以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図において、10は本実施の形態における画像処理装置であり、例えば、複写機であるが、記録媒体上に色材による画像を形成するための画像処理を実行する装置であれば、いかなる種類の装置であってもよく、プリンタ、ファクシミリ機等であってもよいし、プリンタ、ファクシミリ機、複写機、各種の機能を併せ持つ複合機(MFP:Multi Function Peripheral)であってもよい。ここでは、前記画像処理装置10が、少なくとも、原稿の画像を読み取るスキャナとしての機能を備える画像読取部12と、印刷を行って記録紙等の記録媒体上に色材による画像を形成するプリンタとしての機能を備える印刷部24とを有し、原稿のコピーを行うコピー機、すなわち、複写機であるものとして説明する。
なお、前記画像処理装置10は、イントラネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して、図示されないパーソナルコンピュータ、サーバ等の上位装置に接続されているものであってもよいが、ここでは、上位装置に接続されていないものとして説明する。また、前記印刷部24における印刷方式は、例えば、インクジェット方式、熱転写方式、電子写真方式等であるが、いかなるものであってもよく、ここでは、電子写真方式であるものとし、カラー画像も形成可能であるものとする。
本実施の形態における画像処理装置10は、原稿の画像データを取得し、取得した画像データに対して所定の処理を施して印刷を行う装置であり、オペレーションパネル11と、画像読取部12と、画像データ補正処理部13と、第1のフィルタ処理部21と、第1の色変換処理部22と、第1の二値化処理部23と、画像形成部としての印刷部24と、第1の文字隣接領域検出部25と、色材セーブ処理部としての第1のトナーセーブ処理部26とを有する。
ここで、オペレーションパネル11は、画像処理装置10のオペレータが操作してコピー開始等の指示を行うユーザインターフェイスである。また、前記オペレーションパネル11を操作することによって、原稿をコピーする際、色材としてのトナーの消費量を節約する色材セーブ処理、すなわち、トナーセーブ処理を実行するトナーセーブモードを指定することができる。なお、トナーセーブモードが指定されない場合には、トナーの消費量を節約しない通常の処理を実行する通常モードとなる。
画像読取部12は、前記オペレーションパネル11によってコピー開始の指示が行われると、原稿を走査してその画像を読み取り、RGB信号の画像データを取得する。
そして、画像データ補正処理部13は、前記画像読取部12が取得したRGB信号の画像データに対して、γ補正、デバイスに依存しない信号への変換等の処理を実行し、R1 G1 B1 信号の画像データを出力する。
また、第1のフィルタ処理部21は、前記画像データ補正処理部13が出力したR1 G1 B1 信号の画像データに対して、文字の鮮鋭性を高める強調処理、網点等の領域で発生する可能性のあるモアレを抑制する平滑化処理等の処理を実行し、R2 G2 B2 信号の画像データを出力する。
さらに、第1の色変換処理部22は、前記第1のフィルタ処理部21が出力したR2 G2 B2 信号の画像データをCMYK信号の画像データに変換して出力する。
そして、第1の二値化処理部23は、前記第1の色変換処理部22が出力したCMYK信号の画像データをディザ、誤差拡散法等の方法によって二値化し、C1 M1 Y1 K1 信号の画像データを出力する。
なお、前記オペレーションパネル11によってトナーセーブモードが指定された場合には、第1の二値化処理部23による処理の後に、第1の文字隣接領域検出部25による処理が実行され、通常モードの場合には、第1の二値化処理部23による処理の後に、印刷部24による処理が実行されるように、処理の切り替えが行われる。
そして、トナーセーブモードが指定された場合、第1の文字隣接領域検出部25は、前記第1の二値化処理部23が出力したC1 M1 Y1 K1 信号の画像データを用いて、画像中の文字に隣接する領域としての文字隣接領域を検出し、領域データを出力する。
また、第1のトナーセーブ処理部26は、前記第1の文字隣接領域検出部25が出力した領域データを用いて、C1 M1 Y1 K1 信号の画像データに対してトナーセーブ処理を実行し、C2 M2 Y2 K2 信号の画像データを出力する。
さらに、印刷部24は、通常モードの場合には前記第1の二値化処理部23が出力したC1 M1 Y1 K1 信号の画像データの印刷を行い、また、トナーセーブモードが指定された場合には前記第1のトナーセーブ処理部26が出力したC2 M2 Y2 K2 信号の画像データの印刷を行う。前記印刷部24は、例えば、印刷方式が電子写真方式である場合、感光ドラム上に静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーによって現像し、該トナーを記録紙等の記録媒体に転写することによって印刷を行う。
前記画像読取部12、画像データ補正処理部13、第1のフィルタ処理部21、第1の色変換処理部22、第1の二値化処理部23、第1の文字隣接領域検出部25、第1のトナーセーブ処理部26等の動作は、画像処理装置10に実装されているプログラムに従って実行される。なお、該プログラムは、画像処理装置10が有する図示されない不揮発性メモリ、揮発性メモリ、ハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)等の記憶手段に格納されている。
また、前記画像読取部12、画像データ補正処理部13、第1のフィルタ処理部21、第1の色変換処理部22、第1の二値化処理部23、第1の文字隣接領域検出部25、第1のトナーセーブ処理部26等が出力する画像データ、領域データ等のデータは、前記記憶手段に格納される。なお、前記データは、処理が終了した後に削除することができる。
次に、前記構成の画像処理装置10の動作について説明する。ここでは、トナーセーブモードが指定された場合における第1の文字隣接領域検出部25及び第1のトナーセーブ処理部26の動作についてのみ説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態における画像データを分割したブロックの例を示す図、図3は本発明の第1の実施の形態における文字を網点で表す画像データの例を示す図、図4は本発明の第1の実施の形態における第1の文字隣接領域検出部及び第1のトナーセーブ処理部の動作を示すフローチャートである。なお、図2において、(a)はトナー消費量を節約するための画像処理を実行する前の状態を示す図、(b)はトナー消費量を節約するための画像処理を実行した後の状態を示す図であり、図3において、(a)はトナー消費量を節約するための画像処理を実行する前の状態を示す図、(b)は文字のエッジ部の1画素以外の画素に対してトナー消費量を節約するための画像処理を実行した状態を示す図、(c)は非文字隣接領域の画素に対してトナー消費量を節約するための画像処理を実行した状態を示す図である。
トナーセーブモードが指定された場合、まず、第1の文字隣接領域検出部25は、第1の二値化処理部23が出力したC1 M1 Y1 K1 信号の画像データを用いて地色画素検出を実行する。この場合、前記画像データが二値化されたデータなので、第1の文字隣接領域検出部25は、画像データ中の白い画素、すなわち、濃度がない画素を地色を示す画素としての地色画素として検出する。そして、第1の文字隣接領域検出部25は、検出した地色画素を領域データとして出力する。
続いて、第1の文字隣接領域検出部25は、領域データとして出力した地色画素を用いて、背景画素検出を実行する。ここで、第1の文字隣接領域検出部25は、画像データ中の第1所定範囲内の全画素が地色画素であれば、前記第1所定範囲の中心画素を背景画素として検出する。なお、前記第1所定範囲は、例えば、5画素×5画素の画素ブロックであるが、必ずしもこの大きさに限定されるものではない。また、前記第1所定範囲は、長方形、円形、楕(だ)円形等の範囲であってもよい。さらに、第1の文字隣接領域検出部25は、第1所定範囲内の全画素が地色画素であれば、前記第1所定範囲内の全画素を背景画素として検出してもよい。そして、第1の文字隣接領域検出部25は、検出した背景画素を領域データとして出力する。
続いて、第1の文字隣接領域検出部25は、領域データとして出力した背景画素を用いて、文字隣接領域検出を実行する。ここで、第1の文字隣接領域検出部25は、背景画素でない画素、すなわち、非背景画素を中心とする第2所定範囲内に背景画素が存在すれば、前記第2所定範囲の中心画素を文字隣接領域に含まれる画素、すなわち、文字隣接領域画素として検出する。文字隣接領域に地色画素が多い場合には、文字隣接領域を多少広く検出することが望ましい。なお、前記第2所定範囲は、例えば、9画素×9画素の画素ブロックであるが、必ずしもこの大きさに限定されるものではない。また、前記第2所定範囲は、長方形、円形、楕円形等の範囲であってもよい。さらに、第1の文字隣接領域検出部25は、画像中の背景画素と検出された画素周辺の非背景画素との地色画素の割合を計算し、該地色画素の割合に応じて前記第2所定範囲を変更してもよい。そして、第1の文字隣接領域検出部25は、検出した文字隣接領域画素を領域データとして出力する。
最後に、第1のトナーセーブ処理部26は、第1の文字隣接領域検出部25が領域データとして出力した文字隣接領域画素を用いて、C1 M1 Y1 K1 信号の画像データに対してトナーセーブ処理を実行し、処理を終了する。ここで、第1のトナーセーブ処理部26は、画像データを所定サイズのブロックに分割し、各ブロック内の文字隣接領域に含まれていない画素、すなわち、非文字隣接領域画素であって濃度がある画素(黒い画素)をカウントし、所定倍数の濃度がある画素を濃度がない画素(白い画素)にする処理を実行する。つまり、非文字隣接領域画素に対してのみトナー消費量を節約するための画像処理を実行する。このように、濃度がある画素を濃度がない画素にすることによって、着色されるドットが間引かれてその数が減るので、トナーの消費量を抑制することができる。なお、前記ブロックは、例えば、図2に示されるように、11画素×11画素の画素ブロックであるが、必ずしもこの大きさに限定されるものではない。また、前記ブロックは、長方形、円形、楕円形等の範囲であってもよい。さらに、前記所定倍数は、例えば、3であるが、必ずしもこの値に限定されるものではない。さらに、前記ブロック内で濃度がない画素にする画素をあらかじめ定めておき、非文字隣接領域画素であって濃度がある画素に対して、濃度がない画素にする処理を実行してもよい。そして、第1のトナーセーブ処理部26は、トナーセーブ処理を実行することによって得られたC2 M2 Y2 K2 信号の画像データを出力する。
図2(a)には、第1のトナーセーブ処理部26が画像データを分割することによって得られた所定サイズのブロックの例が示されている。図2において、黒い画素は濃度がある画素を表し、白い画素は濃度がない画素を表している。また、斜線(ハッチング)部分の画素は、文字隣接領域画素として検出された画素である。前記ブロック内の非文字隣接領域画素であって濃度がある画素のカウントは、前記ブロックの左上から右に向かって順次行われ、1行分のカウントが終了すると、次の行のカウントが順次行われ、右下の画素までカウントが行われる。
図2(b)は、図2(a)に示される例において、非文字隣接領域画素に対してのみトナー消費量を節約するための画像処理を実行した結果を示すものである。非文字隣接領域画素であって濃度がある画素の一部は、濃度がない画素になっている。これにより、着色されるドットの数が減り、トナーの消費量が抑制、すなわち、節約される。なお、文字隣接領域では、濃度がある画素が濃度がない画素にならないので、トナーの消費量が節約されない。
また、図3(a)に示される網点中の白文字のように、点の密度で文字のエッジ部が表わされているような文字に対しては、文字隣接領域をある程度広く検出し、文字隣接領域の画素に対してトナー消費量を節約するための画像処理を実行しないことによって、文字のエッジ部の点の密度を高く保つことができ、文字の視認性を保つことができる。
なお、図3(b)に示される例は、図3(a)に示される画像データに対して、文字のエッジ部の1つの画素のみに対してトナー消費量を節約するための画像処理を実行せず、他の画素に対してトナー消費量を節約するための画像処理を実行した場合を示している。この場合、文字の視認性が悪化していることが分かる。つまり、トナー消費量を節約するための画像処理を実行しない対象が、文字のエッジ部の1つの画素のみであると、文字の視認性を保つことができない。
これに対し、図3(c)に示される例は、図3(a)に示される画像データに対して、前記第1のトナーセーブ処理部26のトナーセーブ処理を実行した場合を示している。すなわち、文字隣接領域をある程度広く検出し、文字隣接領域の画素に対してトナー消費量を節約するための画像処理を実行せず、非文字隣接領域の画素に対してトナー消費量を節約するための画像処理を実行した場合を示している。この場合、文字のエッジ部の点の密度を高く保つことができ、文字の視認性を保つことができることが分かる。また、背景画素から文字隣接領域を検出しているので、白い背景にある文字は、文字隣接領域画素として検出され、トナー消費量を節約するための画像処理が実行されない。このように、本実施の形態におけるトナーセーブ処理では、白い背景にある文字の視認性も保つことができる。
なお、本実施の形態では、画像読取部12が取得した画像データを用いた場合について説明したが、画像データ中の文字の座標情報、色情報等があらかじめ分かっている場合には、第1の文字隣接領域検出部25が実行する地色画素検出及び背景画素検出を省略することができる。この場合、第1の文字隣接領域検出部25は、前記文字の座標情報、色情報等に基づいて文字隣接領域を検出し、画像データの所定範囲内に文字領域が含まれていれば、前記所定範囲の中心画素を文字隣接領域として検出することができる。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 第1の文字隣接領域検出部25は、第1の二値化処理部23が出力したC1 M1 Y1 K1 信号の画像データを用いて地色画素検出を実行する。
ステップS2 第1の文字隣接領域検出部25は、領域データとして出力した地色画素を用いて、背景画素検出を実行する。
ステップS3 第1の文字隣接領域検出部25は、領域データとして出力した背景画素を用いて、文字隣接領域検出を実行する。
ステップS4 第1のトナーセーブ処理部26は、第1の文字隣接領域検出部25が領域データとして出力した文字隣接領域画素を用いて、C1 M1 Y1 K1 信号の画像データに対してトナーセーブ処理を実行し、処理を終了する。
このように、本実施の形態においては、トナーセーブモードが指定されると、画像中の文字隣接領域を検出し、該文字隣接領域に対してはトナー消費量を節約するための画像処理を実行せず、非文字隣接領域に対してトナー消費量を節約するための画像処理を実行する。これにより、網点中の白文字のように点の密度でエッジ部が表わされている文字や白い背景にある文字の視認性を保ちつつ、トナー消費量を低減することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図5は本発明の第2の実施の形態における画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図に示されるように、本実施の形態における画像処理装置10は、前記第1の実施の形態における第1の文字隣接領域検出部25及び第1のトナーセーブ処理部26の代わりに、第2の文字隣接領域検出部35及び第2のトナーセーブ処理部36を、それぞれ、有する。
そして、トナーセーブモードが指定された場合、第2の文字隣接領域検出部35は、第1の二値化処理部23が出力したC1 M1 Y1 K1 信号の画像データを用いて、画像中の文字隣接領域を検出し、領域データを出力する。
また、第2のトナーセーブ処理部36は、前記第2の文字隣接領域検出部35が出力した領域データを用いて、C1 M1 Y1 K1 信号の画像データに対してトナーセーブ処理を実行し、C2 M2 Y2 K2 信号の画像データを出力する。
なお、本実施の形態における画像処理装置10のその他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、本実施の形態における画像処理装置10の動作について説明する。ここでは、トナーセーブモードが指定された場合における第2の文字隣接領域検出部35及び第2のトナーセーブ処理部36の動作についてのみ説明する。
図6は本発明の第2の実施の形態における第2の文字隣接領域検出部及び第2のトナーセーブ処理部の動作を示すフローチャートである。
トナーセーブモードが指定された場合、まず、第2の文字隣接領域検出部35は、第1の二値化処理部23が出力したC1 M1 Y1 K1 信号の画像データを用いて地色画素検出を実行し、続いて、背景画素検出を実行し、さらに続いて、文字隣接領域検出を実行する。
なお、地色画素検出、背景画素検出及び文字隣接領域検出の動作については、前記第1の実施の形態において、第1の文字隣接領域検出部25が実行する地色画素検出、背景画素検出及び文字隣接領域検出の動作と同様であるので、説明を省略する。
続いて、第2の文字隣接領域検出部35は、第1の二値化処理部23が出力したC1 M1 Y1 K1 信号の画像データと、第2の文字隣接領域検出部35が背景画素検出を実行し、領域データとして出力した背景画素とを用いて、一様領域検出を実行する。ここで、第2の文字隣接領域検出部35は、画像データの第3所定範囲内に背景画素が含まれず、前記第3所定範囲内の全画素の濃度が同じであれば、第3所定範囲の中心画素を一様領域に含まれる画素としての一様領域画素として検出する。前記一様領域は、画素値の変化が一様な領域である。なお、前記第3所定範囲は、例えば、3画素×3画素の画素ブロックであるが、必ずしもこの大きさに限定されるものではない。また、前記第3所定範囲は、長方形、円形、楕円形等の範囲であってもよい。さらに、第2の文字隣接領域検出部35は、第3所定範囲内の中心画素と同じ濃度の画素があらかじめ定められた閾(しきい)値以上存在するのであれば、第3所定範囲内の中心画素を一様領域画素として検出してもよい。
一様領域は、例えば、黒文字等の文字の黒で塗りつぶされた内側の領域である。
そして、第2の文字隣接領域検出部35は、領域データとして出力する文字隣接領域画素及び一様領域画素を用いて、文字隣接領域除外処理を実行する。ここで、第2の文字隣接領域検出部35は、文字隣接領域画素のうちの一様領域画素を、前記文字隣接領域から除外した文字隣接領域画素を出力する。
最後に、第2のトナーセーブ処理部36は、第2の文字隣接領域検出部35が領域データとして出力した文字隣接領域画素を用いて、C1 M1 Y1 K1 信号の画像データに対してトナーセーブ処理を実行し、処理を終了する。なお、トナーセーブ処理の動作については、前記第1の実施の形態において、第1のトナーセーブ処理部26が実行するトナーセーブ処理と同様であるので、説明を省略する。
前記第1の実施の形態においては、図3(a)に示される網点中の白文字のように、点の密度でエッジ部が表わされるような文字の視認性を考慮して、文字隣接領域をある程度広く検出している。そのため、白い背景にある文字に対して文字隣接領域の検出を行った場合には、文字の内側まで文字隣接領域と検出される。そして、文字隣接領域画素に対してトナー消費量を節約するための画像処理を実行しないので、白い背景にある文字の内側の画素に対しても、トナー消費量を節約するための画像処理を実行しないことになる。
しかし、白い背景にある文字のエッジ部は画素単位で連続しているので、文字の内側の画素に対してトナー消費量を節約するための画像処理を実行しても、文字の視認性に影響を及ぼすことはない。
そこで、本実施の形態においては、文字の内側の領域を一様領域として検出し、文字隣接領域除外処理を実行することによって、文字隣接領域から一様領域として検出された領域を除外するようになっている。そのため、白い背景にある文字の場合には、文字のエッジ部のみが文字隣接領域として検出され、文字の内側は文宇隣接領域として検出されないこととなる。したがって、トナーセーブ処理を実行し、文字隣接領域の画素に対してはトナー消費量を節約するための画像処理を実行せず、非文字隣接領域画素に対してのみトナー消費量を節約するための画像処理を実行すれば、文字のエッジ部の視認性を保つことができるだけでなく、文字の内側の画素に対してトナー消費量を節約するための画像処理を実行して、トナー消費量を低減することもできる。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 第2の文字隣接領域検出部35は、第1の二値化処理部23が出力したC1 M1 Y1 K1 信号の画像データを用いて地色画素検出を実行する。
ステップS12 第2の文字隣接領域検出部35は、領域データとして出力した地色画素を用いて、背景画素検出を実行する。
ステップS13 第2の文字隣接領域検出部35は、領域データとして出力した背景画素を用いて、文字隣接領域検出を実行する。
ステップS14 第2の文字隣接領域検出部35は、第1の二値化処理部23が出力したC1 M1 Y1 K1 信号の画像データと、第2の文字隣接領域検出部35が背景画素検出を実行し、領域データとして出力した背景画素とを用いて、一様領域検出を実行する。
ステップS15 第2の文字隣接領域検出部35は、文字隣接領域画素及び一様領域画素を用いて、文字隣接領域除外処理を実行する。
ステップS16 第2のトナーセーブ処理部36は、第2の文字隣接領域検出部35が領域データとして出力した文字隣接領域画素を用いて、C1 M1 Y1 K1 信号の画像データに対してトナーセーブ処理を実行し、処理を終了する。
このように、本実施の形態においては、画像中の一様領域を更に検出し、文字隣接領域から一様領域として検出された領域を除外する。これにより、文字隣接領域の画素に対してはトナー消費量を節約するための画像処理を実行せず、非文字隣接領域画素に対してのみトナー消費量を節約するための画像処理を実行すれば、網点中の白文字のように点の密度で文字のエッジ部が表わされている文字や白い背景にある文字の視認性を保ちつつ、白い背景にある文字の内側の画素に対してトナー消費量を節約するための画像処理を実行することができ、トナー消費量を更に低減することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び効果についても、その説明を省略する。
図7は本発明の第3の実施の形態における画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図に示されるように、本実施の形態における画像処理装置10は、前記第2の実施の形態における第1のフィルタ処理部21、第1の色変換処理部22、第1の二値化処理部23、第2の文字隣接領域検出部35及び第2のトナーセーブ処理部36の代わりに、第2のフィルタ処理部41、第2の色変換処理部42、第2の二値化処理部43、第3の文字隣接領域検出部45及び第3のトナーセーブ処理部46を、それぞれ、有する。
第2のフィルタ処理部41は、画像データ補正処理部13が出力したR1 G1 B1 信号の画像データに対して、文字の鮮鋭性を高める強調処理、網点等の領域で発生する可能性のあるモアレを抑制する平滑化処理等の処理を実行し、R2 G2 B2 信号の画像データを出力する。
なお、オペレーションパネル11によってトナーセーブモードが指定された場合には、第2のフィルタ処理部41による処理の後に、第3の文字隣接領域検出部45による処理が実行され、通常モードの場合には、第2のフィルタ処理部41による処理の後に、第2の色変換処理部42による処理が実行されるように、処理の切り替えが行われる。
そして、トナーセーブモードが指定された場合、第3の文字隣接領域検出部45は、前記第2のフィルタ処理部41が出力したR2 G2 B2 信号の画像データを用いて、画像中の文字に隣接する領域としての文字隣接領域を検出し、領域データを出力する。
また、第3のトナーセーブ処理部46は、前記第3の文字隣接領域検出部45が出力した領域データを用いて、R2 G2 B2 信号の画像データに対してトナーセーブ処理を実行し、R3 G3 B3 信号の画像データを出力する。
さらに、第2の色変換処理部42は、通常モードの場合には前記第2のフィルタ処理部41が出力したR2 G2 B2 信号の画像データをCMYK信号の画像データに変換して出力し、また、トナーセーブモードが指定された場合には前記第3のトナーセーブ処理部46が出力したR3 G3 B3 信号の画像データをCMYK信号の画像データに変換して出力する。
そして、第2の二値化処理部43は、前記第2の色変換処理部42が出力したCMYK信号の画像データをディザ、誤差拡散法等の方法によって二値化し、C1 M1 Y1 K1 信号の画像データを出力する。
また、印刷部24は、前記第2の二値化処理部43が出力したC1 M1 Y1 K1 信号の画像データの印刷を行う。
なお、本実施の形態における画像処理装置10のその他の点の構成については、前記第1及び第2の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、本実施の形態における画像処理装置10の動作について説明する。ここでは、トナーセーブモードが指定された場合における第3の文字隣接領域検出部45及び第3のトナーセーブ処理部46の動作についてのみ説明する。
図8は本発明の第3の実施の形態における画素値のヒストグラムを示す図、図9は本発明の第3の実施の形態におけるトナーセーブにおける変換処理を示す図、図10は本発明の第3の実施の形態における第3の文字隣接領域検出部及び第3のトナーセーブ処理部の動作を示すフローチャートである。
トナーセーブモードが指定された場合、まず、第3の文字隣接領域検出部45は、第2のフィルタ処理部41が出力したR2 G2 B2 信号のうちのG2 成分のみを画像データとして用い、地色画素検出を実行する。なお、第3の文字隣接領域検出部45は、第2のフィルタ処理部41が出力した画像データから算出される輝度成分を画像データとして用いてもよい。
地色画素検出において、第3の文字隣接領域検出部45は、図8に示されるような画像データの画素値のヒストグラムを作成し、画素値の高いところで、最も画素数が多い画素値と最も画素数が少ない画素値とを検出し、その中間の画素値を閾値として設定する。そして、画素値が閾値以上の画素を、地色画素として検出する。
一般的な文書の画像であれば、背景が白なので、ヒストグラムにおいては、図8に示される例のように、画素値の高いところにピークが存在する。なお、画素値の高いところでの最も画素数が多い画素値と最も画素数が少ない画素値との検出は、例えば、画素値が128から255までの範囲で行われる。また、閾値をあらかじめ定めておき、該閾値以上の画素値の画素を地色画素として検出してもよい。
そして、第3の文字隣接領域検出部45は、検出した地色画素を領域データとして出力する。
続いて、第3の文字隣接領域検出部45は、領域データとして出力した地色画素を用いて背景画素検出を実行し、さらに続いて、文字隣接領域検出を実行する。なお、背景画素検出及び文字隣接領域検出の動作については、前記第2の実施の形態において、第2の文字隣接領域検出部35が実行する背景画素検出及び文字隣接領域検出の動作と同様であるので、説明を省略する。
続いて、第3の文字隣接領域検出部45は、第2のフィルタ処理部41が出力した画像データとしてのR2 G2 B2 信号のうちのG2 成分と、第3の文字隣接領域検出部45が背景画素検出を実行し、領域データとして出力した背景画素とを用いて、一様領域検出を実行する。ここで、第3の文字隣接領域検出部45は、画像データの第4所定範囲内に背景画素が含まれず、前記第4所定範囲内の平均画素値と各画素値との差分があらかじめ定められた閾値未満であれば、第4所定範囲の中心画素を一様領域画素として検出する。なお、前記第4所定範囲は、例えば、3画素×3画素の画素ブロックであるが、必ずしもこの大きさに限定されるものではない。また、前記第4所定範囲は、長方形、円形、楕円形等の範囲であってもよい。さらに、前記閾値は、例えば、40であるが、必ずしもこの値に限定されるものではない。
第3の文字隣接領域検出部45は、領域データとして出力する文字隣接領域画素及び一様領域画素を用いて、文字隣接領域除外処理を実行する。なお、文字隣接領域除外処理の動作については、前記第2の実施の形態において、第2の文字隣接領域検出部35が実行する文字隣接領域除外処理の動作と同様であるので、説明を省略する。
最後に、第3のトナーセーブ処理部46は、第3の文字隣接領域検出部45が領域データとして出力した文字隣接領域画素を用いて、R2 G2 B2 信号の画像データに対してトナーセーブ処理を実行し、処理を終了する。ここで、トナーセーブ処理は、図9に示されるような変換処理によって行われる。文字隣接領域画素として検出された画素に対しては、トナーセーブOFFの変換となり、入力値がそのまま出力値となるので、トナー消費量を節約するための画像処理が実行されない。一方、非文字隣接領域画素に対しては、トナーセーブONの変換となり、入力値よりも出力値のほうが高くなるような変換処理が行われる。画素値が高くなると、画素は白に近い色となるので、印刷部24が印刷を行う際に、トナーの消費量が少なくなる。そして、第3のトナーセーブ処理部46は、トナーセーブ処理を実行することによって得られたR3 G3 B3 信号の画像データを出力する。
前記第1及び第2の実施の形態のように、二値化処理後の画像データに対してトナーセーブ処理を行う場合、着色されるドットを間引いてドット数を減らしたことによって、トナー消費量を低減させているが、画像データの階調性は考慮されていない。これに対し、本実施の形態においては、二値化処理前の画像データ(RGB信号)の画素値を高くして白に近い色の画素値に変換してから、すなわち、非文字隣接領域画素の濃度を下げてから二値化処理を行う。これにより、画像データの階調性を保ちつつトナー消費量を低減することができる。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 第3の文字隣接領域検出部45は、第2のフィルタ処理部41が出力したR2 G2 B2 信号のうちのG2 成分のみを画像データとして用い、地色画素検出を実行する。
ステップS22 第3の文字隣接領域検出部45は、領域データとして出力した地色画素を用いて、背景画素検出を実行する。
ステップS23 第3の文字隣接領域検出部45は、領域データとして出力した背景画素を用いて、文字隣接領域検出を実行する。
ステップS24 第3の文字隣接領域検出部45は、第2のフィルタ処理部41が出力した画像データとしてのR2 G2 B2 信号のうちのG2 成分と、第3の文字隣接領域検出部45が背景画素検出を実行し、領域データとして出力した背景画素とを用いて、一様領域検出を実行する。
ステップS25 第3の文字隣接領域検出部45は、文字隣接領域画素及び一様領域画素を用いて、文字隣接領域除外処理を実行する。
ステップS26 第3のトナーセーブ処理部46は、第3の文字隣接領域検出部45が領域データとして出力した文字隣接領域画素を用いて、R2 G2 B2 信号の画像データに対してトナーセーブ処理を実行し、処理を終了する。
このように、本実施の形態においては、二値化処理前の画像データに対してトナーセーブ処理を実行するので、画像データの階調性を保ちつつ、トナー消費量を低減することができる。
なお、前記第1〜第3の実施の形態においては、画像処理装置10が複写機である場合について説明したが、MFP、ファクシミリ機、プリンタ等のように画像を印刷する機能を備える装置であれば、いかなる装置であってもよい。
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。