JP2013172584A - 電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 3相の導体から電極が受ける静電誘導のうち1相又は2相の導体からの電界を遮蔽し、電力を効率よく得ることができると共に、実際の送配電線路への適応性を高めた電源装置を提供するものである。
【解決手段】 電源装置100は、複数の導体200のうち一の導体210近傍に配設される誘導電極1と、複数の導体200のうち他の導体220の少なくとも1つの導体221及び一の導体210間に配設され、当該他の導体220の少なくとも1つの導体221から発生する電界を誘導電極1に対して遮蔽する接地された遮蔽体2と、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量と、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量に対して並列に接続される変圧器4と、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量並びに変圧器4の励磁サセプタンスによる並列回路の両端から引き出される出力部3と、を備え、並列回路を並列共振回路として、出力部3から負荷300に電力を供給する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、送電線路若しくは配電線路の架空電力線、架空地線、通信線(メッセンジャワイヤで支持されたメタル通信ケーブル又は光ケーブルなど)若しくは支線などの架空電力線に並設して架線される架空線状導体又は電気機器内の導体(以下、架空電力線、架空線状導体及び電気機器内の導体を総称して、「導体」と称す)近傍に配設して使用される、導体の状態(電圧、電流、温度又は動きなど)や導体の周囲の状態(風速、日射量又は気圧など)を計測する計測機器、導体の状態を無線や有線で送受信する通信機器、導体の存在を標示するための標識灯又は架空電力線が活線であることを表示するための表示器などの電気機器である負荷に電力を供給する電源装置に関し、特に、架空線又は電気機器内の導体の周囲に発生する静電誘導作用を利用した電源装置に関する。
従来の電源装置は、架空電力線及び架空電力線の長手方向に絶縁体を介して延在する電極からなる静電容量と、静電容量に対して並列に接続されるインダクタンスと、静電容量及びインダクタンスによる並列回路の両端から引き出される出力部とを備え、並列回路を並列共振回路として、出力部から電力を供給することで、コンパクトで簡易な構造であり、負荷に対する電力供給の効率を向上させることができる(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2009/072444号パンフレット
しかしながら、従来の電源装置は、図17(a)に示すように、電極に最も近い架空線(例えば、a相の架空電力線)からの静電誘導により電極に生じる静電誘導電流(充電電流)ICaの他に、他の架空線(例えば、b相の架空電力線、c相の架空電力線)からの静電誘導により電極に生じる静電誘導電流(充電電流)ICb,ICcが存在し、各充電電流ICa,ICb,ICcはそれぞれが打ち消し合う位相であるため、これらの充電電流のベクトル合成による合成値INは、充電電流ICaの絶対値(大きさ)よりも小さくなる。このため、従来の電源装置は、1相の架空線からの静電誘導によって得られる電力と比較して、3相の架空線からの静電誘導が影響する環境下では、極端に小さな電力しか得られないという課題がある。この課題を解決するものとして、絶縁性上の問題のない範囲で単相の架空線に電極を近づけることや、電極を大型化することにより、1相からの静電誘導を強くし、他の2相からの静電誘導を弱くして、各相の静電誘導の差分を高める方法が考えられる。しかしながら、この対処方法は、相殺自体が解消されるものではなく、得られる電力を大きくするうえで大きな効果が得られない。
一方、架空電線路が2相の場合においては、2つの架空電力線に流れる電流の位相角度が120度であるため、図17(b)に示すように、各架空電力線からの静電誘導により電極に生じる充電電流I1,I2のベクトル合成による合成値I12は、相殺の影響が少なく、架空電線路が1相のみの場合の充電電流I1に対して、86.6%〜100%の充電電流が得られる。
詳細には、条件として、例えば、充電電流I1の絶対値が充電電流I2の絶対値以上であり、充電電流I2の絶対値が零以上である場合(0≦|I2|≦|I1|)に、図17(c)に示す充電電流I1、充電電流I2及び合成値I12に囲まれた三角形において、余弦定理(|I12=|I1+|I2−2|I1||I2|cos60°)により、合成値
12が次式(1)で与えられる。
(数1)
|I12|=√(|I1+|I2−|I1||I2|)
=√{(|I2|−|I1|/2)+3/4×|I1
条件より、√3/2×|I1|≦|I12|≦|I1
すなわち、0.866×|I1|≦|I12|≦|I1|となる。
特に、合成値I12が最大になるのは、充電電流I1の絶対値と充電電流I2の絶対値が等しい場合(|I1|=|I2|)、又は、充電電流I2の絶対値が零の場合(|I2|=0)であり、このときの合成値I12は、充電電流I1の絶対値と等しくなる。
すなわち、合成値I12は、1相のみの場合の充電電流I1に対して86.6%〜100%の充電電流が得ることができ、1相のみの場合に次いで大きな値となる。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、3相の導体から電極が受ける静電誘導のうち1相又は2相の導体からの電界を遮蔽し、電力を効率よく得ることができると共に、実際の送配電線路への適応性を高めた電源装置を提供するものである。
この発明に係る電源装置においては、複数の導体のうち一の導体近傍に配設される誘導電極と、複数の導体のうち他の導体の少なくとも1つの導体及び一の導体間に配設され、当該他の導体の少なくとも1つの導体から発生する電界を誘導電極に対して遮蔽する接地された遮蔽体と、誘導電極及び遮蔽体間の浮遊静電容量と、浮遊静電容量に対して並列に接続されるインダクタンスと、浮遊静電容量及びインダクタンスによる並列回路の両端から引き出される出力部と、を備え、並列回路を並列共振回路として、出力部から負荷に電力を供給するものである。
この発明に係る電源装置においては、ほとんどの送配電線路において発生する3相静電誘導による電力の相殺現象を抑制し、導体に対向する誘導電極の表面積を広げることや、誘導電極を導体に近づける等のパワーアップのための別の手段を取ることなく、1相のみの静電誘導で得られる電力に相当する電力を効率よく得ることができる。
(a)は第1の実施形態における電源装置を導体近傍に配設した状態を示す概略構成図であり、(b)は図1(a)に示す電源装置を導体の長手方向からみた概略構成図である。 (a)は第1の実施形態における電源装置を架空電力線近傍に配設した状態を示す概略構成図であり、(b)は図2(a)に示す電源装置を架空電力線の長手方向からみた概略構成図である。 (a)は図2に示す電源装置の等価回路の一例を示す回路図であり、(b)は図3(a)に示す等価回路における並列回路を共振させた状態の等価回路を示す回路図である。 (a)は架空電力線に誘導電極を並設した場合の静電誘導を説明するための説明図であり、(b)は架空電力線に誘導電極を並設した場合の電流の損失を説明するための説明図であり、(c)は架空電力線に誘導電極を並設した場合の電圧の損失を説明するための説明図である。 (a)は遮蔽体を配設しない場合の電源装置を説明するための説明図であり、(b)は1つの相の架空電力線から静電誘導を受ける場合の電源装置を説明するための説明図であり、(c)は2つの相の架空電力線から静電誘導を受ける場合の電源装置を説明するための説明図であり、(d)は2つの遮蔽体を用いて1つの相の架空電力線から静電誘導を受ける場合の電源装置を説明するための説明図である。 (a)は第2の実施形態における電源装置を架空電力線近傍に配設した状態を示す概略構成図であり、(b)は図6(a)に示す電源装置を架空電力線の長手方向からみた概略構成図である。 (a)は図6に示す誘導電極及び遮蔽体と変圧器との接続関係を説明するための説明図であり、(b)は2つの誘導電極を用いて3つの相の架空電力線から静電誘導を受ける場合の電源装置を説明するための説明図である。 (a)は図7(a)に示す電源装置における変圧器の二次側の概略構成を示すブロック図であり、(b)はコンデンサの静電容量を変化させた場合の共振曲線である。 第3の実施形態に係る電源装置における変圧器の二次側の概略構成を示すブロック図である。 (a)は図6に示す電源装置を用いた実験を説明するための説明図であり、(b)は従来の電源装置に対応する電源装置を用いた実験を説明するための説明図である。 図10(a)に示す実施例及び図10(b)に示す比較例における実験結果を示すグラフである。 (a)は電源装置を送電鉄塔に設置する場合の誘導電極及び遮蔽体の位置関係を説明するための説明図であり、(b)は電源装置を送電鉄塔に設置する場合の遮蔽体の好ましい位置を説明するための説明図である。 (a)は誘導電極及び遮蔽体を一体にした線状体の長手方向からみた断面図であり、(b)は誘導電極及び遮蔽体を一体にした他の線状体の長手方向からみた断面図であり、(c)は誘導電極及び遮蔽体を一体にしたさらに他の線状体の長手方向からみた断面図である。 (a)は誘導電極及び遮蔽体を一体にした線状体における誘導電極を支持する場合の端末接続を説明するための説明図であり、(b)は図14(a)に示す線状体の矢視A−A’線の断面図であり、(c)は図14(a)に示す他の線状体の矢視A−A’線の断面図である。 (a)は誘導電極及び遮蔽体を一体にした線状体における遮蔽体に接続された支持線を支持する場合の端末接続を説明するための説明図であり、(b)は図15(a)に示す線状体の矢視B−B’線の断面図であり、(c)は図15(a)に示す他の線状体の矢視B−B’線の断面図である。 (a)は2つの誘導電極及び遮蔽体を一体にした線状体における遮蔽体に接続された支持線を支持する場合の端末接続を説明するための説明図であり、(b)は図16(a)に示す線状体の矢視C−C’線の断面図であり、(c)は図16(b)に示す線状体の他の実施態様を示す断面図である。 (a)は架空電線路が3相の場合における充電電流のベクトル合成による合成値を説明するための説明図であり、(b)は架空電線路が2相の場合における充電電流のベクトル合成による合成値を説明するための説明図であり、(c)は架空電線路が2相の場合における充電電流のベクトル合成による合成値を詳細に説明するための説明図である。
(本発明の第1の実施形態)
電源装置100は、図1に示すように、複数の導体200のうち一の導体210近傍に配設される誘導電極1と、複数の導体200のうち他の導体220の少なくとも1つの導体221における誘導電極1に対向する導体221の対向面221aの周縁部及び当該導体221に対向する誘導電極1の対向面1aの周縁部間を結ぶ面に囲まれた領域Sに対して当該領域Sを複数の領域に分断する位置に配設され、当該他の導体220の少なくとも1つの導体221から発生する電界を誘導電極1に対して遮蔽する接地された遮蔽体2と、を備える。
また、電源装置100は、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cと、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cに対して並列に接続されるインダクタンスLと、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量C並びにインダクタンスLによる並列回路の両端からリードケーブル等により引き出される出力部3と、を備える。また、電源装置100は、並列回路を並列共振回路として、出力部3から負荷300に電力を供給する。
なお、本実施形態に係る電源装置100は、一次側の一端が誘導電極1にリードケーブル等を介して接続され、一次側の他端が遮蔽体2にリードケーブル等を介して接続されると共に、一次電圧を降圧させて二次電圧を出力する変圧器(transformer:TR)4を備え、インダクタンスLが、出力部3を二次側とする変圧器4の励磁サセプタンス成分bに対応する。また、変圧器4は、電源回路として、電源装置本体10に内蔵されている。
また、以下の説明においては、図2に示すように、導体200が架空電線路における三相三線式の各相の架空電力線201であり、誘導電極1近傍に配設される一の導体210がa相の架空電力線201aであり、他の導体220がb相の架空電力線201b及びc相の架空電力線201cである場合について説明する。
誘導電極1は、長さが90cmであり、幅が15cmである略矩形状の板状体であり、a相の架空電力線201aの長手方向に誘導電極1の長手方向を略平行とし、電柱400の腕金401の長手方向に誘導電極1の短手方向を略垂直として、a相の架空電力線201a及びb相の架空電力線201b間において固定台402を介して腕金401上に配設される。なお、誘導電極1は、板状体に限られるものではなく、例えば、外径が8cmであり、長さが1.5mであるステンレスパイプを絶縁性の熱収縮チューブで被覆した棒状体を用いてもよい。
誘導電極1の材質は、対向する架空電力線200との静電誘導現象によって誘導電極1に充放電を繰り返す通電に支障がなければ、アルミニウムなどの金属に限られるものではなく、導電性又は半導電性の合成樹脂を用いてもよい。なお、本実施形態に係る誘導電極1は、厚さが2mmであるアルミニウム製板を用いている。
遮蔽体2は、長さが誘導電極1の長さより長く、幅が誘導電極1の幅より広い略矩形状の板状体であり、a相の架空電力線201aの長手方向に遮蔽体2の長手方向を略平行と
し、電柱400の腕金401の長手方向に遮蔽体2の短手方向を略垂直として、a相の架空電力線201a及びb相の架空電力線201b間において絶縁された固定台402を介して電柱400の腕金401上で誘導電極1に対してb相の架空電力線201b側に配設される。また、遮蔽体2は、電柱400の腕金401や装柱金具などに接続して接地される。
遮蔽体2の材質は、他の導体220(b相の架空電力線201b、c相の架空電力線201c)の少なくとも1つの導体221から発生する電界を誘導電極1に対して遮蔽することができれば、金属に限られるものではなく、導電性又は半導電性の合成樹脂を用いてもよい。なお、本実施形態に係る遮蔽体2は、厚さが2mmであるアルミニウム製板を用いている。
また、誘導電極1及び遮蔽体2は、誘導電極1及び遮蔽体2間に誘起される電圧によって絶縁破壊しないような耐電圧性能を有する絶縁スペーサー9に固定され、誘導電極1と遮蔽体2とは互いに接触しないように配設されている。
なお、本実施形態においては、作業者が誘導電極1に触れないようにするために、樹脂製の保護カバー6により、誘導電極1及び遮蔽体2を被覆している。
ここで、変圧器4において、第1の仮定として、磁束はすべて鉄心の中だけを通り両巻線に鎖交すること、第2の仮定として、巻線の抵抗は無視できること、第3の仮定として、鉄損は無視できること、第4の仮定として、鉄心の飽和は無視できること、第5の仮定として、鉄心の透磁率が無限大で励磁電流も無視できること、の5つを仮定した仮想上の変圧器を理想変圧器4aという。
理想変圧器4aでは仮定により、磁束はすべて鉄心の中だけを通り両巻線に鎖交するものとした。しかし、実際の変圧器4では、一次及び二次の両巻線と鎖交する主磁束の他に、一次巻線とだけ鎖交し二次巻線と交わらない磁束と、二次巻線とだけ鎖交し一次巻線と交わらない磁束が存在し、これらは漏れ磁束という。
この漏れ磁束による起電力は、漏れ磁束のない理想変圧器4aの一次巻線及び二次巻線にそれぞれ直列に接続されたインダクタンスによって生じるリアクタンス電圧降下として取り扱うことができる。したがって、一次漏れリアクタンスをx、二次漏れリアクタンスをxとすれば、その影響を、図3(a)に示すように、理想変圧器4aの一次巻線及び二次巻線とそれぞれ直列に接続された漏れリアクタンスx、xとして表わすことができる。
また、理想変圧器4aでは仮定により巻線の抵抗を無視したが、実際の変圧器では巻線に抵抗があるために、それによる電圧降下と銅損を伴う。したがって、一次巻線の抵抗をr、二次巻線の抵抗をrとすれば、その影響を、図3(a)に示すように、理想変圧器4aの一次巻線及び二次巻線とそれぞれ直列に接続された抵抗r、rとして表わすことができる。
また、一次と二次の結合コイルを理想変圧器4aとするためには、図3(a)に示すように、一次コイルと並列に励磁電流の通路を設けてやればよい。この分路は鉄損電流の通路となる励磁コンダクタンスgと磁化電流の通路となる励磁サセプタンスbの並列回路からなる。
このように、図3(a)に示すように、変圧器4は、一次巻線の抵抗r、一次漏れリアクタンスx、励磁サセプタンスb、励磁コンダクタンスg、理想変圧器4a、二次巻線の抵抗r及び二次漏れリアクタンスxからなる等価回路で表わすことができる。
また、変圧器4における、一次巻線の抵抗r及び一次漏れリアクタンスxからなる合成インピーダンスZ、並びに二次巻線の抵抗r及び二次漏れリアクタンスxからなる合成インピーダンスZは、わずかな電圧降下として作用するが、ここでの電圧降下は一般的には非常に小さく、回路に対する影響が少ないために無視することができる。
なお、変圧器4の励磁サセプタンスbは、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cとの並列共振の条件を満たすように選定される。具体的には、変圧器4を構成するコアの材質や大きさ、一次巻線の巻数、コアに施すギャップ等を設計して得られるものである。
ここで、電源装置100が、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cと並列共振させる変圧器4の励磁サセプタンスbを備えることによる作用効果について、図3、図4(a)及び図4(b)を用いて説明する。
なお、以下の説明では、電圧V及び電流Iのベクトルを表す、文字の上に付けるドットを省略する。
まず、負荷300に供給される電力P(=電圧V×電流I)は、負荷300(負荷抵抗R)に印加される電圧Vと、負荷300(負荷抵抗R)に流れる電流Iとの乗算により得られる。
これに対し、各相の架空電力線201からの充電電流は、図4(a)及び図4(b)に示すように、ベクトル合成されて、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cと負荷抵抗Rとに充電電流IC0及び電流Iとして流れることになり、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cに流れる充電電流IC0は損失になる。
そこで、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cと変圧器4の励磁サセプタンスbとで並列共振させて、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cに流れる充電電流IC0を電気的に打ち消し、各相の架空電力線201からの充電電流をベクトル合成した全ての電流が負荷抵抗Rに流れるようにする(TR一次側の励磁サセプタンスによる並列共振)。
具体的には、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cと変圧器4の励磁サセプタンスbとの並列共振の状態を作り出すことで、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cに流れる充電電流IC0と変圧器4の励磁サセプタンスbに流れる励磁電流Ib0とを相殺(|Ib0|=|IC0|)させる。そして、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量C並びに変圧器4の励磁サセプタンスbの合成インピーダンスを無限大(∞)に保持することで、図3(b)に示すように、単純な等価回路とみなすことができる。
なお、変圧器4の一次巻線を数万回で巻回することにより、鉄損分抵抗R(励磁コンダクタンスg)に流れる電流IR0による損失を極めて小さくすることができる。
したがって、本実施形態に係る電源装置100においては、負荷300にほぼ全ての電流が流れることになり、負荷300に対して電流の流入効率の良い電源装置100となる。
つぎに、電源装置100が変圧器4を備えることによる作用効果について、図3、図4(a)及び図4(c)を用いて説明する。
前述したように、負荷300に供給される電力Pは、負荷300(負荷抵抗R)に印加される電圧Vと、負荷300(負荷抵抗R)に流れる電流Iとの乗算により得られる。
これに対し、a相の架空電力線201a及び中性点(大地G)間の対地電圧Vは、図4(c)に示すように、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量C並びに負荷抵抗Rに印加される電圧Vと各相の架空電力線201及び誘導電極1間の合成静電容量Cに印加される電圧Vとに分圧され、合成静電容量Cに印加される電圧Vは損失になる。
そこで、負荷抵抗Rを大きくし、負荷300(負荷抵抗R)に印加される電圧Vを大きくする(TRによるインピーダンス整合)。なお、「合成静電容量C」とは、a相の架空電力線201a及び誘導電極1間の浮遊静電容量Cと、b相の架空電力線201b及び誘導電極1間の浮遊静電容量Cと、c相の架空電力線201c及び誘導電極1間の浮遊静電容量Cとを合成した静電容量である。
ここで、変圧器4の一次巻線の巻数と二次巻線の巻数との巻数比を「a:1」にすると、変圧器4の二次巻線の抵抗rは、一次側換算で「a×r」として作用し、電圧降下を生じるため、可能な限り、二次巻線の直径を太くすることが好ましい。
また、変圧器4の二次側の負荷抵抗Rは、一次側換算で「a×R」として作用するため、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量C並びに負荷抵抗Rに印加される電圧Vが、高電圧で安定することになる。
例えば、変圧器4の一次巻線の巻数と二次巻線の巻数との巻数比を「400:1」(a=400)とし、電源装置100の出力部3に負荷抵抗Rが1kΩの負荷300を接続した場合を想定する。
この場合に、一次側から見た負荷300のインピーダンスは、巻数比の二乗を乗じた値となるために、160MΩ(=400×1kΩ)となり、非常に大きいことがわかる。
すなわち、変圧器4によるインピーダンス整合の作用で、負荷300における1kΩのインピーダンスを、160MΩのインピーダンスに変換している。
また、変圧器4の一次側には励磁コンダクタンスgが存在するが、この値は非常に小さい(抵抗値では非常に大きい)。
したがって、一次側からみた負荷300のインピーダンスと励磁コンダクタンスgとの並列回路の合成インピーダンスは大きな値となり、合成静電容量Cとの分圧であっても、変圧器4の一次側に大きな電圧が印加されることになる。
なお、変圧器4を1個の変圧器により対処するには、励磁コンダクタンスgを小さくするために、変圧器4の巻線比を所望の値に保持しつつ一次巻線の巻数を増加させる必要がある。このため、変圧器4に用いるコアが非常に大きいものが必要になる他に、鉄損の少ない特殊な材質のコアを使用することでコスト高になる場合がある。
そこで、量産性の高い小さな変圧器を、複数直列に接続することで、電源装置100を安価にでき、巻数比は一定のまま、励磁コンダクタンスgを小さくすることができる。なお、本実施形態においては、2個の変圧器を直列に接続して変圧器4を構成している。
つぎに、電源装置100が遮蔽体2を備えることによる作用効果について、図5及び図17を用いて説明する。なお、図5においては、発明の理解を容易にするために、架空電力線201と電源装置100における誘導電極1及び遮蔽体2のみを図示している。
背景技術で前述したように、電源装置100が遮蔽体2を備えていない場合には、図5(a)及び図17に示すように、誘導電極1に最も近いa相の架空電力線201aからの静電誘導により誘導電極1に生じる静電誘導電流(充電電流)ICaの他に、b相の架空電力線201b及びc相の架空電力線201cからの静電誘導により電極に生じる静電誘導電流(充電電流)ICb,ICcが存在し、各充電電流ICa,ICb,ICcはそれぞれが打ち消し合う位相であるため、それぞれの絶対値が近似する場合に、これらの充電電流のベクト
ル合成による合成値INは、極端に小さくなる。
これに対し、本実施形態に係る電源装置100は、図5(b)に示すように、遮蔽体2がb相の架空電力線201b及びc相の架空電力線201cから発生する電界を誘導電極1に対して遮蔽するために、充電電流ICb,ICcの発生を防止し、充電電流の合成値INは、充電電流ICaが、充電電流ICb,ICcに打ち消されることなく、充電電流ICaの絶対値と等しくなり、最大の電流値を得ることができる。
なお、本実施形態に係る電源装置100は、図5(b)に示すように、遮蔽体2が2相の架空電力線201(b相の架空電力線201b、c相の架空電力線201c)から発生する電界を遮蔽しているが、この構成に限られるものではない。
例えば、図5(c)に示すように、遮蔽体2が1相の架空電力線201(a相の架空電力線201a)から発生する電界のみを遮蔽してもよい。
この場合には、誘導電極1に最も近いb相の架空電力線201bからの静電誘導により誘導電極1に生じる静電誘導電流(充電電流)ICbの他に、c相の架空電力線201cからの静電誘導により電極に生じる静電誘導電流(充電電流)ICcが存在し、各充電電流ICb,ICcはそれぞれが打ち消し合う位相である。
また、図5(c)に示す電源装置100においては、遮蔽体2がa相の架空電力線201aから発生する電界を誘導電極1に対して遮蔽するために、充電電流ICaの発生を防止することになり、各充電電流ICb,ICcの合成値INは、図5(a)に示す従来の電源装置と比較して、各充電電流ICa,ICb,ICcの合成値INよりも大きくすることができる。すなわち、発明の概要で前述したように、1相の架空電力線201のみによる静電誘導で得られる充電電流の86.6%〜100%の充電電流を得ることができ、図5(a)に示す従来の電源装置と比較して、大きな電力を得ることができる。
特に、図5(c)に示す電源装置100においては、誘導電極1から最も遠い位置にあるc相の架空電力線201cが誘導電極1に最も近い位置にあるb相の架空電力線201bと比較して誘導電極1から十分に離間していると共に、b相の架空電力線201bがc相の架空電力線201cから発生する電界を誘導電極1に対して部分的に遮蔽する遮蔽体として機能するために、充電電流ICcの絶対値は非常に小さく、各充電電流ICb,ICcの合成値INは、図5(b)に示す電源装置100の場合に近い電流値になる。
なお、図5(c)に示す電源装置100に対して、図5(d)に示すように、b相の架空電力線201b及びc相の架空電力線201cの間に他の遮蔽体2を配設することにより、c相の架空電力線201cから発生する電界を誘導電極1に対して遮蔽することができ、図5(b)に示す電源装置100の場合と同様に、充電電流の合成値IN(充電電流ICbの絶対値)として、高い電流値を得ることができる。このように、他の遮蔽体2による遮蔽効果が現れる例としては、図2に示す電柱400により一定の遮蔽効果が得られると共に、電柱400の上方に金属製の腕金を突出させて架空地線を支持している装柱状態においても遮蔽効果を得ることができる。
以上のように、本実施形態に係る電源装置100においては、インダクタンスL(変圧器4の励磁サセプタンスb)と誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cとを並列共振の状態にして、これらの合成インピーダンスを無限大(∞)に保持することにより、励磁コンダクタンスg及び理想変圧器4aに生じる高い電圧Vを得ることができると共に、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量C側に流れる充電電流IC0を相殺して、負荷300に対する電流Iの流入効率を向上させることができる。また、変圧器4によるインピーダンス整合により、負荷300に対して大きな電圧Vを印加すること
ができる。
また、本実施形態に係る電源装置100においては、電源装置本体10内の電源回路の回路素子が変圧器4のみからなる単純な回路構成であるために、架空電力線201に取り付けるには、現実的な大きさ及び重量であるうえに、計測機器などの消費電力が比較的小さな負荷300であれば連続的に電力を供給することができる。
特に、本実施形態に係る電源装置100においては、遮蔽体2を備えることにより、架空電力線201に対向する誘導電極1の表面積を広げることや、誘導電極1を架空電力線201に近づけることなく、従来の電源装置と比較して、充電電流の合成値を大きくすることができ、電力を効率よく得ることができる。
(本発明の第2の実施形態)
図6(a)は第2の実施形態における電源装置を架空電力線近傍に配設した状態を示す概略構成図であり、図6(b)は図6(a)に示す電源装置を架空電力線の長手方向からみた概略構成図である。図7(a)は図6に示す誘導電極及び遮蔽体と変圧器との接続関係を説明するための説明図であり、図7(b)は2つの誘導電極を用いて3つの相の架空電力線から静電誘導を受ける場合の電源装置を説明するための説明図である。図8(a)は図7(a)に示す電源装置における変圧器の二次側の概略構成を示すブロック図であり、図8(b)はコンデンサの静電容量を変化させた場合の共振曲線である。図6乃至図8において、図1乃至図5と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
本実施形態に係る遮蔽体2は、図6及び図7に示すように、一の導体210(例えば、a相の架空電力線201a)及び他の導体220(例えば、b相の架空電力線201b)間に配設される。
また、本実施形態に係る誘導電極1は、図6及び図7に示すように、一の導体210(例えば、a相の架空電力線201a)及び遮蔽体2間に配設される第1の誘導電極11aと、他の導体220(例えば、b相の架空電力線201b)及び遮蔽体2間に配設される第2の誘導電極11bと、を備える。
また、本実施形態に係る電源装置100は、図7(b)に示すように、遮蔽体2により、b相の架空電力線201b及びc相の架空電力線201cから発生する電界を第1の誘導電極11aに対して遮蔽して、第1の誘導電極11aがa相の架空電力線201aからのみ静電誘導を受けている。
また、本実施形態に係る電源装置100は、図7(b)に示すように、遮蔽体2により、a相の架空電力線201aから発生する電界を第2の誘導電極11bに対して遮蔽して、第2の誘導電極11bがb相の架空電力線201b及びc相の架空電力線201cからのみ静電誘導を受けている。
なお、図7(b)においては、発明の理解を容易にするために、架空電力線201と電源装置100における誘導電極1(第1の誘導電極11a、第2の誘導電極11b)及び遮蔽体2のみを図示している。
また、本実施形態に係る変圧器4は、図7(a)に示すように、一次側の一端が第1の誘導電極11aに接続され、一次側の他端が遮蔽体2に接続される第1の変圧器14aと、一次側の一端が第2の誘導電極11bに接続され、一次側の他端が遮蔽体2に接続される第2の変圧器14bと、を備える。
特に、本実施形態に係る電源装置100は、図8(a)に示すように、2つの負荷300(第1の負荷300a、第2の負荷300b)に電力を供給することができるように、
2つの電源回路(第1の電源回路10a、第2の電源回路10b)及び出力部3(第1の出力部3a、第2の出力部3b)を備える。
なお、以下の説明においては、第1の電源回路10a及び第2の電源回路10bが同一の回路構成であるために、第1の電源回路10aを用いて説明するが、第2の電源回路10bについても第1の電源回路10aと同様に説明することができる。
すなわち、第2の電源回路10bについては、後述する第1の電源回路10aの説明において、第1の負荷300aを第2の負荷300bに読み替え、第1の出力部3aを第2の出力部3bに読み替え、第1の電源回路10aにおける、第1の静電容量調整部21a、第1の整流部22a、第1の保護回路23a、第1の前段DC/DCコンバータ24a、第1の電圧測定部25a、第1の制御部26a、第1のスイッチ部27a及び第1の後段DC/DCコンバータ28aを、第2の電源回路10bにおける、第2の静電容量調整部21b、第2の整流部22b、第2の保護回路23b、第2の前段DC/DCコンバータ24b、第2の電圧測定部25b、第2の制御部26b、第2のスイッチ部27b及び第2の後段DC/DCコンバータ28bにそれぞれ読み替えることで、説明することができる。
第1の静電容量調整部21aは、第1の変圧器14aの二次巻線と第1の負荷300aとの間に並列に接続させるコンデンサ(複数の固定コンデンサ、可変コンデンサ、半固定コンデンサ)の静電容量を調整する回路である。
なお、本実施形態に係る第1の静電容量調整部21aは、並列接続する複数の固定コンデンサC(Cf1、Cf2、Cf3、・・・、Cfn:nは自然数)と、各固定コンデンサCにそれぞれ直列接続する複数の接点S(S、S、S、・・・、S:nは自然数)とからなり、接点Sの開閉により、一又は複数の固定コンデンサCを適宜組み合わせて、静電容量を調整する回路である。
また、本実施形態に係る複数の固定コンデンサCは、0.47μFの固定コンデンサCf1と、1.0μFの固定コンデンサCf2と、1.8μFの固定コンデンサCf3と、3.9μFの固定コンデンサCf4とから構成している。しかしながら、複数の固定コンデンサCは、これらの静電容量の固定コンデンサに限れるものではなく、静電容量が全て同一の複数の固定コンデンサを使用することや、静電容量が同一の複数の固定コンデンサを並列に接続して合成した合成コンデンサを一の固定コンデンサとして静電容量が全て異なる複数の固定コンデンサを使用してもよい。
第1の整流部22aは、第1の静電容量調整部21aの後段(第1の負荷300a側)に接続され、第1の変圧器14aから出力される交流電力を直流電力に変換する整流回路であり、4個のダイオードを用いたブリッジ整流回路と波形の平滑化のための平滑コンデンサとを含むものである。なお、第1の整流部22aは、必ずしも必要ではないが、後述する第1の制御部26aのマイクロコントローラが直流駆動であるために、第1の制御部26aの前段(第1の変圧器14a側)に配設する。
第1の保護回路23aは、第1の整流部22aの後段(第1の負荷300a側)に接続され、第1の整流部22aから入力される直流電圧の過電圧を抑制する回路であり、ツェナーダイオードから構成される。
第1の前段DC/DCコンバータ24aは、第1の保護回路23aを介して入力される直流電圧を第1の制御部26aを駆動するのに適した安定した電圧に変換し、第1の制御部26aに供給するスイッチング電源である。
第1の電圧測定部25aは、第1の保護回路23aの後段(第1の負荷300a側)であり、第1の変圧器14aの二次側の電圧に伴って増減する直流電圧を測定し、第1の制
御部26aに出力する。なお、本実施形態に係る第1の電圧測定部25aは、第1の整流部22aから印加される電圧を2つの抵抗で分圧して、一の抵抗に掛かる電圧を測定する。
第1の制御部26aは、第1の電圧測定部25aによる測定結果に基づき、一の抵抗に掛かる電圧が最大(第1の誘導電極11a及び遮蔽体2間の浮遊静電容量C、複数の固定コンデンサCのうち投入されたコンデンサ並びに励磁サセプタンスbが並列共振の状態)となるように、第1の静電容量調整部21aの接点Sの開閉を制御して、第1の静電容量調整部21aの一又は複数の固定コンデンサCを適宜組み合わせ、複数の固定コンデンサCからなるコンデンサ(以下、単に、「コンデンサ」と称す)の静電容量を調節するマイクロコントローラである。
また、第1の制御部26aは、第1の変圧器14aの二次側から出力される交流電力が、第1の整流部22aにより直流電力に変換され、第1の前段DC/DCコンバータ24aにより安定化された直流電圧で駆動する。
なお、コンデンサの静電容量の初期設定値は、第1の制御部26aの起動前に、図8(b)に示すように、共振曲線の共振ピークになる静電容量Cに設定することが、第1の変圧器14aの二次側から出力される電力Pを最大(Pmax)にできるために最も好ましいのであるが、共振曲線の共振ピークを基準として所定の幅ΔCを有する静電容量の範囲内(C−ΔC≦C+ΔC)であれば、第1の制御部26aの駆動に必要な最低限の電力P以上が得られるため、この範囲内で設定してもよい。具体的には、第1の制御部26aの起動前に、接点Sのうちいずれか1個又は複数個を閉じた状態として、適切な初期設定値となるように接点Sを選択すればよい。
これにより、共振曲線の共振ピークとなるコンデンサの静電容量でなくても、微弱な電力を第1の制御部26aに供給することができる。このため、超省電力のマイクロコントローラなどを第1の制御部26aに使用し、第1の変圧器14aの二次側から出力される電源装置100自体の電力により第1の制御部26aを駆動して、第1の誘導電極11a及び遮蔽体2間の浮遊静電容量C、コンデンサ並びに励磁サセプタンスbの並列共振の制御を行ない、並列共振の不完全な状態から最適な並列共振の状態になるまでコンデンサの静電容量を順次増減させることが可能になる。すなわち、第1の制御部26aを駆動するための一次電池(例えば、乾電池)や二次電池(例えば、太陽電池)などの別電源を必要とせず、電池交換などのメンテナンスを不要とする自立制御型の電源装置100を得ることができる。
また、第1の制御部26aは、コンデンサの静電容量を調節した後に、後述する第1のスイッチ部27aを投入する。これにより、コンデンサの静電容量の調節前における第1の負荷300aへの電力の供給を遮断して第1の負荷300aでの電力の消費を抑止し、最低限必要な電力に対して静電誘導作用が比較的弱い場合であっても、第1の制御部26aを即座に安定的に駆動できるようになり、最適な共振条件に到達させることができる。
第1のスイッチ部27aは、第1の電圧測定部25a及び第1の前段DC/DCコンバータ24aの後段(第1の負荷300a側)であって、第1の後段DC/DCコンバータ28aより前段(第1の変圧器14a側)に接続され、第1の制御部26aの制御信号に基づき、第1の前段DC/DCコンバータ24a及び第1の後段DC/DCコンバータ28a間の電路を開閉する。
第1の後段DC/DCコンバータ28aは、直流電圧を第1の負荷300aの駆動に適した安定した電圧に変換し、第1の出力部3aを介して第1の負荷300aに供給するスイッチング電源である。
なお、この第2の実施形態においては、1つの遮蔽体2を共用して2つの誘導電極1(第1の誘導電極11a、第2の誘導電極11b)に静電誘導電流(充電電流)を生じさせると共に、第1の変圧器14a及び第2の変圧器14bの二次側に接続したコンデンサを制御するところのみが第1の実施形態と異なるところであり、2つの誘導電極1及びコンデンサの制御による作用効果以外は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
本実施形態に係る電源装置100は、電源装置100自体の電力により並列共振状態に自動的に制御することが可能となり、第1の変圧器14a(第2の変圧器14b)の特性の温度依存性や電圧依存性により励磁サセプタンスbが変化した場合であっても、励磁サセプタンスbの変化に追従した共振制御が可能になると共に、第1の電圧測定部25a(第2の電圧測定部25b)及び第1の制御部26a(第2の制御部26b)などの回路が第1の変圧器14a(第2の変圧器14b)の二次側に全て配置されることにより、使用電圧が低く制限される汎用性の高い回路素子を使用することができ、電源装置100の低コスト化を図ることができる。
また、第1の誘導電極11a(第2の誘導電極11b)及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cとの並列共振の条件を満たす値より第1の変圧器14a(第2の変圧器14b)の励磁サセプタンスbを予め高く設定しておけば、負荷300の消費電力に応じて第1の誘導電極11a(第2の誘導電極11b)における一の導体210との対向面積を増加した場合であっても、複数の固定コンデンサCの静電容量を補充して並列共振の条件を保持することができる。
また、本実施形態に係る電源装置100は、2つの誘導電極1(第1の誘導電極11a、第2の誘導電極11b)を用いることで、第1の実施形態に係る電源装置100の2台分に相当する電力を得ることができる。
また、本実施形態に係る電源装置100は、2つの誘導電極1(第1の誘導電極11a、第2の誘導電極11b)に対して1つの遮蔽体2を共用して一体化しているために、部品点数の削減と取付工事における作業量の低減とを図ることができる。
(本発明の第3の実施形態)
図9は第3の実施形態に係る電源装置における変圧器の二次側の概略構成を示すブロック図である。図10(a)は図6に示す電源装置を用いた実験を説明するための説明図であり、図10(b)は従来の電源装置に対応する電源装置を用いた実験を説明するための説明図である。図11は図10(a)に示す実施例及び図10(b)に示す比較例における実験結果を示すグラフである。図9乃至図11において、図1乃至図8と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
本実施形態に係る電源装置100は、図9に示すように、前述した第2の実施形態に係る電源装置100における、第1の電源回路10a及び第2の電源回路10bを第1の電圧測定部25a及び第2の電圧測定部25bに対して負荷300側で一体化して電力を合成する回路としたもので、第1の前段DC/DCコンバータ24a及び第2の前段DC/DCコンバータ24bを前段DC/DCコンバータ24とし、第1の制御部26a及び第2の制御部26bを制御部26とし、第1のスイッチ部27a及び第2のスイッチ部27bをスイッチ部27とし、第1の後段DC/DCコンバータ28a及び第2の後段DC/DCコンバータ28bを後段DC/DCコンバータ28として、共通化させたものである。なお、図9において、第1の合成静電容量CNaは、a相の架空電力線201a及び第1の誘導電極11a間の浮遊静電容量Caaと、b相の架空電力線201b及び第1の誘導電極11a間の浮遊静電容量Cbaと、c相の架空電力線201c及び第1の誘導電極11a間の浮遊静電容量Ccaとを合成した静電容量である。また、図9において、第2の合成静電容量CNbは、a相の架空電力線201a及び第2の誘導電極11b間の浮遊静電容
量Cabと、b相の架空電力線201b及び第2の誘導電極11b間の浮遊静電容量Cbbと、c相の架空電力線201c及び第2の誘導電極11b間の浮遊静電容量Ccbとを合成した静電容量である。また、図9において、第1の浮遊静電容量C0aは、第1の誘導電極11a及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cであり、第2の浮遊静電容量C0bは、第2の誘導電極11b及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cである。
なお、この第3の実施形態においては、出力部3が第1の整流部22aからの直流電圧Vと第2の整流部22bからの直流電圧Vとを合成した直流電圧Voutを出力するところのみが第1の実施形態及び第2の実施形態と異なるところであり、電力を合成する回路による作用効果以外は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
本実施形態に係る電源装置100は、複数の誘導電極1から得られる電力を整流後に合成する回路を電源回路に用いることにより、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る電源装置100と比較して、1つの負荷300に大きな電力を供給することができ、消費電力の大きな負荷300を使用することもできる。
ここで、本実施形態に係る電源装置100による作用効果を検証するために、第2の実施形態に係る図6及び図8に示す電源装置100を用いて、以下に示す3通り(実施例1、実施例2、比較例)の電力の瞬時値を実験により測定した。なお、この実験では、3相の線間電圧を2200Vrmsとし、第1の静電容量調整部21a及び第2の静電容量調整部21bにおける複数の固定コンデンサCを調整して並列共振の条件を満たした後に、電力の瞬時値を測定した。
実施例1は、図10(a)に示すように、遮蔽体2の遮蔽作用により、1相(a相の架空電力線201a)のみからの静電誘導を受けて、電源装置100から第1の負荷300a側(第1の電源回路10aの第1の整流部22aより後段)に供給される電力の瞬時値を測定した。
また、実施例2は、図10(a)に示すように、遮蔽体2の遮蔽作用により、2相(b相の架空電力線201b、c相の架空電力線201c)のみからの静電誘導を受けて、電源装置100から第2の負荷300b側(第2の電源回路10bの第2の整流部22bより後段)に供給される電力の瞬時値を測定した。
また、比較例は、図10(b)に示すように、図6、図8及び図10(a)示す電源装置100から遮蔽体2及び第2の誘導電極11bを取り外し、3相(a相の架空電力線201a、b相の架空電力線201b、c相の架空電力線201c)からの静電誘導を受けて、電源装置100から第1の負荷300a側(第1の電源回路10aの第1の整流部22aより後段)に供給される電力の瞬時値を測定した。
実験結果は、図11の実線(実施例1)、一点鎖線(実施例2)及び破線(比較例)に示すように、瞬時供給電力P[mW]が時々刻々変化している。
この図11に示す波形を平均化し、平均電力の計算値として算出すると、3相からの静電誘導を受けた場合(比較例)が54.3mWとなり、1相のみからの静電誘導を受けた場合(実施例1)が79.0mWとなり、2相からの静電誘導を受けた場合(実施例2)が76.4mWとなる。
すなわち、実施例1に係る電源装置100は、従来の電源装置(比較例)と比較して、遮蔽体2による遮蔽の効果が顕著に現れて最も高い電力が得られ、実施例2に係る電源装置100は、実施例1に係る電源装置100の次に、高い電力が得られることがわかる。
特に、第3の実施形態に係る電源装置100は、図9に示すように、電力を合成する回路を用いることにより、平均電力の計算値が155.4mW(=79.0mW+76.4
mW)となり、従来の電源装置(比較例)と比較して、3倍弱の電力が得られることがわかる。
(本発明の第4の実施形態)
図12(a)は電源装置を送電鉄塔に設置する場合の誘導電極及び遮蔽体の位置関係を説明するための説明図であり、図12(b)は電源装置を送電鉄塔に設置する場合の遮蔽体の好ましい位置を説明するための説明図である。図12において、図1乃至図11と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
一般的な送電鉄塔500は、図12(a)に示すように、66kVの3相の架空電力線201を送電鉄塔500の両側に2回線敷設しており、遮蔽体2がない場合に、誘導電極1は6本の架空電力線201(a相の架空電力線201a、b相の架空電力線201b、c相の架空電力線201c、a’相の架空電力線201a’、b’相の架空電力線201b’、c’相の架空電力線201c’)から静電誘導を受けることになる。
このため、本実施形態に係る遮蔽体2は、誘導電極1を包囲する領域のうち、一の導体210(図12(a)では、a相の架空電力線201a及びb相の架空電力線201b)から発生する電界を誘導電極1に対して遮蔽しない開放領域と、他の導体220(図12(a)では、c相の架空電力線201c、a’相の架空電力線201a’、b’相の架空電力線201b’及びc’相の架空電力線201c’)から発生する電界を誘導電極1に対して遮蔽する遮蔽領域と、を備える。すなわち、誘導電極1は、例えば、大地電位(送電鉄塔500の脚など)に接続した断面が略コの字状の遮蔽体2に内包されることにより、6本の架空電力線201のうち数本の架空電力線201(図12(a)では4本の架空電力線201)からの電界が遮蔽される。
なお、図12(a)に示す誘導電極1並びに遮蔽体2の個数及び配置は一例であり、誘導電極1及び遮蔽体2の個数を変更することや、誘導電極1及び遮蔽体2の配置を変更して異なる相の架空電力線201からの静電誘導を受けることなどの様々な実施態様が考えられる。
特に、図12(b)に示すように、隣り合う架空電力線201間を結ぶ仮想面で囲まれた領域内に誘導電極1を配置すると共に、誘導電極1に最も近い架空電力線201(図12(b)ではa相の架空電力線201a)以外の架空電力線201のうち、誘導電極1を角の頂点として頂点から各架空電力線201を結ぶ半直線における2つの半直線のなす角が最も大きくなる架空電力線201(図12(b)ではb相の架空電力線201b、c’相の架空電力線201c’)間に存在する遮蔽体2を備える。この遮蔽体2により、誘導電極1に最も近い架空電力線201以外の全ての架空電力線201からの電界を遮蔽することができ、電力を効率よく得ることができる。
(本発明の第5の実施形態)
図13(a)は誘導電極及び遮蔽体を一体にした線状体の長手方向からみた断面図であり、図13(b)は誘導電極及び遮蔽体を一体にした他の線状体の長手方向からみた断面図であり、(c)は誘導電極及び遮蔽体を一体にしたさらに他の線状体の長手方向からみた断面図である。図13において、図1乃至図11と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
前述した第1の実施形態乃至第3の実施形態においては、誘導電極1及び遮蔽体2を別体にした場合について説明したが、図13に示すように、誘導電極1及び遮蔽体2間に絶縁体7を介在させ、誘導電極1及び遮蔽体2を絶縁体7で被覆させて、誘導電極1及び遮蔽体2を一体にした押出成形による線状体であってもよい。
図13(a)に示す線状体は、誘導電極1を中心に断面が円弧状の遮蔽体2が配設され、破線の領域において、周方向に遮蔽体2を回転させることや遮蔽体2の円弧の長さを変えるなどの調整を可能とする。また、図13(a)に示す線状体は、図12(a)に示すように、全ての架空電力線201が同一平面上に並設されない場合に有効であり、架空電力線201と同様に、送電鉄塔500のアームに碍子を介して吊り下げて設置される。
図13(b)に示す線状体は、2つの誘導電極1(第1の誘導電極11a、第2の誘導電極11b)の間に遮蔽体2が配設される。また、図13(b)に示す線状体は、図6に示すように、全ての架空電力線201が同一平面上に並設される場合に有効であり、長手方向の略中央において固定台402で支持されるのであるが、線状体が十分な剛性を有さずに湾曲する場合には、他の固定台で両端を支持する必要がある。
図13(c)に示す線状体は、支持線31を中心とする同心円状に誘導電極1又は遮蔽体2となり得る複数の細い導線が配設され、各導線がセレクター8に接続される。なお、支持線31は、線状体の剛性を高めることや張力をかけるために、線状体の構造上及び強度上で必要なものである。また、図13(c)に示す線状体は、図12(a)に示すように、全ての架空電力線201が同一平面上に並設されない場合に有効であり、支持線31を用いて両端を引き留めることで、送電鉄塔500に設置される。
セレクター8は、複数の導線を誘導電極1又は遮蔽体2として任意に設定できるものであり、複数の導線のうち誘導電極1とする導線を選択して変圧器4の一次側に接続すると共に、所定の架空電力線201からの電界を誘導電極1に対して遮蔽するように、誘導電極1として選択されていない残りの導線のうち、当該所定の架空電力線201に対向する領域に存在する遮蔽体2を選択して、選択した遮蔽体2を接地する。
図13(c)に示す線状体は、架空電力線201との位置関係に応じて、より大きなパワーが得られるように、複数の導体を誘導電極1又は遮蔽体2として適宜機能させることができ、電源装置100の様々な取り付け形態に対応することができる。
(本発明の第6の実施形態)
図14(a)は誘導電極及び遮蔽体を一体にした線状体における誘導電極を支持する場合の端末接続を説明するための説明図であり、図14(b)は図14(a)に示す線状体の矢視A−A’線の断面図であり、図14(c)は図14(a)に示す他の線状体の矢視A−A’線の断面図である。図15(a)は誘導電極及び遮蔽体を一体にした線状体における遮蔽体に接続された支持線を支持する場合の端末接続を説明するための説明図であり、図15(b)は図15(a)に示す線状体の矢視B−B’線の断面図であり、図15(c)は図15(a)に示す他の線状体の矢視B−B’線の断面図である。図16(a)は2つの誘導電極及び遮蔽体を一体にした線状体における遮蔽体に接続された支持線を支持する場合の端末接続を説明するための説明図であり、図16(b)は図16(a)に示す線状体の矢視C−C’線の断面図であり、図16(c)は図16(b)に示す線状体の他の実施態様を示す断面図である。図14乃至図16において、図1乃至図13と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
本実施形態においては、誘導電極1及び遮蔽体2を一体にした線状体30及び当該線状体30の架設手段(耐電圧性能を考慮した端末処理等)を具体化したものである。
まず、隣り合う支持物(例えば、電柱400又は送電鉄塔500)間に線状体30を架設するうえで、後述する支持線31を線状体30に用いることなく、誘導電極1自体が引張張力に耐えられる構造にした場合について、図14を用いて説明する。
なお、線状体30は、数m以上の長さで架設することが前提であるため、風圧や重量を考慮して誘導電極1の大きさを小さくする必要があり、例えば、図14(b)に示す線状
体30の外径は29mmである。
このため、本実施形態に係る誘導電極1は、第1の実施形態乃至第3の実施形態に係る誘導電極1と比較して、架空電力線201に対向する誘導電極1の単位長さ当たりの面積が小さくなり、単位長さ当たりの静電容量が減少することになる。
しかしながら、本実施形態に係る誘導電極1は、架空電力線201と平行に長く並設されるため、第1の実施形態乃至第3の実施形態に係る誘導電極1と比較して、架空電力線201に対向する誘導電極1の面積が総体的に大きくなり、架空電力線201及び誘導電極1間の静電容量が増加して、得られる電力が大きくなる。
線状体30は、図14(b)又は図14(c)に示すように、誘導電極1(例えば、素線数7本の硬銅より線)及び遮蔽体2間に第1の絶縁体7a(例えば、耐候性架橋ポリエチレン)を介在させ、誘導電極1及び遮蔽体2を第2の絶縁体7b(例えば、耐候性ポリエチレン)で被覆させて、誘導電極1及び遮蔽体2を一体にした押出成形により製造される。
なお、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cが大きくなりすぎると、誘導電極1及び遮蔽体2間の浮遊静電容量Cに対して並列に接続されるインダクタンスLを小さくしなければならず、変圧器4の鉄損分抵抗R(励磁コンダクタンスg)も必然的に下がってしまい、鉄損分抵抗Rに流れる電流IR0による損失が増大する。このため、第1の絶縁体7aは、比誘電率が小さいものとしてポリエチレン等を用いることが好ましい。
遮蔽体2は、図14(b)に示すように、第1の絶縁体7aと第2の絶縁体7bとの境界において、線状体30の長手方向に沿って複数の軟銅線を隣接して縦添えしたものや、図14(c)に示すように、第1の絶縁体7aと第2の絶縁体7bとの境界において、線状体30の長手方向に沿って半導電性フィルム又は導電性フィルムを縦添えしたものである。また、遮蔽体2は、第1の絶縁体7aと第2の絶縁体7bとの境界において、線状体30の長手方向に沿って半導電層を押出形成したものでもよい。
また、遮蔽体2は、材質が半導電性の部材を用いる場合には、隣り合う支持物間に架設する距離が長くなると電圧降下が発生する恐れがあり、フィルム状である場合には、線状体30の口出しにおける電気的な接続が容易でない場合があるために、線状体30の長手方向に沿って軟銅線(例えば、すずめっき軟銅線)を遮蔽体2(半導電性材の場合及び/又はフィルム状の場合)と共に縦添えした方が好ましい。
線状体30は、図14(a)に示すように、誘導電極1が接地しないようにするための碍子32を介して支持物(例えば、電柱400又は送電鉄塔500)に配設した引留クランプ33により、第1の絶縁体7a及び第2の絶縁体7bから露出させた誘導電極1が両端で把持され、隣り合う支持物間に架設される。
この場合に、誘導電極1は、線状体30の側面のうち遮蔽体2が配設されない領域で作用するため、架空電力線201から発生する電界を誘導電極1に対して遮蔽しない開放領域(例えば、図14(b)及び図14(c)であれば、紙面の左下側)を、静電誘導を受けたい相の架空電力線201に対向させる。
なお、静電誘導を受けたい相の架空電力線201に開放領域を対向させるためには、線状体30の外観から識別できる外形にすることや目印(例えば、色帯、突起等)を配設することが好ましい。
また、誘導電極1の一端は、耐圧を確保するためのブッシング34とリード線35とを介して変圧器4の一次側の一端に接続され、誘導電極1の両端における第1の絶縁体7aから露出させた部分が絶縁カバー36でそれぞれ被覆される。
また、遮蔽体2の一端は、リード線35を介して変圧器4の一次側における接地された他端に接続される。
なお、線状体30は、誘導電極1の外被(第1の絶縁体7a、第2の絶縁体7b)を剥離して誘導電極1を露出させて変圧器4に接続する場合に、誘導電極1及び遮蔽体2間にかかる電圧に耐え得る沿面距離dを確保する必要がある。
つぎに、隣り合う支持物(例えば、電柱400又は送電鉄塔500)間に線状体30を架設するうえで、支持線31を用いた場合について、図15を用いて説明する。
なお、図14に示す線状体30及び当該線状体30の架設手段と共通する部分及び条件については、説明を省略する。
線状体30は、図15(b)又は図15(c)に示すように、誘導電極1(例えば、素線数7本の軟銅より線)及び遮蔽体2間に第1の絶縁体7aを介在させ、誘導電極1及び遮蔽体2並びに支持線31を第2の絶縁体7bで被覆させて、誘導電極1及び遮蔽体2並びに支持線31を一体にした押出成形により製造される。また、図15(c)に示す線状体30の外形寸法は、高さが、例えば、39.5mmである。
遮蔽体2は、図15(b)に示すように、第1の絶縁体7aと第2の絶縁体7bとの境界において、線状体30の長手方向に沿って複数の軟銅線を隣接して縦添えしたものや、図15(c)に示すように、第1の絶縁体7aと第2の絶縁体7bとの境界において、線状体30の長手方向に沿って半導電性フィルム又は導電性フィルムを縦添えしたものである。
なお、本実施形態に係る支持線31は、所望の張力を持たせるために、素線数7本の亜鉛めっき鋼より線(断面積22mm)を用いているが、線状体30を架設する支持物間が長く(長径間に)なれば、亜鉛めっき鋼より線の断面積を太くすることになる。
線状体30は、図15(a)に示すように、支持物(例えば、電柱400又は送電鉄塔500)に配設した引留クランプ33により、第2の絶縁体7bから露出させた支持線31が両端で把持され、隣り合う支持物間に架設される。
なお、支持線31は、誘導電極1及び遮蔽体2としての機能を必要としないため、碍子32を介することなく、直接、支持物に固定することができる。
誘導電極1は、一端がリード線35及びブッシング34を介して変圧器4の一次側の一端に接続され、一端とリード線35との接続部分及び他端が絶縁カバー36でそれぞれ被覆される。
また、遮蔽体2の一端は、露出した支持線31に巻回して固定されており、支持線31を介して支持物の接地体(鋼材等)に間接的に接続して接地される。
また、変圧器4の一次側の他端は、支持物の接地体(鋼材等)に接続して接地される。
つぎに、線状体30が2つの誘導電極(第1の誘導電極11a、第2の誘導電極11b)を備え、隣り合う支持物(例えば、電柱400又は送電鉄塔500)間に線状体30を架設するうえで、支持線31を用いた場合について、図16を用いて説明する。
なお、図14並びに図15に示す線状体30及び当該線状体30の架設手段と共通する部分及び条件については、説明を省略する。
線状体30は、一例として、図16(b)に示すように、第1の絶縁体7aで被覆した第1の誘導電極11a(例えば、素線数19本の軟銅より線)と第1の絶縁体7aで被覆した第2の誘導電極11b(例えば、素線数19本の軟銅より線)とで、支持線31を接
触状態で内包したフィルム状の遮蔽体2(例えば、半導電性フィルム又は導電性フィルム)を把持した状態で、第2の絶縁体7bと共に押出成形により製造される。また、図16(b)に示す線状体30の外形寸法は、高さが、例えば、約25mmであり、幅が、例えば、39mmである。
また、線状体30は、他の例として、図16(c)に示すように、第1の絶縁体7aで被覆したフィルム状の第1の誘導電極11a(例えば、半導電性フィルム又は導電性フィルム)と第1の絶縁体7aで被覆したフィルム状の第2の誘導電極11b(例えば、半導電性フィルム又は導電性フィルム)とで、フィルム状の2枚の遮蔽体2を把持し、2枚の遮蔽体2上に支持線31を載置した状態で、第2の絶縁体7bを押出成形により被覆して製造される。また、図16(c)に示す線状体30の外形寸法は、高さが、例えば、約40mmであり、幅が、例えば、20mmである。
なお、図16(c)に示す線状体30は、架空電力線201及び誘導電極1(第1の誘導電極11a、第2の誘導電極11b)間における単位長さ当たりの静電容量を増加させるために、断面が円形の誘導電極1の外径を大きくしても、誘導電極1のサイズの増加に伴う効果が低いため、フィルム状の誘導電極1(第1の誘導電極11a、第2の誘導電極11b)を用いている。
また、図16(c)に示す線状体30は、第1の誘導電極11a及び第2の誘導電極11bがフィルム状のため、線状体30の口出しにおける電気的な接続が容易でない場合があるために、線状体30の長手方向に沿って軟銅線37(例えば、すずめっき軟銅線)を第1の誘導電極11a及び第2の誘導電極11bと共に縦添えしている。特に、第1の誘導電極11a及び第2の誘導電極11bとして、半導電性フィルムを用いる場合には、隣り合う支持物間に架設する距離が長くなると電圧降下が発生する恐れがあり、線状体30の長手方向に沿って軟銅線37を第1の誘導電極11a及び第2の誘導電極11bと共に縦添えすることは有効である。
線状体30は、図16(a)に示すように、支持物(例えば、電柱400又は送電鉄塔500)に配設した引留クランプ33により、第2の絶縁体7bから露出させた支持線31が両端で把持され、隣り合う支持物間に架設される。
この場合に、誘導電極1(第1の誘導電極11a、第2の誘導電極11b)は、架空電力線201から発生する電界を第1の誘導電極11aに対して遮蔽しない側(例えば、図16(b)及び図16(c)であれば、紙面の右側)を、静電誘導を受けたい一の相の架空電力線201に対向させ、架空電力線201から発生する電界を第2の誘導電極11bに対して遮蔽しない側(例えば、図16(b)及び図16(c)であれば、紙面の左側)を、静電誘導を受けたい他の相の架空電力線201に対向させる。
第1の誘導電極11aは、一端がリード線35及びブッシング34を介して第1の変圧器14aの一次側の一端に接続され、第2の誘導電極11bは、一端がリード線35及びブッシング34を介して第2の変圧器14bの一次側の一端に接続される。
また、第1の誘導電極11a及び第2の誘導電極11bは、リード線35との接続部分である一端と他端とが絶縁カバー36でそれぞれ被覆される。
また、遮蔽体2は、支持線31に接触しているため、支持線31を介して支持物の接地体(鋼材等)に間接的に接続して接地される。
また、第1の変圧器14a及び第2の変圧器14bにおける一次側の他端は、支持物の接地体(鋼材等)にそれぞれ接続して接地される。
1 誘導電極
1a 対向面
2 遮蔽体
3 出力部
3a 第1の出力部
3b 第2の出力部
4 変圧器
4a 理想変圧器
6 保護カバー
7 絶縁体
7a 第1の絶縁体
7b 第2の絶縁体
8 セレクター
9 絶縁スペーサー
10 電源装置本体
10a 第1の電源回路
10b 第2の電源回路
11a 第1の誘導電極
11b 第2の誘導電極
14a 第1の変圧器
14b 第2の変圧器
21a 第1の静電容量調整部
21b 第2の静電容量調整部
22a 第1の整流部
22b 第2の整流部
23a 第1の保護回路
23b 第2の保護回路
24 前段DC/DCコンバータ
24a 第1の前段DC/DCコンバータ
24b 第2の前段DC/DCコンバータ
25a 第1の電圧測定部
25b 第2の電圧測定部
26 制御部
26a 第1の制御部
26b 第2の制御部
27 スイッチ部
27a 第1のスイッチ部
27b 第2のスイッチ部
28 後段DC/DCコンバータ
28a 第1の後段DC/DCコンバータ
28b 第2の後段DC/DCコンバータ
30 線状体
31 支持線
32 碍子
33 引留クランプ
34 ブッシング
35 リード線
36 絶縁カバー
37 軟銅線
100 電源装置
200 導体
201 架空電力線
201a a相の架空電力線
201b b相の架空電力線
201c c相の架空電力線
210 一の導体
220,221 他の導体
221a 対向面
300 負荷
300a 第1の負荷
300b 第2の負荷
400 電柱
401 腕金
402 固定台
500 送電鉄塔

Claims (7)

  1. 複数の導体のうち一の導体近傍に配設される誘導電極と、
    前記複数の導体のうち他の導体の少なくとも1つの導体及び前記一の導体間に配設され、当該他の導体の少なくとも1つの導体から発生する電界を前記誘導電極に対して遮蔽する接地された遮蔽体と、
    前記誘導電極及び遮蔽体間の浮遊静電容量と、
    前記浮遊静電容量に対して並列に接続されるインダクタンスと、
    前記浮遊静電容量及び前記インダクタンスによる並列回路の両端から引き出される出力部と、
    を備え、
    前記並列回路を並列共振回路として、前記出力部から負荷に電力を供給することを特徴とする電源装置。
  2. 前記請求項1に記載の電源装置において、
    一次側の一端が前記誘導電極に接続され、一次側の他端が前記遮蔽体に接続されると共に、一次電圧を降圧させて二次電圧を出力する変圧器を備え、
    前記インダクタンスが、前記出力部を二次側とする前記変圧器の励磁サセプタンス成分に対応することを特徴とする電源装置。
  3. 前記請求項2に記載の電源装置において、
    前記遮蔽体が、前記複数の導体のうち他の導体の少なくとも1つの導体における前記誘導電極に対向する導体の対向面の周縁部及び当該導体に対向する前記誘導電極の対向面の周縁部間を結ぶ面に囲まれた領域に対して当該領域を複数の領域に分断する位置に配設されることを特徴とする電源装置。
  4. 前記請求項2又は3に記載の電源装置において、
    前記遮蔽体が、前記一の導体及び他の導体間に配設され、
    前記誘導電極が、前記一の導体及び遮蔽体間に配設される第1の誘導電極と、前記他の導体及び遮蔽体間に配設される第2の誘導電極と、を備え、
    前記変圧器が、一次側の一端が前記第1の誘導電極に接続され、一次側の他端が前記遮蔽体に接続される第1の変圧器と、一次側の一端が前記第2の誘導電極に接続され、一次側の他端が前記遮蔽体に接続される第2の変圧器と、を備えることを特徴とする電源装置。
  5. 前記請求項2乃至4のいずれかに記載の電源装置において、
    前記第1の変圧器の二次側の両端から引き出され、交流電力を直流電力に変換する第1の整流部と、
    前記第2の変圧器の二次側の両端から引き出され、交流電力を直流電力に変換する第2の整流部と、
    を備え、
    前記出力部が、前記第1の整流部からの直流電力と前記第2の整流部からの直流電力とを合成した直流電力を出力することを特徴とする電源装置。
  6. 前記請求項1乃至5のいずれかに記載の電源装置において、
    前記遮蔽体が、前記誘導電極を包囲する領域のうち、前記一の導体から発生する電界を前記誘導電極に対して遮蔽しない開放領域と、前記他の導体から発生する電界を前記誘導電極に対して遮蔽する遮蔽領域と、を備えることを特徴とする電源装置。
  7. 前記請求項1乃至6のいずれかに記載の電源装置において、
    前記導体電極及び遮蔽体が、絶縁体で被覆され、一体に成形されてなることを特徴とする電源装置。
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