JP2013173284A - 液体噴射ヘッド、および、液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体噴射時のクロストークを防止することが可能な液体噴射ヘッド、および、液体噴射装置を提供する
。
【解決手段】ノズル23に連通する圧力室20を隔壁によって複数区画した圧力室基板14と、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせる圧電素子18と、圧力室基板14に接着剤により接合されて圧力室20の底部を区画するノズル形成基板15と、を備え、圧電素子18を駆動させて圧力室20に圧力変動を生じさせることでノズルから圧縮率が水の圧縮率よりも大きい有機溶剤系インクを噴射させる記録ヘッドにおいて、圧力室並設方向において、圧力室20の幅をW、隔壁の下端部とノズル形成基板15との間から圧力室側に漏出して隔壁とノズル形成基板15とで区画される隅角部に固化した状態の接着剤の圧力室並設方向の幅をLとしたとき、0.05≦L/W≦0.3を満たす。
【選択図】図3
。
【解決手段】ノズル23に連通する圧力室20を隔壁によって複数区画した圧力室基板14と、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせる圧電素子18と、圧力室基板14に接着剤により接合されて圧力室20の底部を区画するノズル形成基板15と、を備え、圧電素子18を駆動させて圧力室20に圧力変動を生じさせることでノズルから圧縮率が水の圧縮率よりも大きい有機溶剤系インクを噴射させる記録ヘッドにおいて、圧力室並設方向において、圧力室20の幅をW、隔壁の下端部とノズル形成基板15との間から圧力室側に漏出して隔壁とノズル形成基板15とで区画される隅角部に固化した状態の接着剤の圧力室並設方向の幅をLとしたとき、0.05≦L/W≦0.3を満たす。
【選択図】図3
Description
本発明は、インクジェット式記録装置などの液体噴射装置に搭載される液体噴射ヘッド、および、これを搭載する液体噴射装置に関し、特に、ノズルに連通する圧力室の一部を構成する作動面を変形させることで当該圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることによりノズルから液体を噴射させる液体噴射ヘッド、および、液体噴射装置に関するものである。
液体噴射装置は、液体を液滴としてノズルから噴射可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を噴射する装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、インクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズルから液体状のインクをインク滴として噴射させて記録を行うインクジェット式記録装置(プリンター)等の画像記録装置を挙げることができる。また、この他、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターに用いられる色材、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイに用いられる有機材料、電極形成に用いられる電極材等、様々な種類の液体の噴射に液体噴射装置が用いられている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを噴射し、ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を噴射する。
上記のプリンターに搭載される記録ヘッドは、インクカートリッジ等のインク供給源からのインクを圧力室(圧力発生室)に導入し、圧電素子や発熱素子等の圧力発生手段を作動させることで圧力室内のインクに圧力変動を生じさせ、この圧力変動を利用して圧力室内のインクをノズルからインク滴として噴射するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。このような記録ヘッドでは、記録画像の画質向上に対応するべく、複数のノズルが高密度(例えば、360dpiに対応するピッチ)で配設されている。これにより、各ノズルに連通している圧力室も高い密度で形成されており、その結果、隣り合う圧力室やその他の流路同士を区画する隔壁は非常に薄くなる傾向にある。
ここで、例えば、あるノズルからインクを噴射する際に、圧力発生手段の駆動による圧力室内のインクの圧力変動に伴って、隔壁が隣の圧力室側に変位する可能性がある。この点に関し、圧力室を形成している基板と、当該基板に積層されて圧力室の底部を区画する部材、例えばノズルプレートと、を接着剤によって接合する構成では、使用するインクによっては接着剤が膨潤して接合力が低下する場合がある。この場合、圧力室の隔壁の下端の固定力が低下する。そして、ノズルからインクを噴射させる際に圧力室内に圧力変動が生じたときに当該圧力によって隔壁がより変位しやすくなり、その分だけ圧力損失が発生し、インク滴の飛翔速度の低下やインク滴量の減少等、インク滴の噴射特性が変化するクロストークが発生する虞がある。すなわち、隣接する複数のノズルからインクを同時に噴射させた場合(全ON時)と、1つのノズルから単独(隣接するノズルからインクを同時に噴射させない状態)でインクを噴射させた場合(1ON時)とで、インクの量や飛翔速度などの噴射特性が変動してしまう。
近年、従来の水系のインクよりも耐候性を高めた有機溶剤系(エコソルベント系)インクを噴射する用途に液体噴射ヘッドが用いられる場合がある。この有機溶剤系のインクは、水系のインクと比較して接着剤の膨潤を招きやすい。また、この有機溶剤系インクの圧縮率(一定の温度下で1〔Pa〕の圧力を加えたときに、元の体積に対してどの程度変化するかを示す量)は、同一の環境条件下(温度および気圧)における水又は水系インクの圧縮率よりも大きい。このような水よりも圧縮率が大きいインクを噴射する用途では、上記のクロストークの悪化がより顕著になるという問題があった。すなわち、上記のように圧力室内で圧力が高まることで当該圧力が隔壁に作用した場合において、隣の圧力室に満たされているインクが有機溶剤系であるとき、隔壁に対する当該有機溶剤系インクの反力は水系のインクと比較して小さくなる。このため、隔壁が隣接する圧力室側により変位(変形)しやすくなり、その結果、クロストークが悪化してしまう。
なお、このような問題は、インクを噴射する記録ヘッドを搭載したインクジェット式記録装置だけではなく、圧力発生手段の駆動により圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることによりノズルから液体を噴射させる他の液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置においても同様に存在する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体噴射時のクロストークを抑制することが可能な液体噴射ヘッド、および、液体噴射装置を提供することにある。
本発明の液体噴射ヘッドは、上記目的を達成するために提案されたものであり、ノズルに連通する圧力室を隔壁によって複数区画した圧力室基板と、
前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生手段と、
前記圧力室基板に接着剤により接合されて前記圧力室の底部を区画する底部材と、
を備え、前記圧力発生手段を駆動させて前記圧力室に圧力変動を生じさせることで、前記ノズルから圧縮率が水の圧縮率よりも大きい液体を噴射させる液体噴射ヘッドであって、
圧力室並設方向において、前記圧力室の幅をW、前記隔壁の下端部と前記底部材との間から圧力室側に漏出して前記隔壁と前記底部材とで区画される隅角部に固化した状態の接着剤の圧力室並設方向の幅をLとしたとき、
0.05≦L/W≦0.3
を満たすことを特徴とする。
前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生手段と、
前記圧力室基板に接着剤により接合されて前記圧力室の底部を区画する底部材と、
を備え、前記圧力発生手段を駆動させて前記圧力室に圧力変動を生じさせることで、前記ノズルから圧縮率が水の圧縮率よりも大きい液体を噴射させる液体噴射ヘッドであって、
圧力室並設方向において、前記圧力室の幅をW、前記隔壁の下端部と前記底部材との間から圧力室側に漏出して前記隔壁と前記底部材とで区画される隅角部に固化した状態の接着剤の圧力室並設方向の幅をLとしたとき、
0.05≦L/W≦0.3
を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、隔壁の下端部と底部材との間から圧力室側に漏出して隔壁と底部材とで区画される隅角部に固化した状態の接着剤の圧力室並設方向の幅をLとしたとき、0.05≦L/W≦0.3を満たすことで、接着剤の流れ出しによる不具合、即ち、圧力発生手段の動作を接着剤が規制するなどの不具合を防止しつつ、隔壁の下端部と底部材との間の接合強度が高められる。このため、ノズルから液体を噴射させるべく圧力発生手段が駆動されて圧力室内に圧力変動が生じたときに、隔壁が変位することが抑制される。これにより、液体噴射時の圧力損失が低減され、隣接するノズル間におけるクロストークが抑制される。すなわち、噴射特性(ノズルから噴射される液体の量や飛翔速度)の変動が抑制される。
また、上記構成において、前記液体は、有機溶剤を溶媒としたものであり、40℃の環境下で前記液体に100時間浸漬された状態における前記接着剤の膨潤率が10%以下である構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、液体に浸漬された状態における接着剤の膨潤率が10%以下であることにより、接着剤の膨潤が抑制されて、隔壁の下端部と底部材との間の接合強度の低下がより抑制される。これにより、上記のクロストークの抑制に寄与する。
また、上記構成において、前記接着剤は、エポキシ系接着剤にシリカを5重量%以上10重量%以下で配合したものである構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、シリカが配合された接着剤の場合、配合されていない場合と比較して粘性が高まるので、接着剤の流れ出しによる不具合をより確実に抑制することができる。
また、本発明の液体噴射装置は、上記何れかの構成の液体噴射ヘッドを備えたことを特徴とする。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド2を搭載したインクジェット式記録装置(以下、プリンター1)を例に挙げて説明する。
図1はプリンター1の構成を示す斜視図である。このプリンター1は、記録ヘッド2が取り付けられると共に、液体供給源の一種であるインクカートリッジ3が着脱可能に取り付けられるキャリッジ4と、記録動作時の記録ヘッド2の下方に配設されたプラテン5と、キャリッジ4を記録紙6(記録媒体および着弾対象の一種)の紙幅方向、即ち、主走査方向に往復移動させるキャリッジ移動機構7と、主走査方向に直交する副走査方向に記録紙6を搬送する紙送り機構8と、を備えている。
キャリッジ4は、主走査方向に架設されたガイドロッド9に軸支された状態で取り付けられており、キャリッジ移動機構7の作動により、ガイドロッド9に沿って主走査方向に移動するように構成されている。キャリッジ4の主走査方向の位置は、リニアエンコーダー10によって検出され、その検出信号、即ち、エンコーダーパルスが図示しないプリンターコントローラーに送信される。リニアエンコーダー10は位置情報出力手段の一種であり、記録ヘッド2の走査位置に応じたエンコーダーパルスを、主走査方向における位置情報として出力する。
キャリッジ4の移動範囲内における記録領域よりも外側の端部領域には、キャリッジの走査の基点となるホームポジションが設定されている。本実施形態におけるホームポジションには、記録ヘッド2のノズル形成面(ノズル形成基板15:図2参照)を封止するキャッピング部材11と、ノズル形成面を払拭するためのワイパー部材12とが配置されている。そして、プリンター1は、このホームポジションから反対側の端部へ向けてキャリッジ4が移動する往動時と、反対側の端部からホームポジション側にキャリッジ4が戻る復動時との双方向で記録紙6上に文字や画像等を記録する所謂双方向記録が可能に構成されている。
図2は、本実施形態の記録ヘッド2の構成を示す図であり、(a)は記録ヘッド2の平面図、(b)は(a)におけるA−A′線断面図、(c)は(a)におけるB−B′線断面図である。なお、図2(c)では保護基板19の図示が省略されている。また、図2ではノズル4つ分の構成を例示しているが、残りの他のノズルに対応する構成も同様である。本実施形態における記録ヘッド2は、圧力室基板14、ノズル形成基板15、弾性体膜16、絶縁体膜17、圧電素子18、及び、保護基板19等を積層して構成されている。
圧力室基板14は、例えば、シリコン単結晶基板から成る板材である。この圧力室基板14には、複数の圧力室20が、隔壁37を間に挟んでその幅方向(ノズル列方向(第1の方向))に並設されている。本実施形態においては、1インチあたり360個の圧力室20が形成されている。そして、圧力室20の幅(圧力室並設方向の内寸)Wは、60μm以下となっている。また、圧力室20の高さは、圧力室20の幅Wの80%以上100%以下の値に設定されている。
圧力室基板14の圧力室20の長手方向(ノズル列方向に直交する方向)におけるノズル23と連通する側とは反対側の外側に外れた領域には連通部21が形成され、連通部21と各圧力室20とが、圧力室20毎に設けられたインク供給路22を介して連通されている。なお、連通部21は、後述する保護基板19のリザーバー部29と連通して各圧力室20の共通のインク室となるリザーバー30の一部を構成する。インク供給路22は、圧力室20よりも狭い幅で形成されており、連通部21から圧力室20に流入するインクに対して流路抵抗を付与する。圧力室基板14におけるこれらの圧力室20やインク供給路22等の流路は、異方性エッチングにより形成されている。
圧力室基板14の下面には、各圧力室20に対応して複数のノズル23が列状に開設されたノズル形成基板15が接着剤40により接合されている。これにより、圧力室20の下面側の開口がノズル形成基板15により封止されて圧力室20の底部が画成される。すなわち、本実施形態におけるノズル形成基板15は、本発明における底部材として機能する。圧力室基板14とノズル形成基板15との接合については後述する。圧力室基板14の上面には、例えば二酸化シリコン(SiO2)からなる弾性膜16が形成されている。この弾性膜16における圧力室20の開口を封止する部分は、作動面として機能する。また、この弾性膜16上には酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜17が形成され、さらに、この絶縁体膜17上には下電極24と、圧電体25と、上電極26とが形成され、これらが積層状態で圧電素子18(圧力発生手段の一種)を構成している。
一般的には、圧電素子18の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極(正極又は個別電極)及び圧電体25を圧力室20毎にパターニングして構成する。そして、パターニングされた何れか一方の電極及び圧電体25から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。なお、本実施形態では、下電極24が圧電素子18の共通電極とされ、上電極26が圧電素子18の個別電極とされているが、圧電体25の分極方向や駆動回路や配線の都合等によってこれらを全体的に逆にする構成とすることもできる。何れの場合においても、圧力室20毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、このような各圧電素子18の上電極26には、例えば、金(Au)等からなるリード電極27がそれぞれ接続されている。
圧力室基板14上の圧電素子18側の面には、圧電素子18に対向する領域にその変位を阻害しない程度の大きさの空間となる圧電素子保持部28を有する保護基板19が接合されている。さらに、保護基板19には、圧力室基板14の連通部21に対応する領域にリザーバー部29が設けられている。このリザーバー部29は、圧力室20の並設方向に沿って長尺な矩形の開口形状を有する貫通穴として保護基板19に形成されており、上述したように圧力室基板14の連通部21と連通されてリザーバー30を画成する。このリザーバー30は、インクの種類毎(色毎)に設けられ、複数の圧力室20に共通のインクが貯留される。
また、保護基板19の圧電素子保持部28とリザーバー部29との間の領域には、保護基板19を厚さ方向に貫通する貫通孔31が設けられ、この貫通孔31内に下電極24の一部及びリード電極27の先端部が露出されている。保護基板19上には、封止膜32及び固定板33とからなるコンプライアンス基板34が接合されている。封止膜32は、可撓性を有する材料(例えば、ポリフェニレンサルファイドフィルム)からなり、この封止膜32によってリザーバー部29の一方面が封止されている。また、固定板33は、金属等の硬質の材料(例えば、ステンレス鋼等)で形成される。この固定板33のリザーバー30に対向する領域は、厚さ方向を貫通する開口部35となっている。このため、リザーバー30の一方の面は可撓性を有する封止膜32のみで封止されている。
上記構成の記録ヘッド2では、インクカートリッジ等のインク供給手段からインクを取り込み、リザーバー30からノズル23に至るまでインクで満たされる。そして、プリンター本体側からの駆動信号の供給により、圧力室20に対応するそれぞれの下電極24と上電極26との間に両電極の電位差に応じた電界が付与され、圧電素子18および作動面(弾性膜16)が撓み変形することにより、圧力室20内に圧力変動が生じる。この圧力変動を制御することで、ノズル23からインクを噴射させたり、或いは、インクが噴射されない程度にノズル23におけるメニスカスを微振動させたりする。
ここで、上記記録ヘッド2では、有機溶剤系のインクを噴射することを前提として、当該有機溶剤系インクに起因するクロストークを抑制する対策が施されている。具体的には、圧力室基板14とノズル形成基板15とを接合する接着剤40を、隔壁37の下端部とノズル形成基板15との間から圧力室20側に積極的に漏出させた(はみ出させた)状態で固化させることにより、隔壁37の下端部とノズル形成基板15との間の接合強度が高められている。詳細には、図3に示すように、圧力室20の圧力室並設方向(ノズル列方向)の内法をW、隔壁37の下端部とノズル形成基板15との間から圧力室20側に流れ出して隔壁37とノズル形成基板15とで区画される隅角部に固化した状態の接着剤40の圧力室並設方向の幅(以下、適宜、はみ出し幅と言う)をLとしたとき、圧力室20の幅Wに対するはみ出し幅Lの比が以下の式(1)を満たすように、接着剤40の塗布量が調整される。
0.05≦L/W≦0.3 …(1)
なお、接着剤40のはみ出し幅Lは、圧力室20の幅方向両側に生じる接着剤40のはみ出しの片側分の幅を示している。また、本発明は、圧力室20の幅方向両側の接着剤40のはみ出し幅に着目するものであるが、接着剤40のはみ出しは圧力室20の長手方向両側においても同様に生じる。
0.05≦L/W≦0.3 …(1)
なお、接着剤40のはみ出し幅Lは、圧力室20の幅方向両側に生じる接着剤40のはみ出しの片側分の幅を示している。また、本発明は、圧力室20の幅方向両側の接着剤40のはみ出し幅に着目するものであるが、接着剤40のはみ出しは圧力室20の長手方向両側においても同様に生じる。
上記の接着剤40に関し、主成分であるエポキシ系接着剤に対して、シリカ(SiO2)を5重量%以上10重量%以下で配合したものが使用される。圧力室基板14とノズル形成基板15との接合に当該接着剤40を使用することにより、有機溶剤系インクに対する耐性を高めることができる。具体的には、一定の温度、例えば40℃で当該接着剤40を有機溶剤系インクに100時間浸漬したときの膨潤率を10%以下にすることができる。ここで、膨潤率は、上記状態での接着剤40の初期の重量をWt、一定時間経過後の重量をWt′としたときに、以下の式(2)で表される。
{(WT′−Wt)/Wt}×100〔%〕 …(2)
なお、膨潤率が10%を超えてしまうと、隔壁37の下端部とノズル形成基板15との間の接合力が低下し、隔壁37が圧力を受けたときに変位しやすくなるため、クロストークの悪化が顕著になる。
{(WT′−Wt)/Wt}×100〔%〕 …(2)
なお、膨潤率が10%を超えてしまうと、隔壁37の下端部とノズル形成基板15との間の接合力が低下し、隔壁37が圧力を受けたときに変位しやすくなるため、クロストークの悪化が顕著になる。
本実施形態においては、圧力室基板14の上面(ノズル形成基板15との接合面とは反対側の面)に弾性膜16、絶縁体膜17、および圧電素子18が形成され、当該圧力室基板14に圧力室20や連通部21等の流路がエッチング処理によって形成された後、当該圧力室基板14の下面に接着剤40がフィルム転写によって塗布される。ここで、接着剤40に関し、シリカが添加されていない場合、耐インク性を発揮する一方で、流動性が従来の接着剤よりも高いため、接着剤を必要とする部位以外の領域への流れ出しが生じ易いという欠点があった。これに対し、シリカが配合された接着剤40の場合、配合されていない場合と比較して粘性が高まり、上記の流れ出しを抑制することができる。そして、圧力室基板14の下面にノズル形成基板15を位置決めした状態で接着剤40により接合される。接着剤40の圧力室20側へのはみ出し量は、圧力室基板14に転写する接着剤40の量と、当該接着剤40を乾燥させる際に圧力室基板14とノズル形成基板15との間に治具等により荷重を作用させる際の当該荷重の大きさとによってコントロールすることができる。
このように、上記接着剤40によって圧力室基板14とノズル形成基板15とを接合する際に、隔壁37の下端部とノズル形成基板15との間から圧力室20側に接着剤40を積極的に漏出させた状態で固化させることにより、隔壁37の下端部とノズル形成基板15との間の接合強度が高められる。このため、ノズル23からインクを噴射させるべく圧電素子18が駆動されて圧力室20内の圧力が高まっても隔壁37の変形・変位が抑制される。これにより、インク噴射時の圧力損失が低減され、隣接するノズル間におけるクロストークが抑制される。すなわち、インク噴射特性(ノズル23から噴射されるインクの量や飛翔速度)の変動を抑制することができる。
図4は、圧力室20の幅Wに対するはみ出し幅Lの比を変えたときのクロストーク率と接着剤40の流れ出しの変化について示す表である。また、同図は、プリンター1の使用上想定される装置内温度(例えば、40℃)での実験結果を示している。ここで、クロストーク(CT)率とは、隣接する複数のノズル23からインクを同時に噴射させた場合(全ON時)のインクの飛翔速度Vm1と、1つのノズル23から単独でインクを噴射させた場合(1ON時)のインク飛翔速度Vm2との比率で表される噴射特性の変化の度合いであり、以下の式(3)で表される。
CT率=(1−Vm2/Vm1)×100〔%〕 …(3)
例えば、Vm1=10〔m/s〕、Vm2=8〔m/s〕であったとき、クロストーク率は20%となる。プリンター1において、記録媒体に画像等を記録する場合、このクロストーク率は少なくとも40%以下、望ましくは30%以下であることが求められる。クロストーク率が40%を超えると、ノズル23から噴射されたインクの記録媒体における着弾位置ずれ(目標とする着弾位置からのずれ)が顕著になり、記録画像等において所謂粒状感などのように視覚的な粗さが目立ってしまうからである。また、一般的に接着剤による接合強度は、ばらつき易いため、クロストーク率40%に対してマージンを持たせている。すなわち、L/Wの下限値はクロストーク率30%を基準として算出している。なお、クロストーク率は、全ON時と1ON時のインク重量Iwの比で表すこともできる。
CT率=(1−Vm2/Vm1)×100〔%〕 …(3)
例えば、Vm1=10〔m/s〕、Vm2=8〔m/s〕であったとき、クロストーク率は20%となる。プリンター1において、記録媒体に画像等を記録する場合、このクロストーク率は少なくとも40%以下、望ましくは30%以下であることが求められる。クロストーク率が40%を超えると、ノズル23から噴射されたインクの記録媒体における着弾位置ずれ(目標とする着弾位置からのずれ)が顕著になり、記録画像等において所謂粒状感などのように視覚的な粗さが目立ってしまうからである。また、一般的に接着剤による接合強度は、ばらつき易いため、クロストーク率40%に対してマージンを持たせている。すなわち、L/Wの下限値はクロストーク率30%を基準として算出している。なお、クロストーク率は、全ON時と1ON時のインク重量Iwの比で表すこともできる。
また、接着剤40の「流れ出し」とは、接着剤40が圧力室20側に必要以上にはみ出した場合、当該はみ出した接着剤40が、必要する以外の部分に流れ出す現象、特に、表面張力によって隔壁37を伝って弾性膜16側に移動する現象を意味する。特に、圧力室20の隔壁37同士が交差する部分において毛細管力によって接着剤40の流れ出しが生じ易い。そして、接着剤40が弾性膜16まで到達して硬化すると、当該接着剤40が圧電素子18(および弾性膜16)の変位を規制してしまい、インクの噴射に不具合を招く虞がある。図4においては、上記の流れ出しが生じなかった状態を◎、流れ出しが生じるが弾性膜16まで到達しなかった状態を○、流れ出しが生じて接着剤40が弾性膜16まで到達してインク噴射の不具合が軽微(噴射されるインク量の変動や着弾位置ずれが許容範囲内)であった状態を△、接着剤40が弾性膜16まで到達してインクの噴射に著しく不具合(ノズル23からインクが噴射されない、或いは、噴射されてもインク量の変動や着弾位置ずれが許容範囲を超えるなどの不具合)が生じた場合を×としている。
図4に示すように、圧力室20の幅Wに対するはみ出し幅Lの比が上記式(1)を満たす場合、クロストーク率は20%以上30%以内に抑えられ、また、接着剤40の流れ出しも「◎」または「○」となって、クロストークの抑制と接着剤の流れ出しの抑制を両立することができる。これに対し、L/Wが0.05未満である場合、接着剤40の流れ出しは抑制されるものの、クロストーク率が30%を超えてしまい不適合となる。また、L/Wが0.3を超えた場合、クロストーク率は20%に抑制できるものの、接着剤40の流れ出しが生じてしまい、不適合となることが判った。
なお、上記各実施形態では、圧力発生手段として所謂撓み振動型の圧電素子18を例示したが、これには限られず、例えば、所謂縦振動型の圧電素子を採用することも可能である。その他、発熱により気泡を発生させることで圧力変動を生じさせる発熱素子や、静電気力により圧力室の作動面を変位させることで圧力変動を生じさせる静電アクチュエーターなどの圧力発生手段を採用する構成においても本発明を適用することが可能である。
また、本発明は、複数の圧力室を隔壁によって複数区画し、圧力室の開口面を封止する作動面を圧力発生手段によって変位させることでノズルからインク等の液体を噴射させる液体噴射ヘッドおよびこれを備える液体噴射装置であれば、プリンターに限らず、プロッター、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置や、記録装置以外の液体噴射装置、例えば、ディスプレイ製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。
1…プリンター,2…記録ヘッド,14…圧力室基板,15…ノズル形成基板,16…弾性膜,18…圧電素子,20…圧力室,23…ノズル,37…隔壁,40…接着剤
Claims (4)
- ノズルに連通する圧力室を隔壁によって複数区画した圧力室基板と、
前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生手段と、
前記圧力室基板に接着剤により接合されて前記圧力室の底部を区画する底部材と、
を備え、前記圧力発生手段を駆動させて前記圧力室に圧力変動を生じさせることで、前記ノズルから圧縮率が水の圧縮率よりも大きい液体を噴射させる液体噴射ヘッドであって、
圧力室並設方向において、前記圧力室の幅をW、前記隔壁の下端部と前記底部材との間から圧力室側に漏出して前記隔壁と前記底部材とで区画される隅角部に固化した状態の接着剤の圧力室並設方向の幅をLとしたとき、
0.05≦L/W≦0.3
を満たすことを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 前記液体は、有機溶剤を溶媒としたものであり、40℃の環境下で前記液体に100時間浸漬された状態における前記接着剤の膨潤率が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記接着剤は、エポキシ系接着剤にシリカを5重量%以上10重量%以下で配合したものであることを特徴とする請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
- 請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019162770A (ja) * | 2018-03-19 | 2019-09-26 | 株式会社リコー | 液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置 |
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2012
- 2012-02-27 JP JP2012039533A patent/JP2013173284A/ja active Pending
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