JP2013148214A - 締結部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 締結部材と被締結部材との摩擦力にねじのフランク面による摩擦力を加えることにより、安定化して弛み止めの信頼性を向上することができる締結部材を提供する。
【解決手段】 締結部材は、一輪の角ねじ1aが形成された第1の締結部材1と、複数輪の角ねじ2cが形成された第2の締結部材2とからなる。第1、第2の締結部材を螺合して被締結体3を所定の押圧力F1で締結したとき、押圧力F1と略等価な押圧力F2を第1の締結部材1の一輪の角ねじ1aのフランク面1bに加え、第1の締結部材1の座面1eを被締結体3に押圧してときの摩擦力に、第1、第2の締結部材の角ねじのフランク面によって生ずる摩擦力を加える。
【選択図】図1
【解決手段】 締結部材は、一輪の角ねじ1aが形成された第1の締結部材1と、複数輪の角ねじ2cが形成された第2の締結部材2とからなる。第1、第2の締結部材を螺合して被締結体3を所定の押圧力F1で締結したとき、押圧力F1と略等価な押圧力F2を第1の締結部材1の一輪の角ねじ1aのフランク面1bに加え、第1の締結部材1の座面1eを被締結体3に押圧してときの摩擦力に、第1、第2の締結部材の角ねじのフランク面によって生ずる摩擦力を加える。
【選択図】図1
Description
本発明は、ナットおよびボルト等の、ねじ作用を利用して部材を締め付け固定する締結部材に関し、より詳細には、弛み止め作用を備えた締結部材に関する。
部品、部材の締め付け固定に使用する締結部材として、ナットおよびボルトは種々の分野に広く使用されてきた。これらのナットおよびボルトは、部品、部材を締め付けて固定するためのものであるが、これらの締結部分に振動が繰り返して作用するとナットやボルトが緩むという問題があり、ナットやボルトの弛み止めを目的として、平板ワッシャやスプリングワッシャを使用することが多用されている。
ところが、平板ワッシャやスプリングワッシャを使用しても、用途によってはナットやボルトが弛むをいう問題は依然として解消されない。このため、ナットおよびボルト等の弛み止めに関して、多数の手段や方法が提案され、一部が実用に供されている。例えば、特許第4495849号公報(特許文献1)に開示された弛み止めナットは、ネジ孔が貫通状に形成された下ナットと上ナットとからなり、下ナットには、ネジ孔の周りに軸方向外方にしたがって縮径するテーパ状の外周面を有する凸部が形成され、該凸部の外周面はネジ孔に対して微小量偏心されており、上ナットには、下ナットの凸部が嵌合する凹部が形成され、該凹部の内周面はネジ孔と同心状とされている。このように、凸部と凹部とを偏心させることにより、両ナットを締め付けた際にナットがそれぞれネジ孔軸心に対して径方向にずれ込み、ネジ軸に径方向の応力が作用することによるくさび効果によって弛み止めを行おうとしている。
また、特開2005−140272号公報(特許文献2)に開示された弛み止めナットは、ナットに、その外周面からナット3の雌ねじ軸心に対して外周面の両方向から溝部を切り欠き形成し、ナット3の雌ねじを、締結固定対象物に固定されたボルトの雄ねじに螺合させて所定の締め付けがなされたときに、弾性材でなる弛み止め部材をナットの溝部に入れることにより、ボルトの雄ねじ周面及び雄ねじの谷部斜面に加圧状態で押圧接触させることにより弛み止めを行うようにしている。
特許文献1に例示した弛み止めナットは、いわゆるダブルナットを用いて弛み止めを行っているが、2個のナットとボルトのねじの向きが同じであり、振動が繰り返して作用することによりダブルナットが回転するため、緩むという問題は依然として解消されない。また、特許文献2に例示した弛み止めナットにおいても、ボルトの雄ねじ周面にナットを加圧状態で押圧接触するものであり、やはり振動が繰り返して作用することにより緩むことがあるため、信頼性に乏しい問題があった。
この問題を解決するため、ダブルナット方式を採用した弛み止めナットにおいて、2個のナットを逆ねじに構成して弛み止めを行うことも提案されている。例えば、特開2003−301829号公報(特許文献3)は、ナットの外周面でそのボルト頭部側に、そのナットの内周面ねじとは逆方向にねじが形成された逆ねじ軸を設け、この逆ねじ軸にロックナットをねじ込むことによりナットのボルトからの弛み止めを行うようにしている。このように構成することにより、振動などが付加されてナットが緩もうとすると、ロックナットが締まる方向に作用して弛み止めが可能であるとしている。
しかしながら、特許文献3に開示されたダブルナット方式において、逆ねじ軸を設けた弛み止めナットであっても、締め付け力を厳密に所定の値に管理しなければ、2個のナットが回転して弛みを生ずる問題がある。この理由について図7を用いて説明する。ボルト100は、被締結体101、102に設けた貫通孔に挿通され、ナット103をボルト100に螺合させて締め付け固定している。このとき、ナット103を大きな力で締めると、通常の状態では被締結体101の表面が平坦であるにも関わらず、被締結体101がナット103によって陥没する。この陥没により、図7に示すように、ボルト100に近い内側とナット103の外周に近い外側が大きく凹み、中央に隆起部101aが生ずるといった特異応力が生ずる。このため、ナット103の座面と被締結体101との接触面の面積が小さくなり、この結果、接地面の摩擦力が減少して弛み易くなる。従って、締め付け力を厳密に管理しなければ、逆ねじ軸を設けた弛み止めナットの特徴を発揮することができない。このような弛み現象は、上述した特許文献1乃至3に開示された弛み止めナットにおいても同様であり、弛み止め効果を有すると言えども、定められた特定の締め付け力管理次第で弛みが生ずる重大な問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、締結部材と被締結部材との摩擦力にねじのフランク面による摩擦力を加えることにより、安定化して弛み止めの信頼性を向上することができる締結部材を提供することにある。
そこで、本発明による締結部材は、一輪の角ねじが形成された第1の締結部材と、複数輪の角ねじが形成された第2の締結部材とからなる。前記第1、第2の締結部材を螺合して前記被締結体を所定の押圧力で締結したとき、該押圧力と略等価な押圧力を前記第1の締結部材の一輪の角ねじのフランク面に印加させて、締結部材の座面を被締結体に押圧してときの摩擦力に、第1、第2の締結部材の角ねじのフランク面によって生ずる摩擦力を加えるようにしている。
また、第1の締結部材は一輪の角ねじが形成されたナットに構成し、第2の締結部材は複数輪の角ねじが形成されたボルトに構成して、該ボルトに前記ナットを螺合するようにしている。
さらに、第1の締結部材としてのナットには、軸線の回りに回動させるためのヘッド部と、該ヘッド部と一体に、ヘッド部の基部から、ヘッド部と同芯でヘッド部よりも径大となるよう延出端側が徐々に拡径する筒状に形成されるとともに、延出端面が被締結体に当接する座面に形成されたテーパ部とが備えられ、前記テーパ部の内面は円錐曲面に形成され、前記テーパ部の外面には、凹面状の曲面に形成され、前記ヘッド部の内面には、一輪の角ねじが形成される。
第1の締結部材としてのボルトには、軸線の回りに回動させるためのヘッド部と、該ヘッド部と一体に、ヘッド部の基部から、ヘッド部と同芯でヘッド部よりも径大となるよう延出端側が徐々に拡径する筒状に形成されるとともに、延出端面が被締結体に当接する座面に形成されたテーパ部とが備えられ、前記テーパ部の内面は円錐曲面に形成され、前記テーパ部の外面は凹面状の曲面に形成され、前記ヘッド部およびテーパ部と同芯に形成されたねじ軸がヘッド部と一体に形成され、前記ねじ軸に一輪の角ねじが形成される。
第2の締結部材としては、ねじ孔を形成した被締結体により構成し、被締結体のねじ孔に複数輪の角ねじを形成することが可能である。
本発明によれば、第1の締結部材に一輪の角ねじを形成することにより、複数輪の角ねじが形成された第2の締結部材に第1の締結部材を螺合して、被締結体を所定の押圧力で締結したとき、この押圧力と略等価な押圧力が第1の締結部材の一輪の角ねじのフランク面に印加されるので、第1の締結部材の座面を被締結体に押圧してときに生ずる摩擦力に、第1、第2の締結部材の角ねじのフランク面によって生ずる摩擦力を加えることから、摩擦力を加えることにより、安定化して弛み止めの信頼性を向上することができる。すなわち、第1の締結部材に形成する角ねじを一輪にすることにより、第1の締結部材の角ねじのフランク面の全面に対して、第2の締結部材の角ねじのフランク面を均一に圧接させることができる。従って、両者の角ねじのフランク面どうしの圧接面積が大きくなるので、摩擦力が増大することから、この角ねじ軸分による弛み止め効果を増大させることが可能となる。
また、第1の締結部材には、ヘッド部から徐々に筒状に拡径させたテーパ部を形成し、その端面に被締結体に当接させる座面を形成しているので、ヘッド部よりも大きい外径寸法の座面によって、被締結体との摩擦力が大きくなるので、弛み止め効果を大幅に向上させることができる。さらに、第1の締結部材には、テーパ部の座面側に内周側ねじ軸の内径よりも大きくした空間部を形成しているので、例え、必要以上の力により締め付けたときに、被締結体に特異応力が加わることによって隆起部が生じた場合であっても、この隆起部が空間部に対応位置するので、摩擦力の低下を未然に防止することができる。
さらに、第1の締結部材に形成されたテーパ部の延出端面の座面を被締結体に押圧したときには、テーパ部の延出端面側が放射方向に弾性変形する或いは弾性変形させることが可能であり、この結果、例え必要以上の力により締め付けても、弾力により締め付け力が吸収されるので、特異応力による被締結体の隆起部の発生を抑制することが可能となる。しかも、適当な力で締め付けた場合には、第1の締結部材のテーパ部の弾力によって座面が被締結体に押圧されるので、両者間の摩擦力が所定範囲で維持されることから、弛み止め効果を一定に維持することが可能となる。
さらにまた、第2の締結部材を、被締結体によって構成し、この被締結体に形成したねじ孔に複数輪の角ねじを形成することにより、周知の一般的な加工工法によって第2の締結部材を容易に製造することができる。
ねじ作用により被締結体を締結する締結部材は、一輪の角ねじが形成された第1の締結部材と、複数輪の角ねじが形成された第2の締結部材とからなる。前記第1、第2の締結部材を螺合して前記被締結体を所定の押圧力で締結したとき、該押圧力と略等価な押圧力を前記第1の締結部材の一輪の角ねじのフランク面に印加させて、締結部材の座面を被締結体に押圧してときの摩擦力に、第1、第2の締結部材の角ねじのフランク面によって生ずる摩擦力を加えるようにしている。
以下、図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。図1は、本発明に関わる締結部材により被締結体を締結した状態を示している。第1の実施例としては、第1の締結部材をナット1とし、第2の締結部材をボルト2とし、ボルト2のねじ軸の先端側にナット1を螺合することにより、被締結体3を締結している。これらナット1及びボルト2は、一般の市販品と同様に、鉄系の金属素材として、例えば、SS材、SCM材、S45C、SUS304、SUS316、チタン、或いは、黄銅等が使用される。その他、合成樹脂素材であってもよい。これらの素材は、弾性を有していることが好ましい。
図2〜図4に示すナット1は略円筒状に形成され、内周には、ねじ山の断面を正方形とした一輪の角ねじ1aが形成されている。この角ねじ1aは、一般的なナットと同様に、所定の外径、内径、谷径、及びピッチを有していて、ねじ山には、コイル状に傾斜したフランク面1bが形成されている。ここで、一輪とは、図示のように、ねじ山の一端から他端までの円周角を360°に形成した状態としている。ここで、この角ねじ1aの一端をナット1の上端に一致させることが好ましい。なお、一輪としては、一端と他端との間に若干の隙間を設けるような略350°から、一端と他端とが多少重なるような略370°までの円周角に設定しても良い。
ナット1の外周側の上方に形成されるヘッド部1cは、一般と同様に、六角ナット状に形成されている。このヘッド部1cには、ヘッド部1cの下方の基部からテーパ部1dが一体形成されている。テーパ部1dは、ヘッド部1cと同芯でヘッド部1cよりも径大となるよう延出端側が徐々に拡径する筒状に形成されるとともに、延出端面が被締結体3に当接する座面1eが形成されている。さらに、テーパ部1dの座面1e側の内側には、角ねじ1aよりも大きい内径の空間部1fが形成されている。この空間部1fは、略すり鉢状の円錐曲面に形成され、空間部1fに対向する外周は、図示のように、凹面状の曲面に形成されている。このように構成されるテーパ部1dは、後述するように、弾性による弾力によって、弛み止め効果が一段と発揮される。
なお、図示の実施例は、空間部1fを略すり鉢状の円錐曲面に形成したが、角ねじ1aの内径以上の内径を有する円筒状に形成しても良い。
一方、第2の締結部材としてのボルト2は、六角に形成されたヘッド部2aと、このヘッド部2aの基部から延出されたねじ軸2bが形成されている。そして、ねじ軸2bの先端側には、複数輪の角ねじ2cが形成されている。角ねじ2cには、ナット1に形成された一輪の角ねじ1aが螺合する。
また、被締結体3は、上述したボルト2及びナット1によって締結される金属板或いは合成樹脂板であり、一種または2種の板を重合している。これらの被締結体3には、ボルト2のねじ軸2bを挿通するための貫通孔3aが形成されている。
次に、以上のように構成されたボルト2及びナット1により被締結体3を締結する方法を説明する。まず、ボルト2のねじ軸2bを被締結体3の貫通孔3aに挿通する。その後、図2に示すように、ボルト2のねじ軸2bの先端側に、ナット1をテーパ部1d側から挿入し、ボルト2のねじ軸2bに形成された角ねじ2cにナット1に形成された一輪の角ねじ1aを螺合する。
そして、ナット1を回動すると、テーパ部1dの延出端面に形成された座面1eが被締結体3の表面に当接し、さらに、ナット1を所定の力で回動すると、図5に示す矢示のように、座面1eを被締結体3に所定の押圧力F1で押圧すると、座面1eと被締結体3の表面とが面圧接状態で接合する。このとき、ナット1を被締結体3に押圧したときの押圧力F1は、反作用によってボルト2を押し上げられ、図5に示す矢示のように、ナット1のフランク面1bと、ボルト2のフランク面2dとが押圧力F2で押圧される。この押圧力F2は、座面1eを被締結体3に押圧する押圧力F1に等しく、ボルト2のフランク面2dとナット1のフランク面1bとが面圧接状態で接合する。
ここで重要な点は、ナット1に一輪の角ねじ1aが形成されていることである。角ねじ1aを一輪だけ形成することにより、ボルト2のフランク面2dとナット1の角ねじ1aのフランク面1bとが、押圧力F2によりフランク面全面に均等に押圧させることが可能となる。この結果、ボルト2のフランク面2dとナット1のフランク面1bとの間に、大きな摩擦力を発生させることができる。
因みに、一般のボルトとナットの場合は、各々に複数のねじを形成していることから、或るフランク面の部分では強い圧力で圧接されるが、他の部分では弱い圧力または浮上するなど、接触圧力または接触面積にバラツキが生ずる。この結果、フランク面どうしの接合による摩擦力が小さくなることから、弛みの原因になっていた。
本発明によれば、ナット1の座面1eと被締結体3の表面との面圧接状態によって生ずる大きな摩擦力に、ボルト2のフランク面2dとナット1のフランク面1bとをフランク面全面を均等に圧接することによる大きな摩擦力が加わることによって、弛み止め効果を大幅に向上することができる。
一方、前述したように、ナット1のテーパ部1dは、空間部1f側が略すり鉢状の円錐曲面に形成され、空間部1fに対向する外周が凹面状の曲面に形成され、弾性を有している。このため、被締結体3の表面とナット1の座面1eとは、テーパ部1dの弾力によって、図5に示す矢示F1の方向に一定の押圧力で圧接される。また、テーパ部1dは外方に向かう矢示Rの方向に拡開してバネ力が保持される。従って、被締結体3の表面に対するナット1の座面1eの圧接力は、ほぼ一定に保持され、このため摩擦力の低下が抑制されるので、弛み止め効果が維持される。なお、テーパ部1dの弾性変形量は、ナット1の素材の硬度によって異なるが、最大でも10ミクロン程度である。さらに、テーパ部1dが外方に向けて拡開することにより、反作用によってナット1のヘッド部1cが図5に示す矢示R1の方向に収縮し、ナット1の一輪の角ねじ1a部分を締め付けるように作用するので、弛み止め効果を一層向上させることができる。
前述したように、ナット1に一輪の角ねじ1aには、フランク面全面に押圧力F2によって押圧されるため、角ねじ1aの耐荷重によっては破壊される可能性がある。そこで、図6に示すように、角ねじ1aの軸線方向の幅wを高さhよりも大きくして、角ねじ1aの耐荷重を大きくするようにしても良い。このように、角ねじ1aの幅wWを大きくした場合には、ねじのピッチが大きくなることから、ボルト2に形成される角ねじ2cのピッチを大きくしてナット1に一輪の角ねじ1aに合わせることが必要となる。
このような、第1の実施例において、ナット1を所定の押圧力F1で押圧したときに、被締結体3が比較的軟質の素材の場合、希には従来例と同様に、特異応力によって、ボルト2に近い内側とナット1の外周側が凹み、その間が隆起することがある。ところが、ナット1のテーパ部1d内側には空間部1fが形成されていることから、隆起した部分が空間部1fに対応位置しているので、依然として座面1eと被締結体3の表面との面接合状態が維持されて圧接状態が保てることから、この間の摩擦力の低下が抑制され、弛み止め効果を維持することができる。
なお、本発明においては、例え必要以上の締め付け力で締め付けたとしても、ナット1のテーパ部1dの弾力により、テーパ部1dが外方に拡開して所定の圧接力に維持されるので、特異応力による隆起が発生し難くなる。また、ナット1は、テーパ部1dの内側に略すり鉢状の円錐曲面を形成しているが、この内側を円筒状に形成しても、隆起を避けるような内径に形成することにより、摩擦力の低下を抑制することができる。このような、特異応力による隆起を回避することは、後述する本発明の第2の実施例においても同様に作用する。
図7は、本発明の第2の実施例として、第1の締結部材をボルト5とし、第2の締結部材を被締結体6とし、ボルト5のねじ軸5bの先端側を被締結体6に螺合することにより、被締結体6を締結する例を示している。例えば金属板或いは合成樹脂板の一種または2種の板を重合させた被締結体6には、ねじ孔が形成され、このねじ孔には、複数輪の角ねじ6aが形成されている。
ボルト5は、ヘッド部5aが六角に形成され、このヘッド部5aから延出されたねじ軸5bの先端側には、一輪の角ねじ5cが形成されている。さらに、ヘッド部5aには、ヘッド部5aの下方の基部からテーパ部5dが一体形成されている。テーパ部5dは、ヘッド部5aと同芯でヘッド部5aよりも径大となるよう延出端側が徐々に拡径する筒状に形成されるとともに、延出端面に被締結体6に当接する座面5eが形成されている。さらに、テーパ部5dの座面5e側の内側には、角ねじ5cよりも大きい内径の空間部5fが形成されている。この空間部5fは、略すり鉢状の円錐曲面に形成され、空間部5fに対向する外周は、凹面状の曲面に形成されている。このように構成されるテーパ部5dは、前述したナット1に形成されたテーパ部1dと同様に、弾性によって、弛み止め効果が一段と発揮される。
以上のように構成されたボルト5の一輪の角ねじ5cを被締結体6のねじ孔に形成された複数輪の角ねじ6aに螺合すると、前述した第1の実施例と同様に、テーパ部5dの延出端面に形成された座面5eが被締結体6の表面に当接するとともに、所定の押圧力F1で押圧し、座面5dと被締結体6の表面とが面圧接状態で接合する。この押圧力F1は、反作用によってボルト5の角ねじ5cを押圧することから、角ねじ5cのフランク面と、被締結体6のねじ孔に形成された角ねじ6aのフランク面とが面圧接状態で接合する。これにより、第1の実施例と同様に、フランク面全面を均等に圧接することによる大きな摩擦力が加わることによって、弛み止め効果を大幅に向上することができる。
図8は、本発明の第3の実施例として、第1の締結部材をボルト5とし、第2の締結部材を被締結体6とし、ボルト5のねじ軸の先端側に形成された一輪の角ねじ5cを被締結体6に螺合することにより、被締結体6を締結する例を示している。この第3の実施例は、実質的に前述した第2の実施例と同じであるが、相違する点は、ヘッド部の下方から一体形成されるテーパ部5dを省略したことである。
この第3の実施例において、ボルト5に形成された一輪の角ねじ5cを被締結体6のねじ孔に形成された複数輪の角ねじ6aに螺合すると、ヘッド部5aの座面5fが被締結体6の表面に当接するとともに、所定の押圧力F1で押圧し、座面5fと被締結体6の表面とが面圧接状態で接合する。この押圧力F1は、反作用によってボルト5の角ねじ5cを押圧することから、角ねじ5cのフランク面と、被締結体6のねじ孔に形成された角ねじ6aのフランク面とが面圧接状態で接合する。これにより、フランク面全面を均等に圧接することによる大きな摩擦力が加わることによって、弛み止め効果を大幅に向上することができることは、前述した実施例と同様である。
図9及び図10は、前述した第1の実施例の変形例を示している。この例において、第1の実施例と相違している点は、ナット1の内周に形成された一輪の角ねじ1aの一端に突起1gを突出形成したことである。この突起1gは、図9に示すように、角ねじ1aの一端であって、ナット1のテーパ部1dとは反対の端面側に、テーパ部1dの方向に向けて突出している。突起1gの高さは、ナットのサイズに対応して決められるが、概ね0.05mmから0.5mmとしている。
まず、第1の実施例において説明したように、被締結体3の貫通孔3aに挿通したボルト2のねじ軸2bの先端側からナット1に形成された一輪の角ねじ1aを螺合する。そして、角ねじ1aの一端がボルト2のねじ軸2bの角ねじ2cに突起1gが到達する。その後、ナット1をさらに回動し、突起1gをボルト2の角ねじ2cの間に強制的に進入させる。ボルト2の角ねじ2cの間隔は、ナット1の一輪の角ねじ1aの螺合を許容する程度の寸法に設定されているため、突起1gに進入によって、ナット1の一輪の角ねじ1aはボルト2の角ねじ2cの間に強く挟持されて、ボルト2のフランク面2dとナット1のフランク面1bとの面圧接力がさらに増大する。この結果、フランク面どうしの摩擦力がさらに大きくなって、弛み止め効果をさらに向上することができる。なお、ボルト2の角ねじ2cの間に突起1gが進入するとき、突起1gは、図10に示すように、塑性変形して低くなるが、金属素材が有する弾性によって、ボルト2のフランク面2dとナット1のフランク面1bとの面圧接力が減少することが阻止される。
以上、本発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。
前述した各実施例において、第1、第2の締結部材のヘッド部を六角に形成した例を示したが、六角穴付きボルトやフランジボルトの形状に変更しても良く、また、小型の場合には、ナベ頭小ねじ、トラス頭小ねじの形状に変更しても良い。
前述した各実施例において、第1、第2の締結部材のヘッド部を六角に形成した例を示したが、六角穴付きボルトやフランジボルトの形状に変更しても良く、また、小型の場合には、ナベ頭小ねじ、トラス頭小ねじの形状に変更しても良い。
本考案は、機械器具、電機機械器具、車両、建設、建築、鉄道等に用いる被締結部材の締結に適用可能である。
1 ナット(第1の締結部材)
1a 角ねじ
1b フランク面
1d テーパ部
1e 座面
1f 空間部
2 ボルト(第2の締結部材)
2b ねじ軸
2c 角ねじ
3 被締結体
F1、F2 押圧力
1a 角ねじ
1b フランク面
1d テーパ部
1e 座面
1f 空間部
2 ボルト(第2の締結部材)
2b ねじ軸
2c 角ねじ
3 被締結体
F1、F2 押圧力
Claims (5)
- 被締結体を締結する締結部材であって、
前記締結部材は、一輪の角ねじが形成された第1の締結部材と、複数輪の角ねじが形成された第2の締結部材とからなり、
前記第1、第2の締結部材を螺合して前記被締結体を所定の押圧力で締結したとき、該押圧力と略等価な押圧力を前記第1の締結部材の一輪の角ねじのフランク面に印加させることを特徴とする締結部材。 - 第1の締結部材は一輪の角ねじが形成されたナットに構成し、第2の締結部材は複数輪の角ねじが形成されたボルトに構成して、該ボルトに前記ナットを螺合する請求項1に記載の締結部材。
- 第1の締結部材としてのナットは、
軸線の回りに回動させるためのヘッド部と、該ヘッド部と一体に、ヘッド部の基部から、ヘッド部と同芯でヘッド部よりも径大となるよう延出端側が徐々に拡径する筒状に形成されるとともに、延出端面が被締結体に当接する座面に形成されたテーパ部とを備え、
前記テーパ部の内面が、円錐曲面に形成され、前記テーパ部の外面が、凹面状の曲面に形成され、
前記ヘッド部の内面に一輪の角ねじが形成された請求項1および2に記載の締結部材。 - 第1の締結部材としてのボルトは、
軸線の回りに回動させるためのヘッド部と、該ヘッド部と一体に、ヘッド部の基部から、ヘッド部と同芯でヘッド部よりも径大となるよう延出端側が徐々に拡径する筒状に形成されるとともに、延出端面が被締結体に当接する座面に形成されたテーパ部とを備え、
前記テーパ部の内面が、円錐曲面に形成され、前記テーパ部の外面が、凹面状の曲面に形成され、
前記ヘッド部およびテーパ部と同芯に形成されたねじ軸がヘッド部と一体に形成され、前記ねじ軸に一輪の角ねじが形成された請求項1および2に記載の締結部材。 - 第2の締結部材は、前記被締結体に形成されたねじ孔に構成し、該ねじ孔に複数輪の角ねじが形成される請求項1に記載の締結部材。
Priority Applications (1)
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JP2012151884A JP2013148214A (ja) | 2011-12-19 | 2012-06-19 | 締結部材 |
Applications Claiming Priority (3)
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- 2012-06-19 JP JP2012151884A patent/JP2013148214A/ja active Pending
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