JP2013176368A - Vegfr2由来ペプチドおよびそれを含むワクチン - Google Patents

Vegfr2由来ペプチドおよびそれを含むワクチン Download PDF

Info

Publication number
JP2013176368A
JP2013176368A JP2013037773A JP2013037773A JP2013176368A JP 2013176368 A JP2013176368 A JP 2013176368A JP 2013037773 A JP2013037773 A JP 2013037773A JP 2013037773 A JP2013037773 A JP 2013037773A JP 2013176368 A JP2013176368 A JP 2013176368A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peptide
present
hla
ctl
amino acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013037773A
Other languages
English (en)
Inventor
Takuya Tsunoda
卓也 角田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oncotherapy Science Inc
Original Assignee
Oncotherapy Science Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oncotherapy Science Inc filed Critical Oncotherapy Science Inc
Publication of JP2013176368A publication Critical patent/JP2013176368A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

【課題】血管新生の阻害ならびに血管新生により媒介される疾患の治療および予防に有効なペプチドの提供。
【解決手段】内因的に血管内皮増殖因子(VEGF)およびVEGF受容体(VEGFR)を発現する内皮細胞に対し、細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導するペプチド。
【効果】異常な血管新生を伴う疾患部位の血管内皮細胞に対して、強力かつ特異的な免疫応答を誘導することができ、血管新生により媒介される幅広い種類の疾患に対する適用性を有しVEGFR2に関連した血管新生により媒介される疾患に対するペプチドワクチンとして有用。
【選択図】なし

Description

本発明は、血管新生の阻害ならびに血管新生により媒介される疾患の治療および予防に有効なペプチドに関する。本発明はまた、これらのペプチドを含む血管新生阻害剤ならびに血管新生により媒介される疾患の治療および/または予防のための薬学的組成物およびワクチンに関する。
腫瘍増殖は一般に、血管が新生される血液供給がない場合は1〜2mm3
に制限されており、血管形成は、腫瘍の浸潤、増殖、および転移において重大な役割を有している(非特許文献1-4)。腫瘍血管形成の阻害が、腫瘍進行の抑制に関連していることも示されている。血管形成の抑制を達成するため、多数の研究者が、血管形成の過程の調節において重大な役割を果たしている血管内皮増殖因子(VEGF)およびVEGF受容体(VEGFR)を標的とした治療戦略を調査してきた。これらの研究は、モノクローナル抗体、組換え受容体、またはシグナル伝達の阻害剤を使用して、インビトロまたはインビボで、腫瘍増殖が成功裡に抑制され得ることを示した(非特許文献5-10)。しかしながら、これらの戦略は、比較的高い用量レベルで高頻度にまたは連続的に試薬を投与することを必要とし、これは、かなりの不便さおよび有害作用に関連し得る。
VEGFは、腫瘍組織内の内皮細胞に強発現するが、正常組織においてはそうではない2つの関連するチロシンキナーゼ受容体である、VEGFR1(Flt-1)およびVEGFR2(KDR)に結合する(非特許文献11-14)。VEGFR1は、最初に同定されたVEGF受容体であり(非特許文献15)、VEGF(VEGF-A)、ならびにVEGFファミリーの他の2つのメンバーである、VEGF-B(非特許文献16)および胎盤増殖因子(PlGF)(非特許文献17)と相互作用する。PlGFは、VEGFR1からVEGFを移動させることにより、より多くのVEGFがVEGFR2に結合してVEGFR2を活性化できるようにし、それによりVEGFにより駆動される血管形成を増強すると予想されている(非特許文献18)。その他の研究は、PlGF-/-マウスにおける腫瘍形成障害および血管漏出により証明されるように、特に病理学的状況においては、インビボのVEGFとPlGFとの間に相乗作用が存在することを示している(非特許文献19)。
また、VEGFのこの2種類の受容体は、ヒト脈絡膜血管新生(CNV)膜においても発現する。しかしながら、CNVにおけるVEGFR1シグナル伝達経路の役割については、依然として議論の余地がある。例えばある研究では、抗体の経口投与、遺伝子ノックダウン、またはsiRNAによるVEGFR1シグナル伝達の阻害により、CNVが阻害されると報告している。別の研究では、眼内において、VEGF、またはVEGFR2のリガンドである胎盤増殖因子1(PIGF1)によるVEGFR1の活性化により、SPARCによるVEGFR2の活性化を介してCNVが活性化されると報告している。一方でVEGFR2については、VEGFR2シグナル伝達の活性化によりCNV増殖が促進されるという知見が一般に受け入れられている。
最近では、細胞傷害性T細胞(CTL)誘導能を有するVEGFR1またはVEGFR2由来のペプチド断片が複数同定されており、これらのペプチドが血管新生阻害効果を有することが報告されている(特許文献1-2、非特許文献20)。また、これらのペプチドが、腫瘍(非特許文献21)や黄班変性症(特許文献3-4)などの血管新生によって媒介される疾患の治療に有効であることも報告されている。
WO2004/024766 WO2006/093030 WO2008/099908 WO2010/143435
Folkman,J.(2002)Semin.Oncol.29:15-8, Kerbel and Folkma,(2002).NatureRev.Cancer.2:727-39 Brown et al.,(1995)Hum.Pathol.26:86-915 Eberhard et al.,(2000)Cancer Res.60:1388-93) El-Mousawi et al.,(2003)J.Biol.Chem.278:46681-91 Stefanik et al.,(2001)J.Neurooncol.55:91-100 Wood et al.,(2000)Cancer Res.60:2178-89 Luttun et al.,(2002)Nat.Med.8:831-40 Lyden et al.,(2001)Nat.Med.7:1194-201 Lu et al.,(2001)Cancer Res.61:7002-8 Risau,W.(1997)Nature.386:671-4 Ferrara and Davis-Smyth,(1997)Endor.Rev.18:4-25 Shibuya et al.,(1999)Curr.Topics.Microbiol.Immunol.237:59-83 Plate et al.,(1994)Int.J.Cancer.59:520-9 Shibuya et al.,(1990)Oncogene 5:519-24 Olofsson et al.,(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:2576-81 Maglione et al.,1991.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:9267-71 Park et al.,(1994)J.Biol.Chem.269:25646-54 Carmeliet et al.,(2001)Nat.Med.7:575-83 Wada et al.,(2005) Cancer Res. 65(11):4939-46 Ogawa et al.,(2010) Biotherapy 24(2):129-37
本発明は、内因的にVEGFR2を発現する内皮細胞に対し、細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導するペプチドに関する。これらのペプチドが、HLA抗原によって抗原提示細胞(APC)上に提示されると、VEGFR2発現細胞に特異的な細胞傷害活性を有するCTLが誘導される。以下に詳述するように、健常ドナーから得られた末梢血単核細胞(PBMC)を、VEGFR2由来のHLA-A2402またはHLA-A0201結合候補ペプチドを用いて刺激する。その後、各候補ペプチドをパルスしたHLA-A24またはHLA-A2陽性標的細胞に対する特異的細胞傷害性を有するCTL株が樹立される。これらの結果から、これらのペプチドが、VEGFR2を発現する細胞に対して強力かつ特異的な免疫応答を誘導し得るHLA-A24またはHLA-A2拘束性エピトープペプチドであることが実証される。
したがって、HLA抗原に結合する単離されたVEGFR2由来の免疫原性ペプチドを提供することは、本発明の1つの目的である。これらのペプチドはCTL誘導能を有すると予測され、したがってCTLをエクスビボで誘導するために用いることができ、または、VEGFR2を発現する血管内皮細胞に対する免疫応答を誘導する目的で対象に投与するために用いることができる。好ましいペプチドはノナペプチドまたはデカペプチドであり、より好ましくは、配列番号:1〜265の中より選択されるアミノ酸配列を有するものである。
本発明のペプチドは、結果として生じた改変ペプチドが元のCTL誘導能を保持する限り、1個、2個、またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されているペプチドも包含する。
本発明はまた、本発明のペプチドのいずれか1つをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。これらのポリヌクレオチドは、本発明のペプチドとほぼ同様に、CTL誘導能を有するAPCを誘導するために用いることができ、またはVEGFR2を発現する血管内皮細胞に対する免疫応答を誘導するために対象に投与することができる。
対象に投与した場合、本発明のペプチドは、APCの表面上に提示され、それにより該ペプチドを標的とするCTLが誘導される。したがって、CTLを誘導する組成物であって、本発明の1種類もしくは複数種のペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物を提供することは、本発明のさらなる目的である。本発明はさらに、血管新生により媒介される疾患の治療および/または予防、ならびに術後のその再発の予防のために製剤化された、本発明の1種類もしくは複数種のペプチドまたはそのようなペプチドをコードする1種類もしくは複数種のポリヌクレオチドを含む薬学的組成物を提供する。
CTL誘導能を有するAPCを誘導する方法であって、APCを本発明の1種類もしくは複数種のペプチドと接触させる段階、または本発明のペプチドのいずれか1つをコードするポリヌクレオチドをAPCに導入する段階を含む方法を提供することは、本発明のさらなる目的である。
本発明はまた、CD8陽性T細胞を、HLA抗原と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するAPCと共培養する段階、CD8陽性T細胞を、HLA抗原と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するエキソソームと共培養する段階、または細胞表面上にHLA抗原により提示された本発明のペプチドに結合し得るT細胞受容体(TCR)の各サブユニットをコードするポリヌクレオチドを含むベクターをCD8陽性T細胞に導入する段階を含む、CTLを誘導する方法を提供する。
HLA抗原と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示する単離されたAPCを提供することは、本発明のさらに別の目的である。本発明はさらに、本発明のペプチドを標的とする単離されたCTLを提供する。これらのAPCおよびCTLは、血管新生により媒介される疾患に対する免疫療法に用いることができる。
対象においてVEGFR2を発現する血管内皮細胞に対する免疫応答を誘導する方法であって、本発明のペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物を該対象に投与する段階を含む方法を提供することは、本発明の別の目的である。
上記に加え、本発明の他の目的および特徴は、添付の図表および実施例と併せて以下の詳細な説明を読むことによって、より十分に明らかになる。しかしながら、前述の発明の概要および以下の詳細な説明はいずれも例示的な態様であり、本発明または本発明のその他の代替的な態様を限定するものではないことが理解されるべきである。特に、本発明をいくつかの特定の態様を参照して本明細書において説明するが、その説明は本発明を例証するものであり、本発明を限定するものとして構成されていないことが理解されよう。添付の特許請求の範囲によって記載される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者は様々な変更および適用に想到することができる。同様に、本発明のその他の目的、特徴、利益、および利点は、本概要および以下に記載する特定の態様から明らかになり、当業者には容易に明白になるであろう。そのような目的、特徴、利益、および利点は、添付の実施例、データ、図表、およびそれらから引き出されるあらゆる妥当な推論と併せて上記から、単独で、または本明細書に組み入れられる参考文献を考慮して、明らかになるであろう。
態様の説明
本発明の態様を実施または試験するにあたって、本明細書に記載の方法および材料と類似のまたは同等の任意の方法および材料を用いることができるが、好ましい方法、装置、および材料をここに記載する。しかしながら、本発明の材料および方法について記載する前に、本明細書に記載の特定の大きさ、形状、寸法、材料、方法論、プロトコール等は慣例的な実験法および最適化に応じて変更可能であるため、本発明がこれらに限定されないことが理解されるべきである。本記載に使用する専門用語は特定の型または態様のみを説明する目的のためのものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することは意図されないことも、また理解されるべきである。
I.定義
本明細書で用いる「1つの」および「その」という単語は、他に特記されない限り「少なくとも1つ」を意味する。
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、本明細書で互換的に用いられ、アミノ酸残基のポリマーを指す。本用語は、1個または複数個のアミノ酸残基が修飾された残基であるか、または対応する天然アミノ酸の人工的な化学的模倣体などの非天然残基であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然アミノ酸ポリマーに適用される。
本明細書で用いる「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。天然アミノ酸とは、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸、および細胞内で翻訳後に修飾されたアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、およびO-ホスホセリン)である。「アミノ酸類似体」という語句は、天然アミノ酸と同じ基本化学構造(水素、カルボキシ基、アミノ基、およびR基に結合したα炭素)を有するが、修飾されたR基または修飾された骨格を有する化合物(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニン、スルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)を指す。「アミノ酸模倣体」という語句は、一般的なアミノ酸とは異なる構造を有するが、同様の機能を有する化合物を指す。
アミノ酸は、本明細書において、IUPAC-IUB生化学命名法委員会(Biochemical Nomenclature Commission)の推奨する、一般に公知の3文字表記または1文字表記により参照されてもよい。
「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、および「核酸」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、他に特記しない限り、一般に受け入れられている1文字コードにより参照される。
本明細書で使用する「組成物」という用語は、特定量の特定成分を含む生成物、および特定量の特定成分の組み合わせから直接または間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。薬学的組成物に関するそのような用語は、有効成分と担体を構成する不活性成分とを含む生成物、ならびに任意の2つもしくはそれ以上の成分の組み合わせ、複合体形成、もしくは凝集から、1つもしくは複数の成分の解離から、または1つもしくは複数の成分の他の種類の反応もしくは相互作用から直接または間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。したがって、本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物と薬学的または生理学的に許容される担体とを混合することにより作製される任意の組成物を包含する。本明細書で使用する「薬学的に許容される担体」または「生理学的に許容される担体」という語句は、液体もしくは固体増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、または封入材料を含むがこれらに限定されない、薬学的または生理学的に許容される材料、組成物、物質、または媒体を意味する。
特記しない限り、「血管新生により媒介される疾患」という用語は、疾患の発生および/または進展に血管新生が関与する疾患を指し、その例としては、各種がん、脈絡膜における血管新生に関連する疾患(新生血管黄斑症:加齢黄班変性症、近視性黄斑変性症、網膜色素線条症、中心性滲出性網脈絡膜症、種々の網膜色素上皮症、脈絡膜萎縮症、コロイデレミア、脈絡膜骨腫など)、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、乾癬、およびアテローム性動脈硬化などが含まれるが、これらに限定されない。より具体的には、VEGFR2遺伝子の発現が関与する血管新生により媒介される疾患を指す。これらの疾患の疾患部位では、血管内皮細胞において、VEGFR2遺伝子が発現されている。
特記しない限り、「細胞傷害性Tリンパ球」、「細胞傷害性T細胞」、および「CTL」という用語は本明細書において互換的に用いられ、特に別段の定めのない限り、非自己細胞(例えば、腫瘍/がん細胞、ウイルス感染細胞)を認識し、そのような細胞の死滅を誘導することができるTリンパ球の亜群を指す。
特記しない限り、「HLA-A24」という用語は、HLA-A*2402などのサブタイプを含むHLA-A24型を指す。
特記しない限り、「HLA-A02」という用語は、HLA-A* 0201およびHLA-A*
0206などのサブタイプを含むHLA-A02型を指す。
本発明の方法および組成物ががんなどの血管新生により媒介される疾患の「治療」との関連において有用である限り、治療が、対象において、VEGFR2遺伝子の発現の低下、血管新生の阻害または血管新生により媒介される疾患の症状の軽減などの臨床的利点をもたらす場合に、治療は「有効である」と見なされる。治療を予防的に適用する場合、「有効な」とは、治療によって、疾患への罹患が遅延するもしくは妨げられるか、または疾患の臨床症状が妨げられるもしくは緩和されることを意味する。有効性は、特定の疾患の種類を診断または治療するための任意の公知の方法と関連して決定される。 本発明の方法および組成物が血管新生により媒介される疾患の「予防」との関連において有用である限り、「予防」という用語は本明細書において、疾患による死亡率または罹患率の負荷を軽減させる任意の働きを含む。予防は、「第一次、第二次、および第三次の予防レベル」で行われ得る。第一次の予防は疾患の発生を回避するのに対し、第二次および第三次レベルの予防は、疾患の進行および症状の出現を予防することに加え、機能を回復させ、かつ疾患関連の合併症を減少させることによって、既存の疾患の悪影響を低下させることを目的とした働きを包含する。あるいは、予防は、特定の障害の重症度を緩和すること、例えば腫瘍の増殖および転移を減少させることを目的とした広範囲の予防的治療を含み得る。
本発明との関連において、がんの治療および/もしくは予防、ならびに/または術後のその再発の予防は、以下の段階、がん細胞の外科的切除、がん細胞の増殖阻害、腫瘍の退行または退縮、寛解の誘導およびがんの発生の抑制、腫瘍退縮、ならびに転移の低減または阻害などの段階のいずれかを含む。がんの効果的な治療および/または予防は、死亡率を減少させ、がんを有する個体の予後を改善し、血中の腫瘍マーカーのレベルを低下させ、かつがんに伴う検出可能な症状を緩和する。例えば、症状の軽減または改善は効果的な治療および/または予防を構成し、10%、20%、30%、もしくはそれ以上の軽減もしくは症状が安定した状態を含む。
本発明との関連において、「抗体」という用語は、指定のタンパク質またはそのペプチドと特異的に反応する免疫グロブリンおよびその断片を指す。抗体には、ヒト抗体、霊長類化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体、他のタンパク質または放射標識と融合させた抗体、および抗体断片が含まれ得る。さらに、本明細書において「抗体」は広義で使用され、具体的にはインタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、2以上のインタクトな抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)を包含し、また所望の生物活性を示す限り、抗体断片を包含する。「抗体」は、すべてのクラス(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM)を示す。
特記しない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって共通して理解されている用語と同じ意味を有する。
II.ペプチド
VEGFR2由来のペプチドがCTLによって認識される抗原として機能することを実証するために、VEGFR2(配列番号:267)由来のペプチドを分析して、それらが、通常見られるHLAアリルであるHLA-A2またはHLA-A24によって拘束される抗原エピトープであるかどうかを判定した(Date Y et al., Tissue Antigens 47: 93-101, 1996;Kondo A et al., J Immunol 155: 4307-12, 1995;Kubo RT et al., J Immunol 152: 3913-24, 1994)。
VEGFR2由来のHLA-A24結合ペプチドの候補を、HLA-A24に対するそれらの結合親和性に基づいて同定した。候補ペプチドは配列番号:1〜92のペプチドである。
VEGFR2由来のHLA-A2結合ペプチドの候補を、HLA-A2に対するそれらの結合親和性に基づいて同定した。候補ペプチドは配列番号:93〜265の中より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドである。
これらのペプチドでパルスした樹状細胞(DC)によるT細胞のインビトロでの刺激により、これらのペプチドに特異的な細胞傷害活性を有するCTLが樹立され得る。樹立されたCTLは、各ペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的細胞傷害活性を示す。
VEGFR2遺伝子は、血管新生により媒介される疾患において、疾患部位の血管内皮細胞で強発現しているが、ほとんどの正常器官では発現しないため、免疫療法のための優れた標的である。したがって本発明は、CTLに認識されるVEGFR2由来のエピトープに相当するノナペプチド(アミノ酸残基9個からなるペプチド)およびデカペプチド(アミノ酸残基10個からなるペプチド)を提供する。本発明のノナペプチドおよびデカペプチドの特に好ましい例には、配列番号:1〜265の中より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドが含まれる。さらに好ましい例には、配列番号:1〜265の中より選択されるアミノ酸配列からなるペプチドが含まれる。
一般的に、Parker KC et al., J Immunol 1994 Jan
1, 152(1): 163-75およびNielsen M et al., Protein Sci 2003;
12: 1007-17に記載されているソフトウェアプログラムのような、例えばインターネット上で現在利用可能なソフトウェアプログラムを用いて、インシリコで様々なペプチドとHLA抗原との間の結合親和性を算出することができる。例えば、Lafuente EM et
al., Current Pharmaceutical Design, 2009, 15, 3209-3220等に要約されているParker KC et al., J Immunol 1994 Jan 1, 152(1): 163-75、Kuzushima K et al., Blood 2001, 98(6): 1872-81、Larsen MV et al. BMC Bioinformatics. 2007 Oct 31; 8: 424、Buus S et al. Tissue Antigens., 62:378-84, 2003、Nielsen M et al., Protein Sci 2003; 12: 1007-17、およびNielsen M et al. PLoS ONE 2007; 2: e796や、Lin
HH et al. BMC Immunol. 2008 Mar 16;9:8.に記載されているように、HLA抗原との結合親和性を測定することができる。結合親和性を決定する方法は、例えば、Journal of Immunological Methods, 1995, 185: 181-190;Protein Science, 2000, 9: 1838-1846に記載されている。したがって、そのようなソフトウェアプログラムを使用して、HLAと高い結合親和性を有するVEGFR2由来の断片を選択することができる。したがって本発明は、そのような公知のプログラムによってHLA抗原と結合すると判定される、VEGFR2由来の任意の断片から構成されるペプチドを包含する。さらに、そのようなペプチドは、全長VEGFR2からなるペプチドを含み得る。
本発明のノナペプチドおよびデカペプチドには、結果として生じるペプチドがそのCTL誘導能を保持する限り、付加的なアミノ酸残基を隣接させることができる。付加的なアミノ酸残基は、それらが元のペプチドのCTL誘導能を損なわない限り、任意の種類のアミノ酸から構成され得る。したがって本発明は、VEGFR2由来のペプチドを含む、HLA抗原に対する結合親和性を有するペプチドを包含する。そのようなペプチドは、例えば約40アミノ酸未満であり、多くの場合には約20アミノ酸未満であり、通常は約15アミノ酸未満である。
一般的に、あるペプチド中の1個、2個、またはそれ以上のアミノ酸の改変は該ペプチドの機能に影響を及ぼさず、場合によっては元のペプチドの所望の機能を増強することさえある。実際に、改変ペプチド(すなわち、元の参照配列と比較して、1個、2個、または数個のアミノ酸残基が改変された(すなわち、置換、欠失、挿入および/または付加された)アミノ酸配列から構成されるペプチド)は、元のペプチドの生物活性を保持することが知られている(Mark et al., Proc Natl Acad Sci USA 1984, 81: 5662-6;Zoller and Smith, Nucleic Acids Res 1982, 10: 6487-500;Dalbadie-McFarland et al., Proc Natl Acad Sci USA 1982, 79: 6409-13)。したがって、一態様において、本発明のペプチドは、配列番号:1〜265の中より選択されるアミノ酸配列において1個、2個、またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつCTL誘導能を有するペプチドであり得る。
当業者は、元のアミノ酸側鎖の特性の保存をもたらす傾向がある、単一のアミノ酸またはわずかな割合のアミノ酸を変更する、アミノ酸配列に対する個々の置換を認識することができる。したがって、それらはしばしば「保存的置換」または「保存的改変」と称され、この場合、タンパク質の変化により元のタンパク質の類似の機能を有する改変タンパク質が生じる。機能的に類似しているアミノ酸を提示する保存的置換の表は、当技術分野において周知である。保存するのが望ましいアミノ酸側鎖の特性の例には、例えば、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、ならびに以下の官能基または特徴を共通して有する側鎖が含まれる:脂肪族側鎖(G、A、V、L、I、P);ヒドロキシル基含有側鎖(S、T、Y);硫黄原子含有側鎖(C、M);カルボン酸およびアミド含有側鎖(D、N、E、Q);塩基含有側鎖(R、K、H);ならびに芳香族含有側鎖(H、F、Y、W)。加えて、以下の8群はそれぞれ、相互に保存的置換であるとして当技術分野で認められているアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、スレオニン(T);および
8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton, Proteins 1984を参照されたい)。
このような保存的改変ペプチドもまた、本発明のペプチドに包含される。しかしながら、本発明のペプチドはこれらに限定されず、改変ペプチドが元のペプチドのCTL誘導能を保持する限り、非保存的な改変を含み得る。さらに、改変ペプチドは、VEGFR2の多型変異体、種間相同体、および対立遺伝子由来のCTL誘導可能なペプチドを排除しない。
必要なCTL誘導能を保持する限り、少数の(例えば、1個、2個、または数個の)またはわずかな割合のアミノ酸を改変する(置換、欠失、挿入および/または付加する)ことができる。本明細書において、「数個」という用語は、5個またはそれ未満のアミノ酸、例えば4個もしくは3個またはそれ未満を意味する。改変するアミノ酸の割合は、好ましくは20%もしくはそれ未満、より好ましくは15%もしくはそれ未満、さらにより好ましくは10%もしくはそれ未満、または1〜5%である。
免疫療法との関連で用いられた場合、本発明のペプチドは、好ましくはHLA抗原との複合体として、細胞またはエキソソームの表面上に提示されるべきである。したがって、CTLを誘導するばかりでなく、HLA抗原に対する高い結合親和性を有するペプチドを選択することが好ましい。そのために、アミノ酸残基の置換、欠失、挿入および/または付加によってペプチドを改変して、結合親和性が改善された改変ペプチドを得ることができる。天然に提示されるペプチドに加えて、HLA抗原への結合によって提示されるペプチドの配列の規則性は既知であることから(J
Immunol 1994, 152: 3913;Immunogenetics 1995, 41: 178;J Immunol 1994, 155: 4307)、そのような規則性に基づいた改変を本発明の免疫原性ペプチドに導入することができる。
例えば、HLA-A24結合親和性を増大させるためには、N末端から2番目のアミノ酸をフェニルアラニン、チロシン、メチオニン、もしくはトリプトファンで置換すること、および/またはC末端のアミノ酸をフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、もしくはメチオニンで置換することが望ましい可能性がある。したがって、配列番号1〜92の中から選択されるアミノ酸配列のN末端から2番目のアミノ酸がフェニルアラニン、チロシン、メチオニン、もしくはトリプトファンで置換されている、および/または配列番号:1〜92の中から選択されるアミノ酸配列のC末端がフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、もしくはメチオニンで置換されている、配列番号:1〜92の中より選択されるアミノ酸配列を含むペプチドは、本発明によって包含される。好ましい態様では、本発明のペプチドは、配列番号:1〜92の中から選択されるアミノ酸配列のN末端から2番目のアミノ酸がフェニルアラニン、チロシン、メチオニン、もしくはトリプトファンで置換されている、および/または配列番号:1〜265の中から選択されるアミノ酸配列のC末端がをフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、もしくはメチオニンで置換されている、アミノ酸配列からなるペプチドであり得る。
あるいは、HLA-A2結合親和性を増大させるためには、N末端から2番目のアミノ酸をロイシンもしくはメチオニンで置換すること、および/またはC末端のアミノ酸をバリンもしくはロイシンで置換することが望ましい可能性がある。したがって、配列番号:93〜265の中から選択されるアミノ酸配列のN末端から2番目のアミノ酸がロイシンもしくはメチオニンで置換されている、および/または配列番号:93〜265の中から選択されるアミノ酸配列のC末端がバリンもしくはロイシンで置換されている、アミノ酸配列を含むペプチドは、本発明によって包含される。好ましい態様では、本発明のペプチドは、配列番号: 93〜265の中から選択されるアミノ酸配列のN末端から2番目のアミノ酸がロイシンもしくはメチオニンで置換されている、および/または配列番号:93〜265の中から選択されるアミノ酸配列のC末端がバリンもしくはロイシンで置換されている、アミノ酸配列からなるペプチドであり得る。
末端のアミノ酸においてだけでなく、ペプチドの潜在的なT細胞受容体(TCR)認識部位においても、置換を導入することができる。いくつかの研究は、例えばCAP1、p53(264-272)、Her-2/neu(369-377)、またはgp100(209-217)など、アミノ酸置換を有するペプチドが元のものと同等であるかまたはより優れたものであり得ることを実証している(Zaremba et al. Cancer
Res. 57, 4570-4577, 1997、T.
K. Hoffmann et al. J Immunol. (2002) Feb 1;168(3):1338-47.、S. O. Dionne et al. Cancer Immunol
immunother. (2003) 52: 199-206、およびS. O. Dionne et al. Cancer Immunology, Immunotherapy (2004) 53,
307-314)。
本発明はまた、1個、2個、または数個のアミノ酸の付加もまた、本発明のペプチドのN末端および/またはC末端に付加することができることを企図する。高いHLA抗原結合親和性を有し、かつCTL誘導能を保持するそのような改変ペプチドもまた、本発明に含まれる。
しかしながら、ペプチド配列が、異なる機能を有する内因性または外因性タンパク質のアミノ酸配列の一部と同一である場合、自己免疫障害および/または特定の物質に対するアレルギー症状などの副作用が誘発される可能性がある。したがって、ペプチドの配列が別のタンパク質のアミノ酸配列と一致する状況を回避するために、まず第一に、利用可能なデータベースを用いて相同性検索を行うことが好ましい。相同性検索から、対象ペプチドと比較して1個または2個のアミノ酸が異なるペプチドさえも存在しないことが明らかになった場合には、そのような副作用の危険を伴うことなしに、HLA抗原とのその結合親和性を増大させるため、および/またはそのCTL誘導能を増大させるために、該対象ペプチドを改変することができる。
上記のようにHLA抗原に対する高い結合親和性を有するペプチドは、非常に効果的であると予測されるが、高い結合親和性の存在を指標として選択された候補ペプチドを、CTL誘導能の有無についてさらに調べる。本明細書において「CTL誘導能」という語句は、抗原提示細胞(APC)上に提示された場合に、細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導するペプチドの能力を示す。さらに、「CTL誘導能」は、CTL活性化を誘導する、CTL増殖を誘導する、CTLによる標的細胞の溶解を促進する、およびCTLのIFN-γ産生を増加させる、ペプチドの能力を含む。
CTL誘導能の確認は、ヒトMHC抗原を保有するAPC(例えば、Bリンパ球、マクロファージ、および樹状細胞(DC))、またはより具体的にはヒト末梢血単核白血球由来のDCを誘導し、ペプチドで刺激した後、CD8陽性T細胞と混合し、その後、標的細胞に対してCTLによって放出されたIFN-γを測定することにより達成される。反応系として、ヒトMHC抗原(HLA抗原)を発現するように作製されたトランスジェニック動物(例えば、BenMohamed L, Krishnan R, Longmate J, Auge C, Low L, Primus J,
Diamond DJ, Hum Immunol 2000 Aug, 61(8): 764-79, Related Articles, Books,
Linkout Induction of CTL response by a minimal epitope vaccine in HLA A*0201/DR1
transgenic mice: dependence on HLA class II restricted T(H) responseに記載されているもの)を用いることができる。例えば、標的細胞を51Cr等で放射標識することが可能であり、標的細胞から放出された放射能から細胞傷害活性を算出することができる。あるいは、固定化したペプチドを保有するAPCの存在下で、CTLによって産生および放出されたIFN-γを測定し、抗IFN-γモノクローナル抗体を用いて培地上の阻止帯を可視化することによって、CTL誘導能を評価することができる。
さらに、相同性分析の結果から、これらのペプチドが任意の他の公知のヒト遺伝子産物に由来するペプチドと有意な相同性を有していないかを確認することができる。これにより、免疫療法に用いた場合に、未知のまたは望ましくない免疫応答が起きる可能性を低くすることができる。したがって、この局面からもまた、これらのペプチドは患者においてVEGFR2に対する免疫を誘導するのに使用され得る。
上記の改変に加えて、本発明のペプチドは、結果として生じる連結ペプチドが元のペプチドの必要なCTL誘導能を保持する限り、他のペプチドに連結させることもできる。適切なペプチドの例には、本発明のペプチド、または腫瘍関連抗原(TAA)に由来するCTL誘導性ペプチドが含まれる。ペプチド間の適切なリンカーは当技術分野で周知であり、これには、例えばAAY(P. M. Daftarian et al., J Trans Med
2007, 5:26)、AAA、NKRK(R. P. M. Sutmuller et al., J Immunol. 2000, 165: 7308-7315)、またはK(S. Ota et al., Can Res. 62, 1471-1476、K. S.
Kawamura et al., J Immunol. 2002, 168: 5709-5715)が含まれる。
例えば、がん細胞に対するHLAクラスIおよび/またはクラスIIを介した免疫応答を増大させるために、腫瘍関連抗原ペプチドを実質的に同時に使用することもできる。がん細胞が2種類以上の腫瘍関連遺伝子を発現し得ることは、十分に確立されている。したがって、特定の対象が特定の腫瘍関連遺伝子を発現するかどうかを判定すること、ならびに続いて本発明によるVEGFR2組成物またはワクチン中に、そのような遺伝子の発現産物に由来するHLAクラスIおよび/またはHLAクラスII結合ペプチドを含めることは、当業者の慣例的な実験法の範囲内である。
また、血管新生に関与する血管内皮細胞に対するHLAクラスIおよび/またはクラスIIを介した免疫応答を増大させるために、VEGFR1などの他のVEGF受容体に由来するHLAクラスIおよび/またはHLAクラスII結合ペプチドを実質的に同時に使用することもできる。また、本発明のVEGFR2組成物またはワクチン中に、そのようなペプチドを含めることもできる。
HLAクラスIおよびHLAクラスII結合ペプチドの例は当業者に公知であり(例えば、Coulie, Stem Cells 13:393-403, 1995を参照されたい)、本明細書に開示したものと同様の様式で本発明において用いることができる。したがって当業者は、1種類もしくは複数種のVEGFR2ペプチドおよびVEGFR2ではないペプチドの1種類もしくは複数種を含むポリペプチド、またはそのようなポリペプチドをコードする核酸を、分子生物学の標準的な手順を用いて容易に調製することができる。
そのような上記の連結ペプチドを本明細書では「ポリトープ」と称し、これはすなわち、様々な配置(例えば、連鎖状、重複)で連結され得る、2つまたはそれ以上の潜在的な免疫原性または免疫応答刺激性ペプチドの群である。ポリトープ(または該ポリトープをコードする核酸)を標準的な免疫化プロトコールで例えば動物に投与して、免疫応答の促進、増強、および/または誘発における該ポリトープの有効性を試験することができる。
ペプチドを直接的にまたはリンカー配列の使用により連結してポリトープを形成することができ、またポリトープのワクチンとしての使用は当技術分野において周知である(例えば、Thomson et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 92(13):5845-5849, 1995;Gilbert et al., Nature Biotechnol. 15(12):1280-1284, 1997;Thomson et al., J Immunol. 157(2):822-826, 1996;Tarn et al., J Exp. Med. 171(1):299-306, 1990を参照されたい)。様々な数および組み合わせのエピトープを含むポリトープを調製することができ、CTLによる認識について、および免疫応答の増大における有効性について試験することができる。
本発明のペプチドはまた、結果として生じる連結ペプチドが元のペプチドの必要なCTL誘導能を保持する限り、他の物質に連結させることもできる。適切な物質の例には、例えば、ペプチド、脂質、糖および糖鎖、アセチル基、天然および合成のポリマー等が含まれる。ペプチドは、修飾によって元のペプチドの生物活性が損なわれない限り、糖鎖付加、側鎖酸化、またはリン酸化などの修飾を含み得る。このような種類の修飾を行って、付加的な機能(例えば、標的化機能および送達機能)を付与すること、またはペプチドを安定化することができる。
例えば、ペプチドのインビボ安定性を高めるために、D-アミノ酸、アミノ酸模倣体、または非天然アミノ酸を導入することが当技術分野において公知であり、この概念を本発明のペプチドに適合させることもできる。ペプチドの安定性は、いくつかの方法でアッセイすることができる。例えば、ペプチダーゼ、ならびにヒトの血漿および血清などの様々な生体媒質を用いて、安定性を試験することができる(例えば、Verhoef et al., Eur J Drug Metab Pharmacokin 1986, 11: 291-302を参照されたい)。
さらに、上述したように、1個、2個、または数個のアミノ酸残基により置換、欠失、挿入および/または付加されている改変ペプチドの中から、元のペプチドと比較して同じかまたはそれよりも高い活性を有するものをスクリーニングまたは選択することができる。したがって本発明はまた、元のものと比較して同じかまたはそれよりも高い活性を有する改変ペプチドをスクリーニングまたは選択する方法を提供する。例示的な方法は以下の段階を含む:
a:本発明のペプチドの少なくとも1つのアミノ酸残基を置換もしくは欠失する段階、および/または本発明のペプチドに対して少なくとも1つのアミノ酸残基を付加もしくは挿入する段階、
b:段階aで生成されたペプチドの活性を決定する段階、
c:元のペプチドの活性と比較して同じかまたはそれよりも高い活性を有するペプチドを選択する段階。
上記の段階bにおいて決定する活性には、HLA結合活性、APCまたはCTL誘導能、および生体内における免疫誘導活性が含まれ得る。
本明細書において、本発明のペプチドはまた、「VEGFR2ペプチド」または「VEGFR2ポリペプチド」とも記載される。
III.VEGFR2ペプチドの調製
周知の技法を用いて、本発明のペプチドを調製することができる。例えば、組換えDNA技術または化学合成を用いて、本発明のペプチドを調製することができる。本発明のペプチドは、個々に、または2つもしくはそれ以上のペプチドを含むより長いポリペプチドとして、合成することができる。その後、宿主細胞または合成反応物から、本発明のペプチドを単離することができる。すなわち、他の天然の宿主細胞タンパク質およびそれらの断片、または他のいかなる化学物質も実質的に含まないように、本発明のペプチドを精製または単離することができる。
本発明のペプチドは、修飾によって元のペプチドの生物活性が損なわれない限り、糖鎖付加、側鎖酸化、またはリン酸化などの修飾を含み得る。他の例示的な修飾には、例えば当該ペプチドの血清半減期を延長させるために用いることができる、D-アミノ酸または他のアミノ酸模倣体の取り込みが含まれる。
選択されたアミノ酸配列に基づいた化学合成によって、本発明のペプチドを得ることができる。該合成に適合させることのできる従来のペプチド合成法の例には、以下のような文献に記載の方法が含まれる:
(i)Peptide Synthesis, Interscience, New York, 1966;
(ii)The Proteins, Vol. 2, Academic Press, New York,
1976;
(iii)「ペプチド合成」(日本語), 丸善, 1975;
(iv)「ペプチド合成の基礎と実験」(日本語), 丸善,
1985;
(v)「続医薬品の開発」(日本語), 第14巻(ペプチド合成),
広川書店, 1991;
(vi)WO99/67288;および
(vii)Barany G. & Merrifield R.B., Peptides Vol. 2,
Solid Phase Peptide Synthesis, Academic Press, New York, 1980, 100-118。
あるいは、ペプチドを産生するための任意の公知の遺伝子工学的方法を適合させて、本発明のペプチドを得ることもできる(例えば、Morrison J, J Bacteriology 1977, 132: 349-51;Clark-Curtiss & Curtiss, Methods in Enzymology (Wu et al.編) 1983, 101: 347-62)。例えば、最初に、目的のペプチドを発現可能な形態で(例えば、プロモーター配列に相当する調節配列の下流に)コードするポリヌクレオチドを有する適切なベクターを調製し、適切な宿主細胞に形質転換する。次いで、該宿主細胞を培養して、関心対象のペプチドを産生させる。インビトロ翻訳系を用いて、ペプチドをインビトロで作製することもできる。
IV.ポリヌクレオチド
本発明はまた、前述の本発明のペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドを提供する。これらには、天然VEGFR2遺伝子(GenBankアクセッション番号NM_002253.2 (例えば配列番号: 266))由来のポリヌクレオチド、およびその保存的に改変されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドが含まれる。本明細書において「保存的に改変されたヌクレオチド配列」という語句は、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする配列を指す。遺伝暗号の縮重のため、数多くの機能的に同一の核酸が任意の特定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべて、アミノ酸のアラニンをコードする。したがって、あるコドンによってアラニンが指定される任意の位置において、コードされるポリペプチドを変化させることなく、該コドンを記載された対応するコドンのいずれかに変更することができる。そのような核酸の変異は「サイレント変異」であり、保存的に改変された変異の一種である。ペプチドをコードする本明細書中のあらゆる核酸配列は、該核酸のあらゆる可能なサイレント変異をも表す。核酸中の各コドン(通常メチオニンに対する唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除く)を改変して、機能的に同一の分子を得ることができることを、当業者は認識するであろう。したがって、ペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、開示した各配列において非明示的に記載されている。
本発明のポリヌクレオチドは、DNA、RNA、およびそれらの誘導体から構成され得る。DNAはA、T、C、およびGなどの塩基から適切に構成され、RNAではTはUに置き換えられる。
本発明のポリヌクレオチドは、介在するアミノ酸配列を間に伴って、または伴わずに、本発明の複数のペプチドをコードし得る。例えば、介在するアミノ酸配列は、ポリヌクレオチドまたは翻訳されたペプチドの切断部位(例えば、酵素認識配列)を提供し得る。さらに、ポリヌクレオチドは、本発明のペプチドをコードするコード配列に対する任意の付加的配列を含み得る。例えば、ポリヌクレオチドは、ペプチドの発現に必要な調節配列を含む組換えポリヌクレオチドであってよく、またはマーカー遺伝子等を有する発現ベクター(プラスミド)であってもよい。一般に、例えばポリメラーゼおよびエンドヌクレアーゼを用いる従来の組換え技法によりポリヌクレオチドを操作することによって、そのような組換えポリヌクレオチドを調製することができる。
組換え技法および化学合成技法のいずれを用いても、本発明のポリヌクレオチドを作製することができる。例えば、適切なベクターに挿入することによってポリヌクレオチドを作製することができ、これはコンピテント細胞にトランスフェクトした場合に発現され得る。あるいは、PCR技法または適切な宿主内での発現を用いて、ポリヌクレオチドを増幅することもできる(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring
Harbor Laboratory, New York, 1989を参照されたい)。あるいは、Beaucage
SL & Iyer RP, Tetrahedron 1992, 48: 2223-311;Matthes
et al., EMBO J 1984, 3: 801-5に記載されている固相技法を用いて、ポリヌクレオチドを合成することもできる。
V.エキソソーム
本発明はさらに、本発明のペプチドとHLA抗原との間に形成された複合体を自身の表面上に提示する、エキソソームと称される細胞内小胞を提供する。エキソソームは、例えば公表特許公報 特表平11−510507号およびWO99/03499に詳述されている方法を用いて調製することができ、治療および/または予防の対象となる患者から得られたAPCを用いて調製することができる。本発明のエキソソームは、本発明のペプチドと同様の様式で、ワクチンとして接種することができる。
前記複合体中に含まれるHLA抗原の型は、治療および/または予防を必要とする対象のものと一致しなければならない。例えば日本人集団では、HLA-A24およびHLA-A2、特にHLA-A*2402ならびにHLA-A*0201およびHLA-A*0206が広く一般的であり、したがって日本人患者の治療に適していると考えられる。日本人および白人の間で高発現するA2型、ならびに日本人の間で高発現するA24型の使用は、有効な結果を得るのに好ましく、HLA-A*2402、HLA-A*0201およびHLA-A*0206などのサブタイプもまた使用される。典型的には、クリニックにおいて、治療を必要とする患者のHLA抗原の型を予め調べることにより、特定の抗原に対して高レベルの結合親和性を有する、または抗原提示によるCTL誘導能を有するペプチドの適切な選択が可能となる。さらに、高い結合親和性およびCTL誘導能の両方を有するペプチドを取得するために、天然のVEGFR2部分ペプチドのアミノ酸配列に基づいて、1個、2個、または数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入および/または付加を行うことができる。
本発明のエキソソームに対してA24型HLA抗原を用いる場合、配列番号:1〜92の中より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドが使用される。
あるいは、本発明のエキソソームに対してA2型HLA抗原を用いる場合には、配列番号:93〜265の中より選択されるアミノ配列を有するペプチドが使用される。
VI.抗原提示細胞(APC)
本発明はまた、HLA抗原と本発明のペプチドとの間に形成された複合体を自身の表面上に提示する単離された抗原提示細胞(APC)を提供する。APCは、治療および/または予防の対象となる患者に由来してもよく、かつ単独で、または本発明のペプチド、エキソソーム、もしくはCTLを含む他の薬物と併用して、ワクチンとして投与することができる。
前記APCは特定の種類の細胞に限定されず、これには、リンパ球によって認識されるように自身の細胞表面上にタンパク質性抗原を提示することが知られている樹状細胞(DC)、ランゲルハンス細胞、マクロファージ、B細胞、および活性化T細胞が含まれる。DCは、APCの中で最も強力なCTL誘導作用を有する代表的なAPCであるため、DCは本発明のAPCとして好ましく使用され得る。
例えば、末梢血単球からDCを誘導し、次にそれらをインビトロ、エクスビボ、またはインビボで本発明のペプチドで刺激することによって、本発明のAPCを得ることができる。本発明のペプチドを対象に投与した場合、本発明のペプチドを提示するAPCが該対象の体内で誘導される。「APCを誘導する」という語句は、細胞を本発明のペプチドまたは本発明のペプチドをコードするヌクレオチドで刺激して、HLA抗原と本発明のペプチドとの間に形成された複合体を該細胞の表面上に提示させることを含む。したがって、本発明のAPCは、本発明のペプチドを対象に投与した後、該対象からAPCを回収することによって得ることができる。あるいは、本発明のAPCは、対象から回収されたAPCを本発明のペプチドと接触させることによって得ることもできる。
対象において、VEGFR2を発現する血管内皮細胞に対する免疫応答を誘導するために、本発明のAPCを単独で、または本発明のペプチド、エキソソーム、もしくはCTLを含む他の薬剤と併用して、対象に投与することができる。例えば、エクスビボ投与は以下の段階を含み得る:
a:第1の対象からAPCを回収する段階、
b:段階aのAPCをペプチドと接触させる段階、および
c:段階bのAPCを第2の対象に投与する段階。
第1の対象と第2の対象は同一の個体であってもよく、または異なる個体であってもよい。第1の対象と第2の対象が異なる個体である場合、第1の対象と第2の対象のHLAは同一であることが好ましい。上記の段階bによって得られたAPCは、血管新生により媒介される疾患を治療および/または予防するためのワクチンとなり得る。
また、本発明によれば、抗原提示細胞を誘導する薬学的組成物を製造するための本発明のペプチドの使用が提供される。加えて、本発明は、抗原提示細胞を誘導する薬学的組成物を製造するための方法または工程を提供する。さらに、本発明はまた、抗原提示細胞を誘導するための本発明のペプチドを提供する。
上記のような方法によって得られた、本発明のAPCは高レベルのCTL誘導能を有する。「高レベルのCTL誘導能」という用語における高レベルとは、ペプチドと接触させていないAPC、またはCTLを誘導することができないペプチドと接触させたAPCによるCTL誘導能のレベルと比較したものである。高レベルのCTL誘導能を有するそのようなAPCは、上記の方法に加え、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドをインビトロでAPCに導入する段階を含む方法によって調製することもできる。導入するポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAの形態であってよい。導入の方法の例には、特に限定されることなく、リポフェクション、エレクトロポレーション、およびリン酸カルシウム法などの、当分野において従来より実施されている様々な方法が含まれる。より具体的には、Cancer Res 1996, 56: 5672-7;J Immunol 1998,
161: 5607-13;J Exp Med 1996, 184: 465-72;公表特許公報第2000-509281号に記載されているように、それを実施することができる。遺伝子をAPCに導入することによって、該遺伝子は細胞内で転写、翻訳等を受け、次いで、得られたタンパク質はMHCクラスIまたはクラスIIによってプロセシングされて、提示経路を経て本発明の部分ペプチドが提示される。
好ましい態様において、本発明のAPCは、HLA-A02(より好ましくはHLA-A*0201)またはHLA-A24(より好ましくはHLA-A*2402)と本発明のペプチドとの間に形成される複合体を、自身の細胞表面上に提示しているAPCである。また、本発明のAPCは、好ましくは、以下のaまたはbに記載される段階を含む方法によって誘導されるAPCである:
a: HLA-A02(より好ましくはHLA-A*0201)またはHLA-A24(より好ましくはHLA-A*2402)を発現しているAPCを本発明のペプチドと接触させる段階;
b:HLA-A02(より好ましくはHLA-A*0201)またはHLA-A24(より好ましくはHLA-A*2402)を発現しているAPCに、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを導入する段階。
VII.細胞傷害性Tリンパ球(CTL)
本発明のペプチドのいずれか1つに対して誘導されたCTLは、インビボでVEGFR2を発現する血管内皮細胞を標的とする免疫応答を増強するため、ペプチド自体と同様の様式でワクチンとして用いることができる。したがって本発明は、本発明のペプチドのいずれか1つによって特異的に誘導または活性化された、単離されたCTLを提供する。
そのようなCTLは、(1)本発明のペプチドを対象に投与すること、または(2)対象由来のAPC、およびCD8陽性T細胞、もしくは末梢血単核白血球をインビトロで本発明のペプチドで刺激すること、または(3)CD8陽性T細胞もしくは末梢血単核白血球を、HLA抗原と前記ペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するAPCもしくはエキソソームとインビトロで接触させること、または(4)細胞表面上にHLA抗原により提示された本発明のペプチドに結合し得るT細胞受容体(TCR)の各サブユニットをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを導入することによって得ることができる。上記(2)または(3)の方法で使用されるAPCまたはエキソソームは、上記「VI.抗原提示細胞(APC)」の章に記載の方法によって調製することができ、上記(4)の方法の詳細は「VIII.T細胞受容体(TCR)」の章において以下に記載する。
本発明のCTLは、治療および/または予防の対象となる患者に由来してよく、かつ単独で投与すること、または効果を調節する目的で本発明のペプチド、APCもしくはエキソソームを含む他の薬物と併用して投与することができる。本発明のCTLは、本発明のペプチド、例えば本発明のCTLの誘導に用いたものと同一のペプチドを提示する標的細胞に対して特異的に作用する。標的細胞は、腫瘍組織の内皮細胞のようにVEGFR2を内因的に発現する細胞、またはVEGFR2遺伝子をトランスフェクトした細胞であってよく、かつ本発明のペプチドによる刺激によって該ペプチドを細胞表面上に提示する細胞もまた、活性化されたCTLの攻撃の標的となり得る。
好ましい態様において、本発明のCTLは、HLA-A02(より好ましくはHLA-A*0201)またはHLA-A24(より好ましくはHLA-A*2402)とVEGFR2の両方を発現している細胞を特異的に標的とする。また、本発明のCTLは、好ましくは、細胞表面上に提示されたHLA-A02(より好ましくはHLA-A*0201)またはHLA-A24(より好ましくはHLA-A*2402)と本発明のペプチドとの間に形成される複合体に、TCRを介して結合することができるCTLである。また、本発明のCTLは、好ましくは、以下のaまたはbに記載される段階を含む方法によって誘導されたCTLである:
a: CD8陽性T細胞を、HLA-A02(より好ましくはHLA-A*0201)またはHLA-A24(より好ましくはHLA-A*2402)と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソームとインビトロで接触させる段階;
b: CD8陽性T細胞に、細胞表面上にHLA-A02(より好ましくはHLA-A*0201)またはHLA-A24(より好ましくはHLA-A*2402)により提示された本発明のペプチドに結合し得るTCRの各サブユニットをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを導入する段階。
VIII.T細胞受容体(TCR)
本発明はまた、細胞表面上にHLA抗原により提示された本発明のペプチドに結合し得るT細胞受容体(TCR)の各サブユニットをコードするポリヌクレオチドを含む組成物、およびそれを使用する方法を提供する。該ポリヌクレオチドは、細胞表面上にHLA抗原により提示された本発明のペプチドに結合し得るTCRを形成させることにより、VEGFR2を発現する血管内皮細胞に対する特異性をCD8陽性T細胞に付与する。当技術分野における公知の方法を用いることにより、本発明のペプチドで誘導されたCTLのTCRサブユニットとしてのα鎖およびβ鎖をコードするポリヌクレオチドを同定することができる(WO2007/032255、およびMorgan et al., J Immunol,
171, 3288 (2003))。例えば、TCRを分析するためにはPCR法が好ましい。分析のためのPCRプライマーは、例えば、5’側プライマーとしての5’-Rプライマー(5'-gtctaccaggcattcgcttcat-3')(配列番号:268)、および3’側プライマーとしての、TCRα鎖C領域に特異的な3-TRa-Cプライマー(5'-tcagctggaccacagccgcagcgt-3')(配列番号:269)、TCRβ鎖C1領域に特異的な3-TRb-C1プライマー(5'-tcagaaatcctttctcttgac-3')(配列番号:270)、またはTCRβ鎖C2領域に特異的な3-TRβ-C2プライマー(5'-ctagcctctggaatcctttctctt-3')(配列番号:271)であってよいが、これらに限定されない。同定されたポリヌクレオチドをCD8陽性T細胞に導入することによって形成されるTCRは、本発明のペプチドを提示する標的細胞と高い結合力で結合することができ、かつ、本発明のペプチドを提示する標的細胞の効率的な殺傷をインビボおよびインビトロで媒介する。
TCRの各サブユニットをコードするポリヌクレオチドは、適切なベクター、例えばレトロウイルスベクターに組み込むことができる。これらのベクターは、当技術分野において周知である。該ポリヌクレオチドまたはそれらを発現可能な形態で含むベクターを、CD8陽性T細胞、例えば患者由来のCD8陽性T細胞に導入することができる。有利には、本発明は、患者自身のT細胞(または別の哺乳動物のT細胞)の迅速な改変により、優れた血管内皮細胞殺傷特性を有する改変T細胞を迅速かつ容易に作製することを可能にする既成の組成物を提供する。
本明細書において、特異的TCRとは、該TCRがCD8陽性T細胞の表面上に存在する場合に、標的細胞表面上に提示された本発明のペプチドとHLA抗原との複合体を特異的に認識して、標的細胞に対する特異的な細胞傷害活性を付与し得るTCRである。上記複合体の特異的認識は任意の公知の方法によって確認することができ、その好ましい例には、HLA分子および本発明のペプチドを用いるHLA多量体染色分析、ならびにELISPOTアッセイ法が含まれる。ELISPOTアッセイを行うことにより、上記ポリヌクレオチドを導入したT細胞がTCRによって標的細胞を特異的に認識すること、およびシグナルが細胞内で伝達されることを確認することができる。上記TCRがCD8陽性T細胞表面上に存在する場合に、該TCRが、CD8陽性T細胞に対して、標的細胞特異的な細胞細胞傷害活性を付与し得るという確認もまた、公知の方法によって行うことができる。好ましい方法には、例えば、クロム放出アッセイ法などにより標的細胞に対する細胞傷害活性を測定することが含まれる。
また本発明は、VEGFR2ペプチド、例えばHLA-A24との関連では配列番号:1〜92の中から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドに結合するTCRの各サブユニットをコードするポリヌクレオチドを形質導入することによって調製されるCTLを提供する。あるいは本発明は、VEGFR2ペプチド、例えばHLA-A2との関連では配列番号:93〜265の中から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドに結合するTCRの各サブユニットをコードするポリヌクレオチドを形質導入することによって調製されるCTLを提供する。
形質導入されたCTLは、インビボでホーミングすることができ、かつ周知のインビトロ培養法によって増殖させることができる(例えば、Kawakami et al., J Immunol., 142, 3452-3461 (1989))。本発明のCTLは、治療または予防を必要としている患者における疾患の治療または予防に有用な免疫原性組成物を形成するために使用することができる(その内容が参照により本明細書に組み入れられるWO2006/031221を参照されたい)。
IX.薬学的組成物
VEGFR2の発現は、正常組織と比較して、血管新生により媒介される疾患において、疾患部位の血管内皮細胞で上昇する。そのため、本発明のペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを、血管新生により媒介される疾患の治療および/もしくは予防、ならびに/または術後のその再発の予防に用いることができる。したがって本発明は、血管新生により媒介される疾患の治療および/もしくは予防、ならびに/または術後のその再発の予防のための薬学的組成物であって、本発明のペプチドまたはポリヌクレオチドの1種類または複数種を有効成分として含む組成物を提供する。あるいは、薬学的組成物として用いるために、本発明のペプチドを、前述のエキソソームまたはAPCなどの細胞のいずれかの表面上に発現させることができる。加えて、本発明のペプチドのいずれか1つを標的とする前述のCTLもまた、本発明の薬学的組成物の有効成分として用いることができる。
本発明の薬学的組成物はまた、ワクチンとして使用され得る。本発明との関連において、「ワクチン」(「免疫原性組成物」とも称される)という語句は、動物に接種した際に、抗血管新生作用をもたらす免疫応答を誘導する機能を有する組成物を指す。
本発明の薬学的組成物は、ヒト、ならびに非限定的にマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、サル、ヒヒ、およびチンパンジー、特に商業的に重要な動物または家畜を含む任意の他の哺乳動物を含む対象または患者において、血管新生により媒介される疾患を治療および/もしくは予防するため、ならびに/または術後のその再発を予防するために用いることができる。
別の態様において、本発明はまた、血管新生により媒介される疾患を治療または予防するための薬学的組成物の製造における、以下の中より選択される有効成分の使用を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム;および
(d)本発明のCTL。
あるいは、本発明はさらに、血管新生により媒介される疾患の治療または予防において用いるための、以下の中より選択される有効成分を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム;および
(d)本発明のCTL。
あるいは、本発明はさらに、血管新生により媒介される疾患を治療または予防するための薬学的組成物を製造するための方法または工程であって、以下の中より選択される有効成分と、薬学的にまたは生理学的に許容される担体とを製剤化する段階を含む方法または工程を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム;および
(d)本発明のCTL。
別の態様において、本発明はまた、血管新生により媒介される疾患を治療または予防するための薬学的組成物を製造するための方法または工程であって、以下の中より選択される有効成分を薬学的にまたは生理学的に許容される担体と混合する段階を含む方法または工程を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム;および
(d)本発明のCTL。
本明細書に開示された実施例において、配列番号:1〜92の中より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドは、強力かつ特異的な免疫応答を誘導し得るHLA-A24拘束性エピトープペプチドまたはその候補として同定された。また、配列番号:93〜265の中より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドは、強力かつ特異的な免疫応答を誘導し得るHLA-A2拘束性エピトープペプチドまたはその候補として同定された。したがって、配列番号:1〜92の中より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドの少なくとも1つを含む本発明の薬学的組成物は、HLA抗原としてHLA-A24を有する対象への投与に特に適している。また、、配列番号:93〜265の中より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドの少なくとも1つを含む本発明の薬学的組成物は、HLA抗原としてHLA-A2を有する対象への投与に特に適している。同じことが、これらのペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチド(すなわち、本発明のポリヌクレオチド)を含む薬学的組成物にも当てはまる。
本発明の薬学的組成物によって治療および/または予防される疾患は、特に限定されず、各種がん、脈絡膜における血管新生に関連する疾患(新生血管黄斑症:加齢黄班変性症、近視性黄斑変性症、網膜色素線条症、中心性滲出性網脈絡膜症、種々の網膜色素上皮症、脈絡膜萎縮症、コロイデレミア、脈絡膜骨腫など)、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、乾癬、またはアテローム性動脈硬化などを含む、VEGFR2が関与するあらゆる種類の血管新生により媒介される疾患を含む。
また、腫瘍部位における血管新生は、固形腫瘍の増殖および転移とも密接に関連している(Folkman,J.
(1995)Nature Med.1:27-31; Bicknell et al.,(1996)Curr.Opin.Oncol.8:60-5)。そのため、本発明の薬学的組成物は、がん(固形腫瘍)の増殖および/または転移を抑制するためにも使用され得る。
本発明の薬学的組成物は、前述の有効成分に加えて、疾患部位の血管内皮細胞に対するCTLを誘導する能力を有するその他のペプチド(例えばVEGFR2由来のペプチド)、該その他のペプチドをコードするその他のポリヌクレオチド、該その他のペプチドを提示するその他の細胞等を含み得る。また、本発明の薬学的組成物が、特にがんを治療および/または予防するためのものである場合には、本発明の薬学的組成物は、がん細胞に対するCTLを誘導する能力を有するペプチド、該ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ペプチドを提示する細胞等を含んでもよい。本明細書において、がん細胞に対するCTLを誘導する能力を有するその他のペプチドは、がん特異的抗原(例えば、同定されたTAA)によって例示されるが、これに限定されない。
必要に応じて、本発明の薬学的組成物は、その他の治療物質が、例えば本発明のペプチドのいずれかなどの有効成分の抗血管新生効果を阻害しない限り、有効成分として該治療物質を任意に含み得る。例えば、本発明の薬学的組成物は、抗炎症組成物、鎮痛剤、化学療法薬等を任意に含み得る。本発明の薬学的組成物自体にその他の治療物質を含めることに加えて、本発明の薬学的組成物を、1つまたは複数のその他の薬学的組成物と連続してまたは同時に投与することもできる。本発明の薬学的組成物およびその他の薬学的組成物の投与量は、例えば、使用する薬学的組成物の種類、治療する疾患、ならびに投与のスケジュールおよび経路に依存する。
本明細書において具体的に言及される成分に加えて、本発明の薬学的組成物は、製剤の種類を考慮して、当技術分野において慣例的なその他の成分も含み得ることが理解されるべきである。
本発明の一態様において、本発明の薬学的組成物を、例えばがんなどの治療されるべき疾患の病態を治療するのに有用な材料を含む製品またはキットに含めることができる。該製品またはキットは、ラベルを有する本発明の薬学的組成物のいずれかを収容した容器を含み得る。適切な容器には、ボトル、バイアル、および試験管が含まれる。該容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器上のラベルには、薬学的組成物が、疾患の1つまたは複数の状態の治療または予防のために用いられることが示されるべきである。ラベルはまた、投与等に関する指示も示し得る。
本発明の薬学的組成物を含むキットは、上記の容器に加えて、任意で、薬学的に許容される希釈剤を収容した第2の容器をさらに含み得る。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、注射針、シリンジ、および使用説明書を備えた添付文書を含む、商業上の観点および使用者の観点から望ましいその他の材料をさらに含み得る。
必要に応じて、有効成分を含む1つまたは複数の単位剤形を含み得るパックまたはディスペンサー装置にて、本発明の薬学的組成物を提供することができる。該パックは、例えば、ブリスターパックのように金属ホイルまたはプラスチックホイルを含み得る。パックまたはディスペンサー装置には、投与に関する説明書が添付され得る。
(1)有効成分としてペプチドを含む薬学的組成物
本発明のペプチドは、本発明の薬学的組成物として直接投与することができ、または必要であれば、従来の製剤化法によって製剤化することもできる。後者の場合、本発明のペプチドに加えて、薬物に通常用いられる担体、賦形剤等が特に制限なく必要に応じて含まれ得る。そのような担体の例は、滅菌水、生理食塩水、リン酸緩衝液、培養液等である。さらに、本発明の薬学的組成物は、必要に応じて、安定剤、懸濁液、保存剤、界面活性剤等を含み得る。本発明の薬学的組成物は、抗血管新生目的に用いることができる。
インビボでCTLを誘導するために、本発明のペプチドを、本発明のペプチドの2種類またはそれ以上から構成される組み合わせとして調製することができる。ペプチドの組み合わせはカクテルの形態をとってよく、または標準的な技法を用いて互いに結合させてもよい。例えば、該ペプチドを化学的に結合させても、または単一の融合ポリペプチド配列として発現させてもよい。組み合わせにおけるペプチドは、同一であってもよいし、または異なっていてもよい。本発明のペプチドを投与することによって、該ペプチドはHLA抗原によってAPC上に高密度で提示され、次いで、提示されたペプチドと該HLA抗原との間に形成された複合体に対して特異的に反応するCTLが誘導される。あるいは、対象からAPC(例えば、DC)を取り出し、次に本発明のペプチドにより刺激して、本発明のペプチドのいずれかを自身の細胞表面上に提示するAPCを得る。これらのAPCを対象に再度投与して、該対象においてCTLを誘導し、結果として、VEGFR2を発現する血管内皮細胞に対する攻撃性を増大させることができる。
有効成分として本発明のペプチドを含む、血管新生により媒介される疾患の治療および/または予防のための薬学的組成物は、細胞性免疫を効率的に確立することが知られているアジュバントもまた含み得る。あるいは、本発明の薬学的組成物は、他の有効成分と共に投与することができ、または顆粒へ製剤化することによって投与することもできる。アジュバントとは、免疫学的活性を有するタンパク質と共に(または連続して)投与した場合に、該タンパク質に対する免疫応答を増強する化合物を指す。本明細書において企図されるアジュバントには、文献(例えばClin Microbiol Rev 1994, 7: 277-89)に記載されているものが含まれる。適切なアジュバントの例には、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ミョウバン、コレラ毒素、サルモネラ毒素、不完全フロイントアジュバント(IFA)、完全フロイントアジュバント(CFA)、ISCOMatrix、GM−CSF、CpG、水中油型エマルション等が含まれるが、これらに限定されない。
さらに、リポソーム製剤、直径数マイクロメートルのビーズにペプチドが結合している顆粒製剤、およびペプチドに脂質が結合している製剤を好都合に用いてもよい。
本発明の別の態様において、本発明のペプチドはまた、薬学的に許容される塩の形態で投与してもよい。塩の好ましい例には、アルカリ金属との塩、金属との塩、有機塩基との塩、有機酸との塩、および無機酸との塩が含まれる。
いくつかの態様において、本発明の薬学的組成物は、CTLを刺激する成分をさらに含み得る。脂質は、ウイルス抗原に対してインビボでCTLを刺激し得る物質として同定された。例えば、パルミチン酸残基をリジン残基のεアミノ基およびαアミノ基に付着させ、次に本発明のペプチドに連結させることができる。次いで、脂質付加したペプチドを、ミセルもしくは粒子の状態で直接投与するか、リポソーム中に取り込ませて投与するか、またはアジュバント中に乳化させて投与することができる。CTL応答の脂質による刺激の別の例として、適切なペプチドに共有結合している場合、トリパルミトイル-S-グリセリルシステイニル-セリル-セリン(P3CSS)などの大腸菌(E.coli)リポタンパク質を用いてCTLを刺激することができる(例えば、Deres et al., Nature
1989, 342: 561-4を参照されたい)。
投与方法は、経口、皮内、皮下、静脈内注射等、および全身投与または標的部位の近傍への局所投与であってよい。投与は、単回投与によって行うこともできるし、または複数回投与によってブーストすることもできる。本発明のペプチドの用量は、治療される疾患、患者の年齢、体重、投与方法等に応じて適宜調整することができ、これは通常0.001mg〜1000mg、例えば0.001mg〜1000mg、例えば0.1mg〜10mgであり、数日〜数ヶ月に1度投与することができる。当業者は、適切な用量を適宜選択することができる。
(2)有効成分としてポリヌクレオチドを含む薬学的組成物
本発明の薬学的組成物はまた、本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチドを含み得る。本明細書において、「発現可能な形態で」という語句は、ポリヌクレオチドが、細胞に導入された場合に、抗血管新生作用をもたらす免疫応答を誘導するポリペプチドとしてインビボで発現されることを意味する。例示的な態様において、関心対象のポリヌクレオチドの配列は、該ポリヌクレオチドの発現に必要な調節エレメントを含む。ポリヌクレオチドには、標的細胞のゲノムへの安定した挿入が達成されるように、必要なものを備えさせることができる(相同組換えカセットベクターの説明に関しては、例えばThomas KR & Capecchi MR, Cell 1987, 51: 503-12を参照されたい)。例えば、Wolff et al., Science 1990, 247: 1465-8;米国特許第5,580,859号;第5,589,466号;第5,804,566号;第5,739,118号;第5,736,524号;第5,679,647号;およびWO98/04720を参照されたい。DNAに基づく送達技術の例には、「naked DNA」、促進された(ブピバカイン、ポリマー、ペプチド媒介性)送達、カチオン性脂質複合体、および粒子媒介性(「遺伝子銃」)または圧力媒介性の送達が含まれる(例えば、米国特許第5,922,687号を参照されたい)。
ウイルスベクターまたは細菌ベクターによって、本発明のペプチドを発現させることもできる。発現ベクターの例には、ワクシニアウイルスまたは鶏痘ウイルスなどの弱毒化ウイルス宿主が含まれる。このアプローチは、例えば、ペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現させるためのベクターとして、ワクシニアウイルスの使用を伴う。宿主に導入すると、組換えワクシニアウイルスは免疫原性ペプチドを発現し、それによって免疫応答を誘発する。免疫化プロトコールに有用なワクシニアベクターおよび方法は、例えば米国特許第4,722,848号に記載されている。別のベクターはBCG(カルメット・ゲラン桿菌)である。BCGベクターは、Stover et al., Nature 1991, 351:
456-60に記載されている。治療的な投与または免疫化に有用である多種多様な他のベクター、例えばアデノウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、チフス菌(Salmonella typhi)ベクター、無毒化炭疽毒素ベクター等が明らかである。例えば、Shata et al., Mol Med Today 2000, 6: 66-71;Shedlock
et al., J Leukoc Biol 2000, 68: 793-806;Hipp et al., In
Vivo 2000, 14: 571-85を参照されたい。
ポリヌクレオチドの患者内への送達は、直接的であってもよく、この場合にはポリヌクレオチドを保有するベクターに患者を直接曝露し、または間接的であってもよく、この場合にはまずインビトロで細胞を関心対象のポリヌクレオチドで形質転換し、次いで該細胞を患者内に移植する。これら2つのアプローチはそれぞれ、インビボおよびエクスビボの遺伝子治療として公知である。
遺伝子治療の方法の一般的な総説に関しては、Goldspiel et al.,
Clinical Pharmacy 1993, 12: 488-505;Wu and Wu,
Biotherapy 1991, 3: 87-95;Tolstoshev, Ann Rev Pharmacol
Toxicol 1993, 33: 573-96;Mulligan, Science 1993, 260:
926-32;Morgan & Anderson, Ann Rev Biochem 1993, 62:
191-217;Trends in Biotechnology 1993, 11(5): 155-215を参照されたい。本発明にも用いることのできる、組換えDNA技術の分野において一般に公知の方法は、Ausubel et al.編, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY,
1993;およびKrieger, Gene Transfer and Expression, A
Laboratory Manual, Stockton Press, NY, 1990に記載されている。投与方法は、経口、皮内、皮下、静脈内注射等であってよく、全身投与または標的部位の近傍への局所投与が使用される。投与は、単回投与によって行うこともできるし、または複数回投与によってブーストすることもできる。適切な担体中のポリヌクレオチドの用量、または本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドで形質転換された細胞中のポリヌクレオチドの用量は、治療される疾患、患者の年齢、体重、投与方法等に応じて適宜調整することができ、これは通常0.001mg〜1000mg、例えば0.001mg〜1000mg、例えば0.1mg〜10mgであり、数日に1度〜数ヶ月に1度投与することができる。当業者は、適切な用量を適宜選択することができる。
X.ペプチド、エキソソーム、APC、およびCTLを用いる方法
本発明のペプチドおよびポリヌクレオチドを用いて、APCおよびCTLを誘導することができる。本発明のエキソソームおよびAPCを用いて、CTLを誘導することもできる。ペプチド、ポリヌクレオチド、エキソソーム、およびAPCは、それらのCTL誘導能を任意の他の化合物が阻害しない限り、該化合物と組み合わせて用いることができる。したがって、前述の本発明の薬学的組成物のいずれかを用いてCTLを誘導することができ、それに加えて、前記ペプチドおよびポリヌクレオチドを含むものを用いてAPCを誘導することもできる。
(1)抗原提示細胞(APC)を誘導する方法
本発明は、本発明のペプチドまたはポリヌクレオチドを用いて、高いCTL誘導能を有するAPCを誘導する方法を提供する。
本発明の方法は、APCを本発明のペプチドとインビトロ、エクスビボ、またはインビボで接触させる段階を含む。例えば、APCを該ペプチドとエクスビボで接触させる方法は、以下の段階を含み得る:
a:対象からAPCを回収する段階;および
b:段階aのAPCを該ペプチドと接触させる段階。
前記APCは特定の種類の細胞に限定されず、リンパ球によって認識されるように自身の細胞表面上にタンパク質性抗原を提示することが知られているDC、ランゲルハンス細胞、マクロファージ、B細胞、および活性化T細胞を含む。DCはAPCの中で最も強力なCTL誘導能を有するため、好ましくはDCを用いることができる。本発明の任意のペプチドを単独で、または本発明の他のペプチドと共に用いることができる。
一方、本発明のペプチドを対象に投与した場合、APCは該ペプチドとインビボで接触し、結果的に、高いCTL誘導能を有するAPCが該対象の体内で誘導される。したがって本発明の方法は、本発明のペプチドを対象に投与する段階を含み得る。同様に、本発明のポリヌクレオチドを発現可能な形態で対象に投与した場合、本発明のペプチドがインビボで発現し、これがAPCとインビボで接触し、結果的に、高いCTL誘導能を有するAPCが該対象の体内で誘導される。したがって本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを対象に投与する段階を含み得る。「発現可能な形態」については、「IX.薬学的組成物 (2)有効成分としてポリヌクレオチドを含む薬学的組成物」の章において上述した。
本発明はまた、CTL誘導能を有するAPCを誘導するために、本発明のポリヌクレオチドをAPCに導入する段階を含み得る。例えば、本方法は以下の段階を含み得る:
a:対象からAPCを回収する段階;および
b:本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを段階aのAPCに導入する段階。
段階bは、「VI.抗原提示細胞」の章に上述したように行うことができる。
したがって、一態様において、本発明は、以下のaまたはbの段階を含む、CTL誘導能を有するAPCを誘導する方法を提供する:
a:APCを本発明のペプチドで接触させる段階;
b:本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドをAPCに導入する段階。
上記の方法は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボ のいずれでも行うことができるが、インビトロまたはエクスビボで行うことが好ましい。上記方法で使用されるAPCは、誘導されたAPCの投与が予定されている対象に由来するものであってもよいが、異なる対象に由来するものであってもよい。投与が予定されている対象とは異なる対象(ドナー)に由来するAPCを使用する場合、投与対象者とドナーのHLAは、同一である必要がある。本発明の方法において、本発明のペプチドとして配列番号: 1〜92のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその改変ペプチドを使用する場合、投与対象者とドナーのHLAは、いずれもHLA-A24(より好ましくはHLA-A*2402)であることが好ましい。あるいは、上記の方法で使用するAPCは、HLA-A24(より好ましくはHLA-A*2402)を発現しているAPCであることが好ましい。また、本発明のペプチドとして配列番号: 93〜265のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその改変ペプチドを使用する場合、投与対象者とドナーのHLAは、いずれもHLA-A2(より好ましくはHLA-A*0201)であることが好ましい。あるいは、上記の方法で使用するAPCは、HLA-A2(より好ましくはHLA-A*0201)を発現しているAPCであることが好ましい。
別の態様において、本発明はまた本発明のペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、CTL誘導能を有するAPCを誘導するための薬学的組成物を提供する。
あるいは、本発明はさらに、CTL誘導能を有するAPCを誘導するするための薬学的組成物の製造における、本発明のペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドの使用を提供する。
あるいは、本発明はさらに、CTL誘導能を有するAPCの誘導において用いるための、本発明のペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
あるいは、本発明はさらに、APCを誘導するための薬学的組成物を製造するための方法または工程であって、本発明のペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドと、薬学的にまたは生理学的に許容される担体とを製剤化する段階を含む方法または工程をを提供する。
別の態様において、本発明はまた、CTL誘導能を有するAPCを誘導するための薬学的組成物を製造するための方法または工程であって、本発明のペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを薬学的にまたは生理学的に許容される担体と混合する段階を含む方法または工程を提供する。
(2)CTLを誘導する方法
本発明はまた、本発明のペプチド、ポリヌクレオチド、またはエキソソームもしくはAPCを用いてCTLを誘導する方法を提供する。
本発明のペプチド、ポリヌクレオチド、APC、またはエキソソームを対象に投与すると、該対象の体内でCTLが誘導され、VEGFR2を発現する血管内皮細胞を標的とする免疫応答の強度が増強される。したがって本発明の方法は、本発明のペプチド、ポリヌクレオチド、APC、またはエキソソームを対象に投与する段階を含み得る。
あるいは、それらをインビトロまたはエクスビボで用いることによってCTLを誘導し、その後にCTLを対象に戻すこともできる。例えば、本方法は以下の段階を含み得る:
a.対象からAPCを回収する段階、
b.段階aのAPCを本発明のペプチドと接触させる段階、および
c.段階bのAPCをCD8陽性T細胞と共培養する段階。
上記の段階cにおいてCD8陽性T細胞と共培養するAPCは、「VI.抗原提示細胞」の章に上述したように、本発明のポリヌクレオチドを含む遺伝子をAPCに導入することによって調製することもできる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、HLA抗原と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示する任意のAPCを包含する。
そのようなAPCの代わりに、HLA抗原と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するエキソソームを用いることもできる。すなわち、本発明は、HLA抗原と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するエキソソームを共培養する段階を含み得る。そのようなエキソソームは、「V.エキソソーム」の章に上述した方法によって調製することができる。
さらに、細胞表面上にHLA抗原により提示された本発明のペプチドに結合し得るTCRの各サブユニットをコードするポリヌクレオチドを含むベクターをCD8陽性T細胞に導入することによって、CTLを誘導することもできる。そのような形質導入は、「VIII.T細胞受容体(TCR)」の章に上述したように行うことができる。
したがって、一態様において、本発明は、以下の中より選択される段階を含む、CTLを誘導する方法を提供する:
a:CD8陽性T細胞を、HLA抗原と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するAPCとを共培養する段階;
b:CD8陽性T細胞を、HLA抗原と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するエキソソームとを共培養する段階;および
c:細胞表面上にHLA抗原により提示された本発明のペプチドに結合し得るTCRの各サブユニットをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを、CD8陽性T細胞に導入する段階。
上記の方法は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボ のいずれでも行うことができるが、インビトロまたはエクスビボで行うことが好ましい。上記方法で使用されるAPCもしくはエキソソームおよび/またはCD8陽性T細胞は、誘導されたCTLの投与が予定されている対象に由来するものであってもよいが、異なる対象に由来するものであってもよい。投与が予定されている対象とは異なる対象(ドナー)に由来するAPCもしくはエキソソームおよび/またはCD8陽性T細胞を使用する場合、投与対象者とドナーのHLAは、同一である必要がある。本発明の方法においては、本発明のペプチドが配列番号: 1〜92のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその改変ペプチドである場合、投与対象者とドナーのHLAは、いずれもHLA-A24(より好ましくはHLA-A*2402)であることが好ましい。あるいは、上記の方法で使用するAPCまたはエキソソームは、HLA-A24(より好ましくはHLA-A*2402)と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソームであることが好ましい。また、本発明のペプチドが配列番号: 93〜265のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその改変ペプチドである場合、投与対象者とドナーのHLAは、いずれもHLA-A2(より好ましくはHLA-A*0201)であることが好ましい。あるいは、上記の方法で使用するAPCまたはエキソソームは、HLA-A2(より好ましくはHLA-A*0201)と本発明のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソームであることが好ましい。
別の態様において、本発明はまた、以下の中より選択される有効成分を含む、CTL誘導するための薬学的組成物を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;および
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム。
別の態様において、本発明はまた、CTL誘導するための薬学的組成物の製造における、以下の中より選択される有効成分の使用を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;および
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム。
あるいは、本発明はさらに、CTLの誘導において用いるための、以下の中より選択される有効成分を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;および
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム。
あるいは、本発明はさらに、CTL誘導するための薬学的組成物を製造するための方法または工程であって、以下の中より選択される有効成分と、薬学的にまたは生理学的に許容される担体とを製剤化する段階を含む方法または工程を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;および
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム。
別の態様において、本発明はまた、CTL誘導するための薬学的組成物を製造するための方法または工程であって、以下の中より選択される有効成分を薬学的にまたは生理学的に許容される担体と混合する段階を含む方法または工程を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;および
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム。
XI.免疫応答を誘導する方法
さらに本発明は、VEGFR2に関連する疾患に対する免疫応答を誘導する方法を提供する。適切な疾患は、血管新生により媒介される疾患であり、これには各種がん、脈絡膜における血管新生に関連する疾患(新生血管黄斑症:加齢黄班変性症、近視性黄斑変性症、網膜色素線条症、中心性滲出性網脈絡膜症、種々の網膜色素上皮症、脈絡膜萎縮症、コロイデレミア、脈絡膜骨腫など)、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、乾癬、およびアテローム性動脈硬化などが含まれるが、これらに限定されない。
本発明はまた、VEGFR2を発現する血管内皮細胞に対する免疫応答を誘導する方法を提供する。VEGFR2は、上記のような血管新生により媒介される疾患において、疾患部位の血管内皮細胞で強発現していることが認められる。そのため、VEGFR2を発現する血管内皮細胞に対する免疫応答が誘導されると、その結果として、疾患部位における血管新生が阻害される。したがって、本発明はまた、血管新生により媒介される疾患の疾患部位において、血管新生を阻害する方法も提供する。
本発明の方法は、本発明のペプチドのいずれかまたはそれらをコードするポリヌクレオチドを含む組成物を投与する段階を含み得る。本発明の方法はまた、本発明のペプチドのいずれかを提示するエキソソームまたはAPCの投与を企図する。詳細については、「IX.薬学的組成物」の項、特に本発明の薬学的組成物のワクチンとしての使用について記載している部分を参照されたい。加えて、免疫応答を誘導するために本発明の方法に使用することができるエキソソームおよびAPCは、前記の「V.エキソソーム」、「VI.抗原提示細胞(APC)」、ならびに「X.ペプチド、エキソソーム、APC、およびCTLを用いる方法」の(1)および(2)の項において詳述されている。
別の態様において、本発明はまた、血管新生により媒介されるし疾患に対する免疫応答を誘導するための薬学的組成物またはワクチンであって、以下の中より選択される有効成分を含む、薬学的組成物またはワクチンを提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム;および
(d)本発明のCTL。
あるいは、本発明はさらに、VEGFR2を発現する血管内皮細胞に対する免疫応答を誘導するための薬学的組成物またはワクチンであって、以下の中より選択される有効成分を含む、薬学的組成物またはワクチンを提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム;および
(d)本発明のCTL。
あるいは、本発明はさらに、血管新生により媒介される疾患の疾患部位において、血管新生を阻害するための薬学的組成物またはワクチンであって、以下の中より選択される有効成分を含む、薬学的組成物またはワクチンを提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム;および
(d)本発明のCTL。
別の態様において、本発明はまた、血管新生により媒介されるし疾患に対する免疫応答を誘導するための薬学的組成物またはワクチンの製造における、以下の中より選択される有効成分の使用を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム;および
(d)本発明のCTL。
あるいは、本発明はさらに、VEGFRを発現する血管内皮細胞に対する免疫応答を誘導するための薬学的組成物またはワクチンの製造における、以下の中より選択される有効成分の使用を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム;および
(d)本発明のCTL。
あるいは、本発明はさらに、血管新生により媒介される疾患の疾患部位において、血管新生を阻害するための薬学的組成物またはワクチンの製造における、以下の中より選択される有効成分の使用を提供する:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム;および
(d)本発明のCTL。
本発明はまた、免疫応答を誘導する薬学的組成物を製造するための方法または工程であって、本発明のペプチドを薬学的に許容される担体と共に混合または製剤化する段階を含み得る方法を提供する。
あるいは、本発明の方法は、以下を含むワクチンまたは薬学的組成物を投与する段階を含み得る:
(a)本発明のペプチド;
(b)本発明のペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド;
(c)本発明のペプチドを自身の表面上に提示するAPCまたはエキソソーム;または
(d)本発明のCTL。
本発明との関連において、VEGFR2発現に関連する血管新生により媒介される疾患をこれらの有効成分で治療することができる。そのような疾患の例には、各種がん、脈絡膜における血管新生に関連する疾患(新生血管黄斑症:加齢黄班変性症、近視性黄斑変性症、網膜色素線条症、中心性滲出性網脈絡膜症、種々の網膜色素上皮症、脈絡膜萎縮症、コロイデレミア、脈絡膜骨腫など)、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、乾癬、およびアテローム性動脈硬化などが含まれるが、これらに限定されない。したがって、有効成分を含むワクチンまたは薬学的組成物を投与する前に、治療する対象におけるVEGFR2の発現レベルが増強されているかどうかを確認することが好ましい。したがって一態様において、本発明は、VEGFR2を(過剰)発現する疾患の治療を必要とする患者において該疾患を治療する方法を提供し、そのような方法は以下の段階を含む:
i)治療すべき疾患を有する対象から得られた生体試料中のVEGFR2の発現レベルを測定する段階;
ii)VEGFR2の発現レベルを正常対照と比較する段階;および
iii)上記の(a)〜(d)からなる群より選択される少なくとも1つの成分を、正常対照と比較してVEGFR2を過剰発現する疾患を有する対象に投与する段階。
あるいは、本発明はまた、を有する対象に投与するための、上記の(a)〜(d)からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含むワクチンまたは薬学的組成物を提供する。換言すれば、本発明はさらに、本発明のペプチドで治療する対象を同定する方法であって、対象由来の生体試料中のVEGFR2の発現レベルを測定する段階を含んでよく、該レベルが前記遺伝子の正常対照レベルと比較して上昇していることにより、対象が本発明のペプチドで治療され得る疾患を有している可能性があることが示される方法を提供する。本発明の疾患を治療する方法を、以下、より詳細に説明する。
本発明に従って、対象から得られた生体試料中のVEGFR2の発現レベルを測定することができる。
一態様において、本発明は、(i)対象が治療すべき疾患を有する疑いがあるかどうかを診断する、および/または(ii)疾患の治療のための対象を選択する方法を提供し、そのような方法は以下の段階を含む:
a)治療すべき疾患を有する疑いのある対象から得られた生体試料中のVEGFR2の発現レベルを測定する段階;
b)VEGFR2の発現レベルを正常対照レベルと比較する段階;
c)VEGFR2の発現レベルが正常対照レベルと比較して上昇している場合に、該対象が治療すべき疾患を有すると診断する段階;および
d)段階c)において対象が治療すべき疾患を有すると診断される場合に、該対象を疾患治療のために選択する段階。
あるいは、そのような方法は以下の段階を含み得る:
a)治療すべき疾患を有する疑いのある対象から得られた生体試料中のVEGFR2の発現レベルを測定する段階;
b)VEGFR2の発現レベルを疾患対照レベルと比較する段階;
c)VEGFR2の発現レベルが疾患対照レベルと比較して類似しているかまたは同等である場合に、該対象が治療すべき疾患を有すると診断する段階;および
d)段階c)において対象が治療すべき疾患を有すると診断される場合に、該対象を疾患治療のために選択する段階。
XII.抗体
本発明はさらに、本発明のペプチドに結合する抗体を提供する。好ましい抗体は本発明のペプチドに特異的に結合し、本発明のペプチドではないものには結合しない(または弱く結合する)。本発明のペプチドに対する抗体は、疾患の診断および予後診断のアッセイ、ならびに画像化方法論において使用され得る。
本発明はまた、VEGFR2ポリペプチド(配列番号:267)もしくはその断片、または本発明のペプチドもしくはその断片を検出および/または定量するための様々な免疫学的アッセイ法を提供する。そのようなアッセイ法は、必要に応じて、VEGFR2タンパク質もしくはその断片、また本発明のペプチドもしくはその断片を認識してそれと結合し得る1種類または複数種の抗VEGFR2抗体を含み得る。本発明との関連において、VEGFR2ポリペプチドに結合する抗VEGFR2抗体は、好ましくは、本発明のペプチドを認識する。抗体の結合特異性は、阻害試験で確認することができる。すなわち、分析する抗体と全長VEGFR2ポリペプチドとの間の結合が、本発明のペプチドの存在下で阻害される場合、この抗体が本発明のペプチドに特異的に結合することが示される。本発明との関連において、そのような免疫学的アッセイ法は、様々な型の放射免疫測定法、免疫クロマトグラフ技法、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、酵素結合免疫蛍光測定法(ELIFA)等を含むがこれらに限定されない、当技術分野で周知の様々な免疫学的アッセイ形式の範囲内で行われる。
本発明の免疫学的であるが非抗体性の関連アッセイ法には、T細胞免疫原性アッセイ法(阻害性または刺激性)およびMHC結合アッセイ法もまた含まれ得る。加えて、本発明は、VEGFR2を発現する疾患を検出し得る免疫学的画像化法を企図し、その例には、本発明の標識抗体を使用する放射性シンチグラフィー画像化法が含まれるが、これに限定されない。そのようなアッセイ法は、VEGFR2を発現する疾患の検出、モニタリング、および予後診断において臨床的に使用され、そのような疾患の例には、各種がん、脈絡膜における血管新生に関連する疾患(新生血管黄斑症:加齢黄班変性症、近視性黄斑変性症、網膜色素線条症、中心性滲出性網脈絡膜症、種々の網膜色素上皮症、脈絡膜萎縮症、コロイデレミア、脈絡膜骨腫など)、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、乾癬、およびアテローム性動脈硬化などが含まれるが、これらに限定されない。
本発明の抗体は、例えばモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体などの任意の形態で用いることができ、ウサギなどの動物を本発明のペプチドで免疫することにより得られる抗血清、すべてのクラスのポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、ヒト抗体、ならびに遺伝子組換えにより作製されたヒト化抗体をさらに含み得る。
抗体を得るための抗原として用いられるVEGFR2ポリペプチドもしくはその断片、または本発明のペプチドもしくはその断片は、、本明細書に開示するヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に基づいて、化学合成により、または遺伝子工学的手法により得ることができる。
本発明によれば、免疫抗原として用いられるペプチドは、完全なタンパク質または該タンパク質の部分ペプチドであってよい。部分ペプチドは、例えば、VEGFR2ポリペプチドまたは本発明のペプチドのアミノ(N)末端断片またはカルボキシ(C)末端断片を含み得る。
本明細書では、本発明の抗体を、VEGFR2ペプチドの全長または断片のいずれかと反応するタンパク質と定義する。好ましい態様において、本発明の抗体は、本発明のペプチドを認識し得る。オリゴペプチドを合成する方法は、当技術分野において周知である。合成後、免疫原として使用する前にペプチドを任意に精製してもよい。本発明との関連において、免疫原性を高めるために、オリゴペプチド(例えば、9merまたは10mer)を担体と結合または連結させてもよい。担体として、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)が周知である。KLHとペプチドを結合する方法もまた、当技術分野において周知である。
あるいは、本発明のペプチドまたはその断片をコードする遺伝子を公知の発現ベクターに挿入することができ、次にこれを用いて本明細書に記載のように宿主細胞を形質転換する。所望のペプチドまたはその断片を、任意の標準的な方法により宿主細胞の外部または内部から回収することができ、後にこれを抗原として用いることができる。あるいは、ペプチドを発現する細胞全体もしくはそれらの溶解物、または化学合成したペプチドを抗原として用いてもよい。
任意の哺乳動物を前記抗原で免疫することができるが、細胞融合に用いられる親細胞との適合性を考慮に入れることが好ましい。一般に、齧歯目(Rodentia)、ウサギ目(Lagomorpha)、または霊長目(Primate)の動物を使用することができる。齧歯目科の動物には、例えばマウス、ラット、およびハムスターが含まれる。ウサギ目科の動物には、例えばウサギが含まれる。霊長目科の動物には、例えばカニクイザル(Macaca fascicularis)、アカゲザル、マントヒヒ、およびチンパンジーなどの狭鼻下目(Catarrhini))(旧世界ザル)のサルが含まれる。
動物を抗原で免疫する方法は、当技術分野で公知である。抗原の腹腔内注射または皮下注射は、哺乳動物を免疫するための標準的な方法である。より具体的には、抗原を適量のリン酸緩衝食塩水(PBS)、生理食塩水等で希釈し、懸濁させる。必要に応じて、抗原懸濁液を、フロイント完全アジュバントなどの適量の標準的アジュバントと混合し、乳化した後、哺乳動物に投与することができる。その後、適量のフロイント不完全アジュバントと混合した抗原を、4〜21日ごとに数回投与することが好ましい。免疫化には、適切な担体を用いてもよい。上記のように免疫した後、血清を、所望の抗体の量の増加に関して標準的方法で調べることができる。
本発明のペプチドに対するポリクローナル抗体は、血清中の所望の抗体の増加に関して調べた免疫後の哺乳動物から血液を回収し、任意の従来法により血液から血清を分離することによって、調製することができる。ポリクローナル抗体はポリクローナル抗体を含む血清を含んでよく、またポリクローナル抗体を含む画分を該血清から単離してもよい。免疫グロブリンGまたはMは、本発明のペプチドのみを認識する画分から、例えば、本発明のペプチドを結合させたアフィニティーカラムを用いた上で、この画分をプロテインAまたはプロテインGカラムを用いてさらに精製して、調製することができる。
モノクローナル抗体を調製するには、抗原で免疫した哺乳動物から免疫細胞を回収し、上記のように血清中の所望の抗体のレベル上昇について確かめた上で、細胞融合に供する。細胞融合に用いる免疫細胞は、好ましくは脾臓から得ることができる。上記の免疫細胞と融合させるもう一方の好ましい親細胞には、例えば、哺乳動物の骨髄腫細胞、およびより好ましくは薬物による融合細胞の選択のための特性を獲得した骨髄腫細胞が含まれる。
公知の方法、例えば、Milstein et al.(Galfre and Milstein, Methods Enzymol 73: 3-46 (1981))の方法に従って、上記の免疫細胞と骨髄腫細胞を融合させることができる。
細胞融合によって結果として得られたハイブリドーマは、それらをHAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含む培地)などの標準的な選択培地中で培養することによって選択することができる。細胞培養は典型的に、HAT培地中で、所望のハイブリドーマを除く他のすべての細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な期間である数日間から数週間にわたって継続する。その後、標準的な限界希釈を行い、所望の抗体を産生するハイブリドーマ細胞をスクリーニングおよびクローニングすることができる。
ハイブリドーマを調製するために非ヒト動物を抗原で免疫する上記の方法に加えて、EBウイルスに感染したリンパ球などのヒトリンパ球を、ペプチド、ペプチドを発現している細胞、またはそれらの溶解物でインビトロにおいて免疫することもできる。次いで、免疫後のリンパ球を、U266などの無限に分裂可能なヒト由来骨髄腫細胞と融合させて、該ペプチドに結合し得る所望のヒト抗体を産生するハイブリドーマを得ることができる(特開昭63-17688号)。
続いて、得られたハイブリドーマをマウスの腹腔内に移植し、腹水を抽出する。得られたモノクローナル抗体は、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、プロテインAもしくはプロテインGカラム、DEAEイオン交換クロマトグラフィー、または本発明のペプチドを結合させたアフィニティーカラムにより精製することができる。本発明の抗体は、本発明のペプチドの精製および検出のためだけでなく、本発明のペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストの候補としても使用することができる。
あるいは、免疫したリンパ球などの、抗体を産生する免疫細胞を癌遺伝子によって不死化し、モノクローナル抗体の調製に用いることもできる。
このようにして得られるモノクローナル抗体は、遺伝子操作技法を用いて組換えにより調製することもできる(例えば、MacMillan Publishers LTD (1990)により英国で刊行された、Borrebaeck
and Larrick, Therapeutic Monoclonal Antibodiesを参照されたい)。例えば、抗体をコードするDNAを、抗体を産生するハイブリドーマまたは免疫化リンパ球などの免疫細胞からクローニングし、適切なベクターに挿入した上で、宿主細胞に導入して、組換え抗体を調製することができる。本発明はまた、上記のようにして調製された組換え抗体を提供する。
さらに、本発明の抗体は、本発明のペプチドの1種類または複数種に結合する限り、抗体の断片または修飾抗体であってもよい。例えば、抗体断片は、Fab、F(ab‘)2、Fv、またはH鎖およびL鎖由来のFv断片が適切なリンカーによって連結されている一本鎖Fv(scFv)であってよい(Huston
et al., Proc Natl Acad Sci USA 85: 5879-83 (1988))。より具体的には、抗体断片は、抗体をパパインまたはペプシンなどの酵素で処理することにより作製することができる。あるいは、抗体断片をコードする遺伝子を構築し、発現ベクターに挿入し、適切な宿主細胞内で発現させることができる(例えば、Co et al., J Immunol 152: 2968-76 (1994);Better
and Horwitz, Methods Enzymol 178: 476-96 (1989);Pluckthun
and Skerra, Methods Enzymol 178: 497-515 (1989);Lamoyi,
Methods Enzymol 121: 652-63 (1986);Rousseaux et al.,
Methods Enzymol 121: 663-9 (1986);Bird and Walker,
Trends Biotechnol 9: 132-7 (1991)を参照されたい)。
抗体は、ポリエチレングリコール(PEG)などの様々な分子との結合によって修飾することができる。本発明は、そのような修飾抗体を提供する。修飾抗体は、抗体を化学的に修飾することによって得ることができる。これらの修飾法は、当技術分野で慣例的である。
あるいは、本発明の抗体は、非ヒト抗体に由来する可変領域とヒト抗体に由来する定常領域との間のキメラ抗体として、または非ヒト抗体に由来する相補性決定領域(CDR)と、ヒト抗体に由来するフレームワーク領域(FR)および定常領域とを含むヒト化抗体として得ることもできる。そのような抗体は、公知の技術に従って調製することができる。ヒト化は、齧歯類のCDRまたはCDR配列でヒト抗体の対応する配列を置換することによって行うことができる(例えば、Verhoeyen et al., Science 239:1534-1536 (1988)を参照されたい)。したがって、そのようなヒト化抗体は、実質的に完全には満たないヒト可変ドメインが、非ヒト種由来の対応する配列によって置換されたキメラ抗体である。
ヒトのフレームワーク領域および定常領域に加えて、ヒト可変領域をも含む完全なヒト抗体を用いることもできる。そのような抗体は、当技術分野で公知の様々な技法を用いて作製することができる。例えば、インビトロの方法には、バクテリオファージ上に提示されたヒト抗体断片の組換えライブラリーの使用が含まれる(例えば、Hoogenboom & Winter, J. Mol. Biol. 227: 381 (1991))。同様に、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されたトランスジェニック動物、例えばマウスに導入することによって、ヒト抗体を作製することもできる。このアプローチは、例えば米国特許第6,150,584号、第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,661,016号に記載されている。
上記のようにして得られた抗体は、均一になるまで精製してもよい。例えば、一般的なタンパク質に対して用いられる分離法および精製法に従って、抗体の分離および精製を行うことができる。例えば、これらに限定されないが、アフィニティークロマトグラフィーなどのカラムクロマトグラフィー、フィルター、限外濾過、塩析、透析、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、および等電点電気泳動の使用を適切に選択しかつ組み合わせることにより、抗体を分離および単離することができる(Antibodies: A Laboratory Manual. Ed Harlow and David Lane, Cold
Spring Harbor Laboratory (1988))。プロテインAカラムおよびプロテインGカラムをアフィニティーカラムとして使用することができる。用いられるべき例示的なプロテインAカラムには、例えば、Hyper D、POROS、およびSepharose F.F.(Pharmacia)が含まれる。
例示的なクロマトグラフィーには、アフィニティークロマトグラフィー以外に、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が含まれる(Strategies for Protein Purification and Characterization: A Laboratory
Course Manual. Ed Daniel R. Marshak et al., Cold Spring
Harbor Laboratory Press
(1996))。クロマトグラフィー手順は、HPLCおよびFPLCなどの液相クロマトグラフィーによって行うことができる。
例えば、吸光度の測定、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、および/または免疫蛍光法を用いて、本発明の抗体の抗原結合活性を測定することができる。ELISAの場合、本発明の抗体をプレート上に固定化し、本発明のペプチドを該プレートに添加し、次に抗体産生細胞の培養上清または精製抗体といった所望の抗体を含む試料を添加する。次いで、一次抗体を認識し、アルカリホスファターゼなどの酵素で標識された二次抗体を添加し、プレートをインキュベートする。続いて洗浄後に、p-ニトロフェニルリン酸などの酵素基質を該プレートに添加し、吸光度を測定して、試料の抗原結合活性を評価する。抗体の結合活性を評価するために、C末端またはN末端断片などのペプチドの断片を抗原として用いてもよい。本発明の抗体の活性を評価するために、BIAcore(Pharmacia)を用いてもよい。
本発明の抗体を本発明のペプチドを含むと考えられる試料に対して曝露し、該抗体と該ペプチドとによって形成される免疫複合体を検出または測定することにより、上記の方法によって本発明のペプチドの検出または測定が可能になる。本発明によるペプチドを検出または測定する方法はペプチドを特異的に検出または測定することができるため、この方法は、該ペプチドを使用する種々の実験において使用され得る。
XIII.ベクターおよび宿主細胞
本発明はまた、本発明のペプチドをコードするヌクレオチドが導入されたベクターおよび宿主細胞を提供する。本発明のベクターは、宿主細胞中に本発明のヌクレオチド、特にDNAを保持するため、本発明のペプチドを発現させるため、または遺伝子治療用に本発明のヌクレオチドを投与するために使用され得る。
大腸菌が宿主細胞であり、ベクターを大腸菌(例えば、JM109、DH5α、HB101、またはXL1Blue)内で増幅して大量に生成する場合、ベクターは、大腸菌内で増幅するための「複製起点」と、形質転換された大腸菌を選択するためのマーカー遺伝子(例えば、アンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシン、クロラムフェニコール等の薬物によって選択される薬物耐性遺伝子)とを有する必要がある。例えば、M13系ベクター、pUC系ベクター、pBR322、pBluescript、pCR-Script等を用いることができる。加えて、pGEM-T、pDIRECT、およびpT7もまた上記のベクターと同様に、cDNAのサブクローニングおよび抽出に用いることができる。ベクターを本発明のタンパク質の産生に用いる場合には、発現ベクターが使用され得る。例えば、大腸菌内で発現させる発現ベクターは、大腸菌内で増幅するために上記の特徴を有する必要がある。JM109、DH5α、HB101、またはXL1 Blueなどの大腸菌を宿主細胞として用いる場合、ベクターは、大腸菌内で所望の遺伝子を効率的に発現し得るプロモーター、例えば、lacZプロモーター(Ward et al., Nature 341: 544-6
(1989);FASEB J 6: 2422-7 (1989))、araBプロモーター(Better et al., Science 240:
1041-3 (1988))、T7プロモーター等を有する必要がある。この点に関して、例えば、pGEX-5X-1(Pharmacia)、「QIAexpressシステム」(Qiagen)、pEGFP、およびpET(この場合、宿主は好ましくはT7 RNAポリメラーゼを発現するBL21である)を上記のベクターの代わりに用いることができる。さらにベクターは、ペプチド分泌のためのシグナル配列を含んでもよい。ペプチドを大腸菌のペリプラズムに分泌させる例示的なシグナル配列は、pelBシグナル配列(Lei et al., J Bacteriol 169: 4379
(1987))である。ベクターを標的宿主細胞に導入する手段には、例えば塩化カルシウム法およびエレクトロポレーション法が含まれる。
大腸菌に加えて、例えば、哺乳動物由来の発現ベクター(例えば、pcDNA3(Invitrogen)、およびpEGF-BOS(Nucleic Acids Res 18(17): 5322 (1990))、pEF、pCDM8)、昆虫細胞由来の発現ベクター(例えば、「Bac-to-BACバキュロウイルス発現系」(GIBCO BRL)、pBacPAK8)、植物由来の発現ベクター(例えば、pMH1、pMH2)、動物ウイルス由来の発現ベクター(例えば、pHSV、pMV、pAdexLcw)、レトロウイルス由来の発現ベクター(例えば、pZIpneo)、酵母由来の発現ベクター(例えば、「ピキア(Pichia)発現キット」(Invitrogen)、pNV11、SP-Q01)、および枯草菌(Bacillus subtilis)由来の発現ベクター(例えば、pPL608、pKTH50)を、本発明のポリペプチドの産生に使用することができる。
ベクターをCHO、COS、またはNIH3T3細胞などの動物細胞内で発現させるためには、ベクターはこのような細胞における発現に必要なプロモーター、例えば、SV40プロモーター(Mulligan et al., Nature 277: 108
(1979))、MMLV-LTRプロモーター、EF1αプロモーター(Mizushima et al., Nucleic Acids Res 18: 5322 (1990))、CMVプロモーター等、および好ましくは形質転換体を選択するためのマーカー遺伝子(例えば、薬物(例えば、ネオマイシン、G418)によって選択される薬物耐性遺伝子)を有する必要がある。これらの特徴を有する公知のベクターの例には、例えばpMAM、pDR2、pBK-RSV、pBK-CMV、pOPRSV、およびpOP13が含まれる。
本発明をその特定の態様に関して本明細書において詳細に説明してきたが、前述の説明は事実上、例示的かつ説明的なものであって、本発明およびその好ましい態様を説明することを意図していることが理解されるべきである。当業者は、慣例的な実験を通して、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更および修正がその中でなされ得ることを容易に理解するであろう。したがって本発明は、上記の説明によって規定されるのではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって規定されることが意図される。
VEGFR2由来のペプチドの候補選択
HLA-A*2402分子またはHLA-A*0201分子に結合するVEGFR2由来の9merおよび10merのペプチドを、結合予測ソフトウェア「BIMAS」(www.bimas.cit.nih.gov/molbio/hla_bind)(Parker et al. (J Immunol 1994, 152(1): 163-75)、Kuzushima et al. (Blood 2001, 98(6):
1872-81))および「NetMHC」(www.cbs.dtu.dk/services/NetMHC/) (Buus et al., Tissue Antigens. 2003 Nov,
62(5):378-84; Nielsen et al., Protein Sci. 2003 May, 12(5):1007-17,
Bioinformatics. 2004 Jun 12:20(9):1388-97)を用いて予測した。
表1および2は、VEGFR2のHLA-A24結合9merおよび10merペプチドを、結合親和性の高い順に示す。潜在的なHLA-A24結合能を有する合計92種類のペプチドを選択した。
(表1−1)VEGFR2に由来するHLA-A24結合9merペプチド
Figure 2013176368
開始位置は、VEGFR2のN末端からのアミノ酸残基の数を示す。
(表1−2)VEGFR2に由来するHLA-A24結合9merペプチド
Figure 2013176368
開始位置は、VEGFR2のN末端からのアミノ酸残基の数を示す。
(表2)VEGFR2に由来するHLA-A24結合10merペプチド
Figure 2013176368
開始位置は、VEGFR2のN末端からのアミノ酸残基の数を示す。
表3および4はVEGFR2のHLA-A2結合9merおよび10merペプチドを、結合親和性の高い順に示す。潜在的なHLA-A2結合能を有する合計164種類のペプチドを選択した。
(表3−1)VEGFR2に由来するHLA-A02結合9merペプチド
Figure 2013176368
開始位置は、VEGFR2のN末端からのアミノ酸残基の数を示す。
(表3−2)VEGFR2に由来するHLA-A02結合9merペプチド
Figure 2013176368
開始位置は、VEGFR2のN末端からのアミノ酸残基の数を示す。
(表4−1)VEGFR2に由来するHLA-A02結合10merペプチド
Figure 2013176368
開始位置は、VEGFR2のN末端からのアミノ酸残基の数を示す。
(表4−2)VEGFR2に由来するHLA-A02結合10merペプチド
Figure 2013176368
開始位置は、VEGFR2のN末端からのアミノ酸残基の数を示す。
ペプチドの合成
これらのペプチドは、標準的な固相合成法に従って合成し、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製することができる。該ペプチドの純度(>90%)および同一性は、それぞれ分析用HPLCおよび質量分析によって測定することができる。ペプチドはジメチルスルホキシド(DMSO)に20mg/mlで溶解し、-80℃で保存することができる。
インビトロでのCTL誘導
単球由来の樹状細胞(DC)を抗原提示細胞(APC)として用いて、ヒト白血球抗原(HLA)上に提示されたペプチドに対する細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を誘導する。他所に記載されているように、DCはインビトロで作製される(Nakahara S et al., Cancer Res
2003 Jul 15, 63(14): 4112-8)。具体的には、Ficoll-Plaque(Pharmacia)溶液によって健常ボランティア(HLA-A*2402またはHLA-A*0201陽性)から単離した末梢血単核細胞(PBMC)を、プラスチック製の組織培養ディッシュ(Becton Dickinson)へ付着させることによって分離し、それらを単球画分として濃縮する。2%の加熱非動化した自己血清(AS)を含むAIM-V培地(Invitrogen)中、1000U/mlの顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)(R&D System)および1000U/mlのインターロイキン(IL)-4(R&D System)の存在下で、単球が濃縮された集団を培養する。7日間の培養後、サイトカインで誘導したDCに、AIM-V培地中で37℃で3時間、3μg/mlのβ2-ミクログロブリンの存在下で20μg/mlの各合成ペプチドをパルスする。作製された細胞は、自身の細胞表面上に、CD80、CD83、CD86、およびHLAクラスIIなどのDC関連分子を発現する。次いで、ペプチドパルスしたこれらのDCをX線照射(20Gy)により不活化し、CD8 positive Isolation Kit(Dynal)を用いた陽性選択によって得られた自己CD8陽性T細胞と1:20の比率で混合する。これらの培養物を48ウェルプレート(Corning)中に準備し、各ウェルは、0.5mlのAIM-V/2%AS培地中に、1.5×104個のペプチドパルスしたDC、3×105個のCD8陽性T細胞、および10ng/mlのIL-7(R&D System)を含むようにする。3日後、これらの培養物に、IL-2(CHIRON)を最終濃度20IU/mlまで添加する。7日目及び14日目に、ペプチドパルスした自己DCでT細胞をさらに刺激する。該DCは上記と同じ方法によって毎回調製する。21日目に、3回目のペプチド刺激後、ペプチドパルスしたTISI細胞またはT2細胞に対してCTLを試験する(Tanaka H et al., Br J Cancer 2001 Jan 5, 84(1): 94-9;Umano Y et al., Br J Cancer 2001 Apr 20, 84(8): 1052-7;Uchida N et al., Clin Cancer Res 2004 Dec 15, 10(24): 8577-86;Suda T et al., Cancer Sci 2006 May, 97(5): 411-9;Watanabe T et al., Cancer Sci 2005 Aug, 96(8): 498-506)。ペプチド特異的なCTL活性はインターフェロン(IFN)-γ酵素結合免疫スポット(ELISPOT)アッセイによって決定する。
CTLの増殖
Riddell ら(Walter EA et al., N
Engl J Med 1995 Oct 19, 333(16): 1038-44;Riddell SR et
al., Nat Med 1996 Feb, 2(2): 216-23)によって記載されている方法と類似の方法を用いて、上記IELISPOTアッセイにおいてペプチド特異的なCTL活性が確認されたCTLを培養下で増殖させる。40ng/mlの抗CD3モノクローナル抗体(Pharmingen)の存在下で、マイトマイシンCによって不活化した2種類のヒトBリンパ芽球様細胞株と共に、合計5×10個のCTLを25mlのAIM-V/5%AS培地中に懸濁する。培養開始1日後に、120IU/mlのIL-2を培養物に添加する。5、8、および11日目に、30IU/mlのIL-2を含む新たなAIM-V/5%AS培地を、該培養物に供給する(Tanaka H et al., Br J Cancer 2001 Jan 5, 84(1): 94-9;Umano Y et al., Br J Cancer 2001 Apr 20, 84(8): 1052-7;Uchida N et al., Clin Cancer Res 2004 Dec 15, 10(24): 8577-86;Suda T et al., Cancer Sci 2006 May, 97(5): 411-9;Watanabe T et al., Cancer Sci 2005 Aug, 96(8): 498-506)。上記のように増殖したCTL株のペプチド特異的なCTL活性をIFN-γ ELISAアッセイによって測定する。
CTLクローンの樹立
上記のようにペプチド特異的なCTL活性が確認されたCTLからCTLクローンを樹立する。96丸底マイクロタイタープレート(Nalge Nunc International)においてCTLが0.3個、1個、および3個/ウェルとなるように、希釈する。CTLを、1×10個細胞/ウェルの2種類のヒトBリンパ芽球様細胞株、30ng/mlの抗CD3抗体、および125U/mlのIL−2と共に、合計150μl/ウェルの5%AS含有AIM−V培地中で培養する。10日後、50μl/ウェルのIL-2を、IL-2の最終濃度が125U/mlに到達するように該培地に添加する。14日目にCTL活性を試験し、ペプチド特異的なCTL活性が確認されたCTLクローンを上記と同じ方法を用いて増殖させる(Uchida N et al., Clin Cancer Res 2004 Dec 15, 10(24): 8577-86;Suda T et al., Cancer Sci 2006 May, 97(5): 411-9;Watanabe T et al., Cancer Sci 2005 Aug, 96(8): 498-506)。樹立したCTLクローンのペプチド特異的なCTL活性は、ペプチドをパルスした標的細胞に対するCTLクローンからのIFN-γ産生を、IFN-γ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって測定する。
VEGFR2およびHLA-A * 2402またはHLA-A * 0201を発現する標的細胞に対する特異的CTL活性
VEGFR2およびHLA-A*2402またはHLA-A*0201を発現する標的細胞の調整は以下のようにして行うことができる。VEGFR2遺伝子、およびHLA-A*2402またはHLA-A0201のオープンリーディングフレームをコードするcDNAをPCRによって増幅する。PCR増幅産物をpCAGGSベクターにクローニングする。製造業者の推奨する手順に従ってリポフェクタミン2000(Invitrogen)を用いて、VEGFR2遺伝子、HLA-A*2402およびHLA-A*0201の陰性細胞株であるCOS7に該プラスミドをトランスフェクトする。トランスフェクションから2日後、トランスフェクトした細胞をベルセン(Invitrogen)を用いて回収し、CTL活性アッセイのための標的細胞(5×10個細胞/ウェル)として使用する。
上記のように樹立されたCTLクローンをエフェクター細胞として用いて、標的細胞に対する特異的CTL活性を測定する。標的細胞に対する対照としては、VEGFR2遺伝子またはHLA-A*2402もしくはHLA-A*0201のいずれか一方のみをトランスフェクトしたCOS7細胞を使用することができる。
抗原ペプチドの相同性解析
上記のようにペプチド特異的なCTL活性を有するCTLを誘導できたペプチドの免疫原性は、ヒト免疫系を感作させることが知られている他の分子に由来するペプチドと相同的であるという事実に起因する可能性がある。この可能性を否定するために、BLASTアルゴリズム(www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/blast.cgi)を用いて、クエリーとしてのこれらのペプチド配列に対して相同性解析を行う。
産業上の利用可能性
本発明は、異常な血管新生を伴う疾患部位の血管内皮細胞に対して、強力かつ特異的な免疫応答を誘導することができ、血管新生により媒介される幅広い種類の疾患に対する適用性を有し得る、VEGFR2由来の新規ペプチドを提供する。このようなペプチドは、VEGFR2に関連した血管新生により媒介される疾患に対するペプチドワクチンとして有用であり得、そのような疾患の例には、各種がん、脈絡膜における血管新生に関連する疾患(新生血管黄斑症:加齢黄班変性症、近視性黄斑変性症、網膜色素線条症、中心性滲出性網脈絡膜症、種々の網膜色素上皮症、脈絡膜萎縮症、コロイデレミア、脈絡膜骨腫など)、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、乾癬、およびアテローム性動脈硬化などが含まれるが、これらに限定されない。

Claims (19)

  1. 以下の群より選択されるアミノ酸配列を含む、CTL誘導能を有する単離されたペプチド:
    (a)配列番号:1〜265からなる群より選択されるアミノ酸配列;および
    (b)配列番号:1〜265からる群より選択されるアミノ酸配列において、1個、2個、または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されているアミノ酸配列。
  2. ノナペプチドまたはデカペプチドである、請求項1記載の単離されたペプチド。
  3. 以下の特徴の一方または両方を有する、請求項1または2記載の単離されたペプチド:
    (a)N末端から2番目のアミノ酸が、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、もしくはトリプトファンからなる群より選択されるアミノ酸であるか、または該アミノ酸であるように改変されている、および
    (b)C末端のアミノ酸が、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、もしくはメチオニンからなる群より選択されるアミノ酸であるか、または該アミノ酸であるように改変されている。
  4. 以下の特徴の一方または両方を有する、請求項1または2記載の単離されたペプチド:
    (a)N末端から2番目のアミノ酸が、ロイシンおよびメチオニンからなる群より選択されるアミノ酸であるか、または該アミノ酸であるように改変されている、および
    (b)C末端のアミノ酸が、バリンおよびロイシンからなる群より選択されるアミノ酸であるか、または該アミノ酸であるように改変されている。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載の単離されたペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド。
  6. CTLを誘導するための組成物であって、請求項1〜4のいずれか一項記載の1種類もしくは複数種のペプチド、または請求項5記載の1種類もしくは複数種のポリヌクレオチドを含む、組成物。
  7. 血管形成により媒介される疾患の治療および/もしくは予防、ならびに/または術後のその再発の予防のための薬学的組成物であって、請求項1〜4のいずれか一項記載の1種類もしくは複数種のペプチド、または請求項5記載の1種類もしくは複数種のポリヌクレオチドを含む、薬学的組成物。
  8. 血管新生により媒介される疾患の疾患部位において、血管新生を阻害するための薬学的組成物であって、請求項1〜4のいずれか一項記載の1種類もしくは複数種のペプチド、または請求項5記載の1種類もしくは複数種のポリヌクレオチドを含む、薬学的組成物。
  9. 血管新生により媒介される疾患が、がん、脈絡膜における血管新生に関連する疾患(新生血管黄斑症)、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、乾癬、およびアテローム性動脈硬化である、請求項6または7記載の薬学的組成物。
  10. 脈絡膜における血管新生に関連する疾患が、加齢黄班変性症、近視性黄斑変性症、網膜色素線条症、中心性滲出性網脈絡膜症、種々の網膜色素上皮症、脈絡膜萎縮症、コロイデレミア、脈絡膜骨腫である、請求項8記載の薬学的組成物。
  11. がんの増殖または転移を抑制するために使用される、請求項8記載の薬学的組成物。
  12. HLA抗原がHLA−A24またはHLA−A02である対象への投与のために製剤化される、請求項7〜10のいずれか一項記載の薬学的組成物。
  13. 以下からなる群より選択される段階を含む、CTL誘導能を有する抗原提示細胞(APC)を誘導する方法:
    (a)APCを、請求項1〜4のいずれか一項記載のペプチドとインビトロ、エクスビボ、またはインビボで接触させる段階、および
    (b)請求項1〜4のいずれか一項記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドをAPCに導入する段階。
  14. 以下からなる群より選択される1つの段階を含む、CTLを誘導する方法:
    (a)CD8陽性T細胞を、HLA抗原と請求項1〜3のいずれか一項記載のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するAPCと共培養する段階、
    (b)CD8陽性T細胞を、HLA抗原と請求項1〜3のいずれか一項記載のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示するエキソソームと共培養する段階、および
    (c)細胞表面上にHLA抗原により提示された請求項1〜3のいずれか一項記載のペプチドに結合し得るT細胞受容体(TCR)のサブユニットをコードするポリヌクレオチドを含むベクターをCD8陽性T細胞に導入する段階。
  15. HLA抗原と請求項1〜4のいずれか一項記載のペプチドとの複合体を自身の表面上に提示する、単離されたAPC。
  16. 請求項13記載の方法によって誘導される、請求項15記載のAPC。
  17. 請求項1〜4のいずれか一項記載のペプチドを標的とする、単離されたCTL。
  18. 請求項14記載の方法によって誘導される、請求項17記載のCTL。
  19. 請求項1〜4のいずれか一項記載のペプチド、その免疫学的活性断片、または該ペプチドもしくは該断片をコードするポリヌクレオチドを含む組成物を対象に投与する段階を含む、対象において血管新生により媒介される疾患に対する免疫応答を誘導する方法。
JP2013037773A 2012-02-28 2013-02-27 Vegfr2由来ペプチドおよびそれを含むワクチン Pending JP2013176368A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201213604229P 2012-02-28 2012-02-28
US61/604,229 2012-02-28

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013176368A true JP2013176368A (ja) 2013-09-09

Family

ID=49268738

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013037773A Pending JP2013176368A (ja) 2012-02-28 2013-02-27 Vegfr2由来ペプチドおよびそれを含むワクチン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013176368A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015083763A1 (ja) * 2013-12-06 2015-06-11 オンコセラピー・サイエンス株式会社 Vegfr2由来ペプチドおよびそれを含むワクチン
US11174286B2 (en) 2014-09-26 2021-11-16 Rajendra Sahai Bhatnagar Inhibitors of NF κ-B activity for treatment of diseases and disorders

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015083763A1 (ja) * 2013-12-06 2015-06-11 オンコセラピー・サイエンス株式会社 Vegfr2由来ペプチドおよびそれを含むワクチン
US11174286B2 (en) 2014-09-26 2021-11-16 Rajendra Sahai Bhatnagar Inhibitors of NF κ-B activity for treatment of diseases and disorders
EP3197474B1 (en) * 2014-09-26 2023-06-07 Rajendra Sahai Bhatnagar Inhibitors of nf kappa-b activity for treatment of diseases and disorders
US11773135B2 (en) 2014-09-26 2023-10-03 Rajendra Sahai Bhatnagar Inhibitors of NF kappa-B activity for treatment of diseases and disorders

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5799394B2 (ja) Neil3ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP6295491B2 (ja) Kntc2ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP7070945B2 (ja) Koc1由来ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP2021118702A (ja) Foxm1由来ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP5884104B2 (ja) 改変melkペプチドおよびそれを含むワクチン
JP2013523084A (ja) Cdca5ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP2014519311A (ja) Sema5bペプチドおよびそれを含むワクチン
JP2022050382A (ja) Cdca1由来ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP5786178B2 (ja) Ttkペプチドおよびそれを含むワクチン
JP2016222676A (ja) Tomm34ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP6934250B2 (ja) Depdc1由来ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP2012519470A (ja) Vangl1ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP5838482B2 (ja) Hjurpペプチドおよびそれを含むワクチン
JP7448124B2 (ja) Cdca1由来ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP2013176368A (ja) Vegfr2由来ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP2013176367A (ja) Vegfr1由来ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP2013513549A (ja) Tmem22ペプチドおよびそれを含むワクチン
WO2015083763A1 (ja) Vegfr2由来ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP2014500001A (ja) C18orf54ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP2013176366A (ja) Vegfr1由来ペプチドおよびそれを含むワクチン
WO2016021510A1 (ja) Urlc10由来ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP6857909B2 (ja) Mphosph1由来ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP2013512659A (ja) Mybl2ペプチドおよびそれを含むワクチン
JP2013523083A (ja) Cluap1ペプチドおよびそれを含むワクチン