮想物画像の配置を算出し、算出した配置を配置データとして出力し、画像構築部17に供給する。
ステップS6において、輝度算出部14は、図7に示す輝度算出処理ルーチンを実行することにより、遮蔽物との間で透明視が成立する仮想物画像の輝度を算出し、算出した輝度を変調輝度データとして出力して画像構築部17に供給する。
輝度算出部14によって実行される輝度算出処理ルーチンについて図7を参照しつつ以下に説明する。
ステップS11において、輝度算出部14は、制御部20から供給される輝度データを参照し、図5(b)における領域R4の輝度b’に対応する遮蔽物の輝度と、領域R3の輝度bに対応する背景の輝度を読み込む。更に輝度算出部14は、仮想物画像取得部15から供給された仮想物画像の画像データから仮想物画像において予め設定されている初期の輝度を読み込み、ステップS12に進む。尚、仮想物画像において予め設定された初期の輝度は、仮想物画像の背景と重なる部分(領域R1)の輝度aに対応する。
ステップS12において、輝度算出部14は、ステップS11において読み込んだ輝度a、bおよびb’がb>b’>aまたはa>b’>bのいずれかを満たすか否かを判断し、満たすと判断した場合にはステップS13に進み、満たさないと判断した場合にはステップS14に進む。
ステップS13において、輝度算出部14は、輝度bおよび輝度b’がb>b’を満たすか否かを判断し、満たすと判断した場合にはステップS18に進み、満たさないと判断した場合にはステップS19に進む。
ステップS14において、輝度算出部14は、仮想物画像において予め設定されている初期の輝度aを変更することが可能であるか否かを判断し、可能であると判断した場合にはステップS15に進み、可能ではないと判断した場合にはステップS20に進む。この判断は、例えば仮想物画像に輝度変更の可否を示すデータを付随させておき、輝度算出部14がこのデータを読みとることによって行うこととしてもよい。
ステップS15において、輝度算出部14は、輝度bおよびb’がb>b’を満たすか否かを判断し、満たすと判断した場合にはステップS16に進み、満たさないと判断した場合にはステップS17に進む。
ステップS16において、輝度算出部14は、輝度aをαb’に設定してステップS18に進む。ここで、αは、輝度の変更度合いを示す係数であり1>α>0の範囲に設定される。
ステップS17において、輝度算出部14は、輝度aを(1−α)<MAX>−αb’に設定してステップS19に進む。ここでαは、輝度の変更度合いを示す係数であり1>α>0の範囲に設定される。尚、<MAX>とは、設定し得る最大の輝度である。すなわち、輝度算出部14は、設定し得る最大輝度を(1−α)倍した値から輝度bをα倍した値を減算した値を輝度aの設定とする。
ステップS18において、輝度算出部14は、仮想物画像の遮蔽物と重なる部分の輝度a’をb’>a’>aを満たす範囲に設定する。輝度算出部14は、例えば輝度a’の値を輝度b’と輝度aの中央値に設定してステップS27に進む。ステップS27において、輝度算出部14は、算出した輝度aおよび輝度a’の値を変調輝度データとして出力し、本ルーチンを終了する。
ステップS19において、輝度算出部14は、仮想物画像の遮蔽物と重なる部分の輝度a’をa>a’>b’を満たす範囲に設定する。輝度算出部14は、例えば輝度a’の値を輝度aと輝度b’の中央値に設定してステップS27に進む。ステップS27において、輝度算出部14は、算出した輝度aおよび輝度a’の値を変調輝度データとして出力し、本ルーチンが終了する。
尚、ステップS18およびステップS19を経る輝度算出結果によれば、b>b’>a’>a又はa>a’>b’>bを満たすこととなるので、仮想物画像と遮蔽物との間で安定透明視が成立することとなる。
ステップS20において、輝度算出部14は、輝度bおよび輝度b’がb>b’を満たすか否かを判断し、満たすと判断した場合にはステップS21に進み、満たさないと判断した場合にはステップS22に進む。
ステップS21において、輝度算出部14は、輝度aおよび輝度bがa>bを満たすか否かを判断し、満たすと判断した場合にはステップS23に進み、満たさないと判断した場合にはステップS24に進む。
ステップS22において、輝度算出部14は、輝度aおよび輝度bがb>aを満たすか否かを判断し、満たすと判断した場合にはステップS25に進み、満たさないと判断した場合にはステップS26に進む。
ステップS23において、輝度算出部14は、仮想物画像の遮蔽物と重なる部分の輝度a’を(a−b)+b’>a’>b’を満たす範囲に設定する。輝度算出部14は、例えば輝度a’の値を輝度(a−b)+b’と輝度b’の中央値に設定してステップS27に進む。ステップS27において、輝度算出部14は、算出した輝度a’の値を変調輝度データとして出力し、本ルーチンが終了する。
ステップS24において、輝度算出部14は、仮想物画像の遮蔽物と重なる部分の輝度a’をb’>a’>max(0,b’−(b−a))を満たす範囲に設定する。輝度算出部14は、例えば輝度a’の値を輝度b’と輝度max(0,b’−(b−a))の中央値に設定してステップS27に進む。ここで、max(0,b’−(b−a))とは、輝度0(すなわち、設定し得る最低輝度)または輝度{b’−(b−a)}のうち、より大きい方の値である。ステップS27において、輝度算出部14は、算出した輝度a’の値を変調輝度データとして出力し、本ルーチンが終了する。
ステップS25において、輝度算出部14は、仮想物画像の遮蔽物と重なる部分の輝度a’をb’>a’>b’−(b−a)を満たす範囲に設定する。輝度算出部14は、例えば輝度a’の値を輝度b’と輝度b’−(b−a)の中央値に設定してステップS27に進む。ステップS27において、輝度算出部14は、算出した輝度a’の値を変調輝度データとして出力し、本ルーチンが終了する。
ステップS26において、輝度算出部14は、仮想物画像の遮蔽物と重なる部分の輝度a’をb’+(a−b)>a’>b’を満たす範囲に設定する。輝度算出部14は、例えば輝度a’の値を輝度b’+(a−b)と輝度b’の中央値に設定してステップS27に進む。ステップS27において、輝度算出部14は、算出した輝度a’の値を変調輝度データとして出力し、本ルーチンが終了する。
尚、ステップS23〜S26を経る輝度算出結果によれば、b>(b’,a)>a’又はa’>(b’,a)>b又はb’>(b,a’)>a又はa>(b,a’)>b’を満たすこととなるので、仮想物画像と遮蔽物との間で両義的透明視が成立することとなる。
輝度算出部14による上記した輝度算出処理ルーチンが終了すると図6に示すフローチャートのステップS7に進む。
ステップS7において、画像構築部17は、仮想物画像が遮蔽物と重なる部分(領域R2)の輝度a’および仮想物画像が背景と重なる部分(領域1)の輝度aを、輝度算出部14から供給される変調輝度データに基づいて調整するとともに、仮想物画像を配置算出部16から供給される配置データに基づいて配置することにより仮想物画像の構築を行う。構築された仮想物画像の画像データはプロジェクタ50に供給される。プロジェクタ50は、輝度調整がなされた仮想物画像を、ディスプレイ60上における遮蔽物と背景との境界の投影線と十字交点を形成して交差する位置に投影する。ディスプレイ60上に投影された仮想物画像は、遮蔽物と間で透明視が成立しており、遮蔽物の背後に存在しているかのように視認される。以上の各ステップを経ることにより画像重畳処理ルーチンが終了する。尚、上記した画像重畳処理ルーチンの各ステップをコンピュータに実行させるための画像重畳処理プログラムが構成され得る。
図8(a)〜(f)は、画像重畳処理装置1による仮想物画像に対する輝度調整の結果を示す図である。各図において上段は輝度調整前の状態であり、下段は輝度調整後の状態である。図8(a)は、図7に示すフローチャートのステップS18に係る輝度算出に基づく輝度調整の結果である。図8(b)は、図7に示すフローチャートのステップS19に係る輝度算出に基づく輝度調整の結果である。図8(c)は、図7に示すフローチャートのステップS23に係る輝度算出に基づく輝度調整の結果である。図8(d)は、図7に示すフローチャートのステップS24に係る輝度算出に基づく輝度調整の結果である。図8(e)は、図7に示すフローチャートのステップS25に係る輝度算出に基づく輝度調整の結果である。図8(f)は、図7に示すフローチャートのステップS26に係る輝度算出に基づく輝度調整の結果である。例えば、図8(a)において、遮蔽物Cの輝度b’は191であり、背景Bの輝度bは255であり、仮想物画像Vの初期の輝度aは38である。この場合において、画像重畳処理装置1は、仮想物画像Vの遮蔽物Cと重なる部分の輝度a’を38から127に変更する。これによりb>b’>a’>aとなり、安定透明視条件を満たすので、遮蔽物と仮想物画像との間で透明視が成立する。
図9は、画像重畳処理装置1によって生成された画像を示す図である。図9において、現実環境に存在する遮蔽物(壁)Cにコンピュータグラフィックスによって生成された仮想物画像(自動車の画像)Vが重畳表示されている。遮蔽物Cと仮想物画像Vとの間で透明視が成立しているのが理解できる。
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の実施形態に係る画像重畳処理装置1によれば、コンピュータグラフィックによって生成される仮想物画像は、現実環境に存在する遮蔽物と背景との境界線のディスプレイ60上における対応位置と重なる位置に配置され、ディスプレイ60上において遮蔽物と仮想物画像とが十字交点を形成して交差する。また、この十字交点周りの4つの領域R1〜R4の輝度の順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように仮想物画像の輝度調整が行われる。
このように、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置1によれば、遮蔽物の背面にカメラを設置することなく透明視を実現することが可能となり、あらゆる場面において透明視が成立する画像を生成することが可能となる。また、透明視を実現する際に運動視差を利用しないので、画像に動きを持たせる必要がなく、また遠方の遮蔽物に対しても直ちに透明視を成立させることが可能である。すなわち、本発明の実施形態に係る画像重畳処理装置1によれば、従来よりも簡便な方法で即時的且つ直感的な透明視を実現することができる。
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る画像重畳処理装置2について詳細に説明する。図10は、画像重畳処理装置2の構成を示すブロック図である。
画像重畳処理装置2は、上記した第1の実施形態に係る画像重畳処理装置1と同様、現実環境に存在する物体と仮想物画像との間で透明視が成立するように仮想物画像の画像処理を行う。第2の実施形態に係る画像重畳処理装置2が第1の実施形態に係る画像重畳処理装置1と異なる点は、遮蔽物と仮想物画像との間で透明視を成立させるために、本発明者が発見した「透明視の伝播」という人間の視覚特性を利用する点である。
図11は、「透明視の伝播」を示す図である。図11に示すように、図形201は、図形203との間で透明視が成立している。一方、図形202は、図形203内に完全に包含されており、上記したような十字交点を形成していないので、図形202は単独では、図形203との間で透明視は成立していない。しかしながら、これらの図形を全体的に眺めてみると、図形202と図形203との間でも透明視が成立しているように視認される。これは、図形201と図形203との間で成立している透明視の効果が図形202にも伝搬しているためである。この効果を「透明視の伝播」と称することとする。
本発明者は、「透明視の伝播」の効果を実証するべく、図12に示す12個の刺激パターンを複数の被験者にランダムに提示して、各刺激パターンが、全体として透明に見えるかどうかを質問した。その結果を図13に示す。使用した刺激パターンは、以下の4つのグループ分類される。第1のグループは、図形201と図形203との間で透明視が成立しており且つ図形201と図形202の輝度が同一である刺激パターン、第2のグループは、図形201と図形203との間で透明視が成立していない刺激パターン、第3のグループは、図形201と図形203との間で透明視が成立しており且つ図形201と図形203とのコントラスト(輝度差)が図形202と図形203とのコントラストよりも大きい刺激パターン、第4のグループは、図形201と図形203との間で透明視が成立しており且つ図形201と図形203とのコントラスト(輝度差)が図形202と図形203とのコントラスト(輝度差)よりも小さい刺激パターンである。
図13において棒グラフは、上記した4つのグループの各々について被験者毎に取得した透明視成立割合(被験者が透明に見えると判定した割合)の平均値を示し、線グラフは分散を示している。図13に示すように、第1のグループおよび第3のグループにおいて透明視成立割合は高く且つ分散も小さかった。第2のグループにおいては透明視成立割合は顕著に低かった。この結果は、「透明視の伝播」の効果を裏付けるものといえる。第4のグループでは、透明視成立割合が若干低下しており分散も大きい。この結果は、図形201と図形203とのコントラストと、図形202と図形203とのコントラストの大小関係が透明視の成立割合に影響することを示している。
本発明の第2の実施形態に係る画像重畳処理装置2は、遮蔽物に完全に重なるように仮想物画像を配置した場合、すなわち、遮蔽物と仮想物画像とが十字交点を形成して交差しない場合に、遮蔽物との間で透明視が成立するように構築されたマーカ画像を用いて「透明視の伝播」の効果を得ることにより遮蔽物と仮想物画像との間で透明視を成立させるものである。
以下、画像重畳処理装置2が、上記した第1の実施形態に係る画像重畳処理装置1と異なる点について詳細に説明する。
画像重畳処理装置2は、主に、マーカ画像取得部18を更に有する点で第1の実施形態に係る画像重畳処理装置1と異なる。
マーカ画像取得部18は、ディスプレイ60に表示すべきマーカ画像を生成する。マーカ画像は、コンピュータグラフィックス(CG)であり、人物や物の画像であってもよいし、文字、図形、記号などであってもよい。マーカ画像取得部18は、制御部20から供給される制御信号に基づいてマーカ画像を生成する。尚、マーカ画像取得部18は、制御部20から供給される制御信号に基づいて予め記憶媒体に記憶された複数のマーカ画像の中から1のマーカ画像を抽出することによりマーカ画像を取得してもよい。マーカ画像取得部18は、取得したマーカ画像を輝度算出部14aおよび画像構築部17aに供給する。
配置算出部16aは、図14に示すように、境界位置算出部13によって生成された変換座標境界位置データによって特定されるディスプレイ60上における遮蔽物Cと背景Bとの境界の対応位置L上に、マーカ画像取得部18によって取得されたマーカ画像Mを重ねるべくマーカ画像Mの配置を算出する。すなわち、配置算出部16aは、マーカ画像Mがディスプレイ60上において遮蔽物Cと十字交点を形成して交差することとなるマーカ画像Mの配置を算出する。また、配置算出部16aは、仮想物画像取得部15によって取得された仮想物画像をディスプレイ60上において遮蔽物Cと十字交点を形成しない位置に重ねるべく仮想物画像Vの配置を算出する。例えば、配置算出部16aは遮蔽物Cと完全に重なる仮想物画像Vの配置を算出する。配置算出部16aは、算出した仮想物画像およびマーカ画像の配置をディスプレイ60上における座標系で表示した配置データとして出力する。配置データは、画像構築部17aに供給される。
輝度算出部14aは、図14に示すように配置データに基づいてマーカ画像Mがディスプレイ60上に配置されたときに、遮蔽物Cとマーカ画像Mとの間で透明視が成立するマーカ画像Mの輝度を算出する。すなわち、輝度算出部14aは、輝度測定部12によって生成された輝度データによって示される遮蔽物C(領域R4)の輝度および背景B(領域R3)の輝度と、マーカ画像取得部18によって取得されたマーカ画像について予め設定されている初期の輝度を参照し、領域R1〜R4の輝度の順序が上記した安定透明視または両義的透明視の成立条件を満たすようなマーカ画像Mの輝度(領域R1および領域R2の輝度)を算出する。ここで、領域R1は、マーカ画像Mの背景Bと重なる部分の領域である。領域R2は、マーカ画像Mの遮蔽物Cと重なる部分の領域である。領域R3は、背景Bのマーカ画像Mと重ならない部分の領域である。領域R4は、遮蔽物Cのマーカ画像Mと重ならない部分の領域である。
輝度算出部14aは、領域R1の輝度a、領域R2の輝度a’、領域R3の輝度bおよび領域R4の輝度b’の大きさの順序が安定透明視の成立条件であるb>b’>a’>a若しくはa>a’>b’>bを満たすように、または両義的透明視の成立条件であるb>(b’,a)>a’若しくはa’>(b’,a)>b若しくはb’>(b,a’)>a若しくはa>(b,a’)>b’(但し括弧内は順不同、いずれも|a’−b’|<|a−b|)を満たすようなマーカ画像Mの背景Bと重なる部分(領域R1)の輝度aと、マーカ画像Mの遮蔽物Cと重なる部分(領域R2)の輝度a’の値を算出し、算出した値を変調輝度データとして出力して画像構築部17aに供給する。
画像構築部17aは、マーカ画像の背景と重なる部分(領域R1)の輝度aおよびマーカ画像の遮蔽物と重なる部分(領域R2)の輝度a’を、それぞれ、輝度算出部14aによって算出された輝度となるように調整するとともに、マーカ画像および仮想物画像を配置算出部16aによって算出された位置に配置することによりマーカ画像および仮想物画像の構築を行う。
尚、境界位置検出部11、輝度測定部12、境界位置算出部13、仮想物画像取得部15および制御部20は、上記した第1の実施形態に係る画像重畳処理装置1と同様であるので、それらの説明は省略する。
境界位置算出部13、輝度算出部14a、仮想物画像取得部15、配置算出部16a、画像構築部17a、マーカ画像取得部18および制御部20は、図15に示される後述の画像重畳処理ルーチンの各ステップを記述した画像重畳処理プログラムを格納したROMと、画像重畳処理プログラムを実行するためのCPUと、CPUにおける処理内容を一時的に記憶しておくためのRAM等を備えたコンピュータで構成することができる。
次に本発明の第2の実施形態に係る画像重畳処理装置2によって実行される画像重畳処理ルーチンについて図15に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
ステップS31において、制御部20は、例えば外部から供給される制御入力に応じて境界位置検出部11に対して境界位置検出を開始すべき制御信号を供給する。これにより、境界位置検出部11は、現実環境における壁や建物などの遮蔽物と、その後方に延在する背景との境界を検出して境界位置データを生成し、生成した境界位置データを制御部20に供給する。制御部20は受信した境界位置データを境界位置算出部13に供給する。
ステップS32において、制御部20は輝度測定部12に対して輝度測定を開始すべき制御信号を供給する。これにより、輝度測定部12は、境界位置検出部11によって検出された遮蔽物と背景の各々の輝度を測定して輝度データを生成し、生成した輝度データを制御部20に供給する。制御部20は受信した輝度データを輝度算出部14aに供給する。
ステップS33において、制御部20は仮想物画像取得部15に対して仮想物画像を取得すべき制御信号を供給する。この制御信号には、取得すべき仮想物画像の内容が示されていてもよい。仮想物画像取得部15は、この制御信号に基づいて、仮想物画像を生成し又は予め仮想物画像を記憶した記憶媒体から仮想物画像を抽出する。仮想物画像取得部15は、取得した仮想物画像の画像データを輝度算出部14aおよび画像構築部17aに供給する。
ステップS34において、制御部20はマーカ画像取得部18に対してマーカ画像を取得すべき制御信号を供給する。この制御信号には、取得すべきマーカ画像の内容が示されていてもよい。マーカ画像取得部18は、この制御信号に基づいて、マーカ画像を生成し又は予めマーカ画像を記憶した記憶媒体からマーカ画像を抽出する。マーカ画像取得部18は取得したマーカ画像を仮想物画像構築部17aおよび輝度算出部14aに供給する。尚、先のステップS33において取得された仮想物画像と大きさや形状が同一であるマーカ画像または仮想物画像と観念的に関連するマーカ画像を取得することで、「透明視の伝播」の効果をより高めることが可能となる。
ステップS35において、境界位置算出部13は、制御部20から供給される境界位置データに基づいて、遮蔽物と背景との境界が透過型のディスプレイ60上のどの位置に対応するのかを算出する。すなわち、境界位置算出部13は、境界位置データによって示される遮蔽物と背景との境界位置をディスプレイ60における座標系で表示した変換座標境界位置データを生成し、これを配置算出部16aに供給する。
ステップS36において、配置算出部16aは、変換座標境界位置データによって示されるディスプレイ60上における遮蔽物と背景との境界の対応位置上にマーカ画像取得部18によって取得されたマーカ画像を重ねるべくマーカ画像の配置を算出する。すなわち、配置算出部16aは、マーカ画像が遮蔽物と十字交点を形成して交差することとなるマーカ画像の配置を算出する。また、配置算出部16aは、仮想物画像取得部15によって取得された仮想物画像をディスプレイ60上において遮蔽物Cと十字交点を形成しない位置に重ねるべく仮想物画像Vの配置を算出する。配置算出部16aは、算出したマーカ画像および仮想物画像の配置を配置データとして出力し、画像構築部17aに供給する。
ステップS37において、輝度算出部14aは、図7に示す輝度算出処理ルーチンを実行することにより、遮蔽物との間で透明視が成立するマーカ画像の輝度を算出して変調輝度データを生成する。本実施例においては、マーカ画像の背景と重なる部分(領域R1)の輝度が輝度aに対応し、マーカ画像の遮蔽物と重なる部分(領域R2)の輝度が輝度a’に対応する。輝度算出部14aによる輝度算出処理ルーチンが終了すると図15に示すフローチャートのステップS38に進む。
ステップS38において、画像構築部17aは、マーカ画像が遮蔽物と重なる部分(領域R2)の輝度a’およびマーカ画像が背景と重なる部分(領域R1)の輝度aを、それぞれ、輝度算出部14aから供給される変調輝度データに基づいて調整するとともに、マーカ画像および仮想物画像を配置算出部16aから供給される配置データに基づいて配置することによりマーカ画像および仮想物画像の構築を行う。構築された仮想物画像の画像データはプロジェクタ50に供給される。プロジェクタ50は、輝度調整がなされたマーカ物画像を、ディスプレイ60上における遮蔽物と背景との境界の投影線と十字交点を形成して交差する位置に投影する。ディスプレイ60上に投影された仮想物画像は、マーカ画像によってもたらされる「透明視の伝播」の効果によって、遮蔽物の背後に存在しているかのように視認される。以上の各ステップを経ることにより画像重畳処理ルーチンが終了する。尚、上記した画像重畳処理ルーチンの各ステップをコンピュータに実行させるための画像重畳処理プログラムが構成され得る。
図16は、画像重畳処理装置2によって生成された画像を示す図である。図16において、現実環境に存在する遮蔽物(壁)Cにコンピュータグラフィックスによって生成された仮想物画像(自動車の画像)Vおよびマーカ画像Mを重畳表示されている。マーカ画像Mによってもたらされる「透明視の伝播」の効果によって遮蔽物Cと仮想物画像Vとの間で透明視が成立しているのが理解できる。
以上の説明から明らかなように、本発明の第2の実施形態に係る画像重畳処理装置2によれば、遮蔽物に完全に重なるように仮想物画像を配置する場合、すなわち、遮蔽物と仮想物画像とが十字交点を形成しない場合でも、遮蔽物との間で透明視が成立するようにマーカ画像を構築することによって「透明視の伝播」の効果が生じるので、遮蔽物と仮想物画像との間で透明視を成立させることが可能となる。
尚、上記した実施形態では、図14や図16に示すように、マーカ画像Mは、単一形状を有する場合を例示したが、マーカ画像取得部18は、図17に示すような互いに間隔をおいて離間した2つのマーカ片m1およびm2からなるマーカ画像を取得することとしてもよい。この場合、配置算出部16aは、図17に示すように、マーカ片m1およびm2を遮蔽物Cと背景Bとの境界を跨ぐように配置するべくマーカ画像Mの配置を算出する。すなわち、マーカ片m1を遮蔽物Bに重畳表示し、マーカ片m2を背景Cに重畳表示するべくマーカ画像Mの配置を算出する。また、輝度算出部14aは、マーカ画像m1の輝度を上記した単一形状のマーカ画像における領域R1に対応する輝度aに対応させ、
マーカ画像m2の輝度を単一形状のマーカ画像における領域R2に対応する輝度a’に対応させる。このように互いに分離したマーカ片m1およびm2を使用する場合においても、マーカ片m1およびm2の輝度を適切な値に設定することにより、単一形状を有するマーカ片の場合と同様、「透明視の伝播」の効果を得ることができる。分離マーカ片m1およびm2は、これらの間隙のどこかに遮蔽物と背景の境界が位置するように配置されればよく、高い位置精度でマーカ画像Mを配置することを要しないので、遮蔽物と背景との境界の位置検出精度を確保できない場合に有効となる。
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態に係る画像重畳処理装置について詳細に説明する。図18は、本発明の第3の実施形態に係る画像重畳処理装置3の構成を示すブロック図である。
画像重畳処理装置3は、上記した本発明の第2の実施形態に係る画像重畳処理装置2と同様、遮蔽物に完全に重なるように仮想物画像を配置した場合、マーカ画像を用いて「透明視の伝播」の効果を得ることにより遮蔽物と仮想物画像との間で透明視を成立させるものである。ここで、図13に示す「透明視の伝搬」を実証するための試験結果によれば、刺激パターンの第2のグループと第3のグループとの間で透明視の成立割合に有意差が見られた。このことは、マーカ画像と遮蔽物とのコントラストを仮想物画像と遮蔽物とのコントラストよりも大きく設定することにより「透明視の伝播」の効果を高められることを示している。かかる点に鑑みて、本発明の第3の実施形態に係る画像重畳処理装置3においては、「透明視の伝播」の効果を高めるべく仮想物画像およびマーカ画像の遮蔽物に対するコントラストを調整するコントラスト調整部19を有する。
コントラスト調整部19は、図14に示すようにディスプレイ60上にマーカ画像Mおよび仮想物画像Vを配置する場合において、マーカ画像の遮蔽物と重なる部分(領域R2)と遮蔽物(領域R4)とのコントラスト(輝度差)が、仮想物画像と遮蔽物とのコントラスト(輝度差)よりも大となるような仮想物画像の輝度を算出し、算出した値をコントラスト調整データとして画像構築部17bに供給する。コントラスト調整部19は、コントラスト調整データを生成するにあたり、制御部20から供給される遮蔽物と背景の輝度を示す輝度データと、輝度算出部14aによって生成された変調輝度データおよび仮想物画像取得部15によって取得された仮想物画像の輝度を参照する。
画像構築部17bは、マーカ画像における領域R1および領域R2の輝度を、輝度算出部14aによって算出された輝度となるように調整するとともに、仮想物画像取得部15によって取得された仮想物画像の輝度をコントラスト調整部19によって算出された輝度となるように調整し、輝度調整がなされたマーカ画像および仮想物画像を配置算出部16aによって算出された位置に配置することによりマーカ画像および仮想物画像の構築を行う。
コントラスト調整部19および画像構築部17b以外の構成部分は、第2の実施形態に係る画像重畳装置2と同様であるので、それらの説明については省略する
尚、コントラスト調整部19は、仮想物画像のみならずマーカ画像の輝度をも変更して上記したようなコントラスト調整を行うこととしてもよいし、マーカ画像の輝度のみを変更して上記したようなコントラスト調整を行うこととしてもよい。マーカ画像の輝度を変更する場合には、遮蔽物に対して透明視が成立する範囲内において輝度調整を行うことが必要である。
このように、本発明の第3の実施形態に係る画像重畳処理装置3によれば、マーカ画像を用いて「透明視の伝播」の効果を得ることにより遮蔽物と仮想物画像との間で透明視を成立させる場合において、マーカ画像と遮蔽物とのコントラスト(輝度差)が、仮想物画像と遮蔽物とのコントラストよりも大きく設定されるので、「透明視の伝播」の効果をより高めることが可能となる。
(第4の実施形態)
以下に、本発明の第4の実施形態に係る画像重畳処理装置について詳細に説明する。図19は、本発明の第4の実施形態に係る画像重畳処理装置4の構成を示すブロック図である。
上記した第1乃至第3の実施形態に係る画像重畳処理装置は、光透過性のディスプレイを介して視認される現実環境に存在する壁や建物などの遮蔽物に対して透明視が成立するように仮想物画像を重畳表示するものであった。これに対し、本発明の第4の実施形態に係る画像重畳処理装置4は、現実環境に存在する物体をカメラ等の撮像装置によって撮影することにより現実環境画像を取得し、取得した現実環境画像に対して透明視が成立するように仮想物画像を重畳表示するものである。
ディスプレイ60cは、画像重畳処理装置4によって生成された画像を表示するための表示画面である。ディスプレイ60cは、例えば液晶パネルや有機ELパネルなどの表示装置により構成される。
撮像部30は、現実環境における物体やその後方に延在する背景を撮像して画像データを生成する撮像装置である。撮像部30は、制御部20から供給される制御信号に応じて現実環境を撮像して現実環境画像の画像データを生成し、生成した画像データを制御部20に供給する。制御部20は、受信した現実環境画像の画像データを輝度検出部21および画像構築部17cに供給する。
境界位置検出部11は、撮像部30によって取得された現実環境画像に含まれる壁や建物などの遮蔽物とその後方に延在する背景との境界を検出して、検出した境界の位置を示す境界位置データを出力する。尚、境界位置データによって示される境界の位置は、例えば現実環境画像の座標系で示される。境界位置検出部11は、例えば、図4に示すような構成を有し得るが、この場合、撮像部30が、図4に示されたカメラ111を兼ねることができる。境界位置検出部11は、制御部20から供給される制御信号に応じて境界検出を開始して境界位置データを生成し、これを制御部20に供給する。制御部20は、受信した境界位置データを輝度検出部21および配置算出部16cに供給する。尚、遮蔽物画像と背景画像の境界位置をユーザのマニュアル操作で入力することとしてもよい。この場合、境界位置検出部11は、不要となる。
仮想物画像取得部15は、ディスプレイ60cに表示すべき仮想物画像を生成する。仮想物画像は、コンピュータグラフィックス(CG)であり、人物や物の画像であってもよいし、文字、図形、記号などであってもよい。仮想物画像取得部15は、制御部20から供給される制御信号に基づいて仮想物画像を生成する。尚、仮想物画像取得部15は、制御部20から供給される制御信号に基づいて予め記憶媒体に記憶された複数の仮想物画像の中から1の仮想物画像を抽出することにより仮想物画像を取得してもよい。仮想物画像取得部15は、取得した仮想物画像を輝度検出部21および画像構築部17cに供給する。
輝度検出部21は、制御部20から供給される現実環境画像に含まれる遮蔽物画像と背景画像の各々の輝度および仮想物画像取得部15から供給される仮想物画像の輝度を検出し、これらの画像の輝度を示す輝度データを出力する。尚、輝度検出部21は、制御部20から供給される境界位置データに基づいて遮蔽物画像と背景画像の位置を特定することができる。輝度検出部21は、生成した輝度データを輝度算出部14cに供給する。
配置算出部16cは、制御部20から供給される境界位置データによって示される遮蔽物画像と仮想物画像との境界線上に、仮想物画像取得部15によって取得された仮想物画像を重ねるべく仮想物画像の配置を算出する。すなわち、配置算出部16cは、仮想物画像が遮蔽物画像と十字交点を形成して交差するべく仮想物画像の配置を算出する。配置算出部16cは、算出した仮想物画像の配置をディスプレイ60c上における座標系で表示した配置データとして出力して画像構築部17cに供給する。
輝度算出部14cは、図5(b)に示すように、仮想物画像Vが配置データに基づいてディスプレイ上に配置されたときに、遮蔽物画像Cと仮想物画像Vとの間で透明視が成立する仮想物画像Vの輝度を算出する。すなわち、輝度算出部14cは、輝度検出部21にから供給される輝度データによって示される遮蔽物画像C(領域R4)の輝度と、背景画像B(領域R3)の輝度と、仮想物画像について予め設定されている初期の輝度を参照し、領域R1〜R4の輝度の大きさの順序が上記した安定透明視または両義的透明視の成立条件を満たすような仮想物画像Vの輝度(領域R1および領域R2の輝度)を算出する。ここで、領域R1は、仮想物画像Vの背景画像Bと重なる部分の領域である。領域R2は、仮想物画像Vの遮蔽物画像Cと重なる部分の領域である。領域R3は、背景画像Bの仮想物画像Vと重ならない部分の領域である。領域R4は、遮蔽物画像Cの仮想物画像Vと重ならない部分の領域である。
輝度算出部14cは、領域R1の輝度a、領域R2の輝度a’、領域R3の輝度bおよび領域R4の輝度b’の大きさの順序が安定透明視の成立条件であるb>b’>a’>a若しくはa>a’>b’>bを満たすように、または両義的透明視の成立条件であるb>(b’,a)>a’若しくはa’>(b’,a)>b若しくはb’>(b,a’)>a若しくはa>(b,a’)>b’(但し括弧内は順不同、いずれも|a’−b’|<|a−b|)を満たすような仮想物画像Vの背景画像Bと重なる部分(領域R1)の輝度aと、仮想物画像Vの遮蔽物画像Cと重なる部分(領域R2)の輝度a’の値を算出し、算出した値を変調輝度データとして出力して画像構築部17cに供給する。尚、輝度算出部14cは、遮蔽物画像と仮想物画像との間で透明視が成立するように、仮想物画像の輝度のみならず遮蔽物画像や背景画像の輝度を算出してもよい。
画像構築部17cは、仮想物画像が遮蔽物画像と重なる部分(領域2)および仮想物画像が背景画像と重なる部分(領域3)の輝度を、それぞれ、輝度算出部14cによって算出された輝度となるように調整するとともに、仮想物画像を配置算出部16cによって算出された位置に配置することにより、現実環境画像とこれに重畳された仮想物画像とからなる重畳画像の構築を行い、構築した重畳画像の画像データをディスプレイ60cに供給する。
輝度算出部14c、仮想物画像取得部15、配置算出部16c、画像構築部17c、制御部20および輝度検出部21は、図20に示される後述の画像重畳処理ルーチンの各ステップを記述した画像重畳処理プログラムを格納したROMと、画像重畳処理プログラムを実行するためのCPUと、CPUにおける処理内容を一時的に記憶しておくためのRAM等を備えたコンピュータで構成することができる。
次に本発明の第4の実施形態に係る画像重畳処理装置4によって実行される画像重畳処理ルーチンについて図20に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
ステップS41において、制御部20は、例えば外部から供給される制御入力に応じて撮像部30に対して撮像を開始すべき制御信号を供給する。これにより撮像部30は、現実環境に存在する壁や建物などの遮蔽物やその後方に延在する背景を含む現実環境を撮像して現実環境画像の画像データを生成し、生成した画像データを制御部20に供給する。制御部20は受信した現実環境画像の画像データを輝度検出部21および画像構築部17cに供給する。
ステップS42において、制御部20は、境界位置検出部11に対して境界位置検出を開始すべき制御信号を供給する。これにより、境界位置検出部11は、撮像部30の撮像対象となっている遮蔽物とその後方に延在する背景との境界を検出して境界位置データを生成し、生成した境界位置データを制御部20に供給する。制御部20は受信した境界位置データを輝度検出部21および配置算出部16cに供給する。
ステップS43において、制御部20は仮想物画像取得部15に対して仮想物画像を取得すべき制御信号を供給する。この制御信号には、取得すべき仮想物画像の内容が示されていてもよい。仮想物画像取得部15は、この制御信号に基づいて、仮想物画像を生成し又は仮想物画像を記憶した記憶媒体から抽出する。仮想物画像取得部15は、取得した仮想物画像の画像データを輝度検出部21および画像構築部17cに供給する。
ステップS44において、輝度検出部21は、制御部20から供給される境界位置データ、現実環境画像の画像データおよび仮想物画像取得部15から供給される仮想物画像の画像データから遮蔽物画像の輝度、背景画像の輝度および仮想物画像の輝度を検出し、これらの画像の各々の輝度を示す輝度データを生成する。輝度検出部21は生成した輝度データを輝度算出部14cに供給する。
ステップS45において、配置算出部16cは、制御部20から供給される境界位置データによって示される遮蔽物画像と背景画像との境界線上に、仮想物画像取得部15によって取得された仮想物画像を重ねるべく仮想物画像の配置を算出する。すなわち、配置算出部16cは、仮想物画像が遮蔽物画像と十字交点を形成して交差するべく仮想物画像の配置を算出し、算出した配置を配置データとして出力し、画像構築部17cに供給する
ステップS46において、輝度算出部14cは、図7に示す輝度算出処理ルーチンを実行することにより、遮蔽物画像との間で透明視が成立する仮想物画像の輝度を算出して変調輝度データを生成する。本実施例においては、仮想物画像の背景画像と重なる部分(領域R1)の輝度が輝度aに対応し、仮想物画像の遮蔽物画像と重なる部分(領域R2)の輝度が輝度a’に対応し、背景画像の仮想物画像と重ならない部分(領域R3)の輝度が輝度bに対応し、遮蔽物画像の仮想物画像と重ならない部分(領域R4)の輝度が輝度b’に対応する。輝度算出部14cによる輝度算出処理ルーチンが終了すると図20に示すフローチャートのステップS47に進む。
ステップS47において、画像構築部17cは、仮想物画像が遮蔽物画像と重なる部分(領域2)の輝度a’および仮想物画像が背景画像と重なる部分(領域1)の輝度aを、それぞれ、輝度算出部14cから供給された変調輝度データに基づいて調整するとともに、仮想物画像を配置算出部16cによって算出された位置に配置することにより、現実環境画像とこれに重畳された仮想物画像とからなる重畳画像の構築を行う。構築された現実環境画像と仮想物画像とからなる重畳画像の画像データはディスプレイ60cに供給される。ディスプレイ60上に表示された仮想物画像は、遮蔽物画像と間で透明視が成立しており、遮蔽物画像の背後に存在しているかのように視認される。以上の各ステップを経ることにより画像重畳処理ルーチンが終了する。尚、上記した画像重畳処理ルーチンの各ステップをコンピュータに実行させるための画像重畳処理プログラムが構成され得る。
以上の説明から明らかなように、本発明の第4の実施形態に係る画像重畳処理装置4によれば、撮像部30によって取得された現実環境画像に対して透明視が成立するように仮想物画像を重畳表示することが可能となる。
(第5の実施形態)
図21は、本発明の第5の実施形態に係る画像重畳処理装置5の構成を示す図である。画像重畳処理装置5は、マーカ画像を取得するマーカ画像取得部18を有する。画像重畳処理装置5は、上記した第2の実施形態に係る画像重畳処理装置2と同様、現実環境画像との間で透明視が成立するようにマーカ画像を表示するとともに仮想物画像を遮蔽物画像と完全に重なるように表示する。画像重畳処理装置5によれば「透明視の伝播」の効果によって遮蔽物画像と仮想物画像との間で透明視を成立させることが可能となる。
(第6の実施形態)
図22は、本発明の第6の実施形態に係る画像重畳処理装置6の構成を示す図である。画像重畳処理装置6は、コントラスト調整部19を有する。画像重畳処理装置6は、上記した第3の実施形態に係る画像重畳処理装置3と同様、マーカ画像と遮蔽物画像とのコントラストを仮想物画像と遮蔽物画像とのコントラストよりも大とするようにコントラスト調整を行う。これにより、マーカ画像によってもたらされる「透明視の伝播」の効果をより高めることが可能となる。
尚、上記した説明においては、理解を容易にするために仮想物画像の輝度が一様であって輝度分布を有しない場合について説明した。仮想物画像の輝度が一様ではなく、輝度分布を有している場合には、仮想物画像の平均輝度値mを求め、仮想物画像が一様な平均輝度値mを有するものとして、上記した例に倣って透明視が成立する仮想物画像における輝度aおよび輝度a’の値を求める。そして、求めた輝度aおよび輝度a’と平均輝度mの差分ΔlおよびΔl’を求め、この差分ΔlとΔl’をそれぞれ、輝度分布を有する仮想物画像の領域R1および領域R2における輝度値に加算すればよい。また、このような仮想物画像の輝度の調整を、遮蔽物と背景の境界近傍の一定範囲についてのみ行うこととしてもよい。
1、2、3、4、5、6 画像重畳処理装置
11 境界位置検出部
12 輝度測定部
13 境界位置算出部
14、14a、14c 輝度算出部
15 仮想物画像取得部
16、16a、16c 配置算出部
17、17a、17b、17c 画像構築部
18 マーカ画像取得部
19 コントラスト調整部
20 制御部
21 輝度検出部
30 撮像部
60、60c ディスプレイ

Claims (13)

  1. 表示画面を通して視認される現実環境における物体に仮想物画像を重畳させて前記表示画面上に表示する重畳画像処理装置であって、
    前記物体と前記物体後方の背景との境界を検出する境界検出手段と、
    前記物体の輝度と前記背景の輝度とを測定して前記物体の輝度と前記背景の輝度とを示す輝度データを生成する輝度測定手段と、
    前記境界検出手段によって検出された前記境界の前記表示画面上の対応位置を算出する境界位置算出手段と、
    前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得する仮想物画像取得手段と、
    前記境界位置算出手段によって算出された前記境界の前記表示画面上の対応位置と重なるように前記仮想物画像を前記表示画面上に配置する画像配置手段と、
    前記輝度データを参照して、前記物体の輝度と、前記背景の輝度と、前記仮想物画像が前記表示画面上において前記物体と重なる第1の部分の輝度と、前記仮想物画像が前記表示画面上において前記背景と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように前記仮想物画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整する輝度調整手段と、
    を含む画像重畳処理装置。
  2. 表示画面を通して視認される現実環境における物体に仮想物画像を重畳させて前記表示画面上に表示する重畳画像処理装置であって、
    前記物体と前記物体後方の背景との境界を検出する境界検出手段と、
    前記物体の輝度と前記背景の輝度とを測定して前記物体の輝度と前記背景の輝度とを示す輝度データを生成する輝度測定手段と、
    前記境界検出手段によって検出された前記境界の前記表示画面上の対応位置を算出する境界位置算出手段と、
    前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得する仮想物画像取得手段と、
    前記表示画面上に表示されるべきマーカ画像を、生成または前記マーカ画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するマーカ画像取得手段と、
    前記境界位置算出手段によって算出された前記境界の前記表示画面上の対応位置と重なるように前記マーカ画像を配置するとともに前記表示画面上において前記物体と重なる位置に前記仮想物画像を配置する画像配置手段と、
    前記輝度データを参照して、前記物体の輝度と、前記背景の輝度と、前記マーカ画像が前記表示画面上において前記物体と重なる第1の部分の輝度と、前記マーカ画像が前記表示画面上において前記背景と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように前記マーカ画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整する輝度調整手段と、
    を含む画像重畳処理装置。
  3. 前記マーカ画像生成手段は、互いに離間した2つのマーカ片を前記マーカ画像として生成し、
    前記画像配置手段は、前記境界位置算出手段によって算出された前記境界の前記表示画面上の対応位置が前記2つのマーカ片の間に位置するように前記マーカ画像を配置する請求項2に記載の画像重畳処理装置。
  4. 前記マーカ画像の前記第1の部分と前記物体との輝度差が、前記仮想物画像と前記物体との輝度差よりも大となるように前記マーカ画像および前記仮想物画像の少なくとも一方の輝度を調整するコントラスト調整手段を更に含む請求項2又は3に記載の画像重畳処理装置。
  5. 現実環境における物体の画像に仮想物画像を重畳させて表示画面上に表示する重畳画像処理装置であって、
    前記物体と前記物体後方の背景を撮像して物体画像と背景画像を含む現実環境画像を生成する撮像手段と、
    前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを検出して前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを示す輝度データを生成する輝度検出手段と、
    前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得する仮想物画像取得手段と、
    前記仮想物画像を前記物体画像と前記背景画像の境界上に配置する画像配置手段と、
    前記輝度データを参照し、前記物体画像の輝度と、前記背景画像の輝度と、前記仮想物画像の前記物体画像と重なる第1の部分の輝度と、前記仮想物画像の前記背景画像と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように前記仮想物画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整する輝度調整手段と、
    を含む画像重畳処理装置。
  6. 現実環境における物体の画像に仮想物画像を重畳させて表示画面上に表示する重畳画像処理装置であって、
    前記物体と前記物体後方の背景を撮像して物体画像と背景画像を含む現実環境画像を生成する撮像手段と、
    前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを検出して前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを示す輝度データを生成する輝度検出手段と、
    前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得する仮想物画像取得手段と、
    前記現実環境画像に重畳表示されるべきマーカ画像を、生成または前記マーカ画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するマーカ画像取得手段と、
    前記マーカ画像を前記物体画像と前記背景画像の境界上に配置するとともに前記仮想物画像を前記物体画像上に配置する画像配置手段と、
    前記輝度データを参照して、前記物体画像の輝度と、前記背景画像の輝度と、前記マーカ画像の前記物体画像と重なる第1の部分の輝度と、前記マーカ画像の前記背景画像と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように、前記マーカ画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整する輝度調整手段と、
    を含む画像重畳処理装置。
  7. 前記マーカ画像生成手段は、互いに離間した2つのマーカ片を前記マーカ画像として生成し、
    前記画像配置手段は、前記物体画像と前記背景画像の境界が前記2つのマーカ片の間に位置するように前記マーカ画像を配置する請求項6に記載の画像重畳処理装置。
  8. 前記マーカ画像の前記第1の部分と前記物体画像との輝度差が、前記仮想物画像と前記物体画像との輝度差よりも大となるように前記マーカ画像および前記仮想物画像の少なくとも一方の輝度を調整するコントラスト調整手段を更に含む請求項6または7に記載の画像重畳処理装置。
  9. 表示画面を通して視認される現実環境における物体に仮想物画像を重畳させて前記表示画面上に表示する重畳画像処理方法であって、
    制御手段が、境界検出手段に現実環境における物体と前記物体後方の背景との境界を検出させるステップと、
    制御手段が、輝度測定手段に前記物体の輝度と前記背景の輝度とを測定させ前記物体の輝度と前記背景の輝度とを示す輝度データを生成させるステップと、
    境界位置算出手段が、前記境界検出手段によって検出された前記境界の前記表示画面上の対応位置を算出するステップと、
    仮想物画像取得手段が、前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するステップと、
    画像配置手段が、前記境界位置算出手段によって算出された前記境界の前記表示画面上の対応位置と重なるように前記仮想物画像を前記表示画面上に配置するステップと、
    輝度調整手段が、前記輝度データを参照して、前記物体の輝度と、前記背景の輝度と、前記仮想物画像が、前記表示画面上において前記物体と重なる第1の部分の輝度と、前記仮想物画像が前記表示画面上において前記背景と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように前記仮想物画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整するステップと、
    を含む画像重畳処理方法。
  10. 表示画面を通して視認される現実環境における物体に仮想物画像を重畳させて前記表示画面上に表示する重畳画像処理方法であって、
    制御手段が、境界検出手段に現実環境における物体と前記物体後方の背景との境界を検出させるステップと、
    制御手段が、輝度測定手段に前記物体の輝度と前記背景の輝度とを測定させ前記物体の輝度と前記背景の輝度とを示す輝度データを生成させるステップと、
    境界位置算出手段が、前記境界検出手段によって検出された前記境界の表示画面上の対応位置を算出するステップと、
    仮想物画像取得手段が、前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するステップと、
    マーカ画像取得手段が、前記表示画面上に表示されるべきマーカ画像を、生成または前記マーカ画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するステップと、
    画像配置手段が、前記境界位置算出手段によって算出された前記境界の前記表示画面上の対応位置と重なるように前記マーカ画像を配置するとともに前記表示画面上において前記物体と重なるように前記仮想物画像を配置するステップと、
    輝度調整手段が、前記輝度データを参照して、前記物体の輝度と、前記背景の輝度と、前記マーカ画像が前記表示画面上において前記物体と重なる第1の部分の輝度と、前記マーカ画像が前記表示画面上において前記背景と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように前記マーカ画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整するステップと、
    を含む画像重畳処理方法。
  11. 現実環境における物体の画像に仮想物画像を重畳させて表示画面上に表示する重畳画像処理方法であって、
    制御手段が、撮像手段に前記物体と前記物体後方の背景を撮像させ物体画像と背景画像を含む現実環境画像を生成させるステップと、
    輝度検出手段が、前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを検出して前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを示す輝度データを生成するステップと、
    仮想物画像取得手段が、前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するステップと、
    画像配置手段が、前記仮想物画像を前記物体画像と前記背景画像の境界上に配置するステップと、
    輝度調整手段が、前記輝度データを参照し、前記物体画像の輝度と、前記背景画像の輝度と、前記仮想物画像の前記物体画像と重なる第1の部分の輝度と、前記仮想物画像の前記背景画像と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように前記仮想物画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整するステップと、
    を含む画像重畳処理方法。
  12. 現実環境における物体の画像に仮想物画像を重畳させて表示画面上に表示する重畳画像処理方法であって、
    制御手段が、撮像手段に前記物体と前記物体後方の背景を撮像させ物体画像と背景画像を含む現実環境画像を生成させるステップと、
    輝度検出手段が、前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを検出して前記物体画像の輝度と前記背景画像の輝度とを示す輝度データを生成するステップと、
    仮想物画像取得手段が、前記仮想物画像を、生成または前記仮想物画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するステップと、
    マーカ画像取得手段が、前記現実環境画像に重畳表示されるべきマーカ画像を、生成または前記マーカ画像を記憶した記憶媒体からの抽出によって取得するステップと、
    画像配置手段が、前記マーカ画像を前記物体画像と前記背景画像の境界上に配置するとともに前記仮想物画像を前記物体画像上に配置するステップと、
    輝度調整手段が、前記輝度データを参照して、前記物体画像の輝度と、前記背景画像の輝度と、前記マーカ画像の前記物体画像と重なる第1の部分の輝度と、前記マーカ画像の前記背景画像と重なる第2部分の輝度の大きさの順序が安定透明視条件または両義的透明視条件を満たすように、前記マーカ画像の前記第1の部分の輝度および前記第2の部分の輝度を調整するステップと、
    を含む画像重畳処理方法。
  13. 請求項9乃至12のいずれか1つ記載の画像重畳処理方法の各ステップをコンピュータに実行させる画像重畳処理プログラム。
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