JP2013127413A - ジャイロ方位計 - Google Patents

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通 五江渕
Kazuhiro Tamura
一浩 田村
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勉 中川
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Abstract

【課題】小型化及び軽量化を図り、鉄製ケーシングパイプ内でも真方位を測定でき、しかも信頼性の向上、コストの低減、測定時間の短縮を実現できるようにする。
【解決手段】一対のMEMS型ジャイロセンサ10を、それらの入力軸が逆向きとなるようにプリント基板12の表裏両面に搭載してジャイロユニット14とし、該ジャイロユニットを多数個、円周方向に配設してセンサ部16を構成する。各ジャイロユニット毎に、対をなしている両MEMS型ジャイロセンサからの逆相のセンサ出力を減算処理して角速度信号を得る。各ジャイロユニットは、例えば、中心軸方向に間隔をおいて設置した2個の正多角形状のジャイロユニット固定台間に架け渡されるように、円周方向に等角度で配設されている構造とする。各ジャイロユニットから得られた角速度データを1波長の正弦波として最小二乗法により位相を求めて真北を算出する
【選択図】図1

Description

本発明は、多数のMEMS(microelectromechanical system:微小電気機械システム)型ジャイロセンサを円周方向に配設することにより、装置を回転させることなく方位測定を行えるようにしたジャイロ方位計に関するものである。この技術は、特に限定されるものではないが、大深度のボーリング孔を利用した地下水の流向、流速及び流量の測定などにおいて、ボーリング孔を自立保護するために挿入されている鉄製ケーシングパイプ内で真方位を測定するための孔内ジャイロ方位計に有用である。
地中における地下水の流動状態の調査は、通常、孔内試験ツールに組み込んだ流速流向計をボーリング孔内に挿入することで行っている。ここで流向を決定するためには、孔内における計器の方位を測定する必要があり、そのため通常の測定では磁気コンパスが用いられている。しかし、大深度のボーリング孔の場合は、ボーリング孔を自立保護するために鉄製のケーシングパイプを使用しているので、磁気コンパスによる方位の測定は不可能である。また、地質によっては、磁場異常により地球のNSが逆転していることもあり、磁気コンパスで求めた方位が必ずしも正しいとは言えない場合もある。
方位を測定する技術としては、地球の自転による角速度成分をジャイロスコープにより検出する方式のジャイロ方位計がある。例えば、水平な回転テーブル上にジャイロスコープを設置し、その際、前記ジャイロ装置の入力軸が水平面内に位置するように調整し、モータで前記回転テーブルを間欠的に回転駆動することにより正弦波状のジャイロ出力を求め、その正弦波状のジャイロ出力に基づき真北方向を求める技術が知られている(特許文献1参照)。
しかし、このような従来技術は、ジャイロスコープが大型で、しかも該ジャイロスコープを回転させるための機構や回転角度を検出するための機構等が必要であり、装置構成が複雑となる。そのため、ボーリング孔に挿入する孔内試験ツールに組み込むことができない。ジャイロ装置としてジャイロスコープに代えてMEMS型ジャイロセンサを用いることも考えられるが、回転機構や角度検出機構などの機構的な複雑さは解消し難い。そのため、孔内試験ツールに組み込むには信頼性やコストの問題がある。その上、ジャイロ装置を一定角度づつ回転させて測定を繰り返すため、測定に長時間を要する問題もある。
特開2001−215121号公報
本発明が解決しようとする課題は、小型化・小径化及び軽量化を図り、ボーリング孔内に挿入されている鉄製ケーシングパイプ内でも真方位を測定でき、しかも信頼性の向上、コストの低減、測定時間の短縮を実現できるようにすることである。
本発明は、一対のMEMS型ジャイロセンサを、それらの入力軸が逆向きとなるように基板の表裏両面に搭載してジャイロユニットとし、該ジャイロユニットを多数個、円周に沿って且つ前記入力軸が径方向に一致するように配設したセンサ部を有し、各ジャイロユニット毎に、対をなしている両MEMS型ジャイロセンサから得られる逆相のセンサ出力を減算処理して角速度信号を得るようにしたことを特徴とするジャイロ方位計である。
ここで、前記ジャイロユニットの基板は短冊状をなし、前記MEMS型ジャイロセンサは該短冊状基板の略中央に配置され、中心軸方向に間隔をおいて設置した2個の正多角形状のジャイロユニット固定台間に架け渡されるように、円周方向に等角度で、且つ各ジャイロユニットの短冊状基板の長手方向が中心軸方向となるように配設されている構造が好ましい。孔内試験ツールに搭載する孔内方位計の場合、ジャイロユニットの数は、6〜12個程度とするのがよい。また、各ジャイロユニットの基板に演算増幅器を搭載し、表裏両面に搭載されている両方のMEMS型ジャイロセンサから得られる逆相のセンサ出力を前記演算増幅器で減算処理し角速度信号として出力するのが好ましい。
更に、各ジャイロユニットから得られる前記角速度信号をAD変換するAD変換器、変換されたデジタルデータを演算処理する演算手段、外部との通信を行う通信手段を有する方位算出部を備え、該方位算出部にて、多数回の測定で、各ジャイロユニット毎に対をなしている両MEMS型ジャイロセンサから得られる逆相のセンサ出力を減算平均処理して角速度信号を得るようにし、各ジャイロユニットから得られた角速度データを1波長の正弦波として、最小二乗法によりピーク位置の位相を求めて真北を算出する。
本発明に係るジャイロ方位計は、多数のMEMS型ジャイロセンサを円周状に配列した構造であり、複雑な回転機構等を必要としないため、小型・小径化でき、しかも可動部がないため軽量化が可能となり、小孔径のボーリング孔内での使用が可能となるし、信頼性が向上し、コストを低減できる。また、一対のMEMS型ジャイロセンサを、それらの入力軸が逆向きとなるように基板の表裏両面に搭載してジャイロユニットとし、各ジャイロユニット毎に、対をなしている両MEMS型ジャイロセンサからの逆相のセンサ出力を減算処理して角速度信号を得るように構成されているので、同相成分であるノイズ成分はキャンセルされSNが向上する。更に、回転させることなく多数の異なる向きの各ジャイロユニットから同時に角速度信号が得られるので、測定時間を大幅に短縮できる。勿論、ジャイロセンサを用いているので、大深度のボーリング孔を自立保護するために挿入されている鉄製ケーシングパイプ内でも真方位を測定できる。
本発明に係るジャイロ方位計のセンサ部の一実施例を示す説明図。 そのジャイロユニットの取り付け説明図。 本発明に係るジャイロ方位計の構成例を示すブロック図。 本発明に係るジャイロ方位計の使用状態の一例を示す説明図。 方位測定結果の一例を示すグラフ。
本発明に係るジャイロ方位計のセンサ部の一実施例を図1に示す。ここでAは中心軸方向に見た状態を、Bは径方向から見た状態を、それぞれ表している。一対のMEMS型ジャイロセンサ10を、それらの入力軸が逆向きとなるように短冊状のプリント基板12の表裏両面に搭載してジャイロユニット14とする。そして、そのようなジャイロユニット12を多数個(この実施例では12個)、円周に沿って且つ前記入力軸が径方向に一致するように、等角度(30度間隔)で配設してセンサ部16を構成する。
図2に、そのジャイロユニットの取り付け構造の一例を示す。中心に位置するシャフト20に、中心軸方向に前記ジャイロユニット14の長さに応じた間隔をおいて2個の正12角形状の板状ジャイロユニット固定台22を設置する。両方のジャイロユニット固定台22の全側面にネジ穴を形成し、前記ジャイロユニット14が架け渡されるように、それぞれ短冊状のプリント基板12の両端部をネジ止めする。これによって、各ジャイロユニット14のプリント基板12の長手方向が中心軸方向となり、且つ円周方向に30度ずつずれて配設されている構造となる。また、各ジャイロユニット14におけるプリント基板表裏に位置するMEMS型ジャイロセンサ10の入力軸(矢印で示す)は逆向きとなる。
そして、各ジャイロユニットのプリント基板に演算増幅器を搭載し、各ジャイロユニット毎に、プリント基板の表裏両面に搭載されている両方のMEMS型ジャイロセンサから得られる逆相のセンサ出力を前記演算増幅器で減算処理し角速度信号として出力するように構成する。
本発明に係るジャイロ方位計の構成例を図3に示す。装置全体は、大きく分けて、センサ部16及び方位算出部32と、各種のデータ処理を行うパソコン等の外部処理装置34などからなる。
センサ部16では、対向配置されて対となる2個のMEMS型ジャイロセンサ10がジャイロユニット14を構成しており、それら各ジャイロユニット14では、2個のMEMS型ジャイロセンサ10からの逆相のセンサ出力を、それぞれ演算増幅器36により減算処理する。これによって角速度信号が得られ、同時に同相成分であるノイズ成分はキャンセルされる。そしてフィルタ38で不要な周波数成分を除去する。このようにして、各ジャイロユニット14から角速度信号が得られ、それぞれ方位算出部32に送られる。方位検出部32では、前記の各角速度信号がマルチプレクサ40を介してAD変換器42に送られてAD変換され、変換されたデジタルデータは演算手段44で必要な演算処理が行われる。この演算処理は、具体的には、多数回の測定で、各ジャイロユニット14毎に対をなしている両MEMS型ジャイロセンサから得られる逆相のセンサ出力を減算平均処理して角速度信号を得るようにし、各ジャイロユニットから得られた角速度データを1波長の正弦波として最小二乗法によりピーク位置の位相を求めて真北を算出する演算である。測定結果や演算結果は、通信手段46によって地上の外部処理装置34に送られる。
実際の測定では、一周12方向の角速度信号がほぼ同時に得られる。ジャイロセンサの特性にもよるが、通常、1回の測定のみでは十分な測定精度を得ることが困難なので、前記のように多数回(例えば10回程度以上)の測定を繰り返し、データの平均化により測定精度の向上を図る。1回の測定は極く短時間で済むので、10回程度の測定を繰り返しても全体の測定時間は約2分程度に短縮化できる。
本発明のジャイロ方位計の使用状況の一例を図4に示す。これは、ボーリング孔を利用して孔壁の亀裂の状態や地下水の流動状態を測定する例である。地盤に形成したボーリング孔50には、自立保護のためにケーシングパイプ52が設置されている。大深度ボーリング孔の場合は、機械的強度並びにコスト等の観点から、通常、鉄製のケーシングパイプを使用する。地表からケーシングパイプ52内に孔内試験ツール54を挿入する。孔内試験ツール54には流速流向計56及び方位計58などが組み込まれている。地層中を水平方向に流動する地下水は、ケーシングパイプ52のストレーナ部を通して流れ、その流速流向が流速流向計56で測定され、方位は本発明のジャイロ方位計58によって測定される。本発明の方位計はジャイロ方式であることから、鉄製ケーシングパイプ中でも正確な方位測定が可能である。測定した結果は、ケーブル60などにより地上に設置されているパソコン等の外部処理装置34に送られ記録される。
孔内試験ツールに搭載する方位計の場合、ジャイロユニットの数は、6〜12個程度とするのがよい。ジャイロユニットの数が少なすぎると、各ジャイロユニットから得られた角速度データを用いて1波長の正弦波とする際の誤差が大きくなるし、ジャイロユニットの数が多すぎればコストが増加するばかりでなく、小径化が困難となり、孔径によっては孔内試験ツールに組み込むのが難しくなるからである。
実際には、必要な測定精度を確保するためには、各ジャイロセンサの特性が揃っていることが重要であり、そのため組み立てに際して予め組み合わせるジャイロセンサの特性選別を行うのが好ましい。また、必要な測定精度を確保するため、センサ部を組み立てた後に使用に先立って、あるいは使用中定期的に、センサ部をジャイロユニットの設置角度に合わせて間欠的に回転させて地球自転の角速度の検出を行い、機器の校正を行うようにしてもよい。
具体的には、例えば次のようにする。製造段階で、ジャイロセンサのオフセット値を測定し、一定の基準に収まっているものを選別してジャイロ方位計に組み立てる。組み立てたジャイロ方位計は、水平面上で複数回、回転してジャイロユニットからのジャイロ出力を求めておき、その平均値をもってオフセット値として測定値補正のために内部メモリに書き込む。
また使用時には、ノイズを低減するために、例えば、次のような手法を用いてもよい。測定現場で、回転治具にジャイロ方位計を載置し、測定前後で同様の測定を行う。これによって、より一層測定精度を上げることができる。その他、測定時間は長くなるが、ジャイロ方位計を静止した状態で、5〜10分間程度かけて数千〜数万個のデータを取得し、平均処理してもよい。これによって、ランダムノイズを低減することができる。
本発明のジャイロ方位計によって得られた方位測定結果の一例を図5に示す。これは、1CH〜12CHの測定データをグラフに表示したものである。図中、符号Aは、12個のジャイロユニット(等角度で円周上に配置された合計24個のジャイロセンサ)から得られた実測値であり、符号Bは、1波長の正弦波として、非線形最小二乗法によって求めた最適値である。この最適値グラフにおいて、正弦波のピーク位置が真北に相当する。
10 MEMS型ジャイロセンサ
12 短冊状のプリント基板
14 ジャイロユニット
16 センサ部
32 方位算出部
34 外部処理装置

Claims (4)

  1. 一対のMEMS型ジャイロセンサを、それらの入力軸が逆向きとなるように基板の表裏両面に搭載してジャイロユニットとし、該ジャイロユニットを多数個、円周に沿って且つ前記入力軸が径方向に一致するように配設したセンサ部を有し、各ジャイロユニット毎に対をなしている両MEMS型ジャイロセンサから得られる逆相のセンサ出力を減算処理して角速度信号を得るようにしたことを特徴とするジャイロ方位計。
  2. 前記ジャイロユニットの基板は短冊状をなし、前記MEMS型ジャイロセンサは該短冊状基板の略中央に配置され、中心軸方向に間隔をおいて設置した2個の正多角形状のジャイロユニット固定台間に架け渡されるように、円周方向に等角度で、且つ各ジャイロユニットの短冊状基板の長手方向が中心軸方向となるように配設されている請求項1記載のジャイロ方位計。
  3. 各ジャイロユニットの基板に演算増幅器を搭載し、表裏両面に搭載されている両方のMEMS型ジャイロセンサから得られる逆相のセンサ出力を前記演算増幅器で減算処理し角速度信号として出力する請求項2記載のジャイロ方位計。
  4. 各ジャイロユニットから得られる前記角速度信号をAD変換するAD変換器、変換されたデジタルデータを演算処理する演算手段、外部との通信を行う通信手段を有する方位算出部を備え、該方位算出部にて、多数回の測定で、各ジャイロユニット毎に対をなしている両MEMS型ジャイロセンサから得られる逆相のセンサ出力を減算平均処理して角速度信号を得るようにし、各ジャイロユニットから得られた角速度データを1波長の正弦波として、最小二乗法によりピーク位置の位相を求めて真北を算出する請求項1乃至3のいずれかに記載のジャイロ方位計。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020012910A1 (ja) * 2018-07-11 2020-01-16 ソニー株式会社 情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
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KR102675850B1 (ko) * 2023-11-29 2024-06-17 주식회사 신보 스마트 측각장치 및 측각방법

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