JP2013185453A - タービンの冷却構造及びガスタービン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軸線まわりに回転自在に支持されたタービンディスク内部に形成された冷却孔と、外部から冷却媒体が供給される第1入口空間41C、及び、冷却孔に連通される第2入口空間42Cを区画する筒状仕切り部と、冷却媒体を第1入口空間から第2入口空間に供給する供給流路62Sと、供給流路の第2入口空間側の開口部に設けられて、第2入口空間に向けて流れる冷却媒体に、タービンディスクと同一方向に回転する旋回流を付与する環状ノズル部材81Sとを備え、環状ノズル部材が周方向に分割される複数のノズル分割体81SA,81SBにより構成され、周方向に隣り合う二つのノズル分割体の隙間Dに、該隙間を埋めるシール部材91Sを設ける。
【選択図】図7
Description
単純に、静止している貯気室から回転しているロータの内部に冷却空気を導入した場合、ロータの回転方向の流速成分を持たない冷却空気がロータの内部に流入する際に、エネルギ損失(ポンピングロス)が発生して、ガスタービンの性能が低下してしまう。
そして、これら予旋回ノズルやTOBIノズルにより、冷却空気に旋回流を付与して、冷却空気における回転方向の流速成分と、ロータの回転速度との差を小さくすることで、前述したポンピングロスの発生を抑制している。
ただし、前述したように環状ノズル部材が複数のノズル分割体によって構成されている場合には、供給流路内の冷却媒体が隣り合う二つのノズル分割体の隙間を通過して第2入口空間に流れ込むことがある。そして、この隙間を通過した冷却媒体には旋回流が付与されないため、旋回流が付与された冷却空気と、旋回流が付与されていない冷却空気とが混合し、冷却媒体における回転方向の流速成分が減速されてしまう。言い換えれば、供給流路から第2入口空間に流れ込む冷却媒体の旋回流に乱れが生じてしまう。その結果、冷却媒体が第2入口空間から回転中のタービンディスクの冷却孔に入り込む際に発生するエネルギ損失(ポンピングロス)が発生してしまう。
特に、同一のシール部材が二つのノズル分割体に形成された二つの収容凹部の両方に収容されている場合には、隙間から第2入口空間に抜け落ちてしまうことをより確実に防止できる。また、この場合には、シール部材が、供給流路から隙間に流れ込む冷却媒体の流れによって二つの収容部の内面に押し付けられることで、隙間を冷却媒体の流れ方向に遮断して、供給流路内の冷却媒体が隣り合う二つのノズル分割体の隙間を通過して第2入口空間に流れ込むことを防止できる。
これら間隙が存在するため、例えば、二つのノズル分割体が冷却媒体の流れ方向に互いにずれようとする際、すなわち、二つの収容凹部の相対位置が冷却媒体の流れ方向にずれようとする際には、シール部材は、二つの収容凹部に収容された状態を保持しながら、環状シール部材の周方向に対して冷却媒体の流れ方向に傾斜することができる。これにより、二つの収容凹部の相対位置の前記流れ方向へのずれを許容することができる。
また、シール部材が前述のように斜めに傾斜しても、シール部材は二つの収容凹部に収容された状態に保持されるため、シール部材が剛性の高い材料によって形成されても、このシール部材によって、二つのノズル分割体の隙間を通って第2入口空間に流れ込むことを防止できる。
また、弾性変形されたシール部材の弾性力によってシール部材を二つのノズル分割体の隙間に保持することも可能である。
以下、図1〜8を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るガスタービン1は、例えば発電機(不図示)等の機器を駆動するものであり、圧縮機(圧縮部)2と、燃焼器(燃焼部)3と、タービン部4と、回転軸5と、を備えている。
圧縮機2は、外部の空気である大気を吸入して圧縮し、圧縮された空気を燃焼器3に供給するものである。
回転軸5は、回転軸線(軸線)Lまわりに回転可能に支持される円柱状の部材であり、タービン部4により発生される回転駆動力を圧縮機2や発電機等の機器に伝達するものである。
これら圧縮機2、燃焼器3及び回転軸5の具体的な構成は、それぞれ公知の構成を採用することが可能であり、特に限定されるものではない。
このタービン部4には、図2,3に示すように、ケーシング13Sに固定された1段静翼(静翼)11Sと、1段タービンディスク(タービンディスク)31Rに取り付けられた1段動翼(動翼)21Rと、1段動翼21Rの冷却などに用いられる冷却空気(冷却媒体)が供給される入口キャビティ(第1入口空間)41C及び出口キャビティ(第2入口空間)42Cと、これら入口キャビティ41C及び出口キャビティ42Cを分割する内側隔壁部(筒状仕切り部)61Sと、1段静翼11S及び1段動翼21Rの間に冷却空気を供給するリムシールキャビティ(リムシール空間)43Cと、が主に設けられている。
また、タービン部4には、1段静翼11S、1段動翼21R及び1段タービンディスク31Rのほかにも、図2に示すように、回転軸線L(図1参照)に沿って燃焼ガス流れの下流側(図2における右側)に向けて2段静翼(不図示)、2段動翼211R、2段タービンディスク311R、3段静翼(不図示)、3段動翼212R及び3段タービンディスク312Rなども並べて設けられるが、ここでは、燃焼器3の近くに配置されて最も冷却が必要な1段静翼11S、1段動翼21R及び1段タービンディスク31Rの周辺のみについて説明する。
この1段静翼11Sは、1段動翼21Rよりも燃焼器3側(図2における左側)、言い換えると、燃焼ガス流れの上流側に配置されている。
内側シュラウド12Sは、1段静翼11Sの内周側の端部において周方向に延びる板状の部材であり、燃焼ガスが流れる流路の一部を形成するものである。この内側シュラウド12Sは、その内周側に配された外側隔壁部51Sに固定されている。
外側隔壁部51Sは、回転軸線Lを中心とする筒状に形成された部材であり、後述する内側隔壁部61S等とともに入口キャビティ41Cや、リムシールキャビティ43Cなどの壁面の一部を構成するものである。
翼部22Rは、燃焼ガスの流れを受けることで回転駆動力を発生させる部分である。この翼部22Rの具体的な形状は、公知のものを採用することが可能であり、特に限定されるものではない。
プラットフォーム23Rは、翼部22Rにおける径方向内側(図3における下側)の端部に配置されている、言い換えれば、後述する翼取付部24における径方向外側の端部に配置されている。このプラットフォーム23Rは、周方向に延びており、燃焼ガスが流れる流路の一部を形成している。
冷却流路25Rは、冷却空気を翼部22Rの内部に導き、翼部22Rの冷却を行う部分である。この冷却流路25Rは、翼取付部24Rにおける径方向内側の面に開口するとともに、翼取付部24Rから翼部22Rに延びて形成されている。なお、翼部22Rの内部における冷却流路25Rの形状や構成は、公知のものを採用することが可能であり、特に限定されるものではない。
この軸方向連通路36Rは、1段タービンディスク31Rにおける径方向外側の位置に配置された通路であり、回転軸線Lに沿って延びている。この軸方向連通路36Rには、冷却流路25Rの径方向内側が開口しており、これによって、軸方向連通路36Rは、冷却空気を1段動翼21Rの冷却流路25Rに導く流路をなしている。
冷却孔33Rは、1段タービンディスク31Rの内部を貫通して、冷却空気を出口キャビティ42Cから1段動翼21Rの冷却流路25Rに導くように形成される孔であって、冷却空気の流路を構成するものである。
この冷却孔33Rは、1段動翼21Rと同様に周方向に等間隔に複数配列されている、言い換えれば、1段動翼21Rと同じ周方向位置に配置されている。そして、冷却孔33Rにおける一方の端部(図3における径方向内側の端部)は、後述する出口キャビティ42Cに開口され、他方の端部(図3における径方向外側の端部)は、前述した軸方向連通路36Rに開口されている。
なお、図示例の冷却孔33Rは、1段タービンディスク31Rの内部をその径方向内側から径方向外側に向けて延びて形成されているが、出口キャビティ42Cと軸方向連通路36Rとの相対的な位置に応じて適宜形成されてよい。
シールアーム35Rは、1段タービンディスク31Rにおける燃焼ガス流れの上流側の端部から回転軸線Lに沿って内側隔壁部61Sに向けて延びる円筒状に形成されている。このシールアーム35Rは、出口キャビティ42Cの径方向外側に位置し、出口キャビティ42Cからリムシールキャビティ43Cに流れる冷却空気の流量を規制するシール構造を構成するものである。なお、シールアーム35Rは、出口キャビティ42Cの壁面の一部も構成している。
以上のように構成される1段タービンディスク31Rには、回転軸線L方向に延びる円筒状に形成された接続ロータ38Rが接続されている。接続ロータ38Rは、出口キャビティ42Cの径方向内側に位置している、言い換えれば、内側隔壁部61Sの径方向内側に間隔をあけて配されている。
ここで、外部から供給流路52Sを通じて入口キャビティ41Cに供給される冷却空気は、例えば圧縮機2から抽気され冷却された空気である。より具体的には、入口キャビティ41Cから1段動翼21Rの冷却流路25Rに冷却空気を供給するために必要な圧力を有する圧縮空気、または、リムシールキャビティ43Cから燃焼ガスの流路に冷却空気を流出させるために必要な圧力を有する圧縮空気を、圧縮機2から抽気している。
また、出口キャビティ42Cには、1段タービンディスク31Rのディスク流路34Rが接続されている。これによって、冷却空気を出口キャビティ42Cから1段動翼21Rよりも燃焼ガス流れの下流側に配された動翼(例えば図2に示す2段動翼211R、3段動翼212R)に向けて供給することもできる。
さらに、この出口キャビティ42Cには、後述する内側隔壁部61Sの供給流路62Sや、出口キャビティ42Cよりも燃焼ガス流れの上流側に形成される内側隔壁部61Sと接続ロータ38Rとの間の空間44C(迂回空間44C)が接続されている。
この内側隔壁部61Sは、外側隔壁部51Sの径方向内側に間隔をあけて配置されるとともに、接続ロータ38Rの径方向外側に間隔をあけて配置されている。また、内側隔壁部61Sは、1段タービンディスク31Rよりも燃焼ガス流れにおける上流側に間隔をあけて配置されている。これにより、内側隔壁部61Sは、外側隔壁部51Sとともに前述した入口キャビティ41Cを形成し、また、1段タービンディスク31R及び接続ロータ38Rとともに前述した出口キャビティ42Cや迂回空間44Cを形成している。さらに、内側隔壁部61Sは、外側隔壁部51S及び1段タービンディスク31Rとともに後述するリムシールキャビティ43Cを形成している。
供給流路62Sは、内側隔壁部61Sのうち燃焼ガス流れの下流側の端部において、入口キャビティ41Cから出口キャビティ42Cに向けて延びるように、内側隔壁部61Sの内部を貫通して形成されている。すなわち、供給流路62Sは、入口キャビティ41Cと出口キャビティ42Cとを相互に連通させて、冷却空気を入口キャビティ41Cから出口キャビティ42Cに供給する流路をなしている。
そして、本実施形態では、供給流路62Sが燃焼ガス流れの下流側に向かうにしたがって径方向内側に向かうように傾斜している。また、出口キャビティ42Cに対する供給流路62Sの開口が、回転軸線L方向に沿って内側隔壁部61Sのうち燃焼ガス流れの下流側に向いている。このため、供給流路62Sから出口キャビティ42Cに入り込む冷却空気は、図3において矢印で示すように、回転軸線L方向に沿って燃焼ガス流れの下流側に流れることになる。
この供給流路62Sは、周方向に等間隔に配置されている。
本実施形態では、隔壁流路63Sが径方向に延びて形成され、周方向に等間隔に配置されている。
このジャンパチューブ64Sは、周方向に隣り合う供給流路62Sの間に位置するように、周方向に等間隔に配置されている。言い換えれば、ジャンパチューブ64S及び供給流路62Sは、周方向に交互に配置されている。
そして、この突出部65Sとシールアーム35Rとの間には、出口キャビティ42Cからリムシールキャビティ43Cに流入する冷却空気の流れを遮る第1シール部67Sが設けられている。
第1シール部67Sは、突出部65Sからシールアーム35Rに向けて延びるように形成されている。第1シール部67Sの具体例としては、リーフシールや、ラビリンスシール、ブラシシール等のシール部材が挙げられるが、例えば、これらシール部材を適宜組み合わせたものでもよく、特に限定されなくてよい。
第2シール部68Sは、迂回空間44Cに開口する隔壁流路63Sの開口部とジャンパチューブ64Sの開口部との間に配置されている。この第2シール部68Sは、隔壁流路63Sから迂回空間44Cに流入した冷却空気が、燃焼ガス流れの下流側に向かって流れる冷却空気の流れを遮るシール部となっている。
これら第2シール部68S及び第3シール部69Sは、内側隔壁部61Sから接続ロータ38Rに向かって延びるように形成されている。第2シール部68S及び第3シール部69Sの具体例は、前述した第1シール部67Sと同様である。
この環状ノズル部材81Sは、入口キャビティ41Cから出口キャビティ42Cに向けて流れる冷却空気に、タービンディスク31Rと同一方向に回転する旋回流を付与するものであり、供給流路62Sのうち出口キャビティ42Cに開口する開口部に設けられている。
具体的に説明すれば、環状ノズル部材81Sは、図2〜7に示すように、回転軸線Lを中心とする円環状に形成された外輪部82S、回転軸線Lを中心とする円環状に形成されるとともに外輪部82Sの径方向内側に間隔をあけて配された内輪部83S、及び、外輪部82Sと内輪部83Sとの間に配されて周方向に等間隔で配列された複数の翼形部84Sを備えており、外輪部82S及び内輪部83Sは翼形部84Sを介して一体に固定されている。そして、周方向に隣り合う翼形部84Sの間に、燃焼ガス流れの上流側から下流側に向かってタービンディスク31Rの回転方向に旋回しながら流路断面積が徐々に小さくなるTOBIノズル85Sが画成されている。
このように内側隔壁部61Sに取り付けられる環状ノズル部材81Sは、ガスタービン1の運転中に燃焼ガス等により環状ノズル部材81S及びこれを取り付ける内側隔壁部61Sが加熱された際に、環状ノズル部材81Sに過度の応力が生じないように、以下のように構成されている。
また、本実施形態の環状ノズル部材81Sは、一の翼形部84SCが二つのノズル分割体81SA,81SBに分割して形成されるように、特に、一の翼形部84SCのうち回転軸線Lに沿う一の翼形部84SCの厚みが最も厚くなる位置において、二つのノズル分割体81SA,81SBに分割されている。
このように二つのノズル分割体81SA,81SBの間に隙間Dが生じていることにより、ガスタービン1の運転等によって環状ノズル部材81Sが加熱されて二つのノズル分割体81SA,81SBが周方向に膨張しても、周方向に互いに対向する二つのノズル分割体81SA,81SBの分割面86S,86Sが互いに当接することを防止できる、あるいは、当接しても各ノズル分割体81SA,81SBに生じる応力を低減することができる。
具体的に説明すれば、本実施形態のシール部材91Sは、例えば弾性変形し難い剛性の高い材料(例えば金属材料)によって板状に形成されている。
一方、二つのノズル分割体81SA,81SBには、各ノズル分割体81SA,81SBの分割面86Sから窪んで、上記シール部材91Sの一部を収容する収容凹部87Sが各々形成されている。この収容凹部87Sは、ノズル分割体81SA,81SBの径方向に延びて形成され、環状ノズル部材81Sの径方向内側及び径方向外側に開口している。さらに、本実施形態の収容凹部87Sは、環状ノズル部材81Sの径方向から見て断面矩形状に形成されている。
このように収容されるシール部材91Sのうち環状ノズル部材81Sの径方向に沿う長手寸法l1は、環状ノズル部材81Sの径方向に沿う収容凹部87Sの長手寸法l2と略等しくなるように設定されている。
さらに、環状ノズル部材81Sの周方向に沿うシール部材91Sの高さ寸法h1は、少なくとも一つの収容凹部87Sの深さ寸法h2、h3よりも大きく、かつ、前記周方向に沿って互いに対向する二つの収容凹部87S,87Sの底面(底部)間の距離h4(二つの収容凹部87S,87Sの深さ寸法h2、h3と隙間Dの寸法とを足し合わせた寸法)よりも小さく設定されている。なお、隙間Dの寸法は、熱によるノズル分割体81SA,81SBの膨張収縮によって変化するため、シール部材91Sの高さ寸法h1は、二つの収容凹部87S,87Sの深さ寸法h2、h3を足し合わせた寸法よりも小さく設定されていることがより好ましい。
ガスタービン1は、図1に示すように、圧縮機2が回転駆動されることで大気(空気)を吸入する。吸入された大気は、圧縮機2により圧縮されるとともに、燃焼器3に向けて送り出される。
燃焼器3に流入された圧縮された空気は、燃焼器3において外部から供給された燃料と混合される。空気および燃料の混合気は燃焼器3において燃焼され、燃焼熱により高温ガスが生成される。
燃焼器3において生成された高温ガスは、燃焼器3から下流のタービン部4に供給される。タービン部4は高温ガスにより回転駆動され、その回転駆動力は回転軸5に伝達される。回転軸5は、タービン部4において抽出された回転駆動力を圧縮機2や発電機に伝達する。
圧縮機2で圧縮された空気の一部は、冷却空気として用いるために圧縮機2から抽気されて冷却される。その後、冷却空気は、図2,3に示すように、供給流路52Sから入口キャビティ41Cに供給される。
そして、入口キャビティ41Cに供給された冷却空気の一部は、供給流路62Sに流入し、環状ノズル部材81SのTOBIノズル85S(図7参照)を通って出口キャビティ42Cに流入する。したがって、この流入の際には、冷却空気に、回転軸5や1段タービンディスク31Rと同一方向に回転する旋回流が付与される、言い換えれば、回転軸5や1段タービンディスク31Rの回転方向の流速成分が付与されることになる。
具体的に説明すれば、板状のシール部材91Sは、供給流路62S内から環状ノズル部材81Sに向けて流れる冷却空気の流れ(図7において右方向の矢印で示す方向の流れ)によって、図8(a)に示すように、シール部材91Sが、面接触で二つの収容凹部87S,87Sの一方の内側面に押し付けられる。これにより、隙間Dが回転軸線L方向に遮断されるため、供給流路62S内の冷却空気が隙間Dを通って出口キャビティ42Cに流れ込むことはない。
また、出口キャビティ42C内の冷却空気は、1段タービンディスク31Rのディスク流路34Rにも流入し、燃焼ガス流れの下流側に流れることで、1段動翼21Rよりも燃焼ガス流れの下流側に配された動翼(例えば図2に示す2段動翼211R、3段動翼212R)にも供給される。
迂回空間44Cに流入した冷却空気の一部は、燃焼ガス流れの上流側に向かって、言い換えると圧縮機2に向かって流れ、圧縮機2の冷却に用いられる。迂回空間44Cに流入した残りの冷却空気は、第2シール部68S側(燃焼ガス流れの下流側)に向かって流れる。
そして、リムシールキャビティ43C内の冷却空気は、1段静翼11Sおよび1段動翼21Rの隙間から燃焼ガスの流路に流出する。
また、シール部材91Sが前述のように斜めに傾斜しても、シール部材91Sは二つの収容凹部87S,87Sに収容された状態に保持されるため、シール部材91Sが剛性の高い材料によって形成されても、このシール部材91Sによって、二つのノズル分割体81SA,81SBの隙間Dを通って出口キャビティ42Cに流れ込むことを防止できる。
次に、図9を参照して本発明の第二実施形態について説明する。なお、この実施形態では、シール部材91Sの構成のみについて第一実施形態と異なっているため、第一実施形態と同一の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態のシール部材91Sは、第一実施形態と同様の断面矩形の板状に形成されている。そして、本実施形態のシール部材91Sには、冷却空気の流れ方向下流側に向くシール部材91Sの面から、シール部材91Sの板厚方向に膨出する一対の突起部92S,92Sが形成されている。
具体的に説明すれば、図9(b)に示すように、二つの収容凹部87S,87Sのずれが大きい場合には、一方の突起部92S(図示例では上側の突起部92S)のみが収容凹部87Sの一方の内側面に押し付けられる。また、図9(c)に示すように、二つの収容凹部87S,87Sのずれが小さい場合には、両方の突起部92Sが二つの収容凹部87Sの一方の内側面に押し付けられる。
特に、本実施形態の構成では、冷却空気の流れ方向下流側に位置するシール部材91Sの二つの角部に、丸みを帯びた突起部92Sが形成されていることで、二つの収容凹部87S,87Sのずれによってシール部材91Sが傾斜した際に、二つの突起部92Sの両方を当接させることができるため、冷却空気が隙間Dを通って出口キャビティ42Cに流れ込むことを、さらに確実に防止することができる。
そして、本実施形態の構成では、上述した効果のほか、第一実施形態と同様の効果も奏する。
また、例えば、冷却空気の流れ方向上流側に位置するシール部材91Sの二つの角部が、丸みを帯びていてもよい。
さらに、上述した第一、第二実施形態の構成では、シール部材91Sが弾性変形し難い剛性の高い材料によって形成されるとしたが、例えば弾性変形可能な弾性体によって構成されてもよい。
次に、図10〜12を参照して本発明の第三〜第五実施形態について説明する。なお、これらの実施形態では、シール部材91Sの構成のみについて第一実施形態と異なっているため、第一実施形態と同一の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
図10に示すように、第三実施形態のシール部材91Sは、例えばゴム等のように弾性変形可能な弾性体によって構成されており、環状ノズル部材81Sの径方向(図10において紙面の直交方向)に延びる柱状に形成されている。なお、図示例のシール部材91Sは、環状ノズル部材81Sの径方向に直交する断面(図10に示す断面)で円形あるいは楕円形に形成されているが、これに限ることは無く、例えば第一実施形態と同様の板状に形成されてもよい。
さらに、図12に示すように、第五実施形態のシール部材91Sは、環状ノズル部材81Sの径方向に直交する断面(図12に示す断面)で、E字状に形成されている。
これら図11,12に示すシール部材91Sは、例えば金属材料などからなる板状部材を湾曲させて形成されたものであり、断面C字状あるいは断面E字状という形状によってバネ性を有することで弾性変形可能とされた弾性体をなしている。すなわち、図11,12に示すシール部材91Sは、所謂CシールあるいはEシールを構成している。
このように、C字状あるいはE字状に形成されたシール部材91Sは、図11,12に示す断面におけるシール部材91Sの開口部93Sが、冷却空気の流れ方向上流側(図11,12における左側)に開口するように、二つの収容凹部87S,87Sに収容されている。
さらに、第三〜第五実施形態の構成によれば、いずれもシール部材91Sの弾性力によって二つの収容凹部87S,87Sの底面に密着するため、供給流路62S内の冷却空気が二つのノズル分割体81SA,81SBの隙間Dを通過して出口キャビティ42Cに流れ込むことを確実に防止できる。また、シール部材91Sが弾性変形可能な弾性体であるため、ノズル分割体81SA、81SBの熱変形(膨張収縮)による隙間Dの寸法変化に追従して密着性の低下を防止できる。
また、第四、第五実施形態の構成によれば、シール部材91Sの開口部93Sが冷却空気の流れ方向上流側に開口するように、シール部材91Sが配されているため、供給流路62Sから隙間Dに入り込む冷却空気の流れがシール部材91Sの内側に流入することで、シール部材91Sを収容凹部87Sの内面に押し付けることができる。したがって、シール部材91Sと収容凹部87Sの内面との密着性向上を図り、冷却空気が二つのノズル分割体81SA,81SBの隙間Dを通って出口キャビティ42Cに流れ込むことを、より確実に防止することができる。
したがって、シール部材91Sの一部を収容する収容凹部87Sは、例えば図13,14に示すように、一方のノズル分割体81SAのみに形成されてもよいし、例えば図15に示すように、形成されなくてもよい。
この構成では、シール部材91Sの基台94Sが、一方のノズル分割体81SAに形成された収容凹部87Sに嵌め込まれる等して収容・固定されている。そして、この収容状態では、ブラシ本体部95Sが基台94Sから他方のノズル分割体81SBの分割面86Sに向けて延び、押し付けられている。この押し付け状態では、ブラシ本体部95Sが例えば撓むように弾性変形することになる。
図13に示す構成によれば、前述した第三〜第五実施形態の場合と同様に、他方のノズル分割体81SBに押し付けられたブラシ本体部95Sの弾性力によって、隙間Dを冷却空気の流れ方向に遮断するため、供給流路62S内の冷却空気が隙間Dを通過して出口キャビティ42Cに流れ込むことを確実に防止できる。
この構成では、シール部材91Sの基台94Sが、一方のノズル分割体81SAの収容凹部87Sに嵌め込まれる等して収容・固定されている。この収容状態では、複数のシート状体96Sが、冷却空気の流れ方向(図14において左右方向)に配列されている。また、複数のシート状体96Sの突出方向の先端は、他方のノズル分割体81SBの分割面86Sに押し付けられて、撓むように弾性変形している。なお、複数のシート状体96Sは、その先端が冷却空気の流れ方向上流側に向くように撓み変形することが好ましい。
図14に示す構成によれば、図13の場合と同様の効果を奏する。また、複数のシート状体96Sは、その先端が冷却空気の流れ方向上流側に向くように撓み変形していることで、隙間Dに流れ込む冷却空気の流れによって、シート状体96Sの先端と他方のノズル分割体81SBの分割面86Sとの間に間隙が生じることを確実に防止できる。
なお、この構成では、例えばシール部材91Sの延在方向の一端が、他方のノズル分割体81SBの分割面86Sに接着等によって固定されてもよいし、あるいは、シール部材91Sの延在方向の中間部分が、一方のノズル分割体81SAの分割面86Sに固定されてもよい。また、この構成では、例えばシール部材91Sをノズル分割体81SA,81SBに固定せずに、シール部材91Sを圧縮変形(弾性変形)させた状態で、二つのノズル分割体81SA,81SBの隙間Dに挿入することで、シール部材91Sの弾性力によってシール部材91Sを隙間Dに保持してもよい。
なお、図15に示すシール部材91Sは、収容凹部87Sの無い分割面86Sに設けられることに限らず、例えば、ノズル分割体81SA、81SBの少なくとも一方に設けた収容凹部87Sに嵌め込まれるようにして設けられてもよい。
例えば、上述した全ての実施形態の環状ノズル部材81Sは、冷却空気を回転軸線L方向に通過させるように形成されているが、これに限ることはなく、供給流路62Sから出口キャビティ42Cに入り込む冷却空気の流れの向きに応じて適宜形成されてよい。
さらに、環状ノズル部材81Sは、二つのノズル分割体81SA,81SBによって構成されることに限らず、三つ以上のノズル分割体によって構成されてもよい。
また、上記実施形態のガスタービン1には、リムシールキャビティ43Cや迂回空間44C、隔壁流路63S、ジャンパチューブ64Sが形成されているが、特に形成されなくても構わない。
Claims (8)
- 外周部に複数の動翼が周方向に並んで取り付けられるとともに、軸線まわりに回転自在に支持されたタービンディスクと、
該タービンディスクの内部を貫通するように形成されて、前記動翼内部の冷却流路に冷却媒体を供給する冷却孔と、
前記軸線を中心とする円筒状に形成されて、外部から前記冷却媒体が供給される第1入口空間、及び、前記冷却孔に連通される第2入口空間を区画する筒状仕切り部と、
該筒状仕切り部の内部を前記第1入口空間から前記第2入口空間に向けて延びるとともに前記冷却媒体を前記第1入口空間から前記第2入口空間に供給する供給流路と、
前記軸線を中心とする円環状に形成されるとともに、前記供給流路のうち前記第2入口空間側の開口部に設けられて、前記第1入口空間から前記第2入口空間に向けて流れる前記冷却媒体に、前記タービンディスクと同一方向に回転する旋回流を付与する環状ノズル部材とを備え、
前記環状ノズル部材が、周方向に分割される複数のノズル分割体により構成され、
周方向に隣り合う二つのノズル分割体の隙間に、該隙間を埋めるシール部材が設けられていることを特徴とするタービンの冷却構造。 - 前記二つのノズル分割体のうち少なくとも一方のノズル分割体に、他方のノズル分割体と共に前記隙間を画成する当該一方のノズル分割体の分割面から窪んで、前記シール部の一部を収容する収容凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタービンの冷却構造。
- 前記収容凹部が、前記二つのノズル分割体に形成され、
前記シール部材が二つの前記収容凹部に収容されていることを特徴とする請求項2に記載のタービンの冷却構造。 - 前記シール部材は、板状に形成されるとともに、前記シール部材の板厚方向が前記供給流路から前記隙間に流れ込む前記冷却媒体の流れ方向に沿うように、前記二つの収容凹部に収容され、
前記冷却媒体の流れ方向に沿う前記収容凹部の幅寸法が、前記シール部材の板厚寸法よりも大きく設定され、
前記周方向に沿って互いに対向する前記二つの収容凹部の底部間の距離が、前記周方向に沿う前記シール部材の高さ寸法よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項3に記載のタービンの冷却構造。 - 板状に形成された前記シール部材のうち少なくとも前記冷却媒体の流れ方向下流側に位置する角部のうち少なくとも一つが丸みを帯びていることを特徴とする請求項4に記載のタービンの冷却構造。
- 前記シール部材が、弾性変形可能な弾性体によって構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のタービンの冷却構造。
- 前記環状ノズル部材が、その周方向に配列されて前記冷却媒体に前記旋回流を付与する複数の翼形部を備え、
一の翼形部が、前記二つのノズル分割体に分割して形成され、
前記供給流路から前記隙間に流れ込む前記冷却媒体の流れ方向に沿う前記一の翼形部の厚みが最も厚くなる部分において、前記一の翼形部が分割されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のタービンの冷却構造。 - 空気を吸入して圧縮する圧縮部と、圧縮された空気および外部から供給された燃料からなる混合気を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼部と、生成された燃焼ガスから回転駆動力を抽出するタービン部と、を備え、
前記タービン部に、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のタービンの冷却構造が設けられていることを特徴とするガスタービン。
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