JP2013153993A - 粒子線治療装置 - Google Patents

粒子線治療装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2013153993A
JP2013153993A JP2012017478A JP2012017478A JP2013153993A JP 2013153993 A JP2013153993 A JP 2013153993A JP 2012017478 A JP2012017478 A JP 2012017478A JP 2012017478 A JP2012017478 A JP 2012017478A JP 2013153993 A JP2013153993 A JP 2013153993A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scanning
particle beam
therapy system
beam therapy
electromagnet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012017478A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichiro Fujitaka
伸一郎 藤高
Yusuke Fujii
祐介 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2012017478A priority Critical patent/JP2013153993A/ja
Publication of JP2013153993A publication Critical patent/JP2013153993A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Radiation-Therapy Devices (AREA)

Abstract

【課題】粒子線の均一走査において、横方向に一様な線量分布を形成するために必要な一面走査時間を短縮した上で、ビーム利用効率を従来より向上させる。
【解決手段】X方向に連続ビームを照射し、Y方向にビームをオフするライン走査において、速い走査方向をX方向に、遅い走査方向をY方向に割り当てる。ライン走査を構成するX方向の各ラインにおいて、走査電磁石の励磁電流パターンを構成する制御点の配置を、照射野端部において中心部と比較して密に配置する。
【選択図】 図6

Description

加速器により加速された荷電粒子ビームを、がん患部に照射して治療を行う粒子線治療装置に関する。
粒子線治療に用いられる照射野形成方法には、非特許文献1に示すようならせん経路、非特許文献2に示すようなジグザグ経路、非特許文献3に示すようなラスター経路、特許文献1に示すようにラスター経路にビームオンオフ制御を組み合わせたライン走査等がある。また特許文献2には、荷電粒子線の強度を制御することによって、線量分布の辺縁部のむらや低下を抑制すると記載されている。
特開平10−118204号公報 特開2009−243891号公報
M.Komori, T.Furukawa, T.Kanai and K.Noda, "Optimization of Spiral-Wobbler System for Heavy-Ion Radiotherapy", Jpn.J.Appl.Phys.43 (2004) 6463-6467. S.Yonai, N.Kanematsu, M.Komori, T.Kanai, Y.Takei, O.Takahashi, Y.Isobe, M.Tashiro, H.Koikegami and H.Tomita, "Evaluation of beam wobbling methods for heavy-ion radiotherapy", Med.Phys.35 (2008) 927-938. V.A.Anferov, "Scan pattern optimization for uniform proton beam scanning", Med.Phys.36 (2009) 3560-3567. T.Kanai, N.Kanematsu, S.Minohara, M.Komori, M.Torikoshi, H.Asakura, N.Ikeda, T.Uno and Y.Takei, "Commissioning of a conformal irradiation system for heavy-ion radiotherapy using a layer-stacking method", Med.Phys.33 (2006) 2989-2997.
均一走査において矩形照射野を形成するライン走査では、X方向に連続的にビームを照射するため、離散的にビームを照射するY方向と比較して、一様な線量分布の外側の領域での線量の落ち方、すなわち、ペナンブラが大きくなっていた。ペナンブラが大きくなると、ビーム利用効率の低下や一面走査時間の増大を招く。特許文献2の例では、ビームの走査速度を制御することにより端部の照射量を増加させている。しかしながらこの方法では、走査電磁石を細かく制御する必要があり、制御の複雑化やコストの増大を招く。
本発明の目的は、制御の複雑化やコストの増大を抑制しつつ、ビーム利用効率が高く一面走査時間の短い粒子線治療装置を提供することにある。
本発明の粒子線治療装置は、荷電粒子ビームを加速する加速器と、水平方向走査電磁石と垂直方向走査電磁石により照射野を形成する照射ノズルと、前記加速器で加速された荷電粒子ビームを前記照射ノズルに輸送するビーム輸送系と、前記走査電磁石の少なくとも一つを励磁する電磁石電源と、走査経路に対応した制御点に基づいて前記走査電磁石に流す電流を変更する電磁石電源制御装置を有する粒子線治療装置において、第一の方向に並ぶ前記制御点の間隔は中心部よりも端部の方が狭く配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、制御の複雑化やコストの増大を抑制しつつ、ビーム利用効率が高く一面走査時間の短い粒子線治療装置を提供することができる。
本発明が関係する粒子線治療装置の全体構成を示す図である。 本発明が関係する均一走査を行う照射ノズルの構成を示す図である。 本発明が関係する走査電磁石電源の制御装置がメモリ上に持っている励磁電流パターンに相当する時系列データを示す図である。 本発明が関係するアイソセンタ面でのライン走査の走査経路を示す図である。 従来技術でライン走査を実施する場合の、アイソセンタ面での励磁電流パターンを構成する制御点の配置を示す図である。 本発明に基づきライン走査を実施する場合の、アイソセンタ面での励磁電流パターンを構成する制御点の配置を示す図である。 従来技術に基づき均一走査を行った場合と、本発明に基づき均一走査を行った場合の線量分布の比較を示す図である。 図6において垂直軸である線量を97%から103%まで、横軸である位置を−100mmから+100mmまでに拡大した図である。 本発明による複数の制御点の配置を端部において制御した場合に、端の照射量を上げることが可能であることを示した図である。
粒子線治療において広く用いられてきた照射野形成方法に、単円ワブラー法がある。単円ワブラー法は、散乱体を用いて荷電粒子ビームのビームサイズを拡大した上で、水平、垂直走査用の二台の走査電磁石により、ビーム進行方向に垂直な面内で円形に走査して照射を行う。単円ワブラー法は、中心部分に一様な線量分布を形成し、その一様な領域から患者コリメータにより患部形状に合わせることにより患部に一様な線量で照射する。荷電粒子ビームの深さ方向の線量分布拡大にはリッジフィルタを使用し、深さ方向に一様な線量分布すなわち拡大ブラッグピーク(SOBP)を形成する。ボーラスは患部形状に荷電粒子ビームの到達位置を合わせる。しかし、単円ワブラー法において大照射野を形成する場合、散乱体の厚さを増加させ荷電粒子ビームのビームサイズを大きくした上で、走査経路である円の半径を大きくしなくてはならず、照射野が大きくなるほど、散乱体厚が厚くなり、荷電粒子ビームの到達飛程が短くなるという課題があった。
単円ワブラー法の課題を解決する照射法として、均一走査という照射法がある。均一走査方法は、単円ワブラーより小さいビームサイズの荷電粒子ビームを横方向に一様になるように走査電磁石で走査しながら照射する。照射野の大きさによらず、およそビームサイズ2cm(1σ)程度の荷電粒子ビームを走査するため、大照射野形成時に飛程が短くなることはない。均一走査では、散乱体で広げていた横方向分布を、より小さいビームサイズの荷電粒子ビームを走査しながら照射するため、横方向に一様な線量分布を形成するために有限の時間が必要であり、線量一様度を上げるため、あるいは、呼吸同期照射に対応するためには、一面走査時間が短いことが望まれる。また、横方向の一様な線量分布以外の領域はコリメータなどで遮蔽して使用するため、加速された荷電粒子ビームを照射ノズル内で有効に利用するためには、ビーム利用効率が高いことが求められる。
これまで、均一走査に適した横方向走査経路として、さまざまな走査経路が研究されてきている。円形照射野を形成するための走査経路として、非特許文献1に示すようならせん経路がある。らせん経路は単円経路の動径方向も周期的に変化させ、原点を出発し原点に戻ってくる一らせん周期を複数回初期位相をずらせて重ね合わせることにより一様な線量分布を形成する。矩形照射野を形成する走査経路として、非特許文献2に示すようなジグザグ経路、非特許文献3に示すようなラスター経路、特許文献1に示すようにラスター経路にビームオンオフ制御を組み合わせたライン走査がある。ライン走査はX方向に連続的にビームを照射し、Y方向に複数のラインを重ね合わせることにより、一様な線量分布を形成する方法である。
均一走査において矩形照射野を形成するライン走査では、X方向に連続的にビームを照射するため、離散的にビームを照射するY方向と比較して、一様な線量分布の外側の領域での線量の落ち方、すなわち、ペナンブラが大きくなっていた。ビーム利用効率は一様な線量分布の領域に照射された量を全体の荷電粒子ビーム量で割った量であり、ペナンブラが大きいということは一様な線量分布の領域外の荷電粒子ビーム照射量が多いことを意味し、ビーム利用効率が低いこととなる。また、X方向とY方向に同じサイズの一様領域を作るためには、X方向の走査範囲がY方向の走査範囲より大きくなっていた。そのため、全走査距離が大きくなり、横方向に一様な線量分布を形成するために必要な一面走査時間が長くなる傾向にあった。
ガウス分布の重ね合わせにおいて、端部の照射量を増やすことにより線量一様度は所定の範囲内、例えば標準的な基準±3%に抑えつつ、端部での線量分布の落ち方、すなわち、ペナンブラをより急峻にできることは良く知られている。後で説明する本発明の各実施例では、矩形照射野を形成するライン走査において、ビーム利用効率を改善し、かつ、横方向に一様な線量分布を形成するのに必要な一面走査時間を短縮化する例を提示する。
水平、垂直走査用の二台の走査電磁石を励磁する電源は、走査経路に対応した励磁電流値の組(Ix、Iy)の時系列データを走査電磁石電源の制御装置メモリ上に持っている。走査電磁石電源の制御装置は、タイミング信号を受け取るたびに次の励磁電流値に電流を変更する。X方向、Y方向走査電磁石励磁電流値の時系列データを励磁電流パターンと呼ぶことにする。励磁電流パターンは、アイソセンタ面での荷電粒子ビームの走査経路と一対一に対応する。励磁電流パターンを構成するX方向、Y方向励磁電流値の組(Ix、Iy)を制御点と呼ぶこととし、一つの制御点はアイソセンタ面でのある一点での荷電粒子ビーム照射位置に対応する。従来のライン走査では、X方向の連続ビームの照射にあたり、アイソセンタ面で制御点をX方向に等間隔に配置していた。
後で説明する本発明の各実施例では、ライン走査において、励磁電流パターンを構成する制御点の配置を、X方向走査線の端部において照射野中心部と比較して密に配置する。照射野端部での制御点配置を密にすることにより、加速器のビーム電流を変化させず、かつ、走査電磁石の走査速度を変化させることなく、照射野端部での荷電粒子ビーム照射量を増やすことが可能となる。これにより、線量分布のペナンブラ形状をより急峻に改善することが可能となる。そのため、一様な線量分布の領域外の荷電粒子ビーム照射量を減らすことが可能となり、ビーム利用効率を向上させることが可能となる。また、ペナンブラが急峻になることにより、X方向の走査電磁石の走査幅を小さくすることが可能となり、これはすなわち走査経路が短くなることを意味し、一面走査時間の短縮が実現する。
本発明の各実施例が関係する粒子線治療装置の構成図を図1に示す。荷電粒子ビームは入射器21より加速器22に入り、所望のエネルギーまで加速される。加速器22から取り出された荷電粒子ビームは、ビーム輸送系300により照射ノズル400にまで輸送され、照射ノズルにより患部形状に合うように整形されて患者5に照射される。治療するに先立ち、医者は治療計画装置104を用いて、X線CT画像などの画像情報をもとに、患部を特定し、患部への処方線量を決め、体内の線量分布計算を行い、必要な荷電粒子ビームエネルギー、照射野サイズ、線量モニタユニット値、コリメータ形状、ボーラス形状を計算する。治療計画装置104の出力は、粒子線治療装置の全体制御装置102に送られ、適宜必要な情報を加速器、ビーム輸送系制御装置101、ノズル制御装置103とやり取りする。
図2に、均一走査を行うための照射ノズルを示す。均一走査はビームサイズ2cm(1σ)程度の荷電粒子ビームを、走査電磁石により走査することにより横方向に一様な線量分布を形成する照射法である。散乱体42は荷電粒子ビームを目標の2cm程度に広げるために設置する。荷電粒子ビームのエネルギーが変わると目標のビームサイズを達成するための散乱体厚も変化するため、散乱体制御装置72は適切な厚みの散乱体42を設置する。
リッジフィルタ43は、深さ方向の拡大ブラッグピーク(SOBP)を形成する。治療計画装置104が必要なSOBP長さを計算して、その情報が全体制御装置102、ノズル制御装置103を経てリッジフィルタ制御装置73に送られてくるので、リッジフィルタ制御装置73は選択されたSOBP長に対応したリッジフィルタを設置する。平坦度モニタ44は、走査された荷電粒子ビームを照射時の線量一様度を測定監視し、許容範囲を逸脱すると平坦度モニタ制御装置74はビーム停止信号を加速器、ビーム輸送系制御装置101に送られ、即座にビームオフする。線量モニタ45は、所定の線量を患部に照射するため、照射した荷電粒子ビーム総量を積算で計測し、所定の線量モニタユニット値に到達すると、線量モニタ制御装置75はビームオフ信号を加速器、ビーム輸送系制御装置101に送る。
均一走査において、コリメータとしては、掘削加工により製作する患者コリメータ、あるいは、自動で患部形状に合致した照射野形状を作成するマルチリーフコリメータ46を使用する。治療計画装置104からの情報に基づき、患者コリメータ、あるいは、マルチリーフコリメータ46の形状を決定する。ボーラス47、レンジシフタ48は、荷電粒子ビームの深さ方向の到達位置を患部底形状に合わせるために設置する。ボーラス47の形状、レンジシフタ48の厚さは、治療計画装置104からの指定値によって決まる。ボーラス47は、後に説明する積層原体照射を行う場合は必須であるが、コリメータ形状を層毎に変化させない均一走査の場合には必ずしも必要でなく、あってもなくても良い。
均一走査における横方向の荷電粒子ビーム走査方法に関して説明する。図2中、荷電粒子ビームを走査する水平方向走査電磁石41Aは、アイソセンタ面でX方向に走査を行い、垂直方向走査電磁石41Bは、アイソセンタ面でY方向に走査を行う。均一走査は、照射が開始されると走査経路に対応した走査電磁石の励磁電流パターンにしたがって走査電磁石の励磁電流値を順次変更することにより荷電粒子ビームの走査を行う。
図3に、走査電磁石の励磁電流パターンを示す。励磁電流パターンは、図3に示すようにX方向、Y方向の励磁電流値の配列(Ix、Iy)となっており、図2中の電磁石電源制御装置71は励磁電流値(Ix、Iy)の時系列配列を照射野サイズ毎に持っている。治療計画装置104が、患部の大きさをもとに照射野サイズを計算するので、その情報が全体制御装置102、ノズル制御装置103を通じて、電磁石電源制御装置71に送られてくるので、その情報に基づき対応する励磁電流パターンを選択する。一定間隔のタイミング信号が、電磁石電源制御装置71に送られるたびに、図3に示す励磁電流パターンに基づきX方向、Y方向走査用の走査電磁石の励磁電流値を変化させていく。走査経路に対応した励磁電流パターンは、一様な線量分布が形成される、すなわち一面走査が完了すると終点に達する。均一走査は、横方向に一面な線量分布を形成するための図3に示す励磁電流パターンを繰り返し照射する。線量モニタ45の積算値が所定の値に到達すると、加速器からの荷電粒子ビームをオフするとともにビーム走査も停止する。均一走査において、励磁電流パターンに基づき横方向に複数回繰り返し照射を行うことをリペイント照射と言う。リペイント回数を増やすことにより、横方向の線量分布はより一様になる。
励磁電流パターンの作成方法について説明する。励磁電流パターンを構成する各データ点を制御点と呼ぶこととする。制御点は図3に示す励磁電流パターンのある時刻での励磁電流データの組み(Ix、Iy)を表す。均一走査ではアイソセンタ面でビームを照射する制御点を走査経路上にまず設定する。走査電磁石による偏向角をθ、走査電磁石からアイソセンタ面までの距離をL、ビーム照射位置をxとすると、x=Lθの関係が成立する。偏向角θは、真空透磁率μ、走査電磁石電流I、走査電磁石コイルターン数N、走査電磁石磁極長l、走査電磁石ギャップ間隔g、荷電粒子ビームの磁気剛性Bρとして、
θ=μNIl/(g×Bρ) …(1)
となる。これらの関係より走査電磁石の励磁電流値(Ix、Iy)は、アイソセンタ面上の荷電粒子ビーム照射位置(x、y)に一意に対応する。走査電磁石電源制御装置は、タイミング信号を受け取りある時刻t1で(Ix1、Iy1)であった励磁電流値を時刻t2に(Ix2、Iy2)に変化させる。
Δt=t2−t1 …(2)
はタイミング信号の時間間隔を表し、走査電磁石電源の電流変化率は、X方向、Y方向それぞれ(Ix2−Ix1)/Δt、(Iy2−Iy1)/Δtとなる。一方、走査電磁石電源の電流変化率dI/dtは、走査電磁石コイルのインダクタンスL、走査電磁石電源電圧Vにより
V=LdI/dt …(3)
により決まる。電流変化率dI/dtより二点間の最大走査速度が、X方向の場合
v=xmax/Imax×dI/dt …(4)
と決まる。ここで、xmaxは最大の片側振り幅、Imaxは最大振り幅の時の最大電流を表す。Y方向の場合も同様である。アイソセンタ面で制御点を配置する際、隣り合う二点の制御点はこの最大走査速度を超えないことが必要である。また、同じであるが、隣り合う二点の制御点の電流勾配は、電源とコイルから決まる電流勾配を超えないことが必要である。走査経路上に以上の走査速度を考慮して、制御点を配置していき、X方向走査電磁石、Y方向走査電磁石の励磁電流値(Ix、Iy)に変換して図3に示す励磁電流パターンを作成する。このようにアイソセンタ面でのビーム走査経路が決まると、一意的に走査電磁石の励磁電流パターンが決まる。
[実施例1]
本発明を実施する第一の実施形態は、均一走査において横方向の走査経路として、ライン走査を行う場合に関する。ライン走査のアイソセンタ面での荷電粒子ビームの走査経路を図4に示す。図4に示す始点よりビームオンして+X方向に走査を開始し、図4に示す終点でライン601の走査を終了する。この終点においてビームオフして、+Y方向に走査方向を変える。次のラインはビームオンした上で+X方向から−X方向に向かって走査する。これを繰り返すことにより、X方向にライン601上に一様な線量分布が形成され、Y方向に複数本並べることにより一様な線量分布を形成する。Y方向にはガウス分布の離散的な重ね合わせであり、Y方向のライン間隔はビームサイズの線量一様度の観点から非特許文献3にも示すように1.7倍程度が望ましい。本実施例では、1.6倍から1.8倍の範囲内としている。図4に示す一面照射が終了後、ライン走査の経路を逆向きにたどって次の走査を行う。あるいは、図4に示す始点にビームを切った上でビーム位置を戻して、再度同一走査経路で次の走査を行っても良い。ライン走査の走査経路は、照射野サイズに応じて複数の走査経路があらかじめ用意されている。例えば照射野10cm×10cm用のライン走査経路は10cm×10cmの領域に一様な線量分布を形成する走査経路であり、20cm×20cm用のライン走査経路は20cm×20cmの領域に一様な線量分布を形成する走査経路という風である。
実施例1との比較のため、比較技術によるライン走査の励磁電流パターンを説明する。図5に比較技術によるライン走査の励磁電流パターンを構成する制御点のアイソセンタ面上での配置を示す。図5においてX方向走査線上に等間隔で制御点が配置されている。例えば、走査電磁石電源制御装置に100μs毎のタイミング信号を送る場合、X方向走査線上に5mm間隔で制御点を配置する。この場合、最大走査速度として50m/sec以上が必要である。この制御点を等間隔に配置したX方向走査線上を荷電粒子ビームを連続的に照射することにより、X方向に一様なライン状の線量分布が形成される。これをY方向に複数本重ね合わせることにより平面内に一様な線量分布を形成する。
本発明の実施例1によるライン走査の励磁電流パターンを説明する。図6に実施例1のライン走査の励磁電流パターンを構成する制御点のアイソセンタ面上での配置を示す。図6においてX方向走査線端部の制御点の間隔が図5と比較して短く配置されている。一方、図6においてX方向走査線中心部の制御点は従来技術と同じく等間隔で配置されている。100μs毎のタイミング信号を使用する場合、図6の走査線中心部では比較技術と同じく5mm間隔で制御点を配置し、走査線端部では5mm間隔より短い4mmや3mm間隔で制御点を配置する。
実施例1による図6のような制御点配置の線量分布について詳しく説明する。図7に照射野サイズ15cm×15cm用の励磁電流パターンで荷電粒子ビームをX方向に走査した場合の線量分布を示す。図7において、横軸がX軸方向の位置を表し、縦軸は相対線量を表す。図7において実線は実施例1の制御点配置による線量分布を示し、点線は比較技術の制御点配置による線量分布を示す。X方向の最大走査速度が50m/sec以上であるとして、100μs毎のタイミング信号で走査を行う。比較技術では、15cmの領域、すなわちX軸上−75mmから+75mmまでの領域を一様に照射するために、X軸上−125mmから+125mmまで制御点を5mm間隔に配置する。このときの線量分布が図7の点線に示す線量分布である。一方、実施例1は端部で制御点の間隔を短くして中心部と比較して密に配置する。最初X方向に3mm間隔で制御点を配置し、X方向座標−109mm、−106mm、−103mmの三つの制御点を3mm間隔で配置する。次に制御点の間隔を1mm広げて4mmにし、−99mm、−95mmの二つの制御点を照射する。その後は比較技術と同様に5mm間隔で−90mm、−85mmという風に制御点を配置する。+X方向の端部においても−X領域と同様に、端部の制御点の間隔を密にして、制御点を85mm、90mm、95mm、99mm、103mm、106mm、109mmの位置に対称に配置する。このように実施例1は−X領域の走査線端部、+X領域の走査線端部における制御点間隔を照射野中心と比較して密に配置する。この場合の線量分布が図7に示す実線の線量分布である。図7を見ると分かるように、本実施例による線量分布は、比較技術と比較して、一様な線量分布を形成している外側の線量分布が落ちる部分の落ち方がより急峻になっていることが分かる。図7を見ると、一様な線量分布が形成されている15cm幅の領域、すなわち−75mmから+75mmの領域以外の照射量は、比較技術と比較して本実施例では、減ることは明らかである。これにより、本実施例は比較技術と比較してビームを有効に利用して同じ幅の一様な領域が形成できていることが分かる。すなわち、ビーム利用効率が向上する。
図7の拡大図を図8に表示する。図8を見ると分かるように荷電粒子ビームを±125mmの範囲で走査する比較例も、±109mmで走査する本実施例も、同じX方向位置で99%の線量となっている。また、本実施例の線量の最大値は101%未満である。このことから、線量が一様である領域を±1%の領域で定義すると、同じ幅の一様な線量分布を形成するために、比較技術では荷電粒子ビームを±125mmの範囲で走査しなくてはいけないが、本実施例では±109mmの範囲で走査すれば良いことがわかる。
本実施例のように制御点間隔を配置すれば、一面をライン走査で照射して一様な線量分布を形成するための一面走査時間が短縮する。また別の効果として、走査電磁石の走査幅が減ることにより、最大の励磁電流値を低減することが可能となる。最大の励磁電流値を下げることにより、走査電磁石電源のコストを下げることも可能となる。
本発明の実施例1による原理を簡単な図9を用いて説明する。実施例1は複数の制御点の間隔を各走査線端部で変化させることにより、結果として端部を通過する平均速度を制御することが可能であるために、複数のガウス分布の重ね合わせにおいて、端部に位置する複数のガウス分布の照射量を増やすことが可能となる。図9において実線は各制御点に停止したガウス分布の寄与を表し、点線が複数のガウス分布を足し合わせた結果を表す。このように複数の制御点の間隔を適切に選択することにより、より細かに線量一様度を制御することが可能となる。
本実施例では、荷電粒子ビームを加速する加速器22と、水平方向走査電磁石41Aと垂直方向走査電磁石41Bにより照射野を形成する照射ノズル400と、加速器22で加速された荷電粒子ビームを照射ノズル400に輸送するビーム輸送系300と、走査電磁石41A、41Bの少なくとも一つを励磁する電磁石電源と、走査経路に対応した制御点に基づいて走査電磁石41に流す電流を変更する電磁石電源制御装置71を有する粒子線治療装置において、第一の方向であるX方向に並ぶ制御点の間隔は中心部よりも端部の方が狭く配置されている。
この制御点は図6で示したようにX方向と平行な複数列状に配置され、その複数列の各列で、制御点の間隔は中心部よりも端部の方が狭く、すなわち密に配置されている。さらに、X方向以外の方向であるY方向に走査する際には、荷電粒子ビームがオフされている。また、X方向での走査速度がY方向での走査速度よりも早い。なお、電磁石電源制御装置71はメモリを有し、このメモリが制御点データを備えている。メモリは制御点の時系列データを複数列備え、電磁石電源制御装置71はタイミング信号を受け取るたびに走査電磁石41に流す電流を変更している。
このように制御点をライン走査を構成する各走査線の端部で中心部と比較して密に配置することにより、加速器からのビーム電流を変化させることなく、かつ、走査電磁石による走査速度を変化させることなく、端部の線量を多くすることができる。すなわち、励磁電流パターン作成のみで簡単に端の照射量を上げることができる。この結果、ビーム利用効率が向上する。
特許文献2では、走査速度を制御することにより、端部の照射量を増加させていた。しかし、この方法は式(3)に示す走査電磁石電源の電圧Vをビーム走査時に細かく制御する必要があり、走査電磁石電源の制御が複雑になり、かつ、走査電磁石電源のコストが上がる課題があった。
本実施例では、式(3)に示す走査電磁石の電源電圧として一種類のものを想定する。そのため、X方向に各制御点を移動する際の走査速度は、X方向の走査線の全ての領域で同じである。また、X方向とY方向の走査電磁石と走査電磁石電源は、それぞれインダクタンス、電源電圧、最大電流などが異なるため、どちらか一方が速くなり、もう一方は遅くなる関係にある。特許文献2に示す方法では、各走査線でビームをオフせずに連続ビームで走査していたため、Y方向に走査速度を速い方向を割り当て、走査距離が長いX方向に走査速度の遅い方向を割り当てていたため、一面走査時間が長くなる課題があった。本実施例は、Y方向にはビームをオフすることにより、走査距離が長いX方向の走査に走査速度の速い方を割り当てることが可能となる。そのため、特許文献2の技術より一面走査時間を短縮することが可能となる。
本実施例を呼吸同期照射に適用した場合、一面走査時間が短縮化することにより、1ゲート期間中により多くのリペイントを実施することができるため、線量一様度が改善することが可能となる。すなわち、本実施例により呼吸同期照射において、より線量一様度の高い均一走査を実現することが可能となる。その結果、呼吸同期照射において、比較技術と同じ回数のリペイントを実施するための呼吸ゲート数を低減することができるため、治療時間を短縮することが可能となる。
[実施例2]
本発明を実施する第二の実施形態は、患部を層分割し、各層を均一走査により横方向に一様な線量分布を形成する積層原体照射を行う場合に関する。積層原体照射は、非特許文献4に示すように、患部を層に分割して各層を走査電磁石によりビーム走査することにより横方向に一様な線量分布を形成する。照射する層を変更する場合は、荷電粒子ビームのエネルギーを変更することで行う。加速器22によるエネルギー変更、あるいは照射ノズル内のレンジシフタ48の厚みを増減することでエネルギー変更を行う。前述したメモリは、荷電粒子のエネルギーに応じた複数層分の制御点データを備えている。
積層原体照射では、図2における照射ノズル400において、ボーラス47を使用し、照射野形状形成にマルチリーフコリメータ46を使用し、リッジフィルタ43には各層を照射するブラッグピークを拡大するためのミニリッジフィルタを用いる。各層の照射量を適切にウェイト決めすることにより、深さ方向に一様な線量分布SOBPを形成する。治療計画装置104は患部を層に分割し、層毎に患部をビーム進行方向からみた患部形状を計算し、その形状に合わせるようにマルチリーフコリメータ46の開口形状を決定する。
積層原体照射において、各層を治療計画装置104で決まった荷電粒子ビームのエネルギーで深さ方向の線量分布が一様になる照射量ずつ照射を行うが、このとき各層を一様な線量で照射する際、実施例1に示す均一走査と方法で照射を行う。非特許文献4では各層を単円ワブラーで照射していく方法が記述されているが、実施例1で説明したライン走査で各層を照射していくことが可能である。各層をライン走査で照射していく際の励磁電流パターンとして、図6に示すように照射野端部の制御点を密に配置する。これにより各層の横方向照射において、ビーム利用効率の向上と一面走査時間の短縮が実現できる。
5 患者
21 入射器
22 加速器
31 偏向電磁石
41 走査電磁石
42 散乱体
43 リッジフィルタ
44 平坦度モニタ
45 線量モニタ
46 患者コリメータ、あるいは、マルチリーフコリメータ
47 ボーラス
48 レンジシフタ
51 患部
61 走査電磁石電源
71 電磁石電源制御装置
72 散乱体制御装置
73 リッジフィルタ制御装置
74 平坦度モニタ制御装置
75 線量モニタ制御装置
76 マルチリーフコリメータ制御装置
100 制御装置
101 加速器、ビーム輸送系制御装置
102 全体制御装置
103 ノズル制御装置
104 治療計画装置
200 粒子線加速器システム
300 ビーム輸送系
400 照射ノズル
500 治療ベッド
601 ライン
602 ジグザグ走査の走査経路

Claims (7)

  1. 荷電粒子ビームを加速する加速器と、
    水平方向走査電磁石と垂直方向走査電磁石により照射野を形成する照射ノズルと、
    前記加速器で加速された荷電粒子ビームを前記照射ノズルに輸送するビーム輸送系と、
    前記走査電磁石の少なくとも一つを励磁する電磁石電源と、
    走査経路に対応した制御点に基づいて前記走査電磁石に流す電流を変更する電磁石電源制御装置を有する粒子線治療装置において、
    第一の方向に並ぶ前記制御点の間隔は中心部よりも端部の方が狭く配置されていることを特徴とする粒子線治療装置。
  2. 請求項1の粒子線治療装置において、
    前記制御点は前記第一の方向と平行な複数列状に配置され、
    前記複数列の各列で前記制御点の間隔は中心部よりも端部の方が狭く配置されていることを特徴とする粒子線治療装置。
  3. 請求項2の粒子線治療装置において、
    前記第一の方向以外の方向に走査する際には前記荷電粒子ビームがオフされることを特徴とする粒子線治療装置。
  4. 請求項2または3の粒子線治療装置において、
    前記第一の方向での走査速度が、他の方向での走査速度よりも早いことを特徴とする粒子線治療装置。
  5. 請求項1から4の何れかの粒子線治療装置において、
    前記電磁石電源制御装置はメモリを有し、
    前記メモリが制御点データを備えていることを特徴とする粒子線治療装置。
  6. 請求項5の粒子線治療装置において、
    前記メモリは制御点の時系列データを複数組備え、前記電磁石電源制御装置はタイミング信号を受け取るたびに前記走査電磁石に流す電流を変更することを特徴とする粒子線治療装置。
  7. 請求項5または6の粒子線治療装置において、
    前記メモリは前記荷電粒子のエネルギーに応じた複数層分の制御点データを備えていることを特徴とする粒子線治療装置。
JP2012017478A 2012-01-31 2012-01-31 粒子線治療装置 Pending JP2013153993A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012017478A JP2013153993A (ja) 2012-01-31 2012-01-31 粒子線治療装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012017478A JP2013153993A (ja) 2012-01-31 2012-01-31 粒子線治療装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013153993A true JP2013153993A (ja) 2013-08-15

Family

ID=49049797

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012017478A Pending JP2013153993A (ja) 2012-01-31 2012-01-31 粒子線治療装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013153993A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015056476A1 (ja) * 2013-10-15 2015-04-23 住友重機械工業株式会社 荷電粒子線照射装置
CN114080256A (zh) * 2019-07-26 2022-02-22 株式会社日立制作所 扫描电磁铁及粒子束治疗系统

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015056476A1 (ja) * 2013-10-15 2015-04-23 住友重機械工業株式会社 荷電粒子線照射装置
JP2015077171A (ja) * 2013-10-15 2015-04-23 住友重機械工業株式会社 荷電粒子線照射装置
US9566453B2 (en) 2013-10-15 2017-02-14 Sumitomo Heavy Industries, Ltd. Charged particle beam irradiation apparatus
CN114080256A (zh) * 2019-07-26 2022-02-22 株式会社日立制作所 扫描电磁铁及粒子束治疗系统
CN114080256B (zh) * 2019-07-26 2023-11-03 株式会社日立制作所 扫描电磁铁及粒子束治疗系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5637055B2 (ja) 粒子線治療計画装置および粒子線治療装置
JP5143606B2 (ja) 荷電粒子線照射装置
US8916841B2 (en) Particle therapy system
JP6634299B2 (ja) 治療計画装置、治療計画方法、制御装置および粒子線治療システム
JP6387476B1 (ja) 荷電粒子ビーム照射装置
CN102612719B (zh) 粒子射线照射系统及粒子射线照射方法
US9776019B2 (en) Particle beam therapy system
CN103079641B (zh) 粒子射线照射装置及粒子射线治疗装置
TWI481429B (zh) 粒子線治療裝置及粒子線治療裝置的運轉方法
JP2015097683A (ja) 粒子線治療システム
JP2013153993A (ja) 粒子線治療装置
JP5130175B2 (ja) 粒子線照射システム及びこの制御方法
JP6286168B2 (ja) 荷電粒子ビーム照射システム及び照射計画システム
JP5350307B2 (ja) 粒子線治療システム
JP2012029821A (ja) 粒子線治療システム及び粒子線照射方法
WO2014115237A1 (ja) 粒子線照射装置、およびそれを備えた粒子線治療装置
JP2018143680A (ja) 粒子線治療システム
CN112334187B (zh) 用于放射治疗系统的束传输线及其放射治疗系统
JP2009028500A (ja) 積層原体照射システム及びこれを用いた粒子線治療装置
JP2018114127A (ja) 治療計画装置および粒子線治療システム
JP5511699B2 (ja) 粒子線照射装置及び粒子線治療装置
JP2016119236A (ja) 粒子線照射装置および粒子線照射装置の制御方法