JP2013163478A - 防氷装置および航空機主翼 - Google Patents

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Kurodo Ichikawa
玄人 市川
Yoichi Kamifuji
陽一 上藤
Yasutaka Aoki
泰高 青木
Naoki Kobayashi
小林  直樹
Akira Ito
昭 伊藤
Junichi Miwa
純一 三輪
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Abstract

【課題】簡易な構造で、航空機の前縁における着氷を確実かつ効率的に防ぐことができる、航空機における前縁部の防氷装置を提供する。
【解決手段】防氷装置40は、主翼前縁部22へ供給するための抽出エアが流れる抽出エアノズル41と、抽出エアの流路上に設けられ、抽出エアが衝突する衝突バー45と、を備える。抽出エアノズル41には、抽出エアが主翼前縁部22の先端部22aに向けて吹き出す複数の吹き出し孔41aを有する。衝突バー45は、吹き出し孔41aに対向するように設けられている。吹き出し孔41aから先端部22a近傍の内壁面31に向けて吹き出された抽出エアが、一旦衝突バー45に衝突してから内壁面31に沿って後方へ流れることにより、主翼前縁部22全体がより均一に加熱され、主翼前縁部22の外側への着氷を確実かつ効率的に防止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、航空機の前縁の着氷を防止する防氷装置および航空機主翼に関する。
航空機が雲の中を飛行する際に、翼の前縁の外側表面に、空気中に存在する過冷却の水滴の衝突による着氷が生じやすい。この着氷現象は、航空機に様々な悪影響を及ぼす。
そのため、航空機の翼の前縁には、加熱手段により着氷を防止するための防氷装置が装備されている。一般的に、タービン・エンジンを装備する航空機では、エンジンの圧縮機から高温かつ高圧のエアを抽出し、この抽出されたエア(抽出エア)を加熱手段として用いている。このような防氷装置では、抽出エアを翼の内部まで導き、抽出エアが流れる抽出エア供給管に設けられた多数のノズルまたはスリットから、翼の前縁の先端部に向けて抽出エアを吹き付けることにより、翼の前縁を加熱している。この場合、抽出エアが吹きつけられた先端部付近では高い熱伝達率が得られるため、少量の抽出エア量で加熱することができる。その一方で、先端部付近から離れた領域では、先端部付近ほどの高い熱伝達率を得ることができない。したがって、翼の前縁を全体にわたって均一に加熱することができず、翼の前縁への着氷を適正に防止できないことが問題となっていた。
この問題を解決するために、特許文献1では、図9に示すように、航空機の主翼前縁部11の内側における抽出エア15の流路に沿ってガイド板12を取り付け、主翼前縁部11の内面を二重構造とし、主翼前縁部11の後方に向けて抽出エア15を流す暖気通路13を設けた防氷装置14が提案されている。この構造により、抽出エア15が暖気通路13を通って下流側まで確実に流れるため、主翼前縁部11の内面における熱伝達率が平均化され、主翼前縁部11を全体にわたって適正に加熱することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の防氷装置14は、構造が複雑で重量が重いため、航空機の機体重量が増大する。
また、この防氷装置14では、主翼前縁部11のみならず、ガイド板12も抽出エア15により加熱されるため、熱ロスが大きい。そのため、主翼前縁部11全体を適切に加熱するのに必要な抽出エア15の量が増大し、結果として航空機の燃費の悪化につながる。
さらに、特許文献1の防氷装置14では、抽出エア15が吹きつけられる主翼前縁部11の先端部11aの熱伝達率が局所的に高くなり、先端部11aの内面が焼損する恐れがある。
これに対し、特許文献2では、主翼前縁部の外側に粗い表面を有するバンドを取り付けて、主翼前縁部の外側を流れる層流を乱流に遷移させることにより主翼前縁部を冷却させ、局所的に高くなった熱伝達率を低下させる防氷装置を提案している。この防氷装置によれば、抽出エアが吹き付けられる主翼前縁部の焼損を防ぐことができる。しかしながら、翼の外側表面に部材を設けると、飛行中の空気抵抗が増し、航空機の燃費の悪化につながる。
特開2011−183922号公報 特表2009−52367号公報
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、簡易な構造で、航空機の前縁における着氷を確実かつ効率的に防ぐことができる、航空機における前縁部の防氷装置を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明の航空機における前縁部の防氷装置は、湾曲形状をなす前縁部に向けて抽出エアを供給する抽出エア供給部と、抽出エアが前縁部に向けて流れる流路上に設けられ、抽出エアが衝突する衝突部と、を備える。抽出エア供給部から供給された抽出エアは、衝突部に衝突した後に、前縁部に供給される。
このように、抽出エアの流路上に衝突部を設け、抽出エアを一旦衝突部に衝突させてから前縁部に供給するという簡易な構成により、前縁部の熱伝達率を平均化させ、前縁部を全体にわたって効率的に加熱することができる。従って、前縁部の外側の着氷を確実かつ効率的に防止することができる。
また、前縁部の熱伝達率が局所的に高くなるのを防ぐため、前縁部の局所的な加熱による焼損を防ぐことができる。
衝突部は、前縁部の内側を構成する構成部材と一体的に形成することができる。これにより、衝突部を構成部材に配置するための支持部材等が不要となり、防氷装置をさらに簡易な構造とし、軽量化を実現することができる。また、航空機の飛行中の振動・衝撃等により衝突部が脱落することもない。
さらに、本発明では、この衝突部に遮熱コーティングを施すことができる。これにより、衝突部の耐熱性を向上することができ、構成部材への熱的影響を軽減することができる。
一方で、衝突部を前縁部の内側を構成する構造部材とは別体として形成することもできる。例えば、衝突部を構造部材よりも耐熱性の高い材料で形成することにより、抽出エアの衝突による局所的な加熱に起因する衝突部の減耗や損傷を防ぐことができる。
また、本発明では、前縁部を翼の前縁部とすることができる。航空機の翼の前縁部に本発明の防氷装置を設けることで、翼の前縁部の外側に生じる着氷を確実かつ効果的に防止することができる。
本発明は、また、上述の防氷装置を備えた航空機の主翼とすることもできる。
本発明によれば、簡易な構造で、航空機の前縁における着氷を確実かつ効率的に防ぐことができる、航空機における前縁部の防氷装置を提供することができる。
第一の実施形態における防氷装置が適用された主翼の要部を表す図であり、(a)はその断面図、(b)は主翼の前縁部の内側を示す斜視図、(c)は抽出エアノズルおよび吹き出し孔を示す概略図である。 第一の実施形態における抽出エアの流れと熱伝達率の関係を示す図である。 第二の実施形態における防氷装置が適用された主翼の要部を表す図であり、(a)はその断面図、(b)は主翼の前縁部の内側を示す斜視図である。 第二の実施形態における抽出エアの流れと熱伝達率の関係を示す図である。 第二の実施形態の第一の変形例における航空機の主翼の前縁部の防氷装置が適用された主翼の要部を表す図であり、(a)はその断面図、(b)は主翼の前縁部の内側を示す斜視図である。 第二の実施形態の第一の変形例における抽出エアの流れと熱伝達率の関係を示す図である。 第三の実施形態における航空機の主翼の前縁部の防氷装置が適用された主翼の要部を表す図であり、(a)はその断面図、(b)は主翼の前縁部の内側を示す斜視図である。 第三の実施形態における抽出エアの流れと熱伝達率の関係を示す図である。 従来の航空機の主翼の前縁部の防氷装置が適用された主翼の要部を表す断面図である。
以下、添付図面に示す実施形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
〔第一の実施形態〕
<主翼20>
図1(a)に示すように、第一の実施形態による主翼20は、その外殻が例えばアルミニウム合金からなる翼パネル(スキン)21によって形成されている。翼パネル21は、まげ加工により、主翼20の前縁において湾曲している。これにより、主翼20の前縁の近傍で翼長方向に沿った主翼前縁部22は湾曲形状となっている。
なお、翼パネル21は、炭素繊維と樹脂との複合材料であるCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)やガラス繊維と樹脂との複合材料であるGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)から形成したものを用いることもできる。
<防氷装置40>
防氷装置40は、主翼前縁部22を加熱する抽出エアを供給する抽出エアノズル41と、抽出エアノズル41に連結した抽出エア供給管42と、抽出エアノズル41から吹き出した抽出エアが衝突する衝突バー45と、から構成される。防氷装置40は、暖気室30に設けられている。暖気室30は、翼パネル21の内壁面31と、主翼前縁部22の後部に主翼20の翼長方向に沿って設けられる後壁32とに囲まれることにより形成されている。なお、暖気室30は、翼長方向に区分されていてもよい。
図1(a)に示すように、抽出エアノズル41は、主翼前縁部22の先端部22aから離れた位置に、主翼20の翼長方向に沿って配設されている。抽出エアノズル41は、暖気室30内に適宜の手段により固定されている。抽出エアノズル41には、図示しないエンジンの圧縮機から抽出された高温(200℃近傍)のエアを供給する抽出エア供給管42が連結されている。
抽出エアノズル41には、主翼前縁部22の先端部22aに向けて開口する複数の吹き出し孔41aが形成されている。図1(c)に示すように、吹き出し孔41aは、抽出エアノズル41の長手方向に所定の間隔を隔てて直線上に並んでいる。吹き出し孔41aからは、抽出エア供給管42から抽出エアノズル41に流入した抽出エアが、高温かつ高速のジェット噴流として主翼前縁部22の先端部22a近傍の内壁面31に向けて吹き出される。
図1(a)に示すように、円柱状の衝突バー45は、主翼前縁部22の先端部22aと抽出エアノズル41との間に、吹き出し孔41aと間隔を隔てて対向するように設けられている。衝突バー45は、適宜の手段により、上記した位置に固定されている。
衝突バー45は図1(b)に示すように、主翼20の翼長方向にわたって一体に形成してもよいが、複数の短尺の衝突バー45を用意し、抽出エアノズル41の吹き出し孔41aに対応する位置にそれぞれの衝突バー45を配設することもできる。
衝突バー45のサイズは、防氷装置40全体の仕様により異なり個別に適宜定めることができるが、吹き出し孔41aから吹き出した抽出エアが確実に衝突し、なおかつ重量が重くなりすぎないサイズとすることが好ましい。
衝突バー45の形状は円柱状に限られず、主翼20の翼長方向に直交する断面がくさび状や矩形状のものでもよい。また、断面が矩形状である場合は、格子状のものを用いることができる。
衝突バー45を構成する材料は、抽出エアに対する耐熱性を有すればよく、特に限定されるものでないが、翼パネル21と同様の材料を用いることができる。第二の実施形態以降において同様の機能を果たす部材も同様である。
<抽出エアの流れAF>
図示しないエンジンから抽出された抽出エアAFは、抽出エア供給管42を介して抽出エアノズル41に供給され、複数の吹き出し孔41aから高温かつ高速のジェット噴流として主翼前縁部22の先端部22a近傍の内壁面31に向けて吹き出される。吹き出された抽出エアは、吹き出し孔41aに対向して設けられた衝突バー45に衝突して減速されてから、衝突バー45の外表面に沿って主翼前縁部22の先端部22a近傍の内壁面31に供給される。次いで、抽出エアは、内壁面31に沿って後方に向けて流れる。このようにして、主翼前縁部22内側の内壁面31に抽出エアが供給されることによって、主翼前縁部22の外側面が加熱される。なお、主翼前縁部22の後方に流れた抽出エアは、暖気室30から図示しない排出ポートを通して航空機の機外に排出される。
<抽出エアの流れと熱伝達率の関係と本実施形態の効果>
次に、図2を参照しながら、上述した抽出エアの流れと、それに影響を受ける内壁面31における熱伝達率の関係を説明する。なお、図2(a)、図2(b)は衝突バー45を設けた場合を示し、図2(c)、図2(d)は衝突バー45を設けない場合を示している。また、図2(b),(d)は、抽出エアが衝突した内壁面31の熱伝達率の分布を示している。
図2(c)および図2(d)に示すように、衝突バー45を設けることなく、吹き出し孔41aから吹き出された抽出エアが内壁面31に直接吹き付けられると、その吹き付けられた部分の熱伝達率が突出して高くなる。そうすると、主翼前縁部22に加熱ムラが生じる恐れがある。また、抽出エアが吹き付けられた部分のみが局所的に過熱され、内壁面31の当該部分が損傷する恐れがある。
これに対し、図2(a)および図2(b)に示すとおり、抽出エアを一旦衝突バー45に衝突させて、抽出エアを減速かつ拡散させると、内壁面31における熱伝達率を平均化させることができる。これにより、主翼前縁部22の先端部22aと、そこから離れた主翼前縁部22の後方との温度差が小さくなり、主翼前縁部22全体を均一かつ効率的に加熱することができる。
また、内壁面31が抽出エアにより局所的に過熱されることがないので、内壁面31の焼損を防ぐことができる。
さらに、衝突バー45を暖気室30内に取り付けるだけで済むため、防氷装置の軽量化を実現することができる。また、主翼前縁部22の外側面に部材を設ける必要もないので、空気抵抗が増えることによる燃費の悪化を招かない。
従って、本実施形態の防氷装置では、主翼前縁部22と抽出エアノズル41との間であって吹き出し孔41aと所定の間隔を隔てて対向する位置に衝突バー45を設けるという簡易な構成により、主翼前縁部22をより効率的に加熱することができる。その結果、主翼前縁部22の外側面への着氷を確実かつ効率的に防止することができる。
〔第二の実施形態〕
以下、本発明による第二の実施形態を説明する。
なお、第二の実施形態は、衝突バー45に対応する部分が異なることを除けば、第一の実施形態と共通する。そこで、以下では第一の実施形態と異なる構成を中心に説明を行い、共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
<防氷装置50>
第二の実施形態による防氷装置50は、図3に示すように、主翼前縁部22を加熱するに抽出エアを供給する抽出エアノズル41と、抽出エアノズル41に連結する抽出エア供給管42と、抽出エアノズル41から吹き出た抽出エアが衝突する円錐台状の衝突突起(衝突部)55と、から構成される。
図3(a)に示すように、衝突突起55は、主翼前縁部22の先端部22aに、抽出エアノズル41から所定の間隔を隔てて対向するように設けられている。図3(b)に示すように、複数の衝突突起55が、主翼20の翼長方向に沿って間隔を空けて間欠的に設けられている。各々の衝突突起55は、抽出エアノズル41の複数の吹き出し孔41の各々に対応して設けられている。
衝突突起55は、吹き出し孔41aに対向する円形の頂面55aと、頂面55aから内壁面31に向けて拡径するテーパ面55bとを備え、主翼20の翼パネル21と一体的に形成されている。
衝突突起55のサイズは、防氷装置50の仕様により異なり個別に適宜定めることができるが、例えば、翼長方向に直交する衝突突起55の高さを翼パネル21の厚さの2〜10倍とすることができる。また、衝突突起55の頂面55aの直径を吹き出し孔41aの直径の5〜10倍とすることができる。
なお、衝突突起55の形状は円錐台の他、例えば、円柱状や角柱状とすることができる。
<抽出エアの流れAF>
第二の実施形態における抽出エアAFの基本的な流れは第一の実施形態と同様である。
つまり、図3(a)に示すように、吹き出し孔41aから吹き出された抽出エアは、吹き出し孔41aに対向する衝突突起55の頂面55aに衝突して減速されてから、テーパ面55bに沿って流れ、主翼前縁部22の先端部22a近傍内側の内壁面31に向けて流れる。次いで、抽出エアは内壁面31に沿って後方に流れる。このようにして、主翼前縁部22内側の内壁面31に抽出エアが供給され、主翼前縁部22の外側面が加熱される。
<抽出エアの流れと熱伝達率の関係と本実施形態の効果>
次に、図4を参照しながら、上述した抽出エアの流れと、それに影響を受ける内壁面31における熱伝達率の関係を説明する。なお、図4(a)、図4(b)は衝突突起55を設けた場合を示し、図4(c)、図4(d)は衝突突起55を設けない場合を示している。また、図4(b)、(d)は、抽出エアが衝突した内壁面31の熱伝達率の分布を示している。
図4(a)および図4(b)に示すとおり、抽出エアを一旦衝突突起55の頂面55aに衝突させて、内壁面31よりも抽出エアノズル41側で抽出エアを減速かつ拡散させると、内壁面31における熱伝達率を平均化させることができる。これにより、上記第一の実施形態と同様に、先端部22a内側の内壁面31が抽出エアにより局所的に過熱されることを防ぎつつ、主翼前縁部22全体を均一により効果的に加熱することができる。
また、衝突突起55は主翼20の翼パネル21と一体的に形成されているため、衝突突起55を支持する支持構造が不要である。部品点数が少なくより簡易な構造であるため、防氷装置のさらなる軽量化を実現することができる。
第二の実施形態において、衝突突起55(頂面55a、テーパ面55b)の表面に遮熱コーティングを施すことができる。
そうすることにより、衝突突起55の耐熱性を向上することができ、衝突突起55自体はもちろん、その周囲の構造部材の過熱による損傷をより確実に防ぐことができる。従って、遮熱コーティングが形成された衝突突起55は、主翼前縁部22における熱伝達率を平均化させる機能をより確実に発揮することができる。
〔第一の変形例〕
上述した第二の実施形態は、複数の衝突突起55を抽出エアノズル41の吹き出し孔41aに対応する位置に設けたが、図5に示すように、翼長方向に一様に連なった構造の衝突突起65にすることができる。なお、第一の変形例による防氷装置60は、衝突突起65を除くと、上述した第二の実施形態と同様の構成を備えている。したがって、以下では当該構成部分を図示するに留め、衝突突起65中心に説明する。
図5(a)に示すように、横断面が台形の衝突突起65は、主翼前縁部22の先端部22aに、抽出エアノズル41から所定の間隔を隔てて対向するように設けられている。図5(b)に示すように、衝突突起65は、翼長方向に沿って一様の横断面が連続して形成されている。衝突突起65は、抽出エアノズル41の複数の吹き出し孔41が並ぶ方向と、配置される方向が一致している。
衝突突起65は、吹き出し孔41aに対向する頂面65aと、頂面65aから内壁面31に向けて拡がるテーパ面65bとを備え、主翼20の翼パネル21と一体的に形成されている。
なお、衝突突起65の横断面は、台形に限らず、例えば半円形にすることができる。
<抽出エアの流れと熱伝達率の関係と本実施形態の効果>
第一の変形例における抽出エアの流れと、それに影響を受ける内壁面31における熱伝達率の関係は、図6に示すとおりである。上記第一および第二の実施形態と同様に、先端部22a内側の内壁面31が抽出エアにより局所的に過熱されることを防ぎつつ、主翼前縁部22全体を均一により効果的に加熱することができる。
第一の変形例は、衝突突起65が主翼20の翼長方向に連続して設けられている。したがって、飛行中の外力や空気力により主翼20に変形や振動が翼長方向に生じても、吹き出し孔41aから吹き出た抽出エアをより確実に衝突突起65に衝突させることができる。
さらに、衝突突起65は、翼パネル21を補強するリブとして機能するため、主翼20の強度を向上させることができる。
〔第二の変形例〕
以上では、衝突突起55、65を翼パネル21と一体的に形成する例を示したが、第二の変形例は、衝突突起55、65に相当する部材を翼パネル21とは別体として作製し、翼パネル21にろう付け、接着などの適宜の手段で後付けすることを許容する。
この変形例によれば、衝突突起55、65を翼パネル21とは異なる材料、特に耐熱性が高く、または熱伝達率の低い材料(例えば、耐熱合金、セラミックス)で構成することができるので、衝突突起55、65の過熱を防止し、その減耗や損傷を防ぐことができる。また、衝突突起55、65自体の熱影響による破損も防ぐことができる。さらに、衝突突起55、65を翼パネル21に後付けすることができるため、翼パネル21を含む周囲の構造部材の形状を変更する必要がないので、防氷装置の製作が容易になる。
〔第三の実施形態〕
以下、本発明による第三の実施形態を説明する。
なお、第三の実施形態は、内壁面31に表面処理が施された表面処理部70が形成されていることを除けば、第一および第二の実施形態と共通する。そこで、以下では第一および第二の実施形態と異なる構成を中心に説明を行い、共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
第三の実施形態では、図7(b)に示すように、主翼前縁部22内側の内壁面31に表面処理が施された表面処理部70が形成されている。表面処理部70は、突起部65の周囲であって、突起部65に一旦衝突した抽出エアの流路上に設けられている。表面処理部70は、表面処理がなされていることにより熱伝達率が向上している。
<表面処理方法>
表面処理部70は、通常の表面処理方法により適宜形成することができる。具体的には、衝突突起65が形成される箇所をマスク等で覆い、ショットブラストによって表面処理し、梨地に加工することができる。梨地以外でも、表面処理部70の表面粗さが、表面処理が施されていない内壁面31の表面粗さよりも大きければよい。ショットブラスト以外の表面処理方法としては、エッチング等を適用することができる。
<抽出エアの流れと熱伝達率の関係と本実施形態の効果>
次に、図8を参照しながら、上述した抽出エアの流れと、それに影響を受ける内壁面31における熱伝達率の関係を説明する。なお、図8(a)、図8(b)は、表面処理部70を設けた場合を示し、図8(c)(d)は表面処理部70を設けない場合を示している。また、図8(b)は、図8(d)の抽出エアが衝突した内壁面31の熱伝達率の分布を示している。
図8(a)および図8(b)に示すように、内壁面31に表面処理部70を設けることにより、突起部65周囲の内壁面31の熱伝達率を平均化させることができる。また、主翼前縁部22内側の内壁面31の全体的な熱伝達率を向上することができる。これにより、主翼前縁部22をより均一に、また、より効率的に加熱することができる。
本実施形態では、衝突突起65が設けられた内壁面31に表面処理部70を形成する例を記載したが、上述の全ての実施形態の内壁面31に表面処理部70を同様に形成することができる。
なお、上記では、本発明の航空機における前縁部の防氷装置を航空機の主翼に適用して説明したが、主翼に限らず、尾翼など、他の翼に適用してもよい。また、翼の他にも、エンジンの空気取り入れ口の前縁部など、航空機の前縁であって着氷しやすい場所に適用することもできる。
また、上記では、複数の吹き出し孔41aを備える抽出エアノズル41を例に説明したが、抽出エアを所望する箇所に供給できるものであればよく、例えば、吹き出し孔を一つだけ有するノズルを複数設けてもよい。さらに、上記では、複数の吹き出し孔41aを抽出エアノズル41の長手方向の直線上に並べる例に説明したが、吹き出し孔41aから吹き出された抽出エアが衝突バー45等の衝突部に直接吹き付けられるように配置されていればよく、例えば、吹き出し孔を抽出エアノズル41の長手方向に千鳥状に設けたり、複列に配置することもできる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
20…主翼、21…翼パネル、22…主翼前縁部、22a…先端部、30…暖気室、31…内壁面、32…後壁、40、50…防氷装置、41…抽出エアノズル、41a…吹き出し孔、42…抽出エア供給ライン、45…衝突部、55、65…衝突突起、55a、65a…頂面、55b、65b…テーパ面、70…表面処理部

Claims (6)

  1. 湾曲形状をなす前縁部に向けて抽出エアを供給する抽出エア供給部と、
    前記抽出エアが前記前縁部に向けて流れる流路上に設けられ、前記抽出エアが衝突する衝突部と、を備え、
    前記抽出エア供給部から供給された前記抽出エアは、前記衝突部に衝突した後に、前記前縁部に供給されることを特徴とする、
    航空機における前縁部の防氷装置。
  2. 前記衝突部は、前記前縁部の内側を構成する構造部材と一体的に形成されている、請求項1に記載の航空機における前縁部の防氷装置。
  3. 前記衝突部は、前記前縁部の内側を構成する構造部材とは別体として作製され、前記構造部材に接合されている、請求項1に記載の航空機における前縁部の防氷装置。
  4. 前記衝突部は、遮熱コーティングが施されている、請求項2に記載の航空機における前縁部の防氷装置。
  5. 前記前縁部は、翼の前縁部である、請求項1に記載の航空機における前縁部の防氷装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載された防氷装置を備えた、航空機の主翼。
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