JP2013119837A - バルブシート、その伝熱調節方法、及びバルブシート組み付け構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃焼室に臨む吸気又は排気ポートの開口周囲に嵌合固定されるバルブシートに関し、耐久性をほぼ犠牲にすることなく伝熱を調節できるようにする。
【解決手段】提案するバルブシートの伝熱調節方法は、燃焼室と反対側の端面4に、半径方向rへ傾斜する傾斜部位5を形成し、該傾斜部位5の広さによって、開口周囲に形成された嵌合受け部に対する端面4の接触面積を調節する、伝熱調節方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関における吸気、排気バルブ用のバルブシートに関する。
内燃機関の燃焼室に臨む吸排気ポートの開口周囲には、耐久性を確保するためにバルブシートが嵌合固定される。このバルブシートについて、その外周面を燃焼室側縁部にかけて部分的に削除し、シリンダヘッドの開口内周面(すなわち、吸排気ポートの開口周囲に形成された嵌合受け部の側面)との間で隙間を画成する非接触部分を形成することにより、シリンダヘッドへの伝熱面積を縮小し、主としてシリンダヘッドにおける弁間部の温度落差を減じることが、特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示されたシートバルブによれば、排気行程時などに燃焼ガス(排気)の通過によりバルブシートが高温となった場合、非接触部分からはシリンダヘッドに直接熱が伝達されないため、シリンダヘッドの弁間部にバルブシートから伝達される熱量が減少し、したがって吸気バルブ側との温度落差が小さくなり、熱的応力の集中が緩和される(特許文献1の明細書第4頁参照)。
実開昭60−171908号公報
特許文献1のバルブシートは、燃焼室と反対側の内奥部を残して非接触部分を形成してあるので、外周面の内奥部のみが全周に渡って圧入嵌合し、シリンダヘッドの嵌合受け部に固定される(特許文献1の明細書第5頁)。すなわち、このバルブシートは、シリンダヘッドへの嵌合に寄与する外周面の一部を削って非接触部分を形成してある。したがって、特許文献1のバルブシートは、上記のようなシリンダヘッドに対する伝熱制御という視点だけ見れば効果的であるが、本来は嵌合に寄与すべき外周面を大きく削ってあるため、経時的な嵌合力(固定を維持する力)など、バルブシート自身の耐久性に関しては逆に劣ることが懸念される。
この点に着目すると、燃焼室に臨む吸気又は排気ポートの開口周囲に嵌合固定されるバルブシートに関し、耐久性をほぼ犠牲にすることなく伝熱を調節できるようにすることが望まれる。
上記課題を解決するために、次の手段を提案する。
内燃機関の燃焼室に臨む吸気又は排気ポートの開口周囲に嵌合固定されるバルブシートの伝熱調節方法であって、
前記燃焼室と反対側の端面に、半径方向へ傾斜する傾斜部位を形成し、該傾斜部位の広さによって、前記開口周囲に形成された嵌合受け部に対する前記端面の接触面積を調節する、伝熱調節方法。
内燃機関の燃焼室に臨む吸気又は排気ポートの開口周囲に嵌合固定されるバルブシートであって、
前記燃焼室と反対側の端面において、半径方向へ傾斜した傾斜部位が円周方向に延設され、該傾斜部位の半径方向の幅が円周方向において変化している、バルブシート。
内燃機関の燃焼室に臨む吸気及び排気ポートの各開口周囲にそれぞれバルブシートを嵌合固定した、バルブシート組み付け構造であって、
前記各バルブシートは、前記燃焼室と反対側の端面に、半径方向へ傾斜した傾斜部位を有し、
該傾斜部位の広さが、前記吸気ポートの開口周囲に嵌合固定されたバルブシートと前記排気ポートの開口周に嵌合固定されたバルブシートとで異なっている、バルブシート組み付け構造。
上記提案に係る各手段によれば、バルブシートにおいて、嵌合に寄与する外周面ではなく、軸方向の端面に傾斜部位を形成することで、伝熱を調節できる。したがって、耐久性をほぼ犠牲にすることなく伝熱調節を行える。
バルブシートの第1実施形態を示す、(A)平面図、(B)側面図、(C)断面図。 第1実施形態に係るバルブシートの組み付け構造を示したシリンダヘッドの要部断面図。 バルブシートの第2実施形態を示す、(A)平面図、(B)側面図、(C)断面図。 第2実施形態に係るバルブシートの組み付け構造を示したシリンダヘッドの要部断面図。
図1に、バルブシートの第1実施形態を平面図、側面図、断面図で示している。
第1実施形態のバルブシート1は、吸気又は排気ポートの直径に一致する貫通孔2を中央に有する環状の焼結品である。その軸方向aの両端面のうち、燃焼室側の端面がバルブの当接する座面3として、バルブ形状に沿う漏斗状に形成される。一方、燃焼室と反対側の端面4は、図2を参照して後述する吸気又は排気ポートの開口周囲に形成された嵌合受け部に当接する、当接面として形成される。
この端面4の外縁側において、半径方向rへ下り傾斜の傾斜部位5が円周方向cに延設されている。傾斜部位5は、吸気又は排気の流れに影響しないように、端面4の内縁側よりは、図示の通り外縁側に設けるのが好ましい。傾斜部位5は、端面4の外縁部(外肩部)を面取りすることにより形成することができる。外縁部の面取りにより形成された加工面である傾斜部位5は、その面取り深さdをできるだけ浅い一定値とし、面取り角度θを変化させることで、半径方向rの幅wを調節して広さを変えることができる。この幅wに応じ決定される傾斜部位5の広さによって、嵌合受け部に対する端面4の接触面積が調節される。すなわち、傾斜部位5を広くすれば端面4の接触面積は減少し、傾斜部位5を狭くすれば端面4の接触面積は増加する。
図2に、内燃機関のシリンダヘッド10に形成された吸気ポート11と排気ポート12の、燃焼室13に臨む開口周囲に嵌合固定されている、上記のバルブシート1i,1eを示す。吸気ポート11及び排気ポート12の各開口周囲には、開口を囲繞するようにして、バルブシート1i,1eを嵌合させて固定するための嵌合受け部14,15が形成される。嵌合受け部14,15の直径はバルブシート1i,1eの外径よりもわずかに小さく、したがってバルブシート1i,1eは、その外周面と嵌合受け部14,15の側面との締り嵌めによって嵌合固定される。すなわち、バルブシート1i,1eにおいて嵌合に寄与するのは外周面であり、当該外周面には、上記従来技術のような非接触部分などが形成されていないので、バルブシート1i,1eの嵌合固定に関しては耐久性が保たれる。
バルブシート1i,1eは、座面3i,3eを燃焼室13側にして嵌合受け部14,15に嵌め込まれ、反対側の端面4i,4eが嵌合受け部14,15の底面に当接する。したがって、バルブシート1i,1eが受けた熱は、端面4i,4eからシリンダヘッド10へ伝わり、ウォータージャケット16で冷却される。
図2に示すバルブシート組み付け構造の場合、吸気側のバルブシート1iと排気側のバルブシート1eとで、端面4i,4eにおける傾斜部位5i,5eの広さが異なり、排気側のバルブシート1eの傾斜部位5eよりも、吸気側のバルブシート1iの傾斜部位5iのほうが広い。すなわち、吸気側のバルブシート1iは、面取り角度θを小さくすることにより、端面4iにおける傾斜部位5iの幅wがより広く形成されている。一方、排気側のバルブシート1eは、面取り角度θを大きくすることにより、端面4eにおける傾斜部位5eの幅wがより狭く形成されている。このように傾斜部位5i,5eの広さを変えることによって、嵌合受け部14,15に対する端面4i,4eの接触面積が調節され、バルブシート1i,1eからシリンダヘッド10への伝熱が調節される。図2に示すバルブシート組み付け構造では、吸気側のバルブシート1iからシリンダヘッド10へ伝わる熱の量が少なく、排気側バルブシート1eからシリンダヘッド10へ伝わる熱の量が多い。すなわち、排気が通ることで吸気側よりも受熱の多い排気側のバルブシート1eの伝熱量を多くすることができ、シリンダヘッド10におけるバルブシート近辺の温度分布の偏りを緩和することができる。
このように、燃焼室13と反対側の端面4に形成する傾斜部位5の広さによって端面4の接触面積を調節することによる伝熱調節方法は、排気側と吸気側で材質の異なるバルブシート1を採用する、あるいは、エンジン機種ごとにバルブシート1の材質を変更する、といった不利益の解消に関与する。焼結品であるバルブシートには使用に適した温度環境があるが、当該温度環境は、吸気ポートの側と排気ポートの側とで異なるし、エンジン機種によっても異なる。そこで、従来では、吸気側と排気側とでそれぞれその温度環境に適した材質のバルブシートを採用したり、エンジン機種ごとにその温度環境に適した異なる材質のバルブシートを採用したりしていた。これに対し、本実施形態のバルブシート1は、端面4の接触面積によって受熱量を制御することができるので、材質の選択を不要とすることができ、バルブシートの材質変更に伴う評価などの工数低減、コスト抑制に貢献する。
図3は、バルブシートの第2実施形態を図1と同じく平面図、側面図、断面図で示す。
第2実施形態のバルブシート21において、貫通孔22及び燃焼室側の端面に形成される座面23は、第1実施形態と同じである。一方、燃焼室と反対側の端面24及び傾斜部位25は、次のように形成される。
半径方向rへ下り傾斜の傾斜部位25は端面24の外縁側において円周方向に延設されるが、本第2実施形態の傾斜部位25は、その半径方向の幅wが円周方向において変化している。すなわち、図示の例では、図中右側における幅w1が最も広く、この幅w1から円周方向に徐々に狭くなっていき、180°反対側の図中左側における幅w2が最も狭くなっている。したがって、端面24の嵌合受け部に対する接触面積も、円周方向において変化している。この変化により、円周方向の位置に応じて、端面24からシリンダヘッドへ伝わる熱の量が違うことになる。このような傾斜部位25も、端面24の外縁部を面取りすることにより形成することができる。すなわち、面取り深さdをできるだけ浅い一定値とし、面取り角度θを円周方向において変化させることで、半径方向rの幅wが幅w1から幅w2へ変化する傾斜部位25を形成することができる。この円周方向において変化する傾斜部位25によって、嵌合受け部に対する端面24の接触面積が円周方向の位置に応じて変わり、これに伴い伝熱量が位置によって変化する。
図4に、シリンダヘッド10において、吸気ポート11及び排気ポート12の燃焼室13に臨む各開口を囲繞して形成された、図2同様の嵌合受け部14,15と、これらに嵌合固定された第2実施形態に係るバルブシート21i,21eを示す。図4のバルブシート組み付け構造においても、嵌合受け部14,15の直径はバルブシート21i,21eの外径よりもわずかに小さく、バルブシート21i,21eは、その外周面と嵌合受け部14,15の側面との締り嵌めによって嵌合固定される。したがって図2の場合同様に、バルブシート21i,21eにおいて嵌合に寄与するのは外周面であり、当該外周面には、上記従来技術のような非接触部分などが形成されていないので、バルブシート21i,21eの嵌合固定に関しては耐久性が保たれる。
バルブシート21i,21eは、座面23i,23eを燃焼室13側にして嵌合受け部14,15に嵌め込まれ、反対側の端面24i,24eが嵌合受け部14,15の底面に当接する。したがって、バルブシート21i,21eが受けた熱は、端面24i,24eからシリンダヘッド10へ伝わり、ウォータージャケット16で冷却される。図4に示すバルブシート組み付け構造では、吸気側のバルブシート21iと排気側のバルブシート21eとで、端面24i,24eにおける傾斜部位25i,25eの広さが異なり、排気側のバルブシート21eの傾斜部位25eよりも、吸気側のバルブシート21iの傾斜部位25iのほうが広い。したがって、吸気側のバルブシート21iにおける端面24iの接触面積の方が排気側のバルブシート21eにおける端面24eの接触面積よりも狭いので、吸気側のバルブシート21iからシリンダヘッド10への伝熱量が少なく、排気側バルブシート1eからシリンダヘッド10への伝熱量が多い。これにより図2同様、排気が通ることで吸気側よりも受熱の多い排気側のバルブシート21eの伝熱量を多くすることができ、シリンダヘッド10におけるバルブシート近辺の温度分布の偏りを緩和することができる。
また、このうように吸気側と排気側とで伝熱量を変えると共に、図4の組み付け構造の場合、両バルブシート25i,25eのそれぞれにおいても、円周方向の位置によって伝熱量が変えられている。すなわち、上述のように、円周方向において端面24i,24eの接触面積が変化しているので、より受熱量の多い、例えば燃焼室13の中心線寄りに接触面積の広い箇所を配置するようにして、他よりも多くの熱がここからシリンダヘッド10へ伝わるようにする。これにより、シリンダヘッド10におけるバルブシート近辺の温度分布の偏りをさらに緩和することができる。
1,1i,1e,21,21i,21e バルブシート
2,2i,2e,22,22i,22e 貫通孔
3,3i,3e,23,23i,23e 燃焼室側の端面(座面)
4,4i,4e,24,24i,24e 燃焼室と反対側の端面(当接面)
5,5i,5e,25,25i,25e 傾斜部位

Claims (6)

  1. 内燃機関の燃焼室に臨む吸気又は排気ポートの開口周囲に嵌合固定されるバルブシートの伝熱調節方法であって、
    前記燃焼室と反対側の端面に、半径方向へ傾斜する傾斜部位を形成し、該傾斜部位の広さによって、前記開口周囲に形成された嵌合受け部に対する前記端面の接触面積を調節する、伝熱調節方法。
  2. 前記端面の外縁部を面取りすることにより前記傾斜部位を形成し、その面取り角度によって前記傾斜部位の広さを決定する、請求項1記載の伝熱調節方法。
  3. 内燃機関の燃焼室に臨む吸気又は排気ポートの開口周囲に嵌合固定されるバルブシートであって、
    前記燃焼室と反対側の端面において、半径方向へ傾斜した傾斜部位が円周方向に延設され、該傾斜部位の半径方向の幅が円周方向において変化している、バルブシート。
  4. 前記傾斜部位が、前記端面の外縁部を面取りした加工面である、請求項3記載のバルブシート。
  5. 内燃機関の燃焼室に臨む吸気及び排気ポートの各開口周囲にそれぞれバルブシートを嵌合固定した、バルブシート組み付け構造であって、
    前記各バルブシートは、前記燃焼室と反対側の端面に、半径方向へ傾斜した傾斜部位を有し、
    該傾斜部位の広さが、前記吸気ポートの開口周囲に嵌合固定されたバルブシートと前記排気ポートの開口周に嵌合固定されたバルブシートとで異なっている、バルブシート組み付け構造。
  6. 前記傾斜部位が、前記端面の外縁部を面取りした加工面である、請求項5記載のバルブシート組み付け構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10731523B2 (en) 2018-11-13 2020-08-04 Caterpillar Inc. Valve seat insert for internal combustion engine profiled to resist valve recession
US10934901B1 (en) 2019-08-19 2021-03-02 Caterpillar Inc. Valve seat insert for high power density and high speed diesel engines
US10989321B2 (en) 2019-04-26 2021-04-27 Caterpillar Inc. Double-crowned valve seat insert having seating surface formed of hard-facing material
US11060425B2 (en) 2019-03-13 2021-07-13 Caterpillar Inc. Valve seat insert for engine head having venturi flow crowns and seating surface profiled for limiting valve recession

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