以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る弾球遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。
<1.構成の概要:図1および図2>
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図を、図2は遊技盤の正面側を示した図である。
まず図1を参照して、パチンコ遊技機1の正面側の構成について説明する。図1に示すパチンコ遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。またさらに上受け皿ユニット8には、所定の入力受付期間中に内蔵ランプが点灯されて操作可能(入力受付可能)となり、その内蔵ランプ点灯時に押下することにより演出に変化をもたらすことができる押しボタン式の枠演出ボタン13が設けられている。この枠演出ボタン13は、遊技者が操作可能な手操作手段として働く。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を奏するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉6の各所には、光の装飾により光演出効果を奏する複数の装飾ランプ45が設けられている。
次に図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。図2に示す遊技盤3は、略正方形状の木製合板または樹脂板を主体として構成されている。この遊技盤3には、図示のように、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されており、この球誘導レール5取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3aとなっており、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、たとえば3つ(左、中、右)の表示エリア(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄(左表示エリア対応)、中図柄(中表示エリア対応)、右図柄(右表示エリア対応))の変動表示および停止表示が可能である液晶表示装置36(LCD:Liquid Crystal Display)が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り48が設けられている。センター飾り48は、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護するとともに、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする部材(振分手段)である。本実施形態では、センター飾り48が遊技領域3aのほぼ中央部に配置されており、これにより、遊技領域3a内の上部両側(左側と右側)に遊技球の流路が形成されるようになっている。ただし、この実施形態の場合、センター飾り48は少し右側に膨出した形となっている。
センター飾り48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、かつ固定ねじなどにより遊技盤3に固定される前面装着板48aと、センター飾り48の外周囲を形成し液晶表示装置36の表示画面を取り囲む鎧枠部48bとを一体に備えている。鎧枠部48bは、その略全体が前面装着板48aから前側に突出しており、その内側、すなわち液晶表示装置36側への遊技球の侵入を阻止するようになっている。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間には遊技球が通過可能な遊動領域が形成され、右側へも遊技球が案内されるようになっている。発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、この鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。このようなセンター飾り48は、遊技球の落下方向を変換する遊技球落下方向変換部材(落下方向変換手段)として働く。
なお図示していないが、センター飾り48には、液晶表示装置36の前側下部に、鎧枠部48bの左側部に設けられた入球口(図示せず)から入球した遊技球を左右方向に自由に転動させて、左右方向中央の落下口(始動口案内路)またはその左右両側から落下させるステージが設けられている。またセンター飾り48には、適所に、その動作態様により視覚的演出効果を奏する可動体役物(図示せず)が設けられている。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、ここには7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1特別図柄用)と下始動口35(第2特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2特別図柄表示手段)が設けられている。特別図柄表示装置38a、38bは、7セグにより表現される特別図柄の変動表示動作(変動開始および変動停止を一セットとする変動表示動作)により特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。また上記の液晶表示装置36は、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示するもので、演出画像とともに装飾図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている(これらの図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する)。
また各種機能表示部には、特別図柄表示装置38a、38bの隣りに、7セグメント表示器(ドット付)からなる保留複合表示用LED表示器38cが配設されている。複合と称したのは、特別図柄1の作動保留球数の表示、特別図柄2の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下単に保留複合表示装置と言う)であるからである。
また各種機能表示部には、保留複合表示用LED表示器38cの隣りに、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。この普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作(シーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで当否が判明する)により普通図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。また、この普通図柄表示装置39aに隣接して3個のLEDを配置してなるラウンド数表示装置39bが設けられている。
センター飾り48の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口)と、下始動口35(第2の特別図柄始動口)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図3参照)が形成されている。
第1の特別図柄始動口である上始動口34は、特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置)における第1の特別図柄(以下、「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口開閉手段(始動口を開放または拡大可能にする手段)を有しない入賞率固定型の入賞装置として構成されている。本実施形態では、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(たとえば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入賞容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入賞困難または入賞不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な入賞率変動型の入賞装置として構成されており、具体的には、第2の特別図柄始動口である下始動口35を、開放または拡大可能にする左右一対の可動翼片(可動部材)47を備える、いわゆる「電動チューリップ型」の入賞装置として構成されている。普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置)における第2の特別図柄(以下、「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、下始動口35への入賞が不可能となるような閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口43が左側に3つ、右側に1つ、計4つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図3参照)が形成されている。
また普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口37が設けられている。この普通図柄始動口37は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていない形態となっているが、これに限らず、左流下経路3bのみに形成しても良い。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより大入賞口50を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(特別電動役物)が設けられており、その内部には大入賞口50に入球した遊技球を検出する大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。
大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、当該遊技球の流下方向は大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに図示しない所定配列の遊技くぎにより、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)の方向に導かれる。このとき、下始動口35が入賞可能状態(始動口開状態)であれば、下始動口35に遊技球が入賞し得る。他方、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて大入賞口50が開いている状態(大入賞口開状態)であれば、遊技球が大入賞口50内に導かれる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって大入賞口閉状態であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされるようになっている。
上記した入賞手段が左右の流下経路のいずれに属するか、つまり左流下経路3bまたは右流下経路3cのいずれを流下する遊技球が入賞可能であるかについて分類すると、左流下経路3bに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、および左側の3つの一般入賞口43があり、右流下経路3cに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、大入賞口50、および右側の1つの一般入賞口43がある。
下始動口35は、可動翼片47が開いた状態(始動口開状態)であれば、左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属し、左右のいずれの流下経路からも入賞可能となっている。しかし、下始動口35の可動翼片47は、遊技領域3aの右側に位置する普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)がその作動条件となっているので、実質的には右流下経路3cにのみに属するといえる。
また上始動口34については、概ね左流下経路3bまたは左流下経路3bのみに属し、右流下経路3cからの遊技球については、入賞困難または不可能となっている。すなわち、遊技領域3a内の遊技くぎやその他の遊技部品の配置は、左流下経路3bを流下して来た遊技球(センター飾り48のステージを経た遊技球を含む)について、これを上始動口34へ誘導し得るが、右流下経路3cを流下してきた遊技球については、上始動口34へ誘導困難または誘導しない、という誘導路を形成するように配設されている。
また大入賞口50については右流下経路3cのみに属し、右流下経路3cからの遊技球だけが入賞可能となっている。
上記の上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、大入賞口50、または一般入賞口43などの各入賞口は、遊技領域3a内に配置された入賞手段として機能し、また、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、または一般入賞口センサ43aなどの検出スイッチ(入賞検出スイッチ)は、入賞手段に入球した遊技球を検出する入賞検出手段として機能する。上記入賞検出スイッチは、フォトスイッチや近接スイッチなどの無接点スイッチや、マイクロスイッチなどの有接点スイッチで構成することができる。
本実施形態のパチンコ遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数(たとえば、上始動口34または下始動口35は3個、大入賞口40は13個、一般入賞口43は10個)が遊技球払出装置19(図3参照)から払い出されるようになっている。なお上記の各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合にはそのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。
<2.制御装置:図3>
次に図3を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の遊技動作制御に係る制御装置について説明する。図3は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係るパチンコ遊技機1の制御装置は、遊技動作全般に係る制御(遊技動作制御)を統括的に司る主制御部(主制御手段)20と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、画像と光と音についての演出動作制御(演出現出制御)を統括的に司る演出制御部(演出制御手段)24と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源(図示せず)から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源基板(電源制御手段)31と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図3において電源供給ルートは省略してある。
(2−1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM202(主制御ROM)と、RAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。ROM202には、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM203は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、遊技進行の際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。また図示はしていないが、主制御部20は、特別図柄変動表示ゲームに係る抽選用乱数を生成する乱数生成回路、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC(Counter Timer Circuit)、およびCPUに割込み信号を付与するタイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備える割込コントローラ回路なども備えている。
ここでCPU201は、Z80(ザイログ社製またはこれの相当品)のCPUである。Z80は、データバスが8ビット、アドレスバスが16ビットのCPUであるが、広いメモリ空間を必要とせず、その上、高速処理や複雑な数値演算処理も必要としないパチンコ機の制御には最適である。CPU201は、処理を実行するのに必要なデータの読み書きが行われる複数種類のレジスタが設けられている。詳しくは、主に演算用データが格納されるAレジスタ(アキュームレータACC)、Fレジスタ(フラグレジスタ)、汎用データが格納されるB、C、D、E、H、Lレジスタ(汎用レジスタ)、実行中のプログラムの位置を示すデータが格納されるPCレジスタ(プログラムカウンタPC)、スタックポインタ(スタック領域の現在の位置を示すアドレス)が格納されるSPレジスタ(スタックポインタSP)、リフレッシュ動作を行うRAM401bのメモリブロックを示すデータが格納されるRレジスタ(リフレッシュカウンタ)、RAM401bの格納領域を参照する際の基準となる位置を示すデータが格納されるIX、IYレジスタ(インデックスレジスタ)、割込発生時に参照する割込テーブルの位置を示すデータが格納されるIレジスタ(割込みベクタレジスタ)などが設けられており、主レジスタ(A、F、B、C、D、E、H、L)、補助レジスタ(A’、F’、B’、C’、D’、E’、H’、L’)、専用レジスタ(I、R、IX、IY、SP、PC)に分類されるレジスタを有している。
主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する上始動口34aと、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、大入賞口50への入賞を検出する大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aとが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38aと特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また、主制御部20には、普通図柄表示装置39aが接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、複合表示装置38cが接続され、主制御部20は、複合表示装置38cに表示される各種情報を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、ラウンド数表示装置39bが接続され、大当りによる規定ラウンド数を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、枠用外部集中端子基板21が接続され、遊技進行に関する情報(たとえば、大当り当選情報や賞球数情報や図柄変動表示ゲーム実行回数情報など)を、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信可能となっている。ホールコンピュータHCは、パチンコホールの遊技機を統括的に管理する管理コンピュータであり、遊技機外部に配設されている。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続されている。払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。主制御部20は、払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。他方、払出制御基板29は、主制御部20に対し、払い出し動作状態に関する情報(払出状態信号)を送信可能となっている。主制御部20側では、この払出状態信号に基づき、遊技球払出装置19が正常に機能しているか否か、具体的には、賞球の払い出しに不具合(払い出しエラー:たとえば、玉詰まりや賞球の払い出し不足)が発生したか否かを監視している。
また主制御部20は、特別図柄変動表示ゲームに関する情報を乗せた演出制御コマンドを、演出制御部24に送信可能となっている。このような主制御部20からの演出制御コマンドは、外部からのゴト行為による不正な信号が演出制御部24を介して主制御部20に入力されることを防止するため、一方向通信により演出制御部24に送信される。
(2−2.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM242(演出制御ROM)と、RAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音源IC、CTC、およびタイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備える割込みコントローラ回路などが設けられている。ROM242には、演出制御手順が記述された演出制御プログラムの他、演出動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM243は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、演出を現出する際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、装飾ランプ45やLEDの発光制御、可動体役物の動作制御などである。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDP(Video Display Processor)と、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24は、光演出や音演出を行うため、装飾ランプ45やLEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、可動体役物モータ61に対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。
また演出制御部24には、遊技者が操作可能な枠演出ボタン13が接続され、枠演出ボタン13からの操作検出信号を受信可能となっている。また演出制御部24には、可動体役物の動作を制御するための役物モータ61が接続され、可動体役物モータ61を制御するための制御信号を送信可能となっている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドに基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選によりあるいは一意に決定し、必要なタイミングで各種演出手段を制御する。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示、スピーカ46からの音の再生、装飾ランプ45やLEDの点灯点滅駆動が実現され、時系列的に種々の演出パターンが展開されていくことにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号はCPU201により、CPU241が確実にコマンドを受信することが可能な所定期間アクティブ状態に制御される。
また演出制御部24(CPU241)は、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またCPU241は、CPU201とは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概説>
次に、上記制御装置(図3)を用いた本実施形態のパチンコ遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3−1.図柄変動表示ゲーム)
(3−1−1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示しされ、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出されるようになっている。
なお本明細書中では、説明の便宜上、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略す)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と称する。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして、特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
たとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」である場合、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、つまり、特別図柄変動表示ゲームが終了して、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了し、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52c(図3参照)が作動して開放扉52bが所定のパターンで開放動作を行い、これにより大入賞口50が開閉され、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、開放扉52bにより、大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口50への入賞球)が所定個数(最大入賞数:役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、9個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定ラウンド数(たとえば、最大15ラウンド)繰り返される。なお、大入賞口50が閉鎖される条件はこれに限らず、大入賞口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、大入賞口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
上記大当り遊技が開始すると、最初に大当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当りが終了される旨を報知するエンディング演出が行われ、これにより大当り遊技が終了する。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング演出、ラウンド遊技、およびエンディング演出から構成される。ただし、大入賞口閉状態であるオープニング演出期間とエンディング演出期間とを除いたラウンド遊技実行期間を、大当り遊技期間と捉えても良い。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選’とを含む大当り抽選を行い、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、最終的に停止表示させる特別図柄(特別停止図柄)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果、特別図柄の変動時間、特定演出(たとえば、予告演出)の有無に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」と、特別停止図柄の情報を含む「装飾図柄指定コマンド」とを演出制御部24に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に展開させる演出内容(演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)を決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い装飾図柄を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームを実行させる。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45やLEDなどの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。本明細書中では特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
(3−1−2.普通図柄変動表示ゲーム)
またパチンコ遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(たとえば、2個のLED39が全て点灯状態、または「○」と「×」を表現するLEDのうち「○」側のLEDが点灯状態)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常遊技状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47により、下始動口35の開放時間が所定時間(たとえば、0.2秒)経過するまでか、または下始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(たとえば、4個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満たした場合に下始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、最大2回)繰り返されるようになっている。なお、下始動口35が閉鎖される条件はこれに限らず、下入賞口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、下入賞口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
ここで、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中などに、上始動口34または下始動口35もしくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、本実施形態では、これを各変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶される。この図柄変動表示動作に供されていない保留中のデータ(保留データ)またはその保留データに係る遊技球を「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、パチンコ遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球数の最大記憶数は特に制限されない。また、各図柄ごとに異なる作動保留球数の最大記憶数を設定しても良い(たとえば、特別図柄1側を最大4個、特別図柄2側を最大2個、普通図柄側を最大6個など)。また特別図柄1および特別図柄2に関し、大当り抽選による結果、得られる利益が相対的に高くなる図柄側の作動保留球数の最大記憶数を多く設定しても良い。本実施形態では、特別図柄2に係る大当り抽選が遊技者とり利益が高い大当り種が得られるので(後述の図42参照)、たとえば、特別図柄2側を最大4個、特別図柄1側を最大1個などに設定しても良い。
(3−2.遊技状態)
次に、遊技状態について説明する。本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「確率変動(以下、「確変」と略す)機能」を備えている。これには特別図柄に係る確変機能(以下、「特別図柄確変機能」と称する)と普通図柄に係る確変機能(以下、「普通図柄確変機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄確変機能は、大当りの抽選確率を所定確率(通常確率)の低確率(たとえば、399分の1)から高確率(たとえば、39.9分の1)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「高確率状態」を発生させる機能である。この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態(高確率状態)下では、大当り抽選確率が高確率となることから、大当りが生起され易くなる。したがって、遊技者が期待する遊技状態は、この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態であるといえる。なお、特別図柄確変機能の作動開始条件およびその作動終了条件の詳細については、追って説明する。
普通図柄確変機能は、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)である低確率(たとえば、256分の1)から高確率(たとえば、256分の255)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「補助当り確変状態」を発生させる機能である。この普通図柄確変機能が作動中の遊技状態(補助当り確変状態)下では、補助当り抽選確率が高確率状態となることから補助当りが生起され易くなり、普電開放遊技が頻繁に発生して、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄確変機能の作動開始条件は、後述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「変動時間短縮(以下、「時短」と称する)機能」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動を開始してから確定表示される迄の平均時間(特別図柄の平均変動時間))を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、リーチなしハズレ変動に要する平均時間が8秒から2秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、特別図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動を開始してから確定表示されるまでの平均的な時間(普通図柄の平均変動時間))を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、10秒から1秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、普通図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。また本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄時短機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
さらにまた、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。
開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間およびその開放回数の少なくともいずれか一方)を延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。この開放延長状態は、いわゆる「電チューサポート状態」と称される。上記開放延長機能が作動中の遊技状態(開放延長状態)下では、可動翼片47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば0.2秒から1.7秒に延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から2回(開放延長機能が作動中のとき)に延長されて、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、開放延長機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。したがって、開放延長状態中は、普通図柄確変機能および普通図柄時短機能も作用するため、可動翼片47の作動率が著しく向上した遊技状態が発生する。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態に変化をもたらすことができる。ここで本実施形態では、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能の作動開始条件は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件としているので、各機能が同じ契機にて動作することになる。以下では、説明の便宜上、特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「確変状態」と称し、これらの機能のうちから特別図柄確変機能を除去した遊技状態を「時短状態」と称し、特別図柄確変機能のみが作動する遊技状態を「潜伏確変状態(潜確または潜確状態)」と称し、全機能が作動中でない(非作動)状態を「通常遊技状態」と称する。したがって、これらの遊技状態における大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「時短状態」または「通常遊技状態」である場合には少なくとも大当り抽選確率が‘低確率状態’となり、遊技状態が「潜確状態」または「確変状態」の場合においては少なくとも大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。なお詳細は後述するが、本実施形態では、上記の「時短状態」は単独では発生しない構成となっている。また大当り中は、全機能が非作動となり、基本的には、上記通常遊技状態と同じ遊技状態下に置かれる。
(3−2−1.高ベース遊技状態)
本実施形態では、上記の普通図柄に関する機能、すなわち普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっているので、これら3つの機能が同じ契機にて動作することになる。しかし、上記の普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能を個々に着目した場合、これらの機能のうち少なくともいずれか1つが作動すると、上記の可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となり下始動口35への入賞頻度が上昇することから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高まる「高ベース遊技状態(始動条件向上状態)」となる。なお、ここでいう「高ベース遊技状態」とは、普通図柄に関する機能が作動する場合の遊技状態をいい、特別図柄に関する機能、すなわち特別図柄確変機能および特別図柄時短機能の少なくともいずれか一方が作動する場合の遊技状態とは異なる。
他方、特別図柄に関する機能(特別図柄確変機能と特別図柄時短機能)を個々に着目した場合、上記特別図柄確変機能が作動する場合には大当り抽選確率が通常遊技状態より高まる「高確率状態」となり、上記特別図柄時短機能が作動する場合には、特別図柄変動表示ゲームの消化時間が通常遊技状態よりも早い「特別図柄時短状態」となる。この点において、特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高くなる上記「高ベース遊技状態」とは区別される。
また本実施形態では上記「高ベース遊技状態」の一例として、開放延長機能が付与された電チューサポート状態を「高ベース遊技状態」として扱う。電チューサポート状態下では、普通変動入賞装置41の可動翼片47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して下始動口35への入賞率が高まり、単位時間当りの入賞頻度が上昇することから、電チューサポート状態でない場合(低ベース遊技状態)と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常遊技状態」または「潜確状態」の場合には‘電チューサポート状態無し’(以下、「電サポ無し状態」と称する)となり、遊技状態が「時短状態」または「確変状態」である場合には‘電チューサポート状態有り’(以下、「電サポ有り状態」と称する)となる。
なお本実施形態では、遊技状態に関連した演出の多様化を図るために、一の遊技状態をさらに分類して管理している。具体的には、「通常遊技状態」には、「通常遊技状態A(通常A)」、「通常遊技状態B(通常B)」、および「通常遊技状態C(通常C)」といった複数種類の通常遊技状態が含まれ、それぞれ異なる遊技状態として管理している。すなわち、同じ通常遊技状態であっても特別図柄の変動パターンを選択する際の条件(変動パターン選択モード)が異なるようになっている。これにより、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況、すなわち「内部遊技状態」に着目した場合に、同じ「通常遊技状態」でありながらも、演出に関しては「通常A」〜「通常C」という複数種類の遊技状態(変動パターン選択モード(後述の図49の変動パターン振分指定番号(Tcode)参照))ごとに対応した演出を発生させるこができるようになる。さらに本実施形態では、内部遊技状態は同じ「潜確状態」でありながらも、演出に関しては、「通常A」、「通常B」、または「通常C」として管理し、上述した通常遊技状態下の「通常A」〜「通常C」と同じ遊技状態に対応した演出を発生させるこができるようなっている(各遊技状態の移行条件や、演出内容を指定する特別変動パターンに関する詳細については後述する)。本実施形態の上記大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能に着目した場合の「内部遊技状態」の種類には、通常遊技状態、潜確状態、および確変状態が含まれ、また演出の決定に着目した場合の「遊技状態」の種類(変動パターン選択モードの種類)には、通常A、通常B、通常C、および確変状態が含まれる。
このように本実施形態では、大当り抽選確率や電サポの有無に着目した遊技状態(内部遊技状態)と、演出の決定に着目した遊技状態とを異なるものとして管理することで、内部遊技状態が同じであっても、複数種類の演出モードを実現させることができるようになっている。これにより、同一の内部遊技状態下における演出のバリエーションを豊富なものとすることができる。なお本明細書中では特に必要のない限り、上記内部遊技状態と演出の決定に着目した場合の上記遊技状態とを同列に扱う。
<4.当りについて>
次に、本実施形態に係るパチンコ遊技機の「当り」について説明する。
(4−1.当り種別)
本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、複数種類の当りを対象に大当り抽選を行うようになっている。この当り種別には、「15R長開放確変大当り」、「10R長開放確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、および「小当り(小当りA、小当りB、および小当りC)」などの複数種類の当りが含まれる。
これら当りのうち、「15R長開放確変大当り」、「10R長開放確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」は条件装置の作動契機となる「大当り」種別に属する当りであり、「小当り」は条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属する当りである。ここで「条件装置」とは、その作動がラウンド遊技を行うための役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合に作動するものをいう。上記「大当り」種別に属する当りや、「非大当り」種別に属する当り(小当り)は、いずれも大入賞口の開閉動作を伴う特別遊技状態への移行契機となる当りである。したがって、「非大当り」種別に属する当りは、単なる「ハズレ」とは異なる。
上記‘大当り’種別に属する当りのうち、「15R長開放確変大当り」、「10R長開放確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を、少なくとも高確率状態を伴う遊技状態(本実施形態では、確変状態または潜確状態)に移行させる「確変大当り」に属する大当りとなっている。なお「小当り」は‘非大当り’種別に属する当りではあるが、特に必要がない限り上記の大当りと区別することなく、大当り種別の一つとして同列に扱うことにする。
(4−2.当り遊技)
次に、上記した各当りによる当り遊技について説明する。
(4−2−1.15R長開放確変大当りによる当り遊技)
15R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「15R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を15ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における大入賞口50の最大開放時間が「長開放時間」の‘29.8秒’に設定される。ここで「長開放時間」とは、その時間内に大入賞口への入賞数が上記最大入賞数(たとえば、9個)に達する可能性がある(最大入賞数に達する可能性が十分ある)時間幅として定めたものである。
ラウンド遊技が開始されて大入賞口50が開放された後、上記の最大開放時間が経過した場合は大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、規定ラウンド数の15ラウンドに達していなければ、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。ただし、最大開放時間経過前であっても大入賞口50に入賞した遊技球数(入賞球数)が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合は、大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。つまり、大入賞口の最大開放時間が経過した場合か、または大入賞口に入賞した遊技球数が最大入賞数に達した場合かのいずれか一方の条件を満たすと、開放された大入賞口が閉鎖され、所定のインターバル時間を挟んで、次のラウンド遊技に移行されるようになっている(後述の10R長開放確変大当りによる当り遊技、2R短開放潜確大当りによる当り遊技についても同様)。なお、ラウンド遊技間における上記「ラウンド間インターバル時間」は、「残存球排出時間」と、この残存球排出時間が経過してから次のラウンド遊技が開始されるまでの「開放前インターバル時間」とからなる。上記「残存球排出時間」とは、大入賞口の閉鎖後における大入賞口内部の残存球を排出するための余裕時間(たとえば、1980ms)を指し、その時間幅として、大入賞口が閉鎖される直前に入賞した遊技球が大入賞口内部に形成された入賞検出スイッチ(大入賞口センサ52a)を通過するまでに要する十分な時間が確保されている。また「開放前インターバル時間」とは、上述の残存球排出時間が経過して大入賞口内の残存球が排出されたものとみなされた後、次のラウンド遊技における大入賞口が開放されるまでの時間幅(たとえば、20ms)を指す。この開放前インターバル時間中に大入賞口センサ52aが遊技球を検出しても、その遊技球は無効なものとして扱われるようになっている。
(4−2−2.10R長開放確変大当りによる当り遊技)
10R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「10R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を10ラウンドとする以外は、上述した15R確変大当り遊技の内容と同じある。したがって、この10R確変大当り遊技は、上記15R確変大当り遊技よりも相対的に低い利益が付与される大当り遊技となる(本実施形態では、5ラウンド分の賞球数差がある)。
(4−2−2.2R短開放潜確大当りによる当り遊技)
2R短開放潜確大当りによる当り遊技(以下、「2R潜確大当り遊技」と称する)では、規定ラウンド数を15ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における大入賞口50の最大開放時間は「短開放時間」の0.1秒に設定される。ここで「短開放時間」とは、大入賞口への入賞自体を困難とする時間幅として定めたものである。本実施形態では、発射装置の性能(たとえば単位時間あたりの遊技球の連射速度性能)や大入賞口の形成位置などにより、上記「短開放時間」内に大入賞口閉鎖条件の一つである「最大入賞数」に達することが不可能なようになっている。2R潜確大当り遊技では、大入賞口50が短開放時間しか開放されずに、そのラウンド遊技数も2ラウンド分と少ないことから、実質的には賞球が殆ど得られない大当り遊技となっている(正確には、大入賞口50の入賞も発生する可能性はあるが、各ラウンド遊技の大入賞口の最大開放時間が短開放時間に設定される関係上、その可能性は極めて低くなり、実質的に、賞球が殆ど得られない)。
以上のように本実施形態では、大当りの種類に応じて、大当り遊技中の賞球数、換言すれば、遊技者が獲得し得る遊技球数(獲得賞球数)が異なるように構成されている。なお、2R潜確大当り遊技では最大開放時間を上記短開放時間に設定すると説明したが本発明はこれに限られない。たとえば、大入賞口50への入賞がある程度許容されるように、15R確変大当り遊技や10R確変大当り遊技と同じ長開放時間を設定しても良いし、上記最大入賞数に達することは困難または不可能であるが、大入賞口50への入賞球数をある程度確保できるような開放時間(長開放時間よりも短く、短開放時間よりも長い中間的な開放時間:たとえば、5秒)に設定しても良い。また、賞球数を異ならせるために、大当りの種類に応じて、上記最大入賞数をそれぞれ異なる個数に設定しても良い。
(4−2−3.小当り(小当りA〜小当りC)による当り遊技)
小当りA〜小当りCによる当り遊技(以下、「小当り遊技」と称する)では、それぞれ大入賞口50の開放が2回行われ、1回あたりの大入賞口50の最大開放時間が2R潜確大当り遊技の最大開放時間に相当する0.1秒に設定され、1回目の大入賞口50の閉鎖後、2回目の大入賞口50開放までのインターバル時間が2R潜確大当り遊技のラウンド間インターバル時間と同じ時間幅が設定される。また小当り遊技における大入賞口50の閉鎖条件に関しては、最大開放時間が経過した場合か、または大入賞口50に入賞した遊技球数が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合かのいずれか一方の条件が満たされた場合となっている。この点も2R潜確大当り遊技と同じである。つまり、この小当り遊技中において外見から捉えた大入賞口50の開閉動作が、上記2R潜確大当り遊技のものと実質的に同一の動作態様で制御されるようになっている。
この「小当り」は「条件装置」の作動契機とはならない当り種別であることから、「大当り」のようなラウンド遊技は実行されない。しかし2R潜確大当り遊技と実質的に同一の動作態様で大入賞口50を開閉制御することにより、疑似的なラウンド遊技を実現させて、見た目上、あたかも2R短開放潜確大当りに当選したかの如く装うことを可能にしている。また小当り遊技中の当り中演出(当り遊技中に現出される演出)は、2R潜確大当り遊技中の当り中演出と同一または酷似する演出が現出されるようになっている。つまり、当り中演出を含む小当り遊技に係る動作は、2R短開放潜確大当りに係る動作と実質的に同一挙動を示し、遊技者側から見て、どちらの当り遊技が実行されているかの識別が困難または不可能とされる。これにより、小当りに当選した場合であっても、2R短開放潜確大当りへの当選期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
(4−3.当り遊技終了後の遊技状態)
次に図4を参照して、上記の各当り遊技後に移行される遊技状態について説明する。図4は、各当り遊技後に移行する遊技状態の説明に供する説明図である。
(4−3−1.15R確変大当り遊技終了後の遊技状態)
15R確変大当り遊技後は、図示のように、その大当り当選時の遊技状態にかかわらず「確変状態」に移行される。この「確変状態」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄の変動表示動作回数(以下、「特別図柄の変動回数」と略す)が所定回数(本実施形態では、特別図柄変動表示ゲーム1および2の合計実行回数(特別図柄1および2の合計変動回数)。以下同じ):たとえば70回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定する(特別図柄が大当りを示す表示態様で停止表示され、大当り遊技の発生が確定した場合。なお、大当りに当選した場合であっても良い。以下同様)まで当該確変状態が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該確変状態が終了して、次ゲームから「通常A(内部遊技状態は通常遊技状態)」に移行されるようになっている。本実施形態のパチンコ機1は、大当り抽選確率が少なくとも高確率となる遊技状態に移行された後、大当り(小当りは除く)に当選することなく特別図柄変動表示ゲームが所定回数終了した場合、当該高確率状態を終了させて大当り抽選確率を低確率に移行させる回数切りの確変機(回数切り確変機(ST機))となっている。以下、必要に応じて、この高確率状態が継続される特別図柄変動表示ゲーム(特別図柄の変動回数)の上限回数を「規定ST回数」と称する。
(4−3−2.10R確変大当り遊技終了後の遊技状態)
15R確変大当り遊技後は、その大当り当選時の遊技状態にかかわらず「確変状態」に移行され、この確変状態となってからの遊技状態遷移は、上述した15R確変大当りの場合と同じである。
(4−3−3.2R潜確大当り遊技終了後の遊技状態)
2R潜確大当り遊技後は、図示のように、その大当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、大当り当選時の遊技状態「通常A」〜「通常C」であった場合(内部遊技状態が通常遊技状態または潜確状態であった場合)には「通常C(内部遊技状態は潜確状態)」に、「確変状態」であった場合には「確変状態」に移行されるようになっている。ここでの「通常C」は、先に述べたように、内部遊技状態が通常遊技状態の「通常C」と同じ遊技状態として管理されるが、その実体は、内部遊技状態が潜確状態の「通常C(潜確)」である。
2R潜確大当り遊技終了後の「通常C」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームが第1の所定回数(たとえば30回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで当該「通常C」が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「通常C」が終了して、次ゲームから「通常A」に移行される。つまり、規定ST回数を前半区間と後半区間とで区切った場合、前半区間は「通常C」下に置かれ、後半区間は「通常A」下に置かれることになる。したがって、この「通常C」から「通常A」へと移行された場合は、内部遊技状態が潜確状態の「通常A」に移行される。
上記潜確状態の「通常A」となった後、前半区間の「通常C」中を含めた特別図柄変動表示ゲームの実行回数が規定ST回数(70回)終了するまでの間か、またはその規定ST回数内で大当り(小当りを含む)が確定するまで「通常A」が継続し、その規定ST回数内で大当り(小当りを含む)が確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには、高確率状態が終了となり、次ゲームから通常遊技状態の「通常A」に移行される。つまり、2R潜確大当り遊技終了後に「通常C」となった後、上記規定ST回数(たとえば、70回)以内に大当りに当選しなかった場合は、内部遊技状態が潜確状態の「通常C(特別図柄変動表示ゲームの実行回数30回)」→同状態の「通常A(特別図柄変動表示ゲームの実行回数40回)」(ST規定回数終了)→内部遊技状態が通常遊技状態の「通常A」、といった遊技状態遷移となる。
以上に述べたように、上記の「15R長開放確変大当り」は、第1の大当り遊技に移行させ、当該第1の大当り遊技の終了後に通常遊技状態よりも遊技者に有利な第1の特典遊技状態(本実施形態では、確変状態)に移行させる「第1の大当り」として機能する。また上記の「10R長開放確変大当り」は、上記第1の大当り遊技よりも遊技者に供与する利益が相対的に少なくなるように大入賞口の開閉動作パターンが実行制御される第2の大当り遊技に移行させ、当該第2の大当り遊技の終了後に上記第1の特典遊技状態に移行させる「第2の大当り」として機能する。また上記の「2R短開放潜確大当り」は、上記第1の大当り遊技よりも遊技者に供与する利益が相対的に少なくなるように大入賞口の開閉動作パターンが実行制御される第3の大当り遊技に移行させ、当該第3の大当り遊技の終了後に上記第1の特典遊技状態よりも遊技者に供与する利益が相対的に少ない第2の特典遊技状態(本実施形態では、「潜確状態」)に移行させる「第3の大当り」として機能する。
なお本実施形態では、どの大当りに当選しても「時短状態」が発生しない構成となっているが本発明はこれに限らず、大当り遊技終了後に時短状態を発生させる第4の大当り(時短大当り)を設けても良い。この場合、時短状態の終了条件としては、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば100回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定または当選するまでを条件とすることができる。また本実施形態では、少なくとも高確率状態に移行された場合、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(規定ST回数)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定または当選するまで当該高確率状態が継続するものとして説明した。しかし本発明はこれに限らず、特別図柄変動表示ゲームの実行回数に関係なく、次回の大当りが確定または当選するまで高確率状態を継続させる第5の大当りを設けても良い。また上述の第4の大当りまたは第5の大当りによる大当り遊技の内容(遊技形態)は、上記第1〜第3の大当り遊技の内容と同じであっても良いし、異なっていても良い。また、「確変状態」または「潜確状態」あるいは「時短状態」への移行契機となる大当りは、それぞれ1または複数種類あっても良い。
(4−4.小当り遊技終了後の遊技状態)
次に小当り遊技後の遊技状態について説明する。ここで小当り遊技後に関しては、その小当り当選時の内部遊技状態がそのまま継続されるようになっている。つまり、小当り当選に起因した内部遊技状態の移行制御は行われない。このため、小当り当選時の内部遊技状態とその小当り遊技後の内部遊技状態とは、いずれも同じ内部遊技状態となる。この点、内部遊技状態の移行制御が行われうる「大当り」とは性質を異にする。しかし本実施形態では、小当り当選に起因した‘内部遊技状態’の移行制御は行わない一方、‘遊技状態’の移行制御は行うようになっている。これにより、たとえば、小当り遊技後の遊技状態と2R潜確大当り遊技後の遊技状態とを同じ遊技状態に移行させた場合には、双方で同じ演出をなす演出モードに滞在させることができる。つまり、小当り遊技後であっても2R潜確大当り遊技後と同じ演出モード下の演出を発生させることが可能になる。これにより、演出上からは、2R短開放潜確大当りに当選して「潜確状態」に移行したかも知れない、という高確率状態への突入期待感を遊技者に与えることができるようになっている。以下、図4を参照しながら、小当りA〜小当りCに当選した場合における各小当り遊技終了後の遊技状態について詳細に説明する。
(4−4−1.小当りAに当選した場合の小当り遊技終了後の遊技状態)
小当りAによる小当り遊技後は、図示のように、その大当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、大当り当選時の遊技状態「通常A」〜「通常C」であった場合には「通常B」に、「確変状態」であった場合には「確変状態」に移行されるようになっている。上記「通常B」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームが所定回数(たとえば100回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで当該「通常B」が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「通常B」が終了して、次ゲームから「通常A」に移行されるようになっている。
(4−4−2.小当りBに当選した場合の小当り遊技終了後の遊技状態)
小当りBによる小当り遊技後は、図示のように、その大当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、大当り当選時の遊技状態「通常A」〜「通常C」であった場合には「通常B」に、「確変状態」であった場合には「確変状態」に移行されるようになっている。この小当りBによる「通常C」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームが第2の所定回数(たとえば15回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで当該「通常C」が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「通常C」が終了して、次ゲームから「通常A」に移行されるようになっている。
(4−4−3.小当りCに当選した場合の小当り遊技終了後の遊技状態)
小当りCによる小当り遊技後は、図示のように、その大当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、大当り当選時の遊技状態「通常A」〜「通常C」であった場合には「通常C」に、「確変状態」であった場合には「確変状態」に移行されるようになっている。この小当りCによる「通常C」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームが第3の所定回数(好ましくは、「上記第2の所定回数<第3の所定回数」および「第1の所定回数=第3の所定回数」の少なくともいずれか一方の関係を満たす回数。本実施形態では、たとえば30回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで当該「通常C」が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「通常C」が終了して、次ゲームから「通常A」に移行されるようになっている。したがって、上述の小当りC当選に起因して移行される「通常C」と上記小当りB当選に起因して移行される「通常C」とは同一の遊技状態である。ただし、「通常C」の滞在期間が、特別図柄変動表示ゲーム30回(図中の「通常C(30回)」)で終了するものであるか、15回(図中の「通常C(15回)」)で終了するものであるかという点が異なる。
ここで上述の「通常C」は、2R潜確大当り遊技終了後にも移行し得る遊技状態である。このため、2R短開放潜確大当り当選、小当りB当選、または小当りC当選に起因して「通常C」に移行された場合は、それぞれ「通常C」に対応した演出をなす演出モード(後述の「通常C演出モード」)に滞在することになり、演出上において、内部遊技状態が「潜確状態」であるか否か、つまり大当り当選確率状態が高確率状態であるか低確率状態であるか否かが秘匿される。本実施形態では、通常遊技状態と潜確状態とで特別図柄確変機能の作動状況に違いはあるものの、外観上に現れる機械的な遊技動作状態が同じ状態となることに着目し(双方ともに‘電サポ無し状態’)、遊技者側に演出上からもどのような遊技状態であるかを察知されないようにすることで、高確率状態の期待感を遊技者に与えることができるようになっている。特に、大当りまたは小当りに当選することなく特別図柄変動表示ゲーム15回を終了し、次ゲームも「通常C」に対応する演出をなす演出モードに滞在している場合には、小当りC当選か、または2R短開放潜確大当り当選かの限定されるため、「通常C(15回)」よりも「通常C(30回)」の方が高確率状態に突入したかも知れないという期待感がより一層高まる。
なお「通常C」から「通常A」に移行された場合であっても、遊技者に高確率状態の期待感を残すため、「通常C」の継続回数は、規定ST回数よりも少ない回数であることが好ましい。また特別図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄の変動回数)に応じて、上記「通常C」から「通常A」へ移行させるだけなく、「通常C」に滞在中に特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数終了した後、特別図柄変動表示ゲーム実行毎に、所定の移行抽選を行い、その移行抽選に当選した場合には当該「通常C」から「通常A」へと移行させても良い。たとえば、2R短開放潜伏確変大当りまたは小当りCに当選した場合は第1の所定回数(たとえば30回)終了した後、上記移行抽選を行い、小当りBに当選した場合は第2の所定回数(たとえば15回)終了した後、上記移行抽選を行う。さらに、規定ST回数が終了するまで、上記移行抽選に当選することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには、強制的に「通常A」に移行させることが好ましい。
<5.演出について>
(5−1.演出モード)
次に、各遊技状態下に対応する演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1には、現在の遊技状態に関連した演出をなす演出モードを設け、その演出モード間を行き来可能に構成している。具体的には、「通常A」滞在中はこれに関連する演出をなす「通常A演出モード」と、「通常B」滞在中はこれに関連する演出をなす「通常B演出モード」と、「通常C」滞在中はこれに関連する演出をなす「通常C演出モード」と、「確変状態」滞在中はこれに関連する演出をなす「確変演出モード」とを含む各遊技状態に応じた複数種類の演出モードが設けられている。なお上記「通常C」に対応する「通常C演出モード」は、演出上、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)を秘匿状態とし、遊技者に高確率状態の期待感を煽る演出をなす「秘匿演出モード」としての役割を果たす。
演出制御部24(CPU241)は、演出モードを移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有し、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド(遊技状態指定コマンド)に基づいて、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で、これらの演出モード間を移行制御可能に構成されている。
また各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示が、たとえば「通常A演出モード」下では季節‘春’を連想させる背景演出(たとえば、桜の木の背景画像を表示する背景演出:第1の背景演出)、「通常B演出モード」下では季節‘夏’を連想させる背景演出(たとえば、海の背景画像を表示する背景演出:第2の背景演出)、「通常C演出モード」下では季節‘秋’を連想させる背景演出(たとえば、紅葉の木の背景画像を表示する背景演出:第3の背景演出)、「確変演出モード」下では季節‘冬’を連想させる背景演出(たとえば、雪山の背景画像を表示する背景演出:第4の背景演出)にそれぞれ切り替え制御される。
なお本実施形態の「通常C演出モード」は、内部遊技状態が潜確状態(高確率状態)であるか通常遊技状態(低確率状態)であるかにかかわらず、同じ演出モードであると説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、主制御部20から演出制御部24に対して、内部遊技状態情報を含ませた「変動パターン指定コマンド」や「装飾図柄指定コマンド」、あるいは、内部遊技状態情報のみを含む「遊技状態指定コマンド」を送信することで、大当り抽選確率に応じて、潜確状態(高確率状態)下における「本物の通常C演出モード(第1の秘匿演出モード)」と、通常遊技状態(低確率状態)下における「ガセの通常C演出モード(第2の秘匿演出モード)」とに移行制御可能に構成しても良い。この構成においては、内部遊技状態が通常遊技状態中であるときに小当りBまたは小当りCに当選して当該通常遊技状態が維持される場合には、「通常C演出モード」のうち上記「ガセの通常C演出モード」に移行させ、内部遊技状態が通常遊技状態中または潜確状態中に2R短開放潜確大当りに当選して潜確状態に移行される場合には、上記「本物の通常C演出モード」に移行させることができる。そして、双方の背景演出を同じにして(たとえば、季節‘秋’を連想させる背景演出)、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)を秘匿状態としながら、たとえば、上記「ガセの通常C演出モード」よりも「本物の通常C演出モード」の方が特定の演出(潜確状態の可能性がある旨を示唆、暗示させる潜確期待演出)の発生確率を高めるなどして、現在、高確率状態であるか否かの推測要素を遊技者に与えることができるようになる。これにより、遊技の面白みをより一層向上させることができる。
(5−2.予告演出)
次に、予告演出について説明する。図柄変動表示ゲーム中には、上述した演出モードに関連した様々な予告演出が発生させることができるようになっている。斯様な演出態様には、「リーチ演出」や「疑似連」といった予告演出の他、「ボタン予告演出」や「先読み予告演出」などが含まれる。これらの演出態様は、遊技者の大当り当選期待感を煽るための「煽り演出」として働く。
(5−2−1.リーチ演出)
上記「リーチ演出」とは、リーチ状態を伴う演出態様をいい、具体的には、リーチ状態を経由して最終結果を表示するような演出態様をいう。この「リーチ状態」とは、装飾図柄変動表示ゲームの結果が導出される前段階において、当該装飾図柄変動表示ゲームの途中で導出表示される一部の装飾図柄が、大当り発生(大当り当選)を示す表示態様の一部を構成している状態で、未だ導出表示されていない装飾図柄の変動表示が行われている表示態様であり、換言すれば、大当り発生を示す表示態様が導出され易いことを遊技者に連想させうる変動表示態様をいう。たとえば、大当り発生(大当り当選)を示す装飾図柄の組合せが「7(左図柄)」「7(中図柄)」「7(右図柄)」である場合、所定の当り有効ライン上において、装飾図柄の一部が大当り発生(大当り当選)を示す表示態様の一部を表示しており(たとえば、左図柄と右図柄とが「7」を表示しているといった、いわゆる「聴牌状態(リーチ図柄)」を呈している。但し、最終的に導出される結果が必ずしも大当り発生を示す表示態様、たとえば「7(左図柄)」「7(中図柄)」「7(右図柄)」が導出されるとは限らない)、いまだ導出表示されていない装飾図柄(ここでは、聴牌状態(リーチ図柄)を形成していない中図柄)が、所定時間継続して停止、揺動、拡大縮小、または変形しながら、最終結果が表示される前段階で大当り発生の可能性が継続している状態やその様子をいう。したがって、たとえリーチ状態が形成されたからといって、装飾図柄変動表示ゲームの結果が必ずしも「大当り」になるとは限らず、最終的に導出された結果が大当りを示す停止表示態様(たとえば、「7(左図柄)」「7(中図柄)」「7(右図柄)」)でない場合は、今回のゲーム結果は「ハズレ」となる。
上記の「リーチ演出」には、大当りに当選したか否かの期待度を示す大当り当選期待度を示唆するものであり、大当り当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチ演出が含まれる。たとえば、特定のリーチ状態が出現したときには、通常のリーチ状態(‘ノーマルリーチ(Nリーチ)’)が出現した場合に比べて、大当り当選期待度が相対的に高まるものがある。このような特定のリーチ状態を伴うリーチ演出を‘スーパーリーチ(SPリーチ)’という。このSPリーチの多くは、大当り期待感を煽るべく、Nリーチによりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持つ。また、上記リーチ演出には、リーチ状態を経由するNリーチやSPリーチの他、あたかもリーチ状態を経由しない非リーチ演出(いわゆる、「通常変動」)の如く装い、最終的に導出された結果(装飾図柄の組合せ)が大当りを示す停止表示態様となる、といった遊技者の意表を突くリーチ演出(突然当りリーチ演出)や、リーチ状態を経由し、またはこれを経由せずに、所定の変動時間、大当りを示す表示態様を保持したままで変動表示を行い、大当り当選確定を予告するといったプレミアム的なリーチ演出(全回転リーチ演出)を含むことができる。
本実施形態のリーチ演出には、次のような複数種類のリーチ演出が設けられている。まずリーチ演出を大別すると、「通常A」または「通常B」専用の「Nリーチ、弱SPリーチA、弱SPリーチB、強SPリーチA、および強SPリーチB」種別や、「通常C」専用の「特殊リーチ」種別や、「確変状態」専用の「確変中リーチ」種別などが設けられている。これらのリーチ演出種別は、1または複数種類の変動パターンを含む。たとえば「弱SPリーチA」種別には‘弱SPリーチA1〜A3’が、「弱SPリーチB種別」には‘弱SPリーチB1〜B3’が、「強SPリーチA種別」には‘強SPリーチA1〜A3’が、「強SPリーチB種別」には‘強SPリーチB1〜B3’が、「特殊リーチ」種別には‘特殊リーチ1〜3’が、「確変中リーチ」種別には‘確変中リーチ1〜3’が含まれる。
リーチ演出における大当り当選期待度は、主として、リーチ演出の選択率の高低や遊技状態に応じて変化する。たとえば、異種のリーチ種別間では「Nリーチ<弱SPリーチA<弱SPリーチB<強SPリーチA<強SPリーチB」の関係で大当り当選期待度が高くなり、同種類のリーチ間では「弱SPリーチA1<弱SPリーチA2<弱SPリーチA3」というように番号が大きいほど大当り当選期待度が高くなるようなっている。なお、実際の大当り当選期待度は、他の予告演出が伴うか否かに応じて変化する。このため、たとえば、上記弱SPリーチが出現した場合であっても、大当り当選期待度の高い予告演出が絡めば、上記強SPリーチと同等の大当り当選期待度となりうる。
(5−2−2.疑似連演出(疑似連))
「疑似連」とは、装飾図柄の疑似連続変動表示状態(疑似変動)を伴う演出態様をいい、具体的には、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部または全部を一旦仮停止状態とし、その仮停止状態から装飾図柄の再変動動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回繰り返すことにより、見た目上、一セットとする変動動作があたかも複数回実行されているかの如く表現するような変動表示態様をいう。この疑似変動を行う場合、リーチ図柄を形成しつつ一旦ハズレとなる図柄の組合せで仮停止状態としてから再変動動作を行ったり、また通常の装飾図柄に替えて特殊な装飾図柄(疑似連の発生可能性を示唆する特殊な装飾図柄(疑似連発動チャンス図柄))を含ませて仮停止状態としてから再変動動作を行う、といったように、特殊な装飾図柄を含ませて仮停止させることにより、疑似変動が行われる旨、またはその可能性がある旨を遊技者に示唆する場合もある。この「疑似連」は、主に、リーチ状態が形成される前段階に発生され、仮停止状態時の停止図柄の組合せを構成する一部または全部の停止図柄が、リーチ状態が形成されるときのリーチ図柄の組合せを構成する可能性がある旨を示唆しながら擬似変動動作を行い、この擬似変動が終了した後、リーチ状態を経由して、最終的なゲーム結果が導出されることになる。つまり「疑似連」は、主に、リーチ演出発生の可能性がある旨を報知せる予告演出として利用され、たとえば、疑似連回数に応じて、NリーチやSPリーチが発生する期待度(リーチ発生期待度)を示唆し、大当りの当選期待感を煽る煽り演出の一態様である。ただし、擬似変動が終了した後、リーチ状態を経由せずに最終的なゲーム結果が導出される場合もある。つまり、疑似連を伴う演出態様には、「疑似連+リーチ演出」とする‘疑似連有りリーチ演出’と、「疑似連+非リーチ演出(通常変動)」とする‘疑似連有り非リーチ演出(疑似連有り通常変動)’とが含まれる。ここで、上記疑似変動が終了した後に展開される変動表示を「本変動」とも称し、たとえばリーチ状態を経由する場合には、この本変動にてリーチ状態が形成されて、最終的なゲーム結果が導出されることになる。なお、上記疑似連と上記リーチ演出とが伴う演出態様の場合、それぞれ別の演出態様である‘疑似連’と‘リーチ演出’とが複合したものとなっているが、説明の便宜上、本明細書では特に必要のない限り、疑似連有りリーチ演出を「リーチ演出」と同列に扱う。
(5−2−3.ボタン予告演出)
上記「ボタン予告演出」とは、遊技者が枠演出ボタン13を操作したか否かに応じて、演出の内容が変化し得る演出態様をいい、いわゆる、「遊技者参加型」の演出態様をいう。この「ボタン予告演出」では、所定の操作受付期間中、遊技者に対して枠演出ボタン13の操作を促す情報が報知されるようになっており、このときに枠演出ボタン13が操作されたか否かに応じてその後の演出が変化するようになっており、たとえば現出中のキャラクター表示が変化したり、特殊な効果音が発生したりることにより、大当り当選期待度を示唆することができるようになっている。このような「遊技者参加型」の演出態様は、遊技者があたかも遊技結果に影響を及ぼしているような感覚を与えることができるので、遊技の面白みを増すことができる。
(5−3.先読み予告演出)
また演出には、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、大当りの当選可能性がある旨を事前に報知する先読み予告演出がある。この先読み予告演出については、まず主制御部20において、作動保留球が発生した場合(入賞時)、その作動保留球に係る大当り抽選(図柄変動表示ゲームの実行開始条件が成立したことを条件に実行される「変動開始時の大当り抽選」:図15のS409(特別電動役物作動判定用乱数判定処理)参照)の結果がどのような結果になるかを事前に判定する先読み的な大当り抽選(作動保留球が発生し始動条件が成立したことを条件に実行される「先読み大当り判定(入賞時の大当り抽選)」:図10のS319、図11のS339(乱数判定処理)参照)が行われる。
さらに上記先読みした大当り抽選結果を利用して、将来、その作動保留球が変動表示動作に供された際の特別図柄の変動パターンがどのような変動パターンとなるのかを、事前に判定する先読み的な変動パターン(以下、「先読み変動パターン」と称する)の選択抽選(先読み変動パターン判定:図10のS323、図11のS343(始動口入賞時乱数判定処理)参照))が行われる。この先読み変動パターン判定では、たとえば、どのようなリーチ状態を経由するリーチ演出指定用のリーチ変動パターン(以下、「リーチ有り変動パターン」と称する)となるのか、それともリーチ状態を経由しない非リーチ演出指定用の通常変動パターン(以下、「通常変動パターン」と称する)となるのかが事前に判定される。なお先読み変動パターンは、少なくとも当落抽選結果を利用して判定されるため、上記演出制御部24側に送信される先読み変動パターン情報には、変動パターン種別だけでなく、変動開始時の変動パターンが、大当り(小当りを含む)当選時の「当り変動パターン」であるか、ハズレ当選時の「ハズレ変動パターン」であるかの情報も含むことができる。上記の先読み的な判定(以下、「先読み判定」と略す)結果の情報、つまり先読み変動パターン情報が主制御部20から演出制御部24に送信されると、演出制御部24において先読み予告演出に関する演出制御処理が行われる。
詳しくは、上記先読み判定結果の情報を含む「保留加算コマンド」が主制御部20から演出制御部24に送信され、演出制御部24がこの保留加算コマンドを受信すると、そのコマンドに含まれる先読み判定結果の内容に基づく先読み予告演出に関する演出制御処理が行われる。ただし、演出制御部24は、上記先読み予告演出の実行可否を抽選により決定し、先読み予告演出実行可と決定した場合には、作動保留球の発生したタイミングで、または先に行われる図柄変動表示ゲームの開始と同時に、あるいはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とした先読み予告演出を現出させるようになっている。
なお、作動保留球発生時の先読み判定により得られる「先読み変動パターン」は、必ずしも作動保留球が実際に変動表示動作に供されるときに得られる「変動開始時の変動パターン」そのものではある必要はない。たとえば、リーチ演出の有無について、上記変動開始時の変動パターンが「強SPリーチA1」を指定する変動パターンであったケースを代表例とって説明する。このケースでは、先読み変動パターンが「強SPリーチA1」というリーチ演出の種類そのものではなく、変動開始時の変動パターンの骨子である「強SPリーチA」種別である旨、具体的には、「強SPリーチA」という同系統の変動パターン(強SPリーチA1〜A3)を纏めて分類した「強SPリーチA種別」である旨が指定される。したがって、先読み予告演出により報知される主な情報は、将来的に実行される図柄変動表示ゲームに関し、大当りの当選可能性が高いか低いか、換言すれば、大当り当選期待度が相対的に高まる演出が発生する可能性が高いか低いかといった情報であり、このような情報を、作動保留球が消化される前段階において事前に遊技者に報知することにより、今回の図柄変動表示ゲームだけでなく、将来的に実行される図柄変動表示ゲームにも遊技者の関心を向けさせて、遊技の面白みを向上させている。
(5−3−1.先読み予告演出態様:図5、図6)
次に図5および図6を参照しながら、先読み予告演出態様について説明する。図5および図6は、本実施形態に係るパチンコ遊技機1における先読み予告演出の説明に供する説明図であり、先読み予告演出の一例を示したものである。
まず図5を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1では、液晶表示装置36の画面内の一部に(図示では、装飾図柄の表示エリアの下方)、特別図柄1側の作動保留球数を表示する保留表示領域76と特別図柄2側の作動保留球数を表示する保留表示領域77とが設けられており、作動保留球の有無に関しては、その旨を点灯状態(作動保留球あり:図示の「○(白丸印)」)あるいは消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印)にて、現在の作動保留球数に関する情報が報知される(図5(イ)参照)。
この作動保留球の有無に関する表示(以下、「保留表示」と称する)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、各保留表示領域76、77には最大4個の保留表示が可能となっている(図5(ロ)参照)。具体的には、各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。本実施形態では、図示のように、液晶表示装置36の画面内の一部に、最大保留記憶数と同数(4個)だけ設けた保留アイコン(アイコン画像)からなる保留表示部a1〜d1(特図図柄1側に対応)、a2〜d2(特図図柄2側に対応)が設けられている。これらの保留表示部a1〜d1、a2〜d2は、通常は、先読み判定する際に存在する作動保留球数と同数、たとえば3個だけ、その表示態様が作動状態(点灯状態)に切り替える。したがって、この保留表示部が作動保留数を表示する保留表示手段として働く。しかし、先読み予告演出を実行する場合は、保留表示部a1〜d1、a2〜d2のうちの該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(専用保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告演出を発生させる手段として働く。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる上記保留加算コマンドを受けた場合、上記保留表示に関連する表示制御処理の一環として、先読み予告演出の実行可否を抽選する先読み予告抽選を行う。この先読み予告抽選に当選に係る作動保留球が先読み予告演出の対象となった作動保留球となる(たとえば、図5(イ)のハッチングを施した保留表示部b2が該当する)。なお本実施形態では、先読み予告抽選実行条件として、現存する作動保留球に係る先読み変動パターンの中に、リーチ有り変動パターン種別がないことを条件とする。これは、連続的に発生している先読み予告演出の途中に他のリーチ演出が介在して、本来の先読み予告演出が寸断され、その演出効果が希薄になってしまうのを回避するためである。上記先読み予告抽選による当選確率は、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また大当り当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が高確率となっており、先読み予告演出が発生するか否かにより、大当りへの当選期待度が示される。
先読み予告抽選に当選した場合には、上記保留表示部a1〜d1、a2〜d2の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示の青色から、予告表示の黄色、緑色、赤色、または虹色などの特殊な保留色に変化するといった「保留表示変化系」の先読み予告演出が行われる。ここで、保留アイコンの青色、黄色、緑色、赤色、虹色の表示は、この色の順に、大当り当選期待度が高いことを意味しており、特に虹色の保留アイコンの表示は、大当り確定(当確)表示となるプレミアム的な保留アイコンとなっている。この保留色は、先読み変動パターンの内容に基づいて抽選により決定される。具体的には、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また大当り当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が大当り当選期待度が高い保留色が高確率で選択されるようになっている。なお「保留表示変化系」の先読み予告演出態様としては、上述のように保留色を変化させることに限らず、特殊なキャラクタを模したアイコンなどに変化するようにしても良い。このような「保留表示変化系」の先読み予告演出は、作動保留球発生時に現出されることから「入賞時変化系」の先読み予告演出と称される。
ここで現存する作動保留球は、図柄変動表示ゲームの実行を契機に消化される。このとき、作動保留球が1つ消化したことを表現するべく、現存する作動保留球に対応した保留表示部の表示位置を繰り上げ移行され(順次左側にシフト)、その表示個数が減じられるといった表示制御が行われるが、上記した通常と異なる保留表示態様は、この間も保留表示の表示位置を変えながら連続的に表示され続ける。この点、上記の保留表示変化系(入賞時変化系)の先読み予告演出は、複数回の特別図柄変動表示ゲームに跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。
また本実施形態では、上述の「入賞時変化系」の先読み予告演出とは異なり、図柄変動表示ゲームが開始したことを契機としてなされる「変動開始時変化系」の先読み予告演出を現出可能となっている。この「変動開始時変化系」の先読み予告演出とは、たとえば、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像を表示させ、これを複数回の図柄変動表示ゲームに跨って実行し連続表示させるといった「画像表示変化系」の先読み予告演出である。すなわち、「変動開始時変化系」の先読み予告演出は、一の図柄変動表示ゲーム中に始動口に遊技球が入賞して始動条件が成立した場合、その始動条件成立に係る図柄変動表示ゲームを実行する権利を一旦保留記憶するとともに、先読み予告演出を行うか否かに関し先読み予告抽選を行い、この先読み予告抽選に当選した場合には、その時点で現存する全ての保留記憶について、それらの図柄変動表示ゲームを何らかの関連性を有した表現にする。たとえば、記憶順にみて最も古い作動保留球から先読み予告対象の作動保留球までの現存する作動保留球に係る全ての図柄変動表示ゲームにおいて、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像を表示させる。この点、「変動開始時変化系」の先読み予告演出も「入賞時変化系」の先読み予告演出と同じく、複数回の特別図柄変動表示ゲームに跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。
なお、先読み予告演出の実行形態を次のような形態とすることができる。(イ)入賞時変化系(保留表示変化系)だけを実行する、(ロ)変動開始時変化系(画像表示変化系)だけを実行する、(ハ)入賞時変化系(保留表示変化系)と変動開始時変化系(画像表示変化系)の双方を実行する、などといった1またはこれらを組合せた複数種類の実行形態とすることができる。したがって、「入賞時変化系」の先読み予告演出が出現した場合であっても、必ずしも「変動開始時変化系」の先読み予告演出が出現するとは限らず、またその逆に、「変動開始時変化系」の先読み予告演出が出現した場合であっても、必ずしも「入賞時変化系」の先読み予告演出が出現するとは限らないようにすることができる。また入賞時変化系(保留表示変化系)」の先読み予告演出と「変動開始時変化系(画像表示変化系)」の先読み予告演出とが同時に発生させることもできる。どのような実行形態とするかは、適宜決定することができる。
また上記入賞時変化系(保留表示変化系)の先読み予告演出実行中および/または(少なくともいずれか一方の意)上記変動開始時変化系(画像表示変化系)の先読み予告演出実行中に、あるいは単独で、可動体役物(図示せず)を先読み専用の動作パターンで動作させても良い。この可動体役物による演出も、「変動開始時変化系」や「入賞時変化系」の先読み予告演出と同じく、複数回の特別図柄変動表示ゲームに跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。
次に図6を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1が織り成す先読み予告演出態様について説明する。
図中(1)は、図柄変動表示ゲーム中(図示の「↓」は装飾図柄が変動表示中であることを示している)に上始動口34に入賞して特別図柄1側の作動保留球数が3個になったとし、その3個目のうち、第2番目に変動開始動作が実行される作動保留球が先読み予告演出の対象(ここでは、入賞時変化系の先読み予告抽選と変動開始時変化系の先読み予告抽選とに重複当選)となったケースを示している。またここでは、先に保留されていた第1番目と後に保留された第3番目の作動保留球については、先読み予告抽選非当選の作動保留球であったとする。
演出制御部24は、同図(1)示すように、先読み予告の対象となった第2番目の作動保留球の保留表示を通常とは異なる先読み専用の保留表示(以下、「専用保留表示」と称する)に変化させる。このとき、先読み予告の対象ではない第1番目および第3番目の作動保留球に対応する保留表示は、通常の保留表示(以下、「通常保留表示」と称する)のまま維持される。図示では、先読み予告の対象となった第2番目の作動保留球の保留表示を、通常保留表示(白丸(○)印)から専用保留表示(ハッチング付き丸印)に表示態様が変化した場合を示している。これにより、遊技者に対して先読み予告演出が開始された旨が報知される。なお同図(1)は、現在実行中であった図柄変動表示ゲームが終了して、装飾図柄が「246」で停止表示されたものを示している(結果は「ハズレ」とする)。
遊技進行は同図(2)に移り、主制御部20は、上記第1番目(最も古い作動保留球)であった特別図柄1側の作動保留球に基づく特別図柄変動表示ゲームを開始してその作動保留球を消化(1つ消化)し、演出制御部24は、その特別図柄変動表示ゲームの開始とともに、各作動保留球に対応する保留表示態様をそれぞれ左へシフトさせ、作動保留球が1つ消化された状態を示す保留表示態様とし、当該第1番目であった作動保留球に基づく装飾図柄変動表示ゲームを開始させる。このとき、「変動開始時変化系」の先読み予告演出として、液晶表示装置36の画面内に先読み予告演出用の背景画像(たとえば、稲妻を模した稲妻画像表示による稲妻演出:専用予告画像)を表示させる。これにより、液晶表示装置36の画面は、同図(2)に示すような表示態様となる。
そして遊技進行は同図(3)に移り、現在実行中であった図柄変動表示ゲームが終了して装飾図柄が「351」で停止表示されたとする(結果は「ハズレ」とする)。
続いて遊技進行は同図(4)に移り、主制御部20は、上記第2番目であった作動保留球、つまり先読み予告演出の対象となった作動保留球に基づく特別図柄変動表示ゲームを開始してその作動保留球を消化し、演出制御部24は、その特別図柄変動表示ゲームの開始とともに、各作動保留球に対応する保留表示態様をそれぞれ左へシフトさせ、当該第2番目であった作動保留球に基づく装飾図柄変動表示ゲームを開始させる。このとき、入賞時変化系の「専用保留表示」は上記シフト時に画面から消え、今回の図柄変動表示ゲームの開始を契機(その作動保留球の消化とともに)に終了される。また変動開始時変化系の専用予告画像(ここでは稲妻演出)も今回の図柄変動表示ゲーム中の発生を最後に終了される。なお同図(4)は、図柄変動表示ゲーム開始直後の液晶表示装置36の画面表示を示したものである。このようにして、一連の先読み予告演出が終了したことになる。その後、今回の図柄変動表示ゲーム中に、大当り当選期待度が相対的に高まる煽り演出(疑似連やリーチ演出(SPリーチ))が発生すれば、先読み予告演出の内容と相まって、大当りへの期待感はより一層高まることになる。
このように本実施形態のパチンコ遊技機1では、連続予告演出の一態様として、上記のような先読み予告演出を発生可能に構成されている。これにより、演出のバリエーションを豊富なものとすることができるので、遊技の面白みを向上させることができる。
なお、パチンコ遊技機1による各種の演出は、遊技機に配設された演出手段により現出される。上記演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることができる刺激伝達手段であれば、いずれも本発明における演出手段として採用することができる。装飾ランプ45やLED装置、スピーカ46、液晶表示装置36などの光発生手段、音響発生装置、演出表示装置、ないし操作者の体に振動を伝える加振装置、あるいは視覚的演出効果がある可動体役物などは、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。また、枠演出ボタン13(手操作手段)の操作を、特定の期間(たとえば、大当りへの当選期待度が相対的に高い煽り演出が発生中の一部または全部の期間)操作不能状態(たとえば、枠演出ボタン13の押下できないようにする)、または操作困難状態(たとえば、枠演出ボタン13の押下し難くする)に置く特殊演出手段を設けても良いし、手操作手段に対して振動を与える加振装置を設けても良い。
<主制御部側の処理:図7〜図22>
次に、図7〜図22を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、主に、所定のメイン処理(主制御側メイン処理:図7)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図8)とを含んで構成される。
<6.主制御側メイン処理:図7>
図7は、主制御部20側のメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理が開始されるのは、停電状態からの復旧時のように初期化スイッチ(図示せず)が操作されることなく電源がON状態になる場合と、初期化スイッチがON操作されて電源がON状態になる場合とがある。いずれの場合でも、パチンコ遊技機1に電源が投入されると、電源基板31によって各制御基板に電圧が供給され、主制御部20(CPU201)が図7に示す主制御側メイン処理を開始する。
この主制御側メイン処理において、CPU201は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。たとえば、最初に自らを割込み禁止状態に設定すると共に、所定の割込みモード(割込みモード2)に設定し、またマイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値を初期設定する。
次に、図示してない入力ポートを介して入力されるRAMクリアスイッチの出力信号であるRAMクリア信号の状態(ON、OFF)を判定する(ステップS012)。ここでRAMクリア信号とは、RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、通常、パチンコ店の店員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
ここでは、RAMクリア信号がON状態であったと仮定すると、ステップS012の判定結果が‘YES’となり、RAMの全領域がゼロクリアされる(ステップS016)。したがって、電源遮断時にセットされたバックアップフラグの値は、他のチェックサム値などと共にゼロとなる。
次に、RAM領域がゼロクリアされたことを報知するための「RAMクリア表示コマンド」が初期化コマンドとして各制御基板に送信する(ステップS017)。そして、RAMクリア報知タイマに、RAMクリアされた旨を報知するための時間として、たとえば、30秒を格納する(ステップS018)。
次に、タイマ割込み動作を起動する割込み信号を出力するCTCを初期設定して(ステップS019)、CPUを割込み許可状態に設定する。
その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。この各種乱数更新処理(ステップS021)では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している大当り抽選に係る乱数(図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数)や、補助当り抽選に係る乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数))の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数を更新する。
本実施形態のRAM203には大当り抽選に係る図柄抽選、補助当り抽選、または変動パターン抽選などに利用される各種の乱数カウンタとして、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、特別図柄判定用乱数カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ、変動パターン用乱数1カウンタ、変動パターン用乱数2カウンタなどが設けられている。これらのカウンタは、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段としての役割を果たす。ステップS021の各種乱数更新処理では、上述の特別図柄判定用乱数カウンタや補助当り判定用乱数カウンタの初期値を生成する2つの初期値生成用カウンタ、変動パターン用乱数1カウンタ、変動パターン用乱数2カウンタなどを更新して、上記各種のソフト乱数を生成する。たとえば、変動パターン用乱数1カウンタとして取り得る数値範囲が0〜238とすると、RAM203の変動パターン用乱数1の値を生成するためのカウント値記憶領域から値を取得し、取得した値に1を加算してから元のカウント値記憶領域に格納する。このとき、取得した値に1を加算した結果が239であれば0を元の乱数カウンタ記憶領域に格納する。他の初期値生成用乱数カウンタも同様に更新する。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理を繰り返し実行するようになっている。
ステップS012の判定処理に戻って説明を続けると、停電状態からの復旧時には、初期化スイッチ(RAMクリア信号)はOFF状態である(ステップS012:YES)。そこで、このような場合、ステップS012の判定処理に続き、バックアップフラグ値を判定する(ステップS013)。なお、バックアップフラグは、電源遮断時にON状態(バックアップフラグ=5AH(‘**H’は任意の16進数の意)に設定され、電源復帰後の最初のタイマ割込み処理の処理でOFF状態(バックアップフラグ=00H)にリセットされるよう構成されている。
したがって、電源投入時や停電状態からの復旧時である場合には、通常では、バックアップフラグがON状態のはずである。ただし、何らかの理由で電源遮断までに所定の処理が完了しなかったような場合には、バックアップフラグはリセット(OFF)状態になる。したがって、バックアップフラグがOFF状態となる場合には(ステップS013:NO)、ステップS016の処理に移行させて遊技機の動作を初期状態に戻す。
一方、バックアップフラグがON状態であれば(ステップS013:YES)、チェックサム値を算出するためのチェックサム演算を実行する。ここで、チェックサム演算とは、RAM203のワーク領域を対象とする8ビット加算演算である。そして、チェックサム値が算出されたら、この演算結果を、RAM203のSUM番地の記憶値と比較をする(ステップS014)。上記SUM番地には、電源遮断時に、同じチェックサム演算によるチェックサム値が記憶されている。そして、記憶された演算結果は、RAM203の他のデータと共に、バックアップ電源によって維持されている。したがって、本来は、ステップS014の判定によって両者が一致するはずである。
しかし、電源遮断時にチェックサム演算が実行できなかった場合や、実行できても、その後、メイン処理のチェックサム演算の実行時までの間に、ワーク領域のデータが破損している場合もあり、このような場合にはステップS014の判定結果は不一致となる。判定結果の不一致によりデータ破損が検出された場合には(ステップS014:NO)、ステップS016の処理に進みRAMクリア処理を実行し、遊技機の動作状態を初期状態に戻す。一方、チェックサム演算によるチェックサム値と、SUM番地の記憶値とが一致する場合には(ステップS014:YES)、バックアップデータに基づき、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技を開始するために必要な遊技復旧処理を実行する。
ステップS015の遊技復旧処理を終えると、ステップS019の処理に進み、CTCを初期設定してCPUを割込み許可状態に設定し、その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、上述した各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。
<7.主制御側タイマ割込処理:図8>
次に図8を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図8は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。以下では説明の便宜上、CPU201がRAMやROMなどのメインメモリを読み書きする際のアドレス値(そのアドレスに記述されているデータ類を含む)やプログラム上の演算処理により得られた結果情報などを、CPU内蔵のレジスタ内に読み込んだり取り込んだりするなどの処理を「取得」と称し、またCPU201がRAMのワーク領域にアクセスして、所定のデータを記憶させることを「格納」と称する場合がある。
図8において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後、まず電源制御基板31からの電源の供給状態を監視する電源異常チェック処理を行う(ステップS051)。この電源異常チェック処理では、主に、電源が正常に供給されているかを監視する。ここでは、たとえば、電断が生じるなどの異常が発生した場合、電源復帰時に支障なく遊技を復帰できるように、電断時における所定の遊技情報をRAMに格納するバックアップ処理などが行われる。
次いで、遊技動作制御に用いられるタイマを管理するタイマ管理処理を行う(ステップS052)。パチンコ遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマ(たとえば、後述の特別図柄役物動作タイマなど)のタイマ値はここで管理(更新)される。
次いで、入力管理処理を行う(ステップS053)。この入力管理処理では、パチンコ遊技機1に設けられた各種センサによる検出情報を入賞カウンタに格納する。ここでの各種センサによる検出情報とは、たとえば、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43aなどの入賞検出スイッチから出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(入賞検出情報)である。これにより、各入賞口において入賞を検出(入賞が発生)したか否かが割込みごとに監視される。また上記「入賞カウンタ」とは、各々の入賞口ごとに対応して設けられ、入賞した遊技球数(入賞球数)を計数するカウンタである。本実施形態では、RAM203の所定領域に、上始動口34用の上始動口入賞カウンタ、下始動口35用の下始動口入賞カウンタ、普通図柄始動口37用の普通図柄始動口入賞カウンタ、大入賞口50大入賞口50用の大入賞口入賞カウンタ、一般入賞口43用の一般入賞口用の入賞カウンタなどが設けられている。またこの入力管理処理では、入賞検出スイッチからの検出情報が入賞を許容すべき期間中に入賞したか否かに基づいて、不正入賞があったか否かも監視される。たとえば、可動翼片47が作動中でないにもかかわらず下始動口センサ35aが遊技球を検出したり、大当り遊技中でないにもかかわらず大入賞口センサ52aが遊技球を検出したりした場合は、これを不正入賞とみなして入賞検出情報を無効化し、その無効化した旨を外部に報知するべく後述のエラー管理処理(ステップS055)において所定のエラー処理が行われるようになっている。
次いで、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新するタイマ割込内乱数管理処理を行う(ステップS054)。この定期乱数更新処理では、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値を変更する処理を行う。たとえば、特別図柄判定用乱数カウンタの値を所定範囲で更新(+1加算)し、特別図柄判定用乱数カウンタが1周するごとに、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタの値を読み出し、その生成用カウンタの値を特別図柄判定用乱数カウンタに格納する。これにより、特別図柄判定用乱数カウンタのスタート値が上記の生成用カウンタの値に応じて変更されるので、更新周期は一定でありながらも特別図柄判定用乱数カウンタのカウント値はランダムになる。
次いで、遊技動作状態の異常の有無を監視するエラー管理処理を行う(ステップS055)。このエラー管理処理では、遊技動作状態の異常として、たとえば、基板間に断線が生じたか否かを監視したり、不正入賞があったか否かを監視したりして、これらの動作異常(エラー)が発生した場合には、そのエラーに対応した所定のエラー処理を行う。エラー処理としては、たとえば、所定の遊技動作(たとえば、遊技球の払い出し動作や遊技球の発射動作など)の進行を停止させたり、エラー報知用コマンドを演出制御部24に送信して、演出手段によりエラーが発生した旨を報知させたりする。
次いで、賞球管理処理を行う(ステップS056)。この賞球管理処理では、上記入力管理処理で格納したデータを把握して、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞があった場合は、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板(払出制御部)29に送信する。この払出制御コマンドを受信した払出制御基板29は、遊技球払出装置19を制御し、指定された賞球数の払い出し動作を行わせる。これにより、それぞれの入賞口に対応した賞球数(入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの所定の賞球数×入賞カウンタの値分の賞球数)が払い出されるようになっている。
次いで、普通図柄管理処理を行う(ステップS057)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームにおける補助当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、普通図柄の変動パターンや普通図柄の停止表示態様を決定したり、所定時間毎に点滅を繰り返す普通図柄のデータ(普通図柄変動中のLED点滅表示用データ)を作成し、普通図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(普通図柄停止表示中のLED点滅表示用データ)を作成したりする。なお普通図柄管理処理は、補助遊技抽選手段、普通図柄の変動表示動作を制御する普通図柄表示手段(普通図柄表示制御手段)として機能する。
次いで、普通電動役物管理処理を行う(ステップS058)。この普通電動役物管理処理では、普通図柄管理処理(ステップS057)の補助当り抽選の抽選結果に基づき、普電開放遊技発生に必要な普通電動役物ソレノイド41aに対するソレノイド制御用の励磁信号の生成およびそのデータ(ソレノイド制御データ)の設定を行う。ここで設定されたデータに基づき、後述のソレノイド管理処理にて、励磁信号が普通電動役物ソレノイド41aに対して出力され、これにより可動翼片47の動作が制御される。なお普通電動役物管理処理は、補助当り制御手段として機能する。
次いで、特別図柄管理処理を行う(ステップS059)。この特別図柄管理処理(大当り判定手段)では、主に、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、特別図柄の変動パターン(先読み変動パターン、変動開始時の変動パターン)や特別停止図柄などを決定する。なお、特別図柄管理処理の詳細は図9にて後述する。
次に、特別電動役物管理処理を行う(ステップS060)。この特別電動役物管理処理では、主に、大当り抽選結果が「大当り」または「小当り」であった場合、その当りに対応した当り遊技を実行制御するために必要な設定処理を行う。なお、特別電動役物管理処理の詳細は図22にて後述する。
次いで、右打ち報知情報管理処理を行う(ステップS061)。この右打ち報知情報管理処理では、「電サポ有り状態」の高ベース遊技状態が生起する遊技状態(本実施形態では、確変状態)である場合、右打ち指示情報を報せる「発射位置誘導演出(右打ち報知演出)」を現出させるための処理を行う。ここでの右打ち指示情報は、たとえば、普通図柄始動口37に入賞を促す指示情報であり、具体的には、発射位置として右流下経路3cを狙う旨を指示する情報である。代表的には、液晶表示装置36に「右打ち」を遊技者に促す画像を表示したり(たとえば、「右打ちせよ」の文字表示)、スピーカ46から右打ちを促す効果音(たとえば、「右打ちしてね」の音声)を発生させたりする。この右打ち情報が報知されるケースとしては、電サポ有り状態下において遊技者が誤って発射位置を左流下経路3b側に狙いを定めていると推定されるケースで、上記電サポ有り状態下において、上始動口34に入賞が発生した場合や、所定時間経過しても普通図柄始動口37へ入賞が発生しない場合などが挙げられる。このような場合、この右打ち報知情報管理処理において、演出制御コマンドとして、上記発射位置誘導演出の実行指示する「右打ち指示コマンド」が演出制御部24に送信され、このコマンドを受けて、演出制御部24では、上記発射位置誘導演出を現出制御する構成となっている。
次いで、LED管理処理を行う(ステップS062)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39aや特別図柄表示装置38a、38bに対して表示データを出力する。これにより、普通図柄や特別図柄の変動表示および停止表示が行われる。なおステップS057の普通図柄管理処理で作成された普通図柄の表示データや、ステップS059の特別図柄管理処理中の特別図柄表示データ更新処理(後述の図9のステップS309)で作成される特別図柄の表示データは、このLED管理処理でLEDデータの形となって出力される。
次いで、外部端子管理処理を行う(ステップS063)。この外部端子管理処理では、枠用外部集中端子基板21を通して、パチンコ遊技機1の動作状態情報をホールコンピュータHCや島ランプなどの外部装置に対して出力する。上記動作状態情報には、大当り遊技が発生した旨(条件装置が作動した旨)、小当り遊技が発生した旨、図柄変動表示ゲームが実行された旨(特別図柄変動表示ゲームの開始または終了した旨)、入賞情報(始動口や大入賞口に入賞した旨や賞球数情報)などの情報が含まれる。
次いで、ソレノイド管理処理を行う(ステップS064)。このソレノイド管理処理では、ステップS058の普通電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく普通電動役物ソレノイド41cに対する励磁信号の出力処理、ステップS060の特別電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく大入賞口ソレノイド52cに対する励磁信号の出力処理を行う。これにより、可動翼片47や開放扉52bが所定のパターンで動作し、下始動口35や大入賞口50が開閉される。
以上のステップS051〜ステップS064の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させて(レジスタ復帰処理)、割込み許可状態に設定する(ステップS065)。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を行う。
(8.特別図柄管理処理:図9)
(8−1.特図1始動口チェック処理:図10)
次に、図8中の特別図柄管理処理(ステップS059)について説明する。図9は、ステップS059の特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図9において、CPU201は、まず特別図柄1側(上始動口34側)に関する特図1始動口チェック処理を行い(ステップS301)、次いで、特別図柄2側(下始動口35側)に関する特図2始動口チェック処理を行う(ステップS302)。
ステップS301〜S302の始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
上記条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、すなわち、小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合(ステップS303:≠5AH、かつステップS304:≠5AH)、特別図柄動作ステータス(00H〜03H)に応じて、特別図柄の変動表示動作に関する処理を行う(ステップS305:特別図柄動作ステータス分岐処理)。一方、小当り遊技中(ステップS303:=5AH)、または大当り遊技中である場合には(ステップS304:=5AH)、ステップS306〜S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理に進む。したがって、小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われない(特別図柄表示装置の特別図柄の表示状態は、小当り後または大当り後に確定表示されたままの状態が保持されている)。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別図柄の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS305の特別図柄動作ステータス分岐処理では、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」のいずれのステータス値であるかに応じて、それぞれに対応する処理を実行する。
具体的には、特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」である場合には、特別図柄変動開始処理(ステップS306)を、「変動中(02H)」である場合には、特別図柄変動中処理(ステップS307)を、「確認中(03H)」である場合には、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)を実行する。これらの処理により、特別図柄の変動開始および変動停止を一セットとする変動表示動作が実現される。ここで上述の「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を示し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を示す。上記ステップS306〜S308の処理を終えると、後述のステップS309の特別図柄表示データ更新処理に進む。
一方、小当り遊技中である場合か(ステップS303:=5AH)、または大当り遊技中である場合には(ステップS304:=5AH)、ステップS306〜S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理に進む。
ステップS309に進むと、特別図柄表示データ管理処理を行う。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間(たとえば0.5秒)毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(特別図柄変動中の7セグ点滅表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(特別図柄停止表示中の7セグ点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図8のLED管理処理(ステップS062)でLEDデータとなって出力され、特別図柄表示装置38a、38b上における特別図柄の変動表示および停止表示が実現される。これにより特別図柄管理処理を抜けて、図8のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
まず、特図1始動口チェック処理(図9のステップS301)について説明する。図10は、上記のステップS301の特図1始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。この特図1始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、特別図柄変動表示ゲーム1を実行させるための開始前処理として、作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、保留加算コマンドの作成処理などの処理が行われる。
図10において、CPU201は、まず上始動口34において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS311)。
上始動口34の入賞を検出した場合(ステップS311:YES)、特別図柄1の作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS312)。すなわち、特別図柄1に係る作動保留球(以下、「特図1作動保留球」と称する)の数が最大保留記憶数(ここでは、上限4個)未満であるか否かを判定する。なお、上始動口34の入賞検出がなかった場合は(ステップS311:NO)、何もしないで特図1始動口チェック処理を抜ける。
特図1作動保留球数が4以上である場合(ステップS312:YES)、後述のステップS325の処理に進み、特図1作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図1作動保留球数に1加算(+1)して(ステップS313)、ステップS314の処理に進む。
ステップS314の処理に進むと、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を遊技情報として取得する(ステップS314)。具体的には、乱数カウンタから大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数1、変動パターン用乱数2の現在値を取得し、その取得した乱数値をRAM203の保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、ここではその作動保留球として、上記の各種乱数値が、特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。上記保留記憶エリアには、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留記憶エリア(特別図柄1に対応する第1の保留記憶エリアである特図1保留記憶エリア)と、特別図柄2に対応する第2の保留記憶エリアである特図2保留記憶エリア)が設けられている。これら保留記憶エリアには、保留1記憶エリア〜保留n記憶エリア(nは最大作動保留球数:本実施形態では、n=4)が設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の保留データを格納可能となっている(保留記憶順番は、保留1記憶エリア、保留2記憶エリア、・・・、保留n−1記憶エリア、保留n記憶エリアの順に格納されるようになっている)。
なお上記各種乱数のうち、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数1、および変動パターン用乱数2は、それぞれに対応したソフトウェア的に乱数を生成する乱数カウンタから抽出される。これら乱数カウンタの乱数値は、RAM203に設けられた各々に対応したカウント値記憶領域において、間欠的に生じる割込み処理と割込み処理の間に実行されるメイン処理において乱数的に更新されているので、その値がそのまま取得されるようになっている。
他方、大当り判定用乱数値は、ハードウェア的に乱数を生成する乱数生成回路(大当り判定用乱数値をカウントするための大当り判定用乱数カウンタ:図示せず)から抽出される。この乱数生成回路は、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ34aから遊技球の検出信号が入力されると、このタイミングにおけるカウント値をラッチして、そのカウント値がマイクロコンピュータに入力されるようになっている。このカウント値は、大当り判定用乱数値として、RAM203の保留記憶エリアと別個に設けられたRAM203の大当り判定用乱数値用の記憶領域(特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファ)に格納され、CPU201は、必要なタイミングで、その特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファに格納された大当り判定用乱数値を読み出し利用する。本実施形態では、入賞時における大当り判定用乱数値を特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファと保留記憶エリアとに格納するようになっているが、特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファを設けない場合は、保留記憶エリアにそのまま格納し、必要なタイミングで、該当保留記憶エリアの大当り判定用乱数値を読み出すように構成しても良い。
次いで、保留加算コマンド(詳細は後述する)を作成するための入賞コマンドデータ(保留加算コマンドの下位バイト側(EVENT)に相当するデータ)として、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(EVENT:「01H」)を取得し(ステップS315)、「特図1先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS316)。上記「特図1先読み禁止条件」とは、特図1作動保留球を対象とした先読み判定を禁止するための条件である。
上記特図1先読み禁止条件が成立している場合(ステップS316:YES)、今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず、これにより、先読み予告演出も実行されないことになる(ステップS316:YESの処理ルート参照)。本実施形態では、現在の遊技状態に基づき、先読み禁止か否かを判定するようになっている。具体的には、‘電サポ有り状態’を伴う遊技状態中である場合、つまり内部遊技状態が確変状態中である場合に、特別図柄1側の先読み判定を禁止する。このように、電サポ有り状態を伴う遊技状態中である場合に特別図柄1側の先読み判定を禁止する理由は、次の通りである。
第1の理由としては、「確変状態」のような‘電サポ有り状態’下に置かれた場合は、下始動口35への入賞率が通常遊技状態よりも著しく向上し得る「高ベース遊技状態(可動翼片47の作動率向上状態:本実施形態では、補助当りの当選確率が256分の255となる)」となっているため、遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めた場合(右流下経路3cを遊技球が通過するように狙いを定めた場合)、特別図柄2に係る作動保留球数(以下、「特図2作動保留球」と称する)が頻繁に発生するものと推定される。これに対し、電サポ無し状態下に置かれた場合は、可動翼片47の作動率が低い「低ベース遊技状態(本実施形態では、補助当りの当選確率が256分の1となる)」となり、また遊技くぎなどの落下方向変換部材に起因して、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっていることから、遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めた場合には、不利益をもたらすという遊技性となっている。このため、電サポ有り状態中に遊技者が左流下経路3b側を遊技球が通過するように発射位置を定めることはないものと推定され、特図1作動保留球を対象とした先読み予告演出を発生させる必要性に乏しく、そのような発生率の低い特図1作動保留球を対象として先読み判定を一々行うようにすると、制御負担が増大してしまうといった問題が生じるからである。
また第2の理由としては、遊技の面白みを向上させるべく、先読み予告演出を多彩なものとした場合、たとえば、大当り種別に関する先読み予告演出(特に、当選した大当り種別を特定し得る先読み予告演出)を発生可能とした場合に、次のような問題が生じるからである。本実施形態では、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方が存在する場合、特図2作動保留球が優先的に消化される、といった「優先変動機能(特別図柄動作順序制御手段)」を備えている(後述のステップS306特別図柄変動開始処理の詳細を示す図15参照)。この優先変動機能により、特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の方が優先的に実行されることになる。このため、電サポ有り状態下に置かれた場合において、たとえば、現在、特図1作動保留球を対象とした先読み予告演出だけが発生しており、このときの内容が「大当りのうち、相対的に利益の高い大当り(たとえば、15R長開放確変大当り)の当選を予告するもの」であった場合、遊技者がこれを認識すれば、遊技球の発射を故意に停止させて下始動口35に入賞させないようにし、非優先変動側である特別図柄変動表示ゲーム1をあえて実行させることで、当該利益の高い大当りを意図的に狙い撃ちすることができてしまい、技術介入性の問題の観点から、好ましくない。
また技術介入性の問題が生じる例としては、現在、特図1作動保留球を対象とした先読み予告演出だけが発生しており、このときの内容が「大当りのうち、相対的に利益の低い大当り(たとえば、2R短開放潜確大当り)の当選を予告するもの」であった場合、遊技者がこれを認識すれば、特図2作動保留球を途切れないようにして優先変動側である特別図柄変動表示ゲーム2を継続的に実行させることで、特別図柄2側(特別図柄変動表示ゲーム2側)の大当り抽選の恩恵を最大限受けながらゲームを進行させていくことができてしまう。詳しくは、特別図柄2側の大当り抽選対象は、大当り種別のうち、利益の低い「2R短開放潜確大当り」や「小当り」が除外されており、利益の高い「10R長開放確変大当り」や「15R長開放確変大当り」が抽選対象となっている。このため、特別図柄1側(特別図柄変動表示ゲーム1側)の大当り抽選を受けるよりも特別図柄2側(特別図柄変動表示ゲーム2側)の大当り抽選を受ける方が、遊技者にとって有利なゲーム展開とされる。これを利用し、特図1作動保留球の大当り当確が判明している場合には、電サポ有り状態が終了するまで(規定ST回数終了まで)特別図柄2側の大当り抽選の恩恵を最大限受けた後、その当選に係る特図1作動保留球を消化させて容易に大当りを得る、といった技術介入性の問題が生じ、遊技者間の不平等を招来する。
本実施形態では、上記のような問題点に鑑み、遊技状態に応じて、特図1側と特図2側の先読み判定を禁止する区間(先読み禁止状態)を切り替え制御可能に構成されている。詳しくは、主制御部20は、第1の先読み判定手段(たとえば、特図1側の先読み判定処理:後述の図10のS317〜S323)による先読み判定を禁止して第2の先読み判定手段(たとえば、特図2側の先読み判定処理:後述の図11のS337〜S343)による先読み判定を許容する第1の先読み禁止状態(たとえば、電サポ有り状態中の場合:「確変状態」滞在中の場合)と、第2の先読み判定手段による先読み判定を禁止して前記第1の先読み判定手段による先読み判定を許容する第2の先読み禁止状態(たとえば、電サポ無し状態中の場合:「通常A」〜「通常C」滞在中の場合)と、を所定の切替条件に基づき切替制御する先読み禁止状態制御手段としての機能部を備えている。また、この先読み禁止状態制御手段は、所定の条件に基づき、上記第1の先読み判定手段と上記第2の先読み判定手段とによる先読み判定を全面的に禁止する第3の先読み禁止状態に切り替える全面禁止手段を設けることができる。上述の「所定の条件」とは、たとえば、大当り遊技中または小当り遊技中の場合が挙げられる。これは、当り遊技中の場合は、作動保留球が発生しても特別図柄の変動表示動作が行われないことから、先読み予告演出を行う必要性に乏しいからである。また、大当り(小当りは除く)による当り遊技の前後で大当り抽選確率が変動する場合がある(本実施形態の大当り遊技中においては、大当り当選時に遊技状態にかかわらず、一旦低確率状態に移行するようになっている:後述の図21AのS475参照)。この場合、大当り遊技中に作動保留球が生じ、これを対象とした先読み判定を行うと、先読み判定時には低確率状態で当落判定をし、変動開始時には高確率状態で当落判定をしてしまうといった事態が起こり、先読み判定に係る処理が複雑化してしまうからである。ただし本実施形態のように、大当りに当選すれば、大当り遊技終了後は必ず高確率状態に移行する遊技機においては、先読み判定の際に高確率状態と仮定して当落判定を行い、大当り遊技中に発生した作動保留球を対象に先読み判定を実行可能に構成しても良い。
再びステップS316の説明に戻り、特特図1先読み禁止条件が成立している場合には(ステップS316:YES)、先読み判定に関する処理(ステップS317〜S324)は行わずに、ステップS325の処理に進む。
特図1先読み禁止条件が成立していない場合には(ステップS316:NO)、ステップS317の処理に進み、特図1用当り乱数判定テーブル(図29参照)を取得し(ステップS317)、RAM203(特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファ)に格納された大当り判定用乱数値を取得して(ステップS318)、ステップS319の乱数判定処理を行う。この乱数判定処理では、特別図柄変動表示ゲーム(ここでは、特別図柄変動表示ゲーム1)に係る「当落抽選」を先読み判定する。なお、乱数判定処理の詳細は図12にて後述する。
ステップS319の乱数判定処理を終えると、次いで、特図1用図柄テーブル選択テーブル(図30参照)を取得し(ステップS320)、RAM203に格納された特別図柄判定用乱数値を取得して(ステップS321)、ステップS322の特別停止図柄データ作成処理を行う。この特別停止図柄データ作成処理では、特別図柄変動表示ゲーム(ここでは、特別図柄変動表示ゲーム1)に係る「図柄抽選」を先読み判定する。なお、特別停止図柄データ作成処理の詳細は図13にて後述する。
ステップS322の特別停止図柄データ作成処理を終えると、次いで、ステップS323の始動口入賞時乱数判定処理を行う。この始動口入賞時乱数判定処理では、ステップS322の停止図柄データ作成処理で得られたデータ(特別図柄判定データと変動パターン選択用オフセット)に基づき、後述する保留加算コマンドの作成に利用される入賞コマンドデータ(2バイト目:下位バイト(EVENT))の作成を行う。なお、始動口入賞時乱数判定処理の詳細は図14にて後述する。
ステップS323の始動口入賞時乱数判定処理を終えると、先読み判定時の作動保留球数を指定する上位バイト(MODE)側の入賞コマンドデータと、先読み変動パターンを指定する下位バイト(EVENT)側の入賞コマンドデータとから構成される「保留加算コマンド」を作成し(ステップS324〜S325)、これをRAM203に格納することなく、演出制御部24に送信する(ステップS326)。なお「保留加算コマンド」の詳細は、図38にて後述する。これにより、特図1始動口チェック処理を抜けて、続いて図11のステップS302の特図2始動口チェック処理を行う。
(8−2.特図2始動口チェック処理:図11)
次に、特図2始動口チェック処理(図9のステップS302)について説明する。図11は、特図2始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。
上記特図2始動口チェック処理は、特図1始動口チェック処理と同じく、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、ここでは、特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理として、先に述べた特図1始動口チェック処理の流れと同じように、作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、保留加算コマンドの作成処理などの処理が行われる。以下、上記特図1始動口チェック処理(ステップS301)と同じ処理内容については、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
図11において、CPU201は、まず下始動口35において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS331)。
下始動口35の入賞検出がなかった場合は(ステップS331:NO)、何もしないで特図2始動口チェック処理を抜ける。一方、下始動口35の入賞を検出した場合(ステップS331:YES)、特別図柄2の作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS332)。
特図2作動保留球数が4以上である場合(ステップS332:YES)、ステップS345に進む。一方、特図2作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図2作動保留球数を1加算(+1)し(ステップS333)、ステップS334の処理に進む。
ステップS334の処理に進むと、今回発生した特図2作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム2に利用される各種乱数(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数1、および変動パターン用乱数2)の乱数カウンタの現在値を遊技情報として取得し、それぞれRAM203の保留記憶エリアに格納する(ステップS334)。この処理は、図10のステップS314の処理の仕方と同じである。この特図2作動保留球は、特別図柄2の変動表示動作に供されるまで、最大保留記憶数を所定の上限値として、始動条件の成立順に保留記憶される。
次いで、入賞コマンドデータとして、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(下位バイト「01H」)を取得し(ステップS335)、「特図2先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS336)。上記「特図2先読み禁止条件」とは、特図2作動保留球を対象とした先読み判定を禁止するための条件である。
上記特図2先読み禁止条件が成立している場合(ステップS336:YES)、今回の特図2作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず、これにより、先読み予告演出も実行されないことになる(ステップS336:YESの処理ルート)。本実施形態では、現在の遊技状態に基づき、先読み禁止か否かを判定するようになっている。具体的には、‘電サポ無し状態を伴う遊技状態’を伴う遊技状態中である場合、つまり内部遊技状態が、通常遊技状態中または潜確状態中である場合は、特別図柄2側の先読み判定を禁止する。このように、電サポ無し状態を伴う遊技状態中である場合に特別図柄2側の先読み判定を禁止する理由は、次の通りである。
「通常遊技状態」または「潜確状態」であるならば、‘電サポ無し状態’下に置かれ、下始動口35の入賞率が著しく低下する。また既に説明したように、上記電サポ無し状態中に遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めた場合、左流下経路3bを遊技球が通過するように狙いを定めた場合よりも上始動口34の入賞率が著しく低下してしまう、といった遊技者にとって不利益をもたらす遊技性となっている。このため、電サポ無し状態中に遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めることはないものと推定される。したがって、電サポ無し状態中においては、特図2作動保留球を対象とした先読み予告演出を発生させる必要性に乏しく、また発生率の低い特図2作動保留球を対象として先読み判定を一々行うようにすると、制御負担が増大してしまうといった問題が生じるからである。
なお本実施形態では、遊技状態に応じて、特別図柄1側の先読み禁止区間(先読み禁止状態の期間)と特別図柄2側の先読み禁止区間とを切り替え可能に構成されているが、本発明はこれに限られない。たとえば、特別図柄1側および特別図柄2側のいずれか一方の先読み判定は一切実施しないという構成としても良い。
再びステップS336の説明に戻り、特図2先読み禁止条件が成立している場合には(ステップS336:YES)、ステップS345の処理に進む。しかし特図2先読み禁止条件が成立していない場合には(ステップS336:NO)、ステップS337の処理に進み、特図2用当り乱数判定テーブル(図29参照)を取得し(ステップS337)、RAM203(特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファ)に格納された大当り判定用乱数値を取得して(ステップS338)、乱数判定処理を行う(ステップS339)。この乱数判定処理では、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「当落抽選」が行われる。また基本的な処理の仕方は、図10の特図1始動口チェック処理中のステップS319の乱数判定処理と同じである。
ステップS339の乱数判定処理を終えると、次いで、特図2用図柄テーブル選択テーブル(図30参照)を取得し(ステップS340)、RAM203に格納された特別図柄判定用乱数値を取得して(ステップS341)、特別停止図柄データ作成処理を行う(ステップS342)。この特別停止図柄データ作成処理では、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「図柄抽選」が行われる。また基本的な処理の仕方は、図10の特図1始動口チェック処理中のステップS322の特別停止図柄データ作成処理と同じである。
ステップS342の特別停止図柄データ作成処理を終えると、次いで、特図1始動口チェック処理中と同様の始動口入賞時乱数判定処理を行い(ステップS343)、入賞コマンドデータと作動保留球数に基づき、保留加算コマンドを作成し(ステップS344〜S345)、作成した保留加算コマンドを演出制御部24に送信して(ステップS346)、特図2始動口チェック処理を抜ける。
(8−1−1.乱数判定処理(入賞時当落判定処理):図12)
次に、上記乱数判定処理(図10のステップS319、図11のステップS339)について説明する。図12は、乱数判定処理の詳細を示すフローチャートである。この乱数判定処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、大当り判定用乱数値を利用した先読み判定に係る「当落抽選(入賞時(先読み)当落判定)」が行われる。
図12において、CPU201は、まず取得した当り乱数判定テーブル(図29)を参照して、大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルが示す判定値とを比較し、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かを判定し(ステップS351)、現在の遊技状態に応じた大当り判定フラグと小当り判定フラグとを取得する(ステップS352)。なお、ここで参照される当り乱数判定テーブルは、図10の特図1始動口チェック処理中においては、ステップS317の処理で取得された図29(イ)の特図1用当り乱数判定テーブル、図11の特図2始動口チェック処理中においては、ステップS337の処理で取得された図29(ロ)の特図2用当り乱数判定テーブルである。
(T−1.当り乱数判定テーブル:図29)
上記当り乱数判定テーブルについて説明する。図29に、当り乱数判定テーブルを示す。なお図29(イ)は、特図1用当り乱数判定テーブルを、同図(ロ)は特図2用当り乱数判定テーブルを例示した図である。
本実施形態の当り乱数判定テーブルには、大当り抽選確率状態(高確率状態(高確)、低確率状態(低確))と、大当り判定用乱数値(大当り判定用乱数の大きさ:65536)に応じて当り種別(大当りか小当りかハズレの別)を決定するための判定領域(判定値)とが関連付けて定められており、具体的には、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、大当りか小当りかハズレかの別が決定されるようになっている。したがって、取得した大当り判定用乱数値が同じ判定値に属する場合(大当り判定用乱数値が同じ値)であっても、現在の大当り抽選確率状態が、高確率状態であるか低確率状態であるかにより、一方では「大当り」、他方では「ハズレ」となるといったように、当り種別が異なる場合がある。
(T−1−1.特図1用当り乱数判定テーブル:図29(イ))
図29(イ)を参照して、特図1用当り乱数判定テーブルについて説明する。
(大当り当選について)
本実施形態の特図1用当り乱数判定テーブルにおいて、大当りの当否に関しては、大当り判定用乱数値が判定値10001〜10165の範囲に属する場合は、低確率状態、高確率状態ともに大当り判定フラグが「5AH」となり、「大当り当選」となっている。他方、大当り判定用乱数値が判定値10166〜11650の範囲に属する場合は、大当り抽選確率状態に応じて当否が別れ、高確率状態下では大当り判定フラグが「5AH」となり「大当り当選」となるが、低確率状態下では大当り判定フラグが「00H」となり「大当り非当選」となっている。なお、大当り判定フラグが「5AH」となる判定値以外は、「大当り非当選」となる。また本実施形態の大当り当選確率は、低確率状態では約1/397で、高確率状態では低確率状態よりも10倍程度、当選確率が上昇した約1/39.7で、大当りに当選するようになっている。
(小当り当選について)
また小当りの当否に関しては、大当り判定用乱数値が判定値20001〜20112の範囲に属する場合には、低確率状態、高確率状態ともに小当り判定フラグが「5AH」となり「小当り当選」、それ以外の判定値に属する場合には、「小当り非当選」となっている。つまり、小当りの当選確率は大当り抽選確率状態にかかわらず一定であり、この点、大当り抽選確率状態により当選確率が変動する上記の大当りと性格を異にする。なお本実施形態の小当りの当選確率は、大当りの当選確率よりも低い、約1/585となっている。しかし本発明はこれに限らず、大当りの当選確率と同一またはそれよりも高く定めても良い。
(ハズレについて)
なお大当り判定用乱数値が、大当り判定フラグが「00H」、かつ小当り判定が「00H」となる判定値に属する場合は、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかったことになり、今回の当落判定結果は‘ハズレ’となる。
(T−1−2.特図2用当り乱数判定テーブル:図29(ロ))
次に図29(ロ)を参照して、特図2用当り乱数判定テーブルについて説明する。
本実施形態の特図2用当り乱数判定テーブルは、特図1用当り乱数判定テーブルと次の点が異なる。上述した特図1用当り乱数判定テーブルでは、大当り判定用乱数値が判定値20001〜20112の範囲に属する場合、低確率状態と高確率状態ともに小当り判定フラグが「5AH」となり小当り当選となる。しかし、この特図2用当り乱数判定テーブルでは、小当り当選となる判定値自体が存在していない。すなわち、特別図柄変動表示ゲーム1では、大当り、小当り、およびハズレが当落抽選対象とされるが、特別図柄変動表示ゲーム2では、大当りとハズレだけが当落抽選対象とされる。勿論、特図2用当り乱数判定テーブルについても、小当りを当落抽選対象として定めても良い。なお、特図2用当り乱数判定テーブルにおける大当りの当選確率は、特図1用当り乱数判定テーブルと同じ当選確率となっている。
ここで本実施形態では、ステップS352の処理で取得した大当り判定フラグの状態(5AHまたは00H)を、CPU内蔵の汎用レジスタ(ここでは、Aレジスタ)に取り込み(ロードし)、小当り判定フラグの状態(「5AH」または「00H」)を、他の汎用レジスタ(ここでは、Dレジスタ)に取り込み、大当り判定フラグと小当り判定フラグとをレジスタに保持した状態で、この乱数判定処理を抜ける。つまりCPU201は、AレジスタとDレジスタとに取り込んだ当落抽選結果をRAM203には格納せず、各々のレジスタに保持したまま、この乱数判定処理を抜けるようになっている。
本実施形態において、今回の当落判定処理で得られた判定結果、すなわち先読み判定における当落抽選結果のデータは、後続の特別停止図柄データ作成処理で直ちに利用され、その後、このデータが必要とされることはない。したがって、この判定結果をRAM203に格納せずにレジスタに保持した状態のままで乱数判定処理を抜けても問題はない。これにより、当落判定処理の判定結果(先読み判定に係る当落結果)を格納するためのプログラムを必要とせず、またその判定結果を格納するための専用の格納領域を別途設ける必要はないことから、ROMやRAMのメモリ容量を削減し、制御負担を軽減することができるようになっている。なお詳細は後述するが、上記乱数判定処理(ステップS319、ステップS339::入賞時処理の当落抽選処理)は、後述の特別電役物作動判定用乱数判定処理(後述の図15のステップS409:変動開始時の処理に係る当落抽選処理)において、共通の処理モジュールとして利用される。しかし上記後述の特別電役物作動判定用乱数判定処理において得られたデータについては、後処理における変動開始時の変動パターンの決定や大当り種別に応じた大当り遊技を実行するために後々必要なデータとなるため、先読み判定処理に係る上述の乱数判定処理とは事情が異なり、当該データがRAM203に格納されるようになっている。
(8−1−2.特別停止図柄データ作成処理(入賞時特別停止図柄データ作成処理):図13)
次に、特別停止図柄データ作成処理(図10のステップS322、図11のステップS342)について説明する。図13は、特別停止図柄データ作成処理の詳細を示すフローチャートである。この特別停止図柄データ作成処理は、上記乱数判定処理と同じく‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、特別図柄判定用乱数値を利用した先読み判定に係る「図柄抽選(先読み図柄判定)」が行われる。
図13において、CPU201は、まず取得した図柄テーブル選択テーブル(図30)を参照して、乱数判定処理(図10のステップS319、図11のステップS339)で得られた当落抽選結果、すなわちレジスタA、Dに保持された大当り判定フラグの状態と小当り判定フラグの状態に応じた図柄テーブル(詳細は後述する)を取得する(ステップS361)。なお、ここで参照される図柄テーブル選択テーブルは、図10の特図1始動口チェック処理中においては、ステップS320の処理で取得された図30(イ)の特図1用図柄テーブル選択テーブル、図11の特図2始動口チェック処理中においては、ステップS340の処理で取得された図30(ロ)の特図2用図柄テーブル選択テーブルである。
(T−2:図柄テーブル選択テーブル:図30)
図30に、図柄テーブル選択テーブルを示す。なお図30(イ)は、特図1用図柄テーブル選択テーブルを、同図(ロ)は特図2用図柄テーブル選択テーブルを例示した図である。
(T−2−1:特図1用図柄テーブル選択テーブル:図30(イ))
図30(イ)を参照して、特図1用図柄テーブル選択テーブルについて説明する。本実施形態の特図1用図柄テーブル選択テーブルには、当落抽選結果と後述の図柄テーブル種別(図31〜図33参照)とが関連付けて定められており、具体的には、当落抽選結果に基づき、複数種類の図柄テーブルのうちからいずれかの一つの図柄テーブルが決定されるようになっている。この特図1用図柄テーブル選択テーブルにより、当落抽選結果が大当りの場合には「大当り図柄テーブル1(図31(イ))」が、小当りの場合には「小当り図柄テーブル(図31)」が、ハズレの場合には「ハズレ図柄テーブル1(図32(ロ))」が決定される。これら図柄テーブルについての詳細は図31〜図32にて後述する。
(T−2−2:特図2用図柄テーブル選択テーブル:図30(ロ))
次に図30(ロ)を参照して、特図2用図柄テーブル選択テーブルについて説明する。この特図2用図柄テーブル選択テーブルは、特図1用図柄テーブル選択テーブルの構成と同じように、当落抽選結果に基づき、複数種類の図柄テーブルのうちからいずれかの一つの図柄テーブルが決定されるようになっている。ただし、特図2用当り図柄テーブル選択テーブルにおいては、当落抽選結果が大当りの場合には「大当り図柄テーブル2(図31(ロ))」が、ハズレの場合には「ハズレ図柄テーブル2(図32(ロ))」が決定されるようになっており、小当りの場合の「小当り図柄テーブル(図31)」は含まれていない。これは、特別図柄変動表示ゲーム2側(特別図柄2側)では、「小当り」が当落抽選対象から除かれており、小当りに当選することがないためである(後述の図31(ロ)の「大当り図柄テーブル2」参照)。
上記ステップS361の処理を具体的に説明すれば、特図1用図柄テーブル選択テーブルが参照される場合においては、当落抽選結果(大当り判定フラグの状態と小当り判定フラグの状態)が「大当り(大当り判定フラグ=5AH、小当り判定フラグ=00H)」である場合には「大当り図柄テーブル1」が、「小当り(大当り判定フラグ=00H、小当り判定フラグ=5AH)」である場合には「小当り図柄テーブル」が、「ハズレ(大当り判定フラグ=00H、小当り判定フラグ=00H)」である場合には「ハズレ図柄テーブル1」が取得される。また特図2用図柄テーブル選択テーブルが参照される場合においては、「大当り(大当り判定フラグ=5AH、小当り判定フラグ=00H」である場合には「大当り図柄テーブル2」が、「ハズレ:大当り判定フラグ=00H、小当り判定フラグ=00H」である場合には「ハズレ図柄テーブル2」が取得される。
次いで、ステップS361の処理で取得した図柄テーブルを参照して、特別図柄判定データ、特別停止図柄番号、および変動パターン選択用オフセット値を取得する(ステップS362)。
(T−3〜T−5.図柄テーブル:図31〜図33)
上記の各図柄テーブルについて説明する。図31に大当り図柄テーブルを、図32に小当り図柄テーブルを、図33にハズレ図柄テーブルを示す。
本実施形態の各種の図柄テーブルには、図31〜図33に示すように、「特別図柄判定用乱数値(特別図柄判定用乱数値の大きさ:200)」と、「特別図柄判定データ、特別停止図柄番号、および変動パターン選択用オフセット」を決定するための判定領域(判定値)とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、上記大当り種別、特別図柄判定データ、特別停止図柄番号、および変動パターン選択用オフセットが決定されるようになっている。
上記「特別図柄判定データ」とは当り種別を識別するデータであり、具体的には、大当りである場合において(大当り判定フラグ=5AH、小当り判定フラグ=00Hの場合)、特別図柄判定データが「01H」の場合は‘2R短開放潜確大当り’、「02H」の場合は‘10R長開放確変大当り’、「03H」の場合は‘15R長開放確変大当り’である旨を示す。また、小当りである場合において(大当り判定フラグ=00H、小当り判定フラグ=5AHの場合)、特別図柄判定データが「01H」の場合は‘小当りA’、「02H」の場合は‘小当りB’、「03H」の場合は‘小当りC’である旨を示す。なおハズレである場合においては(大当り判定フラグ=00H、小当り判定フラグ=00Hの場合)、特別図柄判定データが「00H」の場合は‘ハズレA〜C’である旨を示す。この特別図柄判定データは、遊技状態移行制御に関する処理(たとえば、後述の図15のステップS411の遊技状態移行準備処理)や、大当り遊技に関する処理(たとえば、特別電動役物処理(ステップS060))において利用されるデータである。
また上記の「特別停止図柄番号」とは、特別図柄表示装置に停止表示する特別停止図柄種別を指定するデータであり、主制御部20側において特別図柄の停止図柄種を特定する際に利用される。本実施形態では、図示のように、各判定値に応じた特別停止図柄番号が選択されるようになっており、たとえば、同じ2R短開放潜確大当りの場合であっても、判定値によっては特別図柄表示装置38a、38bに表示される特別停止図柄の表示態様(本実施形態では‘7セグ’の表示態様)が異なる場合がある。なお、後述の小当り図柄テーブルやハズレ図柄テーブルについても同様である。このように、当選種別が同じであっても、特別図柄判定用乱数値に応じた複数種類の特別停止図柄番号を定めることにより、特別図柄表示装置に表示される特別停止図柄を見ても、遊技者がどのような種類の大当りや小当りやハズレに当選したかの見分けがつき難いようになっている。なお本実施形態のように、2R潜確大当り遊技中と小当り遊技中の挙動とを実質的に同一とするものにあっては、大入賞口の機械的動作や演出上だけでなく、特別図柄表示装置に表示される特別停止図柄からも当選種別を遊技者に悟られ難くすることは、高確率状態への突入期待感、つまり、2R短開放潜確大当りの当選期待感を煽る上で有効である。
また上記の「変動パターン選択用オフセット(図中では、「オフセット値」と表記)」とは、後述の保留加算コマンドや変動パターン指定コマンドを選択する際に利用されるオフセットデータである。
(T−3.大当り図柄テーブル:図31)
図31を参照して、大当り図柄テーブルについて説明する。なお図31(イ)は、大当り図柄テーブル1(特図1用大当り図柄テーブル)を、同図(ロ)は、大当り図柄テーブル2(特図2用大当り図柄テーブル)を例示した図である。
(T−3−1:大当り図柄テーブル1:図31(イ))
本実施形態の大当り図柄テーブル1には、主として、特別図柄判定用乱数値と、大当り種別を決定するための判定値とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、複数種類の大当りのうちからいずれか一つの大当りが決定されるようになっている。図示の大当り図柄テーブル1の「判定値」の欄を参照すれば、特別図柄判定用乱数値が判定値0〜119の範囲に属する場合には「2R短開放潜確大当り」当選となり(図柄選択率(図柄抽選確率):120/200)、判定値120〜179の範囲に属する場合には「10R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:60/200)、判定値180〜199の範囲に属する場合には「15R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:20/200)、複数種類の大当りのうちからいずれか一つの大当りが、所定の図柄選択率で決定されることになる。なお、後述の小当り図柄テーブル(図32)も同様して、小当り種別(小当りA〜C)が所定の図柄選択率で決定されるようになっており、また後述のハズレ図柄テーブル(図33)も同様して、ハズレ種別(ハズレA〜C)が所定の図柄選択率で決定されるようになっている。
(T−3−2:大当り図柄テーブル2:図31(ロ))
本実施形態の大当り図柄テーブル2は、上述の大当り図柄テーブル1と基本的な構成は同じであるが、上記大当り図柄テーブル1と次の点が異なる。大当り図柄テーブル2では、大当り図柄テーブル1と比較し、特定の大当りの図柄選択率(図柄抽選確率)が異なる。具体的には、判定値0〜79の範囲に属する場合には「10R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率(図柄抽選確率):80/200)、判定値80〜199の範囲に属する場合には「15R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:120/200)、「2R短開放潜確大当り」が当選となる判定値が存在しない構成となっており、大当り図柄テーブル1による図柄抽選よりも大当り図柄テーブル1による図柄抽選の方が相対的に高い利益の大当りが選択される確率が高く、遊技者にとって有利な図柄抽選となっている。つまり、特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の抽選を受ける方が遊技者にとって有利なゲーム展開とされる。
(T−4:小当り図柄テーブル:図32)
次に図32を参照して、小当り図柄テーブルについて説明する。本実施形態の小当り図柄テーブルは、上記の大当り図柄テーブルの構成と同じように、特別図柄判定用乱数値がいずれかの判定領域(判定値)に属するか否かにより、小当り種別(小当りA〜Cのいずれか)、特別図柄判定データ、特別停止図柄番号、および変動パターン選択用オフセットが決定されるようになっている。
(T−5:ハズレ図柄テーブル:図33)
次に図33を参照して、ハズレ図柄テーブルについて説明する。なお図33(イ)は、ハズレ図柄テーブル1(特図1用ハズレ図柄テーブル)を、同図(ロ)はハズレ図柄テーブル2(特図2用ハズレ図柄テーブル)を例示した図である。
本実施形態の各ハズレ図柄テーブル1、2は、上記の大当り図柄テーブルや小当りテーブルの構成と同じように、特別図柄判定用乱数値がいずれかの判定領域(判定値)に属するか否かにより、ハズレ種別(ハズレA〜Cのいずれか)、特別図柄判定データ、特別停止図柄番号、および変動パターン選択用オフセットが決定されるようになっている。なお図示のように、ハズレ図柄テーブル1とハズレ図柄テーブル2とは、ハズレA〜Cの当選に係る判定値が異なっている。したがって、特別図柄判定用乱数値が同じ値であっても、ハズレ図柄テーブル1が参照される場合と、ハズレ図柄テーブル2が参照される場合とでは、当選となるハズレ種別が異なる場合がある。
ステップS362の処理において、上記した図柄テーブルから得られた各種のデータ((先読み判定における図柄抽選結果:特別図柄判定データ、特別停止図柄番号、および変動パターン選択用オフセット)に関しては、特別図柄判定データはAレジスタに、特別停止図柄番号はBレジスタに、変動パターン選択用オフセットはCレジスタにそれぞれ取り込まれる。この状態で、この特別停止図柄データ作成処理を抜けて、始動口入賞時乱数判定処理に進む(図10の特図1始動口チェック処理中であればステップS323に進み、図11の特図2始動口チェック処理中であればステップ343に進む)。すなわちCPU201は、Aレジスタ、Bレジスタ、およびCレジスタに取り込んだデータをRAM203に格納せずに、各々のレジスタに保持したまま、特別停止図柄データ作成処理を抜ける。
今回の特別停止図柄データ作成処理で得られた判定結果(先読み判定における図柄抽選結果)の各種データは、続く始動口入賞時乱数判定処理で直ちに利用され、その後、このデータが必要とされることはない。したがって、この判定結果をRAM203に格納せずにレジスタに保持した状態のままで特別停止図柄データ作成処理を抜けても問題はない。これにより、特別停止図柄データ作成処理の判定結果を格納するためのプログラムを必要とせず、またその判定結果を格納するための専用の格納領域を別途設ける必要はないことから、メモリ容量を削減し、制御負担の軽減することができる。なお詳細は後述するが、上記特別停止図柄データ作成処理(図10のステップS322、図11のステップS342:入賞時処理の図柄抽選処理)は、後述の停止図柄作成処理(後述の図15のステップS410:変動開始時処理の図柄抽選処理)において、共通の処理モジュールとして利用される。しかし上記後述の停止図柄作成処理において得られたデータについては、後処理における変動開始時の変動パターンの決定や大当り種別に応じた大当り遊技を実行するために後々必要なデータとなるため、先読み判定処理に係る上述の特別停止図柄データ作成処理とは事情が異なり、当該データがRAM203に格納されるようになっている。
(8−1−3.始動口入賞時乱数判定処理:図14)
次に、始動口入賞時乱数判定処理(図10のステップS323、図11のステップS343)について説明する。図14は、始動口入賞時乱数判定処理の詳細を示すフローチャートである。この始動口入賞時乱数判定処理では、乱数判定処理(ステップS319、S339)や特別停止図柄データ作成処理(ステップS322、S342)と同じく、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、後述の「保留加算コマンド」の作成に利用される入賞コマンドデータ(2バイト目(EVENT):下位バイト)の作成処理が行われる。この始動口入賞時乱数判定処理において決定される入賞コマンドデータ(EVENT)により、先読み変動パターン(保留球数情報は除く)が指定される。
この始動口入賞時乱数判定処理では、先読み変動パターンを指定するための入賞コマンドデータ(EVENT)を決定する処理として、以下の(a)および(b)の処理を含んで構成されている。
(a)入賞コマンド振分テーブル選択テーブル(図35)を参照し、変動パターン選択用オフセット値と変動パターン振分指定番号(Tcode)とに応じた入賞コマンド振分テーブル(図36、図37)を決定する「入賞コマンド振分テーブル決定処理(ステップS371〜S373)」と、
(b)上記入賞コマンド振分テーブルに基づき、入賞コマンドデータ(保留加算コマンドの下位バイト側(EVENT))を決定する「入賞コマンドデータ決定処理(ステップS373〜S374)」と、を含んで構成される。
ここで上記「変動パターン振分指定番号(Tcode)」とは、‘変動パターン選択モード’として機能するものであり、現在の遊技状態を識別するデータである。図49の変動パターン振分指定番号表を参照して説明すれば、変動パターン振分指定番号(Tcode)が「00H」の場合は「通常A」を示し、「01H」の場合は「通常B」を示し、「02H」の場合は「通常C」を示し、「03H」の場合は「確変状態(確変)」を示す。この変動パターン振分指定番号(Tcode)は、遊技状態に変化があった場合に変更されるようになっている。したがって、変動パターン振分指定番号(Tcode)は上記のような遊技状態を識別する点で、後述の遊技状態判定番号(YJ)のように内部遊技状態そのものを識別するデータとは異なる。以下に、上記(a)および(b)の処理の仕方について、具体的に説明していく。
(a)入賞コマンド振分テーブル決定処理(ステップS371〜S373)
図14において、CPU201は、まず上記特別停止図柄データ作成処理(ステップS322、S342)で得られた「変動パターン選択用オフセット値」を補正する(ステップS371:入賞時変動パターン選択用オフセット補正処理)。ここでは、図35の入賞コマンド振分テーブル選択テーブルから入賞コマンド振分テーブルを選択するためのデータとして、上記特別停止図柄データ作成処理で得られた変動パターン選択用オフセット値に対して所定の補正処理を行い、新たな変動パターン選択用オフセット値を取得する処理を行う。
図34を参照しながら、ステップS371の入賞時変動パターン選択用オフセット補正処理について説明する。図34は、入賞時変動パターン選択用オフセット補正処理の説明に供する図であり、同図(イ)に上記特別停止図柄データ作成処理で得られた変動パターン選択用オフセット値(以下、「入賞時補正前オフセット値」と称する)とその内容の一覧を示し、同図(ロ)に補正処理後の変動パターン選択用オフセット値(以下、「入賞時補正後オフセット値」と称する)とその内容の一覧を示す。
図34(イ)において、たとえば、入賞時補正前オフセット値が「00H」の場合、特図1作動保留球(図中では「特図1」と表記)を対象とした当落抽選と図柄抽選に基づく先読み判定結果が「ハズレA」を示す。また入賞時補正前オフセット値が「04H」の場合、特図2作動保留球(図中では「特図2」と表記)を対象とした当落抽選と図柄抽選に基づく先読み判定結果が「ハズレA」を示し、その他、特別停止図柄データ作成処理で得られた変動パターン選択用オフセット値とその内容が示してある(図31〜図33に示した図柄テーブルの「オフセット値」の欄参照)。なお、図中の「特図1」とは特図1作動保留球側を、「特図2」とは特図2作動保留球側を示す。
なお図34(イ)に示す入賞時補正前オフセット値は、一部飛び飛びの値をとっているが、その理由は次の通りである。
先読み予告演出のバリエーションを豊富なものとする場合、変動開始時の変動パターンの大まかな内容が先読み変動パターンにより指定されるといった関係上、大当り抽選結果だけでなく変動パターン用乱数をも利用して先読み変動パターンを判定することが必要であり、双方に共通性を持たせた簡便な制御処理が望まれる。詳細は追って説明するが、本実施形態では、制御負担を軽減させるべく、入賞時処理の乱数判定処理(ステップS319、S339)を、変動開始時処理の特別電動役物作動判定用乱数判定処理(後述の図15のステップS409)において共通の処理モジュールとして利用し、また入賞時処理における特別停止図柄データ作成処理(ステップS322、S342)を、変動開始時処理における特別停止図柄作成処理(後述の図15のステップS410)において共通の処理モジュールとして利用する。このため、入賞時処理において得られる変動パターン選択用オフセット(上記ステップS371の補正処理前のオフセット値)と、変動開始時処理において得られる変動パターン選択用オフセット値(後述のステップS441の補正処理前のオフセット値)とが同じ値を取り、また同じ指定内容を持つオフセット値となる(図34(イ)および後述の図41(イ)の補正処理前の表を参照)。
また図柄変動表示ゲーム中における演出のバリエーションを豊富なものとする場合、特別図柄の変動パターンの種類を増加させる必要性があることから、変動開始時処理において利用される変動パターン選択用オフセット値は、作動保留球数を考慮した内容となっているが(後述の図41(ロ)の補正処理後の表を参照)、先読み判定時においては作動保留球数を考慮しない。これは、先読み判定時の作動保留球数が変動開始時の作動保留数と必ずしも一致しないため、正確な変動開始時の変動パターンの内容を先読み判定することができないからである。このような理由から、入賞時・変動開始時における補正処理前の変動パターン選択用オフセットは、作動保留球数を考慮した空き番を作って一部飛び飛びの値としている(オフセット値01H〜03H、05H〜06Hを空き番としている)。
ここで詳細は後述するが、入賞コマンド振分テーブル選択テーブルは、メモリ容量の削減やプログラムを簡潔にするべく、連続したアドレスを利用して入賞コマンド振分テーブルを選択可能に構成してある。そこで本実施形態では、入賞コマンド振分テーブル選択テーブルに基づく入賞コマンド振分テーブルのアドレス検索が容易になるように、入賞時補正前オフセット値に、次に述べる補正処理を施し、飛び飛びの値から連続した値に補正することにより、入賞コマンド振分テーブルを選択する際の処理を簡便化して、制御負担を軽減している。
上記ステップS371の補正処理では、入賞時補正前オフセット値が「07H」を超えるものである場合には(入賞時補正前オフセット値>07Hの場合)、当該入賞時補正前オフセット値から「07H」を減算し、上記入賞時補正前オフセット値が「07H」を超えるものでない場合には(入賞時補正前オフセット値≦07Hの場合)、当該入賞時補正前オフセット値を「00H」に変更する。
この補正処理で得られた新たな変動パターン選択用オフセット値(入賞時補正後オフセット値)とその内容は、図34(ロ)のようになる。本実施形態では、このオフセット値を利用し、入賞コマンド振分テーブル選択テーブルから目的とする入賞コマンド振分テーブルを選択するようになっている(ステップS372〜S373)。
ステップS371の補正処理を終えると、入賞コマンド振分テーブル選択テーブルを取得し(ステップS372)、その入賞コマンド振分テーブル選択テーブルを参照して、補正した変動パターン選択用オフセット値と変動パターン振分指定番号(Tcode)とに応じた、入賞コマンド振分テーブルを取得する(ステップS373)。
(T−6.入賞コマンド振分テーブル選択テーブル:図35)
図35に、入賞コマンド振分テーブル選択テーブルを示す。本実施形態の入賞コマンド振分テーブル選択テーブルには、変動パターン選択用オフセット値と変動パターン振分指定番号(Tcode)とに関連付けられた複数種類の入賞コマンド振分テーブルが定められている。具体的には、変動パターン選択用オフセット値と変動パターン振分指定番号(Tcode)とに基づき、複数種類の入賞コマンド振分テーブルのうちからいずれか一つの入賞コマンド振分テーブルが決定されるようになっている。
上記入賞コマンド振分テーブル選択テーブルには、変動パターン選択用オフセット値と変動パターン振分指定番号(Tcode)とに応じた入賞コマンド振分テーブルのアドレス値が記憶されており、メモリ容量の削減やプログラムを簡潔にするべく、変動パターン選択用オフセット値に対応するように連続したアドレスを利用したデータ構成となっている。入賞コマンド振分テーブルの選択は、まず変動パターン振分指定番号(Tcode)に対応した入賞コマンド振分テーブル選択テーブルを選択して、変動パターン選択用オフセット値に応じた入賞コマンド振分テーブルを選択する。すなわち、変動パターン振分指定番号(Tcode)ごとに選択した入賞コマンド振分テーブル選択テーブルには、入賞コマンド振分テーブルを規定する先頭アドレス値が記載されているが、このアドレス値に対して、変動パターン選択用オフセット値(ここでは、後述のステップS371の補正処理で得られたオフセット値)を加算する加算処理を施し、先頭アドレスに対する相対アドレスを取得して目的の入賞コマンド振分テーブルのアドレス値を特定することにより、入賞コマンド振分テーブルを選択することができるようになっている。
(b)入賞コマンドデータ決定処理(ステップS374〜S375)
CPU201は、ステップS372の処理で入賞コマンド振分テーブル選択テーブルを取得した後、変動パターン用乱数値1を取得し(ステップS374)、入賞コマンド振分テーブル(図36、図37)を参照して、変動パターン用乱数値1に応じた「入賞コマンドデータ」を取得する(ステップS375)。
(T−7.入賞コマンド振分テーブル:図36、図37)
上記の入賞コマンド振分テーブルについて説明する。図36に当り時に選択される当り入賞コマンド振分テーブルを、図37にハズレ時に選択されるハズレ入賞コマンド振分テーブルを示す。
図36を参照して、本実施形態の当り入賞コマンド振分テーブルには、複数種類の当り入賞コマンド振分テーブル「a1〜a6」が含まれ、ハズレ入賞コマンド振分テーブルには複数種類のハズレ入賞コマンド振分テーブル「h1〜h9」が含まれる。これら入賞コマンド振分テーブルには、変動パターン用乱数値1(変動パターン用乱数値1の大きさ:239)と入賞コマンドデータ(EVENT)とが関連付けて定められており、具体的には、変動パターン用乱数値1を利用した抽選により、複数種類の入賞コマンドデータのうちからいずれか一つの入賞コマンドデータが決定されるようになっている。上記「変動パターン用乱数値1」は、変動開始時の変動パターンを決定するときにも利用される乱数である(後述の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS412):図15参照)。本実施形態では、先読み判定に係る処理と変動開始時の変動パターンの決定に係る処理とで同じ変動パターン用乱数値1を利用することで、将来決定されることとなる変動開始時の変動パターン種別が、どのような変動パターン種別に決定されるのかを事前に先読み判定することができるようになっている。
なお図中の「先読み変動パターン判定内容」は、入賞コマンドデータ(EVENT)により指定される先読み変動パターンの内容を示している。また図中のアラビア数字は振分値(判定領域の大きさ)を示し(後述の図37、図43〜図44も同様の表記)、たとえば、図示の当り入賞コマンド振分テーブルa2の欄を参照すれば、「弱SPリーチA」を指定する入賞コマンドデータ「0EH」は、50/239(振分値/抽選領域の大きさ)の割合で選択される。
ここで図中では、説明の便宜上、「選択率」を表記しているが、実際には、変動パターン用乱数値1に応じて、入賞コマンドデータ(EVENT)を決定するための判定領域(判定値)が定められている。すなわち、変動パターン用乱数値1がどの判定値に属するのか否かにより、入賞時処理において「入賞コマンドデータ(EVENT)」が決定されるようになっている。
図示の振分値と判定値との関係は次のようになっている。たとえば、当り入賞コマンド振分テーブル「a2」を代表例にとって説明すれば、図面正面上から下の列方向に見て振分値が最初に記載されている箇所から参照すると、振分値が「50」、「80」、「39」、「70」の順に記載されているが、この内容は、変動パターン用乱数値1が、判定値0〜49の範囲(上記振分値「50」の記載欄に対応)に属する場合は「弱SPリーチA」を指定するコマンド「0EH」が選択され、判定値50〜129の範囲(上記振分値「80」の記載欄に対応)に属する場合は「強SPリーチA」を指定するコマンド「0FH」が選択され、判定値130〜168の範囲(上記振分値「39」の記載欄に対応)に属する場合は「弱SPリーチB」を指定するコマンド「10H」が選択され、判定値169〜238の範囲(上記振分値「80」の記載欄に対応)に属する場合は「強SPリーチB」を指定するコマンド「11H」が選択されるという内容を意味している。同様に、たとえばハズレ入賞コマンド振分テーブル「h2」を代表例にとって説明すれば、振分値が「150」、「89」の順に記載されているが、この内容は、判定値0〜149の範囲(上記振分値「150」の記載欄に対応)に属する場合は「弱SPリーチA」を指定するコマンド「04H」が選択され、判定値150〜238の範囲(上記振分値「89」の記載欄に対応)に属する場合は「強SPリーチA」を指定するコマンド「05H」が選択されるという内容を意味している。なお後述の図43〜図44についても同様の「選択率」の表記となっているが、上述と同じように、変動パターン用乱数値1または2に応じた判定値が定められている(これについての説明は重複記載を避けるために省略する)。
上記当り入賞コマンド振分テーブルには、当り時の先読み変動パターンを指定する当り入賞コマンドデータとして、次のようなものが含まれる。2R短開放潜確大当り当選または小当り当選を指定するものとして、「通常A」中または「通常B」中において使用される「2R短開放潜確・小当り当選用1」を指定するコマンドデータ、「通常C」中において使用される「2R短開放潜確・小当り当選用2」の指定するコマンドデータ、「確変状態」中において使用される「2R短開放潜確・小当り当選用3」を指定するコマンドデータなどが含まれる。また10R・15R長開放確変大当り当選を指定するものとして、「通常A」中または「通常B」中において使用される「弱SPリーチA」「弱SPリーチB」「強SPリーチA」「強SPリーチB」を指定する各コマンドデータ、「通常C」中において使用される「特殊リーチ」を指定するコマンドデータ、「確変状態」中において使用される「確変中リーチ」を指定するコマンドデータなどが含まれる。
また上記ハズレ入賞コマンド振分テーブルには、ハズレ時の先読み変動パターンを指定するハズレ入賞コマンドデータとして、次のようなものが含まれる。リーチ有り変動パターンを指定するものとして、「通常A」中または「通常B」中において使用される「弱SPリーチA」「弱SPリーチB」「強SPリーチA」「強SPリーチB」を指定する各コマンドデータ、「通常C」中において使用される「特殊リーチ」を指定するコマンドデータ、「確変状態」中において使用される「確変中リーチ」を指定する入賞コマンドデータなどが含まれる。また「ハズレ」の場合は「当り」の場合とは異なり、大当り当選の可能性がゼロであるため、リーチ無しとするハズレ変動パターン(通常変動パターン)が含まれる。このリーチ無しとする通常変動パターン種を指定するものとして、「通常A」中、「通常B」中、または「通常C」中において使用される「通常変動」を指定するコマンドデータと、「確変状態」中に使用される「通常変動(2s)」を指定するコマンドデータなどが含まれる。
なお図中の「不定(通常変動・リーチ)」を指定するハズレ入賞コマンドデータ「03H」とは、先読み判定時において、変動開始時の変動パターンが通常変動パターンであるのか、リーチ有り変動パターンであるかが不明である旨を指定するコマンドデータである。これは、変動開始時の変動パターンの判定段階では作動保留球数を考慮して変動パターン決定されるようになっているが(後述の図15のステップS412の特別図柄変動パターン作成処理、その詳細を示す図19参照)、先読み判定時においては、先読み判定時の作動保留球数が変動開始時の作動保留数と必ずしも一致しないため、正確な変動開始時の変動パターンを先読み判定することができない。このため、先読み変動パターンの判定段階においては、作動保留球数を考慮せずに変動パターンを決定することとし、変動パターン用乱数値1が「210〜238」の場合は、通常変動パターンであるのか、リーチ有り変動パターンであるのかについて判断できないことに起因する(後述の図42、図44参照)。詳しくは、変動開始時においてハズレAの場合、先読み判定時とは異なり、変動開始時の作動保留球数に応じて、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H1〜H4のいずれかが選択される可能性があり(図42のオフセット値00H〜03Hの欄、図44のH1〜H4参照)、H1が選択された場合には判定値「0〜209(選択率210/239)」で‘通常変動1(12s)’、判定値「210〜238(選択率29/239)」で「Nリーチ」が選択され、H2が選択された場合には判定値「0〜219(選択率220/239)」で‘通常変動1(12s)’、判定値「220〜238(選択率19/239)」で「Nリーチ」が選択され、H3が選択された場合には判定値「0〜229(選択率230/239)」で‘通常変動2(8s)’、判定値「230〜238(選択率9/239)」で「Nリーチ」が選択され、H4が選択された場合には判定値「0〜238」で「通常変動3(3s)」のみが選択されるからである。この問題は、特にハズレAの場合において発生するが、本実施形態のハズレAの場合の変動開始時の変動パターンは、主として「通常変動」または大当り当選期待度が相対的に低い「Nリーチ」が選択されるだけであるので、上記「不定(通常変動・リーチ)」とは判断せずに例外的に「通常変動」と判断しても特に問題はない。また本実施形態では、判定値「210〜238」であれば「Nリーチ」の可能性が高まることから、先読み判定時においては、判定値「210〜238」の範囲においては「Nリーチ」と判断しても良い。
再びステップS375の説明に戻る。上記ステップS375の処理において、上記入賞コマンド振分テーブルから得られた入賞コマンドデータ(EVENT)は、Cレジスタに取り込まれ、この状態で、この始動口入賞時乱数判定処理を抜けるようになっている。つまり、CPU201は、Cレジスタに取り込んだ入賞コマンドデータ(EVENT)をRAM203には格納せず、レジスタに保持したまま、この始動口入賞時乱数判定処理を抜ける。
今回の始動口入賞時乱数判定処理で得られた判定結果(入賞コマンドデータ)は、後続の保留加算コマンドを作成処理で直ちに利用され、その後、このデータが必要とされることはない。したがって、この判定結果をRAM203に格納せずに所定のレジスタに保持した状態のままで上記始動口入賞時乱数判定処理を抜けても問題はない。これにより、始動口入賞時乱数判定処理の判定結果を格納するためのプログラムを必要とせず、またRAM203の記憶領域を別途設ける必要はないことから、メモリ容量を削減し、制御負担を軽減することができる。
(C−1:保留加算コマンド:図38)
次に、保留加算コマンドについて説明する。既に説明したように、CPU201は、上記始動口入賞時乱数判定処理(図10のステップS323、図11のステップS343)を終えると、続いて、上記始動口入賞時乱数判定処理で得られた下位バイト側の入賞コマンドデータ(EVENT)と現在の作動保留球数に基づく上位バイト側の入賞コマンドデータ(MODE)とに基づいて、「保留加算コマンド」を作成し、これをRAM203に格納することなく、演出制御部24に送信する(図10のステップS324〜S326、図11のステップ344〜S346参照)。
なお、保留加算コマンドをRAM203に格納しない理由は次の通りである。上記保留加算コマンドが主制御部20から演出制御部24に送られた後は、演出制御部24側において今回の作動保留球に係る「先読み予告演出」を現出する際に利用されるだけであり、後述の特別図柄変動開始処理(図15参照)において特に利用されるものではない。したがって、保留加算コマンドをRAM203に格納せずに、始動口チェック処理(図10、図11)を抜けても特に問題はない。本実施形態では、当落判定処理、特別停止図柄データ作成処理、および始動口入賞時乱数判定処理などの入賞時処理に係る一連の‘先読み判定’処理で得られた各種データを、一々RAM203に格納することなく上記始動口チェック処理を終えるといった処理とすることで、ROMやRAMのメモリ容量を削減し、制御負担を軽減させることを可能にしている。
図38に、上記保留加算コマンドの一覧を示す。保留加算コマンドは、図示のように、2バイトの制御データで構成される。具体的には、作動保留球数と特別図柄種別(特別図柄1および特別図柄2)とに応じて作成される上位バイト(1バイト目(MODE)の「BXH(B6H〜B9Hは、特別図柄1の作動保留球数1〜4個にそれぞれ対応し、BBH〜BEHは特別図柄2の作動保留球数1〜4個にそれぞれ対応する)」)と、ステップS323の始動口入賞時乱数判定処理で作成される下位バイト(2バイト目(EVENT)の「XXH(XXはコマンドごとに対応する数値)」)とから構成される。したがって、保留加算コマンドには、先読み判定に関する一連の処理(ステップS317〜S323)において得られた先読み判定結果情報、具体的には、先読み変動パターンの情報が含まれる。なお本実施形態では、「作動保留球数と特別図柄種別の情報」および「先読み変動パターンの情報」を一緒に含めた形態の保留加算コマンドを作成し、これを演出制御部24に送信可能な構成となっているが、本発明はこれに限られない。たとえば、作動保留球数と特別図柄種別(特別停止図柄番号)または当り種別(特別図柄判定データ)との情報を含む第1の保留加算コマンドと、先読み変動パターンの情報を含む第2の保留加算コマンドとに分け、各々の情報を別々の演出制御コマンドにより演出制御部24に送信する構成であっても良い。
上記保留加算コマンドが主制御部20から送信されると、これを受けた演出制御部24は、その保留加算コマンドに含まれる情報に基づく先読み予告演出の実行可否に関する抽選(先読み予告抽選)を行い、その抽選結果により実行可と決定された場合(先読み予告抽選に当選した場合)、図柄変動表示ゲームの開始と共に、またはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とする先読み予告演出を現出させる。また演出制御部24は、保留加算コマンドを受けた場合、先読み予告演出を現出させるか否かにかかわらず、始動口に入賞があった旨を報知する「入賞演出」を現出させることができる。
なお、作動保留球数が4以上の場合に新たな入賞があった場合にもオーバーフロー(overflow)入賞時の保留加算コマンド(以下、「OF保留加算コマンド」と略す)が作成され、演出制御部24に送信されるようになっている。このOF保留加算コマンドも、2バイトから構成され、上位バイト目(MODE)は「B5H(特別図柄1に対応)」または「BAH(特別図柄2に対応)」、下位バイト(EVENT)はオーバーフロー入賞を指定する「00H」となっている。下位バイトの作成は、始動口入賞時乱数判定処理中で作成しても良い。また図10のステップS311とS312の処理の間と、図11のステップS331とS332の処理の間に、一旦、オーバーフロー入賞用のデータ(下位バイト「00H」)を取得する「OFデータ取得処理」を設け、オーバーフロー入賞であれば(ステップS312の判定結果が‘YES’、またはステップS332の判定結果が‘YES’)、そのままステップS325またはS345に進んで上記「OF保留加算コマンド」を作成し、オーバーフロー入賞でなければ(ステップS312の判定結果が‘NO’、またはステップS332の判定結果が‘NO’)、ステップS313またはS333を行う処理ルートに入り、上記OFデータ取得処理で取得したデータ(EVENT)「00H」)をステップS323またはS343の始動口入賞時乱数判定処理において取得したデータに書き換えることで、目的の保留加算コマンドを作成するように構成しても良い。
また上記OF保留加算コマンドは、先読み判定には利用されずに、専ら上述の「入賞演出」に利用されるものと説明したが、以下のような演出を現出させるように構成することができる。たとえば、演出制御部24が上記OF保留加算コマンドを受信した場合において、現在の作動保留球の中に「大当り(小当りを含んでも良い)」となるものが存在していることを条件に、その旨を報知する予告演出(OF入賞時保留内予告演出)を現出可能に構成しても良い。この場合、演出制御部24は、保留加算コマンドを受信した場合、これに含まれる先読み判定情報を記憶する先読み判定情報記憶手段と、OF保留加算コマンドを受信した場合、現在の作動保留球の中に「大当り(小当りを含んでも良い)」となるものが存在していることを条件に、大当りの可能性がある旨を報知する(所定の報知抽選により報知するか否かを決定しても良い)保留内予告演出手段と、を含むことができる。さらにまた、現在実行中の図柄変動表示ゲームの結果が「大当り(小当りを含んでいても良い)」であることを条件に、その旨を報知する予告演出(OF入賞時変動中予告演出)を現出可能に構成しても良い。この場合、演出制御部24は、OF保留加算コマンドを受信した場合、現在の図柄変動に係るゲーム結果が「大当り(小当りを含んでも良い)」の可能性がある旨を報知する(所定の報知抽選により報知するか否かを決定しても良い)変動中予告演出手段を含むことができる。斯様な予告演出は、オーバーフロー入賞の発生を契機に現出される入賞演出に準ずるものであるが、未だ最終結果が導出されていない図柄変動表示ゲームの結果を先読み的に報知するという点で、先読み予告演出と同じ役割を果たす。
(8−3.特別図柄変動開始処理:図15)
次に、特別図柄変動開始処理(ステップS305)について説明する。図15は、図9の特別図柄変動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図15において、CPU201は、まず特図2作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS401)、特図2作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS401:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした変動開始時の処理(ステップS403〜S416)を行う。一方、特図2作動保留球数がゼロの場合には(ステップS401:YES)、続いて特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS402)、特図1作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS402:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403〜S416)を行う。このステップS401とS402の処理により、特図1作動保留球と特図2作動保留球のどちらを優先的に変動表示動作に供するか(作動保留球を消化していくか)の「優先変動順位」が定まる。ステップS401とS402の処理は、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球を優先的に消化させる「優先変動手段」として機能する。
本実施形態では、上記優先変動手段により、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球が優先的に消化される、つまり特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の方が優先的に実行されるようになっている。より詳しくは、特別図柄1または特別図柄2が停止表示されたことを条件に、上記第1の保留記憶エリア(第1の保留記憶手段(特別図柄1側の作動保留球に係る保留記憶エリア))に特別図柄1に関する保留データ(第1の保留記憶:特図1作動保留球)が記憶されており上記第2の保留記憶エリア(第2の保留記憶手段(特別図柄2側の作動保留球に係る保留記憶エリア))に特別図柄2に関する第2の保留データ(第2の保留記憶:特図2作動保留球)が記憶されていない場合には、当該第1の保留データのうちの最も先に記憶された保留データに基づく第1の特別図柄の変動表示を開始させる一方、当該第2の保留記憶エリアに当該第2の保留データが記憶されている場合には、その第1の保留記憶エリアに上記第1の保留データが記憶されているか否かにかかわらず、当該第2の保留データのうち最も先に記憶された保留データに基づく当該第2の特別図柄の変動表示を開始させるようになっている。
なお特図2作動保留球数と特図1作動保留球数の双方の作動保留球数がゼロである場合(ステップS401:YES、かつステップS402:YES)、この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中でかつ保留記憶なしの状態となった場合であり、この状態に突入したことを演出制御部24側に知らせる。そこで、「作動保留球なし」になった場合は、ステップS417に進み、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに00Hを格納:ステップS418)、演出制御コマンドとして、デモ画面を表示させるための「デモ表示コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS419)。演出制御部24は、このデモ表示コマンドを受けてから所定時間経過しても図柄変動表示ゲームに係る演出制御コマンド(たとえば、保留加算コマンド)を受けない場合、変動表示動作が一定時間行われない状態(客待ち待機状態)が発生したとみなし、液晶表示装置36において、遊技待機状態中を報知する「デモ画面表示」を行うこととしている。
特図1作動保留球数または特図2作動保留球数がゼロでない場合は(ステップS401:NOまたはS402:NO)、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403〜S417)を行っていく。なお、以下に説明するステップS403〜S417の処理については、上記のステップS401の判定で‘NO’であった場合は特図2作動保留球を対象とした処理、上記のステップS402の判定で‘NO’であった場合は特図1作動保留球を対象とした処理となるが、処理の仕方は同じであるため、重複記載を避けるために特に必要が無い限り、特別図柄1側の作動保留球を対象とした処理なのか、特別図柄2側の作動保留球を対象とする処理なのかという区別せずに説明していく。
ステップS403に進むと、作動保留球数を1減算し(今回の変動表示動作に供する特別図柄側に係る作動保留球数−1:ステップS403)、減算後の作動保留球数情報が含む「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS404)。
次いで、特別図柄作動確認データを格納する(ステップS405)。この特別図柄作動確認データは、今回の変動開始側の特別図柄種別を指定する情報であり、たとえば、特別図柄1が変動開始側であるならば「00H」を、特別図柄2が変動開始側であるならば「01H」を特別図柄作動確認データに格納する。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトして(ステップS406)、保留4記憶エリアをゼロクリアする(ステップS407)。このステップS406〜S407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データ(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数1、および変動パターン用乱数2)を読み出し、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリア(保留2記憶エリア、保留3記憶エリア、保留4記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ‘n−1’に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS406)、保留4記憶エリアをクリアする(ステップS407)。つまり、保留1記憶エリアの保留データを判定用乱数記憶エリアにシフトするとともに、保留2記憶エリア以降の保留データを1つずつ下位側の番号(保留2記憶エリア→保留1記憶エリア、保留3記憶エリア→保留2記憶エリア、保留4記憶エリア→保留3記憶エリア)にそれぞれシフトして上書きし、保留4記憶エリアに空き領域を設ける(新たな作動保留球が発生しない場合は、ステップS407の処理を行うごとに空き領域が順次シフトされていくので、全作動保留球消化時には、全保留記憶エリアが空き領域となる)。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球がいずれの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能になる。
次いで、残り時短回数コマンド送信処理を行う(ステップS408)。ここでは、後述の特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短状態が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタ)がゼロであるか否かを判定し、残りの時短回数がある場合は、その残り時短回数情報を含む「残り時短回数コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS408)。この「残り時短回数コマンド」は、演出制御部24側において、残りの時短回数情報を報知する際に利用される。
次いで、特別電役物作動判定用乱数判定処理を行う(ステップS409)。この特別電役物作動判定用乱数判定処理では、大当り判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「当落抽選」を行う。なお特別電役物作動判定用乱数判定処理は、「当落抽選」を行うといった点において‘先読み判定’処理の一つである「乱数判定処理(図10のステップS319、図11のステップS339、その詳細を示す図12参照)」と同じような働きをする処理であるが、ここでは、‘先読み判定’における「当落抽選」とは異なり、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした‘変動開始時の判定’における「当落抽選」である。この特別電役物作動判定用乱数判定処理の詳細は図16にて後述する。
ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄作成処理を行う(ステップS410)。この特別停止図柄作成処理では、ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理の当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を行う。なお、特別停止図柄作成処理は、「図柄抽選」を行うといった点において‘先読み判定’処理の一つである「特別停止図柄データ作成処理(図10のステップS322、図11のステップS339、その詳細を示す図13参照)」と同じような働きをする処理であるが、ここでは‘先読み判定’における「図柄抽選」とは異なり、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした‘変動開始時の判定’における「図柄抽選」である。この特別図柄停止図柄作成処理の詳細は図17にて後述する。
ステップS410の特別停止図柄作成処理を終えると、次いで、遊技状態移行準備処理を行う(ステップS411)。この遊技状態移行準備処理では、遊技状態を移行させるための設定として、大当り遊技後の遊技状態を指定するために必要な設定処理を行う。ここで設定されたデータに基づき、大当り遊技後の遊技状態が特定される。なお、この遊技状態移行準備処理の詳細は図18にて後述する。
ステップS411の遊技状態移行準備処理を終えると、次いで、特別図柄変動パターン作成処理を行う(ステップS412)。この特別図柄変動パターン作成処理では、特別電役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果、特別停止図柄作成処理の図柄抽選結果、変動パターン用乱数1、および変動パターン用乱数2を利用し、今回の変動表示動作に供されることとなる特別図柄の変動パターンを決定するとともに、演出制御コマンドとして、その変動パターンに対応する変動パターン指定コマンドを作成する。なお、特別図柄変動パターン作成処理は、特別図柄の変動パターンを決定するといった点において‘先読み判定’処理の一つである始動口入賞時乱数判定処理および保留加算コマンドに関する作成処理(図10のステップS323〜S325、図11のステップS343〜S345、図14参照)と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした特別図柄の変動パターン(変動開始時の変動パターン)が決定される。この特別図柄変動パターン作成処理の詳細は図19にて後述する。
次いで、変動表示中である旨を指定する特別図柄N変動中フラグ(N=1、2)に5AH(ON状態)を格納する(ステップS413)。上記「特別図柄N変動中フラグ」とは特別図柄1、2のどちらの特別図柄が変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄が停止中である旨を示す。なお、特別図柄1変動中フラグ(N=1)は特別図柄1側に対応し、特別図柄2変動中フラグ(N=2)は特別図柄2側に対応する。
次いで、ステップS410の特別停止図柄作成処理で得られた図柄抽選結果に基づき、装飾図柄指定コマンドを作成し(ステップS414)、演出制御部24に送信する(ステップS415)。装飾図柄指定コマンドは、変動側の特別図柄種別を指定する上位バイト(MODE)と、大当り種別、小当り、ハズレの別を指定する下位バイト(EVNET)の2バイトで構成される。したがって、この装飾図柄指定コマンドには、変動側の特別図柄種別と当選種別情報の一部とが含まれる。具体的には、上位バイト(MODE)側は、変動側の特別図柄が特別図柄1の場合は「BBH」、特別図柄2の場合は「BCH」となっており、下位バイト(EVENT)側は、ハズレの場合は種別に関係なく「01H」、小当りの場合は種別も種別に関係なく「05H」、大当りの場合は、2R短開放潜確大当りが「02H」、10R長開放確変大当りが「03H」、15R長開放確変大当りが「04H」が選択されるようになっている。この装飾図柄指定コマンドは、演出制御部24側において、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せを決定する際に利用される。
そして、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS416)。
以上により、この特別図柄変動開始処理を抜けると、図9の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、かくして特別図柄の変動表示が開始されることになる。これにより、特別図柄管理処理(ステップS059)を抜けて、図8の特別電動役物管理処理(ステップS060)に進む。
(8−3−1.特別電役物作動判定用乱数判定処理(変動開始時当落判定処理):図16)
次に、上記の特別電役物作動判定用乱数判定処理(ステップS409)について説明する。図16は、図15の特別電役物作動判定用乱数判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図16において、CPU201は、まず特別図柄作動確認データに基づき、特図1用当り乱数判定テーブル(図29(イ)参照)か、または特図2用当り乱数判定テーブル(図29(ロ)参照)を取得し(ステップS421)、判定用乱数記憶エリアに格納された大当り判定用乱数値を取得する(ステップS422)。
次いで、乱数判定処理を行う(ステップS423:変動開始時処理の乱数判定処理)。ここでは、ステップS421の処理で取得した当り乱数判定テーブルを参照して、大当り判定用乱数値と現在の大当り抽選確率状態とに基づき、大当り判定フラグと小当り判定フラグとを取得する。そして、取得した大当り判定フラグの状態と小当り判定フラグの状態をレジスタ(AレジスタとDレジスタ)に取り込んだまま、この乱数判定処理を抜ける。
つまり、このステップS423の乱数判定処理は、「入賞時処理における乱数判定処理(特図1始動口チェック処理の乱数判定処理(図10のステップS319)、特図2始動口チェック処理の乱数判定処理(図11のステップS339))」と同じ処理の仕方となっている。すなわち、両者は共通の処理モジュールとして構成されており、その結果、同じプログラム構成を利用することができるようになっている。このように、入賞時処理の乱数判定処理と変動開始時処理の乱数判定処理とを共通の処理モジュールとして利用可能に構成することで、それぞれ別個独立した処理を設けた場合(別個独立したプログラムで記述する)よりもプログラム量やメモリ量の削減することができ、制御負担を軽減することができるようになっている。
特に本実施形態のような、先読み予告演出を発生させて遊技性を高めるといった「先読み機能付き遊技機」においては、先読み判定に係る処理が増えることに起因して、プログラム量を勢い増加せざるを得ない状況が発生し得る。しかしながら、パチンコ店に設置するような遊技機、具体的には、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律による7号営業を対象とした遊技機においては、同法律おける遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則により、遊技動作全般の制御を司る主基板(本実施形態では、主制御部20が該当する)に装着されるROMのプログラム容量が制限されているため(同規則別表第3 不正な改造その他の変更を防止するための遊技機の構造に係る技術上の規格(第6条関係))、プログラム容量の削減は重要な意義を有する。
ステップS423の乱数判定処理を抜けると、各レジスタに保持された大当り判定フラグと小当り判定フラグとを、RAM203の当り判定フラグ領域に格納する(ステップS424)。なおステップS423の乱数判定処理により得られたデータを、RAM203に格納する理由は次の通りである。特別電役物作動判定用乱数判定処理の乱数判定処理において得られたデータ(大当り判定フラグ、小当り判定フラグ)は、直ちに利用されてその後に不必要となるといったデータではなく、後々の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS412)や、特別電動役物処理(ステップS060)において必要となるデータだからである。上記ステップS424の処理を終えると、特別電役物作動判定用乱数判定処理を抜けて、図15の特別停止図柄作成処理(ステップS410)に進む。
(8−3−2.特別停止図柄作成処理(変動開始時特別停止図柄判定処理):図17)
次に、上記の特別停止図柄作成処理(ステップS410)について説明する。図17は、図15の特別停止図柄作成処理の詳細を示すフローチャートである
図17において、CPU201は、まず特別図柄作動確認データに基づき、特図1用図柄テーブル選択テーブル(図30(イ)参照)か、または特図2用図柄テーブル選択テーブル(図30(ロ)参照)を取得する(ステップS425)。
次いで、判定用乱数記憶エリアに格納された特別図柄判定用乱数値を取得し(ステップS426)、ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果、つまり大当り判定フラグと小当り判定フラグとを取得する(ステップS427)。
次いで、特別停止図柄データ作成処理を行う(ステップS428:変動開始時処理の特別停止図柄データ作成処理)。この特別停止図柄データ作成処理では、ステップS425で取得した図柄テーブル選択テーブルを参照して、特別電役物作動判定用乱数判定処理の当落抽選結果に応じた図柄テーブル(図31〜図33参照)を取得し、その図柄テーブルを参照して、ステップS426で取得した特別図柄判定用乱数値に応じた特別図柄判定データ、特別停止図柄番号、および変動パターン選択用オフセット値を取得する。そして、取得した特別図柄判定データ、特別停止図柄番号、および変動パターン選択用オフセットをレジスタ(Aレジスタ、Bレジスタ、およびCレジスタ)に取り込んだ状態で、この特別停止図柄データ作成処理を抜ける。
ステップS428の特別停止図柄データ作成処理は、「入賞時処理における特別停止図柄データ作成処理(特図1始動口チェック処理の特別停止図柄データ作成処理(図10のステップS322)、特図2始動口チェック処理の特別停止図柄データ作成処理(図11のステップS342))」と同じ処理内容となっている。すなわち、両者は共通の処理モジュールとして構成されており、その結果、同じプログラム構成を利用することができるようになっている。このように、入賞時処理の特別停止図柄データ作成処理と変動開始時処理の特別停止図柄データ作成処理とを共通の処理モジュールとして利用可能に構成することで、それぞれ別個独立した処理を設ける(別個独立したプログラムで記述する)よりもプログラム量やメモリ量の削減に寄与することができる。本実施形態では、ステップS423の乱数判定処理に加え、ステップS428の特別停止図柄データ作成処理をも、入賞時処理のものと共通の処理モジュールとして利用可能に構成されているので、さらなるプログラム量やメモリ量の削減に寄与し、制御負担を軽減することができるようになっている。
ステップS428の特別停止図柄データ作成処理を抜けると、各レジスタに保持された、特別図柄判定データ、特別停止図柄番号、および変動パターン選択用オフセットを、RAM203の所定領域に格納する(ステップS429)。なおRAM203には、これらのデータを記憶するための専用の記憶領域(特別図柄判定データ記憶領域、特別図柄停止図柄番号記憶領域、変動パターン選択用オフセット用記憶領域)が設けられている。
ここで、ステップS428の特別停止図柄データ作成処理により得られたデータを、RAM203に格納する理由は次の通りである。特別停止図柄作成処理の特別停止図柄データ作成処理において得られたデータ(特別図柄判定データ、特別停止図柄番号、および変動パターン選択用オフセット)は、ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理で得られたデータと同じく、直ちに利用されてその後に不必要となるといったデータではなく、後々の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS412)や、特別電動役物処理(ステップS060)において必要となるデータだからである。上記ステップS429の処理を終えると、特別停止図柄作成処理を抜けて、図15の遊技状態移行準備処理(ステップS411)に進む。
(8−3−3.遊技状態移行準備処理:図18)
次に、上記の遊技状態移行準備処理(ステップS411)について説明する。図18は、図15の遊技状態移行準備処理の詳細を示すフローチャートである。
図18において、CPU201は、まず大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS431)。大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS431:≠5AH)、何もしないで遊技状態移行準備処理を抜ける。
大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS431:=5AH)、大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを取得する(ステップS432)。
次いで、取得した遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、遊技状態判定番号(YJ)と大当り種別(特別図柄判定データ)とに応じた大当り用遊技状態移行テーブルを取得する(ステップS433)。
(T−8.大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル:図39)
図39に、大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを示す。本実施形態の大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルには、遊技状態判定番号(YJ)と特別図柄判定データとに関連付けられた複数種類の遊技状態移行テーブル(「JTTBL−B1」、「JTTBL−B2」:後述の図40参照)が定められている。具体的には、遊技状態判定番号(YJ)と特別図柄判定データとに基づき、複数種類の大当り用遊技状態移行テーブルのうちからいずれか一つの大当り用遊技状態移行テーブルが決定されるようになっている。
ここで「遊技状態判定番号(YJ)」とは、内部遊技状態を識別するためのデータである。図49の変動パターン振分指定番号表を参照して説明すれば、遊技状態判定番号(YJ)が「00H」の場合は「通常遊技状態(電サポ無し状態、低確)」を、「01H」の場合は「潜確状態(電サポ無し状態、高確)」を、「02H」の場合は「確変状態(電サポ有り状態、高確)」をそれぞれ示す。したがって、遊技状態判定番号(YJ)は上記のような内部遊技状態を識別する点で、変動パターン振分指定番号(Tcode)のように遊技状態そのものを識別するデータとは異なる。
(T−9.大当り用遊技状態移行テーブル:図40)
図40に、上述の大当り用遊技状態移行テーブルを示す。本実施形態の大当り用遊技状態移行テーブルには、「JTTBL−1」と「JTTBL−2」とが含まれる。これら大当り用遊技状態移行テーブルには、大当り遊技後に移行すべき遊技状態(本実施形態では、内部遊技状態)を指定するための複数種類データ群が定められている。具体的には、普電役物開放延長移行状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、普通図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特別図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短回数カウンタバッファ、特別図柄確変回数カウンタバッファ、変動パターン振分指定番号バッファ、および特別図柄変動回数カウンタバッファに格納するための各種のデータが定められている。これらのバッファに格納された値は、必要なタイミングで読み出され、RAM203に設けられた所定のフラグ記憶領域や所定のカウンタ記憶領域に設定される。この各バッファに各遊技状態移行テーブルにより指定される各種データが格納されると、大当り遊技終了後の遊技状態が定まることになる。なお本実施形態の「JTTBL−B1」は‘確変状態’に、「JTTBL−B2」は‘潜確状態’に移行させるための遊技状態移行テーブルである。以下に、上述の各種バッファの役割について説明する。
(普電役物開放延長移行状態バッファ)
「普電役物開放延長移行状態バッファ」は、普電役物開放延長状態フラグの設定を行うために利用される。「普電役物開放延長状態フラグ」とは、開放延長機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には開放延長機能作動中の「電サポ有り状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には開放延長機能非作動の「電サポ無し状態」である旨を示す。
(普通図柄時短移行状態バッファ)
「普通図柄時短移行状態バッファ」は、普通図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「普通図柄時短状態フラグ」とは、普通図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄時短機能作動中の「普通図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄短機能非作動の「普通図柄非時短状態」である旨を示す。
(普通図柄確変移行状態バッファ)
「普通図柄確変移行状態バッファ」は、普通図柄確変状態フラグの設定を行うために利用される。「普通図柄確変状態フラグ」とは、補助当り抽選確率状態、つまり普通図柄確変機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄確変機能作動中の「補助当り確変状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄確変機能非作動の「補助当り低確率状態」である旨を示す。
(特別図柄時短状態移行状態バッファ)
「特別図柄時短状態移行状態バッファ」は、特別図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「特別図柄時短状態フラグ」とは、特別図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄時短機能作動中の「特別図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄時短機能非作動の「特別図柄非時短状態」である旨を示す。
(特別図柄確変移行状態バッファ)
「特別図柄確変移行状態バッファ」は、特別図柄確変状態フラグの設定を行うために利用される。「特別図柄確変状態フラグ」とは、特別図柄確変機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄確変機能作動中の「高確率状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄確変機能非作動の「低確率状態」である旨を示す。
(特別図柄時短回数カウンタバッファ)
「特別図柄時短回数カウンタバッファ」は、特別図柄時短回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄時短回数カウンタ」とは、特別図柄の変動回数(特別変動表示ゲームの実行回数)により「特別図柄時短機能」の作動が終了するまでの残り回数、つまり「特別図柄時短状態」が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタである。を計数するためのカウンタである。なお本実施形態では、特別図柄時短状態の終了に伴い、電サポ有り状態である高ベース遊技状態も終了されるようになっている(図21BのステップS481参照)。
(特別図柄確変回数カウンタバッファ)
「特別図柄確変回数カウンタバッファ」は、特別図柄確変回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄確変回数カウンタ」とは、特別図柄の変動回数(特別変動表示ゲームの実行回数)により「特別図柄確変機能」の作動が終了するまでの残り回数、つまり「高確率状態」が終了するまでの残り回数(残りST回数)を計数するためのカウンタである。
(変動パターン振分指定番号バッファ)
「変動パターン振分指定番号バッファ」は、変動パターン振分指定番号(Tcode)の設定を行うために利用される。この変動パターン振分指定番号(Tcode)は、RAM203の変動パターン振分指定番号格納領域に設定される。
(特別図柄変動回数カウンタバッファ)
「特別図柄変動回数カウンタバッファ」は、特別図柄変動回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄変動回数カウンタ」とは、遊技状態移行条件となる特別図柄の変動回数(以下、「遊技状態移行規定回数」と称する)を計数するためのカウンタである。本実施形態では、たとえば、「小当りC」や「2R短開放潜伏確変大当り」に当選した場合、「通常C」から「通常A」の遊技状態移行条件として、遊技状態移行規定回数の30回が設定される。
再び図18の説明に戻り、CPU201は、ステップS433の処理に次いで、状態バッファ設定処理を行う(ステップS434)。この状態バッファ設定処理では、ステップS433の処理で取得した遊技状態移行テーブルを参照して、普電役物開放延長移行状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、普通図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特別図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短回数カウンタバッファ、特別図柄確変回数カウンタバッファ、変動パターン振分指定番号バッファ、および特別図柄変動回数カウンタバッファの各バッファに、当該遊技状態移行テーブルに定められたデータを格納する。これらバッファに格納された値は、後述する図22の大当り終了処理中のステップS509の処理で読み出され、RAM203の所定の記憶領域(各々のバッファに対応したフラグ記憶領域やカウンタ記憶領域)に格納される。これにより、遊技状態移行準備処理を抜けて、図15の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS412)に進む。
(8−3−4.特別図柄変動パターン作成処理(変動開始時の変動パターン作成処理):図19)
次に、上記の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS412)について説明する。図19は、図15の特別図柄変動パターン作成処理の詳細を示すフローチャートである。
この特別図柄変動パターン作成処理では、特別図柄の変動パターン(変動開始時の変動パターン)を決定するための変動パターン指定コマンドを決定および作成する処理(ステップS441〜S449)と、変動パターン指定コマンドを演出制御部24に送信する処理(ステップS450)とを中心に構成されている。
特別図柄の変動パターンを指定するための変動パターン指定コマンドを決定する処理には、
(A)変動パターン振分テーブル選択テーブル(図42参照)を参照し、変動パターン選択用オフセット値と変動パターン振分指定番号(Tcode)とに応じた変動パターン振分テーブル第1階層(図43、図44参照)を決定する「変動パターン振分テーブル第1階層決定処理(ステップS441〜S443)」と、
(B)上記変動パターン振分テーブル第1階層を参照して、変動パターン用乱数1に応じた変動開始コマンドデータ1(変動パターン指定コマンドの上位バイト側(MODE)のデータ)と、変動パターン振分テーブル第2階層とを決定する「変動パターン振分テーブル第2階層決定処理(ステップS444〜S445)」と、
(C)上記変動パターン振分テーブル第2階層を参照して、変動パターン用乱数2に応じた変動開始コマンドデータ2(変動パターン指定コマンドの下位バイト側(EVENT)のデータ)と、変動時間テーブル(図示せず)とを決定する「変動パターン決定処理(ステップS446〜S447)」と、
(D)上記変動時間テーブルを参照し、特別図柄の変動時間を決定する「特別図柄変動時間設定処理(ステップS448)と、
(E)上記変動開始コマンドデータ1と上記変動開始コマンドデータ2とに基づき、変動パターン指定コマンドを作成する「変動パターン指定コマンド作成処理(ステップS449)」と、が含まれる。
なお詳細は追って説明するが、上記「変動パターン振分テーブル選択テーブル」とは、「変動パターン振分テーブル第1階層」を決定する際に利用されるデータである。また上記「変動パターン振分テーブル第1階層」とは、変動開始コマンドデータ1と変動パターン振分テーブル第2階層とを決定する際に利用されるデータである。また上記「変動パターン振分テーブル第2階層」とは、変動開始コマンドデータ2と変動時間テーブルとを決定する際に利用されるデータである。さらにまた「変動時間テーブル」とは、特別図柄の変動時間(変動表示動作時間)を決定する際に利用されるデータである。
また上記「変動開始コマンドデータ1」とは、特別図柄の変動パターン(変動開始時の変動パターン)の骨子(ベース)となる「基本パターン(当り、ハズレの当否を含む)」を指定するものであり、変動パターン指定コマンドの上位バイト側(MODE)のデータである。また上記「変動開始コマンドデータ2」とは、上述の基本パターンの具体的内容である「詳細パターン」を指定するためのものであり、変動パターン指定コマンドの下位バイト側(EVENT)のデータである。したがって変動開始時の変動パターンを指定する上記「変動パターン指定コマンド」は、「変動開始コマンドデータ1(MODE)」と「変動開始コマンドデータ2(EVENT)」とからなる2バイトの制御データで構成される。この変動パターン指定コマンドが演出制御部24に送信されると、演出制御部24側は、変動開始時の変動パターン(特別図柄の変動パターン)を把握する。ここで、上述の「基本パターン」とは、複数種類の変動パターンをその変動態様の特徴に着目して、同じ系統の変動パターンを纏めてグループ化した‘変動パターン種別’(たとえば、「弱SPリーチA」種別や「弱SPリーチB」種別など)を指し、「詳細パターン」とは、その基本パターン(変動パターン種別)に含まれる‘変動パターンの種類’(たとえば、「弱SPリーチA1〜A3」や、「弱SPリーチB1〜B3」などの個々の変動パターン)を指す。なお本実施形態の「変動開始コマンドデータ1(MODE)」は、たとえばハズレの場合、変動パターン種別にかかわらず同じ値「A0H」となっているが(図44参照)、実際には、「変動開始コマンドデータ2(EVENT)」との組合せにより、当り、ハズレの別と変動パターン種が特定されるようになっている。つまり「変動開始コマンドデータ1(MODE)」は、基本パターンを特定しうるデータとしての役割も持たせても良いし、本実施形態のように、特定の大当り(2R短開放潜伏確変大当りまたは小当り)の場合は「A1H」、他の大当りの場合は「A2H」、ハズレの場合は「A0H」のように、当り、ハズレの別を特定しうるデータとしての役割を持たせても良い。
ここで本発明の理解を容易なものとするために、本実施形態における変動開始時の変動パターンの決定手順の概要を説明しておく。CPU201は、「変動パターン振分テーブル選択テーブル」により「変動パターン振分テーブル第1階層」を決定した後、その「変動パターン振分テーブル第1階層」を参照し、変動パターン用乱数値1に用いた抽選処理により‘変動パターン種別(基本パターン)’を決定する(ステップS441〜S445)。このとき、‘変動パターンの種類(詳細パターン)’を決定するための「変動パターン振分テーブル第2階層」も決定する。次いで上記「変動パターン振分テーブル第2階層」を参照し、変動パターン用乱数値2を用いた抽選処理により、変動パターン種別に含まれる‘変動パターンの種類’を決定する(ステップS446〜S447)。つまり本実施形態では、第1階層、第2階層といった階層構造を有して第1階層から順番に実行される階層的な処理を利用し、複数種類の変動パターン用乱数値を順次判定していくことにより、目的とする変動開始時の変動パターンが決定されるようになっている。
なお本実施形態では、第1階層において「変動パターン種別」が決定され、第2階層において、その具体的内容である「変動パターンの種類」が決定されるといった「二階層的な処理」を示したが、変動パターン用乱数がn(2≦n)個分取得される場合には、n階層的な処理を実行するといった構成も可能である。たとえば、変動パターン用乱数1〜3の3種類の乱数が取得されるような場合、第1階層においては、本実施形態の変動パターン種別よりもさらに上位的な変動パターン種別(たとえば、「弱SPリーチA」種別と「弱SPリーチB」種別とを同系統の変動パターン種別として纏めた‘弱SPリーチ’種別や、「強SPリーチA」種別と「強SPリーチB」種別とを同系統の変動パターン種別として纏めた‘強SPリーチ’種別などが該当する)を決定し、第2階層においては、その上位的な変動パターン種別に含まれる変動パターン種別(たとえば、「弱SPリーチ」種別であれば「弱SPリーチA」種別と「弱SPリーチB」種別)を決定し、第3階層において、第2階層で決定された変動パターン種別に含まれる‘変動パターンの種類’を決定するといった「三階層的な処理」を採用することができる。このような階層的な処理は、変動パターンの種類を豊富なものとする場合、1種類の変動パターン用乱数だけで決定すると処理が複雑化してしまう場合に有効な処理である。また先読み判定において変動開始時の変動パターンを予測する場合、本実施形態のように、同じ変動パターン用乱数(変動パターン用乱数値1)を用いて変動パターン種別の概要を判断することができる点においても有効である。
このようにして決定された変動パターンに関する情報は、その内容を特定可能とする、「変動パターン指定コマンド」により、主制御部20側から演出制御部24側へと送信される。演出制御部24側では、この変動パターン指定コマンドの内容に基づき、今回の図柄変動表示ゲーム中に展開する主要な演出シナリオが決定されることになる。以下に、上記(A)〜(E)の処理の仕方について、具体的に説明していく。
(A)変動パターン振分テーブル第1階層決定処理(ステップS441〜S443)
図19において、CPU201は、まずステップS410の特別停止図柄作成処理で得られた変動パターン選択用オフセット値を補正する(ステップS441:変動開始時変動パターン選択用オフセット補正処理)。ここでは、後述の変動パターン振分テーブル選択テーブル(図42)から、変動パターン振分テーブル第1階層(図43、図44)を選択するためのデータとして、上記特別停止図柄作成処理で得られた変動パターン選択用オフセット値に対して所定の補正処理を行い、新たな変動パターン選択用オフセット値を取得する処理を行う。
なお、既に説明したように、図41(イ)に示すステップS441の補正処理前の変動パターン選択用オフセット値(変動開始時補正前オフセット値)は、図34(イ)に示す入賞時処理において得られる変動パターン選択用オフセット値(入賞時補正前オフセット値)と同じ値をとるが、変動開始時の変動パターンを定める際には、これを作動保留球数に応じた変動パターン選択用オフセット値に補正する必要がある。この補正に係る処理がステップS411の変動開始時変動パターン選択用オフセット補正処理となっている。
図41を参照しながら、ステップS441の変動開始時変動パターン選択用オフセット補正処理について説明する。図41は、ステップS441の「変動開始時変動パターン選択用オフセット補正処理」の説明に供する図であり、同図(イ)に、特別停止図柄作成処理(図15のステップS410)で得られた変動パターン選択用オフセット値(以下、「変動開始時補正前オフセット値」と称する)とその内容の一覧を、同図(ロ)に補正処理後の変動パターン選択用オフセット値(以下、「変動開始時補正後オフセット値」と称する)とその内容の一覧を示す。
図41(イ)において、たとえば、変動開始時補正前オフセット値が「00H」の場合、特図1作動保留球を対象とした変動開始時の当落抽選(図15のステップS409)と図柄抽選(図15のステップS410)とに基づく判定結果が「ハズレA」で、変動開始時の特図1作動保留球数が「0個」を示す(図中、「保留0」〜「保留4」は変動開始時の作動保留球数を示す)。またたとえば、入賞時補正前オフセット値が「04H」の場合、特図2作動保留球を対象とした変動開始時の当落抽選と図柄抽選に基づく判定結果が「ハズレA」で、変動開始時の特図2作動保留球数が「0個」を示し、その他、上記特別停止図柄作成処理で得られた変動パターン選択用オフセット値とその内容が示してある(図31〜図33示した図柄テーブルの「オフセット値」の欄参照)。
ここで上記入賞時補正前オフセット値(図34(イ)参照)と、上記変動開始時補正前オフセット値(図41(イ)参照)とは、共通のオフセット値となっているが、ここでは、‘作動保留球数に応じた変動パターン選択用オフセット値に補正する処理’を行う。具体的には、上記変動開始時補正前オフセット値「00H」または「04H」に現在の作動保留球数を加算することで、空き番であるオフセット値01H〜03H、05H〜07Hが作動保留球数を応じたオフセット値に補正される。
詳しくは、ステップS441の補正処理では、特別図柄作動確認データを確認し、今回の変動開始側の特別図柄種別が特別図柄1の場合は、変動開始時補正前オフセット値「00H」に現在の特図1作動保留球数を加算し、今回の変動開始側の特別図柄種別が特別図柄2の場合は、変動開始時補正前オフセット値「04H」に現在の特図2作動保留球数を加算する(ステップS441)。ただし、加算対象となる「現在の作動保留球数」とは、今回の変動表示動作に供される作動保留球が消化されることを前提とした作動保留球数であり、具体的には、図15のステップS403の減算処理で得られる作動保留球数である。
この補正処理で得られた変動パターン選択用オフセット値(変動開始時補正後オフセット値)とその内容は、図41(ロ)のようになる。本実施形態では、このオフセット値を利用し、変動パターン振分テーブル選択テーブルから目的とする「変動パターン振分テーブル第1階層」を選択するようになっている(ステップS441〜S443)。
ステップS441の補正処理を終えると、変動パターン振分テーブル選択テーブルを取得し(ステップS442)、その変動パターン振分テーブル選択テーブルを参照して、ステップS441で補正した変動パターン選択用オフセット値と変動パターン振分指定番号(Tcode)とに応じた、変動パターン振分テーブル第1階層を取得する(ステップS443)。
(T−10.変動パターン振分テーブル選択テーブル:図42)
図42に、変動パターン振分テーブル選択テーブルを示す。本実施形態の変動パターン振分テーブル選択テーブルには、変動パターン選択用オフセットと変動パターン振分指定番号(Tcode)とに関連付けられた複数種類の変動パターン振分テーブル第1階層が定められている。具体的には、変動パターン選択用オフセット値と変動パターン振分指定番号(Tcode)とに基づき、複数種類の変動パターン振分テーブル第1階層(H1〜H12、A1〜A6)のうちからいずれか一つの変動パターン振分テーブル第1階層が決定されるようになっている。
上記変動パターン振分テーブル選択テーブルは、図35の入賞コマンド振分テーブル選択テーブルと基本的な構成は同じである。すなわち、上記入賞コマンド振分テーブル選択テーブルには、変動パターン選択用オフセット値と変動パターン振分指定番号(Tcode)とに応じた変動パターン振分テーブル第1階層のアドレス値が記憶されており、メモリ容量の削減やプログラムを簡潔にするべく、変動パターン選択用オフセット値に対応するように連続したアドレスを利用したデータ構成となっている。変動パターン振分テーブル第1階層の選択は、まず変動パターン振分指定番号(Tcode)に対応した変動パターン振分テーブル選択テーブルを選択して、変動パターン選択用オフセット値に応じた変動パターン振分テーブル第1階層を選択する。すなわち、変動パターン振分指定番号(Tcode)ごとに選択した変動パターン振分テーブル選択テーブルには変動パターン振分テーブル第1階層を規定する先頭アドレス値が記載されているが、このアドレス値に対して、ステップS441で取得された変動パターン選択用オフセット値を加算して先頭アドレス対する相対アドレスを取得し、目的の変動パターン振分テーブル第1階層のアドレス値を特定することで、変動パターン振分テーブル第1階層を選択することができるようになっている。
ここで図柄変動表示ゲーム中の予告演出のバリエーションを豊富なものとする場合、遊技状態と作動保留球数とに応じて特別図柄の変動パターンを選択することは、勿論のこと、遊技性をさらに高めるためには、一の遊技状態においては作動保留球数を考慮した特別図柄の変動パターンが選択できるようにし、他の遊技状態においては作動保留球数を考慮せずに特別図柄の変動パターンが選択できるようにする、といった変化に富む遊技性が望まれる。
そこで本実施形態では、変動パターン振分テーブル選択テーブルを次のように定めている。変動パターン振分テーブル選択テーブルのうち、変動パターン振分指定番号(Tcode)「00H」または「01H」、つまり「通常A」または「通常B」の変動パターン振分テーブル選択テーブルでは、同じ当選種別であっても作動保留球数に応じて異なる変動パターン振分テーブル第1階層が選択されるようにし(オフセット値00H〜04Hの欄を参照)、他方、変動パターン振分指定番号(Tcode)「02H」、つまり「通常C」の変動パターン振分テーブル選択テーブルでは、作動保留球数にかかわらず、同一の変動パターン振分テーブル第1階層が選択されるようしている。換言すれば、「通常A」または「通常B」の変動パターン振分テーブル選択テーブルには、作動保留球に応じたメモリ領域に異なるテーブルデータ(変動パターン振分テーブル第1階層H1〜H4)が記憶されており、「通常C」の変動パターン振分テーブル選択テーブルには、作動保留球に応じたメモリ領域に同一のテーブルデータ(変動パターン振分テーブル第1階層H9)が記憶されている。
ここで、各々の遊技状態(変動パターン振分指定番号(Tcode))ごとに対応した変動パターン振分テーブル選択テーブルに記憶されているテーブルデータの個数(変動パターン振分テーブル第1階層の個数)が異なるものである場合、各々の遊技状態に対応した変動パターン選択用オフセット値を設けなければならず、処理が煩雑になり、制御負担が増大してしまう。そこで本実施形態では、各々の遊技状態の変動パターン振分テーブル選択テーブルに記憶されているテーブルデータ数を同一とし、各遊技状態ごとに対応した変動パターン選択用オフセット値を別途定める必要を無くして、制御負担を軽減している。
(B)変動パターン振分テーブル第2階層決定処理(ステップS444〜S445)
ステップS443の処理で変動パターン振分テーブル第1階層を取得した後、CPU201は、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納されている変動パターン用乱数値1を取得し(ステップS444)、当該変動パターン振分テーブル第1階層を参照して、変動パターン用乱数値1に応じた「変動開始コマンドデータ1」と「変動パターン振分テーブル第2階層」とを取得する(ステップS445)。
(T−11.変動パターン振分テーブル第1階層:図43、図44)
図43〜図44を参照して、上記変動パターン振分テーブル第1階層について説明する。図43に当り時に選択される当り変動パターン振分テーブル第1階層を、図44にハズレ時に選択されるハズレ変動パターン振分テーブル第1階層を示す。
図示のように、当り変動パターン振分テーブル第1階層には、複数種類の当り変動パターン振分テーブル第1階層「A1〜A6」が含まれ、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層には、複数種類のハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H1〜H12が含まれる。これら変動パターン振分テーブル第1階層は、主として、変動パターン種別を決定するために利用される。
上記各変動パターン振分テーブル第1階層には、変動パターン用乱数値1と、変動開始コマンドデータ1および変動パターン振分テーブル第2階層を決定するための判定領域(判定値)とが関連付けて定められており、具体的には、変動パターン用乱数値1がいずれの判定値に属するか否かにより、上記変動開始コマンドデータ1および変動パターン振分テーブル第2階層が決定されるようになっている。なお図中では、既に説明した入賞コマンド振分テーブルと場合と同じく、判定値については省略し、選択率だけを表記している。
ここで本発明の理解を容易なものとするために、変動パターン振分テーブル第1階層と入賞コマンド振分テーブルとの関係(先読み変動パターンと基本パターンとの関係)について説明しておく。
変動開始時処理で利用される上記の当り変動パターン振分テーブル第1階層(図43)と、入賞時処理(先読み判定時)で利用される当り入賞コマンド振分テーブル(図36)とを比較すれば、「当り変動パターン振分テーブル第1階層A1〜A6」と「当り入賞コマンド振分テーブルa1〜a6」とは、同じ変動パターン用乱数値1を利用して変動パターンの内容(基本パターンの内容と先読み変動パターンの内容)が決定されるようになっており、またそれぞれのテーブルにおいて、その変動パターンを決定するための判定値が一致した形態となるように構成されている。具体的には、たとえば、代表的に、図43の当り変動パターン振分テーブル第1階層A2を参照すると、その内容は、変動パターン用乱数値1が、判定値0〜49の範囲(振分値「50」の記載欄に対応)に属する場合は「弱SPリーチA」が選択され、判定値50〜129の範囲(振分値「80」の記載欄)に属する場合は「強SPリーチA」が選択され、判定値130〜168の範囲(振分値「39」の記載欄に対応)に属する場合は「弱SPリーチB」が選択され、判定値169〜238の範囲(振分値「80」の記載欄に対応)に属する場合は「強SPリーチB」が選択されるという内容となっている。他方、図36の当り入賞コマンド振分テーブルa2を参照すると、その内容は、変動パターン用乱数値1が、判定値0〜49の範囲(上記振分値「50」の記載欄に対応)に属する場合は「弱SPリーチA」が選択され、判定値50〜129の範囲(上記振分値「80」の記載欄に対応)に属する場合は「強SPリーチA」が選択され、判定値130〜168の範囲(上記振分値「39」の記載欄に対応)に属する場合は「弱SPリーチB」が選択され、判定値169〜238の範囲(上記振分値「80」の記載欄に対応)に属する場合は「強SPリーチB」が選択されるという内容となっている(他の同様)。すなわち、一の作動保留球を対象とした先読み変動パターンと、その作動保留球が実際に変動表示動作に供された際の特別図柄の変動パターン(変動開始時の変動パターン)との間に矛盾が生じないようになっている(図35、図36の「先読み変動パターン指定内容」の欄、図42、図43の「第1階層判定内容」欄参照)。
このようにする理由は、次の通りである。演出制御に関し、入賞時(先読み判定時)においては、主制御部20から先読み変動パターン情報を含む「保留加算コマンド」を演出制御部24に送り、これを受けた演出制御部24は、その保留加算コマンドに基づき、先読み予告演出に関する演出制御を行い、他方、変動開始時においては、主制御部20から変動開始時の変動パターン情報を含む「変動パターン指定コマンド」演出制御部24に送り、これを受けた演出制御部24は、その変動パターン指定コマンドに基づいて図柄変動表示ゲーム中の予告演出に関する演出制御を行う。このような関係上、仮に、演出制御部24側が受け取る先読み変動パターンに関する情報と変動開始時の変動パターンの基本パターンに関する情報とが一致しなければ、先読み予告演出の内容と図柄変動表示ゲーム中の予告演出の内容とに矛盾が生じ、先読み予告演出を設けた意義が失われてしまうだけでなく、遊技機に対する不信感を招来し、遊技者の遊技意欲を低下させてしまうといった問題が生じるからである。このようなケースとしては、たとえば、先読み予告演出に係る保留表示が艶やかな「虹色」に変化し、大当り当選を確定的に報知する「当確の先読み予告演出」が発生したにもかかわらず、その作動保留球を対象とした図柄変動表示ゲームの結果が「ハズレ」となってしまう場合が挙げられる。このようなケースが頻発した場合、遊技機に対する不信感を招来し、遊技者の遊技意欲を低下させてしまう恐れがある。
上記理由から本実施形態では、先読み変動パターンと変動開始時の基本パターンとに密接な関連性を持たせ、演出制御部24側がこれらの演出を決定する際に、双方の内容に極力矛盾を生じさせないようにしている。
ただし、例外的な演出態様として「先読み予告演出の内容≠基本パターンの内容」となる演出態様、つまり「先読み変動パターンの内容≠変動開始時の変動パターンの内容」となる矛盾が生じ得る演出態様(矛盾演出)が含まれるように構成しても良い。たとえば、先読み予告演出に係る保留表示が大当り当選期待度が相対的に高まる「赤色」表示であるにもかかわらず、その作動保留球を対象とした図柄変動表示ゲーム中には、何ら熱い予告演出を発生させないようにしたり(あたかも通常変動パターンが選択されたが如く装う)、またその「赤色」表示が、たとえば‘SPリーチ確定’保留表示であるとした場合、その作動保留球を対象とした図柄変動表示ゲーム中に、Nリーチを出現させるようしたりする、といった演出態様が挙げられる。斯様な演出態様は、矛盾が生じたことによる不信感を遊技者に抱かさないためにも、ハズレの場合は極めて低い確率で選択され、その殆どが大当り当選の場合にしか選択されないようにしたり、大当り当選の場合に限り選択されるようにしたりすることが好ましい。このようにすれば、矛盾演出が発生した時点で、大当り当選期待度が極めて高まる、または大当り当選確定を報知する、といった一種のプレミアム的な演出として、上記矛盾演出を機能させることができる。上記のような「矛盾演出」は、一時的に遊技者を欺瞞した上で、その期待に反した結果が導出されるといった点で、遊技の面白みを高める上で有効である。
なおハズレ時においても上述した当りの場合と同様に、先読み変動パターンと変動開始時の基本パターンとに密接な関連性を持たせ、演出制御部24側がこれらの演出を決定する際に、双方の内容に矛盾を生じさせないようにしている。
詳しくは、変動開始時処理で利用されるハズレ変動パターン振分テーブル第1階層(図44)と、入賞時処理(先読み判定時)で利用されるハズレ入賞コマンド振分テーブル(図37)とを比較すると、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H1、H5〜H12において変動パターン用乱数値1に応じて決定される基本パターンの内容とその基本パターンを決定するための判定値は、ハズレ入賞コマンド振分テーブルh1〜h9において変動パターン用乱数値1に応じて決定される先読み変動パターンの内容とその先読み変動パターンを決定するための判定値と一致した形態としている。ハズレ時においても上述した当りの場合と同様に、先読み変動パターンと変動開始時の基本パターンとに密接な関連性を持たせ、演出制御部24側がこれらの演出を決定する際に、双方の内容に矛盾を生じさせないようにしている(図35、図37の「先読み変動パターン指定内容」の欄、図42、図44の「第1階層判定内容」欄参照)。なお、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H2〜H4は、ハズレ入賞コマンド振分テーブルのいずれにも対応していないものであるが、いずれも「特図1ハズレA」の場合に作動保留球数に応じて選択されるものであり、ここで選択され得る基本パターンの内容は、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H1のものと同一であって、その選択率が異なるだけである。ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H2〜H4については、ハズレ入賞コマンド振分テーブルh1における「不定(通常変動パターンまたはリーチ有り変動パターン指定)」の存在により、先読み変動パターンと変動開始時の基本パターンとに関連性を持たせ、問題が生じないようになっている。
なお本実施形態のハズレ変動パターン振分テーブル第1階層は、次のような特徴的要素を備える。ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H5、H7に着目すると、これらは、いずれも「特図1ハズレB」の場合に選択されるものであって、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H5は「通常A」、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H5は「通常B」の場合に選択されるようになっている(図42参照)。ここで、図44を参照すれば、両者は、共通する複数種類の基本パターン(弱SPリーチAまたは強SPリーチA)のうちからいずれか1つの基本パターンが選択されるようになっており、各々の選択率が異なっている。具体的には、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H5では、弱SPリーチAの方が強SPリーチAよりも選択率が相対的に高くなっており、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H7では、その逆に、強SPリーチAの方が強SPリーチAよりも選択率が相対的に高くなっている。
また、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H6、H8に着目すると、これらは、いずれも「特図1ハズレC」の場合に選択されるものであって、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H6は「通常A」、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H8は「通常B」の場合に選択されるようになっている(図42参照)。ここで、図44を参照すれば、両者は、共通する複数種類の基本パターン(弱SPリーチBまたは強SPリーチB)のうちからいずれか1つの基本パターンが選択されるようになっており、各々の選択率が異なっている。具体的には、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H6では、弱SPリーチBの方が強SPリーチBよりも選択率が相対的に高くなっており、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H8では、その逆に、強SPリーチBの方が強SPリーチBよりも選択率が相対的に高くなっている。
これは「通常B」中にハズレB、Cに当選した場合の方が、「通常A」中にハズレB、Cに当選した場合よりも、大当り当選期待度が相対的に高いリーチ演出の出現率が高まること意味し、本実施形態では、「通常A」中よりも「通常B」中の方が、大当りへの当選期待感を煽ることができる、換言すれば、「通常B」中の方が遊技者に対して大当りへの当選期待感を与える機会が相対的に増加することができるようになっている。これにより、「通常B」中の場合は、遊技者により多くの大当り当選期待感を与えることができるようになり、遊技の面白みを高めることができる。
しかし、遊技者側から見て、内部遊技状態が明らかに通常遊技状態の「通常B」中であると把握される場合がある。この場合、単に、大当りへの当選期待感が相対的に高まるリーチ演出の出現率が上昇しても、遊技者の高揚感は、あまり高まるものではないと考えられる。
そこで本実施形態では、内部遊技状態が秘匿されたまま「通常B」への移行を可能にすることで、上記の問題を解決している。たとえば、遊技状態が(I)小当りB、C当選→「通常C(通常遊技状態)」→通常Aへの移行規定変動回数到達→「通常A(通常遊技状態)」→小当りA当選→「通常B(通常遊技状態)」と遷移する場合と、(II)2R短開放潜確変大当り当選→「通常C(潜確状態)」→通常Aへの移行規定変動回数到達→「通常A(潜確状態)」→小当りA当選→「通常B(潜確状態)」と遷移する場合とを代表例にとって説明する。
上記(I)の小当りB、Cに当選したルートを経て「通常B(通常遊技状態)」に移行した場合であっても、上記(II)の2R短開放潜確変大当りに当選したルートを経て「通常B(潜確状態)」に移行した場合であっても、遊技者は、現在の遊技状態が「通常B」であることは把握し得るが、本実施形態では、小当り遊技の挙動と2R潜確変大当り遊技の挙動との関係や、「通常C」への移行制御の存在などにより内部遊技状態が秘匿されることから、現在の内部遊技状態までは正確に把握することができない。その結果、内部遊技状態が明らかに通常遊技状態の「通常B」中であると把握される場合よりも、上記(I)(II)に示したような内部遊技状態が不明な「通常B」中となった場合において大当り当選期待度が高いリーチ演出が出現した場合の方が、「現在、潜確状態かもしれないから、このリーチで大当りするかも知れない」という期待感が高まる。内部遊技状態が秘匿されている場合、大当り当選期待度が高いリーチ演出の出現率を上昇させて大当りへの当選期待感を与える機会を増加させた遊技状態を設けることは、遊技の面白みを高める上で、重要な意義を持つ。
(C)変動パターン決定処理(ステップS446〜S447)
次に、上記変動パターン決定処理(ステップS446〜S447)について説明する。ステップS445の処理で変動開始コマンドデータ1と変動パターン振分テーブル第2階層を取得した後、CPU201は、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納されている変動パターン用乱数値2を取得し(ステップS446)、上記の変動パターン振分テーブル第2階層を参照して、変動パターン用乱数値2に応じた「変動開始コマンドデータ2」と「変動時間テーブル」とを取得する(ステップS447)。
(T−12.変動パターン振分テーブル第2階層:図45、図46)
図45および図46を参照して、上記変動パターン振分テーブル第2階層について説明する。図45に当り変動パターン振分テーブル第1階層により選択される「当り変動パターン振分テーブル第2階層」を、図46にハズレ変動パターン振分テーブル第1階層により選択される「ハズレ変動パターン振分テーブル第2階層」を示す。
図示のように、本実施形態の当り変動パターン振分テーブル第2階層には、複数種類の当り変動パターン振分テーブル第2階層AA1〜AA9が含まれる。またハズレ変動パターン振分テーブル第2階層には、複数種類のハズレ変動パターン振分テーブル第2階層HH1〜HH12が含まれる。これら変動パターン振分テーブル第2階層は、主として、変動パターン振分テーブル第1階層で決定された変動パターン種別の中に含まれる、個々の変動パターンを特定するために利用される。
上記各変動パターン振分テーブル第2階層には、変動パターン用乱数値2と、変動開始コマンドデータ2および変動時間テーブルを決定するための判定領域(判定値)とが関連付けて定められており、具体的には、変動パターン用乱数値2がいずれの判定値に属するか否かにより、上記変動開始コマンドデータ2および変動時間テーブルが定まるようになっている。なお図中では、既に説明した入賞コマンド振分テーブル(図36、図37)の場合と同じく、判定値については省略し、選択率だけを表記している。
上記「変動開始コマンドデータ2」が決定されると、基本パターンの具体的内容である変動開始時の変動パターンが定まる。たとえば、変動パターン振分テーブル第1階層で決定された変動開始コマンドデータ1の内容が「弱SPリーチA」という変動パターン種別であった場合、この変動パターン振分テーブル第2階層で決定される内容は、その「弱SPリーチA」の具体的な内容、つまり「弱SPリーチA」種別のうち「弱SPリーチA1〜弱SPリーチA3」のいずれかが決定されることになる。
上記「変動時間テーブル」には、当り変動パターン振分テーブル第2階層で決定される「TIMTBL−A1〜TIMTBL−A21」と、ハズレ変動パターン振分テーブル第2階層で決定される変動時間テーブル「TIMTBL−H1〜TIMTBL−H24」の複数種類の変動時間テーブルが含まれる。この変動時間テーブルが決定されると、特別図柄の変動時間が定まり、この変動時間が今回の図柄変動表示ゲーム(図柄遊技)の実行時間となる。
上記「変動時間テーブル」には、当り変動パターン振分テーブル第2階層で決定される「TIMTBL−A1〜TIMTBL−A21」と、ハズレ変動パターン振分テーブル第2階層で決定される変動時間テーブル「TIMTBL−H1〜TIMTBL−H24」の複数種類の変動時間テーブルが含まれる。この変動時間テーブルが決定されると、特別図柄の変動時間が定まり、この変動時間が今回の図柄変動表示ゲーム(図柄遊技)の実行時間となる。
(特別図柄2に係る変動パターンについて)
ここで本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別図柄2(特図2作動保留球)に係る特別の変動パターン(特別図柄2側の変動パターン)について、次のような特徴的要素を備える。これについて、図42の変動パターン振分テーブル選択テーブル、図43の当り変動パターン振分テーブル第1階層、図44のハズレ変動パターン振分テーブル第1階層、ハズレ変動パターン振分テーブル第2階層(図示せず)を参照しながら説明する。
まず、図42の変動パターン振分テーブル選択テーブルを参照して、「特図2保留0ハズレA」〜「特図2保留3ハズレA」(変動開始時補正後オフセット値「04H」〜「07H」)、「特図2ハズレB」(同オフセット値「0AH」)、および「特図2ハズレC」(同オフセット値「0BH」)に着目すれば、「通常A」と「通常B」(変動パターン振分指定番号(Tcode)「01H」「02H」)の場合には、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H4だけが選択され、「通常C」の場合には、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H9だけが選択されるようになっている。
これらハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H4、H9について、図44のハズレ変動パターン振分テーブル第1階層を参照すれば、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H4は「通常変動3」種別のみを指定し、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H9は「特殊通常変動」種別(通常C用の通常変動パターン種別)のみを指定するようになっている。つまり、「通常A」〜「通常C」の場合は‘電サポ無し状態’であり、この電サポ無し状態中のハズレ当選の場合は、リーチ状態を経由しない非リーチ演出用の「通常変動パターン」種別のみが指定されるようになっている。その具体的な変動パターンは、たとえばハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H4、H9により決定されるハズレ変動パターン振分テーブル第2階層HH3、HH9を参照したとき、変動開始時の変動パターンは、「通常A」と「通常B」の場合には「通常変動3s(変動時間3秒)」、「通常C」の場合には「特殊通常変動10s(変動時間10秒)」となっている。なお本実施形態の「通常変動3」種別には、単一の「通常変動3s(変動時間3秒)が、「特殊通常変動」種別には単一の「特殊通常変動10s(変動時間10秒)」が含まれるが本発明はこれに限られない。それぞれの変動種別には、複数種類の通常変動パターンが含まれていても良い。
また本実施形態では、「通常A」〜「通常C」のように、‘電サポ無し状態’を伴う遊技状態の場合には「特図2先読み禁止条件」を成立させ、特図2作動保留球を対象とした先読み判定が禁止されるようになっている。
このように本実施形態では、電サポ無し状態中において、特別図柄2側の変動パターンをすべて通常変動パターンが選択されるようにし、かつ特図2作動保留球を対象とした先読み判定を禁止するといった特徴を有するが、そのように定めた理由は次の通りである。
たとえば、通常変動パターン指定の特図1作動保留球が3個だけ保留され、この状態で、さらに上始動口34に入賞があり、4個目の特図1作動保留球を対象とした先読み予告演出が開始されたケースを代表例にとって説明する(なお本実施形態では、古い作動保留球にリーチ有り変動パターンが存在しないことを条件に先読み予告演出の実行可否が抽選される、または古い作動保留球にリーチ有り変動パターンが存在する場合は、先読み予告演出の実行可否が抽選されるが、当該先読み予告演出の実行可とされる確率がゼロと定めてある)。ここでは、先読み予告演出の対象となった上述の「4個目の特図1作動保留球」を「予告対象保留球」と称して説明する。
上記予告対象保留球が未だ消化されていない状態において、下始動口35に入賞があり、特図2作動保留球が発生すると、優先変動機能により、後から発生した特図2作動保留球が優先的に消化される。このとき、その特図2作動保留球に係る変動パターンが‘リーチ有りハズレ変動パターン’と決定されてしまうと、上記予告対象保留球を対象とした先読み予告演出とは何ら関連性の無い、ハズレの「リーチ演出」が介在し、先読み予告演出が途中で寸断されてしまう。その結果、先読み予告演出の機能が十分に発揮されず、その演出効果を十分に活かすことができないといった恐れがある。
そこで上記の問題に鑑み、まず‘電サポ無し状態’中における当落結果が「ハズレ」であった場合、特別図柄2側の変動パターンを「通常変動パターン」だけが指定されるようにしている。これにより、上記問題を解決することができる。しかしこれだけでは、後から発生した特図2作動保留球を対象に、入賞時処理に係る一連の‘先読み判定’処理が実行されてしまい、先読み予告演出の制御負担が増大するといった問題は依然として残ってしまう。
そこで本実施形態では、さらに発展的な実施形態として、既に説明したように、電サポ無し状態中は「特図2先読み禁止条件」を成立させ、電サポ有り状態中は「特図1先読み禁止条件」を成立させ、遊技状態に応じて、特別図柄1側と特別図柄2側の先読み判定を禁止する区間(先読み禁止状態)を切り替えている。これにより、先読み予告演出に関する制御負担を軽減することができる。なお、後から発生した特図2作動保留球が、たまたま大当り(小当りを含む)当選であった場合、特別図柄2側の変動パターンとして‘リーチ有り当り変動パターン’が選択され、上記予告対象保留球を対象とした先読み予告演出中に「リーチ演出」が介在することになるが、この場合は、そのまま大当りとなるので遊技者にとって不利益をもたらすものではなく、また先読み予告演出が寸断された場合には大当り当選確定となるといった意外性のある演出を加えることができるため、特に問題はないと考えられる。また、特別図柄1側の先読み予告演出中に、特別図柄2側の変動パターンとして‘リーチ有り当り変動パターン’が選択された場合は、その先読み予告演出と関連性のある専用のリーチ演出を発生させるように構成しても良い。
また「確変状態」中は、特別図柄1、2側の変動パターンの双方で、リーチ有り変動パターンが選択される可能性はあるが(特別図柄2側に関しては、「特図2ハズレB(変動開始時補正後オフセット値「0AH」)」および「特図2ハズレC(同オフセット値「0BH」)」場合に、リーチ有りハズレ変動パターンの「確変中リーチ」を指定するハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H11が選択されることになる(図42、図43参照))、仮に特図2作動保留球を対象とした先読み予告演出の発生中に、後から特図1作動保留球が発生して、その特図1作動保留球に係る変動パターンが‘リーチ有り変動パターン’であったとしても、優先変動機能の働きにより現存する特図2作動保留球が優先的に順次消化さていくので、先読み予告演出が寸断されることもなく、特に問題は生じない。つまり、特図2作動保留球を対象とした先読み予告演出の発生中であれば、少なくとも1個の特図2作動保留球が存在するはずなので、特図1作動保留球があってもこれが先に消化されることはないからである。
(「通常C」中に選択され得るハズレ変動パターンについて)
また本実施形態の「通常C」中に選択されるハズレ変動パターンは、次のような特徴的要素を備える。図42の変動パターン振分テーブル選択テーブルの「通常C」(変動パターン振分指定番号(Tcode)「02H」)の欄を参照すれば、「通常C」中は、作動保留球数に関係なく、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H9、H10が選択されるようになっている。ただし、ハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H10は、ハズレ種別に応じて選択され、本実施形態では、「特図1ハズレB」(変動開始時補正後オフセット値「08H」)、および「特図1ハズレC」(同オフセット値「09H」)の場合に選択される。またハズレ変動パターン振分テーブル第1階層H9は、既に説明したように、「特殊通常変動」種別(通常C用の通常変動パターン種別)のみを指定するようになっている。一般的に電サポ無し状態であっても、作動保留球数は比較的短時間で変化し得るものであり(一般的な弾球遊技機では、1回の図柄変動表示ゲーム中に作動保留球数の変化が1〜3個程度のものが多い)、これを利用して作動保留球数に応じた変動パターンを選択させるようにすれば、毎回の図柄変動表示ゲームごとに、演出時間(図柄変動表示ゲームの実行時間)に変化をもたらすことができて、多彩な演出を発生させることが可能である(そのような遊技状態として、本実施形態は「通常A」と「通常C」とを設けてある(特に図42参照))。しかし、作動保留球数に応じて図柄変動表示ゲームの演出時間が異なるようにしてしまうと、短期間で図柄変動表示ゲームの演出時間が頻繁に変化して、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って、密接な関連性を持つ演出(たとえば、ストーリー仕立ての物語風の演出)を連続的に展開させていくのが困難になることが考えられる。
また今回の図柄変動表示ゲームが開始したとき作動保留球数と、当該ゲームが終了したときの作動保留球数とが異なる可能性が高く、作動保留球数に応じて特別図柄の変動パターンが変化する場合は、次回の図柄変動表示ゲームの演出時間を予測することはできない。また上記物語風の演出を現出させる場合には、先読み予告演出を利用することも考えられるが、先読み予告演出のような連続予告演出は、現存する作動保留球を対象とする連続予告演出であるので、その回数は、最大保留記憶数(本実施形態では、4回)までが限界である。すなわち、この問題点は、第1に、図柄変動表示ゲームごとに演出時間が変化する可能性が多分にある点、第2に、最大4回のゲーム数を超えて、上記密接な関連性を持つ演出を現出させることができない点などが挙げられる。
そこで本実施形態では、演出時間の長短が発生してしまうことを極力抑えるべく、作動保留球数に関係なく変動パターンが選択される特定の遊技状態(通常C)を設け、その特定の遊技状態の継続回数(図柄変動表示ゲーム数(特別図柄の変動回数))を少なくとも最大保留記憶数を超える回数に設定することで、上記のような物語風演出を長期間、容易に展開させることができるようにしている。特に本実施形態の「通常C」は、大当り抽選確率を秘匿し得る遊技状態として働くため、このような遊技状態の下で、比較的長いゲーム数に跨って高確率状態の期待感を煽るような物語風演出を展開させることは、遊技の面白みを向上させる上で極めて有効である。なおST機の場合は、遊技者に高確率状態の期待感を残すため、「通常C」の継続回数をS回、規定ST回数をT回とした場合、「最大保留記憶数(4回)<S≦T」の関係を満たすことが好ましい。より好ましくは、「最大保留記憶数(4回)<S<T」である。上記「最大保留記憶数(4回)<S<T」の場合、規定ST回数が終了する前に「通常C」が終了し「通常A」に移行することになるが、「通常C」から「通常A」に移行しても上記規定ST回数が終了するまでは高確率状態の期待が残ることになる。その理由は、遊技者は、内部遊技状態を正確に知ることができないからである。したがって、たとえ、低確率状態下の「通常C」から「通常A」に移行した場合であっても、規定ST回数が終了するまでは、遊技者は高確率状態に期待を寄せて遊技に興じるようになる。その結果、「最大保留記憶数(4回)<S=T」という関係を持たせるよりも、遊技機の稼働率を高めることができる。
また本実施形態では、通常C中の「特図1ハズレB」または「特図1ハズレC」の場合、リーチ有り変動パターンの「特殊リーチ」種別(通常C用のリーチ有り変動パターン種別)が選択されるようになっている(図42、図44の「変動パターン振分テーブル第1階層H10」の欄参照)。しかし「通常C」中のハズレの場合、リーチ有り変動パターンを一切選択しない構成とし、通常変動パターンである「特殊通常変動10s」だけが選択されるように構成しても良い。このようにすれば、ハズレに当選した場合は、作動保留球数およびハズレの種類に関係なく、毎回、同じ変動パターンの「特殊通常変動10s」だけが選択されることになる。これにより、ハズレに当選し続ける限り、1回毎の図柄変動表示ゲームの実行時間、すなわち演出時間が同じ時間幅を持ちながら遊技が進行していくので、物語風演出を展開する上で、極めて有効な遊技状態下に置かれる。また大当り当選の場合は、当り変動パターンにより指定される特定の演出(たとえば、特殊リーチ1〜3)を発生させることができるので、たとえば、物語風演出の一環として、ストーリー展開に終止符を打つようなエピローグ演出などの特殊演出(この場合は、特殊リーチ1〜3に基づくリーチ演出の一態様)が発生した時点で、大当り当選確定(小当りを含んでも良い)を報知することができるようになる。なお上記の「物語風演出」は、たとえば、敵と対峙しながら戦いを繰り広げるような「戦闘演出(大当り当選時は、敵が倒れる勝利演出。ハズレ当選時は、敵から攻撃を受ける敗北演出)」や、昔話しや童話の内容を展開していくような「筋書き演出(大当り当選時は、ストーリーの最終話の最終話演出、ハズレ当選時は、ストーリーが続く継続演出)」、図柄変動表示ゲームの実行ごとに遊技者に所定の指令を与える「指令演出(たとえば、ボタン予告演出を交え、「枠演出ボタン13を押して、敵を倒せ!」といった指令を与える演出(大当り当選時は、指令達成演出。ハズレ当選時は、敵が残存する指令未達成演出))」など、何らかのストーリー展開がなされるものであれば特に限定されない。
(D)特別図柄変動時間設定処理(ステップS448)
再び図19の説明に戻り、次に、上記特別図柄変動時間設定処理(S448)について説明する。ステップS447の処理で変動時間テーブルを取得した後、CPU201は、その取得した変動時間テーブルを参照して、特別図柄の変動時間を「特別図柄役物動作タイマ」に格納する(ステップS448)。上記「特別図柄役物動作タイマ」とは、パチンコ遊技機1の遊技動作制御に係るタイマを管理するRAM203内のタイマ管理領域の一つである。斯様なタイマ管理領域には、この特別図柄役物動作タイマの他、後述の特別図柄確定タイマなどがある。
(E)変動パターン指定コマンド作成処理(ステップS449)
次いで、ステップS445の処理で取得した「変動開始コマンドデータ1」と、ステップS447の処理で取得した「変動開始コマンドデータ2」とに基づき、変動開始時の変動パターンを指定する「変動パターン指定コマンド」を作成する(ステップS449)。
そして、変動パターン指定コマンドを演出制御部24に送信する(ステップS450:変動パターン指定コマンド送信処理)。これにより、特別図柄変動パターン作成処理を抜けて、図15のステップS413の処理に進む。
(C−2:変動パターン指定コマンド一覧:図47、図48)
図47および図48に、上記テップS449の変動パターン指定コマンド作成処理で作成された変動パターン指定コマンドの一覧を示す。図47は当り変動パターン指定コマンドの一覧を、図48はハズレ変動パターン指定コマンドの一覧を示した一覧表である。
上記「変動パターン指定コマンド」は演出制御コマンドの一つであり、2バイトで構成される。本実施形態の変動パターン指定コマンドには、当り変動パターン指定コマンドとして「変動パターンA1〜A21」が、ハズレ変動パターン指定コマンドとして「変動パターンH1〜H24」の複数種類のコマンドが含まれる。この変動パターン指定コマンドが演出制御部24に送信されると、これに続き、装飾図柄指定コマンドが送信されるようになっている(図15のステップS415)。これらのコマンドを受けた演出制御部24は、各コマンドに含まれる情報に基づき、今回の図柄変動表示ゲーム中の現出する演出を決定し、その演出に基づく演出制御処理を行う。かくして、図柄変動表示ゲーム中の演出が実現される。
次に、図48のハズレ変動パターン指定コマンドの一覧を参照しながら、各種の変動パターンに規定された変動時間の観点から見た遊技状態について説明する。
本実施形態の通常変動パターンには、‘通常A’中または‘通常B’中に選択され得る「通常変動12s(変動時間12秒)」(変動パターンH1)、「通常変動8s(変動時間8秒)」(変動パターンH2)、および「通常変動3s(変動時間3秒)」(変動パターンH3)、‘通常C’中に選択され得る「特殊通常変動(変動時間10秒)」(変動パターンH17)、および‘確変状態’中に選択され得る「確変中通常変動2s(変動時間2秒)」(変動パターンH21)などが含まれる。
(D−1:高速変動状態)
これら通常変動パターンのうち、「確変中通常変動2s」に着目する。この「確変中通常変動2s」は、相対的に短い変動時間が規定された変動パターンであり、本実施形態では、全変動パターンのうち、最も短い変動時間が規定された変動パターンとなっている。ここで「確変状態」中のハズレ変動パターンにおいては、単一の変動パターンである「確変中通常変動2s」が設定されており、ハズレ種別のうちで当選確率が最も高い「ハズレA」の場合に選択される通常変動パターンとなっている。したがって、「確変状態」中のハズレ当選の場合、特別図柄の変動時間幅を「2秒」とする高速変動パターンが高確率で選択されることになる。すなわち、確変状態中は、他の確変状態と比べて図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間(1ゲームあたりの図柄変動表示ゲームの平均時間、または単位時間あたりの図柄変動表示ゲームの時間)が相対的に短くなる「高速変動状態」下に置かれる。
このような「高速変動状態」は、主として、「ゲームの平均消化速度を上げて、遊技の進行に関する時間効率を高める」といった遊技性に重きを置いた遊技状態で有用である。特に、確変状態中は、「電サポ有り状態+高確率状態+特別図柄時短状態」となり、単位時間あたりのゲーム消化スピードが向上し、かつ大当り当選が容易となるように工夫された遊技状態となる。このような遊技状態下に置かれた場合、遊技者の中には、演出を楽しむよりも早く大当りを得たいと欲する遊技者も多い。そこで本実施形態では、確変状態中の場合、上記「高速変動状態」を発生させるようになっている。なお「時短状態」を発生可能に構成した場合には、大当り抽選確率は低確率状態ではあるが「電サポ有り状態+特別図柄時短状態」とする抽選回数向上状態となる。この場合も、上述の「確変状態」と同じく、上記「高速変動状態」を発生させても良い。
(D−2:低速変動状態)
上記「高速変動状態」に対し、「通常変動12s(変動時間12秒)」や「通常変動8s(変動時間8秒)」などの比較的長い変動時間が規定された複数種類の変動パターンが選択され易い遊技状態では、図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間が相対的に長くなる「低速変動状態」下に置かれる。このような「低速変動状態」下では、図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間が「高速変動状態」よりも長くなるが、その代わりに演出時間を長めにとることができるので、「演出を楽しむ」といった遊技性に重きを置いた遊技状態で有用である。大当り抽選確率が低確率、あるいはその可能性が高いといった遊技状態の場合、上述の確変状態のときとは反対に、「演出を楽しみながら遊技に興じたい」という遊技者も多い。そこで本実施形態では、「通常A」や「通常B」の場合には、上記「低速変動状態」を発生させるようにしている。
(D−3:準等速変動状態)
また本実施形態では、「通常C」の場合のように、作動保留球数に関係なく、ハズレ時には「特殊通常変動10s(変動時間10秒)」が高確率で選択されて、1回毎の図柄変動表示ゲームの消化時間が概ね一定となる「準等速変動状態」を発生させるようになっている。このような「準等速変動状態」下では、既に説明したように、1回毎の図柄変動表示ゲームの実行時間、すなわち演出時間がほぼ一定でゲームが進行していくので、複数回(特に、最大保留記憶数より多い回数)の図柄変動表示ゲームに跨って、密接な関連性を持つ演出(ストーリー仕立ての物語風演出)を発生させることができる特殊な遊技状態となる。なお「確変状態」中の場合も、作動保留球数に関係なく、ハズレ時には「確変中通常変動2s」が高確率で選択されることになるので、この場合も「準等速変動状態」といえる。なお本実施形態の「通常C」や「確変状態」では、ハズレ時に‘通常変動パターン’よりも変動時間(演出時間)が長い‘リーチ有り変動パターン’が選択され得るが、ハスレ時には、リーチ有り変動パターンを一切選択しない構成としたり、またはリーチ有り変動パターンの選択率が極めて低確率とする構成としたりしても良い。この場合も「準等速変動状態」となり、上記物語風演出を発生させる上で有効である。
(8−4.特別図柄変動中処理:図20)
次に、特別図柄変動中処理(ステップS307)について説明する。図20は、図9の特別図柄変動中処理(ステップS307)の詳細を示すフローチャートである。
図20において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定する(ステップS451)。特別図柄役物動作タイマがゼロでない場合は(ステップS451:NO)、未だ特別図柄の変動時間が経過していない、つまり特別図柄が変動中であるので、何もしないでこの特別図柄変動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS451:YES)、演出制御コマンドとして、特別図柄の変動が終了したことを示す「変動停止コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS452)。この変動停止コマンドにより、演出制御部24側では、特別図柄の変動時間経過して特別図柄変動表示ゲームが終了したことを把握し、現在変動表示中の装飾図柄を停止表示(確定表示)させる。これにより、特別図柄変動表示ゲームの終了とともに、装飾図柄変動表示ゲームも終了することになる。
次いで、特別図柄の変動停止時の設定処理として、RAM203の特別図柄確定タイマに、特別図柄確定信号出力時間(たとえば、100ms)を格納し、特別図柄役物動作タイマに確定表示時間(たとえば、500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄変動中フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別図柄1変動カウンタおよび特別図柄2変動カウンタ(後述するS642で用いられる変動カウンタ)に00Hを格納してクリアし(ステップS453)、この特別図柄変動中処理を抜ける。上記「特別図柄確定信号出力時間」とは、枠用外部端子基板21からホールコンピュータHCに対し、特別図柄が確定表示された旨を報知する特別図柄確定信号の出力時間を確保するための余裕時間である。また「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示を保持する時間(停止表示時間)である。
ステップS453の処理を終えると、この特別図柄変動中処理を抜けて、図9のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図8のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(8−5.特別図柄確認時間中処理(変動停止時処理):図21Aおよび図21B)
次に、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)について説明する。図21Aおよび図21Bは、図9の特別図柄確認時間中処理(ステップS308)の詳細を示すフローチャートである。
図21Aおよび図21Bにおいて、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS471)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「確定表示時間」が設定されている(図20のステップS453参照)。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS471:NO)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS471:YES)、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)(ステップS472)、現在の遊技状態に応じた遊技状態判定番号(YJ)をRAM203の遊技状態判定領域に格納する(ステップS473)。
次いで、大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS474)。
(大当り判定フラグがON状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS474:=5AH)、大当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS475)。ここでは、大当り図柄停止時の各種設定処理(大当り遊技の開始前処理)として、大当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、条件装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、さらに、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変状態フラグ、特別図柄時短回数カウンタ、特別図柄確変回数カウンタ、および特別図柄変動回数カウンタの各々に00H(OFF状態)を格納し、変動パターン振分指定番号(Tcode)に00H(通常A指定)を格納し、遊技状態報知LED(図54(ホ)参照)の点灯・消灯を指定する遊技状態報知LED出力番号に00Hを格納して、この特別図柄確認時間中処理を抜ける。上記「遊技状態報知LED」とは、現在の遊技状態情報を報知する状態報知手段である。本実施形態の遊技状態報知LED(状態報知手段)は、特別図柄時短状態であるか否かを報知するために利用される。CPU201は、遊技状態報知LED出力番号に応じて、遊技状態報知LED(状態報知手段)の報知態様を変化させる。たとえば、上記遊技状態報知LED出力番号が「00H」の場合、現在、特別図柄時短状態ではない旨が(遊技状態報知LED:消灯状態(非特別図柄時短状態報知)、「01H」の場合には、現在、特別図柄時短状態である旨が報知される(遊技状態報知LED:点灯状態(特別図柄時短状態報知)。
(大当り判定フラグがOFF状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS474:≠5AH)、次いで、小当り判定フラグを取得し、小当り判定フラグの状態を判定する(ステップS476)。小当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS476:≠5AH)、ステップS478の処理に進む。小当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS476:=5AH)、小当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS477)。ここでは、小当り図柄停止時の各種設定処理(小当り遊技開始前処理)として、小当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、小当り中フラグに5AH(ON状態)を格納する。上記小当り図柄停止時の各種設定処理を終えると、ステップS478の処理に進む。
ステップS478の処理に進むと、特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短状態の残り回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS478)。特別図柄時短回数カウンタがゼロである場合(ステップS478:YES)、何もしないでステップS483の処理に進む。
特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS478:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄時短回数カウンタを1減算し(ステップS479)、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS480)。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS480:NO)、特別図柄時短状態の終了回数の70回に達していないので、何もしないでステップS483の処理に進む。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロの場合(ステップS480:YES)、特別図柄時短状態の終了回数の70回に達したとして、時短終了時の設定処理を行う(ステップS481)。ここでは、時短終了時の設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、および特別図柄時短状態フラグの各々に00H(OFF状態)を、また変動パターン振分指定番号(Tcode)に00Hを、遊技状態報知LED出力番号に00H(非特別図柄時短状態指定)を格納する。これにより次ゲームから、電サポ無し状態下に置かれることになる。
ステップS481の時短終了時の設定処理を終えると、演出制御コマンドとして、特別図柄時短状態が終了情報(電サポ無し状態移行情報)を含む「時短終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS482)。この「時短終了コマンド」は、現在の遊技状態を指定したり、遊技状態が移行される旨を知らせる「遊技状態指定コマンド」の一種であり、このコマンドにより演出制御部24は、次ゲームから電サポ無し状態となる旨を把握する。なお本実施形態では、電サポ有り状態から電サポ無し状態に移行する場合は、確変状態から通常Aに移行することと同じであるので、演出制御部24がこの「時短終了コマンド」を受けると、たとえば、次に行われる装飾図柄変動表示ゲームを開始する際、「通常A演出モード」用の背景画像(背景演出)に切り替えて当該演出モード下での演出制御処理を行ったり、発射位置として左流下経路3bを狙う旨を指示する「発射位置誘導演出(左打ち報知演出)」を現出させるための演出制御処理を行ったりする。
次いでステップS483の処理に進むと、特別図柄確変回数カウンタ(残りST回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS483)。
特別図柄確変回数カウンタがゼロである場合(ステップS483:YES)、ステップS488の処理に進む。
特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS483:NO)、今回の特別図柄の変動回数消化分として、特別図柄確変回数カウンタを1減算し(ステップS484)、その減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS485)。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS485:NO)、ST規定回数(70回)に達していないので、何もせずにステップS487の処理に進む。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロの場合(ステップS485:YES)、特別図柄の変動回数がST規定回数の70回に達したとして、確変終了時の設定処理を行う(ステップS486)。ここでは、潜確状態終了または確変状態終了に伴う通常遊技状態への移行設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、および特別図柄確変状態フラグの各々に00H(OFF状態)を格納し、また変動パターン振分指定番号(Tcode)に00Hを、遊技状態報知LED出力番号に00H(非特別図柄時短状態指定)を格納する。これにより、次ゲームから、大当り抽選確率が高確率状態から低確率状態下に置かれることになる。なお、潜確状態の場合には、特別図柄時短回数カウンタがゼロに設定されるので(図15のステップS411の遊技状態移行準備処理、その詳細を示す図18参照)、この確変終了時の設定処理において潜確状態の終了タイミングが管理されている。
上記ステップS486の確変終了時の設定処理を終えると、ステップS487の処理に進み、特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否か、つまり遊技状態移行規定回数(「通常B」移行時:遊技状態移行規定回数100回、「通常C」移行時:15回または30回)がゼロであるか否かを判定する(ステップS487)。
特別図柄変動回数カウンタがゼロである場合(ステップS487:YES)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS487:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄変動回数カウンタを1減算し(ステップS488)、その減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS489)。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS489:NO)、遊技状態移行規定回数に達していないとして、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロの場合(ステップS489:YES)、特別図柄の変動回数が遊技状態移行規定回数に達したとして、「通常A」への移行設定処理を行う(ステップS490)。ここでは、「通常A」への移行設定処理として、変動パターン振分指定番号(Tcode)に「00H(通常A指定)」を格納する。これにより、特別図柄の変動パターンの選択条件が変更されることになる。このステップS490処理は、所定の選択変更条件の成立に基づき、特別図柄の変動パターンの選択条件を切替制御するための選択条件切替手段として働く。これにより、次回の特別図柄変動表示ゲームでは、「通常A」における特別図柄の変動パターンが選択される。
次いで、演出制御コマンドとして、「通常A」移行情報を含む「遊技状態指定コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS491)。この「遊技状態指定コマンド」により演出制御部24は、「通常B」または「通常C」が終了し、次ゲームから「通常A」となる旨を把握する。これにより、演出制御部24は、次に行われる装飾図柄変動表示ゲームを開始する際、「通常A演出モード」用の背景画像(背景演出)に切り替え、当該演出モード下での演出制御処理を行う。
以上により、この特別図柄確認時間中処理を抜けると、図9のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図8のステップ60の特別電動役物管理処理に進む。
(9.特別電動役物管理処理:図22)
次に、図8中の特別電動役物管理処理(ステップS060)について説明する。図22は、ステップS060の特別電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図22において、CPU201は、まず小当り中フラグの状態を判定する(ステップS501)。上記小当り中フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS501:=5AH)、小当り遊技に係る特別変動入賞装置50の一連の動作を制御するための小当り処理を行い(ステップS504)、この特別電動役物管理処理を抜ける。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS501:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS502)。条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS502:≠5AH)、この場合は、小当り遊技中ではなく(ステップS501:≠5AH)、大当り遊技中でもないので、何もしないでこの特別電動役物管理処理を抜ける。
条件装置作動フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS502:=5AH)、特別電動役物動作ステータス(00H〜04H)に応じた処理を行う(ステップS503:特別電動役物ステータス分岐処理)。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別変動入賞装置50の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS503の特別図柄動作ステータス分岐処理では、特別図柄動作ステータスが「開始処理中(00H)」「作動開始処理中(01H)」「継続判定中(03H)」「終了処理中(04H)」のいずれのステータス値であるに応じて、それぞれに対応する処理を呼び出して実行させる。具体的には、特別電動役物動作ステータスが「開始処理中(00H)」の場合には、大当り開始処理(ステップS505)を、「作動開始処理中(01H)」の場合には、特別電動役物作動開始処理(ステップS506)を、作動中(02H)」の場合には、特別電動役物作動中処理(ステップS507)を、「継続判定中(03H)」の場合には、特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)を、「終了処理中(04H)」の場合には、大当り終了処理(ステップS509)を呼び出して実行させる。これらの処理により大当り遊技に係る特別変動入賞装置50の動作が制御される。
ここで、上述の「開始処理中(00H)」とは、大当り遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動開始処理中(01H)」とはラウンド遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動中(02H)」とはラウンド遊技が実行中である旨を示し、「継続判定中(03H)」とは次回のラウンド遊技を継続させるか否かの判定中である旨を示し、「大当り終了処理中(04H)」とは大当り遊技終了時の終了処理中である旨を示す。
上記ステップS505〜S509のいずれかの処理を終えると、特別電動役物管理処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−1.大当り開始処理)
大当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが初期ステータス値の「開始処理中(00H)」に設定されている。したがって、大当りとなった場合は、まず最初に、この大当り開始処理が行われるようになっている。
この大当り開始処理(図22のステップS505)では、役物連続作動装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)、連続回数カウンタに01Hを格納する。上記「役物連続作動装置作動フラグ」とは、役物連続作動装置の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には役物連続作動装置作動中(ラウンド遊技継続可)である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には役物連続作動装置非作動(ラウンド遊技継続不可)である旨を示す。また上記「連続回数カウンタ」とは、ラウンド遊技の連続実行回数、つまり現在のラウンド数を記憶するためのカウンタである。ここでの連続回数カウンタは「01H」であるので、現在のラウンド数は1R目を示している。
次いで、大当り開始設定テーブル(図46参照)を取得し、その大当り開始設定テーブルを参照して、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じて、最大ラウンド数(規定ラウンド数)、ラウンド表示LED番号をそれぞれに対応するRAM203の記憶領域に格納し、また特別図柄役物動作タイマに開始インターバル時間を格納する。これにより、大当り開始処理を終え、特別電動役物管理処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−2.特別電動役物作動開始処理)
特別電動役物作動開始処理(図22のステップS506)では、特別図柄役物動作タイマにより、初回のラウンド(1R目)の「開始インターバル時間」と2R目以降の「開放前インターバル時間」が監視される。各インターバル時間が経過し大入賞口開放開始動作が行われると、その都度、「大入賞口開放コマンド」を演出制御部24に送信する。この「大入賞口開放コマンド」は、ラウンド遊技開始情報(ラウンド演出の開始指示情報)や現在のラウンド数情報を含み、演出制御部24側において、ラウンド数に対応するラウンド演出を現出させる際に利用される。
次いで、大入賞口動作時間設定テーブル(図示せず)を取得し、大入賞口開放動作時間設定処理を行う。この大入賞口開放動作時間設定処理では、大入賞口開放動作時間設定テーブルを参照して、特別図柄判定データと現在のラウンド数とに応じた大入賞口開放動作時間を特別図柄役物動作タイマに格納する。これにより、特別電動役物作動開始処理を終え、特別電動役物管理処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−3.特別電動役物作動中処理)
特別電動役物作動中処理(図22のステップS507)では、大入賞口最大入賞数確認処理を行う。この大入賞口最大入賞数確認処理では、主に、大入賞口50への入賞球数をカウントし、その入賞球数が最大入賞数に達したか否かを確認する。
次いで、特別図柄役物動作タイマの値をチェックし、監視している大入賞口動作時間が経過していれば、今回のラウンド遊技における大入賞口が閉鎖されたとして、「ラウンド終了コマンド」を演出制御部24に送信する。この「ラウンド終了コマンド」は、演出制御部24側において、ラウンド遊技間のインターバル時間中における「ラウンド終了演出」を現出する際に利用される。
次いで、ラウンド遊技が終了した際の各種設定処理として、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(たとえば、1980ms)を格納する。これにより、特別電動役物作動中処理を終え、特別電動役物管理処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−4.特別電動役物作動継続判定処理)
特別電動役物作動継続判定処理(図22のステップS508)においては、連続回数カウンタの値を取得して現在のラウンド数が規定ラウンド数の最大ラウンド数に達したか否かを判断する。最大ラウンド数に達した場合は、ラウンド遊技継続終了時の処理として、連続回数カウンタに1加算(+1)し、残存球排出時間(本実施形態では、1980ms)を含めたラウンド遊技間の終了インターバル時間を設定する。
また、今回のラウンド遊技が終了して次回のラウンド遊技を開始させるため設定処理として、特別電動役物作動フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに02Hを格納)。これにより、特別電動役物作動継続判定処理終え、特別電動役物管理処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−5.大当り終了処理)
大当り終了処理(図22のステップS509)においては、特別図柄役物動作タイマがゼロ(終了インターバル時間経過)になったならば、大当り終了時の各種設定の一環として、各移行状態バッファの値を各状態フラグに格納する。具体的には、特別図柄変動開始処理中のステップS411の遊技状態移行準備処理(図15のステップS411、その詳細を示す図18参照)で設定した移行状態バッファの各々の値を、遊技状態を指定するための、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変状態フラグ、特別図柄時短回数カウンタ、特別図柄確変回数カウンタ、変動パターン振分指定番号、および特別図柄変動回数カウンタにそれぞれ格納する。これにより、大当り遊技後の遊技状態が特定される。
続いて、大当り終了時の各種設定処理を行う。ここでは、大当り遊技制御処理中に利用した各種のデータとして、条件装置作動フラグ、役物連続作動装置作動フラグ、連続回数カウンタ、最大ラウンド数、普通電役物開放延長状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、普通図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特図確変移行状態バッファ、特図時短回数カウンタバッファ、特図確変回数カウンタバッファ、変動パターン振分指定番号バッファ、特図変動回数カウンタバッファ、ラウンド表示LED番号、および遊技状態判定番号(YJ)をそれぞれクリア(00Hを格納)し、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに00Hを格納)。
次いで、遊技状態報知情報を更新する遊技状態報知情報更新処理を行う。ここでの処理は、特別図柄時短状態フラグがON状態(=5AH)かOFF状態(≠5AH)かを確認し、ON状態の場合、遊技状態報知LED(図54(ホ)参照)を点灯させるデータ、具体的には、遊技状態報知LED出力番号に01Hを格納する。
上記大当り終了処理を終えると、大当り遊技に関する一連の制御処理が終了したことになる。この大当り終了処理を抜けると、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
<演出制御部側の処理:図23〜図28>
次に、図23〜図28を参照して、本実施形態の演出制御部24側における演出制御処理について説明する。演出制御部24側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図23)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図24)とを含んで構成される。
<10.演出制御側メイン処理:図23>
図23は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部24(CPU241)は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図23に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、CPU241は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS071)。ここでは、初期設定処理として、たとえば、コマンド受信割込み設定、可動体役物の起点復帰処理、CTCの初期設定、タイマ割込みの許可、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値の初期設定などを行う。
ステップS071の初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごとにステップS073〜S078のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS80の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS072の処理において、CPU241は、メインループ更新周期用カウンタ値を参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期が到来したか否かを判定する(ステップS072)。上記メインループ更新周期用カウンタは、後述の演出制御側タイマ割込処理中のメインループ更新処理(図25のステップS096)で更新されるカウンタである。なお本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっている。このメインループ更新周期が到来するまでは(ステップS072:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS079:各種演出用ソフト乱数更新処理)。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS072:YES)、CPU241は、受信コマンド解析処理を行う(ステップS073)。この受信コマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出制御処理を行う。この演出制御コマンドの中には、既に説明した、保留加算コマンド、保留減算コマンド、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、変動停止コマンドなどが含まれる。たとえば変動パターン指定コマンドが受信され、それが受信バッファに格納されている場合、コマンド解析処理において、変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報(特別図柄の変動時間、当選種別、および変動開始時の変動パターンなどの情報)と現在の作動保留球数情報とに基づいて、1または複数種類の演出パターンを決定する。ここで決定される演出パターンは、演出シナリオを構成する要素としての「パーツ演出」として働く。続いて、上記決定された演出パターン(パーツ演出)を、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケージュールを決定し、これにより演出シナリオを構成する。そして、この演出シナリオのデータをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。この演出シナリオに組み込まれた種々の演出パターン(パーツ演出)が、次々に、あるいは複数同時展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。なお、決定された演出シナリオの中に「ボタン予告演出」を組み込む場合、枠演出ボタン13が操作されなかった場合の「非操作用演出シナリオ」を基本演出シナリオとして構築しておく。ボタン予告演出実行中に枠演出ボタン13が操作された場合は、その非操作用演出シナリオを差し替えて、枠演出ボタン13が操作された場合の「操作用演出シナリオ」に変更する必要が生じるが、このようなシナリオ変更に関する処理は、次に述べるステップS74の「シナリオ更新処理」で行うようになっている。
ステップS073の受信コマンド解析処理を終えると、シナリオ更新処理を行う(ステップS074)。このシナリオ更新処理では、演出パターンの実行に必要なタイマの内容を更新する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。たとえば、特別図柄が変動表示されている変動期間(特別図柄変動期間)内と実質的に同一期間内である、装飾図柄が変動表示されている変動期間(装飾図柄変動期間)内において、その時間軸上で、どのような演出パターンを、どれだけの時間幅をもって、演出手段に現出させるかについての時間的なスケジュールがこのタイマにより管理される。斯様な演出シナリオタイマは、後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)や演出役物制御データ更新処理(ステップS077)においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、一の演出の発生時期が到来すると、スピーカ46用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドとを作成し、それぞれをRAM243の指定領域に格納する。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物制御データ更新処理(ステップ77)で作成される。
またシナリオ更新処理では、上述の受信コマンド解析処理(ステップS073)において決定された基本演出シナリオを必要に応じて書き換える場合がある。既に説明したように、基本演出シナリオの中に「ボタン予告演出」を組み込んだ場合は、現在の非操作用予告演出シナリオとは異なる操作用演出シナリオに変更する必要が生じる。ここでは、ボタン予告演出中に枠演出ボタン13が操作されたことを確認した場合、「操作用演出シナリオ」に変更し(たとえば、パーツ演出を組み替える)、その変更した演出シナリオデータを上記シナリオ設定領域に再設定する。
次いで、LEDデータ更新処理を行う(ステップS075)。このLEDデータ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ部45やLEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、RAM243の指定領域に格納する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出LED管理処理(図25のステップS095)で利用される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS076)。このサウンド出力処理では、ステップS074のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音響制御部(音源LSI)を通じてスピーカ46から効果音を出力させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、演出役物制御データ更新処理を行う(ステップS077)。この演出役物制御データ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物用のモータ制御データを作成する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出役物動作管理処理(図25のステップS094)で利用される。
次いで、音源LSIなどの誤作動を監視するノイズ対策管理処理を行う(ステップS078)。誤作動によりプログラムが暴走状態となった場合は、ウォッチドッグタイマがタイムアップし、CPUが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。これにより、メインループ処理を終了して、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップS80の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
(11.コマンド受信割込処理:図24)
次に図24を参照して、コマンド受信割込処理について説明する。図24は、演出制御側のコマンド受信割込処理を示すフローチャートである。このコマンド受信割り込み処理は、主制御部20から演出制御コマンドを受信した場合、後述する演出制御側タイマ割込処理(図25)よりも優先的に実行される。
まず演出制御部24(CPU241)は、図23に示すメイン処理実行中に主制御部20側からのストローブ信号に基づく割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させて(ステップS081)、受信した演出制御コマンドをRAM243のコマンド受信バッファに格納し(ステップS082)、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS083)。これにより、コマンド受信割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御部側メイン処理に戻り、次の上記ストローブ信号に基づく割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。このように、主制御部20から送られてくる各種演出制御コマンドを受けた場合、このコマンド受信割込処理が実行されて、演出制御コマンドを受信した時点で、そのコマンドがコマンド受信バッファに格納される。
(12.演出制御側タイマ割込処理:図25)
次に図25を参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。図25は、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(1ms程度)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図25において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS091)、演出ボタン入力管理処理を行う(ステップS092)。この演出ボタン入力管理処理では、枠演出ボタン13からの操作(ON操作)検出信号の入力の有無を監視し、当該操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をRAM243の所定領域に格納する。この情報は、上記ボタン予告演出に利用される。
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS093)。この液晶コマンド送信処理では、図23の演出制御側メイン処理中のシナリオ更新処理(ステップS074)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信して、液晶表示装置36に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
次いで、演出役物動作管理を行う(ステップS094)。この演出役物動作管理では、演出役物制御データ更新処理(ステップS077)で作成された可動体役物用のモータ制御データに基づき、駆動制御部を通じて可動体役物モータ61に制御信号を出力する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物による視覚的演出が実現される。
次いで、演出LED管理を行う(ステップS095)。この演出LED管理では、LEDデータ更新処理(ステップS075)で作成されたLEDデータに基づき、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
次いで、メインループ更新周期を管理するメインループ更新処理を行う(ステップS096)。このメインループ更新処理では、メインループ更新周期用カウンタを割込みごとに更新する(メインループ更新周期用カウンタ+1)。メインループ更新周期用カウンタは、たとえばインクリメント処理によって16の倍数の範囲(たとえば、0〜31)を循環するカウンタである。
以上のステップS091〜ステップS096の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS097)。これにより、このタイマ割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。
<受信コマンド解析処理の内容:図26〜図28>
図26〜図28は受信コマンド解析処理(図23のステップS073)で実行される処理のうち、先読み予告演出と関連性の深いものを示したものである。以下、「保留加算コマンド」、「変動パターン指定コマンド」、および「装飾図柄指定コマンド」を受信した場合についてそれぞれ説明する。
(13.保留加算コマンドの受信処理:図26)
図26は、保留加算コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。この保留加算コマンドは、図10の特図1始動口チェック処理のステップS326、または図11の特図2始動口チェック処理のステップS346で送信される演出制御コマンドである。
図26において、演出制御部24(CPU241)は、保留加算コマンドを受信した場合、まずそのコマンドの内容を解析し、先読み判定結果情報を取得する(ステップS711)。ここでは取得した情報を、RAM203の先読み情報記憶エリアに格納する。先読み情報記憶エリアにはRAM203の保留記憶エリアと同じように、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した先読み情報記憶エリア(特別図柄1側に対応する先読み情報記憶エリアと、特別図柄2側に対応する先読み情報記憶エリア)が設けられている。また、これら先読み情報記憶エリアには、作動保留球数に対応した保留1先読み情報記憶エリア〜保留n先読み情報記憶エリア(本実施形態では、n=4)が設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の先読み判定結果情報が格納可能となっている。たとえば、今回受信した保留加算コマンドが「B707H」というコマンドであった場合、CPU241は、「特図1保留2個指定、強SPリーチA、およびハズレB」(先読み変動パターンX7)という内容を把握し、これを特別図柄1側の保留2先読み情報記憶エリアに格納する。これにより、現存する作動保留球がどのような先読み判定結果であったかが特定できるようになっている。なお、「**01H」(MODE側の‘**’は、B5〜BE)の場合は「先読み禁止」指定となる(図38参照)。
次いで、ステップS711の処理の解析情報に基づき、先読み禁止であるか否かを判定する(ステップ712)。先読み禁止である場合(ステップS712:YES)、何もしないで、後述のステップS718の処理に進む。
先読み禁止でない場合(ステップS712:NO)、ステップS713の処理に進み、「連続予告カウンタ」がゼロか否かを判定する(ステップS713)。この「連続予告カウンタ」とは、重複して先読み予告演出が発生してしまうことを禁止する禁止期間を定めるためのカウンタである。具体的には、次に述べるステップS714の先読み予告抽選により今回の作動保留球が先読み予告演出の実行対象とされた場合(先読み予告抽選に当選した場合)、今回の作動保留球が消化される(変動表示動作に供される)までの間に、新たに生じた作動保留球が先読み演出の実行対象とされないようにするためのカウンタである。なお「連続予告カウンタ」には、上述の理由から、現在の作動保留球数の値が格納されるようになっている(後述のステップS717参照)。
上記連続予告カウンタがゼロでない場合(ステップS713:NO)、先読み予告抽選禁止状態であるとして、何もしないでステップS718の処理に進む。
連続予告カウンタの値がゼロである場合(ステップS713:YES)、先読み予告抽選許可状態であるとして、先読み予告抽選処理を行う(ステップS714)。この先読み予告抽選処理では、先読み変動パターン情報に基づいて、「保留表示変化系(入賞時変化系)の先読み予告演出」(以下、「保留先読み予告演出」と称する)の実行可否と、「画像表示変化系(変動開始時変化系)の先読み予告演出」(以下、「背景先読み予告演出」と称する)の実行可否とを抽選により決定する。なお上記先読み予告抽選は、現存する作動保留球に係る先読み変動パターンの中に、リーチ有り変動パターン種別がないことを条件に行われる。リーチ有り変動パターンの有無の確認は、今回の保留加算コマンドが、特別図柄1側の作動保留球に係るものであれば特別図柄1側の先読み情報記憶エリア内の情報を確認し、特別図柄2側の作動保留球に係るものであれば特別図柄2側の先読み情報記憶エリア内の情報を確認することにより行うことができる。なお今回の先読み判定結果情報が「不定(通常変動・リーチ)」である場合は、変動開始時の変動パターンがリーチ有り変動パターンである可能性があるため、このときは、リーチ有り変動パターンとみなすことが好ましい。
本実施形態では、‘保留先読み予告演出’を発生させる場合に限り、‘背景先読み予告演出’を重複的に発生させて、どの作動保留球が先読み予告演出の対象となっているかを明確に示唆するとともに、大当り当選期待感を煽ることができるようになっている。したがって先読み予告抽選では、(I)保留先読み予告演出だけを実行可とするか、(II)保留先読み予告演出と背景先読み予告演出の双方を実行可とするか、(III)いずれの先読み予告も実行しないとするか、といった3つのケースが抽選により決定される。いずれのケースが決定されるかは、当選種別(本実施形態では、大当り種別、小当り種別、ハズレ種別)および/または先読み変動パターンの内容に関連付けられた「先読み予告抽選テーブル(図示せず)」により決定される。この先読み予告抽選テーブルには、上記(III)が大当り当選期待度が最も低く、また上記(I)のケースよりも(II)のケースの方が大当り当選期待度が高い傾向となるように、上記(I)〜(III)の選択率が定められている。具体的には、主制御部20側で決定される当選種別や先読み変動パターンの選択率を考慮し、大当り当選期待度が相対的に低いリーチ種別(たとえば、弱SPリーチA種別または弱SPリーチB種別)の場合には上記(I)のケースの選択率が相対的に高く、大当り当選の場合や大当り当選期待度が相対的に高いリーチ種別(たとえば、強SPリーチA種別または強SPリーチB種別)の場合には上記(II)のケースの選択率が相対的に高くなるように定められている。また通常変動パターン種別の場合には、上記(III)のケースの選択率が相対的に高くなるように定められている。
なお上記先読み予告抽選では、上記(I)〜(III)の他、(IV)背景先読み予告演出だけを実行可するか否かを抽選する場合も含めても良い。また(V)可動体役物(図示せず)による先読み演出(役物先読み予告演出)を実行可能に構成している場合は、可動体役物を‘保留先読み予告演出’および/または‘背景先読み予告演出’とともに、あるいは単独で、実行可とするか否かを抽選する場合も含めても良い。上記(IV)および/または(V)を含む場合、(I)〜(V)のいずれのケースが発生した場合に、大当り当選期待度が高い傾向となるかは、主制御部20側で決定される当選種別の選択率や先読み変動パターンの選択率を考慮して自由に定めることができる。
次いで、ステップS714の先読み予告抽選の結果、先読み演出を実行可と決定した場合、上記(I)の場合は先読み動作ステータスに「01H」を、上記(II)の場合は先読み動作ステータスに「02H」を、上記(III)のいずれの先読み予告も実行しないと決定した場合には、先読み動作ステータスに「00H」をRAM243の所定領域に格納する(ステップS715)。
次いで、先読み判定動作ステータスを判定する(ステップ716)。先読み動作ステータスが「00H」の場合(ステップS716:=00H)、先読み予告演出は行われないので、何もせずにステップS718の処理に進む。
一方、先読み動作ステータスが「00H」以外である場合(ステップS716:≠00H)、作動保留球数(保留記憶個数)を連続予告カウンタに格納する(ステップS717)。たとえば、今回受信した保留加算コマンドが「B706H」というコマンドであった場合、当該コマンドは「特図1保留2個指定」であるので、連続予告カウンタには、その保留2個を示す「02H」が格納される。これにより、新たな作動保留球を対象とした先読み予告抽選が一定期間禁止される。なお、このカウンタ値は、後述の図28の装飾図柄指定コマンドを受信処理において、先に生じた古い作動保留球が消化されるごとに1づつ減算されていくようになっている。
ステップS718の処理に進むと、保留加算表示処理を行う(ステップS718)。この保留加算表示処理では、保留先読み予告抽選の結果に基づき、保留表示部a1〜d1、a2〜d2の保留表示に係る演出データをRAM243の保留表示データ記憶エリア(保留表示用シナリオ設定領域)に格納する。この保留表示データ記憶エリアにはRAM203の保留記憶エリアと同じように、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留表示データ記憶エリア(特別図柄1に対応する特図1保留表示データ記憶エリアと、特別図柄2に対応する特図2保留表示データ記憶エリア)が設けられている。これら保留表示データ記憶エリアには、保留1表示データ記憶エリア〜保留n表示データ記憶エリア(nは最大保留表示数:本実施形態では、n=4)が設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の保留表示用の演出シナリオデータが格納可能となっている。CPU241は、この保留表示データ記憶エリア内の保留表示用演出シナリオデータを参照して、保留表示部a1〜d1、a2〜d2に対してどのような保留表示を行うかを特定できるようになっている。
上記保留表示用演出シナリオについては、ステップS714の「先読み予告抽選」に非当選(ハズレ)であった場合には(先読み予告動作ステータス=00H)、通常保留表示用の演出データ(たとえば、保留アイコン「青色」の演出データ)が格納される。他方、先読み予告抽選に当選した場合には(先読み予告動作ステータス≠00H)、保留先読み予告(専用保留表示)用の演出データ(たとえば、保留アイコン「青色、黄色、緑色、赤色、または虹色」の演出データ)が格納される。なお何色の保留色にするのかは、当選種別(本実施形態では、大当り種別、小当り種別、ハズレ種別)および/または先読み変動パターンの内容に関連付けられた「保留色選択テーブル(図示せず)」により決定される。この保留色選択テーブルには、「青色<黄色<緑色<赤色<虹色」の関係で大当り当選期待度が高い傾向となるように、その保留色の選択率が定められている。たとえば「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また大当り当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が、大当り当選期待度の高い保留色が高確率で選択されるようになっている。
本実施形態では「先読み予告抽選」に当選した場合、先読み予告演出対象となった作動保留球に係る保留アイコンの色が、たとえば、黄色、緑色、赤色または虹色のいずれかの色(通常は青色)に変化し、当該作動保留球が消化されるまでの間(変動表示動作に供されるまでの間)、その保留表示が連続的に出現するようになっている(図6(1)〜(4)参照)。なお詳細は後述するが、「背景先読み予告演出」にも同時当選した場合、保留先読み予告演出とともに、専用予告画像(稲妻画像)による先読み予告演出(稲妻演出)が液晶表示装置36の画面内に出現し、稲妻画像による先読み予告演出(稲妻演出)が連続的に出現することになる(図6(1)〜(4)参照)。
上記ステップS714の先読み予告抽選処理は、先読み判定手段(特図1側の第1の先読み判定手段または特図2側の第2の先読み判定手段)による先読み判定結果を演出開始条件に(先読み判定情報を含む演出制御コマンド(保留加算コマンド)を受信したことを条件に)、当該先読み判定結果に関連する情報を報知する先読み予告演出の実行可否を判定する予告実行判定手段として働く。また上記ステップS718または後述のステップS755〜S760の処理は、上記予告実行判定手段により前記予告演出を実行可と判定された場合、装飾図柄表示手段(液晶表示装置36)に対して前記先読み予告演出を現出制御する予告演出制御手段として働く。
なお本実施形態では、液晶表示装置36における画像表示により、保留表示変化系と画像表示変化系の両方の先読み予告演出を発生させる形態を説明したが本発明はこれに限られない。たとえば、保留表示系の先読み予告演出をパチンコ遊技機1の適所に設けた保留表示器により、画像表示変化系の先読み予告演出を液晶表示装置36により、別々の演出手段により現出可能に構成しても良い。この場合、上記予告演出制御手段は、専用の保留表示器(図示せず)に対して上記保留表示変化系の先読み予告演出を現出制御する保留先読み予告制御演出手段と、装飾図柄表示手段(液晶表示装置36)に対して上記画像表示変化系の先読み予告演出を現出制御する画像先読み予告制御手段としての機能部を含むことができる。また、先読み予告演出をパチンコ遊技機1の適所に設けた可動体役物(図示せず)の動作態様により表現しても良い。この場合、上記予告演出制御手段は、可動体役物に対して先読み予告演出を現出制御する可動体制御手段を含むことができる。
(14.変動パターン指定コマンドの受信処理:図27)
図27は、変動パターン指定コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。この変動パターン指定コマンドは、図15の特別図柄変動パターン作成処理のステップS412で送信される演出制御コマンドである。
図27において、演出制御部24(CPU241)は、変動パターン指定コマンドを受信した場合、まずそのコマンドの内容を解析し(ステップS731)、その内容である特別図柄の変動パターン情報を取得し、RAM243の所定領域に格納する(ステップS732)。図柄変動表示ゲーム中の演出シナリオは、まだこの時点では決定せず、変動パターン指定コマンドに続いて送られてくる装飾図柄指定コマンドを受信した場合に決定される。つまり、ここで格納された変動パターン情報と装飾図柄指定コマンドに含まれる情報(特別図柄判定データ情報)とに基づき、図柄変動表示ゲーム中の演出シナリオが決定されるようになっている。
(15.装飾図柄指定コマンドの受信処理:図28)
図28は、装飾図柄指定コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。この装飾図柄指定コマンドは、図15の特別図柄変動開始処理のステップS415で送信される演出制御コマンドである。
図28において、演出制御部24(CPU241)は、装飾図柄指定コマンドを受信した場合、まずそのコマンドの内容を解析して、その内容を取得する(ステップS751)。
次いで、装飾図柄停止図柄抽選処理を行う(ステップS752)。この停止装飾図柄抽選処理では、ステップS732の処理で得られた変動パターン情報と装飾図柄指定コマンドに含まれる当選種別情報とに基づき、最終的に停止させる左図柄・中図柄・右図柄(装飾図柄停止図柄の組合せ)をそれぞれ抽選により決定する。たとえば、リーチ状態を伴う当り変動パターンで、そのときの大当り種別が15R長開放確変大当りである場合、まず左図柄を抽選して、その左図柄とリーチ状態が形成可能な装飾図柄を右図柄として決定し、決定された左図柄と右図柄とに基づき、15R長開放確変大当りに関連した装飾図柄列で最終的に停止されるように中図柄を決定する。これにより、今回の装飾図柄変動表示ゲームが完了したときの装飾図柄の組合せが定まる。そして、決定された装飾図柄データをRAM243の装飾図柄データ格納領域に格納する。
次いで、連続予告カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS753)。連続予告カウンタがゼロである場合(ステップS753:YES)、何もしないでステップS757の処理に進む。
連続予告カウンタがゼロでない場合(ステップS753:NO)、次いで、先読み動作ステータスを取得し判定する(ステップS755)。先読み動作ステータスが「02H」以外であった場合(ステップS755:≠02H)、何もしないでステップS757の処理に進む。
先読み動作ステータスが「02H」であった場合(ステップS755:=02H)、この場合は背景先読み予告演出実行となるので、ステップS756の処理に進み、背景先読み予告設定処理を行う(ステップS756)。この背景先読み予告設定処理では、まず、ステップS732の処理で得られた変動パターン情報に基づき、複数種類の背景先読み予告演出のうちからいずれか1つの背景先読み予告演出を抽選により決定する。たとえば、落雷の強さレベルを表現した、強落雷の稲妻演出、中落雷の稲妻演出、弱落雷の稲妻演出を含む複数種類の稲妻演出のうちからいずれかを1つ稲妻演出を抽選により決定する。いずれの稲妻演出を発生させるかは、変動パターンに関連付けられた「稲妻演出選択テーブル(図示せず)」により決定される。この稲妻演出選択テーブルには、「弱落雷<中落雷<強落雷」の関係で大当り当選期待度が高い傾向となるように、その稲妻演出種の選択率が定められている。
なお既に説明したが、入賞時に定まる「先読み変動パターン」と変動開始時に定まる「変動開始時の変動パターンに係る基本パターン」とは、実質的に同一のパターン種が選択されるようになってので、保留アイコンの保留色による大当り当選期待度と稲妻演出による大当り当選期待度とは、密接な関連性を持つ。より詳しくは、保留先読み予告演出が単独で出現した場合よりも保留先読み予告演出と背景先読み予告演出とが重複して出現した場合の方が、より明確に大当り当選期待度が示唆されるようになっている。たとえば、保留色が「赤色」で稲妻演出が「強稲妻」である場合には、大当り当選期待度が飛躍的に高まるが、保留色が「赤色」であっても稲妻演出が「弱稲妻」である場合には、それよりも大当り当選期待度が低下する。このように本実施形態では、単独の先読み予告演出が出現した場合よりも複数の先読み予告演出が混在した場合の方がより明確な大当り当選期待度が示唆されるようになっている。
また背景先読み予告設定処理では、背景先読み予告演出の実行回数を連続カウンタの値と同数値を設定し(背景予告実行カウンタに連続カウンタの値を格納)、先読み動作ステータスを「00H」に切り替える(先読み動作ステータスに00Hを格納)。これにより、一の保留加算コマンドが受信されて背景先読み予告演出を実行すると決定された場合、先に生じた最も古い作動保留球が変動開始時において上記背景先読み予告設定処理が行われるが、次回以降の他の保留加算コマンドが受信されたときに、連続予告カウンタがゼロで、かつ先読み動作ステータスが「02H」になっていない限り、この背景先読み予告設定処理は行われない。すなわち、本実施形態では、先読み予告演出の対象となった作動保留球が消化しない限り新たな先読み予告演出は発生せず、重複した先読み予告演出の発生が禁止されるようになっている。
次いで、ステップS756に進むと、今回の作動保留球の消化分として、連続予告カウンタから1減算する(ステップS756)。
次いで、背景予告実行カウンタがゼロあるか否かを判定する(ステップS757)。背景予告実行カウンタがゼロでなければ(ステップS757:NO)、今回の作動保留球の消化分として、背景予告実行カウンタから1減算し(ステップS758)、背景先読み予告演出実行であるとして、ステップS759の稲妻演出有りの演出シナリオ設定処理に進む。一方、背景予告実行カウンタがゼロであれば(ステップS757:YES)、背景先読み予告演出は実行されないとして、ステップS761の稲妻演出無しの演出シナリオ設定処理に進む。
上記ステップS758の稲妻演出有り演出シナリオ設定処理では、今回の装飾図柄変動表示ゲーム中に現出させる予告演出として、背景先読み予告である稲妻演出を含めた演出シナリオを決定する。これにより、背景先読み予告演出として稲妻演出の一つが選択された場合には、変動開始時に液晶表示装置36の画面内に稲妻画像が出現することになる(図6(2)参照)。他方、ステップS761の稲妻演出無し演出シナリオ設定処理では、背景先読み予告である稲妻演出を除いた演出シナリオを決定する。なお演出シナリオは、変動パターン指定コマンドや装飾図柄指定コマンドに含まれる情報(変動パターン情報や当選種別など)と、現在の演出モードとに基づき、パーツ演出としての複数種類の予告演出を決定して演出シナリオを構築し、このデータをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。
上述の演出シナリオ設定処理を終えると、装飾図柄変動表示ゲーム開始に要する各種の設定処理を行う(ステップS760)。ここでは、保留表示シフト処理を含めた装飾図柄変動表示ゲーム開始に要する各種の設定を行う。上記保留表示シフト処理では、装飾図柄変動演出を開始するに伴い、保留表示データn記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留表示データ記憶エリア(保留2表示データ記憶エリア、保留3表示データ記憶エリア、保留4表示データ記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ‘n−1’に対応する保留表示データ記憶エリアに上書きし、保留4表示データ記憶エリアに空き領域を設ける。空き領域となっている保留表示データ記憶エリアには保留表示用の演出シナリオデータが格納されていないため、この場合は、保留表示演出は行われずに該当表示箇所は消灯状態として表示される。これによりCPU241は、保留表示データ記憶エリア内に格納されている保留表示用演出シナリオが参照して、現存する保留表示部の位置が全体として古い記憶位置側に1つシフトされる演出表示を行い、装飾図柄変動表示ゲーム開始時には作動保留球が消化された状態を表現した保留表示を行うようになっている。なお、RAM203の先読み情報記憶エリアに関しても、上述の保留表示データ記憶エリアのシフト処理と同様にして、保留n先読み情報記憶エリア(n=2、3、4)に対応する先読み情報記憶エリアに格納されている先読み判定結果情報を、それぞれ‘n−1’に対応する先読み情報記憶エリアに上書きし、保留4先読み情報記憶エリアに空き領域を設け、次の保留加算コマンドを受信した場合の先読み判定結果情報を格納する領域を確保するようになっている。
ステップS760の処理を終えると、装飾図柄指定コマンド受信処理を抜けて、以後、装飾図柄変動表示ゲームが開始されることになる。このように演出制御部24は、第1の制御コマンド(保留加算コマンド)を受信したことを条件に、所定の変動開始条件が成立せずに未だ保留情報が消化されていない図柄遊技(図柄変動表示ゲーム)について、その保留情報に基づく図柄遊技の表示結果がどのような表示結果となるかについての情報を予告する予告演出(先読み予告演出)を現出制御する予告演出制御手段と、第2の制御コマンド(変動パターン指定コマンド)を受信したことを条件に(本実施形態では、変動パターン指定コマンドに続く装飾図柄指定コマンドを受信したことを条件に)、演出表示装置(たとえば、液晶表示装置36)における装飾図柄遊技(装飾図柄変動表示ゲーム)の実行を開始させる図柄遊技実行制御手段が含まれる。
<16.各種機能表示部:図2、図5>
(16−1.LEDによる構造:図51)
再び図2を参照して、遊技盤の非遊技領域、ここでは遊技盤3の右上縁付近には、接近して設けられた複数個のLEDにより構成される各種機能表示部が設けられている。この各種機能表示部には、図5および図51(イ)に示すように7セグメント表示器(ドット付)が3個並設され、そのうちの左側と中側の2個の7セグメント表示器によって第1特別図柄表示装置38aと第2特別図柄表示装置38bが構成されている。また残りの右側の1個の7セグメント表示器により、特別図柄1の作動保留球数の表示、特別図柄2の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5種類の機能を表示し得る保留・時短・高確複合表示装置(保留複合表示装置)38cが構成されている。さらに保留複合表示装置38cの隣りには、普通図柄表示用LED群とラウンド数表示用LED群とを有する普図・ラウンド表示ブロック39が配設されている。すなわち、この普図・ラウンド表示ブロック39中には、ドット状の2個のLEDを横方向に配置してなる普通図柄表示装置39aと、ドット状の3個のLEDを横方向に配置してなるラウンド数表示装置39bとが上下二段に配設されている。これらにより各種機能表示部は構成される。
なお、特別図柄表示装置38a、38b、保留複合表示装置38cおよび普図・ラウンド表示ブロック39は、遊技盤の非遊技領域に互いに接近して集約的に配置されるが、その相互の配置関係や非遊技領域での配設場所は自由である。たとえば、図51(イ)の配置関係全体を紙面内で180°回転させた姿の配置関係に変更し、これを遊技盤3内の右下の非遊技領域や中央の非遊技領域に配設することもできる。
また遊技盤の非遊技領域とは、この実施形態では遊技盤3の右上片隅部であるが、遊技盤の中央に非遊技領域が形成され、それを取り巻くように遊技領域が形成され、さらにその遊技領域の外側に非遊技領域が形成されている場合は、その遊技領域の内側に形成された非遊技領域または遊技領域の外側に形成された非遊技領域のいずれに各種機能表示部を形成しても良い。
上記特別図柄表示装置38a、38bおよび保留複合表示装置38cは、7セグメント表示器、正確には7セグメントLED表示器(ドット付)からなる。そこで、以下、この3個の7セグメントLED表示器を、特図1表示用LED表示器38a、特図2表示用LED表示器38bおよび保留複合表示用LED表示器38cとも称する。ダイナミック駆動制御上の走査対象として、特図1表示用LED表示器38aを構成するLED群、および特図2表示用LED表示器38bを構成するLED群は、それぞれ独立した1つの特別図柄表示系のブロックとしてまとまっており、また保留複合表示用LED表示器38cを構成するLED群は保留表示系(正確には保留複合表示系)のブロックとしてまとまっており、また普通図柄表示用LED39aおよびラウンド数表示用LED39bは一つの普図・ラウンド数表示ブロックとしてまとまっている。
上記特図1表示用LED表示器38a、特図2表示用LED表示器38bおよび保留複合表示用LED表示器38cを構成する7セグメントLED表示器は、図51(ロ)に示すように、それぞれ8の字状に配置された7つのLEDセグメント(向かって右回りにA〜Fおよび中央のG)と、8番目のLEDセグメントである1つのドットDPとで構成されている。そして、各LEDセグメントA〜GおよびDPにそれらを個別に活性化するためのデータ信号(図63のダイナミック点灯データDn(D0〜D7))が加えられ、かつ、各7セグメントLED表示器のコモン(図52のアノードコモンCOM、DP−A)に加えられる走査信号(図52のダイナミック点灯コモンC0〜C3)によって、該当する7セグメントLED表示器が選択的に駆動されることにより、該当する7セグメントLED表示器のLEDセグメントに電流が流れて発光する。このように、上記3つのLED表示器38a、38bおよび38cは、走査信号によってLED表示器の点灯を順次切り換えて行くダイナミック駆動方式によって駆動され、ダイナミック点灯表示される。なお、この実施形態の場合、特別図柄表示装置38a、38bおよび保留複合表示装置38cを構成する7セグメントLED表示器として内部回路構成がアノードコモンのものを用いているが、この替わりに内部回路構成がカソードコモンの7セグメントLED表示器を用いることもできる。
(16−2.配線図:図52)
図52は、特別図柄表示用LED表示器38a、38bおよび保留複合表示用LED表示器38cに用いたLED表示器用ICとの接続を示した配線図である。各LED表示器用ICのアノード側端子COMおよびDP−Aはコモン端子であり、ラインL1、L2、L3を介して主制御部20の走査信号出力ポートのうち、ダイナミック点灯コモンC0〜C2のラインのものに接続されている。また、普図・ラウンド表示ブロック39の普通図柄表示装置39aおよびラウンド数表示装置39bのコモン、正確にはこれらを構成するLEDのアノードコモンは、主制御部20の走査信号出力ポートのうち、ダイナミック点灯コモンC3のラインのものに接続されている。
したがって、主制御部20の出力ポートから出力されるダイナミック点灯コモンC0〜C3の走査信号により、特別図柄表示用LED表示器38a、38b、保留複合表示用LED表示器38cおよび普図・ラウンド表示ブロック39が順次選択駆動される。
一方、特別図柄表示用LED表示器38a、38bおよび保留複合表示用LED表示器38cに用いた個々のLED表示器用ICにおけるカソード側端子A〜GおよびDP−Cは、上記LEDセグメントA〜GおよびDPに対応したデータ信号入力端子であり、主制御部20のデータ信号出力ポートにおけるダイナミック点灯データD0〜D7のラインに接続されている。また、普図・ラウンド表示ブロック39の普通図柄表示装置39aおよびラウンド数表示装置39bを構成するLEDのカソードは、主制御部20の出力ポートにおけるダイナミック点灯データD0〜D4のラインに接続されている。
よって、特別図柄表示用LED表示器38a、38bおよび保留複合表示用LED表示器38cは、各LEDセグメントA〜GおよびDPにダイナミック点灯データDn(D0〜D7)が加えられ、かつ、該当する7セグメントLED表示器のコモンがダイナミック点灯コモンC0〜C2の走査信号により選択駆動されることにより、入力データに対応するLEDセグメントが発光し、第1特別図柄、第2特別図柄、作動保留数・時短中・高確中の表示を行う。また、普通図柄表示装置39aおよびラウンド数表示装置39bのLEDは、主制御部20の出力ポートのダイナミック点灯データD0〜D4が加えられ、かつ、普図・ラウンド表示ブロック39のコモンC3が走査信号により選択駆動されることにより、入力データに対応するLEDが発光し、普通図柄とラウンド数を表示する。
(16−3.特別図柄表示用LED表示器38a、38bの表示機能:図53)
特別図柄表示用LED表示器38a、38bは、特別図柄変動表示ゲームにおいて特別図柄を変動表示動作させ、その変動表示動作の停止時には、7セグメント(正確にはドットDPを含む計8セグメント)により表現される所定の特別図柄(特別図柄1、特別図柄2)のうち、抽選結果を反映させた特別図柄を、たとえばハズレA図柄「−」、ハズレB図柄「.」、ハズレC図柄「−.」、当り図柄「1」「2」・・などの表示態様にて停止表示する。これらの停止図柄の表示態様は特別停止図柄データ作成処理(図17のステップS428)で作成される特別停止図柄番号により特定される。
図53は、この特別図柄表示の変動中の表示態様と変動停止中(停止時)の表示態様を作り出すために特別図柄表示用LED表示データテーブルを切り替える切替方式(特別図柄表示の表示切替態様)を略示したものである。ここでは、特別図柄表示用LED表示データテーブルにA、Bの二種類を用意する実施形態について説明する。
図53では、説明を簡単にするため、特別図柄表示用LED表示データテーブルAには、「0」、「−」、「1」、「2」、「3」・・・の各図柄の表示データ(ここでは図柄番号)が0番地から順次記憶されており、また特別図柄表示用LED表示データテーブルBには、「−」、「−」、「1」、「2」、「3」・・・の各図柄の表示データが0番地から順次記憶されているものとする。ここで「0」と「−」は共に変動用図柄(変動中表示用の図柄)であって、このうち「0」は変動専用図柄、「−」はハズレ停止図柄および変動用図柄として兼用される変動兼用図柄、そして「1」、「2」、「3」・・・は当りの停止図柄である。
「変動専用図柄」は、特別図柄表示用LED表示器38a、38bで表示しうる表示態様による図柄のうちの一つを特に変動表示中の表示専用の図柄として割り当てたものであり、特別停止図柄として用いられることのない特定の図柄である。ここでは7セグメントLED表示器38a、38bで表現可能な特別図柄のうちで、特に図柄「0」の表示データを変動専用図柄の表示データとして割り当てているが、他の特別図柄の表示データを割り当てても良い。「変動兼用図柄」は、変動用図柄として兼用されるハズレ停止図柄であり、この実施形態ではハズレA停止図柄「−」を変動兼用図柄として割り当てている。この変動兼用図柄もハズレA停止図柄「−」に限られるものではなく、「−」以外の他のハズレ図柄についての停止表示データを変動中表示データとして兼用してもよい。
なお実際には、図62に示すように、停止図柄にはハズレA、B、Cの3種類があるが、ここではハズレAに対応する停止図柄「−」の停止図柄データが、特別図柄表示用LED表示データテーブルBの1番地に変動表示用データとして格納されている。そして図53では、ハズレBまたはCに対応する共通の停止図柄データが、特別図柄表示用LED表示データテーブルA、Bのそれぞれ1番地に格納されており、ハズレが1種類の場合であるとして示している。
特別図柄が「変動中」の場合つまり変動表示中の期間には、特別図柄表示用LED表示データテーブルA、Bにおける0番地の「0」と「−」の図柄の表示データを交互に128ms間隔で切り替えることにより、変動中を示す点滅表示を行わせる。また「ハズレ」の場合の特別図柄の停止時には、特別図柄表示用LED表示データテーブルA、Bの次の1番地における「−」と「−」の図柄の表示データを交互に128ms間隔で切り替えることにより、「−」の図柄を継続的に点灯表示させる。また当りの場合、たとえば図53に例示する「当り1」の場合の特別図柄の停止時には、特別図柄表示用LED表示データテーブルA、Bの2番地における「1」と「1」の図柄の表示データを交互に128ms間隔で切り替えることにより、特別図柄として「1」の図柄を継続的に点灯表示させる。同様にして、当り2、当り3・・の場合の特別図柄の停止時には、特別図柄表示用LED表示データテーブルA、Bの3番地、4番地・・における「2」と「2」、「3」と「3」・・の図柄の表示データを交互に128ms間隔で切り替えることにより、特別図柄として、たとえば「2」「3」・・等の図柄を継続的に点灯表示させる。
このように、変動専用図柄の表示データを用意し、これに基づき変動専用図柄「0」が特別図柄の変動表示中の期間においてのみ出現するように構成しているため、変動専用図柄「0」が出現しているか否かの事象(この実施形態では点滅状態で出現する)を認識することにより、図柄変動表示中の期間であるのか否かを容易に判別することができる。すなわち、図柄「0」は変動中表示専用の図柄(変動専用図柄)であって、当該図柄「0」が点灯または点滅状態で可視化されるという表示態様は、特定の期間、すなわち特別図柄の変動表示の開始および当該変動表示の停止を一セットとする変動表示動作における図柄変動表示中の期間でなければ出現しないため、この「停止図柄として出現することのない変動専用図柄「0」が出現している」という事象が視認できれば、特別図柄変動表示中の期間に入っていると判断することができ。また、この変動専用図柄「0」は、これを単独で見た場合、点灯と消灯を繰り返す点滅状態で出現するため、この「変動専用図柄「0」が点滅状態で出現している」ということを視認することも容易である。
さらにまた、この実施形態の場合、特別図柄の変動表示中に交互に点灯させる一対の変動用図柄の一方に上記変動専用図柄「0」を扱い、他方に図柄「0」の中央を横切る横線に相当する変動兼用図柄「−」を扱っており、その「0」と「−」の表示データを、変動表示中に所定の周期で交互に切り替えるように構成している。図柄「0」とその中央横線「−」とが交互に点灯し、視覚的に図柄「0」が図柄「−」と対比させられる結果、その対比の上で変動専用図柄「0」の存在が顕在化するので、図柄変動表示中の期間であるのか否かを容易に判別することができる。よって、停止図柄として出現することのない変動専用図柄「0」が点滅していることを容易に視認し、現在、特別図柄変動表示中の期間に入っていることを理解することができる。
また上記した特別図柄が継続的に点灯表示している期間、つまり特別図柄が停止表示してから次の図柄変動表示動作が開始されるまでの時間長さは、本実施形態の場合、特別図柄表示の点滅周期128msより2倍以上長い500msとしている。そこで特別図柄の表示態様は、その点滅周期128msより2倍以上長い500msの停止状態を維持した後、次の図柄変動表示動作が開始されることになる。そのため、この点からも特別図柄の表示が変動停止中なのか変動中なのかが容易に認識することができる。なお本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動期間(単位時間あたりの変動時間)が他の遊技状態よりも相対的に短い「高速変動状態」を伴う特殊な遊技状態(たとえば確変状態)が設けられている。本実施形態の「高速変動状態」は、既に説明したように、他の遊技状態下と比較し、単位時間あたりの特別図柄の変動時間が最も短くなる。このような「高速変動状態」下に置かれた場合、特別図柄を表示するLEDの点滅点灯状態の識別が「低速変動状態」よりも難しくなり、遊技者にとり特別図柄の変動表示中の期間にあるか否かを識別することが困難となることが考えられる。本実施形態では、上記「高速変動状態」下であっても、特別図柄の変動表示中の期間であることを容易に識別することができるようになっている。
(16−4.保留複合表示用LED表示器38cの表示機能:図54)
図54(イ)〜(ホ)は、保留複合表示用LED表示器38cのセグメントの種類(配置位置)と発光パターンの種別とにより識別される5つの表示機能を個別に示したものである。
図54(イ)は特別図柄1作動保留球数の表示(特図1保留表示)機能を示している。この例の場合、保留複合表示用LED表示器38cは、8字状配置7セグメントの上側のロの字状に配置された4つのLEDセグメントA、B、F、Gのうち、「左」と「下」にL字状に配置された2つのLEDセグメントF、G(特図1用保留LED1と特図1用保留LED2)の点灯と点滅の組合せによる表示態様により、特別図柄1作動保留球数の表示がなされる。
具体的には、図54(イ)に示すように、作動保留球数が1個(保留1)の場合は、左セグメントF(特図1用保留LED1)が1個だけ点滅している保留表示態様(第1の保留表示態様:左セグメントF=点滅、下セグメントG=消灯)となる。また、作動保留球数2個(保留2)の場合は、左と下のセグメントF、G(特図1用保留LED1と特図1用保留LED2)が共に点滅している保留表示態様(第2の保留表示態様:左セグメントF=下セグメントG=点滅)となる。また、作動保留球数3個(保留3)の場合は左セグメントF(特図1用保留LED1)が点灯で、下セグメントG(特図1用保留LED2)が点滅している保留表示態様(第3の保留表示態様:左セグメントF=点灯、下セグメントG=点滅)となる。そして、作動保留球数4個(保留4)の場合は左と下のセグメントF、G(特図1用保留LED1と特図1用保留LED2)が共に点灯している保留表示態様(第4の保留表示態様:左セグメントF=下セグメントG=点灯)となる。
また、図54(ロ)は特別図柄2作動保留球数の表示(特図2保留表示)機能を示している。この例の場合、保留複合表示用LED表示器38cは、8字状配置7セグメントの上側のロの字状に配置された4つのLEDセグメントA、B、F、Gのうち、「上」と「右」に配置された2つのLEDセグメントA、B(特図2用保留LED1と特図2用保留LED2)の点灯と点滅の組合せによる表示態様により、特別図柄2の作動保留球数が表示される。
具体的には、図54(ロ)に示すように、作動保留球数1個(保留1)の場合は、上セグメントA(特図2用保留LED1)が1個だけ点滅している保留表示態様(第1の保留表示態様:上セグメントA=点滅、右セグメントB=消灯)となる。また、作動保留球数2個(保留2)の場合は、上と右のセグメントA、B(特図2用保留LED1と特図2用保留LED2)が共に点滅している保留表示態様(第2の保留表示態様:上セグメントA=右セグメントB=点滅)となる。また、作動保留球数3個(保留3)の場合は、上セグメントA(特図2用保留LED1)が点灯で、右セグメントB(特図2用保留LED2)が点滅している保留表示態様(第3の保留表示態様:上セグメントA=点灯、右セグメントB=点滅)となる。そして、作動保留球数4個(保留4)の場合は、上と右のセグメントA、B(特図2用保留LED1と特図2用保留LED2)が共に点灯している保留表示態様(第4の保留表示態様:上セグメントA=右セグメントB=点灯)となる。
また、図54(ハ)は普通図柄の作動保留球数の表示(普図保留表示)機能を示している。この例の場合、保留複合表示用LED表示器38cは、8字状配置7セグメントの下側のU字状に配置された3つのセグメントCDEのうち、「左」と「右」に配置された2つのセグメントC、E(普図用保留LED1と普図用保留LED2)の点灯と点滅の組合せによる表示態様により、普通図柄の作動保留球数が表示される。
具体的には、図54(ハ)に示すように、作動保留球数1個(保留1)の場合は、右セグメントC(普図用保留LED1)が1個だけ点滅している保留表示態様(第1の保留表示態様:右セグメントC=点滅、左セグメントE=消灯)となる。また、作動保留球数2個(保留2)の場合は、右と左のセグメントC、E(普図用保留LED1と普図用保留LED2)が共に点滅している保留表示態様(第2の保留表示態様:右セグメントC=左セグメントE=点滅)となる。また、作動保留球数3個(保留3)の場合は、右セグメントC(普図用保留LED1)が点灯で、左セグメントE(普図用保留LED2)が点滅している保留表示態様(第3の保留表示態様:右セグメントC=点灯、左セグメントE=点滅)となる。そして、作動保留球数4個(保留4)の場合は、上と右のセグメントA、B(普図用保留LED1と普図用保留LED2)が共に点灯している保留表示態様(第4の保留表示態様:右セグメントC=左セグメントE=点灯)となる。
図54(ニ)は変動時間短縮機能作動中(変動短縮中(時短中))を報知する表示機能を示している。この例の場合、保留複合表示用LED表示器38cは、8字状配置7セグメントの下側のU字状に配置された3つのセグメントCDEのうち、「下」に配置された1つのセグメントD(時短中報知LED1)が点灯しているか否かにより、変動時間短縮機能(変動短縮(時短)機能)が作動しているか否かを表示する。
図54(ホ)は高確率状態中(高確中)を報知する表示機能を示している。この例の場合、保留複合表示用LED表示器38cは、8番目のセグメントであるドットDP(高確中報知LED)の点灯の有無により、遊技状態が高確率状態にあるか否かを表示する。このドットDP(高確中報知LED)は、高確率状態下での電断復帰の場合に条件装置が作動するまで点灯し、電源断復旧時に確率変動機能作動中を報知する。
以上の作用を踏まえ、各種機能表示部の構成をLEDを中心にして見ると、特図1表示用LED表示器38a、特図2表示用LED表示器38bは第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示中に点滅表示される複数個のLEDによりそれぞれ構成される。また保留複合表示用LED表示器38cのLEDセグメントF、GおよびLEDセグメントA、Bは、それぞれ第1特別図柄保留数表示手段および第2特別図柄保留数表示手段として働く。そこで、第1特別図柄保留数表示手段および第2特別図柄保留数表示手段は、その発光パターンの点灯と点滅の組み合わせによって保留数に関する複数の遊技状態を表示する複数個のLED(LEDセグメントF、GおよびA、B)によりそれぞれ構成されていることになる。
(16−5.普図・ラウンド表示ブロック39の表示機能:図55)
図55は普図・ラウンド表示ブロック39の表示機能を示したものである。この普図・ラウンド表示ブロック39内には、図55(イ)に示すように、ドット状の2個のLEDを横に配設して成る普通図柄表示装置39aと、その上方にドット状の3個のLEDを横に配設して成るラウンド数表示装置39bとが配設されている。
普通図柄表示装置39aは、これを構成する2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作(左右交互に点滅を繰り返し、所定時間後に停止表示する)により普通図柄変動表示ゲームが実行される。そして、この普通図柄の変動表示(左右交互に点滅を繰り返す)が停止した場合、図55(ロ)に示すように、2個のLEDのうちで、左のLEDが点灯したときは「ハズレ」を、右のLEDが点灯したときは当りを表すように構成されている。
ラウンド数表示装置39bは、3個のLEDのうち、左側のLED(図52のLED5)が点灯したときは大当りの種別が「2R(ラウンド)」の当り、つまり2R短開放潜確大当り等である旨を示し、中側と右側のLED(図52のLED4、3)が点灯したときは大当りの種別が「10R(ラウンド)」の当りつまり10R長開放確変大当り等である旨を示し、また左側、中側、右側の3個のLED(図52のLED5、4、3)が点灯したときは大当りの種別が「15R(ラウンド)」の当りつまり15R長開放確変大当り等である旨を示し、その際、右側のLED(図52のLED3)の点灯により「右打ち」を示すように構成されている。しかし、2R大当りと15R大当りだけを持つ仕様の弾球遊技機の場合には、15R大当り時のラウンド数表示装置39bの表示態様として、上記3個のLEDのうち中側と外側の2個のLEDを点灯させ、その2個のLEDのうち、中側のLEDの点灯により15R大当りを示し、右側のLEDの点灯により「右打ち」を示すように構成することもできる。
(16−6.特図保留表示用LEDの表示機能:図56)
図56は、上記特別図柄1作動保留球数についての第1の保留表示態様(保留1個)〜第4の保留表示態様(保留4個)および保留なしの第5の表示態様を作り出すために、二種類の特図1保留表示用LED表示データテーブルA、Bを切り替える切替方式(特図1保留表示の表示切替態様)を示したものである。
特図1保留表示用LED表示データテーブルAには、左と下のセグメントF、G(特図1用保留LED1と特図1用保留LED2)について、LED1=LED2=消灯、LED1=点灯かつLED2=消灯、LED1=LED2=点灯、LED1=LED2=点灯、LED1=LED2=点灯の表示データが、オフセット値0番地からオフセット値4番地に、順次記憶されている。また、特図1保留表示用LED表示データテーブルBには、左と下のセグメントF、G(特図1用保留LED1と特図1用保留LED2)について、LED1=LED2=消灯、LED1=LED2=消灯、LED1=LED2=消灯、LED1=点灯かつLED2=消灯、LED1=LED2=点灯の表示データが、オフセット値0番地からオフセット値4番地に、順次記憶されている。
特別図柄1作動保留球数について「保留なし」の場合には、特図1保留表示用LED表示データテーブルAにおけるオフセット値0番地のLED表示データ(LED1=LED2=消灯)と特図1保留表示用LED表示データテーブルBにおけるオフセット値0番地のLED表示データ(LED1=LED2=消灯)とを、交互に256ms間隔で切り替えて使用することにより、両テーブルA、Bのいずれの切替側にあっても、左と下のセグメントF、Gを継続的な「消灯表示」とする。
また「保留1個」の場合には、特図1保留表示用LED表示データテーブルA、Bにおけるオフセット値1番地のLED表示データ(テーブルA側でLED1=点灯かつLED2=消灯、テーブルB側でLED1=LED2=消灯)を、交互に256ms間隔で切り替えて使用する。これにより、左セグメントF(LED1)については、テーブルA側で点灯しテーブルB側で消灯することにより、継続的な「点滅表示」となり、また、下セグメントG(LED2)については、テーブルA側で消灯しテーブルB側で消灯することにより、継続的な「消灯表示」となる(図54(イ)の保留1の状態参照)。
また「保留2個」の場合には、特図1保留表示用LED表示データテーブルA、Bにおけるオフセット値2番地のLED表示データ(テーブルA側でLED1=LED2=点灯、テーブルB側でLED1=LED2=消灯)を、交互に256ms間隔で切り替えて使用する。これにより、左セグメントF(LED1)と下セグメントG(LED2)の双方が、テーブルA側で同時に点灯しテーブルB側で同時に消灯することにより、継続的な「点滅表示」となる(図54(イ)の保留2の状態参照)。
また「保留3個」の場合には、特図1保留表示用LED表示データテーブルA、Bにおけるオフセット値3番地のLED表示データ(テーブルA側でLED1=LED2=点灯、テーブルB側でLED1=点灯かつLED2=消灯)を交互に256ms間隔で切り替えて使用する。これにより、左セグメントF(LED1)については、テーブルA側およびテーブルB側の双方で点灯することにより、継続的な「点灯表示」となり、また、下セグメントG(LED2)については、テーブルA側で点灯しテーブルB側で消灯することにより、継続的な「点滅表示」となる(図54(イ)の保留3の状態参照)。
また「保留4個」の場合には、特図1保留表示用LED表示データテーブルA、Bにおけるオフセット値4番地のLED表示データ(テーブルA側でLED1=LED2=点灯、テーブルB側でLED1=LED2=点灯)を、交互に256ms間隔で切り替えて使用する。これにより、左セグメントF(LED1)と下セグメントG(LED2)の双方が、テーブルA側でもテーブルB側でも同時に点灯することにより、継続的な「点灯表示」となる(図54(イ)の保留4の状態参照)。
図56には示してないが、特別図柄2作動保留球数についても、第1の保留表示態様〜第4の保留表示態様を作り出すために用いる二種類の特図2保留表示用LED表示データテーブルA、Bが用意され、セグメントA(特図2保留LED1)とセグメントB(特図2保留LED2)について、上記の「保留0個」〜「保留4個」の場合と同じ表示データの切替制御が行われる。
(16−7.点滅周期の相違)
上記した特図1表示用LED表示器38aおよび特図2表示用LED表示器38bと、保留複合表示用LED表示器38cとには、主制御部20からダイナミック点灯コモンC0〜C3とダイナミック点灯データD0〜D4の信号が加えられて、ダイナミック点灯駆動される。
その際、上記特図1表示用LED表示器38aおよび特図2表示用LED表示器38bの点滅周期と、保留複合表示用LED表示器38cの点滅周期とは互いに異なっている。これらのLEDのうちで特に特別図柄表示と保留個数表示とに注目すると、特別図柄表示系(特図1表示用LED表示器38aおよび特図2表示用LED表示器38b)の点滅周期は128ms周期であり、これに対し保留個数表示系(保留複合表示用LED表示器38c)の点滅周期は256ms周期となっている。つまり特図表示用LED表示器38a、38bのLED(セグメントG、DP)の第1の点滅周期よりも特別図柄保留数表示手段のLED(保留複合表示用LED表示器38cのセグメントF、GまたはA、B)の第2の点滅周期の方が長くなっている。このため特別図柄表示系の表示と保留個数表示系の表示とを区別して認識することが容易となっている。この作用効果は、非遊技領域の局所的な狭い場所に7セグメント表示器やLEDを配置したり、その周囲に説明プレート等を配置しない形態とした場合に特に顕著となる。
すなわち、遊技盤の非遊技領域に所定数接近して集約的に設けられ、遊技の進行を制御する主制御部により駆動制御される複数のLED群(この実施形態では、表示器38a、38b、38cのLEDセグメント群および普図・ラウンド表示ブロック39のLED群)により構成される各種機能表示部(図51(イ))を有するので、一方においては、それらのLEDうちで、たとえば点滅周期の速いLEDセグメント群が存在することを認識できれば、それは特図1表示用LED表示器38aまたは特図2表示用LED表示器38bのLEDセグメントの点滅であって、そのLEDセグメントの表示態様(図53参照)から、特別図柄1、2が変動中であるか否かや変動停止した場合にどの図柄で停止したかを含む特別図柄の表示態様についての遷移状況が判る。他方においては、これとの比較において、点滅周期の遅いLEDセグメント群(F、G、またはA、B)が存在することを認識できれば、それは保留個数表示系(保留複合表示用LED表示器38c)のLEDセグメントの点滅であって、そのLED表示態様(図54(イ)(ロ)、図56参照)から、特別1保留表示と当別2保留表示の区別、および特別図柄1、2についての保留個数の遷移状況、すなわち保留0〜保留4の間で保留個数表示が変化する様子が判る。
(16−8.7セグメントLED表示器を用いることの利点)
弾球遊技機等ではプロセッサとして8ビットマイコンのZ80系が用いられるので、LED表示器には、特別図柄や保留個数等の表示態様を1バイト(8ビット)に収まるデータで区別できるセグメント数(8個)のLED表示器であることが望まれる。1つのLED表示器についてそのセグメント数を8個から1個でも多くしようとすると、その1個のセグメントの増加のために、扱うデータは更に1バイト増やして16ビットとすることが必要になるからである。もちろん16個のセグメントを持つLED表示器を作製し使用することも考えられるが、汎用の7セグメントLED表示器を2個用いることでその機能をまかなえるので、ことさらに独自の16セグメントLED表示器を作製して使用する必要性に乏しい。ドットを含めて計8個のLEDセグメントを基板に搭載した7セグメントLED表示器が採用される理由は、一つにはここにある。7セグメントLED表示器が採用される他の理由は、計8個のセグメントのうち、そのうちの7個は横向きや縦向きという配向の違いにより相互の区別ができる細長い形状をしており、残りの1個のセグメントは他と区別できるドット状をしていること、このため各セグメントの配置関係(配向と配置位置)から、視覚的にどのセグメントが作動(点灯または点滅)しているかを特定でき、したがって作動しているセグメントの数と配置関係によって、特定の形(例えば数字の1、2、3・・など)の表示態様を現出させることができる点にある。
一方、上記7セグメントLED表示器であっても、その限られた計8個のセグメントを用いて、8種類を超える多種類のLED表示態様を現出させることができれば、使用する7セグメントLED表示器の個数を少なくすることができる。たとえば、互いに異なる4種類のLED表示態様を3組(計12種類のLED表示態様)現出させようとすると、単純には、12個のLEDセグメントが必要であるので、この計12種類の表示態様を1個の7セグメントLED表示器(セグメント数8個)で現出させようとすると、表示態様の種類の数に対してLEDセグメントの数が4つ不足することになる。
しかし、本実施形態の場合、特別図柄1の作動保留球数、特別図柄2の作動保留球数、および普通図柄の作動保留球数の表示は、いずれもLED表示器中の2個のセグメントだけによって、それぞれ保留1〜保留4という4種類の保留表示態様を表現することを可能にしている。たとえば特別1保留表示の場合、セグメントF、Gの2個の発光パターンの組合せで保留1〜保留4を表示する。このため、1個の7セグメントLED表示器38cであっても、上記した5つの表示機能(特別1保留表示の4種類、特別2保留表示の4種類、普図保留表示の4種類、変動短縮(時短中)報知の1種類、高確率(高確中)報知の1種類の計14種類)が全て表示可能となっている。
このように、本実施形態では、ドット付7セグメントLED表示器の計8個のセグメントのうち、その半分の上段側の4つのセグメントA、B、F、Gだけを用いて、特別図柄1と特別図柄2についての総ての作動保留球数の保留表示態様(計8種類)を表現することを可能にしているので、他の下段側の2つのセグメントC、EおよびDとドットDPについては、他に利用可能な余りのセグメントとなっている。そこで本実施形態では、下段側の2つのセグメントC、Eを用いて、普通図柄についての作動保留球数の保留表示態様(計4種類)を表現することを可能にし、セグメントDについては変動短縮(時短中)報知の表示に用い、ドットDPについては高確率(確変中)報知の表示に用いている。
また、本実施形態の場合、点滅周期が保留球数の表示態様と特別図柄の表示態様とで異なっているので、両者間の識別が容易である。すなわち、特別図柄表示系のLED表示器38a、38bについては点滅周期が128ms周期であり、保留個数表示系のLED表示器38cについては点滅周期が256ms周期となっている。このように点滅周期が互いに異なっているため、特別図柄表示系の表示と保留個数表示系の表示とを容易に区別して認識することができる。
たとえば、点滅周期の速いことから特別図柄表示系のLED表示器38a、38bの点滅であることが判り、そのLED表示器の表示態様から、特別図柄1、2の変動中および停止後の図柄の遷移状況が判る。また、これとの比較において、点滅周期が遅いことから保留個数表示系のLED表示器38cの点滅であることが判り、そのLEDセグメントA、B、F、Gの表示態様から、特別図柄1、2の保留個数が保留0〜保留4の間で変化する様子が判る。またLEDセグメントC、Eの表示態様からは、普通図柄の保留個数が保留0〜保留4の間で変化する様子が判る。
このように点滅周期を異ならせて特別図柄表示系のLED表示器38a、38bの点滅と保留個数表示系のLED表示器38cの点滅とを区別し視覚的に識別可能にしているため、特別図柄表示系のLED表示器38a、38bの周囲に、保留個数表示系のLED表示器38cと区別するための説明文(たとえば「特図1」や「特図2」や「当り」等)を表記したり、保留個数表示系のLED表示器38cの周囲にセグメントの役割を表記すことにより、間接的に特別図柄表示系のLED表示器38a、38bと区別するための説明文(たとえば「特図1保留」や「特図2保留」「普図保留」等の説明)を表記し、あるいは表示プレートを貼付すること等を必要としない。したがって、特別図柄表示系のLED表示器38a、38bや保留個数表示系のLED表示器38cの周囲に、それらの表記領域を確保する必要がない。
もちろん、7セグメントLED表示器を用いた場合でも、当りや保留個数の表示態様の意味を説明した説明文字プレートを周囲に配置することができ、これにより7セグメントLED表示器自体の役割やLEDセグメントの役割を理解しやすくすることができる。この方法は、1つの複合表示用LED表示器38c中に、特別図柄表示系の機能(たとえば当り)を示すセグメントと、保留表示系の機能(たとえば特図1保留表示や特図2保留表示)を示すセグメントとを混在させた構成の場合に、それぞれのセグメントの機能を明らかにする上で有効となる。しかし、このような説明文の文字等をLED表示器の周囲に配置することは、そのことにより無視し得ない面積を専有してしまう。よって、遊技盤内の非遊技領域である四隅の局部領域に在るコーナー飾り(遊技盤内の非遊技領域である飾り枠)などに配置できるようにするために寸法形状上の工夫をすることを必要とし、事情によっては遊技盤のコーナー飾りなどに配置することを困難にする。本実施形態のように、特別図柄表示系のLED表示器38a、38bの点滅と保留個数表示系のLED表示器38cの点滅周期を異ならせることは、LEDを互いに接近して配置している場合でも、それらLEDの表示機能を説明する文字プレート等の存在を不要とすることができることから、LED相互の配置上の制約を受けない構造を間接的に構築しうる点で意義がある。
また8個のLEDセグメントを8字状に配置せず、計独立したLED(セグメント)を面状にまたは直線的にまたは円弧状などの形に集中配置し、これらのLEDセグメントを8個で1単位として扱って、各々を1つの表示器にした構成とすることもできる。
<17.各機能表示部の制御>
次に上記各機能表示部(図51(イ))の制御の仕方について説明する。
(17−1.ワーク領域と特別図柄LED出力データテーブル:図61、図62)
図61は特別図柄と普通図柄の表示に関連するRAMのワーク領域を示す。ここには、特別図柄1に関して、「W_T1MVFLG 特別図柄1変動中フラグ」、「W_T1ZCNT 特別図柄1変動カウンタ」、「W_T1STPNO 特別図柄1停止図柄番号」、「W_T1ZGRNO 特別図柄1表示図柄番号」のワーク領域が確保される。また、特別図柄2に関して、「W_T2MVFLG 特別図柄2変動中フラグ」、「W_T2ZCNT 特別図柄2変動カウンタ」、「W_T2STPNO 特別図柄2停止図柄番号」、「W_T2ZGRNO 特別図柄2表示図柄番号」のワーク領域が確保される。また普通図柄に関して、「W_FMVFLG 普通図柄変動中フラグ」、「W_FZCNT 普通図柄変動カウンタ」、「W_FSTPNO 普通図柄停止図柄番号」、「W_FZGRNO 普通図柄表示図柄番号」の各ワーク領域が確保される。
このW_T1MVFLG領域には図15のステップS413で特別図柄1変動中フラグが格納され、W_T1STPNO領域には図15のステップS410で特別図柄1停止図柄番号が格納される。またW_T2MVFLG領域には図15のステップS413で特別図柄2変動中フラグが格納され、W_T2STPNO領域には図15のステップS410で特別図柄2停止図柄番号が格納される。
図62は特別図柄LED出力データテーブルを示す。この特別図柄LED出力データテーブルは特別図柄1用と特別図柄2用の2つが用意されているが、両者は特別図柄1用と特別図柄2用の区別があるだけで、他は同じ構成であるので、ここでは特別図柄1用のみを示し、その説明を以て特別図柄2用の説明に代える。
この図62の特別図柄LED出力データテーブルには、表示データである特別停止図柄番号(正確には図61の表示図柄番号)と図柄表示用のLEDデータ(LED出力データ)とが関連付けて定めてあり、特別停止図柄番号がいずれの値であるかにより、変動専用図柄または停止図柄のLEDデータが決定されるようになっている。ここで変動専用図柄は停止図柄としては出現することのない図柄であるため、その識別番号を特別停止図柄番号と呼ぶことは厳密には適切でない。しかし、図62の制御上は、変動専用図柄に対する識別番号を特別停止図柄番号の一種であるとして同列に扱うことが可能であるので、そのように扱い、説明の上で厳密な区別が必要な場合には「変動用図柄番号」と称して本来の特別停止図柄番号と区別することにする。この点を考慮し、図62のテーブルでは、特別停止図柄番号の欄内において、変動専用図柄に対する識別番号である変動用図柄番号を括弧で囲んで表示してある。
図62の特別図柄LED出力データテーブルにおいて、相対アドレス0番地には、変動専用図柄「0」のLEDデータ「00111111B」が格納されており、表示データである変動用図柄番号「00H」により特定される関係となっている。
また図62のテーブルの1番地〜3番地には、ハズレA〜Cの停止図柄のLEDデータが格納されており、これらは図33のハズレ図柄テーブルの特別停止図柄番号“01H”〜“03H”で特定される。具体的には、1番地にはハズレA図柄「−」のLEDデータ「01000000B」が、また2番地にはハズレB図柄「・」のLEDデータ「10000000B」が、そして3番地にはハズレC図柄「−.」の出力データ「110000000B」が格納され、それぞれ特別停止図柄番号“01H”、“02H”、“03H”により特定される。これらのハズレA〜Cの停止図柄用LEDデータのうち、1番地のハズレA図柄「−」のLEDデータは、停止図柄用のLEDデータであると共に、特別図柄の変動表示中の期間である旨の表示をなす変動用図柄のLEDデータとしても働く変動・停止兼用のLEDデータである。これを変動用図柄の表示データの方から見て表現すると、0番地には、変動表示中の期間において変動用図柄の「0」と「−」を交互に表示するための一方の表示図柄「0」用の「変動中データ0」を出力するLEDデータを格納してあり、また1番地には、表示図柄「0」と「−」を交互に表示する際の他方の表示図柄「−」用の「変動中データ1」を出力するLEDデータを格納してあることになる。
また図62のテーブルの4番地〜6番地にはそれぞれ2R短開放潜確当り、7番地〜12番地にはそれぞれ10R長開放確変当り、13番地〜15番地にはそれぞれ15R長開放確変についての停止図柄のLEDデータ(図31の特別停止図柄番号04H〜0FHに対応するLEDデータ)が、また、16番地〜18番地には小当りA〜Cについての停止図柄データ(図32の小当りの特別停止図柄番号10H〜12Hに対応するLEDデータ)が、それぞれ順次格納してある。
したがって、この図62の特別図柄LED出力データテーブルには、図33(イ)に示す3種類の特別停止図柄番号のハズレ停止図柄LEDデータと、図31(イ)に示す12種類の特別停止図柄番号の大当たり停止図柄LEDデータと、図32に示す3種類の特別停止図柄番号の小当り停止図柄LEDデータとが格納されている。これらの停止図柄LED出力データは、当該特別図柄LED出力データテーブルの0番地を先頭アドレスとする相対アドレス値(オフセット値0、1、2・・・)で指定される。
(17−2.特別図柄表示データ更新処理:図57)
図57は、特別図柄表示データ更新処理(図9のステップS309)の詳細を示したものである。この図57の特別図柄表示データ更新処理では、まず特別図柄1に関して表示データの更新を行うため、図15のステップS413でRAM203のW_T1MVFLG領域に格納した特別図柄1変動中フラグと、図13のステップS362でRAM203のW_T1STPNO領域に格納した特別図柄1停止図柄番号を、別々のレジスタにロードし(ステップS631、S632)、この特別図柄1変動中フラグと特別図柄1停止図柄番号をレジスタに保持した状態で次のステップS633に進み、特別図柄1についての図柄表示データ作成処理を実行する(ステップS633)。
次いで、特別図柄2に関して表示データの更新を行うため、図15のステップS413でRAM203のW_T2MVFLG領域に格納した特別図柄2変動中フラグと、図13のステップS362でRAM203のW_T2STPNO領域に格納した特別図柄2停止図柄番号を、別々のレジスタにロードした後(ステップS634、635)、この特別図柄2変動中フラグと特別図柄2停止図柄番号をレジスタに保持した状態で次のステップS636に進み、特別図柄2についての図柄表示データ作成処理を実行する(ステップS636)。
(17−3.図柄表示データ作成処理:図58)
図58は、上記特別図柄表示データ更新処理(図57)中のステップS633とステップS636で呼び出されて使用される図柄表示データ作成処理(サブルーチン)の詳細を示したものである。この図柄表示データ作成処理は、特別図柄1の図柄表示データ作成処理(ステップS633)と特別図柄2の図柄表示データ作成処理(ステップS636)において、共通の処理モジュールとして利用される。なお、この図柄表示データ作成処理は、普通図柄についても共通の処理モジュールとして利用される。
図58の図柄表示データ作成処理を用いて、まず特別図柄1の図柄表示データを作成する。この場合は、まずレジスタにセットした特別図柄1変動中フラグの内容が5AH(特別図柄1が変動中)であるか否かをチェックする(ステップS641)。
特別図柄1変動中フラグが5AHである場合(特別図柄1が変動中の場合)は、RAMワーク領域W_T1ZCNTにある特別図柄1変動カウンタの値をHLレジスタにロードして、そのHLレジスタ(特別図柄1変動カウンタ)の値を+1(1加算)する(ステップS642)。
ここで「変動カウンタ」とは、特別図柄1または特別図柄2について、それぞれ二種類の図柄「0」と「−」を交互に切替表示することを目的として、LEDの表示データ(点滅と点灯)を切替制御するために用いられる切替タイミング作成用のカウンタである。この変動カウンタは、特別図柄が変動中(変動表示の期間中)であれば、その期間中、主制御側タイマ割込処理(図8)の割込み周期である4ms毎に+1され、そのカウンタ値が増加して行き(図58のステップS642)、特別図柄の変動表示の期間(変動時間)が終了するとクリアされる(図20のステップS453)。このため変動カウンタのカウント動作、したがって後述する変動カウンタのBit5の出力の更新動作は、特別図柄の変表示の期間中においてのみ行われる。この変動カウンタには、図57のステップS633またはS636のいずれで用いられるかにより、特別図柄1変動カウンタと特別図柄2変動カウンタという二つの種別がある。図57のステップS633で用いられる場合は特別図柄1変動カウンタとして働き、またステップS636で用いられる場合は特別図柄2変動カウンタとして働く。なお、この変動カウンタは、後述するLED出力カウンタ(ステップS651、S6653、S671参照)とは別のカウンタである。
次いで、特別図柄1変動カウンタ(HLレジスタペア)のBit5(6ビット目)の値をチェックする(ステップS643)。特別図柄1変動カウンタは4ms毎に1回カウントするので、Bit5の2進出力は、32カウントする128msを周期として「1」と「0」が切り替わる。
この特別図柄1変動カウンタのBit5が「0」の場合は、ステップS644に進み、変動専用図柄「0」用の「変動中データ0」を表示図柄番号(ここでは特別図柄1表示図柄番号W_T1ZGRNO)のエリアにセットする(ステップS644)。具体的には、相対アドレス値として該当番地を指定し、「0」表示用の変動中データ0(変動用図柄番号00H)を、図61のワーク領域W_T1ZGRNO(特定図柄1表示図柄番号)にセットする(ステップS644)。このW_T1ZGRNOのエリアに変動中データ0がセットされることにより、特図1表示用LED表示器38aに、変動中表示専用の図柄として変動専用図柄「0」が表示されることになる。
また、上記変動専用図柄「0」が表示されてから128msが経過して、特別図柄1変動カウンタのBit5の2進出力が「0」から「1」に切り替わった場合は、ステップS645に進み、表示図柄「−」用の「変動中データ1」を表示図柄番号(ここでは特別図柄1表示図柄番号W_T1ZGRNO)のエリアにセットする(ステップS645)。具体的には、相対アドレス値として該当番地を指定し、バー「−」表示用の変動中データ1(特別停止図柄番号01H)を、図61のワーク領域W_T1ZGRNO(特定図柄1表示図柄番号)のエリアにセットする(ステップS645)。このW_T1ZGRNOのエリアに変動中データ1がセットされることにより、特図1表示用LED表示器38aに、特定図柄1のハズレA停止図柄からなる変動兼用図柄のバー「−」が表示されることになる。
また、上記バー「−」が表示されてから128msが経過すると、特別図柄1変動カウンタのBit5が「1」から「0」に切り替わり、W_T1ZGRNOのエリアに変動中データ0がセットされて、特図1表示用LED表示器38aに特定図柄1の変動専用図柄として図柄「0」が表示されることになる。
上記した変動カウンタのBit5の2進出力が128msを周期として「1」と「0」に切り替わることにより、図柄変動中においては、第1特別図柄表示装置(特図1表示用LED表示器)38aの表示が、128msを周期として「0」と「−」に切り替わることになる。
ここで、上記図53では特別図柄表示用LED表示データテーブルにA、Bの二種類があるとして説明したが、実際には、変動専用図柄「0」とハズレA図柄「−」の図柄表示のために、同じ一つの特別図柄LED出力データテーブルが兼用される。この形態を図65(a)に略示する。ここでは図62の場合の変動専用図柄「0」の表示データとハズレA停止図柄「−」の表示データは、変動中データとして1つにまとめて表示され、そしてハズレ停止図柄データとしては、変動兼用図柄のハズレA停止図柄「−」が1つだけ存在するものとして略示されている。
このように、「0」と「−」の図柄表示のために、同じ特別図柄LED出力データテーブルAを切り替えの両側で兼用しているため、128ms毎に切り替える先の特別図柄LED出力データテーブル(図62参照)を「0」用と「−」用に別々に二種類用意する必要がなく、一種類だけ用意すれば足りる。このことは特別図柄2についての図柄表示データを作成する処理の場合にも当てはまる。特別図柄2についての図柄表示データを作成する場合も、図62と同様に構成された特別図柄2用の特別図柄LED出力データテーブルが一種類だけ用意され、この同じ特別図柄2用の特別図柄LED出力データテーブルが、「0」図柄表示用の切替先データテーブルとして、および、「−」図柄表示用の切替先データテーブルとして共通に用いられる。
すなわち、特別図柄1の変動表示中の期間においては、変動用図柄の表示データ(変動用図柄番号00Hと特別停止図柄番号01H)を交互にW_T1ZGRNO領域(表示図柄番号領域)にセットし、特別図柄LED出力データテーブルにおける0番地を示す相対アドレスと、停止図柄1番地を示す相対アドレスとを交互に指定して変動用図柄番号00Hと特別停止図柄番号01H(正確には表示図柄番号)に対応したLEDデータを作成する。このように同じ特別図柄LED出力データテーブルAを参照して、図柄「0」用のLEDデータ「00111111B」と図柄「−」用のLEDデータ「01000000B」が作成され交互に出力される。
この特別図柄1の変動表示中の期間(たとえば通常変動3sの3秒や特殊通常変動10sの10秒など)が経過すると、特図1表示用LED表示器38aにおいて、あらかじめ特別図柄1表示図柄番号で特定された特別図柄1が停止表示される。つまりステップS641の判断において、変動中フラグが5AHでない(特別図柄1が停止中)と判断された場合には、該当する特別図柄1停止図柄データをワーク領域W_T1ZGRNO(表示図柄番号)にセットする(ステップS646)。
たとえば、特別図柄の停止図柄が「ハズレA」である場合は、その停止図柄データ(図33の特別停止図柄番号01H)をW_T1ZGRNO領域にセットする。ここでハズレAの場合の停止図柄データは、ハズレA図柄「−」を表示するデータであり、これは変動表示中に「0」と「−」を切り替え表示する他方の停止図柄「−」の表示データと兼用されている。また、特別図柄の停止図柄が「ハズレB」である場合は、その停止図柄データ(図33の特別停止図柄番号02H)をW_T1ZGRNO領域にセットする。また、特別図柄の停止図柄が「ハズレC」である場合は、その停止図柄データ(図33の特別停止図柄番号03H)をW_T1ZGRNO領域にセットする。
また、「2R短開放潜確当り」である場合は、たとえば停止図柄「2」の停止図柄データ(図31の特別停止図柄番号04H〜06H)をW_T1ZGRNO領域にセットする。また「10R長開放確変当り」である場合は、たとえば停止図柄「3」の停止図柄データ(図31の特別停止図柄番号07H〜0CH)をW_T1ZGRNO領域にセットする。その他の停止図柄13番地以降の「15R長開放確変当り」や「小当りA」「小当りB」「小当りC」等の停止図柄を停止表示する場合も同様であり、それぞれ図31の特別停止図柄番号0DH〜0FHや、図32の特別停止図柄番号10H〜12HをW_T1ZGRNO領域にセットする。
このようにして、特別図柄1の特別停止図柄番号がW_T1ZGRNO領域(表示図柄番号領域)にセットされると、図62の特別図柄LED出力データテーブルが参照され、当該特別停止図柄番号(正確には表示図柄番号)に対応したLEDデータが作成されて、LEDデータが出力され、特別図柄1表示図柄番号で特定された特別図柄が特図1表示用LED表示器38aに停止表示される。
特別図柄が停止表示した後は、特別図柄表示の点滅周期128msより2倍以上長い500msの停止状態を維持した後、次の図柄変動表示動作が開始される。
特別図柄2についても同様にして、図57のステップS624〜S626の処理が行われ、図58の図柄表示データ作成処理が呼び出される。この図柄表示データ作成処理では、まず図57のステップS624で取得した特別図柄2変動中フラグに基づいて特別図柄2が変動中であるか否かがチェックされる。そして、特別図柄2が変動表示中の期間は、特別図柄2変動カウンタが4ms毎に+1され、そのBit5の出力が「0」の場合は特別図柄2表示図柄番号(特別図柄2表示図柄番号W_T2ZGRNO)のエリアに「0」用の「変動中データ0」がセットされ、「1」の場合は特別図柄2表示図柄番号(特別図柄2表示図柄番号W_T2ZGRNO)のエリアに「−」用の「変動中データ1」がセットされる。これにより、特図2表示用LED表示器38bに、特定図柄2の変動中は「0」と「−」が128ms周期で交互に点灯表示されることになる。
この特別図柄2の変動表示中の期間が経過すると、ステップS641からステップS646に進み、該当する特別図柄2停止図柄データをワーク領域W_T2ZGRNO(表示図柄番号)にセットする(ステップS646)。これにより特図2表示用LED表示器38bにおいて、あらかじめ特別図柄2表示図柄番号で特定された特別図柄2が停止表示されることになる。そして、特別図柄表示の点滅周期128msより2倍以上長い500msの停止状態を維持した後、次の図柄変動表示動作が開始される。
(17−4.LED管理処理、図59)
図59は、LED管理処理(図8のステップS62)の詳細を示したものである。このLED管理処理では、図51に示した特図1表示用LED表示器38a、特図2表示用LED表示器38b、保留・時短・高確複合表示装置38c、普通図柄表示装置39aやラウンド数表示装置39bのLEDに対して、表示データに基づいたLEDデータを作成し出力する。これにより、普通図柄や、特別図柄の変動表示動作および停止図柄の表示や、保留数に応じた点滅・点灯表示等が行われる。
図59のLED管理処理は、まずLEDコモンポートとLEDデータポートにクリア信号を出力して同ポートをクリアし(ステップS651)、LED出力カウンタを更新(+1)する(ステップS652)。このLED出力カウンタは、主制御側タイマ割込処理(図8)の割込み周期である4ms毎に+1されて、そのカウント値が増加して行き、所定のビットからLEDの点滅周期を特定するデータを出力させるためのカウンタである。
ここで「LED出力カウンタ」は2つの働きをする。その第1の働きとして、同LED出力カウンタの下位2ビット分の出力を用いて、LEDコモンをダイナミック駆動する周期(16ms)の出力を得る。また第2の働きとして、同LED出力カウンタのBit6(7ビット目)の出力を用いて、保留複合表示用LED表示器38cの保留・時短・高確複合表示を点滅させる所定周期(256ms)の出力を得る。つまり特別図柄1作動保留球数と特別図柄2作動保留球数の表示、普図保留表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知の各々について、それらのLEDセグメントの表示態様を「消灯」から「消灯」へ、「消灯」から「点灯」へ、「点灯」から「点灯」へ、「点灯」から「消灯」へのいずれかの状態に切り替える切替え周期(256ms)の出力を得る。このうち特に特別図柄1作動保留球数、特別図柄2作動保留球数の表示および普図保留表示のLEDセグメントGとF、AとB、およびDについては、それぞれのセグメントを、上記256msを切替え周期とする切替の一側での表示態様を「点滅」と「点灯」のいずれに置くかを定めた保留表示用LEDデータテーブルAと、切替えの他側での表示態様を「点滅」と「点灯」のいずれに置くかを定めた保留表示用LEDデータテーブルBとの二種類が用意される(図63参照)。LED出力カウンタのBit6の出力は、その両テーブルA、Bを256ms周期で交互に切替える切替タイミングを作成する働きをする。図65(b)は、このうち特に特図1保留表示をなすLEDセグメントGとFの表示態様を切り替える場合の切替方式(特図1保留表示の表示切替態様)を略示したものである。
そこでLED出力カウンタの下位2ビット(ビット0とビット1)の出力状態をチェックし(ステップS653)、LED出力カウンタの下位2ビット分の出力が「00→01→10→11→00→・・・」のように順次切り替わるにつれ、それぞれLEDダイナミック点灯コモンC0〜C3を順次選択駆動する(ステップS654、S657、S659、S661)。
図64に、7セグメントLED表示器38a、38b、38cおよび普図ラウンド数表示ブロック39の各LEDブロックをダイナミックに選択するコモンC0〜C3の走査信号(図52のダイナミック点灯コモンC0〜C3)と、各LEDブロック中の個々のLEDを個別に選択するLEDデータD0〜D7(図52のダイナミック点灯データD0〜D7)と、これらにより選択駆動される被駆動LED(セグメントA〜G、DPおよびLED1〜LED5)およびその表示機能との関係を示す。
セグメントA〜G、DPおよびLED1〜LED5の個々の被駆動LEDは、ダイナミック点灯コモンC0〜C3により自己の所属するLEDブロックが順次選択され、かつダイナミック点灯データD0〜D7の信号が自己に加えられることで、ダイナミック点灯駆動される。
走査信号によりLEDコモンC0(特図1表示用LED表示器38a)が選択駆動される場合は(ステップS654)、図柄表示データ作成処理(図58)により作成した特別図柄1表示図柄番号に応じたLEDデータを作成し(ステップS655)、LEDデータポートにLEDデータを出力する(ステップS656)。走査信号によりLEDコモンC1(特図2表示用LED表示器38b)が選択駆動される場合は(ステップS657)、特別図柄2表示図柄番号に応じたLEDデータを作成し(ステップS658)、LEDデータポートにLEDデータを出力する(ステップS656)。
走査信号によりLEDコモンC2(保留複合表示用LED表示器38c)が選択駆動される場合は(ステップS659)、保留個数データ作成処理(ステップS660)を行って、特別図柄1、特別図柄2、普通図柄の保留球数に応じたLEDデータと、状態報知LEDデータとを作成し、LEDデータポートにLEDデータを出力する(ステップS656)。保留個数データ作成処理の詳細は後述する。
また走査信号によりLEDコモンC3(普図・ラウンド表示ブロック39)が選択駆動される場合は(ステップS661)、普通図柄の表示図柄番号に応じたLEDデータと、ラウンド表示LEDデータと、右打ち表示LEDデータとを作成し(ステップS662)、LEDデータポートにLEDデータを出力する(ステップS656)。
(17−4−1.保留個数データ作成処理:図60)
保留個数データ作成処理では、まずLEDコモンのダイナミック駆動出力(周期:16ms)の作成(ステップS653)に用いたLED出力カウンタのBit6の出力状態をチェックする(ステップS671)。そして、LED出力カウンタのそのBit6の出力状態が0であるか1であるかに応じ、図63に示すLEDデータテーブルA、Bのいずれかを参照して、特別図柄1、特別図柄2、普通図柄の保留球数に応じたLEDデータと、状態報知LEDデータとを作成する(ステップS672〜S674)。
すなわち、ステップS671の判断において、LED出力カウンタのBit6の出力状態が0である場合は、LEDデータテーブルAを参照して、特別図柄1、特別図柄2、普通図柄の保留球数に応じたLEDデータを作成する(ステップS672)。次いで状態報知LEDデータ(時短中を報知する時短中LEDデータおよび高確中を報知する高確中LEDデータ)を作成し(ステップS673)、その後図59のステップS660に戻る。一方図60のステップS671の判断において、LED出力カウンタのBit6の出力状態が1である場合は、LEDデータテーブルBを参照して、特別図柄1、特別図柄2、普通図柄の保留球数に応じたLEDデータと、状態報知LEDデータを作成する(ステップS674)。次いで状態報知LEDデータを作成し(ステップS673)、その後図59のステップS660に戻る。
したがって、LED出力カウンタのBit6(7ビット目)の出力により256msを周期として、保留表示用LEDデータテーブルAと保留表示用LEDデータテーブルBとが切り替えられ、その切替の一方の側では、保留表示用LEDデータテーブルAを用いて、特別図柄1、特別図柄2、普通図柄の各保留球数に応じたLEDデータが作成されるとともに(ステップS672)、状態報知LEDデータとが作成される(ステップS673)。また切替の他方の側では、保留表示用LEDデータテーブルBを用いて、特別図柄1、特別図柄2、普通図柄の各保留球数に応じたLEDデータが作成されるとともに(ステップS674)、状態報知LEDデータとが作成される(ステップS673)。そして、図59のステップS660に戻り、それぞれLEDデータポートに出力される(ステップS656)。
(17−4−2.保留表示用LEDデータテーブル、図63)
図63は、LED出力カウンタのBit6(7ビット目)の出力により、256msを周期として交互に切り替えられる保留表示用LEDデータテーブルAとBを示したものである。両テーブルの最上欄はLED出力カウンタの8ビットの出力(LEDデータDn)を示しており、このLEDデータDn(Bit0〜7)のうち、Bit0〜1は保留複合表示用LED表示器38cのセグメントF、G(特図1用保留LED1、2)用、Bit2〜3はセグメントA、B(特図2用保留LED1、2)用、Bit4〜5はセグメントC、E(普図用保留LED1、2)用、Bit6はセグメントD(時短中報知LED1)用、Bit7はドットDP(高確中報知LED)用の表示出力データとなる。
保留表示用LEDデータテーブルA、BにおけるLEDデータDn(Bit0〜7)は、特別図柄1、特別図柄2および普通図柄についての作動保留球数の表示について、それぞれ「保留0」〜「保留4」の4種類が用意されており、それらの「保留0」〜「保留4」についてのLEDデータDnが、Bit0〜7の各ビット毎に「0」または「1」で定められている。ここで「0」は消灯を、「1」は点灯を意味する。
この2つの保留表示用LEDデータテーブルA、Bが256ms周期で交互に切り替えられる。
(a)特図1の保留LED1、2用データの場合
たとえば、保留複合表示用LED表示器38cに対するBit1〜0の特図1の保留LED1、2(セグメントF、G)用データの場合、特図1の「保留0」では、テーブルA、Bのいずれに切り替えられてもBit1〜0の出力は「00」であるので、結果として、Bit0に対応する左側の特図1用保留LED1も、またBit1に対応する下側の特図1用保留LED2も、共に「消灯」状態となる。図56中に、この「保留なし」の切替態様を示す。
特図1の「保留1」では、テーブルA側に切り替えられるとBit1〜0の出力は「01」、テーブルB側に切り替えられるとBit1〜0の出力は「00」となる。これが256ms周期で交互に切り替えられる。Bit0のデータは「1」と「0」の間を切り替わるため、このBit0に対応する左側の特図1用保留LED1は256ms周期で点滅を繰り返す「点滅」状態となる。またBit1のデータは「0」と「0」の間を切り替わるだけであるため、このBit1に対応する下側の特図1用保留LED2は「消灯」状態(図54(イ)の保留1の表示態様))となる。図56に、この「保留1個」の切替態様を示す。
特図1の保留2ではテーブルA側に切り替えられるとBit1〜0の出力は「11」、テーブルB側に切り替えられるとBit1〜0の出力は「00」である。これが256ms周期で交互に切り替えられるので、結果として、Bit0に対応する左側の特図1用保留LED1とBit1に対応する下側の特図1用保留LED2は共に「点滅」状態となる(図54(イ)の保留2の表示態様参照)。図56に、この「保留2個」の切替態様を示す。
特図1の保留3ではテーブルA側に切り替えられるとBit1〜0の出力は「11」、テーブルB側に切り替えられるとBit1〜0の出力は「01」である。これが256ms周期で交互に切り替えられる。Bit0のデータは「1」から「1」へ切り替わるだけで変わらないため、このBit0に対応する左側の特図1用保留LED1は「点灯」状態となる。またBit1のデータは「1」と「0」の間を切り替わるため、このBit1に対応する下側の特図1用保留LED2は「点滅」状態となる(図54(イ)の保留3参照)。図56に、この「保留3個」の切替態様を示す。
特図1の保留4ではテーブルA側に切り替えられるとBit1〜0の出力は「11」、テーブルB側に切り替えられるとBit1〜0の出力は「11」である。これが256ms周期で交互に切り替えられるので、結果として、Bit0に対応する左側の特図1用保留LED1とBit1に対応する下側の特図1用保留LED2は共に「点灯」状態となる(図54(イ)の保留2参照)。図56に、この「保留4個」の切替態様を示す。
(b)特図2の保留LED1、2用データの場合
保留複合表示用LED表示器38cに対するBit3〜2の特図2の保留LED1、2(セグメントA、B)用データの場合も、特図1の場合について図56に示したようなテーブルA、Bの切替による保留表示がなされる。すなわち「保留0」では、Bit2に対応する上側の特図2用保留LED1も、またBit3に対応する右側の特図2用保留LED2も、共に「消灯」状態(図56の「保留なし」の切替態様を参照)となる。
特図2の「保留1」では、テーブルA側のBit3〜2の出力「01」とテーブルB側のBit3〜2の出力「00」との切り替えになるので、Bit2に対応する上側の特図2用保留LED1は256ms周期で点滅を繰り返す「点滅」状態に、またBit3に対応する右側の特図2用保留LED2は「消灯」状態となる(図54(ロ)の保留1の表示態様、図56の「保留1個」の切替態様を参照)。
特図2の保留2ではテーブルA側のBit3〜2の出力「11」とテーブルB側のBit3〜2の出力「00」との切り替えになるので、Bit2に対応する上側の特図2用保留LED1とBit3に対応する右側の特図2用保留LED2は共に「点滅」状態となる(図54(ロ)の保留2の表示態様、図56の「保留2個」の切替態様を参照)。
特図2の保留3ではテーブルA側のBit3〜2の出力「11」とテーブルB側のBit3〜2の出力「01」との切り替えになるので、Bit2に対応する上側の特図2用保留LED1は「点灯」状態となり、Bit3に対応する右側の特図2用保留LED2は「点滅」状態となる(図54(ロ)の保留3の表示態様、図56の「保留3個」の切替態様を参照)。
特図2の保留4ではテーブルA側とテーブルB側のBit3〜2の出力がともに「11」であるので、Bit2に対応する上側の特図2用保留LED1とBit3に対応する右側の特図2用保留LED2は共に「点灯」状態となる(図54(イ)の保留2の表示態様、図56の「保留4個」の切替態様を参照)。
(c)普図の保留LED1、2用データの場合
保留複合表示用LED表示器38cに対するBit5〜4の普図(普通図柄)の保留LED1、2(セグメントC、E)用データの場合、普図の「保留0」では、テーブルA、Bのいずれに切り替えられてもBit5〜4の出力は「00」であるので、結果として、Bit4に対応する右側の普図用保留LED1も、またBit5に対応する左側の普図用保留LED2も、共に「消灯」状態となる。
普図の「保留1」では、テーブルA側に切り替えられるとBit5〜4の出力は「01」となり、テーブルB側に切り替えられるとBit5〜4の出力は「00」となる。これが256ms周期で交互に切り替えられる。Bit4のデータは「1」と「0」の間を切り替わるため、このBit4に対応する右側の普図用保留LED1は256ms周期で点滅を繰り返す「点滅」状態となる。またBit5のデータは「0」と「0」の間を切り替わるだけであるため、このBit5に対応する左側の普図用保留LED2は「消灯」状態となる(図54(ハ)の保留1参照)。
普図の保留2ではテーブルA側に切り替えられるとBit5〜4の出力は「11」、テーブルB側に切り替えられるとBit5〜4の出力は「00」である。これが256ms周期で交互に切り替えられるので、結果として、Bit4に対応する右側の普図用保留LED1とBit5に対応する左側の普図用保留LED2は共に「点滅」状態となる(図54(ハ)の保留2参照)。
普図の保留3ではテーブルA側に切り替えられるとBit5〜4の出力は「11」、テーブルB側に切り替えられるとBit5〜4の出力は「01」である。これが256ms周期で交互に切り替えられる。Bit4のデータは「1」から「1」への切り替わるだけで替わらないため、このBit4に対応する右側の普図用保留LED1は「点灯」状態となる。またBit5のデータは「1」と「0」の間を切り替わるため、このBit5に対応する左側の普図用保留LED2は「点滅」状態となる(図54(ハ)の保留3参照)。
普図の保留4ではテーブルA側に切り替えられるとBit5〜4の出力は「11」、テーブルB側に切り替えられてもBit5〜4の出力は「11」である。これが256ms周期で交互に切り替えられるので、結果として、Bit4に対応する右側の普図用保留LED1とBit5に対応する左側の普図用保留LED2は共に「点灯」状態となる(図54(ハ)の保留2参照)。
(17−5.特別図柄変動カウンタとLED出力カウンタの動作:図66)
ここで図66を参照して、特別図柄1または特別図柄2の特別図柄変動カウンタ(以下単に「図柄変動用動作カウンタ1」と言う)と、特別図柄1、特別図柄2または普通図柄の保留表示用LED出力カウンタ(以下単に「保留表示用動作カウンタ2」と言う)の動作の違いについて説明する。
(a)図柄変動用動作カウンタ1
図66(a)は図柄変動用動作カウンタ1のBit5カウンタ出力の更新動作と、特別図柄の変動表示中(図66では変動中と略す)の期間と停止中の期間との関係、および図柄LED(図柄表示用LED表示器38a、38bのLEDセグメント)の点灯と消灯との表示動作とを示したものである。
特別図柄の変動表示動作は、変動表示中の期間(時刻t1〜t2)が生起して、当該期間が経過すると、次に図柄停止中の500msの期間(時刻t2〜t3)が生起し、次いで変動表示中の期間(時刻t3〜t4)が生起するという、繰り返すパターンになっている。ここで図柄変動用動作カウンタ1は変動表示中の期間(時刻t1〜t2、時刻t3〜t4)だけ、4ms毎にカウント動作し、図柄停止中の500msの期間(時刻t2〜t3)においてはカウント動作を停止する。すなわち図柄変動用動作カウンタ1(特別図柄1変動カウンタおよび特別図柄2変動カウンタ)は、図柄表示データ更新処理(図9のステップS309の詳細を示す図57のステップS633、S636の図柄表示データ作成処理中のステップS641)にて、図柄変動中フラグが5AHならばその期間中(特別図柄変動中)だけカウント動作を続け(ステップS642)、その値が5AHでない期間(特別図柄停止中)はカウント動作を停止し、図柄停止となることで図柄変動用動作カウンタ1の内容がクリアされる(図20のステップ453)。
このため、図柄変動用動作カウンタ1は、特別図柄の変動表示中の期間にあっては、そのBit5(6ビット目)のカウンタ出力が128msを周期として更新されるが、変動表示中でない期間(図柄停止中の期間)においては更新されない関係になっている。特別図柄の変動表示中の期間にあっては、特別図柄の図柄「0」のLEDセグメントA〜Fと、図柄「−」のLEDセグメントGが点滅動作して、図柄「0」と図柄「−」の点灯表示が交互に切り替わる動作を行い、また図柄停止中の期間にあっては、特別図柄1または特別図柄2の表示図柄番号に応じたLED出力データに従い、対応する特別図柄1または特別図柄2が停止表示される(図59のステップS655、S658、S656)。
上記における特別図柄の最短の変動時間(変動表示中の時間)と点滅周期(128ms)との長短関係は、特別図柄の最短の変動時間(たとえば2秒)よりも図柄変動用動作カウンタ1の更新周期(128ms)の方がはるかに小さい、という関係にある。
詳述するに、特別図柄の変動表示動作が、たとえば装飾図柄が高速変動を行っている場合、たとえば通常変動パターンのうちの「確変中通常変動2s(変動時間2秒)」の場合、図柄変動表示の変動時間は最短の2秒となる。この高速変動(高速変動時間2秒)の場合でも、図柄変動用動作カウンタ1は、特別図柄の変動表示中の期間中においては、当該変動表示の最短時間である2秒よりも十分に短い第1の一定の繰り返し周期であって、これを利用した点滅状態の点灯と消灯を遊技者から肉眼で視認し得るようなミリセコンドオーダの周期(たとえば128msなどの)で更新される。しかし、図柄変動用動作カウンタは、特別図柄の停止表示期間中においては更新されない。
このように図柄変動用動作カウンタ1については、特別図柄の変動表示中の期間においてのみ一定間隔で更新させ、これにより変動表示中だけ図柄「0」と図柄「−」を交互に切り替える動作を行っているため、特別図柄に関して変動表示中の期間であるかまたは停止表示中の期間であるかを明確に区別して把握することができる。また、この特別図柄に関して変動表示中の期間と停止表示中の期間が繰り返される際の発光パターンは、次に述べる保留表示用動作カウンタ2を常時更新させておくことによる保留数表示のLEDの発光パターン(2つのLEDセグメントが同時に点滅することがある)とも異なるため、保留数表示系と特別図柄表示系のいずれに属するLEDであるかについて、その区別を更に容易にすることになる。
また、特別図柄が停止表示した後は、特別図柄表示の点滅周期128msより2倍以上長い500msの停止状態を維持した後、次の図柄変動表示動作が開始される。そのため、特別図柄の表示が変動停止中なのか変動中なのかを、容易に認識することができる。
(b)保留表示用動作カウンタ2
図66(b)は保留表示用動作カウンタ2のカウント動作つまり更新動作と、保留個数が0〜4まで変化する場合の保留LED1および保留LED2による保留数表示動作とを示したものである。
保留表示用動作カウンタ2は、特別図柄の変動表示の最短時間(高速変動時の変動時間2秒)よりも十分に短い、たとえば上記第1の一定の繰り返し周期と同一のまたは異なる第2の一定の繰り返し周期であって、これを利用した点滅状態の点灯と消灯を遊技者から肉眼で視認し得るようなミリセコンドオーダの周期(たとえば128msまたは256ms)で常時更新される。
具体的には、保留表示用動作カウンタ2は、保留LED1(特図1保留LED1、特図2保留LED1)と保留LED2(特図1保留LED2、特図2保留LED2)という2つのLEDにおける点滅周期を同期させる目的で、そのBit6(7ビット目)の出力が256msを周期として、常時、更新されている。この保留表示用動作カウンタ2のBit6(7ビット目)の出力により、256msを周期として、上述したLEDデータテーブルA、B(図63)が切り替えられる。保留LED1と保留LED2は、このLEDデータテーブルA、Bに基づき、発光パターンによる表示態様が変化し、「保留1」では保留LED1が点滅でかつ保留LED2が消灯の状態に、「保留2」では保留LED1と保留LED2が共に点滅の状態に、「保留3」では保留LED1が消灯で保留LED2が点滅の状態に、そして「保留4」では保留LED1と保留LED2が共に点灯の状態になる。上記の「保留2」では保留LED1と保留LED2が共に点滅の状態なるが、この点滅状態の期間中における保留LED1の点滅と保留LED2の点滅とは、互いに同期している。
このように保留表示用動作カウンタ2を常時更新させておくと、保留LED1と保留LED2の点滅が同期するようになり、その保留数表示機能を理解しやすくなる。
保留複合表示用LED表示器38cのLED群には、複数個のLEDが同時期に点滅状態となる保留数表示態様の期間がある。特別1保留表示の「保留2」の場合や、特別2保留表示の「保留2」や、普図保留表示の「保留2」の場合である。もし、これらの「保留2」の場合において、保留LED1と保留LED2とで点滅周期が異なっていると、「同じ保留個数表示系のLEDの点滅である」と認識することが困難となり、また「特別図柄表示系のLEDの点滅」であるのか、あるいは「その他の表示系のLEDの点滅」であるのか、その意味を理解することが難しくなる。しかし、本実施形態では、保留LED1と保留LED2が同時期に点滅する保留数表示態様の期間においては、そのLEDの点滅が同期してなされる構成であるので、同じ保留個数表示系のLEDの点滅であると理解することができる。
この点滅が表示しようとしている意味を理解することが容易になるという作用効果は、非遊技領域の局所的な狭い場所に7セグメント表示器やLEDを配置したり、その周囲に説明プレート等を配置しない形態とした場合に特に顕著となる。また、この点滅が表示しようとしている意味を理解することが容易になるという作用効果は、特別図柄表示系のLED表示器38a、38bの点滅と保留個数表示系のLED表示器38cとで点滅周期が異なっているか否かに拘わらず得ることができる。したがって、この利点を得ることに関しては、特別図柄表示系のLED表示器38a、38bの点滅と保留個数表示系のLED表示器38cとで点滅周期を同じにしてもよい。上記において第1の一定の繰り返し周期と第2の一定の繰り返し周期は同一または異なっていてもよい、としているのは、この理由による。
<変形例1>
上記実施形態では、7個のLEDセグメントを8字状に配置した7セグメントLED表示器を用いて、特図1表示用LED表示器38a、特図2表示用LED表示器38bおよび保留複合表示用LED表示器38cを構成した場合について説明した。しかし、LEDセグメントを8字状に配置せずに、たとえば花びら状やドット状などの独立したLED(セグメント)A〜Hを、図67のような直線状、図68のような花弁状または散点状、または図69のような円弧状、あるいは図70のような同心円状、といった任意の外観形状となるように、面状に集中配置した構成とすることもできる。
このようにLEDA〜Hを散点状、直線状または円弧状、同心円状等に集中配置した構成の下でも、特別図柄表示用LED表示器38a、38bで表示しうる多数の表示態様のうちの一つを、変動専用図柄の表示態様であるとして割り当て、これを変動専用図柄と定めておくことにより、特別停止図柄として用いられることのない特定の図柄(変動専用図柄)が出現したときは、その出現をもって特別図柄が変動中の期間であると認識させることができる。
たとえば、図67〜図69のような直線状、花弁状、円弧状に配置したLEDセグメントA〜Hにおいて、そのうちのA〜Fを変動専用図柄のLEDセグメントとし、Gを変動専用図柄LEDセグメントとすることができる。図68に示す花弁状配置の場合、セグメントGは中央に配置され、それを取り巻くようにセグメントA〜Fが配置されているため、円形の図柄「O」(図68(a))と、その中心の1点を示す図柄「・」(図68(b))とを切り替える、という表示態様の切替となる。このため、7セグメントLED表示器で述べたのと同じく、変動表示中でしか現れない変動専用図柄が可視化されているのか否かを、図柄「O」とその中心に現れる図柄「・」との対比の下で、判りやすく認識させることができる効果を得ることができる。
しかしLEDセグメントの配置やそれを如何なるLEDデータで点灯させるかの組合せは、上記実施形態に限られず、任意に定めることができる。たとえば、図70のようにLEDセグメントA〜Hを同心円状に配置して特別図柄表示装置38a、38bを構成した場合において、図71(a)のように、変動用図柄データ「00001111B」によりLEDセグメント「A、B、C、D」が点灯した表示態様を、変動専用図柄が表示された状態であると定める。そして、それ以外のLEDセグメントの点灯状態の組合せは、全て特別停止図柄の表示態様であると定める。また、図71(b)のように変動兼用図柄データ「01000000B」によりLEDセグメント「G」が点灯した表示態様を、変動兼用図柄のハズレA停止図柄が表示された状態であると定める。そして、特別図柄の変動表示の期間中は、この変動専用図柄「A、B、C、D点灯」の表示データと、変動兼用図柄「G点灯」の表示データとを、128msごとに切り替えて、交互に点灯させて変動表示させる。その128ms後、図71(c)のように、たとえば特別停止図柄番号の0BH(01110111B)に対応した特定の図柄を停止表示(B、C、E、F、G点灯)させる。このようにすると、変動専用図柄「A、B、C、D点灯」の表示態様が128ms間隔毎に出現し、かつ、その出現した表示態様は変動表示中以外には現れないLED点灯表示の組合せパターンであることが視認されるため、現在が特別図柄の変動表示の期間中の区間であることを遊技者に明確に認識させることができる。
このように、LEDを散点状、直線状、花弁状、円弧状、同心円状等に集中配置した構成の下でも、特別図柄表示系のLED表示器38a、38bのLEDセグメントの点灯パターンを変動用図柄パターンと特別停止図柄パターンとに使い分けることにより、遊技者に変動中であるか否かを、視覚的に容易に認識させ、理解させることができる。
また、これらのLEDセグメント8個を1単位(1グループ)とした上で、複数単位(複数グループ)のLEDを集中配置した構成、つまり、それら各1単位(各グループ)をそれぞれ1つの表示器として扱う構成とすることもできる。
また多数のLEDを遊技盤の非遊技領域に相互に近接して集中的に配置した構成において、そのうちの8個を1単位(1グループ)として取り扱い、各グループを上記の特図1表示用LED表示器38a、特図2表示用LED表示器38bおよび保留複合表示用LED表示器38cのLED群として表示制御することもできる。
上記のように、LEDを散点状、直線状または円弧状、同心円状等に集中配置した構成の下でも、特別図柄表示系のLED表示器38a、38bの点滅と保留個数表示系のLED表示器38cとで点滅周期を異ならせることにより、両表示器のセグメントの表示が担う役割を明確に区別して、遊技者にそのセグメントの機能を視覚的に容易に認識させ、理解させることができる。
<変形例2>
上記実施形態の場合、保留表示用動作カウンタ1が256ms周期(Bit6が0か1かにより判定される)を規律し、図柄変動用動作カウンタ2が128ms周期(Bit5が0か1かにより判定される)を規律しているが、この関係は保留表示用動作カウンタ1が128ms周期を規律し、図柄変動用動作カウンタ2が256ms周期を規律するようにして、その長短を逆に定めても良い。
さらに、特別図柄を点滅表示させる表示態様は、特別図柄1の点滅表示における点滅周期と特別図柄2の点滅表示における点滅周期とを相互に異ならせてもよい。また同様に、特別図柄の保留表示を点滅表示させる表示態様は、特別図柄1保留表示の点滅表示における点滅周期と特別図柄2保留表示の点滅表示における点滅周期とを相互に異ならせてもよい。
また上記実施形態では、LED出力カウンタのBit6の出力を用いて、保留複合表示用LED表示器38cの保留・時短・高確複合表示を点滅させる所定周期の出力を得るようにしたが、事情によってはLED出力カウンタのBit5の出力を用いて、保留複合表示用LED表示器38cの保留・時短・高確複合表示を点滅させる所定周期の出力を得てもよい。
<変形例3>
上記実施形態では、特別図柄の保留個数に関する情報を2個のLEDセグメントによる複数種類の表示態様で表示する構成について説明した。しかし、最大保留記憶数(保留上限数)よりも少ない数のLEDで表示する構成とすることもできる。たとえば、最大保留記憶数(4個)よりも少ない数である3個のLEDを用いて、保留1〜保留4までの表示態様を現出させることができる。この構成の場合、たとえば保留1〜保留3までは3個のLEDの点灯表示を1対1でそのまま対応させた表示態様とし、保留4のときは全LED(3個)が点滅状態となる表示態様にすることで、保留1〜保留4までの表示態様を現出させることができる。
<変形例4>
なお、上記実施形態では発光ダイオード(LED)を用いて特別図柄表示手段や特別図柄保留数表示手段等を構成する形態にして説明したが、LEDの替わりに他の発光素子、たとえば蛍光表示管、白熱フィラメント、液晶ディスプレイ(LCD)など、をセグメントに用いて構成することもできる。また、発光パターンとしては、点灯、消灯、点滅および点滅間隔(点滅スピード)の状態に加えて、輝度(明るさの度合い)、発光体が発色する色などにより区別性を付加することができる。
<第2の実施形態:図72>
上記実施形態では、特別図柄の変動表示中の期間において変動専用図柄「0」と変動兼用図柄「−」の点灯状態を交互に切り替えて、変動表示中の期間であることを報知するようにした。すなわち、変動専用図柄としては図柄「0」の1種類だけを設け、交互に切り替える相手側の変動用図柄としては、停止図柄の1つを変動用として兼用する形態としている。これによれば変動表示中の期間において変動専用図柄「0」が点滅することになるので、特別図柄の変動表示中の期間であることを遊技者に明確に報せることができる。
しかし、特別図柄の図柄変動表示ゲームにおいて、特別図柄の変動表示中の期間の次には特別図柄の停止表示中の期間が到来し、この両者の期間が交互に頻繁に繰り返される。図柄変動表示ゲームの結果はハズレとなるケースが多数を占める。このため、停止表示中の期間において、変動兼用図柄として採用されているハズレAの停止図柄「−」が極めて頻繁に停止することになる。
よって、特別図柄の変動表示動作中にLED群を眺めて瞬時的な視覚判別をするタイミングによっては、変動兼用図柄として採用されているハズレAの停止図柄「−」が点灯していることから、特別図柄の変動表示中の期間での図柄「−」の点灯であるのか、または特別図柄の停止時または停止表示中の期間での図柄「−」の点灯であるのかを区別することができず、遊技者が見間違えやすいという課題がある。
第2の実施形態は、複数種類の変動専用図柄を設けて、これらを交互に点灯させる形態とすることにより、かかる課題を解決するものである。
図72は、この第2の実施形態で用いる特別図柄LED出力データテーブルを示したものである。図62とは次の点で異なる。まず、変動用図柄の表示データとして変動専用図柄「0」と変動専用図柄「−」の2種類の表示データ(変動用図柄番号13H、14H)が扱われ、その表示データとLEDデータとの関係が定められている。また、ハズレAの停止図柄が「−」から「・」に変更され、ハズレBの停止図柄が「・」から「左下がりのジグザグ形(左右交互に曲がった形)」に変更され、ハズレCの停止図柄が「−.」から「左下がりのジグザグ形(ドット付)」に変更されており、それらのハズレA、B、Cの停止図柄の表示データと出力データとの関係が定められている。
この変動専用図柄だけを変動用図柄として用いる点を除き、第2の実施形態におけるその他の点は、既に第1の実施形態(図1図71)について述べたところと同じ構成である。
この第2の実施形態においては、変動専用図柄「0」と変動専用図柄「−」の表示データが128msごとの切替周期で交互に切り替えられ、変動表示中の期間に図柄「0」と「−」が交互に点灯する。図柄「0」と「−」はどちらも変動専用図柄であって、特別図柄の変動表示中の期間においてしか出現しない図柄であるため、図柄「0」と「−」のどちらが点灯しているタイミングで見ても、特別図柄の変動表示中の期間であることが特定される。したがって、遊技者はLED群を視認するタイミングの如何を問わず、特別図柄の変動表示中の期間であるか否かを間違えずに視認することができる。なお本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、既に説明したように、「高速変動状態」を伴う特殊な遊技状態が設けられているが、このような「高速変動状態」下であっても、特別図柄の変動表示中の期間であることを容易に識別することができるようになっている。
なお、図72では、変動専用図柄「0」と変動専用図柄「−」の点灯状態を切替える表示データを、共通の1つのデータテーブルが有している形態(図65(a)と同様)を例にして示したが、変動専用図柄「0」と変動専用図柄「−」の表示データをデータテーブルAとBに分けて設け(図53参照)、それらを128msごとの切替周期で交互に切り替える形態としても良い。
この第2の実施形態は次の(i)のように構成することになる。
(i)遊技球が流下する遊技領域と遊技球が流下しない非遊技領域とを有する遊技盤と、
前記遊技領域に設けられた始動口に遊技球が入球したことを契機に、所定の遊技情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された所定の遊技情報に基づき、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるか否かを抽選する抽選手段と、
前記抽選手段における抽選結果を報知するための特別図柄の変動表示の開始および当該変動表示の停止を一セットとする変動表示動作を実行し、当該抽選結果に応じた表示態様で当該特別図柄を停止表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄表示手段における表示制御を行う特別図柄表示制御手段を含む表示制御手段と、を備えた遊技機であって、
前記特別図柄表示手段は、特別図柄の前記変動表示中に点滅表示される所定のLEDを含む一群のLEDにより構成され、
前記特別図柄表示制御手段は、
前記特別図柄表示手段を構成する前記一群のLEDの点灯の組合せで表示しうる特別図柄の表示態様のうち、特別図柄の前記変動表示中の期間での表示にのみ使用される表示態様のうちの1つを第1の変動専用図柄(たとえば図柄「0」)とし、他の1つを第2の変動専用図柄(たとえば図柄「−」)とし、特別図柄の前記変動表示の停止時または停止中の期間での表示に使用される表示態様を特別停止図柄として区分し、前記第1の変動専用図柄の表示データ、前記第2の変動専用図柄の表示データおよび前記特別停止図柄の表示データのそれぞれにより駆動すべきLEDが定まるように前記表示データと前記一群のLEDに対するLEDデータとを関係付けたLEDデータテーブルと、
前記LEDデータテーブルにおける前記第1の変動兼用図柄の表示データと前記第2の変動専用図柄の表示データとを切り替えることにより、特別図柄の前記変動表示中における前記所定のLEDの表示態様を点滅表示状態に置く制御を実行する特別図柄点滅制御手段とを有する、
ことを特徴とする弾球遊技機。
<第3の実施形態:図73>
上記第2の実施形態では変動専用図柄を2種類に増やし、この2種類の変動専用図柄を交互に点灯させる形態とすることにより、特別図柄の変動表示中の期間のどのタイミングで見ても、変動表示中の期間にあることが容易に認識できるようにした。
しかし、このようにすると、特別図柄に関し、その停止図柄の表示データを用意するだけでは足りず、これとは別に変動表示中に表示させるための専用の図柄(変動専用図柄)を用意する必要があり、扱うデータ容量が大きくなる、という課題がある。
第3の実施形態は、2種類の変動用図柄を交互に点灯させる形態において、その変動用図柄を2種類とも停止図柄で兼用させる形態とすることにより、かかる課題を解決するものである。
図73は、この第3の実施形態で用いる特別図柄LED出力データテーブルを示したものである。図62および図72の場合と異なり、変動専用図柄の表示データは全く扱われていない。
図73の特別図柄LED出力データテーブルでは、2種類の変動用図柄の双方がハズレ停止図柄となっている。すなわち2種類の変動用図柄の表示データとして、ハズレAの停止図柄「0」とハズレBの停止図柄「−」の表示データ(変動用図柄番号01H、02H)が扱われ、その表示データとLEDデータとの関係が定められている。したがって、図62のものと対比すると、変動用図柄「0」が変動専用図柄ではなくハズレA停止図柄である点で異なっており、また、図62ではハズレA、B、C停止図柄が「−」「・」「−.」であるのに対し、この第3の実施形態ではハズレA、B、C停止図柄が「0」「−」「・」である点で異なっている。
また図73の特別図柄LED出力データテーブルは、図72のものと対比すると、ハズレAの停止図柄は「・」から「0」に変更され、ハズレBの停止図柄が「左下がりのジグザグ形」から「−」に変更され、ハズレCの停止図柄が「斜め左下がりのジグザグ形(ドット付)」から「・」に変更されており、それらのハズレA、B、Cの停止図柄の表示データと出力データとの関係が定められている。
この変動用図柄として変動専用図柄を全く用いていない点を除き、第3の実施形態におけるその他の点は、既に第1の実施形態(図1図71)について述べたところと同じ構成である。
この第3の実施形態においては、ハズレA停止図柄「0」とハズレB停止図柄「−」を変動兼用図柄とする2種類の表示データが、128msごとの切替周期で交互に切り替えられる。この第3の実施形態でも、図柄「0」とその中央横線「−」とが交互に点灯し、視覚的に図柄「0」が図柄「−」と対比させられる結果、その対比の上で変動専用図柄「0」の存在が顕在化することから、図柄変動表示中の期間であるのか否かを比較的容易に判別することができる。しかも、この第3の実施形態の場合、変動表示中に表示させるための専用の図柄(変動専用図柄)を用意する必要がない。したがって扱うデータ容量が大きくなるのを抑えつつ、特別図柄の変動表示中の期間にあるか否かを認識させる機能を発揮させることができる。
なお、図73では、変動兼用図柄「0」と変動兼用図柄「−」の点灯状態を切替える表示データを、共通の1つのデータテーブルが有している形態(図65(a)と同様)を例に説明したが、変動兼用図柄「0」と変動兼用図柄「−」の表示データをデータテーブルAとBに分けて設け(図53参照)、それらを128msごとの切替周期で交互に切り替える形態としても良い。
この第3の実施形態は次の(ii)のように構成することになる。
(ii)遊技球が流下する遊技領域と遊技球が流下しない非遊技領域とを有する遊技盤と、
前記遊技領域に設けられた始動口に遊技球が入球したことを契機に、所定の遊技情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された所定の遊技情報に基づき、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるか否かを抽選する抽選手段と、
前記抽選手段における抽選結果を報知するための特別図柄の変動表示の開始および当該変動表示の停止を一セットとする変動表示動作を実行し、当該抽選結果に応じた表示態様で当該特別図柄を停止表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄表示手段における表示制御を行う特別図柄表示制御手段を含む表示制御手段と、を備えた遊技機であって、
前記特別図柄表示手段は、特別図柄の前記変動表示中に点滅表示される所定のLEDを含む一群のLEDにより構成され、
前記特別図柄表示制御手段は、
前記特別図柄表示手段を構成する前記一群のLEDの点灯の組合せで表示しうる特別図柄の表示態様のうち、特別図柄の前記変動表示の停止時または停止中の期間での表示に使用される表示態様を特別停止図柄とし、この特別停止図柄のうちの1つ(たとえば図柄「0」)を特別図柄の前記変動表示中の期間での表示にも使用される第1の変動兼用図柄とし、他の1つ(たとえば図柄「−」)を特別図柄の前記変動表示中の期間での表示にも使用される第2の変動専用図柄として区分し、前記第1の変動兼用図柄の表示データおよび前記第2の変動兼用図柄の表示データを含む前記特別停止図柄の表示データのそれぞれにより駆動すべきLEDが定まるように前記特別停止図柄の表示データと前記一群のLEDに対するLEDデータとを関係付けたLEDデータテーブルと、
前記LEDデータテーブルにおける前記特別停止図柄の表示データうちの前記第1の変動兼用図柄の表示データと前記第2の変動兼用図柄の表示データとを切り替えることにより、特別図柄の前記変動表示中における前記所定のLEDの表示態様を点滅表示状態に置く制御を実行する特別図柄点滅制御手段とを有する、
ことを特徴とする弾球遊技機。