JP2013161492A - 磁気記録媒体の記録特性を評価する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】キュリー温度のばらつきを効率よく求めることができる方法を提供する。
【解決手段】記録層を備えた磁気記録媒体の記録特性を評価する方法であって、レーザ光の照射後において、記録層の磁化状態を検出するステップS2と、検出した磁化状態、および、その磁化状態を示す前記記録層におけるレーザ光の照射時の温度分布に基づいて、当該記録層のキュリー温度のばらつきを求めるステップS3とを含む。
【選択図】図2
【解決手段】記録層を備えた磁気記録媒体の記録特性を評価する方法であって、レーザ光の照射後において、記録層の磁化状態を検出するステップS2と、検出した磁化状態、および、その磁化状態を示す前記記録層におけるレーザ光の照射時の温度分布に基づいて、当該記録層のキュリー温度のばらつきを求めるステップS3とを含む。
【選択図】図2
Description
本発明は、磁気記録媒体の記録特性を評価する方法に関し、特に、キュリー温度のばらつきを評価する方法に関する。
磁気記録媒体においては、磁気記録の面記録密度を高めるための熱アシスト記録が行なわれることがよく知られている。この熱アシスト記録とは、磁気記録媒体の表面に光を照射し、その磁気記録媒体における光吸収による加熱を利用することで、磁気記録媒体の記録層の保持力を低下させて書込みを行なう技術である。例えば特許文献1、2に開示された磁気記録媒体では、熱アシスト記録が利用されている。
特許文献1、2に開示された磁気記録媒体では、熱アシスト記録を利用することによってキュリー温度付近で記録が行なわれている。
一方、そのキュリー温度のばらつきが生じた場合には、ジッターノイズの要因となることが知られている。これは、スポット径に絞り込んだレーザ光を照射して加熱する熱アシスト記録では、その加熱により達するキュリー温度にばらつきが生じると、キュリー温度のばらつきの要因となる磁気記録媒体の記録層の保持力にもばらつきが生じるからである。
かかる状況を踏まえて、キュリー温度のばらつきの観察が要請される。従来の観察方法として、例えば、磁気力顕微鏡でサンプル、例えば磁気ディスクの磁気粒子の磁化状態を観察する方法では、その磁気ディスクの温度を徐々に上げていき、キュリー温度に達した磁性粒子から磁化が消滅していくのを検査するようにしている。磁気ディスクの記録層には一般に、数nm径の磁性粒子が多数存在しており、個々の磁性粒子における温度のばらつきが、キュリー温度のばらつきに起因すると考えられている。しかし、この方法では、特殊な装置である磁気力顕微鏡が高価であることに加えて、複数のサンプルのキュリー温度を測定する場合には、サンプルの加熱および冷却を行う必要があるため、キュリー温度の測定に長時間を要してしまう。あるいは、個々の磁性粒子を識別する必要があるため、極めて微小な範囲についてしか検査できない。あるいは、加熱されたサンプルの記録層は、破壊されるため、そのサンプルは、製品として使用することができない。
そこで本発明は、上述した観点に鑑み、キュリー温度のばらつきを効率よく求めることができる磁気記録媒体の記録特性を評価する方法を提供することにある。
上記の課題を解決するための方法は、記録層を備えた磁気記録媒体の記録特性を評価する方法であって、光照射後において、上記記録層の磁化状態を検出するステップと、上記検出した磁化状態、および、その磁化状態を示す上記記録層における光照射時の温度分布に基づいて、当該記録層のキュリー温度のばらつきを求めるステップとを含む。
本発明によれば、キュリー温度のばらつきを効率よく求めることができることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。この実施形態では、磁気記録媒体として、例えば磁気ディスク(Hard Disk Drive)を適用し、熱アシスト記録時に設定されるキュリー温度のばらつきを評価する方法が実現される。
[磁気ディスク100の構成]
図1は、本発明の実施形態における磁気ディスク100の構成例を示す断面図である。
図1は、本発明の実施形態における磁気ディスク100の構成例を示す断面図である。
図1に示すように、この磁気ディスク100には、基板11上に、裏打ち層12と、下地層13と、記録層14と、保護層15とが順に積層されている。
基板11は、例えば2.5インチのガラスディスクが用いられている。裏打ち層12は、軟磁性体からなるSUL層であり、例えばCoFe合金がDCマグネトロンスパッタ法で生膜されている。
下地層13は、記録層14の結晶成長を制御する役割を担っており、例えばRuがDCマグネトロンスパッタ法で生膜されている。
記録層14は、情報の記録を担う層である。本実施形態においては、この層のキュリー温度のバラツキを測定する。例えばCoCrPt合金で強磁性体に形成される。
保護層15には、例えば、ダイヤモンドカーボンが化学気相成長法で成膜されている。なお、図1の磁気ディスク100は例示に過ぎず、他の金属、合金、多層膜で構成するようにしてもよい。
[キュリー温度のばらつきの算出]
次に、磁気ディスク100の記録特性を評価するために、熱アシスト記録時のキュリー温度のばらつきを求める方法の概略について、図2および図3を参照して説明する。図2は、熱アシスト記録時のキュリー温度のばらつきを求める方法の一例を示す説明図である。図3は、記録特性評価装置300においてレーザ光を磁気ディスク100に照射しているときの様子の例を示す図である。
次に、磁気ディスク100の記録特性を評価するために、熱アシスト記録時のキュリー温度のばらつきを求める方法の概略について、図2および図3を参照して説明する。図2は、熱アシスト記録時のキュリー温度のばらつきを求める方法の一例を示す説明図である。図3は、記録特性評価装置300においてレーザ光を磁気ディスク100に照射しているときの様子の例を示す図である。
まず、図2に示すように、磁気ディスク100に対して、図3に示す磁気ヘッド30においてレーザ光が照射され、その照射時における記録層14の温度分布を導出する(ステップS1)。この実施形態では、レーザ光は、図3に示すように、記録特性評価装置300の磁気ヘッド30において照射される。レーザ光が照射されると、その領域は加熱され、データが記録されることになる。
図3では、レーザ光が照射されて加熱されたトラック101が例示的に示してある。温度分布の導出の方法については、後で詳細に説明する。
次に、レーザ光の照射後には、記録層14の磁化状態を検出する(ステップS2)。磁化状態の検出の方法は、後で詳細に説明する。
次に、ステップS2で検出した磁化状態、および、その磁化状態を示す記録層14におけるレーザ光の照射時の温度分布に基づいて、記録層14のキュリー温度のばらつきを導出する(ステップS3)。ばらつきの導出の方法については、後で詳細に説明する。
以下、さらに詳細に説明する。初めに図1、図3〜図11を参照して、記録層14の温度分布を導出する例について具体的に説明する。図4は、記録層14の温度分布の導出方法の一例を示す説明図である。図5は、レーザ光を照射する前における磁気ディスク100の磁化状態の一例を示す図である。図6は、レーザ光を照射したときの磁気ディスク100上の温度分布モデルの一例を示すグラフである。図7は、レーザ光を照射したときの磁気ディスク100上の温度分布の一例を示す説明図である。図8は、レーザ光を照射した後における磁気ディスク100の磁化状態の一例を示す説明図である。
図4において、熱アシスト記録による記録特性を評価するための磁気記録媒体を形成する(ステップS11)。
この実施形態では、磁気記録媒体は、例えば図1に示した磁気ディスク100であるので、以下の手順で磁気ディスク100を形成する。まず、2.5インチのガラス基板11上に、CoFe合金からなる軟磁性裏打ち層12をDCマグネトロンスパッタ法で成膜する。次に、裏打ち層12上に、Ruからなる下地層13をDCマグネトロンスパッタ法で生成した後、下地層13上に、CoCrPt合金からなる記録層14をDCマグネトロンスパッタ法で形成する。この例では、CoCrPt合金は、記録層14のキュリー温度が例えば600Kとなるように、Co67.9at%、Cr20.9at%、Pt12.0at%の比率にする。記録層14は、温度検知を行なう役割も担う。
次に、記録層14上に、ダイヤモンドライクカーボンからなる保護層15を化学気相成長法で形成する。
磁気ディスク100が形成された後、その磁気ディスク100にレーザ光を照射する前に、磁気ヘッド30は、磁気ディスク100の記録層14上に、磁気マーク群(以下、「マーク群」と表記する。)を記録する(ステップS12)。後述するように、マーク群は、磁気ディスク100の記録特性を調べる目的で記録される。この実施形態では、マーク群は、ビットが、磁気ディスク100のトラック(円周)一周分記録されたものである。マーク群は、例えば500kFCI(Flux Change per Inch)の線記録密度を有する。図5では、マーク群を淡い斜線で示してある。マーク群の記録は、クロストラック方向に沿って、所定の間隔を隔てて繰り返し行なわれる。
上述した所定の間隔は、レーザ光の直径より大きくなるように設定される。しかし、マーク間の間隔を短くするためには、マーク間の間隔を磁気ヘッド30の記録幅と同程度にする必要があるので、所定の間隔は、磁気ヘッド30の記録幅と同程度とするのが好ましい。これは、光変調方式では記録幅がレーザ光のスポット径程度まで広がるからである。この実施形態の説明では、一例として、磁気ヘッド30の記録幅、および、各マーク間の間隔をともに100nmとして記録を100回繰り返す。このようにして、磁気ディスク100には、例えば幅10μmの領域にマークが記録される。
すべてのマークが記録された後、図示しないアクチュエータにより磁気ディスク100を回転させながら、磁気ディスク100にレーザ光を照射する(ステップS13)。例えば室温Ti=300Kでレーザ光を照射した場合の磁気ディスク100内の温度分布モデルは、図6に示すように、トラック位置が0μm付近の温度が、キュリー温度Tc=600K以上になる。この場合、磁気ディスク100においては、図7に示すように、トラック方向(0〜1μm)およびクロスクロック方向(−1〜+1)において、300Kから700Kまでの温度が設定される。この場合、600Kから700Kまでの領域(キュリー温度Tc以上となる領域)は、クロストラック方向の区間が、−0.3から+0.3までとなる。
なお、図4では、一例として、レーザ光のスポット直径を5μm、レーザ光の波長を830nm、光源を赤色レーザ素子として設定する。
また、実際にレーザ光を照射する条件(以下では適宜、「第1条件」と表記する。)は、図5のものと異なり、次のように設定する。例えば、レーザ光は、300Kの室温のときに、140mWで出力し、その出力方向は、マークの方向に向けられる。そして、レーザ光の照射時間は、磁気ディスク100が1周する時間、例えば60msecとする。また、磁気ディスク100は1000rpmで回転させる。
次に、レーザ光の照射後において、磁気ヘッド30において測定された記録層14の磁気特性を評価する(ステップS14)。この実施形態では、磁気特性の評価は、磁気ディスク1周分の読み出し信号の平均振幅の大きさを示す平均振幅特性TAA(Track Average Amplitude)を用いて行なわれる。
具体的には、レーザ光d1の照射前に、あらかじめTAAを測定しておき、そのTAAと照射後のTAAとを比較し、比較の結果に応じて、評価の対象となる記録層14の領域が、マークの消磁した領域(以下では、「消磁領域」という。)か否かを確認する。例えば、照射後のTAAが照射前より0.1倍以下に減少した場合は、消磁領域と判定される。逆に、照射後のTAAが照射前より0.1倍より大きい場合は、消磁領域と判定されない。図7の例においては、600K以上となるクロストラック方向が−0.3から+0.3までの領域は消磁領域となる。図8において、この領域を白枠で示す。
次に、レーザ光d1の出力を変更し、上記のステップS12〜S14の一連の手順を行なう(ステップS15)。この手順について図9〜図11を参照して説明する。図9は、レーザ光の出力を変更して照射したときの磁気ディスク100上の温度分布モデルの一例を示すグラフである。図10は、レーザ光の出力を変更して照射したときの磁気ディスク100上の温度分布の一例を示す説明図である。図11は、レーザ光の出力を変更して照射した後における磁気ディスク100の磁化状態の一例を示す説明図である。
例えば、レーザ光の出力が10%大きくなるように変更し、室温Ti=300Kでそのレーザ光を照射した場合の磁気ディスク100内の温度分布モデルt2の温度は、図9に示すように、トラック位置が0μm付近において、上述した図6の温度分布モデルt1の温度より高くなる。この場合、レーザ光の照射により加熱される温度が、出力を変更する前より上昇するため、図10に示すように、600Kから700Kまでの領域(キュリー温度Tc以上となる領域)は、クロストラック方向の区間が、−0.35から+0.35までに広がる。そのために、図11に示すように、クロストラック方向が例えば−0.35から+0.35までの領域において、マークが消え(図11において、白枠で示す。)、消磁領域と判定される。
なお、この実施形態で実際に変更されるレーザ光の出力は、例えば、変更前より10%高い154Wに設定される。このときのレーザ光の照射条件(以下では適宜、「第2条件」と表記する。)は、レーザ光の出力値を除いて、第1条件と同様である。すなわち、レーザ光は、300Kの室温のときに出力し、その出力方向は、記録対象となるマークの中心に向けられる。
そして、レーザ光の照射時間は、磁気ディスク100が1周する時間、例えば60msecとする。また、磁気ディスク100は1000rpmで回転させる。このようにして、154Wでレーザ光を出力したときの消磁領域を確認することが可能となっている。
次に、ステップS14で判定された消磁領域(第1条件下で判定された消磁領域)と、ステップS15で判定された消磁領域(第2条件下で判定された消磁領域)とを比較し、その比較結果から、記録層14上の温度分布を求める(ステップS16)。具体的には、第1条件下での消磁領域と第2条件下での消磁領域との位置の差分から消磁領域付近の温度勾配を求める。この温度勾配の算出では、スケーリング則が用いられる。このスケーリング則は、熱伝導方程式のスケーリング特性と同様に適用できる。以下に、その検討結果を説明する。
物質中の熱伝導現象は一般的には、以下の熱伝導方程式によって定義される。
Cv*∂T/∂t = λΔT (1)
Cv*∂T/∂t = λΔT (1)
式(1)中、Cvは物質の比熱、Tは温度、tは時間、λは物質の熱伝導率である。
ここで、Cvおよびλが、Tに依存しない定数として定義できる場合、式(1)において、例えばT=2T′と置くと、式(2)を導くことができる。
Cv*∂2T′/∂t = λΔ2T′ (2)
Cv*∂2T′/∂t = λΔ2T′ (2)
ここで、式(2)は、式(3)に置き換えることができる。
Cv*∂T′/∂t = λΔT′ (3)
Cv*∂T′/∂t = λΔT′ (3)
式(3)は、物質の熱伝導率および比熱が変化しない条件下においては、熱流および温度の特性では、スケーリングの関係が成り立つことを示している。つまり、熱流の分布が相似で単純に大きさが2倍になる場合、物質の温度変化の大きさも、2倍になるように変化するとみなすことができる。
一般に、物質の熱伝導率および比熱においては、温度関数で表されるため、スケーリングの関係は成り立たない。しかし、熱流の変化が極めて小さい場合、例えば+10%程度であれば、物質の熱伝導率および比熱の変化が小さくなるため、ほとんど変化しないとみなすことができる。この場合、温度分布の変化率は、熱流の変化率と等しいとみなせる。つまり、熱流の変化が+10%であれば、熱分布の変化も+10%であるとみなすことができる。したがって、上述した実施形態において、第2条件下のレーザ光の出力を+10%と設定した。このことは、温度分布の形状を保ったまま、温度上昇を全体的に+10%変化させられることを意味する。
上記のスケーリング則により、消磁領域付近の温度勾配が算出される。具体的には、まず、第2条件下で判定された消磁領域の境界(図11では、例えば、クロストラック方向が−0.35または+0.35上の部分)は、第1条件においては、どの程度の温度になるかを求める。この場合、消磁領域の境界は、キュリー温度に達していると考えられるから、第1条件下での境界部分の温度は、スケーリング則に従い、{(キュリー温度−室温)/(レーザ光の出力を変更する前後の比率)+室温}の関係式から求められる。
図4の例では、室温=300K、キュリー温度=600K、(レーザ光の出力を変更する前後の比率)=1.1(すなわち、154W/140W)の場合について説明しているので、第2条件下での境界部分の温度は、{(600−300)/1.1+300}から、略572Kに達していることがわかる。
さらに、第1条件下での消磁領域(例えば、図8のクロストラック方向区間-0.3μm〜+0.3μm)と第2条件下での消磁領域(例えば、図11のクロストラック方向区間-0.35μm〜+0.35μm)との位置の差分から、その差分の間の領域の温度勾配を求める。例えば、上述したように、第2条件下での境界部分の温度が、略572Kとなるときに、上述した消磁領域間の位置の差分が0.05μmの場合には、その差分の領域における温度勾配は、{(600−572)/0.05}から、560K/μmとなる。
このようにステップS11〜S16の手順により、キュリー温度に達する消磁領域の境界付近の温度勾配を求めることができる。この実施形態では、温度勾配を求めるためには、磁気ヘッド30によって記録層14の消磁領域、すなわち磁化状態を検出しなければならない。このことは、検査光を用いた光学的手法で温度勾配を求める場合より、温度勾配の分解能が高められることに等しく、これにより温度分布の算出精度が高まる。つまり、検査光では、波長の大きさが制限されるからである。
[記録層14の磁化状態の検出]
次に、ステップS2における記録層14の磁化状態を検出する方法について、図12〜図14を参照して説明する。図12は、磁気ディスク100の記録層14において、想定されたキュリー温度の正規分布を示す図である。図13は、温度に対する磁化残留率の一例を示す図である。図14は、トラック位置に対する磁化残留率の一例を示す図である。
次に、ステップS2における記録層14の磁化状態を検出する方法について、図12〜図14を参照して説明する。図12は、磁気ディスク100の記録層14において、想定されたキュリー温度の正規分布を示す図である。図13は、温度に対する磁化残留率の一例を示す図である。図14は、トラック位置に対する磁化残留率の一例を示す図である。
この実施形態では、記録層14の磁化状態を検出するために、クロストラック方向の減磁状態を求める。減磁状態は、例えば、レーザ光の照射時における低温側から高温側までの間にわたる磁化残留率である。記録層14のキュリー温度の分布としては正規分布を用いる。
この場合、加熱する温度に対する初期磁化からの残留磁化は、図12に示した温度分布の積分値が減算されたものに等しくなるので、図13に示したように変化する。
ここで図12の正規分布において、平均値μから標準偏差+σ分だけ離れた位置までの累積確率分布は約68%、+2σ分だけ離れた位置までの累積確率分布は約95%となる。磁化測定の誤差が2〜3%分あると仮定すると、大まかに見て従来のキュリー温度測定値と、キュリー温度分布として正規分布を仮定したときのキュリー温度平均値は標準偏差の約2倍程度の差があると考えられる。
この実施形態では、図12に示したようなキュリー温度分布を持つときに、キュリー温度の平均値が570K、標準偏差が15K(従来のキュリー温度定義ではTc=約600Kとなる場合を想定)の磁気ディスク100に対し、図6の温度分布を与える加熱条件でのレーザ照射を行った場合を考える。この場合の残留磁化分布は、図14に示している。図14において、横軸はトラック位置、縦軸は残留磁化率を示してある。
図14では、トラック位置が−0.35μm〜−0.5μmにおいて、磁化残留率が0→1に変化し、または、トラック位置が0.35μm〜0.5μmにおいて、磁化残留率が0→1に変化している。この場合の温度勾配は、図4に示したステップS16の手順により、0.54K/nmと算出される。
なお、キュリー温度ばらつきの存在は温度勾配測定には影響を与えない。キュリー温度のばらつきを考慮した場合、前述の測定法の中で「キュリー温度」としていたのは、磁気記録層の磁化がほぼ消失し測定誤差と区別が付かない程度しか残っていないような温度のことであり、ここでは「平均キュリー温度からキュリー温度ばらつきの標準偏差の二倍程度高い温度」として読み直されるが、これは従来の定義の「キュリー温度」と何ら違いはない。
[キュリー温度のばらつきの導出]
次に、ステップS3における記録層14のキュリー温度のばらつきを導出する方法について、図15および図16を参照して説明する。図15は、図14のデータをトラック中心からの温度差に対する磁化残留率の変化として表した図である。図16は、トラック中心からの温度差に対する磁化残留率をフィテッングした場合の一例を示す図である。
次に、ステップS3における記録層14のキュリー温度のばらつきを導出する方法について、図15および図16を参照して説明する。図15は、図14のデータをトラック中心からの温度差に対する磁化残留率の変化として表した図である。図16は、トラック中心からの温度差に対する磁化残留率をフィテッングした場合の一例を示す図である。
ここで、図14において、残留磁化率が1→0に減少している領域では、温度変化がトラック位置に対し線形になると仮定する。この例では、トラック位置が−0.5μm〜0μmの領域を考える。この仮定を前提にして、図14の横軸をトラック中心からの温度差として読み替えると、図15に示したものとなる。図15では、−300Kから−150Kまでの温度差に対する磁化残留率が示してある。
図16では、図15の累積残留磁化率のフィッティングを行った結果が示してある。この実施形態では、フィッティングには、最小二乗法による評価関数を用いて、準ニュートン法による逐次探索で実施した。
この場合の探索結果の近似式は以下の数式で与えられる。
ここで、σは標準偏差、T’はキュリー温度、Tcは平均キュリー温度、示している。
その結果、標準偏差が約13.6Kのときに、図16のフィッティングカーブ(図16では破線で示す。)が得られた。これは、モデルデータとして用いた「真の標準偏差」15Kに対し、約10%程度の誤差である。以上から、キュリー温度ばらつきを約10%程度の誤差で導出することが可能なことが示された。なお、図16では、図15に示された磁化残留率の変化を実線で示してある。
以上説明したように、トラック中心からの温度差に対する残留磁化率を利用して、キュリー温度のばらつきを測定するので、磁気ディスク100の一部、例えばトラック幅程度の微小な領域におけるキュリー温度のばらつきを測定することができる。言い換えると、磁気記録媒体表面上の所望する部分についてのキュリー温度のばらつきを測定することできる。
(変形例1)
以上では、図3を参照して、磁気ヘッド30によりレーザ光を照射する場合について説明した。しかしながら、磁気ヘッド30からレーザ光を照射するようにすると、磁気ヘッド30の磁気読取素子が有限の幅を持っているため、磁化状態は、読取素子の幅の分だけ歪んでしまう。そのため、レーザ光のスポット径をなるべく大きくするようにすることが好ましい。例えば、500Gbpsi級の磁気ディスクの磁気ヘッドの場合は、読取素子の幅は50nm程度であるから、レーザ光のスポット径は、50nmより大きくするのが好ましい。
以上では、図3を参照して、磁気ヘッド30によりレーザ光を照射する場合について説明した。しかしながら、磁気ヘッド30からレーザ光を照射するようにすると、磁気ヘッド30の磁気読取素子が有限の幅を持っているため、磁化状態は、読取素子の幅の分だけ歪んでしまう。そのため、レーザ光のスポット径をなるべく大きくするようにすることが好ましい。例えば、500Gbpsi級の磁気ディスクの磁気ヘッドの場合は、読取素子の幅は50nm程度であるから、レーザ光のスポット径は、50nmより大きくするのが好ましい。
図17は、変形例における記録特性評価装置300Aの構成例を示す図である。図17に示す例では、記録特性評価装置300Aは、磁気ヘッド30とは別に光源20を備える。光源20は、レーザ光d1を磁気ディスク100に照射している。これにより、レーザ光d1のスポット径を大きくすることができる。
以上、実施形態および変形例を詳述してきたが、具体的な構成はそれらに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更や、他の用途への適用なども含まれる。
例えば、磁気記録媒体は磁気ディスクの場合を例にとって説明したが、磁気テープなどでもよい。
30 磁気ヘッド
100 磁気ディスク
100 磁気ディスク
Claims (3)
- 記録層を備えた磁気記録媒体の記録特性を評価する方法であって、
光照射後において、前記記録層の磁化状態を検出するステップと、
前記検出した磁化状態、および、その磁化状態を示す前記記録層の温度分布に基づいて、当該記録層のキュリー温度のばらつきを求めるステップと
を含むことを特徴とする方法。 - 前記ばらつきを求めるステップは、前記温度分布から検出される前記光照射時の温度変化に対する、前記磁化状態に基づいて検出される残留磁化の減磁特性を求め、その減磁特性に対応する分布をもつキュリー温度の標準偏差を得ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
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