JP2013155338A - タイヤパンクシール剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】保管性能を維持しつつシール性能に優れるタイヤパンクシール剤の提供。
【解決手段】炭素数4〜10の脂肪族カルボン酸のエステルと合成樹脂エマルジョンと凍結防止剤とを含む、タイヤパンクシール剤。
【選択図】なし
【解決手段】炭素数4〜10の脂肪族カルボン酸のエステルと合成樹脂エマルジョンと凍結防止剤とを含む、タイヤパンクシール剤。
【選択図】なし
Description
本発明はタイヤパンクシール剤に関する。
タイヤパンクシール剤は天然ゴムラテックス(NRラテックス)と合成樹脂エマルジョンとプロピレングリコールのような凍結防止剤とをブレンドしたものである。NRラテックスはシール性能を付与する必須の成分である。本願出願人はこれまでに天然ゴムラテックスと合成樹脂エマルジョンと凍結防止剤等とを含有するタイヤパンクシール剤として例えば特許文献1を提案した。
しかしながら天然ゴムラテックスを含有するタイヤパンクシール剤は保管性能に問題がある場合もある。
そこで本願発明は保管性能を維持しつつ、天然ゴムラテックスを含まずともシール性能に優れるタイヤパンクシール剤の提供を目的とする。
そこで本願発明は保管性能を維持しつつ、天然ゴムラテックスを含まずともシール性能に優れるタイヤパンクシール剤の提供を目的とする。
本願発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、炭素数4〜10の脂肪族カルボン酸のエステルと合成樹脂エマルジョンと凍結防止剤とを含む組成物が保管性能を維持しつつシール性能に優れるタイヤパンクシール剤となることを見出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記1〜7を提供する。
1. 炭素数4〜10の脂肪族カルボン酸のエステルと合成樹脂エマルジョンと凍結防止剤とを含む、タイヤパンクシール剤。
2. 前記エステルの量が前記合成樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して10〜50質量部である、上記1に記載のタイヤパンクシール剤。
3. 前記エステルが、セバシン酸ジエステル、マレイン酸ジエステル、コハク酸ジエステル及びアジピン酸ジエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を少なくとも含む上記1又は2に記載のタイヤパンクシール剤。
4. 前記合成樹脂エマルジョンの固形分の量が請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤全量中の20〜40質量%である上記1〜3のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
5. 請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤に含まれる合成樹脂の粒子の平均粒子径が1.0〜5.0μmである上記1〜4のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
6. 前記合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体、アクリル樹脂及びウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する上記1〜5のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
7. 上記1〜6のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤に含まれる合成樹脂の粒子の平均粒子径が、前記合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂の粒子の平均粒子径より大きい上記1〜6のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
1. 炭素数4〜10の脂肪族カルボン酸のエステルと合成樹脂エマルジョンと凍結防止剤とを含む、タイヤパンクシール剤。
2. 前記エステルの量が前記合成樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して10〜50質量部である、上記1に記載のタイヤパンクシール剤。
3. 前記エステルが、セバシン酸ジエステル、マレイン酸ジエステル、コハク酸ジエステル及びアジピン酸ジエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を少なくとも含む上記1又は2に記載のタイヤパンクシール剤。
4. 前記合成樹脂エマルジョンの固形分の量が請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤全量中の20〜40質量%である上記1〜3のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
5. 請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤に含まれる合成樹脂の粒子の平均粒子径が1.0〜5.0μmである上記1〜4のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
6. 前記合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体、アクリル樹脂及びウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する上記1〜5のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
7. 上記1〜6のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤に含まれる合成樹脂の粒子の平均粒子径が、前記合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂の粒子の平均粒子径より大きい上記1〜6のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
本発明のタイヤパンクシール剤は保管性能を維持しつつシール性能に優れる。
本発明について以下詳細に説明する。
本発明のタイヤパンクシール剤は、炭素数4〜10の脂肪族カルボン酸のエステルと合成樹脂エマルジョンと凍結防止剤とを含む、タイヤパンクシール剤である。
本発明のタイヤパンクシール剤は、脂肪族カルボン酸のエステルを含むことによって、合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂の粒子が膨潤し(大きくなる)、このことによって合成樹脂が脆く(柔らかく)なり機械的安定性が低下しシール性能が向上する。さらに本発明のタイヤパンクシール剤は合成樹脂が膨潤しても保管性能に影響はなく、優れた保管性能を維持することができる。
本発明のタイヤパンクシール剤は、炭素数4〜10の脂肪族カルボン酸のエステルと合成樹脂エマルジョンと凍結防止剤とを含む、タイヤパンクシール剤である。
本発明のタイヤパンクシール剤は、脂肪族カルボン酸のエステルを含むことによって、合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂の粒子が膨潤し(大きくなる)、このことによって合成樹脂が脆く(柔らかく)なり機械的安定性が低下しシール性能が向上する。さらに本発明のタイヤパンクシール剤は合成樹脂が膨潤しても保管性能に影響はなく、優れた保管性能を維持することができる。
本発明のタイヤパンクシール剤に含まれる合成樹脂エマルジョンは特に制限されない。なかでも、シール性能により優れ、保管性能に優れ、保管性能に優れるという観点から、合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体、アクリル樹脂及びウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するのが好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体を含有するエマルジョン(これを以下「EVAエマルジョン」という。)は合成樹脂エマルジョンのなかでも他の合成樹脂エマルジョンと比較してシール性能が低い。しかし本発明によれば脂肪族カルボン酸のエステルを用いることによってEVAエマルジョンのシール性能を格段に飛躍させることができる。
合成樹脂エマルジョンに含有されるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、特に限定されない。例えば従来公知のものが挙げられる。共重合する際に配合されるエチレンと酢酸ビニルモノマーとの質量比は10/90〜40/60が好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体を含有するエマルジョン(これを以下「EVAエマルジョン」という。)は合成樹脂エマルジョンのなかでも他の合成樹脂エマルジョンと比較してシール性能が低い。しかし本発明によれば脂肪族カルボン酸のエステルを用いることによってEVAエマルジョンのシール性能を格段に飛躍させることができる。
合成樹脂エマルジョンに含有されるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、特に限定されない。例えば従来公知のものが挙げられる。共重合する際に配合されるエチレンと酢酸ビニルモノマーとの質量比は10/90〜40/60が好ましい。
EVAエマルジョンはその製造について特に制限されない。必要に応じて他のモノマーを共重合させてもよい。他のモノマーとしては、具体的には、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸エステル;塩化ビニル、バーサチック酸ビニルなどのビニルエステル;等が挙げられる。また、他のモノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸のようにカルボキシル基を含有するモノマーの他、スルホン酸基、ヒドロキシ基、エポキシ基、メチロール基、アミノ基、アミド基等の官能基を含有する各種モノマーも使用することができる。
エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体を含有するエマルジョン(VEVAエマルジョン)は特に制限されない。例えば、エチレン、酢酸ビニル及びバーサチック酸ビニル(バーサチック酸とビニルアルコールとのエステル)をモノマー単位として少なくとも含む共重合体のエマルジョンであれば特に限定されない。
VEVAエマルジョンはその製造について特に制限されない。必要に応じて他のモノマーを共重合させてもよい。他のモノマーとしては、具体的には、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
VEVAエマルジョンはその製造について特に制限されない。必要に応じて他のモノマーを共重合させてもよい。他のモノマーとしては、具体的には、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
アクリル樹脂を含有するエマルジョン(アクリルエマルジョン)は特に制限されない。例えば従来公知のアクリルエマルジョンを用いることができる。本発明において、アクリル樹脂はアクリル樹脂及びメタクリル樹脂のうちの少なくとも一方又は両方を言う。アクリルエマルジョンについても同様である。アクリルエマルジョンとしては、例えば、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの他、必要に応じて芳香族ビニル単量体、不飽和二トリル、共役ジオレフィン、多官能ビニル単量体、アミド系単量体、水酸基含有単量体、カプロラクトン付加単量体、アミノ基含有単量体、グリシジル基含有単量体、酸系単量体(例えば、アクリル酸、メタクリル酸)、ビニル単量体等を、乳化分散剤を用いて重合(乳化重合)して得られるエマルジョンが挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、具体的には、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸ラウリル等が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、具体的には、例えば、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、具体的には、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸ラウリル等が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、具体的には、例えば、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
ウレタン樹脂を含有するエマルジョン(ウレタンエマルジョン)は特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。ウレタン樹脂としては例えば、ポリイソシアネート、ポリオール及びカルボキシル基のようなイオン性基を有するポリオールとを共重合及び中和させることによって得られるものが挙げられる。
合成樹脂エマルジョンはその製造について特に制限されない。合成樹脂エマルジョンは例えば、乳化剤を使用することによって、自己乳化型の合成樹脂を用いることによってエマルジョンとすることができる。
合成樹脂エマルジョンはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
合成樹脂エマルジョンはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
凍結防止剤について以下に説明する。本発明のタイヤパンクシール剤に含まれる凍結防止剤はタイヤパンクシール剤に使用することができるものであれば特に制限されない。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(ジエチレングリコールを含む)、ポリプロピレングリコールが挙げられる。凍結防止剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
凍結防止剤の量は、合成樹脂エマルジョンの合計固形分100質量部に対して、80〜150質量部であるのが好ましい。凍結防止成分の含有量が上記範囲である場合、シール性能および保管性能に優れ、凍結防止性能にも優れる。
凍結防止剤の量は、合成樹脂エマルジョンの合計固形分100質量部に対して、80〜150質量部であるのが好ましい。凍結防止成分の含有量が上記範囲である場合、シール性能および保管性能に優れ、凍結防止性能にも優れる。
脂肪族カルボン酸のエステルについて以下に説明する。本発明のタイヤパンクシール剤に含まれる脂肪族カルボン酸のエステルは、炭素数4〜10の脂肪族カルボン酸と、ヒドロキシ基を有する炭化水素化合物とから形成されるエステルであれば特に制限されない。以下これをエステルということがある。
エステルを製造する際に使用される、脂肪族カルボン酸は、1分子中にカルボキシ基を1個以上有し、1分子中の炭素数が4〜10である脂肪族カルボン酸であれば特に制限されない。脂肪族カルボン酸が有する脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、これらの組合わせとすることができる。脂肪族カルボン酸が1分子中に有するカルボキシ基の数は、シール性能により優れ、保管性能に優れるという観点から、2個以上であるのが好ましい。脂肪族カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、具体的には例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸のような飽和脂肪族ジカルボン酸;マレイン酸のような不飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
エステルを製造する際に使用される、ヒドロキシ基を有する炭化水素化合物が有する炭化水素基は例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組合わせが挙げられる。炭化水素基は炭素原子及び水素原子のみからなるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。つまり本発明において炭化水素化合物が有する炭化水素基(ヒドロキシ基以外の部分)は例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有さないものとすることができる。炭化水素化合物が有する炭化水素基(ヒドロキシ基以外の部分)はなかでも、シール性能により優れ、保管性能に優れるという観点から、脂肪族炭化水素基であるのが好ましく、アルキル基であるのがより好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、イソノニル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基のような炭素原子数1〜10のアルキル基(鎖状、分岐状のいずれでもよい。)が挙げられる。炭化水素化合物が1分子中に有するヒドロキシ基の数は、1個以上とすることができ、1個であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
脂肪族カルボン酸のエステルは、シール性能により優れ、保管性能に優れるという観点から、脂肪族ジカルボン酸エステルであるのが好ましく、脂肪族ジカルボン酸ジエステルであるのがより好まし。脂肪族カルボン酸のエステルは、上記と同様の理由から、より具体的には、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、コハク酸エステル及びアジピン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を少なくとも含むのが好ましく、セバシン酸ジエステル、マレイン酸ジエステル、コハク酸ジエステル及びアジピン酸ジエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を少なくとも含むのがより、好ましい。
本発明において、脂肪族カルボン酸のエステルの量は、シール性能により優れ、保管性能に優れるという観点から、合成樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して10〜50質量部であるのが好ましく、20〜50質量部であるのがより好ましい。
本発明において、脂肪族カルボン酸のエステルの量は、シール性能により優れ、保管性能に優れるという観点から、合成樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して10〜50質量部であるのが好ましく、20〜50質量部であるのがより好ましい。
本発明のタイヤパンクシール剤は、実質的に天然ゴム又は天然ゴムラテックスを含まない、又は、更に天然ゴムを含むとしてもその量が少ないことが好ましい態様として挙げられる。従来、タイヤパンクシール剤が天然ゴム又は天然ゴムラテックスを含む場合シール性能に優れるものの保管性能に劣る場合が多い。本発明のタイヤパンクシール剤は合成樹脂エマルジョンに対して脂肪族カルボン酸のエステルを含むことによって保管性能を維持しつつ優れたシール性能を発揮するので、実質的に天然ゴム又は天然ゴムラテックスを含まない、又は、更に天然ゴムを含むとしてもその量を少なくすることができる。
本発明のタイヤパンクシール剤が実質的に天然ゴム又は天然ゴムラテックスを含まない又は、更に天然ゴムを含むとしてもその量が少ないとは、天然ゴムの量が合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂100質量部に対して0〜20質量部(即ち20質量部以下)であることを言う。天然ゴムの量は保管性能に優れるという観点から、合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂100質量部に対して0〜10質量部(即ち10質量部以下)であるのが好ましい。
本発明のタイヤパンクシール剤が天然ゴム又は天然ゴムラテックスを更に含む場合天然ゴム又は天然ゴムラテックスは特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
本発明のタイヤパンクシール剤が実質的に天然ゴム又は天然ゴムラテックスを含まない又は、更に天然ゴムを含むとしてもその量が少ないとは、天然ゴムの量が合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂100質量部に対して0〜20質量部(即ち20質量部以下)であることを言う。天然ゴムの量は保管性能に優れるという観点から、合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂100質量部に対して0〜10質量部(即ち10質量部以下)であるのが好ましい。
本発明のタイヤパンクシール剤が天然ゴム又は天然ゴムラテックスを更に含む場合天然ゴム又は天然ゴムラテックスは特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
本発明のタイヤパンクシール剤は、上述した各成分以外に、所望により、ゲル化剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、界面活性剤、レベリング剤、分散剤、脱水剤、帯電防止剤等の添加剤を含有することができる。
本発明のタイヤパンクシール剤はその製造について特に制限されない。例えば、合成樹脂エマルジョン、凍結防止剤、脂肪族カルボン酸のエステル、必要に応じて使用することができる添加剤を、減圧下で混合ミキサー等の混合機を用いて十分に混合して製造する方法が挙げられる。
本発明のタイヤパンクシール剤に含有される、合成樹脂エマルジョンの固形分の量は、シール性能により優れ、保管性能に優れるという観点から、タイヤパンクシール剤全量中の20〜40質量%であるのが好ましい。なお本発明においてタイヤパンクシール剤に含有される固形分は合成樹脂エマルジョンの固形分のみを意味する。
本発明のタイヤパンクシール剤に含有される、合成樹脂エマルジョンの固形分の量は、シール性能により優れ、保管性能に優れるという観点から、タイヤパンクシール剤全量中の20〜40質量%であるのが好ましい。なお本発明においてタイヤパンクシール剤に含有される固形分は合成樹脂エマルジョンの固形分のみを意味する。
本発明のタイヤパンクシール剤において、シール性能により優れ、保管性能に優れるという観点から、タイヤパンクシール剤に含まれる合成樹脂の粒子の平均粒子径が、原料としての合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂の粒子の平均粒子径より大きいことが好ましい。本発明において、原料としての合成樹脂エマルジョンに脂肪族カルボン酸のエステルを加えることによって、タイヤパンクシール剤に含まれる合成樹脂の粒子の平均粒子径を、原料としての合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂の粒子の平均粒子径より大きくすることができる。
本発明のタイヤパンクシール剤の製造に使用される合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂の粒子の平均粒子径は、一般的な範囲(例えば1μm未満)とすることができる。
本発明のタイヤパンクシール剤に含まれる合成樹脂の粒子(膨潤後の粒子)の平均粒子径は、シール性能により優れ、保管性能に優れるという観点から、1.0〜5.0μmであるのが好ましい。
本発明においてはこのようにして得られた組成物をタイヤのパンクをシールするために使用する、タイヤパンクシール用の組成物、タイヤパンクシール用のキットとして使用することができる。
本発明のタイヤパンクシール剤の製造に使用される合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂の粒子の平均粒子径は、一般的な範囲(例えば1μm未満)とすることができる。
本発明のタイヤパンクシール剤に含まれる合成樹脂の粒子(膨潤後の粒子)の平均粒子径は、シール性能により優れ、保管性能に優れるという観点から、1.0〜5.0μmであるのが好ましい。
本発明においてはこのようにして得られた組成物をタイヤのパンクをシールするために使用する、タイヤパンクシール用の組成物、タイヤパンクシール用のキットとして使用することができる。
以下実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれに限定されない。
<評価>
下記のとおり得られた組成物について以下の物性、性能を評価した。結果を表に示す。
・平均粒子径
タイヤパンクシール剤中の合成樹脂の粒子の平均粒子径は、動的光散乱式粒度分析計[日機装株式会社製のナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX−150]を用いて測定された。
・シール性能
タイヤのショルダー部にパンク孔(直径4mm)を空ける。次いで、パンク孔を空けたタイヤをドラム試験機に装着し、タイヤパンクシール剤をタイヤのバルブ口から注入し、タイヤ内圧が250kPaになるように空気を充填する。その後、荷重350kg、時速30kmの条件下で上記タイヤを走行させ、走行後に、空気漏れの有無を目視および石鹸水をパンク孔付近に吹き付けることで確認する。
評価基準としては、10サイクル以内でシールする場合を「非常に良好」、11〜15サイクルでシールする場合を「良好」、16〜20サイクルでシールする場合を「やや不良」、シールしない場合を「不良」とした。
・保管性能:80℃雰囲気下×30日後の外観観察で確認した。結果を、非常に良好:凝集物や粘度変化もなく安定、良好:凝集物の発生せず安定ではあるが粘度がやや上昇傾向にある、良:皮膜発生(良好よりも劣る)、不良:凝集物発生と評価した。
<評価>
下記のとおり得られた組成物について以下の物性、性能を評価した。結果を表に示す。
・平均粒子径
タイヤパンクシール剤中の合成樹脂の粒子の平均粒子径は、動的光散乱式粒度分析計[日機装株式会社製のナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX−150]を用いて測定された。
・シール性能
タイヤのショルダー部にパンク孔(直径4mm)を空ける。次いで、パンク孔を空けたタイヤをドラム試験機に装着し、タイヤパンクシール剤をタイヤのバルブ口から注入し、タイヤ内圧が250kPaになるように空気を充填する。その後、荷重350kg、時速30kmの条件下で上記タイヤを走行させ、走行後に、空気漏れの有無を目視および石鹸水をパンク孔付近に吹き付けることで確認する。
評価基準としては、10サイクル以内でシールする場合を「非常に良好」、11〜15サイクルでシールする場合を「良好」、16〜20サイクルでシールする場合を「やや不良」、シールしない場合を「不良」とした。
・保管性能:80℃雰囲気下×30日後の外観観察で確認した。結果を、非常に良好:凝集物や粘度変化もなく安定、良好:凝集物の発生せず安定ではあるが粘度がやや上昇傾向にある、良:皮膜発生(良好よりも劣る)、不良:凝集物発生と評価した。
表に示す各成分の詳細は以下のとおりである。
・EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン(製品名:スミカフレックス408HQE、住化ケムテックス社製;固形分約50質量%。エチレン、酢酸ビニルの共重合体を固形分として含有する。)
・VEVA:エチレン−酢酸ビニル−ベオバ共重合樹脂エマルジョン(製品名:スミカフレックス950HQ、住化ケムテックス社製;固形分約53質量%。エチレン、酢酸ビニル、ベオバの共重合体を固形分として含有する。)
・アクリル:アクリルエマルジョン、商品名アクロナールA378、BASF社製、固形分50質量%
・NR:天然ゴムラテックス(Hytex HA、フェルフェックス社製、野村貿易社;固形分60質量%)
・PG:プロピレングリコール(凍結防止剤、ADEKA社製)
・水:蒸留水
・セバシン酸エステル:DOS(セバシン酸ジオクチル)、伊藤製油社製
・マレイン酸エステル:マレイン酸ジ2−オクチル(マレイン酸ジ2−エチルヘキシル)、KF Trading社製
・コハク酸エステル:コハク酸ジ2−オクチル(コハク酸ジ2−エチルヘキシル)、KF Trading社製
・アジピン酸エステル:DOA(アジピン酸ジオクチル)、昭和エーテル社製
・芳香族カルボン酸のエステル以外のエステル:トリメリット酸エステル、東京化成社製
・EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン(製品名:スミカフレックス408HQE、住化ケムテックス社製;固形分約50質量%。エチレン、酢酸ビニルの共重合体を固形分として含有する。)
・VEVA:エチレン−酢酸ビニル−ベオバ共重合樹脂エマルジョン(製品名:スミカフレックス950HQ、住化ケムテックス社製;固形分約53質量%。エチレン、酢酸ビニル、ベオバの共重合体を固形分として含有する。)
・アクリル:アクリルエマルジョン、商品名アクロナールA378、BASF社製、固形分50質量%
・NR:天然ゴムラテックス(Hytex HA、フェルフェックス社製、野村貿易社;固形分60質量%)
・PG:プロピレングリコール(凍結防止剤、ADEKA社製)
・水:蒸留水
・セバシン酸エステル:DOS(セバシン酸ジオクチル)、伊藤製油社製
・マレイン酸エステル:マレイン酸ジ2−オクチル(マレイン酸ジ2−エチルヘキシル)、KF Trading社製
・コハク酸エステル:コハク酸ジ2−オクチル(コハク酸ジ2−エチルヘキシル)、KF Trading社製
・アジピン酸エステル:DOA(アジピン酸ジオクチル)、昭和エーテル社製
・芳香族カルボン酸のエステル以外のエステル:トリメリット酸エステル、東京化成社製
表に示す結果から明らかなように、脂肪族カルボン酸のエステルを含まない比較例1はシール性能に劣った。脂肪族カルボン酸のエステルを含まず代わりに脂肪族カルボン酸のエステル以外のエステルとして芳香族カルボン酸エステルを含む比較例2は保管性能に劣った。合成樹脂エマルジョンを含まず天然ゴムラテックスを含む比較例3は保管性能に劣った。
これに対して実施例1〜10は保管性能を維持しつつシール性能を優れたものとすることができる。
これに対して実施例1〜10は保管性能を維持しつつシール性能を優れたものとすることができる。
一般的にタイヤパンクシール剤は寒冷地で使用する際タイヤパンクシール剤が凍結しないようにプロピレングリコールのような凍結防止剤を予め含む。このように従来のタイヤパンクシール剤は凍結防止剤を含むので可塑剤を含む必要がない。
本願発明者は、タイヤパンクシール剤が脂肪族カルボン酸のエステルを含むことによって、合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂の粒子が膨潤し(大きくなる)、このことによって合成樹脂が脆く(柔らかく)なり機械的安定性が低下しシール性能が向上し、さらに、このようなタイヤパンクシール剤は合成樹脂が膨潤しても保管性能に影響はなく、優れた保管性能を維持することができることを見出した。
本願発明における比較例1と実施例1〜6との比較から明らかなように、実施例1〜6(脂肪族カルボン酸のエステルを含む)のタイヤパンクシール剤に含まれる合成樹脂の平均粒子径は脂肪族カルボン酸のエステルを含まない比較例1の平均粒子径より大きくなる。一方、比較例1のタイヤパンクシール剤に含まれる合成樹脂の平均粒子径は、原料として使用される合成樹脂エマルジョン中の合成樹脂の平均粒子径とほぼ一致する。したがって本発明において使用される、脂肪族カルボン酸のエステルは、合成樹脂エマルジョンに含まれる合成樹脂を膨潤させていると推察される。
なお上記メカニズムは本願発明者の推測でありメカニズムが異なっていたとしても本願発明の要件を満たせば本願発明の範囲内である。
本願発明者は、タイヤパンクシール剤が脂肪族カルボン酸のエステルを含むことによって、合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂の粒子が膨潤し(大きくなる)、このことによって合成樹脂が脆く(柔らかく)なり機械的安定性が低下しシール性能が向上し、さらに、このようなタイヤパンクシール剤は合成樹脂が膨潤しても保管性能に影響はなく、優れた保管性能を維持することができることを見出した。
本願発明における比較例1と実施例1〜6との比較から明らかなように、実施例1〜6(脂肪族カルボン酸のエステルを含む)のタイヤパンクシール剤に含まれる合成樹脂の平均粒子径は脂肪族カルボン酸のエステルを含まない比較例1の平均粒子径より大きくなる。一方、比較例1のタイヤパンクシール剤に含まれる合成樹脂の平均粒子径は、原料として使用される合成樹脂エマルジョン中の合成樹脂の平均粒子径とほぼ一致する。したがって本発明において使用される、脂肪族カルボン酸のエステルは、合成樹脂エマルジョンに含まれる合成樹脂を膨潤させていると推察される。
なお上記メカニズムは本願発明者の推測でありメカニズムが異なっていたとしても本願発明の要件を満たせば本願発明の範囲内である。
Claims (7)
- 炭素数4〜10の脂肪族カルボン酸のエステルと合成樹脂エマルジョンと凍結防止剤とを含む、タイヤパンクシール剤。
- 前記エステルの量が前記合成樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して10〜50質量部である、請求項1に記載のタイヤパンクシール剤。
- 前記エステルが、セバシン酸ジエステル、マレイン酸ジエステル、コハク酸ジエステル及びアジピン酸ジエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を少なくとも含む請求項1又は2に記載のタイヤパンクシール剤。
- 前記合成樹脂エマルジョンの固形分の量が請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤全量中の20〜40質量%である請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤に含まれる合成樹脂の粒子の平均粒子径が1.0〜5.0μmである請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
- 前記合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体、アクリル樹脂及びウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤に含まれる合成樹脂の粒子の平均粒子径が、前記合成樹脂エマルジョンに含有される合成樹脂の粒子の平均粒子径より大きい請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
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2012
- 2012-01-31 JP JP2012018369A patent/JP2013155338A/ja active Pending
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