JP2013130425A - 検量線作成装置、検量線作成方法、及びプログラム、並びに濃度定量装置及び濃度定量方法。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】検量線作成装置は、標的物質の濃度値に応じて得られた値を測定値として入力する入力部と、既知の濃度値の標的物質を含む複数の標準サンプルに対して入力された測定値と、該測定値に対応する濃度値との複数のデータ対から、測定値と濃度の対数値とによって張られる平面において濃度方向へのシフト量を示すパラメータを含む関数であってS字曲線を表す関数を用いて、検量線を取得する検量線取得部とを備える。
【選択図】図1
Description
また、食品検査や食品中に含まれる毒物やアレルギー物質の検出においても、同様に食品から抽出されたサンプル内の標的物質に対する免疫学的手法を用いて、作成された検量線から食品中に含まれる標的物質の濃度が定量されている。
しかしながら、入力変数xiが示す物理的な量が同じであるにも関わらず、検量線がシフト量に依存するのは不合理であり、定量分析における精度の低下をまねいてしまう。
同図が示すように、入力変数xiが示す物理的な量は同じであるにも関わらず、得られる検量線の形状がシフト量に応じて変化してしまっている。
このように、非特許文献1において示されている検量線の算出方法を濃度の対数値に適用しようとすると、単位系に応じて、得られる検量線の形状が変化してしまい、検量線の正確性が低下してしまうという問題がある。また、検量線の精度は、定量分析の精度に反映されるため、定量分析の精度が変化してしまう。
図1は、本実施形態における濃度定量装置1の構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、濃度定量装置1は、測定部10と、検量線取得部20と、定量演算部30とを具備している。
定量演算部30は、検量線取得部20が取得した検量線と、未知の濃度の標的物質を含む未知試料に対する測定部10が出力する測定値とに基づいて、当該未知試料に含まれる標的物質の濃度を算出して出力する。具体的には、定量演算部30は、検量線取得部20が取得した検量線上において、未知試料に対する測定値に対応する濃度値を算出する。
検量線記憶部24は、パラメータA〜Fを記憶することにより、標準サンプルの測定値に基づいてフィッティングされた検量線を記憶する。
濃度定量装置1は、定量分析処理が開始されると、測定部10が予め用意されたN個の標準サンプルそれぞれに対して測定を行い、測定値(yi;(i=1,2,…,N))と標準サンプルにおける標的物質の濃度値(xi)とが標準サンプルごとに規格化部21に入力される(ステップS101)。
規格化部21は、式(4−1)及び式(4−2)を用いて、濃度値(xi)と測定値(yi)とのデータ対を(Xi,Yi)に変換する規格化を行い、検量線算出部22に出力する(ステップS102)。
検量線算出部22は、各標準サンプルに対応し規格化されたデータ対(Xi,Yi)に対して、式(5−1)で表されるシグモイド曲線(S字曲線)をフィッティングし、パラメータA’〜F’を決定して検量線を算出する(ステップS103)。
復元部23は、検量線算出部22がフィッティングしたシグモイド曲線を表すパラメータA’〜F’を、式(6)を用いて復元し(ステップS104)、復元したパラメータA〜Fを検量線記憶部24に記憶させる(ステップS105)。
検量線が算出された後、測定部10は、標的物質の濃度が未知の未知試料に対する測定を行い(ステップS106)、未知試料に対する測定値(Y)を定量演算部30に出力する。
定量演算部30は、未知試料に対する測定値(Y)が入力されると、検量線を示すパラメータA〜Fを検量線記憶部24から読み出し、読み出したパラメータA〜Fを次式(7)に代入し、測定値(Y)に対応する濃度値(X)を算出する(ステップS107)。以降、標的物質が変更されるまではステップS106とステップS107を繰り返すのみでよい。
まず、各標準サンプルに対応したデータ(Xi,Yi)(i=1,2,…,N)をXiの小さい順に並べ(すなわち、Xmin=X1,Xmax=XN)、各パラメータA’〜F’の初期値を、次式(9)を用いて定める。
図4(a)には、各標準サンプルの濃度値を1桁(Shift+1)、3桁(Shift+3)、及び6桁(Shift+6)シフトした場合において、算出された各パラメータA〜Fの値が示されている。図4(b)には、各標準サンプルの濃度値を1桁、3桁、及び6桁シフトした場合における検量線が示されている。同図において、横軸は標的物質の濃度値に対する常用対数値を示し、縦軸は標的物質の濃度値に対するレスポンス(測定値)を示している。
濃度定量装置1において、濃度値のシフト量を相殺するパラメータF’を導入した式(5−1)を用いて検量線算出部22がフィッティングを行うようにしたので、入力される濃度値におけるシフト量に関わらず、パラメータA〜Eの値が同じになっている。すなわち、濃度定量装置1は、図4(b)に示されているように、入力される濃度値におけるシフト量によらず同じ形状を有する検量線を得ることができる。換言すると、濃度値のシフト量は濃度方向における平行移動として検量線に反映されるため、シフト量が検量線の形状に及ぼす影響を抑えることができる。
このように、本実施形態における濃度定量装置1は、データ対(濃度値と測定値)をいかなる単位系で表現しても、フィッティングの結果得られる本質的な2つの冪パラメータ(B,E)を安定して定めることができる。検量線取得部20が標的物質濃度を表す際に単位系に依存しない検量線を取得することができるので、定量演算部30は標的物質濃度を表す際に単位系に依存することなく定量分析を行うことができ、その精度を向上させることができる。
また、規格化部21は、検量線の算出に用いる濃度値(xi)及び測定値(yi)を[0,1]×[0,1]領域を縮小した矩形領域40に写像して、規格化を行っている。これにより、式(5−1)におけるF’=0を初期値としてもフィッティング中のパラメータ探査の途中で、((Xi−F)/C)が負の値になる可能性を更に低減し、計算不能に陥ることを抑制するとともに、収束性を高めて検量線の算出に要する時間を削減することができる。例えば、図4に示した例において、フィッティング中のパラメータ探査における繰り返し計算における分散Sの相対変動値が10−4以下になることを収束条件とした場合、収束に要する計算回数は、規格化すると19回であり、規格化しないと170回であった。なお、εxの値を0.4,0.5,0.6とした場合に、収束に要する計算回数は99回、19回、126回となり、計算回数はεxにも依存している。
また、規格化を行うことにより、検量線の算出において生じる桁落ちや丸め誤差の影響を低減することができ、検量線の精度を向上させることができる。
また、上述の実施形態において、規格化部21は濃度値と測定値とのデータ対を矩形領域40に写像する規格化を行う構成について説明した。しかし、規格化部21による規格化において、規格化後の濃度値が0を含まない範囲、例えば、[εx/(1+2εx),1]×[0,1]領域に写像する規格化を行うようにしてもよい。
また、式(5−2)で与えられる分散の代わりに、総和記号内の各項に濃度の正定値関数w(xi)を乗じた重みつき分散を用いてもよい。
10…測定部
20…検量線取得部(入力部)
21…規格化部
22…検量線算出部
23…復元部
24…検量線記憶部
30…定量演算部
40…矩形領域
Claims (9)
- 標的物質の濃度値に応じて得られた値を測定値として入力する入力部と、
既知の濃度値の前記標的物質を含む複数の標準サンプルに対して前記入力された測定値と、該測定値に対応する濃度値との複数のデータ対から、測定値と濃度の対数値とによって張られる平面において濃度方向へのシフト量を示すパラメータを含む関数であってS字曲線を表す関数を用いて、検量線を取得する検量線取得部と
を備えることを特徴とする検量線作成装置。 - 請求項2に記載の検量線作成装置であって、
前記検量線取得部は、
前記測定値と前記濃度値とを0から1までの範囲に変換する規格化を行い、規格化された前記測定値と前記濃度値とのデータ対から前記検量線を算出する
ことを特徴とする検量線作成装置。 - 請求項3に記載の検量線作成装置であって、
前記検量線取得部は、
前記濃度値を0から1までの範囲内において0を含まない範囲に規格化する
ことを特徴とする検量線作成装置。 - 請求項3又は請求項4に記載の検量線作成装置であって、
前記検量線取得部は、
前記パラメータA,B,C,D,E,Fに対して前記規格化に対応する変換を行い、前記検量線を算出する
ことを特徴とする検量線作成装置。 - 標的物質の濃度値に応じて得られた値を測定値として入力する入力ステップと、
既知の濃度値の前記標的物質を含む複数の標準サンプルに対して前記入力された測定値と、該測定値に対応する濃度値との複数のデータ対から、測定値と濃度の対数値とによって張られる平面において濃度方向へのシフト量を示すパラメータを含む関数であってS字曲線を表す関数を用いて、検量線を取得する検量線取得ステップと
を有することを特徴とする検量線作成方法。 - 標的物質の濃度値に応じて得られた値を測定値として入力する入力ステップと、
既知の濃度値の前記標的物質を含む複数の標準サンプルに対して前記入力された測定値と、該測定値に対応する濃度値との複数のデータ対から、測定値と濃度の対数値とによって張られる平面において濃度方向へのシフト量を示すパラメータを含む関数であってS字曲線を表す関数を用いて、検量線を取得する検量線取得ステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 標的物質の濃度値に応じて得られた値を測定値として出力する測定部と、
既知の濃度値の前記標的物質を含む複数の標準サンプルに対して前記測定部が出力する測定値と、該測定値に対応する濃度値との複数のデータ対から、測定値と濃度の対数値とによって張られる平面において濃度方向への平行移動を示すパラメータを含む関数であってS字曲線を表す関数を用いて、検量線を取得する検量線取得部と、
未知の濃度値の前記標的物質を含む未知試料に対して前記測定部が出力する測定値と、前記検量線とから、前記未知試料に含まれている前記標的物質の濃度値を算出する定量演算部と
を具備することを特徴とする濃度定量装置。 - 標的物質の濃度値に応じて得られた値を測定値として出力する測定ステップと、
既知の濃度値の前記標的物質を含む複数の標準サンプルに対して前記測定ステップにおいて出力された測定値と、該測定値に対応する濃度値との複数のデータ対から、測定値と濃度の対数値とによって張られる平面において濃度方向へのシフト量を示すパラメータを含む関数であってS字曲線を表す関数を用いて、検量線を取得する検量線取得ステップと、
未知の濃度値の前記標的物質を含む未知試料に対して前記測定部が出力する測定値と、前記検量線とから、前記未知試料に含まれている前記標的物質の濃度値を算出する定量演算ステップと
を有することを特徴とする濃度定量方法。
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