JP6417156B2 - 原油留分性状算出装置及び原油留分性状算出方法 - Google Patents

原油留分性状算出装置及び原油留分性状算出方法 Download PDF

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Description

本発明は、製油所において、原油を所定の蒸留装置で各留分に分留するときの分留温度条件を導出するとともに、各留分の性状及び留出量を算出可能な原油留分性状算出装置及び原油留分性状算出方法に関する。
製油所には、それぞれ性状(例えば、API度、硫黄及び窒素含有量など)の異なる原油を貯蔵する複数のタンクが設けられ、これらのタンクに貯蔵された原油が常圧蒸留装置(TOP)などの蒸留装置に通油されることで複数の留分に分留され、LPG、ナフサ、灯油、軽油、重油などの石油製品が製造されるようになっている。
ところで、製油所では、予め作成した製油スケジュールに基づいて各石油製品の製造を行っている。この製油スケジュールは、所定期間(例えば、1ヶ月など)で処理及び製造すべき目標として定められた原油処理量・石油製品量などを日割りで均したスケジュールとなっており、各タンクの貯留在庫量、タンカー等により製油所に搬入される原油の性状及び搬入量、需要量とする石油製品の量的バランスなどを考慮しながら決定される。
このような製油スケジュールでは、通常、常圧蒸留装置(TOP)、及びこれの下流側に位置する減圧蒸留装置(VAC)、重油直接脱硫装置(RH)などの二次装置において処理される処理量が定められる。この処理量は、各装置の安定的な稼働を確保するために、ほぼ一定の値となっている。
一方、処理される原油の性状は、その時々に応じて変動する。
そもそも原油は、産油国ごとにそれぞれ異なる性状(例えば、API度、各留分の留出量、硫黄及び窒素含有量など)を有していることから、タンクから常圧蒸留装置(TOP)に通油される原油も、常に同じ性状を有することはない。
例えば、タンカー等により新たに搬入される原油の性状と既にタンクに貯蔵されている原油の性状は一致するとは限らない。そうすると、同じタンクであっても、新たに搬入される原油を混ぜる前と混ぜた後では、貯蔵される原油の性状が異なることになるので、常圧蒸留装置(TOP)に通油するタイミングによっては、通油原油の性状が変動することになる。
また、複数のタンクそれぞれに性状の異なる原油を貯蔵された場合でも、通油中のタンクが空になったときには満タンの他のタンクからの通油に切り替える必要がある。このような通油の切り替えを行うときには、その切り替えのタイミングで、常圧蒸留装置(TOP)に通油される通油原油の性状が変動することになる。
また、性状のそれぞれ異なる原油を貯蔵するタンクから所定の比率で原油を混合しながら常圧蒸留装置(TOP)に通油することもある。このようなときでも、混合比率に応じて常圧蒸留装置(TOP)に通油される通油原油の性状が変動することになる。
このように、各装置において処理される処理量はほぼ同じ値であったとしても、処理すべき原油の性状はその時々に応じて変動することになる。
しかしながら、このような性状の異なる原油から製造される各石油製品は、それぞれの品質を保持しなければならないため、製油スケジュールにおいて原油性状の変動タイミングごとに、その性状の変動が各石油製品の品質に及ぼす影響を確認する必要がある。
また、原油の性状に応じて各石油製品の留出量も変動することから、製油スケジュールにおいて原油性状の変動タイミングごとに、その性状の変動が各石油製品の留出量に及ぼす影響を確認する必要もある。そこで、このような原油の性状が変動したときに、各石油製品の品質を保持させる技術として、原油の性状の変動に応じて各石油製品の留出量を制御する常圧蒸留装置の自動制御方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2001−226680号公報
ところで、原油は、産油国等に応じて様々な性状を有しているので、その品質を管理するために、原油を複数の留分に分留するときの分留温度と、留分及び所定成分の留出量との関係を示す原油蒸留特性データなどの原油の性状を特定可能な性状データがデータベース化されている。
そこで、このような性状データを活用した製油スケジュールの作成支援装置の提案が望まれていた。
特に、実際の製油処理は、必ずしも作成した製油スケジュール通りには遂行されず、例えば、タンカーの着桟日がずれたり、タンカーに積載される原油の性状が所望する性状と異なっていたり、需要により求められる石油製品の量的バランスが変動することもあり、このようなときには、その都度、スケジュールを見直す必要がある。
このようなスケジュールの見直しの多くは、常圧蒸留装置などの蒸留装置に通油される通油原油の性状変動を伴うことから、この変動が各石油製品の品質及び留出量に及ぼす影響を正確に把握できる製油スケジュールの支援装置の提案が望まれていた。
本発明は、上記の問題を解決するために提案されたものであり、常圧蒸留装置などの蒸留装置に通油される原油の性状変動を伴う製油スケジュールの作成を支援するツールとして適用可能な原油留分性状算出装置及び原油留分性状算出方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の原油留分性状算出装置は、原油を複数の留分に分留するときの分留温度と、前記留分及び所定成分の留出量との関係を示す原油蒸留特性データを記憶する原油蒸留特性データ記憶手段と、前記分留温度ごとに定まるデータであって、所定の蒸留装置において原油を前記分留温度で分留したときの軽質側留分に含まれる重質側留分の留出比率、又は、重質側留分に含まれる軽質側留分の留出比率に基づいて求められる、軽質側留分及び重質側留分のうちの少なくともいずれか一方の留分の留出温度と留出量との関係を示す留分蒸留特性データを記憶する留分蒸留特性データ記憶手段と、所定の留分が特定の留出温度で特定の留出量を示す前記留分蒸留特性データに対応する前記分留温度を、原油を複数の留分に分留するときのカット温度として決定するカット温度決定手段と、前記原油蒸留特性データを有する原油を前記カット温度で分留したときの各留分の性状及び留出量を算出する留分性状算出手段と、を備える装置としてある。
また、本発明の原油留分性状算出方法は、原油を複数の留分に分留するときの分留温度と、前記留分及び所定成分の留出量との関係を示す原油蒸留特性データを記憶する原油蒸留特性データ記憶工程と、前記分留温度ごとに定まるデータであって、所定の蒸留装置において原油を前記分留温度で分留したときの軽質側留分に含まれる重質側留分の留出比率、又は、重質側留分に含まれる軽質側留分の留出比率に基づいて求められる、軽質側留分及び重質側留分のうちの少なくともいずれか一方の留分の留出温度と留出量との関係を示す留分蒸留特性データを記憶する留分蒸留特性データ記憶工程と、所定の留分が特定の留出温度で特定の留出量を示す前記留分蒸留特性データに対応する前記分留温度を、原油を複数の留分に分留するときのカット温度として決定するカット温度決定工程と、前記原油蒸留特性データを有する原油を前記カット温度で分留したときの各留分の性状及び留出量を算出する留分性状算出工程と、を有する方法としてある。
本発明の原油留分性状算出装置及び原油留分性状算出方法によれば、常圧蒸留装置などの蒸留装置に通油される通油原油の性状変動を伴う製油スケジュールの作成を支援することができる。
製油工程を示す製油所の構成図である。 各原油タンクの属するグループと石油製品との対応関係を示す図表である。 原油留分性状算出装置の構成を示すブロック図である。 原油タンク及び中間タンクの在庫量、受入可能量、貯蔵原油の性状データなどのタンク情報を示すタンクデータである。 原油の性状データ、搬入原油量、原油価格などの搬入される原油に関する情報を示す原油データである。 製品価格などの石油製品に関する情報を示す製品データである。 各留分の性状を制約する制約データである。 所定単位日時ごとの製油計画を示すスケジュールデータである。 原油蒸留特性データの説明図である。 留分蒸留特性データの説明図である。 カット温度の決定方法を説明するための説明図である。 各留分の留出量及び性状の算出方法を説明するための説明図である。 性状の異なる原油を混合するときに混合原油の蒸留特性データを算出する方法を説明するための説明図である。 原油留分性状算出装置において実行される製油スケジュールのシミュレート処理を示すフローチャートである。 原油留分性状算出装置において実行される原油を複数の留分に分留するときのカット温度の探索処理と、探索されたカット温度に対応する各留分の留出量及び性状の算出処理とを示すフローチャートである。 常圧蒸留装置に通油される貯蔵原油の組合せパターンの生成方法を説明するための図表である。
以下、本発明に係る原油留分性状算出装置及び原油留分性状算出方法の好ましい実施形態について、各図を参照して説明する。
[製油所]
最初に、本実施形態の原油留分性状算出装置100が適用される製油所1について説明する。
製油所1は、図1に示すように、原油タンク20(20a〜20d)と、TOP30(常圧蒸留装置)と、製品タンク40,80と、中間タンク50と、VAC60(減圧蒸留装置)と、RH70(重油直接脱硫装置)など、を備え、原油11から複数種類の石油製品41a〜41d,81a〜81eを製造可能に構成されている。
具体的には、タンカー10等により搬入される原油11を原油タンク20(20a〜20d)に分配して貯蔵するとともに、この貯蔵原油21(21a〜21d)がTOP30に通油されることで常圧蒸留され、各留分31a〜31dとなる石油製品41a〜41d(例えば、ナフサ[FRN]、灯油[KERO]、軽質軽油[LGO]、重質軽油[HGO]など)に分留されるようになっている。
さらに、TOP30からの残渣油32(例えば、重油[RC])は、その性状の違いに応じてそれぞれ各中間タンク50(50a,50b)に貯蔵されるとともに、VAC60又はRH70によって二次精製されることにより、石油製品81a〜81eが製造されるようになっている。
例えば、軽質な性状を有する軽質残渣油32aは、中間タンク50aに貯蔵されるとともに、VAC60に通油されることで減圧蒸留され、各留分となる石油製品81a,81b(例えば、減圧軽油、減圧重油など)に分留されることになる。
一方、重質な性状を有する重質残渣油32bは、中間タンク50bに貯蔵されるとともに、RH70に通油されることで脱硫され、石油製品81c,81d,81e(例えば、脱硫軽質軽油、脱硫重質軽油、脱硫重油など)に分留されることになる。
なお、TOP30、VAC60及びRH70の下流側にも、図示しない(重油)流動接触分解装置((R)FCC)、水素化分解装置(HYC)などの二次・三次精製装置等が設けられ、製品タンク40,80に貯蔵されている石油製品41,81はさらなる改質・分解・重合を必要とする半石油製品を含むものの、便宜上、それぞれを石油製品として扱うものとする。
このように本実施形態に係る製油所1では、TOP30の下流側において、残渣油32の性状に応じて石油製品の作り分けを行うことから、TOP30に通油する通油原油22をその性状の違いに応じて管理する必要がある。
そこで、製油所1では、図2に示すように、残渣油(RC)32の性状に応じて製造工程を分けるべく、最も上流側にある原油タンク20からグループ分けを行い、製造の効率化を図っている。
具体的には、軽質な性状を有する軽質残渣油32aの精製処理を受け持つグループをグループAとし、重質な性状を有する重質残渣油32bの精製処理を受け持つグループをグループBとし、グループAには、原油タンク20a,20bが属し、グループBには、原油タンク20c,20dが属するようなグループ分けを行っている。
これにより、グループAに属する原油タンク20a,20bの貯蔵原油21a,21bは、一次製品41a〜41dと軽質残渣油32aとに分留されるとともに、その軽質残渣油32aの蓄油からなる中間製品51aから二次製品81a,81bが分留されることになる。
一方、グループBに属する原油タンク20c,20dの貯蔵原油21c,21dは、一次製品41a〜41dと重質残渣油32bとに分留されるとともに、その重質残渣油32bの蓄油からなる中間製品51bから二次製品81c,81d,81eが分留されることになる。
また、一つのTOP30に対して、性状の異なる残渣油32(32a,32b)を留出させるために、TOP30に通油する原油タンク20を時間軸上においてグループ単位で切り替えるようになっている。
このため、図1に示すように、TOP30に通油する原油タンク20を切り替え可能なバルブVa〜Vdと、これに同期して、残渣油32の貯蔵先中間タンク50を切り替えるバルブVeとを設けてある。
これにより、例えば、軽質残渣油32aの留出は、バルブVa及び/又はバルブVbを開け、バルブVc及びバルブVdを閉めるとともに、軽質残渣油32aの貯蔵先を中間タンク50a側とするバルブVeの切り替えによって実現されることになる。
一方、重質残渣油32bの留出は、バルブVc及び/又はバルブVdを開け、バルブVa及びバルブVbを閉めるとともに、重質残渣油32bの貯蔵先を中間タンク50b側とするバルブVeの切り替えによって実現されることになる。
また、同じグループ内のタンク同士で原油の移動を行うことができるようにシフトラインLa,Lbも設けられている。
このようなグループ分けを最大限に活かすためには、グループAに属する原油タンク20a,20bには、残渣油32が軽質となるような性状(軽質)の貯蔵原油21a,21bが貯蔵されることが好ましく、グループBに属する原油タンク20c,20dには、残渣油32が重質となるような性状(重質)の貯蔵原油21c,21dが貯蔵されることが好ましい。
このように原油の性状に応じ貯蔵原油21はグループ分けされるものの、TOP30に通油される通油原油22の性状は様々な要因で変動する。
例えば、タンカー10等により搬入される原油11は必ずしも所望する性状を有しておらず、例えば、軽質な性状を有する原油が不足しているにもかかわらず中質又は重質原油が搬入されたり、重質な性状を有する原油が不足しているにもかかわらず軽質原油が搬入されることもある。そうすると、同じ原油タンク20であっても、新たに搬入される原油を混ぜる前と混ぜた後では、貯蔵される原油の性状が異なることになるので、TOP30に通油されるタイミングによっては、通油原油22の性状が変動することになる。
また、通油中の原油タンク20が空になったときには満タンの他の原油タンク20からの通油に切り替える必要がある。同じグループに属する原油タンク20同士であっても、このような通油の切り替えを行うときには、その切り替えのタイミングで、TOP30に通油される通油原油22の性状が変動することになる。
また、TOP30に通油する期間をなるべく長く確保したい等の理由により、同じグループに属する複数の原油タンク20から所定の比率で原油を混合しながらTOP30に混合原油を通油することもある。このようなときでも、混合比率に応じてTOP30に通油される通油原油22の性状が変動することになる。
製油スケジュールを作成する際には、このような通油原油22の性状変動が各石油製品(例えば、各留分31a〜31d,32)の性状(物性)に及ぼす影響を事前に確認する必要がある。
そこで、原油留分性状算出装置100は、通油原油22の性状データとして、原油を複数の留分に分留するときの分留温度と、留分及び所定成分の留出量との関係を示す原油蒸留特性データに着目して、TOP30において分留される各石油製品の留出量及び性状を算出可能に構成され、これにより、通油原油22の適正を事前に判断できるようになっている。
このような作用効果を発揮するために、本発明に係る原油留分性状算出装置100は、以下のように構成されている。
[原油留分性状算出装置]
本実施形態の原油留分性状算出装置100は、図3に示すように、キーボード、マウス等の入力手段を備える入力部110と、プリンタ、液晶TVモニタ等の出力手段を備える出力部120と、ハードディスク等の記憶手段を備える記憶部130と、これらを制御する制御部140と、を備えるコンピュータ(情報処理装置)として構成され、ROM142及び記憶部130に記憶された制御プログラムと各種データとに基づいて、RAM143を作業領域として用いながら、制御部140(CPU141)が自ら動作又はI/F144を介して各部を制御することにより、ある性状を有する通油原油22に対応する各石油製品(例えば、各留分31a〜31d,32)の留出量及び性状を算出することができるようになっている。
記憶部130は、データ記憶手段として動作し、制御部140が通油原油22に対応する各石油製品の留出量及び性状を算出するための様々なデータを記憶している。
例えば、コンピュータ(PC)に実行させるための製油スケジュールシミュレートプログラムをはじめとして、タンクデータ131、原油データ132、製品データ133、制約データ134、スケジュールデータ135などを記憶している。
タンクデータ131は、図4に示すように、原油タンク20a〜20d及び中間タンク50a,50bそれぞれの「在庫量」、各タンク20,50の「受入可能量」(タンク最大容量と現在の在庫量との差分)、貯蔵原油21a〜21d及び中間製品51a,51bそれぞれの「性状データ」などの原油タンク20及び中間タンク50の現在の状態を特定可能なデータで構成されている。
「性状データ」には、例えば、原油名、API度、硫黄分及び窒素分の含有量などの他に、貯蔵原油21a〜21dを複数の留分31a〜31d,32に分留するときの蒸留特性を示す原油蒸留特性データ(TBP)と、TOP30の分留特性を示す留分蒸留特性データとがある。
また、「性状データ」には、中間製品51aを、複数の留分(例えば、81a,81bに対応)に分留するときの蒸留特性を示す原油蒸留特性データ(TBP)と、VAC60の分留特性を示す留分蒸留特性データとが含まれている。
原油データ132は、図5に示すように、原油11の「搬入日」、「性状データ」、「搬入原油量」、「原油価格」などの製油所1に搬入される原油11を特定可能なデータで構成されている。
この「性状データ」には、タンクデータ131の「性状データ」と同様なデータが含まれている。
製品データ133は、図6に示すように、各石油製品の単位数量あたりの「製品価格」などを特定可能なデータで構成されている。
この製品価格は、単に販売価格、取引価格などの市場価格だけではなく、それぞれの石油製品を製造するうえで費やされる製造コストを原油価格に上乗せした価格を含む概念である。
制約データ134は、図7に示すように、例えば、TOP30において分留される複数の留分31a〜31d,32a,32bそれぞれの性状を制約する制約事項、その制約の範囲を示す閾値などの、各留分31a〜31d,32a,32bの性状(特性)を制約可能なデータで構成されている。
留分31a〜31d,32a,32bとしては、例えば、ナフサ(FRN)、灯油(KERO)、軽質軽油(LGO)、重質軽油(HGO)、軽質残渣油(LRC)、重質残渣油(HRC)があり、制約データ135は、これら各留分に含有される成分A、B(例えば、硫黄、窒素)の含有量の上限値・下限値、これら各留分の特性C(例えば、粘度)の上限値・下限値を規定した数値データとなっている。
スケジュールデータ135は、図8に示すように、所定単位日時(例えば、1日)ごとの製油計画を、所定期間(例えば、1ヶ月)に亘って設定したデータであり、例えば、TOP通油量、搬入原油量、通油グループ、残渣油算出用API、残渣油留出量、VAC通油量、RH通油量、中間タンク在庫量、原油タンクの分配量・通油量・在庫量などの各項目に対応する計画値(製油計画データ)を単位日時ごとに設定したものとなっている。
以下、各項目について説明する。
TOP通油量は、単位日時あたりのTOP30への通油原油22の通油量を示すもので、搬入原油量と各原油タンク20の在庫量に拘束されるものの(例えば、所定期間に亘る、TOP通油量の合計≦搬入原油量の合計+原油タンク20在庫量の合計)、任意な値に設定可能であり、例えば、図8に示すように、所定期間で処理しなければならない原油処理量を日割りで設定した値(例えば、2100t)とすることもできるし、日ごとに異なる値に設定することもできる。
搬入原油量は、ある搬入日に搬入される搬入原油量の合計を示したもので、TOP通油量を拘束するとともに、搬入される原油11の荷揚げ完了日(例えば、TOP30に通油可能となる日)に、その値を設定することができる。また、天候等の影響により搬入日(例えば、タンカーの着桟日)にずれが生じる場合には、ずれに応じた荷揚げ完了日にその値を設定する。
通油グループは、TOP30に通油する原油タンク20のグループ(A又はB)を示したもので、製油スケジュールに応じて設定することができる。
残渣油算出用APIは、例えば、貯蔵原油21のグループごとの平均API度を示し、原油タンク20ごとの貯蔵原油21の性状(API度)及び在庫量(タンクデータ131をそれぞれ参照)から算出(例えば、加重平均値)される。
残渣油留出量は、TOP通油量に対する残渣油32の留出量を示し、TOP通油量と、残渣油算出用APIに対応する残渣油32の留出量とから算出(例えば、TOP通油量×留出量)したものである。この残渣油32の留出量は残渣油算出用APIに対応する値として予め求められる規定値である。
VAC通油量及びRH通油量は、VAC60及びRH70への中間製品51a,51bそれぞれの通油量を示し、残渣油留出量と中間タンク50の在庫量に拘束されるものの(例えば、所定期間に亘る、VAC通油量又はRH通油量の合計≦残渣油留出量32a又は32bの合計+各中間タンク50a又は50bの在庫量の合計)、任意な値に設定可能である。
中間タンク在庫量は、各中間タンク50の在庫量を示し、タンクデータ131における各中間タンク50の在庫量がそれぞれの初期値となるとともに、この初期値からVAC通油量又はRH通油量をそれぞれ差し引いた値に、各グループに対応する残渣油留出量を加算して算出したものである。
原油タンク分配量は、各原油タンク20への性状を特定しない搬入原油11の仮分配量を示すもので、各原油タンク20の受入可能量(タンクデータ131参照)と、搬入原油量(原油データ132参照)に拘束されるものの(例えば、仮分配量≦受入可能量+搬入原油量の合計)、任意な値に設定可能である。
原油タンク通油量は、個々の原油タンク20からTOP30への通油量を示すもので、TOP通油量と、各原油タンク20の在庫量(タンクデータ131参照)に拘束されるものの(例えば、通油量≦TOP通油量、かつ、在庫量)、任意な値に設定可能である。
原油タンク在庫量は、各原油タンク20の在庫量を示すもので、タンクデータ131における各原油タンク20の在庫量を初期値とし、この初期値から通油量を差し引いた値に、仮分配量を加算して算出したものである。
このように、各項目に対応する計画値(製油計画データ)を所定単位日時(例えば、1日)ごとに設定することにより、所定期間(例えば、1ヶ月)に亘る製油スケジュールが完成することになる。
各項目に対応する計画値は、制御部140が出力部120(液晶TVモニタ)に入力画面(図8に示した図表と同等な入力形式の画面)を表示させる制御を行いながら、入力部110(キーボード、マウス)をスケジュール設定手段として動作させ、入力部110からの入力を受け付けることにより、記憶部130に記憶されて設定される。
そして、制御部140(CPU141)がこれらの各データ131〜135を参照しつつ、製油スケジュールシミュレートプログラムを実行することにより、自らが以下のような特徴的な動作を行い、入力された計画値の適正が判定可能となり、製油スケジュールの作成が支援されることになる。
特に、各原油タンク20a〜20dからTOP30に通油される通油原油22の「性状データ」に基づいて、石油製品である各留分31a〜31d,32a,32bの留出量と性状とが算出され、通油原油22の組合せの適否が判定可能となる。
例えば、通油原油22の組合せとして、スケジュールデータ135において、1日目は原油タンク20aに貯蔵される貯蔵原油21aが通油原油22(2100t)、2日目は原油タンク20bに貯蔵される貯蔵原油21bが通油原油22(2100t)、3,4日目は原油タンク20c及び20dに貯蔵される貯蔵原油21c及び21dが半分ずつ通油原油22(1050t+1050t)、5日目は原油タンク20a及び20bに貯蔵される貯蔵原油21a及び21bが半分ずつ通油原油22(1050t+1050t)、となるように設定されており、製油スケジュールシミュレート処理の実行により、それぞれの通油原油22の「性状データ」に基づいて、石油製品である各留分31a〜31d,32a,32bの留出量と性状とが算出され、通油原油22の組合せそれぞれの適否が判定可能となる。
[留分性状及び留出量の算出原理]
ここで、最初に、通油原油22の「性状データ」に基づいて、石油製品である各留分31a〜31d,32a,32bの留出量と性状とが算出される原理について説明する。
前述したように、タンクデータ131は、各原油タンク20に貯蔵されている貯蔵原油21の性状データを有している。
性状データには、例えば、原油名、API度、硫黄分及び窒素分の含有量などの他に、貯蔵原油21の蒸留特性を示す「原油蒸留特性データ」と、TOP30の分留特性を示す「留分蒸留特性データ」とがある。
[原油蒸留特性データ]
原油蒸留特性データは、貯蔵原油21を所定の分析装置で分析した結果得られるデータであって、貯蔵原油21を複数の留分に分留するときの蒸留特性を示すデータである。
貯蔵原油21はそれぞれ沸点の異なる複数の留分を所定の比率で混合した混合物であることから、原油蒸留特性データは、これら各留分の蒸留特性を示す個別の蒸留特性データを合成した曲線として求めることができる。
例えば、図9に示すように、下段側には、各留分31a〜31d,32に対応する、ナフサ(FRN)、灯油(KERO)、軽質軽油(LGO)、重質軽油(HGO)、及び残渣油(RC:軽質残渣油と重質残渣油とを含む)の個別の蒸留特性データ(曲線F,K,L,H,RC)が表され、上段側には、個別の蒸留特性データ(曲線F,K,L,H,RC)を合成(平滑)した原油蒸留特性データ(曲線W)が表されている。
個別の蒸留特性データ(曲線F,K,L,H,RC)は、TOP30で分留された各留分31a〜31d,32(ナフサ、灯油、軽質軽油、重質軽油、残渣油)それぞれを単蒸留したときの温度(℃)と留出量(vol:体積)との関係を示すデータである。
個別の蒸留特性データは、それぞれの留分31a〜31d,32(ナフサ、灯油、軽質軽油、重質軽油、残渣油)固有の特性を示しており、各留分31a〜31d,32の初留点(蒸留開始時の温度IBP)、5%留出温度、10%留出温度、・・・乾点(100%留出したときの温度:エンドポイントEP)などの、例えば、留出量1%ごとの留出温度変化を示すデータである。
貯蔵原油21はこのような蒸留特性(個別の蒸留特性データ)を有する各留分31a〜31d,32が所定の比率で混合された混合物であるから、貯蔵原油21の原油蒸留特性データ(曲線W)は、図9の上段側に示すように、各留分をこの比率で合成して求めることができる。
また、原油蒸留特性データには、各留分に分留する蒸留特性のみならず、貯蔵原油21に含有する所定成分(例えば、成分A、成分B)の含有特性データ(図9中の成分A及びBの曲線)が含まれている。成分としては、硫黄、窒素、所定のメタル分などがある。
所定成分の含有特性データは、留出量1%ごとに含まれるある成分の含有量(vol:体積)として求めることができる。
また、原油蒸留特性データには、特に図示しないが留出量1%ごとに対応する留分の粘度(粘度C)特性を含めることもできる。
このような原油蒸留特性データ(曲線W、各成分の曲線)は、貯蔵原油21(及び原油11)ごとにタンクデータ131(及び原油データ132)に記憶されている。
[留分蒸留特性データ]
留分蒸留特性データは、TOP30(又はVAC60)の分留特性を示すデータであり、原油をある温度(カット温度)で分留したときに、軽質(低沸点)側留分に含まれる重質(高沸点)側留分の留出比率、又は、重質(高沸点)側留分に含まれる軽質(低沸点)側留分の留出比率に基づいて求められる、軽質側留分及び重質側留分のうちの少なくともいずれか一方の留分の留出温度と留出量との関係を示す留分蒸留特性データである。
原油をあるカット温度KPで分留したときは、本来は、前述の原油蒸留特性データにおいて曲線W上のカット温度KPに該当する温度を基準にして、軽質側留分の留出量及び留分性状と、重質側留分の留出量及び留分性状とを求めることができる。
しかしながら、蒸留装置(TOP30、VAC60)は、分留可能な留分の数が限られていることから(例えば、棚段の数等の制約)、原油をあるカット温度KPで分留したときには、軽質(低沸点)側留分に重質(高沸点)側留分が含まれ、反対に、重質(高沸点)側留分に軽質(低沸点)側留分が含まれることになる。
例えば、蒸留装置(TOP30、VAC60)において、原油をあるカット温度KPで分留したときには、図10に示すように、軽質側留分aがすべて留出する温度(100%留出(乾点)、エンドポイント:EP)は、軽質側留分a領域の中に重質側留分bが含まれていることから、カット温度KPよりも高い温度となり、重質側留分bが留出を開始するときの温度(初留点:IBP)は、重質側留分b領域の中に軽質側留分aが含まれていることから、カット温度KPよりも低い温度となる。
蒸留装置(TOP30、VAC60)において分留可能な留分の数が無限であれば、カット温度KP、エンドポイントEP、初留点IBPそれぞれの温度は一致することになるが、実際には、分留可能な留分の数に限りがあるため、このような温度差が生じることになる。
そこで、このような蒸留装置(TOP30、VAC60)の分留特性をかんがみ、性状の異なる複数の原油を蒸留装置(TOP30、VAC60)で分留した実績から、任意のカット温度KPにおける軽質側留分に含まれる重質側留分の留出比率、又は、重質側留分に含まれる軽質側留分の留出比率に基づいて、各カット温度KPに対応する軽質側留分及び重質側留分それぞれの留分蒸留特性データを求め、これを用いて曲線W上の最適なカット温度を導出することにした。
留分蒸留特性データは、以下のように求めることができる。
具体的には、図10に示すように、任意のカット温度KPに対応する、軽質側留分aのエンドポイント(EP)、軽質側留分aが95%留出する温度に該当する95%留出ポイント(95%P)、軽質側留分aが90%留出する温度に該当する90%留出ポイント(90%P)などの軽質側留分aの留分蒸留特性データRa(高留出ポイント付近の蒸留特性)を、カット温度KPにおける軽質側留分aに含まれる重質側留分bの留出比率(実績値)、棚段の数等から求める。このとき、軽質側留分aの留出量が減少するにつれ、曲線Wにフィットするように留分蒸留特性データRa(中留出ポイント付近の蒸留特性)を求める。
一方、重質側留分bの留分蒸留特性データRbは、例えば、ハッチングSbの面積がハッチングSaの面積と同じとなるような留分蒸留特性データRb(低留出ポイント付近の蒸留特性)を求める。これにより、カット温度KPにおける留出量のうちで軽質側留分aと重質側留分bの占める比率を同じにすることができる。また、重質側留分bの留分蒸留特性データRbが求まることで、重質側留分bが留出を開始するときの温度に該当する初留点IBPも求まることになる。また、重質側留分bの留出量が増加するにつれ、曲線Wにフィットするように留分蒸留特性データRb(中留出ポイント付近の蒸留特性)を求める。
このようにして求められる留分蒸留特性データR(Ra,Rb)は、カット温度KPに関連付けられており、カット温度KPが定まると、これに対応する留分蒸留特性データR(Ra,Rb)が求められ、少なくとも軽質側留分aの留分蒸留特性データRaが求められることになる。
例えば、図11に示すように、カット温度KP1が定まるとこれに対応する留分蒸留特性データR1(及びR2の初留点IBP付近の蒸留特性)が求められ、カット温度KP2が定まるとこれに対応する(カット温度KP1〜KP2の留分の)留分蒸留特性データR2(及びR3の初留点IBP付近の蒸留特性)が求められる。つまり、カット温度KPnが定まるとこれに対応する留分蒸留特性データRnが定まるという随伴性を有している。
このような留分蒸留特性データRは、曲線W上のカット温度KPに対応付け可能なデータとして、タンクデータ131(及び原油データ132)に記憶されている。
なお、留分蒸留特性データRは、カット温度KPに応じて求められることから、カット温度KPを入力変数とする関係式から留分蒸留特性データRが算出されるようにすることもできる。この場合は、関係式が留分蒸留特性データRとなり、この関係式をタンクデータ131に記憶することができる。
[特定の留分に分留するときのカット温度KPの決定方法]
留分蒸留特性データRは、あるカット温度KPに対応する(軽質側)留分の蒸留特性(初留点IBP、5%留出温度、10%留出温度、・・・、エンドポイントEP)を示しており、この蒸留特性の一部又は全部がナフサ、灯油、軽質軽油、重質軽油などの特定の留分の蒸留特性と同じ特性を示すときには、カット温度KPで分留したときの(軽質側)留分は、その特定の留分であると推認するとともに、その留分蒸留特性データRに対応するカット温度KPを、特定の留分に分留するときのカット温度KPとして決定する。
例えば、特定の留分をナフサとした場合、ナフサ(FRN)のエンドポイント(100%留出:EP)は、ナフサの特性を示す特定の温度(EPf)に定められていることから、エンドポイント(EP)が特定の温度(EPf)になる留分蒸留特性データR及びこれに対応するカット温度KPを探索することにより、ナフサを軽質側留分、灯油を重質側留分とするカット温度KPが決定されることになる。
ところが、留分蒸留特性データRはカット温度KPが定まることで求められるという随伴性を有していることから、実際のカット温度KPの探索は、仮カット温度を生成し、その仮カット温度に対応する留分蒸留特性データRを求め、その求められた留分蒸留特性データRが、特定の留分の蒸留特性に一致しているかどうかを判定しながら行われる。
一致しているときには、求められた留分蒸留特性データRに対応する仮カット温度がカット温度KPとして決定され、一致していないときには、新たな仮カット温度を生成し、その新たな仮カット温度に対応する留分蒸留特性データRを求め、その求められた留分蒸留特性データRが、特定の留分の蒸留特性に一致しているかどうかを判定するという、仮カット温度の生成と判定とを繰り返しながら、特定の留分の蒸留特性を示す留分蒸留特性データR及びこれに対応するカット温度KPを探索する処理が行われる。
このようなカット温度KPを探索する処理を、すべての特定の留分において軽質側留分から重質側留分に向けて順次行うことにより、すべての留分間のカット温度が決定される。
図11及び図12を参照しながら具体的に説明すると、例えば、ナフサ(FRN)を軽質側留分、灯油(KERO)を重質側留分とするカット温度KPfを探索する場合、まず、図11に示すように、仮カット温度としてKP1を生成し、この仮カット温度KP1に対応する留分蒸留特性データR1を求める。続いて、留分蒸留特性データR1がナフサの蒸留特性と一致するかどうかを判定する。例えば、留分蒸留特性データR1におけるエンドポイント(EP1)の温度がナフサの特性を示す特定の温度(EPf)かどうかを判定する。留分蒸留特性データR1におけるエンドポイント(EP1)の温度が特定の温度(EPf)ならば、その留分蒸留特性データR1がナフサの蒸留特性を示すものとみなし、KP1をカット温度として決定する。
一方、留分蒸留特性データR1におけるエンドポイント(EP1)の温度が特定の温度(EPf)でないならば、新たな仮カット温度KP2を生成し、この仮カット温度KP2に対応する留分蒸留特性データR2を求め、留分蒸留特性データR2におけるエンドポイント(EP2)の温度が特定の温度(EPf)かどうかを判定する。
留分蒸留特性データR2におけるエンドポイント(EP2)の温度が特定の温度(EPf)ならば、その留分蒸留特性データR2がナフサの蒸留特性を示すものとみなし、KP2をカット温度として決定し、そうでないならば、さらに、新たな仮カット温度KPnを生成し、このような生成と判定を、仮カット温度KPnに対応する留分蒸留特性データRnにおけるエンドポイント(EPn)の温度が特定の温度(EPf)に一致する(ほぼ近似する)まで、繰り返し行う。
このような繰り返し処理により、エンドポイント(EP)の温度が特定の温度(EPf)に一致するところの留分蒸留特性データRfに対応する仮カット温度を、真のカット温度として決定することにより、図12に示すように、ナフサを軽質側留分とするカット温度KPfが決定されることになる。
そして、ナフサを軽質側留分、灯油を重質側留分とするカット温度KPfが決定されると、次いで、ナフサよりも重質側留分であって、灯油(KERO)を軽質側留分、軽質軽油(LGO)を重質側留分とするカット温度KPkを決定する。
カット温度KPkの決定は、上記と同様な探索処理により行われ、灯油の蒸留特性を示す留分蒸留特性データRk及びこれに対応するカット温度KPkを探索する。このとき、灯油の蒸留特性は、例えば、95%留出するときの温度が灯油の特性を示す特定の温度(k%P)に定められていることから、95%留出するときの温度が特定の温度(k%P)となる蒸留特性を示す留分蒸留特性データRk及びこれに対応するカット温度KPkを探索する。
カット温度KPkの決定に続いて、軽質軽油(LGO)を軽質側留分、重質軽油(HGO)を重質側留分とするカット温度KPlを決定する。
カット温度KPlの決定も、上記と同様な探索処理により行われ、軽質軽油の蒸留特性を示す留分蒸留特性データRl及びこれに対応するカット温度KPlを探索する。このとき、軽質軽油の蒸留特性は、例えば、90%留出するときの温度が軽質軽油の特性を示す特定の温度(l%P)に定められていることから、90%留出するときの温度が特定の温度(l%P)となる蒸留特性を示す留分蒸留特性データRl及びこれに対応するカット温度KPlを探索する。
次いで、重質軽油(HGO)を軽質側留分、残渣油(RC)を重質側留分とするカット温度KPhを決定する。
カット温度KPhの決定も、上記と同様な探索処理により行われ、軽質軽油の蒸留特性を示す留分蒸留特性データRh及びこれに対応するカット温度KPhを探索する。
このように、特定の留分において、軽質側留分から重質側留分に向けて順次カット温度KPを探索することにより、すべての留分間のカット温度が決定されることになる。
[特定留分の性状及び留出量の算出]
特定の留分の性状及び留出量は、上記で決定された各留分間それぞれのカット温度KPf〜KPhと、原油蒸留特性データ(曲線W、各成分の曲線)とに基づいて算出される。
具体的には、それぞれの留分間カット温度KPf〜KPhを、図12に示す原油蒸留特性データ(曲線W)上にプロットすることにより、カット温度KPf〜KPh間で特定されるvol%(体積%)の差分が、各留分の留出量及びこれに含まれる各成分の含有量となる。
各留分の留出量は、ナフサ(31a)、灯油(31b)、軽質軽油(31c)、重質軽油(31d)、残渣油(32)それぞれのX軸方向領域幅に対応する値として求められ、例えば、ナフサ分(31a)として、KPfに対応するvol%分が留出され、灯油分(31b)として、KPkに対応するvol%分からKPfに対応するvol%分を差し引いた差分量が留出されることになる。
成分A、成分Bの含有量に関しても同様にそれぞれ、ナフサ(31a)、灯油(31b)、軽質軽油(31c)、重質軽油(31d)、残渣油(32)のX軸方向領域幅に対応する値として求められ、例えば、ナフサ分(31a)としては、KPfに対応するvol%分が留出され、灯油分(31b)としては、KPkに対応するvol%分からKPfに対応するvol%分を差し引いた差分量が留出されることになる。
これにより、貯蔵原油21をTOP30において各カット温度KPf〜KPhで分留したときの各留分31a〜31d,32の留出量及び各留分に含まれる所定成分の含有量を含む性状を求めることができる。
この場合のカット温度KPf〜KPhは、TOP30を運転するときの操作変数として用いられ、このカット温度を運転条件として貯蔵原油21ごとに入力することで、図12に示すような留出量及び性状を有する、ナフサ(31a)、灯油(31b)、軽質軽油(31c)、重質軽油(31d)、残渣油(32)の各留分がTOP30により分留されることになる。
また、通油原油22は一種類の貯蔵原油21とは限らず、複数の貯蔵原油21a〜21dを所定の混合比率で混合したものを通油原油22とすることもある。
この場合には、図13に示すように、各貯蔵原油21(原油A、原油B)の原油蒸留特性データ(曲線W、各成分の曲線)を、混合比率に応じて加算することで、混合原油の原油蒸留特性データを求めることができる。
各原油蒸留特性データでは、一の温度で留出する量(成分含有量を含む)はそれぞれ一の留出量に定まるものの、混合すると一の温度で留出する量が変化することになる。この変化は、混合比率にほぼ比例するので、混合させる複数の原油の各原油蒸留特性データをX軸方向に沿って混合比に応じて縮小させるとともに、同じ温度での留出量同士を加算することにより、混合原油(原油A+原油B)の原油蒸留特性データを求めることができる。
このような混合原油の原油蒸留特性データの求め方は、貯蔵原油21a〜21d同士の混合のみならず、原油11と貯蔵原油21a〜21dとの混合においても適用可能である。
そして、このようにして求められた混合原油の原油蒸留特性データにおいて、各留分間それぞれのカット温度KPf〜KPhを決定することにより、各留分の留出量及びこれに含まれる各成分の含有量などの性状が算出されることになる(図12参照)。
以上説明した留分性状及び留出量の算出原理に基づいて動作する製油スケジュールシミュレート処理の実行により、スケジュールデータ135において設定された通油原油22の組合せに応じた各留分31a〜31d,32a,32bの留出量(留出量バランス)と性状とが算出されることになる。
具体的には、TOP30に通油される通油原油22として、1日目では、原油タンク20aに貯蔵される貯蔵原油21aから留出可能な各留分31a〜31d,32aの留出量と性状とが算出される。
2日目では、原油タンク20bに貯蔵される貯蔵原油21bから留出可能な各留分31a〜31d,32aの留出量と性状とが算出される。
同様に、3,4日目では、原油タンク20c及び20dに貯蔵される貯蔵原油21c及び21dが半分ずつ混合した混合原油から留出可能な各留分31a〜31d,32bの留出量と性状とが算出される。
5日目では、原油タンク20a及び20bに貯蔵される貯蔵原油21a及び21bが半分ずつ混合した混合原油から留出可能な各留分31a〜31d,32aの留出量と性状とが算出される。
さらに、製油スケジュールシミュレート処理では、算出された各留分の性状を評価する。
この評価は、図7に示す制約データ134に基づいて行われる。
制約データ134では、例えば、各留分31a〜31d,32a,32bに含まれる成分A,Bの含有量の上限・下限値が規定されている。
これにより、算出された各留分に含まれる成分A,Bの含有量がそれぞれの上限・下限値の範囲内に収まるか否かを判定することができる。
収まるときには、TOP30に通油される通油原油22の組合せが適正であると判定され、出力部120を制御してその旨を識別可能な報知を行う。
一方、収まらないときには、TOP30に通油される通油原油22の組合せが不適切であると判定され、出力部120を制御してその旨を識別可能な報知を行う。
また、製油スケジュールシミュレート処理では、算出された各留分の留出量を評価することもできる。
例えば、各留分31a〜31dの留出量が予め定められた目標値となっている各留分の量的バランス条件を満たしているか否かを判定することもできる。
また、例えば、残渣油32の留出量が、中間タンク50の空き容量を超えないこと、超えたときにはその分をVAC60及びRH70への通油量として増加させること、VAC60及びRH70への通油量は所定の上限値を超えないこと、などの運転条件を満たしているか否かを判定することもできる。
そして、各条件を満たすか否かを識別可能な報知を出力部120を介して行うことができる。
このような報知により、製油スケジュールを設定する作業者は、通油原油22の組合せの適否を判断することができ、適正でないときにはその組合せを修正して、通油原油22の組合せが適正であると判定されるまで製油スケジュールシミュレート処理を繰り返し実行させることで、最適な製油スケジュールを作成することができる。
このような製油スケジュールシミュレート処理は、制御部140が実行可能なプログラムとして記憶部130等に記憶されており、このプログラムは、図14に示すフローチャートに基づいて作成されている。以下、このフローチャートに従って製油スケジュールシミュレート処理について説明する。
最初に、スケジュールデータの設定を行う(S1)。スケジュールデータの設定では、液晶モニタ等からなる出力部120にスケジュールデータ135を表示させ、各項目に対応する計画値等の入力を行う。
例えば、図8に示すように、所定単位日時(例えば、1日)ごとに、TOP通油量、搬入原油量、通油グループ、VAC通油量、RH通油量、原油タンクの通油量などの各項目に対応する計画値を入力して、記憶部130に記憶させる。
次いで、TOP30に通油される通油原油22の組合せパターンを抽出する(S2)。
この組合せパターンの抽出は、スケジュールデータ135に入力された原油タンクの通油量に基づいて抽出することができる。
例えば、図8に示す例では、1日目の通油原油22は原油タンク20aに貯蔵される貯蔵原油21a、2日目の通油原油22は原油タンク20bに貯蔵される貯蔵原油21b、3,4日目の通油原油22は原油タンク20c及び20dに貯蔵される貯蔵原油21c及び21dの半分ずつ、というように抽出される。
続いて、通油原油22の組合せパターンを構成する貯蔵原油21(原油タンク20)の性状データをタンクデータ131から取得する(S3)。
例えば、1日目では貯蔵原油21a(原油タンク20a)の性状データをタンクデータ131から取得し、2日目では貯蔵原油21b(原油タンク20b)の性状データをタンクデータ131から取得し、3,4日目では貯蔵原油21c及び21d(原油タンク20c及び20d)の性状データをタンクデータ131から取得する。
ここで、取得する性状データには、留分蒸留特性データR及び原油蒸留特性データ(曲線W、各成分の曲線)が含まれる。
次いで、通油原油22の組合せパターンにおいて貯蔵原油21を所定の混合比率で混合する混合原油があるときには、混合原油の性状データを算出する(S4)。
例えば、図8に示す例では、3,4日目と5日目とが貯蔵原油21を所定の混合比率で混合してTOP30に通油するスケジュールとして設定されるので、3,4日目と5日目においてそれぞれ混合原油の性状データを算出する。
混合原油の性状データは、例えば、混合させる貯蔵原油21それぞれの原油蒸留特性データをX軸方向に沿って混合比(上記の例では、50%)に応じて縮小させるとともに、同じ温度での留出量同士を加算することにより求めることができる。そして、算出された混合原油の性状データは、記憶部130に記憶される。
続いて、通油原油22をTOP30に通油したときの各留分の留出量及び性状を算出する留分性状算出処理(方法)を、日付ごと又は通油原油22の組合せが変更されるごとに実行する(S5)。
留分性状算出処理(方法)では、最初に、S3又はS4において取得又は算出された原油蒸留特性データ(曲線W、各成分の曲線)、留分蒸留特性データRに基づいて各留分31a〜31d,32のカット温度を決定する。
具体的には、各留分の蒸留特性を示す留分蒸留特性データR及びこれに対応するカット温度KPを、前述の繰り返し処理により探索して決定する。さらに、決定されたカット温度KPでの各留分31a〜31d,32の留出量及びこれに含まれる各成分(成分A、成分B)の含有量を算出する。
各留分31a〜31d,32の留出量は、例えば、図12に示す例では、ナフサ、灯油、軽質軽油、重質軽油、残渣油それぞれのX軸方向領域幅に対応する値として求められ、各留分31a〜31d,32に含まれる成分(成分A、成分B)の含有量は、例えば、図12に示す例では、ナフサ、灯油、軽質軽油、重質軽油、残渣油それぞれのX軸方向領域幅に対応する値として求めることができる。
これにより、日付ごと又は通油原油22の組合せが変更されるごとの各留分31a〜31d,32の留出量及びこれに含まれる各成分(成分A、成分B)の含有量が算出されることになる。
次いで、算出された各留分の性状を評価する(S6)。
各留分の性状の評価は、図7に示す制約データ134に基づいて行われる。
例えば、S5において算出された各留分31a〜31d,32に含まれる成分(成分A、成分B)の含有量それぞれが上限値・下限値の範囲内に収まるか否かの判定を行う。
また、S5において算出された各留分31a〜31d,32の留出量が予め定められたそれぞれの目標値に達しているか否かを判定することもできる。
続いて、評価結果の出力を行う(S7)。
評価結果の出力は、液晶モニタ等からなる出力部120に表示させることができる。
評価結果は、性状評価では、S5において算出された各留分31a〜31d,32に含まれる成分(成分A、成分B)の含有量それぞれが上限値・下限値の範囲内に収まるときには「適正」、収まらないときには「不適」など、評価結果が識別可能な表示態様で行われる。
同様に、留出量の評価では、S5において算出された各留分31a〜31d,32の留出量が予め定められたそれぞれの目標値に達しているときには「適正」、達していないときには「不適」など、評価結果が識別可能な表示態様で行われる。
このような評価結果の出力により、製油スケジュールを設定する作業者は、通油原油22の組合せの適否を判断することができ、例えば、「不適」と判定された通油原油22の組合せが混合原油のときにはその混合比率を修正して、通油原油22の組合せが適正であると判定されるまで製油スケジュールシミュレート処理を繰り返し実行させることで、最適な混合比率を有する通油原油22の組合せを導出することができる。
次に、製油スケジュールシミュレート処理において実行される留分性状算出処理について、図15に示すフローチャートを参照しながら説明する。
この留分性状算出処理(方法)では、まず、ナフサ(31a)、灯油(31b)、軽質軽油(31c)、重質軽油(31d)、重油(32)を、製品0〜4に対応させ、各製品間のカット温度を探索する。
最初に、ナフサ(31a)と灯油(31b)とを分留するカット温度(KPf)を探索するために、nに「1」を設定する(S11)。
次いで、製品0(ナフサ)と製品1(灯油)を分留するカット温度の初期値(仮カット温度)を生成して設定する(S12)。この初期値(仮カット温度)は予め定められた任意な値とすることができる。
続いて、生成されたカット温度(KPn)に対応する留分蒸留特性データRnを求める(S13)。
次に、求められた留分蒸留特性データRnにおいて、特定の留出量(例えば、エンドポイントEP)となるときの温度(蒸留特性P)が、製品0(ナフサ)の目標値(例えば、EPf)か否かの判定を行う(S14)。
特定の留出量(例えば、エンドポイントEP)となるときの温度(蒸留特性P)が、目標値(EPf)でないときには(S14−No)、蒸留特性Pと目標値(EPf)との大小関係を判定する(S15)。
この大小関係の判定において、蒸留特性Pが目標値(EPf)よりも小さい、すなわち、蒸留特性P<目標値(EPf)のときには(S15−Yes)、カット温度(KPn)を、予め設定されたカット温度の上限値と現在のカット温度を加算して「2」で除算した新たなカット温度(KPn)に更新する(S16)。
一方、蒸留特性Pが目標値(EPf)よりも大きい、すなわち、蒸留特性P>目標値(EPf)のときには(S15−No)、カット温度(KPn)を、予め設定されたカット温度の下限値と現在のカット温度を加算して「2」で除算した新たなカット温度(KPn)に更新する(S17)。
続いて、更新されたカット温度(KPn)に対応する留分蒸留特性データRnを求める(S13)。
このような探索処理を、特定の留出量となるときの温度(蒸留特性P)が、製品0(ナフサ)の目標値(EPf)に一致(又は近似)すると判定されるまで(S14−Yes)、繰り返し行う。
特定の留出量となるときの温度(蒸留特性P)が、製品0(ナフサ)の目標値(EPf)に一致(又は近似)すると判定されると(S14−Yes)、その留分蒸留特性データRnに対応するカット温度(KPn)がカット温度(KPf)として記憶部130に記憶される。
続いて、nの値が「4」か否かの判定が行われる(S18)。
nの値が「4」でないときには(S18−No)、nに「1」を加えてnの値を+1更新する(S19)。
続いて、灯油(31b)と軽質軽油(31c)とを分留するカット温度(KPk)を探索すべく、S12〜S17の処理を繰り返し行い、図12に示すように、灯油(31b)の蒸留特性を示す留分蒸留特性データRk及びこれに対応するカット温度(KPk)が求められると、その値をカット温度(KPk)として記憶部130に記憶する。
さらに、nの値が「4」となるまで(S18−Yes)、S12〜S19の処理を繰り返し行うことで、各製品すべてのカット温度(KPf〜KPh)が決定されることになる。
さらに、決定されたカット温度(KPf〜KPh)を用いて、カット温度(KPf〜KPh)での各留分31a〜31d,32の留出量及びこれに含まれる各成分(成分A、成分B)の含有量が算出されることになる(S20)。
この算出は、前述の手法と同様であり、各留分31a〜31d,32の留出量は、例えば、図12に示す例では、ナフサ、灯油、軽質軽油、重質軽油、残渣油それぞれのX軸方向領域幅に対応する値として求められ、各留分31a〜31d,32に含まれる成分(成分A、成分B)の含有量は、例えば、図12に示す例では、ナフサ、灯油、軽質軽油、重質軽油、残渣油それぞれのX軸方向領域幅に対応する値として求めることができる。
以上説明したように、本実施形態の原油留分性状算出装置100及び原油留分性状算出方法によれば、常圧蒸留装置に通油される原油の性状変動を伴う製油スケジュールの作成を支援することができる。
以上、本発明の原油留分性状算出装置及び原油留分性状算出方法の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る原油留分性状算出装置及び原油留分性状算出方法は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、本実施形態では、通油原油22の組合せを手動で設定したが自動で設定することもできる。具体的には、各原油タンク20a〜20dからTOP30に通油される通油原油22に占めるそれぞれの貯蔵原油21の割合を所定%ごとに変化させた組合せパターンを生成することができる。
例えば、図16に示す例は、グループA,Bそれぞれに属する原油タンク20から通油する比率を10%ずつ変化させて生成した組合せパターンである。この組合せパターンは、通油する比率の合計が100%となる値であって、一方を+10%ずつ、他方を−10%ずつ変化させて生成してある。
上述した留分性状算出処理を実行することにより、それぞれの組合せパターン1〜11に係る通油原油22から留出する各留分31a〜31d,32の留出量及びこれに含まれる各成分(成分A、成分B)の含有量を算出することができる。
さらに、組合せパターン1〜11の適否を、図7に示す制約データ134や予め定められた留出量の目標値などに基づいて評価し、組合せパターン1〜11の中から適正とされたパターンを自動的に抽出することもできる。
このような組合せパターンの自動生成及び自動抽出により、スケジュールデータ設定時の作業労力が軽減される。
なお、組合せパターンは、TOP30に通油する比率を10%ずつ変化させるパターンのみならず、1%ずつなどの任意の値とするパターンも選択可能であり、また、原油タンク20同士の組合せも任意である。
さらに、制約データ134及び予め定められた留出量の目標値などの他に、新たな評価項目を追加することもできる。
例えば、評価項目として、タンクを切り替えることなくTOP30に連続して通油可能な日数を加えることもでき、図16に示す例では、組合せパターン1〜11ごとに通油可能な日数が設定されている。
これにより、図7に示す制約データ134や予め定められた留出量の目標など基づいて評価し、適正とされたパターンを通油可能日数の多い順に序列をつけて出力部120から出力させることもできる。
この評価では、通油可能日数の多いほど、通油切り替え時の労力などが軽減されることから製造コストの低減につながるので、これを目安に組合せパターンの適否を判断することもできる。
また、通油可能日数に代えて又はこれに加え、評価項目に製造コストを加えることもできる。
この場合の製造コストは、原油価格(例えば、原油データ132の原油価格)と、通油原油22の量と、各留分31a〜31dの製品価格(例えば、製品データ133の41a〜41dに対応)と、留分性状算出処理の実行により算出される各留分31a〜31dの留出量と、から製造コストを求めることができる(製造コスト=留出量×製品価格−通油原油量×原油価格)。そして、組合せパターン1〜11のうちで適正とされたパターンを、製造コストの低い順に序列をつけて出力部120から出力させることもできる。
また、本実施形態では、常圧蒸留装置(TOP30)に通油される通油原油から留出する各留分31a〜31d,32の留出量及びこれに含まれる各成分(成分A、成分B)の含有量を算出したが、同様な手法を用いることにより、減圧蒸留装置(VAC60)に通油される残渣油32aから留出する各留分81a,81bの留出量及びこれに含まれる各成分(成分A、成分B)の含有量の算出を行うこともできる。
また、本発明の原油留分性状算出装置の別の態様として好ましくは、前記カット温度決定手段は、仮カット温度を生成するとともに、仮カット温度に対応する前記留分蒸留特性データが、前記特定の留出温度で特定の留出量を示す留分蒸留特性データに一致するか否かを判定し、判定の結果、仮カット温度に対応する前記留分蒸留特性データが、前記特定の留出温度で特定の留出量を示す留分蒸留特性データに一致するときには、その仮カット温度を前記カット温度として決定し、仮カット温度に対応する前記留分蒸留特性データが、前記特定の留出温度で特定の留出量を示す留分蒸留特性データに一致しないときには、新たな仮カット温度を生成するとともに、新たな仮カット温度に対応する前記留分蒸留特性データが、前記特定の留出温度で特定の留出量を示す留分蒸留特性データに一致するか否かを判定し、判定の結果、新たな仮カット温度に対応する前記留分蒸留特性データが、前記特定の留出温度で特定の留出量を示す留分蒸留特性データに一致するときには、その新たな仮カット温度を前記カット温度として決定し、新たな仮カット温度に対応する前記留分蒸留特性データが、前記特定の留出温度で特定の留出量を示す留分蒸留特性データに一致しないときには、さらに新たな仮カット温度を生成し、仮カット温度に対応する前記留分蒸留特性データが、前記特定の留出温度で特定の留出量を示す留分蒸留特性データに一致するまで、前記生成と前記判定を繰り返すカット温度探索手段を備える。
また、本発明の原油留分性状算出装置の別の態様として好ましくは、性状の異なる複数の原油それぞれの前記原油蒸留特性データに基づき、これらの原油が混合されたときの原油蒸留特性データを算出する混合原油蒸留特性算出手段を備え、前記原油蒸留特性データ記憶手段は、前記混合原油蒸留特性算出手段により算出された混合原油の原油蒸留特性データを記憶する。
また、本発明の原油留分性状算出装置の別の態様として好ましくは、性状の異なる複数の原油を混合させるときの組合せを生成する組合せパターン生成手段と、前記留分性状算出手段により算出された各留分の性状を所定の条件に基づき評価する留分性状評価手段と、前記留分性状評価手段により所定の評価が得られた前記組合せを抽出する組合せパターン抽出手段と、を備える。
本発明は、常圧蒸留装置や減圧蒸留装置などの蒸留装置に通油される原油の性状変動を伴う製油スケジュールの作成を支援する装置として好適に利用することができる。
1 製油所
10 タンカー
11 原油(搬入原油)
20(20a〜20d) 原油タンク
21 貯蔵原油
30 TOP(常圧蒸留装置)
40 製品タンク
41(41a〜41d) 石油製品(一次製品)
42(42a,42b) 残渣油
50(50a,50b) 中間タンク
51(51a,51b) 中間製品
60 VAC(減圧蒸留装置)
70 RH(重油直接脱硫装置)
80 製品タンク
81(81a〜81e) 石油製品(二次製品)
100 原油留分性状算出装置
110 入力部
120 出力部
130 記憶部(原油蒸留特性データ記憶手段、留分蒸留特性データ記憶手段、混合原油蒸留特性算出手段)
140 制御部(カット温度決定手段、留分性状算出手段、混合原油蒸留特性算出手段、組合せパターン生成手段、留分性状評価手段、組合せパターン抽出手段)

Claims (2)

  1. 原油を複数の留分に分留するときの分留温度と、前記留分及び所定成分の留出量との関係を示す原油蒸留特性データを記憶する原油蒸留特性データ記憶手段と、
    前記分留温度ごとに定まるデータであって、所定の蒸留装置において原油を前記分留温度で分留したときの軽質側留分に含まれる重質側留分の留出比率、又は、重質側留分に含まれる軽質側留分の留出比率に基づいて求められる、軽質側留分及び重質側留分のうちの少なくともいずれか一方の留分の留出温度と留出量との関係を示す留分蒸留特性データを記憶する留分蒸留特性データ記憶手段と、
    所定の留分が特定の留出温度で特定の留出量を示す前記留分蒸留特性データに対応する前記分留温度を、原油を複数の留分に分留するときのカット温度として決定するカット温度決定手段と、
    前記原油蒸留特性データを有する原油を前記カット温度で分留したときの各留分の性状及び留出量を算出する留分性状算出手段と、を備える
    ことを特徴とする原油留分性状算出装置。
  2. 原油を複数の留分に分留するときの分留温度と、前記留分及び所定成分の留出量との関係を示す原油蒸留特性データを記憶する原油蒸留特性データ記憶工程と、
    前記分留温度ごとに定まるデータであって、所定の蒸留装置において原油を前記分留温度で分留したときの軽質側留分に含まれる重質側留分の留出比率、又は、重質側留分に含まれる軽質側留分の留出比率に基づいて求められる、軽質側留分及び重質側留分のうちの少なくともいずれか一方の留分の留出温度と留出量との関係を示す留分蒸留特性データを記憶する留分蒸留特性データ記憶工程と、
    所定の留分が特定の留出温度で特定の留出量を示す前記留分蒸留特性データに対応する前記分留温度を、原油を複数の留分に分留するときのカット温度として決定するカット温度決定工程と、
    前記原油蒸留特性データを有する原油を前記カット温度で分留したときの各留分の性状及び留出量を算出する留分性状算出工程と、を有する
    ことを特徴とする原油留分性状算出方法。
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