JP2013185792A - 体感温度計測法、及び、体感温度制御コンテンツ制作法、及び、体感温度制御システム - Google Patents

体感温度計測法、及び、体感温度制御コンテンツ制作法、及び、体感温度制御システム Download PDF

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Abstract

【課題】直接計測することができない体感温度を心理評価値を用いて推定し、実際の気温に置き換えて出力する。また、物理温度以外の感覚刺激が体感温度へ与える影響を定量化する。高温でも低温でも、快適と感じられるように体感温度を制御できるコンテンツ制作法を実現する。当該コンテンツを提示して体感温度を制御するシステムを実現する。
【解決手段】本体感温度計測法は、物理温度を段階的に変化させた環境を人に体験させる手段と、人の感性を評価する感性評価手段と、当該感性評価値から感性類似タプルを生成する手段と、当該タプルに対応する環境に属する同値類の物理温度から体感温度を出力することを特徴とする。前記感性類似タプルには、主成分分析法に基づく情報抽出法を適用できる。タプル間の距離計算からコンテンツの体感温度制御作用を計測する。体感温度を制御するため、映像、音響、香り、気流、及び、これらの組合せコンテンツを利用できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、人が感じる温度をアンケート結果又は生体計測結果を用いて推定する体感温度計測法、及び、当該計測方法によって体感温度を制御できると判定されたコンテンツを提示するシステムの技術分野に属する。
2011年3月11日の東日本大震災及び原発事故を契機として、首都圏を中心として深刻な電力不足に陥っている。国や電力会社はこれを受け、企業や家庭に対し電力削減を要請している。近年の一般家庭における消費電力の内訳は、空調設備(エアコン)が使用電力全体の25%近くを占めている。次いで冷蔵庫と照明器具と続くが、これらの電力を効率的に抑制することは難しい。空調は1℃の変化で10%ほど電力消費に差が出ると言われるため、電力の抑制に効果が高い。そこで、経済産業省では空調の温度設定を28℃に設定するように企業や一般家庭に呼びかけている。
しかし、28度は、かなり高い温度で、湿度にもよるが快適とは言えない。人は快適な空間で作業すれば効率が上がるが、不快な環境では、パフォーマンスが低下する。温度は高めに設定し、それでもパフォーマンスは低下させたくない、このジレンマへの挑戦が本発明の背景である。
ところで、人が感じる体感温度は、実際の温度とは異なることが日常よく経験される。体感温度の定義は様々提案されているが、以下のリンケの公式と呼ばれる体感温度に及ぼす気温と気流の関係式が良く知られている。
リンケ体感温度L=t−4√v+12J
ここで、
t:気温(°C)
v:気流(m/s)
J:輻射(cal/min・m2
室内では、輻射熱は少ないので無視される場合が多い。
同式から分かるように、風速毎秒1mの風は、4度の気温低下に相当する。
扇風機はこれを利用した体感温度低減手段である。
当該体感温度の定義に基づき室内の体感温度を計測する装置としては、例えば、特許文献1には、室内の温度と気流を3次元的に多点測定し、リンケの公式を適用し、室内の体感温度分布を立体的に計測する手段が開示されている。
また、体感温度は湿度にも大きく影響される。以下のミスナールの公式と呼ばれる体感温度と湿度の関係式が良く知られている。
ミスナール体感温度M=t−(1/2.3)×(t−10)×(0.8−h/100)
ここで、
t:気温(°C)
h:湿度(%)
同じ気温でも湿度が低くカラッとした場合には低い気温感じる経験と合致している。
特許文献2には、広域に環境センサを配置し、気温、湿度、風速などの環境データを収集し、リンケ体感温度式、ミスナール体感温度式を適用し、広域の体感温度を算出し、電子地図に表示するシステム、及び、当該体感温度算出結果に基づいて室内の環境を制御するシステムが開示されている。
しかし、体感温度は、上記のような気温、湿度、風速など触覚的刺激のみが作用するのではない。視覚、聴覚、嗅覚刺激も人の心理・感情に影響を及ぼし、体感温度にも作用する。例えば、青色は寒色系の色彩と呼ばれ、見ていると涼しく感じる。赤やオレンジは、暖色系の色彩と呼ばれ、見ていると温かく感じる。色彩によって、体感温度は、プラスマイナス3度程変化するとも言われる。この原理を利用すると、寒暖色画像を用いて体感温度を調整することが可能である。
特許文献3には、映像の中に映像の内容を損なわないように極めて短い時間、閾下知覚(サブリミナル)で寒暖色フレームを当該映像に挿入することで体感温度を制御する技術が開示されている。例えば、夏場に部屋が暑いときに青色の補間フレームを挿入することで、体感温度を3°C程度低下できると考えられると記述されている。
しかし、当該文献には、肝心の体感温度の計測方法についての技術的開示はない。従って、体感温度をどのように計測するのか不明であり、当該文献のみからは体感温度への作用は明らかではない。
また、香りは、人に心理的・生理的影響を及ぼすことが知られている。清涼感を与えるミント系の香り、例えば、ペパーミント、レモン、ベツガモット、ユーカリなどは、体感温度を下げる作用があると言われる。また、暖かい印象のあるフローラル系の香り、例えば、ローズ、ジャスミン、バニラ、イランイランなどは、体感温度を上げる作用があると言われる。甘い芳香が特徴の伽羅などの沈香、白檀にも体感温度を上げる作用があると言われる。
特許文献4には、空調装置の吹出空気に香りを混入し、体感温度を制御する体感温度調整型空調装置が開示されている。
しかし、当該文献にも、体感温度の計測方法や、香りの提示によりどの程度体感温度が低下するのかなどの記述はない。また、香り付き映像が体感温度に及ぼす影響については検討されていない。
また、音響や音楽も人の心理の大きく影響するため、体感温度に作用すると考えられる。例えば、風鈴の音色や虫の音を聞けば暑い夜も快適に過ごせる。体感温度を下げる作用が考えられる。
以上のように、体感温度は、様々な感覚刺激やその時の心理状態によって変化することが分かる。しかし、従来の体感温度計測では、心理状態まで考慮したモデルは用いられておらず、感性マルチメディア提示による体感温度計測法も提案されていない。従って、上記のように感覚刺激を提示して体感温度を制御できると言われるシステムであっても、当該感覚刺激提示によって具体的に何度下げられるのか不明である。また、上記のように体感温度計測法が不十分であるため、低減効果を具体的に表示した感覚刺激媒体コンテンツは開発されていない。
そこで、本発明者らは、温度や湿度、気流などの触覚刺激だけでなく、映像や香りなどの感覚刺激提示を取り入れた場合の体感温度計測法を研究し、当該計測法で体感温度を制御する感覚刺激媒体コンテンツの開発を進めている(非特許文献1参照)。
特開平6−160127 特開2010−277172 特開2010−130601 特許第2598562号
(30条適用) [標 題]感性マルチメディアを用いた体感温度制御の検討 [著 者]伴野明,野口祐樹,渡邉駿,山本修平,伴野啓介 [学会名]ヒューマンインタフェース学会 [掲載誌]ヒューマンインタフェースシンポジウム2011論文集 [巻号頁]No. 2549P, pp.803-806 [出版年]2011.09.15
体感温度はそもそも人が感じる心理的温度であるため、温度計や湿度計のデータのみから一律に決定されるものではない。従来、感性マルチメディア、又は、感覚刺激媒体コンテンツを提示し、その時の心理状態までを考慮に入れた体感温度の計測法は提案されていない。従って、体感温度を制御する感覚刺激媒体コンテンツの開発もされてこなかった。
このような問題点に鑑み、本発明では、実際の気温とは異なり、直接計測することができない体感温度をアンケート、又は、生体反応計測によって推定し、実際の気温、又は、体感温度表現に置き換えて出力することが課題である。また、物理的な温度以外の感覚刺激が提示された場合、当該刺激による体感温度への影響を定量化する。
高い又は低い気温でも、快適と感じられるようにするため、感覚器官を刺激し体感温度を制御できる感覚刺激媒体コンテンツを制作する方法を開発する。更に、当該コンテンツを提示して体感温度を制御するシステムを構築することが課題である。
<問題解決手段1>
本発明の体感温度計測法は、例えば、図1から図3に対応づけて説明すると、
物理温度Tpを含む所定の環境Eを提示する手段を用いて少なくとも当該Tpを段階的に変化させた参照環境ei(i=1,2・・)を人に体験させる工程(2)と、
当該体験に基づいた人の感性を評価する感性評価工程(3)と、
当該感性評価工程から得られる感性評価値から体感温度に関する感性情報の類似性に基づいて、前記参照環境eiを類似の環境群Ej(図1ではE1〜Em)に分割する工程(6,7)と、
対象環境efを体験する際に得られる体感温度に関する感性情報に近い感性情報を有する環境群Ej(図1ではEm)を求める工程(9)と、
当該環境群Ej(Em)に対応する体感温度Tsから対象環境efにおける体感温度Tsefを決定する工程(10)と、
からなることを特徴とする。
前記物理温度Tpを含む所定の環境Eを提示する手段(1)には、温度、湿度を高精度で制御できる恒温実験室などが利用できる。
人の感性を評価する感性評価手段(3)には、感性語によるアンケート(11)を用いることができる。具体的には、セマンティックデファレンシャル法(SD法又は意味微分法)、一対比較法など感性工学、又は、感性情報処理で用いられる手段が適用できる。
SD法を用いた場合、温度、湿度に関する感性表現を含む形容詞対を多数用意し、各形容詞対に間隔尺度を設けたアンケートを人に提示して回答を求め、当該形容詞対尺度上の回答点から当該形容詞対で表される感性の偏りを数値で表し、感性評価値とすることができる。即ち、形容詞対のどちら側に属するかの偏りを用いて感性を評価できる。
また、複数の形容詞対から得られる感性評価値を集約して新たな感性評価値としてもよい。また、前記感性評価値は、SD法のような間隔尺度を用いない方法でも得られる。例えば、暑いと感じたかに対する「はい」、「いいえ」などの回答を名義尺度として利用できる。
前記対象環境とは、体感温度を計測したい対象空間の状態を意味する。気温や湿度が決められた空間に限らず、五感刺激情報が提示される空間など多様な空間が対象環境として可能である。
前記環境群Ej(Em)に対応する体感温度Tsを対象環境efにおける体感温度Tsefとして決定する手段(10)では、当該環境群Ejを構成する参照環境ei(図1では、em−1、em−2、em−3)の物理温度Tpei(図1では、Tpem−1、Tpem−2、Tpem−3)の何れかをTsefに用いてもよい。
また、当該物理温度Tpを加工して、前記体感温度Tsefに用いてもよい。例えば、前記物理温度Tpeiと対象環境efの物理温度Tpefとの差分温度TssをTsefとして決定してもよい。
また、前記環境群Ejに対応する体感温度Tsは、別途、被験者実験を行い、アンケートによって回答を求め、Ejの中で統計的な所定温度(一つの温度)として決定してもよい。
更に、前記対象環境efにおける体感温度Tsefとして決定する手段(10)として、以下も含まれる。前記環境群Ej(Em)に対応する体感温度を所定の体感温度軸で表現し、当該軸上の暑くも寒くもない所定の体感温度との差分をもって、対象環境efにおける体感温度Tsefとして決定してもよい。
<問題解決手段2>
本発明の体感温度計測法は、例えば、図1から図3に対応づけて説明すると、
問題解決手段1に記載の計測法において、
前記対象環境efを体験する際に得られる体感温度に関する感性情報に近い感性情報を有する環境群Ejに分割する工程は、
前記感性評価工程(3)から得られる感性評価値から体感温度に関する感性情報タプルai(i=1,2・・)を生成する工程(6)と、
当該感性情報タプルaiの類似性を計算し、当該類似性に基づいて、aiをタプル群Aj(j=1〜m、各Ajはaiの集合となる)に分割する工程(7)と、を備え、
対象環境efを体験する際に得られる体感温度に関する感性情報に近い感性情報を有する環境群Ejを求める工程は、
対象環境efを体験する際に得られる体感温度に関する感性情報afを前記タプル群内のタプル、又は、当該群を代表するタプル(代表するタプルとは、一つのタプルに限定されない)と比較し、前記感性情報afに近いタプルaiが含まれるタプル群Aj(図1ではAm)を選択する工程(8)と、
当該タプル群Ajに対応する環境群Ej(図1ではEm)を求める工程(9)と、を備えた
ことを特徴とする。
前記体感温度に関する感性情報は、暑い、寒い、湿っぽい、さわやか、楽しい、苦しい、などの様々な様々な形容詞で表現できる。当該感性情報から感性情報タプルaiを得るには、感性語によるアンケート(11)用いることができる。アンケート用紙を利用してもよいが、コンピュータのヒューマンインタフェースを用いても実施できる。温度に関する感性情報が取得できる手段であればよい。形容詞対アンケートからどちらの形容詞に近いか数値で求める。複数の形容詞対アンケートから複数項目の感性評価値が得られ、当該感性情報値をaiとして利用できる。
前記感性情報タプルaiの類似性を計算し、当該類似性に基づいて、aiをタプル群(図1、2では、A1〜Am、各Aはaiの集合となる)に分割する手段(7)では、前記タプルaiを多次元空間上のベクトルで表し、ユークリット距離を計算するなどの手法が利用できる。なお、前記タプル群の要素であるタプルaiは単体でも複数でもよい。
前記対象環境efを体験する際に得られる体感温度に関する感性情報afを前記タプル群内のタプル、又は、当該群を代表するタプルと比較するには、タプル間のユークリッド距離を利用できる。
また、前記afに近いタプルが含まれるタプル群(Am)の選択処理(8)、及び、当該タプル群に対応する環境群(図1ではEm)を求める処理(9)は、対応関係を求める処理なので、コンピュータのリスト処理などが適用できる。
前記人の感性を評価する感性評価手段(3)には、生体反応計測法を用いてもよい。当該、生体反応計測には、脳波計、脳血流ヘモグロビン濃度測定装置、発汗量を計測する皮膚コンダクタンス計測装置、皮膚温度を計測する赤外温度計などが利用できる。当該計測装置の計測結果は、人の感性を反映して変化するため、計測結果そのものを前記感性評価値としてもよい。例えば、皮膚コンダクタンスは、体感温度に関連する緊張、興奮、覚醒を反映して変化するため、当該値を感性評価値にできる。また、生体反応計測結果と前記感性評価値との関係を別途定義し、当該関係を用いて生体反応計測結果から感性評価値を求めてもよい。
体感温度が上昇すると、発汗を伴うため皮膚コンダクタンス、及び、皮膚温度は上昇する傾向がある。従って、皮膚コンダクタンス又は皮膚温度と体感温度に関する感性情報の類似性は、単回帰分析によって推定できる。また、皮膚コンダクタンス、皮膚温度の変化特徴が複数抽出できる場合には、当該複数の特徴量と体感温度に関する感性情報の類似性は、重回帰分析や各特徴との相関分析により推定できる(図1のア参照)。
また、当該感性評価値は、間隔尺度に限らず、測定値が「上昇した」、「上昇しなかった」などのなどの名義尺度を用いてもよい。この場合には、当該名義尺度を説明変数とし、体感温度に関する感性情報を目的変数として、数量化理論I類を適用し、両者の関係を求め、当該感性情報の類似性を求めてもよい。
更に、人の感性を評価する感性評価手段(3)に関して、感性語を用いたアンケートと生体反応計測を統合して、新たな感性評価手段としてもよい。
<問題解決手段3>
本発明の体感温度計測法は、例えば、図1から図4に対応づけて説明すると、
問題解決手段2に記載の計測法において、
前記感性評価工程(3)から得られる感性評価値から体感温度に関する感性情報タプルaiを生成する工程(6)は、少なくとも温度、湿度を表現する感性語対を含む5つ以上の感性語対からなるアンケート(図4の11)を前記感性評価工程(3)として用い、当該感性評価工程から得られる感性評価値から原始感性情報タプルgi(各タプルはh次元)を生成する工程(4)と、当該タプルgiを説明変数として、主成分分析法に基づく情報抽出法(5)を適用し、体感温度に関する感性情報の類似性を表現する第1〜第nの抽出成分を座標軸に持つ空間(12)で表現される感性情報タプルai(各タプルはn次元)を出力する工程(6)と、を備えた
ことを特徴とする。
<問題解決手段4>
本発明の体感温度計測法は、例えば、図1、図2に対応づけて説明すると、
問題解決手段2に記載の計測法において、
前記感性情報タプルaiの類似性を計算し、当該類似性に基づいて、aiをタプル群Ajに分割する工程(7)においては、タプルaiのn次元表現空間(12)においてタプル間の距離計算を行い、当該距離が所定の範囲内にタプルaiをタプル群Ajとすることを特徴とする。
図2に示すように、前記体感温度に関する感性情報をより強調して取得するために、原始感性情報タプルgiを入力として、類似性の高いタプルを統合し、タプル相互に意味的な干渉の少ない新しい感性情報タプルaiを出力とする多変量解析システムを利用できる。具体的には、主成分分析法、因子分析法などが利用できる。
前記感性語表現を用いたアンケート(11)による感性評価手段には、前記のように所謂セマンティックデファレンシャル法が適用できる。前記感性語対は、5個以上、出来れば20以上が望ましい。主成分分析法による前記第1〜第nの抽出成分(主成分)は、累積寄与率(表2)が6割以上となるnを用いることが望ましい。前記感性語対を20以上用いると、温度、湿度の表現にふさわしい主成分が3〜5個抽出できる(表2、表3参照)。
体感温度を表現する際の感性語対は一般に類似する語対が選択されやすい。類似した感覚語対から得られる感性情報としてタプルgiをそのまま説明変数に用いて、目的変数である前記タプル群Aj、又は、環境群Ejに対応する体感温度Tsを推定しようとすると、多重共線性(所謂マルチコ)が起き、不合理な推定結果になりやすい。特に、前記の感性語対20個以上をそのまま使うと、感性語と体感温度との関係が合理的な結果にならないことが多い。
しかし、前記のように、主成分分析法を用いて、体感温度に影響を与えない因子(感性語対)を捨象することによって、体感温度に影響を与えやすい類似した感性語対は前記第1〜第nの主成分に集約されるため、当該整理された主成分をタプルaiとして説明変数に用いることによって、目的変数である前記タプル群Aj、又は、Ajに対応する環境群Ej、又は、環境群Ejに対応する体感温度Tsを合理的に推定しやすい。また、主成分分析の結果を踏まえて、体感温度により明瞭に反応する前記形容詞対を設定し直すことができる。
以上のように、参照環境の物理温度Tpを変えて体感温度に関する感性評価を行い、当該感性評価値から体感温度に大きな影響を与える因子群を抽出し、当該因子群(図2の第1〜第n抽出成分に対応)から成るタプルを感性情報タプルaiとして利用できる。
本体感温度計測法では、感覚刺激媒体コンテンツを提示したとき、つまり、環境を付加的に変化させたときの体感温度調整効果を明らかにすることが目的であるため、前記感性評価値から体感温度に関する感性情報タプルaiを生成する手段(6)と、当該aiの類似性を計算し、当該類似性に基づいて、aiをタプル群Ajに分割する手段(7)とを構成する際には、温度、湿度以外の感覚刺激が提示されない環境で感性評価してもよい。例えば、目隠しする、白い壁を見せる、耳栓などにより、視覚刺激、聴覚刺激を遮断し、皮膚触覚のみにして、アンケートや生体反応計測により感性評価値を求めることができる。このような参照環境eiにおいて、前記段階的物理温度Tpとタプルaiとの関係を求めておくことによって、物理温度以外の環境を変化させたときのタプルaiの変化から体感温度Tsの変化を明らかにできる(図3参照)。
例えば、図2において、参照環境eiが物理温度と湿度を段階的に変化させた環境であって、手段(7)より、感性情報タプル群Ajが求められれば、所定の物理温度(28度)と湿度(30%)において感覚刺激媒体コンテンツを提示した対象環境efの体感温度は、当該対象環境のタプルafの近くのタプル群Amから、efの物理温度(28度)とは違う体感温度Tsef(26度)を出力できる。つまり、感覚刺激媒体コンテンツが無い状態で28度だった物理温度(即ち、体感温度)が、感覚刺激媒体コンテンツの提示によって、体感温度が26度となり、2度下がることが明らかにできる。
問題解決手段1から3の何れかに記載の計測法において、
前記感性評価値から体感温度に関する感性情報の類似性に基づいて、前記参照環境eiを類似の環境群Ejに分割する手段(6、7)には、感覚評価値を入力情報とし、前記タプル群Aj、又は、Ajに対応する環境群Ej、又は、Ejに対応する体感温度Tsを出力として、回帰分析手段を用いてもよい。また、ニューラルネットや遺伝的アルゴリズムに基づく学習処理を行う自己組織化識別系を利用してもよい。
<問題解決手段5>
本発明の体感温度計測法は、例えば、図1に対応づけて説明すると、
問題解決手段1から4の何れかに記載の計測法において、
前記環境群Ejに対応する体感温度Tsから対象環境efにおける体感温度Tsefを決定する工程(10)は、
当該環境群Ejの中の参照環境ei の物理温度Tpeiを体感温度Tsef_1とする工程(出力1)、
前記Tsef_1と対象環境efの物理温度Tpefとの差分体感温度Tssを体感温度Tsef_2として出力する工程(出力2)、
人物の温度敏感係数Cを当該Tssに乗じた差分体感温度TssCを体感温度Tsef_3として出力する工程(出力3)、
対象環境efの物理温度Tpefに当該TssCを加えた調整体感温度TsCを体感温度Tsef_4として出力する工程(出力4)、
当該TsCから人が暑くも寒くも感じないと感じる中立的な物理温度を減じた寒暖指数的体感温度TsDを体感温度Tsef_5として出力する工程(出力5)、
の何れかの工程を用いることを特徴とする。
前記出力3の温度敏感係数Cに関しては、図9に示すように、対象となる人物のタプルaiの第1成分(体感温度に大きく影響する成分)について、分散値σまたは標準偏差を計算し、前記Cに反映させることができる。分散が大きければ、当該人物は温度に敏感に反応する属性を持つ。当該温度敏感係数Cは、感覚刺激媒体コンテンツによる体感温度制御の際、当該制御作用に反省させることができる。
<問題解決手段6>
本発明の体感温度計測法は、例えば、図1から図5に対応づけて説明すると、
問題解決手段1から5の何れかに記載の計測法において、
前記対象環境efは、映像、又は、音響、又は、香り、又は、気流、又は、これらを組み合わせた感覚刺激媒体コンテンツを提示する環境であることを特徴とする。
前記感覚刺激媒体コンテンツは、没入感があるように提示することが望ましい。即ち、映像や音は、大画面、高精細で、温度感覚に影響を与えるものが望ましい。香りは温度感覚に影響を与えるものが望ましい。その場に居る臨場感を高めることによって、体感温度は変化しやすい。
<問題解決手段7>
本発明の体感温度計測法は、例えば、図2、図3、図6、図7、図8に対応づけて説明すると、
問題解決手段1から6の何れかに記載の計測法において、
前記感性評価値から体感温度に関する感性情報の類似性に基づいて、前記参照環境eiを類似の環境群Ejに分割する工程(6、7)は、当該参照環境eiの物理温度、湿度、人の属性、季節、感覚刺激媒体コンテンツの少なくとも一つを限定したカテゴリについて分割する工程であることを特徴とする。
体感温度に関して、普段から暖かい地域に住んでいる南方の人と、寒い地域に住んでいる人では、同じ気温、湿度でも差がある。そこで、類似の環境群Ejを人の属性により分割方法を変えることができる。例えば、図6に示すように、人の属性として、南方の人、北方の人のカテゴリを設け、各カテゴリにおいて、Ejを分割することができる。この場合、北方の人は、Tp 28度、湿度70% の環境は、体感温度Tsとして、「大変暑い温度」と感じるが、冷たく感じる香り付き映像の提示によって、体感温度Tsを「少し暑い温度」まで下げることができる。一方、南方の人は、Tp 28度、湿度70% の環境は、体感温度Tsとして、「かなり暑い温度」と感じるが、冷たく感じる香り付き映像の提示によって、体感温度Tsを「暑くも寒くも ない、丁度 良い温度」まで下げることができる。
また、体感温度は、季節でも差がある。そこで、類似の環境群Ejを季節により分割方法を変えることができる。例えば、図7に示すように、夏季、冬季のカテゴリを設け、各カテゴリにおいて、Ejを分割することができる。この場合、冬季に人は、Tp 28度、湿度70% の環境は、体感温度Tsとして、「29度」と感じるが(気温と体感温度に差がある)、冷たく感じる香り付き映像の提示によって、体感温度Tsを「27度」まで下げることができる。一方、夏季に人は、Tp 28度、湿度70% の環境は、体感温度Tsとして、「28度」と感じるが(気温と体感温度に差は少ない)、冷たく感じる香り付き映像の提示によって、体感温度Tsを「26度」まで下げることができる。
また、体感温度は、湿度でも差がある。そこで、類似の環境群Ejを湿度により分割方法を変えることができる。例えば、図8に示すように、湿度30%、70%のカテゴリを設け、各カテゴリにおいて、Ejを分割することができる。この場合、湿度70%でTp 28度の環境は、体感温度Tsとして、「大変暑い温度」と感じるが、冷たく感じる香り付き映像の提示によって、体感温度Tsを「少し暑い温度」まで下げることができる。一方、湿度30%でTp28度の環境は、体感温度Tsとして、「かなり暑い温度」と感じるが、冷たく感じる香り付き映像の提示によって、体感温度Tsを「暑くも寒くも ない、丁度 良い温度」まで下げることができる。
<問題解決手段8>本発明の体感温度制御コンテンツ制作法は、例えば、図1から図9に対応づけて説明すると、
映像、又は、音響、又は、香り、又は、気流、又は、これらを組み合わせた感覚刺激媒体からなるコンテンツを制作する方法であって、
当該コンテンツを提示する環境efを対象環境として、
前記問題解決手段1から7の何れかに記載の計測法を適用し、当該対象環境efにおける体感温度Tsefを計測し、当該体感温度Tsefを当該対象環境における物理的温度Tpef、又は、前記コンテンツを提示しない環境群Ejでの体感温度Tsと比較し、
両者間に差を生じるように前記コンテンツを制作することを特徴とする。
<問題解決手段9>
本発明の体感温度制御システムは、例えば、図1から図9に対応づけて説明すると、
問題解決手段1から7の何れかに記載の計測法を用いて、感覚刺激媒体コンテンツ提示の有無によって体感温度が変化することを予め調べる手段と、当該変化することが判定されたコンテンツを提示することを特徴とする。
前記感覚刺激媒体コンテンツには、暑い環境にあっては、涼しげさを感じさせるコンテンツが望ましい。具体的には、海の中の映像は、全体的に青系又は寒色系で、動きもゆっくりしているので、気分を鎮静化させ、体感温度を下げる作用がある。また、レモン、ペパーミント、メントールなどの香りも体感温度を下げる作用がある。これらを組み合わせた香り付き映像は、より体感温度を下げる作用があるため、夏場に使用すると体感温度を快適に制御できる。
一方、寒い環境にあっては、温かさを感じさせるコンテンツが望ましい。具体的には、南国の映像やスポーツ映像は、全体的に赤系統又は暖色系で、動きも激しいので、気分を活性化させ、体感温度を上げる作用がある。また、バラ、オレンジ、カプサイシンの香りも体感温度を上げる作用がある。これらを組み合わせた香り付き映像は、より体感温度を上げる作用があるため、冬場に使用すると体感温度を快適に制御できる。
また、香りを用いた体感温度制御コンテンツ制作法、及び、体感温度制御システムにおいて、以下に注意することが望ましい。
(1)香りは、それ自体に体温を低下させる、又は、上昇させる生理的作用のあるものが知られているので、当該作用のある香りを単体で用いても好ましい体感温度環境の生成には効果がある。しかし、人は、体感温度に関して環境からの心理的影響を強く受けるので、香り単体で提示するよりも、音楽や、映像とセットでコンテンツとして提示することが望ましい。また、当該コンテンツの観賞条件や観賞方法を教示しておくことが望ましい。当該教示により、人は、期待感や先入観などの心理的バイアスを受けため、コンテンツの体感制御作用はより高まる。
(2)香りコンテンツを用いた体感温度制御では、コンテンツ提示中に当該香りが知覚されていることが望ましい。しかし、人には嗅覚疲労、嗅覚順応作用があるため、香りは提示して間もなく感じなくなることがある。香りが感じられないと、心理的な体感温度制御作用が低下する。これを避けるために、香りはパルス的、又は、間欠的に提示することができる。例えば、10秒〜30秒提示し、数分休み、再び提示する方法を取り入れると、嗅覚順応が起きにくい、又は、嗅覚順応を遅らせることができる。従って、香りによる体感温度制御作用は長時間保持される。
<問題解決手段10>
本発明の体感温度制御システムは、例えば、図1から図9に対応づけて説明すると、
問題解決手段9に記載のシステムにおいて、感覚刺激媒体コンテンツは、香り、映像、色彩、音響、気流の少なくとも一つを含み、温度制御部(17、18)と当該コンテンツ提示部(22〜24)が連動し、所定の体感温度で、消費電力が極小になる条件で制御されることを特徴とする。
前記体感温度制御システムは、エアコンの中に組み込むことも可能である。例えば、エアコンの中にプロジェクタを組み込み、壁に色彩や映像を投影し、当該感覚刺激媒体コンテンツの体感温度制御作用を利用し、エアコンから出る空気の温度を控えめに設定することができる。具体的には、夏場に子供部屋の空調温度を28度に設定すると共に、壁の色を青系統にすることで、体感温度を気温換算で26〜27度にすることができる。また、エアコンの中に香り発生機構や香料紙を設け、吹き出し口から体感温度を制御するための香りを出してもよい。空調温度による皮膚触覚と嗅覚、視覚、音響などの相互作用を利用して効率よく体感温度を制御できるエアコンを実現できる。
本発明では、直接計測することができない体感温度をアンケート、又は、生体反応計測によって推定し、実際の気温に換算して数値で示すことができる。また、気温、湿度などが所定の目標境において、感覚刺激媒体コンテンツを提示した場合に、当該気温から何度上昇する、又は、低下するかを把握できる。従って、体感温度に影響を与える感覚刺激媒体コンテンツを選択して提示すれば、実際の気温より過ごしやすくなるため、エアコンによる室内温度調節を小さくできる。具体的には、夏場は、エアコン設定温度を同じ快適性を保持したままで数度上げることができ、冬場ならば、数度下げることができる。即ち、省エネ、節電の効果が大きい。
本発明では、体感温度の計測に、前記感性語表現を用いた感性評価手段を用いるが、感性語は曖昧性を含む。従って、アンケートによる回答結果から統計的分析手段を用いて体感温度を推定する場合に多重共線性が発生すると正確な推定が難しい。しかし、本発明では、主成分分析法などによる情報抽出法を組み合わせて使用するため、不合理な推定結果になり難く、体感温度が安定して計測できる効果がある。
また、情報抽出法、例えば、主成分分析を用いた場合、体感温度に敏感な感性語対を新たに作ることができる。当該感性語対を使用すれば、体感温度を計測する際のアンケート項目を削減でき、簡単な手続きで体感温度を計測できる。面倒でないので使い勝手が良い。
本体感温度計測法を用いると、体感温度低下効果、又は、上昇効果のある感覚刺激媒体コンテンツを制作できる。当該感覚刺激媒体コンテンツを制作し利用すれば、節電や省エネに大きな効果がある。
更に、感覚刺激媒体コンテンツを提示して体感温度を制御するシステムを構築できるため、節電や省エネに大きな効果がある。当該システムをインテリジェントエアコンに組み込めば、感性語をいくつか入力する、又は、音声認識と組み合わせれば、エアコンが、利用者に対してインタラクティブに質問し、利用者の感性を評価することによって室内温度を最適に設定できる。
また、利用者が自分が感じている状態をシステムにつぶやくだけで、システムは、利用者の体感温度を推定し、その際の物理的温度との差を計測し、適切な感覚刺激媒体コンテンツを提示して利用者の対象環境を最適にできる効果がある。
本発明の実施例で、体感温度計測法の構成と原理を説明している。 本発明の第2の実施例で、体感温度に関する類似感性タプル群Ajを生成する手段を説明している。 本発明の第3の実施例で、感覚刺激媒体コンテンツの提示で体感温度が変化する実験方法を説明している。 図3の実験において、SD法を用いた感性評価手段を説明している。 図3の実験において、感覚刺激媒体コンテンツ提示による体感温度低減効果を説明している。 本発明の第4の実施例で、南方出身、北方出身などの人の属性に合わせて体感温度を決定する計測法を説明している。 本発明の第5の実施例で、夏季、冬季など季節に合わせて体感温度を決定する計測法を説明している。 本発明の第6の実施例で、湿度に合わせて体感温度を決定する計測法を説明している。 本発明の第7の実施例で、個人の温度敏感性を考慮した体感温度計測法を説明している。 本発明の第8の実施例で、体感温度を制御するシステムの説明である。
本発明の実施態様ついて具体的に説明する前に、本発明において、体感温度について数学的な定義を行う。
<体感温度の定義と体感温度導出の数学モデル>
体感温度に影響を与える環境因子、x1,x2,…,xn、によってタプルを構成し、その集合として環境空間Eを下記の式(1)を定義する。ここで、x1=T=(Physical Temperature)∧x2=H=(Humidity)とする。このうちの幾つかを参照環境として選び出す。この時、体感温度は環境空間E上に定義された式(2)となる。ここでiは被験者を表す添え字。以後、体感温度関数の存在と唯一性を仮定し、以下にその定義を述べる。
次に、各環境下での体感温度に関連する感性反応に着目し、異なる環境下での体感温度に関連する感性反応の類似性から、環境空間を分割する。各参照環境はいずれかの同値類に属するため、これは参照環境を幾つかの群に分けることにつながる。これらの群は上では環境群Ejと呼称されている。この目的のために、下記の式(3)を定義する。Sは後に詳しく説明される。ここでは、下記の式(4)の値は式(5)と式(6)それぞれの環境下での被験者の体感温度に関連する感性反応が類似していればいるほど小さくなるということを知っておけばよい。具体的には、各同値類は類似関数を用いて以下の式(7)に示すように定義されている。ここで、c2,c3,…,cnは任意に選ばれた定数である。これは、環境空間内の直線L(式(8)に示す)から飛び飛びに点を選んでいき、各環境がそれらの点の内どの点に最も近いかによって、その環境が属する同値類を決定することに等しい。 本来であれば連続的に多くの点を選ぶべきであるが、
1)体感温度とはそもそも曖昧なものである
2)反応の類似性を基に環境の属する同値類を決定している
という二つの理由から、これをせず、環境空間を高々可算個の同値類に分割した。
εnに属する各環境下における体感温度に関する感性反応は似ているため、以下の式(9)に示す近似が成り立つ。よって、下記の式(10)に示す関数を定義することは、Ωを下記の式(11)としたとき、式(12)を定義することに帰着できる。式(10)に示す関数は各同値類に体感温度を割り当てる関数であり、請求項(1)で述べられている「対象環境efにおける体感温度Tsefとして決定する手段(10)」の数学的表現である。この関数は複数の方法で定義できるが、ここではそのうちの二つを例として挙げる。
1)寒暖指数的体感温度
物理温度を体感温度はとして用いることは、被験者ごとに同じ物理温度を含む環境に対する解釈が異なるために、単に被験者は今湿度45%・物理温度16度の部屋にいるように感じているというだけでは、被験者が暑がっているのか寒く感じているのかはわかりにくい。そこで、被験者がどの程度暑く感じるのかを指し示す寒暖指数を導入し、被験者の体感温度をこの指数によって表し、被験者のバックグラウンドによらず統一的に記述することのできるようにする。つまり、二人の異なるバックグラウンドをもった被験者の寒暖指数が共に+2であるといったとき、これらの被験者は同じ程度暑く感じていることになる。被験者の出身地域における各環境要因のその年の平均値を式(13)、式(14)、対象環境が属する同値類をεf、被験者の温度変化に対する敏感度係数をC としたとき、寒暖指数は以下の式(15)ように定義できる。ここで、式(16)。これは、環境空間上の式(17)に示す直線Lsを考え、式(18)としたとき、式(19)と式(20)の第一成分方向の変位に敏感度係数を掛けたものに等しい。
2)標準体感温度
任意の定数c2,c3,…,cnに対して、(c2,c3,…,cn)=(x1,x2,…,xn)となるような環境を標準環境と呼び、式(21)とする。
これより類似関数Sを定義する。類似関数は与えられた二つの環境下での体感温度に関する感性反応の類似性を与えるものである。そこで、先ず各環境下で様々な種類の感性評価を行う。これは上で言及されている感性評価手段(3)に対応する。y1,y2,…,ymを感性評価値とし、これらによってタプルを構成し、その集合として式(22)に示す感性空間Kを定義する。これは、環境(=式(19))下での感性反応を式(23)としたとき、式(24)とするような関数を定義しているに等しい。以下、式(25)を感性反応関数と呼称する。ここでiは被験者を表す添え字。また、このようにして得られたタプルを感性情報タプルとして用いてもよい。その場合、式(26)。
この式(27)の分布を基にして各環境下での感性反応の類似性を調べるわけであるが、全ての感性評価が体感温度変化を反映するものであるとは限らず、また、仮にそうであるような感性評価であったとしても、その反応は他に比べて鈍いかもしれない。そこで、式(28)に対して主成分分析を適用し、感性空間Kに新しい座標系と原点を導入する。ここで、複数の被験者の分布の和集合を取ったのは、グループの全体的な傾向性を考慮に入れるためである。また、実際の実験では、式(28)ではなく式(29)を分析する。(n,c2,c3,…,cn)は参照環境と呼ばれ、直線L上の点であり、Tl、Tuはそれぞれ実験で用いられた下限、上限温度。主成分分析適用後に得られる各主成分で、
1)寄与率が高い(主成分分析で主成分を選ぶ方法として一般的に用いられている手法を用いる)
2)物理温度との相関係数の絶対値が0.5以上である
3)体感温度との関連性が高い
という条件を満たす主成分のみ抽出し、各主成分の寄与率が大きい順に1〜m´の添え字を当ててゆく。ここで、(3)で言及されている条件について詳しく説明すると、一般に主成分分析においては、各主成分の解釈を固有ベクトルの棒グラフや点グラフ、もしくは、主成分得点の属性別平均の棒グラフや点グラフを用いて行う。このような解釈の結果体感温度とは明らかに異なる何かを阿波わしていると思われる主成分を検討から除外するわけである。以上の操作は、Kの直行座標系を回転し、平行移動させ、直行射影させることに等しい。それらの操作をする関数を式(30)とする。ここで、K'を抽出空間と呼称し、各成分を抽出成分とする。
次に、K'上に以下のように定義された式(31)に示す距離関数dを導入する。物理温度と各抽出成分との相関係数をwiと置き、距離関数を以下の式(32)に示すように定義する。これは「タプルaiの類似性を計算しAjに分割する手段(7)」で用いられている距離計算手段の一例である。
最後に、類似関数Sを以下の式(33)ように定義する。仮に式(34)となるようなm、n(m≠n)が存在するとき、式(35)と式(36)の各抽出成分値を第一成分から順番に比べていき、最初に差がより小さな値を示した点に対応する環境のほうが、類似性はより高いものとする。
図1は、本発明の第1の実施例で、体感温度計測法の構成と基本原理を示す図である。同図において、1は、物理温度Tp又は湿度を制御して提示する手段、2は、当該手段を用いて被験者に参照となる環境eiを体験させる手段である。所定の湿度の下、段階的に物理温度Tpを変えて体験させることができる。同図では、湿度30%で、26、27、28度の温度を体験させる場合を示す。当該体験中、又は、体験直後に被験者にはアンケートや生体反応計測手段を用いて、当該環境の体感温度に関して感性評価できる。3は、このための感性評価手段である。
6は、感性評価手段から出力される感性評価値から、類似している感性を抽出できるように構成された数詞(タプル)を生成する感性類似タプルai生成手段である。12は、類似した感性を表すタプルaiを表現するn個の抽出成分からなるn次元空間である。感性評価手段は、体感温度をアンケート等により求め、後述の主成分分析法などを用いて実現するため、aiの第一抽出成分は、主に体感温度に影響する成分である。一つの環境eiが一つのタプルaiに対応する。
タプルaiの類似性は、タプルai同士の距離計算から求めることができる。7は、所定の距離にあるタプル同士を体感温度が類似として計算し、類似のタプル群に分離する手段である。Aj(A1〜Am)は、類似タプルaiのグループからなるタプル群を示す。円で示すグループの中の点が類似体感温度に対応するタプルaiである。
aiはeiに対応しているので、Ej(E1〜Em)は、体感温度が類似の環境群を示す。従って、Em群に属するem−1、em−2、em−3は、所定の体感温度に対応する環境を示す。また、eiには、物理温度Tpが含まれているため、参照環境em−1、em−2、em−3の物理温度をTpem−1、Tpem−2、Tpem−3で表す。6と7で、体感温度に関する感性情報が類似の環境群Ejに分割する手段を示す。
ここで、対象環境efの体験に基づき感性評価が実施されると、感性情報タプルafが得られる。同図では、物理温度28度、湿度30%で感覚刺激媒体コンテンツが提示される場合が示されている。8は、afに近いタプルaiが含まれるタプル群Ajを選択する手段である。afは、am−1、am−2、am−3に距離が近いため、Amが選択される。更に、9において、Aj(Am)を構成するタプルaiに対応する参照環境eiが求められ、環境群Ej(Em)が同定される。これらは、コンピュータのリスト処理などで可能である。
環境群Ejの中のEmは、対象環境efでの体感温度Tsefが類似な参照環境群である。10は、当該Tsefの決定手段であるが、Tsef−L(L=1〜5)で示す複数が可能である。
(1)環境群Emの中の参照環境eiの物理温度Tpei(Tpem−1= 26度)をTsef−1とすることができる。
(2)前記Tsef−1と対象環境efの物理温度Tpefとの差分体感温度Tss(=26−28=−2度)をTsef−2とすることができる。
(3)人は体感温度に関して敏感性が異なるため、人物の温度敏感係数Cを求め、当該Cを因子とする敏感度関数をTssに乗じた差分体感温度TssC(例えば、Tss×C) をTsef−3とすることができる。詳細は、図9で述べる。
(4)対象環境efの物理温度Tpefに前記TssCを加えた調整体感温度TsC(=Tpef+TssC) をTsef−4とすることができる。
(5)体感温度の表現の仕方として、暑くも寒くもない中立の温度を定義し、当該温度からの距離温度を用いることができる。例えば、寒暖指数的体感温度TsD(=TsC−中立温度(暑くも寒くも感じない物理温度) をTsef−5とすることができる。
図1において、参照環境eiは、湿度が一定で物理温度(気温)が変わる環境であるが、後述するように、その他に、eiは、湿度が変化する環境、風(風速)がある環境、香りが提示される環境、香り付き映像が提示される環境などでもよい。当該環境で、体感温度が類似となる環境群Ejを求めておくことができる。また、eiを体験する人の属性(南方、北方などの出身地域、性別、年齢層、服装、など)、によって、環境群Ejを求めておくことができる。このように参照環境や体験する人の属性をカテゴライズし、各条件で体感温度が類似するタプル群Aj、環境群Ejを求めておくことで、様々な対象環境efにおける体感温度Tsefを推定できる。
図1(ア)は、感性情報タプルaiと体感温度が類似な環境群Ejとの相関を求める曲線Funを求めておき、efからafを求め、当該相関曲線からTesfを推定する別な体感温度計測法である。
図2は、本発明の第2の実施例で、湿度と温度を変化させた場合の体感温度計測法の構成を示す図である。図1と異なるところを中心に説明する。同図において、1は、環境提示手段、2は、参照環境eiを体験させる手段である。当該手段を用い、人には、湿度と温度Tpを段階的に変化させた参照環境eiを提示する。同図には、参照環境e1−1(湿度30%、Tp28度)、参照環境e1−2(湿度50%、Tp26度)、参照環境e1−3(湿度70%、Tp24度)、参照環境em−1(湿度30%、Tp26度)、参照環境em−2(湿度50%、Tp24度)、参照環境em−3(湿度70%、Tp22度)を提示する場合を示しているが、更に、多くの参照環境を用意してもよい。
当該参照環境の体験から、感性評価手段3を用いて感性評価値1〜hが得られる。当該感性評価値としては、形容詞対を用いたSD法に基づく評価値、皮膚コンダクタンス計測値、脳波計測値などからの評価値が利用できる。例えば、SD法を用いた場合、感性評価値1〜hの各々は、形容詞対からのスコアが対応する。
当該評価値を感性情報タプルaiに用いてもよいが、これらの形容詞対には、体感温度に直接関係しないものも含まれる。体感温度に関係しない評価値が多く含まれる状態では、参照環境eiを体感温度Tsによって分けることが難しいため、評価値を整理統合することが望ましい。4から6までの手段はそのために設けてある。
4は、前記感性評価値、又は、正規化した感性評価値を原始感性情報タプルgiを生成する手段である。タプルgiは、形容詞対に対応しているためh次元である。5は、主成分分析法などにより、体感温度に直接関係しない感性評価値を捨象して、体感温度に直交的に作用するパラメータを抽出する情報抽出手段である。6は、当該手段を経てgiから感性情報タプルaiを生成する手段である。
タプルaiの類似性は、同多次元空間の距離計算により計算され、7によって、類似タプル群Ajに分離される。同図では、A1とAmの2つのタプル群に分離された様子を示す。当該タプル群に対応して、環境群E1(e1−1、e1−2、e1−3)と環境群E2(em−1、em−2、em−3)に分離できる。当該環境群内では同じ体感温度となる。
ここで、対象環境efを湿度30%、物理温度Tp28度に、感性刺激媒体コンテンツの提示がある環境とする。感性評価手段3から感性評価値を求め、感性情報タプルafを求め、類似のタプル群Aj(Am)から対応する環境群Ej(Em)を求めると、体感温度Tsefが決定できる。
即ち、対象環境efの物理温度Tpは、28度であるが、感性刺激媒体コンテンツを提示することにより、湿度30% 換算の体感温度Tsef は26度となる。また、同一タプル群Am に対応する環境群Ej に属する環境em−1、em−2、em−3の物理温度でTpあれば、 Tsefとしてよい。 即ち、湿度が50%であれば、26度より低い体感温度24度を出力することが可能である。更に、前記環境群Ej の中に、色彩や匂いがある環境が含まれている場合、当該刺激の影響で体感温度は変化するため、当該刺激がない環境に比べ、当該刺激のある環境での体感温度は異なるように表示できる。
以上が、本発明の原理であるが、当該原理の妥当性、有効性を証明するには、(1)参照環境体eiを提示し、感性評価を行ったとき、当該評価値から体感温度に関する感性情報タプルaiが生成されること、(2)当該タプルaiが参照環境eiの物理温度Tpの高低に反応してタプル群Ajを作り、体感温度が類似する環境群Ejが生成されること、(3)感覚刺激媒体コンテンツ提示の有無を対象環境efの条件としたときに、感覚刺激媒体コンテンツを提示した環境は、提示しない環境に比べて、対応する前記環境群Ejが当該コンテンツの目的の応じて変化すること、つまり、体感温度の制御に有効な感覚刺激媒体コンテンツが存在し、又は、制作することができること、を証明する必要がある。図3〜図5及び表1〜表3で以上を証明する。
図3は、第3の実施例である。香り付き映像が体感温度を下げる効果があることを説明する。破線内の2は、参照環境eiの体験手段を示す。湿度は全て70%で、無風で、e1はTpが26度、e2はTpが27度、e3はTpが28度、e4はTpが29度、e5はTpが30度である。感性評価手段3で用いたSD法に基づく形容詞対アンケートは、下記の表1の11に示す。21個の形容詞対において、-3〜3の7段階で回答してもらう。
当該回答項目を図2のタプルgiとする。図4は、e1からe5の温度26度〜30度に反応するアンケート結果例である。温度変化によく反応する形容詞対と反応しない形容詞対があることが分かる。(好きな・嫌いな)、(すごしやすい・すごしにくい)などの形容詞対は、物理温度に良く反応している。一方、(のんびりした・せこせこした)などの形容詞対はあまり反応していない。従って、全ての形容詞対を用いて体感温度に関する類似環境Ejを求めるよりも、当該形容詞対から情報捨象を行い、体感温度に反応しやすい情報を抽出した方がよい。
そこで、前記タプルgiを入力として、主成分分析手法を適用し、主成分を抽出した結果を表2及び表3に示す。表2が主成分の番号と固有値、寄与率、累積寄与率を示す。固有値は各主成分番号の情報量に対応している。また、累積寄与率は、第1〜第n番目の主成分で表現できる情報量を示す。同表から、第1から第5主成分でタプルgiで表された情報量の78%をカバーしていることが分かる。表3は、各形容詞対に対する各主成分の因子負荷量である。第1主成分に貢献が大きい形容詞対番号を見ると、体感温度に関わる内容が多いことが分かる。従って、第1主成分は、温度感性に大きく影響を与える因子である。第1から第5主成分軸とする5次元空間で感性情報タプルaiを生成する。
タプルaiから距離が近いタプル同士を群化して感性情報タプル群Ajを生成し、対応する環境群Ejを求める。ここでは、Ejの体感温度をEjに属するaiの物理温度で表している。このようにして、参照環境の体感温度によく対応するタプルaiを求めることができた。
次に、対象環境として、ef1(湿度70%で、物理温度28度、香り付き映像提示)、ef2(湿度70%で、物理温度28度、映像提示)を用意した。映像は、青い色彩が強い海の水中映像で、香りはレモンである。映像は精神が癒される内容で、香りは、清涼感がある。共に、体感温度の低下を期待した。
被験者Bについて、ef1、ef2の体験に対応するタプルaf1、af2とタプル群Aj内のタプルとの距離計算から近い環境(A1〜Am)の体感温度を求めた結果を表4に示す。同表において、距離(映像・香り)、距離(映像)は、af1、af2と、タプル群Aj(A1〜Am)との距離を示す。距離が近ければ体感温度が近い環境と言える。被験者Bの場合、ef1、ef2は共に、湿度70%でTp28度であるが、コンテンツを提示すると体感温度は27度の環境群に近くなることが分かる。
図5は、被験者数を増やして、コンテンツ提示による体感温度の変化を調べた。映像提示、及び、香り付き映像提示によって、1〜2度体感温度が低減していることが分かる。また、映像のみよりも、香りを組み合わせた方が、体感温度低減効果がより顕著であった。
香りには、心理的、生理的作用ががあることが知られている。例えば、レモンなどの香りはリフレッシュ効果や疲労軽減効果があり、また、ラベンダーなどはリラックス効果、ヒーリング効果がある。香りの性質にあった映像を用いると相乗効果も期待できる。このように嗅覚と視覚の相互作用を利用して体感温度を下げることが考えられる。
そこで、香りのみ提示と香り付き映像を提示の場合で、体感温度に与える影響を調査する別の実験を実施した。その結果、レモン、メントールなどのさわやかな香りを提示した環境では気温換算で1〜2度(又は、1〜2段階)、当該香りと共に爽やかな映像を提示した環境では、気温換算で2〜3度(又は、2〜3段階)低下した。このように、体感温度に関して同じ作用のある、感覚刺激を組み合わせて使用することで、体感温度は数度低下させることができることが分かった。
本発明では、人の体感温度は、所定のツール(感性語、又は、形容詞対、又は、皮膚コンダクタンスのような生体反応を計測する装置)で計測できると言う仮定に立っている。また、上記の実験などを通じ、セマンティックディファレンシャル法などに基づく形容詞対を用い、主成分分析法などを組み合わせることで、体感温度に対して直交性の高いパラメータ(タプル)を抽出できることを示し、当該仮定を証明した。
感性は曖昧なものである。これを定量化する試みは多くなされてきたが、定量化することは簡単ではない。感性を一般情報として扱い、定量化し、省エネに結びつけた実用的な商品は、これまで存在しない。しかし、本発明では、「体感温度」と言う物理的、生理的な作用と深く関わる感性情報を扱っているところに特徴がある。逆に言えば、一般に感性情報を扱うのではなく、「体感温度」に限定することによって、所定のツールを用いて精度良く計測できることを示したところに進歩性がある。
前記「体感温度」が物理的、生理的な作用と関連が深いことは、以下の例から説明できる。湿度が高ければ皮膚の汗は蒸発しにくい。人は気化熱を利用しにくくなるため、夏場は、体温調整が難しくなり、暑く感じる。香りは、人に生理的な作用を及ぼす。香りの種類によっては、血行を良くしたり、自律神経をコントロールできる。血行が良くなれば、冬場でも体感温度は下がり難い。映像や音響も人の心理に作用し、生理的影響を与えることが知られている。心が躍るような激しいコンテンツは、代謝を活性化するため、冬場に聞けば、寒さを和らげる。体感温度を高くする作用がある。心が休まる静かなコンテンツは、代謝を下げるため、夏場に観賞すれば、体感温度を下げる作用がある。
従って、本発明の体感温度計測法を適用することで、感覚刺激媒体コンテンツ、又は、感性マルチメディアコンテンツが、体感温度にどのような影響を与えるかを定量的に知ることができるし、当該知見に基づき様々な製品が開発できる。
一例として、香りを用いた環境ビジネスが可能である。一部の香りには、前記のように、代謝を活性化し、血行を良くし、末梢神経系付近の体温を高める作用のある。ペパーミントの香り、林檎の香り、カモミールの香りなどである。このような香りを冬場に放出すれば、物理温度は低くても暖かく感じる。つまり体感温度は高くなる。人の状態をテレビカメラでモニタし、行動パターンによって、活性度を計測し、香りを調整することもできる。
人の属性として、行動的な人をグループ化し、代謝活性系の香りが放出される空間を考えれば、体感温度が+α(1〜3度程度)上昇することを実験的に証明し、当該証明データを下に、利用者を理解させ、納得の上で空調を制御できる。暖房費の削減に効果がある。本発明では、このように、恒温実験室を用いて、様々な条件(人の属性、感性マルチメディア提示、香り提示など)において体感温度を計ることができるため、体感温度が上昇する条件、低下する条件を求めることができる。当該条件の環境そのものを販売対象にすることができる。
図6は、第4の実施例である。人の属性によって、2種類の感性情報タプルaiを用意し、より詳細に体感温度を決定する計測法である。図3と異なる点を中心に説明する。体感温度は、住んでいる環境で異なる。南方の人は、普段暑いところに住んでいるので、暑さには強い。北方の人は暑さには弱いと考えられる。
そこで、感性評価では、南方人と北方人で分けて参照環境eiを評価してもらう。南方人のタプルaiと北方人のタプルaiが得られる。ai同士の距離計算を行うと、感性情報タプル群Ajが得られるが、南方人と北方人で、Ajの構成が異なる。即ち、南方人のタプル群Ajは、北方人のタプル群Ajに比べて参照環境eiの低い物理温度Tpに対応している。例えば、Tpが26度の参照環境e1での南方人の体感温度の評価値から得られるタプルa1はタプル群A1に属するが、同じ参照環境e1での北方人の体感温度の評価値から得られるタプルa1はタプル群A2に属する。
タプル群Aj(j=1〜5)は体感温度に対応しており、A1からA5に向けて高くなっている。当該体感温度の表現方法として気温換算もあるが、ここでは、別途被験者実験を行って得られる体感温度表現を用いている。即ち、A1は、暑くも寒くもない丁度良い温度、A2は少し暑い温度、A3はかなり暑い温度、A4は大変暑い温度、A5は耐えられない程暑い温度である。
ここで、対象環境efをTp28度、湿度70%、マイナス2度程度の体感温度低減効果のある香り付き映像提示の環境とし、南方人、北方人が当該対象環境を体験したときの、タプルaf1、af2と感性情報タプル群Ajの中のタプルと距離を比較すると、af1に近いタプル群としてA1が選択され、af2に近いタプル群としてA2が選択される。これは、対象環境efが、仮に、Tp28度、湿度70%で、コンテンツが提示されない環境あれば、南方人のタプルafはA3に近く、北方人のタプルafはA4に近いが、香り付き映像提示では体感温度低下作用が働くため、各々2段階低い感性情報タプル群が選択される。
従って、南方人のef体験(Tp28度、湿度70%、香り付き映像提示)では、体感温度Tsefは、「暑くも寒くもない丁度良い温度」と決定され、北方人のef体験では、体感温度Tsefは、「少し暑い温度」と決定される。
図7は、第5の実施例である。図6と異なる点を中心に説明する。気温に対する体感温度は、同じ人でも夏季と冬季では異なる。冬季に26〜30度の恒温槽に入って体感温度の計測実験を行うと、夏季に同様な実験を行う場合に比べ、数度暑く感じる。図7は、この現象を考慮に入れた計測法である。
図6の南方人、北方人を、図7では夏季の人、冬季の人に置き換えれば、同じように説明できる。また、図6では、体感温度Tsefを感性言語表現で決定しているが、図7では、気温換算で決定している。即ち、物理温度Tp28度、湿度70%は、夏季の人にとっては28度に感じ、同じ温度は冬季では29度に感じる。ここで、対象環境efとして、Tp28度、湿度70%にマイナス2度程度の体感温度低減効果のある香り付き映像を提示すると、夏季の人にとっての体感温度Ts1は、気温換算で26度に感じ、冬季の人にとっての体感温度Ts2は27度に感じると計測結果が出力される。
図8は、第6の実施例である。人の体感温度は湿度によっても異なるため、所定湿度での体感温度を求める、又は、湿度間で体感温度の変化を計測するための方法を説明する。図3での説明は、湿度70%で、物理温度Tpを26度から30度まで変えた環境の体験での体感温度の計測であったが、図8では、図3に湿度30%で、物理温度Tpを26度から30度まで変えた環境の体験が重畳してある。また、体感温度の決定方法は、図6の方法を採用している。
各湿度、温度でのタプルaiを求め、ai同士の距離計算を行うと、感性情報タプル群Ajに分離できる。
ここで、対象環境ef1として、Tp28度、湿度30%で、マイナス2度程度の体感温度低下効果のある香り付き映像を提示すると、感性評価からタプルaf1が生成され、破線矢印のように、当該af1に最も近い感性情報タプル群としてA1が選択される。また、対象環境ef2として、Tp28度、湿度70%で、マイナス2度程度の体感温度低下効果のある香り付き映像を提示すると、同様にして、A2が選択される。
従って、対象環境ef1の体感温度Tsefは、「暑くも寒くもない丁度良い温度」として計測される。また、対象環境ef2の体感温度Tsefは、「少し暑い温度」として計測される。
図9は、第7の実施例である。体感温度は個人の敏感度によっても異なる。敏感な人は、低温効果のある感覚刺激媒体コンテンツの提示により、体感温度が大きく低下し、鈍感な人は、余り低下しない。このような個人の敏感度に関する属性を考慮に入れた体感温度計測法を説明する。図2を参照して、対象環境efとして、湿度30%、物理温度Tp28度で、体感温度低下効果のある感覚刺激媒体コンテンツを提示した場合の体感温度Tsefが26度と決定された後、個人の温度敏感度によって当該体感温度Tsefを調整する方法を示す。
タプルaiのn次元間において、環境ei体験に基づく感覚評価から得られるタプルai の第1抽出成分の得点値(第1主成分得点値)を見ると、J氏の当該得点値は、ばらついており、分散が大きいことが分かる。一方、K氏の当該得点値は、分散が小さいことが分かる。分散が大きいと言うことは、物理温度の変化によって体感温度が大きく変化することを意味しており、温度に関して敏感と言える。逆に、分散が小さければ鈍感である。20は、抽出成分得点値の分散値σを計算する手段である。
そこで、敏感度によって、体感温度の調整を行う。21は、体感温度調整手段である。先ず、感覚刺激媒体コンテンツ提示 による体感温度Tsの変化(±Δt)を、参照環境eiを体験した被験者の平均値として求める。次に、敏感度係数Cをσの関数F(σ)として定義する。体感温度調整手段の最も簡単な処理としては、前記平均値に関数F(σ)を掛けることによって、差分体感温度Tssを出力できる。同図では、平均的にマイナス2度の体感温度低減効果のある感覚刺激媒体コンテンツを提示した場合、敏感な人物の差分体感温度は、−2度×1.5倍の−3度と決定する場合と、鈍感な人物の差分体感温度は、−2度×0.5倍の−1度と決定する場合を示している。
図10(A)は、第8の実施例で、体感温度を制御するシステムの説明である。従来のエアコンは、室内の温度を物理温度Tpを制御しているが、本発明によると、感覚刺激媒体コンテンツの提示で体感温度Tsが変化することが証明できるため、温度制御部とコンテンツ提示部を連動し、体感温度で制御するインテリジェントエアコンが実現できる。
同図において、16は室内、17は体感温度を制御するシステムであるインテリジェントエアコン、18は気流吹き出し口、22は香り発生装置、23は17の内部に組み込まれた映像プロジェクタ、24は部屋の壁に設けられたスクリーン、25は音声認識装置、26は制御処理を行うコンピュータである。
人物27が感性語を用いて、暑さをつぶやくと音声認識装置25は部屋の現状の体感温度を計算し、適切な体感温度を目標値として計算し、温度制御部とコンテンツ提示部を連動して当該目標値の体感温度を実現する。例えば、「かなり暑いな」とつぶやくと、気温換算で28度程度と計算し、当該利用者が普段快適と感じる体感温度を例えば26度と検索し、体感温度でマイナス2度(または2段階)下げる制御を目標とする。温度制御部でマイナス1度、コンテンツ提示部でマイナス1度、合わせて目標を達成するように制御してもよい。温度制御部の消費電力が最も高いので、1度下げるだけで、体感温度2度分の低減が実現できるため、省エネ効果がある。
また、同図において、香り発生装置22は、気流吹き出し口18の近くに設けてあるため、気流の強さ、又は、温度に連動して体感温度を制御するように香りを放出できる。この際、香りを間欠的に放出することにより、嗅覚疲労を抑制し、長時間香りを受容させることができる。従って、心理的作用により体感温度を長時間制御できる。
また、同図において、映像プロジェクタ23から部屋の壁等に提示される対象は、映像に限らず色彩でよい。夏場の壁を寒色系にすれば、エアコンの温度を高めに設定でき、冬場に暖色系にすれば、エアコンの温度を低めに設定できる。いずれも、快適な体感温度を保持したまま、消費電力を抑制できる。
また、同図において、体感温度の制御が証明された感覚刺激媒体コンテンツを提示する場合、利用者の音声指示がなくても、利用者の日々の利用から好みを推定して提示できる。
図10(B)は、温度制御部(17、18)とコンテンツ提示部(22〜24)が連動し、所定の体感温度(例えば、26度)で、前記連動による消費電力が極小になる条件で制御される実施例である。条件を横軸に消費電力を縦軸にとり、各条件は、本計測法による体感温度では概ね26度と判定されているものとする。この場合、極小の消費電力になる条件として、「温度28度、湿度70%、爽やか系の香り、色彩(青)」 の組み合わせ、又は、温度29度、湿度70%、風の皮膚触覚が提示される、色彩(青) 」の組みわせの何れかが選択される。26の人工知能を利用した処理部により、最適な条件をデータベース処理により選択できる。
それぞれの条件によって、何度程度の体感温度になるのかを予めデータベースとして用意できるため、消費電力が最低になるように調整できる。夏場に最適の制御である。条件はこの図の他、多くの組み合わせが用意できる。
上記の実施例では、主に、夏場に、体感温度低減効果のある感覚刺激媒体コンテンツを提示することによって、エアコンの設定温度を所定値(例えば、国が推奨する28度)より下げなくても快適に過ごせるような観点から説明したが、冬場に、体感温度上昇効果のある感覚刺激媒体コンテンツを提示することによって、エアコンの設定温度を所定値より上げなくても快適に過ごせるようにするように実施できるのは当然である。
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階において、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することが可能である。また、上記実施形態は、種々の段階の発明が含まれており、適宜な組み合わせにより実施してもよい。更に、上記各実施例の構成要素は、その目的を踏まえて適宜省略する、又は、周知慣用技術で補うことができる。
(1)節電システム分野;節電のための推奨温度(例えば、28度)にエアコンを設定しても涼しくならないため、更に設定温度を低くしがちであるが、それでは省エネにならない。本発明では、エアコンを動作すると、同時に、涼しげな映像が壁に投影され、清涼感のある香りが提示される。これにより、体感温度が下がるので、28度でも快適に過ごせるため、節電効果が高い。
(2)インテリジェントエアコン分野;室内で「暑い」とつぶやくと、当該音声を自動認識し、体感温度を計測する本発明の手段が動作し、体感温度をどの程度下げたら快適かを推定し、当該温度を下げるコンテンツが自動的に選択され提示される。体感温度を計ることによって、快適を演出するシステムへの利用が可能である。また、エアコンの吹き出し口に本発明の計測法で体感温度の制御効果が証明された香料を放出する機構を設け、対象環境の状態、人物の属性に応じてコンピュータで体感温度を制御するシステムを実現できる。また、エアコンにプロジェクタ機構を設け、本発明の計測法で体感温度の制御効果が証明された色彩、映像を壁に投影するシステムを実現できる。エアコンに感覚刺激媒体コンテンツを制御する機能を設け、快適な体感温度環境を生成してもよい。
(3)医療施設、老人ホームなどの分野;医療機関、老人ホームでは、免疫力が弱く、外出も制限される人が多い。当該人は、気温に敏感で、暑さや寒さが強いと疾病を誘発しやすく、トラブルも起こしやすい。本発明の体感温度制御システムを導入すると、安心して快適に過ごせる効果がある。
(4)診療分野:自律神経に異常を来たすと、物理的温度は平常値でも暑く、又は、寒く感じることがある。本発明では、部屋の設定された物理的温度とは別に、当該室内での体感温度を計測できるため、自律神経の乱れなどによって体温調節が旨く行かない人(患者)を検出できる。当該患者に対して、適切な医療行為が実施できる。また、感覚刺激媒体コンテンツなどを提示し、当該患者の体感温度を制御できる。従って、慢性冷え性等の患者の治療システムとしての利用も可能である。
(5)ゲーム、シミュレーション、バーチャルリアリティ分野:当該分野では、臨場感を高めること重要である。しかし、実際にはその場に居るがごとく環境の温度を調節できない場合もある。例えば、火災の映像シーンで熱さを表現したい場合、劇場内の温度を上げることは非現実的である。しかし、本発明を用いれば、映像と共に香りを提示する、音響を提示する、気流を提示するなどによって、当該火災シーンであれば、体感温度を上げることができる、即ち、体感温度を制御できるため、より現実感、臨場感の高いシーンを演出できる。寒いシーンの演出にも同様に利用できる。
(6)電力提供サービス分野:現在、電力会社は、原発停止に伴い、節電、省エネの広報が重要な戦略になっている。本発明によって体感温度を制御できる感覚刺激媒体コンテンツが実現できるので、当該コンテンツをテレビ放送などで流すことにより、夏場であれば、利用者がエアコン設定温度を高めに設定して、節電に協力することが期待できる。結果として、円滑な電力供給の一助になる。
(7)感覚刺激媒体コンテンツ制作販売分野:本発明の計測法の特徴の一つは、体感温度の制御が統計的に証明できることである。そこで、香料、映像コンテンツ、音響コンテンツなどを制作販売する分野では、体感温度制御証明書付きのコンテンツにして販売できる。体感温度は、感性的なものであり、プライミング効果を受ける。つまり、体感温度の制御に効果があると教示されると、感性はそのように反応しやすい。証明書、又は、証明データ付きで体感温度制御コンテンツを販売するビジネスモデルが構築できる。
1・・・・・物理温度Tp、又は、湿度環境を提示する手段
2・・・・・参照環境eiを体験させる手段
3・・・・・感性評価手段
4・・・・・原始感性情報タプルgi を生成する手段
5・・・・・情報抽出手段
6・・・・・感性情報タプルai を生成する手段
7・・・・・タプルaiの類似性を計算しタプル群Ajに分離する手段
8・・・・・対象環境の感性情報タプルafに近いタプルai が含まれる感性情報タプル群Ajを選択する手段
9・・・・・タプル群Aj(Am)に対応する環境群Ej(Em)を求める手段
10・・・・環境群Ej(Em)に対応する体感温度Tsから対象環境efにおける体感温度Tsef を決定する手段
11・・・・実験に用いた形容詞対アンケート
12・・・・タプルaiのn次元空間
16・・・・室内
17・・・・体感温度を制御するシステムであるインテリジェントエアコン
18・・・・気流吹き出し口
20・・・・抽出成分(主成分)得点値の分散値を計算する手段
21・・・・体感温度調整手段
22・・・・香り発生装置
23・・・・17の内部に組み込まれた映像プロジェクタ
24・・・・部屋の壁に設けられたスクリーン
25・・・・音声認識装置
26・・・・制御処理を行うコンピュータ
ei・・・・参照環境
ef・・・・体感温度を求めたい対象環境
Fun・・・・相関曲線
Tp・・・・物理温度
Tpef・・対象環境efでの物理温度
Ts・・・・体感温度
Tsef・・対象環境efでの体感温度

Claims (10)

  1. 物理温度Tpを含む所定の環境Eを提示する手段を用いて少なくとも当該Tpを段階的に変化させた参照環境ei(i=1,2・・)を人に体験させる工程と、
    当該体験に基づいた人の感性を評価する感性評価工程と、
    当該感性評価工程から得られる感性評価値から体感温度に関する感性情報の類似性に基づいて、前記参照環境eiを類似の環境群Ejに分割する工程と、
    対象環境efを体験する際に得られる体感温度に関する感性情報に近い感性情報を有する環境群Ejを求める工程と、
    当該環境群Ej(Em)に対応する体感温度Tsから対象環境efにおける体感温度Tsefを決定する工程と、
    からなることを特徴とする体感温度計測法。
  2. 請求項1に記載の計測法において、
    前記対象環境efを体験する際に得られる体感温度に関する感性情報に近い感性情報を有する環境群Ejに分割する工程は、
    前記感性評価工程から得られる感性評価値から体感温度に関する感性情報タプルai(i=1,2・・)を生成する工程と、
    当該感性情報タプルaiの類似性を計算し、当該類似性に基づいて、aiをタプル群Aj(j=1〜m、各Ajはaiの集合となる)に分割する工程と、を備え、
    対象環境efを体験する際に得られる体感温度に関する感性情報に近い感性情報を有する環境群Ejを求める工程は、
    対象環境efを体験する際に得られる体感温度に関する感性情報afを前記タプル群内のタプル、又は、当該群を代表するタプルと比較し、前記感性情報afに近いタプルaiが含まれるタプル群Ajを選択する工程と、
    当該タプル群Ajに対応する環境群Ejを求める工程と、を備えた
    ことを特徴とする体感温度計測法。
  3. 請求項2に記載の計測法において、
    前記感性評価工程から得られる感性評価値から体感温度に関する感性情報タプルaiを生成する工程は、少なくとも温度、湿度を表現する感性語対を含む5つ以上の感性語対からなるアンケートを前記感性評価工程として用い、当該感性評価工程から得られる感性評価値から原始感性情報タプルgi(各タプルはh次元)を生成する工程と、当該タプルgiを説明変数として、主成分分析法に基づく情報抽出法を適用し、体感温度に関する感性情報の類似性を表現する第1〜第nの抽出成分を座標軸に持つ空間で表現される感性情報タプルai(各タプルはn次元)を出力する工程と、を備えた
    ことを特徴とする体感温度計測法。
  4. 請求項2に記載の計測法において、
    前記感性情報タプルaiの類似性を計算し、当該類似性に基づいて、aiをタプル群Ajに分割する工程においては、タプルaiのn次元表現空間においてタプル間の距離計算を行い、当該距離が所定の範囲内にタプルaiをタプル群Ajとすることを特徴とする体感温度計測法。
  5. 請求項1から4の何れかに記載の計測法において、
    前記環境群Ejに対応する体感温度Tsから対象環境efにおける体感温度Tsefを決定する工程は、
    当該環境群Ejの中の参照環境ei の物理温度Tpeiを体感温度Tsef_1とする工程、
    前記Tsef_1と対象環境efの物理温度Tpefとの差分体感温度Tssを体感温度Tsef_2として出力する工程、
    人物の温度敏感係数Cを当該Tssに乗じた差分体感温度TssCを体感温度Tsef_3として出力する工程、
    対象環境efの物理温度Tpefに当該TssCを加えた調整体感温度TsCを体感温度Tsef_4として出力する工程、
    当該TsCから人が暑くも寒くも感じないと感じる中立的な物理温度を減じた寒暖指数的体感温度TsDを体感温度Tsef_5として出力する工程、
    の何れかの工程を用いることを特徴とする体感温度計測法。
  6. 請求項1から5の何れかに記載の計測法において、
    前記対象環境efは、映像、又は、音響、又は、香り、又は、気流、又は、これらを組み合わせた感覚刺激媒体コンテンツを提示する環境であることを特徴とする体感温度計測法。
  7. 請求項1から6の何れかに記載の計測法において、
    前記感性評価値から体感温度に関する感性情報の類似性に基づいて、前記参照環境eiを類似の環境群Ejに分割する工程は、当該参照環境eiの物理温度、湿度、人の属性、季節、感覚刺激媒体コンテンツの少なくとも一つを限定したカテゴリについて分割する工程であることを特徴とする体感温度計測法。
  8. 映像、又は、音響、又は、香り、又は、気流、又は、これらを組み合わせた感覚刺激媒体からなるコンテンツを制作する方法であって、
    当該コンテンツを提示する環境efを対象環境として、
    前記請求項1から7の何れかに記載の計測法を適用し、当該対象環境efにおける体感温度Tsefを計測し、当該体感温度Tsefを当該対象環境における物理的温度Tpef、又は、前記コンテンツを提示しない環境群Ejでの体感温度Tsと比較し、
    両者間に差を生じるように前記コンテンツを制作することを特徴とする体感温度制御コンテンツ制作法。
  9. 請求項1から7の何れかに記載の計測法を用いて、感覚刺激媒体コンテンツ提示の有無によって体感温度が変化することを予め調べる手段と、当該変化することが判定されたコンテンツを提示することを特徴とする体感温度制御システム。
  10. 請求項9に記載のシステムにおいて、感覚刺激媒体コンテンツは、香り、映像、色彩、音響、気流の少なくとも一つを含み、温度制御部と当該コンテンツ提示部が連動し、所定の体感温度で、消費電力が極小になる条件で制御されることを特徴とする体感温度制御システム。
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