JP2013147591A - 原油配分導出装置及び原油配分導出プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 原油分配導出プログラムは、搬入原油の分配先と分配量との組合せを示す分配パターンを搬入原油の性状ごとにそれぞれ複数パターン生成する分配パターン生成ステップ(S11)と、分配量の分配によって変動する分配先タンクの貯蔵原油の性状を予測する変動性状予測ステップ(S12,S14)と、変動性状に応じた各石油製品の得率に基づいて各石油製品の予測留出量を導出する留出量導出ステップ(S13,S15)と、予測留出量あたりの予測利益を算出する利益算出ステップ(S16)と、予測利益の多い分配パターンを抽出する分配パターン抽出ステップ(S20)と、をコンピュータに実行させる構成としてある。
【選択図】 図14
Description
このような貯蔵原油は、製油により日々減少することから、不足が生じないように補充する必要がある。
そこで、製油所では、主に海外からタンカー等で定期的に搬入される原油を各タンクに移し変えることにより、製油スケジュールに穴が開かないように、貯蔵原油量の調整を行っている。
製油スケジュールは、所定期間(例えば、1ヶ月など)で処理及び製造すべき目標として定められた原油処理量・石油製品量を日割りで均したスケジュールとなっているものの、搬入日の遅れは、搬入日までの処理量の抑制と搬入日以降の処理量の増加という処理量の変動を生じさせ、性状の違いは、石油製品の留出量バランスを崩し、目標とする石油製品量に過不足を生じさせることになる。
このような問題は、原油性状ごとの厳格な管理が求められる、以下のような事情から、さらに顕在化されることになる。
そのうえ、原油は、軽質な性状を有する軽質原油と重質な性状を有する重質原油とに大別され、軽質原油からは軽質な石油製品(例えば、ガソリン、灯油、軽油)が高得率で留出される一方、重質原油からは軽質な石油製品が低得率で留出されるものの、重質な石油製品(例えば、重油)が高得率で留出されることから、それぞれの得率を活かすべく、性状に見合った処理が求められている。
また、軽質な原油及び石油製品は、重質な原油及び石油製品よりも、高値で取引されることから、性状に応じて処理を分けることが経済的側面からも好ましいといえる。
そのため、TOPに通油する原油を貯蔵する各タンクは、精製工程の違いに応じてグループ分けされるとともに、一のグループに属するタンクには、他のグループに属するタンクと性状の異なる原油が貯蔵されることになり、その貯蔵原油は、それぞれのグループ間及び個々のタンクにおいて目標とする原油性状となるように厳格な管理が求められることになる。
そこで、このような性状のずれを是正するために、特許文献1には、各タンクに貯蔵されている貯蔵原油の目標性状に応じて搬入原油の最適な配分を導出する導出装置が提案されている。
また、特許文献1記載の導出装置により求められる最適な配分は、分配作業の効率化を追求したものではないため、分配回数の増加により作業効率が低下するおそれがあった。
最初に、本実施形態の原油配分導出装置100が適用される製油所1について説明する。
製油所1は、図1に示すように、原油タンク20(20a〜20d)と、TOP30(常圧蒸留装置)と、製品タンク40,80と、中間タンク50と、VAC60(減圧蒸留装置)と、RH70(重油直接脱硫装置)など、を備え、原油11から複数種類の石油製品41a〜41d,81a〜81dを製造可能に構成されている。
さらに、TOP30からの残渣油42(例えば、重油)は、その性状の違いに応じてそれぞれ各中間タンク50(50a,50b)に貯蔵されるとともに、VAC60又はRH70によって二次精製されることにより、石油製品81a〜81dが製造されるようになっている。
一方、重質な性状を有する残渣油42bは、中間タンク50bに貯蔵されるとともに、RH70に通油されることで脱硫され、石油製品81c,81d,81e(例えば、脱硫軽質軽油、脱硫重質軽油、脱硫重油など)に分留されることになる。
なお、TOP30、VAC60及びRH70の下流側にも、図示しない(重油)流動接触分解装置((R)FCC)、水素化分解装置(HYC)などの二次・三次精製装置等が設けられ、製品タンク40,80に貯蔵されている石油製品はさらなる改質・分解・重合を必要とする半石油製品を含むものの、便宜上、それぞれ製品価格を有する石油製品として扱うものとする。
そこで、製油所1では、図2に示すように、残渣油42の性状に応じて製造工程を分けるべく、最も上流側にある原油タンク20からグループ分けを行い、製造の効率化を図っている。
これにより、グループAに属する原油タンク20a,20bの貯蔵原油21a,21bは、一次製品41と残渣油42aとに分留されるとともに、その残渣油42aの蓄油からなる中間製品51aから二次製品81a,81bが分留されることになる。
一方、グループBに属する原油タンク20c,20dの貯蔵原油21c,21dは、一次製品41と残渣油42bとに分留されるとともに、その残渣油42bの蓄油からなる中間製品51bから二次製品81c,81d,81eが分留されることになる。
このため、図1に示すように、TOP30に通油する原油タンク20を切り替え可能なバルブVa〜Vdと、これに同期して、残渣油42の貯蔵先中間タンク50を切り替えるバルブVeとを設けてある。
これにより、例えば、残渣油42aの留出は、バルブVa及び/又はバルブVbを開け、バルブVc及びバルブVdを閉めるとともに、残渣油42aの貯蔵先を中間タンク50a側とするバルブVeの切り替えによって実現されることになる。
一方、残渣油42bの留出は、バルブVc及び/又はバルブVdを開け、バルブVa及びバルブVbを閉めるとともに、残渣油42bの貯蔵先を中間タンク50b側とするバルブVeの切り替えによって実現されることになる。
また、タンカー10で運ばれてくる原油11はすべて荷揚げしなければならないうえ、原油11を受入れ可能な空き原油タンク20が同等な性状の貯蔵原油21が貯蔵されているとは限らないため、ミスマッチを承知のうえ、荷受けせざるを得ないこともある。
その結果、性状の異なる原油11の混入により貯蔵原油21の性状が変化してしまい、石油製品の留出量バランスが崩れることから、予め計画した原油11の目標処理量によって、石油製品41a〜41d,81a〜81dのそれぞれの目標留出量が確保できず、製造効率が低下することになる。
そのうえ、原油配分導出装置100は、分配回数の増加による作業効率の低下を避けるべく、少ない分配回数により最大限の利益を確保可能な分配先及び分配量を導出するようになっている。
このような作用効果を発揮するために、本発明に係る原油配分導出装置100は、以下のように構成されている。
本実施形態の原油配分導出装置100は、図3に示すように、キーボード、マウス等の入力手段を備える入力部110と、プリンタ、液晶TVモニタ等の出力手段を備える出力部120と、ハードディスク等の記憶手段を備える記憶部130と、これらを制御する制御部140と、を備えるコンピュータ(情報処理装置)として構成され、ROM142及び記憶部130に記憶された制御プログラムと各種データとに基づいて、RAM143を作業領域として用いながら、制御部140(CPU141)が自ら動作又はI/F144を介して各部を制御することにより、搬入原油11の最適な分配先及び分配量を導出するようになっている。
例えば、コンピュータ(PC)に実行させるための原油配分導出プログラムをはじめとして、タンクデータ131、原油データ132、製品データ133、得率データ134、制約データ135、GA参照データ136、分配パターンデータ137などを記憶している。
製品データ133は、図6に示すように、各石油製品の単位数量あたりの製品価格を特定可能なデータで構成されている。
この製品価格は、単に販売価格、取引価格などの市場価格だけではなく、それぞれの石油製品を製造するうえで費やされる製造コストを原油価格に上乗せした価格を含む概念である。
本実施形態では、石油製品(41a,41b,41c,41d)及び残渣油42は、貯蔵原油21から留出されるものとして扱い、これらの得率は、貯蔵原油21の性状(例えば、性状A〜性状N)に対応させてあり、石油製品(81a,41b,41c,41d,42)は、残渣油42(中間製品51)から留出されるものとして扱い、これらの得率は、残渣油42の性状(例えば、性状A〜性状N)に対応させてある。
なお、石油製品の留出量を性状ごとに予測可能なデータはこのような一対一形式のデータに限らず、例えば、貯蔵原油21(搬入原油11を含む)及び残渣油42の性状を入力することで各石油製品の予測留出量を出力可能な近似式データを採用することもできる。
GA参照データ136は、図9に示すように、1世代当りの分配パターン数、世代数、1世代当りの交叉数、交叉の規約を定めた交叉ルール、1世代当りの突然変異数、突然変異の規約を定めた突然変異ルール、利益Gと分配回数Nとの関数からなる目的関数(F[G,N])、抽出される分配パターン数を示す抽出数など、制御部140が後述のGA処理を行う際に参照するデータで構成されている。
分配パターンデータ137は、図10に示すように、GA処理の実行によって最終世代から抽出された分配パターンの示す、搬入原油11の各原油タンク20への分配量などの分配情報を特定可能なデータで構成されている。
以下、各項目について説明する。
通油グループは、TOP30に通油する原油タンク20のグループ(A又はB)を示したもので、製油スケジュールに応じて設定することができる。
残渣油算出用APIは、例えば、貯蔵原油21のグループごとの平均API度を示し、原油タンク20ごとの貯蔵原油21の性状(API度)及び在庫量(タンクデータ131をそれぞれ参照)から算出(例えば、加重平均値)される。
設定した単位日時ごとの製油計画データは、後述のGA処理において単位日時ごとの予測利益を算出するうえで参照され、GA処理を実行することにより、このスケジュールデータ138に沿った製造計画に対応する利益、すなわち、所定期間に亘る期間予測利益が算出されることになる。
そして、制御部140(CPU141)がこれらの各データ131〜138を参照しつつ、原油配分導出プログラムを実行することにより、自らが以下のような特徴的な動作を行い、搬入原油11の最適な分配先及び分配量を導出するようになっている。
この生成は、タンクデータ131、原油データ132、及びGA参照データ136を参照しつつ、受入可能量、性状ごとの搬入原油量、1世代分配パターン数に基づいて搬入原油の性状ごとに行われる。
すなわち、分配量11aに対してはLa1〜La500、分配量11bに対してはLb1〜Lb500、分配量11cに対してはLc1〜Lc500、分配量11dに対してはLd1〜Ld500、というような500パターンからなる分配量の組合せを生成する。
また、性状の異なる搬入原油についても、上記と同様な手法により、配分量11a〜11dの組合せを示す分配パターンPを生成することができる。この場合には、一の原油タンク20への分配量の合計(性状の異なる搬入原油同士の合計)が受入可能量を超えない値に設定する必要がある。
この予測は、タンクデータ131及び原油データ132を参照しつつ、分配パターンPの示す分配量11a〜11d、搬入原油11の性状(API度)、分配先原油タンク20の在庫量及び貯蔵原油21の性状(API度)に基づいて、分配パターンPごとに行われる。
例えば、加重平均([貯蔵原油性状×在庫量+搬入原油性状×分配量]/[分配量+在庫量])により、又は、これらを入力変数とする試験的なサンプリングデータに基づいて求められた近似式等により、分配パターンPの示す分配量の分配によって変動する分配先原油タンク20の貯蔵原油21の性状(API度)を算出することができる。
この導出は、得率データ134、スケジュールデータ138を参照しつつ、上記で求めた分配先原油タンク20の貯蔵原油21の変動性状(API度)、この性状に対応する得率、分配先原油タンク20の通油量、VAC通油量、及びRH通油量に基づいて、分配パターンPごと及び所定単位日時(1日)ごとに行われる。
例えば、石油製品(41a〜41d,42)の予測留出量に関しては、石油製品(41a〜41d,42)の得率に、分配先原油タンク20の通油量を乗じることで算出することができる。
石油製品(81a〜81e)は、各中間タンク50に貯蔵されている中間製品51をVAC60又はRH70に通油することにより留出されることから、制御部140が、まず、予測留出量(残渣油42)の分配によって変動する分配先中間タンク50の中間製品51の性状を、変動性状予測手段としての動作により予測し、次に、予測された変動性状の中間製品51(残渣油42)に対応する石油製品(81a〜81e)の得率(得率データ134参照)、VAC通油量、又はRH通油量から石油製品(81a〜81e)の予測留出量を導出することができる。
なお、予測留出量(残渣油42)の分配によって変動する中間製品51の性状予測に先立ち、中間タンク50に流入する残渣油42そのものの性状を予測する必要がある。この予測に関しては、例えば、変動した貯蔵原油21の性状を入力変数とする試験的なサンプリングデータに基づいて求められた近似式等により算出することができる。
この算出は、原油データ132、製品データ133、スケジュールデータ138を参照しつつ、上記で求めた各石油製品(41a〜41d,81a〜81e)の予測留出量、各石油製品の製品価格、原油価格、TOP通油量に基づいて、分配パターンPごと及び所定単位日時(1日)ごとに行われる。
さらに、スケジュールデータ138を参照することにより、所定単位日時(1日)あたりの予測利益を、所定期間に亘る利益として累計することにより、当該分配パターンPに対応する期間予測利益Gを算出することもできる。
この抽出は、GA参照データ136を参照しつつ、抽出数、上記の期間予測利益Gに基づいて行われ、例えば、分配パターンP001〜P500を期間予測利益G001〜G500の多い順に並べたときに、期間予測利益Gの最も多い分配パターンPから抽出数で指定された数までの分配パターンPが期間予測利益Gの多い分配パターンとして評価し、これを抽出することで実現される。すなわち、期間予測利益Gの多い分配パターンPを優先的に抽出する。
なお、抽出された分配パターンPの各分配量11a〜11d及び期間予測利益Gは、分配パターンデータ137として期間予測利益Gの多い順に記憶される。
この抽出は、GA参照データ136を参照しつつ、目的関数F(G,N)、期間予測利益Gに基づいて行われ、例えば、分配パターンP001〜P500それぞれの予測利益G001〜G500及び分配回数N001〜N500を目的関数F(G,N)に入力して求めた値を評価するとともに、評価の高い分配パターンPから順に、抽出数で指定された数分の分配パターンPを抽出することで実現される。すなわち、期間予測利益Gが多くかつ分配先の少ない分配パターンPを優先的に抽出する。
また、目的関数F(G,N)は、例えば、期間予測利益G、分配回数Nそれぞれの重要度バランスを定めた重み係数k(k<1)を、予測利益Gと、分配回数Nの逆数とにそれぞれ乗じた関数(例えば、F[G,N]=kG+[1−k]/N)とし、この出力値の大きい分配パターンPほど評価が高いものとすることもできる。
また、抽出された分配パターンPの各分配量11a〜11d、期間予測利益G、及び分配回数Nは、分配パターンデータ137として評価の高い順に記憶される。
この取捨選択は、原油データ132、制約データ135を参照しつつ、原油11のAPI度及び残渣油42の性状(硫黄分、窒素分、粘度)などを示す制約データの閾値(上限値、下限値)と、原油11の性状及び変動した性状の貯蔵原油21から留出される残渣油42の予測性状との比較により行われ、例えば、分配パターンP001〜P500の中で、閾値の上限値と下限値の範囲外にある残渣油42の予測性状に対応する分配パターンPを捨て、それ以外を抽出対象パターンとして残すこともできる。
この生成は、GA参照データ136を参照しつつ、1世代分配パターン数、世代数、交叉数、交叉ルール、突然変異数、突然変異ルールに基づいて行われ、例えば、交叉、当然変異、抽出(淘汰)を数世代に亘って繰り返し行いながら、適応度の高い分配パターンPを残存させる公知の遺伝的アルゴリズム(GA:Genetic Algorithm)を適用したGA処理の実行により実現される。
この繰り返しにより、最終世代の分配パターンPから抽出されるものは、1世代分配パターン数×世代数からなるすべての分配パターンの中で、最も適応度の高い分配パターンとなり、このパターンの示す分配量11a〜11dを原油タンク20a〜20dに分配することにより、設定した期間に亘って最大限の利益を確保しつつ、分配時の作業効率を向上させることになる。
以下、原油配分導出処理(原油配分導出プログラム)と、原油配分導出処理から呼び出されるGA処理(GAプログラム)について、図13、図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。
制御部140は、入力を受け付けながら、所定期間に亘るTOP通油量(合計)が搬入原油量を含めた原油タンクの在庫量(合計)以下か否かの判定を行う(S2)。通油量が在庫量を超えるときには(S2−NO)、在庫に対して通油過多とし、再入力を受け付ける(S1)。
一方、通油量が在庫量以下のときには(S2−YES)、受け付けたTOP通油量、通油グループ、搬入原油量を製油計画データとしてスケジュールデータ138に記憶するとともに、所定単位日時ごとのTOP通油量に対する残渣油42(42a又は42b)の留出量を、残渣油算出用APIに基づいて算出する(S3)。
制御部140は、入力を受け付けながら、所定期間に亘るVAC又はRH通油量(合計)が算出された残渣油42a又は42bの留出量を含めた各中間タンク50の在庫量(合計)以下か否かの判定を行う(S5)。
通油量が在庫量を超えるときには(S5−NO)、在庫に対して通油過多とし、再入力を受け付ける(S4)。
一方、通油量が在庫量以下のときには(S5−YES)、受け付けたVAC通油量及びRH通油量を製油計画データとしてスケジュールデータ138に記憶するとともに、搬入原油11の性状及び搬入原油量を、入力部110を介して受け付ける(S6)。
次いで、制御部140は、受け付けた原油性状及び搬入原油量と、完成したスケジュールデータ138と、各データ131〜136とを参照しながら、搬入原油11の分配先及び分配量を導出するGA処理を実行し(S7)、処理を終了する。
次に、予測した変動性状と、TOP30に通油する原油タンク10ごとの通油量と、得率データ134とに基づいて、一次製品(41a〜41d)と残渣油42の留出量を、スケジュールデータ138の所定単位日時ごとに算出する(S13:留出量導出ステップ)。
さらに、算出した残渣油42の留出量と、この残渣油42の性状から、残渣油42を中間タンク50に貯蔵させたときの中間製品51の変動性状を中間タンク50ごとに予測する(S14:変動性状予測ステップ)。
この予測に先立ち、残渣油42の性状を制約する制約データ135を参照し、この適否に応じて分配パターンP001の取捨選択を行なう(分配パターン取捨選択ステップ)。
続いて、予測した中間製品51の変動性状と、VAC60又はRH70に通油する中間タンク50ごとの通油量と、得率データ134とに基づいて、二次製品(81a〜81e)の留出量を、スケジュールデータ138の所定単位日時ごとに算出する(S13:留出量導出ステップ)。
このようなS13〜S16の処理をスケジュールデータ138に設定された所定期間が終了するまで繰り返し行い(S17−NO)、所定期間分が終了すると(S17−YES)、所定単位日時あたり予測利益を累計した期間予測利益G001を算出するとともに、分配パターンP001に対応する分配量L1a〜L1d、期間予測利益G001、分配回数N001を記憶部130に記憶する(図12参照)。
続いて、制御部140は、分配パターンP002に対しても、S12〜S17の処理を同様に行い、このような処理を分配パターンP500まで繰り返すようになっている(S18−NO)。
評価は、例えば、目的関数F(G,N)に、各分配パターンPの期間予測利益Gと分配回数Nを代入するとともに、この出力値の大きい分配パターンPが評価の高いものとし、高いものから所定数を抽出して記憶部130に記憶する(S20:分配パターン抽出ステップ)。
制御部140は、第2世代分配パターンP001〜P500に対しても、S12〜S20の処理を同様に行い、このような処理を第200世代まで繰り返すようになっている(S21−NO)。
そして、第200世代分配パターンから分配パターンPを抽出したところで(S21−YES)、抽出した分配パターンPに対応する分配量11a〜11d、期間予測利益G、分配回数Nを分配パターンデータ137として記憶し(S22)、処理を終了する。
すなわち、原油搬入日のずれや、搬入原油11と貯蔵原油21のミスマッチを受入れざるを得ない場合でも、受入れた計画において原油配分導出処理を実行することにより、期間予測利益Gを最大限に確保しつつ、分配回数Nの少ない分配パターンPを導出することができるのである。
これにより、それぞれの処理工程に介在する装置(例えば、VAC60、RH70、及びこれらの下流側に設けられる(重油)流動接触分解装置((R)FCC)、水素化分解装置(HYC)などの二次・三次精製装置)を効率的に稼働させつつ、原油11をその性状の違いに応じて無駄なく処理することができる。
また、残渣油42bの重質化により、RH70に通油される中間製品51bも重質化するものの、分解処理により、軽質、すなわち製品価格の高い二次製品81c,81d,81eを留出させることができるため、原油価格の安い重質原油11に対しては、原油配分導出処理において、大きな利幅が確保される分配パターンを優先的に抽出するからである。
また、所定単位日時は日に限らず、時分でもよく、所定期間は時分でもよい。
また、本実施形態では、期間予測利益を評価対象としたが、所定単位日時あたりの予測利益を評価対象とすることもできる。
また、予め設定した世代数として、GA処理の実行が全体の世代数に占める所定の割合(例えば、7割)以上に達した世代から任意の世代を最終世代とする設定も可能であり、これにより処理時間の短縮化を図ることもできる。
10 タンカー
11 原油(搬入原油)
20(20a〜20d) 原油タンク
21 貯蔵原油
30 TOP(常圧蒸留装置)
40 製品タンク
41(41a〜41d) 石油製品(一次製品)
42(42a,42b) 残渣油
50(50a,50b) 中間タンク
51(51a,51b) 中間製品
60 VAC(減圧蒸留装置)
70 RH(重油直接脱硫装置)
80 製品タンク
81(81a〜81e) 石油製品(二次製品)
100 原油配分導出装置
110 入力部(スケジュール設定手段)
120 出力部
130 記憶部(データ記憶手段)
140 制御部(分配パターン生成手段、変動性状予測手段、留出量導出手段、利益算出手段、分配パターン抽出手段、遺伝的アルゴリズム手段)
Claims (6)
- 複数種類の石油製品を製造する製油所に搬入される原油を、複数のタンクに分配する際の分配先及び分配量を導出する原油配分導出装置であって、
前記タンクに貯蔵されている貯蔵原油の性状及び受け入れ可能な受入原油量をタンクごとに記憶するとともに、搬入される原油の搬入原油量を性状ごとに記憶するデータ記憶手段と、
前記受入原油量と前記搬入原油量とに基づいて、搬入原油の分配先と分配量との組合せを示す分配パターンを搬入原油の性状ごとにそれぞれ複数パターン生成する分配パターン生成手段と、
前記分配パターンの示す前記分配量の分配によって変動する分配先タンクの貯蔵原油の性状を予測する変動性状予測手段と、
予測される変動性状に応じた各石油製品の得率に基づいて各石油製品の予測留出量を導出する留出量導出手段と、
前記予測留出量、各石油製品の製品価格、及び搬入原油の性状ごとの原油価格に基づいて前記予測留出量あたりの予測利益を算出する利益算出手段と、
前記予測利益の多い分配パターンを抽出する分配パターン抽出手段と、を備える
ことを特徴とする原油配分導出装置。 - 前記分配パターン抽出手段は、配分先の少ない分配パターンを抽出する
ことを特徴とする請求項1記載の原油配分導出装置。 - 前記分配パターン生成手段は、
前記分配パターンが抽出される度に、抽出された前記分配パターンを参照して、分配先と分配量の組合せが異なる新たな分配パターンを生成することにより、前記複数パターンを生成する遺伝的アルゴリズム手段からなる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の原油配分導出装置。 - 所定単位日時あたりの原油処理に関するデータであって、製油所で前記単位日時あたりに処理すべき原油の処理量を含む製油計画データを、所定の期間に亘って前記単位日時ごとに設定可能なスケジュール設定手段を備え、
前記利益算出手段は、前記単位日時あたりの前記予測利益を前記期間に亘って累計した期間予測利益を算出する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の原油配分導出装置。 - 前記複数のタンクは石油製品ごとにグループ分けされ、各タンクの貯蔵原油はグループごとに異なる処理工程を経て対応する石油製品となる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の原油配分導出装置。 - 複数種類の石油製品を製造する製油所に搬入される原油を複数のタンクに分配する際の分配先及び分配量を導出する原油配分導出処理を、コンピュータに実行させるための原油配分導出プログラムであって、
前記各タンクの受け入れ可能な受入原油量と搬入される原油の搬入原油量とに基づいて、搬入原油の分配先と分配量との組合せを示す分配パターンを搬入原油の性状ごとにそれぞれ複数パターン生成する分配パターン生成ステップと、
分配パターンの示す前記分配量の分配によって変動する分配先タンクの貯蔵原油の性状を予測する変動性状予測ステップと、
予測される変動性状に応じた各石油製品の得率に基づいて各石油製品の予測留出量を導出する留出量導出ステップと、
前記予測留出量、各石油製品の製品価格、及び搬入原油の性状ごとの原油価格に基づいて前記予測留出量あたりの予測利益を算出する利益算出ステップと、
前記予測利益の多い分配パターンを抽出する分配パターン抽出ステップと、をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする原油配分導出プログラム。
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