JP2013172335A - 画像符号化装置及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 一度のスキャンで簡易に精度良く符号化の種別の判定が可能な技術を提供する。
【解決手段】 差分値算出部はラスタースキャン順にタイル内の画素データを読み込み、着目画素と例えば直前に読み込まれた画素の差分の絶対値を算出する。強エッジカウント部は、エッジと見なすための閾値を超える差分の絶対値が算出される回数をカウントし、エッジ強度算出部は、その閾値以上の差分の絶対値を累積カウントし、閾値を超える差分の平均値を求める。差分値0数カウント部は、差分が0の個数をカウントする。符号化方式選択部は、閾値を超える差分の平均値の取り得る範囲、差分が0の個数の取り得る範囲を2次元座標軸とする空間を二分する境界線のいずれに、閾値を超える差分の平均値と、差分が0の個数で表わされる座標が位置するかで、着目タイルを可逆符号化すべきか、非可逆符号化すべきかを判定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、画像データを符号化する技術に関するものである。
一般に、自然画や、文字・線画などが混在した画像に対して、単一方式で符号化を行うと圧縮効率が良いとは言えない。そこで、画像の特性に応じて符号化方式を適応的に切り替える方法が提案されてきた。例えば、タイル単位に、白地抽出とエッジ抽出を行うことで、文字領域と絵柄領域を判定し、それぞれに適した符号化方式を適用する方法がその代表である(特許文献1参照)。この方法では、エッジ画素の形状パターンを、予め定められたエッジパターンと比較することで、文字領域であるか否かの判定を行っており、比較するエッジパターンが多いほど精度よくエッジ抽出を行うことが可能になる。
また、画像をタイルに分割し、各タイルについてその特性を表わす複数の指標値を算出してその属性を判断し、タイル毎に符号化する方式を切り替えるような方法がある(特許文献2参照)。この方法では、各指標値の算出のために、水平方向と垂直方向の画素値の変化を解析値として使用したり、タイルの色数を算出するなど、様々な演算を行う。。
特開平4−356873号公報 米国特許第7218784号公報
従来の方式では、エッジ抽出のために、予め定められたエッジパターンとの比較を行ったり、水平方向と垂直方向の画素値の変化を解析値として使用している。このため、適切な符号化方式を選択するための演算コストが大きくなり、処理速度も遅くなる等の問題が発生した。
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、一度のスキャンで簡易に精度良く符号化の種別の判定が可能な技術を提供しようとするものである。
この課題を解決するため、例えば本発明の画像符号化装置は以下の構成を備える。すなわち、
画像データを符号化する画像符号化装置であって、
符号化対象の画像データから、予め設定された複数の画素で構成されるタイルを単位に入力する入力手段と、
該入力手段で入力した着目タイル内の画像データから、予め設定されたルートに沿って順に画素データを読み取り、読み取った着目画素データが示す値と当該着目画素より前に読み取った画素データが示す値との差を算出し、出力する算出手段と、
該算出手段より差が出力される度に、エッジ有りと判定するための第1の閾値以上の値を持つ差が算出される回数をカウントする第1のカウント手段と、
該算出手段より差が出力される度に、前記第1の閾値よりも小さく、予め設定された第2の閾値を下回る差が算出される回数をカウントする第2のカウント手段と、
前記算出手段による前記着目タイル内の全画素に対する差の算出が完了したとき、前記第1のカウント手段、前記第2のカウント手段それぞれでカウントされた値に基づき、前記着目タイルに対する符号化方法として可逆符号化とすべきか、非可逆符号化とすべきかを判定する判定手段と、
該判定手段による判定された符号化方法に従い、前記着目タイルの画像データを符号化する符号化制御手段とを有する。
本発明によれば、一度のスキャンという簡易なスキャンで、高速、かつ、精度良く符号化種別を判定できる。これにより、演算コストを抑えながら、適切な符号化方式選択が可能となり、同等画質レベルでの符号量の改善、あるいは、同等符号量での画質改善が可能となる。更には、ユーザの要求する動作モードによって符号化方式の判定精度を簡単に制御できる技術を提供する。
第1の実施形態に係る画像符号化装置のブロック図。 第1の実施形態に係る符号化方式判定部のブロック図。 第1の実施形態に係るパラメータ分布を示す図。 第1と第3の実施形態において処理対象とする画像の例を示す図。 タイル中のサブサンプリング対象の画素を示す図。 符号化対象画像データとタイルの関係を表す図。 JPEG符号化データの構成図を示す図。 第2の実施形態に係る符号化方式判定部の処理手順を示すフローチャート。 符号化データの構造を表す図。 第3の実施形態に係る画像符号化装置のブロック図。 第3の実施形態に係る符号化方式判定部の処理手順を示すフローチャート。 第3の実施形態に係るパラメータ分布を示す図。 実施形態の画像符号化装置をコンピュータによって実現する場合のコンピュータのブロック図。 第1の実施形態の変形例における画像符号化手順を示すフローチャート。
以下、添付図面に従って本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る画像符号化装置のブロック構成図である。この画像符号化装置は、ストライプバッファ101、タイル分割部102、タイルバッファ103、符号化方式判定部104、可逆符号化部105、非可逆符号化部106、符号化データバッファ107、符号列形成部108を有する。なお、図示において、120、121は信号線である。係る構成において、タイルの1度の走査(スキャン)によって得られる2つパラメータの組み合わせから、着目するタイルの符号化方式を判定する方法について以下に説明を行う。
まず前提として、本第1の実施形態に係る画像符号化装置の符号化対象とする画像データは、水平方向W画素、垂直方向H画素で構成されるものとする。また、画像データはモノクロ多値でも良いが、実施形態では、各画素はR,G,Bの3つのコンポーネントで構成され、それぞれが8ビット(256階調)の輝度値で表わされる多値カラー画像データとする。そして、画像データの並びは点順次、即ち、ラスタースキャン順に各画素を並べ、その各画素はR,G,Bの順番でデータを並べて構成されるものとする。
符号化対象の画像データは信号線120から、ラスタースキャン順に入力される。画像入力源は、カメラ、イメージスキャナ、符号化対象の画像データを記憶している記憶装置もしくは記憶媒体で良く、その種類は問わない。本実施形態において簡単のため、画像データはPCの画面をキャプチャして生成したビットマップ画像を対象とする。ストライプバッファ101は画像データの所定のライン数(Th)分格納する領域を持ち、信号線120から入力される画像データを順次格納していく。以降、画像データをThラインの幅で分割した部分的な画像データをストライプデータもしくは単にストライプと呼ぶ。ストライプバッファ101に必要とされる容量、即ち1ストライプのデータ量はW×Th×3(RGB分)バイトである。説明の便宜上、符号化対象の画像の垂直方向画素数HはThの整数倍であるとし、画像の末尾で不完全なストライプが発生しないものとする。
ストライプバッファ101に1ストライプの画像データが格納されると、タイル分割部102はストライプバッファ101に格納されるThライン分の画像データを、水平方向Tw画素、垂直方向Th画素で構成される矩形ブロックに分割する。そして、分割されたブロック単位に読み出してタイルバッファ103へと格納する。説明の便宜上、符号化対象の画像の水平方向に並ぶ画素数WはTwの整数倍であるとし、矩形ブロックに分割した場合に不完全なブロックが発生しないものとする。この水平方向Tw画素、垂直方向Th画素で構成される矩形ブロック(着目ブロック)を、これ以降、タイルデータもしくは単にタイルと呼ぶ。本実施形態では、タイルサイズを128×128画素とする。図6に符号化対象の画像データとタイルの関係を図示する。図のように画像中、水平方向i番目、垂直方向j番目のタイルをT(i,j)と記す。また、タイル中の画素値の位置をTi,j(m,n)と記す。例えば、T(2,3)タイルの左上隅の画素はT2,3(0,0)と記す。
タイルバッファ103は、1タイル分の画像データを格納する領域を持ち、タイル分割部102から出力されるタイルデータを順次格納していく。よって、タイルバッファ103に必要とされる最低容量はTw×Th×3(RGB分)バイトである。
符号化方式判定部104は、タイルバッファ103に格納される1タイル分の画像データを入力し、符号化方式の判定を行う。以下、符号化方式判定部104の構成と処理を詳細に説明する。
図2は本実施形態に係る、符号化方式判定部104のブロック構成図を示す。この符号化方式判定部104は、差分値算出部201、強エッジカウント部202、エッジ強度算出部203、差分値0数カウント部204、符号化方式選択部205で構成される。
差分値算出部201、強エッジカウント部202、エッジ強度算出部203、及び、差分値0数カウント部204は、タイルバッファ103に格納された1タイル分の画像データをラスタースキャン順に、1画素づつ処理する。まず、差分値算出部201は、着目画素データX=Ti,j(m,n)と着目画素以前の画素データPとの差分値を算出する。着目画素データ以前の画素として好適なものは、着目画素データと隣接する直前の画素Ti,j(m−1,n)であるが、それ以前の画素でもよい。また、符号化方式の判定精度を高くするためには処理対象となるタイルデータの全ての画素について差分値を算出することが望ましいが、処理速度を重視する場合にはタイルデータの一部のみを処理対象することも可能である。本実施形態においては、処理負荷を低減するために水平・垂直両方向とも1/2にサブサンプリングされた画素について差分値を算出するものとする。具体的には、図5に示す黒丸(●)の位置の画素について着目し、差分値を算出する。よって、本実施形態においては、着目画素X=Ti,j(m,n)の場合、着目画素以前の画素はP=Ti,j(m−2,n)又はP=Ti,j(m−Tw−2,n)の位置の画素となる。但し、着目画素Xがタイルデータの先頭の画素である場合には、Pは予め決められた任意の値を用いても構わないし、図5に示すように着目画素X=Ti,j(2,1)、以前の画素P=Ti,j(1,1)から差分値算出の処理をスタートしても構わない。この場合でも、2番目の着目画素(図5ではTi,j(4,1)の位置)からは、Pは前回の着目画素位置(図5ではTi,j(2,1)の位置)の画素であるものとする。
なお、上記では、水平垂直とも1/2にサブサンプリングした画素について差分値を算出するとして説明した。これを別な表現で示せば、タイルを水平垂直方向とも1/2に単純間引きして生成される縮小タイルの画像をスキャンし、差分値算出していると言える。
さて、差分値算出部201は、着目画素Xと以前の画素Pとの差分値を算出し、その絶対値Dを強エッジカウント部202と差分値0数カウント部204へ出力する。本実施形態では、入力はRGB画像であるので、着目画素のRGB値を足した値と、直前の画素のRGB値を足した値との差分を計算するものとする。例えば、XがR=255、G=255、B=255の値を持ち、PがR=100、G=120、B=200の値を持つ場合、Xrgb=255+255+255=765、Prgb=100+120+200=420となる。差分値の絶対値Dは|Xrgb−Prgb|なので、D=345となる。差分値の計算方法についてはこれに限らず、RGBそれぞれの差分の絶対値を足すなどの方法でも構わない。また、着目画素と着目画素以前の画素との差分が求められる方法であればそれ以外の方法でも良く、RGB値から、Lab、Luv、YCbCr、或いは、YIQ等の色空間における輝度値を求めた上で、輝度値の差分を取るなどしても構わない。RGB値の和について差分値の絶対値Dを求める場合、その取りうる値の範囲は0〜765となる。
強エッジカウント部202(第1のカウント手段に相当)は、エッジ有りと判定するための、予め設定された第1の閾値以上の値を持つ差分値の絶対値Dが差分値算出部201から出力される回数(個数)を、強エッジの数NEとしてカウントする。すなわち、強エッジであるか否かは、差分値の絶対値Dと第1の閾値Th1と比較して判断する。具体的には、差分値の絶対値Dが第1の閾値Th1以上の場合には強エッジとしてカウントし、差分値の絶対値Dが第1の閾値Th1を下回る場合は、強エッジではないものとしてカウントを行わない。強エッジカウント部202は併せて強エッジと判断された差分値の絶対値Dを足し込んだ値ETを算出する。本実施形態においては、第1の閾値Th1には2のべき乗の値を設定する。そして、第1の閾値Th1以上の場合のみ、差分値の絶対値Dを第1の閾値Th1の乗数分ビットシフトした値DSとして、その総和ETを算出するものとする。ここで、値DSは第1の閾値Th1の何倍であるかを示していると言える。例えば、第1の閾値Th1=128=27と設定した場合は差分値の絶対値Dを乗数にあたる7ビット分右シフトした値DSが0より大きい場合に、強エッジとしてカウントする。そして、DSの値を強エッジの値とする。このとき、DSの取りうる値の範囲は0〜5である。例えば、差分値の絶対値D=120の場合には、7ビット右シフトするとDS=0になるため、強エッジとしてカウントされない。また、DS=0であるためETは変化しない。差分値の絶対値D=600の場合には、DS=2となり、強エッジとしてカウントされ(NE=NE+1)、ETに2が足しこまれる(ET=ET+2)。なお、上記を別な表現で言えば、強エッジとは、第1の閾値Th1の何倍(整数)であるかを示す指標値と言うことができる。なお、強エッジ数NE、並びに、足し込み値ET(強エッジ累積加算値)は、1つのタイルを処理する際に“0”に初期化されるものである。
差分値0数カウント部204(第2のカウント手段に相当)は、タイル内の画素データがどの程度均一な値を持っているかを示す情報を生成する。具体的には、先に示した第1の閾値Th1より十分に小さく、0に近い値の第2の閾値以下となった差分値の絶対値Dの個数をカウントする。説明を単純なものとするため、本実施形態では、この第2の閾値として0とする例を説明する。従って、差分値0数カウント部204は、差分値の絶対値Dが0(ゼロ)である数のカウントを行う。本実施形態において、差分値0数DZの取りうる値の範囲は0〜4096である。これは、本実施形態では128×128画素のタイルデータの内、水平・垂直1/2にサブサンプリングされた画素、すなわちタイル全体の1/4の画素数に対して差分値の算出を行っているためである。カウントした差分値0数DZを符号化方式選択部205へ出力する。差分値0数DZも、1のタイルを処理をする際に“0”に初期化されるものである。
エッジ強度算出部203は、1タイル内の全画素のスキャンが完了したとき、エッジ強度ESを、強エッジ累積値ETを強エッジ数NEで除算することで算出する。
ES=ET/NE・・・(1)
このエッジ強度ESは、要するに強エッジと判定されたエッジが、閾値Th1に対する平均倍数を示していることになる。エッジ強度算出部203は、1タイル分の処理を終えたとき、上記(1)に従って、強エッジ累積値ETを、強エッジとしてのカウント値NEで除算した結果を、エッジ強度ESとして符号化方式選択部205へ出力する。
符号化方式選択部205は、エッジ強度ESと差分値0数DZの組み合わせから、着目タイル内の画像データを、可逆符号化と非可逆符号化のどちらで符号化するか選択する(もしくは選択する制御信号を生成する)。図3は、第1の座標軸(横軸)にエッジ強度ES、第1の座標軸に直交する第2の軸(縦軸)に差分値0数DZを取り、これら第1,第2の座標軸で2次元空間を表わしている。そして、図3では、各タイルがこの2次元空間のいずれに分布しているかを示している。
例えば、図4(a)乃至(n)に示す画像(タイルデータ)に対するパラメータ分布について以下に説明する。図4(a)に示すような、タイル内の画素値が全てRGB=(255,255,255)の場合には、エッジ強度ES=0、差分値0数DZ=4096となり、図3のマーク301で示される座標位置にプロットされる。また、図4(b)に示すような文字画像の場合には、エッジ強度ES=5(最大値)、差分値0数DZも余白があるため、高い値となり、図3のマーク302の位置にプロットされる。図4(c)に示すような自然画像の場合には、エッジ強度ESと差分値0数DZともに小さい値となり、図3のマーク303の位置にプロットされる。このように、画像によって2つのパラメータの分布位置が異なるという特徴に基づいて、可逆符号化方式を適用すべきタイルであるか、非可逆符号化方式を適用すべきタイルであるかの判定を行う。具体的には、図3に示す座標空間を二分する境界線(斜線)300を境界に右上にプロットされたタイルについては可逆符号化方式を選択し、左下にプロットされたタイルについては非可逆符号化方式を選択する。符号化方式の選択基準の決定方法の詳細については後述する。
符号化方式選択部205は、タイル毎に、可逆符号化か非可逆符号化のどちらか一方を選択し、符号化対象となるタイルデータを可逆符号化部105もしくは、非可逆符号化部106のいずれかに出力する。または、符号化方式選択部205は、上記の判定結果に基づき、可逆符号化部105もしくは、非可逆符号化部106のいずれか一方が動作するための信号を出力する符号化制御部として機能しても良い。
可逆符号化部105における可逆符号化処理としては、様々な可逆符号化手法が適用可能である。ここではその一例として、国際標準方式としてISOとITU−Tから勧告されるJPEG−LS(ITU−T T.87|ISO/IEC14495−1)を用いるものとする。JPEG−LSの詳細についても勧告書等に記載されているので、ここでは説明を省略する。また、全タイルで共通となるフレームヘッダや、スキャンヘッダ、各種テーブルなどについては符号化データバッファ107に格納せず、符号化データ部分のみを格納することとする。なお、本実施形態ではJPEG−LSを適用するものとしたが、同一画素値の連続性を有するデータに対して高い圧縮性能を持つ他の可逆符号化方式を用ても構わない。なお、可逆符号化部105は、以下に示す非可逆符号化部106で生成された符号化データと区別するための識別ビット(実施形態では2種類の符号化方式を示しているので1ビットで良い)を出力し、それに後続して可逆符号化データを出力する。

非可逆符号化部106における非可逆符号化処理としては、可逆符号化部105と同様に、様々な手法が適用可能である。ここでは静止画像符号化の国際標準方式として勧告されているJPEG(ITU−T T.81|ISO/IEC10918−1)のベースライン方式を適用するものとする。JPEGについては勧告書等に詳細な説明があるのでここでは説明を省略する。本実施形態では、JPEG符号化で用いるハフマンテーブル、量子化テーブルは全てのタイルで同じものを使用することとする。そして全タイルで共通となるフレームヘッダや、スキャンヘッダ、各種テーブルなどについては符号化データバッファ107に格納せず、符号化データ部分のみを格納することとする。即ち、図7に示した一般的なJPEGベースライン符号化データの構成のうち、スキャンヘッダの直後からEOIマーカの直前までのエントロピ符号化データセグメントのみが格納される。なお、ここでは説明簡略化のため、DRI、RSTマーカによるリスタートインターバルの定義や、DNLマーカによるライン数の定義などは行わないものとする。なお、非可逆符号化部106は、上記の可逆符号化部105で生成された符号化データと区別するための識別ビットを出力し、それに後続して非可逆符号化データを出力する。
本実施形態において、可逆符号化方式で符号化したい画像とは、JPEG歪みが目立つような文字やCG系の画像と、JPEG−LSで圧縮効率の良い画像である。例えば、図4(a)の画像はJPEG−LSでの符号化効率が良いため、可逆符号化方式を選択する。図4(b)の文字画像については、JPEGを適用した場合に、JPEG歪みが発生し画質劣化が目立ってしまう。一方、JPEG−LSで効率良く符号化でき、可逆符号化であるため画質劣化は発生しない。そのため、可逆符号化方式を選択する。図4(c)のような自然画像では、JPEGを適用することで圧縮効率良く符号化でき、圧縮による歪みは目立たちにくいため、非可逆符号化方式を選択する。また、図4(d)や同図(e)のような線画に対してはJPEG−LSを適用したい。これらの画像の場合には、ラインの周期によってパラメータ分布が異なる。例えば、1列おき又は1行おきに白画素と黒画素が配置されている画像では、図5の黒丸(●)位置の画素から差分値を求めるため、エッジ強度ESが非常に小さい値となり、差分値0数DZが大きな値を持つ。しかし、2列おき又は2行おきに白画素と黒画素が配置されている画像では、エッジ強度ESが非常に大きな値を持ち、逆に差分値0数DZは小さい値を持つ。そのため、エッジ強度のみでも、差分値0数のみでも、これらの画像に対して可逆符号化方式を選択することは不可能である。しかしながら、エッジ強度と差分値0数の2つのパラメータを組み合わせることで、可逆符号化したい画像を判定することが可能になる。係る点に踏まえ、図4(d)、(e)のような画像に可逆符号化方式を適用するために、図3の斜線300を境界としている。
一方、図4の(f)〜(g)のようなグラデーション画像に対しては、非可逆符号化方式を適用したい。これは、JPEGで圧縮効率が良く、歪みも目立ちにくいためである。これらの画像については、強エッジは存在しないか、もしくはエッジ強度の値が小さいという特徴がある。但し、グラデーションの方向によって、差分値0数にはばらつきがある。例えば、図4(f)のように垂直方向に画素値が変化するグラデーションの場合、差分値0数は非常に大きな値となるが、図4(g)のように水平方向に画素値が変化するグラデーションの場合には、差分値0数は小さな値になる。このため、図3の斜線300で符号化方式を切り替えた場合に、図4(f)のみ可逆符号化方式が選択されることになる。しかしながら、図4(f)のグラデーションに関しては可逆符号化方式を適用しても、ランレングス符号化が適用されるため符号化効率が良いため、大きな問題にはならない。

符号列形成部108は符号化方式判定部104から出力される制御信号121と、符号化データバッファ107に格納されるタイル符号化データを結合させる。そして必要な付加情報を加えて本画像符号化装置の出力となる符号列を形成して出力する。
図9(a)は本画像符号化装置の出力符号列の構成を示す図である。出力符号列の先頭には、画像を復号するために必要となる情報、例えば、画像の水平方向画素数、垂直方向画素数、コンポーネント数、各コンポーネントのビット数やタイルの幅、高さなどの付加情報がヘッダとして付けられる。また、このヘッダ部分には、画像データそのものについての情報のみでなく、各テーブル共通に使用するハフマン符号化テーブルや、量子化テーブルなど符号化に関する情報も含まれる。図9(b)は各タイルの出力符号列の構成を示す図である。各タイルの先頭にはタイルの番号や大きさなど、復号に必要な各種情報を含んだタイルヘッダがあり、その後に、符号化方式選択部103から出力される制御信号(先に示した符号化方式を区別するための識別情報)が付加される。ここでは説明のためにあえてタイルヘッダとは別に示しているが、タイルヘッダの中に含めても構わない。符号化方式選択信号に続いて、タイルに対する符号化データを持つ。なお、図9には特に示していないが、各タイルの符号列の長さをタイルの先頭や、符号化データの先頭のヘッダ部分に含めるなどして管理することによりタイル単位のランダムアクセスが可能となるようにしても良い。あるいは、符号化データ中に所定の値が発生しないように工夫を加えて特殊なマーカを設定し、各タイルデータの先頭、または末尾にマーカを置くなどしても同様の効果が得られる。
以上のように、本実施形態の画像符号化装置では、複数の画素で構成されるタイル単位に符号化処理を行う。各タイルについて、エッジ強度と差分値0数の組み合わせから、符号化方式の判定を行うことで、ラスタースキャン順に一度の走査を行うことで、高度な演算処理は必要なく、簡易で高速な符号化方式の選択が可能となる。
なお、上記実施形態では、差分値算出部201は、ラスタースキャン順に画素値の読み込みと差分の絶対値を算出するものとしたが、スキャンルートはラスタースキャンに限らず、他の如何なるルートでも良い。また、上記実施形態における閾値Th1は2のべき乗(実施形態では128)として説明したが、これはハードウェアでもって実現する際に都合が良いからである。しかし、以下に説明する変形例のように、ソフトウェアでもって実現する場合には、必ずしも2のべき乗である必要はない。更に、平坦度を算出するために、画素の差分の絶対値が“0”の個数をカウントするものとしたが、差分の絶対値が閾値以下の個数をカウントするものとしても良い。ただし、この場合の平坦度を判定する閾値としては、0に近く、上記閾値Th1よりも十分に小さい値であれば良い。
[変形例の説明]
上記第1の実施形態では図1の構成に基づいて説明したが、上記第1の実施形態と同等の処理をパーソナルコンピュータ(以下、PC)等で実行されるコンピュータプログラム(ソフトウェア)でもって実現させても構わない。
図13は、ソフトウェアで実現する場合の装置(PC等)の基本構成を示す図である。
図中、1301はCPUで、RAM1302やROM1303に記憶されているプログラムやデータを用いて本装置全体の制御を行うと共に、後述する画像符号化処理、復号処理を実行する。1302はRAMで、外部記憶装置1307や記憶媒体ドライブ1308、若しくはI/F1309を介して外部装置からダウンロードされたプログラムやデータを記憶する為のエリアを備える。また、RAM1302は、CPU1301が各種の処理を実行する際に使用するワークエリアも備える。1303はROMで、ブートプログラムや本装置の設定プログラムやデータを格納する。1304、1305は夫々キーボード、マウスで、CPU1301に対して各種の指示を入力することができる。1306は表示装置で、CRTや液晶画面などにより構成されており、画像や文字などの情報を表示することができる。1307はハードディスクドライブ装置等の大容量の外部記憶装置である。この外部記憶装置1307には、OS(オペレーティングシステム)や後述する画像符号化、復号処理の為のプログラム、符号化対象の画像データ、復号対象画像の符号化データなどがファイルとして保存されている。また、CPU1301は、これらのプログラムやデータをRAM1302上の所定のエリアにロードし、実行することになる。1308は記憶媒体ドライブで、CD−ROMやDVD−ROMなどの記憶媒体に記録されたプログラムやデータを読み出してRAM1302や外部記憶装置1307に出力するものである。なお、この記憶媒体に後述する画像符号化、復号処理の為のプログラム、符号化対象の画像データ、復号対象の画像の符号化データなどを記録しておいても良い。この場合、記憶媒体ドライブ1308は、CPU1301による制御によって、これらのプログラムやデータをRAM1302上の所定のエリアにロードする。1309はI/Fで、このI/F1309によって外部装置を本装置に接続し、本装置と外部装置との間でデータ通信を可能にするものである。例えは符号化対象の画像データや、復号対象の画像の符号化データなどを本装置のRAM1302や外部記憶装置1307、あるいは記憶媒体ドライブ1308に入力することもできる。1310は上述の各部を繋ぐバスである。
上記構成において、本装置の電源をONにすると、CPU1301はROM1303に格納されたOSをRAM1302にロードし、起動することになる。OS起動後、本変形例における画像符号化アプリケーションプログラムをOSを介して外部記憶装置1307からRAM1302にロードし、実行する。
ここでは、説明を簡単なものとするため、インターフェース1309にPCに接続されたディスプレイの表示画面をキャプチャし、その画像を符号化し、外部記憶装置1307にファイルとして格納される例を説明する。説明を簡単なものとするため、入力画像は上記の実施形態と同じ、R,G,B各8ビットで表わされているものとする。
図14は、本変形例における符号化処理を示すフローチャートである。S1401ではCPU1301は、ディスプレイ画面をキャプチャし、RAM1302に確保されたバッファに1ストライプ分の画像データを格納する。そして、S1402において、CPU1301は、1タイル分の画像データをバッファより読み出し、S1403にてCPU1301は差分値を算出する。S1404、S1405にて、CPU1301は、平坦度判定処理とエッジ強度算出処理を行なう。すなわち、CPU1301は、S1404にて、S1403で得られた差分値から、着目タイルが平坦であるか否かの判定とエッジ強度の算出を行う。また、CPU1301は、S1405にて、平坦度判定のため差分値0数のカウントを行なう。差分値0数が多いほど平坦であり、少ないほど平坦ではないと判定される。なお、S1405では、CPU1301は、着目タイルに存在する強エッジの値の平均値の算出も行うものとする。S1406では、CPU1301は、ステップS1404での差分値0数カウント結果と、S1405でのエッジ強度とを用いて、着目タイルに対していずれの符号化方式を用いて符号化を行うかを判定する。この結果、可逆符号化、非可逆符号化のいずれかが選択される。次で、S1407にて、CPU1301は、選択された符号化方式に従って、着目タイルを符号化し、符号化データを生成する。このとき、その先頭には、いずれの符号化方式が選択されたのか、換言すれば、符号化データの種別を示す識別情報を符号化データの先頭に位置させる。
S1408では、CPU1301は、着目タイルが着目ストライプの最後のタイルであるか否かを判定する。否の場合(No)には、CPU1301は、S1402以降の処理を繰り返す。
また、CPU1301は、着目タイルが着目ストライプの最後のタイルであると判断した場合(Yes)には、S1409に進み、着目ストライプが画像データの最終ストライプであるか否かを判定し、否の場合(No)にはS1401以降の処理を繰り返す。
最終ストライプの最後のタイルであった場合(Yes)は、画像全体の符号化が完了したことを意味する。そのため、S1410に進み、CPU1301は、ヘッダ情報を付加して符号化データをファイルを生成し、S1411にて装置外部へ出力し、本処理を終了することになる。
以上説明したように、先に説明した第1の実施形態と同様の処理を、PC等の汎用の情報処理装置上で実行するアプリケーションプログラムとしても実現できることになり、同様の作用効果を得ることが可能である。
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態ではエッジ強度を求める演算を行ったが、本第2の実施形態においては、単純に強エッジのカウント結果を利用して符号化方式の判定を行う方法について説明を行う。
なお、本第2の実施形態においても、対象の画像データは、RGB各色8ビットで構成される画像データとするが、CMYKカラー画像データなど、他の形式の画像データに適用しても良い。また、画像は水平方向W画素、垂直方向H画素により構成されるものとし、タイルのサイズTw,Thについても第1の実施形態と同じく128であるとする。
本第2の実施形態に係る画像符号化装置のブロック図は、第1の実施形態で説明した図1のブロック図と同じである。符号化方式判定部104の動作が異なるのみであるので、新たに図示しない。
以下、本実施形態の処理について、第1の実施形態と動作が異なる部分について説明する。
符号化方式判定部104において、第1の実施形態では強エッジカウント部202に加えて、エッジ強度算出部203を持ち、タイル内の強エッジの平均値をエッジ強度として算出した。この場合、タイル内に強エッジが1つでも存在すれば、エッジ強度は高い値となり、エッジの存在するタイルであると判断されやすくなる。しかしながら、演算が複雑になるため、より簡易に判定を行うために、本実施形態では、エッジ強度算出部203は持たず、強エッジのカウント結果のみを利用して符号化方式の判定を行う。
本実施形態において、強エッジカウント部202は、抽出された強エッジの数をカウントするのみであり、強エッジの値DSの総和ETは算出しない。強エッジ数NEは、第1の実施形態と同様の方法でカウントし、符号化方式選択部205へ出力する。
符号化方式選択部205は、強エッジ数NEと差分値0数DZの組み合わせに基づいて符号化方式を選択する。強エッジ数NEの取りうる値の範囲は0〜4096である。これは、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に128×128画素のタイルデータの内、水平・垂直とも1/2にサブサンプリングされた画素、すなわちタイル全体の1/4の数の画素に対して差分値の算出を行っているためである。符号化方式の選択については、強エッジ数NEと差分値0数DZが大きければ可逆符号化方式を選択し、小さければ非可逆符号化方式を選択する。パラメータの値が異なるのみで、第1の実施形態と同じ方法で符号化方式の選択が可能である。
図8は本実施形態における符号化方式判定部104の具体的な処理の流れを示すフローチャートである。以下、図8に示したフローチャートを参照して、符号化方式判定部104の行う処理について説明する。なお、以下の説明における変数NE、DZは1タイルに対する処理を開始する毎に“0”で初期化されるものとして説明する。
まず、S1501にて、符号化方式判定部104は、差分値の絶対値Dを算出する。次に、差分値の絶対値Dの値の上位3ビットが0であるか否かを調査する。これは、第1の実施形態と同様に、強エッジを差分値の絶対値Dを閾値Th1の乗数分ビットシフトした値とするためである。差分値の絶対値Dは、ビット精度10ビットで表現されるため、閾値Th1=128=2^7の場合に、上位3ビットが0であるか0以外であるかを判定することで、強エッジであるか否かの判断ができる。上位3ビットが0以外の場合(Yes)は処理をS1503へ移行する。一方、上位3ビットが0の場合(No)は処理をS1504へ移行する。
S1503では、符号化方式判定部104は、強エッジの数をカウントするため、強エッジ数NEの値を1を増加する。
一方、S1504に処理が進んだ場合、差分値の絶対値Dの下位7ビットが0であるか否かを調査する。これは、S1502にて、既に差分値の絶対値Dの上位3ビットが0であることが判明しているため、残りの下位7ビットが0であるか0以外であるかを判定することで、D=0であるか否かを判断することができる。下位ビットが0の場合(Yes)にはS1505へ処理を移行し、0以外の場合(No)には、S1506へ処理を移行する。S1505に処理を進めた場合、符号化方式判定部104は、差分値0の数をカウントするため、差分値0数DZの値を1だけ増加させる。
S1506では、符号化方式判定部104は、着目画素が処理対象タイル内の最終画素であるか否かを判定する。最終画素である場合(Yes)には処理をS1507へ移行し、最終画素でない場合(No)にはS1501以降の処理を繰り返す。S1507は、符号化方式判定部104は、先にカウントした強エッジ数NEと差分値0数DZを用いて、符号化方式の選択を行う。
以上の処理により、タイルデータをラスタースキャン順に一度走査するだけで、強エッジ数と差分値0のカウントを簡単に行える。
[第3の実施形態]
上記第1、第2の実施形態では、2つのパラメータについて、固定の判定基準を用いて符号化方式の判定を行う方法について説明を行った。本第3の実施形態では、外部から指定されるモードによって、判定基準を切り替える方法について説明する。
なお、本実施形態においても、対象の画像データは、RGB各色8ビットで構成される画像データとするが、CMYKカラー画像データなど、他の形式の画像データに適用しても良い。また、画像は水平方向W画素、垂直方向H画素により構成されるものとし、タイルのサイズTw,Thについても第1の実施形態と同じく128であるとする。
図10に本第3の実施形態に係る画像符号化装置のブロック図を示す。第1の実施形態で説明した図1のブロック図と異なる点は、信号線1001の追加と、符号化方式判定部104の動作が異なるのみである。これ以外は、第1の実施形態と同じであるので、その説明は省略する。
以下、第3の実施形態の処理について、第1の実施形態と動作が異なる部分について説明する。
本第3の実施形態において、符号化方式判定部104には信号線1001から符号化モードが入力され、この符号化モードによって、符号化方式の判定精度を調節する。符号化モードとは、符号量優先や画質優先など、符号化に関するパラメータを変更するための情報であるものとする。本第3の実施形態では、標準モード(第1のモード)と画質優先モード(第2のモード)の2つを切り替えるものとする。標準モードとは、基本的には符号量の圧縮率を優先するモードであり、符号量が少なくなるような符号化方式を選択できるようなモードであると定義する。画質優先モードは、符号量についてはある程度優先度を下げ、文字や線画が存在するタイルについてはなるべく可逆符号化方式で符号化を行うことで画質劣化を抑制するモードであると定義する。なお、信号線1001によるモードは、操作者が不図示の操作部による設定されるものとする。
符号化方式の判定精度の制御方法の詳細な流れについて、図11に示すフローチャートを用いて以下に説明する。
まず、S1101において、符号化方式判定部104は、差分値Dを算出する。次にS1102において、符号化方式判定部104は、装置外部から入力された符号化モードを取得する。S1103では、取得した符号化モードが、標準モードであるか、それ以外のモードであるか判定を行う。本実施形態では、標準モードと画質優先モードを切り替える。標準モードの場合には、強エッジを抽出するための閾値Th1=128=27とし、画質優先モードの場合には、閾値Th2=32=25を設定するものとする。S1103において、符号化モードが標準モードであると判定された場合(YES)は、S1104へ処理を移行し、S1101で算出した差分値の絶対値DをTh1の乗数にあたる7ビット分右シフトして強エッジの値DSを求める。一方、画質優先モードであると判定された場合(NO)は、S1105へ処理を移行し、S1101で算出した差分値の絶対値DをTh2の乗数にあたる5ビット分右シフトして強エッジの値DSを求める。標準モードと画質優先モードで強エッジを抽出するための閾値を変更することで、画質優先モードの方が標準モードよりもエッジを強エッジとして抽出しやすくなる。
符号化方式判定部104は、続くS1106においてエッジ強度の算出と差分値0数のカウントを行う。これらのパラメータの算出方法については、第1の実施形態と同様の方法で行うものとする。符号化方式判定部104は、S1106で算出した2つのパラメータの組み合わせにより、S1107において符号化方式の選択を行う。
ここで、符号化方式選択のための判定基準を符号化モードによって切り替える。詳細な方法については、図12(a),(b)に示すパラメータの分布図を用いて以下に説明を行う。
図12(a)は標準モードの場合のパラメータ分布、図12(b)は画質優先モードの場合のパラメータ分布を表している。プロットしてある、f〜nのアルファベットは、図4(f)〜(n)のサンプル画像にそれぞれ対応している。例えば、図4(f)の画像の場合には、図12(a)及び(b)のfの位置にプロットされる。図4(f)(g)(h)(i)はグラデーション画像であり、図4(j)(k)(m)(n)はそれぞれのグラデーション上に文字がオーバーレイされた画像の例である。符号化モードが標準モードの場合には、なるべくグラデーション画像とグラデーション上の文字画像ともに、非可逆符号化方式を適用したい。これは、標準モードが圧縮効率をできる限り優先するようなモードであるためである。一方、画質優先モードの場合には、グラデーション画像は非可逆符号化方式を適用してよいが、グラデーション上の文字画像については、なるべく可逆符号化方式を適用したい。これは、グラデーション上の文字であっても、JPEG歪みは視認できることが多いため、符号化効率を多少落としても、可逆符号化方式を適用することで、劣化なく符号化を行うためである。図12(a)、(b)の境界線1201と境界線1202の右上にプロットされたものは可逆符号化を選択し、左下にプロットされたものは非可逆符号化を行う。図4(f)のグラデーション画像については、第1の実施形態でも説明したとおり、標準モード(符号量優先)であっても、可逆符号化符号化が選択されても構わない。図4(j)のグラデーション上の文字画像についても、図4(f)と同様に、垂直方向に画素値変化のあるグラデーションのため、JPEG−LSでランレングス符号化での圧縮効率がよく、符号量が小さくなるため、可逆符号化方式が選択されても構わない。パラメータ分布と符号量との関係から、エッジ強度ESが大きく、且つ差分値0数DZが大きいほど可逆符号化方式で圧縮しやすい傾向にあることがわかる。この特徴から、標準モード(符号量優先)の場合には、図12(a)に示すように分布図の右上に位置する場合のみ可逆符号化方式を選択するよう境界線1201を設定している。一方、画質優先モードの場合には、エッジ強度ESの値が大きいタイルであれば、なるべく可逆符号化方式を選択できるよう、図12(b)に示す境界線1202を設定している。
本第3の実施形態では、境界線の切り替えは3つの変数によって設定可能である。3つの変数とは、強エッジを抽出するための閾値(変数A)と、差分値0数DZの値によって境界を決定する値(変数B)と、境界線の斜線の角度を決める値(変数C)である。これにより、差分値算出などの演算処理については変更することなく、これらの変数の値を切り替えるだけで、符号化方式の判定結果を変更することができる。
この切り替えによって、標準モードでは、PC画面をキャプチャした画像をネットワークで転送などする際に、データ量を抑制する必要があるが、少なくとも平坦な背景上の文字については画質良く保ちたいといった場合に有効である。画質優先モードでは、例えば、パワーポイントでデザインテンプレートを利用した際に、文字の背景にグラデーションや自然画が配置されたような画像でも、文字部分を劣化させることなく再現可能となる。
以上の処理により、符号量優先や画質優先など異なった要求に対しても、簡単に符号化判定精度の切り替えができることで対応可能である。
なお、本実施形態において符号化モードは、予め決定しているものとして説明したが、符号化方式の判定結果を処理後に変更することも可能である。処理後に判定結果を変更するためには、エッジ強度を算出する際に、どちらのモードにも対応可能なように、強エッジ抽出の際の閾値処理を別モードの値でも行っておけばよい。処理内容としては、符号化モードの変更指示があった際に、上述した変数A,B,Cを変更するのみで対応可能なため、演算負荷をかけずに切り替えが可能である。
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

Claims (9)

  1. 画像データを符号化する画像符号化装置であって、
    符号化対象の画像データから、予め設定された複数の画素で構成されるタイルを単位に入力する入力手段と、
    該入力手段で入力した着目タイル内の画像データから、予め設定されたルートに沿って順に画素データを読み取り、読み取った着目画素データが示す値と当該着目画素より前に読み取った画素データが示す値との差を算出し、出力する算出手段と、
    該算出手段より差が出力される度に、エッジ有りと判定するための第1の閾値以上の値を持つ差が算出される回数をカウントする第1のカウント手段と、
    該算出手段より差が出力される度に、前記第1の閾値よりも小さく、予め設定された第2の閾値を下回る差が算出される回数をカウントする第2のカウント手段と、
    前記算出手段による前記着目タイル内の全画素に対する差の算出が完了したとき、前記第1のカウント手段、前記第2のカウント手段それぞれでカウントされた値に基づき、前記着目タイルに対する符号化方法として可逆符号化とすべきか、非可逆符号化とすべきかを判定する判定手段と、
    該判定手段による判定された符号化方法に従い、前記着目タイルの画像データを符号化する符号化制御手段と
    を有することを特徴とする画像符号化装置。
  2. 前記算出手段は、前記差の絶対値を出力することを特徴とする請求項1に記載の画像符号化装置。
  3. 前記算出手段は、前記着目タイルから水平、垂直とも1/2の画素数の縮小タイルを生成し、当該縮小タイルから、前記予め設定されたルートに沿って順に画素データを読み取り、読み取った着目画素の値と当該着目画素より前に読み取った画素の値との差を算出し、出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像符号化装置。
  4. 更に、前記算出手段で前記差が出力される度に、前記差を前記第1の閾値で除算した際の商を累積加算する加算手段と、
    該加算手段で加算した結果を、前記第1のカウント手段でカウントした回数で除算することで、前記第1の閾値以上の差の、当該第1の閾値の平均倍数をエッジ強度として算出するエッジ強度算出手段とを有し、
    前記判定手段は、前記平均倍数の取り得る範囲を表わす座標軸を第1の座標軸、前記第2のカウント手段によるカウントの取り得る範囲を表わす座標軸を前記第1の座標軸に直交する第2の座標軸としたとき、前記第1,第2の座標軸で示される空間を二分する境界線のいずれに、前記エッジ強度算出手段、前記第2のカウント手段で示される値が示す座標位置が位置するかに従って、前記着目タイルに対する符号化方法として可逆符号化とすべきか、非可逆符号化とすべきかを判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像符号化装置。
  5. 前記判定手段は、前記第1のカウント手段によるカウントした値の取り得る範囲を表わす座標軸を第1の座標軸、前記第2のカウント手段によるカウントの取り得る範囲を表わす座標軸を前記第1の座標軸に直交する第2の座標軸としたとき、前記第1,第2の座標軸で示される空間を二分する境界線のいずれに、前記第1のカウント手段、前記第2のカウント手段で示される値が示す座標位置が位置するかに従って、前記着目タイルに対する符号化方法として可逆符号化とすべきか、非可逆符号化とすべきかを判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像符号化装置。
  6. 符号量の圧縮率を優先する第1のモード、画質劣化を抑制する第2のモードのいずれかを指定する指定手段と、
    該指定手段で指定されたモードに従って、互いに異なる2つの閾値のうちの一方を前記第1の閾値として設定する設定手段とを更に有し、
    前記判定手段は、可逆、非可逆符号化を判定するための互いに異なる2つの境界線の一方を、前記指定手段で指定されたモードに従って選択し、選択した境界線を参照して、前記着目タイルに対する符号化方法として可逆符号化とすべきか、非可逆符号化とすべきかを判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像符号化装置。
  7. コンピュータに読み込ませ実行させることで、前記コンピュータを請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像符号化装置として機能させるためのプログラム。
  8. 請求項7に記載のプログラムを格納したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
  9. 画像データを符号化する画像符号化装置の制御方法であって、
    入力手段が、符号化対象の画像データから、予め設定された複数の画素で構成されるタイルを単位に入力する入力工程と、
    算出手段が、該入力工程で入力した着目タイル内の画像データから、予め設定されたルートに沿って順に画素データを読み取り、読み取った着目画素データが示す値と当該着目画素より前に読み取った画素データが示す値との差を算出し、出力する算出工程と、
    第1のカウント手段が、該算出工程より差が出力される度に、エッジ有りと判定するための第1の閾値以上の値を持つ差が算出される回数をカウントする第1のカウント工程と、
    第2のカウント手段が、該算出工程より差が出力される度に、前記第1の閾値よりも小さく、予め設定された第2の閾値を下回る差が算出される回数をカウントする第2のカウント工程と、
    判定手段が、前記算出工程による前記着目タイル内の全画素に対する差の算出が完了したとき、前記第1のカウント工程、前記第2のカウント工程それぞれでカウントされた値に基づき、前記着目タイルに対する符号化方法として可逆符号化とすべきか、非可逆符号化とすべきかを判定する判定工程と、
    符号化制御手段が、該判定工程による判定された符号化方法に従い、前記着目タイルの画像データを符号化する符号化制御工程と
    を有することを特徴とする画像符号化装置の制御方法。
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