JP2013192461A - 果樹栽培方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】農家の熟練度によらず施肥作業により果実評価を高めることのできる果樹栽培方法を提供すること。
【解決手段】 新芽が出始める時期に施肥をおこなう果樹に対する果樹栽培方法であって、
新芽が出始める時期に替え、果実の成長開始時期にビール粕を果樹の根元に与えることにより、果実の実太り、収量、または、糖度を向上させることを特徴とする果樹栽培方法である。ビール粕を用いるため、再生肥料として、資源の無駄をなくすことが可能となる。また、ビール粕を与えることにより、色づき等も好適となる。
【選択図】なし
【解決手段】 新芽が出始める時期に施肥をおこなう果樹に対する果樹栽培方法であって、
新芽が出始める時期に替え、果実の成長開始時期にビール粕を果樹の根元に与えることにより、果実の実太り、収量、または、糖度を向上させることを特徴とする果樹栽培方法である。ビール粕を用いるため、再生肥料として、資源の無駄をなくすことが可能となる。また、ビール粕を与えることにより、色づき等も好適となる。
【選択図】なし
Description
本発明は、果樹栽培方法に関し、特に、果実の実りをよくする果樹栽培方法に関する。
果実の評価ないし価値(以降果実評価と適宜称する。)は、実太り、収量、糖度を主たる指標とする。生産農家は果実評価を高めるべく果樹の栽培をおこなっており、露地栽培の果樹に関して果実評価に影響を与えるものは、品種、気候、土地、施肥および状態管理(剪定、摘果など)を挙げることができる。このうち、品種、気候、土地は、自然のものであるので、人手により評価を上げることができるものは施肥と状態管理である。
ここで、剪定等の状態管理は木の勢いや日当たり等を考慮するため、樹木一本一本で異なり、必ずしも画一的な処置により果実評価を向上させることを約束するものではなく、いうなれば、熟練を要するものである。換言すれば、施肥のみが人手によりコントロール可能であって、特段の熟練を要さずとも、果実評価の向上が可能な項目といえる。
果樹に対する施肥は、大まかに定まっており、果実の収穫後の礼肥と、新芽が出始める少し前の時期の元肥の2回が原則であり、場合によっては追肥をおこなう。ここで、肥料は、適正量が存在し、やり過ぎると肥やし負けしたり、必要以上に枝の数が増えたり成長しすぎたり、雑草の繁茂を招来したりしてしまい、果実評価を高めないばかりか、かえって、果実評価を下げてしまう。このため、従来では、生産農家は施肥時期や施肥量を変更することなく、横並びの農業をおこなっていた。
肥料内容に関しても、植物に必要な栄養素は窒素燐酸カリウムの3要素であるので、果樹に適するように適宜配合比やpH、拡散性の設計されたものが供給されていて、農家はこれを用いることにより、肥料が原因の不作を回避し、状態管理に労力を配分してより高品質の果実を収穫していた。すなわち、従来では、生産農家は肥料種類を変更することなく、この点からも横並びの農業をおこなっていた。
すなわち、果樹栽培では、従来農法を固守する結果、一定の水準が担保されるものの、新規農法の導入や、改良農法の検討がされにくいという問題点があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、農家の熟練度によらず施肥作業により簡便に果実評価を高めることのできる果樹栽培方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の果樹栽培方法は、新芽が出始める時期に施肥をおこなう果樹に対する果樹栽培方法であって、新芽が出始める時期に替え、果実の成長開始時期にビール粕を果樹の根元に与えることにより、果実の実太り、収量、または、糖度を向上させることを特徴とする。
なお、果樹は特に限定されず、仁果類、核果類、穀果類その他の落葉性果樹であっても、柑橘類その他の常緑性果樹であってもよい。また、成長による分類としては、春に新芽(枝)が伸び、秋に実が熟する果樹を挙げることができるがこれに限定されない。果樹の具体例としては、梨、林檎、杏、梅、桜桃、李、桃、栗、無花果、柿、葡萄、枇杷などを挙げることができる。
新芽が出始める時期とは、たとえば、秋に熟する果実では、2月から5月の晩冬ないし春の時期をいう。果実の成長開始時期とは、受粉後の実太りが始まる時期、または、実が付き始めた時期とも言い換えることができ、たとえば、秋に熟する果実では、5月下旬〜6月中旬である。
ビール粕とは、ビール製造の過程で排出される残渣であり、具体的には、麦汁の絞りかすである麦芽由来の残渣をいう。なお、これらには、ホップや酵母に由来する残渣が含まれていてもよい。ビール粕には、適宜、アミノ酸、糖分、タンパク質が含まれる。
また、請求項2に記載の果樹栽培方法は、請求項1に記載の果樹栽培方法において、果実の収穫期の5週間前から3週間前の間にビール粕を果樹の根元に与えて、果実の糖度をさらに向上させることを特徴とする。
5週前〜3週前としたのは、この次期以降に果実の糖度が向上していくためであり、施肥時期が早すぎると効き目が散漫化し、遅すぎると効果的でない。換言すれば、5週前〜3週前とは、糖度向上開始直前期ということができる。好ましくは4週前である。
また、請求項3に記載の果樹栽培方法は、果実の収穫期の5週間前から3週間前の間に果実の糖度を予備測定し、所定の糖度未満である場合にビール粕を果樹の根元に与えて、果実の糖度を向上させることを特徴とする。
5週前〜3週前としたのは、この次期以降に果実の糖度が向上していき、また、ビール粕の効き目がでてくるのが肥料2週間以降であるためである。好ましくは4週前である。なお、果実の糖度を予備測定する、とは、同じ木から10個の果実をサンプリングする方法を挙げることができる。
また、請求項4に記載の果樹栽培方法は、請求項1、2または3に記載の果樹栽培方法において、果樹が柿の木であることを特徴とする。
本発明によれば、農家の熟練度によらず施肥作業により果実評価を簡便に高める果樹栽培方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
ここでは、果樹として全国的に栽培されている柿を例に挙げる。具体的には、島根県東部で栽培の盛んな西条柿を用いて栽培比較をおこなった。
ここでは、果樹として全国的に栽培されている柿を例に挙げる。具体的には、島根県東部で栽培の盛んな西条柿を用いて栽培比較をおこなった。
柿の栽培を含め、ほとんどの果樹は、元肥、礼肥、場合により追肥の年2回または3回の施肥をおこなう。柿の場合、礼肥を収穫後〜12月までの間、元肥を新芽のでる前の2月〜3月におこなうのが通例である。
本願発明者は、柿の栽培をおこなうにあたり、従来の肥料に替えて、ビール粕を肥料として用いることが有効であることを発見し、これに基づきさらに鋭意検討の結果、施肥時期を従来施肥時期と異ならせることにより糖度の向上および/または収量を向上させる発明にいたった。
具体的には、礼肥は通常通りやるものの、元肥をやることなく、実の付き始め、すなわち5月下旬〜6月中旬にビール粕をやると、柿の実の品質(果実評価)を向上させることが可能となる発明に想到した。
また、収穫時期の5週間前から3週間前の間、好ましくはおおよそ4週間前に、ビール粕をやると、糖度をより向上させることが可能となる発明に想到した。
また、収穫時期の5週間前から3週間前の間、好ましくはおおよそ4週間前に、ビール粕をやると、糖度をより向上させることが可能となる発明に想到した。
本実施の形態では、ビール粕として、島根ビール株式会社で製造するビールの絞りかすを用いた。
また、通常肥料としては化成肥料8号(メイトーM株式会社製:8−8−8肥料)を用いた。この肥料は、西条柿に汎用されている肥料である。
<実施例1>
まず、同一農園中の、同様な樹齢(樹齢約40年)、大きさ、日当たり、水はけの6本の柿の木を選定した(農園所在地:島根県松江市枕木町)。なお、これらには、前年の11月下旬に礼肥として通常肥料を施し、また、冬季に例年通りの剪定をおこなっている。
まず、同一農園中の、同様な樹齢(樹齢約40年)、大きさ、日当たり、水はけの6本の柿の木を選定した(農園所在地:島根県松江市枕木町)。なお、これらには、前年の11月下旬に礼肥として通常肥料を施し、また、冬季に例年通りの剪定をおこなっている。
表1のうち、果樹1は、基準となる通常栽培方法による樹木である。すなわち、通常肥料を通常量、礼肥として前年11月下旬、元肥として2月〜3月に施肥する樹木である。
果樹2は、本発明の栽培方法による樹木である。すなわち、元肥をやらずに実のつき始めにビール粕を施肥する樹木である。果樹3は、元肥の施肥時期を実の付き始めにずらした場合の影響を調べるための樹木である。ただし、そもそも通常肥料とビール粕は肥料内容が大きく異なるので施肥量も異なっている。したがって、通常肥料の施肥量をビール粕と同量とした影響を調べるために果樹4を設けた。
さらに、果樹5は、元肥をやる時期にビール粕を与えた場合の影響を調べるための樹木である。果樹6は、元肥をやる時期にビール粕と同量の通常肥料を与えた場合の影響を調べるための樹木である。
収穫期(9月下旬〜10月下旬:最盛期10月下旬)に、果樹1〜果樹6の柿の実を比較したところ、実太りが果樹1より果樹2が良かった。また、糖度についても、果樹1より果樹2がよかった。
<実施例2>
上記の農園において、同様の条件でもう3本の果樹を用意し、収穫前の糖度向上の検討もおこなった。表2に、果樹番号と施肥時期、肥料種別、施肥量を示した。なお、施肥は、木の根本半径2mにすき込んだ。
上記の農園において、同様の条件でもう3本の果樹を用意し、収穫前の糖度向上の検討もおこなった。表2に、果樹番号と施肥時期、肥料種別、施肥量を示した。なお、施肥は、木の根本半径2mにすき込んだ。
表2のうち、果樹7が、本発明の栽培方法による樹木である。すなわち、果樹7は収穫約1月前にビール粕をやったものであり、果樹8,9は、通常肥料の少量の追加効果と、ビール粕と同量の通常肥料の追加効果とを、それぞれ果樹7と比較するためのものである。収穫1月前の糖度と収穫時(10月下旬)の糖度を比べると、果樹7の良好な糖度上昇が確認できた。
以上実施例1および実施例2により、元肥に替え、ビール粕を実のつき始めの時期に与えると良好な果実評価となることが確認できた。また、糖度上昇にも用いることができることが確認できた。このほか、実太りがよくなり、枝がしなって垂れ下がるので収穫作業が容易となり、剪定作業の省力化も実現する。また、垂れ下がることにより、樹木中心にも日が差し込み、果実の色づきも良くなった。
以上は柿の例であるが、このほか、林檎や葡萄などでも同様の効果が得られた。
昨今、地ビール工場が各地に建てられており、工場では、ビール粕の処分に困っているところ、これを再生肥料として効率的に処分できるとともに、農家にとっては、各地にある結果、入手しやすくなり、かつ、果実評価を高めることができ、好適である。
Claims (4)
- 新芽が出始める時期に施肥をおこなう果樹に対する果樹栽培方法であって、
新芽が出始める時期に替え、果実の成長開始時期にビール粕を果樹の根元に与えることにより、果実の実太り、収量、または、糖度を向上させることを特徴とする果樹栽培方法。 - 果実の収穫期の5週間前から3週間前の間にビール粕を果樹の根元に与えて、果実の糖度をさらに向上させることを特徴とする請求項1に記載の果樹栽培方法。
- 果実の収穫期の5週間前から3週間前の間に果実の糖度を予備測定し、所定の糖度未満である場合にビール粕を果樹の根元に与えて、果実の糖度を向上させることを特徴とする果樹栽培方法。
- 果樹が柿の木であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の果樹栽培方法。
Priority Applications (1)
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JP2012059638A JP2013192461A (ja) | 2012-03-16 | 2012-03-16 | 果樹栽培方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104054548A (zh) * | 2014-07-01 | 2014-09-24 | 苏州市清水村生态农副产品生产经营专业合作社 | 柿子的种植方法 |
CN104871906A (zh) * | 2015-06-08 | 2015-09-02 | 象州县科学技术情报研究所 | 喀斯特石漠化山地柿子果的栽培方法 |
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2012
- 2012-03-16 JP JP2012059638A patent/JP2013192461A/ja active Pending
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