JP2013194927A - 蓄熱式熱交換器及びそれを用いた入解熱方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱が放散し難く、熱交換率が良好であり、更には、熱の導入(集熱)及び熱の取り出し(排熱、排出)も、効率よく行うことが出来る入解熱手段を提供すること。
【解決手段】多重構造を有し、熱を蓄える蓄熱体1を内部に備えるとともに、その蓄熱体1を内包する内壁5の外周面に、熱を媒介する熱媒体の流路が配置されている蓄熱式熱交換器100の提供による。
【選択図】図1
【解決手段】多重構造を有し、熱を蓄える蓄熱体1を内部に備えるとともに、その蓄熱体1を内包する内壁5の外周面に、熱を媒介する熱媒体の流路が配置されている蓄熱式熱交換器100の提供による。
【選択図】図1
Description
本発明は、蓄熱式熱交換器と、その蓄熱式熱交換器を用いて、光を導入し、その光を熱に変換し、その熱を貯留させ、取り出す方法に関する。
熱を導入し貯留させ取り出す手段(入解熱手段)として、例えば、太陽熱コレクターが知られている。特許文献1に開示されている太陽熱コレクターは、集熱板が太陽の熱で加熱されることによって、その内部に充填された蓄熱材が加熱され、同じく内部に配置された配管内に貯留されている水を、お湯として取り出すことが出来る装置である。この太陽熱コレクターでは、内部を真空状態とした外側ケースの内部に、金属板からなる薄い箱形状の集熱板が配置され、その更に内部には、ジグザグ状に形成された配管が配置されるとともに、蓄熱材が充填されている。そして、配管の一端側(水道側)から水が供給され、集熱板内部で温められたお湯は他端側から排出される。又、蓄熱材が日中に受けた熱を蓄熱しており、集熱板の配管内にも多量のお湯が貯留されている。そのため、夜間等であっても、配管の他端側から十分な量のお湯を排出し、例えば家内へ供給することが可能である。
他に関連する技術として、断熱容器が、特許文献2,3に開示されている。又、蓄熱材ないし蓄熱体の構造に関連する技術は、特許文献4〜6に開示されている。例えば、特許文献4では、電解めっき法によって金属製被膜を被覆した潜熱蓄熱カプセルや、金属製被膜を第一層、第二層又は第三層の多層被膜で構成した潜熱蓄熱カプセルが、提案されている。又、特許文献5には、変化により蓄熱又は放熱する水溶性の潜熱蓄熱材を芯物質とし、この芯物質を無機化合物と有機高分子化合物とが複合化されて形成された複合カプセル壁で被覆された蓄熱マイクロカプセルが、提案されている。更に、特許文献6には、糖類、糖アルコール類、無機塩類、及び無機塩水和物類よりなる群から選ばれる一種又は二種以上の水溶性蓄熱材からなる芯物質と、前記芯物質を被覆する第一カプセル壁と、その第一カプセル壁を被覆するポリマー材からなる第二カプセル壁と、を有する蓄熱マイクロカプセルが提案されている。
しかしながら、上記特許文献1に開示された太陽熱コレクターは、熱が放散し易く、熱交換率が悪い、という問題を抱えていた。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、本発明は、熱が放散し難く、熱交換率が良好であり、更には、熱の導入(集熱)及び熱の取り出し(排熱、排出)も、効率よく行うことが出来る入解熱手段を提供することを、課題とする。研究が重ねられた結果、上記太陽熱コレクターは、既述のように、集熱板の内部にジグザグ状に形成された配管が配置されるとともに蓄熱材が充填されているものであり、蓄熱材に貯留された熱が、その蓄熱材自身が熱伝導経路となって、熱を取り出す配管部以外に、熱が放散してしまう結果、損失が大きくなっていることを突き止めた。そして、これを改善する、以下の手段によって、上記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、先ず、本発明によれば、熱を、導入し、蓄え、取り出すことが出来る、熱交換器であって、多重構造を有し、熱を蓄える蓄熱体を内部に備えるとともに、その蓄熱体を内包する内壁の外周面に、熱を媒介する熱媒体の流路が配置されている蓄熱式熱交換器が提供される。
熱は高温体から低温体へ移る。本発明に係る熱交換器において、内壁に内包される蓄熱体が高温体であり、熱媒体が低温体であり、主に蓄熱体と熱媒体の間で、熱交換が行われる。本明細書において、熱を導入することを、集熱する、又は、入熱する、とも表現する。そして、本発明に係る蓄熱式熱交換器は、導入した熱を蓄えることが出来るものである。これを、蓄熱する、とも表現する。更に、本発明に係る熱交換器は、蓄えた熱を取り出すことが出来るものである。本明細書において、熱を取り出すことを、熱を排出する、又は、排熱する、若しくは、解熱する(熱の排出により温度を下げる)、とも表現する。そして、本明細書において、熱を、導入し、蓄え、取り出すことを、表記上では蓄えを省略して、入解熱、と表現する。従って、本発明に係る熱交換器は、入解熱器、とも表現出来る。熱媒体として好適なものは水であるが、合成油を使用することも出来る。具体的な合成油の例は、シリコーン油系のもの、更に詳細には、例えばジメチルシリコーン油やメチルフェニルシリコーン油等である。
本発明に係る蓄熱式熱交換器においては、上記多重構造は、最も内側から、蓄熱体、その蓄熱体を内包する内壁、熱媒体の流路、その熱媒体の流路を内壁とともに区画する中間壁、熱の放散を遮断する断熱層、及び全体を包む外壁、で構成されることが好ましい。
換言すれば、内壁の中には蓄熱体が収められ、その周囲を実質的に全面にわたって覆う熱媒体の流路が存在する。そして、その熱媒体の流路は、内壁と中間壁(隔壁)で形成され、中間壁の外周面に断熱層が形成され、その断熱層を固定し保護する最外殻として、外壁が存在する。
本発明に係る蓄熱式熱交換器においては、上記熱を導入することが、外部から内部の蓄熱体へ光を導入し、その光を熱へ変換することで行われ、上記光を蓄熱体に導入する行路が、外壁から内壁までを貫通して形成されていることが好ましい。
本発明に係る熱交換器は、熱を導入することが出来るものであるが、この場合、最初に導入されるものは光であり、その光が熱に変換される。結果として、熱が導入されるということである。本明細書においては、単に熱を導入すると表現した場合でも、直接的には光を導入し、その光を熱に変換することを意味する場合がある。又、上記行路は、換言すれば、外壁の外周面側から内壁の内部(蓄熱体)に向けて配設されているということである。特に好ましい態様は、行路が、内壁に内包された蓄熱体の中心部分で開口しているものである。
本発明に係る蓄熱式熱交換器において、熱媒体の流路は、面状の流路であってよいが、その場合に、その流路に隔壁を形成する等の手段で、滞留を抑制することが望ましい。又、より好ましい熱媒体の流路は、次の通りである。
本発明に係る蓄熱式熱交換器においては、熱媒体の流路が、螺旋(スパイラル)状であることが好ましい。
本発明に係る蓄熱式熱交換器においては、蓄熱体が、セラミック又は金属のビーズ状固体であることが好ましい。
本発明に係る蓄熱式熱交換器においては、蓄熱体が、潜熱蓄熱物質を、その融点以上の温度において、固体状態を維持可能な材料からなる外殻の中に充填し封入した構造を有することが好ましい。そして、その潜熱蓄熱物質が、溶融塩又は溶融金属であることが好ましい。又、その潜熱蓄熱物質が、Al、Zn、Cu、Si、Mgからなる物質群のうち少なくとも1種を含む合金であることが好ましい。更に、蓄熱体の外殻が、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、サイアロン、ムライト、炭化ホウ素からなるセラミックス群のうちの1種、又は2種以上を含む複合物であることが好ましい。この場合に、アルミナが、そのアルミナ以外の酸化物を含有し、黒色であることが好ましい。加えて、上記蓄熱体の外殻が、球、円柱、又は多面体のうち何れかの形状であることが好ましい。尚更には、蓄熱体の外殻が、半割であり、ねじ切り構造で一体化されていることが好ましい。
潜熱蓄熱物質は、蓄熱体の構成要素であり、外殻の中に充填されるものであるので、これを内部蓄熱体とも表現する。又、その潜熱蓄熱物質を外殻の中に充填し封入した構造(蓄熱体の構造)を、カプセル型と呼ぶ。半割とは、2分割に出来るということである。その分割された外殻のそれぞれの部材はねじ切り構造を有していて、両者は一体化される。そして、その一体化手段は、ねじ切り部分を嵌合することである。この場合に、ねじ切り部分の嵌合箇所は、耐熱性を有する接着剤により封止されていることが好ましい。こうすることによって、蓄熱体どうしの接触等によって外部からの衝撃が加わった場合であっても、ねじ切り部分の嵌合箇所の外れを、有効に防止することが出来る。特に、蓄熱中において、潜熱蓄熱物質が溶融状態になることがある場合には、その潜熱蓄熱物質の漏れ防止に、特に有効である。
外殻の殻の厚さは、0.5〜10mmであることが好ましく、1〜3mmであることが更に好ましく、1〜2mmであることが特に好ましい。又、外殻が球状の場合に、球体の直径は、5〜50mmであることが好ましく、10〜30mmであることが更に好ましく、20〜25mmであることが特に好ましい。
次に、本発明によれば、多重構造を有し、熱を蓄える蓄熱体を内部に備えるとともに、その蓄熱体を内包する内壁の外周面に、熱を媒介する熱媒体の流路が配置されている蓄熱式熱交換器を用い、入熱時には、外部から内部の蓄熱体へ光を導入し、その光を熱へ変換し、その熱を蓄熱体に貯留し、解熱時には、熱媒体の流路に、流体である熱媒体を流して、外部へ熱を取り出す入解熱方法が提供される。
本発明に係る入解熱方法においては、上記蓄熱式熱交換器における多重構造は、最も内側から、蓄熱体、内壁、熱媒体の流路、その熱媒体の流路を区画する中間壁、熱の放散を遮断する断熱層、及び全体を包む外壁、で構成されるとともに、外壁から内壁までを貫通して形成される行路を有し、上記熱となる光の、内部の蓄熱体への導入は、その行路で行われ、外壁の伝熱及び輻射によって、蓄熱体に熱を貯留することが好ましい。
本発明に係る蓄熱式熱交換器は、内部に蓄熱体を備え、その蓄熱体を内包する内壁の外周面に熱媒体の流路が配置されているので、入解熱に際し、熱が放散し難く、熱交換率が良好である。即ち、集熱された熱を蓄熱体に蓄え、蓄えられたその熱の損失を抑えつつ、流路内の熱媒体(水等)に伝え、排出させることが可能である。蓄熱体を内包する内壁の外周面に熱媒体の流路があるので、従来の太陽熱コレクターのように、熱が、蓄熱体自体を熱伝導経路として、流路以外に放散してしまう、といった問題が生じない。従って、熱の損失が小さいのである。
本発明に係る蓄熱式熱交換器は、好ましくは、外部から内部の蓄熱体に、熱となる光を導入する行路が、外壁から内壁までを貫通して形成されており、特に好ましくは、その行路が、内壁に内包された蓄熱体の中心部分で開口しているので、集熱における熱の損失が小さい。
本発明に係る蓄熱式熱交換器は、熱媒体の流路が、蓄熱体を内包する内壁の外周面に配置されていて、好ましくは螺旋(スパイラル)状であるので、流路が長く、且つ、その全てにおいて、蓄熱体(厳密には内壁)と接している。従って、蓄熱体に蓄えられた熱が流路内の熱媒体に伝わり易く、且つ、熱が流路以外には放散し難い。よって、熱の損失は、特に小さくなり、高い熱交換率で、入解熱を行うことが出来る。又、この熱媒体の流路は、熱媒体を流さない状態では、熱遮蔽層として機能し、外部への熱の放散を少なくすることが出来る。
本発明に係る蓄熱式熱交換器は、好ましくは、熱媒体の流路の外側に断熱層を有するので、外部への熱の放散を抑制可能であり、従って、熱の損失が小さい。
本発明に係る蓄熱式熱交換器は、好ましくは、蓄熱体が、潜熱蓄熱物質(内部蓄熱体)を、その融点以上の温度において、固体状態を維持可能な材料からなる外殻の中に充填し封入した構造を有する。このような蓄熱体は、耐熱性に優れ、機械的強度が高く、物理的及び化学的に安定で、且つエネルギー密度が高い。潜熱蓄熱物質が相変化により溶融した場合であっても、その溶融した潜熱蓄熱物質の漏洩を有効に防止することが出来、安全性に優れる。
本発明に係る蓄熱式熱交換器は、好ましくは、蓄熱体を構成する潜熱蓄熱物質が、溶融塩又は溶融金属であるので、溶融する前の潜熱蓄熱物質の顕熱、潜熱蓄熱物質の潜熱、及び溶融状態の潜熱蓄熱物質の顕熱を利用して、蓄熱を行うことが出来、蓄熱体のエネルギー密度が大きい。この場合、溶融する温度(即ち、融点)が、200〜1300℃、特に好ましくは700〜1300℃であれば、蓄熱体を蓄熱する温度範囲において、溶融状態の潜熱蓄熱物質の顕熱を有効に利用して、蓄熱を行うことが出来る。
本発明に係る蓄熱式熱交換器は、好ましくは、蓄熱体の外殻が、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、サイアロン、ムライト、炭化ホウ素からなるセラミックス群のうちの1種、又は2種以上を含む複合物であるので、耐熱性及び機械的強度に優れる。そして、潜熱蓄熱物質が、相変化により溶融するものであっても、外殻の外側に漏れ出すことを有効に防止することが出来る。又、外殻の顕熱を、蓄熱に有効に利用することが可能である。
本発明に係る蓄熱式熱交換器は、好ましくは、蓄熱体の外殻が球状(球の形状)であるので、機械的強度が高く、取り扱いが容易である。
本発明に係る蓄熱式熱交換器は、好ましくは、蓄熱体の外殻が、半割であり、ねじ切り構造で一体化されているものであるので、製造し易い。即ち、外殻の中に潜熱蓄熱物質が充填された蓄熱体を、簡便に製造することが出来る。
本発明に係る蓄熱式熱交換器は、好ましくは、外殻の殻の厚さが、0.5〜10mmであるので、機械的強度に優れる。外殻の殻の厚さが0.5mm未満であると、機械的強度が低下したり、内部蓄熱体が溶融した場合に、外殻を透過して外部に染み出してしまったりすることがある。一方、外殻の殻の厚さが10mmを超えると、蓄熱体全体の大きさによっても異なるが、相対的に外殻の容積が増大するため、エネルギー密度的に不利な構造になってしまうことがある。
本発明に係る蓄熱式熱交換器は、好ましくは、外殻が球状の場合に、球体の直径が5〜50mmであるので、充填される潜熱蓄熱物質の容積を確保しつつ、熱交換率に優れた蓄熱体とすることが出来る。直径が5mm未満の場合には、外殻の容積に比して、内部蓄熱体の容積が少なくなり、エネルギー密度が低くなってしまうことがある。一方、直径が50mmを超える場合には、蓄熱体が大きくなり過ぎて、取り扱いが困難になったり、外殻の強度が相対的に弱くなったりすることがある。
以下、本発明の実施の形態について、適宜、図面を参酌しながら説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は以下に記述される手段である。
先ず、図1を参照して、本発明に係る蓄熱式熱交換器の一の実施形態について、説明する。図1に示される蓄熱式熱交換器100は、外部から熱を導入し蓄え取り出すことが出来る熱交換器である。この蓄熱式熱交換器100は、熱を蓄える蓄熱体1を内部に備えるとともに、その蓄熱体1を内包する内壁5の外周面に、熱を媒介する熱媒体流路2(熱媒体の流路)が配置されている。このように、蓄熱式熱交換器100は、内部に(内側に)蓄熱体1を備え、その外側に熱媒体流路2が配置されるという構造を有している。
蓄熱式熱交換器100は、上記の蓄熱体1、内壁5、熱媒体流路2の他に、それらの外側において、熱媒体流路2を内壁5とともに区画する中間壁6、熱の放散を遮断する断熱層4、全体を包む外壁7を備える。外壁7、中間壁6、内壁5の形状は、何れも中空の球状である。
そして、熱媒体流路2は、2箇所で外部と連絡している。1箇所は、流体である熱媒体が入る熱媒体導入部3であり、他の1箇所は、熱媒体が出る熱媒体排出部8である。蓄熱式熱交換器100における熱媒体流路2は、蓄熱体1を内包する内壁5の全周面を一部とする面状の流路である。
又、蓄熱式熱交換器100には、行路9が、外壁7から内壁5までを貫通して、球状である蓄熱式熱交換器100の中心まで伸びるように、形成されている。行路9によって、外部から熱又はその熱となる光が、内部の蓄熱体1に導入される。
次に、図2を参照して、本発明に係る蓄熱式熱交換器の他の実施形態について、説明する。図2に示される蓄熱式熱交換器200も、外部から熱を導入し蓄え取り出すことが出来る熱交換器であり、蓄熱式熱交換器100とは、形状が異なるが、構造は同じである。この蓄熱式熱交換器200は、熱を蓄える蓄熱体21を内部に備えるとともに、その蓄熱体21を内包する内壁25の外周面に、熱を媒介する熱媒体流路22(熱媒体の流路)が配置されている。即ち、蓄熱式熱交換器200も、内部に(内側に)蓄熱体21を備え、その外側に熱媒体流路22が配置されるという構造を有している。
蓄熱式熱交換器200は、上記の蓄熱体21、内壁25、熱媒体流路22の他に、それらの外側において、熱媒体流路22を内壁25とともに区画する中間壁26、熱の放散を遮断する断熱層24、全体を包む外壁27を備える。外壁27、中間壁26、内壁25の形状は、何れも中空の太鼓型である。
そして、熱媒体流路22は、2箇所で外部と連絡している。1箇所は、流体である熱媒体が入る熱媒体導入部23であり、他の1箇所は、熱媒体が出る熱媒体排出部28である。蓄熱式熱交換器200における熱媒体流路22は、蓄熱体21を内包する内壁25の全周面を一部とする面状の流路である。
又、蓄熱式熱交換器200には、行路29が、外壁27から内壁25までを貫通して、太鼓型である蓄熱式熱交換器200の中心まで伸びるように、形成されている。行路29によって、外部から、熱となる光が、内部の蓄熱体21に導入される。
以上、本発明に係る蓄熱式熱交換器の全体について、2つの実施形態を示して説明したが、外形(外壁の形状)については、上記の球状、太鼓型に限定されることはない。円筒、角筒、多面体等であっても、同様の効果を得ることが可能である。又、外壁、中間壁、内壁の形状が、略同じ形状(略相似する形状)であることは好ましいけれども、それに限定されることはない。
次に、図3A及び図3Bを参照して、本発明に係る蓄熱式熱交換器における、螺旋状の熱媒体流路について、説明する。図3A及び図3Bに示される熱媒体流路10は、既述の熱媒体流路2と同様に、蓄熱体を内包する球状の内壁の外周面に配置されるものである。又、この熱媒体流路10は、既述の熱媒体流路2,22と同様に、2箇所で外部と連絡している。1箇所は、流体である熱媒体が入る熱媒体導入部11であり、他の1箇所は、熱媒体が出る熱媒体排出部12である。
熱媒体流路10は、球状の内壁の外周面において、例えば熱媒体導入部11を開始点として、その球の中心を通る面の外周に沿って巻かれ始め、その球の半分である半球の頂点に向けて、順次、球状の内壁の外周面上を、螺旋状に巻かれる。例えば終点は、熱媒体排出部12である。熱媒体導入部11と、(内壁である)球の中心と、熱媒体排出部12と、を結ぶ線は直角を形成する。
本発明に係る蓄熱式熱交換器における螺旋状の熱媒体流路は、上記の熱媒体流路10のように、球状の内壁のうち半分(半球部分)に、巻かれて形成されるものであってよい。より好ましい螺旋状の熱媒体流路の態様は、球状の内壁の全て(全球部分)に、巻かれて形成されるものである。この場合、例えば、上記の熱媒体流路10を2つ設けることが出来、このとき、熱媒体導入部11と熱媒体排出部12は、それぞれ2つになる。勿論、1つの熱媒体流路が、球状の内壁の全てに巻かれて形成されていてもよい。
次に、図4A及び図4Bを参照して、本発明に係る蓄熱式熱交換器における蓄熱体について説明する。図4A及び図4Bに示される蓄熱体1は、蓄熱式熱交換器100を構成するものであり、蓄熱体21と同じものである。
蓄熱体1は、蓄熱性を有する潜熱蓄熱物質からなる内部蓄熱体1bと、この内部蓄熱体1bを充填し封入した外殻1aと、を備える。所謂、カプセル型の蓄熱体である。内部蓄熱体1bは、例えば、溶融塩である水酸化ナトリウムからなるものである。この場合、蓄熱と放熱とを繰り返す度に、内部蓄熱体1bは、温度によって、例えば固相から液相あるいは液相から固相へと、相変化することがあるため、内部蓄熱体1bは、外殻内部の空間の形状に応じて、適宜、形状も変化することとなる。外殻1aは、例えば、セラミックスであるアルミナで形成されている。
外殻1aは、全体の形状は中空の球状であり、例えばその直径は20mmであり、例えば殻の厚さは5mmである。外殻1aは、図4A及び図4Bに示されるように、2つに分割される。分割されたそれぞれの外殻1a1,1a2は、中空半球体である。そして、分割されたそれぞれの外殻1a1,1a2(中空半球体)の分割面には、互いに嵌合するねじ切り部Aが設けられている。ねじ切り部Aを嵌合させれば、一体化した球状の外殻1aとなる。又、ねじ切り部Aの嵌合箇所は、耐熱性を有する接着剤により、封止されている。
次に、本発明に係る蓄熱式熱交換器を製造する方法について、説明する。発明に係る蓄熱式熱交換器は、各構成要素を作製し、組み立てれば得られ、本発明に係る蓄熱式熱交換器を製造する方法としては、適宜、公知の手段を用いることが出来る。以下は、その一例である。
先ず、蓄熱体の外殻を形成するために、その成形原料(セラミックス原料)を調製する。セラミックス粉末に、バインダ等を加えて混練し、外殻形成用の成形原料を調製すればよい。次に、この外殻形成用の成形原料を用いて、射出成形等によって、例えば分割された2つの中空半球体形状に応じた、成形体を作製する。バインダとしては、アクリル樹脂やワックスを用いることが出来る。そして、得られた成形体を、成形原料が焼結する温度以上にて焼成して、セラミックスからなる外殻を形成する。
次に、外殻の内部形状に対応した内部蓄熱体を作製する。例えば内部蓄熱体が複数の成分によって構成される場合には、粉体状の原料を外殻の内部に充填することによって作製することが出来る。得られた内部蓄熱体を、上記した2つの中空半球体形状の、外殻の内部に配置し、外殻の接合面を接合して蓄熱体を製造する。このように2つに分割した外殻には、互いに嵌合するねじ切り部を設けてもよいし、併せ面がフラットな平面であってもよい。ねじ切り部を設けた場合には、そのねじ切り部を嵌合させて接合することも出来る。一方、合わせ面がフラットな平面の場合には、例えば、接合面に耐熱性を有する接合剤(接着剤)を塗布して、2つに分割した外殻を接合することが出来る。ねじ切り部を設けた場合であっても、上記のような耐熱性を有する接合剤を併用して、接合を行ってもよい。
他に、蓄熱体を製造する方法として、例えば、内部蓄熱体の周囲に、セラミックス原料を塗り固めて、加熱し固化させることによって外殻を形成する方法を用いることが出来る。又、内部蓄熱体の周囲に、有機ケイ素ポリマーを塗布した後、熱処理することによって、上記ポリマーをセラミックスに転化させて外殻を形成する方法等も、用いることが出来る。
内壁と中間壁は、例えば厚さが1〜3mmのSUS304,SUS316等のステンレス材料を用いて、機械加工等で作製することが出来る。中間壁には、同じステンレスからなる配管を使用して、予め、熱媒体導入部と熱媒体排出部を取り付けておくことが望ましい。外壁は、例えば鋳鉄を用いて、鋳造や機械加工等で作製することが出来る。内壁、中間壁、外壁には、行路を取り付けるための、例えば孔を設けておく。断熱材としては、例えば繊維不織布やグラスウール等を採用することが出来る。
以上によって、各構成要素が得られたら、例えば先ず、蓄熱体を内壁の中に充填する。そして、蓄熱体を充填した内壁を、中間壁に組み込み、更に、外壁に組み込む。内壁を中間壁に組み込む際には、内壁を支持する部材を熱媒体流路内に設けることが必要な場合があるが、この場合でも、熱媒体の流れの抵抗・障害にならないように、その部材を取り付けることが望ましい。その後、外壁と中間壁の間に、断熱材を充填し、行路を取り付ける。行路の取り付けは、例えばロウ付けで行う。以上によって、本発明に係る蓄熱式熱交換器が得られる。
次に、本発明に係る蓄熱式熱交換器を使用する方法について、蓄熱式熱交換器が上記した蓄熱式熱交換器100である場合を例にして、説明する。これは、本発明に係る入解熱方法に相当する。
先ず、入熱時には、外部から導入された(熱となる)光を、行路9から、内部の蓄熱体1へ導入する。そうすると、光は、内部で熱に変換される。そして、熱は、外壁7の伝熱及び輻射も手伝って、蓄熱体1に貯留される。解熱時には、熱媒体導入部3から、例えば水(熱媒体)を、熱媒体流路2へ導入し、熱媒体排出部8から排出すればよい。これによって、排出された水を通じて、外部へ熱を取り出すことが出来る。
次に、上記した本発明に係る蓄熱式熱交換器の効果を補足するため、熱交換の理論について、説明する。熱は高温体から低温体へ移っていくものである。ここで、絶対温度T1の高温体から絶対温度T2の低温体に、微小熱量dQが移ったとする。このとき、外界の絶対温度をT0とすれば、T1>T2>T0が成り立つとすると、この場合には、T1における熱量dQがもつエクセルギーは{(T1−T0)/T1}dQであり、T2においては{(T2−T0)/T2}dQである。従って、この伝熱によって生じたエクセルギーの変化dE12は、(1)式で表される。
ここで、熱量の散逸はなく、T1>T2と仮定すれば、dQがT1からT2に移動することによるエクセルギーの変化dE12>0となり、伝熱(熱交換)では、エクセルギーが常に低減することが認められる。そして、高温体から低温体へ熱量dQが伝わると同時に、外界に熱量d’Qが放散したとすれば、全システムにおけるエクセルギーの変化は、次の(2)式で表される。
(2)式において、dE10は、高温体から外界への放散エクセルギーであり、熱交換率を上げるためには、外界に放散する熱量d’Qを小さくすることが有効と認められる。本発明に係る蓄熱式熱交換器では、高温となる蓄熱体を内包する内壁からの熱は、低温側である熱媒体へ移動する過程で、そのほぼ全てがその熱媒体に移動するため、放散する熱量d’Qを極力小さくすることが出来、熱交換率が向上するのである。
(実施例1)[蓄熱式熱交換器]図1に示される蓄熱式熱交換器100に準じた形態の蓄熱式熱交換器を用いた。熱媒体流路は、面状の流路である。具体的な、寸法及び材料は、次の通りである。球状の外壁は、その外径が約φ300mmであり、鋳鉄製である。球状の蓄熱体は、直径5mmの炭化ケイ素ビーズであり、カプセル型ではなく、中実型である。蓄熱体の質量は、約14kgである。行路は、径が20mmのアルミナ管である。断熱層に充填される断熱材は、熱伝導率0.4W/mKのアルミナ質繊維不織布である。内壁及び中間壁は、厚さ2mmのSUS304製であり、内壁の内径は、250mmである。
[入熱及び蓄熱]800Wのキセノンランプを使用して、行路から光を導入した。この光は内部で熱に変換され、蓄熱体に、熱エネルギーとして貯蔵された。このとき、消費(積算)電力を測定したところ、1.67kWh(=6MJ)であった。内壁の内部(蓄熱体周辺)の温度が300℃となった時点で、電力投入を停止した。このときの投入電力(投入された電力)を、熱量換算でEiとする。
[解熱]熱媒体導入部から、水を1000cc/分の割合で流した。そうすると、内壁の内部(蓄熱体)に蓄熱された熱は、内壁の外周面に向かって、放散する。そして、放散された熱は、熱媒体流路を通過する過程で、熱媒体流路を流れる水と熱交換され、水の温度が上昇する。そこで、熱媒体排出部から排出される水の温度を計測した。このとき、水の得た熱エネルギーは、温度上昇分(△T)、流した水の量(Wg)、及び水の比熱(4.2 J/K・g)の積で、求められる。排出された水から求められる熱エネルギーを、熱量換算でEoとする。
[熱交換率]次の(3)式で求まる熱交換率ηは、82%であった。
熱交換率η[%]=(Eo/Ei)×100 ・・・ (3)
熱交換率η[%]=(Eo/Ei)×100 ・・・ (3)
(実施例2)[蓄熱式熱交換器]図1に示される蓄熱式熱交換器100に準じた形態の蓄熱式熱交換器を用いた。但し、熱媒体流路は、図3A及び図3Bに示される螺旋状のものである点は、蓄熱式熱交換器100と異なる。具体的な、寸法及び材料は、次の通りである。窒化ケイ素粉末(宇部興産製、E10)920gに対して、アルミナ(昭和電工製、AL160SG4)、イットリア(金馬製)を、それぞれ30g、50g配合して混合粉末を得た。その混合粉末に、アクリル樹脂及びワックスでなるバインダを、体積比で55:45となるように秤量し、約120℃で加熱しながら、加圧ニーダで十分混練処理を行った。その後、冷却し破砕し、更に、射出成形機に投入し、直径30mmの半球状であって、嵌合のためのねじ切り部を有する成形体を得た。そして、アルゴンガス雰囲気において、最高600℃で加熱して脱脂処理を行った。次いで、窒素雰囲気中で、1400℃まで加熱して窒化し、その後、更に1800℃まで加熱して、焼結した。得られた半球状の外殻(焼結体)の直径は約25mm、肉厚は2mmであり、相対密度は94%であった。そして、2つの半球状の外殻における一方の内部に、直径が約20.5mmの、球状のアルミニウム−14.4%ケイ素合金を入れ、2つの外殻をねじ切り部で嵌合し、併せて、嵌合面(接合面)に、耐熱性のあるアロンセラミックス(東亜合成製)を薄く塗布し、接着した。そして、約150℃で加熱して、内部蓄熱体(アルミニウム−14.4%ケイ素)が充填された蓄熱体を得た。このカプセル型の蓄熱体を用いたこと、及び、熱媒体流路が銅製で管の径が15mmの螺旋状の流路であること以外は、実施例1に準ずる。
[入熱及び蓄熱]内壁の内部(蓄熱体周辺)の温度が600℃となった時点で、電力投入を停止した。それ以外は、実施例1と同様にして、投入電力Eiを求めた。
[解熱]実施例1と同様にして、排出された水から求められる熱エネルギーEo(を求めた。
[熱交換率]上記(3)式で求まる熱交換率ηは、81%であった。
(実施例3)[蓄熱式熱交換器]図1に示される蓄熱式熱交換器100に準じた形態の蓄熱式熱交換器を用いた。熱媒体流路は、面状の流路である。具体的な、寸法及び材料は、次の通りである。アルミナ粉末(AL−160SG4)に対して、アクリル樹脂及びワックスでなるバインダを、体積比で55:45となるように、合計で約3000g秤量し、混合粉末を得た。その混合粉末を、バインダの融点以上で加熱しながら、加圧ニーダで十分混練処理を行った後、冷却固化させた。そして、更にペレット状に破砕した後、射出成形機に投入し、直径28mmの半球状であって、嵌合のためのねじ切り部を有する成形体を得た。その後、アルゴンガス雰囲気中で、最高600℃で加熱して脱脂処理を行った。次いで、大気中で、1600℃まで加熱して、焼結した。得られた半球状の外殻(焼結体)の直径は約25mm、肉厚は2mmであり、相対密度は99%であった。そして、2つの半球状の外殻における一方の内部に、直径が20.5mmの亜鉛球を入れ、2つの外殻をねじ切り部で嵌合し、併せて、嵌合面(接合面)に、耐熱性のあるアロンセラミックス(東亜合成製)を薄く塗布し、接着した。そして、約150℃で加熱して、内部蓄熱体(亜鉛球)が充填された蓄熱体を得た。このカプセル型の蓄熱体を用いたこと以外は、実施例1に準ずる。
[入熱及び蓄熱]内壁の内部(蓄熱体周辺)の温度が350℃となった時点で、電力投入を停止した。それ以外は、実施例1と同様にして、投入電力Eiを求めた。
[解熱]実施例1と同様にして、排出された水から求められる熱エネルギーEoを求めた。
[熱交換率]上記(3)式で求まる熱交換率ηは、78%であった。
(比較例1)蓄熱式熱交換器として、図5に示されるシェルチューブ型熱交換器50を用いた。このシェルチューブ型熱交換器50は、伝熱管51と蓄熱体52を有し、図5における矢印の方向に蒸気が出入りするものである。蓄熱体52は中実型であり、その材料は炭化ケイ素である。これらの条件以外は、実施例1と同様にして(蓄熱体の容量も実施例1と同じ)、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、40%であった。
(実施例4)中実型の蓄熱体の材料として、アルミナを用いた。この条件以外は、実施例1と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、79%であった。
(実施例5)中実型の蓄熱体の材料として、窒化ケイ素を用いた。この条件以外は、実施例1と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、83%であった。
(実施例6)中実型の蓄熱体の材料として、サイアロンを用いた。この条件以外は、実施例1と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、79%であった。
(実施例7)中実型の蓄熱体の材料として、ムライトを用いた。この条件以外は、実施例1と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、79%であった。
(実施例8)中実型の蓄熱体の材料として、炭化ホウ素を用いた。この条件以外は、実施例1と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、81%であった。
(実施例9)中実型の蓄熱体の材料として、ステンレス(SUS304)を用いた。この条件以外は、実施例1と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、79%であった。
(実施例10)カプセル型の蓄熱体における外殻の材料として、炭化ケイ素(粉末)を用いた。この条件以外は、実施例2と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、78%であった。
(実施例11)カプセル型の蓄熱体における外殻の材料として、アルミナ(粉末)を用いた。この条件以外は、実施例2と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、78%であった。
(実施例12)カプセル型の蓄熱体における外殻の材料として、サイアロン(粉末)を用いた。この条件以外は、実施例2と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、81%であった。
(実施例13)カプセル型の蓄熱体における外殻の材料として、ムライト(粉末)を用いた。この条件以外は、実施例2と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、80%であった。
(実施例14)カプセル型の蓄熱体における外殻の材料として、ステンレス(SUS304)を用いた。この条件以外は、実施例2と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、81%であった。
(実施例15)カプセル型の蓄熱体における外殻の材料として、炭化ホウ素(粉末)を用いた。この条件以外は、実施例2と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、79%であった。
(実施例16)カプセル型の蓄熱体における外殻の形状を、円柱とした。この条件以外は、実施例3と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、79%であった。
(実施例17)カプセル型の蓄熱体における外殻の形状を、四角柱とした。この条件以外は、実施例3と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、79%であった。
(実施例18)カプセル型の蓄熱体における内部蓄熱体として、銅球を用いた。又、内壁の内部(蓄熱体周辺)の温度が1000℃となった時点で、電力投入を停止した。これらの条件以外は、実施例3と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、78%であった。
(実施例19)カプセル型の蓄熱体における内部蓄熱体として、シリコン球を用いた。又、内壁の内部(蓄熱体周辺)の温度が1400℃となった時点で、電力投入を停止した。これらの条件以外は、実施例3と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、76%であった。
(実施例20)カプセル型の蓄熱体における内部蓄熱体として、マグネシウム球を用いた。又、内壁の内部(蓄熱体周辺)の温度が600℃となった時点で、電力投入を停止した。これらの条件以外は、実施例3と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、75%であった。
(実施例21)カプセル型の蓄熱体における外殻の材料として、黒色アルミナ(粉末)を用いた。この条件以外は、実施例3と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、80%であった。
(実施例22)熱媒体として合成油(ジメチルシリコーン油)を用い、熱媒体流路として、図3A及び図3Bに示される螺旋状のものを用いた。これらの条件以外は、実施例21と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、81%であった。
(実施例23)図2に示される蓄熱式熱交換器200に準じた形態の蓄熱式熱交換器を用いた。この条件以外は、実施例21と同様にして、入熱、蓄熱、及び解熱を行ったところ、熱交換率ηは、76%であった。
本発明に係る蓄熱式熱交換器は、熱を導入し貯留させ取り出す手段として、利用することが出来る。特に、熱が、太陽光由来のものである場合に、好適に利用される。例えば、本発明に係る蓄熱式熱交換器を用いて、太陽熱蓄熱システムを構築することが可能である。
1,21:蓄熱体
1a:外殻
1a1,1a2:外殻
1b:内部蓄熱体
2,22:熱媒体流路
3,23:熱媒体導入部
4,24:断熱層
5,25:内壁
6,26:中間壁
7,27:外壁
8,28:熱媒体排出部
9,29:行路
10:熱媒体流路
11:熱媒体導入部
12:熱媒体排出部
50:シェルチューブ型熱交換器
51:伝熱管
52:蓄熱体
100,200:蓄熱式熱交換器
A:ねじ切り部
1a:外殻
1a1,1a2:外殻
1b:内部蓄熱体
2,22:熱媒体流路
3,23:熱媒体導入部
4,24:断熱層
5,25:内壁
6,26:中間壁
7,27:外壁
8,28:熱媒体排出部
9,29:行路
10:熱媒体流路
11:熱媒体導入部
12:熱媒体排出部
50:シェルチューブ型熱交換器
51:伝熱管
52:蓄熱体
100,200:蓄熱式熱交換器
A:ねじ切り部
Claims (14)
- 熱を、導入し、蓄え、取り出すことが出来る、熱交換器であって、
多重構造を有し、前記熱を蓄える蓄熱体を内部に備えるとともに、その蓄熱体を内包する内壁の外周面に、前記熱を媒介する熱媒体の流路が配置されている蓄熱式熱交換器。 - 前記多重構造は、最も内側から、前記蓄熱体、前記内壁、前記熱媒体の流路、その熱媒体の流路を前記内壁とともに区画する中間壁、前記熱の放散を遮断する断熱層、及び全体を包む外壁、で構成される請求項1に記載の蓄熱式熱交換器。
- 前記熱を導入することが、外部から前記内部の蓄熱体へ光を導入し、その光を熱へ変換することで行われ、前記光を蓄熱体に導入する行路が、前記外壁から前記内壁までを貫通して形成されている請求項1又は2に記載の蓄熱式熱交換器。
- 前記熱媒体の流路が、螺旋状である請求項1〜3の何れか一項に記載の蓄熱式熱交換器。
- 前記蓄熱体が、セラミック又は金属のビーズ状固体である請求項1〜4の何れか一項に記載の蓄熱式熱交換器。
- 前記蓄熱体が、潜熱蓄熱物質を、その融点以上の温度において、固体状態を維持可能な材料からなる外殻の中に充填し封入した構造を有する請求項1〜5の何れか一項に記載の蓄熱式熱交換器。
- 前記潜熱蓄熱物質が、溶融塩又は溶融金属である請求項6に記載の蓄熱式熱交換器。
- 前記潜熱蓄熱物質が、Al、Zn、Cu、Si、Mgからなる物質群のうち少なくとも1種を含む合金である請求項6又は7に記載の蓄熱式熱交換器。
- 蓄熱体の前記外殻が、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、サイアロン、ムライト、炭化ホウ素からなるセラミックス群のうちの1種、又は2種以上を含む複合物である請求項6〜8の何れか一項に記載の蓄熱式熱交換器。
- 前記アルミナが、そのアルミナ以外の酸化物を含有し、黒色である請求項9に記載の蓄熱式熱交換器。
- 前記蓄熱体の外殻が、球、円柱、又は多面体のうち何れかの形状である請求項6〜10の何れか一項に記載の蓄熱式熱交換器。
- 前記蓄熱体の外殻が、半割であり、ねじ切り構造で一体化されている請求項6〜11の何れか一項に記載の蓄熱式熱交換器。
- 多重構造を有し、熱を蓄える蓄熱体を内部に備えるとともに、その蓄熱体を内包する内壁の外周面に、前記熱を媒介する熱媒体の流路が配置されている蓄熱式熱交換器を用い、
入熱時には、外部から内部の蓄熱体へ光を導入し、その光を熱へ変換し、その熱を蓄熱体に貯留し、
解熱時には、前記熱媒体の流路に、流体である熱媒体を流して、外部へ熱を取り出す入解熱方法。 - 前記蓄熱式熱交換器における多重構造は、最も内側から、前記蓄熱体、前記内壁、前記熱媒体の流路、その熱媒体の流路を区画する中間壁、前記熱の放散を遮断する断熱層、及び全体を包む外壁、で構成されるとともに、前記外壁から前記内壁までを貫通して形成される行路を有し、
前記熱となる光の、内部の蓄熱体への導入は、前記行路で行われ、
前記外壁の伝熱及び輻射によって、前記蓄熱体に前記熱を貯留する請求項13に記載の入解熱方法。
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JP2012059317A JP2013194927A (ja) | 2012-03-15 | 2012-03-15 | 蓄熱式熱交換器及びそれを用いた入解熱方法 |
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JP2012059317A JP2013194927A (ja) | 2012-03-15 | 2012-03-15 | 蓄熱式熱交換器及びそれを用いた入解熱方法 |
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2012
- 2012-03-15 JP JP2012059317A patent/JP2013194927A/ja active Pending
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