以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1の実施形態)
本発明を適用した第1の実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。なお、図1および図2に示す磁気冷凍システム2の主要部である磁気冷凍機3は、図3のA−A線断面を示している。
本実施形態では、本発明を適用した磁気冷凍システム2を、車両の車室内の空調を行う車両用空調装置1に適用している。本実施形態の車両用空調装置1は、例えば、内燃機関(エンジン)から車両走行用の駆動力を得る車両に搭載される空調装置である。
図1に示すように、車両用空調装置1は、エンジンルーム内に配置される磁気冷凍システム2、車室内に配置される室内空調ユニット10、空調制御装置100を備えている。
本実施形態の磁気冷凍システム2は、車室内を冷房する冷房モード、車室内を暖房する暖房モード、車室内の暖房時に除湿を行う除湿モードの冷媒回路を切替え可能に構成されており、車両用空調装置1において車室内の冷房、暖房、除湿を行うことができる。
図1に示す磁気冷凍システム2は、磁気熱量効果により生成された冷熱および温熱を磁気作業物質からなる磁気作業物質体30自体に蓄えるAMR(Active Magnetic Refrigerator)方式を採用している。本実施形態の磁気冷凍システム2は、磁気熱量効果により冷熱および温熱を生成する磁気冷凍機3、磁気冷凍機3で生成した温熱により昇温した熱媒体(例えば、不凍液を含む水等の液体、以下、冷媒と呼ぶことがある)を加熱用熱交換器(第1熱交換器)13(放熱手段に相当)に循環させる高温側冷媒回路(第1冷媒循環回路)4、磁気冷凍機3で生成した冷熱により降温した冷媒を冷却用熱交換器(第2熱交換器)12(吸熱手段に相当)に循環させる低温側冷媒回路(第2冷媒循環回路)5等を備えて構成されている。
磁気冷凍機3は、内部に磁気熱量効果を有する磁気作業物質で形成された磁気作業物質体30が収容されると共に熱輸送媒体である冷媒(熱媒体)が流通する作業室311が形成された熱交換容器31、磁気作業物質体への磁場の印加・除去を行う磁場印加除去装置32(磁場印加除去手段に相当)、熱交換容器31内の冷媒を移動させる冷媒圧送部34(熱媒体移動手段に相当)、磁気冷凍機3の駆動源である電動モータ35等を有して構成されている。
図2に示すように、本実施形態の熱交換容器31は、磁気熱量効果により温熱を生成するための高温側容器31aと磁気熱量効果により冷熱を生成するための低温側容器31bに分割されている。高温側容器31aおよび低温側容器31bは、冷媒圧送部34を介して同軸上に並んで配置されている。
本実施形態の磁気冷凍機3は、高温側容器31a、低温側容器31bおよび冷媒圧送部34が一体となっており、共通のハウジング内に両容器31a、容器31bおよび冷媒圧送部34の各機能部が収容されている。
高温側容器31aおよび低温側容器31bは、冷媒圧送部34のハウジングとともに中空円柱状の容器で構成されている。各容器31a、31bには、その周壁に磁気作業物質体30を収容すると共に冷媒が流通する作業室311が形成されている。各容器31a、31bには、周方向に等間隔に並んだ複数の(本例では4つの)作業室311が形成されている。
また、図2に示すように、各容器31a、31bにおける冷媒圧送部34と反対側の端面に冷媒出入口312、313が形成されており、冷媒出入口312、313を介して、冷媒の吸入および吐出が可能となっている。
高温側容器31aおよび低温側容器31bからなる熱交換容器31には、各作業室311に対応して、作業室311の軸線方向(図示左右方向)の一端部311a側および他端部311b側のそれぞれに、冷媒の入口および出口が形成されている。
冷媒出入口312、313のうち、高温側容器31aに形成された高温側出入口312は、図2では2つ図示されており、その一方が高温側容器31aにおける図示上方側の作業室311に連通し、他方が高温側容器31aにおける図示下方側に位置する作業室311に連通している。
各高温側出入口312は、冷媒を吸入する冷媒吸入部312a、および冷媒を吐出する冷媒吐出部312bを有して構成されている。そして、冷媒吸入部312aには、冷媒を吸入する際に開放されるサクションバルブ(吸入弁)312cが設けられ、冷媒吐出部312bに冷媒を吐出する際に開放されるディスチャージバルブ(吐出弁)312dが設けられている。
また、冷媒出入口312、313のうち、低温側容器31bに形成された低温側出入口313は、図2では2つ図示されており、その一方が低温側容器31bにおける図示上方側の作業室311に連通し、他方が低温側容器31bにおける図示下方側に位置する作業室311に連通している。
各低温側出入口313は、高温側出入口312と同様に、冷媒吸入部313aおよび冷媒吐出部313bを有し、冷媒吸入部313aにサクションバルブ313cが設けられ、冷媒吐出部313bにディスチャージバルブ313dが設けられている。また、各容器31a、31bにおける冷媒圧送部34側の端面は、冷媒圧送部34の作動室344に臨んでいる。
各容器31a、31bそれぞれの内部には、磁場印加除去装置32の一部を構成する回転軸321a、321b、回転軸321a、321bに固定されたロータ(回転子)322a、322b、およびロータ322a、322bの外周面に埋設された永久磁石323a、323bが収容されている。
両回転軸321a、321bは、容器31の長手方向両端部に設けられた支持部である軸受部により回転可能に支持されている。
高温側容器31aに収容された高温側回転軸321a、および、低温側容器31bに収容された低温側回転軸321bは、冷媒圧送部34の駆動軸341と一体となっている。
また、低温側容器31bに収容された低温側回転軸321bは、冷媒圧送部34と反対側の端部が、低温側容器31bの外部に延在し、各回転軸321a、321bおよび駆動軸341を回転させる電動モータ35が接続されている。
各ロータ322a、322bは、外周面に永久磁石323a、323bが設けられた状態で、各容器31a、31bの内周面に対して所定の空隙を空けて回転するように回転軸321a、321bに固定されている。
また、永久磁石323a、323bは、各回転軸321a、321bの回転に応じて、各容器31a、31bの各作業室311に周期的に近づくように、ロータ322a、322bにおける外周面の約1/4の範囲を占め磁石が2つ設けられている。なお、ロータ322a、322bには、外周面に永久磁石323a、323bが配設されいない部分に、外周面から凹んで軸線方向に延びる溝部が形成されている。
これにより、回転軸321a、321bの回転に応じて、各容器31a、31bおよびロータ322a、322bをヨークとして、永久磁石323a、323bの周囲に生ずる磁場が、各容器31a、31bにおける永久磁石323a、323bに近い部位に収容された磁気作業物質体30に印加され、永久磁石323a、323bに対して遠い部位に設けられた磁気作業物質体30から除去される。各作業室311内の磁気作業物質体30に対して、各容器31a、31bの径方向が印加される磁場方向となる。
各作業室311の周囲には、非磁性材料である例えば樹脂材料からなる保持部材33が形成され、この保持部材33により、各作業室311が各熱交換容器31a、31b内に位置決めされている。
図4に示すように、軸線方向で対をなす高温側容器31a内の作業室311と低温側容器31bの作業室311とは、一体的に成形された共通の保持部材33の内部に形成されている。保持部材33は、略矩形筒状(具体的には断面扇形の筒状)をなしている。保持部材33は、軸線方向(冷媒流通方向)の両端部(中央部を除く大部分)が例えば樹脂材からなり、中央部の連結筒部331は、両端部よりも弾性率が低い弾性材料、例えばゴム材により形成されている。
保持部材33を構成する材料は、これに限定されるものではなく、例えば、全体がゴム材料で形成されていてもかまわない。保持部材33は、比較的熱伝導率が低い材料からなることが好ましい。例えば、作業室311内に配設される磁気作業物質よりも熱伝導率が低い材料により形成することが好ましい。
図2からも明らかなように、保持部材311の内部に形成された冷媒通路のうち、連結筒部331を除く部分(熱媒体の流通方向における一部に相当)が作業室311となっている。作業室311には、断面コの字状をなす磁気作業物質と平板状の磁気作業物質とを組み合わせてなる磁気作業物質体30が配設され、磁気作業物質体30の内部に冷媒が往復移動する複数の冷媒通路が形成されている。磁気作業物質体30の形状はこれに限定されるものではなく、例えば粒状や柱状等であってもかまわない。
保持部材33のうち、連結筒部331の内部(熱媒体の流通方向における残部に相当)は、冷媒圧送部34の作動室344となっている。作動室344は、両側の作業室311内の上記した複数の冷媒通路と連通している。これにより、作動室344では、高温側容器31a側の冷媒と低温側容器31b側の冷媒とが同一空間で熱交換可能となっている。保持部材33は、本実施形態における通路形成部材に相当する。
冷媒圧送部34は、熱交換容器31に形成された高温側出入口312側と低温側出入口313側との間で冷媒を往復移動させる冷媒移動手段を構成している。本実施形態では、冷媒圧送部34として、駆動軸341に取り付けられたローラ343(押圧手段に相当)により、周方向に配置された複数の作動室344内の冷媒を押し出す押し出し機構を採用している。
具体的には、冷媒圧送部34は、図2および図3に示すように、ハウジング340、ハウジング340内に回転可能に配設された駆動軸341、駆動軸341に対して固定されて駆動軸341と一体的に回転するロータ342、ロータ342の外周面から一部が突出するように設けられたローラ343等で構成されている。
ローラ343は、回転軸321に固定された永久磁石323の磁石の数に応じて数が決定される。例えば、本例のように永久磁石323の周方向の配設数が2つの場合、図3に示すように、ローラ343も2つ設けられる。
冷媒圧送部34は、磁気作業物質体30への磁場の印加、除去に同期して、各容器31a、31bの各作業室311に対する冷媒の吸入、吐出を行うように構成されている。
例えば、冷媒圧送部34は、高温側容器31aにおいて作業室311内の磁気作業物質体30に磁場が印加されるとともに、低温側容器31bにおいて作業室311内の磁気作業物質体30から磁場が除去された直後に、ローラ343が連結筒部331を押しつぶすように変形させ、作動室344の通路断面積(軸線に直交する断面積)を減少させる。これに伴い、作動室344内から両作業室311へ冷媒を吐出する。
一方、冷媒圧送部34は、高温側容器31aにおいて作業室311内の磁気作業物質体30から磁場が除去されるとともに、低温側容器31bにおいて作業室311内の磁気作業物質体30に磁場が印加された直後に、ローラ343による連結筒部331の押圧が解除され、連結筒部331の変形が復元する。これに伴い、作動室344の通路断面積が増大し、両作業室311から作動室344内へ冷媒を吸入する。保持部材33の連結筒部331は、本実施形態における断面積変更部に相当する。
そして、ローラ343は、通路形成部材内の通路のうち熱媒体の流通方向における残部の通路断面積を変更する断面積変更手段に相当する。なお、ローラ343の押圧による作動室344の容積変化、すなわち、吐出される冷媒容量は、冷媒移動の2振幅分(押し出された冷媒が作業室311の反冷媒圧送部34側の両端部に到達する量)程度であることが好ましい。
このように構成される冷媒圧送部34によって、各容器31a、31bの作業室311に冷媒が吐出されると、各容器31a、31bの冷媒吐出部312b、313bに設けられたディスチャージバルブ312d、313dが開放されて、各容器31a、31bにおける冷媒吐出部312b、313b(作業室311の一端部311aおよび他端部311bでもある)付近の冷媒が外部に吐出される。
また、冷媒圧送部34によって、各容器31a、31bの作業室311から冷媒が吸入されると、各容器31a、31bの冷媒吸入部312a、313aに設けられたサクションバルブ312c、313cが開放されて、各容器31a、31bにおける冷媒吸入部312a、313a(作業室311の一端部311aおよび他端部311bでもある)付近に外部から冷媒が導入される。
なお、ローラ343は、図3に示すように、ロータ342に対して回転自在に支持されている。これによると、ロータ342が回転してローラ343が連結筒部331を押圧する際に、連結筒部311にダメージを与え難い。ローラはロータに対して固定されているものであってもかまわない。また、ロータから円弧状に突出する突状部であってもかまわない。これらによれば、押圧手段を有する構成を簡素化することができる。
図1に示す電動モータ35は、車載されたバッテリ(図示略)からの電源供給により作動し、回転軸321a、321bおよび駆動軸341に動力を付与して、磁気冷凍機3を駆動する駆動手段である。
ここで、本実施形態では、各容器31a、31bに収容された回転軸321a、321b、ロータ322a、322b、永久磁石323a、323b、および熱交換容器31の外部に設けられた電動モータ35が、磁場変更手段である磁場印加除去装置32を構成している。また、永久磁石323a、323bは、磁場を発生させる磁場発生部を構成している。
上述の構成に基づき、本実施形態の磁気冷凍システム2の作動について説明する。なお、上記したように、本実施形態の磁気冷凍機3は、複数の作動室311のそれぞれに対して同一の(共通の)冷媒移動構成を備えているので、図2図示上方の1つの作動室311について作動説明を行う。複数の作動室311では、後述する作動が位相をずらして行われることになる。
冷媒圧送部34のローラ343が連結筒部331を押圧しておらず、永久磁石323aが高温側容器31aの作業室311に近づくと、作業室311に収容された磁気作業物質体30に磁場が印加(増磁、励磁)される(磁場印加過程)。この際、磁気熱量効果によって磁気作業物質体30が発熱して、作業室311内の冷媒が昇温される。
その後、ローラ343が連結筒部331を押圧して、作業室311内の冷媒が冷媒圧送部34側から高温側出入口312側へ移動する。この際、高温側出入口312の冷媒吐出部312bに設けられたディスチャージバルブ312dが開放されて、冷媒吐出部312b(対をなす作業室311の一端部311a)付近に存する高温冷媒が加熱用熱交換器13側に吐出される(冷媒吐出過程)。
その後、ローラ343が連結筒部331を押圧したまま、永久磁石323aが高温側容器31aの作業室311から遠ざかると、作業室311に収容された磁気作業物質体30から磁場が除去(減磁)される(磁場除去過程)。
その後、ローラ343による連結筒部331の押圧が解除されて、作業室311内の冷媒が高温側出入口312側から冷媒圧送部34側へ移動する。この際、高温側出入口312の冷媒吸入部312aに設けられたサクションバルブ312cが開放されて、加熱用熱交換器13から流出した冷媒が冷媒吸入部312a付近に吸入される(冷媒吸入過程)。そして、ローラ343が連結筒部331を押圧しないまま、永久磁石323aが高温側容器31aの作業室311に再度近づくと、次の磁場印加過程となる。
このような磁場印加過程、冷媒吐出過程、磁場除去過程、冷媒吸入過程といった四つの工程によって、高温側容器31aの作業室311に収容された磁気作業物質体30の磁気熱量効果により生ずる温熱を加熱用熱交換器13側に輸送することができる。
低温側容器31bの作業室311側では、高温側容器31aの作業室311側における磁場除去過程時に、ローラ343が連結筒部331を押圧した状態で、磁気作業物質体30に磁場が印加される。
その後、ローラ343による連結筒部331の押圧が解除されて、作業室311内の冷媒が低温側出入口313側から冷媒圧送部34側に移動する。この際、低温側出入口313の冷媒吸入部313aに設けられたサクションバルブ313cが開放されて、冷却用熱交換器12から流出した冷媒が冷媒吸入部313a付近に吸入される(冷媒吸入過程)。
その後、低温側容器31bの作業室311側では、高温側容器31aの作業室311側における磁場印加過程時に、ローラ343が連結筒部331を押圧しない状態のまま、作業室311に収容された磁気作業物質体30から磁場が除去される。
その後、ローラ343が連結筒部331を押圧して、作業室311内の冷媒が冷媒圧送部34側から低温側出入口313側に移動する。この際、低温側出入口313の冷媒吐出部313bに設けられたディスチャージバルブ313cが開放されて、冷媒吐出部313b(対をなす作業室311の他端部311b)付近に存する低温冷媒が冷却用熱交換器12側に吐出される(冷媒吐出過程)。
このような磁場印加過程、冷媒吸入過程、磁場除去過程、冷媒吐出過程といった四つの工程によって、低温側容器31bの作業室311に収容された磁気作業物質体30の磁気熱量効果により生ずる冷熱を冷却用熱交換器12側に輸送することができる。
ここで、熱交換容器31全体で見ると、磁気作業物質体30に磁場を印加された後に、低温側出入口313(作業室311の他端部311b)側から高温側出入口312(作業室311の一端部311a)側へ向けて冷媒が移動し、磁気作業物質体30から磁場を除去された後に高温側出入口312側から低温側出入口313側へ向けて冷媒が移動することとなる。
そして、熱交換容器31における高温側容器31a側にて磁場印加過程、冷媒吐出過程、磁場除去過程、冷媒吸入過程が繰り替えされ、低温側容器31b側にて磁場印加過程、冷媒吸入過程、磁場除去過程、冷媒吐出過程が繰り替えされることで、高温側容器31aの作業室311に収容された磁気作業物質体30と、低温側容器31bの作業室311に収容された磁気作業物質体30との間に大きな温度勾配を生成することができる。
次に、高温側冷媒回路4および低温側冷媒回路5について説明する。高温側冷媒回路4は、高温側容器31aにおける高温側出入口312の冷媒吐出部312bから吐出された冷媒を、加熱用熱交換器13の冷媒流入口13aに導く共に、加熱用熱交換器13の冷媒流出口13bから流出した冷媒を高温側出入口312の冷媒吸入部312aに戻す冷媒循環回路である。
具体的には、高温側出入口312の冷媒吐出部312b側には、加熱用熱交換器13の冷媒流入口13a側が接続されている。加熱用熱交換器13は、室内空調ユニット10のケース11内に配置されて、その内部を流通する冷媒と、冷却用熱交換器12通過後の送風空気とを熱交換させることで、送風空気を加熱する熱交換器(第1熱交換器)である。
加熱用熱交換器13の冷媒流出口13b側には、第1電気式三方弁41が接続されている。第1電気式三方弁41は、空調制御装置100から出力される制御信号によって、その作動が制御される流路切替手段を構成している。
より具体的には、第1電気式三方弁41は、空調制御装置100からの制御信号に応じて、加熱用熱交換器13の冷媒流出口13b側と高温側容器31aの冷媒吸入部312a側との間を接続する冷媒回路、および加熱用熱交換器13の冷媒流出口13b側と吸放熱用熱交換器6の放熱側冷媒流入口61a側との間を接続する冷媒流路を切り替える。
吸放熱用熱交換器6は、エンジンルーム内に配置されて、その内部を流通する冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器である。本実施形態の吸放熱用熱交換器6は、加熱用熱交換器13から流出した冷媒が流れる放熱部61、および低温側容器31bから吐出された冷媒が流れる吸熱部62といった二つの熱交換部を有して構成されている。
吸放熱用熱交換器6の放熱部61は、放熱側冷媒流入口61aから流入した冷媒(加熱用熱交換器13から流出した冷媒)と外気とを熱交換させる熱交換部である。また、吸放熱用熱交換器6の吸熱部62は、吸熱側冷媒流入口62aから流入した冷媒(低温側容器31bから吐出された冷媒)と外気とを熱交換させる熱交換部である。
なお、放熱部61および吸熱部62は、吸放熱用熱交換器6の内部において放熱部61を流れる冷媒と吸熱部62を流れる冷媒が混在しないように、互いに冷媒流路が独立して構成されている。
吸放熱用熱交換器6における放熱側冷媒流出口61b側には、高温側容器31aの冷媒吸入部312aが接続されており、吸放熱用熱交換器6にて放熱された冷媒が高温側容器31aの作業室311に戻る。
従って、高温側冷媒回路4は、高温側容器31aの冷媒吐出部312b→加熱用熱交換器13→第1電気式三方弁41→高温側容器31aの冷媒吸入部312aといった順に冷媒が循環する循環回路と、高温側容器31aの冷媒吐出部312b→加熱用熱交換器13→第1電気式三方弁41→吸放熱用熱交換器6の放熱部61→高温側容器31aの冷媒吸入部312aといった順に冷媒が循環する循環回路とで構成される。
なお、高温側冷媒回路4には、加熱用熱交換器13と第1電気式三方弁41との間には、固定絞り42を介して、高温側冷媒回路4内の冷媒量を調整するためのリザーバタンク43が接続されている。なお、固定絞り42としては、オリフィスやキャピラリチューブ等を採用することができる。
低温側冷媒回路5は、低温側容器31bにおける低温側出入口313の冷媒吐出部313bから吐出された冷媒を、冷却用熱交換器12の冷媒流入口12aに導く共に、冷却用熱交換器12の冷媒流出口12bから流出した冷媒を低温側出入口313の冷媒吸入部313aに戻す冷媒循環回路である。
具体的には、低温側出入口313の冷媒吐出部313b側には、第2電気式三方弁51が接続されている。第2電気式三方弁51は、第1電気式三方弁41と同様に、空調制御装置100から出力される制御信号によって、その作動が制御される流路切替手段を構成している。
第2電気式三方弁51は、空調制御装置100からの制御信号に応じて、低温側出入口313の冷媒吐出部313b側と吸放熱用熱交換器6の吸熱側冷媒流入口62a側との間を接続する冷媒回路、および低温側出入口313の冷媒吐出部313b側と第3電気式三方弁52との間を接続する冷媒回路を切り替える。そして、吸放熱用熱交換器6の吸熱側冷媒流出口62b側には、第3電気式三方弁52が接続されている。
第3電気式三方弁52は、第1、第2電気式三方弁41、51と同様に、空調制御装置100から出力される制御信号によって、その作動が制御される流路切替手段を構成している。
具体的には、第3電気式三方弁52は、第2電気式三方弁51に連動して作動するように構成されている。すなわち、第3電気式三方弁52は、第2電気式三方弁51にて低温側出入口313の冷媒吐出部313b側と第3電気式三方弁52との間を接続する冷媒回路に切り替えられると、第2電気式三方弁51と冷却用熱交換器12の冷媒流入口12a側との間を接続する冷媒回路に切り替える。また、第3電気式三方弁52は、第2電気式三方弁51にて低温側出入口313の冷媒吐出部313b側と吸放熱用熱交換器6の吸熱側冷媒流入口62a側との間を接続する冷媒回路に切り替えられると、第2電気式三方弁51と低温側出入口313の冷媒吸入部313a側との間を接続する冷媒回路に切り替える。
第3電気式三方弁52に接続された冷却用熱交換器12は、室内空調ユニット10のケース11内のうち、加熱用熱交換器13の送風空気流れ上流側に配置されて、その内部を流通する冷媒と送風空気とを熱交換させて送風空気を冷却する熱交換器である。そして、冷却用熱交換器12の冷媒流出口12b側には、低温側出入口313の冷媒吸入部313aが接続されている。
このように、低温側冷媒回路5は、低温側容器31bの冷媒吐出部313b→第2電気式三方弁51→第3電気式三方弁52→冷却用熱交換器12→低温側容器31bの冷媒吸入部313aといった順に冷媒が循環する循環回路と、低温側容器31bの冷媒吐出部313b→吸放熱用熱交換器6の吸熱部62→第2電気式三方弁51→第3電気式三方弁52→低温側容器31bの冷媒吸入部313aといった順に冷媒が循環する循環回路とで構成される。
なお、低温側冷媒回路5には、第2電気式三方弁51および吸放熱用熱交換器6と第3電気式三方弁52との間には、固定絞り53を介して、低温側冷媒回路5内の冷媒量を調整するためのリザーバタンク54が接続されている。なお、固定絞り53としては、オリフィスやキャピラリチューブ等を採用することができる。
次に、室内空調ユニット10について説明する。室内空調ユニット10は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されて、その外殻を形成するケース11内に図示しない送風機、前述の冷却用熱交換器12、加熱用熱交換器13、ヒータコア14等を収容したものである。
ケース11は、車室内に送風される送風空気の空気流路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。ケース11内の送風空気流れ最上流側には、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する図示しない内外気切替箱が配置されている。
内外気切替箱の空気流れ下流側には、内外気切替箱を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する送風機が配置されている。この送風機は、遠心多翼ファン(シロッコファン)を電動モータにて駆動する電動送風機であって、空調制御装置100から出力される制御電圧によって回転数(送風量)が制御される。
送風機の空気流れ下流側には、前述の冷却用熱交換器12が配置されている。さらに、冷却用熱交換器12の空気流れ下流側には、冷却用熱交換器12通過後の空気を流す加熱用冷風通路15、冷風バイパス通路16といった空気通路、並びに、加熱用冷風通路15および冷風バイパス通路16から流出した空気を混合させる混合空間17が形成されている。
加熱用冷風通路15には、冷却用熱交換器12通過後の空気を加熱するための加熱手段としての加熱用熱交換器13、およびヒータコア14が、送風空気流れ方向に向かってこの順で配置されている。ヒータコア14は、車両走行用駆動力を出力するエンジン(図示略)の冷却水と冷却用熱交換器12通過後の空気とを熱交換させて、冷却用熱交換器12通過後の空気を加熱する熱交換器である。
一方、冷風バイパス通路16は、冷却用熱交換器12通過後の空気を、加熱用熱交換器13、およびヒータコア14を通過させることなく、混合空間17に導くための空気通路である。従って、混合空間17にて混合された送風空気の温度は、加熱用冷風通路15を通過する空気および冷風バイパス通路16を通過する空気の風量割合によって変化する。
そこで、本実施形態では、冷却用熱交換器12の空気流れ下流側であって、加熱用冷風通路15および冷風バイパス通路16の入口側に、加熱用冷風通路15および冷風バイパス通路16へ流入させる冷風の風量割合を連続的に変化させるエアミックスドア18を配置している。つまり、エアミックスドア18は、加熱用熱交換器13に流入する送風空気の風量を調整して、混合空間17内の空気温度(車室内へ吹き出す空気の温度)を調整する温度調整手段を構成する。
さらに、ケース11の送風空気流れ最下流部には、混合空間17から冷却対象空間である車室内へ温度調整された送風空気を吹き出す図示しない吹出口(例えば、フェイス吹出口、フット吹出口、デフロスタ吹出口)が配置されている。なお、各吹出口の空気流れ上流側には、吹出口の開口面積を調整するドアが配置されており、各ドアの開閉により車室内に空調風を吹き出す吹出口を切り替えることが可能となっている。
空調制御装置100は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。そして、空調制御装置100は、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された電動モータ35、流路切替手段を構成する各電気式三方弁41、51、52、送風機、エアミックスドア18の駆動手段等の作動を制御する。
空調制御装置100の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル(図示略)に設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネルに設けられた各種空調操作スイッチとしては、具体的に、車両用空調装置1の作動スイッチ、オートスイッチ、運転モード(冷房モード、暖房モード、除湿モード等)の切替スイッチ等が設けられている。
なお、空調制御装置100のうち、磁気冷凍機3の駆動手段を構成する電動モータ35を制御する構成が電動モータ制御手段を構成し、各電気式三方弁41、51、52を制御する構成が流路切替制御手段を構成している。
上記構成の磁気冷凍システム2を含む車両用空調装置1では、操作パネルに設けられた運転モードの切替スイッチ、または空調制御装置100の制御処理によって、冷房運転モード、暖房運転モード、除湿運転モード等の各種運転モードを実行することができる。
例えば、冷房運転モードでは、空調制御装置100からの制御信号によって、高温側冷媒回路4が、第1電気式三方弁41にて加熱用熱交換器13の冷媒流出口13b側と吸放熱用熱交換器6の放熱側冷媒流入口61a側との間を接続する冷媒回路に切り替えられる。また、低温側冷媒回路5は、第2電気式三方弁51にて低温側出入口313の冷媒吐出部313b側と第3電気式三方弁52との間を接続する冷媒回路に切り替えられる共に、第3電気式三方弁52にて第2電気式三方弁51と冷却用熱交換器12の冷媒流入口12a側との間を接続する冷媒回路に切り替えられる。
また、暖房運転モードでは、空調制御装置100からの制御信号によって、高温側冷媒回路4が、第1電気式三方弁41にて加熱用熱交換器13の冷媒流出口13b側と高温側容器31aの冷媒吸入部312a側との間を接続する冷媒回路に切り替えられる。また、低温側冷媒回路5は、第2電気式三方弁51にて低温側出入口313の冷媒吐出部313b側と吸放熱用熱交換器6の吸熱側冷媒流入口62a側との間を接続する冷媒回路に切り替えられると共に、第3電気式三方弁52にて第2電気式三方弁51と低温側出入口313の冷媒吸入部313a側との間を接続する冷媒回路に切り替えられる。
また、除湿運転モードでは、空調制御装置100からの制御信号によって、高温側冷媒回路4が、第1電気式三方弁41にて加熱用熱交換器13の冷媒流出口13b側と高温側容器31aの冷媒吸入部312a側との間を接続する冷媒回路に切り替えられる。また、低温側冷媒回路5は、第2電気式三方弁51にて低温側出入口313の冷媒吐出部313b側と第3電気式三方弁52との間を接続する冷媒回路に切り替えられる共に、第3電気式三方弁52にて第2電気式三方弁51と冷却用熱交換器12の冷媒流入口12a側との間を接続する冷媒回路に切り替えられる。
このようにして、各運転モードにおいて、熱交換容器31の作業室311の一端部311a側で得られる温熱および他端部311b側で得られる冷熱を利用して、車室内を空調することができる。
上述した構成によれば、磁気冷凍システム2は、熱媒体通路のうち熱媒体の流通方向における一部である作業室311に磁気作業物質体30を保持する保持部材33と、熱媒体通路のうち熱媒体の流通方向における残部である作動室344の通路断面積を変更するローラ343を有し、ローラ343が作動室344の通路断面積の増大および減少を交互に繰り返すことで、一端部311a側と他端部311b側との間で熱媒体を往復移動させる冷媒圧送部34と、磁気作業物質体30へ印加する磁場の大きさを変更する磁場印加除去装置32と、を備えている。
そして、磁場印加除去装置32による磁気作業物質体30へ印加する磁場の大きさおよび冷媒圧送部34による熱媒体の移動を周期的に変化させて、冷却用熱交換器12で吸熱した熱を加熱用熱交換器13から放熱するようになっている。
これによると、冷媒圧送部34は、ローラ343によって保持部材33の連結筒部331の内部に形成された作動室344の通路断面積を変更することで、作業室311に熱媒体を流通することができる。したがって、摺動部(摺接部)を有するポンプ手段を用いる必要がなく、作業室311に流通する熱媒体を摩擦熱で加熱してしまうことを防止できる。これにより、磁気作業物質体30が生成した熱を良好に輸送することができ、磁気冷凍システム2の効率を向上することができる。
また、摺接部を有しないことで、摩擦損失も低減することができる。さらに、摺接シール部を有しないので、熱媒体のリークも抑止することができる。これらによっても、磁気冷凍システム2の効率を向上することができる。
また、保持部材33は、磁気作業物質体30よりも熱伝導率が低い材料により形成されている。これによると、作業室311に配設された磁気作業物質体30や熱媒体ばかりでなく、作動室344の熱媒体も外部の熱の影響を受け難い。したがって、作業室311に流通する熱媒体が外部の熱により温度変化してしまうことを抑制することができる。これにより、磁気作業物質体30が生成した熱を確実に輸送することができ、磁気冷凍システム2の効率を一層向上することができる。
また、保持部材33は連結筒部331が弾性材料により形成され、冷媒圧送部34は連結筒部331を外部から押圧して変形させるローラ343を有し、ローラ343が連結筒部331を断続的に押圧することで、作動室344の通路断面積の増大および減少を交互に繰り返すようになっている。
これによると、ローラ343が連結筒部331を外部から押圧した際には、弾性材料で形成された連結筒部331が弾性変形して通路断面積が減少され、作業室311に熱媒体が送り出される。また、ローラ343が連結筒部331の押圧を中止した際には、弾性材料で形成された連結筒部331の弾性変形が回復して作動室344の通路断面積が増大され、作業室311から熱媒体が引き込まれる。したがって、ローラ343が連結筒部331を断続的に押圧することで、保持部材33内の通路で媒体を容易に往復移動させることができる。
また、磁場印加除去装置32は、回転軸321a、321bに取り付けられた永久磁石323a、323bを備え、永久磁石323a、323bの回転動作により磁気作業物質体30へ印加する磁場の大きさを変更するものであり、ローラ343は、回転軸321a、321bと一体の駆動軸341に取り付けられて永久磁石323a、323bと連動して回転し、連結筒部331を断続的に押圧するようになっている。
これによると、永久磁石323a、323bとローラ343とを、同一の回転軸で連動して回転させることができる。したがって、磁場印加除去装置32による磁気作業物質体へ印加する磁場の大きさおよび冷媒圧送部34による熱媒体の移動を、容易に同一周期で安定して変化させることができる。
また、両冷媒回路4、5には、熱媒体の圧力を蓄圧する蓄圧手段として機能するリザーバタンク43、54を備えている。図1に示すように、リザーバタンク43、54は、密閉構造容器内に気相空間を有しており、冷媒が導入された際には、気体を圧縮するようになっている。したがって、リザーバタンク43、54は、ローラ343が連結筒部331を押圧した際の熱媒体の圧力を蓄圧し、ローラ343が連結筒部331の押圧を中止した際には、蓄圧された圧力によって連結筒部331を復元させる。
これによると、ローラ343が連結筒部331の押圧を中止した際には、弾性材料で形成された連結筒部331の回復力ばかりでなく、リザーバタンク43、54に蓄圧された圧力も利用して連結筒部331の変形を回復することができる。したがって、連結筒部331内の通路断面積を確実に増大させることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図5に基づいて説明する。
第2の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、磁気冷凍機3で生成した温熱や冷熱により昇温もしくは降温した熱媒体を、2次熱媒体と熱交換する点が異なる。第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態では、磁気冷凍機3の軸線方向の両端に熱交換器121、131を備えている。本実施形態の磁気冷凍機3は、サクションバルブおよびディスチャージバルブを設けていない点を除いて、第1の実施形態と同様である。
熱交換器121、131は、磁気冷凍機3の作業室311内を流通する熱媒体を第1熱媒体としたときに、第1熱媒体と磁気冷凍機3の外部を循環する第2熱媒体とを熱交換する熱交換器である。第2熱媒体には、例えば、第1熱媒体と同様に、不凍液を含む水等の液体を用いることができる。
熱交換器121は、作業室311の他端部311b側の第1熱媒体と、循環ポンプ123により循環回路122を循環する第2熱媒体とを熱交換する、水−水熱交換器(液−液熱交換器)である。循環回路122を循環する第2熱媒体は、冷却用熱交換器12おいて外部流体である例えば外気から吸熱する。
また、熱交換器131は、作業室311の一端部311a側の第1熱媒体と、循環ポンプ133により循環回路132を循環する第2熱媒体とを熱交換する、水−水熱交換器(液−液熱交換器)である。循環回路132を循環する第2熱媒体は、加熱用熱交換器13おいて外部流体である例えば外気へ放熱する。
本実施形態においては、熱交換器121が吸熱手段であり、熱交換器131が放熱手段であるとも言える。
熱交換器121の第1熱媒体を流通する流路は、保持部材33内における第1熱媒体の熱媒体往復流の位相が逆である低温側出入口313同士を連通している。熱交換器121内には、例えば、図示上方の低温側出入口313と図示下方の低温側出入口313とを連通する連通路(他端部側連通路に相当)が形成されている。
また、熱交換器131の第1熱媒体を流通する流路は、保持部材33内における第1熱媒体の熱媒体往復流の位相が逆である高温側出入口312同士を連通している。熱交換器131内には、例えば、図示上方の高温側出入口312と図示下方の高温側出入口312とを連通する連通路(一端部側連通路に相当)が形成されている。
第1の実施形態で説明したように、磁気冷凍機3は、例えば4つの保持部材33を備えている。そして、熱媒体往復流の位相が同じ作業室311を持つ保持部材33を2つずつ2組有し、2組の保持部材33間においては熱媒体往復流の位相が逆となる。したがって、各熱交換器121、131内のぞれぞれにおいて、熱媒体往復流の位相が逆である出入口同士を連通する連通路を2つ設けてもよいし、全ての出入口を連通する連通路を1つ設けるものであってもよい。この構成では、サクションバルブおよびディスチャージバルブは不要である。
本実施形態の構成によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、複数の保持部材33内の作動室311において、一部の作動室311で一端部311a側から他端部311b側へ第1熱媒体を移動させるときには、残部の作動室311では他端部311b側から一端部311a側へ第1熱媒体を移動させるようになっている。そして、熱交換器131は、上記一部の作業室311の一端部311a側と上記残部の作業室311の一端部311a側とを連通する一端部側連通路を有している。また、熱交換器121は、上記一部の作業室311の他端部311b側と上記残部の作業室311の他端部311b側とを連通する他端部側連通路を有している。
これによると、上記一部の作業室311において一端部311a側から他端部311b側へ移動させられた第1熱媒体を、熱交換器121の他端部側連通路を介して上記残部の作業室311の他端部311b側へ流入させることができる。また、上記残部の作業室311において他端部311b側から一端部311a側へ移動させられた第1熱媒体を、一端部連通路を介して上記一部の作業室311の一端部311a側へ流入させることができる。したがって、複数の保持部材33内に形成された複数の熱媒体通路からなる通路群の両端部側において、第1熱媒体の流出入の収支を一致させ易い。これにより、複数の保持部材33内に形成された複数の作業室311のそれぞれにおける第1熱媒体の移動を安定的に行うことができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について図6および図7に基づいて説明する。
第3の実施形態は、本発明を適用した磁気冷凍システムを発熱機器等に装着する冷却装置に適用した例である。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態の磁気冷凍システム202では、一体的に設けられた磁場印加除去装置32の回転軸321および冷媒圧送部34の駆動軸341は、図示上下方向に延びている。そして、各作業室311は駆動軸341の軸線に直交するように径方向に延びている。
図7に示すように、保持部材33は、内部に作業室311を形成する部分が径方向に延設され、連結筒部331部分が周方向に延設されている。なお、図7では、熱媒体往復流の位相が同一である保持部材33を2つのみ図示した2極構成を図示している。熱媒体往復流の位相が異なる(例えば位相が逆である)保持部材33を多数備える多極構成であることが好ましい。なお、図6は、保持部材33配設部分のみ、図7におけるB−B線断面を図示している。
図6に示すように、磁気冷凍機の図示下方および磁気冷凍機の側方のうちの下部には、吸熱手段である熱交換器212(吸熱プレート部材)が配設されている。一方、磁気冷凍機の図示上方および磁気冷凍機の側方のうちの上部には、放熱手段である熱交換器213が配設されている。熱交換器212、213は、例えばアルミニウム合金等の比較的熱伝導率が高い金属材等により形成されている。熱交換器212と熱交換器213との間には、例えば樹脂製の断熱部材が介設されている。
熱交換器212は、図示下面が、例えばパーソナルコンピュータ等の発熱機器90の発熱部91の外表面に接触する接触面212aとなっている。熱交換器212には、作業室311の他端部311bと連通する熱媒体流路が内部に形成されている。熱交換器212は、保持部材33の端部に直接接続している。すなわち、熱交換器212の熱媒体通路は、他端部311bに直接連通している。熱交換器212の熱媒体通路は、配管部材等を介して他端部311bに連通するものであってもよい。
一方、熱交換器213には、作業室311の一端部311aに連通する熱媒体流路が内部に形成されている。熱交換器213は、磁気冷凍機とは反対側の面部に、外方に向かって突出するフィン213aが形成されている。熱交換器213は、保持部材33の端部に直接接続している。すなわち、熱交換器213の熱媒体通路は、一端部311aに直接連通している。熱交換器213の熱媒体通路は、配管部材等を介して一端部311aに連通するものであってもよい。
冷凍システム202は、熱交換器212に設けた貫通穴等を利用して、図示を省略したねじ部材等により、発熱機器90に取り付けられる。
本実施形態の構成によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、熱交換器213は、外気に放熱するフィン213aを有しており、熱交換器212は、発熱機器90の発熱部91の表面に接する接触面212aを有している。これによると、発熱機器90の発熱部91が発する熱を接触面212aを介して熱交換器212で吸熱し、この熱を熱交換器213のフィン213aから外気へ放熱することができる。熱交換器212から熱交換器213へは、磁気冷凍機の磁気ヒートポンプサイクルにより効率よく熱を移動できるので、発熱機器90の発熱部91を効率よく確実に冷却することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
上記各実施形態では、押圧部材としてローラ343を採用していたが、これに限定されるものではない。例えば、駆動軸341の回転に伴い径方向に往復動するピストンを用いてもかまわない。
また、上記各実施形態では、通路形成部材の断面積変更部として保持部材33に弾性材からなる連結筒部331を形成していたが、これに限定されるものではない。例えば、断面積変更部は、駆動軸341側の面部にゴム製のダイヤフラム部を有し、ダイヤフラム部以外の部分を比較的弾性率が高い樹脂製とした筒状体としてもかまわない。この筒状体のダイヤフラム部を例えば上記したピストンで押圧して筒状体内部の通路断面積を変更するものであってもよい。
また、上記各実施形態では、磁場変更手段は永久磁石323を回動して磁気作業物質30に印加する磁場の大きさを変更するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、磁場変更手段は、所定位置に配設される電磁石であってもかまわない。電磁石に通電する電流値を変化させて、磁気作業物質30に印加する磁場の大きさを変更するものであってもよい。
また、上記各実施形態では、弾性材料からなる連結筒部331を外部からローラ343で押圧し、連結筒部331を変形させて内部の通路の断面積を変更していたが、これに限定されるものではない。例えば、筒状体の内部に、体積を変更することで通路断面積を変更する体積変更体を配設するものであってよい。