JP2013172387A - フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】調整工程を追加することなく、フィルタの中心周波数を変更することが可能なフィルタの技術を提供する。
【解決手段】第1の誘電体基板と、該第1の誘電体基板の一端面及び他端面にそれぞれ設けられた第1及び第2の導体層と、該第1及び第2の導体層を電気的に接続して、共振器と該共振器間を結合させる誘導性窓とを形成する導体と、前記第1の導体層に対向して配置され、該第1の導体層と電気的に接続する第3の導体層とを備え、前記第1の導体層の前記共振器領域には第1の開口部が形成され、第3の導体層にはその開口寸法に応じて所望の周波数特性に調整可能な第2の開口部が形成されているフィルタを備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、通信装置に使用されるフィルタに関し、特に誘電体導波管型フィルタに関する。
通信装置においては、所望の信号周波数帯以外を抑圧するために、フィルタが使用される。図1には、通信装置の無線周波数帯(RF)送受信ブロックの一例を示す。送信ブロック1において、アップコンバートミキサ2aには、局部発振器3により生成されるミキサ駆動用局発(LO)信号と、入力端子4aを介して中間周波数(IF)信号とが入力される。アップコンバートミキサ2aにより生成される所望RF信号以外の不要波を抑圧するフィルタ5aが、アップコンバートミキサ2aの次段に配置される。フィルタ5aを通過した所望信号は、送信電力増幅器6により、所望電力まで増幅され、送受信間のアイソレーション回路7(分波器、サーキュレータ等)を介して、アンテナ8に接続される。また、受信ブロック9においては、アンテナ8で受信したRF信号は、アイソレーション回路7により、選択的に受信ブロック9に給電される。給電されたRF信号は、低雑音増幅器10により増幅され、ダウンコンバートミキサ2bに入力される。低雑音増幅器10では、雑音も増幅されているため、出力端子4bから出力されるIF信号には、イメージ周波数帯の雑音が重畳される。これを避けるために、低雑音増幅器10とダウンコンバートミキサ2b間には、所望RF信号以外の不要波を抑圧するフィルタ5bが挿入される。このような送受信ブロック1、9の各回路素子(ミキサ2a、2b、局部発振器3、送信電力増幅器6、低雑音増幅器10)は、プリント基板(PWB)上に、BGAや、SMDの表面実装形態で実装される。一方、フィルタ5a、5bにおいては、10GHz帯以上の高周波数帯では、表面実装形態のフィルタはあまりなく、プリント基板(PWB)上に、形成されることも多い。
PWB上に形成されるフィルタ5a、5bとしては、従来のマイクロストリップ構成に加えて、近年、開放系のマイクロストリップ構成と比較して放射損失が抑圧できる、閉鎖系の誘電体導波管構成も使用されるようになっている。図2には、2段誘電体導波管型フィルタ11の構成図を示す。図2(a)は、フィルタの上面図、図2(b)は、図2(a)中の一点鎖線A−A’における断面図である。誘電体基板12の上層導体面13aと下層導体面13bとが、導波管構造内の1/2波長以下のピッチで形成されたビアホール列14により接続されることにより、擬似的な導波管構造が形成される。導波管構造内には、結合用ビアホール15が形成され、結合用ビアホール15で挟まれた領域が誘電体導波管型共振器16を構成する。共振器16間の結合は、誘導性であり、結合度は、結合用ビアホール15間の間隔、位置等により決定される。また、PWB基板上の伝送線路であるマイクロストリップ線路(ストリップ導体17が信号導体で、下層導体面13bがグランド)と、誘電体導波管構造とは、テーパー状のマイクロストリップ線路−導波管変換18を介して接続される。
特開平8−78903号公報 特開2003−110322号公報 国際公開第2004/075337号 実公平4−27201号公報
上記の通信装置で、RF周波数が異なる複数の周波数構成がある場合、フィルタ5a、5bの中心周波数をRF周波数と一致させるため、PWB基板をRF周波数毎に作製するか、或いは、フィルタ5a、5bの中心周波数を、個別に調整する必要がある。特許文献1には、誘電体導波管型フィルタを構成する誘電体導波管型共振器の共振周波数を調整する方法が記載されている。特許文献1では、共振器を構成する導体面の一部を除去することにより、誘電体内に閉じ込められていた電磁界の一部が空気内に分布するようになる。その結果、共振器の電磁界の境界条件が短絡端から開放端に変わることに加えて、電磁界が分布する領域の実効的な誘電率が低下するため、共振周波数が上昇する。また、反対に、共振器を構成する導体面の一部を予め除去した面に、導体膜を付加することにより、共振器外に分布していた電磁界の一部を誘電体共振器内に閉じ込める。その結果、共振器の電磁界の境界条件が開放端から短絡端に変わることに加えて、電磁界が分布する領域の実効的な誘電率が上昇するため、共振周波数が低下する。このように、導体面の除去、或いは、付加により、周波数を調整することができるが、特許文献1の方法では、PWB毎に、個別の調整工程が必要となり、製造コストが増大するという問題があった。
また、通信装置に使用するフィルタの共振周波数を変化させるため、特許文献2では、共振器に形成した開口部に付加するバラクタによる電気的な容量変化を利用している。さらに、特許文献3では、共振器に形成した導体面の一部を機械的に切除又は予め形成した開口部に機械的に導体を付加し、特許文献4では、共振器に形成した開口部に面した誘導体を機械的に摺動させることにより電気的な開口サイズに変化させている。これらの共振器では、PWB基板上に実装する表面実装部品と、開口を形成した基板を同時に表面実装する構成を採用していないため、調整のための工数が必要となり、製造コストが増大するといった問題があった。
以上の点に鑑み、本発明の実施形態は、調整工程を追加することなく、フィルタの中心周波数を変更することが可能なフィルタの技術を提供することを目的とする。
上述の課題に鑑み、本発明の一態様は、第1の誘電体基板と、該第1の誘電体基板の一端面及び他端面にそれぞれ設けられた第1及び第2の導体層と、該第1及び第2の導体層を電気的に接続して、共振器と、該共振器間を結合させる誘導性窓とを形成する導体と、前記第1の導体層に対向して配置され、該第1の導体層と電気的に接続する第3の導体層とを備え、前記第1の導体層の前記共振器領域には第1の開口部が形成され、第3の導体層にはその開口寸法に応じて所望の周波数特性に調整可能な第2の開口部が形成されていることを特徴とするフィルタに関する。
上記の構成では、第2の開口部のサイズを変更することにより、フィルタの中心周波数を変更することができる。また、この第2の開口部を持つ導体層は、導体板、或いは、誘電体基板上に形成した導体層として実現される。これにより、送受信モジュールを構成する回路素子(ミキサ、発振器、増幅器等)をPWBに表面実装する工程において、同時に、導体板、或いは、誘電体基板を実装することができる。従って、調整工程を追加することなく、フィルタの中心周波数を変更することができる。
図3には、本発明の2段誘電体導波管型フィルタ11の構成図を示す。誘電体導波管型フィルタ11において、誘電体基板12の上層13a、及び、下層導体面13bとが、導波管構造内の1/2波長以下のピッチで形成されたビアホール列14により接続されることにより、擬似的な導波管構造が形成される。導波管構造内には、結合用ビアホール15が形成され、結合用ビアホール15で挟まれた領域が共振器16を構成する。共振器16間の結合は、誘導性であり、結合度が、結合用ビアホール15間の間隔、位置等により決定されることにより、フィルタ基板19が形成される。共振器16の上層導体面13aには、導体層を除去した開口20が形成される。開口20の上部には、導体板21からなるカバー基板22が、半田ボール23によりBGA接続される。これにより、下層導体面13b、導体板21、ビアホール列14、結合用ビアホール15、半田ボール23で囲まれる領域がTE110誘電体導波管型共振器16となる。導体板21には、共振器16の中央上部(電界強度が大の領域)に、開口24が形成される。
本発明によると、誘電体導波管型のフィルタにおいては、調整工程を付加することなく、周波数を変更することができる。
本発明の更なる利点及び実施形態を、記述と図面を用いて下記に詳細に説明する。
通信装置の送受信ブロック図である。 従来の誘電体導波管型フィルタの構造図であり、(a)は、フィルタの上面図、(b)は、一点鎖線A−A’の断面図である。 本発明による第1の実施例を示す構造図であり、(a)は、フィルタの斜視図、(b)は、一点鎖線B−B’の断面図である。 本発明によるBGAの接続信頼性を向上する構造図である。 本発明による第2の実施例を示す構造図であり、(a)は、フィルタの斜視図、(b)は、一点鎖線C−C’の断面図、(c)は、方向aから見た平面図、(d)は、方向a’から見た平面図である。 本発明による放射による損失を低減する構造図であり、(a)は、図5中の一点鎖線C−C’の断面図、(b)は、方向bから見た平面図、(c)は、方向b’から見た平面図である。 本発明による第3の実施例を示す構造図であり、(a)は、フィルタの斜視図、(b)は、一点鎖線D−D’の断面図、(c)は、方向cから見た平面図、(d)は、方向c’から見た平面図である。 本発明による第4の実施例を示す構造図であり、(a)は、フィルタの斜視図、(b)は、一点鎖線E−E’の断面図である。 本発明による第1の実施例のフィルタにおいて、開口サイズにより変化するフィルタの周波数特性を計算した結果であり、(a)は、フィルタの通過、及び、反射特性、(b)は、開口サイズによるフィルタの中心周波数の変化である。 本発明による第2の実施例のフィルタにおいて、カバー基板の比誘電率によるフィルタの中心周波数の変化を計算した結果である。 本発明による第4の実施例のフィルタにおいて、開口サイズにより変化するフィルタの周波数特性を計算した結果であり、(a)は、フィルタの通過、及び、反射特性、(b)は、開口サイズによるフィルタの中心周波数の変化である。
以下、本発明の好ましい実施形態に従うフィルタについて、添付図面を参照しながら詳しく説明する。但し、以下に説明する実施例によって本発明の技術的範囲は何ら限定解釈されることはない。
(第1の実施例)
本発明の実施例1について、図3を使用して、詳細に説明する。図3(a)は、フィルタの斜視図、図3(b)は、図3(a)中の一点鎖線B−B’における断面図である。誘電体導波管型フィルタ11において、誘電体基板12の上面(一端面)に上層導体面13a、及び、下面(他端面)に下層導体面13bとが形成され、導波管構造内の1/2波長以下のピッチで形成されたビアホール列14により接続されることにより、擬似的な導波管構造が形成される。導波管構造内には、結合用ビアホール15が形成され、結合用ビアホール15で挟まれた領域が共振器16を構成する。共振器16間の結合は、誘導性であり、結合度が、結合用ビアホール15間の間隔、位置等により決定されることにより、フィルタ基板19が形成される。共振器16の上層導体面13aには、導体層を除去した開口20が形成される。開口20の上部には、導体板21からなるカバー基板22が、半田ボール23によりBGA接続される。これにより、下層導体面13b、導体板21、ビアホール列14、結合用ビアホール15、半田ボール23で囲まれる領域がTE110誘電体導波管型共振器16となる。導体板21には、共振器16の中央上部(電界強度が大の領域)に、開口24が形成される。この開口サイズを変更することにより、公知文献1と同様に、共振器16への電磁界(この場合は電界)の閉じ込め度、すなわち、共振周波数を変化させることができる。本実施例では、送受信モジュールを構成する回路素子(ミキサ、発振器、増幅器等)をPWBに表面実装する工程において、同時に、カバー基板22を実装することができるため、調整工程を追加することなく、フィルタの中心周波数を変更することができる。
図9には、開口24のサイズを変更した場合の、フィルタの周波数特性を計算した結果を示す。図9(a)は、フィルタの通過、及び、反射の周波数特性、図9(b)は、フィルタの中心周波数の開口サイズによる変化である。なお、計算においては、媒質は無損失とし、放射による損失のみを考慮した。誘電体基板12をポリフェニルエーテル(PPE)(比誘電率3.1、基板厚0.3mm)、導体板21(基板厚0.1mm)とし、開口24を直径dの円形とした。開口サイズの増大に伴い、フィルタの中心周波数が上昇していることが確認できる。ここで、開口サイズが大きい場合(d=1.6mm)に、通過損失が大きくなっているのは、開口24からの放射損失に起因している。
本実施例においては、図4に示すように、フィルタ基板19とカバー基板22の間にアンダーフィル材25を充填することにより、半田ボール23の接続信頼性を向上させることができる。
(第2の実施例)
本発明の第2の実施例について、図5を使用して、詳細に説明する。図5(a)は、フィルタの斜視図、図5(b)は、図5(a)中の一点鎖線C−C’における断面図、図5(c)は、カバー基板を図5(b)中の方向aから見た平面図、図5(d)は、カバー基板を図5(b)中の方向a’から見た平面図である。フィルタ基板19については、第1の実施例と同じであるため、ここでは、説明を省略する。本実施例のカバー基板22では、誘電体基板26の下面の下層導体面13cに、開口27が形成される。フィルタ基板19の開口20の上部には、カバー基板22が、半田ボール23によりBGA接続される。これにより、フィルタ基板19の下層導体面13b、カバー基板22の下層導体面13c、ビアホール列14、結合用ビアホール15、半田ボール23で囲まれる領域がTE110誘電体導波管型共振器16となる。本実施例の開口27は、薄い導体層に形成するため、厚い導体板21に形成する第1の実施例と比較して、開口サイズ、すなわち、フィルタの中心周波数を高い精度で制御できる。
図10には、誘電体基板26の比誘電率を変化させた場合の、フィルタの中心周波数の変化を計算した結果を示す。なお、計算においては、誘電体基板26の厚さを0.2mmとした(その他の計算条件は図9と同じ)。比誘電率が大きくなるにつれて、中心周波数の変化量が小さくなっている。これは、開口27の形成により周波数を上昇させる効果と、空気に比べて高い誘電率の誘電体基板26により周波数を低下させる効果とが、打ち消し合うためである。従って、誘電体基板26は、できるだけ誘電率が低い基板(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(比誘電率2〜3))であることが望ましい。
図6には、放射による損失を低減できるカバー基板の構成を示す。図6(a)は、図5(a)中の一点鎖線C−C’におけるフィルタの断面図、図6(b)は、カバー基板を図6(a)中の方向bから見た平面図、図6(c)は、カバー基板を図6(c)中の方向b’から見た平面図である。誘電体基板26には、開口27を有する下層導体面13cと、上層導体面13dとが形成されている。また、下層導体面13cと上層導体面13dとは、開口27の外周を囲むように、誘電体基板26内での1/2波長以下のピッチで形成されたビアホール列28により電気的に接続されている。この構成では、共振器16から、開口27を介して、漏れ出る電磁界を誘電体基板26内に閉じ込めることができるため、放射による損失を抑圧できる。
本実施例においても、第1の実施例で記載した図4と同様に、フィルタ基板19とカバー基板22の間にアンダーフィル材25を充填することにより、半田ボール23の接続信頼性を向上させることができる。
(第3の実施例)
本発明の第3の実施例について、図7を使用して、詳細に説明する。図7(a)は、フィルタの斜視図、図7(b)は、図7(a)中の一点鎖線D−D’における断面図、図7(c)は、カバー基板を図7(b)中の方向cから見た平面図、図7(d)は、カバー基板を図7(b)中の方向c’から見た平面図である。フィルタ基板19については、第1の実施例と同じであるため、ここでは、説明を省略する。本実施例のカバー基板22では、誘電体基板26の下面に下層導体面13c、上面に上層導体面13dが形成され、それぞれが、誘電体基板26内での1/2波長以下のピッチで形成されたビアホール列28により、電気的に接続される。下層導体面13cには、フィルタ基板19上の開口20と、同程度のサイズの開口29が形成される。フィルタ基板19の下層導体面13b、カバー基板22の上層導体面13d、フィルタ基板19のビアホール列14、カバー基板22のビアホール列28、結合用ビアホール15、半田ボール23で囲まれる領域が、TE110誘電体導波管型共振器16となる。カバー基板22上の上層導体面13dには、開口27が形成される。この開口27のサイズを変更することにより、本発明の第2の実施例と同様に、フィルタの中心周波数を変化させることができる。本実施例では、共振器16が、2つの誘電体基板12、26から構成されるため、開口27のサイズによる変化に加えて、誘電体基板26による誘電体共振器の実効的な誘電率の変化によっても、フィルタの中心周波数を変化させることができる。その結果、広範囲に中心周波数を変化させることができる。
本実施例においても、第1の実施例で記載した図4と同様に、フィルタ基板19とカバー基板22の間にアンダーフィル材25を充填することにより、半田ボール23の接続信頼性を向上させることができる。
第1から第3の実施例においては、誘電体導波管型共振器16の動作モードを、基底のTE110としたが、その他のTE210等の高次モードとしても良い。その場合、各モードの電界強度が大となる箇所に開口24を形成することにより、開口サイズの増大と共にフィルタの中心周波数を上昇させることができる。実施例では、開口24、27の形状を円形としたが、矩形、或いは、その他の形状でも構わない。また、開口24、27の個数を、複数としても構わない。実施例では、フィルタ基板19とカバー基板22とを、離散的に配置した半田ボール23により接続したが、半田等により連続的なパターンで電気的に接続しても構わない。特に、高次モードを使用する場合は、電界強度が大となる部分が複数となるため、開口24、27を複数とすることにより、効率的に大きな周波数変化量を得ることができる。実施例では、フィルタの段数を2段としたが、適宜、必要なフィルタ性能を満足するように、段数を変更しても構わない。なお、図3、5、7の説明では、PWB基板上の平面伝送線路(マイクロストリップ線路等)から導波管構造への接続は、記述していないが、例えば、図1に示す従来例の導波管変換18を使用することができる。
(第4の実施例)
本発明の第4の実施例について、図8を使用して、詳細に説明する。図8(a)は、フィルタの斜視図、図8(b)は、図8(a)中の一点鎖線E−E’における断面図である。フィルタ基板19については、第1の実施例と同じであるため、ここでは、説明を省略する。フィルタ基板19上の開口20の上部には、導体板21からなるカバー基板22が、半田ボール23によりBGA接続される。これにより、下層導体面13b、導体板21、ビアホール列14、結合用ビアホール15、半田ボール23で囲まれる領域がTE110誘電体導波管型共振器16となる。導体板21には、共振器16の端上部(磁界強度が大の領域)に、矩形スロット状の開口30が形成される。開口サイズを変更することにより、共振器16への電磁界(この場合は磁界)の閉じ込め度、すなわち、共振周波数を変化させることができる。
図11には、開口30のサイズを変更した場合の、フィルタの周波数特性を計算した結果を示す。図11(a)は、フィルタの通過、及び、反射の周波数特性、図11(b)は、フィルタの中心周波数の開口サイズによる変化である。なお、計算においては、開口30を長さl、幅0.2mmの長方形とした(その他の計算条件は図9と同じ)。開口長さlの増大に伴い、フィルタの中心周波数が低下していることが確認できる。ここで、第1から第3の実施例と異なり、開口長さlの増大につれて、中心周波数が低下するのは、共振器端部のインダクタンスが増大するためである。また、開口長さlが大きい場合(l=2mm)に、通過損失が大きくなっているのは、開口からの放射損失に起因している。
本実施例においても、第1の実施例で記載した図4と同様に、フィルタ基板19とカバー基板22の間にアンダーフィル材25を充填することにより、半田ボール23の接続信頼性を向上させることができる。また、第2、第3の実施例と同様に、カバー基板22を、誘電体基板26から成る構成としても良い。実施例では、誘電体導波管型共振器16の動作モードを、基底のTE110としたが、その他のTE210等の高次モードとしても良い。その場合、各モードの磁界強度が大となる箇所に開口30を形成することにより、開口長さの増大と共に、フィルタの中心周波数を低下させることができる。実施例では、開口30の形状を矩形としたが、その他の形状でも構わない。但し、磁界強度の大となる部分は、電界強度が大となる領域を囲むように、帯状に分布するため、開口30も、細長いスロット状であることが望ましい。また、開口30の個数は、適宜変更しても構わない。実施例では、フィルタ基板19とカバー基板22とを、離散的に配置した半田ボール23により接続したが、半田等により連続的なパターンで電気的に接続しても構わない。実施例では、フィルタの段数を2段としたが、適宜、必要なフィルタ性能を満足するように、段数を変更しても構わない。なお、図8の説明では、PWB基板上の平面伝送線路(マイクロストリップ線路等)から導波管構造への接続は、記述していないが、例えば、図1に示す従来例の導波管変換18を使用することができる。
以上説明した本発明の第1の実施例においては、以下に記載するような効果を奏する。
第1の効果は、誘電体導波管型のフィルタにおいて、調整工程を付加することなく、周波数を変更することができる。また、各実施例によるフィルタの共振器では、PWB基板上に実装する表面実装部品と、開口を形成した基板を、同時に表面実装できるため、調整のための工数が不要となる効果が得られる。
1 送信ブロック
2a,2b ミキサ
3 局部発振器
4a,4b 入出力端子
5a,5b フィルタ
6 送信電力増幅器
7 アイソレーション回路
8 アンテナ
9 受信ブロック
10 低雑音増幅器
11 誘電体導波管型フィルタ
12,26 誘電体基板
13a〜13d 導体面
14,28 ビアホール列
15 結合用ビアホール
16 誘電体導波管型共振器
17 ストリップ導体
18 マイクロストリップ−導波管変換
19 フィルタ基板
20,24,27,29,30 開口
21 導体板
22 カバー基板
23 半田ボール
25 アンダーフィル材

Claims (10)

  1. 第1の誘電体基板と、該第1の誘電体基板の一端面及び他端面にそれぞれ設けられた第1及び第2の導体層と、該第1及び第2の導体層を電気的に接続して、共振器と該共振器間を結合させる誘導性窓とを形成する導体と、前記第1の導体層に対向して配置され、該第1の導体層と電気的に接続する第3の導体層とを備え、前記第1の導体層の前記共振器領域には第1の開口部が形成され、第3の導体層にはその開口寸法に応じて所望の周波数特性に調整可能な第2の開口部が形成されていることを特徴とするフィルタ。
  2. 前記第1の導体層と前記第2の導体層とを電気的に接続する導体は複数のビアホールであり、隣接する該ビアホールの中心間の距離が前記第1の誘電体基板内の波長の1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
  3. 第2の誘電体基板をさらに有し、前記第3の導体層は、第2の誘電体基板の他端面に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフィルタ。
  4. 前記第2の誘電体基板の一端面には第4の導体層が形成されており、前記第3の導体層と第4の導体層とが、前記第2の開口部を囲むように配置された導体により電気的に接続されていることを特徴とする請求項3に記載のフィルタ。
  5. 前記第4の導体層に、第3の開口部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のフィルタ。
  6. 前記共振器領域に分布する電磁界において、電界が大となる部分に、前記第2の開口部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のフィルタ。
  7. 前記共振器領域に分布する電磁界において、磁界が大となる部分に、前記第2の開口部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のフィルタ。
  8. 前記共振器領域に分布する電磁界において、電界が大となる部分に、前記第3の開口部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のフィルタ。
  9. 前記共振器領域に分布する電磁界において、磁界が大となる部分に、前記第3の開口部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のフィルタ。
  10. 前記第1の導体層と前記第3の導体層との間が、誘電体により充填されていることを特徴とする請求項1から請求項9の何れか一項に記載のフィルタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101740853B1 (ko) 2016-02-12 2017-05-29 고려대학교 산학협력단 주파수 대역의 전환이 가능한 공진기 및 이를 이용한 공진기 필터

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