JP2013190603A - 光学ローパスフィルタ装置及びこれを用いた撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】機構を要することなく、分離幅を変更することができる光学ローパスフィルタ装置を提供する。
【解決手段】光学ローパスフィルタ装置9は、第1及び第2の複屈折性光学部材41,43と、第1の複屈折性光学部材41と第2の複屈折性光学部材43との間に配置され、入射光の偏光状態を変更し得る偏光状態可変部42と、を備える。
【選択図】図3
【解決手段】光学ローパスフィルタ装置9は、第1及び第2の複屈折性光学部材41,43と、第1の複屈折性光学部材41と第2の複屈折性光学部材43との間に配置され、入射光の偏光状態を変更し得る偏光状態可変部42と、を備える。
【選択図】図3
Description
本発明は、光学ローパスフィルタ装置及びこれを用いた撮像装置に関するものである。
デジタルカメラ等の撮像装置用の光学ローパスフィルタ(OLPF)としては、一般的に、複屈折板が使用される。しかし、そのローパスフィルタ効果は、複屈折板の厚みで決まり、複屈折特性による分離幅を変更することができない。
このため、例えば、デジタルカメラ等において、光学ローパスフィルタによるカット周波数を全画素読み出しの静止画用に設定した場合、動画で画素加算や画素間引きを行うと、動画では静止画に比べてモアレが発生し易くなってしまう。
そこで、光学ローパスフィルタの分離幅を変更する手法として、光学ローパスフィルタを複数の複屈折板で構成し、一部の複屈折板を回転機構で回転させる手法が知られている(例えば、下記特許文献1)。
しかしながら、前記従来の手法では、一部の複屈折板を回転機構で回転させるので、分離幅の変更に時間を要したり、その機構の設置のためにスペースを多く要したり、コストが増大したりしてしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、機構を要することなく、分離幅を変更することができる光学ローパスフィルタ装置及びこれを用いた撮像装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段として、以下の各態様を提示する。第1の態様による光学ローパスフィルタ装置は、第1及び第2の複屈折性光学部材と、前記第1の複屈折性光学部材と前記第2の複屈折性光学部材との間に配置され、入射光の偏光状態を変更し得る偏光状態可変部と、を備えものである。
第2の態様による光学ローパスフィルタ装置は、前記第1の態様において、前記偏光状態可変部は、可動部を有することなく、制御信号に応じて入射光の偏光状態を変更し得るものである。
第3の態様による光学ローパスフィルタ装置は、前記第1又は第2の態様において、前記偏光状態可変部は、入射光の偏光状態を、前記第1及び第2の複屈折性光学部材のうちの光入射側の複屈折性光学部材を通過して当該複屈折性光学部材により分離され偏光方向が互いに直交する2つの光線のうち、一方の光線の偏光方向が90゜変更されるとともに他方の光線の偏光方向がそのまま維持された第1の偏光状態と、前記2つの光線の両方の偏光方向がそのまま維持された第2の偏光状態とに、変更し得るものである。
第4の態様による光学ローパスフィルタ装置は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記偏光状態可変部は、液晶層と、前記液晶層を挟む1対の分子配向層と、前記液晶層に電圧を印加する透明電極とを有するものである。
第5の態様による光学ローパスフィルタ装置は、前記第4の態様において、前記1対の分子配向層の配向方向は互いに直交するものである。
第6の態様による光学ローパスフィルタ装置は、前記第1乃至第5のいずれかの態様において、前記第1の複屈折性光学部材の分離方向と前記第2の複屈折性光学部材の分離方向とが同一であるものである。
第7の態様による光学ローパスフィルタ装置は、前記第1乃至第5のいずれかの態様において、前記前記第1の複屈折性光学部材の分離方向と前記第2の複屈折性光学部材の分離方向とが180゜異なるものである。
第8の態様による光学ローパスフィルタ装置は、前記第1乃至第7のいずれかの態様において、前記偏光状態可変部による入射光の偏光状態の変更によって、前記第1及び第2の複屈折性光学部材並びに前記偏光状態可変部の全体の分離幅をゼロ以外の互いに異なる第1の所定値と第2の所定値とに変更し得るように、構成されたものである。
第9の態様による光学ローパスフィルタ装置は、前記第1乃至第7のいずれかの態様において、前記偏光状態可変部による入射光の偏光状態の変更によって、前記第1及び第2の複屈折性光学部材並びに前記偏光状態可変部の全体の分離幅をゼロ以外の所定値とゼロとに変更し得るように、構成されたものである。
第10の態様による光学ローパスフィルタ装置は、前記第1乃至第8のいずれかの態様において、前記偏光状態可変部は、部分領域毎に入射光の偏光状態を変更し得るように構成されたものである。
第11の態様による光学ローパスフィルタ装置は、前記第1乃至第10のいずれかの態様において、前記第1及び第2の複屈折性光学部材並びに前記偏光状態可変部の組を、複数備え、前記複数の組は、入射光が前記各組を順次通過するとともに各組において前記第1の複屈折性光学部材、前記偏光状態可変部及び前記第2の複屈折性光学部材を順次通過するように、配置され、前記各組間に配置された4分の1波長板を備えたものである。
第12の態様による撮像装置は、撮影光学系により結像される被写体像を撮像する撮像素子と、前記撮影光学系と前記撮像素子との間に配置される前記第1乃至第11のいずれかの態様による光学ローパスフィルタ装置と、を備えたものである。
第13の態様による撮像装置は、前記第12の態様において、操作部と、前記操作部による操作に応じて、前記光学ローパスフィルタ装置の前記偏光状態可変部を制御する制御部と、を備えたものである。
第14の態様による撮像装置は、前記第12又は第13の態様において、前記撮像素子に結像される前記被写体像のモアレが発生する箇所あるいはモアレが発生し易い箇所を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に応じて、前記光学ローパスフィルタ装置の前記偏光状態可変部を制御する制御部と、を備えたものである。
第15の態様による撮像装置は、前記第12乃至第14のいずれかの態様において、前記撮影光学系の特性に応じて、前記光学ローパスフィルタ装置の前記偏光状態可変部を制御する制御部を、備えたものである。
本発明によれば、機構を要することなく、分離幅を変更することができる光学ローパスフィルタ装置及びこれを用いた撮像装置を提供することができる。
以下、本発明による光学ローパスフィルタ装置及び撮像装置について、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態による撮像装置としての電子カメラ1を模式的に示す概略断面図である。図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。X軸方向のうち矢印の向きを+X方向又は+X側、その反対の向きを−X方向又は−X側と呼び、Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。Z軸は電子カメラ1の撮影レンズ3の光軸Oの方向と一致し、X軸は電子カメラ1の左右方向(水平方向)と一致し、Y軸は電子カメラ1の上下方向(垂直方向)と一致している。この点は、後述する図についても同様である。
図1は、本発明の第1の実施の形態による撮像装置としての電子カメラ1を模式的に示す概略断面図である。図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。X軸方向のうち矢印の向きを+X方向又は+X側、その反対の向きを−X方向又は−X側と呼び、Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。Z軸は電子カメラ1の撮影レンズ3の光軸Oの方向と一致し、X軸は電子カメラ1の左右方向(水平方向)と一致し、Y軸は電子カメラ1の上下方向(垂直方向)と一致している。この点は、後述する図についても同様である。
本実施の形態による電子カメラ1は、一眼レフのデジタルカメラとして構成されているが、本発明による撮像装置は、これに限らず、コンパクトカメラなどの他の電子カメラや、携帯電話に搭載された電子カメラや、フィルムカメラなどの種々の撮像装置に適用することができる。
本実施の形態による電子カメラ1では、カメラボディ2には撮影光学系としての交換式の撮影レンズ3が装着されている。この撮影レンズ3は、交換可能であってもよいし、交換不能であってもよい。カメラボディ2の背面には、背面液晶パネル等により構成された表示部11が設けられている。
撮影レンズ3の光軸O上には、撮像素子10が配置されている。図1に示すように、ハーフミラー4が、撮影レンズ3と撮像素子10との間の光路上に進出して、撮影レンズ3からの光を+Z方向へ透過する光と+Y方向へ反射する光とに分離する。図面には示していないが、ハーフミラー4は、撮影レンズ3と撮像素子10との間の光路から退避して、撮影レンズ3からの光を反射も透過もさせることなくそのまま+Z方向へ通過させ得るように、設けられている。以下の説明では、ハーフミラー4が図1に示すように前記光路上に進出している状態をミラーダウン状態といい、ハーフミラー4が前記光路上から退避している状態をミラーアップ状態という場合がある。
ミラーダウンしたハーフミラー4と撮像素子10との間には、後述する光学ローパスフィルタ装置9が設けられている。光学ローパスフィルタ装置9は、撮影レンズ3と撮像素子10(特に、後述するセンサチップ10c)との間に設ければよく、例えば、後述する透明蓋部材10b上に設けてもよいし、透明蓋部材10bの代わりに設けてもよい。
ハーフミラー4がミラーアップしているときに、撮影レンズ3からの光は、ハーフミラー4によって反射も透過もされることなくそのまま+Z方向へ進行して光学ローパスフィルタ装置9を介して撮像素子10に到達し、撮影レンズ3によってその光による被写体像が撮像素子10上に結像され、その被写体像が撮像素子10により撮像される。ハーフミラー4がミラーダウンしているときに、撮影レンズ3からの光は、ハーフミラー4を+Z方向へ透過する光と、ハーフミラー4によって+Y方向へ反射される光とに分離される。ハーフミラー4を+Z方向へ透過し光学ローパスフィルタ装置9を通過した光による被写体像が、撮影レンズ3によって撮像素子10上に結像され、その被写体像が撮像素子10により撮像される。
撮像素子10は、特に限定されるものではなく、例えば、一般的なCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサなどでもよい。本実施の形態では、撮像素子10は、パッケージ本体10a及びその前面に設けられたガラス板等の透明蓋部材10bからなるパッケージと、このパッケージ内に収容されたセンサチップ10cとから構成されているが、これに限らない。
ハーフミラー4の+Y側には、焦点板5及びペンタプリズム6が順に配置されている。ペンタプリズム6の+Z側には、接眼レンズ7及び接眼窓8が順に配置されている。ミラーダウンしているハーフミラー4によって+Y方向へ反射された光による被写体像が、撮影レンズ3によって焦点板5上に一旦結像され、焦点板5上に一旦結像された光は、ペンタプリズム6に入射しその内面で2回反射された後に、ペンタプリズム6から+Z方向に出射され、接眼レンズ7及び接眼窓8を経て、接眼窓8を覗いている使用者の目(図示せず)に到達する。接眼レンズ7は、被写体像を使用者の目に結像する。このように、焦点板5、ペンタプリズム6、接眼レンズ7及び接眼窓8によって、ミラーダウン状態のハーフミラー4により反射された光による被写体の光学像を形成する光学ファインダ(OVF)が構成されている。
使用者が光学ファインダ(OVF)を使用して構図等を確認する場合には、ハーフミラー4がミラーダウンされる。一方、使用者がライブビュー(LV)を使用して構図等を確認する場合には、動作モード等に応じて、ハーフミラー4はミラーダウン及びミラーアップのいずれの状態にされてもよい。ライブビューは、撮像素子10で繰り返して撮像した画像をリアルタイムで動画像として表示部11に表示する動作である。また、静止画の本撮影時には、動作モード等に応じて、ハーフミラー4はミラーダウン及びミラーアップのいずれの状態にされてもよい。動画の本撮影時にも、動作モード等に応じて、ハーフミラー4はミラーダウン及びミラーアップのいずれの状態にされてもよい。
図2は、本実施の形態による電子カメラ1を示す概略ブロック図である。撮影レンズ3は、レンズ制御部21によってフォーカスや絞りが駆動される。光学ローパスフィルタ装置9は、フィルタ制御部22によって、後述するように制御される。撮像素子10は、撮像制御部23から出力される制御信号によって駆動され、被写体像を示す画像信号を出力する。撮像素子10から出力される画像信号は、信号処理部24及びA/D変換部25を介して処理された後、メモリ26に一旦蓄積される。メモリ26は、バス27に接続されている。バス27には、レンズ制御部21、フィルタ制御部22、撮像制御部23、CPU28、記録部29、画像処理部30、画像圧縮部31、表示部11なども接続される。CPU28には、レリーズ釦等の操作部32が接続されている。記録部29には、記録媒体29aが着脱自在に装着される。なお、例えば、撮像制御部23、信号処理部24及びA/D変換部25は、撮像素子10と同一のチップに搭載してもよい。
図3は、図1中の光学ローパスフィルタ装置9を模式的に示す概略断面図である。本実施の形態では、光学ローパスフィルタ装置9は、第1の複屈折性光学部材としての複屈折板41と、第2の複屈折性光学部材としての複屈折板43と、これらの間に配置され入射光の偏光状態を変更し得る偏光状態可変部42と、を備えている。本実施の形態では、複屈折板41と偏光状態可変部42との間及び偏光状態可変部42と複屈折板43との間には間隔があけられていないが、複屈折板41と偏光状態可変部42との間及び偏光状態可変部42と複屈折板43との間のうちのいずれか一方又は両方に、間隔を設けてもよい。
本実施の形態では、複屈折板41,43は、水晶の結晶板として構成されている。もっとも、複屈折板41,43の材料は、水晶に限らず、例えば、ニオブ酸リチウム、サファイヤなどの複屈折性を有する材料でもよい。また、複屈折板41,43の材料は必ずしも同一である必要はない。本実施の形態では、複屈折板41,43の主面は、XY平面と平行となっている。
図面には示していないが、複屈折板41の光学軸は、YZ平面と平行な面内においてY軸方向と45゜をなすように設定されている。これにより、無偏光の光線が+Z方向に進行して複屈折板41に入射する場合には、偏光方向をX軸方向としてそのまま複屈折板41中を+Z方向に進行して複屈折板41から+Z方向に射出する直線偏光の光線(常光線)と、偏光方向をY軸方向として複屈折板41中を+Z方向に対して−Y側に斜めに傾いた方向に進行した後に複屈折板41から+Z方向に射出する直線偏光の光線(異常光線)とに分離される。したがって、複屈折板41の分離方向は−Y方向に設定されている(後述する図4を参照)。以下の説明では、複屈折板41の分離幅をdとする。
複屈折板41の分離幅dは、下記の数1によって表される。数1において、tは複屈折板41の厚さ、neは複屈折板41の常光線屈折率、noは複屈折板41の異常光線屈折率、θは入射光線と複屈折板41の光学軸のなす角度である。
本実施の形態では、図面には示していないが、複屈折板41の光学軸は、YZ平面と平行な面内においてZ軸に対して所定回転方向に45゜をなすように設定されている。これにより、無偏光の光線が+Z方向に進行して複屈折板41に入射する場合には、偏光方向をX軸方向としてそのまま複屈折板41中を+Z方向に進行して複屈折板41から+Z方向に射出する直線偏光の光線(常光線)と、偏光方向をY軸方向として複屈折板41中を+Z方向に対して−Y側に斜めに傾いた方向に進行した後に複屈折板41から+Z方向に射出する直線偏光の光線(異常光線)とに分離されるようになっている。したがって、複屈折板41の分離方向は−Y方向に設定されている(後述する図4を参照)。以下の説明では、複屈折板41の分離幅をdとする。
本実施の形態では、複屈折板43は複屈折板41と同じ材料及び厚さで構成され、複屈折板43の光学軸の方向も複屈折板41の光学軸の方向と同一になっている。これにより、無偏光の光線が+Z方向に進行して複屈折板43に入射する場合には、偏光方向をX軸方向としてそのまま複屈折板43中を+Z方向に進行して複屈折板43から+Z方向に射出する直線偏光の光線(常光線)と、偏光方向をY軸方向として複屈折板43中を+Z方向に対して−Y側に斜めに傾いた方向に進行した後に複屈折板43から+Z方向に射出する直線偏光の光線(異常光線)とに分離されるようになっている。したがって、複屈折板43の分離方向は、複屈折板41の分離方向と同じ−Y方向に設定されている。また、複屈折板43の分離幅は、複屈折板41の分離幅と同じdに設定されている。
本実施の形態では、偏光状態可変部42は、可動部を有することなく、制御信号に応じて入射光の偏光状態を変更し得るように構成されている。また、本実施の形態では、偏光状態可変部42は、入射光の偏光状態を、複屈折板41,43のうちの光入射側の複屈折板41を通過して複屈折板41により分離され偏光方向が互いに直交する2つの光線のうち、一方の光線の偏光方向が90゜変更されるとともに他方の光線の偏光方向がそのまま維持された第1の偏光状態と、前記2つの光線の両方の偏光方向がそのまま維持された第2の偏光状態とに、変更し得るように構成されている。
具体的には、本実施の形態では、偏光状態可変部42は、図3に示すように、液晶層51と、液晶層51を挟む1対の分子配向層52,53と、それらを挟んで液晶層51に電圧を印加する透明電極54,55と、それらの両側に位置するガラス基板等の透明基板56,57とを有している。本実施の形態では、液晶層51としてネマティック液晶が用いられ、液晶層51の−Z側(光入射側)の分子配向層52の配向方向はX軸方向に設定され、液晶層51の+Z側(光射出側)の分子配向層53の配向方向はY軸方向に設定されており、両者の配向方向は互いに直交している。このような偏光状態可変部42の構造は、公知の液晶表示パネルの構造と同様である。ただし、偏光状態可変部42は、両側に偏光板が設けられていない点と、透明電極54,55が分割されることなくそれぞれ有効撮像領域に相当する全領域に渡って連続して形成されることで、液晶層51は全領域についてのみ一括して偏光状態を変更し得るようになっている点で、公知の液晶表示パネルの構造と異なっている。
分子配向層52,53の配向方向が前述したように設定されているので、電圧非印加時(偏光状態可変部42の透明電極54,55間に電圧を印加しない時)には、偏光状態可変部42は、自身に+Z方向に入射する入射光線が偏光方向をX軸方向とする直線偏光光である場合には、その偏光方向をY軸方向とする直線偏光光に変換して射出させる。一方、電圧非印加時には、偏光状態可変部42は、自身に+Z方向に入射する入射光線が偏光方向をY軸方向とする直線偏光光である場合には、その偏光方向をY軸方向とする直線偏光光のまま射出させる。
次に、図3に示す光学ローパスフィルタ装置9の、電圧印加時(偏光状態可変部42の透明電極54,55間に所定電圧を印加した時)の光線の様子について、図4乃至図7を参照して説明する。前記所定電圧は、液晶層51の液晶分子がほぼZ軸方向に揃い、液晶層51がいずれの偏光方向の入射光線についてもその偏光方向を変更させないような電圧である。
図4は、図3に示す光学ローパスフィルタ装置9の、電圧印加時の光線の様子を模式的に示す概略断面図である。図4には、撮像素子10も併せて示している。
図5は、図4中の光入射側(−Z側)の複屈折板41における光線の様子を模式的に示している。図5(a)は、複屈折板41の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。図5(b)は、複屈折板41の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
図4及び図5に示すように、+Z方向に進行して複屈折板41に入射する無偏光光の入射光線は、複屈折板41により、複屈折板41の射出時に、偏光方向をX軸方向とする第1の直線偏光光(常光線)と、この第1の直線偏光光から分離幅dだけ分離方向(−Y方向)にずれた、偏光方向をY軸方向とする第2の直線偏光光(異常光線)とに、分離されて、複屈折板41から+Z方向に射出される。
図6は、図4中の偏光状態可変部42における光線の様子を模式的に示している。図6(a)は、偏光状態可変部42の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。図6(b)は、偏光状態可変部42の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
今は電圧印加時であるので、図4及び図6に示すように、複屈折板41を射出して偏光状態可変部42に入射した前記第1及び第2の直線偏光光は、偏光方向をそれぞれそのまま維持したままで、かつ、そのままのXY座標位置を維持したままで、偏光状態可変部42から+Z方向に射出する。
図7は、図4中の光射出側(+Z側)の複屈折板43における光線の様子を模式的に示している。図7(a)は、複屈折板43の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。ただし、図7(a)には、複屈折板43の光入射面(−Z側の面)での前記第2の直線偏光光を、破線で示している。図7(b)は、複屈折板43の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
偏光状態可変部42から複屈折板43に入射した前記第1の直線偏光光の偏光方向はX軸方向であるので、この第1の直線偏光光は複屈折板43にとっても常光線となる。偏光状態可変部42から複屈折板43に入射した前記第2の直線偏光光の偏光方向はY軸方向であるので、この第2の直線偏光光は複屈折板43にとっても異常光線となる。したがって、図4及び図7に示すように、複屈折板43に入射した前記第1の直線偏光光は、そのままのXY座標位置を維持したままで、複屈折板43から+Z方向に射出する。一方、複屈折板43に入射した前記第2の直線偏光光は、複屈折板43の分離幅がdでかつ複屈折板43の分離方向が−Y方向であることに従って、複屈折板43への入射時のXY座標位置から−Y方向へ幅dだけずれたXY座標位置において、複屈折板43から+Z方向へ射出する。
その結果、電圧印加時には、光学ローパスフィルタ装置9(複屈折板41,43及び偏光状態可変部42の全体)の分離幅は2dとなるとともに、光学ローパスフィルタ装置9の分離方向は−Y方向の一方向となる。
次に、図3に示す光学ローパスフィルタ装置9の、電圧非印加時の光線の様子について、図8乃至図11を参照して説明する。
図8は、図3に示す光学ローパスフィルタ装置9の、電圧非印加時の光線の様子を模式的に示す概略断面図である。図8には、撮像素子10も併せて示している。
図9は、図8中の光入射側(−Z側)の複屈折板41における光線の様子を模式的に示している。図9(a)は、複屈折板41の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。図9(b)は、複屈折板41の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
図8及び図9に示すように、+Z方向に進行して複屈折板41に入射する無偏光光の入射光線は、複屈折板41により、複屈折板41の射出時に、偏光方向をX軸方向とする第1の直線偏光光(常光線)と、この第1の直線偏光光から分離幅dだけ分離方向(−Y方向)にずれた、偏光方向をY軸方向とする第2の直線偏光光(異常光線)とに、分離されて、複屈折板41から+Z方向に射出される。
図10は、図8中の偏光状態可変部42における光線の様子を模式的に示している。図10(a)は、偏光状態可変部42の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。図10(b)は、偏光状態可変部42の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
今は電圧非印加時であるので、図8及び図10に示すように、複屈折板41を射出して偏光状態可変部42に入射した偏光方向をX軸方向とする前記第1の直線偏光光は、偏光方向がY軸方向に変えられて、かつ、そのままのXY座標位置を維持したままで、偏光状態可変部42から+Z方向に射出する。一方、複屈折板41を射出して偏光状態可変部42に入射した偏光方向をY軸方向とする前記第2の直線偏光光は、偏光方向をそのままY軸方向に維持したままで、かつ、そのままのXY座標位置を維持したままで、偏光状態可変部42から+Z方向に射出する。
図11は、図8中の光射出側(+Z側)の複屈折板43における光線の様子を模式的に示している。図11(a)は、複屈折板43の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。図11(b)は、複屈折板43の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
偏光状態可変部42から複屈折板43に入射した前記第1の直線偏光光の偏光方向はY軸方向であるので、この第1の直線偏光光は複屈折板43にとって異常光線となる。偏光状態可変部42から複屈折板43に入射した前記第2の直線偏光光の偏光方向もY軸方向であるので、この第2の直線偏光光も複屈折板43にとって異常光線となる。したがって、図8及び図11に示すように、複屈折板43に入射した前記第1及び第2の直線偏光光は両方とも、複屈折板43の分離幅がdでかつ複屈折板43の分離方向が−Y方向であることに従って、複屈折板43への入射時のXY座標位置から−Y方向へ幅dだけずれたXY座標位置において、複屈折板43から+Z方向へ射出する。
その結果、電圧非印加時には、光学ローパスフィルタ装置9(複屈折板41,43及び偏光状態可変部42の全体)の分離幅はdとなるとともに、光学ローパスフィルタ装置9の分離方向は−Y方向の一方向となる。
以上のように、本実施の形態では、光学ローパスフィルタ装置9の偏光状態可変部42の透明電極54,55間に前記所定電圧を印加するか印加しないかによって、光学ローパスフィルタ装置9が分離幅が2dで分離方向が−Y方向の光学ローパスフィルタ動作を行う状態(以下、「分離幅2d状態」と呼ぶ。)と、光学ローパスフィルタ装置9が分離幅がdで分離方向が−Y方向の光学ローパスフィルタ動作を行う状態(以下、「分離幅d状態」と呼ぶ。)とを切り替えることができる。このように、光学ローパスフィルタ装置9によれば、機構を要することなく、分離幅を変更することができる。
図2中のフィルタ制御部22は、CPU28による制御下で、光学ローパスフィルタ装置9の偏光状態可変部42の透明電極54,55間に前記所定電圧を印加するか印加しないかを行うことで、光学ローパスフィルタ装置9を制御する。
ところで、MTF(変調伝達関数)は、下記の数2で表される。数2において、fは空間周波数、fsはサンプリング周波数、aは開口率、pは画素ピッチである。
本実施の形態では、静止画を撮影する場合には、図2中の撮像制御部23による制御によって、撮像素子10から全画素が読み出されるようになっている。本実施の形態では、分離幅d状態の光学ローパスフィルタ装置9の分離幅dは、全画素読み出しの静止画撮像に合わせて、図12に示すような、全画素読み出しの撮像素子10のMTF(図12中の「撮像MTF」)と分離幅d状態の光学ローパスフィルタ装置9のMTF(図12中の「ローパスMTF」)とを掛け合わせたMTF(図12中の「撮像×ローパスMTF」)が得られるように、設定されている。ここでは、p=d、a=pにされている。
図12は、静止画撮影時(全画素読み出し時)の撮像素子10のMTF(図12中の「撮像MTF」)、分離幅d状態の光学ローパスフィルタ装置9のMTF(図12中の「ローパスMTF」)、及び、これらを掛け合わせたMTF(図12中の「撮像×ローパスMTF」)の例を示す図である。図12において、fnはナイキスト周波数、fsはサンプリング周波数を示している。なお、図12は、垂直方向(Y軸方向)のMTFを示している。
図12に示すように、静止画撮影時には、光学ローパスフィルタ装置9を分離幅d状態にすることにより、撮像素子10のMTFと分離幅d状態の光学ローパスフィルタ装置9のMTFとを掛け合わせたMTFは、ナイキスト周波数fnまででカットされているため、モアレが発生し難い。
本実施の形態では、動画撮影時やライブビュー表示時には、2×2=4個の画素が加算されるようになっている。この場合、図2中の撮像制御部23による制御によって、2×2=4個の画素が加算して読み出されてもよいし、全画素読み出し後に2×2=4個の画素を加算してもよい。なお、画素加算に代えて画素間引きを行ってもよく、以下の説明は、画素間引きの場合も同様である。
図13は、比較例として、この動画撮影時やライブビュー表示時において、光学ローパスフィルタ装置9を分離幅d状態のままとしたと仮定した場合の、動画撮影時・ライブビュー表示時(2×2=4個の画素の加算時)の撮像素子10のMTF(図13中の「撮像MTF」)、分離幅d状態の光学ローパスフィルタ装置9のMTF(図13中の「ローパスMTF」)、及び、これらを掛け合わせたMTF(図13中の「撮像×ローパスMTF」)を示す図である。図13中の横軸のスケールは図12中の横軸のスケールを2倍に拡大したものとなっている。図13において、fn’はナイキスト周波数、fs’はサンプリング周波数を示している。図13中のナイキスト周波数fn’は図12中のナイキスト周波数fnの1/2に相当し、図12中のサンプリング周波数fs’は図12中のサンプリング周波数fsの1/2に相当している。なお、図13は、垂直方向(Y軸方向)のMTFを示している。
図13から理解することができるように、静止画撮影時に合わせて光学ローパスフィルタ装置9を分離幅d状態のままにすると、動画撮影時・ライブビュー表示時(2×2=4個の画素の加算時)には、撮像素子10のMTFと分離幅d状態の光学ローパスフィルタ装置9のMTFとを掛け合わせたMTFは、ナイキスト周波数fn’まででカットされなくなってしまい、折り返し歪みが発生し、モアレ発生の原因となる。前述した図12及び図13に示す状況は、光学ローパスフィルタ装置9に代えて、分離幅dの複屈折板41のみからなる光学ローパスフィルタを用いたのと同じ状況である。
そこで、本実施の形態では、動画撮影時・ライブビュー表示時(2×2=4個の画素の加算時)には、光学ローパスフィルタ装置9を分離幅2d状態にする。これにより、図12の場合と同様の状況となり、撮像素子10のMTFと分離幅2d状態の光学ローパスフィルタ装置9のMTFとを掛け合わせたMTFは、ナイキスト周波数fn’まででカットされ、モアレが発生し難くなる。
このように、本実施の形態によれば、静止画撮影時に光学ローパスフィルタ装置9を分離幅d状態にする一方で、動画撮影時・ライブビュー表示時に光学ローパスフィルタ装置9を分離幅2d状態にすることで、静止画撮影時においても動画撮影時・ライブビュー表示時においても、モアレを低減することができる。
例えば、ライブビューを使用して構図等を確認しながら静止画の本撮影を行うモードが操作部32によって選択された場合には、電子カメラ1内のCPU28は、撮像制御部23を制御して撮像素子10に被写体像を順次撮像させるとともにその画像(スルー画像であって、2×2=4個の画素の加算をした画像)を動画像として表示部11に表示させ、ライブビュー表示を実現する。このとき、CPU28は、フィルタ制御部22を介して、光学ローパスフィルタ装置9を分離幅2d状態にしておく。
この状態から、操作部32のレリーズ釦の半押し操作が行われると、CPU28は、図示しない焦点検出センサからの検出信号に基づいてデフォーカス量を算出し、このデフォーカス量に応じて合焦状態となるように、レンズ制御部21に撮影レンズ3を調節させる。また、CPU28は、予め操作部32により指令された絞りとなるように、レンズ制御部21に撮影レンズ3を調節させる。
そして、CPU28は、操作部32のレリーズ釦の全押し操作に同期して、本撮影のために設定したシャッタ時間等の条件で撮像制御部23を駆動することで、画像信号を全画素読み出して静止画の本撮影を行う。このとき、CPU28は、フィルタ制御部22を介して、光学ローパスフィルタ装置9を分離幅d状態にしておく。読み出された画像信号は、信号処理部24で増幅等された後にA/D変換部25によりデジタル信号に変換され、更にメモリ26に一旦格納される。その後、CPU28は、操作部32の指令に基づき、メモリ26内の画像信号に対して必要に応じて画像処理部30や画像圧縮部31にて所望の処理を行い、記録部29に処理後の信号を出力させ記録媒体29aに記録する。
なお、複屈折板41の分離幅と複屈折板43の分離幅は、必ずしも同一にする必要もない。例えば、動画撮影時・ライブビュー表示時に3×3個の画素を加算するような場合には、複屈折板41の分離幅をdに設定する一方で、複屈折板43の厚さを複屈折板41の厚さの2倍にするなどによって複屈折板43の分離幅を2dに設定し、透明電極54,55間への所定電圧の印加・非印加によって、光学ローパスフィルタ装置9の分離幅をdと3dとに切り替えられるようにしてもよい。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態による電子カメラが前記第1の実施の形態による電子カメラ1と異なる所は、以下に説明する点である。
本発明の第2の実施の形態による電子カメラが前記第1の実施の形態による電子カメラ1と異なる所は、以下に説明する点である。
図14は、本発明の第2の実施の形態による電子カメラで用いられる光学ローパスフィルタ装置99の、電圧印加時の光線の様子を模式的に示す概略断面図であり、図4に対応している。
図15は、図14中の光射出側(+Z側)の複屈折板143における光線の様子を模式的に示す図であり、図7に対応している。図15(a)は、複屈折板143の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。ただし、図15(a)には、複屈折板143の光入射面(−Z側の面)での第2の直線偏光光を、破線で示している。図15(b)は、複屈折板143の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
図16は、本発明の第2の実施の形態による電子カメラで用いられる光学ローパスフィルタ装置99の、電圧非印加時の光線の様子を模式的に示す概略断面図であり、図8に対応している。
図14乃至図16において、図4、図7及び図8中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
本実施の形態では、光学ローパスフィルタ装置9に代えて、光学ローパスフィルタ装置99が用いられている。光学ローパスフィルタ装置99が光学ローパスフィルタ装置9と異なる所は、光射出側(+Z側)の複屈折板43に代えて、その複屈折板43をZ軸回りに180゜回転させてなる複屈折板143が用いられている点のみである。したがって、複屈折板143の分離幅も複屈折板43の分離幅と同じdに設定されているが、複屈折板43の分離方向が−Y方向であるのに対し、複屈折板143の分離方向は+Y方向に設定されており、両者の分離方向は180゜異なっている。
まず、電圧印加時(偏光状態可変部42の透明電極54,55間に所定電圧を印加した時)の光線の様子について、説明する。
図14中の複屈折板41における光線の様子は、図5に示す光線の様子と同じである。図14中の偏光状態可変部42における光線の様子は、図6に示す光線の様子と同じである。
図14中の複屈折板143における光線の様子は、図15に示す通りとなる。偏光状態可変部42から複屈折板143に入射した第1の直線偏光光(+Y側の光線)の偏光方向はX軸方向であるので、この第1の直線偏光光は複屈折板43にとっても常光線となる。偏光状態可変部42から複屈折板143に入射した第2の直線偏光光(−Y側の光線)の偏光方向はY軸方向であるので、この第2の直線偏光光は複屈折板143にとっても異常光線となる。したがって、図14及び図15に示すように、複屈折板143に入射した前記第1の直線偏光光は、そのままのXY座標位置を維持したままで、複屈折板43から+Z方向に射出する。一方、複屈折板143に入射した前記第2の直線偏光光は、複屈折板43の分離幅がdでかつ複屈折板43の分離方向が+Y方向であることに従って、複屈折板143への入射時のXY座標位置から+Y方向へ幅dだけずれたXY座標位置において、複屈折板43から+Z方向へ射出する。このため、複屈折板143から、第1の直線偏光光と第2の直線偏光光とが同一のXY座標位置から+Z方向に射出し、両光線が一致して最終的に分離されず、分離幅はゼロとなる。
その結果、電圧印加時には、光学ローパスフィルタ装置99(複屈折板41,43及び偏光状態可変部42の全体)の分離幅はゼロとなり、光学ローパスフィルタ装置99を取り除いたのと同等となる。
次に、電圧非印加時(偏光状態可変部42の透明電極54,55間に電圧を印加しない時)の光線の様子について、説明する。
図16中の複屈折板41における光線の様子は、図9に示す光線の様子と同じである。図16中の偏光状態可変部42における光線の様子は、図10に示す光線の様子と同じである。
図16に示すように、複屈折板143に入射した第1及び第2の直線偏光光は両方とも、複屈折板143の分離幅がdでかつ複屈折板43の分離方向が+Y方向であることに従って、複屈折板143への入射時のXY座標位置から+Y方向へ幅dだけずれたXY座標位置において、複屈折板43から+Z方向へ射出する。このことは、図11を参照し、複屈折板43の分離方向が−Y方向であるのに対し、複屈折板143の分離方向が+Y方向であることを考慮することで、理解することができる。
その結果、電圧非印加時には、光学ローパスフィルタ装置9(複屈折板41,43及び偏光状態可変部42の全体)の分離幅はdとなるとともに、光学ローパスフィルタ装置9の分離方向は−Y方向の一方向となる。
以上のように、本実施の形態では、光学ローパスフィルタ装置9の偏光状態可変部42の透明電極54,55間に前記所定電圧を印加するか印加しないかによって、光学ローパスフィルタ装置99が分離幅がゼロとなって光学ローパスフィルタ作用を行わない状態(以下、「分離幅ゼロ状態」と呼ぶ。)と、光学ローパスフィルタ装置99が分離幅がdで分離方向が−Y方向の光学ローパスフィルタ動作を行う状態(以下、「分離幅d状態」と呼ぶ。)とを切り替えることができる。このように、光学ローパスフィルタ装置99によれば、機構を要することなく、分離幅を変更することができる。
分離幅ゼロ状態では、光学ローパスフィルタ作用が得られないため、モアレ低減効果は得られないものの、高解像度の撮像が可能となる。一方、分離幅d状態では、解像度が低下するものの、光学ローパスフィルタ作用が得られるため、モアレ低減効果が得られる。
本実施の形態では、使用者がモアレ低減効果を優先するかそれとも高解像度撮像を優先するかを、操作部32により設定することができるようになっている。操作部32によりモアレ低減効果を優先するように設定された場合には、CPU28は、フィルタ制御部22を介して、光学ローパスフィルタ装置99を分離幅d状態にする。一方、操作部32により高解像度撮像を優先するように設定された場合には、CPU28は、フィルタ制御部22を介して、光学ローパスフィルタ装置99を分離幅ゼロ状態にする。
本実施の形態によれば、状況に応じて、モアレ低減効果及び高解像度撮像のいずれを優先するかを選択することができる。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態による電子カメラが前記第1の実施の形態による電子カメラ1と異なる所は、以下に説明する点である。
本発明の第3の実施の形態による電子カメラが前記第1の実施の形態による電子カメラ1と異なる所は、以下に説明する点である。
図17は、本発明の第3の実施の形態による電子カメラで用いられる光学ローパスフィルタ装置を模式的に示す概略断面図であり、図3に対応している。図17において、図3中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
本実施の形態では、光学ローパスフィルタ装置9に代えて、光学ローパスフィルタ装置109が用いられている。光学ローパスフィルタ装置109が光学ローパスフィルタ装置9と異なる所は、光学ローパスフィルタ装置9は、第1及び第2の複屈折性光学部材並びにそれらの間の偏光状態可変部の1つの組(41〜43の組)のみで構成されているのに対し、光学ローパスフィルタ装置109は、第1及び第2の複屈折性光学部材並びにそれらの間の偏光状態可変部の2つの組(41〜43の組と71〜73の組)と、各組間に配置された4分の1波長板61とから構成されている点である。光学ローパスフィルタ装置109では、前記2つの組(41〜43の組と71〜73の組)は、入射光が前記各組を順次通過するとともに各組において第1の複屈折性光学部材、偏光状態可変部及び第2の複屈折性光学部材を順次通過するように配置されている。
具体的には、光学ローパスフィルタ装置109は、光入射側の組(41〜43の組)と光射出側の組(71〜73の組)と、各組間に配置された4分の1波長板61とから構成されている。光入射側の組(41〜43の組)は、光学ローパスフィルタ装置9と全く同一に構成され、第1の複屈折性光学部材としての複屈折板41と、第2の複屈折性光学部材としての複屈折板43と、これらの間に配置され入射光の偏光状態を変更し得る偏光状態可変部42とから構成されている。複屈折板41の分離方向も複屈折板43の分離方向も同じく−Y方向に設定され、複屈折板41の分離幅も複屈折板43の分離幅も同じくdに設定されている。偏光状態可変部42の液晶層51の−Z側(光入射側)の分子配向層52の配向方向はX軸方向に設定され、液晶層51の+Z側(光射出側)の分子配向層53の配向方向はY軸方向に設定されている。
光射出側の組(71〜73の組)は、第1の複屈折性光学部材としての複屈折板71と、第2の複屈折性光学部材としての複屈折板73と、これらの間に配置され入射光の偏光状態を変更し得る偏光状態可変部72とから構成されている。複屈折板71は複屈折板41をZ軸回りに90゜回転させてなるものであり、複屈折板73は複屈折板43をZ軸回りに90゜回転させてなるものである。複屈折板71の分離方向も複屈折板73の分離方向も同じく+X方向に設定され、複屈折板71の分離幅も複屈折板73の分離幅も同じくdに設定されている。偏光状態可変部72は、偏光状態可変部42と同様に、液晶層81と、液晶層81を挟む1対の分子配向層82,83と、それらを挟んで液晶層81に電圧を印加する透明電極84,85と、それらの両側に位置する透明基板86,87とから構成されている。偏光状態可変部72の液晶層81の−Z側(光入射側)の分子配向層82の配向方向はX軸方向に設定され、液晶層81の+Z側(光射出側)の分子配向層83の配向方向はY軸方向に設定されている。
まず、図17に示す光学ローパスフィルタ装置109の、両電圧印加時(偏光状態可変部42の透明電極54,55間及び偏光状態可変部72の透明電極84,85間にそれぞれ所定電圧を印加した時)の光線(+Z方向に進行して複屈折板41に入射する無偏光光の入射光線)の様子について、図5乃至図7並びに図18乃至図22を参照して説明する。
両電圧印加時の複屈折板41における光線の様子は、図5に示す光線の様子と同じである。両電圧印加時の偏光状態可変部42における光線の様子は、図6に示す光線の様子と同じである。
両電圧印加時の複屈折板43における光線の様子は、図7に示す光線の様子と同じであり、図面表記を若干変えて図18にも示している。すなわち、図18は、両電圧印加時の複屈折板43における光線の様子を模式的に示している。図18(a)は、複屈折板43の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。図18(b)は、複屈折板43の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
図19は、両電圧印加時の4分の1波長板61における光線の様子を模式的に示す図である。図19(a)は、4分の1波長板61の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。図19(b)は、4分の1波長板61の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
図19に示すように、複屈折板43を射出して4分の1波長板61に入射した第1及び第2の直線偏光光は、それぞれ第1及び第2の円偏光光となって、かつ、そのままのXY座標位置を維持したままで、4分の1波長板61から+Z方向に射出する。
図20は、両電圧印加時の複屈折板71における、光線の様子を模式的に示す図である。図20(a)は、複屈折板71の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。図20(b)は、複屈折板71の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
図20に示すように、+Z方向に進行して複屈折板71に入射する第1の円偏光光(+Y側の円偏光光)は、複屈折板71により、複屈折板71の射出時に、偏光方向をY軸方向とする第3の直線偏光光(常光線)と、この第3の直線偏光光から分離幅dだけ分離方向(+X方向)にずれた、偏光方向をX軸方向とする第4の直線偏光光(異常光線)とに、分離されて、複屈折板71から+Z方向に射出される。同様に、+Z方向に進行して複屈折板71に入射する第2の円偏光光(−Y側の円偏光光)は、複屈折板71により、複屈折板71の射出時に、偏光方向をY軸方向とする第5の直線偏光光(常光線)と、この第3の直線偏光光から分離幅dだけ分離方向(+X方向)にずれた、偏光方向をX軸方向とする第6の直線偏光光(異常光線)とに、分離されて、複屈折板71から+Z方向に射出される。
図21は、両電圧印加時の偏光状態可変部72における光線の様子を模式的に示している。図21(a)は、偏光状態可変部72の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。図21(b)は、偏光状態可変部72の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
今は両電圧印加時であるので、図21に示すように、複屈折板71を射出して偏光状態可変部72に入射した前記第3乃至第6の直線偏光光は、偏光方向をそれぞれそのまま維持したままで、かつ、そのままのXY座標位置を維持したままで、偏光状態可変部72から+Z方向に射出する。
図22は、両電圧印加時の複屈折板73における光線の様子を模式的に示している。図22(a)は、複屈折板73の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。図22(b)は、複屈折板73の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
偏光状態可変部72から複屈折板73に入射した前記第3及び第5の直線偏光光の偏光方向はY軸方向であるので、これらの第3及び第5の直線偏光光は複屈折板73にとっても常光線となる。偏光状態可変部72から複屈折板73に入射した前記第4及び第6の直線偏光光の偏光方向はX軸方向であるので、これらの第2の直線偏光光は複屈折板73にとっても異常光線となる。したがって、図22に示すように、複屈折板73に入射した前記第3及び第5の直線偏光光は、そのままのXY座標位置を維持したままで、複屈折板73から+Z方向に射出する。一方、複屈折板73に入射した前記第4及び第6の直線偏光光は、複屈折板73の分離幅がdでかつ複屈折板73の分離方向が+X方向であることに従って、複屈折板73への入射時のXY座標位置から+X方向へ幅dだけずれたXY座標位置において、複屈折板43から+Z方向へ射出する。
その結果、両電圧印加時には、光学ローパスフィルタ装置109(複屈折板41,43,71,73、偏光状態可変部42,72及び4分の1波長板61の全体)の分離は、分離方向を−Y方向及び+X方向の二方向とした分離幅2dの正方4点分離となる。
次に、図17に示す光学ローパスフィルタ装置109の、両電圧非印加時(偏光状態可変部42の透明電極54,55間及び偏光状態可変部72の透明電極84,85間にそれぞれ電圧を印加しない時)の光線(+Z方向に進行して複屈折板41に入射する無偏光光の入射光線)の様子について、図9乃至図11並びに図23乃至図27を参照して説明する。
両電圧非印加時の複屈折板41における光線の様子は、図9に示す光線の様子と同じである。両電圧非印加時の偏光状態可変部42における光線の様子は、図10に示す光線の様子と同じである。
両電圧非印加時の複屈折板43における光線の様子は、図11に示す光線の様子と同じであり、図面表記を若干変えて図23にも示している。すなわち、図23は、両電圧非印加時の複屈折板43における光線の様子を模式的に示している。図23(a)は、複屈折板43の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。図23(b)は、複屈折板43の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
図24は、両電圧非印加時の4分の1波長板61における光線の様子を模式的に示す図である。図24(a)は、4分の1波長板61の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。図24(b)は、4分の1波長板61の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
図24に示すように、複屈折板43を射出して4分の1波長板61に入射した第1及び第2の直線偏光光は、それぞれ第1及び第2の円偏光光となって、かつ、そのままのXY座標位置を維持したままで、4分の1波長板61から+Z方向に射出する。
図25は、両電圧非印加時の複屈折板71における、光線の様子を模式的に示す図である。図25(a)は、複屈折板71の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。図25(b)は、複屈折板71の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
図25に示すように、+Z方向に進行して複屈折板71に入射する第1の円偏光光(+Y側の円偏光光)は、複屈折板71により、複屈折板71の射出時に、偏光方向をY軸方向とする第3の直線偏光光(常光線)と、この第3の直線偏光光から分離幅dだけ分離方向(+X方向)にずれた、偏光方向をX軸方向とする第4の直線偏光光(異常光線)とに、分離されて、複屈折板71から+Z方向に射出される。同様に、+Z方向に進行して複屈折板71に入射する第2の円偏光光(−Y側の円偏光光)は、複屈折板71により、複屈折板71の射出時に、偏光方向をY軸方向とする第5の直線偏光光(常光線)と、この第3の直線偏光光から分離幅dだけ分離方向(+X方向)にずれた、偏光方向をX軸方向とする第6の直線偏光光(異常光線)とに、分離されて、複屈折板71から+Z方向に射出される。
図26は、両電圧非印加時の偏光状態可変部72における光線の様子を模式的に示している。図26(a)は、偏光状態可変部72の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。図26(b)は、偏光状態可変部72の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
今は両電圧非印加時であるので、図26に示すように、複屈折板71を射出して偏光状態可変部72に入射した偏光方向をY軸方向とする前記第3及び第5の直線偏光光は、偏光方向をそのままY軸方向に維持したままで、かつ、そのままのXY座標位置を維持したままで、偏光状態可変部72から+Z方向に射出する。一方、複屈折板71を射出して偏光状態可変部72に入射した偏光方向をX軸方向とする前記第4及び第6の直線偏光光は、偏光方向がY軸方向に変えられて、かつ、そのままのXY座標位置を維持したままで、偏光状態可変部72から+Z方向に射出する。
図27は、両電圧非印加時の複屈折板73における光線の様子を模式的に示している。図27(a)は、複屈折板73の光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す平面図である。図27(b)は、複屈折板73の光入射面(−Z側の面)及び光射出面(+Z側の面)での光線の位置とその偏光方向を模式的に示す斜視図である。
偏光状態可変部72から複屈折板73に入射した前記第3乃至第6の直線偏光光の偏光方向はY軸方向であるので、これらの第3乃至第6の直線偏光光は複屈折板73にとって常光線となる。したがって、図27に示すように、複屈折板73に入射した前記第3乃至第6の直線偏光光は、そのままのXY座標位置を維持したままで、複屈折板73から+Z方向に射出する。
その結果、両電圧非印加時には、光学ローパスフィルタ装置109(複屈折板41,43,71,73、偏光状態可変部42,72及び4分の1波長板61の全体)の分離は、分離方向を−Y方向及び+X方向の二方向とした分離幅dの正方4点分離となる。
以上のように、本実施の形態では、両電圧印加とするかそれとも両電圧非印加とするかによって、光学ローパスフィルタ装置109が分離幅2dの正方4点分離の光学ローパスフィルタ動作を行う状態(以下、「正方4点分離の分離幅2d状態」と呼ぶ。)と、光学ローパスフィルタ装置109が分離幅dの正方4点分離の光学ローパスフィルタ動作を行う状態(以下、「正方4点分離の分離幅d状態」と呼ぶ。)とを切り替えることができる。このように、光学ローパスフィルタ装置109によれば、機構を要することなく、分離幅を変更することができる。
本実施の形態では、フィルタ制御部22は、CPU28による制御下で、光学ローパスフィルタ装置109に対して両電圧印加とするか両電圧非印加とするかで、光学ローパスフィルタ装置9を制御する。
本実施の形態では、前記第1の実施の形態において、光学ローパスフィルタ装置9が分離幅2d状態にされる代わりに光学ローパスフィルタ装置109が正方4点分離の分離幅2d状態にされるとともに、光学ローパスフィルタ装置9が分離幅d状態にされる代わりに光学ローパスフィルタ装置109が正方4点分離の分離幅d状態にされる。
本実施の形態によれば、静止画撮影時に光学ローパスフィルタ装置9を4点分離の分離幅d状態にする一方で、動画撮影時・ライブビュー表示時に光学ローパスフィルタ装置9を4点分離の分離幅2d状態にすることで、静止画撮影時においても動画撮影時・ライブビュー表示時においても、水平及び垂直の両方向のモアレを低減することができる。
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態による電子カメラが前記第3の実施の形態による電子カメラと異なる所は、以下に説明する点である。
本発明の第4の実施の形態による電子カメラが前記第3の実施の形態による電子カメラと異なる所は、以下に説明する点である。
本実施の形態では、光学ローパスフィルタ装置109が次のように改変される。すなわち、本実施の形態では、複屈折板43,73がそれぞれZ軸回りに180゜回転させられる。したがって、複屈折板43,73の分離幅はdのままであるが、複屈折板43の分離方向が+Y方向に変更されるとともに、複屈折板73の分離方向が−X方向に変更される。
したがって、本実施の形態では、両電圧印加時にはいずれの方向の分離幅もゼロとなり、光学ローパスフィルタ装置109(複屈折板41,43及び偏光状態可変部42の全体)の分離幅はゼロとなり、光学ローパスフィルタ装置109を取り除いたのと同等となる。また、両電圧非印加時には、光学ローパスフィルタ装置109は正方4点分離の分離幅d状態となる。
以上のように、本実施の形態では、光学ローパスフィルタ装置109に対して両電圧印加とするか両電圧非印加とするかによって、光学ローパスフィルタ装置109がいずれの方向の分離幅もゼロとなって光学ローパスフィルタ作用を行わない状態(以下、「分離幅ゼロ状態」と呼ぶ。)と、正方4点分離の分離幅d状態とを切り替えることができる。このように、光学ローパスフィルタ装置99によれば、機構を要することなく、分離幅を変更することができる。
分離幅ゼロ状態では、光学ローパスフィルタ作用が得られないため、モアレ低減効果は得られないものの、高解像度の撮像が可能となる。一方、正方4点分離の分離幅d状態では、解像度が低下するものの、水平及び垂直の両方向の光学ローパスフィルタ作用が得られるため、水平及び垂直の両方向のモアレ低減効果が得られる。
本実施の形態では、使用者がモアレ低減効果を優先するかそれとも高解像度撮像を優先するかを、操作部32により設定することができるようになっている。操作部32によりモアレ低減効果を優先するように設定された場合には、CPU28は、フィルタ制御部22を介して、光学ローパスフィルタ装置109を正方4点分離の分離幅d状態にする。一方、操作部32により高解像度撮像を優先するように設定された場合には、CPU28は、フィルタ制御部22を介して、光学ローパスフィルタ装置109を分離幅ゼロ状態にする。
本実施の形態によれば、状況に応じて、モアレ低減効果及び高解像度撮像のいずれを優先するかを選択することができる。
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施の形態による電子カメラが前記第2の実施の形態による電子カメラと異なる所は、以下に説明する点である。
本発明の第5の実施の形態による電子カメラが前記第2の実施の形態による電子カメラと異なる所は、以下に説明する点である。
図28は、本発明の第5の実施の形態による電子カメラで用いられる光学ローパスフィルタ装置209の、有効撮像領域に相当する領域を模式的に示す概略平面図である。
本実施の形態では、光学ローパスフィルタ装置99に代えて、光学ローパスフィルタ装置209が用いられている。光学ローパスフィルタ装置209が光学ローパスフィルタ装置99と異なる所は、有効撮像領域に相当する領域が図28に示すように2次元マトリクス状の複数の部分領域210に分けられ、偏光状態可変部42が部分領域210毎に入射光の偏光状態を変更し得るように構成されている点のみである。本実施の形態では、具体的には、偏光状態可変部42の液晶層51に部分領域210毎に独立して所定電圧の印加・非印加を行うことができるように、透明電極54,55が構成されている。このような透明電極54,55やその配線の構造としては、公知の液晶表示パネルの透明電極やその配線の構造と同様の構造を採用することができる。
また、本実施の形態では、CPU28による制御下で、光学ローパスフィルタ装置209の偏光状態可変部42の各部分領域210毎に透明電極54,55間に前記所定電圧を印加するか印加しないかを行うことで、光学ローパスフィルタ装置209を制御する。
したがって、本実施の形態では、光学ローパスフィルタ装置109の部分領域毎に独立して、分離幅ゼロ状態・分離幅d状態のいずれかに制御することができる。
そして、本実施の形態では、所定の動作モードでは、CPU28は、撮像素子10に結像される被写体像のモアレが発生する箇所あるいはモアレが発生し易い箇所を検出する検出手段として機能するようになっている。モアレが発生する箇所を検出する技術としては、非合焦状態ではモアレが生じないことに着目して合焦状態における画像信号から非合焦状態における画像信号を減算してモアレ信号を得る技術や、高周波領域のパワースペクトルのピーク値の変化と低周波領域のパワースペクトルのピーク値の変化の相関に基づいてモアレの有無およびモアレの周波数を判断する技術が知られており、CPU28は、このような公知技術を用いて画像のモアレが発生する箇所を検出する。モアレが発生し易い箇所を検出する技術としては、人工物などをパターン認識技術等を用いて検出する技術を採用することができ、CPU28は、このような技術を用いて画像のモアレが発生し易い箇所を検出することができる。
この動作モードでは、ライブビューの画像を取得した後に、CPU28がその画像に基づいて被写体像のモアレが発生する箇所あるいはモアレが発生し易い箇所を検出し、CPU28は、その検出結果に応じて、フィルタ制御部22を介して、前記検出された箇所に相当する光学ローパスフィルタ装置209の部分領域210を分離幅d状態(フィルタ作用領域、すなわち、光学ローパスフィルタ効果が得られる領域)にする一方で、前記検出された箇所に相当しない光学ローパスフィルタ装置209の部分領域210を分離幅ゼロ状態にする。そして、この状態で、静止画像の本撮影が行われる。これにより、モアレの発生が低減される一方で、モアレが発生しない箇所での解像度を高めることができ、全体として撮像画像の画質を高めることができる。
図29は、この動作モードでの本実施の形態による電子カメラによる撮像画像とそのフィルタ作用領域の例を模式的に示している。図29では、部分領域210に相当する領域を白の点線で示し、フィルタ作用領域を白の太い実線で示している。図29に示す例では、人工物の像がモアレが発生する箇所あるいはモアレが発生し易い箇所として検出され、その領域がフィルタ作用領域とされている。
本実施の形態では、他の所定の動作モードでは、使用者がライブビュー表示を見て被写体像におけるモアレの発生箇所又はモアレの発生し易い箇所を、使用者が操作部32によってそのモアレの発生箇所を指定することができるようになっている。例えば、ライブビュー表示が図29に示すような被写体像の場合には、使用者は人工物の像の箇所(図29中の白の太い実線で示す領域)を操作部32で指定する。そのインターフェースは任意に構築することができ、例えば、ライブビュー表示を行う表示部11としてタッチパネルを採用し、そのタッチパネルを操作部32の一部として機能させ、そのタッチパネルに対してタッチペンや指でモアレの発生箇所の範囲を指定することができるようにしてもよい。
この動作モードでは、CPU28は、フィルタ制御部22を介して、操作部32により指定された箇所に相当する光学ローパスフィルタ装置209の部分領域210を分離幅d状態(フィルタ作用領域)にする一方で、操作部32により指定されていない箇所に相当しない光学ローパスフィルタ装置209の部分領域210を分離幅ゼロ状態にする。そして、この状態で、静止画像の本撮影が行われる。これにより、モアレの発生が低減される一方で、モアレが発生しない箇所での解像度を高めることができ、全体として撮像画像の画質を高めることができる。
本実施の形態では、更に他の所定の動作モードでは、撮影レンズ3の特性に応じて、撮影レンズ3の解像度は中央部が比較的高い一方で周辺部で比較的低いことから、CPU28は、フィルタ制御部22を介して、光学ローパスフィルタ装置209の中央部の部分領域210を分離幅d状態(フィルタ作用領域)にする一方で、光学ローパスフィルタ装置209の周辺部の部分領域210を分離幅ゼロ状態にする。この動作モードでは、CPU28は、撮影レンズ3から解像度に関する特性情報を取得し、その情報に基づいて、解像度が高い領域に相当する光学ローパスフィルタ装置209の部分領域210を分離幅d状態(フィルタ作用領域)にする一方で、解像度が低い領域に相当する光学ローパスフィルタ装置209の部分領域210を分離幅ゼロ状態にする。あるいは、CPU28は、撮影レンズ3から解像度に関する特性情報を取得することなく、光学ローパスフィルタ装置209の中央部の部分領域210を分離幅d状態(フィルタ作用領域)にする一方で、光学ローパスフィルタ装置209の周辺部の部分領域210を分離幅ゼロ状態にしてもよい。そして、この状態で、静止画像の本撮影が行われる。これにより、モアレの発生が低減される一方で、モアレが発生し難い低解像度の箇所の解像度を不必要に低下させずにすみ、全体として撮像画像の画質を高めることができる。
図30は、この動作モードでの本実施の形態による電子カメラによる撮像画像とそのフィルタ作用領域の例を模式的に示している。図30では、部分領域210に相当する領域を白の点線で示し、フィルタ作用領域を白の太い実線で示している。図30に示す例では、中央部がフィルタ作用領域とされている。
本実施の形態において、光学ローパスフィルタ装置209に代えて、前記第4の実施の形態で用いられている光学ローパスフィルタ装置(光学ローパスフィルタ装置109において、複屈折板43,73がそれぞれZ軸回りに180゜回転させたもの)を次のように更に改変したものを、用いてもよい。その改変は、部分領域毎に独立して両電圧印加・両電圧非印加を行うことができるように、透明電極54,55,84,85を構成する改変である。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
例えば、本発明による光学ローパスフィルタ装置は、第1及び第2の複屈折性光学部材並びにそれらの間の偏光状態可変部の組を3組以上備え、各組間に4分の1波長板を配置した構成を有していてもよい。この場合、例えば、いわゆる6点分離や8点分離などを実現したり、分離幅の可変値を3値以上にしたりすることができる。
また、本発明では、偏光状態可変部は、液晶を用いた構成に限らず、例えば、磁気光学効果を利用した構成を採用することができる。
1 電子カメラ
3 撮影レンズ
9,99,109,209 光学ローパスフィルタ装置
10 撮像素子
22 フィルタ制御部
41,43,71,73,143 複屈折板(複屈折性光学部材)
42,72 偏光状態可変部
51,81 液晶層
52,53,82,83 分子配向層
54,55,84,85 透明電極
3 撮影レンズ
9,99,109,209 光学ローパスフィルタ装置
10 撮像素子
22 フィルタ制御部
41,43,71,73,143 複屈折板(複屈折性光学部材)
42,72 偏光状態可変部
51,81 液晶層
52,53,82,83 分子配向層
54,55,84,85 透明電極
Claims (15)
- 第1及び第2の複屈折性光学部材と、
前記第1の複屈折性光学部材と前記第2の複屈折性光学部材との間に配置され、入射光の偏光状態を変更し得る偏光状態可変部と、
を備えたことを特徴とする光学ローパスフィルタ装置。 - 前記偏光状態可変部は、可動部を有することなく、制御信号に応じて入射光の偏光状態を変更し得ることを特徴とする請求項1記載の光学ローパスフィルタ装置。
- 前記偏光状態可変部は、入射光の偏光状態を、前記第1及び第2の複屈折性光学部材のうちの光入射側の複屈折性光学部材を通過して当該複屈折性光学部材により分離され偏光方向が互いに直交する2つの光線のうち、一方の光線の偏光方向が90゜変更されるとともに他方の光線の偏光方向がそのまま維持された第1の偏光状態と、前記2つの光線の両方の偏光方向がそのまま維持された第2の偏光状態とに、変更し得ることを特徴とする請求項1又は2記載の光学ローパスフィルタ装置。
- 前記偏光状態可変部は、液晶層と、前記液晶層を挟む1対の分子配向層と、前記液晶層に電圧を印加する透明電極とを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学ローパスフィルタ装置。
- 前記1対の分子配向層の配向方向は互いに直交することを特徴とする請求項4記載の光学ローパスフィルタ装置。
- 前記第1の複屈折性光学部材の分離方向と前記第2の複屈折性光学部材の分離方向とが同一であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光学ローパスフィルタ装置。
- 前記前記第1の複屈折性光学部材の分離方向と前記第2の複屈折性光学部材の分離方向とが180゜異なることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光学ローパスフィルタ装置。
- 前記偏光状態可変部による入射光の偏光状態の変更によって、前記第1及び第2の複屈折性光学部材並びに前記偏光状態可変部の全体の分離幅をゼロ以外の互いに異なる第1の所定値と第2の所定値とに変更し得るように、構成されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光学ローパスフィルタ装置。
- 前記偏光状態可変部による入射光の偏光状態の変更によって、前記第1及び第2の複屈折性光学部材並びに前記偏光状態可変部の全体の分離幅をゼロ以外の所定値とゼロとに変更し得るように、構成されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光学ローパスフィルタ装置。
- 前記偏光状態可変部は、部分領域毎に入射光の偏光状態を変更し得るように構成されたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光学ローパスフィルタ装置。
- 前記第1及び第2の複屈折性光学部材並びに前記偏光状態可変部の組を、複数備え、
前記複数の組は、入射光が前記各組を順次通過するとともに各組において前記第1の複屈折性光学部材、前記偏光状態可変部及び前記第2の複屈折性光学部材を順次通過するように、配置され、
前記各組間に配置された4分の1波長板を備えたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の光学ローパスフィルタ装置。 - 撮影光学系により結像される被写体像を撮像する撮像素子と、
前記撮影光学系と前記撮像素子との間に配置される請求項1乃至11のいずれかに記載の光学ローパスフィルタ装置と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。 - 操作部と、
前記操作部による操作に応じて、前記光学ローパスフィルタ装置の前記偏光状態可変部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項12記載の撮像装置。 - 前記撮像素子に結像される前記被写体像のモアレが発生する箇所あるいはモアレが発生し易い箇所を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に応じて、前記光学ローパスフィルタ装置の前記偏光状態可変部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項12又は13記載の撮像装置。 - 前記撮影光学系の特性に応じて、前記光学ローパスフィルタ装置の前記偏光状態可変部を制御する制御部を、備えたことを特徴とする請求項12乃至14のいずれかに記載の撮像装置。
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JP2012056787A JP2013190603A (ja) | 2012-03-14 | 2012-03-14 | 光学ローパスフィルタ装置及びこれを用いた撮像装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018117282A (ja) * | 2017-01-19 | 2018-07-26 | キヤノン株式会社 | 撮像装置、その制御方法、および制御プログラム |
-
2012
- 2012-03-14 JP JP2012056787A patent/JP2013190603A/ja active Pending
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