以下,本実施の形態について,図を用いて説明する。
図1は,本実施の形態による環境情報管理システムの例を説明する図である。
図1に示す環境情報管理システム10は,ある企業S社が備えるシステムである。環境情報管理システム10は,有害物質規制を遵守した環境配慮型製品作りを支援するために,製品に用いられる部品や材料などの情報を管理するシステムである。環境情報管理システム10は,1または複数のコンピュータによって実現される。
一般に,部品や材料を仕入れ,製品を製造し,製品を納入する過程がある場合,製品を製造する企業から見て,部品や材料の仕入先企業は川上企業と呼ばれ,製品の納入先企業は川下企業と呼ばれる。図1に示す例では,部品を用いて製品を製造するS社にとって,部品の仕入先であるE社,F社,G社が川上企業となり,製品の納入先であるA社,B社,C社,D社が川下企業となる。以下では,S社にとって,製品の納入先となる川下企業を単に納入先とも呼び,部品の仕入先となる川上企業を単に仕入先とも呼ぶ。
納入先システム20(a〜d)は,S社が製造する製品の納入先,すなわち川下企業のコンピュータシステムである。図1に示す例では,S社の環境情報管理システム10と,納入先である各川下企業の納入先システム20とは,ネットワークを介して通信可能である。納入先システム20から環境情報管理システム10に対する製品についての問い合わせや,環境情報管理システム10から納入先システム20に対する製品の情報提供などが行われている。
仕入先システム30(e〜g)は,S社が製造する製品に使用される部品の仕入先,すなわち川上企業のコンピュータシステムである。S社の環境情報管理システム10と,仕入先である川上企業の仕入先システム30とは,ネットワークを介して通信可能である。環境情報管理システム10から仕入先システム30に対する部品についての問い合わせや,仕入先システム30から環境情報管理システム10に対する部品の情報提供などが行われている。
本実施の形態に示す具体例では,S社は,電子基板を製造する企業であるものとする。S社にとって川上企業であるE社,F社,G社は,抵抗やコンデンサなどの電子部品を製造する企業であるものとする。S社は,E社,F社,G社から仕入れた抵抗やコンデンサなどの電子部品を配置した電子基板を製造する。S社は,製造した電子基板をA社,B社,C社,D社に納入する。S社にとっての川下企業であるA社,B社,C社,D社は,例えば電子基板を組み込んだ電化製品を製造する企業や,電子基板を組み込んだ自動車を製造する企業などであるものとする。S社にとっては,抵抗やコンデンサなどを組み込んだ電子基板が製品となるが,A社,B社,C社,D社にとっては,電化製品や自動車などの製品に組み込む電子基板が部品となる。
S社の環境情報管理システム10は,問い合わせ機能部100を備える。問い合わせ機能部100は,環境情報管理システム10において,部品に含まれる特定の含有物質の濃度についての,部品の仕入先に対する問い合わせを行う機能部である。
例えば,S社が,製造した電子基板の納入先の川下企業からの調査依頼に応じて,納入する電子基板がどのような部品や材料で構成され,それらの部品や材料が納入先が定める特定の含有物質の基準をクリアしているか否か等を調査して,回答する場合がある。その際,S社は,調査依頼元の納入先に納入する電子基板に組み込まれる部品や材料の仕入先である川上企業に,該部品や材料についての問い合わせを行う。
例えば,S社は,仕入先が回答しやすいように,回答欄などを設けた問い合わせフォームを作成して,仕入先に対する問い合わせを行う。この場合,仕入先は,S社が作成した問い合わせフォームに回答を入力または記入することで,S社からの問い合わせに対する回答を行う。
特定の含有物質の基準に基づいた調査における問い合わせフォームとしては,例えば,RoHS指令に基づいた問い合わせフォームが考えられる。RoHS指令では6つの特定有害物質の含有基準値が定められており,RoHS指令に基づいた問い合わせフォームは,それら6つの有害物質について基準をクリアしているか否かを問い合わせるフォームとなる。
しかし,納入先には,RoHS指令で指定された基準を自社の基準としてそのまま採用している企業もあれば,RoHS指令よりも厳しい独自の基準を設ける企業もある。このように納入先ごとに含有物質の基準が異なるので,ある納入先の基準を用いて仕入先に対して問い合わせた際に得られた回答が,他の納入先の基準についての回答として利用できない場合もある。
仕入先から物質の含有量の回答が得られれば,その回答と納入先の基準とを照らし合わせることで,基準をクリアしているか否かをS社側で判断することが可能である。しかし,同じ部品でも個体ごとに物質の含有量にバラツキがある場合や,部品に含まれる物質の含有量にノウハウがある場合などもあり,仕入先側としては,具体的な数値で回答できないまたは回答したくないという事情がある。このような事情から,S社は,納入先から調査依頼を受けるたびに,その納入先の基準で仕入先に問い合わせを行わなければならなく,そのたびに仕入先はS社からの問い合わせに回答しなければならない,という問題が発生する。
本実施の形態による問い合わせ機能部100は,同じ部品を組み込んだ製品を納入する複数の納入先に応じた複数の基準について,該部品の仕入先に対して問い合わせを行うことで,該仕入先の回答負荷を低減する。
図2は,本実施の形態による環境情報管理システムが備える問い合わせ機能部の機能構成の一例を示す図である。
問い合わせ機能部100は,調査受付部101,調査基準処理部102,他基準処理部103,判定部104,出力部105,回答受付部106,回答記録部107,情報記憶部109を備える。
情報記憶部109は,環境情報管理システム10で管理される様々なデータを記憶する記憶部である。情報記憶部109は,パターン情報記憶部110,基準情報記憶部120,納入品情報記憶部130,構成部品情報記憶部140,仕入先情報記憶部150,問い合わせ様式情報記憶部160,補助調査結果情報記憶部170,調査結果情報記憶部180を備える。
パターン情報記憶部110は,パターン情報を記憶する記憶部である。本実施の形態によるパターン情報は,納入先と許容濃度基準のパターンとの対応が記録された情報である。基準情報記憶部120は,基準情報を記憶する記憶部である。基準情報は,許容濃度基準を管理する情報である。許容濃度基準は,特定の含有物質について許容される濃度の基準である。
納入品情報記憶部130は,納入品情報を記憶する記憶部である。納入品情報は,納入先に納入している物品の管理情報である。以下では,納入先に納入する物品を納入品と呼ぶ。構成部品情報記憶部140は,構成部品情報を記憶する記憶部である。構成部品情報は,納入品に使用される部品の管理情報である。仕入先情報記憶部150は,仕入先情報を記憶する記憶部である。仕入先情報は,部品の仕入先を管理する情報である。
問い合わせ様式情報記憶部160は,問い合わせ様式のデータを記憶する記憶部である。問い合わせ様式のデータは,仕入先が問い合わせに対して回答しやすいように,回答欄などの入力/記入欄を設けた様式のデータである。例えば,問い合わせ様式のデータは,仕入先への問い合わせが記述された文書のデータなどである。また,例えば,仕入先がブラウザでアクセス可能なWebサイトを用意する場合に,問い合わせ様式のデータが,Webサイトの画面に問い合わせの内容を提示するデータであってもよい。
補助調査結果情報記憶部170は,補助調査結果情報を記憶する記憶部である。補助調査結果情報は,過去の問い合わせ時に得られた過去の回答が記録された情報である。ここでは,補助調査結果情報は,仕入先から得られた回答を,許容濃度基準のパターンごと部品ごとに管理する情報であるものとする。調査結果情報記憶部180は,調査結果情報を記憶する記憶部である。調査結果情報は,調査依頼をしてきた納入先に対して回答する調査結果の情報である。
調査受付部101は,第1の納入先の指定を受け付ける。第1の納入先が,調査対象の納入先となる。例えば,調査受付部101は,納入先から調査依頼を受け付けた際に,該納入先を第1の納入先とした指定を受け付けたものとする。なお,ユーザの操作によって,調査受付部101が,第1の納入先の指定を受け付けるようにしてもよい。
調査基準処理部102は,パターン情報記憶部110に記憶されたパターン情報,基準情報記憶部120に記憶された基準情報を参照し,第1の許容濃度基準を特定する。第1の許容濃度基準は,指定された第1の納入先に対応する許容濃度基準である。パターン情報と基準情報との組み合わせが,納入先と許容濃度基準との対応を示す情報となる。
調査基準処理部102は,納入品情報記憶部130に記憶された納入品情報,構成部品情報記憶部140に記憶された構成部品情報を参照し,第1の納入先への納入品に含まれる要素を抽出する。なお,要素は,納入品の構成要素を示す。例えば,納入品が抵抗などの電子部品である場合に,その電子部品を構成する材料が要素となる。また例えば,納入品が電子基板である場合に,その電子基板を構成する抵抗などの部品が要素となる。調査基準処理部102は,仕入先情報記憶部150に記憶された仕入先情報を参照し,第1の納入先への納入品から抽出された要素の仕入先を特定する。
調査基準処理部102は,第1の納入先への納入品から抽出された要素について,該要素に対する第1の許容濃度基準についての問い合わせを含む,該要素の仕入先に対する問い合わせ様式のデータを生成する。なお,第1の納入先への納入品から,複数の仕入先から仕入れた要素が抽出された場合には,仕入先ごとの複数の問い合わせ様式のデータが生成される。また,仕入先が同じ複数の要素がある場合,それらの要素についての問い合わせを,同じ問い合わせ様式のデータに含めるようにしてもよい。生成された問い合わせ様式のデータは,問い合わせ様式情報記憶部160に記憶される。
なお,調査基準処理部102は,補助調査結果情報記憶部170に記憶された補助調査結果を参照し,問い合わせ様式のデータに含まれる問い合わせに,補助調査結果情報に過去の回答が存在する問い合わせがあるかを判定する。問い合わせ様式のデータに過去の回答が存在する問い合わせがあれば,調査基準処理部102は,その問い合わせについて,問い合わせ様式のデータに,補助調査結果情報に存在する過去の回答を含めるようにしてもよい。
他基準処理部103は,第2の納入先に対応する第2の許容濃度基準を特定する。第2の納入先は,第1の納入先への納入品から抽出された要素と同じ要素を含む納入品を納入する納入先である。第2の納入先が複数存在する場合もある。
より具体的には,他基準処理部103は,構成部品情報記憶部140に記憶された構成部品情報,納入品情報記憶部130に記憶された納入品情報を参照し,第1の納入先への納入品から抽出された要素と同じ要素が含まれる納入品を検出し,その納入品を納入する第2の納入先を検出する。なお,ここでは,検出される納入品に,第1の納入先への納入品が含まれるものとする。他基準処理部103は,パターン情報記憶部110に記憶されたパターン情報,基準情報記憶部120に記憶された基準情報を参照し,検出された第2の納入先に対応する第2の許容濃度基準を特定する。
他基準処理部103は,第2の許容濃度基準が第1の許容濃度基準と異なる場合に,問い合わせ様式のデータに,第1の納入先への納入品から抽出された要素に対する第2の許容濃度基準についての問い合わせを追加する。第2の許容濃度基準が第1の許容濃度基準と同じ場合には,第1の納入先に対応する第1の許容濃度基準についての回答を,第2の納入先に流用することが可能であるので,問い合わせ様式のデータに第2の許容濃度基準についての問い合わせを追加しなくてよい。
なお,他基準処理部103は,補助調査結果情報記憶部170に記憶された補助調査結果を参照し,問い合わせ様式のデータに追加する問い合わせについて,補助調査結果情報に過去の回答が存在するかを判定する。追加する問い合わせについて過去の回答が存在すれば,他基準処理部103は,その問い合わせについて,問い合わせ様式のデータに,補助調査結果情報に存在する過去の回答を含めるようにしてもよい。
判定部104は,問い合わせ様式情報記憶部160に記憶された問い合わせ様式のデータについて,仕入先に問い合わせを行うか否かを判定する。例えば,判定部104は,すべての第1の許容濃度基準の問い合わせに過去の回答が存在する問い合わせ様式のデータがある場合に,その問い合わせ様式のデータについては,仕入先に問い合わせを行わないと判定する。これは,本来問い合わせの目的としている第1の納入先への納入品に含まれる要素について,第1の納入先に対応する第1の許容濃度基準についての回答がすでに存在するため,ここで仕入先への問い合わせを行う必要がないからである。
なお,本実施の形態による判定部104は,生成された問い合わせ様式のデータで,仕入先への問い合わせを行うか否かを判定しているが,他のタイミングで問い合わせ実行可否の判定を行う実施も可能である。例えば,判定部104が,納入先から調査依頼を受け付けたタイミングで,該納入先への納入品に含まれるすべての要素について,該納入先に対応する許容濃度基準の回答が補助調査結果情報に存在するかをチェックする。この場合,判定部104は,すべての要素について回答が存在する仕入先については,問い合わせを行わないと判定する。このとき,調査基準処理部102,他基準処理部103は,例えば,問い合わせを行うと判定された仕入先の要素についてのみ,処理を行う。
出力部105は,問い合わせ様式情報記憶部160に記憶された問い合わせ様式のデータを出力する。例えば,電子メールで仕入先に問い合わせを行う場合,出力部105は,問い合わせ様式のデータを電子メールに添付して,該当する仕入先に送付する。また,例えば,郵送で仕入先に問い合わせを行う場合,出力部105は,問い合わせ様式のデータをプリンタに出力する。また,例えば,仕入先がブラウザでアクセス可能なWebサイトを用意して問い合わせを行う場合,出力部は,問い合わせ様式のデータをWebサイトにアップする。なお,判定部104により問い合わせを行わないと判定された問い合わせ様式のデータについては,出力部105は出力しない。
回答受付部106は,仕入先から,問い合わせに対する回答データを受け付ける。例えば,仕入先からの回答データが電子メールで送られる場合に,回答受付部106は,電子メールに添付された回答データを受け付ける。また,例えば,仕入先がWebサイトへのアクセスで調査回答を入力する場合に,回答受付部106は,仕入先がWebサイト上で調査回答を入力した回答データを受け付ける。また,例えば,仕入先からの調査回答が記載された書類を郵送等で受け取った場合に,回答受付部106は,書類を見ながらユーザが入力した回答データを受け付ける。
回答記録部107は,受け付けた回答データに含まれる調査回答を,補助調査結果情報記憶部170に記憶された補助調査結果情報や,調査結果情報記憶部180に記憶された調査結果情報に記録する。より具体的には,回答記録部107は,仕入先からの回答データに含まれる調査回答を,許容濃度基準のパターンごと要素ごとに,補助調査結果情報記憶部170の補助調査結果情報に記録する。また,回答記録部107は,仕入先からの回答データに含まれる調査回答のうち,調査依頼元である第1の納入先に対応する第1の許容濃度基準についての調査回答を,調査結果情報記憶部180に記憶された調査結果情報に記録する。
図3は,本実施の形態による環境情報管理システムや問い合わせ機能部を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図1,図2に示す本実施の形態の環境情報管理システム10や問い合わせ機能部100を実現するコンピュータ1は,例えば,CPU(Central Processing Unit )2,主記憶となるメモリ3,記憶装置4,通信装置5,媒体読取・書込装置6,入力装置7,出力装置8等を備える。記憶装置4は,例えばHDD(Hard Disk Drive )等の外部記憶装置や,補助記憶装置などである。媒体読取・書込装置6は,例えばCD−R(Compact Disc Recordable )ドライブやDVD−R(Digital Versatile Disc Recordable )ドライブなどである。入力装置7は,例えばキーボード・マウスなどである。出力装置8は,例えばディスプレイ等の表示装置などである。
図2に示す問い合わせ機能部100や問い合わせ機能部100が備える各機能部は,コンピュータ1が備えるCPU2,メモリ3等のハードウェアと,ソフトウェアプログラムとによって実現することが可能である。コンピュータ1が実行可能なプログラムは,記憶装置4に記憶され,その実行時にメモリ3に読み出され,CPU2により実行される。
コンピュータ1は,可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り,そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また,コンピュータ1は,サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに,逐次,受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。さらに,このプログラムは,コンピュータ1で読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
以下,本実施の形態の問い合わせ機能部100による問い合わせ処理について,より具体的な例を用いて説明する。なお,以下の例では,納入品に組み込まれる要素が,部品であるものとする。
図4は,本実施の形態によるパターンDBの例を示す図である。
図4に示すパターンDB(DataBase)115は,パターン情報記憶部110に記憶されたパターン情報の一例である。図4に示すパターンDB115は,納入先,許容濃度パターンの情報を持つ。納入先は,S社が物品を納入している川下企業を示す。許容濃度パターンは,許容濃度基準のパターンを識別する識別情報である。図4に示すパターンDB115において,A社とC社の許容濃度パターンが同じ“パターン#1”となっている。このことから,A社とC社が同じ許容濃度基準を採用していることが分かる。
図5は,本実施の形態による許容濃度基準DBの例を示す図である。
図5に示す許容濃度基準DB(DataBase)125は,基準情報記憶部120に記憶された基準情報の一例である。図5に示す許容濃度基準DB125は,許容濃度パターン,許容濃度基準の情報を持つ。許容濃度パターンは,許容濃度基準のパターンを識別する識別情報である。許容濃度基準は,特定の含有物質について許容される濃度の基準値[wt% ]を示す。図5に示す許容濃度基準DB125では,RoHS指令で指定された6つの物質,すなわちカドミウム(Cd),鉛(Pb),六価クロム(Cr(IV)),水銀(Hg),ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE),ポリ臭化ビフェニル(PBB)が,特定の含有物質となっている。ここでは,各物質の濃度について,図5の許容濃度基準DB125に示される基準値以下であることが求められている。
図6は,本実施の形態による納入品DBの例を示す図である。
図6に示す納入品DB(DataBase)135は,納入品情報記憶部130に記憶された納入品情報の一例である。図6に示す納入品DB135は,納入先,納入品の情報を持つ。納入先は,S社が物品を納入している川下企業を示す。納入品は,納入先に納入する物品の識別情報である。本実施の形態の例では,納入品が電子基板となる。
図7は,本実施の形態による構成部品DBの例を示す図である。
図7に示す構成部品DB(DataBase)145は,構成部品情報記憶部140に記憶された構成部品情報の一例である。図7に示す構成部品DB145は,納入品,構成部品の情報を持つ。納入品は,納入先に納入する物品の識別情報である。構成部品は,納入品に含まれる部品を示す。本実施の形態の例では,構成部品が電子基板に組み込まれる電子部品となる。
図8は,本実施の形態による仕入先DBの例を示す図である。
図8に示す仕入先DB(DataBase)155は,仕入先情報記憶部150に記憶された仕入先情報の一例である。図8に示す仕入先DB155は,構成部品,仕入先の情報を持つ。構成部品は,納入品に含まれる部品を示す。仕入先は,S社が構成部品を仕入れている川上企業を示す。
図9,図10は,本実施の形態による回答用紙データの例を示す図である。
図9,図10に示す回答用紙データ165a,bは,問い合わせ様式情報記憶部160に記憶された問い合わせ様式のデータの一例である。図9に示す回答用紙データ165aは,仕入先であるE社宛ての問い合わせに用いる問い合わせ様式のデータである。図10に示す回答用紙データ165bは,仕入先であるF社宛ての問い合わせに用いる問い合わせ様式のデータである。図9,図10に示す回答用紙データ165は,文書形式で生成された問い合わせ様式のデータの一例となる。
図9に示す回答用紙データ165aにおいて,許容濃度基準(1)の回答欄は,第1の許容濃度基準についての問い合わせの回答欄であり,許容濃度基準(2)の回答欄は,第2の許容濃度基準についての問い合わせの回答欄である。図10に示す回答用紙データ165bにおいて,許容濃度基準(1)の回答欄は,第1の許容濃度基準についての問い合わせの回答欄であり,許容濃度基準(2)と許容濃度基準(3)の回答欄は,第2の許容濃度基準についての問い合わせの回答欄である。
なお,図10に示す回答用紙データ165bにおいて,許容濃度基準(1)における構成部品“電界コンデンサ250F”の回答欄には,すでに値が記録されている。これは,過去の問い合わせで得られた,構成部品“電界コンデンサ250F”に対する“パターン#1”の許容濃度基準の回答が,補助調査結果情報に存在することを示している。このように,補助調査結果情報に過去の問い合わせで得られた回答が存在する場合に,その回答を回答用紙データ165の回答欄に記録しておくことで,仕入先による回答の手間を低減できる。
図11は,本実施の形態による補助調査結果DBの例を示す図である。
図11に示す補助調査結果DB(DataBase)175は,補助調査結果情報記憶部170に記憶された補助調査結果情報の一例である。図11に示す補助調査結果DB175は,許容濃度パターン,仕入先,構成部品,補助調査結果の情報を持つ。許容濃度パターンは,そのレコードの回答における許容濃度基準のパターンを示す。仕入先は,そのレコードの回答を行った仕入先を示す。構成部品は,そのレコードの回答の対象となる構成部品を示す。補助調査結果は,該当構成部品に対する該当許容濃度パターンについて仕入先から得られた回答を示す。
図12は,本実施の形態による調査結果DBの例を示す図である。
図12に示す調査結果DB(DataBase)185は,調査結果情報記憶部180に記憶された調査結果情報の一例である。図12に示す調査結果DB185は,納入先,納入品,構成部品,仕入先,調査結果の情報を持つ。納入先は,調査依頼元の納入先を示す。納入品は,調査依頼元の納入先に納入する物品を示す。構成部品は,調査依頼元の納入先への納入品に含まれる部品を示す。仕入先は,調査依頼元の納入先への納入品に含まれる構成部品の仕入先を示す。調査結果は,そのレコードの構成部品に対する,納入先に対応する許容濃度パターンについて,仕入先から得られた回答を示す。
図13,図14は,本実施の形態の問い合わせ機能部による問い合わせ処理フローチャートである。
ここでは,問い合わせ機能部100における調査受付部101,調査基準処理部102,他基準処理部103,判定部104,出力部105による処理の流れの一例を示す。なお,図13,図14に示す処理の例は,ある納入先からの調査依頼を受けて実行される問い合わせ処理の例である。
問い合わせ機能部100において,調査受付部101は,調査依頼元である納入先を受け付ける(ステップS10)。より具体的には,調査受付部101は,ある納入先からの調査依頼を受けると,その調査依頼元の納入先を調査対象の納入先として受け付ける。ここで受け付けられた調査対象の納入先が,第1の納入先となる。
調査基準処理部102は,調査対象の納入先に対応する許容濃度パターンを,パターンDB115から取得する(ステップS11)。調査基準処理部102は,取得された許容濃度パターンに対応する許容濃度基準を,許容濃度基準DB125から取得する(ステップS12)。ここで取得された許容濃度基準が,第1の許容濃度基準となる。
調査基準処理部102は,調査対象の納入先に対して納入する納入品を,納入品DB135から取得する(ステップS13)。ここでは,調査基準処理部102は,調査対象の納入先に対して納入する納入品が複数ある場合には,それら複数の納入品をすべて取得するものとする。
調査基準処理部102は,取得された納入品を順に1つ選択する(ステップS14)。調査基準処理部102は,選択された納入品に含まれる構成部品を,構成部品DB145から取得する(ステップS15)。
調査基準処理部102は,取得された構成部品を順に1つ選択する(ステップS16)。調査基準処理部102は,選択された構成部品の仕入先を,仕入先DB155から取得する(ステップS17)。調査基準処理部102は,取得された仕入先の回答用紙データ165が,問い合わせ様式情報記憶部160にあるかを判定する(ステップS18)。
該当仕入先の回答用紙データ165がなければ(ステップS18のNO),調査基準処理部102は,該当仕入先宛ての回答用紙データ165を生成する(ステップS19)。このとき,調査基準処理部102は,生成する回答用紙データ165に,ステップS12で取得された許容濃度基準と,ステップS16で今回選択された構成部品の回答欄とを記録する。該当仕入先の回答用紙データ165があれば(ステップS18のYES),調査基準処理部102は,該当仕入先の回答用紙データ165に,ステップS16で今回選択された構成部品の回答欄を追加する(ステップS20)。なお,追加する構成部品の回答欄の位置は,ステップS12で取得された許容濃度基準についての回答位置である。
調査基準処理部102は,ステップS11で取得された許容濃度パターンとステップS16で選択された構成部品との組み合わせに対応する補助調査結果が,補助調査結果DB175にあるかを判定する(ステップS21)。対応する補助調査結果があれば(ステップS21のYES),調査基準処理部102は,対応する補助調査結果を取得し(ステップS22),取得された補助調査結果を該当仕入先の回答用紙データ165に出力する(ステップS23)。なお,取得された補助調査結果の出力位置は,ステップS16で選択された構成部品の回答欄である。
他基準処理部103は,他基準処理を実行する(ステップS24)。他基準処理は,ステップS16で選択された構成部品を含む納入品について,該納入品を納入する,調査対象の納入先以外の納入先に対応する許容濃度基準を対象とした処理である。他基準処理の詳細については,後述する。
調査基準処理部102は,ステップS15で取得されたすべての構成部品について処理が終了したかを判定する(ステップS25)。すべての構成部品について処理が終了していなければ(ステップS25のNO),調査基準処理部102は,ステップS16の処理に戻って,次の構成部品の処理に移る。
すべての構成部品について処理が終了していれば(ステップS25のYES),調査基準処理部102は,ステップS13で取得されたすべての納入品について処理が終了したかを判定する(ステップS26)。すべての納入品について処理が終了していなければ(ステップS26のNO),調査基準処理部102は,ステップS14の処理に戻って,次の納入品の処理に移る。
すべての納入品について処理が終了していれば(ステップS26のYES),判定部104は,問い合わせ判定処理を実行する(ステップS27)。問い合わせ判定処理は,調査対象の納入先への納入品に含まれる構成部品の仕入先ごとに,問い合わせを行うか否かを判定する処理である。問い合わせ判定処理の詳細については,後述する。
出力部105は,問い合わせを行う仕入先があるかを判定する(ステップS28)。より具体的には,出力部105は,判定部104によって問い合わせを行うと判定された仕入先があるかを判定する。問い合わせを行う仕入先があれば(ステップS28のYES),出力部105は,その仕入先宛ての回答用紙データ165を送付する(ステップS29)。
図15は,本実施の形態の他基準処理部による他基準処理フローチャートである。
他基準処理部103は,図13のステップS16で選択された構成部品を含む納入品を,構成部品DB145から取得する(ステップS30)。ここで取得される納入品には,図13のステップS14で選択された納入品も含まれる。
他基準処理部103は,取得された納入品を順に1つ選択する(ステップS31)。他基準処理部103は,調査対象の納入先以外で,選択された納入品の納入先を,納入品DB135から取得する(ステップS32)。ここで取得された納入先が,第2の納入先となる。
他基準処理部103は,取得された納入先を順に1つ選択する(ステップS33)。他基準処理部103は,選択された納入先に対応する許容濃度パターンを,パターンDB115から取得する(ステップS34)。他基準処理部103は,ステップS16で選択された構成部品について,取得された許容濃度パターンの回答欄が,該構成部品の仕入先の回答用紙データ165にあるかを判定する(ステップS35)。取得された許容濃度パターンの回答欄があれば(ステップS35のYES),他基準処理部103は,ステップS41の処理に進む。
取得された許容濃度パターンの回答欄がなければ(ステップS35のNO),他基準処理部103は,取得された許容濃度パターンに対応する許容濃度基準を,許容濃度基準DB125から取得する(ステップS36)。ここで取得された許容濃度基準が,第2の許容濃度基準となる。他基準処理部103は,該当仕入先の回答用紙データ165に,取得された許容濃度基準と,ステップS16で選択された構成部品の回答欄とを追加する(ステップS37)。
他基準処理部103は,ステップS34で取得された許容濃度パターンとステップS16で選択された構成部品との組み合わせに対応する補助調査結果が,補助調査結果DB175にあるかを判定する(ステップS38)。対応する補助調査結果があれば(ステップS38のYES),他基準処理部103は,対応する補助調査結果を取得し(ステップS39),取得された補助調査結果を該当仕入先の回答用紙データ165に出力する(ステップS40)。なお,取得された補助調査結果の出力位置は,ステップS37で追加された回答欄である。
他基準処理部103は,ステップS32で取得されたすべての納入先について処理が終了したかを判定する(ステップS41)。すべての納入先について処理が終了していなければ(ステップS41のNO),他基準処理部103は,ステップS33の処理に戻って,次の納入先の処理に移る。
すべての納入先について処理が終了していれば(ステップS41のYES),他基準処理部103は,ステップS30で取得されたすべての納入品について処理が終了したかを判定する(ステップS42)。すべての納入品について処理が終了していなければ(ステップS42のNO),他基準処理部103は,ステップS31の処理に戻って,次の納入品の処理に移る。すべての納入品について処理が終了していれば(ステップS42のYES),他基準処理部103は,他基準処理を終了する。
図16は,本実施の形態の判定部による問い合わせ判定処理フローチャートである。
判定部104は,生成された回答用紙データ165から,回答用紙データ165を順に1つ選択する(ステップS50)。調査対象の納入先への納入品に,複数の仕入先から仕入れた部品が使用されている場合,仕入先ごとに回答用紙データ165が生成されている。
判定部104は,選択された回答用紙データ165において,調査対象の納入先に対応する許容濃度基準のすべての回答欄に,補助調査結果があるかを判定する(ステップS51)。例えば,図9や図10に示す回答用紙データ165において,許容濃度基準(1)の回答欄が,調査対象の納入先に対応する許容濃度基準の回答欄である。
調査対象の納入先に対応する許容濃度基準のすべての回答欄に補助調査結果がある場合(ステップS51のYES),判定部104は,該当する回答用紙データ165の仕入先への問い合わせを行わないと判定する(ステップS52)。このとき,判定部104は,該補助調査結果を調査結果として調査結果DB185に記録する(ステップS53)。なお,調査対象の納入先に対応する許容濃度基準の回答欄に,補助調査結果がない回答欄がある場合(ステップS51のNO),判定部104は,該当する回答用紙データ165の仕入先への問い合わせを行うと判定する(ステップS54)。
判定部104は,生成されたすべての回答用紙データ165について処理が終了したかを判定する(ステップS55)。すべての回答用紙データ165について処理が終了していなければ(ステップS55のNO),判定部104は,ステップS50の処理に戻って,次の回答用紙データ165の処理に移る。すべての回答用紙データについて処理が終了していれば(ステップS55のYES),判定部104は,問い合わせ判定処理を終了する。
調査対象の納入先に対応する許容濃度基準のすべての回答欄に補助調査結果があるということは,その回答用紙データ165の仕入先から仕入れる部品について,すでに必要な回答が補助調査結果DB175に保持されているということである。このような場合に,その仕入先に対する問い合わせを控えることで,仕入先による回答の手間を低減することが可能となる。
なお,判定部104により仕入先への問い合わせを行わないと判定された回答用紙データ165への対処については,該当する回答用紙データ165を削除する,該当する回答用紙データ165に問い合わせを行わない旨を示す情報を付与するなど,任意の設計が可能である。
図17は,本実施の形態の問い合わせ機能部による回答処理フローチャートである。
ここでは,問い合わせ機能部100における回答受付部106,回答記録部107による処理の流れの一例を示す。なお,図17に示す処理の例は,ある納入先からの調査依頼に応じて行った問い合わせに対して,仕入先から回答を得た際の処理の例である。
問い合わせ機能部100において,回答受付部106は,仕入先からの回答データを受け付ける(ステップS60)。ここでは,仕入先から受け付ける回答データは,回答欄に調査回答が入力された回答用紙データ165であるものとする。
回答記録部107は,受け付けた回答データから,調査回答を順に1つ選択する(ステップS61)。ここでの調査回答は,許容濃度基準ごと構成部品ごとの回答である。回答記録部107は,選択された調査回答を補助調査結果として補助調査結果DB175に記録する(ステップS62)。ここで補助調査結果DB175に補助調査結果として記録された調査回答は,後の別の調査依頼に流用可能である。
回答記録部107は,選択された調査回答が調査依頼元の納入先に対応するものであるかを判定する(ステップS63)。より具体的には,回答記録部107は,選択された調査回答の許容濃度基準および構成部品が,調査依頼元の納入先に対応する許容濃度基準および調査依頼元の納入先への納入品に含まれる構成部品であるかを判定する。選択された調査回答が調査依頼元の納入先に対応するものであれば(ステップS63のYES),回答記録部107は,該調査回答を調査結果として調査結果DB185に記録する(ステップS64)。
回答記録部107は,受け付けた回答データのすべての調査回答について処理が終了したかを判定する(ステップS65)。すべての調査回答について処理が終了していなければ(ステップS65のNO),回答記録部107は,ステップS61の処理に戻って,次の調査回答の処理に移る。すべての調査回答について処理が終了していれば(ステップS65のYES),回答記録部107は,処理を終了する。
以下では,本実施の形態の問い合わせ機能部100による処理の具体的な実施例を,図4〜図12に示すデータの例を用いて説明する。
ここでは,S社が,川下企業のA社から,A社に納入するすべての納入品についての調査依頼を受けたものとする。すなわち,調査受付部101は,調査対象の納入先“A社”を受け付ける。
調査基準処理部102は,図4に示すパターンDB115を参照し,“A社”に対応する許容濃度パターンとして,“パターン#1”を得る。また,調査基準処理部102は,図5に示す許容濃度基準DB125を参照し,“パターン#1”に対応する許容濃度基準を得る。これにより,調査対象の納入先“A社”に対応する許容濃度基準が得られる。
調査基準処理部102は,図6に示す納入品DB135を参照し,“A社”に納入する納入品として,“電子基板ID345690”,“電子基板ID976638”を得る。また,調査基準処理部102は,図7に示す構成部品DB145を参照し,“電子基板ID345690”,“電子基板ID976638”にそれぞれ含まれる構成部品を取得する。図7に示す構成部品DB145から,構成部品として,“アキシャルリード抵抗300オーム”,“電界コンデンサ100F”,“アキシャルリード抵抗500オーム”,“電界コンデンサ250F”が得られる。
調査基準処理部102は,図8に示す仕入先DB155を参照し,得られた構成部品の仕入先を取得する。図8に示す仕入先DB155から,“アキシャルリード抵抗300オーム”,“アキシャルリード抵抗500オーム”の仕入先として“E社”が,“電界コンデンサ100F”,“電界コンデンサ250F”の仕入先として“F社”が得られる。
調査基準処理部102は,“E社”宛ての回答用紙データ165aと,“F社”宛ての回答用紙データ165bとを生成する。調査基準処理部102は,双方の回答用紙データ165の許容濃度基準(1)として,調査対象の納入先“A社”に対応する“パターン#1”の許容濃度基準を設定する。
調査基準処理部102は,“E社”宛ての回答用紙データ165aの許容濃度基準(1)に,“アキシャルリード抵抗300オーム”と“アキシャルリード抵抗500オーム”の回答欄を設ける(図9参照)。また,調査基準処理部102は,“F社”宛ての回答用紙データ165bの許容濃度基準(1)に,“電界コンデンサ100F”と“電界コンデンサ250F”の回答欄を設ける(図10参照)。
ここで,調査基準処理部102は,図11に示す補助調査結果DB175を参照し,“電界コンデンサ250F”に対する“パターン#1”についての補助調査結果を得る。調査基準処理部102は,得られた補助調査結果を,“F社”宛ての回答用紙データ165bの許容濃度基準(1)における“電界コンデンサ250F”の回答欄に記録する(図10参照)。
他基準処理部103は,図7に示す構成部品DB145を参照し,“アキシャルリード抵抗300オーム”を含む納入品として,“電子基板ID345690”を取得する。図6に示す納入品DB135から,“電子基板ID345690”の納入先は,調査対象の納入先“A社”のみである。他基準処理部103は,“アキシャルリード抵抗300オーム”について,調査対象の許容濃度基準以外の問い合わせの必要がないと判断する。
他基準処理部103は,図7に示す構成部品DB145を参照し,“アキシャルリード抵抗500オーム”を含む納入品として,“電子基板ID976638”を取得する。他基準処理部103は,図6に示す納入品DB135を参照し,調査対象の納入先“A社”以外で,“電子基板ID976638”を納入する納入先として,“B社”を得る。
他基準処理部103は,図4に示すパターンDB115を参照し,“B社”の許容濃度パターンとして,“パターン#2”を得る。また,他基準処理部103は,図5に示す許容濃度基準DB125を参照し,“パターン#2”に対応する許容濃度基準を得る。他基準処理部103は,“E社”宛ての回答用紙データ165aの許容濃度基準(2)として,“パターン#2”の許容濃度基準を設定する。他基準処理部103は,“E社”宛ての回答用紙データ165aの許容濃度基準(2)に,“アキシャルリード抵抗500オーム”の回答欄を設ける(図9参照)。
他基準処理部103は,図7に示す構成部品DB145を参照し,“電界コンデンサ100F”を含む納入品として,“電子基板ID345690”を取得する。図6に示す納入品DB135から,“電子基板ID345690”の納入先は,調査対象の納入先“A社”のみである。他基準処理部103は,“電界コンデンサ100F”について,調査対象の許容濃度基準以外の問い合わせの必要がないと判断する。
他基準処理部103は,図7に示す構成部品DB145を参照し,“電界コンデンサ250F”を含む納入品として,“電子基板ID976638”と“電子基板ID7398739”とを取得する。
他基準処理部103は,図6に示す納入品DB135を参照し,調査対象の納入先“A社”以外で,“電子基板ID976638”を納入する納入先として,“B社”を得る。他基準処理部103は,図4に示すパターンDB115を参照し,“B社”の許容濃度パターンとして,“パターン#2”を得る。また,他基準処理部103は,図5に示す許容濃度基準DB125を参照し,“パターン#2”に対応する許容濃度基準を得る。他基準処理部103は,“F社”宛ての回答用紙データ165bの許容濃度基準(2)として,“パターン#2”の許容濃度基準を設定する。他基準処理部103は,“F社”宛ての回答用紙データ165bの許容濃度基準(2)に,“電界コンデンサ250F”の回答欄を設ける(図10参照)。
他基準処理部103は,図6に示す納入品DB135を参照し,“電子基板ID7398739”を納入する納入先として,“D社”を得る。他基準処理部103は,図4に示すパターンDB115を参照し,“D社”の許容濃度パターンとして,“パターン#3”を得る。また,他基準処理部103は,図5に示す許容濃度基準DB125を参照し,“パターン#3”に対応する許容濃度基準を得る。他基準処理部103は,“F社”宛ての回答用紙データ165bの許容濃度基準(3)として,“パターン#3”の許容濃度基準を設定する。他基準処理部103は,“F社”宛ての回答用紙データ165bの許容濃度基準(3)に,“電界コンデンサ250F”の回答欄を設ける(図10参照)。
判定部104は,ここまでの処理で得られた,図9に示す“E社”宛ての回答用紙データ165a,図10に示す“F社”宛ての回答用紙データ165bについて,仕入先への問い合わせを行うか否かを判定する。図9,図10に示すように,双方の回答用紙データ165における許容濃度基準(1)の回答欄には,補助調査結果が記録されていない構成部品の回答欄が存在する。判定部104は,図9,図10に示す双方の回答用紙データ165について,仕入先への問い合わせを行うと判定する。
出力部105は,図9に示す回答用紙データ165aを,“E社”に送付する。また,出力部105は,図10に示す回答用紙データ165bを,“F社”に送付する。
その後,“E社”から回答用紙データ165aの回答欄に調査回答が記録された回答データが,“F社”から回答用紙データ165bの回答欄に調査回答が記録された回答データが送られてくる。回答受付部106は,それらの回答データを受け付ける。
回答記録部107は,受け付けた“E社”からの回答データと“F社”からの回答データとから,それぞれ許容濃度基準(1)における各構成部品の調査回答を抽出し,調査結果DB185に記録する。これにより,調査結果DB185は,例えば,図12に示す通りとなる。図12に示す調査結果DB185には,調査依頼元である“A社”への納入品に含まれる各構成部品について,“A社”の許容濃度基準に応じた調査結果が記録されている。図12に示す調査結果DB185から,“A社”からの調査依頼に対する回答を生成することができる。
また,回答記録部107は,受け付けた“E社”からの回答データと“F社”からの回答データとから,すべての許容濃度基準におけるすべての構成部品についての調査回答を抽出し,補助調査結果DB175に記録する。すでに補助調査結果DB175に補助調査結果がある調査回答については,例えば,補助調査結果DB175の補助調査結果を,新たに得られた調査回答で更新する。補助調査結果DB175の補助調査結果を新たに得られた調査回答で更新するか否かを,ユーザに問い合わせるようにしてもよい。
図18は,本実施例による仕入先からの回答受け付け後の補助調査結果DBの例を示す図である。
図18に示す補助調査結果DB175’は,図11に示す補助調査結果DB175に,“E社”からの回答データと“F社”からの回答データとから抽出した調査回答を記録したものである。
図18の補助調査結果DB175’に示すように,本実施の形態では,調査対象の納入先“A社”への納入品に含まれる構成部品について,調査対象の納入先“A社”以外の納入先に対応する許容濃度基準についての調査結果も,補助調査結果として保持される。これらの補助調査結果は,後に納入先から調査依頼を受け付けた際などに,仕入先に問い合わせを行うことなく,使用可能である。また,調査対象の納入先“A社”に対応する許容濃度基準についての補助調査結果も,同じ許容濃度基準を採用している他の納入先から調査依頼を受け付けた際などに,仕入先に問い合わせを行うことなく,流用可能である。
以上説明したように,本実施の形態による問い合わせ機能部100は,調査対象の納入先への納入品に用いられる部品について,該納入先に対応する許容濃度基準とともに,同じ部品を用いた納入品を納入する他の納入先の許容濃度基準についても,仕入先への問い合わせ対象とする。これにより,同じ部品について,異なる許容濃度基準で何度も問い合わせを行う必要がなくなるので,S社による問い合わせの手間を低減でき,仕入先による回答の手間を低減できる。このように,本実施の形態の問い合わせ機能部100によって,部品に対する特定含有物質の濃度基準についての問い合わせに関して,問い合わせ・回答の効率化が図れる。
以上,本実施の形態について説明したが,本発明はその主旨の範囲において種々の変形が可能であることは当然である。
例えば,本実施の形態では,納入先からの調査依頼に応じて仕入先への問い合わせを行う場合の例を示したが,この例に限るものではない。例えば,ある納入先への納入品を設計する際に,該納入品に使用したい部品について問い合わせを行う場合などに,本実施の形態による問い合わせの技術を用いるようにしてもよい。
また,例えば,本実施の形態では,調査対象の納入先に納入するすべての納入品について問い合わせの処理を行っているが,さらに調査対象の納入品の指定を受け付けて,指定された調査対象の納入品のみについて問い合わせの処理を行うようにしてもよい。
また,例えば,補助調査結果を補助調査結果DB175に記録する際に,補助調査結果の取得日時も合わせて記録するようにしてもよい。この場合,後の調査依頼時において,取得日時が所定の期間内の補助調査結果については調査結果として採用し,取得日時から所定の期間が経過した補助調査結果については調査結果として採用せずに,あらためて仕入先に問い合わせを行う,といった実施も可能である。