JP2013139492A - 防汚塗料、電子機器、及び防汚塗膜形成方法 - Google Patents

防汚塗料、電子機器、及び防汚塗膜形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】平滑性を保ちつつ、長期に亘って防汚性を得ることができる防汚塗料、電子機器、及び防汚塗膜形成方法の提供。
【解決手段】油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有する防汚塗料である。
【選択図】図1B

Description

本発明は、防汚塗料、電子機器、及び防汚塗膜形成方法に関する。
ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリカーボネート−ABS混合樹脂、塩化ビニル系樹脂、トリアセチルセルロース等の酢酸セルロースなどの樹脂から製造される樹脂製基材は、その軽量性、易加工性、耐衝撃性などが特に優れているので、ノートパソコン、携帯電話等の電子機器、液晶デイスプレイ、プラズマデイスプレイ等の表示機器、光デイスク基板、プラスチックレンズなどに用いられている。
前記樹脂製基材は、手で触れられることが多く、指紋や汚れがつきやすいため、防汚性の塗膜を形成することが望まれている。特に、表面硬度が低いため傷つきやすいポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートのような透明な樹脂においては、耐摩耗性を付与するために使用される活性エネルギー線硬化性ハードコート材料(被覆材)の硬化層に指紋、及び皮脂が付着しやすく、かつその汚れが簡単に除去できないため、製品の美観、透明性などを損なうという問題がある。
そこで、物品の表面を低エネルギー性表面にし、指紋及び皮脂をはじき、付着しにくくすることで、このような汚れに対する耐性を高める試みが数多くなされている。その技術を大別すると、次の3つの手法に分けられる。
第1には、パーフルオロアルキル基を導入した防汚剤を用い、物品の表面を撥水及び撥油化する手法(例えば、特許文献1参照)。
第2には、ポリジメチルシロキサン基のような撥水性シリコーン樹脂骨格を導入した共重合体を用い、物品の表面を撥水及び撥油化する手法(例えば、特許文献2参照)。
第3には、物品の表面に微細凹凸をつけ、撥水性及び撥油性を高めるとともに、接触面積も減らし、より汚れをつきにくくする手法(例えば、特許文献3参照)。
しかし、これらの従来の方法では、携帯して持ち歩くノートパソコン、携帯電話のように顔の皮脂に直接接触する用途、あるいはタッチパネルのように繰り返し指の接触する用途では、依然として汚れが付着しやすく、かつ撥水又は撥油のため、付着した汚れをはじき、かえって汚れが目立ってしまうという問題がある。また、防汚処理コーティング自体が半永久的にその防汚能力を維持できれば問題はないが、現状の防汚処理コーティングは表面の防汚成分がなくなると防汚性能が維持できなくなるため、防汚性能を維持できる期間が短いという問題もある。また、物品の表面に微細凹凸をつける場合には、物品表面の平滑性が損なわれ、光沢などの外観が劣るという問題がある。
したがって、平滑性を保ちつつ、長期に亘って防汚性を得ることができる防汚塗料、電子機器、及び防汚塗膜形成方法の提供が求められているのが現状である。
特開平10−104403号公報 特開平10−7986号公報 特開平10−310455号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、平滑性を保ちつつ、長期に亘って防汚性を得ることができる防汚塗料、電子機器、及び防汚塗膜形成方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、後述する付記に記載した通りである。即ち、
開示の防汚塗料は、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有することを特徴とする。
開示の電子機器は、筐体と、前記筐体上に形成された、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有する塗膜と、を有することを特徴とする。
開示の防汚塗膜形成方法は、被塗物に、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有する防汚塗料を塗装する工程を含むことを特徴とする。
開示の防汚塗膜形成方法は、被塗物に、油分を含んだゼオライトを含有し、かつ中空樹脂を含有しない第1の防汚塗料を塗装する工程と、前記第1の防汚塗料が塗装された前記被塗物の面に、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有する第2の防汚塗料を塗装する工程と、を含むことを特徴とする。
開示の防汚塗料によれば、平滑性を保ちつつ、長期に亘って防汚性を得ることができる。
開示の電子機器によれば、平滑性を保ちつつ、長期に亘って防汚性を得ることができる。
開示の防汚塗膜形成方法によれば、平滑性を保ちつつ、長期に亘って防汚性を得ることができる。
図1Aは、本発明の電子機器を作製する一例を説明するための図である。 図1Bは、本発明の電子機器の一例を示す図である。
(防汚塗料)
本発明の防汚塗料は、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有し、更に必要に応じて、結着樹脂などのその他の成分を含有する。
<油分を含んだゼオライト>
前記油分を含んだゼオライトとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記油分を含んだゼオライトにおいて、前記油分は、例えば、前記ゼオライトの空隙に吸着している。
<<ゼオライト>>
前記ゼオライトとは、アルミノシリケートの中で結晶構造中に比較的大きな空隙を持つものであり、沸石とも呼ばれる。
前記ゼオライトは、空隙を有するため油分を多く吸着すると共に、所定の条件で吸着した油分を容易に放出することができる。前記ゼオライトは、表面活性が低く、吸着物質(油分)と化学結合を行なわないため、吸着した物質を容易に放出することができる。
そのため、前記油分を含んだゼオライトを前記防汚塗料に含有させることにより、前記ゼオライトから前記油分が徐々に放出され、前記油分による防汚性を長期に亘って得ることができる。
前記ゼオライトとしては、天然ゼオライトであってもよいし、合成ゼオライトであってもよい。前記ゼオライトは、一般に三次元骨格構造を有するアルミノシリケートであり、一般式としては、XM2/nO・Al・YSiO・ZHOで表示される。この一般式において、Mはイオンを表し、通常は、1価又は2価の金属イオンである。nは(金属)イオンの原子価である。Xは、金属酸化物の係数、Yは、シリカの係数、Zは、結晶水の数を表す。
前記ゼオライトの具体例としては、例えば、A−型ゼオライト、X−型ゼオライト、Y−型ゼオライト、T−型ゼオライト、高シリカゼオライト、ソーダライト、モルデナイト、アナルサイム、クリノプチロライト、チャバサイト、エリオナイトなどが挙げられる。
前記ゼオライトの平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05μm〜1.0μmが好ましく、0.1μm〜0.5μmがより好ましく、0.1μm〜0.3μmが特に好ましい。
本明細書において平均粒径は、例えば、レーザー回折法により測定することができる。
前記ゼオライトは、合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。前記市販品としては、例えば、ゼオライト100(ゼオフィルCP:新東北化学工業社製)などが挙げられる。前記市販品は、例えば、粉砕などにより所望の大きさに加工して用いることができる。
前記防汚塗料における前記ゼオライトの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記防汚塗料の前記結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部〜10質量部が好ましく、0.7質量部〜5.0質量部がより好ましく、1.0質量部〜2.5質量部が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量部未満であると、防汚性が低下することがあり、10質量部を超えると、塗膜の平滑性が劣ることがある。前記含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、塗膜の平滑性と防汚性との両立の点で有利である。
<<油分>>
前記油分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シリコーンオイル、植物油が、化学的に安定であり、かつ温度変化に対する粘度変化が油分の漏出に適している点で、好ましい。
前記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどが挙げられる。
前記植物油としては、例えば、ひまし油、ココナッツオイル、ひまわり油、大豆油、菜種油、アマニ油、ケシ油などが挙げられる。
前記油分は、市販品であってもよい。
前記シリコーンオイルの市販品としては、例えば、HIVAC F−4(メチルフェニルシリコーンオイル、信越シリコーン社製)、KF−56(メチルフェニルシリコーンオイル、信越シリコーン社製)、KF−96(ジメチルシリコーンオイル、信越シリコーン社製)などが挙げられる。
前記植物油の市販品としては、例えば、エコメイトAR−1(日清オイリオ社製)、エコメイトCR−1(日清オイリオ社製)、リンシードオイル(亜麻仁油、ホルベイン工業社製)などが挙げられる。
前記油分の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、凡そ25℃を境として、これより低い温度においては温度上昇に伴って大きく粘度が低下し、25℃を超えた温度では温度上昇に伴って粘度変化は緩やかに低下していることが好ましい。即ち、30℃〜40℃の粘度低下の変化量は10℃〜20℃における粘度低下の変化量に比べて低いものとなっていることが好ましい。なお、25℃前後の温度を室温と想定しており、このような粘度の特性を持たせることで、室温より低い温度では粘度を高くすることで担持体(前記ゼオライト又は前記中空樹脂)から流れ出る油分を抑制し、温度が高い状態では粘度を下げて担持体(前記ゼオライト又は前記中空樹脂)から油分が流れ出やすい状態を作り出している。30℃〜40℃の温度間の粘度は4mPa・s〜14mPa・sの範囲で単調に粘度低下することが好ましい。粘度低下のレートを30℃〜40℃で抑えているのは、最適な粘度状態を保つためである。即ち、4mPa・s〜14mPa・sがよいのは、前記油分による皮膜の厚みを100nm前後に保つためである。
前記油分の粘度としては、具体的には、5℃において30mPa・s〜35mPa・s、10℃において20mPa・s〜30mPa・s、15℃において17mPa・s〜25mPa・s、20℃において15mPa・s〜20mPa・s、25℃において13mPa・s〜15mPa・s、30℃において10mPa・s〜14mPa・s、35℃において6mPa・s〜10mPa・s、40℃において4mPa・s〜8mPa・s、及び45℃において2mPa・s〜6mPa・sであることが好ましい。前記油分が、前記粘度であることにより、電子機器に前記防汚塗料からなる塗膜を形成した場合に、電子機器の駆動による温度上昇により前記油分を前記塗膜表面に漏出させることができ、効率的に防汚性を発現することができる。
前記粘度は、例えば、レオメータ(マーズ2、サーモフィッシャー社製)により測定することができる。
前記ゼオライトに前記油分を含ませる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、減圧下で前記ゼオライトを前記油分に含浸させる方法などが挙げられる。この場合、前記ゼオライトに前記油分を含浸する前に、前記ゼオライトを所望の平均粒径に粉砕してもよいし、前記ゼオライトに前記油分を含浸し、前記油分を含んだゼオライトを得た後に、前記ゼオライトを所望の平均粒径に粉砕してもよい。
前記油分を含んだゼオライトにおける油分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゼオライト100質量部に対して、400質量部〜800質量部が好ましく、500質量部〜750質量部がより好ましく、600質量部〜700質量部が特に好ましい。前記含有量が、400質量部未満であると、十分な油分を塗膜表面に供給できないことがある。前記ゼオライトに前記油分を前記含有量が800質量部を超えて含有させることは、時間がかかるため経済的ではないことがある。前記含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、防汚性能の点で有利である。
前記含有量は、例えば、前記油分を含んだゼオライトを減圧下で加熱して前記油分を蒸発させることにより求めることができる。
前記防汚塗料における前記油分を含んだゼオライトの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記防汚塗料の前記結着樹脂の固形分100質量部に対して、1質量部〜20質量部が好ましく、5質量部〜15質量部がより好ましく、10質量部〜15質量部が特に好ましい。前記含有量が、1質量部未満であると、防汚性が低下することがあり、20質量部を超えると、塗膜の平滑性が劣ることがある。前記含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、塗膜の平滑性と防汚性との両立の点で有利である。
<油分を含んだ中空樹脂>
前記油分を含んだ中空樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記油分を含んだ中空樹脂において、前記油分は、例えば、前記中空樹脂の空隙に吸着している。
前記油分を含んだゼオライトのみを前記防汚塗料に含有させた場合、得られる塗膜の平滑性が低下するが、前記油分を含んだ中空樹脂を併用することにより、長期に亘る防汚性を得つつ、平滑性に優れる塗膜を得ることができる。
−中空樹脂−
前記中空樹脂としては、空隙を有する樹脂であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂製の中空糸を裁断して得られる中空樹脂などが挙げられる。
前記中空糸とは、典型的には、繊維の中心が空洞になったストロー状又はパイプ状の繊維(糸)を意味するが、それだけではなく、繊維全体が蜂の巣状、毛細管状等の多数の連続又は不連続の空隙を有する多孔質構造の繊維(糸)も含むものである。
前記中空糸は、合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。前記市販品としては、例えば、ステラポアー(三菱レイヨン社製)などが挙げられる。
前記中空樹脂の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
前記中空樹脂の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円筒状などが挙げられる。
前記中空樹脂の形状が円筒状の場合、平均外径としては、15μm〜30μmが好ましく、17μm〜25μmがより好ましい。平均内径としては、5μm〜14μmが好ましく、7μm〜13μmがより好ましい。長手方向の平均長さとしては、20μm〜80μmが好ましく、30μm〜70μmが好ましく、40μm〜60μmが特に好ましい。
本明細書において、平均外径は、例えば、電子顕微鏡を用い、任意の中空樹脂10個について、中空樹脂の長手方向端部における外径を測定した際の平均値から求めることができる。
本明細書において、平均内径は、例えば、電子顕微鏡を用い、任意の中空樹脂10個について、中空樹脂の長手方向端部における内径を測定した際の平均値から求めることができる。
本明細書において、長手方向の平均長さは、例えば、電子顕微鏡を用い、任意の中空樹脂10個について、中空樹脂の長手方向の長さを測定した際の平均値から求めることができる。
前記防汚塗料における前記中空樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記防汚塗料の前記結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部〜10質量部が好ましく、3.5質量部〜6.0質量部がより好ましく、5.0質量部〜6.0質量部が特に好ましい。前記含有量が、1.0質量部未満であると、防汚性が低下することがあり、10質量部を超えると、塗膜の平滑性が劣ることがある。前記含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、塗膜の平滑性と防汚性との両立の点で有利である。
−油分−
前記油分としては、前記油分を含んだゼオライトの説明において例示した油分と同様の油分などが挙げられる。好ましい態様も同様である。
前記中空樹脂に前記油分を含ませる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、減圧下で前記中空樹脂を前記油分に含浸させる方法などが挙げられる。
前記油分を含んだ中空樹脂における油分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記中空樹脂100質量部に対して、20質量部〜100質量部が好ましく、40質量部〜70質量部がより好ましく、40質量部〜50質量部が特に好ましい。前記含有量が、20質量部未満であると、十分な油分を塗膜表面に供給できないことがあり、100質量部を超えると、油分を担持できないことがある。前記含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、防汚性の点で有利である。
前記含有量は、例えば、前記油分を含んだ中空樹脂を減圧下で加熱して前記油分を蒸発させることにより、求めることができる。
前記防汚塗料における前記油分を含んだ中空樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記防汚塗料の結着樹脂の固形分100質量部に対して、1質量部〜15質量部が好ましく、2質量部〜10質量部がより好ましく、2質量部〜8質量部が特に好ましい。前記含有量が、1質量部未満であると、防汚性が低下することがあり、15質量部を超えると、塗膜の平滑性が劣ることがある。前記含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、塗膜の平滑性と防汚性との両立の点で有利である。
前記油分を含んだゼオライトと前記油分を含んだ中空樹脂との前記防汚塗料への含有方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記油分を前記ゼオライトに含ませたものと、前記油分を前記中空樹脂に含ませたものとを混合することにより前記防汚塗料に含有させてもよいし、空隙に前記ゼオライトを含んだゼオライト含有中空樹脂を作製し、該ゼオライト含有中空樹脂に前記油分を含ませたものを作製し、それを前記防汚塗料に含有させてもよい。
前記防汚塗料における前記ゼオライトと前記中空樹脂との質量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゼオライト100質量部に対して、前記中空樹脂が、100質量部〜800質量部が好ましく、100質量部〜600質量部がより好ましく、200質量部〜400質量部が特に好ましい。前記中空樹脂が、100質量部未満であると、油分の供給不足により防汚性が低下することがあり、800質量部を超えると、塗膜の平滑性が劣ることがある。前記質量比が、前記特に好ましい範囲内であると、塗膜の平滑性及び防汚性の両立の点で有利である。
<結着樹脂>
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、シロキサン樹脂、ポリメタクリル酸メチル、塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、有機溶剤による希釈が可能で、塗料としての粘度調整を行なうことができる。
これらの中でも、防汚性に優れる点でシロキサン樹脂が好ましい。
前記防汚塗料における前記結着樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機溶剤などが挙げられる。
−有機溶剤−
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸エチル、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
前記防汚塗料における前記有機溶剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
(電子機器)
本発明の電子機器は、筐体と、塗膜とを有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
<筐体>
前記筐体としては、電子機器の筐体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記筐体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂などが挙げられる。前記樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS、ポリカーボネート−ABS混合樹脂、塩化ビニル系樹脂、トリアセチルセルロース等の酢酸セルロースなどが挙げられる。
前記筐体の形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<塗膜>
前記塗膜としては、前記筐体上に形成された、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有する塗膜であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記油分を含んだゼオライトとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記防汚塗料の説明において例示した前記油分を含んだゼオライトと同様のものが挙げられる。好ましい態様も同様である。
前記油分を含んだ中空樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記防汚塗料の説明において例示した前記油分を含んだ中空樹脂と同様のものが挙げられる。好ましい態様も同様である。
前記塗膜を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する本発明の防汚塗膜形成方法により前記塗膜を形成する方法などが挙げられる。
また、前記塗膜を形成する方法としては、例えば、前記防汚塗料を前記筐体上に塗装する方法などが挙げられる。
前記塗装の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロールコート、スピンコート、ダイコート、カレンダーコート、スプレーコートなどが挙げられる。
前記塗装の後には、加熱乾燥を行ってもよい。加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30℃〜60℃が好ましく、35℃〜45℃がより好ましい。
前記加熱乾燥の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1分間〜40分間が好ましく、3分間〜30分間がより好ましく、5分間〜25分間が特に好ましい。
前記塗膜の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm〜50μmが好ましく、20μm〜30μmがより好ましい。前記平均厚みが、20μm未満であると、塗膜強度が低いことがあり、50μmを超えると、乾燥に時間が掛かることがある。前記平均厚みが前記より好ましい範囲内であると、塗膜強度が高く、乾燥時間が短い点で有利である。
本明細書において、平均厚みは、任意の10点について塗膜の断面を電子顕微鏡により観察して厚みを測定し、その平均値から求めることができる。
前記電子機器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ノートパソコン、携帯電話などが挙げられる。
前記電子機器を作製する一例を図を用いて説明する。図1Aは、前記電子機器を作製する一例を説明するための図である。図1Bは、前記電子機器の一例を示す図である。
まず、未防汚処理のノートパソコン4を用意する。ノートパソコン4の筐体の材質としては、例えば、ポリカーボネートが挙げられる。前記筐体には、アクリル樹脂塗装などがされていてもよい。前記防汚塗料を塗装するノートパソコンの塗装個所は、携帯時に手が触れる天板表面(蓋となる面)、底面などが挙げられる。前記防汚塗料をスプレーガン2のカップ1に適当量入れ、ノートパソコン4を水平にした状態で天板表面の上方からスプレー塗装する。前記防汚塗料は、エアーホース3内の加圧されたエアーにより霧状となってノートパソコン4に降り注ぎ、塗装される。天板表面の全体を塗装した後は、しばらく放置し、乾燥する。以上により防汚塗装済みのノートパソコン5が完成する。
(防汚塗膜形成方法)
本発明の防汚塗膜形成方法(第1の防汚塗膜形成方法)は、被塗物に、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有する防汚塗料を塗装する工程を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
また、本発明の防汚塗膜形成方法(第2の防汚塗膜形成方法)は、被塗物に、油分を含んだゼオライトを含有し、かつ中空樹脂を含有しない第1の防汚塗料を塗装する工程と、前記第1の防汚塗料が塗装された前記被塗物の面に、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有する第2の防汚塗料を塗装する工程とを含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
また、本発明の防汚塗膜形成方法(第3の防汚塗膜形成方法)は、被塗物の表面に、油分を含みかつゼオライトが間隙に内包された中空糸から形成される布を置く工程(布を置く工程)と、続いて、前記布が置かれた前記被塗物の表面に、塗料を塗装する工程(塗装工程)とを含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
<第1の防汚塗膜形成方法>
前記第1の防汚塗膜形成方法は、被塗物に、防汚塗料を塗装する工程を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
<<被塗物>>
前記被塗物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂製基材などが挙げられる。
前記被塗物の材質としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS、ポリカーボネート−ABS混合樹脂、塩化ビニル系樹脂、トリアセチルセルロース等の酢酸セルロースなどが挙げられる。
前記被塗物の形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記被塗物には、必要に応じて、意匠性を付与するための塗膜が形成されていてもよい。
前記被塗物としては、例えば、電子機器の筐体などが挙げられる。
<<防汚塗料>>
前記防汚塗料は、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記防汚塗料などが挙げられる。
<<塗装>>
前記塗装方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロールコート、スピンコート、ダイコート、カレンダーコート、スプレーコートなどが挙げられる。
前記塗装の後には、加熱乾燥を行ってもよい。加熱乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30℃〜60℃が好ましく、35℃〜45℃がより好ましい。
前記加熱乾燥の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1分間〜40分間が好ましく、3分間〜30分間がより好ましく、5分間〜25分間が特に好ましい。
前記塗装により形成される塗膜の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm〜50μmが好ましく、20μm〜30μmがより好ましい。前記平均厚みが、20μm未満であると、塗膜強度が低いことがあり、50μmを超えると、乾燥に時間が掛かることがある。前記平均厚みが前記より好ましい範囲内であると、塗膜強度が高く、乾燥時間が短い点で有利である。
前記平均厚みは、任意の10点について塗膜の断面を電子顕微鏡により観察して厚みを測定し、その平均値から求めることができる。
<第2の防汚塗膜形成方法>
前記第2の防汚塗膜形成方法は、被塗物に、第1の防汚塗料を塗装する工程と、前記第1の防汚塗料が塗装された前記被塗物の面に、第2の防汚塗料を塗装する工程とを含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
<<第1の防汚塗料を塗装する工程>>
前記第1の防汚塗料を塗装する工程としては、被塗物に、第1の防汚塗料を塗装する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−被塗物−
前記被塗物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の防汚塗膜形成方法において例示した前記被塗物と同様のものが挙げられる。
−第1の防汚塗料−
前記第1の防汚塗料としては、油分を含んだゼオライトを含有し、かつ中空樹脂を含有しない防汚塗料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記油分を含んだゼオライトとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記防汚塗料の説明において例示した前記油分を含んだゼオライトと同様のものが挙げられる。好ましい態様も同様である。
前記中空樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記防汚塗料の説明において例示した前記中空樹脂と同様のものが挙げられる。好ましい態様も同様である。
−塗装−
前記塗装方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の防汚塗膜形成方法において例示した塗装方法と同様の方法などが挙げられる。
<<第2の防汚塗料を塗装する工程>>
前記第2の防汚塗料を塗装する工程としては、前記第1の防汚塗料が塗装された前記被塗物の面に、第2の防汚塗料を塗装する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第2の防汚塗料は、前記第1の防汚塗料が塗装された前記被塗物の面に塗装される。言い換えれば、前記第2の防汚塗料は、前記第1の防汚塗料の塗装により形成された塗膜の上に塗装される。この際、前記第1の防汚塗料が塗装され形成される塗膜は、加熱乾燥された乾燥塗膜であってもよいし、有機溶剤が残留した塗膜(ウェット塗膜)であってもよい。
−第2の防汚塗料−
前記第2の防汚塗料としては、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有する防汚塗料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記油分を含んだゼオライトとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記防汚塗料の説明において例示した前記油分を含んだゼオライトと同様のものが挙げられる。好ましい態様も同様である。
前記油分を含んだ中空樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記防汚塗料の説明において例示した前記油分を含んだ中空樹脂と同様のものが挙げられる。好ましい態様も同様である。
−塗装−
前記塗装方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の防汚塗膜形成方法において例示した塗装方法と同様の方法などが挙げられる。
<第3の防汚塗膜形成方法>
前記第3の防汚塗膜形成方法は、被塗物の表面に布を置く工程(布を置く工程)と、続いて、前記布が置かれた前記被塗物の表面に、塗料を塗装する工程(塗装工程)とを含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
<<布を置く工程>>
前記布を置く工程としては、被塗物の表面に、油分を含みかつゼオライトが間隙に内包された中空糸から形成される布を置く工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−被塗物−
前記被塗物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の防汚塗膜形成方法において例示した前記被塗物と同様のものが挙げられる。
−布−
前記布としては、油分を含みかつゼオライトが間隙に内包された中空糸から形成される布であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−−中空糸−−
前記中空糸とは、典型的には、繊維の中心が空洞になったストロー状又はパイプ状の繊維(糸)を意味するが、それだけではなく、繊維全体が蜂の巣状、毛細管状等の多数の連続又は不連続の空隙を有する多孔質構造の繊維(糸)も含むものである。
前記中空糸の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
前記中空糸の平均外径としては、15μm〜30μmが好ましく、17μm〜25μmがより好ましい。平均内径としては、5μm〜14μmが好ましく、7μm〜13μmがより好ましい。
前記中空糸は、合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。前記市販品としては、例えば、ステラポアー(三菱レーヨン社製)などが挙げられる。
前記油分を含みかつゼオライトが間隙に内包された中空糸を作製する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ゼオライトと前記油分とを混合し混合物を得た後に、減圧下で前記混合物に前記中空糸を含浸させる方法などが挙げられる。
また、前記中空糸から布を形成した後に、減圧下で前記混合物に前記布を含浸させることによっても、前記中空糸に油分を含ませかつ前記中空糸の間隙にゼオライトを内包させることができる。
前記中空糸から前記布を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記中空糸を織って前記布を作製する方法、前記中空糸を織らずに絡み合わせて前記布(いわゆる不織布)を形成する方法などが挙げられる。
前記布を前記被塗物に置く方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記被塗物表面に前記布を貼り付けてもよいし、単に載せるだけであってもよい。
<<塗装工程>>
前記布が置かれた前記被塗物の表面に、塗料を塗装する工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−塗料−
前記塗料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シロキサン樹脂を含有する塗料が好ましい。
前記塗装方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロールコート、スピンコート、ダイコート、カレンダーコート、スプレーコートなどが挙げられる。
前記塗装の後には、加熱乾燥を行ってもよい。加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30℃〜60℃が好ましく、35℃〜45℃がより好ましい。
前記加熱乾燥の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1分間〜40分間が好ましく、3分間〜30分間がより好ましく、5分間〜25分間が特に好ましい。
前記塗装をすることにより、前記布は、前記塗料からなる塗膜中に固定される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制限されるものではない。なお、以下の実施例において、特に明記のない限り、「部」は、「質量部」を意味する。
まず、防汚性、及び平滑性の評価方法を以下に示す。
<防汚性(初期防汚性)>
(防汚)塗膜が形成された筐体を40℃の試料載置台上に1時間載置し、その後に前記塗膜の上から油性マーカー(マッキー、ゼブラ社製)を用いて幅2mm、長さ30mmの直線を描いた。直線を描画した60秒間後、市販のティッシュペーパー(エリエール、大王製紙社製)を筐体に4.9Nの圧力で当接し、長さ方向に3往復させた後の油性マーカーの残渣を調べ、下記の評価点を付けた。
評価点4以上を合格とした。
評価点5:油性マーカーの残渣なし
評価点4:僅か油性マーカーの残渣が見られる
評価点3:油性マーカーの線の長さの合計が15mm以下
評価点2:油性マーカーの線の長さの合計が15mmを超え、25mm未満
評価点1:油性マーカーの線の長さの合計が25mm以上
<防汚性(長期防汚性)>
下記表1に示す温湿度サイクル試験10サイクルを行ったのち、初期防汚性と同様の評価判定により長期防汚性を評価した。
すなわち、以下の温湿度サイクルを10サイクル行った。
上記表1に記載の所定の湿度下で、25℃から65℃への昇温を2.5時間かけて行った。続いて、65℃を3時間保持した後、65℃から25℃への降温を2.5時間かけて行った。続いて、25℃から65℃への昇温を2.5時間かけて行った。続いて、65℃を3時間保持した後、65℃から25℃への降温を2.5時間かけて行った。続いて、25℃を2時間保持した後、25℃から−10℃への降温、−10℃での保持、及び−10℃から25℃への昇温を合計3時間かけて行った。続いて、25℃を3時間保持した。以上を1サイクルとした。
<平滑性>
形状計測レーザーマイクロスコープ(キーエンス社製、VK−X100)を用いて防汚塗装表面の中心線平均粗さ(表面粗さ、Ra)を測定した。
(製造例1−1)
<油分を含んだゼオライトNo.1の製造>
平均粒径が0.3mm程度のゼオライト(ゼオフィルCP、新東北化学工業社製)100質量部を真空容器に入れて0.01Torrまで減圧した後、シリコーンオイル(HIVAC F−4、信越シリコーン社製、メチルフェニルシリコーンオイル)700質量部を前記真空容器に注入し、真空含浸させた。真空含浸した後に、前記真空容器の内圧を大気圧に戻し、油分が含浸されたゼオライトを取り出し、ハンマーミルで粉砕した。粉砕したゼオライトを更に細かくするため気流式の粉砕機にかけ、平均粒径が0.2μm程度の油分を含んだゼオライトNo.1を得た。
(製造例1−2)
<油分を含んだゼオライトNo.2の製造>
平均粒径が0.3mm程度のゼオライト(ゼオフィルCP、新東北化学工業社製)100質量部を真空容器に入れて0.01Torrまで減圧した後、シリコーンオイル(HIVAC F−4、信越シリコーン社製、メチルフェニルシリコーンオイル)350質量部及びシリコーンオイル(KF−56、信越シリコーン社製、メチルフェニルシリコーンオイル)350質量部を前記真空容器に注入し、真空含浸させた。真空含浸した後に、前記真空容器の内圧を大気圧に戻し、油分が含浸されたゼオライトを取り出し、ハンマーミルで粉砕した。粉砕したゼオライトを更に細かくするため気流式の粉砕機にかけ、平均粒径が0.2μm程度の油分を含んだゼオライトNo.2を得た。
(製造例1−3)
<油分を含んだゼオライトNo.3の製造>
平均粒径が0.3mm程度のゼオライト(ゼオフィルCP、新東北化学工業社製)100質量部を真空容器に入れて0.01Torrまで減圧した後、植物油(エコメイトAR−1、日清オイリオ社製)350質量部及び植物油(エコメイトCR−1、日清オイリオ社製)350質量部を前記真空容器に注入し、真空含浸させた。真空含浸した後に、前記真空容器の内圧を大気圧に戻し、油分が含浸されたゼオライトを取り出し、ハンマーミルで粉砕した。粉砕したゼオライトを更に細かくするため気流式の粉砕機にかけ、平均粒径が0.2μm程度の油分を含んだゼオライトNo.3を得た。
(製造例1−4)
<油分を含んだゼオライトNo.4の製造>
平均粒径が0.3mm程度のゼオライト(ゼオフィルCP、新東北化学工業社製)100質量部を真空容器に入れて0.01Torrまで減圧した後、植物油(エコメイトAR−1、日清オイリオ社製)350質量部及びシリコーンオイル(KF−56、信越シリコーン社製、メチルフェニルシリコーンオイル)350質量部を前記真空容器に注入し、真空含浸させた。真空含浸した後に、前記真空容器の内圧を大気圧に戻し、油分が含浸されたゼオライトを取り出し、ハンマーミルで粉砕した。粉砕したゼオライトを更に細かくするため気流式の粉砕機にかけ、平均粒径が0.2μm程度の油分を含んだゼオライトNo.4を得た。
(製造例1−5)
<油分を含んだゼオライトNo.5の製造>
平均粒径が0.3mm程度のゼオライト(ゼオフィルCP、新東北化学工業社製)100質量部を真空容器に入れて0.01Torrまで減圧した後、植物油(リンシードオイル、ホルベイン工業社製、亜麻仁油)350質量部及びシリコーンオイル(HIVAC F−4、信越シリコーン社製、メチルフェニルシリコーンオイル)350質量部を前記真空容器に注入し、真空含浸させた。真空含浸した後に、前記真空容器の内圧を大気圧に戻し、油分が含浸されたゼオライトを取り出し、ハンマーミルで粉砕した。粉砕したゼオライトを更に細かくするため気流式の粉砕機にかけ、平均粒径が0.2μm程度の油分を含んだゼオライトNo.5を得た。
(製造例1−6)
<油分を含んだゼオライトNo.6の製造>
平均粒径が0.3mm程度のゼオライト(ゼオフィルCP、新東北化学工業社製)100質量部を真空容器に入れて0.01Torrまで減圧した後、シリコーンオイル(HIVAC F−4、信越シリコーン社製、メチルフェニルシリコーンオイル)500質量部を前記真空容器に注入し、真空含浸させた。真空含浸した後に、前記真空容器の内圧を大気圧に戻し、油分が含浸されたゼオライトを取り出し、ハンマーミルで粉砕した。粉砕したゼオライトを更に細かくするため気流式の粉砕機にかけ、平均粒径が0.2μm程度の油分を含んだゼオライトNo.6を得た。
製造例1−1〜1−6で製造した油分を含んだゼオライトについて、表2にまとめた。なお、表2における油分の含有量は、ゼオライト100質量部に対する油分の含有量(質量部)である。
(製造例2−1)
<油分を含んだ中空樹脂No.1の製造>
中空糸(ステラポアー、三菱レイヨン社製、平均外径20μm、平均内径10μm)を長手方向の平均長さが0.05mmになるように裁断して作製した中空樹脂100質量部を真空容器に入れて0.01Torrまで減圧した後、シリコーンオイル(HIVAC F−4、信越シリコーン社製、メチルフェニルシリコーンオイル)50質量部を前記真空容器に注入し、真空含浸させた。真空含浸した後に、前記真空容器の内圧を大気圧に戻し、油分を含んだ中空樹脂No.1を得た。
(製造例2−2)
<油分を含んだ中空樹脂No.2の製造>
中空糸(ステラポアー、三菱レイヨン社製、平均外径20μm、平均内径10μm)を長手方向の平均長さが0.05mmになるように裁断して作製した中空樹脂100質量部を真空容器に入れて0.01Torrまで減圧した後、シリコーンオイル(HIVAC F−4、信越シリコーン社製、メチルフェニルシリコーンオイル)25質量部及びシリコーンオイル(KF−56、信越シリコーン社製、メチルフェニルシリコーンオイル)25質量部を前記真空容器に注入し、真空含浸させた。真空含浸した後に、前記真空容器の内圧を大気圧に戻し、油分を含んだ中空樹脂No.2を得た。
(製造例2−3)
<油分を含んだ中空樹脂No.3の製造>
中空糸(ステラポアー、三菱レイヨン社製、平均外径20μm、平均内径10μm)を長手方向の平均長さが0.05mmになるように裁断して作製した中空樹脂100質量部を真空容器に入れて0.01Torrまで減圧した後、植物油(エコメイトAR−1、日清オイリオ社製)25質量部及び植物油(エコメイトCR−1、日清オイリオ社製)25質量部を前記真空容器に注入し、真空含浸させた。真空含浸した後に、前記真空容器の内圧を大気圧に戻し、油分を含んだ中空樹脂No.3を得た。
(製造例2−4)
<油分を含んだ中空樹脂No.4の製造>
中空糸(ステラポアー、三菱レイヨン社製、平均外径20μm、平均内径10μm)を長手方向の平均長さが0.05mmになるように裁断して作製した中空樹脂100質量部を真空容器に入れて0.01Torrまで減圧した後、植物油(エコメイトAR−1、日清オイリオ社製)25質量部及びシリコーンオイル(KF−56、信越シリコーン社製、メチルフェニルシリコーンオイル)25質量部を前記真空容器に注入し、真空含浸させた。真空含浸した後に、前記真空容器の内圧を大気圧に戻し、油分を含んだ中空樹脂No.4を得た。
(製造例2−5)
<油分を含んだ中空樹脂No.5の製造>
中空糸(ステラポアー、三菱レイヨン社製、平均外径20μm、平均内径10μm)を長手方向の平均長さが0.05mmになるように裁断して作製した中空樹脂100質量部を真空容器に入れて0.01Torrまで減圧した後、植物油(リンシードオイル、ホルベイン工業社製、亜麻仁油)25質量部及びシリコーンオイル(HIVAC F−4、信越シリコーン社製、メチルフェニルシリコーンオイル)25質量部を前記真空容器に注入し、真空含浸させた。真空含浸した後に、前記真空容器の内圧を大気圧に戻し、油分を含んだ中空樹脂No.5を得た。
製造例2−1〜2−5で製造した油分を含んだ中空樹脂について、表3にまとめた。なお、表3における油分の含有量は、中空樹脂100質量部に対する油分の含有量(質量部)である。
製造例1−1〜1−6及び製造例2−1〜2−5で用いた油分の粘度を、レオメータ(マーズ2、サーモフィッシャー社製、コーンプレート型センサ:半径12mm、角度2°、回転数1.0rpm)を用い、測定温度を変えた条件で測定した。結果を表4に示す。
(製造例3)
<油分を含んだカーボンブラックの製造>
カーボンブラック(シースト、東海カーボン社製)10質量部を真空容器に入れて0.01Torrまで減圧した後、シリコーンオイル(HIVAC F−4、信越シリコーン社製、メチルフェニルシリコーンオイル)100質量部を前記真空容器に注入し、真空含浸させた。真空含浸した後に、前記真空容器の内圧を大気圧に戻し、油分を含んだカーボンブラックを得た。
油分を含んだカーボンブラックの油分の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して、50質量部であった。
(実施例1)
<防汚塗料1の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン社製、固形分20質量%)を500質量部、油分を含んだゼオライトNo.1を12質量部、及び油分を含んだ中空樹脂No.1を8質量部を混合し、防汚塗料1を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
アクリル塗料による塗装を行ったノートパソコンの筐体に、防汚塗料1を平均厚み(乾燥後の平均厚み)が20μmとなるように塗装し、塗装後乾燥まで10分間隔を空けてゼオライトと中空樹脂とが塗装下面に沈下するまで放置した後、40℃で10分間熱乾燥し、防汚塗膜を形成した電子機器(ノートパソコン)を得た。
ノートパソコンを起動し、通常のモードで2時間操作した後、防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
(実施例2)
<防汚塗料2の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン社製、固形分20質量%)を500質量部、油分を含んだゼオライトNo.2を12質量部、及び油分を含んだ中空樹脂No.2を8質量部を混合し、防汚塗料2を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
実施例1において、防汚塗料1を防汚塗料2に代えた以外は、実施例1と同様にして、防汚塗膜の形成及び電子機器の製造を行い、防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
(実施例3)
<防汚塗料3の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン社製、固形分20質量%)を500質量部、油分を含んだゼオライトNo.3を12質量部、及び油分を含んだ中空樹脂No.3を8質量部を混合し、防汚塗料3を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
実施例1において、防汚塗料1を防汚塗料3に代えた以外は、実施例1と同様にして、防汚塗膜の形成及び電子機器の製造を行い、防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
(実施例4)
<防汚塗料4の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン社製、固形分20質量%)を500質量部、油分を含んだゼオライトNo.4を12質量部、及び油分を含んだ中空樹脂No.4を8質量部を混合し、防汚塗料4を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
実施例1において、防汚塗料1を防汚塗料4に代えた以外は、実施例1と同様にして、防汚塗膜の形成及び電子機器の製造を行い、防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
(実施例5)
<防汚塗料5の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン社製、固形分20質量%)を500質量部、油分を含んだゼオライトNo.5を12質量部、及び油分を含んだ中空樹脂No.5を8質量部を混合し、防汚塗料5を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
実施例1において、防汚塗料1を防汚塗料5に代えた以外は、実施例1と同様にして、防汚塗膜の形成及び電子機器の製造を行い、防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
(実施例6)
<防汚塗料6の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン社製、固形分20質量%)を500質量部、油分を含んだゼオライトNo.6を12質量部、及び油分を含んだ中空樹脂No.1を8質量部を混合し、防汚塗料6を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
実施例1において、防汚塗料1を防汚塗料6に代えた以外は、実施例1と同様にして、防汚塗膜の形成及び電子機器の製造を行い、防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
(実施例7)
<防汚塗料7の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン社製、固形分20質量%)を500質量部、油分を含んだゼオライトNo.1を8質量部、及び油分を含んだ中空樹脂No.1を2質量部を混合し、防汚塗料7を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
実施例1において、防汚塗料1を防汚塗料7に代えた以外は、実施例1と同様にして、防汚塗膜の形成及び電子機器の製造を行い、防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
(実施例8)
<防汚塗料8の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン社製、固形分20質量%)を500質量部、油分を含んだゼオライトNo.1を7質量部、及び油分を含んだ中空樹脂No.1を10質量部を混合し、防汚塗料8を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
実施例1において、防汚塗料1を防汚塗料8に代えた以外は、実施例1と同様にして、防汚塗膜の形成及び電子機器の製造を行い、防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
(実施例9)
<防汚塗料9の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン社製、固形分20質量%)を500質量部、油分を含んだゼオライトNo.1を12質量部、油分を含んだ中空樹脂No.1を8質量部、及びカーボンブラック(HCF#2650、三菱化学社製)を5質量部を混合し、防汚塗料9を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
実施例1において、防汚塗料1を防汚塗料9に代えた以外は、実施例1と同様にして、防汚塗膜の形成及び電子機器の製造を行い、防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
(比較例1)
実施例1において、防汚塗料1を塗装しない以外は、実施例1と同様にして、電子機器の製造を行い、防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
(比較例2)
<防汚塗料10の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン社製、固形分20質量%)100質量部、及びシリコーンオイル(HIVAC F−4、信越シリコーン社製、メチルフェニルシリコーンオイル)10質量部を混合し、防汚塗料10を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
実施例1において、防汚塗料1を防汚塗料10に代えた以外は、実施例1と同様にして、防汚塗膜の形成及び電子機器の製造を行い、防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
(比較例3)
<防汚塗料11の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン社製、固形分20質量%)を500質量部、及び油分を含んだゼオライトNo.1を25質量部を混合し、防汚塗料11を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
実施例1において、防汚塗料1を防汚塗料11に代えた以外は、実施例1と同様にして、防汚塗膜の形成及び電子機器の製造を行い、防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
(比較例4)
<防汚塗料12の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン社製、固形分20質量%)を500質量部、及び油分を含んだ中空樹脂No.1を8質量部を混合し、防汚塗料12を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
実施例1において、防汚塗料1を防汚塗料12に代えた以外は、実施例1と同様にして、防汚塗膜の形成及び電子機器の製造を行い、防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
(比較例5)
<防汚塗料13の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン社製、固形分20質量%)を500質量部、油分を含んだゼオライトNo.1を12質量部、及び製造例3で製造した油分を含んだカーボンブラックを5質量部を混合し、防汚塗料13を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
実施例1において、防汚塗料1を防汚塗料13に代えた以外は、実施例1と同様にして、防汚塗膜の形成及び電子機器の製造を行い、防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
(比較例6)
<防汚塗料14の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン社製、固形分20質量%)を500質量部、油分を含んだ中空樹脂No.1を5質量部、及び製造例3で製造した油分を含んだカーボンブラックを5質量部を混合し、防汚塗料14を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
実施例1において、防汚塗料1を防汚塗料14に代えた以外は、実施例1と同様にして、防汚塗膜の形成及び電子機器の製造を行い、防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
(参考例1)
実施例1で得られた電子機器(ノートパソコン)を起動せずに防汚性評価、及び平滑性評価を行った。
実施例1〜9、比較例1〜6、及び参考例1の評価結果を表5に示す。
表5中の、油分を含んだゼオライト、ゼオライト、油分を含んだ中空樹脂、及び中空樹脂の含有量は、防汚塗料中の結着樹脂100質量部に対する含有量を示す。
(実施例10)
<防汚塗料15の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン社製、固形分20質量%)を100質量部、及び油分を含んだゼオライトNo.1を10質量部を混合し、防汚塗料15を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
アクリル塗料による塗装を行ったノートパソコンの筐体に、防汚塗料15を塗装平均厚み(乾燥後の平均厚み)が10μmとなるように塗装し、10分間放置してゼオライトが塗装下面に沈下するまで放置した。更に、防汚塗料1を塗装平均厚み(乾燥後の平均厚み)が10μmとなるように塗装し、10分間放置した後に、40℃で10分間熱乾燥し、平均厚みが20μmの防汚塗膜を形成した電子機器(ノートパソコン)を得た。
ノートパソコンを通常のモードで2時間起動したのち防汚性評価を行った。結果は、初期が、5であり、長期試験後が、4であった。また、平滑性は、表面粗さRaが0.01μmであった。
(参考例2)
<塗料16の製造>
シロキサン樹脂(KR−251、信越シリコーン製、固形分20質量%)500質量部、カーボンブラック(HCF#2650、三菱化学社製)を5質量部を混合し、塗料16を得た。
<油分を含んだゼオライト含有中空糸製布の製造>
コンピュータ横編機を用いて中空糸(ステラポアー、三菱レイヨン社製)を編み、布(30ゲージ)を作製した。得られた布100質量部を真空容器に入れて0.01Torrまで減圧した後、ゼオライト(ゼオフィルCP、新東北化学工業社製)100質量部、及びシリコーンオイル(HIVAC F−4、信越シリコーン社製、メチルフェニルシリコーンオイル)700質量部を前記真空容器に入れ、真空含浸させることにより、前記中空糸に前記油分を含ませ、かつ前記中空糸の間隙に前記ゼオライトを内包させた。続いて、前記真空容器の内圧を大気圧に戻し、油分を含んだゼオライト含有中空糸製布を得た。
<防汚塗膜の形成及び電子機器の製造>
アクリル塗料による塗装を行ったノートパソコンの筐体に、上記で製造した油分を含んだゼオライト含有中空糸製布100質量部(200mm×200mm)を置いた。続いて、前記ゼオライト含有中空糸製布が置かれた前記筐体に、塗料16を塗装平均厚み(乾燥後の平均厚み)が20μmとなるように塗装し、塗装後乾燥まで10分間隔を空けてゼオライトと中空糸とが塗装下面に沈下するまで放置した後、40℃で10分間熱乾燥し、防汚塗膜を形成した電子機器(ノートパソコン)を得た。
ノートパソコンを通常のモードで2時間起動したのち防汚性評価を行った。結果は、初期が4であり、長期試験後が5であった。また、平滑性は、表面粗さRaが0.01μmであった。
以上の実施例1〜10及び参考例1を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有することを特徴とする防汚塗料。
(付記2)前記油分が、シリコーンオイル及び植物油の少なくともいずれかである付記1に記載の防汚塗料。
(付記3)前記油分が、5℃において30mPa・s〜35mPa・s、10℃において20mPa・s〜30mPa・s、15℃において17mPa・s〜25mPa・s、20℃において15mPa・s〜20mPa・s、25℃において13mPa・s〜15mPa・s、30℃において10mPa・s〜14mPa・s、35℃において6mPa・s〜10mPa・s、40℃において4mPa・s〜8mPa・s、及び45℃において2mPa・s〜6mPa・sの粘度である付記1から2のいずれかに記載の防汚塗料。
(付記4)更に結着樹脂を含有し、
前記油分を含んだゼオライトの含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して、1質量部〜20質量部であり、
前記油分を含んだ中空樹脂の含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して、1質量部〜15質量部である付記1から3のいずれかに記載の防汚塗料。
(付記5)前記ゼオライト100質量部に対して、前記中空樹脂が、100質量部〜800質量部である付記1から4のいずれかに記載の防汚塗料。
(付記6)更に結着樹脂を含有する付記1から3のいずれかに記載の防汚塗料。
(付記7)前記結着樹脂が、シロキサン樹脂である付記4及び6のいずれかに記載の防汚塗料。
(付記8)筐体と、
前記筐体上に形成された、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有する塗膜と、を有することを特徴とする電子機器。
(付記9)
前記油分が、シリコーンオイル及び植物油の少なくともいずれかである付記8に記載の電子機器。
(付記10)前記塗膜が、更に結着樹脂を含有する付記8から9のいずれかに記載の電子機器。
(付記11)前記結着樹脂が、シロキサン樹脂である付記10に記載の電子機器。
(付記12)被塗物に、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有する防汚塗料を塗装する工程を含むことを特徴とする防汚塗膜形成方法。
(付記13)前記防汚塗料が、更に結着樹脂を含有し、
前記防汚塗料における前記油分を含んだゼオライトの含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して、1質量部〜20質量部であり、
前記防汚塗料における前記油分を含んだ中空樹脂の含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して、1質量部〜15質量部である付記12に記載の防汚塗膜形成方法。
(付記14)前記防汚塗料における前記中空樹脂の含有量が、前記ゼオライト100質量部に対して、100質量部〜800質量部である付記12から13のいずれかに記載の防汚塗膜形成方法。
(付記15)前記防汚塗料が、更に結着樹脂を含有する付記12に記載の防汚塗膜形成方法。
(付記16)前記結着樹脂が、シロキサン樹脂である付記13及び15のいずれかに記載の防汚塗膜形成方法。
(付記17)被塗物に、油分を含んだゼオライトを含有し、かつ中空樹脂を含有しない第1の防汚塗料を塗装する工程と、
前記第1の防汚塗料が塗装された前記被塗物の面に、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有する第2の防汚塗料を塗装する工程と、を含むことを特徴とする防汚塗膜形成方法。
(付記18)前記第1の防汚塗料及び前記第2の防汚塗料が、更に結着樹脂を含有し、該結着樹脂がシロキサン樹脂である付記17に記載の防汚塗膜形成方法。
(付記19)被塗物の表面に、油分を含みかつゼオライトが間隙に内包された中空糸から形成される布を置く工程と、
続いて、前記布が置かれた前記被塗物の表面に、塗料を塗装する工程と、を含むことを特徴とする防汚塗膜形成方法。
(付記20)前記油分が、シリコーンオイル及び植物油の少なくともいずれかである付記12から19のいずれかに記載の防汚塗膜形成方法。
1 カップ
2 スプレーガン
3 エアーホース
4 ノートパソコン(未防汚処理)
5 ノートパソコン(防汚塗装済)

Claims (10)

  1. 油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有することを特徴とする防汚塗料。
  2. 前記油分が、シリコーンオイル及び植物油の少なくともいずれかである請求項1に記載の防汚塗料。
  3. 前記油分が、5℃において30mPa・s〜35mPa・s、10℃において20mPa・s〜30mPa・s、15℃において17mPa・s〜25mPa・s、20℃において15mPa・s〜20mPa・s、25℃において13mPa・s〜15mPa・s、30℃において10mPa・s〜14mPa・s、35℃において6mPa・s〜10mPa・s、40℃において4mPa・s〜8mPa・s、及び45℃において2mPa・s〜6mPa・sの粘度である請求項1から2のいずれかに記載の防汚塗料。
  4. 更に結着樹脂を含有し、
    前記油分を含んだゼオライトの含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して、1質量部〜20質量部であり、
    前記油分を含んだ中空樹脂の含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して、1質量部〜15質量部である請求項1から3のいずれかに記載の防汚塗料。
  5. 前記ゼオライト100質量部に対して、前記中空樹脂が、100質量部〜800質量部である請求項1から4のいずれかに記載の防汚塗料。
  6. 筐体と、
    前記筐体上に形成された、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有する塗膜と、を有することを特徴とする電子機器。
  7. 前記油分が、シリコーンオイル及び植物油の少なくともいずれかである請求項6に記載の電子機器。
  8. 被塗物に、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有する防汚塗料を塗装する工程を含むことを特徴とする防汚塗膜形成方法。
  9. 被塗物に、油分を含んだゼオライトを含有し、かつ中空樹脂を含有しない第1の防汚塗料を塗装する工程と、
    前記第1の防汚塗料が塗装された前記被塗物の面に、油分を含んだゼオライト及び油分を含んだ中空樹脂を含有する第2の防汚塗料を塗装する工程と、を含むことを特徴とする防汚塗膜形成方法。
  10. 前記油分が、シリコーンオイル及び植物油の少なくともいずれかである請求項8から9のいずれかに記載の防汚塗膜形成方法。
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