JP2013178971A - 多波長発光型光照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】発光波長域が互いに異なる複数種類の光源を用いても出射光の指向性が高い多波長発光型光照射装置を提供する。
【解決手段】互いに近接して配置され、略同じ方向に光を出射し、発光波長域が互いに異なる複数種類の光源1からの光に指向性を与えるレンズ体2、指向性が与えられた光の透過率調整を行う光学フィルタ3、透過率調整された光が入射する導光部材5、および導光部材5内の光を取り出す光取り出し部材6を有する。
【選択図】図1
【解決手段】互いに近接して配置され、略同じ方向に光を出射し、発光波長域が互いに異なる複数種類の光源1からの光に指向性を与えるレンズ体2、指向性が与えられた光の透過率調整を行う光学フィルタ3、透過率調整された光が入射する導光部材5、および導光部材5内の光を取り出す光取り出し部材6を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、多波長発光型光照射装置に関する。
太陽電池は、クリーンなエネルギー源としての重要性が認められ、その需要が高まりつつある。太陽電池の利用分野は、大型機器類のパワーエネルギー源から、精密な電子機器類の小型電源まで、多岐に渡っている。太陽電池が様々な分野で広く利用されるには、当該電池の特性、とりわけ出力特性が正確に測定されていないと、太陽電池を使用する側においても様々な不都合が予測される。このため、太陽電池の検査、測定、および実験に利用可能な、高精度の擬似太陽光を大面積に照射できる技術が特に求められている。
そこで、近年では、擬似太陽光を照射できる装置として、擬似太陽光照射装置が開発されている。当該擬似太陽光照射装置は、一般的に、パネル状の太陽電池の受光面に均一な照度の人工光(擬似太陽光)を照射して、太陽電池の出力特性等を測定するために使用される。
擬似太陽光に求められる主要な要素は、その発光スペクトルを基準太陽光(日本工業規格により制定)に近づけることである。しかしながら、擬似太陽光照射装置は、光源ランプが点または線とみなされる形態であるため、面状の受光面を有する太陽電池の受光面の全面(または全域)に対して均一照度での光の照射は極めて困難であるという問題がある。そこで、擬似太陽光照射装置の照度ムラを調整する工夫を行った技術が、特許文献1に開示されている。
特許文献1では、隣接する個々の室にハロゲンランプとキセノンランプとを設置した擬似太陽光照射装置が開示されている。具体的には、各ランプの上方開放部に専用の光学フィルタを設置し、太陽電池の下方からランプの点灯による擬似太陽光を照射するように構成されている。この際、各室内部に設置した反射板で各ランプの出射光を反射して同一の照射面を照射するように構成されており、当該反射板を適宜設置することによってランプの照度ムラを調整している。
特許文献1に開示されている技術では、特許文献1の図2から分かるように、4本取り付けられたキセノンランプ(もしくは、ハロゲンランプ)の内、中ほどの2本の上部に太陽電池が配置されている。この場合、これらのキセノンランプ(すなわち、他のキセノンランプが両隣に配置されているキセノンランプ)の上部では、隣接するキセノンランプの光量の影響で光強度が増す。
一方、4本のキセノンランプのうち、両端に配置されている2本のキセノンランプ(すなわち、他のキセノンランプが両隣に配置されていないキセノンランプ)の上部では、隣接するランプが1つしかないため、中ほどの2本のキセノンランプと比較して光強度が減る。これは、ハロゲンランプに関しても同様である。
このように互いに異なる波長域の光を同一の光路で照射面に照射することができないため、キセノンランプの光と、ハロゲンランプの光との双方を混ぜて、擬似太陽光を形成しようとした場合に、照射スペクトルの高精度な制御であったり、照度ムラの調整が非常に難しかったりする等の問題がある。
また、キセノンランプとハロゲンランプとに見られるように、発光波長域が互いに異なるランプ光源は、発光原理が異なる。例えば、キセノンランプは、希ガスを封入した状態で石英管全体が発光する放電発光現象を利用したものであり、光源は所謂円筒状の発光体である。例えば特許文献1に開示されている棒状のキセノンランプでは、管の直径10mmに相当する円筒状の発光体である。またさらに、キセノンランプの出力が上がるほど、この管の直径は大きくなる。そのため、キセノンランプの出力を上げて管の直径が大きくなるほど、最も高い指向性を示すことができる理想的な線光源や点光源からのずれが大きくなってしまう。結果、特許文献1に開示された技術でも指向性は高めることができるものの、指向性の改善には限界が生じてしまう。
また、ハロゲンランプでは発光体自体がフィラメントであるため、光源自体が非常に複雑な発光指向性を有している。したがって、ハロゲンランプにおいても、特許文献1に開示された技術でも指向性は高めることができるものの、より高い指向性を得るにしても同じく指向性の改善に限界が生じてしまう。
そこで、本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、互いに発光波長域が異なる複数種類の光源を用いる場合でも、各光源からの光が導光部材に入射するまでの指向性をより高め、測定対象に対してより高い指向性を持って照射することが可能な多波長発光型光照射装置を提供することである。
本発明に係る多波長発光型光照射装置は、前記の課題を解決するために、互いに近接して配置され、略同じ方向に光を出射し、互いに異なる波長域の光を出射する複数種類の光源と、前記複数種類の光源からの出射光に、光屈折により指向性を付与する光学部材と、前記光学部材からの出射光の透過率を制御する透過率特性を有する光学フィルタと、前記光学フィルタからの出射光が導入される導光部材と、上記導光部材に設けられ、上記導光部材に導入された光を照射面に取り出す光取り出し部材とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、各光源は互いに近接して配置され、それぞれ略同じ方向に光を出射しているため、各光源から出射された光は同一の光路を辿って光学部材に入射する。そして、その後それぞれの光は光学部材によって同等の指向性が付与される。すなわち、出射光の波長域が互いに異なる複数種類の光源を使用する場合においても、各光源からの出射光に同等の指向性を付与することができる。よって、出射光の波長域が互いに異なる複数種類の光源を用いることで所望の波長域を持つ擬似太陽光を実現できると同時に、各光源からの出射光を同一方向に出射することができる。
またさらに、光学部材が光屈折により指向性を付与できるので、各光源の出射光はより点光源に近い光となる。結果、各光源からの出射光に付与される指向性を高めることができる。また、光源にランプを用いた場合には、その光源の大きさから指向性を与えるには必ず大型の別部材(レンズあるいはテーパ状のもの等といった導光部材)が必要になるため、その別部材を入れる分だけ光路長が伸びてしまうのに対して、近接配置可能な光源においては、指向性を増やす別部材を追加する場合でもその別部材は小型で済む。そのため、本発明に係る多波長発光型光照射装置では、複数種類の光源、光学フィルタ、ならびに導光部材の相互の距離をより近づけることができ、各光源からの出射光の擬似太陽光への変換効率を高めることができる。
さらに、本発明に係る多波長発光型光照射装置においては、前記複数種類の光源の各々が出射する光の波長域は、他の種類の光源が出射する光の波長域と重ならないことを特徴としている。
上記の構成によれば、複数種類の光源の各々が出射する光の波長域は、他の種類の光源が出射する光の波長域と重ならない。そのため、1種類の光源の発光波長域に、光学フィルタの透過率特性を合わせればよい波長域が増えることになる。すなわち、2種類の光源を使う場合等では、任意の一波長でも双方の光源がその波長の光を発するため、双方の光源の発光波長域を考慮して光学フィルタの透過率特性を決めなければならない。そのため、複数種類の光源の各々が出射する光の波長域は、他の種類の光源が出射する光の波長域と重ならなければ、光学フィルタの任意の一波長における透過率を、1つの光源の発光波長域にだけ合わせて一義に決めることができることになり、透過率調整しやすくなる。結果、光学フィルタを構成する透過率調整フィルタの枚数を減らすことができる。さらに、この場合は光学フィルタを使用する際に、透過率制御を行う範囲が狭い(すなわち、透過率制御性がより高い)光学フィルタを用いることができ、結果的にスペクトル合致度が高くなる。
さらに、本発明に係る多波長発光型光照射装置においては、前記光学部材は、前記光源ごとに当該光源と一体化されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、各光源と各光学部材とを一体形成等の手法によって一体化しているため、指向性を高める最も好ましい位置に各光源と各光学部材とを高精度に固定することができるので、個々の光源の出射光の指向性の制御性をより高めることができる。また、導光部材と各光源との間に存在する屈折率の大きく異なる境界面を減らすことができ、より効率よく各光源の出射光を利用することができる。これは、一体成形等の手法で高精度に各光源と各光学部材とを固定することができるため、各光源と各光学部材の間に空気層がなく、結果的に屈折率差が非常に小さくなり、この境界面での屈折率差による反射が低減されるためである。例えば、各光学部材が成形用のシリコーン系樹脂品である場合、各光学部材の屈折率は1.45となるため、空気(屈折率1.0)とは0.45の屈折率差がつく。これに対して、各光源と各光学部材とを一体成形すると、各光源と各光学部材との間に空気部分がなくなり、結果として屈折率差による反射が低減され、光源の出射光のロスを下げて、より多くの光を各光学部材から取り出すことができる。
さらに、本発明に係る多波長発光型光照射装置においては、前記光学フィルタと前記導光部材との間に、前記光学フィルタ側の入射端の面積が、前記導光部材側の出射端の面積よりも大きい他の光結合部材が設置されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、複数種類の光源を配置する面積を大きくすることができ、互いに異なる波長域の光を出射する光源の数を増やすことができる。結果、光学フィルタでより細かい透過率調整ができるようになり、多波長発光型光照射装置のスペクトル合致度を高めることができる。
さらに、本発明に係る多波長発光型光照射装置においては、前記光学部材と前記光学フィルタとの間に、前記光学部材とは異なる形状を有し、前記光学部材からの出射光に、指向性を付与する他の光学部材が設けられていることを特徴としている。
上記の構成によれば、互いに異なる波長域の光を出射する光源であったり、互いに異なる指向性の光を出射する光源であったりを利用する場合にも、それらの光源からの出射光に付与する指向性をより類似させつつ、高めることができる。結果として、光学フィルタへの入射角度の範囲が小さくなり、スペクトル合致度を高めることができる。
本発明に係る多波長発光型光照射装置では、各光源は互いに近接して配置され、それぞれ略同じ方向に光を出射しているため、各光源から出射された光は同一の光路を辿って光学部材に入射する。そして、その後それぞれの光は光学部材によって同等の指向性が付与される。すなわち、出射光の波長域が互いに異なる複数種類の光源を使用する場合においても、各光源からの出射光に同等の指向性を付与することができる。よって、出射光の波長域が互いに異なる複数種類の光源を用いることで所望の波長域を持つ擬似太陽光を実現できると同時に、各光源からの出射光を同一方向に出射することができる。
またさらに、光学部材が光屈折により指向性を付与できるので、各光源の出射光はより点光源に近い光となる。結果、各光源からの出射光に付与される指向性を高めることができる。また、各光源、光学フィルタ、ならびに導光部材の相互の距離をより近づけることができ、各光源からの出射光の擬似太陽光への変換効率を高めることができる。
図面に基づいて、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、同一の機能および作用を示す部材については、同一の符号を付し、説明を省略する。
〔第1の実施形態〕
(多波長発光型光照射装置)
本発明の第1の実施形態に係る多波長発光型光照射装置における光学系を図1および図2に示す。図1の(a)は、多波長発光型光照射装置50の要部構成を示す図であり、(b)は、光源部30aの要部構成を示す図である。図2の(a)は、多波長発光型光照射装置50の上面図であり、(b)は、複数の光源1が配置された制御基盤4の上面図であり、(c)は、複数のレンズ体2が配置された接続部材9の上面図である。
(多波長発光型光照射装置)
本発明の第1の実施形態に係る多波長発光型光照射装置における光学系を図1および図2に示す。図1の(a)は、多波長発光型光照射装置50の要部構成を示す図であり、(b)は、光源部30aの要部構成を示す図である。図2の(a)は、多波長発光型光照射装置50の上面図であり、(b)は、複数の光源1が配置された制御基盤4の上面図であり、(c)は、複数のレンズ体2が配置された接続部材9の上面図である。
多波長発光型光照射装置50は、擬似太陽光を照射可能な装置である。擬似太陽光とは人工光の一種であり、自然光(太陽光)の発光スペクトルに限りなく似た発光スペクトルを有している。本実施形態に係る多波長発光型光照射装置50は、擬似太陽光を太陽電池等の被照射体20に照射することによって、太陽電池の特性を測定することができる装置である。
図1(a)に示すように、多波長発光型光照射装置50は、光源部30a、光源部30b、光学フィルタ3、導光部材5、光取り出し部材6、反射部材7、およびプリズムシート8を備えている。図2(a)に示すように、導光部材5の両側面(側端面)には、それぞれ光源部30aおよび光源部30bが設けられており、導光部材5および光源部30a、ならびに導光部材5および光源部30bの間にはそれぞれ光学フィルタ3が設けられている。導光部材5は、光源部30aおよび光源部30bそれぞれから光学フィルタ3を介して導光部材5の両側面に照射される擬似太陽光を、導光部材5の照射面(上面)から被照射体20に向けて出射する(図中の矢印の方向)。以下、多波長発光型光照射装置50について詳細に説明する。
(光源部)
図1(b)に示すように、光源部30aは、制御基盤4上に互いに近接して配置され、略同じ方向に光を出射する複数の光源1と、接続部材9上に配置された複数のレンズ体2(光学部材)とによって構成されている。光源部30bは光源部30aと同一の構成を有しているため、ここでは図示を省略する。図2(b)に示すように、複数の光源1は制御基盤4上にマトリクス状に配置されており、各レンズ体2は、接続部材9上において各光源1に対応する位置に配置されている。これによって、各光源1からの出射光の指向性は、レンズ体2によって制御され、出射される。
図1(b)に示すように、光源部30aは、制御基盤4上に互いに近接して配置され、略同じ方向に光を出射する複数の光源1と、接続部材9上に配置された複数のレンズ体2(光学部材)とによって構成されている。光源部30bは光源部30aと同一の構成を有しているため、ここでは図示を省略する。図2(b)に示すように、複数の光源1は制御基盤4上にマトリクス状に配置されており、各レンズ体2は、接続部材9上において各光源1に対応する位置に配置されている。これによって、各光源1からの出射光の指向性は、レンズ体2によって制御され、出射される。
複数の光源1には、可視光を照射する光源として、波長域400nm〜700nmの白色光を照射する微小光源を用いている。図2(b)では、発光波長域が400nm〜700nmの範囲にある複数種類の光源1を制御基盤4上に36個搭載している構成を一例として示しているが、必ずしもこれに限定されるわけではなく、光源1のサイズに合わせてさらに多数の光源1を配置してもよい。
光源部30aおよび光源部30bには、発光波長域が互いに異なる複数種類の光源1が用いられている。例えば、図2(b)の場合、チップタイプの白色LED8個の他、502nm、571nm、587nm、および613nmの計4種のLEDを各7個ずつ搭載することができる。これにより、高精度の擬似太陽光を照射することができる。
上述したように、各光源1からの出射光の指向性は、レンズ体2によって制御され、出射される。具体的には、レンズ体2はドーム状の形状を有しており、光屈折性を利用して各光源1からの出射光の指向性をよくしている。ここで、光源1の発光点サイズは、ドーム状のレンズ体2の外形サイズに比べて小さく、点光源と見なすことができるようなサイズであることが好ましい。また、レンズ体2のサイズは、各光源1からの出射光に指向性を付与可能なサイズである必要がある。
図2(c)に示すように、複数のレンズ体2は接続部材9上に配置されており、各レンズ体2は互いに接続部材9によって連結されている構成になっている。これによって、複数のレンズ体2の位置決めが容易になり、位置決めの精度が向上する。接続部材9としては、例えば黒色の樹脂体等を用いることができ、ポリイミド等の耐熱樹脂を用いることが好ましい。樹脂体以外にも、金属体を用いることもできる。一方、レンズ体2としては、耐熱性のあるシリコーン系の樹脂等が使用できる。
(光学フィルタ)
光源部30aおよび光源部30bはそれぞれ導光部材5の両側面(側端面)に設けられており、導光部材5および光源部30a、ならびに導光部材5および光源部30bの間には光学フィルタ3が設けられている。レンズ体2によって指向性が高められた光は、光学フィルタ3を通過して導光部材5内に導入される。光学フィルタ3は、複数の光源1の出射光の透過率を調整し、擬似太陽光を形成するための所謂エアマスフィルタである。これによって、レンズ体2から出射された光のうち、擬似太陽光を生成する上で不必要な波長成分を取り除くことができる。光学フィルタ3によって透過率調整された光は、擬似太陽光として導光部材5に出射される。
光源部30aおよび光源部30bはそれぞれ導光部材5の両側面(側端面)に設けられており、導光部材5および光源部30a、ならびに導光部材5および光源部30bの間には光学フィルタ3が設けられている。レンズ体2によって指向性が高められた光は、光学フィルタ3を通過して導光部材5内に導入される。光学フィルタ3は、複数の光源1の出射光の透過率を調整し、擬似太陽光を形成するための所謂エアマスフィルタである。これによって、レンズ体2から出射された光のうち、擬似太陽光を生成する上で不必要な波長成分を取り除くことができる。光学フィルタ3によって透過率調整された光は、擬似太陽光として導光部材5に出射される。
ここで、光学フィルタ3は1枚構成でなく、3枚〜4枚の透過率調整フィルタで1つの透過率調整機能を有するフィルタ群であってもよい。複数の透過率調整フィルタで構成されたフィルタ群を使用すれば、各LEDの発光波長域により適した透過率調整が可能となる。
(導光部材)
導光部材5は、互いに対向して配置された光源部30aおよび光源部30bの間に光学フィルタ3を介して設けられており、光源部30aおよび光源部30bそれぞれから光学フィルタ3を介して導光部材5の両側面に入射した擬似太陽光を、導光部材5の照射面から出射するものである。この導光部材5には、太陽電池等の被照射体20に向けて照射面から擬似太陽光が出射されるように、下面に光取り出し部材6が設けられている。
導光部材5は、互いに対向して配置された光源部30aおよび光源部30bの間に光学フィルタ3を介して設けられており、光源部30aおよび光源部30bそれぞれから光学フィルタ3を介して導光部材5の両側面に入射した擬似太陽光を、導光部材5の照射面から出射するものである。この導光部材5には、太陽電池等の被照射体20に向けて照射面から擬似太陽光が出射されるように、下面に光取り出し部材6が設けられている。
(光取り出し部材)
光取り出し部材6は、導光部材5の下面に形成されており、光源部30aおよび光源部30bから出射された擬似太陽光を、導光部材5の照射面に取り出すものである。具体的には、光源部30aおよび光源部30bから光学フィルタ3を介して導光部材5に入射した擬似太陽光は、導光部材5の内部を伝搬する。このとき、光取り出し部材6に当たった擬似太陽光は、導光部材5の照射面から出射される。これにより、均等に分布した擬似太陽光を広い面積の照射面から出射することが可能となる。
光取り出し部材6は、導光部材5の下面に形成されており、光源部30aおよび光源部30bから出射された擬似太陽光を、導光部材5の照射面に取り出すものである。具体的には、光源部30aおよび光源部30bから光学フィルタ3を介して導光部材5に入射した擬似太陽光は、導光部材5の内部を伝搬する。このとき、光取り出し部材6に当たった擬似太陽光は、導光部材5の照射面から出射される。これにより、均等に分布した擬似太陽光を広い面積の照射面から出射することが可能となる。
なお、光取り出し部材6は、例えば、印刷または金型等によって形成された散乱体であってもよい。散乱体は、導光部材5の内部の擬似太陽光を散乱させて、全反射条件を外れた擬似太陽光が、導光部材5の照射面から外部に取り出され、被照射体20に向けて出射される。さらに、散乱体のパターン、すなわちドットの形状、大きさ、ピッチ、あるいは間隔等は、被照射体20の全領域に均等に擬似太陽光が照射されるように当該被照射体20のサイズを考慮して適宜設定される。また、散乱体のパターンを変更すれば、擬似太陽光の照度ムラを調整することもできる。
(反射部材)
光取り出し部材6のさらに下方には、反射部材7が配置されている。導光部材5内部を導光してきた光が導光部材5から下方側に漏れた場合に、反射部材7によって被照射体20に向けて反射することができる。反射部材7としては、アルミ等の金属で形成された反射ミラー、あるいは印刷または金型等で反射パターンを形成した樹脂部材等が適用され得る。
光取り出し部材6のさらに下方には、反射部材7が配置されている。導光部材5内部を導光してきた光が導光部材5から下方側に漏れた場合に、反射部材7によって被照射体20に向けて反射することができる。反射部材7としては、アルミ等の金属で形成された反射ミラー、あるいは印刷または金型等で反射パターンを形成した樹脂部材等が適用され得る。
(プリズムシート)
また、導光部材5の上面には、光屈折性を有するプリズムシート8が配置されている。このプリズムシート8は、導光部材5側の面にプリズム構造が形成されており、光の屈折効果で導光部材5の照射面に垂直な光を多く作り出すことができる。そのため、導光部材5から被照射体20に向けて、より効率よく擬似太陽光を照射することができる。
また、導光部材5の上面には、光屈折性を有するプリズムシート8が配置されている。このプリズムシート8は、導光部材5側の面にプリズム構造が形成されており、光の屈折効果で導光部材5の照射面に垂直な光を多く作り出すことができる。そのため、導光部材5から被照射体20に向けて、より効率よく擬似太陽光を照射することができる。
なお、光源1としてLEDを用いることで光源部30aおよび光源部30bの製造コストを抑制できる。さらに、光源1の発光時間をほぼ任意に制御できるので、光照射時の応答速度が遅い太陽電池でも、その出力特性等を精度よく測定できる。また、従来のハロゲンランプおよびキセノンランプ等のランプ光源と比較して、LEDはその波長帯域が狭いため、発光波長域が互いに異なるのLEDを複数種類用いることによって、スペクトル合致度を向上させる等のさらなる性能向上を図ることができる。ただし、必ずしもこれに限定されるわけではなく、光源1としてはLEDを用いることができる他、半導体レーザ等の光源も適用可能である。
また、光源部30aおよび光源部30bは、導光部材5の両側面に配置されており、導光部材5の両端に擬似太陽光を出射する。このため、光源部30aおよび光源部30bの2つを搭載していれば、より多くの光量(照度)の擬似太陽光を、照射面から出射することが可能となる。また、光源部30aおよび光源部30bの2つを搭載していれば、光源部30aおよび光源部30bからの出射光の強度を制御することによって、導光部材5に導入する光を細かく制御でき、導光部材5からの出射光を制御することができる。結果、より高精度なスペクトル分布を有する光を導光部材5に導入できる。また、多波長発光型光照射装置50の照度調整も行いやすくなる。ただし、光源部30aおよび光源部30bは、導光部材5の両端に設ける必要はなく、導光部材5の一方の端部に1つだけ設けていてもよい。
(光照射)
本実施形態に係る多波長発光型光照射装置は、互いに近接して配置され、略同じ方向に光を出射し、互いに異なる波長域の光を出射する複数種類の光源1と、複数種類の光源1からの出射光に、光屈折により指向性を付与するレンズ体2と、レンズ体2からの出射光の透過率調整を行う光学フィルタ3と、光学フィルタ3からの出射光が導入される導光部材5と、導光部材5に設けられ、導光部材5に導入された光を照射面に取り出す光取り出し部材6とを備えている多波長発光型光照射装置50としている。これによって、複数の光源1は互いに近接して配置され、それぞれ略同じ方向に光を出射しているため、各光源1から出射された光は同一の光路を辿ってレンズ体2に入射する。そして、その後それぞれの光はレンズ体2によって同等の指向性が付与される。すなわち、出射光の波長域が互いに異なる複数種類の光源1を使用する場合においても、各光源1からの出射光に同等の指向性を付与することができる。よって、出射光の波長域が互いに異なる複数種類の光源1を用いることで所望の波長域を持つ擬似太陽光を実現できると同時に、各光源1からの出射光を同一方向に出射することができる。
本実施形態に係る多波長発光型光照射装置は、互いに近接して配置され、略同じ方向に光を出射し、互いに異なる波長域の光を出射する複数種類の光源1と、複数種類の光源1からの出射光に、光屈折により指向性を付与するレンズ体2と、レンズ体2からの出射光の透過率調整を行う光学フィルタ3と、光学フィルタ3からの出射光が導入される導光部材5と、導光部材5に設けられ、導光部材5に導入された光を照射面に取り出す光取り出し部材6とを備えている多波長発光型光照射装置50としている。これによって、複数の光源1は互いに近接して配置され、それぞれ略同じ方向に光を出射しているため、各光源1から出射された光は同一の光路を辿ってレンズ体2に入射する。そして、その後それぞれの光はレンズ体2によって同等の指向性が付与される。すなわち、出射光の波長域が互いに異なる複数種類の光源1を使用する場合においても、各光源1からの出射光に同等の指向性を付与することができる。よって、出射光の波長域が互いに異なる複数種類の光源1を用いることで所望の波長域を持つ擬似太陽光を実現できると同時に、各光源1からの出射光を同一方向に出射することができる。
またさらに、レンズ体2が光屈折により指向性を付与できるので、各光源1の出射光はより点光源に近い光となる。結果、各光源1からの出射光に付与される指向性を高めることができる。また、光源1にランプを用いた場合には、その光源1の大きさから指向性を与えるには必ず大型の別部材(レンズあるいはテーパ状のもの等といった導光部材)が必要になるため、その別部材を入れる分だけ光路長が伸びてしまうのに対して、近接配置可能な光源1においては、指向性を増やす別部材を追加する場合でもその別部材は小型で済む。そのため、本実施形態に係る多波長発光型光照射装置50では、複数種類の光源1、光学フィルタ3、ならびに導光部材5の相互の距離をより近づけることができ、各光源1からの出射光の擬似太陽光への変換効率を高めることができる。
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係る多波長発光型光照射装置における光源の配置例を図3および図4に示す。上述したように、光源部30aおよび光源部30bには、発光波長域が互いに異なる複数種類の光源1を用いられているが、互いに異なる発光波長域の光源1が15種類以上含まれていることが好ましい。これは、最も合致度を厳密に定めるJIS MS級では、350nm〜1100nmまでの15種類の波長域(波長域幅50nm)に基づいてスペクトル合致度を規定しており、これらの波長域のすべてにおいて、スペクトルを合致させるには、発光波長域が互いに異なる光源を15種類以上配置することが好ましいためである。
本発明の第2の実施形態に係る多波長発光型光照射装置における光源の配置例を図3および図4に示す。上述したように、光源部30aおよび光源部30bには、発光波長域が互いに異なる複数種類の光源1を用いられているが、互いに異なる発光波長域の光源1が15種類以上含まれていることが好ましい。これは、最も合致度を厳密に定めるJIS MS級では、350nm〜1100nmまでの15種類の波長域(波長域幅50nm)に基づいてスペクトル合致度を規定しており、これらの波長域のすべてにおいて、スペクトルを合致させるには、発光波長域が互いに異なる光源を15種類以上配置することが好ましいためである。
さらに、スペクトル合致度を高めるためには、複数種類の光源1の各々の発光波長域が、他の種類の光源1の発光波長域と重ならない方がより好ましい。発光波長域が重なってしまうと、複数種類の波長域に対応するように光学フィルタ3を形成する必要がある。しかし、発光波長域が重ならない場合には、1種類の光源1の波長域に、光学フィルタ3の透過特性を合わせればよい波長域が増えることになり、光学フィルタ3を構成する透過率調整フィルタの枚数を減らすことができる。
そこで、本実施形態では、導光部材5の光の入射端に効率的に、発光波長域が互いに異なる光源1を15種類以上配置している。導光部材5として、光の入射端が、15mm×220mmのものを用いる場合を例に挙げて説明する。この場合、図3に示すように、導光部材5の光の入射端に相当するサイズ(15mm×220mm)の制御基盤4上に、光源1として4mm角のチップLEDを配置する場合を想定すると、制御基盤4上には当該制御基盤4上に配置できる最大数(150個)の光源1を配置する。
この際、発光波長域が互いに異なる光源1を15種類使って、各種類10個ずつ均等に配置している。なお、図3ではより分かりやすくするために各光源1に1〜15までの数字を振っている。1〜15は15種類の発光波長域を表しており、数字が異なる光源1は互いに発光波長域が異なることを意味している。発光波長域が互いに異なる15種類の光源1を用いることによって、各光源1からの出射光のスペクトルをより細かく調整することができる。ただし、光源1の個数については、各波長域で同じ個数にする必要はない。例えば、太陽光は可視光(波長域400nm〜700nm)のスペクトルが相対的に高い放射照度を示すことから、前述の発光波長域が互いに異なる15種類の光源1を用いてスペクトル調整する場合、各波長域の必要強度に合わせて、光源1の波長域ごとの配置個数を決定することができる。具体的には、可視光の波長域を持つ光源1の個数を相対的に増やすことが好ましい。例えば、200個の光源1のうち、可視光を発光する光源1が5種類の場合、他の10種類の光源1をそれぞれ10個配置し、可視光を発光する光源1については各種類20個ずつ配置すれば、可視光を発光する5種類の光源1を余分に配置することが可能である。
また、1個の光源1のサイズを小さくし、光源1の配置個数を増やすこともできる。この場合、光源1の種類を15種類以上に増やすことによって、スペクトルを実際の太陽光により合致させることができる。例えば、20種類の光源1を用いる場合を図4に示す。発光波長域が互いに異なる20種類の光源1を、各種類10個ずつ均等に配置し、計200個の光源1を配置している。図5には、この20種類の光源1に割当てる発光波長域の設定例を示している。
以上により、本実施形態では、複数種類の光源1の各々が出射する光の波長域は、他の種類の光源1が出射する光の波長域と重ならない多波長発光型光照射装置50としている。そのため、1種類の光源1の発光波長域に、光学フィルタ3の透過率特性を合わせればよい波長域が増えることになる。すなわち、2種類の光源1を使う場合等では、任意の一波長でも双方の光源1がその波長の光を発するため、双方の光源1の発光波長域を考慮して光学フィルタ3の透過率特性を決めなければならない。そのため、複数種類の光源1の各々が出射する光の波長域は、他の種類の光源が出射する光の波長域と重ならなければ、光学フィルタ3の任意の一波長における透過率を、1つの光源1の発光波長域にだけ合わせて一義に決めることができることになり、透過率調整しやすくなる。結果、光学フィルタを構成する透過率調整フィルタの枚数を減らすことができる。さらに、この場合は光学フィルタ3を使用する際に、透過率制御を行う範囲が狭い(すなわち、透過率制御性がより高い)光学フィルタ3を用いることができ、結果的にスペクトル合致度が高くなる。
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態に係る多波長発光型光照射装置における光学系を図6および図7に示す。図6の(a)は、多波長発光型光照射装置51の要部構成を示す図であり、(b)は、光源部31aの要部構成を示す図である。図7の(a)は、多波長発光型光照射装置51の上面図であり、(b)は、複数の光源11が配置された制御基盤14の上面図である。
本発明の第3の実施形態に係る多波長発光型光照射装置における光学系を図6および図7に示す。図6の(a)は、多波長発光型光照射装置51の要部構成を示す図であり、(b)は、光源部31aの要部構成を示す図である。図7の(a)は、多波長発光型光照射装置51の上面図であり、(b)は、複数の光源11が配置された制御基盤14の上面図である。
本実施形態では、図6(a)に示すように、多波長発光型光照射装置51は、2つの光源部31a、光源部31b、光学フィルタ13、導光部材15、光取り出し部材16、反射部材17、およびプリズムシート18を備えている。図7(a)に示すように、導光部材15の両側面(側端面)には、それぞれ光源部31aおよび光源部31bが設けられており、導光部材15および光源部31a、ならびに導光部材15および光源部31bの間にはそれぞれ光学フィルタ13が設けられている。導光部材15は、光源部31aおよび光源部31bそれぞれから光学フィルタ13を介して導光部材15の両側面に照射される擬似太陽光を、導光部材15の照射面(上面)から被照射体20に向けて出射する(図中の矢印の方向)。
ここで、本実施形態では、図6(b)に示すように、光源部31aは各光源11と各レンズ体12(光学部材)とが一体になった複数のレンズ付光源19が制御基盤14上に配置されて構成されている。したがって、図7(b)に示すように、光源部31aは複数のレンズ付光源19が制御基盤4上にマトリクス状に直接配置されており、第1の実施形態における接続部材9が省略されている。各光源11からの出射光の指向性は、レンズ体12によって制御され、出射される。なお、光源部31bは光源部31aと同一の構成を有しているため、ここでは図示を省略する。
レンズ付光源19の場合、各光源11と各レンズ体12とを一体形成等の手法によって一体化しているため、指向性を高める最も好ましい位置に各光源11と各レンズ体12とを高精度に固定することができるので、個々の光源11の出射光の指向性の制御性をより高めることができる。またそれと同時に、複数の光源11と複数のレンズ体12とを1回で制御基盤4上に取り付けることでき、第1の実施形態のように接続部材9を用いる必要がなく、取り付けが容易である。
例えば、直径4mmのレンズ付光源19の場合、制御基盤14の大きさが220mm×15mmだとすると、第2の実施形態と同様に、制御基盤14の上にレンズ付光源19を150個配置することになる。本実施形態においても、発光波長域が互いに異なるレンズ付光源19を15種類あるいはそれ以上の種類(例えば20種類)を配置しておくことによって、導光部材15から放射されるスペクトルを細かく調整することが可能になる。制御基盤14の上にレンズ付光源19を150個配置する場合、図3に示したような配置と同等になるが、発光波長域が互いに異なるレンズ付光源19を20種類用いて、図4に示したような配置にすることも可能である。
なお、本実施形態では、レンズ付光源19のレンズ体12の樹脂としては、耐熱性のあるシリコーン系樹脂を用いることが好ましい。他の部材に関しては、第1の実施形態と同等であるため、ここではその詳細な説明は省略する。
以上により、本実施形態では、レンズ体12は、光源11ごとに当該光源11と一体化されている多波長発光型光照射装置51としている。これによって、導光部材15と各光源11との間に存在する屈折率の大きく異なる境界面を減らすことができ、より効率よく各光源11の出射光を利用することができる。これは、一体成形等の手法で高精度に各光源11と各レンズ体12とを固定することができるため、各光源11と各レンズ体12の間に空気層がなく、結果的に屈折率差が非常に小さくなり、この境界面での屈折率差による反射が低減されるためである。例えば、各レンズ体12が成形用のシリコーン系樹脂品である場合、各レンズ体12の屈折率は1.45となるため、空気(屈折率1.0)とは0.45の屈折率差がつく。これに対して、各光源11と各レンズ体12とを一体成形すると、各光源11と各レンズ体12との間に空気部分がなくなり、結果として屈折率差による反射が低減され、光源11の出射光のロスを下げて、より多くの光を各レンズ体12から取り出すことができる。
〔第4の実施形態〕
本発明の第4の実施形態に係る多波長発光型光照射装置における光学系を図8および図9に示す。図8の(a)は、多波長発光型光照射装置52の要部構成を示す図であり、(b)は、光源部32aの要部構成を示す図である。図9は、多波長発光型光照射装置52の上面図である。
本発明の第4の実施形態に係る多波長発光型光照射装置における光学系を図8および図9に示す。図8の(a)は、多波長発光型光照射装置52の要部構成を示す図であり、(b)は、光源部32aの要部構成を示す図である。図9は、多波長発光型光照射装置52の上面図である。
本実施形態では、図8(a)に示すように、多波長発光型光照射装置52は、光源部32a、光源部32b、光結合テーパ10(光結合部材)、光学フィルタ23、導光部材25、光取り出し部材26、反射部材27、およびプリズムシート28を備えている。図9に示すように、導光部材25の両側面(側端面)には、それぞれ光源部32aおよび光源部32bが設けられており、導光部材25および光源部32a、ならびに導光部材25および光源部32bの間に光学フィルタ23および光結合テーパ10がそれぞれ順に設けられている。導光部材25は、光源部32aおよび光源部32bそれぞれから光学フィルタ23および光結合テーパ10を介して導光部材25の両側面に照射される擬似太陽光を、導光部材25の照射面(上面)から被照射体20に向けて出射する(図中の矢印の方向)。
本実施形態では、図8(b)に示すように、光源部32aは各光源21と各レンズ体22(光学部材)とが一体になった複数のレンズ付光源29が制御基盤24上に配置されて構成されている。光源部32bは光源部32aと同一の構成を有しているため、ここでは図示を省略する。
多波長発光型光照射装置52に搭載するレンズ付光源29の個数が多いほど、導光部材25に導入される光量が増え、結果的に多波長発光型光照射装置52から出射される光量が増えるため好ましい。仮に、光結合テーパ10を設けずに単純に導光部材5の厚さを増やした場合は、導光部材25内を伝搬する光の、導光部材25の下面の光取り出し部材26に対する衝突回数が相対的に減る。その結果、導光部材25から放射される光の放射照度を均一にすることが難しくなる。
そこで、本実施形態では、光学フィルタ23と導光部材25との間に光結合テーパ10を配置することによって、制御基盤24上に配置するレンズ付光源29の個数を増やしている。この光結合テーパ10は、光学フィルタ23側にある入射端の面積(厚さ)が導光部材25側にある出射端の面積(厚さ)よりも大きいテーパ形状をしている光学部材である。例えば、導光部材25の厚さを15mmとすると、光結合テーパの入射端の厚さを30mm、出射端の厚さを導光部材25の厚さと同じ15mmとすることができる。この場合、制御基盤24上には直径φ5mmのレンズ付光源29を、図4に示したように合計200個配置できる。このように、入射端の面積が出射端の面積よりも大きいテーパ形状の光結合テーパ10を光学フィルタ23と導光部材25との間に配置することによって、出射端側に位置する導光部材25の厚さを変えないまま、入射端側に位置する光源部32aおよび光源部32b、すなわち制御基盤24の面積を入射端の面積に応じて大きくすることができる。結果、制御基盤24に搭載できるレンズ付光源29の個数を増やすことが可能となる。
この際、レンズ付光源29のレンズ体22の直径φが大きいほど効率よく複数の光源21が出射した光を指向性よく出射させることができる利点もあるため、制御基盤24を大きくし、より多くのレンズ付光源29を配置できる構成にすることは導光部材25から効率よく光を取り出すために有利な構成でもある。
本実施形態では、レンズ付光源29の出射光は、光学フィルタ23を通過後、光結合テーパ10に入射する。光結合テーパ10では、光学フィルタ23から出射された光を内部反射させながら、導光部材25まで導入する。制御基盤24上に配置されたレンズ付光源29のうち上側にあるレンズ付光源29、より正確には導光部材25よりも上側にあるレンズ付光源29の出射光は、光結合テーパ10内で反射され、指向性がレンズ付光源29出射直後よりも悪くなって出射される。このため、レンズ付光源29の出射光の指向性が維持された状態で光学フィルタ23に入射させて透過率調整を行った方が、スペクトルの制御性が高まる。これは、光学フィルタ23による透過率調整のための透過率設計は、光学フィルタ23に対して光が垂直入射した状態を基準に設計されることから、指向性の高い光の方がより精度よく制御することができる。すなわち、光の指向性が高いほど、スペクトルのずれが相対的に小さくなる。結果、擬似太陽光を導光部材25から出射する場合のスペクトル合致度を高めることができる。この理由から、光学フィルタ23と導光部材25との間に、光結合テーパ10が配置されている構造の方が好ましい。
以上により、本実施形態では、光学フィルタ23と導光部材25との間に、光学フィルタ23側の入射端の面積が、導光部材25側の出射端の面積よりも大きい光結合テーパ10が設置されている多波長発光型光照射装置52としている。これによって、複数の光源21を配置する制御基盤24を大きくすることができ、発光波長域が互いに異なる光源21の数を増やすことができる。結果、光学フィルタ3でより細かい透過率調整ができるようになり、多波長発光型光照射装置のスペクトル合致度を高めることができる。
〔第5の実施の形態〕
本発明の第5の実施形態に係る多波長発光型光照射装置における光学系を図10および図11に示す。図10の(a)は、多波長発光型光照射装置53の要部構成を示す図であり、(b)は、光源部33aの要部構成を示す図である。図11は、多波長発光型光照射装置53の上面図である。
本発明の第5の実施形態に係る多波長発光型光照射装置における光学系を図10および図11に示す。図10の(a)は、多波長発光型光照射装置53の要部構成を示す図であり、(b)は、光源部33aの要部構成を示す図である。図11は、多波長発光型光照射装置53の上面図である。
本実施形態では、図11に示すように、多波長発光型光照射装置53は、2つの光源部33a、2つの光源部33b、光結合テーパ10(光結合部材)、テーパカプラ40、光学フィルタ33、導光部材35、光取り出し部材36、反射部材37、およびプリズムシート38を備えている。図10(a)に示すように、導光部材35の両側面(側端面)には、それぞれ2つの光源部33aおよび2つの光源部33bが設けられており、導光部材35および2つの光源部33a、ならびに導光部材35および2つの光源部33bの間にテーパカプラ40、光学フィルタ33、および光結合テーパ10がそれぞれ順に設けられている。導光部材35は、2つの光源部32aおよび2つの光源部32bそれぞれからテーパカプラ40、光学フィルタ33、ならびに光結合テーパ10を介して導光部材35の両側面に照射される擬似太陽光を、導光部材35の照射面(上面)から被照射体20に向けて出射する(図中の矢印の方向)。
本実施形態では、図10(b)に示すように、光源部33aは各光源31と各レンズ体32(光学部材)とが一体になった複数のレンズ付光源39が制御基盤34上に配置されて構成されている。光源部33bは光源部33aと同一の構成を有しているため、ここでは図示を省略する。
複数のレンズ付光源39を配置した場合、発光波長域が互いに異なるレンズ付光源39を複数種類用いるとき等、レンズ付光源39の出射光の指向性が互いに異なるものを複数種類用いる方が好適な場合がある。これは、レンズ付光源39の選択肢を広げることになり、結果として設計の自由度も高まるという利点があるためである。しかし、このようにレンズ付光源39の出射光の指向性が互いに異なるものを複数種類用いる場合、導光部材35からの出射光の調整を行う際にその制御性が悪くなる場合がある。
そこで、本実施形態ではこの影響を緩和するために、テーパカプラ40を利用して、レンズ付光源39の出射光の指向性が互いに異なる場合に対応している。テーパカプラ40は、光源部33aおよび光源部33b側の入射端の開口サイズが、光学フィルタ3側の出射端の開口サイズよりも小さいテーパ形状の光学部材である。レンズ付光源39のうちいくつかは、その出射した光の指向性が互いに異なる。例えば、可視光の波長域を出射するレンズ付光源39には、放射角が10°程度のものを使用しているが、赤外光の波長域を出射するレンズ付光源39には、放射角が20°程度のものを使用している。一般的に赤外光の波長域の光の方が、可視光の波長域の光と比較して指向性が悪い。
そこで、本実施形態では、複数のレンズ付光源39が出射した光は、テーパカプラ40内部を反射しながら進むうちに指向性が高まり、出射端の面に対して垂直に入射する光に近くなる。このように、指向性の悪い赤外光の波長域の光が入射しても、指向性が高められた後に光学フィルタ33に入射する。すなわち、結果的にはテーパカプラ40から出射される時点で指向性が上がっていることになる。テーパカプラ40を出射した後、光学フィルタ33に入射した光は、光結合テーパ10を経て、導光部材35に導入される。本実施形態では、テーパカプラ40によってレンズ付光源39からの出射光の指向性が改善される結果、光学フィルタ33における透過率の制御性が高まり、スペクトル合致度を高めることができる。
また、本実施形態では、レンズ付光源39の制御基盤34を1つの導光部材35に対して4つ配置している。それぞれの制御基盤34を30mm×60mmとすると、直径φ4mm〜5mmのレンジ付光源39を用いた場合、1つの制御基盤34あたりに100〜150個のレンズ付光源39を配置できる。この場合でも、導光部材35に導入する光量としては十分である。
この他、制御基盤34が複数に分かれていることによって、レンズ付光源39を発光させる際に発生する熱の放熱を効率よく行うことができる。各制御基盤34の間に形成される隙間が大きくなり、この隙間に放熱フィン等の放熱機構、内部に冷風や冷水を通す冷却管等の冷却機構を配置することができるので、放熱効率を高めることができる。
また、本実施形態では、光結合テーパ10も使用しているため、制御基盤34のサイズがテーパカプラ40を配置するために減少した配置面積を、制御基盤34の拡大で補う効果がある。
なお、本実施形態では、必要に応じてテーパカプラ40および2つの光源部33a、ならびにテーパカプラ40および光源部33bの間に光屈折部材を設けてもよい。これによって、テーパカプラ40に入射させる光量を増やすことができ、テーパカプラ40を使用する場合の照射光量の低下を防ぐことができる。
以上により、本実施形態では、レンズ体32と光学フィルタ33との間に、レンズ体32とは異なる形状を有し、レンズ体32からの出射光に、指向性を付与するテーパカプラ40が設けられている多波長発光型光照射装置53としている。これによって、互いに異なる波長域の光を出射する光源31であったり、互いに異なる指向性の光を出射する光源31であったりを利用する場合にも、それらの光源31からの出射光に付与する指向性をより類似させつつ、高めることができる。結果として、光学フィルタ33への入射角度の範囲が小さくなり、スペクトル合致度を高めることができる。
本発明は上述した実施形態ならびに変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、異なる実施形態あるいは変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、第4の実施形態では光源21とレンズ体22とが一体化したレンズ付光源29を用いているが、必ずしもこれに限定されるわけではなく、第1の実施形態のようにレンズ体22を接続部材上に配置したものを用いてもよい。これは、第5の実施形態についても同様である。
本発明は、太陽電池の検査、測定、及び実験に利用できる。また、化粧品、塗料、接着剤、各種材料の退色および耐光試験にも利用できる。さらに、光触媒の検査および実験、ならびに自然光を必要とするその他の各種実験にも利用できる。
1,11,21,31 光源
2,12,22,32 レンズ体
3,13,23,33 光学フィルタ
4,14,24,34 制御基盤
5,15,25,35 導光部材
6,16,26,36 光取り出し部材
7,17,27,37 反射部材
8,18,28,38 プリズムシート
9 接続部材
10 光結合テーパ
19,29,39 レンズ付光源
20 被照射体
30a〜33a 光源部
30b〜33b 光源部
40 テーパカプラ
50〜53 多波長発光型光照射装置
2,12,22,32 レンズ体
3,13,23,33 光学フィルタ
4,14,24,34 制御基盤
5,15,25,35 導光部材
6,16,26,36 光取り出し部材
7,17,27,37 反射部材
8,18,28,38 プリズムシート
9 接続部材
10 光結合テーパ
19,29,39 レンズ付光源
20 被照射体
30a〜33a 光源部
30b〜33b 光源部
40 テーパカプラ
50〜53 多波長発光型光照射装置
Claims (5)
- 互いに近接して配置され、略同じ方向に光を出射し、互いに異なる波長域の光を出射する複数種類の光源と、
前記複数種類の光源からの出射光に、光屈折により指向性を付与する光学部材と、
前記光学部材からの出射光の透過率を制御する透過率特性を有する光学フィルタと、
前記光学フィルタからの出射光が導入される導光部材と、
上記導光部材に設けられ、上記導光部材に導入された光を照射面に取り出す光取り出し部材とを備えていることを特徴とする多波長発光型光照射装置。 - 前記複数種類の光源の各々の発光波長域は、他の種類の光源の発光波長域と重ならないことを特徴とする請求項1記載の多波長発光型光照射装置。
- 前記光学部材は、前記光源ごとに当該光源と一体化されていることを特徴とする請求項1または2に記載の多波長発光型光照射装置。
- 前記光学フィルタと前記導光部材との間に、前記光学フィルタ側の入射端の面積が、前記導光部材側の出射端の面積よりも大きい他の光結合部材が設置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多波長発光型光照射装置。
- 前記光学部材と前記光学フィルタとの間に、前記光学部材とは異なる形状を有し、前記光学部材からの出射光に、指向性を付与する他の光学部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多波長発光型光照射装置。
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