JP2013122394A - 放射線検出器 - Google Patents
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Abstract
【課題】照射された放射線の透過画像の取得を失敗する可能性を低減する。
【解決手段】放射線検出器に、放射線画像検出部とメモリ27と画像データ受信部90と放射線入射判定手段28と書き込み動作停止手段29と画像データ選択手段30とを備える。放射線画像検出部は、放射線を電荷信号に変換し画像データとして時間で区切られたフレーム毎に出力する。メモリ27は、順番に新しいものから所定の枚数分の画像データを記憶する。画像データ受信部90は、放射線画像検出部が出力した画像データを順次メモリ27に書き込む。放射線入射判定手段28は、フレーム中の放射線の入射の有無を判定する。書き込み動作停止手段29は、放射線の入射後のフレームで画像データ受信部90のメモリ27への画像データの書き込みを停止させる。画像データ選択手段30は、放射線が入射したフレームの画像データをメモリ27から選択して出力する。
【選択図】図6
【解決手段】放射線検出器に、放射線画像検出部とメモリ27と画像データ受信部90と放射線入射判定手段28と書き込み動作停止手段29と画像データ選択手段30とを備える。放射線画像検出部は、放射線を電荷信号に変換し画像データとして時間で区切られたフレーム毎に出力する。メモリ27は、順番に新しいものから所定の枚数分の画像データを記憶する。画像データ受信部90は、放射線画像検出部が出力した画像データを順次メモリ27に書き込む。放射線入射判定手段28は、フレーム中の放射線の入射の有無を判定する。書き込み動作停止手段29は、放射線の入射後のフレームで画像データ受信部90のメモリ27への画像データの書き込みを停止させる。画像データ選択手段30は、放射線が入射したフレームの画像データをメモリ27から選択して出力する。
【選択図】図6
Description
実施形態は、被検体に放射線を照射し、被検体を透過した放射線を検出する放射線検出器に関する。
被検体を透過した放射線を検出して放射線画像を得る方法としては、デジタル方式の放射線検出器(Flat Panel Detector。以下、FPDとも称する。)がある。FPDとは、基板上に検出素子を2次元的に複数配列したものである。FPDは、ガラス基板上にアモルファスシリコンプロセスなどで作られた光電変換素子を設け、その表面に蛍光体を層状に設けたものである。
FPDによる放射線画像を得る方法は、以下の通りである。放射線源から人体などの被検体に放射線が照射されると、被検体を透過した放射線が蛍光体で可視光に変換される。この可視光をガラス基板上の光電変換素子で電荷に変換して蓄積する。蓄積した電荷を読み出すことにより放射線画像が得られる。
FPDにおいては、放射線の照射がされていない場合にも、光電変換素子に微量の電流(暗電流)が流れる現象がある。この暗電流により光電変換素子に蓄積された電荷は、電荷を読み出す際にノイズとなり画質に悪影響を及ぼす。この暗電流の影響を極力少なくするためには、撮影時に、放射線の照射とFPDを同期させることが重要となってくる。FPDと放射線照射を同期させるためには、たとえば、FPDに放射線照射同期用の機能と外部配線(有線LANやその他の信号線)を装備する必要がある。
また、FPDとしては近年、ポータブル型FPDが用いられるようになっており、ポータブル型FPDでは無線により通信する無線通信手段を備えた放射線システムが提案されている。無線通信手段を介してFPDと放射線照射装置との同期をとるシステムの場合、患者のポジションや検出器に内蔵された無線通信手段の位置によっては通信が一時的に途絶える場合がある。このように通信が一時的に途絶えることなどによって放射線照射装置とポータブル型FPDとの間で通信が失敗すると、所望のタイミングで撮影できない場合がある。特に、放射線の照射開始時に放射線の照射とFPDとの同期が正常に行えないと被検体に無駄な放射線を照射する可能性がある。
無線通信手段を備えたFPDの放射線システムで、放射線照射装置との同期をとる方法として、放射放射線の照射を検知する照射検知手段からの信号もしくは命令によって、FPDを電荷蓄積状態へ移行させる方法がある。しかし、放射線の照射を検知するには検知するまでの時間が必要であり、その間に照射された放射線はFPDの画像には反映されない。したがって、画像信号は、照射の初期から電荷を蓄積した場合に比べて低くなる。特に、放射線のパルスが短い場合には、電荷を蓄積できずに、適切に動作しない可能性がある。
そこで、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、放射線検出器において、照射された放射線の透過画像の取得を失敗する可能性を低減することである。
上述の課題を解決するため、実施形態の放射線検出器は、放射線を電荷信号に変換して蓄積する二次元配列された複数の画素を備え、前記画素に蓄積された電荷量で表される画素値の組を画像データとして時間で区切られたフレーム毎に出力する放射線画像検出部と、書き込まれた順番に新しいものから所定の記憶枚数分の前記画像データを記憶するメモリと、前記放射線画像検出部が出力した画像データを順次メモリに書き込む画像データ受信部と、前記フレーム中の前記放射線画像検出部への前記放射線の入射の有無を判定する放射線入射判定手段と、前記放射線の入射があったと判定されたフレームよりも後のフレームで前記画像データ受信部の前記メモリへの前記画像データの書き込みを停止させる書き込み動作停止手段と、前記放射線の入射があったと判定されたフレームの前記画像データを前記メモリから選択して出力する画像データ選択手段と、を具備することを特徴とする。
また、実施形態の放射線を電荷信号に変換して蓄積する二次元配列された複数の画素を備え、前記画素に蓄積された電荷量で表される画素値の組を画像データとして時間で区切られたフレーム毎に出力する放射線画像検出部と、書き込まれた順番に新しいものから所定の記憶枚数分の前記画像データを記憶するメモリと、を備えた放射線検出器の動作方法は、前記放射線画像検出部が出力した画像データを順次メモリに書き込む工程と、前記フレーム中の前記放射線画像検出部への前記放射線の入射の有無を判定する工程と、前記放射線の入射があったと判定されたフレームよりも後のフレームで前記画像データ受信部の前記メモリへの前記画像データの書き込みを停止させる工程と、前記放射線の入射があったと判定されたフレームの前記画像データを前記メモリから選択して出力する工程と、を具備することを特徴とする。
以下、一実施形態による放射線検出器を、図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態による放射線検出システムのブロック図である。
放射線検出システムは、放射線検出器1と放射線照射装置6と制御用のパソコン5とを有している。本実施形態の放射線検出器1は、被検体に放射線7を照射し、被検体を透過した放射線を検出する。放射線検出器1と放射線照射装置6とは、放射線室に設けられている。制御用のパソコン5は、放射線室とは異なる部屋に配置されている。制御用のパソコン5の制御信号は、有線あるいは無線の通信手段でと放射線照射装置6に伝達される。
放射線検出器1は、無線通信手段2を備えている。パソコン5には、スイッチングハブ4を介して無線アクセスポイント3が接続されている。無線通信手段2とアクセスポイント3との間の無線通信方式は、たとえばIEEE802.11規格に準拠した無線LAN方式を用いる。パソコン5と放射線検出器1とは、双方向通信を行う。パソコン5は、放射線検出器1の駆動制御と画像処理制御を行う。放射線検出器1は、パソコン5に対して画像データの転送を行う。
放射線照射装置6は、パソコン5によって制御されて、たとえばX線などの放射線7を発生する。放射線照射装置6が発生した放射線7は、被検体を透過して放射線検出器1に入射する。
放射線検出器1は、入射した放射線の2次元的な強度分布を測定し、画像情報を生成する。放射線検出器1は、生成した画像データなどの情報を無線通信手段2によって無線アクセスポイント3に伝達する。無線アクセスポイント3に伝達された情報は、スイッチングハ4を介してパソコン5に伝達される。パソコン5は、伝達された情報に基づいて、放射線透過画像を画面上に表示するなどの処理を行う。
図2は、一実施形態による放射線検出器のブロック図である。図3は、一実施形態による放射線画像検出部の模式的斜視図である。
放射線検出器1は、放射線画像検出部8とゲート駆動回路11と信号読取回路12と後段処理回路19と電源17と制御回路72とを有している。放射線画像検出部8は、TFTアレー基板15上に放射線変換膜9を装着したものである。なお、図3では、説明のため、TFTアレー基板15と放射線変換膜9とを離間して描いているが、実際には両者は密着している。
TFTアレー基板15は、たとえばガラス板の表面に多数の画素18が2次元配列されたものである。TFTアレー基板15には、配列された画素18のそれぞれの行に対応してゲート駆動線13が設けられている。また、TFTアレー基板15には、配列された画素18のそれぞれの列に対応して信号線14およびバイアス線73が設けられている。
ゲート駆動線13は、ゲート駆動回路11に接続されている。信号線14は、信号読取回路12に接続されている。バイアス線73は、電源17に接続されている。
それぞれの画素18は、スイッチング素子であるTFT10と、光を電荷に変換する光電変換素子16とを有している。光電変換素子16は、電気的に並行に接続されたフォトダイオードとコンデンサを有している。光電変換素子16は、光電変換素子16への電荷供給用のバイアス線73を介して電源17に接続されている。また、光電変換素子16は、TFT10を介して光電変換素子16からの電荷信号を転送するための信号線14に接続されている。TFT10のゲートは、ゲート駆動線13に接続されている。電源17は、ゲート駆動回路11、信号読取回路12、後段処理回路19、制御回路72へも電力を供給する。
ゲート駆動回路11と信号読取回路12と後段処理回路19とは、制御回路72に接続されていて、制御回路72によって制御される。制御回路72は、ゲート駆動回路11のタイミング制御、信号読取回路12および後段処理回路19の制御、パソコンとの有線通信/無線通信制御、メモリ読み書き制御などを制御回路72内のCPUで行う。
ゲート駆動回路11は、複数のゲート駆動線13に順次パルス状のON信号を与える。ゲート駆動線13にON信号が流れて、TFT10によるスイッチが閉じると、光電変換素子16のコンデンサに蓄えられた電荷信号は、信号線14を流れる。信号線14を流れる電荷情報は、信号読取回路12によって読み取られる。信号読取回路12によって読み取られた電荷情報は、後段処理回路19によって処理される。
X線の検出方法として、X線を直接電荷信号に変換する直接変換方式と、X線を一旦光に変換してからその光を電荷信号に変換する間接変換方式とがある。本実施形態では、間接変換方式を例に説明する。
間接変換方式の場合、放射線は放射線変換膜9で一旦光に変換され、変換された光は光電変換素子16で電荷として蓄積される。ゲート駆動回路11によって同一ゲート駆動線13に接続されたTFT10がスイッチされると、光電変換素子16に蓄積された電荷が信号線14を通って信号読取回路12で電気信号として検出される。
図4は、一実施形態によるTFTの動作のタイミングチャートである。
放射線検出器1は、電荷蓄積および電荷読出の2つの動作を繰り返している。連続する電荷蓄積および電荷読出の動作を1つのフレームと呼ぶこととする。つまり、放射線検出器1は、1つのフレームで1枚の放射線透過画像を取得する。それぞれのフレームを、時間の経過に沿って順次、Frame1、Frame2、…、Framei、Framei+1、…、と呼ぶこととする。
電荷蓄積の動作では、TFT10をOFF状態として、光電変換素子16のコンデンサに放射線7が変換された蛍光の入射によって発生した電荷を蓄積する。電荷読出の動作では、行読取動作を繰り返し行うことによって、すべての画素18から画素信号が読み出される。行読取動作では、同一のゲート駆動線13に接続されたTFT10をON状態にすることによってそのTFT10が属する画素18のコンデンサに蓄積された電荷が信号読取回路12によって読み取られる。したがって、電荷読出の動作の際には、複数のゲート駆動線13にTFT10をONするパルス状の信号が順次与えられる。
図5は、一実施形態による信号読取回路のブロック図である。
信号読取回路12は、各画素からの電荷信号を積分アンプ20で電圧に変換し、アナログの電圧アンプ21で電圧増幅される。その後、サンプルホールド回路22でサンプルホールドされる。これまでの処理は、信号線に対して並列(パラレル)処理される。パラレル処理された信号は、マルチプレクサ回路23で順次切り替えられて、AD変換器24でデジタル値に変換される。これによって、パラレルDATAからシリアルDATAに変換される。再び、次のゲート駆動線13が走査されて、デジタル値に変換するまでの過程が繰り返される。シリアルDATAは、並べ替え回路25に逐次転送され、画像DATA並び替えなどの画像処理が施される。並べ替え回路25によって並び替えられた画像DATAは、後段処理回路19に伝達される。
図6は、一実施形態による後段処理回路のブロック図である。
後段処理回路19は、画像データ受信部90とメモリ27と放射線入射判定手段28と書き込み動作停止手段29と画像データ選択手段30と出力メモリ33とを有している。信号読取回路12の並べ替え回路25によって並べ替え処理が施された画像データは、画像データ受信部90によって受信される。画像データ受信部90は、受信した画像データをメモリ27に書き込む。
放射線入射判定手段28は、放射線検出器1への放射線7の入射の有無を確認する。放射線入射判定手段28による放射線7の入射の確認には、メモリ27に記憶された画像データが用いられる。また、放射線入射判定手段28は、放射線照射装置6の制御信号などの外部信号を受け取って、放射線7の入射の確認を行ってもよい。放射線入射判定手段28は、放射線検出器1への放射線7の入射の確認結果を書き込み動作停止手段29に伝達する。書き込み動作停止手段29は、放射線検出器1への放射線7の入射が確認された後、画像データのメモリ27への書込みを停止する。
図7は、一実施形態によるメモリの内部構造を示す模式図である。
メモリ27は、複数のフレームに関する情報を記憶する容量を有している。フレームに関する情報には、それぞれの画素の画素値からなる画像データ26が含まれる。本実施形態においては、メモリ27には、5つのフレーム分の情報を記憶する容量を有している。画像データ26の大きさ、すなわち必要とするメモリの容量に応じて、5枚の画像データのそれぞれをメモリ27に書き込む先頭のアドレス(先頭アドレスA〜E)を予め割り振っておく。これらの5つのフレームに関する情報は、それぞれアドレスAから始まる領域91、アドレスBから始まる領域91、アドレスCから始まる領域91、アドレスDから始まる領域91およびアドレスEから始まる領域91に格納される。メモリ27に設けられた5つの領域91には、それぞれ検知情報69および画像データ26が記憶される。検知情報とは、放射線検出手段28が判断した放射線検出の有無などの情報である。
図8は、一実施形態によるメモリ内部の各領域に各時刻において保存される画像データの例を示す模式図である。図8において、横軸はメモリ27内の位置、縦軸は時刻を示している。また、図8において、Frameiの表記は、Frameiにおける画像データを示している。
画像データ受信部90は、画像データを受信すると、メモリ27のアドレスA、アドレスB、アドレスCおよびアドレスDから始まるそれぞれの領域91に保存された画像データを、順次、アドレスB、アドレスC、アドレスDおよびアドレスEから始まる領域91に移動する。アドレスEから始まる領域91に画像データが保存されていた場合には、その画像データは破棄される。このような画像データの移動が完了したら、画像データ26をアドレスAから始まる領域91に保存する。
時刻が0のときに1番目のフレームが開始し、それぞれのフレームの長さがTである場合、時刻Tの後で画像データ受信部90は、Frame1の画像データをメモリ27のアドレスAから始まる領域91に保存する。時刻2Tには、Frame1の画像データはメモリ27のアドレスBから始まる領域91に移動し、Frame2の画像データがアドレスAから始まる領域91に保存される。
同様にして、時刻3Tには、メモリ27のアドレスA、アドレスBおよびアドレスCから始まるそれぞれの領域91には、Frame3、Frame2およびFrame1の画像データがそれぞれ保存される。時刻4Tには、メモリ27のアドレスA、アドレスB、アドレスCおよびアドレスDから始まるそれぞれの領域91には、Frame4、Frame3、Frame2およびFrame1の画像データがそれぞれ保存される。時刻5Tには、メモリ27のアドレスA、アドレスB、アドレスC、アドレスDおよびアドレスEから始まるそれぞれの領域91には、Frame5、Frame4、Frame3、Frame2およびFrame1の画像データがそれぞれ保存される。時刻6Tには、メモリ27のアドレスA、アドレスB、アドレスC、アドレスDおよびアドレスEから始まるそれぞれの領域91には、Frame6、Frame5、Frame4、Frame3およびFrame2の画像データがそれぞれ保存され、Frame1の画像データが破棄される。
なお、本実施形態では、画像データ受信部90が画像データを受信した後に、メモリ27に保存されている画像データを移動させることとしているが、新しい画像データを受信する前に画像データの移動を完了させるようにしてもよい。また、本実施形態では、新しいフレームの画像データを読み込む度に、古いフレームの画像データを順次、メモリ27内の次の領域91に移動させて、最も新しい画像データが保存される領域91を固定しているが、古いフレームの画像データを移動させずに、最も新しい画像データを保存する領域91を順次変えてもよい。
メモリ27の大きさは有限であるから、画像データは有限個しか保存できない。したがって、画像データ受信部90が画像データを受信し続けると、いずれ画像データ26を保存する領域91が枯渇する。新しい画像データが放射線透過像である場合には、その画像データを保存する必要がある。新しい画像データを保存するためには、いずれかの画像データを破棄する必要がある。また、新しい画像データが放射線の照射されていない時期の画像データである場合には、その画像データは保存する必要がなく、むしろ、メモリ27に保存された過去の画像データに放射線透過像が含まれる場合がある。そこで、本実施形態では、放射線画像検出部8への放射線の入射を検知して、画像データを順次保存する動作を停止する。
図9は、一実施形態による後段処理のフローチャートである。
後段処理回路19の画像データ受信部90は、並べ替え処理が施された画像データを受信する(S11)と、その画像データをメモリ27に書き込む(S12)。
次に、放射線入射判定手段28は、放射線検出処理を行う(S13)。放射線検出処理とは、放射線画像検出部15への放射線入射の有無を判断することである。
放射線7の入射を検知する方法として最も簡単なものの一つは、有線通信もしくは無線通信を介してパソコン5から放射線照射開始信号または放射線照射開始命令を受信することである。放射線照射開始命令のパラメータとしては、たとえば、照射開始時刻、照射時間、照射強度、放射線の線質などがある。後段処理回路19がパソコン5から放射線照射開始の制御信号を受信すると、そのフレームでの画像データ26とともに、放射線照射開始命令のパラメータ、照射開始のフラグ、受信時刻などの検知情報69がメモリ27のある領域91に記憶される。この動作は、たとえば画像データ受信部90が行う。また、放射線入射判定手段28は、メモリ27に記憶された画像データに基づいて、放射線入射の有無を判断してもよい。
放射線入射判定手段28の放射線入射判定処理の結果は、書き込み動作停止手段29および画像データ選択手段30に伝達される。放射線入射判定処理によって放射線7が入射していないという結果が得られた場合には、工程S11に戻り、画像データの受信(S11)およびメモリ27への書込み(S12)が繰り返される。
放射線入射判定処理によって放射線7が入射したという結果が得られた場合、書き込み動作停止手段29は、放射線7が入射した後のフレームでメモリの書き込みを停止する(S15)。より具体的には、放射線7が入射したときの画像データ26がメモリ27から破棄される前に、メモリ27への書き込み動作を停止する。つまり、書き込み動作停止手段29は、放射線7が入射したときの画像データ26がメモリ27からすべて破棄される前に、画像データ受信部90に対して画像データを受信してもメモリ27に書き込まないように指示する。その結果、画像データ受信部90は、信号読取回路12から画像データ26を受信しても、メモリ27には書き込まずその画像データ26を破棄する。
また、放射線検出処理によって放射線7が入射したという結果が得られた場合、画像データ選択手段30は、メモリ27に記憶された画像データのうち放射線7が入射したフレームにおける画像データ26の1つを選択する。あるいは、複数の放射線7が入射したフレームにおける画像データ26から1枚の画像データを合成する。画像データ26の合成は、たとえば複数のフレームの画像データ26のそれぞれの位置の画素値の和を算出することにより行う。このようにして、放射線が入射したフレームにおける画像が選択、あるいは、合成される(S16)。
パソコン5から放射線照射開始命令と放射線照射時間情報を受信することで、どのフレームからどのフレームまで放射線7が照射されたか判断できる。たとえば、その放射線照射時間情報を基にメモリ27へ書き込み動作を中止する。また、放射線照射時間情報を基に、メモリ27から放射線透過画像である特定の画像データ26を選択し、出力メモリ33に書きこむことができる。
選択あるいは合成された出力用画像データは、出力メモリ33に書き出される(S17)。この出力用画像データは、被検体を透過して放射線検出器1に入射した放射線7の透過画像である。出力メモリ33に書き出された出力用画像データは、無線通信手段2によって、無線アクセスポイント3およびスイッチングハブ4を介して、パソコン5に転送される。出力用画像データを取り外し可能な不揮発メモリに順次書き込んでもよい。無線通信手段2または有線通信手段などの手段によって、出力用画像データが送信出力されるか、または不揮発メモリに出力され記録された場合に、一時的に記録するメモリ27の内容をクリアする。
有線通信手段もしくは無線通信手段2を介してパソコン5より放射線照射開始信号を受信できる場合には、この放射線照射開始信号に基づいて放射線7の入射の有無を判定できる。しかし、無線通信の場合、電波の状態が悪く、パソコン5より放射線照射開始信号を受信できない場合がある。また、有線通信であっても、何らかの障害により放射線照射開始信号を受信できない可能性もある。そこで、パソコン5より放射線照射開始信号を受信できない場合を想定して、本実施形態では、放射線検出器1に、放射線7の入射の有無を判定する手段を持たせている。
図10は、一実施形態による放射線入射判定手段のブロック図である。
放射線7の入射の有無を判定する手段、すなわち、放射線入射判定手段28は、比較演算部39と入射判定部40と画素アドレスデータ記憶部42とを有している。比較演算部39は、入射の有無を判定する対象のフレームの画像データ(比較画像データ37)と、その判定対象のフレームより前のフレームの画像データ(参照画像データ38)との比較演算を行う。入射判定部40は、比較演算部39による比較演算の結果に基づいて放射線7の入射を判定する。画像アドレスデータ記憶部42は、画像データの画素値のうち、比較演算に用いる画素値を特定するためのアドレス情報を記憶している。
ここで比較演算とは、比較画像データ37と参照画像データ38との差を数値的に求める引き算を含んだ演算である。比較演算の単純な例は、比較画像データ37の画素値と参照画像データ38の画素値の引き算である。
間接方式で一般的に採用されている光電変換素子16には、アモルファスシリコンプロセスで作成されたフォトダイオードが用いられる。しかし、アモルファスフォトダイオード内には欠陥準位が存在することが知られている。アモルファスフォトダイオードに比較的強い光が照射されると、電荷が一旦この欠陥準位に捕捉されて基底状態になかなか落ちない現象がある。
強い光が照射された後は通常の暗電流よりも多く流れ続ける傾向がある。より多くの暗電流が流れている間に取得した画像データ26の画素値は、通常の画素値よりも高くなる。この現象は、メモリ効果あるいは焼きつき現象と呼ばれている。焼きつき現象が発生した際の一枚の画像データの高い画素値に基づいて放射線検出を判断してしまうと、放射線を誤検出してしまう可能性がある。
この焼きつき現象は、時間とともに減衰する傾向があることが知られている。その性質を利用して、放射線入射判定手段28は、フレームごとにひとつ前の画像データ26と比較演算することによって照射線が照射されたかを判断する。
より具体的には、以下の通りである。放射線入射判定手段28は、比較演算部39と入射判定部40とを有している。放射線の検出を行う際の最新のフレームにおける画像データ26を比較画像データ37とし、その比較画像データの一つ前に記録された一つ前のフレームの画像データ26を参照画像データ38とする。
比較演算部39は、比較画像データの画素値から参照画像データの画素値を差し引く演算を行う。比較演算部39が行う演算は、画像データの全ての画素値に対して行ってもよいし、それぞれ対応する一部の画素値について行ってもよい。
入射判定部40は、比較演算部39が行った演算結果を受け取り、放射線照射の有無を判断する。焼きつき現象は時間の経過とともに減衰する。つまり、焼きつきに起因する暗電流は、時間の経過とともに小さくなる。したがって、仮に焼き付きが生じて画像データ26が正確に放射線照射量を表現していない場合であっても、演算結果の焼きつきの寄与分は、必ずマイナスになる。つまり、時刻の異なる2つのフレームの画像データの画素値の差に基づいて放射線照射の有無を判定することにより、暗電流による高い画素値が生じていたとしても、誤検知する可能性が極めて小さくなる。
時間的な制約がなければ、比較画像データ37と参照画像データ38との全ての画素値について、比較演算を行えばよい。この場合、たとえば比較画像データ37および参照画像データ38の先頭のアドレスから順次演算する。時間的な制約がある場合、すなわち、すべての画素値の比較演算に要する時間が長くなり、1つのフレームに対して行う処理がそのフレームの終了時刻までに完了しない場合には、間引いた画素値に対して比較演算を行ってもよい。
図11は、本実施形態による画素アドレスデータの模式図である。
図11は、本実施形態において比較演算を行う画素値の選択方法を示している。図11において、矢印45,47,48,49が通過する位置あるいは一部囲まれた領域46が比較演算に用いる画素を示している。画素アドレスデータ記憶部42には、これらの比較演算に用いる画素の画像データ26中の位置(アドレス)が記憶されている。
つまり、比較演算部39は、メモリ27に既に記録された参照画像データ37と、メモリに順次記録された画像データのうちの一つの比較画像データ38との比較演算をする過程において、それぞれの画像データ26の一部の画素値を抽出して、比較演算を行う。抽出される画素値の画像データ26中の位置を示す画像アドレスデータは、予め定めておく。
本実施形態では、放射線が照射されたか否かを画像データから効率よく高速に判定するために、画像データから一部を間引いた画素値を用いる。比較演算で用いる画素値の選択方法としては、たとえば図11の(a)〜(f)の方法がある。
図11(a)は、斜め画素選択である。この斜め画素選択は、斜めに画素値をピックアップする方法で、ライン欠陥があってもライン欠陥による検出エラーを極力減らすことができる選択方法である。ライン欠陥とは、特定のゲート駆動線13そのもの、あるいは特定のゲート駆動線13に接続された光電変換素子16の全体に不具合が生じ、正確な画素値を出力できない場合である。
斜め画素選択では、画素18が配列された領域を、その領域の一方の辺から、他方の辺に向かってゲート駆動線13を横切るように斜めのライン45上の画素を選択していく。画素18が配列された領域の一方の辺から他方の辺までライン45が到達したら、そのライン45と並行で信号線14が延びる方向の異なる位置に延びるライン45上の画素を選択していく。ライン間隔は、被写体の大きさによるが、たとえば1−5cm間隔とする。図7(a)では、斜め下方向に延びるライン45に沿って選択しているが、斜め上方向に延びるラインに沿って選択してもよい。
他の方法として、図11(b)に示すエリア選択がある。この方法は、最も一般的な方法である。エリア選択では、撮像領域の一部46のエリアの画素の画素値のみを選択する。撮像対象の物体は、撮像領域の中央付近に配置されることが多い。このため、照射領域を撮像領域の中央付近の一部に絞ってX線を照射する場合がある。そこで、選択するエリアは、撮像領域の外周部を除いた中央部が好ましい。
さらに、図11(c)、(d)、(e)、(f)にそれぞれ示す、斜めクロス選択、横画素選択、縦画素選択、クロス画素選択などが考えられる。斜めクロス選択では、斜め画素選択を異なる2方向45,47に対して行うものである。横画素選択は、等間隔に配置された複数のゲート駆動線13のそれぞれに接続されたライン48上の画素を選択する。縦画素選択では、等間隔に配置された複数の信号線14のそれぞれに接続されたライン49上の画素を選択する。クロス画素選択は、等間隔に配置された複数のゲート駆動線13のそれぞれに接続された画素、および、等間隔に配置された複数の信号線14のそれぞれに接続されたライン48,49上の画素を選択する。
横画素選択、縦画素選択、クロス画素選択はライン欠陥の影響を受ける可能性がある。このため、斜め画素選択が望ましい。比較演算時に、欠陥補正を行った画素値を使用してもよい。また、欠陥点を除いた画素値を用いて演算してもよい。
図12は、本実施形態による放射線入射判定の際の比較演算の模式図である。
Frame5の画像データ26がメモリ27に記憶された後、放射線入射判定手段28は、Frame4の画像データを参照画像データ38とし、Frame5の画像データを比較画像データ37として比較演算する。このとき、Frame1からFrame3までの画像データは過去のデータであり、既に比較演算は終了している。このように参照画像データ38は、メモリに順次記録された画像データから抽出した比較画像データの一つ前のフレームで記録された画像データ26とする。つまり、フレーム毎にひとつ前の画像データ26と比較演算することによって照射線が照射されたかを判断させる。ただし、初めて動作させる場合、あるいは、メモリ27の内容をクリアした後の最初のフレームでは、参照画像データがないため、別途、参照画像データを準備しておく。
一般的には、まず、比較演算部39が判定対象のフレームを選択する。次に、比較演算部39は、判定対象のフレームの画像データ26を比較画像データ37として特定する。また、比較演算部39は、判定対象のフレームよりも前のフレームの画像データ26を参照画像データ38として特定する。
次に、比較画像データ37と参照画像データ38との比較演算を行う。この比較演算は、画素アドレスデータ記憶部42に記憶された画素アドレスデータに基づいて比較画像データ37および参照画像データ38の画素を選択し、選択された画素の画素値を用いて行われる。
たとえば、i番目のフレーム(Framei)における放射線7の入射を判定する場合、Frameiの画像データ26を比較画像データ37とし、Framei−1の画像データ26を参照画像データ38とする。
この場合、1番目のフレーム(Frame1)における放射線7の入射を判定しようとするとその前のフレームの画像データが存在しないので、たとえば画素値が全て0(ゼロ)の画像データを参照画像データ38とする。画像データの出力の後で全てのフレームをクリアしている場合には、1番目のフレーム以外の画像データはすべて0となっているため、メモリ27のFrame1とは異なるアドレスから始まる画像データ26を参照画像データ38とすることができる。したがって、最新のフレームの画像データ26がメモリ27の先頭に配置され、より古い画像データがより後方に配置されている場合には、先頭の画像データ26を比較画像データ37とし、その比較画像データ37のすぐ後ろに配置された画像データ26を参照画像データ38とすればよい。
図11(a)に示した斜め画素選択を行う場合には、図12において矢印が通過する画素の一つ(図12中に黒丸で示す)を選択し、参照画像データ38および比較画像データ37の対応する位置の画素の画素値の比較演算、たとえば引き算を行う。この比較演算を、画素アドレスデータに基づいて選択される全ての画素について行う。
入射判定部40は、これらの比較演算結果が入射判定条件を満足するか否かを判定する。これにより、i番目のフレームにおいて放射線7が入射したか否かが判定される。
図13は、一実施形態による画素値のヒストグラムの例を示すグラフである。図13において、横軸は画素値、縦軸は頻度を示す。画素値は、その画素に入射した放射線7の強度が大きいほど大きくなるとしている。
放射線検出器1に放射線が入射した場合、画像データ26に含まれる画素値のヒストグラムは、たとえば図13のようになる。低い画素値の一部には、放射線が当たらなかった画素の画素値の鋭いピーク61ができる。この低い画素値のピークよりも画素値が大きい部分に、画素値の分布がみられる。また、高い画素値の一部には、何らかの異常を持つ画素(欠陥画素)によるピーク62ができる場合がある。
そこで、画素値の上限値57および下限値56を設定し、その間の画素値のみを用いることとする。つまり、上限値57および下限値56の間のハッチング部分のみを放射線7の入射判定に用いる。入射判定の際の比較演算では、画素値そのもの、あるいは、ヒストグラムの平均値53、ピーク値52、最大値54などを用いる。
たとえば比較画像データの平均値から参照画像データの平均値53が閾値58を超えた場合に、放射線が照射されたと判断させる。この場合、Framei−1のときには放射線が照射されておらず、Frameiのときに放射線が照射されていた場合には、平均値53の差は大きく増加して閾値を超える。そこで、Frameiのときに放射線が照射されていたと判断する。一方、焼きつき現象による暗電流の影響で平均値53が高くなったとしても、その平均値53は上述の通り時間の経過に伴って減少するため、Framei−1のときの平均値でFrameiの平均値を引いた差は、0未満となる。したがって、閾値58を正の値としておくことによって、焼きつき現象に伴う暗電流の影響で放射線の照射を誤って判断することはない。
放射線7が入射していない場合には、欠陥画素を除き画素値は0になるため、比較演算を同じ画素の画素値同士の単純な引き算とした場合、比較演算部39による演算結果は、図13に示したような参照画像データのヒストグラムとほぼ等しくなる。入射判定部40は、たとえばこの演算結果のヒストグラムの平均値あるいはピーク値、最大値が所定の閾値を超えている場合に、放射線7が入射したと判定する。ヒストグラムの平均値、ピーク値、最大値のいずれか一つがそれぞれに対する閾値を超えた場合に放射線7が入射したと判定してもよい。
入射判定の閾値は、平均値、ピーク値、最大値などのそれぞれの値ごとに設ける。たとえばヒストグラムの平均値に対する閾値は、人体を通った部位の画像中心値を目安に決定する。下限値を除く理由は、変化の少ない画素を除いて演算することで放射線検出感度を高めるためである。焼きつき成分による画素もこの群に含まれるため、影響は除外される。また、欠陥画素のように毎Frame値が異なる画像DATAについても影響を軽減するため、上下限値を設ける。このように構成すると検出誤差を軽減できる。下限値については、検出可能な放射線量によっても異なってくるが、回路ノイズの影響がほぼ無視できる程度の値とする。上限値については通常の画像で観測される放射線レベルの画素値としている。
図14は、一実施形態による比較演算結果と書き込み停止との関係の例を示すタイミングチャートである。図14には、メモリ27に記録されたデータ、放射線照射量および比較演算結果を示している。
この例は、Frame2の途中で放射線7の入射が開始し、Frame3の途中で放射線7の入射が終了した場合である。Frame1では、放射線7が入射していないため、ノイズや欠陥画素の影響を排除するとすべての画素値が0となっている。このため、Frame1と画素値がすべて0であるデータとの比較演算結果は、0となる。
Frame2の途中で放射線7が入射しているため、Frame2の画像データ26、すなわち参照画像データには、ゼロではない画素値が多数含まれている。このため、Frame2に関する値からFrame1に関する値を差し引く比較演算結果は、正の値となり、所定の閾値を超える。このため、入射判定部40は、放射線7が入射したと判定する。
放射線7の照射時間が予めわかっている場合には、放射線7の照射開始時刻があるフレーム内であるとわかれば、放射線7の照射終了時刻がどのフレーム内であるかがほぼ特定できる。そこで、放射線7が入射した後、予め定めたデータ取得フレーム数の画像データ26を取得し、その後のフレームでメモリ27への画像データ26の書き込みを停止する。この方法の場合には、放射線7が入射したと判定したフレームの後のフレームでは、比較演算を行う必要がない。
ここで、画像データ26の書き込みを停止するフレーム数、つまり、予め定めたデータ取得フレーム数は、放射線7の照射期間がまたがる可能性があるフレーム数とする。たとえば、放射線7の照射時間がフレーム1つ分の長さより長く、フレーム2つ分の長さより短い場合、放射線7の照射期間がまたがる可能性があるフレーム数は3である。したがって、この場合には、放射線7の入射が確認されたフレーム、およびそれに続く2つのフレームまでは画像データ26をメモリ27に記憶し、その後のフレームで書き込みを停止する。
このとき放射線入射判定手段28から放射線の入射の有無の判定結果を伝達された画像データ選択手段30は、Frame2からFrame4までの画像データ26を選択し、これらの画像データ26を合成して出力用画像データを生成し、出力メモリ33に記憶する。
図15は、本実施形態による比較演算結果と書き込み停止との関係の他の例を示すタイミングチャートである。
この例は、上述の例と同様にFrame2の途中で放射線7の入射が開始し、Frame3の途中で放射線7の入射が終了した場合である。この例では、放射線7の照射終了をメモリ27に記憶された画像データ26に基づいて検知する。
上述の例と同様に、Frame1では、放射線7が入射していないため、ノイズや欠陥画素の影響を排除するとすべての画素値が0となっている。このため、Frame1と画素値がすべて0であるデータとの比較演算結果は、0となる。
また、Frame2に関する値からFrame1に関する値を差し引く比較演算結果は、正の値となり、所定の閾値を超える。さらに、比較演算結果が正(+)方向に変化している。このため、入射判定部40は、放射線7が入射したと判定する。
この例では、さらに、Frame3、Frame4についても比較演算を行う。Frame3に関する値からFrame2に関する値を差し引く比較演算結果は、正の値となり、所定の閾値を超える。比較演算結果は負(−)方向に変化している。このため、入射判定部40は、Frame3については、放射線7の入射が継続していると判定する。また、Frame4に関する値からFrame3に関する値を差し引く比較演算結果は、負の値となり、所定の閾値を下回る。比較演算結果は負(−)方向に変化している。このため、入射判定部40は、Frame3については、放射線7の入射が終了したと判定する。
以上の比較演算結果から、放射線入射判定手段28は、Frame2からFrame3まで放射線が入射したと判定する。その結果、書き込み動作停止手段29は、Frame5で画像データの書き込みを停止する。
このとき放射線入射判定手段28から放射線の入射の有無の判定結果を伝達された画像データ選択手段30は、Frame2およびFrame3の画像データ26を選択し、これらの画像データ26を合成して出力用画像データを生成し、出力メモリ33に記憶する。
また、放射線画像検出部8が蓄積を開始する時刻を画像データ26とともに記録しておいてもよい。有線通信手段または無線通信手段により、放射線照射開始の制御信号を受信したときの時刻が画像データ選択手段30により選択された複数の画像に記録された時間内か、放射線画像検出部8が蓄積を開始する時刻から予め決められた時間内にある場合は、画像データ26を出力し、時刻が異なる場合は警告を出す。この機能を持たせることにより、クロスチェックができるため、間違った画像データを残す可能性が低くなる。
一般的に、光電変換素子に流れる暗電流は、電荷蓄積時間に比例して増加する傾向にある。このため、電荷蓄積時間を変えるとオフセット量も変化する。したがって、電荷蓄積時間に応じてオフセット補正データも取り直す必要がある。しかし、本実施形態によれば、同じ蓄積時間の複数の画像データを合成させて出力させる。このため、蓄積時間に応じてオフセット補正用のデータを取り直す必要がなく、一つの蓄積時間から処理したオフセット補正データから補正できる。
ただし、この合成による方法は回路ノイズが重畳する場合がある。このため、回路ノイズが無視できる程度の線量が必要である。回路ノイズが無視できる程度の線量は、回路ノイズの10倍程度の量子ノイズとなる線量以上である。したがって、合成枚数は数枚にとどめることが望ましい。数枚程度であれば、回路ノイズは実用上問題ないレベルである。
このように本実施形態によれば、放射線の入射判定を行い、放射線が入射したフレームの後、画像データを記憶するメモリが枯渇する前に画像データの書き込みを停止しているので、放射線が入射していないフレームの画像データで放射線が入射したフレームの画像データが上書きされる可能性が低減される。つまり、照射された放射線の透過画像の取得を失敗する可能性が低減される。このため、被検体に無駄な放射線放射を行う可能性が低減される。
また、本実施形態では、画像データに基づいて放射線の入射の有無を判定しているため、放射線照射装置からの放射線照射開始信号を受信できない場合であっても、放射線の入射を判定できる。
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…放射線検出器、2…無線通信手段、3…無線アクセスポイント、4…スイッチングハブ、5…パソコン、6…放射線照射装置、7…放射線、8…放射線画像検出部、9…放射線変換膜、10…TFT、11…ゲート駆動回路、12…信号読取回路、13…ゲート駆動線、14…信号線、15…TFTアレー基板、16…光電変換素子、17…電源、18…画素、19…後段処理回路、20…積分アンプ、21…電圧アンプ、22…サンプルホールド回路、23…マルチプレクサ回路、24…AD変換器、25…並べ替え回路、26…画像データ、27…メモリ、28…放射線入射判定手段、29…書き込み動作停止手段、30…画像データ選択手段、33…出力メモリ、37…比較画像データ、38…参照画像データ、39…比較演算部、40…入射判定部、42…画素アドレスデータ記憶部、52…ピーク値、53…平均値、54…最大値、56…下限値、57…上限値、61…ピーク、62…ピーク、69…検知情報、72…制御回路、73…バイアス線、90…画像データ受信部、91…領域
Claims (14)
- 放射線を電荷信号に変換して蓄積する二次元配列された複数の画素を備え、前記画素に蓄積された電荷量で表される画素値の組を画像データとして時間で区切られたフレーム毎に出力する放射線画像検出部と、
書き込まれた順番に新しいものから所定の記憶枚数分の前記画像データを記憶するメモリと、
前記放射線画像検出部が出力した画像データを順次前記メモリに書き込む画像データ受信部と、
前記フレーム中の前記放射線画像検出部への前記放射線の入射の有無を判定する放射線入射判定手段と、
前記放射線の入射があったと判定されたフレームよりも後のフレームで前記画像データ受信部の前記メモリへの前記画像データの書き込みを停止させる書き込み動作停止手段と、
前記放射線の入射があったと判定されたフレームの前記画像データを前記メモリから選択して出力する画像データ選択手段と、
を具備することを特徴とする放射線検出器。 - 前記入射判定手段は前記画像データから選択される一つの比較画像データとその比較対象画像データよりも前の前記フレームの参照画像データとの比較演算を行い、その比較演算結果に基づいて前記比較画像データのフレームでの前記放射線の入射の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
- 前記比較演算は前記比較画像データおよび前記参照画像データのそれぞれ一部の画素値を用いて行うことを特徴とする請求項2に記載の放射線検出器。
- 前記入射判定手段は前記比較画像データの前記画素値と前記参照画像データの対応する位置での前記画素値とを用いて前記放射線の入射を判定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の放射線検出器。
- 前記比較演算は所定の上限値および下限値で定められる範囲内の画素値を用いて行われることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の放射線検出器。
- 前記比較演算は前記画素値のヒストグラムのピーク値、平均値および最大値の少なくとも一つを含む値を用いて行われることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の放射線検出器。
- 前記比較演算は引き算を含む演算であることを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載の放射線検出器。
- 前記入射判定手段はある前記フレームで前記放射線が入射したと判定するとその前記フレームから所定のデータ取得フレーム数の前記フレームでは前記放射線が入射したと判定して前記比較演算を行わないことを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載の放射線検出器。
- 前記入射判定手段はさらに前記比較演算の結果の変化に基づいて前記放射線の入射を判定することを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載の放射線検出器。
- 前記入射判定手段は外部から放射線照射開始信号を受信する手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の放射線検出器。
- 前記メモリには前記フレームの開始時刻が記憶され、
前記画像データ選択手段は前記放射線照射開始信号を受信した時刻と前記放射線が入射したと判定された前記フレームの前記開始時刻との差が所定の時間以上である場合には警告を出力することを特徴とする請求項10に記載の放射線検出器。 - 前記画像データ選択手段は前記放射線の入射があったと判定された前記フレームが複数である場合にはそれらの前記フレームの前記画像データを選択してそれらを合成して出力することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の放射線検出器。
- 前記画像データ選択手段は前記画像データを出力した後に前記メモリの内容をクリアすることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の放射線検出器。
- 放射線を電荷信号に変換して蓄積する二次元配列された複数の画素を備え、前記画素に蓄積された電荷量で表される画素値の組を画像データとして時間で区切られたフレーム毎に出力する放射線画像検出部と、書き込まれた順番に新しいものから所定の記憶枚数分の前記画像データを記憶するメモリと、を備えた放射線検出器の動作方法において、
前記放射線画像検出部が出力した画像データを順次メモリに書き込む工程と、
前記フレーム中の前記放射線画像検出部への前記放射線の入射の有無を判定する工程と、
前記放射線の入射があったと判定されたフレームよりも後のフレームで前記画像データ受信部の前記メモリへの前記画像データの書き込みを停止させる工程と、
前記放射線の入射があったと判定されたフレームの前記画像データを前記メモリから選択して出力する工程と、
を具備することを特徴とする放射線検出器の動作方法。
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