JP2013132422A - 医療用x線撮影装置用ファントム - Google Patents

医療用x線撮影装置用ファントム Download PDF

Info

Publication number
JP2013132422A
JP2013132422A JP2011285115A JP2011285115A JP2013132422A JP 2013132422 A JP2013132422 A JP 2013132422A JP 2011285115 A JP2011285115 A JP 2011285115A JP 2011285115 A JP2011285115 A JP 2011285115A JP 2013132422 A JP2013132422 A JP 2013132422A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phantom
medical
ray imaging
imaging apparatus
ray
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011285115A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5658133B2 (ja
Inventor
Yoshihito Sugihara
義人 杉原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
J Morita Manufaturing Corp
Original Assignee
J Morita Manufaturing Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by J Morita Manufaturing Corp filed Critical J Morita Manufaturing Corp
Priority to JP2011285115A priority Critical patent/JP5658133B2/ja
Publication of JP2013132422A publication Critical patent/JP2013132422A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5658133B2 publication Critical patent/JP5658133B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Instructional Devices (AREA)
  • Dental Tools And Instruments Or Auxiliary Dental Instruments (AREA)
  • Apparatus For Radiation Diagnosis (AREA)

Abstract

【課題】入手性及び保存性に優れ、かつ、X線撮影装置用の評価用等に適した医療用X線撮影装置用ファントムを提供することを目的とする。
【解決手段】医療用X線撮影装置用ファントム20は、豚の顎骨の一部が切出された顎骨部位30と、前記顎骨部位30を覆う外装樹脂部40とを備える。顎骨部位30は、腐敗抑制処理が施されたものであることが好ましい。また、顎骨部位30は、少なくとも1つの豚の臼歯と歯槽骨の少なくとも一部とを含むことが好ましい。外装樹脂部40は、人体の軟組織に相当するX線透過率を有することが好ましい。
【選択図】図1

Description

この発明は、X線撮影装置用の評価用等に用いられる医療用X線撮影装置用ファントムに関する。
歯科用等の医療用X線撮影装置のファントムとしては、人間の歯牙を歯科診療時に抜いた抜去歯牙と呼ばれるものが一部で使用されている。
また、特許文献1に開示のように、ゴム材からなる多孔性部材によってX線CT撮影装置用ファントムを形成することも考えられている。
また、特許文献2に開示のように、ハイドロキシアパタイトやレタン系樹脂からなる骨や軟骨に近似したX線減弱物質を用いた骨疾患撮影装置評価用ファントムを形成することも考えられている。
特開昭63−264044号公報 特開2007−289560号公報
しかしながら、人間の歯牙の入手は困難であり、また、保存性に劣るという問題がある。
また、ゴム材からなる多孔性部材によって形成されたX線CT撮影装置用ファントムは、人間の歯牙や骨とは大きく異なるため、これをX線撮影装置によって試験撮影しても、適切な評価を行い難いという問題がある。
また、ハイドロキシアパタイトやレタン系樹脂からなる骨疾患撮影装置評価用ファントムは、実際の人間の歯牙や骨の構造に近づけた構成ではあるものの、臨床現場で着目される生体の構造は精密であるため、このファントムを用いて試験撮影しても、人間の歯牙や骨の微細な構造の再現性に乏しく、依然として適切な評価を行い難いという問題が残される。
そこで、本発明は、入手性及び保存性に優れ、かつ、X線撮影装置用の評価用等に適した、生体の再現性に優れた医療用X線撮影装置用ファントムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の態様に係る医療用X線撮影装置用ファントムは、豚の顎骨の一部が切出された顎骨部位と、前記顎骨部位を覆う外装樹脂部とを備える。
第2の態様は、第1の態様に係る医療用X線撮影装置用ファントムであって、前記顎骨部位は、腐敗抑制処理が施されたものである。
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る医療用X線撮影装置用ファントムであって、前記顎骨部位は、少なくとも1つの豚の臼歯と歯槽骨の少なくとも一部とを含む。
第4の態様は、第1〜第3のいずれか1つの態様に係る医療用X線撮影装置用ファントムであって、前記外装樹脂部は、人体の軟組織に相当するX線透過率を有する。
第5の態様は、第1〜第4のいずれか1つの態様に係る医療用X線撮影装置用ファントムであって、前記外装樹脂部は、透明又は半透明である。
第6の態様は、第1〜第5のいずれか1つの態様に係る医療用X線撮影装置用ファントムであって、前記外装樹脂部内に、相互に異なるX線透過率を有する複数のX線透過部を有する物理ファントムが埋設されている。
第7の態様は、第1〜第6のいずれか1つの態様に係る医療用X線撮影装置用ファントムであって、前記外装樹脂部の外形が、平面上に載置可能な形状に形成されている。
第8の態様は、第1〜第7のいずれか1つの態様に係る医療用X線撮影装置用ファントムであって、前記外装樹脂部の外形が、直方体、立方体、又は円柱のいずれかに形成されている。
第1の態様に係る医療用X線撮影装置用ファントムによると、豚の顎骨の一部が切出された顎骨部位を用いているため、入手性に優れると共に、実際の被写体の厚みや構造を再現できるのでX線撮影装置用の評価用等に適する。また、顎骨部位を外装樹脂部で覆っているため、保存性に優れると共に衛生的な管理が容易である。
第2の態様によると、顎骨部位は、腐敗抑制処理が施されたものであるため、より保存性に優れる。
第3の態様によると、前記顎骨部位は、少なくとも1つの豚の臼歯と歯槽骨の少なくとも一部とを含むため、人間の歯牙及びその周辺構造とより似せることができ、X線撮影装置用の評価用等により適する。
第4の態様によると、前記外装樹脂部は、人体の軟組織に相当するX線透過率を有するため、X線撮影装置用の評価用等に、より適する。
第5の態様によると、外部から顎骨部位を視認することができる。
第6の態様によると、物理ファントムの各X線透過部を利用することによっても、X線撮影装置の評価等を行うことができるので、一つの医療用X線撮影装置用ファントムを用いて、更に、空間分解能やコントラスト等のような他の物理評価も行うことができるので便利である。
第7の態様によると、本医療用X線撮影装置用ファントムを安定して載置した状態で、X線撮影することができる。
第8の態様によると、本医療用X線撮影装置用ファントムを安定して載置した状態で、X線撮影することができる。
医療用X線撮影装置用ファントムを示す斜視図である。 医療用X線撮影装置用ファントムを示す正面図である。 医療用X線撮影装置用ファントムを示す背面図である。 医療用X線撮影装置用ファントムを示す平面図である。 医療用X線撮影装置用ファントムを示す側面図である。 豚の顎骨からの切出し部位を示す説明図である。 豚の顎骨からの切出し部位を示す説明図である。 医療用X線撮影装置用ファントムの変形例を示す斜視図である。 医療用X線撮影装置用ファントムの他の変形例を示す斜視図である。 医療用X線撮影装置用ファントムのさらに他の変形例を示す斜視図である。 物理ファントムの一例を示す断面図である。
以下、実施形態に係る医療用X線撮影装置用ファントムについて説明する。図1〜図5は医療用X線撮影装置用ファントム20を示す図である。
医療用X線撮影装置用ファントム20は、医療用X線撮影装置による撮影対象として利用される。例えば、医療用X線撮影装置用ファントム20は、医療用X線撮影装置の出荷前における初期設定、保守及び修正等のメンテナンス、設置現場での利用者(歯科医師等医療従事者)に対する説明等の各場面において、テスト用の撮影対象として利用される。
ここで、医療用X線撮影装置としては、例えば、歯科用口腔用X線撮影装置、歯科用パノラマX線撮影装置、歯科用セファロ撮影装置、歯科用X線CT撮影装置等の歯科用X線撮影装置、さらに、耳鼻咽喉科用X線撮影装置、眼科用X線撮影装置を含む。
この医療用X線撮影装置用ファントム20は、顎骨部位30と、顎骨部位30を覆う外装樹脂部40とを備える。
顎骨部位30は、豚の顎骨の一部が切出されることにより形成されている。図6及び図7は、豚の顎骨10からの切出し部位を示す説明図である。なお、図6において、豚の顎骨10は、舌側から観察した状態を示している。図7において、歯槽骨12の右側が舌側であり、左側が頬側であり、図5も同様に配置された状態を示している。
豚の顎骨10は、骨梁を含む歯槽骨12に、複数の歯15が一列に並ぶように配設された構成とされている。図6及び図7では、複数の臼歯15を含む部分を示している。臼歯15は、主要部分を構成する象牙質部分15aと、その表面を覆うエナメル質部分15bとを備えている。また、臼歯15の内部には、歯髄15cが存在しており、臼歯15と歯槽骨12との間には、歯根膜が存在している。また、複数の臼歯15の下方には永久歯HTa,HTb(図1〜図5では永久歯HT)が埋れた状態で存在している。
かかる豚の顎骨10を用いているのは、構造的に人の顎骨と比較的似ているからであり、また、サル或は羊、山羊、猪、鹿、犬、猫、ウサギ、モルモット、フェレット、キツネ、イタチ等の顎骨と比べて容易かつ安価に入手可能だからである。
また、豚の顎骨10から顎骨部位30を切出す際には、少なくとも1つの豚の臼歯15と歯槽骨12の少なくとも一部を含むように切出すことが好ましい。これにより、顎骨部位30を、人間の歯牙及びその周辺構造に対してより似せることができるからである。ここでは、連続して並ぶ複数の臼歯15と当該複数の臼歯15の根本近傍の歯槽骨12を含むようにして、顎骨部位30を切出している。より具体的には、顎骨10において、連続して並ぶ3つの臼歯15(図2において左側から順に第一前臼歯、第二前臼歯、第三前臼歯)の両側外方に一対の縦切断面形成し、その一対の縦切断面の下方部分で横切断面を形成して、顎骨部位30を切出している。切断は、ノコギリ等で行うとよい。
切出し対象となる顎骨10は、子豚の前臼歯である臼歯15を少なくとも1つ含み、かつ、その下方の歯槽骨12を含むように切出されたものであることが好ましい。臼歯15が、特には第二〜第四前臼歯であれば、更に好ましい。子豚の前臼歯(ただし第一前臼歯を除く)は乳歯であり、従って、その下方に永久歯HT,HTa,HTbが埋れた状態で存在している。このため、顎骨部位30を、人間の子供の歯顎構造に対してより類似させることができるからである。もっとも、子豚の後臼歯を切出してもよい。なお、後臼歯及び第一前臼歯は生え替わりのない永久歯であるため、これらの臼歯を切り出して用いる場合は、これらの臼歯の下方における埋没歯の観察はできない。
また、豚の顎骨部位30は、腐敗抑制処理が施されたものであることが好ましい。顎骨部位30に対して腐敗抑制処理が施されていると、保存性に優れ、また、衛生的にも好ましいからである。腐敗抑制処理は、軟組織を除去すること又は軟組織が腐敗しにくい状態に加工すること等により行われる。腐敗抑制処理は、切出し前の顎骨10の状態で行われてもよいし、切出し後の顎骨部位30の状態で行われてもよい。軟組織を除去する方法としては、肉等の腐敗する可能性のある組織を取り除く方法であり、且つ評価(観察)対象とする組織に損傷を与えない方法であればよい。例えば、薬剤の使用、虫や微生物による方法等が考えられる。薬剤や虫あるいは微生物は軟組織にだけ作用する材料や種を用いればよい。軟組織の除去は、組織が完全に取り除かれていなくても、少なくとも、医療用X線撮影装置用ファントム20の耐久性や外観が損なわれないように、腐敗しない状態で樹脂の中に覆われていればよい。軟組織が腐敗しにくい状態に加工する方法としては、乾燥が挙げられる。乾燥は、自然乾燥であってもよいし、特別な乾燥室内で乾燥されたものであってもよい。
外装樹脂部40は、顎骨部位30が外部に露出しないように、当該顎骨部位30全体を覆っている。外装樹脂部40が顎骨部位30を覆うことで、顎骨部位30の保存性を良好にすることができる。また、人が顎骨部位30に直接触れないようにすることもできる。
もっとも、外装樹脂部40は、顎骨部位30のうち少なくとも歯の部分、ここでは、臼歯15を露出しないように覆っていればよい。従って、歯槽骨12の底面等は外部に露出していてもよい。
外装樹脂部40は、透明又は半透明であることが好ましい。これにより、外部から顎骨部位30の形態を視認することができるからである。換言すれば、外装樹脂部40は、外部から顎骨部位30を視認できる程度に透明又は半透明であることが好ましい。もっとも、本医療用X線撮影装置用ファントム20は、X線撮影装置による撮影対象として利用されるものであるため、外装樹脂部40が透明又は半透明であることは必須ではない。
また、外装樹脂部40は、人体の軟組織に相当するX線透過率を有することが好ましい。これにより、顎骨部位30が人体の軟組織によって囲まれた状態を再現することができ、医療用X線撮影装置用ファントム20を、医療用X線撮影の評価用に適したものとすることができる。
かかる樹脂としては、実効原子番号5.7〜7.64の材質のものを用いて作製されることが好ましい。ここで、実効原子番号とは、X線に対する影響又は振舞が、原子番号が何番目の原子に相当するかを評価した値である。
具体的には、上記樹脂としては、ポリウレタン樹脂或はアクリル樹脂を用いることができ、特に、上記した観点からはそれらの透明又は半透明樹脂を用いることが好ましい。
また、外装樹脂部40の外形状は、平面上に載置可能な形状に形成されていることが好ましい。ここでは、外装樹脂部40の外形状は、直方体状に形成されている。また、外装樹脂部40の一主面(底面)は、顎骨部位30の底面と略平行になっている。
外装樹脂部の外形状は、平面上に載置可能な形状であればよく、図8に示す医療用X線撮影装置用ファントム20Bのように、立方体状の外装樹脂部40Bであってもよく、また、図9に示す医療用X線撮影装置用ファントム20Cのように、円柱状の外装樹脂部40Cであってもよい。外装樹脂部が平面上に載置された状態で、その平面と顎骨部位30の底面とは平行状態になることが好ましい。
このように外装樹脂部40の外形状を、平面上に載置可能な形状に形成することで、本医療用X線撮影装置用ファントム20を安定して装置の撮影対象空間内に安定して載置した状態で、また実際の撮影での被写体となる歯牙及び顎骨の状態を再現した環境で、X線撮影を行うことができる。
上記外装樹脂部40のサイズ例及び外装樹脂部40内における顎骨部位30の位置の例について説明する。
外装樹脂部40の幅W、奥行D、高さHは、それぞれ40〜50mm、20〜30mm、30〜40mmであることが好ましい。高さHは、X線撮影装置の受像器(センサ、フィルム)よりも大きいことが好ましいが、これは必須ではない。また、外装樹脂部40の奥行Dは、X線撮影時において、顎骨部位30を人体のX線撮影時と同程度に映し出せる程度の値であることが好ましい。
また、顎骨部位30の外周囲全体で、顎骨部位30の表面と外装樹脂部40の外表面との間になるべく均等なスペースが形成されていることが好ましい。また、顎骨部位30の臼歯15の配列方向は、外装樹脂部40のいずれかの面に沿って配設されていることが好ましい。
被写体となる生体の形態にできるだけ近い形態で、医療用X線撮影装置用ファントム20を形成することが望ましいので、外装樹脂部40内に埋設する顎骨部位30の端部から外装樹脂部40の外周面までの距離が3mm〜10mmであれば、被写体となる生体の再現性に優れるので好ましい。ただしこの仕様は、本発明の医療用X線撮影装置用ファントム20の設計で厳密に要求されるものではない。
なお、上記外装樹脂部40の外面には、さらに透明なコーティングを施してもよい。この場合、外装樹脂部40の底面に対するコーティングは省略されてもよい。
以上のように構成された医療用X線撮影装置用ファントム20によると、豚の顎骨10の一部が切出された顎骨部位30を用いているため、入手性に優れる。また、人の歯構造と似た構造を得ることができるため、X線撮影装置用、特に、歯科用X線撮影装置の評価用に適する。また、顎骨部位30を外装樹脂部40で覆っているため、保存性に優れる。
また、豚の顎骨部位30をまとめてある程度の数入手することも容易であり、従って、切断、腐敗抑制処理や滅菌等の処理を行う場合にも各作業工程を一括して容易に行える。
また、本医療用X線撮影装置用ファントム20では、上記顎骨10の骨梁、歯根膜が存在する歯根膜腔、歯髄、象牙質、エナメル質を確認でき、特に、歯髄、象牙質、エナメル質のコントラスト差を確認できる。X線撮影画像において、これらの生体部位を明瞭に観察できることが、臨床現場で求められるため、これらの生体部位を使用してX線撮影画像の評価を行うことは、臨床上有意義である。従って、本医療用X線撮影装置用ファントム20,20B〜Dの構成は、X線撮影画像の評価用ツールとして好適である。
また、図10に示す医療用X線撮影装置用ファントム20Dのように、上記外装樹脂部40D内に、物理ファントム50が埋設されていてもよい。物理ファントム50は、相互に異なるX線透過率を有する複数のX線透過部51、52、53を有している。ここでは、物理ファントム50は、アクリル樹脂等の樹脂等によって形成された部材であり、図10及び図11に示すように、その一主面に、異なる深さの穴51、52、53を有している。図11では、穴51、52、53のうち、穴51は最も浅く、穴53は最も深く、穴52はその中間の深さである。穴51、52、53内は空洞であってもよいし、物理ファントム50を構成する樹脂等とは異なるX線透過率を有する材質で埋められていてもよい。この物理ファントム50をその穴51、52、53の開口側からX線撮影すると、その深さに応じて異なるX透過率を呈する。よって、物理ファントム50の各穴51、52、53が形成された部分が、相互に異なるX線透過率を呈する複数のX線透過部ということになる。各穴51、52、53部分が呈するX線透過率は、医療用X線撮影装置の評価に供するため、既知の値であることが好ましい。なお、医療用X線撮影用ファントム20Dに埋設される物理ファントム50を形成するアクリル樹脂等の樹脂は、医療用X線撮影用ファントム20Dで用いられる外装樹脂部40Dと共通のものであってもよい。樹脂部材が共通であれば、医療用X線撮影用ファントムの一部(顎骨部位30の近傍)に複数のX線透過部51、52、53を直接設計することもできる。
このように、医療用X線撮影装置用ファントム20D内に物理ファントム50を埋設しておくと、顎骨部位30を用いたX線撮影装置の評価だけでなく、当該物理ファントム50の各X線透過部としての穴51、52、53を利用してX線撮影装置の評価等を行うことができる。
なお、本医療用X線撮影装置用ファントムに埋設される物理ファントムの形態は前記実施例の形態に限られるものではない。物理ファントムとは、医療X線撮影装置用の画質性能に関する校正用や測定用として使用される試験体であって、相互に異なるX線透過率を有する複数のX線透過部分を含むもの全てをいう。例えば、大きさが異なる複数の物質(例えば、直径の異なる複数の金属球)がそれぞれの大きさに起因して相互に異なるX線透過率を呈するものであってもよいし、厚みを階段状又は傾斜状に変化させ、その厚みに応じて相互に異なるX線透過率を呈するようにしたものであってもよいし、X線透過率の異なる複数の物質を組合わせて相互に異なるX線透過率を呈するようにしてものであってもよい。
上記物理ファントム50の具体例についていくつか説明する。
例えば、デンタル用のパノラマ撮影、セファロ撮影用に適した物理ファントムとしては、アルミファントム或は低分解能測定用のファントムが挙げられる。
アルミファントムと呼ばれるものは、厚みの異なるアルミニウムのピースを組合わせて、厚みを階段状又は傾斜状に変化させるようにしたり、また、アルミニウムと鉛等とを組合わせて、相互に異なるX線透過率を呈するようにしたものである。
また、低分解能測定用のファントムは、異なる直径の金属球を組合わせたもの、或は、口径の異なる孔或は有底の穴または深さが異なる有底の穴を組合わせたものである。前者の場合、直径に応じてX線透過率が異なる。また、後者の場合、孔又は有底の穴の有無によってX線透過率が異なり、また、有底の穴の深さによってもX線透過率が異なる。なお、口径の異なる孔或は有底の穴を用いる設計については、口径の大小ではX線透過率は異ならない。孔或は有底の穴の口径を異ならせる理由は、撮影された被写体についてどの程度の小ささまで撮影画像として表現できるか(認識できるか)を評価するためである。
また、例えば、物理ファントムとしては、解像度チャートを含むものを用いてもよい。解像度チャートは、金、鉛或はタングステン等のX線高吸収体によって、同心円状、放射状、格子状、回折格子状或は連子状の形状に形成した物であり、通常、樹脂等で包込まれた状態とされる。この解像度チャートでは、X線撮影装置の空間分解能を測定するために用いられるものであり、X線高吸収体の部分と当該部分を包込んだ周りの樹脂部分とで異なるX線透過率を呈する。
また、CT撮影用のファントムとしては、コントラストファントムが用いられる。コントラストファントムとは、例えば、補綴した歯牙など、X線吸収差があるものを同時に撮影した場合に、当該補綴した歯牙を撮影して認識できる程度の分解できる性能があるかどうかを評価するためのファントムである。かかるファントムとしては、例えば、柱状の樹脂の中にカルシウム濃度の異なるピース(歯の模型)を組合わせて埋設した、骨塩量の定量測定用のファントム、アルミニウム(補綴物に相当)、カルシウム(歯牙・骨に相当)、アクリル(軟組織に相当)、これらの被写体の無い部分(気泡などに相当)等の異なるX線吸収体部分を組み合わせた物質を用いたもの等が挙げられる。
また、物理ファントムは、空間分解能測定用のファントムとして、空間周波数を計測するための金属線を用いた形態(ワイヤーファントムなど)であってもよい。
ワイヤーファントムは、例えば、厚み1〜2mm程度の樹脂製の容器(例えば、円筒状容器)の空間内に金属等のワイヤーを張設したものであり、金属ワイヤーが通る部分とその周りの空間部分とで異なるX線透過率を呈する。ワイヤーは、その周囲の樹脂或は空間(被写体の無い部分)等に対して十分にX線を吸収する物質であればよい。
また、デンタル用のパノラマ撮影、セファロ撮影、CT撮影評価用の物理ファントムとして、形状ファントムを用いてもよい。形状ファントムは、予め長さ、角度等の形状が決った被写体を含むファントムであり、撮像された画像が等倍であるかどうか、歪みが無いか等を評価するために用いられる。
上記被写体は、樹脂部又は空間等に対して十分にX線吸収できる物質であればよく、加工性の良好性等から、アルミニウム或はステンレス等の材質のものを用いるとよい。かかる被写体も、当該被写体が存在する部分とその周辺部分とで異なるX線透過率を呈する。
形状ファントムの形状例としては、例えば、円柱形状のもの、階段形状のもの、板状或は立方体状の樹脂中にアルミニウムの球体を埋込んだもの等が挙げられる。
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
以上のとおり説明した、本願発明の医療用X線撮影装置用ファントムを用いれば、臨床現場での用途や目的と密接に繋がるX線撮影画像の視覚的評価が可能となる。従って、本医療用X線撮影装置用ファントムを用いることによって、工場出荷時の製品の品質点検や、定期点検(保守点検)での撮影画像に関する恒常性評価や、修理点検における撮影画像の確認評価等において、評価者にとってより分かりやすい評価が可能となる。また、医療施設の医師やスタッフなどのユーザにとって、より分かりやすい評価結果の説明が可能となる。
10 顎骨
12 歯槽骨
15 臼歯
20、20B、20C、20D 医療用X線撮影装置用ファントム
30 顎骨部位
40、40B、40C、40D 外装樹脂部
50 物理ファントム
51、52、53 穴

Claims (8)

  1. 豚の顎骨の一部が切出された顎骨部位と、
    前記顎骨部位を覆う外装樹脂部と、
    を備える医療用X線撮影装置用ファントム。
  2. 請求項1記載の医療用X線撮影装置用ファントムであって、
    前記顎骨部位は、腐敗抑制処理が施されたものである、医療用X線撮影装置用ファントム。
  3. 請求項1又は請求項2記載の医療用X線撮影装置用ファントムであって、
    前記顎骨部位は、少なくとも1つの豚の臼歯と歯槽骨の少なくとも一部とを含む、医療用X線撮影装置用ファントム。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の医療用X線撮影装置用ファントムであって、
    前記外装樹脂部は、人体の軟組織に相当するX線透過率を有する、医療用X線撮影装置用ファントム。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の医療用X線撮影装置用ファントムであって、
    前記外装樹脂部は、透明又は半透明である、医療用X線撮影装置用ファントム。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の医療用X線撮影装置用ファントムであって、
    前記外装樹脂部内に、相互に異なるX線透過率を有する複数のX線透過部を有する物理ファントムが埋設されている、医療用X線撮影装置用ファントム。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の医療用X線撮影装置用ファントムであって、
    前記外装樹脂部の外形が、平面上に載置可能な形状に形成されている、医療用X線撮影装置用ファントム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つに記載の医療用X線撮影装置用ファントムであって、
    前記外装樹脂部の外形が、直方体、立方体、又は円柱のいずれかに形成されている、医療用X線撮影装置用ファントム。
JP2011285115A 2011-12-27 2011-12-27 医療用x線撮影装置用ファントム Active JP5658133B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011285115A JP5658133B2 (ja) 2011-12-27 2011-12-27 医療用x線撮影装置用ファントム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011285115A JP5658133B2 (ja) 2011-12-27 2011-12-27 医療用x線撮影装置用ファントム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013132422A true JP2013132422A (ja) 2013-07-08
JP5658133B2 JP5658133B2 (ja) 2015-01-21

Family

ID=48909546

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011285115A Active JP5658133B2 (ja) 2011-12-27 2011-12-27 医療用x線撮影装置用ファントム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5658133B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016137053A1 (ko) * 2015-02-24 2016-09-01 가톨릭대학교 산학협력단 두경부 모사 팬텀 장치
RU2681418C2 (ru) * 2014-05-27 2019-03-06 Конинклейке Филипс Н.В. Калибровочный фантом аппаратного обеспечения для дифференциальной фазоконтрастной визуализации

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7007A (en) * 1850-01-08 Improvement in machinery for making cotton cordage
JPS63264044A (ja) * 1987-04-23 1988-10-31 株式会社東芝 X線ct装置用フアントム
JPS63284101A (ja) * 1987-05-14 1988-11-21 Akio Imuro 動物体および茸類の標本製造法
JPH0390320A (ja) * 1989-09-01 1991-04-16 Sogo Shika Iryo Kenkyusho:Kk 可視光重合型レジンの連続硬化方法及び装置
JP2001190570A (ja) * 2000-01-14 2001-07-17 Science & Tech Agency 人工歯根
JP2006528894A (ja) * 2003-05-22 2006-12-28 アートス ゲーエムベーハー 再吸収可能な無機骨置換材料

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7007A (en) * 1850-01-08 Improvement in machinery for making cotton cordage
JPS63264044A (ja) * 1987-04-23 1988-10-31 株式会社東芝 X線ct装置用フアントム
JPS63284101A (ja) * 1987-05-14 1988-11-21 Akio Imuro 動物体および茸類の標本製造法
JPH0390320A (ja) * 1989-09-01 1991-04-16 Sogo Shika Iryo Kenkyusho:Kk 可視光重合型レジンの連続硬化方法及び装置
JP2001190570A (ja) * 2000-01-14 2001-07-17 Science & Tech Agency 人工歯根
JP2006528894A (ja) * 2003-05-22 2006-12-28 アートス ゲーエムベーハー 再吸収可能な無機骨置換材料

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6014049622; 森浩一;門間正彦;上野哲男: 'X線骨撮影技術教育に用いるファントムの開発' 茨城県立医療大学紀要 第1巻, 1996, pp.65-74, 茨城県立医療大学 *
JPN7014003339; Dorothea Berndt ; Marlen Luckow ; J. Thomas Lambrecht ; Felix Beckmann ; Bert Muller: 'Quality assessment of clinical computed tomography' Proc. SPIE 7078, Developments in X-Ray Tomography VI , 20080915, 70780N, International Society for Optics and Photonics *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2681418C2 (ru) * 2014-05-27 2019-03-06 Конинклейке Филипс Н.В. Калибровочный фантом аппаратного обеспечения для дифференциальной фазоконтрастной визуализации
WO2016137053A1 (ko) * 2015-02-24 2016-09-01 가톨릭대학교 산학협력단 두경부 모사 팬텀 장치

Also Published As

Publication number Publication date
JP5658133B2 (ja) 2015-01-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kim et al. Quantitative evaluation of the accuracy of micro‐computed tomography in tooth measurement
Somma et al. Quality of thermoplasticized and single point root fillings assessed by micro‐computed tomography
Grande et al. Present and future in the use of micro-CT scanner 3D analysis for the study of dental and root canal morphology
Lennon et al. Diagnostic accuracy of limited‐volume cone‐beam computed tomography in the detection of periapical bone loss: 360° scans versus 180° scans
Schropp et al. Validity of wax and acrylic as soft-tissue simulation materials used in in vitro radiographic studies
Ahmad et al. Three dimensional quantification of mandibular bone remodeling using standard tessellation language registration based superimposition
Schwindling et al. In vitro diagnostic accuracy of low‐dose CBCT for evaluation of peri‐implant bone lesions
Møller et al. Comparison of images from digital intraoral receptors and cone beam computed tomography scanning for detection of voids in root canal fillings: an in vitro study using micro-computed tomography as validation
Litzenburger et al. Near-infrared transillumination with high dynamic range imaging for occlusal caries detection in vitro
Al‐Nuaimi et al. The detection of simulated periapical lesions in human dry mandibles with cone‐beam computed tomography: a dose reduction study
JP5658133B2 (ja) 医療用x線撮影装置用ファントム
Chałas et al. Observations of mineralised tissues of teeth in X-ray micro-computed tomography
Safi et al. Effect of field of view on detection of external root resorption in cone-beam computed tomography
Lakshmikantha et al. Assessment of cortical bone microdamage following insertion of microimplants using optical coherence tomography: a preliminary study
de Mattos de Araujo et al. Micro-CT evaluation of four final irrigation protocols on hard-tissue debris removal from mesial roots of mandibular molars containing isthmus
Farias-Gomes et al. The metal post material influences the performance of artefact reduction algorithms in CBCT images
Tayman et al. The accuracy of periapical radiography and cone beam computed tomography in measuring periodontal ligament space: Ex vivo comparative micro‐CT study
Bilhan et al. How precise is dental volumetric tomography in the prediction of bone density?
Lermen et al. Comparison between two tomographic sections in the diagnosis of external root resorption
Crăciunescu et al. Micro-CT and optical microscopy imagistic investigations of root canal morphology
Guillaume et al. Microcomputed tomography used in the analysis of the morphology of root canals in extracted wisdom teeth
Versiani et al. Update in root canal anatomy of permanent teeth using microcomputed tomography
Kutschy et al. The applicability of using different energy levels in CT imaging for differentiation or identification of dental restorative materials
Shaibah et al. Physical measurements for the accuracy of cone-beam CT in dental radiography
JP2007289560A (ja) 骨疾患撮影装置評価用ファントムとその作製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140410

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20141119

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141125

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141127

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5658133

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250