JP2013188173A - 機能を有した細胞組織を作製する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気的な機能を有した細胞組織を効率的に作製する。
【解決手段】本発明にかかる機能を有する細胞組織を作製する方法は、微小電極を有した一体化複合型電極基板101を用いて電気的な機能を有していない細胞105へ,電気的な機能の発現を促進させる電気刺激の導入と,前記細胞から生じる電気信号の計測を同時に行うことができる。前記電気信号は演算部102において信号処理が行われ、細胞105の分化の程度が判定される。分化の程度によって導入される電気刺激が制御されひいては、電気的な機能を有した細胞組織の作製を容易にする。
【選択図】図1

Description

本発明は機能を有した細胞組織を作製する方法に関するものである。
従来の機能を有した細胞組織を作製する方法としては、ヒト由来のES細胞から心筋細胞へ生体外で分化させ、分化された一部の細胞組織が単離され、電気生理活性を測定する基板に移して電気生理活性が評価される方法が開示されている(例えば非特許文献1)。図3は、前記非特許文献1 に記載された従来の機能を有した細胞組織を作製する方法を示すものである。
図3において、未分化の細胞へ化学物質や培養環境を調整されることによりES細胞から心筋細胞組織への分化が誘導される。分化誘導された心筋細胞組織の一部が単離され、その電気信号が計測されるために電極基板上へ移される。その電極基板を用いて分化誘導された心筋細胞の電気生理活性が計測され心筋細胞組織としての機能が評価される。その結果、前記一部が単離された心筋細胞組織が機能を有した細胞組織として提供されていた。
また、別の機能を有した細胞組織を作製する方法としては、マウスES細胞へ電気刺激によって分化誘導を行い、分化された一部もしくはすべての細胞組織を用いて分化の程度を遺伝子解析(非特許文献2、特許文献1)や免疫染色(特許文献2)を評価する方法が開示されている。
米国特許出願公開第2005/0112759号明細書 米国特許第7709255号明細書 特開平06−078889号公報
Kehat J.、Khimovich L.、Caspi O.、Gepstein A.、Shofti R.、 Arbel G.、Huber I.、Satin J.、Itskovitz−Eldor J.、Gepstein L.、(2004)Nat.Biotech.、22、1282−1289 Chen M.Q.、Xie X.、Wilson K.D.、Sun N.、Wu J.C.、Giovangrandi L.、Kovacs G.T.A.(2009)Cellular Mol. Bioeng.、2、625−635
しかしながら、前記従来の構成では、分化誘導の際に用いた培養環境と、分化細胞組織の電気生理的な活性を評価する環境が異なっている。つまり分化誘導された細胞組織の電気生理活性が評価されるためには前記細胞組織の一部が単離されなければならなかった。そのため、機能を有していない未分化状態の細胞から分化し、機能を有した前記細胞組織のすべてを、薬剤スクリーニングや移植治療に用いることができないという課題を有していた。また、従来の方法では前記細胞組織の一部の電気生理的な活性しか評価することができず、前記細胞組織全体が目的とする機能を構築しているかを評価できないという課題も有していた。さらに前記電気刺激によって機能を有した細胞組織を作製する際、機能を有していない細胞の状態から機能を有した細胞組織へ分化したという指標が不明瞭であり、過剰な電気刺激を導入させてしまい細胞組織の機能を損ねるという課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、候補化学物質群から特定の組織に作用する薬剤をスクリーニングする際に必要な評価用の機能性細胞組織や移植治療に用いる機能性細胞組織の作成するために、機能を有した細胞組織を作製する方法を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の機能を有した細胞組織を作製する方法は、電気的な機能を有する分化した細胞組織を調製する方法であって、絶縁基板上に設けられた複数の微小電極と参照電極を備えた、機能を有していない未分化の状態の細胞へ、電気的な機能を有した細胞組織へ分化誘導させる電気刺激を導入するおよび電気的な機能を有した細胞組織の電気信号を計測するための一体化複合型電極基板であって、前記基板上の前記細胞を配置する領域を第1の領域とし、前記基板上で前記第1の領域ではなく、前記第1の領域から1mm 〜 10mm離れた領域を第2の領域とした場合に、前記複数の微小電極は、第1の領域に配置されており、かつ、測定用電極および刺激用電極を含み、前記参照電極は、第2の領域に配置されており、かつ、測定用参照電極および前記測定用参照電極と異なる刺激用参照電極を含む、一体化複合型電極基板(101)上で細胞(105)を培養と、
刺激信号付与部(115)から前記一体化複合型電極基板(101)を介して前記細胞(105)へ電気刺激を引加し、前記細胞(105)を電気的な機能を有した細胞組織へ分化誘導させる工程と
前記細胞組織を培養液(107)を有した培養液保持構造体(108)中で成熟させるために培養させる工程と
前記細胞組織の電気信号を前記一体化複合型電極基板(101)を用いて計測する工程と
前記細胞組織から得られた電気信号から細胞組織の電気的な機能の評価を行い、前記細胞組織の分化の程度を判定する工程を備える。
本構成によって、一体化複合型電極基板(101)から細胞(105)への電気刺激の導入と,細胞(105)から生じる電気信号の計測を同時に行うことができ、機能を有した細胞組織を作製することができる。
本発明の機能を有した細胞組織を作製する方法によれば、一体化複合型電極基板(101)から細胞(105)への電気刺激の導入と,細胞(105)から生じる電気信号の計測を同時に行うことができ、機能を有した細胞組織を作製することができる。
本発明における機能を有した細胞組織を作製する方法を実現する構成図 本発明の一体化複合型電極基板上の電極位置を示す概念図 従来の機能を有した細胞組織を作製する方法図
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態における機能を有した細胞組織を作製する方法を実現する構成図である。機能を有した細胞組織を作製する方法は、一体化複合型電極基板101、演算部102、表示部103、培養器105から構成される。
図1において、一体化複合型電極基板101は絶縁性基板上に配置された複数の微小電極を備える。この微小電極上に細胞105を配置することにより、細胞105への電気刺激の導入および細胞105が発生する電気生理的活動の計測が実現される。
本発明の一体化複合型電極基板101は、前記微小電極の各々へ電気刺激を入力するための基準電極として、複数の前記微小電極とは異なる1つ以上の刺激用参照電極を備える。
本発明の一体化複合電極基板101はまた、前記微小電極の各々からの電気信号を検出するための1つ以上の測定用参照電極を備え得る。
図2は、一体化複合型電極基板101上の前記微小電極、前記刺激用参照電極、および前記測定用参照電極の詳細な位置関係を示す概念図である。図2において、点線で示される3つの同心円のうち、最も内側の円に囲まれる領域が微小電極(図中小さい黒四角で表される)を含む第1の領域であって、まん中の円と最も外側の円に囲まれたドーナツ状の領域が前記刺激用参照電極および前記測定用参照電極(図中黒四角で表される)を含む第2の領域である。dは、第1の領域の周縁と第2の領域との間隔を示す。
本発明の一体化複合電極基板101において、代表的には、複数の微小電極は、図2の第1の領域内でマトリックス状となるように、すなわち、格子の各交点上に位置するように配置される。この配置により、複数の微小電極を等間隔に配列させ得る。
刺激用および測定用参照電極は、図2の第2の領域内に配置される。好ましくは、刺激用および測定用参照電極の各々は、複数の微小電極が配置される第1の領域から十分離れた位置に配置される。さらに好ましくは前記第1の領域の中心に関して互いに対称の位置に配置され、それによって、刺激によって生じる微小電極からの電気的ノイズの検出を低減し得る。また、刺激用参照電極と測定用参照電極とは互いに電気回路的に独立することが好ましい。
図2の第一の領域内に配置される微小電極の各々には、外部から細胞105へ電気刺激を付与するため、または細胞102から生じる電気信号を外部に導出するための配線部106が接続され得る。代表的には、この配線部106は、各微小電極から基板の周辺方向に引き出されたリード電極と通常は基板の辺縁部に位置する電気接点において接続される。リード電極の材料として好ましい例には、酸化インジウム錫(ITO)が挙げられる。
代表的には、リード電極の表面は絶縁層に覆われる。絶縁層はリード電極上のみに配置されてもよいが、好ましくは、微小電極上および電気接点の近傍を除いて、基板上面のほぼ全体を被覆するように配置される。絶縁層の材料として好ましい例には、加工の容易なアクリルや感光性のポリイミドが挙げられる。
本発明の一体化複合型電極基板101の詳細な設計にあたっては、前記の刺激用および測定用の基準電極として特別に設けられた参照電極を具有することを妨げない限り、公知の一体化複合電極における任意の構造的特徴を採用し得る(例えば、特許文献3を参照のこと)。以下に、代表的な一体化複合電極の構成例を示す。ここで記述された態様は、刺激導入および測定対象たる細胞の特性、収集が意図される測定データの性格などの種々の要因を反映して、適宜設定、変更し得るものである。
一体化複合型電極基板101に供される基板材料としては、細胞培養後の光学的観察の便宜のために透明な絶縁性材料が好ましい。例として、石英ガラス、鉛ガラス、ホウ珪酸ガラスなどのガラス、もしくは石英などの無機物質、または、ポリメタクリル酸メチルまたはその共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタラートなどの透明性を有する有機物質が挙げられる。機械的強度と透明性とに優れる無機物質が好ましい。
基板上に配置される電極材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化錫、Cr、Au、Cu、Ni、Al、Pt、などが使用され得る。なかでも、ITOおよび酸化錫が好ましく、透明性で良導電性であるITOが特に好ましい。前記の微小電極は、通常、所望の位置および形状に配置されたこれら電極材料の一部の最表面に白金黒や金などで処理を行い形成される。
複数の微小電極は、通常、最近接の電極間距離が相等しくなるように、等間隔で配置される。最近接の電極間距離は、代表的には約10から約1000μmの範囲内にあり得る。電極の形状は、代表的には、略正方形もしくは略円形であって、1辺の長さ、もしくは直径は約20μmから約200μmの範囲内にあり得る。このような設定により、測定対象の生物学的試料が一つの微小電極上に置かれたとき、隣接する別の細胞が、隣接する電極上に位置する確率が高くなる。
複数の参照電極もまた、通常、最近接の参照電極間距離が相等しくなるように、等間隔で配置される。最近接の参照電極間距離は、代表的には、約8mmから約16mmの範囲内にあり得る。電極の形状は、代表的には、略正方形もしくは略円形であって、1辺の長さ、もしくは直径は約80μmから約800μmの範囲内にあり得る。このような設定により、微小電極からの発生する電気的ノイズの検出を低減し得る。
本発明の一体化複合型電極基板101において、図2の第2の領域は、通常、前記第1の領域の周縁から約0.1mm以上の間隔を置いて配置される。理論的には、この間隔が大きいほど参照電極がノイズを検出する確率は低くなるが、その上限値は、主に一体化複合電極の構造的特徴により規定される。
前記第2の領域が、前記第1の領域の周縁から約0.1mmより小さい間隔を置いて配置される場合、参照電極は、前記第1の領域に重複して配置される生物学的試料の影響を受けて隣接する微小電極とクロストークを生じ得る。
微小電極と接続するリード電極もまた、前記の電極材料から作製され、やはりITOが好ましい。通常、このような電極材料を基板上に蒸着した後、フォトレジストを用いてエッチングすることにより、微小電極の最下層、およびリード電極が、一体として、所望のパターンに形成される。このとき、微小電極の最下層および配線部の厚みは、およそ500〜5000オングストローム程度であり得る。
代表的には、リード電極は、各微小電極から略放射状に伸ばした形状に配置される。この略放射状の形状の配置と組み合わせて、複数の微小電極の中心点を、8×8の格子上の各交点に位置させることが特に好ましい。
リード電極を被覆し絶縁するための絶縁層の材料としては、例えばポリイミド(PI)樹脂、エポキシ樹脂などの透明な樹脂が用いられ得る。ネガティブフォトセンシティブポリイミド(NPI)などの感光性樹脂が好適である。感光性樹脂の絶縁層材料を用いた場合、例えば、フォトエッチングによるパターン形成を利用して、微小電極上の絶縁層部分に孔を開けて、微小電極のみを露出させることが可能となる。このように、絶縁層は、各微小電極上および外部回路との電気接点の近傍を除いて、絶縁基板のほぼ全面を被覆するように設けられることが、生産効率などの点で好ましい。
本発明の一体化複合型電極基板101が、培養液107を満たした培養液保持構造108に浸漬され細胞105が培養される。培養液保持構造108は一定量の培養液107を無菌的に保持させることができればどのような構造でも好ましく、直径10cmの培養シャーレがより好ましい。
より好ましくは一体化複合型電極基板上での細胞培養を容易にするための構造、および所望により複合電極自体の取り扱いを容易にするための構造が加えられて、一体化細胞設置器として提供され得る。
代表的には、一体化複合型電極基板101上での細胞培養のためには、前記絶縁層で基板のほぼ全面が被覆された基板上に、絶縁層を介して、培養液107を保持し得る培養液保持構造を付加し得る。このような培養液保持構造として、例えば、ポリスチレン製の円筒状の枠を、複数の微小電極を囲む前記第1の領域および参照電極を含む第2の領域を囲むように基板上に固定し得る。このとき、ポリスチレン枠の内側が、細胞設置領域を規定する。
一体化複合型電極基板101への電気刺激の入力、電気信号の検出を容易にさせるために、一体化複合型電極基板101は、例えば、プリント配線板を組み合わせることができる。前記プリント配線板は、一体化複合型電極基板101の電気接点と導電接続する導電パターンを有することにより、微小電極から電気接点に至る電気接続をさらに外部に引き出す役割を果たす。前記プリント配線板と一体化複合型電極基板101との電気接続を保持しつつ、両者を確実に固定するために、さらに、適切な形状のホルダ、例えば、一体化複合型電極基板101を上下から挟む形状の2分割式ホルダを用いることができる。 これらの冶具を介して一体化複合型電極基板101と配線部106が接続され、一体化複合型電極基板101と演算部102との間の電気信号の授受が行われる。
細胞105が培養液107中で一体化複合型電極基板101上において培養される。細胞105の種類は限定されないが、機能を有しない未分化の細胞であることが好ましく、全能性、多能性および単能性の細胞であることがより好ましく具体的には多能性を有するES(Embryonic Stem)細胞、iPS(induced pluripotent stem)細胞、mGS(multipotent germline stem)細胞、Muse(Multilineage−differentiating Stress Enduring)細胞並びに多能性もしくは単能性を有する各種組織幹細胞、例えば造血幹細胞、神経幹細胞、心臓幹細胞、生殖幹細胞、間葉系幹細胞などがある。また細胞105の動物種も限定されない。
培養液107は細胞105の種類によって選択され、細胞105の成長に最も適した培養液が選択される。細胞105の種類に応じて培養液107には添加物が加えられ、例えば成長因子、サイトカイン、抗生物質、タンパク質、化学物質などが加えられる。また培養液107は一体化複合型電極基板101上に形成された培養液保持構造108に保持されることが好ましい。
培養液107は細胞105の成長、増殖に伴い劣化するため必要に応じて新たな培養液を追加や交換されることが好ましい。培養液は1−7日おきの間に追加や交換されることが好ましく、1−3日おきに追加や交換されることがより好ましい。
培養器104は温度制御ユニット109、炭酸ガス制御ユニット110、湿度制御ユニット111、光学測定ユニット112から構成される。
温度制御ユニット109は培養器104内の温度を25−40℃の範囲で保持させ、より好ましくは27−38℃の範囲で保持させ、細胞105によって最適な温度が選択される。
炭酸ガス制御ユニット110は培養器104内の炭酸ガス濃度を1−10%の範囲で保持させ、より好ましくは5−8%の範囲で保持させ、細胞105の種類によって最適な炭酸ガス濃度が選択される。
湿度制御ユニット111は培養器104内の湿度を過飽和の状態に維持させる。
光学測定ユニット112は培養器104内に設置され、一体化複合型電極基板101の下側もしくは上側に配置される。光学測定ユニット112によって細胞105の形状が観察される。観察された細胞105の形状の情報は演算部102に備えられたコンピュータ113に保存され、同時に表示部103に出力されることが好ましい。観察された細胞105の形状、一体化複合型電極基板101上の微小電極と細胞105の相対位置から電気刺激が導入される微小電極が決定されることが好ましい。
電気刺激は一体化複合型電極基板101より細胞105へ導入される。電気刺激の信号は配線部106を介して演算部102に備えられた信号処理部114内の刺激信号付与部115から一体化複合型電極基板101へ導入される。刺激信号付与部115は、一体化複合型電極基板101上の第1の領域内に配置された複数の微小電極のうちの任意の微小電極と第2の領域内に配置された刺激用参照電極との間に電気信号を導入し得る。
コンピュータ113を用いて電気刺激の波形、強度、周期、刺激導入の時期、刺激導入の期間、刺激が導入される微小電極の位置が制御される。前記電気刺激の条件は、細胞105の種類、光学測定ユニット112によって細胞105の形態学的な情報、もしくは、微小電極によって計測される細胞105の電気的な活動に依存する。
電気刺激導入の開始時期は、細胞105間同士の密着接合が促されてから電気刺激を導入することが好ましく、一体化複合型電極基板101上に細胞105を添加してから1−5日以内に行うことがより好ましい。
導入される電気刺激の波形は正弦波、矩形波、三角波、のこぎり波などから選択され、細胞の種類によって選択される。例えば矩形波が導入される場合、パルス幅は1−100ミリ秒の間であることが好ましい。
導入される電気刺激の強度は、一体化複合型電極基板101上に設けた刺激用参照電極に対して+0.1〜1000μAである。導入される刺激の強度が過剰な場合、細胞105の損傷や刺激導入に用いた微小電極の腐食が誘導され、過小の場合分化誘導作用が発揮されない。そのため導入される刺激強度は、細胞が本来有する電気的な特性から大きく外れることのない刺激強度が適しており、具体的には活動電位の際に生じる細胞膜電流と同程度の大きさであることが望ましく、10〜100μAの間から選択される。
導入される電気刺激の周期は0。1−10Hzの間から選択されることが好ましい。特に電気生理活性を有する細胞の場合、細胞固有な電気的な周期に合わせることがより好ましく、例えばES細胞から心筋の細胞へ分化させる場合は1Hzが好ましい。
導入される電気刺激の期間は細胞培養期間と同一が好ましく、細胞105によっては細胞培養期間より短い場合もある。
細胞培養期間は細胞105が機能を有した細胞組織への分化の程度によって選択される。機能を有した細胞組織への分化の程度に対する評価は、培養器104に備え付けられた光学測定ユニット112によって観察される細胞105の形態学的な評価、一体化複合型電極基板101に備えられた微小電極によって計測される細胞105の電気信号を用いた電気生理学的な評価、あるいはその両方の評価によって判断される。
演算部102は配線部106を介して一体化複合型電極基板101と接続される。演算部102は信号処理部114とコンピュータ113によって一体として構成される。さらに処理部114は刺激信号付与部115および入力信号処理部116を有する。
コンピュータ113に常駐する制御ソフトウェアは、電気刺激の条件を設定させる電気刺激設定部117、電気信号をリアルタイムで表示、解析させる電気信号表示部118、およびフィードバック制御部119を有し、それぞれの情報を表示部103に表示し、各設定条件を変更することが可能である。
電気刺激設定部117において電気刺激を導入する微小電極の位置、電気刺激の波形、強度、間隔、刺激導入時期、刺激導入期間、を任意に設定することができる。
電気信号表示部118においては各微小電極において計測された電気信号の表示、得られた電気信号からのノイズ解析、平均化処理、最大、最小値抽出処理などの演算処理を行うことができる。
フィードバック制御部119においては、次の2種類の処理を実施する。1つ目の処理は細胞105から検出された電気信号の情報に基づき細胞105へ導入する電気刺激の条件を調節させる処理である。この処理によって細胞105の分化の程度に応じた電気刺激が導入され、過剰な電気刺激の導入による細胞組織へのダメージを低減させることができる。2つ目の処理は細胞102から発生した電気信号によって細胞102が機能を有した細胞組織への分化の程度の判定を行う。機能を有した細胞組織へと分化したと判定された場合、電気刺激の導入を自動的に終了させ、音、光などによってユーザーに機能を有した組織が作製完了したことを知らせる。
最後に本発明の機能を有した細胞組織の作成方法の手順について説明する。一体化複合型電極基板101上に培養液保持構造108を介して培養液107が保持される。ここに細胞105が加えられる。電気刺激設定部117を用いて、細胞105に導入される電気刺激の条件が設定される。設定された電気刺激が電気信号として演算部102に備えられた刺激信号付与部115から発生され、電気信号が配線部106を経由して一体化複合型電極基板101上の微小電極へ伝達される。電気信号が伝達された微小電極近傍に存在する細胞105に電気刺激が導入される。それと同時に、電気刺激が導入された微小電極以外の微小電極を用いて、細胞105が発生した電気信号を検出する。微小電極によって検出された電気信号は配線部106を経由して演算部102に備えられた入力信号処理部116によって計算処理がなされる。計算処理の結果が電気信号表示部118へ出力される。電気信号の情報を基に演算部102によって細胞組織の分化の程度が判定され、フィードバック制御部119に表示される。これらの一連の操作は培養器104内で行われることが好ましい。以上の操作手順によって、細胞105への電気刺激の導入と細胞組織が発生する電気信号の取得を同じ一体化複合型電極基板101によって同時に行うことができるので、効果的に機能を有した細胞組織を作製することができる。
本実施形態において、取得される細胞組織は生体内において電気的活動を頻繁に行う心筋組織、骨格筋組織、平滑筋組織、神経組織がより好ましいがこれらの組織に限定されるわけではない。
本実施の形態において取得される細胞組織は薬剤スクリーニング、移植治療に用いられることが好ましい。なお薬剤スクリーニングは生体内の各種臓器に対する疾病に対して治療効果のある化学物質のスクリーニングに用いてもよいし、生体内の各種臓器に対して悪影響をおよぼすような化学物質のスクリーニングに用いてもよい。移植治療に用いる場合は、対象となる細胞105は移植される個体由来の細胞であることがより好ましい。
本発明にかかる機能を有する細胞組織を作製する方法は、電気的な機能を有していない細胞へ,電気的な機能の発現を促進させる電気刺激の導入と,前記細胞から生じる電気信号の計測を同時に行うことができる。ひいては、電気的な機能を有した細胞組織の作製を容易にする。本発明は生体内の各種臓器に対する疾病に対して治療効果のある化学物質のスクリーニングに用いてもよいし、生体内の各種臓器に対して悪影響をおよぼすような化学物質のスクリーニングに用いてもよい。さらに機能を有した細胞組織が大量に必要な、移植治療分野への応用も可能である。
101 一体化複合型電極基板
102 演算部
103 表示部
104 培養器
105 細胞
106 配線部
107 培養液
108 培養液保持構造
109 温度制御ユニット
110 炭酸ガス制御ユニット
111 湿度制御ユニット
112 光学測定ユニット
113 パソコン
114 信号処理部
115 信号付与部
116 入力信号処理部
117 電気刺激設定部
118 電気信号表示部
119 フィードバック制御部

Claims (1)

  1. 電気的な機能を有する分化した細胞組織を調製する方法であって、以下の工程(a)〜(e)を具備する方法:
    電極基板上で細胞を培養する工程(a)
    ここで前記電極基板は絶縁基板上に設けられた複数の微小電極と参照電極を備えた、機能を有していない未分化の状態の細胞へ、電気的な機能を有した細胞組織へ分化誘導を促進させる電気刺激を導入するおよび電気的な機能を有した細胞組織の電気信号を計測するための一体化複合型電極基板であって、前記基板上の前記細胞を配置する領域を第1の領域とし、前記基板上で前記第1の領域ではなく、前記第1の領域から1mm〜10mm離れた領域を第2の領域とした場合に、前記複数の微小電極は、第1の領域に配置されており、かつ、測定用電極および刺激用電極を含み、前記参照電極は、第2の領域に配置されており、かつ、測定用参照電極および前記測定用参照電極と異なる刺激用参照電極を含む、一体化複合型電極基板であり、および
    前記電極基板より電気刺激を引加し、前記細胞を電気的な機能を有した細胞組織へ分化誘導させる工程(b)
    前記細胞組織を成熟させるために培養させる工程(c)
    前記細胞組織の電気信号を前記電極基板を用いて計測し,前記電気信号から細胞組織の電気的な機能の評価を行い、前記細胞組織の分化の程度を判定する工程(d)
    前記判定結果を基に、前記電気刺激を調整し、電気的な機能を有した細胞組織を作製する工程(e)。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20210155927A (ko) * 2020-06-17 2021-12-24 한양디지텍 주식회사 줄기세포의 최적 분화를 위한 전기 자극 일체형 시스템

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