JP2013187939A - 車両用モータ制御装置及び制御方法 - Google Patents

車両用モータ制御装置及び制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】乗員等に不快感を与えることなく、スイッチング素子の発熱を抑えることが可能な車両用モータ制御装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】電動モータコントローラ10は、複数のスイッチング素子を制御して、複数のスイッチング素子に対応して設けられる電動モータの複数の巻線に目標となる相電流を流すものであって、ドライバからの要求と電動モータの回転状態とに基づいて電動モータがロック状態であるかを判断するモータロック判断部11と、モータロック判断部11により電動モータがロックされていると判断した場合に、ドライバからの要求トルクを維持しつつ、電動モータを駆動する際の電流値と電流位相とを変化させる制御部19とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両用モータ制御装置及び走行支援方法に関する。
従来、モータの回転数が充分低い場合にモータの回転が外力によりロックされていると判断し、インバータ制御のPWM信号のキャリア周波数を通常値(10kHz)から低周波数(1.25kHz)に切り替える車両用モータ制御装置が提案されている。この車両用モータ制御装置によれば、キャリア周波数の低下に伴いインバータのスイッチング素子のスイッチング周波数も低下することとなり、スイッチング損失も低減されるため、モータがロックされていてもインバータの各スイッチング素子に急激な発熱が生じる可能性を低減させることができる(特許文献1参照)。
また、モータロック状態と判定された場合に、インバータ内における複数のスイッチング素子の間で電流供給対象素子を強制的に転流させる素子転流制御手段を備えた車両用モータ制御装置が提案されている。この車両用モータ制御装置によれば、ロック状態になった場合に、電流を絞らずに強制的な転流を実施することにより応答性を悪化させずに素子への過負荷を防止することが可能となる(特許文献2参照)。
特開平9−70195号公報 特開2005−185000号公報
しかし、特許文献1に記載の車両用モータ制御装置のようにキャリア周波数を低下させてスイッチング素子の熱集中を回避する場合、一般にキャリア周波数を人の可聴領域まで下げないとスイッチング損失を大幅に低下することができない。このため、スイッチングに起因した騒音が乗員や車両周辺の人に顕著に感じられるようになり、不快感を与えてしまう。
また、特許文献2に記載の車両用モータ制御装置において電流転流装置を適用した場合、電流を転流させて回転磁界を作り出すだけでは、ドライバが要求する所望のトルクを出力することができないだけでなく、トルクが急激に変動することとなり、乗員に不快感を与えてしまうことになってしまう。また、場合によってはトルクがドライバの意思とは反対方向に掛かってしまい、より一層不快感を与えてしまうことがある。
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、乗員等に不快感を与えることなく、スイッチング素子の発熱を抑えることが可能な車両用モータ制御装置及び制御方法を提供することにある。
本発明の車両用モータ制御装置は、複数のスイッチング素子を制御して、複数のスイッチング素子に対応して設けられるモータの複数の巻線に目標となる相電流を流すものである。この装置は、モータがロックされていると判断した場合に、ドライバからの要求トルクを維持しつつ、モータを駆動する際の電流値と電流位相とを変化させる。
本発明によれば、モータがロックされていると判断した場合に、ドライバからの要求トルクを維持しつつ、モータを駆動する際の電流値と電流位相とを変化させる。このため、電流位相を変化させるだけでなく、電流値も変化させることにより、要求トルクを維持した状態で特定のスイッチング素子に電流が集中してしまう事態を防止することができる。従って、乗員等に不快感を与えることなく、スイッチング素子の発熱を抑えることができる。
本実施形態に係る車両用モータ制御装置を含む車両システムを示すブロック図である。 図1に示した電動モータコントローラ10の詳細を示すブロック図である。 本実施形態に係る車両用モータ駆動方法を示す基本フローチャートである。 アクセル開度−トルクテーブルを示す図である。 図3に示した電流値指令値算出処理(S4)の詳細を示すフローチャートである。 モータロック判定テーブルを示す図である。 上昇温度テーブルを示す図である。 電流位相変化制御(S15〜S20)の概念を示す図である。 図8に示す例において、相電流が0Aになるよう電流位相を変化させた場合のdq軸電流の配置を示す図である。 図5に示した目標電流位相(β 、β )の算出処理の詳細を示すフローチャートである。 電流値−電流位相変化周期テーブルを示す図である。 過負荷電流時・電流振幅指令値テーブルを示す図である。 過負荷電流時・電流位相変化周期テーブルを示す図である。 従来の電動モータコントローラによるモータロック時の様子を示すグラフであって、(a)はdq軸電流を示し、(b)は相電流を示し、(c)はスイッチング素子温度を示している。 本実施形態に係る電動モータコントローラ10によるモータロック時の様子を示すグラフであって、(a)はdq軸電流を示し、(b)は相電流を示し、(c)はスイッチング素子温度を示している。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る車両用モータ制御装置を含む車両システムを示すブロック図である。図1に示すように、車両用システム1は、電動車両の走行制御を行うシステムであって、電動モータコントローラ(車両用モータ駆動装置)10と、インバータ20と、駆動モータ30(モータ)30と、減速機40と、ドライブシャフト50と、駆動輪60と、電流センサ70と、回転センサ80と、バッテリ90とから構成されている。
電動モータコントローラ10は、インバータ20内の複数のスイッチング素子を制御して、複数のスイッチング素子に対応して駆動モータ30に設けられる複数の巻線に目標となる相電流を流すものである。この電動モータコントローラ10は、車速V、アクセル開度θ、駆動モータ30の回転子位相α、駆動モータ30の電流(三相交流の場合はIu、Iv、Iw)等である各種車両変数の信号をデジタル信号として入力する。また、電動モータコントローラ10は、このような各種車両変数に応じて駆動モータ30を制御するPWM信号を生成し、このPWM信号に応じてドライブ回路を通じてインバータ20の駆動信号を生成する。
インバータ20は、複数のスイッチング素子を備え、電動モータコントローラ10からの駆動信号に応じて、スイッチング素子をオンオフして目標となる相電流を流すものである。具体的にインバータ20は、例えば各相ごとに2個のスイッチング素子(例えばMOS−FETやIGBT等のパワー半導体素子)が設けられており、駆動信号に応じてスイッチング素子をオンオフすることにより、バッテリ90から供給される直流の電流を交流に変換し、駆動モータ30に目標となる電流を流す。
駆動モータ30は、例えば三相モータであって、各相電流を変化させることにより回転子を回転させ車両の動力を発生させるものである。駆動モータ30により発生した動力は、減速機40及びドライブシャフト50を通じて駆動輪60に伝達されることとなる。また、駆動モータ30は、回生時において回生駆動力を発生させることで車両の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。
電流センサ70は、駆動モータ30の各巻線に供給される電流の値を検出するものであり、検出値を電動モータコントローラ10に送信する構成となっている。なお、相電流の合計値はゼロとなることから、電流センサ70は3相のうち2相分の電流値を送信し、電動モータコントローラ10は2相分の電流値から残り1相の電流値を演算により求めるようになっていてもよい。回転センサ80は、駆動モータ30の回転子の回転(位相α)を検出するものであり、例えばレゾルバやエンコーダにより構成される。また、回転センサ80は、検出値を電動モータコントローラ10に送信する構成となっている。
バッテリ90は、インバータ20内のスイッチング素子がオンされることにより駆動モータ30に電流供給するものである。また、バッテリ90は、回生時において充電を行う構成となっている。
図2は、図1に示した電動モータコントローラ10の詳細を示すブロック図である。図2に示すように、電動モータコントローラ10はモータロック判断部(モータロック判断手段)11、温度算出部12、温度比較部13、電流位相算出部14、電流振幅算出部15、周期算出部16、デューティ算出部17、目標電流算出部18、及び、制御部(制御手段)19を備えている。このような電動モータコントローラ10は、モータロック時においてドライバからの要求トルクを維持しつつ、モータ巻線に流れる相電流値と電流位相とを変化させて、ドライバに違和感を与えず、且つ、スイッチング素子の熱破壊を防止するようにしている。以下、各部について説明する。
モータロック判断部11は、ドライバからの要求と駆動モータ30の回転状態とに基づいて駆動モータ30がロック状態であるか否かを判断するものである。温度算出部12は、モータロック時においてスイッチング素子がどれだけ温度上昇するか等を算出するものである。温度比較部13は、温度算出部12により算出された温度と、スイッチング素子の限界温度等との比較を行うものである。
電流位相算出部14は、モータロック時においてスイッチング素子の熱破壊を防止すべく、適切な電流位相を算出するものである。電流振幅算出部15は、モータロック時においてドライバの要求トルクを満たすべく、電流位相算出部14により算出された電流位相に基づいて電流振幅を算出するものである。
周期算出部15は、電流位相算出部14により算出された電流位相を周期的に変化させるための電流位相変化周期を算出するものである。デューティ算出部17は、電流位相を周期的に変化させる際のデューティ比を算出するものである。
目標電流算出部18は、実際に電流位相を周期的に変化させるため、電流位相変化制御
時のdq軸の電流目標値を算出するものである。制御部19は、上記各部に算出された算出結果に基づいて、電流位相を周期的に変化させる制御を実行するものである。
次に、本実施形態に係る車両用モータ駆動方法について説明する。図3は、本実施形態に係る車両用モータ駆動方法を示す基本フローチャートである。図3に示すように、まず電動モータコントローラ10は、入力処理を実行する(S1)。この処理において電動モータコントローラ10は以下の情報を入力する。
まず、電動モータコントローラ10は、電流センサ70から駆動モータ30に流れる三相電流Iu、Iv、Iwの情報を取得する。なお、三相の電流値の合計はゼロになることから、例えばIwはセンサ入力せず、IuとIvの値から計算で求めてもよい。また、電動モータコントローラ10は、回転センサ80から駆動モータ30の回転子位相α(電気角)[rad]の情報を取得する。この際、電動モータコントローラ10の制御部19は、回転子位相α(電気角)を微分して回転子角速度ω(電気角)[rad/s]を求め、
回転子角速度ω(電気角)を駆動モータ30の極対数で割り駆動モータ30の機械的な角速度である回転子機械角速度ωm[rad/s]を求めた後、[rad/s]から[rpm]への単位変換係数(60/2π)を掛けることでモータ回転数Nm[rpm]を求める
また、電動モータコントローラ10は、車速V[km/h]の情報を取得する。この際
、電動モータコントローラ10は、メータやブレーキコントローラ等の他のコントローラから通信にて車速V[km/h]の情報を取得してもよいし、回転子機械角速度ωmにタ
イヤ動半径Rを掛け、ファイナルギヤのギヤ比で割ることにより車両速度v「m/s」を
求め、「m/s」から[km/h]への単位変換係数(3600/1000)を施すことで
、車速V[km/h]を求めてもよい。
さらに、電動モータコントローラ10は、アクセル開度θ[%]の情報を取得する。この際、電動モータコントローラ10は、アクセル開度センサからアクセル開度θ[%]の情報を取得してもよいし、車両コントローラや他のコントローラからアクセル通信にて開度θ[%]の情報を取得するようにしてもよい。また、電動モータコントローラ10は、直流電源ラインに備え付けられた電圧センサ、又はバッテリコントローラから直流電圧値Vdc[V]の情報を取得する。加えて、電動モータコントローラ10は、インバータ20に設けられた温度センサによりスイッチング素子の温度Tj[℃](パワー半導体のジャンクション温度やベース基板温度など)や、冷却水温Tw[℃]の情報を取得する。なお、スイッチング素子温度Tjは各素子の温度の最高値であってもよい。
次に、電動モータコントローラ10は、基本目標トルク算出処理を実行する(S2)。この処理では、アクセル開度θ及び車速Vに基づき、アクセル開度−トルクテーブルにより第1のトルク指令値である基本目標トルク指令値Tm を設定する。
図4は、アクセル開度−トルクテーブルを示す図である。図4に示すように、アクセル開度−トルクテーブルは、横軸に回転数〔ppm〕を示し、縦軸にトルク〔T・m〕を示したものとなっている。図4に示すように、トルクは、アクセル開度θが小さくなるほど小さくなる傾向にある。また、トルクは、回転数の絶対値が大きくなるほど小さくなる傾向にある。電動モータコントローラ10は、このようなテーブルに基づき基本目標トルク指令値Tm を設定する。
再度図2を参照する。次いで、電動モータコントローラ10は、駆動力伝達系振動抑制制御(制振制御)を実行する(S3)。この処理において電動モータコントローラ10は、ステップS2にて算出した基本目標トルク指令値Tm とステップS1にて算出した
モータ回転数Nmとに基づいて、駆動軸トルクの応答を犠牲にすることなく、駆動力伝達系振動(ドライブシャフトのねじり振動など)を抑制する第2のトルク指令値である制振制御後・トルク指令値Tm を算出する。なお、この処理は特開2003−9556号公報に記載される通りに実行されるため、詳細な説明を省略する。また、このステップS3自体を省略することも可能であるが、振動周波数よりも小さいカットオフ周波数のLPF等を施さないと、駆動力伝達系振動を励起してしまうことになり、胸のすく加速レスポンスを実現することが困難になってしまうため、省略しないことが望ましい。
その後、電動モータコントローラ10は、電流値指令値算出処理を実行する(S4)。この処理において電動モータコントローラ10は、要求トルクの維持しつつ、モータロック時におけるスイッチング素子の熱破壊を防止したdq軸電流目標値Id,Iqを算出可能となっている。
次に、電動モータコントローラ10は、電流制御処理を実行する(S5)。この処理において電動モータコントローラ10は、まず三相電流値Iu,Iv,Iwと駆動モータ30の回転子位相αからdq軸電流値Id,Iqを演算する。次いで、電動モータコントローラ10は、ステップS4にて算出したdq軸電流目標値Id,Iqと上記dq軸電流Id,Iqとの偏差からdq軸電圧指令値Vd,Vqを演算する。なお、この部分には非干渉制御を加えることもある。その後、電動モータコントローラ10は、dq軸電圧指令値Vd,Vqと駆動モータ30の回転子位相αから三相電圧指令値Vu,Vv,Vwを演算する。そして、電動モータコントローラ10は、三相電圧指令値Vu,Vv,Vwと直流電圧VdcからPWM信号(on duty)tu[%],tv[%],tw[%]を演算する。次いで、電動モータコントローラ10は、このPWM信号を駆動信号としてインバータ20に送信する。これにより、インバータ20は、駆動信号に基づいてスイッチング素子を開閉制御することとなり、駆動モータ30をトルク指令値で指示された所望のトルクで駆動することとなる。
図5は、図3に示した電流値指令値算出処理(S4)の詳細を示すフローチャートである。図5に示すように、まず、モータロック判断部11は、駆動モータ30がロック状態であるか否かを判断する(S11)。この処理においてモータロック判断部11は、図6に示すモータロック判定テーブルに基づいて駆動モータ30がロック状態であるか否かを判断する。
図6は、モータロック判定テーブルを示す図である。図6に示すように、モータロック判断部11は、モータ回転数Nmが所定値よりも小さく、制振制御後のトルク指令値Tm が所定値よりも大きい場合にモータロック状態であると判断する。一方、モータロック判断部11は、上記以外の場合にモータロック状態でないと判断する。なお、上記判断閾値にはヒステリシスを設けてもよく、この場合にはモータロック判定について精度を向上を図ることができる。
再度図5を参照する。モータロック状態であると判断しなかった場合(S11:NO)、電動モータコントローラ10は、通常制御を行う(S24)。すなわち、電動モータコントローラ10の目標電流算出部18は、通常時のdq軸電流目標値を算出する。このとき、目標電流算出部18は、制振制御後のトルク指令値Tm 、駆動モータ30の回転子角速度ω及び直流電圧値Vdcから、テーブルを参照してdq軸電流目標値Id、Iqを求める。その後、図5に示す処理は終了し、処理は図4のステップS5に移行する。
モータロック状態であると判断した場合(S11:YES)、温度算出部12は、電流位相を変化させず通常の電流指令値に固定した場合に、スイッチング素子温度がどれだけ
上昇するか把握するため、想定飽和温度(Tjsat0)を算出する(S12)。この処理において温度算出部12は、まず、制振制御後のトルク指令値Tm から、通常制御の電流目標値Iaをテーブルより参照して求める。この電流目標値Iaに対して、駆動モータ30の回転子位相αを元に、三相電流Iu,Iv,Iwを算出し、その最大値を求めIpmax0とする。次に、温度算出部12は、図7に示す上昇温度テーブルに基づいて、電流値Ipmax0に対する想定上昇温度ΔTjを算出する。
図7は、上昇温度テーブルを示す図である。図7に示す上昇温度テーブルは、予めモータ設計値や計測結果から求めておくものである。この図7では、電流値Ipmax0に対する想定上昇温度ΔTjが一義的に決まるようになっており、温度算出部12は、このデーブルから想定上昇温度ΔTjを算出する。次いで、温度算出部12は、想定上昇温度ΔTjに、冷却系の温度Tw(例えば、水冷式であれば冷却水温)を加えることで、想定飽和温度Tjsat0を算出する。なお、この冷却系の温度Twは、実際に計測した温度でもよいし、管理上限温度を用いてもよい。
再度図6を参照する。想定飽和温度Tjsat0を算出した後、温度比較部13は、想定飽和温度Tjsat0がスイッチング素子の限界温度Tjcよりも大きいか否かを判断する(S13)。想定飽和温度Tjsat0がスイッチング素子の限界温度Tjcよりも大きくないと判断した場合(S13:NO)、モータロック状態であるが、このままロック状態が継続してもスイッチング素子の温度が限界温度Tjcを超えないと判断できるため、処理はステップS24に移行する。そして、電動モータコントローラ10は、通常制御を行い、その後、図5に示す処理は終了し、処理は図4のステップS5に移行する。
一方、想定飽和温度Tjsat0がスイッチング素子の限界温度Tjcよりも大きいと判断した場合(S13:YES)、温度比較部13は、スイッチング素子の熱破壊の危険性があるため、スイッチング素子の現在温度Tjが管理限界温度Tjc未満であるか否かを判断する(S14)。ここで、管理限界温度Tjcとは、限界温度Tjcよりも低く設定された温度である。
スイッチング素子の現在温度Tjが管理限界温度Tjc未満であると判断した場合(S14:YES)、電動モータコントローラ10は、トルク指令値を満足しつつスイッチング素子温度を限界温度範囲内に収めるため、電流位相を周期的に変化させる電流位相変化制御(S15〜S20)を実行する。一方、スイッチング素子の現在温度Tjが管理限界温度Tjc以上であると判断した場合(S14:NO)、これ以上スイッチング素子の温度が上昇すると限界温度Tjcを超えてしまう可能性があるため、電動モータコントローラ10は、電流振幅値を所定値に固定し、電流位相のみ周期的に変化させる過負荷時電流位相変化制御(S21〜S23)を実行する。
ここで、電流位相変化制御(S15〜S20)の概念を説明する。図8は、電流位相変化制御(S15〜S20)の概念を示す図である。図8に示すように、まず回転子(ロータ)位相αが165°の場合、U相及びW相には負の電流が流れている。すなわち、N側アームのスイッチング素子に集中的に電流が流れることとなる(還流時にはP側アームのダイオードを流れる)。また、V相には正の電流が流れている。すなわち、P側アームのスイッチング素子に集中的に電流が流れることとなる(還流時にはN側アームのダイオードを流れる)。ここで、U相は180°まで15°位相進めると0Aとなり、V相は240°まで75°位相進めると0Aとなり、W相は120°まで45°位相を遅らせると0Aとなる。
このため、V相が最も0Aに至るまでの位相範囲が広く、この相が0Aになるまで位相を75°進める。これにより、V相P側のスイッチング素子の電流を0Aとすることがで
き、この素子の熱集中を緩和することができる。
次に、この75°進めた状態ではW相の電流が流れ続けることになってしまうため、W相の電流が0Aになるまで、すなわち電流位相を回転子位相165°から45°遅らせて120°まで位相をずらす。この様にすると、W相の負電流が0AとなりW相N側のスイッチング素子の電流を0Aとすることができ、この素子の熱集中を緩和することができる。
そして、この操作を交互に繰り返すことで、V相及びW相のスイッチング素子への熱集中を緩和することができる。なお、この時U相については、位相180°で電流符号が負から正に変化することに伴い、使用するスイッチング素子がN側アームからP側アームに変化する。このため、電流をN側とP側で分担することができるため、熱集中を緩和させることができている。
図9は、図8に示す例において、相電流が0Aになるよう電流位相を変化させた場合のdq軸電流の配置を示す図である。なお、電流位相βは、q軸上で0°、q軸から左回りを正、右回りを負とする。
ここで、一般的なIPM(Interior Permanent Magnet Motor)のdq軸電流配置は、
電流の大きさIa(IdとIqの2乗和平方根)が最も小さくなるよう、電流位相を所定値
だけ進め、d軸電流が負となっている。これに対し、本発明では電流位相を大きく正負に振ることになるため、d軸電流は負の値だけではなく、正の値も取るように変化させることになる。なお、βを電流最小位相から正負に大きく変化させることにより、トルクを維持させようとすると電流の絶対値Ia自体は増加することになるが、特定のスイッチング素子に電流を固定させずに、いくつかの相のスイッチング素子に電流を分配することで、トータルとして各スイッチング素子の温度上昇を管理限界温度以下に確保することができるようになる。
以下、電流位相変化制御(S15〜S20)について詳細に説明する。まず、ステップS15において電流位相算出部14は、モータロックに伴い電流位相を変化させるため、変化させる先の電流位相である目標電流位相(β 、β )を算出する(S15)。図10は、図5に示した目標電流位相(β 、β )の算出処理の詳細を示すフローチャートである。
図10に示すように、電流位相算出部14は、まず電流位相の可動範囲を算出する(S31)。このとき、電流位相算出部14は、電流位相βはq軸上の正方向位相を0radとし、左回りを正、右回りを負とした場合、以下の式(1)により算出する。
Figure 2013187939
Figure 2013187939
なお、Tm はトルク指令値、p、φa、Ld及びLqはモータ設定値(p:極対数、φa:磁束、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス)である。モータ設定値は、設計値又は実験で測定した値を用いる。また、予め用意した所定のテーブルを用いて実施しても良い。
その後、電流位相算出部14は、三相電流iu,iv,iwがそれぞれ0Aとなる電流位相を算出し、相電流0A位相(β0u,β0v,β0w)を算出する(S32)。まず、相電流が0Aとなる条件は、駆動モータ30の回転子位相αを用いて、下記のように求められる。
Iu=0Aの条件: β=-α+nπ (nは整数)
Iv=0Aの条件: β=-α+(2/3+m)π (mは整数) ・・・(2)
Iw=0Aの条件: β=-α+(4/3+l)π (lは整数)
以上より、電流位相算出部14は、式(2)で求めた値を式(1)で算出した電流位相可動範囲で制限し、相電流0A位相(β0u,β0v,β0w)を算出する。
次いで、電流位相算出部14は、実際に電流位相を変化させて動作させるための2つの位相設定値である目標電流位相(β ,β )を算出する(S33)。この値は、相電流0A位相の最大値β0MAXと最小値β0MINとして求めることができるため、以下のように決定する。
β =max(β0u,β0v,β0w) ・・・(3)
β =min(β0u,β0v,β0w
このように設定することで、駆動モータ30の回転子位相αが固定(モータロック)されてしまった場合に、最も電流集中してしまう相の電流を確実に0Aにすることができる。なお、電流位相算出部14は、式(1)により相電流を0Aにできない場合、相電流が極力0Aになるように位相を設定することとなる。
再度図5を参照する。目標電流位相(β ,β )を算出した後、電流振幅算出部15は、目標電流位相(β ,β )に対する電流振幅指令値(Ia ,Ia )を算出する(S16)。まず、モータ設定値及びトルク指令値、電流位相が決まった場合、電流振幅Iaは以下のように求めることができる。
Figure 2013187939
Figure 2013187939
ここで、式(4)のβに目標電流位相β ,β を代入し、それぞれの電流位相に対する解を求め、その値を電流振幅指令値Ia ,Ia とする。なお、この値は予め用意したテーブルを用いて算出しても良い。
次いで、温度算出部12は、算出した電流振幅指令値(Ia ,Ia )の電流を流した場合に、スイッチング素子の温度がどれだけ上昇するかを把握するため、想定飽和温度(Tjsat1,Tjsat2)を算出する(S17)。この処理において温度算出部12は、まず、図6に示した上昇温度テーブルを用いて、各電流振幅指令値Ia ,Ia に対する想定上昇温度ΔTj,ΔTjを算出する。次いで、温度算出部12は、想定上昇温度ΔTj,ΔTjに、冷却系の温度Tw(例えば、水冷式であれば冷
却水温)を加えることで、想定飽和温度Tjsat1,Tjsat2を算出する。なお、
この冷却系の温度は、実際に計測した温度でも良いし、管理上限温度を用いても良い。
その後、周期算出部16は、電流位相を周期的に変化させるための電流位相変化周期(Tcyc)を算出する(S18)。この値は、電流振幅値に対する電流位相変化周期(Tcyc)を予め計算又は実験にて算出した電流値−電流位相変化周期テーブルを用いて、電流振幅指令値Ia ,Ia の最大値を入力として算出する。
図11は、電流値−電流位相変化周期テーブルを示す図である。電流値が大きくなるほどスイッチング素子の熱破壊の可能性が高まるため、図11に示すように、電流位相変化周期(Tcyc)は、電流値(電流振幅指令値Ia ,Ia )が大きくなるほど短くなるように設定されている。なお、図11に示すテーブルに格納する電流位相変化周期(Tcyc)の値は、スイッチング素子の熱時定数の値以下とする。より具体的に周期算出部16は、ステップS17にて算出した想定飽和温度(Tjsat1,Tjsat2)と、スイッチング素子の熱時定数とから、スイッチング素子が限界温度に至る時間を求め、電流位相を変化させる周期をこの時間よりも短くする。
次いで、デューティ算出部17は、電流位相を周期的に変化させる際、それぞれの電流位相に留まる割合を決定するため、電流位相変化デューティ(D 、D )を算出する(S19)。これらの値は、ステップS17にて算出した想定飽和温度Tjsat1,Tjsat2より、下記のように算出する。
Figure 2013187939
ここで、式(5)から明らかなように、想定飽和温度Tjsat1と電流位相変化デューティD との積と、想定飽和温度Tjsat2と電流位相変化デューティD との積(周期Tcycをさらに掛けてもよい)とは、同じ値となる。すなわち、このように電流位相変化デューティ(D 、D )を算出することで、スイッチング素子に対する温度上昇を均等化することとなり、全体的なスイッチング素子の温度上昇を抑えるようにしている。
そして、目標電流算出部18は、実際に電流位相を周期的に変化させるため、電流位相変化制御時のdq軸電流目標値を算出する(S20)。この処理では、まず、ステップS18にて算出した電流位相変化周期(Tcyc)の値を上限としたタイマカウンタtimを用意する。このタイマカウンタtimは0から開始され制御周期ごとにカウントアップし、電流位相変化周期に一致する時間Tcycが経過すると0に戻り、この動作を繰り返す。このとき、電流振幅指令値Ia及び電流位相指令値βは以下のように算出される

tim<D ・Tcyc の場合:
Ia=Ia 、β=β ・・・(6)-a
tim≧D ・Tcyc の場合:
Ia=Ia 、β=β ・・・(6)-b
次いで、目標電流算出部18は、この電流振幅指令値Ia及び電流位相指令値βを元に、dq軸電流目標値(Id、Iq)を以下のように算出する。
Figure 2013187939
その後、処理は図3のステップS5に移行し、ステップS15〜S20における算出結果に基づいて、電流値の大きさを変化させると共に、電流位相を周期的に変化させることで、トルク指令値を満足しつつスイッチング素子温度の熱破壊を防止することとなる。
ところで、スイッチング素子の現在温度Tjが管理限界温度Tjc未満でないと判断した場合(S14:NO)、電動モータコントローラ10は、トルク指令値を満足することを諦め、電流値を所定値に固定し、電流位相を変化させる過負荷時電流位相変化制御(S21〜S23)を実行して、スイッチング素子の熱破壊を防止するようにする。
具体的には電流振幅算出部15は、制振制御後のトルク指令値Tm とスイッチング素子温度Tjから、図12に示す予め計算又は実験で計測した値を格納した過負荷電流時・電流振幅指令値テーブルを参照して、過負荷時の電流振幅指令値(IaOL )を求める(S21)。
図12は、過負荷電流時・電流振幅指令値テーブルを示す図である。図12に示すように、このテーブルではトルク指令値が大きくなると電流振幅が大きくなるように設定されている。また、スイッチング素子温度Tjが高い程、上限が小さくなるように設定されている。なお、電流振幅は、スイッチング素子温度Tjが限界温度Tjcに到達しない範囲で可能な限り、要求トルク指令値を満足するような値とされている。
再度図5を参照する。次に、周期算出部16は、制振制御後のトルク指令値Tm とスイッチング素子温度Tjから、図13に示す予め計算又は実験で計測した値を格納した過負荷電流時・電流位相変化周期テーブルを参照して、過負荷時の電流位相変化周期(TcycOL)を求める(S22)。
図13は、過負荷電流時・電流位相変化周期テーブルを示す図である。図13に示すように、このテーブルではトルク指令値が大きい程、過負荷電流時・電流位相変化周期が短くなるように設定されている。また、スイッチング素子温度Tjが高い程、過負荷電流時・電流位相変化周期が短くなるように設定されている。なお、周期は人がトルク変動を検知できる時間以下に設定されている。
再度図5を参照する。目標電流算出部18は、過負荷時のdq軸電流目標値を算出する(S23)。この処理において目標電流算出部18は、算出した過負荷時の電流位相変化周期(TcycOL)の値を上限とするタイマカウンタtimOLを用意し、タイマカウンタtimOLは0から制御周期ごとにカウントアップし、時間TcycOLが経過すると0に戻り、この動作を繰り返すようにする。このとき、過負荷時の電流位相指令値βOL
は下記のように算出する。
Figure 2013187939
Figure 2013187939
次いで、目標電流算出部18は、このβOL 及びステップS21にて算出したIaOL を元に、dq軸電流目標値(Id、Iq)を以下のように算出する。
Figure 2013187939
その後、処理は図3のステップS5に移行し、ステップS21〜S22における算出結果に基づいて、電流値の大きさを固定すると共に、電流位相を周期的に変化させることで、トルク指令値を満足することを諦め、スイッチング素子温度の熱破壊を防止することとなる。なお、この場合においては、電流位相を周期的に変化させ、周期的に変化させたときのトルクの平均が要求トルクとなる電流値に固定することが望ましい。スイッチング素子の熱破壊を防止しつつも、可能な限り要求トルクを満たすことができるからである。
次に、登坂路において停車状態から発進する際、ブレーキを離してアクセルペダルを踏み込み、車両のトルクでヒルホールドしてモータ回転数が固定されている場合や、大きな段差を乗り越える際にトルクを掛けてもモータ回転数が固定されてしまっている場合において、トルク指令値をステップ的に増加させた場合のスイッチング素子温度の上昇特性について、タイムチャートを用いて説明する。
図14は、従来の電動モータコントローラによるモータロック時の様子を示すグラフであって、(a)はdq軸電流を示し、(b)は相電流を示し、(c)はスイッチング素子温度を示している。
停車状態から、時刻tでアクセルをステップ的に踏み込み基本目標トルク指令値が急激に立ち上がった場合、急な坂道か大きな段差があり、モータ回転数が固定されたままの状態とする。このとき、図14(a)に示すように、dq軸電流(Id,Iq)は急激に立ち上がり、図14(b)に示すように、その時の回転子位相αに応じて三相の相電流(Iu,Iv,Iw)が立ち上がる。そして、図14(c)に示すように、この電流に対してスイッチング素子の熱時定数を持ってスイッチング素子温度は上昇していき、この時の回転子位相αでは、U相P側スイッチング素子の温度が時刻tに至る前に限界温度Tjcを超えてしまっている。この結果、U相P側のスイッチング素子が破壊に至る危険性がある。
図15は、本実施形態に係る電動モータコントローラ10によるモータロック時の様子を示すグラフであって、(a)はdq軸電流を示し、(b)は相電流を示し、(c)はスイッチング素子温度を示している。
停車状態から、tでアクセルをステップ的に踏み込み基本目標トルク指令値が急激に立ち上がる。そして、モータ回転数が固定のままであった場合、本実施形態に係る電動モータコントローラ10は、モータロックを検知して電流位相を周期的に変化させる電流位相変化制御を実行し、dq軸電流を周期的に変化させる。この結果、図15(a)及び(b)に示すように、dq軸電流(Id,Iq)と相電流(Iu,Iv,Iw)のピーク値は図14に示す例よりも大きくなっている。しかし、図14に示す例のように、ある一相に通電を固定させることなく、各スイッチング素子に電流を分配しており、結果として各スイッチング素子温度は限界温度であるTjcを超えることなく、この範囲内に収めることができている。
このようにして、本実施形態に係る電動モータコントローラ10及び車両用モータ制御方法によれば、駆動モータ30がロックされていると判断した場合に、ドライバからの要求トルクを維持しつつ、駆動モータ30を駆動する際の電流値と電流位相とを変化させる。このため、電流位相を変化させるだけでなく、電流値も変化させることにより、要求トルクを維持した状態で特定のスイッチング素子に電流が集中してしまう事態を防止することができる。従って、乗員等に不快感を与えることなく、スイッチング素子の発熱を抑えることができる。
また、駆動モータ30を駆動する際の電流値と電流位相とを周期的に変化させるため、各スイッチング素子に流れる電流が平均化されることとなり、一層特定のスイッチング素子に電流が集中してしまう事態を防止することができる。
また、動作されるスイッチング素子がP側とN側とで変化しない範囲において各モータ巻線の電流がゼロアンペアに至るまでの位相差が小さい方をモータ巻線毎に特定し、特定されたモータ巻線毎の位相差が最も大きいモータ巻線について、当該位相差だけ位相変化させる。ここで、動作されるスイッチング素子がP側とN側とで変化しないということは、同じスイッチング素子の電流が流れ続ける状態であり、特定されたモータ巻線毎の位相差が最も大きいモータ巻線は、そのモータ巻線に電流を流すスイッチング素子の通電時間が長い状態であるといえる。よって、ゼロアンペアに至るまでの位相差だけ位相変化させることで、そのようなスイッチング素子の熱集中を緩和することとなる。さらに、特定されたモータ巻線毎の位相差が次に大きいモータ巻線について、当該位相差だけ位相変化させることで、次に熱集中が発生するスイッチング素子について熱集中を緩和することとなる。そして、これを交互に繰り返すことで、全体的な熱集中を緩和し、スイッチング素子の熱は回を防止することができる。
また、電流位相を変化させる周期を、各スイッチング素子の熱時定数以下するため、スイッチング素子が限界温度Tjcに達する前に他のスイッチング素子に電流を流すこととなり、スイッチング素子の熱破壊を防止することができる。
また、要求トルクを満足させる電流値を算出し、電流位相を変化させる周期を、算出した電流値が大きくなるほど短くするため、電流が大きくなる相に対応するスイッチング素子については電流値が大きいことから熱破壊し易くなるが、算出した電流が大きくなるほど電流位相を変化させる周期を短くするため、破壊し易いスイッチング素子ほど電流が流れる時間が短くなり、スイッチング素子の熱破壊を防止することができる。
また、算出した電流値に基づいて、当該電流値にてスイッチング素子が上昇すると予測
される温度である想定飽和温度Tjsat1,Tjsat2を求め、この想定飽和温度Tjsat1,Tjsat2と、スイッチング素子の熱時定数とから、スイッチング素子が限界温度Tjに至る時間を求め、この時間よりも電流位相を変化させる周期を短くする。このため、より確実にスイッチング素子が限界温度Tjcに達しないようにすることができ、スイッチング素子の熱破壊を一層防止することができる。
また、電流の位相変化を実行した場合に要求トルクを維持できない場合、極力ゼロアンペアに至る位相差だけ位相変化させるため、電流の位相変化を実行した場合に要求トルクを維持できない場合には、極力スイッチング素子の温度上昇を抑える処理を実行することとなり、スイッチング素子の熱破壊の可能性を抑制することができる。
また、式(1)から位相変化範囲を定めるため、この式にてゼロアンペアに至る位相差だけ位相変化させることができるか否かの判断を行うことができる。
また、上記処理を交互に繰り返すにあたり、それぞれの位相に留まる時間を、それぞれの位相における電流値が大きいほど、短くする。ここで、要求トルクを満足するように電流位相を変化させると、電流値が変化することとなり、小さい電流でよい位相とそうでない位相とが存在することとなる。このため、それぞれの位相における相電流が大きいほど、それぞれの位相に留まる時間を短くすることで、大電流位相に留まる時間を短くして、スイッチング素子の熱破壊を防止することができる。
また、それぞれ求められた想定飽和温度Tjsat1,Tjsat2とそれぞれの位相に留まる時間との積が同じ値となるように、それぞれの位相に留まる時間を決定する。このため、それぞれの位相においてスイッチング素子の温度が均等化されることとなり、全体的なスイッチング素子の温度上昇を抑制することができる。
また、モータロック判断部11によりモータがロックされていると判断し、現在の相電流がロック状態で流れることにより上昇すると想定されるスイッチング素子の想定飽和温度Tjsat0が、スイッチング素子の限界温度Tjを超える場合、ドライバからの要求トルクを維持しつつ、モータを駆動する際の電流値と電流位相とを変化させる。このため、ロック状態であるが限界温度Tjcを超えない場合には、通常のモータ制御を実行していてもスイッチング素子が破壊されることなく、電流や位相変化の処理を省略することとなり、処理の簡素化を図ることができる。
また、現在のスイッチング素子の温度Tjcが、スイッチング素子の限界温度よりも低い管理限界温度以上であると判断した場合、電流値を固定し、電流位相を変化させる処理を実行する。このため、限界温度には達しないが、それに近い管理限界温度までスイッチング素子の温度が上昇している場合、電流値を固定することにより要求トルクを満たすことを諦めてスイッチング素子の熱破壊を防止することのみを目的とした処理を実行することとなり、スイッチング素子の熱破壊を一層防止することができる。
また、電流位相を変化させる処理を実行するにあたり、電流位相を周期的に変化させ、周期的に変化させたときのトルクの平均が要求トルクとなる電流値に固定するため、スイッチング素子の熱破壊を一層防止しつつも、可能な限り要求トルクを満たすことができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものでは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。本実施形態では、スイッチング素子の想定飽和温度Tjsat0がスイッチング素子の限界温度Tjを超える場合、電流値と電流位相とを変化させる例を示したが、これに限られない。例えば、実際の
スイッチング素子温度が所定値以上まで上昇した場合に電流値と電流位相とを変化させるものであってもよい。
1…車両システム
10…電動モータコントローラ(車両用モータ制御装置)
11…モータロック判断部(モータロック判断手段)
12…温度算出部
13…温度比較部
14…電流位相算出部
15…電流振幅算出部
16…周期算出部
17…デューティ算出部
18…目標電流算出部
19…制御部(制御手段)
20…インバータ
30…駆動モータ
40…減速機
50…ドライブシャフト
60…駆動輪
70…電流センサ
80…回転センサ
90…バッテリ

Claims (14)

  1. 複数のスイッチング素子を制御して、前記複数のスイッチング素子に対応して設けられるモータの複数の巻線に目標となる相電流を流す車両用モータ制御装置であって、
    ドライバからの要求と前記モータの回転状態とに基づいてモータがロック状態であるかを判断するモータロック判断手段と、
    前記モータロック判断手段によりモータがロックされていると判断した場合に、ドライバからの要求トルクを維持しつつ、モータを駆動する際の電流値と電流位相とを変化させる制御手段と、
    を備えることを特徴とする車両用モータ制御装置。
  2. 前記制御手段は、モータを駆動する際の電流値と電流位相とを周期的に変化させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用モータ制御装置。
  3. 前記制御手段は、動作されるスイッチング素子がP側とN側とで変化しない範囲において各モータ巻線の電流がゼロアンペアに至るまでの位相差が小さい方をモータ巻線毎に特定し、特定されたモータ巻線毎の位相差が最も大きいモータ巻線について、当該位相差だけ位相変化させ、その変化後に、特定されたモータ巻線毎の位相差が次に大きいモータ巻線について、当該位相差だけ位相変化させ、これらの処理を交互に繰り返すことで、モータ巻線の電流位相を周期的に変化させる
    ことを特徴とする請求項2に記載の車両用モータ制御装置。
  4. 前記制御手段は、電流位相を変化させる周期を、各スイッチング素子の熱時定数以下とする
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれに記載の車両用モータ制御装置。
  5. 前記制御手段は、電流位相を変化させる場合において、要求トルクを満足させる電流値を算出し、電流位相を変化させる周期を、算出した電流値が大きくなるほど短くする
    ことを特徴とする請求項4に記載の車両用モータ制御装置。
  6. 前記制御手段は、算出した電流値に基づいて、当該電流値にてスイッチング素子が上昇すると予測される温度である想定飽和温度を求め、この想定飽和温度と、スイッチング素子の熱時定数とから、前記スイッチング素子が限界温度に至る時間を求め、この時間よりも電流位相を変化させる周期を短くする
    ことを特徴とする請求項5に記載の車両用モータ制御装置。
  7. 前記制御手段は、電流の位相変化を実行した場合に要求トルクを維持できる場合、各モータ巻線の電流がゼロアンペアに至る位相差だけ位相変化させ、電流の位相変化を実行した場合に要求トルクを維持できない場合、極力ゼロアンペアに至る位相差だけ位相変化させる
    ことを特徴とする請求項3に記載の車両用モータ制御装置。
  8. 前記制御手段は、電流位相をβ、要求トルクをT、極対数p、磁束φα、d軸インダクタンスをLd、q軸インダクタンスをLqとした場合、
    Figure 2013187939
    Figure 2013187939
    なる演算式から電流位相βの位相変化範囲を求める
    ことを特徴とする請求項7に記載の車両用モータ制御装置。
  9. 前記制御手段は、前記交互に前記処理を繰り返すにあたり、それぞれの位相に留まる時間を、それぞれの位相における電流値が大きいほど、短くする
    ことを特徴とする請求項3、請求項7又は請求項8のいずれか1項に記載の車両用モータ制御装置。
  10. 前記制御手段は、算出した位相における相電流から、当該相電流にてスイッチング素子が上昇すると予測される温度である想定飽和温度をそれぞれ求め、それぞれ求められた想定飽和温度とそれぞれの位相に留まる時間との積が同じ値となるように、それぞれの位相に留まる時間を決定する
    ことを特徴とする請求項10に記載の車両用モータ制御装置。
  11. 前記制御手段は、前記モータロック判断手段によりモータがロックされていると判断し、現在の電流がロック状態で流れることにより上昇すると想定されるスイッチング素子の想定飽和温度が、スイッチング素子の限界温度を超える場合、ドライバからの要求トルクを維持しつつ、モータを駆動する際の電流値と電流位相とを変化させる
    ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の車両用モータ制御装置。
  12. 前記制御手段は、現在のスイッチング素子の温度が、スイッチング素子の限界温度よりも低い管理限界温度以上であると判断した場合、電流値を固定し、電流位相を変化させる処理を実行する
    ことを特徴とする請求項11に記載の車両用モータ制御装置。
  13. 前記制御手段は、電流位相を変化させる処理を実行するにあたり、電流位相を周期的に変化させ、周期的に変化させたときのトルクの平均が要求トルクとなる電流値に固定する
    ことを特徴とする請求項12に記載の車両用モータ制御装置。
  14. 複数のスイッチング素子を制御して、前記複数のスイッチング素子に対応して設けられるモータの複数の巻線に目標となる電流を流す車両用モータ制御方法であって、
    ドライバからの要求と前記モータの回転状態とに基づいてモータがロック状態であるか
    を判断するモータロック判断工程と、
    前記モータロック判断工程においてモータがロックされていると判断した場合に、ドライバからの要求トルクを維持しつつ、モータ巻線に流れる相電流値とモータ巻線の電流位相とを変化させる制御工程と、
    を有することを特徴とする車両用モータ制御方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015133799A (ja) * 2014-01-10 2015-07-23 日産自動車株式会社 電動車両の制御装置および電動車両の制御方法
JP2016514943A (ja) * 2013-04-05 2016-05-23 カーエスベー・アクチエンゲゼルシャフトKsb Aktiengesellschaft 可変速電動モータの始動方法
CN114670656A (zh) * 2020-12-24 2022-06-28 宁德时代新能源科技股份有限公司 控制方法、装置、动力系统及电动汽车

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