JP2013158284A - ワサビ種子の発芽方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】通年を通じてワサビ苗用の種まきを可能とし、且つ播種した種子から本葉二枚程度の幼苗への幼苗育成率を著しく向上できるワサビ種子の発芽方法を提供する。
【解決手段】定温度に保持されている人工的な施設内の育成培地に、水及び光を供給しつつ、種子の殻20内に子葉が収納され、3〜7mmの幼根12に毛根状の側根14が発根した発根ワサビ種子10を播種し、殻20から子葉が展開した発芽状態とする。
【選択図】図1

Description

本発明は人工的な環境下においてワサビ種子を発芽する方法に関するものである。
ワサビの栽培は、自然界の湧水等の清流近くに造成されたワサビ田にワサビ苗を定植してなされている。ワサビ苗は、通常、ワサビの親株から採取した種子を育成土壌に密に播種し発芽させて、本葉2〜3枚の時に仮植を行い、さらにワサビ田へ移植可能な本葉5〜6枚まで育成されている。ワサビ苗が定植されたワサビ田では、湧水等の清流を利用して年間ほぼ一定温度の水を流すことができ、一年を通じてワサビの栽培がされる。
しかし、播種した種子からは、ワサビ田等に定植可能なワサビ苗への育成可能性が高い本葉二枚程度の幼苗への幼苗育成率が低く、計画本数のワサビ苗を育成するため、通常、計画本数に対応する種子数よりも遥かに多数個の種子を播種している。この作業は根気と労力、適宜な判断が求められ、実務者が激減している。また、ワサビ苗は夏の暑さに弱く、自然界では、ワサビ苗用の種まきは、春まき(3月ごろ)と秋まき(11月〜12月)と年2回に限定されているため、ワサビ田の休耕期間が長くなり生産性の低下を招いている。
また、ワサビの育成装置及びその育成装置を用いた育成方法が下記特許文献1に記載されている。特許文献1には、ワサビ幼苗育成装置が高傾斜流水パネル、中傾斜流水パネル、低傾斜流水パネル、傾斜無し流水パネル、流水調整槽等で構成され、育成装置の両側に苗が生育していくのに応じて、苗の根と、各養水流下パネル上を流下する養水との間隔が順次開くように設計してある幼苗前送具懸吊用架台を設け、幼苗前送具を順次高い方向に前送りする構成とするものが記載されている。更に、特許文献1には、かかる育成装置を用いた育成方法として、施設内でワサビの幼苗を育成する方法において、養水の水温、水量、水質、培地の素材の構成等の条件をワサビの育成に最適な状態に恒持するシステムを構築することが記載されている。
この育成装置においても、通年のワサビ苗の育成を行うことができるが、ワサビの幼苗をワサビ苗に育成するものであり、別の場所でワサビの幼苗の育成を必要とする。このため、依然としてワサビの幼苗の育成時期及び幼苗育成率が問題となる。
特開平6−303864号公報
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、通年を通じてワサビ苗用の種まきを可能とし、且つ播種した種子からの幼苗育成率を向上できる人工的な環境下下においてワサビ種子の発芽方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載されたワサビ種子の発芽方法は、定温度に保持されている人工的な施設内の育成培地に、水及び光を供給しつつ、種子の殻内に子葉が収納され、3〜7mmの幼根に毛根状の側根が発根した発根ワサビ種子を播種し、前記殻から子葉が展開した発芽状態とすることを特徴とする。
請求項2に記載されたワサビ種子の発芽方法は、請求項1に記載されたものであって、前記発根ワサビ種子が、所定温度に保持されている発根雰囲気内の保湿材の表面に、隣接する種子同士が互いに接触するように密に一層に播かれた多数個のワサビ種子から発根したものであることを特徴とする。
請求項3に記載されたワサビ種子の発芽方法は、請求項2に記載されたものであって、前記保湿材が、保湿性紙であることを特徴とする。
請求項4に記載されたワサビ種子の発芽方法は、請求項2に記載されたものであって、前記発根雰囲気の所定温度が、15〜19℃であることを特徴とする。
請求項5に記載されたワサビ種子の発芽方法は、請求項2に記載されたものであって、前記ワサビ種子が、ジベレリン含有液に浸漬した後、殺菌水で洗浄したものであることを特徴とする。
請求項6に記載されたワサビ種子の発芽方法は、請求項1に記載されたものであって、前記施設の定温度が、18〜20℃であることを特徴とする。
請求項7に記載されたワサビ種子の発芽方法、請求項1に記載されたものであって、波長400〜800nmの光を含む前記光を蛍光灯又は発光ダイオードから供給し、前記育成培地の表面に対する光量束密度を60〜100μmol/m2・sとすることを特徴とする。
請求項8に記載されたワサビ種子の発芽方法は、請求項1に記載されたものであって、前記光が、自然光から導入された光であることを特徴とする。
請求項9に記載されたワサビ種子の発芽方法は、請求項1に記載されたものであって、前記育成培地が、培養成分を含んでもよい土、砂、小粒砂利、木材チップ、綿、紙、プラスチックチップ、多孔性プラスチックから選ばれる育成培地であることを特徴とする。
請求項10に記載されたワサビ種子の発芽方法は、請求項1に記載されたものであって、前記施設が、移動可能の施設であることを特徴とする。
本発明によれば、通年を通じてワサビ苗用の種まきを可能にでき、ワサビ苗の需要に応じて適宜ワサビ種子の種まきを行うことができる。しかも、播いたワサビ種子から本葉二枚程度の幼苗への幼苗育成率を著しく向上でき、ワサビ種子の効率化を図ることができる。
種子の殻内に子葉が収納され、幼根に毛根状の側根が発根している発根ワサビ種子を説明する説明図である。 点状の幼根のみが発根している発根ワサビ種子を説明する説明図である。 ワサビの子葉の展開が始まった状態を説明する説明図である。 ワサビ種子の発芽状態を説明する説明図である。 図2に示す発根ワサビ種子10Aを培養土22に播種した場合の生育状況を説明する説明図である。
本発明で用いる発根ワサビ種子としては、本ワサビの種子から幼根を発根させたものを好適に採用できる。このワサビ種子は、登熟され、休眠打破されたものである。具体的には、親株の開花盛期後50〜60日に採取され、3〜5℃の雰囲気下で一定期間貯蔵したワサビ種子である。かかるワサビ種子を播種する前の前処理として、先ず、10〜15℃のジベレリン含有液にワサビ種子を72時間ほど浸漬するジベレリン処理を行う。次いで、ジベレリン処理を施したワサビ種子を殺菌水で複数回洗浄する。この殺菌水としては、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下で且つpHが4.5〜6.8の範囲の電解水を好適に用いることができる。かかる電解水は、塩化ナトリウムを人為的に添加しない水に塩酸を添加し、塩酸を添加した水を無隔膜電解槽に通水し、通水した水を電気分解し、得られた電気分解水を希釈して得ることができる。具体的には、森永乳業株式会社製の微酸性電解水(商品名:ピュアスター水)を殺菌水として好適に用いることができる。
かかる前処理を施したワサビ種子を、所定温度に保持された発根雰囲気内で幼根を発根させる。具体的には、ジベレリン処理を施した多数個のワサビ種子を、隣接する種子同士が互いに接触するように密に一層に播いてから、所定の湿度となるようにワサビ種子及び保湿材に散水する。ここで、保湿材の表面に播いたワサビ種子が重層した場合、ワサビ種子から発根した幼根が絡み合って、後述する処理が困難となる傾向がある。一方、ワサビ種子同士の間隔を開けて播いた場合は、ワサビ種子の発根率が低下する傾向にある。また、散水する水としては、殺菌水を好適に用いることができる。カビの発生等を抑制できるからである。この殺菌水としては、前述した森永乳業株式会社製の微酸性電解水(商品名:ピュアスター水)を好適に用いることができる。尚、「散水」とは、水を噴霧状態で散水することも含む。
また、保湿材としては、水分を保持できるものであればよく、保湿性紙、例えはティッシュペーパーを用いることができる。更に、発根雰囲気は、その温度を15〜19℃に保持することが好ましい。かかる発根雰囲気は、内温を所定温度に維持できるインキュベーション内に形成することが好ましく、ワサビ種子に光を照射することは不要である。
このような状態の発根雰囲気内のワサビ種子は、播いてから8〜14日で殆どのワサビ種子から図1に示すように発根が認められる。図1に示す発根ワサビ種子10は、種子の殻20内に子葉が収納され、3〜7mmの幼根12に毛根状の側根14,14が発根しているものである。かかる図1に示す発根ワサビ種子10は、図2に示すように、殻20に生じた亀裂から点状に発根した発根ワサビ種子10Aから成長しているものである。更に、図1に示す発根ワサビ種子10を引き続き発根雰囲気内に保持すると、図3に示すように多数の毛根状の側根14,14が発根した幼根12に引き続いて形成された柄18の先端に殻20から子葉16,16が展開した発芽苗24となる。
本発明では、図1に示すように種子の殻20内に子葉が収納され、3〜7mmの幼根12に毛根状の側根14,14が発根している発根ワサビ種子10の各々を、定温度に保持されている人工的な施設内の育成培地に播種する。かかる発根ワサビ種子10は、ワサビ種子と同様に扱うことができ、多数個のワサビ種子から発根ワサビ種子10を得ても、個々の発根ワサビ種子10に簡単に分離できる。
ここで、図2に示すように殻20に生じた亀裂から点状の幼根12のみが発根した発根ワサビ種子10Aは、図1に示す発根ワサビ種子10よりも更に取扱いが容易であるものの、発根ワサビ種子10Aを育成培地に播種した場合、図1に示す発根ワサビ種子10を播種した場合に比較して、本葉二枚程度の幼苗への幼苗育成率が低下する。また、図3に示すように子葉16,16が殻20から展開した発芽苗24を、多数個のワサビ種子から得た場合、多数本の発芽苗24が塊状となって発芽苗24の幼根同士が絡み合っており、個々の発芽苗24に分離する分離作業が煩雑となる。更に、分離した発芽苗24を育成培地に植えても、その幼苗育成率のバラツキが大きい。発芽苗24の分離作業の際に、幼根12や側根14等の生長点を損傷し易いためであると推測される。
図1に示す発根ワサビ種子10を播種する育成培地としては、培養成分を含んでもよい土、砂、小粒砂利、木材チップ、綿、紙、プラスチックチップ、多孔性プラスチックから選ばれる任意のものを用いることができる。市販されている培養土を用いることができる。また、かかる育成培地を収容する人工的な施設内の定温度は、18〜20℃に保持することが好ましい。
図1に示す発根ワサビ種子10を育成培地としての培養土に播種する際に、培養土の表面上に載置した発根ワサビ種子10を、培養土で隠れる程度に薄く覆土することが好ましい。培養土の表面上に載置した発根ワサビ種子10を、培養土で厚く覆土することは、子葉の培養土上への展開が遅くなる傾向にある。また、図1に示す多数個の発根ワサビ種子10をまとめてポット等の容器に充填した培養土に播種してもよいが、培養土に発根ワサビ種子10を1個ずつ播種することが好ましい。特に、底面に貫通孔が形成された複数個の凹部を具備するセルトレイを用い、この凹部の各々に凹部容積の約80%程度に培養土を充填し、各凹部の培養土に、発根ワサビ種子10を1個ずつ播種することが好ましい。かかるセルトレイを用いて育成したワサビ苗を、セルトレイの各凹部から取り出してワサビ田等に定植することができ、省力化できる。
このように発根ワサビ種子10を播種した育成培地を、18〜20℃に保持された人工的な施設内に載置し、育成培地には、所定量の光及び水を供給する。給水は、殺菌水として水道水を用い、育成培地の表面が乾き始めたことを確認して、育成培地の底面側に給水する底面給水を行う。かかる水には、肥料成分を含有することは要しない。また、光は、波長400〜800nmの光を含む前記光を蛍光灯又は発光ダイオードから供給し、育成培地の表面に対する光量束密度を60〜100μmol/m2・sとすることが好ましい。光源として蛍光灯を用いた場合には、育成培地の表面に対する光量束密度を80〜100μmol/m・sとすることが好ましい。かかる蛍光灯としては、冷蛍光管が好ましい。また、光源として、白色の発光ダイオード(LED)を用いる場合は、育成培地の表面に対する光量束密度を60〜80μmol/m・sとすることが好ましい。かかる光量の照射時間は、12〜16時間/日とすることが好ましい。尚、この光は、自然光、例えば太陽光から導入された光であってもよい。
このように育成培地に播種した図1に示す発根ワサビ種子10からは、通常、10〜14日程度で発芽状態となる。発芽状態とは、発根ワサビ種子10の殻20から子葉16,16が出現した状態をいう。育成培地として培養土に発根ワサビ種子10を播種した場合の発芽状態を図4に示す。発根ワサビ種子10から出現した子葉16,16は、通常、図4(a)に示すように培養土22中にあり、子葉16,16を先端に付けた柄18の一部が培養土22上に出現する。この子葉16,16は、図4(b)に示すように子葉16,16が培養土22上に展開して発芽苗24となる。図4(b)に示す発芽苗24は、更に二枚程度の本葉が展開した幼苗に成長する。
この幼苗からは、ワサビ田等に定植できるワサビ苗に成長する可能性が高くなる。本発明に係るワサビ種子の発芽方法によれば、育成培地に播種された図1に示す発根ワサビ種子10から、本葉二枚程度の幼苗に成長する幼苗育成率を68〜95%とすることができる。これに対し、育成培地に、ワサビ種子を発根させることなく播種した場合、幼苗育成率は5〜27%と低くなる。また、図2に示すように殻20に生じた亀裂から点状の幼根12のみが発根した発根ワサビ種子10Aを育成培地に播種した場合、図5に示すように幼根12が成長して側根14,14が発生するものの、子葉16,16が発育しないで成長が停止することが多くなり、発根ワサビ種子10Aからの幼苗への幼苗育成率は18〜32%と低くなる。
このように人工的な施設内でワサビ種子を高効率で幼苗とすることができ、ワサビ種子の有効利用を図ることができる。かかる幼苗は、施設内の環境を幼苗育成用の環境に変更し、引く続きワサビ田等に定植可能なワサビ苗に育成することが好ましい。かかる人工的な施設を、移動可能の施設、特に荷物運搬用のコンテナとすることにより、ワサビ田等の近傍であって水道及び電源が設けられた箇所でワサビ種子を発芽して幼苗とし、更にワサビ田等に定植可能なワサビ苗に育成でき好ましい。かかる荷物運搬用のコンテナとしては、断熱処理が十分になされた冷凍品輸送用のコンテナが好ましい。尚、かかるコンテナには、温度制御装置、給水装置、光源及び養液供給装置を設ける。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
登熟され、休眠打破された本ワサビのワサビ種子を、100ppmのジベレリンが添加されて10〜15℃に保持された水溶液に72時間浸漬してジベレリン処理を施した。更に、ジベレリン処理を施したワサビ種子を、殺菌効果を有する森永乳業株式会社製の微酸性電解水(商品名:ピュアスター水)で3回洗浄した。次いで、洗浄したワサビ種子を、シャーレ上に敷いた保湿材としてのティッシュペーパー上に一層となるように敷き並べた。かかるワサビ種子及びティッシュペーパーに、殺菌効果を有する森永乳業株式会社製の微酸性電解水(商品名:ピュアスター水)を噴霧して湿り気を与えた。このワサビ種子をシャーレごとインキュベーション内に載置し、インキュベーション内を15〜19℃に保持して発根雰囲気としつつ1週間保持したところ、70〜82%のワサビ種子から図1に示すように発根して3〜7mmに成長した幼根12に毛根状の側根14,14が発生した発根ワサビ種子10を得ることができた。また、この保持を2週間としたところ、89〜100%のワサビ種子から図1に示す発根ワサビ種子10を得ることができた。かかる発根ワサビ種子10は、個々に簡単に分離できた。
図1に示す発根ワサビ種子10を、育成培地として市販されている培養土22を充填したセルトレイの凹部の各々に播種した。かかるセルトレイとしては、底面に貫通孔が形成された25個の凹部(内径5cm×5cmm、深さ5cm)が設けられているものを用いた。この凹部に発根ワサビ種子10を播種する際に、セルトレイの凹部の各々に、その容積の約80%程度に培養土22を充填し、1個の発根ワサビ種子10をピンセットで撮んで載置した後、発根ワサビ種子10が隠れる程度に培養土22で薄く覆土した。
かかるセルトレイを、温度制御装置、給水装置、光源として蛍光灯及び養液供給装置を具備する移動可能な冷凍品輸送用のコンテナ内に載置し、コンテナ内を18〜20℃に維持しつつ、セルトレイの培養土22に対して、400〜800nmの光を含む白色光を蛍光灯から照射した。かかる照射時間は12時間/日とし、培養土22の表面に対する光量を光量束密度が80〜100μmol/m2・sとなるように調整した。また、水は、水道水を用い、育成土壌22が乾き始めたことを確認して、セルトレイの凹部の底面側から吸水する底面吸水を行った。このような雰囲気のコンテナ内にセルトレイを載置してから10〜14日目に、セルトレイの凹部の各々からワサビの子葉16,16が培養土22上に展開した発芽苗24となった。かかる子葉16,16の展開は、セルトレイの全凹部に認められた。更に、セルトレイをコンテナ内に載置しておいたところ、セルトレイの全凹部において、子葉16,16に代わって二枚の本葉が展開した幼苗への成長が認められ、培養土22に播種した発根ワサビ種子10からの幼苗育成率は68〜95%であった。
(比較例1)
実施例1において、セルトレイの凹部に充填した培養土22に播種する発根ワサビ種子10を、図2に示すように殻20に生じた亀裂から点状の幼根12のみが発根した発根ワサビ種子10Aに代えた他は実施例1と同様にして発芽させた。しかし、図5に示すように幼根12が成長して側根14,14が発生するものの、子葉16,16が発育しないで成長が停止することが多くなり、発根ワサビ種子10Aから本葉二枚程度の幼苗への幼苗育成率は18〜32%となった。
(比較例2)
実施例1において、幼根12を発根させることなくワサビ種子をセルトレイの各凹部に充填した培養土22に直接播いたところ、図5に示すように幼根12が成長して側根14,14が発生するものの、子葉16,16が発育しないで成長が停止することが多くなり、ワサビ種子からの本葉二枚程度の幼苗への幼苗育成率は5〜27となった。
(比較例3)
実施例1において、セルトレイの凹部に充填した培養土22に播種する発根ワサビ種子10に代えて、ワサビ種子のインキュベーション内の発根雰囲気での保持時間を長くして図3に示す発芽苗24に成長したものを用いた。この発芽苗24は、幼根12が7mmを超えて成長し、子葉14,14の展開が始まっていた。しかし、多数本の発芽苗24が塊状となって、それらの幼根同士が絡み合っており、発芽苗24の分離作業は極めて困難であった。分離した発芽苗24には、子葉14、幼根12或いは側根14,14が千切れたりしたものが多く存在した。肉眼で観察して完全に分離できたと判断した発芽苗24を培養土22に植えたところ、発芽苗24の本葉二枚程度の幼苗への幼苗育成率は58〜85%とバラツキが大きかった。
本発明によれば、年間を通じワサビ種子を効率的に本葉二枚程度の幼苗への幼苗に育成でき、ワサビ苗の需要に応じて適宜ワサビ種子の種まきを行うことができる。
10,10Aは発根ワサビ種子、12は幼根、14は側根、16は子葉、18は柄、20は殻、22は培養土、24は発芽苗である。

Claims (10)

  1. 定温度に保持されている人工的な施設内の育成培地に、水及び光を供給しつつ、種子の殻内に子葉が収納され、3〜7mmの幼根に毛根状の側根が発根した発根ワサビ種子を播種し、前記殻から子葉が展開した発芽状態とすることを特徴とするワサビ種子の発芽方法。
  2. 前記発根ワサビ種子が、所定温度に保持されている発根雰囲気内の保湿材の表面に、隣接する種子同士が互いに接触するように密に一層に播かれた多数個のワサビ種子から発根したものであることを特徴とする請求項1に記載のワサビ種子の発芽方法。
  3. 前記保湿材が、保湿性紙であることを特徴とする請求項2に記載のワサビ種子の発芽方法。
  4. 前記発根雰囲気の所定温度が、15〜19℃であることを特徴とする請求項2に記載のワサビ種子の発芽方法。
  5. 前記ワサビ種子が、ジベレリン含有液に浸漬した後、殺菌水で洗浄したものであることを特徴とする請求項2に記載のワサビ種子の発芽方法。
  6. 前記施設の定温度が、18〜20℃であることを特徴とする請求項1に記載のワサビ種子の発芽方法。
  7. 波長400〜800nmの光を含む前記光を蛍光灯又は発光ダイオードから供給し、前記育成培地の表面に対する光量束密度を60〜100μmol/m2・sとすることを特徴とする請求項1に記載のワサビ種子の発芽方法。
  8. 前記光が、自然光から導入された光であることを特徴とする請求項1に記載のワサビ種子の発芽方法。
  9. 前記育成培地が、培養成分を含んでもよい土、砂、小粒砂利、木材チップ、綿、紙、プラスチックチップ、多孔性プラスチックから選ばれる育成培地であることを特徴とする請求項1に記載のワサビ種子の発芽方法。
  10. 前記人工的な施設が、移動可能の施設であることを特徴とする請求項1に記載のワサビ種子の発芽方法。
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