JP2013122175A - 複合材料、内燃機関及び自動車 - Google Patents

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和晃 西尾
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佳史 藤田
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Abstract

【解決課題】シリンダボア壁の壁温の均一性が高い内燃機関を提供すること。
【解決手段】内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路内に、溝状冷却水流路内を流れる冷却水の流速を制御するためのフィン部材が設置されており、該フィン部材がゴム材により形成されているゴム材層の一方の面側に、ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュが接合されている複合材料の成形体であることを特徴とする内燃機関。
【選択図】図2

Description

本発明は、温度変化に応じて変形する複合材料に関する。また、本発明は、シリンダブロックの溝状冷却水流路を流れる冷却水の流速を制御することにより、シリンダブロックのシリンダボア壁の壁温を均一にすることができる内燃機関及び該内燃機関を有する自動車に関する。
内燃機関では、ボア内のピストンの上死点で燃料の爆発が起こり、その爆発によりピストンが押し下げられるという構造上、シリンダボア壁の上側は温度が高くなり、下側は温度が低くなる。そのため、シリンダボア壁の上側と下側では、熱変形量に違いが生じ、上側は大きく膨張し、一方、下側の膨張が小さくなる。
その結果、ピストンのシリンダボア壁との摩擦抵抗が大きくなり、これが、燃費を下げる要因となっているので、シリンダボア壁の上側と下側とで熱変形量の違いを少なくすることが求められている。
そこで、従来より、シリンダボア壁の壁温を均一にするために、溝状冷却水流路内にスペーサーを設置し、溝状冷却水流路内の冷却水の水流を調節して、冷却水によるシリンダボア壁の上側の冷却効率と及び下側の冷却効率を制御することが試みられてきた。例えば、特許文献1には、内燃機関のシリンダブロックに形成された溝状冷却用熱媒体流路内に配置されることで該溝状冷却用熱媒体流路内を複数の流路に区画する流路区画部材であって、前記溝状冷却用熱媒体流路の深さに満たない高さに形成され、前記溝状冷却用熱媒体流路内をボア側流路と反ボア側流路とに分割する壁部となる流路分割部材と、前記流路分割部材から前記溝状冷却用熱媒体流路の開口部方向に向けて形成され、かつ先端縁部が前記溝状冷却用熱媒体流路の一方の内面を越えた形に可撓性材料で形成されていることにより、前記溝状冷却用熱媒体流路内への挿入完了後は自身の撓み復元力により前記先端縁部が前記内面に対して前記溝状冷却用熱媒体流路の深さ方向の中間位置にて接触することで前記ボア側流路と前記反ボア側流路とを分離する可撓性リップ部材と、を備えたことを特徴とする内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材が開示されている。
特開2008−31939号公報(特許請求の範囲)
ところが、引用文献1の内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材によれば、ある程度のシリンダボア壁の壁温の均一化が図れるので、シリンダボア壁の上側と下側との熱変形量の違いを少なくすることができるものの、近年、更に、シリンダボア壁の上側と下側との熱変形量の違いを少なくすることが求められている。
従って、本発明の課題は、シリンダボア壁の壁温の均一性が高い内燃機関及び該内燃機関を有する自動車を提供することにある。
ところで、温度変化に応じて変化する材料としては、線膨張率が異なる2種の金属材を貼り合わせたバイメタル材が知られている。しかし、従来のバイメタル材は、金属材料で構成されているため、従来のバイメタルを、金属腐食が起こるような場所で使用することはできない。
従って、本発明の課題は、温度変化に応じて変形する、従来のバイメタルに代わる新規な材料を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、(1)ゴム材層にガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュを接合させて得られる複合材料は、温度変化に応じて変形すること、(2)このような複合材料をフィン部材として、シリンダブロックの溝状冷却水流路内に設置することにより、溝状冷却水流路内を流れる冷却水の流速を、冷却水の温度に応じて制御することができること、及び(3)このような作用により、シリンダボア壁の壁面の温度を一定の温度範囲に保つことができること等を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明(1)は、ゴム材により形成されているゴム材層の一方の面側に、ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュが接合されていることを特徴とする複合材料を提供するものである。
また、本発明(2)は、内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路内に、溝状冷却水流路内を流れる冷却水の流速を制御するためのフィン部材が設置されており、
該フィン部材が、本発明(1)の複合材料の成形体であること、
を特徴とする内燃機関を提供するものである。
本発明(2)の内燃機関を有することを特徴とする自動車を提供するものである。
本発明によれば、内燃機関のシリンダボア壁の壁温の均一性を高くすることができる。そのため、本発明によれば、シリンダボア壁の上側と下側との熱変形量の違いを少なくすることができる。また、本発明によれば、温度変化に応じて変形する、従来のバイメタルに代わる新規な材料を提供することができる。
本発明の複合材料の形態例を示す模式的な斜視図である。 図1に示す複合材料1aが変形する様子を示す図である。 図1に示す複合材料1aの固定端91が、被固定物8に固定された状態を上側から見た図である。 符号12の方向で複合材料1aが反ったときの様子を示す模式図である。 本発明の内燃機関に係るシリンダブロックを示す模式的な平面図である。 図5に示すシリンダブロックの斜視図である。 溝状冷却水流路にフィン部材が設置されているシリンダブロックを示す模式的な平面図である。 図7のx−x線端面図である。 フィン部材が温度変化に応じて変形する様子を示す模式的な図である。 実施例7における、数値流体力学的解析結果を示す図である。
本発明の複合材料は、ゴム材により形成されているゴム材層の一方の面側に、ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュが接合されていることを特徴とする複合材料である。
本発明の複合材料について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明の複合材料の形態例を示す模式的な斜視図であり、変形前の複合材料1aを示す図である。図1中、複合材料1aは、線膨張率が異なる2種の材料、すなわち、ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュ2とゴム材層3とが接合されている複合材料である。なお、以下では、ガラス繊維クロス及びステンレス鋼繊維メッシュのうち、ガラス繊維クロスを代表例として、説明する。また、図1に示すガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュ2は、実際は、繊維がクロス又はメッシュ状に織られたシート状のものであるが、作図の都合上、1つ1つの繊維の記載を省略し、1つの層として、ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュを記載した。
ゴム材層3は、平面方向に広がる層状の形状であり、ゴム材層3の一方の面側に、ガラス繊維クロス2が接合して、複合材料1aを形成している。
複合材料1aでは、複合材料1aを構成するガラス繊維クロス2とゴム材層3の線膨張率とは異なっており、ガラス繊維クロス2の線膨張率に比べ、ゴム材層3の線膨張率の方が大きい。つまり、「ガラス繊維クロス2の線膨張率<ゴム材層3の線膨張率」である。図2は、図1に示す複合材料1aが変形する様子を示す模式的な図であり、図1に示す複合材料1aの固定端91が、被固定物8に固定された状態を正面から見た図である。図2(A)は、変形前の複合材料1aであり、温度がX℃のときの状態であり、図2(B)は、X℃より高温のY℃のときの状態である。つまり、「X<Y」である。
図2中、複合材料1aの固定端91は、被固定物8に固定されており、一方、自由端92は、どこにも固定されていない。図2(A)の温度では、ガラス繊維クロス2とゴム材層3は同じ長さなので、複合材料1aは真っ直ぐになっている。そして、ガラス繊維クロス2に比べゴム材層3の方が線膨張率が大きいため、図2(A)の状態の温度より高温になると、ガラス繊維クロス2よりゴム材層3の方が熱膨張量が大きくなるので、図2(B)のように、複合材料1aは、上向けに反るように変形する。そのため、図2(B)中の自由端92の位置が、図2(A)中の自由端92の位置に比べ、変形量4の分だけ上に移動する。
また、温度が高くなって、図2(B)の状態に変形した後、図2(B)のときの温度より温度が低くなると、ガラス繊維クロス2よりゴム材層3の方が収縮量が大きくなるので、図2(A)の状態に戻るように変形し、自由端92の位置が、図2(B)の状態から下に移動する。そして、図2(A)の状態の温度まで温度が下がると、図2(A)の状態に戻る。
本発明の複合材料に係るゴム材層は、ゴム材により形成されている。ゴム材層を形成するゴム材としては、特に制限されないが、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、等が挙げられる。なお、ゴム材層を形成するゴム材の種類は、複合材料が設置される場所や用途により、適宜選択される。
ゴム材層を形成するゴム材は、加硫剤、酸化防止剤等の添加剤などの他の成分を、適宜、本発明の効果を損なわない範囲で、含有していてもよい。
ゴム材層を形成するゴム材は、無機粉末を含有していてもよい。ゴム材層を形成するゴム材に含有される無機粉末は、ゴム材層に含有させたときに、ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュの線膨張率に比べ、ゴム材層の線膨張率が高くなるものであれば、特に制限されない。無機粉末としては、カーボン粉末や、シリカ粉末等の金属酸化物粉末などが挙げられる。これらのうち、無機粉末としては、カーボン粉末、シリカ粉末が好ましい。無機粉末は、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
本発明の複合材料では、ゴム材層の一方の面側に、ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュが接合されている。
ガラス繊維クロスは、ガラス繊維の織布である。ガラス繊維としては、特に制限されず、複合材料の温度変化に応じて変形が可能な材質、繊維径、織り密度等が、適宜選択される。
ステンレス鋼繊維メッシュは、ステンレス鋼で形成されている繊維が、平織されたもの、綾織されたもの等、ステンレス鋼繊維を織った物である。ステンレス鋼繊維としては、特に制限されず、複合材料の温度変化に応じて変形が可能な材質、繊維径、織り密度等が、適宜選択される。
ゴム材層の厚み(図1中の符号5)、ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュの厚み(図1中の符号6)及び本発明の複合材料の厚み(図1中の符号7)は、本発明の複合材料が適用される用途や場所により、適宜選択される。
本発明の複合材料において、ゴム材層のいずれの面側に、ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュを接合させるかは、いずれの面側に反るように変形させるかということにより、適宜選択される。
図3は、図2(A)の平面図であり、図1に示す複合材料1aの固定端91が、被固定物8に固定された状態を上側から見た図である。温度を変化させたときのガラス繊維クロス2及びゴム材層3が、複合材料1aを平面視したときの固定端91側の複合材料1aの辺に対して垂直な方向(図3中の符号11で示す方向)に選択的に膨張した場合、図2(B)に示すように、符号11の方向で複合材料1aが反るように変形する。
一方、温度を高くしたときのガラス繊維クロス2及びゴム材層3が、複合材料1aを平面視したときの固定端91側の複合材料1aの辺に平行な方向(図3中の符号12で示す方向)に選択的に膨張した場合、図4に示すように、符号12の方向で複合材料1aが反るように変形する。なお、図4は、符号12の方向で複合材料1aが反ったときの様子を示す模式図であり、自由端92側から複合材料1aを見た図である。
なお、本発明の複合材料に、変形方向を制御する手段が施されていない場合には、本発明の複合材料は、温度を変化させたときに、複合材料を平面視したときの固定端側の複合材料の辺に対して垂直な方向にも平行な方向にも反る。
本発明の複合材料の用途が、複合材料を平面視したときの固定端側の複合材料の辺に対して垂直な方向にも平行な方向にも、複合材料が反ってもよいような用途の場合には、特に、複合材料の変形方向を制御しなくてもよい。
それに対して、本発明の複合材料の用途によっては、複合材料が、一定方向に選択的に変形するように制御する必要がある場合もある。
複合材料を平面視したときの固定端側の辺に対して垂直な方向(図3中、符号11の方向)に、選択的に反らせる場合を例に、複合材料の変形方向を制御する方法について説明する。
本発明の複合材料を、複合材料を平面視したときの固定端側の辺に対して垂直な方向に選択的に反らせる方法としては、例えば、ゴム材層を形成するゴム材を、複合材料を平面視したときの固定端側の辺に対して垂直な方向に配向させる方法が挙げられる。つまり、複合材料を反らせたい方向に、ゴム材層を形成するゴム材を配向させることにより、複合材料が反る方向を制御する方法である。
本発明の複合材料では、ゴム材層に、ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュの一部が食い込むこと、言い換えると、ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュの繊維間の隙間に、ゴム材層の一部が入り込むことにより、ゴム材層に、ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュが接合されている。そのため、本発明の複合材料では、ゴム材層に、ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュが食い込んでいる部分があってもよい。
本発明の複合材料を製造する方法は、特に制限されず、例えば、ゴム材層の上にガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュを載せ、熱プレスを行う方法が挙げられる。
図1〜図4では、説明の都合上、変形前の複合材料の形状が、平らな板状である場合について説明したが、変形前後の複合材料の形状は、複合材料が設置される場所や用途等に応じて、適宜選択される。
本発明の複合材料は、図2に示すように、温度変化に応じて変形するので、例えば、サーモスタットのように温度変化に応じて電源をON/OFFするためのスイッチのように温度変化に応じて電気回路を切り替えるための温度検知部材や、AT用の弁、電動チョーク、キャブ用エアクリーナーのように自動車用の各種流量制御バルブ等、温度変化に応じて位置が変化するという本発明の複合材料の作用を用いることができる用途に、広く適用される。
特に、本発明の複合材料は、複合材料が、ゴム材とガラス又はステンレス鋼により形成されているので、強アルカリ性下においても金属腐食の問題が起こらない。そのため、従来のバイメタルが適用できなかった用途にも、本発明の複合材料の適用が可能となる。例えば、自動車等の内燃機関の冷却水は、非常に腐食性が強いが、本発明の複合材料では、金属腐食の問題が起こらないので、内燃機関の冷却水と接触するような場所で、本発明の複合材料を用いることができる。
例えば、本発明の複合材料は、内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路内に設置され、該溝状冷却水流路内を流れる冷却水の流速を制御するためのフィン部材として、好適に用いられる。
本発明の内燃機関は、内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路内に、該溝状冷却水流路内を流れる冷却水の流速を制御するためのフィン部材が設置されており、
該フィン部材が、本発明の複合材料の成形体であることを特徴とする内燃機関である。
本発明の内燃機関について、図5〜図9を参照して説明する。図5は、本発明の内燃機関に係るシリンダブロックを示す模式的な平面図であり、フィン部材が設置されていない状態の図である。図6は、図5に示す中のシリンダブロックの斜視図である。図7は、溝状冷却水流路にフィン部材が設置されているシリンダブロックを示す模式図である。図8は、図7のx−x断面図である。図9は、フィン部材が温度変化に応じて変形する様子を示す模式的な図であり、溝状冷却水流路を上側から見た図である。図9(A)は、冷却水の温度が低いときの状態を示す図であり、また、図9(B)は、冷却水の温度が高いときの状態を示す図である。
図5及び図6に示すように、車両搭載用内燃機関のオープンデッキ型のシリンダブロック21には、ピストンが上下するためのボア22、及び冷却水を流すための溝状冷却水流路24が形成されている。そして、ボア22を形成している壁が、シリンダボア壁23である。また、シリンダブロック21には、溝状冷却水流路24へ冷却水を供給するための冷却水供給口25及び冷却水を溝状冷却水流路24から排出するための冷却水排出口26が形成されている。なお、シリンダボア壁23のうち、ボア22と隣のボア22との間のボア壁を、ボア間壁32と呼び、また、溝状冷却水流路24のうち、ボア間壁32の近傍の溝状冷却水流路を、溝状冷却水流路のボア間壁近傍31と呼ぶ。
図7及び図8に示すように、溝状冷却水流路24内に、つまり、シリンダボア壁の壁面27と壁面27とは反対側の溝状冷却水流路の壁面28の間に、フィン部材29が設置される。図7〜図9に示す形態例では、フィン部材29の固定端291が、壁面28に固定されることにより、フィン部材29が、溝状冷却水流路24内に設置されている。また、フィン部材29の自由端292は、どこにも固定されておらず、フィン部材29の自由端292が、溝状冷却水流路のボア間壁近傍31に位置するように、フィン部材29が設置されている。
このフィン部材29は、本発明の複合材料の成形体である。フィン部材29では、ガラス繊維クロス又はステンレス鋼メッシュがシリンダボア壁の壁面27側に配置され、ゴム材層が壁面28側に配置されている。そのため、温度が高くなると、自由端292がシリンダボア壁の壁面27に近づくように、フィン部材29が反る。
内燃機関では、円形のボア22が複数形成されているので、シリンダボア壁23の溝状冷却水流路24側の輪郭は、図5に示すように、複数の円が重なり合った形状となる。そして、溝状冷却水流路24は、シリンダボア壁23の溝状冷却水流路24側の輪郭に沿った形状に形成される。そのため、溝状冷却水流路のボア間壁近傍31で、冷却水が、鋭角に流れを変えることになるので、冷却水は、溝状冷却水流路のボア間壁近傍31で、滞留し易くなる。更に、ボア間壁32は、隣合う2つのボアの両方からの燃焼熱の影響を受けるので、ボア間壁及びその近傍のシリンダボア壁は、他の部分のシリンダボア壁に比べ、温度が高くなる。これらが、シリンダボア壁の壁温の不均一化を招く原因となる。
図9は、本発明の複合部材により形成されているフィン部材29が、溝状冷却水流路24内で変形する様子を示す模式図であり、溝状冷却水流路を上側から見た図である。図9(A)は、冷却水の温度が低いときの状態であり、また、図9(B)は、冷却水の温度が高いときの状態である。
図9(A)のように、冷却水の温度が低いときは、フィン部材29の自由端292は、壁面28側によっているため、自由端292とシリンダボア壁の壁面27との距離34は、大きくなっている。そして、距離34が大きいと、シリンダボア壁の壁面27の近傍を流れる冷却水の流速は遅くなるので、冷却効率が低い。また、距離34が大きいと、図9(A)に示すように、溝状冷却水流路のボア間壁近傍31から離れた位置を、冷却水33の多くが流れるため、冷却水33が、溝状冷却水流路のボア間壁近傍31に流れ込み難くなる。この状態が続くと、シリンダボア壁の壁面27の温度が高くなり、そのため、冷却水全体の温度が高くなる。
冷却水の温度が高くなると、フィン部材29の温度が高くなるため、フィン部材29は、変形をはじめ、図9(B)のように、自由端292がシリンダボア壁の壁面27に近づくように、変形する。そのため、自由端292とシリンダボア壁の壁面27との距離34が、小さくなる。そして、距離34が小さいと、シリンダボア壁の壁面27の近傍を流れる冷却水の流速が速くなるので、冷却効率が高くなる。また、距離34が小さいと、図9(B)に示すように、溝状冷却水流路のボア間壁近傍31に、冷却水33の多くが流れ込むことになる。この状態が続くと、シリンダボア壁の壁面27の温度が低くなり、そのため、冷却水全体の温度が低くなる。
冷却水の温度が低くなると、フィン部材29の温度が低くなるため、フィン部材29は、自由端292がシリンダボア壁の壁面27から遠ざかるように、変形する。そして、図9(A)の状態に戻る。図9(A)の状態が続き、冷却水全体の温度が高くなると、再び、図9(B)の状態になり、以後、図9(A)の状態と図9(B)の状態とが、繰り返される。
そして、冷却水全体の温度が、高くなり過ぎると、図9(B)の状態になって、シリンダボア壁の壁面が冷却され温度が下がり、冷却水の温度も低くなる。また、冷却水全体の温度が、低くなり過ぎると、図9(A)の状態になって、シリンダボア壁の壁面の温度が上がり、冷却水の温度も高くなる。このようなことから、本発明の内燃機関では、図9(A)の状態と図9(B)の状態とが、繰り返されることにより、冷却水全体の温度は、高くなり過ぎず且つ低くなり過ぎない、一定の温度範囲内で推移する。そのため、シリンダボア壁の壁面27の温度が、一定の温度範囲内に保たれる。
フィン部材29のゴム材層を形成するゴム材としては、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)が挙げられ、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が耐ロングライフクーラント性(以下、耐LLC性とも記載する。)及び耐熱性が高い点で好ましい。フィン部材29のゴム材層を形成するゴム材が、上記のゴムであれば、冷却水流路内において、−10℃〜150℃、特に−40℃〜200℃の温度で、且つ10年以上の長期間の環境において、十分な安定性を維持しつつ本発明の作用効果を奏し、また、LLCによる腐食の問題も生じない。
図7及び図8に示す形態例では、フィン部材29の縦方向の設置位置は、溝状冷却水流路24の略上側半分であるが、これは、シリンダボア壁の壁面27の上側の温度が、下側の温度に比べ高いため、フィン部材29を、溝状冷却水流路24の上側に設置するのが効率的であるためである。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、フィン部材29の設置位置は、適宜選択され、例えば、フィン部材29が、溝状冷却水流路24の縦方向の全体に亘って設置されている形態であってもよい。
フィン部材29の設置方法は、特に制限されず、例えば、溝状冷却水流路24内の冷却水流れを制御するために、溝状冷却水流路24内に設置されるスペーサーに、フィン部材29を固定する方法、フィン部材29の固定端を支持部材に固定し、その支持部材を溝状冷却水流路24内に設置する方法等が挙げられる。
図7及び図8に示す形態例では、シリンダブロックに、4つのフィン部材が設置されているが、フィン部材の数は、ボアの数、冷却効率等を考慮して、適宜選択される。
本発明の内燃機関は、本発明の複合材料の成形体であるフィン部材が、シリンダブロックの溝状冷却水流路に設置されていることを特徴とする内燃機関であるが、シリンダブロック及びフィン部材の他に、ピストン、シリンダヘッド、ヘッドガスケット等を有する。
本発明の内燃機関において、フィン部材を、シリンダブロックの溝状冷却水流路に設置する方法としては、特に制限されず、例えば、溝状冷却水流路の中下部の冷却水の流れを制御するために溝状冷却水流路の中下部に設置されるスペーサーに、フィン部材の固定端側を固定する方法、シリンダヘッドにフィン部材の固定端の上部を固定する方法等が挙げられる。
本発明の自動車は、本発明の内燃機関を有することを特徴とする自動車である。
(実施例1〜6)
(複合材料の作製)
ゴム材層にガラス繊維クロスを重ねて熱プレスを行い、下記仕様の複合材料を作製した。
<複合材料>
長さ:表1に示す長さ(mm)
幅:10mm
厚み:表1に示す厚さ(mm)
<ガラス繊維クロス>
ガラス繊維の材質:石英ガラス繊維
ガラス繊維クロスの厚み:0.24mm
<ゴム材層>
ゴム材:エチレンプロピレンジエン系ゴム(EPDM系ゴム)
(複合材料の変形量の測定)
複合材料の設置装置に、複合材料の一端を固定し、自由端側の近傍に、複合材料の自由端の変形量が測定できるように、定規を固定した。次いで、加熱炉内に、複合材料及び定規が固定された複合材料の設置装置を設置した。
次いで、加熱炉内を表1に示す温度で、60分間保った後、定規の目盛を読んで、複合材料の変形量を測定した。
(実施例7)
(数値流体力学的解析)
(i)自由端292とシリンダボア壁の壁面27との距離が1.5mmとなるようにフィン部材が変形したときと、(ii)自由端292とシリンダボア壁の壁面27との距離が6.7mmとなるようにフィン部材が変形したときの、公知の数値流体力学的(Computational Fluid Dynamics)解析を行った。その結果を図10に示す。
本発明によれば、内燃機関のシリンダボア壁の上側と下側との変形量の違いを少なくすることができるので、ピストンの摩擦を低くすることができるため、省燃費の内燃機関を提供できる。
1a 複合材料
2 ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュ
3 ゴム材層
4 変形量
5 ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュの厚み
6 ゴム材層の厚み
7 複合材料の厚み
8 被固定物
11 複合材料を平面視したときの固定端側の辺に対して垂直な方向
12 複合材料を平面視したときの固定端側の辺に平行な方向
21 シリンダブロック
22 ボア
23 シリンダボア壁
24 溝状冷却水流路
25 冷却水供給口
26 冷却水排出口
27 シリンダボア壁23の壁面
28 シリンダボア壁23とは反対側の溝状冷却水流路24の壁面
29 フィン部材
31 溝状冷却水流路のボア間壁近傍
32 ボア間壁
34 自由端292とシリンダボア壁の壁面27との距離
91、291 固定端
92、292 自由端

Claims (5)

  1. ゴム材により形成されているゴム材層の一方の面側に、ガラス繊維クロス又はステンレス鋼繊維メッシュが接合されていることを特徴とする複合材料。
  2. 前記ゴム材層を形成するゴム材が、エチレンプロピレンジエンゴムであることを特徴とする請求項1記載の複合材料。
  3. 内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路内に設置され、溝状冷却水流路内を流れる冷却水の流速を制御するためのフィン部材用であることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載の複合材料。
  4. 内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路内に、溝状冷却水流路内を流れる冷却水の流速を制御するためのフィン部材が設置されており、
    該フィン部材が、請求項1又は2いずれか1項記載の複合材料の成形体であること、
    を特徴とする内燃機関。
  5. 請求項4記載の内燃機関を有することを特徴とする自動車。
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