JP2013103239A - 曲げ加工装置及び曲げ加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1対のダイ401、402上に被加工物220を載置し、パンチ302の押し込み量に応じた負荷を被加工物220の複数の曲げ加工位置に加えることによって被加工物220を所定形状に曲げ加工する際に、被加工物220の形状に関連するデータを光学式測定装置本体100で測定し、記憶部910に記憶した被加工物220の目標曲げ量を参照して、前記測定した形状に関連するデータに基づいて次回の曲げ加工におけるパンチ302の押し込み量を決定し、パンチ駆動部3が次回の曲げ加工においてパンチ302が前記押し込み量に対応する負荷を被加工物220へ加えるように処理部が制御する。
【選択図】図10
Description
クレーンのブームには高張力鋼が使用されている。高張力鋼は、軽量で強度が大きいという特性を有しているが、曲がり特性やスプリングバック特性等の材料特性のバラツキが大きい。したがって、一定の力または変位を与えて被加工物の曲げ加工を行った場合でも、被加工物は一定形状に形成され難く、精度の高い加工が難しいという問題がある。
しかしながら、高張力鋼はパンチで負荷を加えられている間は曲がった状態になるものの、除荷するとスプリングバックによって形状が相当量戻るため、物差しや測定用ジグ等を用いて形状を測定しながらの加工では、加工後の正確な形状測定が煩雑であるという問題がある。また、手作業による測定では高精度な測定が困難という問題がある。
また、本発明は、高精度に曲げ加工を行うことが可能な曲げ加工方法を提供することを課題としている。
また、本発明に係る曲げ加工方法によれば、高精度に曲げ加工を行うことが可能になる。
図1は、本発明の実施の形態に係る曲げ加工装置に使用する光学式測定装置本体100の斜視図であり、細部を省略した概観を示す図である。
図2において、実施の形態に係る光学式測定装置は、光学式測定装置本体100と処理部240を備えている。光学式測定装置は測定手段を構成している。
円板状の基板206には第1反射ミラーとしての第1円錐ミラー209が固定されている。第1円錐ミラー209は、頂点210の角度(頂角)が所定角度(本第1の実施の形態では90度)の円錐形状を有しており、その外面(円錐面)全体が光を反射するように構成されている。第1円錐ミラー209の円錐軸211は頂点210を通り底面に垂直な軸である。
支持部材217とケース101の間には、光軸212と直交する平面内で互いに直交する方向(XY方向)にレーザ光源201を移動させて、レーザ光源201の光軸205の位置を調整する2次元変位調整機構202が配置されている。角度調整機構203及び2次元変位調整機構202によってレーザ光源201の光軸205と光軸212が一致するように調整される。尚、2次元変位調整機構202は公知のものを用いて構成することができる。
光検出素子214には、電気ケーブル230を介して、コンピュータによって構成された処理部240が接続されている。光検出素子214によって検出した被加工物220の像のデータは処理部240に入力される。処理部240では、光検出素子214からの像データに座標変換処理を施して被加工物220の形状を算出する等の処理が行われる。
尚、処理部240の少なくとも一部の処理機能をケース101内に設けるように構成することも可能である。光学式測定装置本体100は、少なくとも前記照射手段、光検出手段、光反射手段およびこれらを収容するケース101を有している。
図3において、プレス機301には、ダイ(図示せず)の上方に上下動可能なようにパンチ302が設けられている。パンチ302には、ダイと対面する側に、複数の凸部303と凹部304が交互に設けられている。パンチ302によって、ダイ上に載置した被加工物(例えばクレーンのブームを作成するための高張力鋼の平板)220に負荷を加えてラウンド曲げ加工を行う。
図4において、光学式測定装置本体100が図3と同様に、プレス機301のパンチ302内に収容されている。
前述したとおり、光学式測定装置本体100の光軸212とパンチ302の長さ方向の軸300とが平行になるように光学式測定装置本体100が配設されている。また、パンチ302のストローク方向(図4においてパンチ302の移動方向である上下方向)の軸であるパンチ軸(換言すればプレス加工を行う中心を示すプレス軸)1101は長さ方向の軸300と直交する。本実施の形態では、光学式本体装置100はパンチ軸1101上に配設されている。パンチ302を下降させて1対のダイ401上に載置した加工対象物220に負荷を加えてラウンド曲げ加工を行う。
図9において、パンチ302を押し込んで被加工物220に負荷を加えると、最大曲げ角度特性91として示すように、パンチ302の押し込み量に対応する角度(最大曲げ角度と称する。)の曲げ変形が生じる。その後、パンチ302を引き上げて除荷すると、被加工物220固有のスプリングバック特性によって定まる量(スプリングバック量)だけ曲げ角度が戻り、曲げ特性92として示すように、被加工物220の特性によって定まる曲げ変形(残留曲げ角度)が残る。前記残留曲げ角度が正味の曲げ角度である。
図5において、レーザ光源(図示せず)からビーム状の測定用光216が光軸205に沿って、第2円錐ミラー207の頂点208に照射されると、第2円錐ミラー207の頂角が90度に形成されているため、第2円錐ミラー207の頂点208の近傍領域で反射され、放射状の測定用光216が光軸205と直交する方向に出力される。
被加工物220の内壁面で反射した測定用光216は、第1円錐ミラー209で反射され、受光レンズ213で集光された後、光検出素子214によって検出される。
光検出素子214は第1円錐ミラー209を介して被加工物220を検出するため、光検出素子214上に結ばれる被加工物220の像501は、被加工物220の形状と相似の形状ではなく、第1円錐ミラー209による歪みを含んだ形状となる。
図6(a)には、図3、図4に示したように1つの光学式測定装置本体100をパンチ302に取り付けた状態で、被加工物220を測定する例を示している。ここでは、被加工物220の例として、マスターゲージと、一端側をラウンド曲げした板状の高張力鋼の例を示している。
第1円錐ミラー209を介して被加工物220を測定するため、光検出素子214で検出される像は、受光器空間の像として示すように歪んだ像となる。本発明の各実施の形態では、光検出素子214が検出した像に所定の座標変換処理を施すことにより、実空間における像を得るようにしている。
図7(a)は、被加工物220と光学式測定装置本体の光学系(構成要素)の配置関係を示す図である。
図7(a)において、Rは第1円錐ミラー209の頂点210から被加工物220までの距離、gは第1円錐ミラー209の高さ(底面から頂点210までの距離)、φは第1円錐ミラー209の頂角、bは頂点210と受光レンズ213の中心との距離、fは受光レンズ213の中心と光検出素子214との距離である。
θ=ψ−π
R=Zc/tan{β−(π−φ)}+b・[(tan{(π−φ)/2}/tan{β−(π−φ)})+1]/(tanβ−tan{(π−φ)/2}) ・・・(1)
但し、tanβ=f/ρである。
図3、図4に示すように、光学式測定装置本体100をプレス機301のパンチ302内に収容し、ダイ401上に載置した被加工物220にパンチ302によって負荷をかけ、被加工物220のラウンド曲げ加工を行う。パンチ302が所定高さに位置するときに、光学式測定装置本体100によって被加工物220の形状を測定する。
例えば、パンチ302が最下位置にきて被加工物220に最大負荷を加えている状態のときと、パンチ302が最上位置にきて除荷した状態のときに、被加工物220の形状を測定する。これにより、除荷した状態での被加工物220の曲がり具合や、スプリングバックの大きさを測定することができる。
被加工物220で反射した測定用光は第1開口部103を通ってケース101内に入り、第1円錐ミラー209によって反射された後、受光レンズ213を通って光検出素子214によって検出される。光検出素子214は、検出した像のデータを電気ケーブル230を介して光学式測定装置本体100外部の処理部240に出力する。
光検出素子214によって検出された像は、前記受光器空間座標であるため、図6に示すように歪んだ像となっている。処理部240は、光検出素子214が検出した像のデータを用いて、前記式(1)によって演算処理を行い、受光器空間座標を実空間座標に変換し、被加工物220の実空間における正しい像を得る。
また、第1円錐ミラー209を用いているため、次のような効果が得られる。
即ち、被加工物220表面の散乱光を三角測量の原理を維持して、第1円錐面ミラー209で反射した測位用光216を光検出部215に導光することが可能である。
測定用光を光検出部に直接導光する場合、受光レンズ213は魚眼レンズ等を使わない限り遠方に配置することになり、測定対象物からの戻り光が通る開口部を大きくする必要性があると共に光学式測定装置全体が大きくなるという欠点がある。
また、第1円錐ミラー209の底面と平行面をなして放射状に投光される測定用光216は投光距離に反比例して強度密度が減衰する。被加工物220に生じた散乱光は入射光方向にもっとも強く反射し、直角方向には反射しない。第1円錐ミラー209には垂直に近い角度の散乱光が入射するのに対して、第1円錐ミラー209を使用しない場合には弱い散乱光しか入射しない。第1円錐ミラー209を用いることにより、光エネルギを合理的に利用することができる。
図4では、パンチ302に1つの光学式測定装置本体100を収容するように構成したが、図8の例では、パンチ302の軸1101を挟んで対称な位置に2つの光学式測定装置本体100、100を収容して測定するように構成している。
図10において、プレス機301は、パンチ軸1101に沿った矢印方向(ストローク方向)に上下動可能なパンチ302を有している。パンチ302内に光学式測定装置本体100がパンチ302と一体に収納されている。また、パンチ302内には、パンチ302が被加工物220に加えている押圧力を検出するための圧力センサ901が収容されている。
尚、パンチ302が被加工物220に当接しない位置や2点支持位置等の検出は、圧力センサ901を用いずに、光学式測定装置本体100によって検出するように構成してもよい。
送り装置902には、被加工物220の送り力を担うアクチュエータ903と、被加工物220の送り量を測定する送り量測定部914が備えられている。送り量測定部914は、ロータリエンコーダ等の各種エンコーダや、変位計を使用することができる。
また、プレス機301には姿勢支持装置915が取り付けられている。姿勢支持装置915は被加工物220を下側から支えることにより、被加工物220の転倒防止等の姿勢支持を行う。
また、処理部240には表示部911、操作部912、パンチ302をパンチ軸1101に沿ってストローク方向に移動させるパンチ駆動部913が接続されている。
パンチ駆動部913は、処理部240からのパンチ駆動信号に応答して、パンチ302をダイ401、401に近づく方向及びダイ401、401から離れる方向(ストローク方向)に移動させる。
このようにコンピュータで構成した場合には、記憶部910には後述するデータが記憶される他、プログラムが記憶される。処理部240を構成する中央処理装置(CPU)が前記プログラムを実行することにより、ブロック図で表した処理部240の各機能を実現する。
押し込み量算出処理部907は、過去の加工結果に基づいて被加工物220の曲げ特性を算出処理する機能や、被加工物220の形状データや曲げ特性データに基づいて曲げ加工量が所定量になるようにパンチ302の押し込み量(即ち、ダイ401、401方向へのパンチの移動量)を算出処理する機能を有している。
送り量算出処理部908は、被加工物220の当初予定の曲げ加工位置(目標曲げ加工位置と称する。)と実際の曲げ加工位置のズレ量とに基づいて、パンチ302が被加工物220の目標曲げ加工位置に負荷を加えるように、被加工物220の修正した送り量を算出処理する機能を有している。
また、パンチ駆動部913はパンチ移動手段を構成し、送り装置902は送り手段を構成し、記憶部910は記憶手段を構成し、処理装置240は制御手段を構成し、姿勢支持装置915は姿勢支持手段を構成している。
前記送り手段は、被加工物220をパンチ302の移動方向と交差する方向に送ることができる。
前記測定手段は、パンチ302に配設され被加工物220の形状に関連するデータを測定することができる。
前記記憶手段は、各目標曲げ加工位置における目標曲げ量を表す目標曲げ量データを記憶することができる。
また、前記制御手段は、曲げ加工位置における個別の曲げ量及び/又は累積の曲げ量に基づいて次回の曲げ加工におけるパンチ302の押し込み量を決定し、次回の曲げ加工においてパンチ302が前記押し込み量に対応する負荷を被加工物220へ加えるように制御することができる。
また、前記姿勢支持手段は、前記制御手段が被加工物220の形状に関連するデータに基づいて算出した被加工物220の重心が1対のダイ401、401の間にないとき、被加工物220の姿勢を支持するための力を被加工物220に加えることができる。
図11は、本発明の実施の形態の動作概要を説明するための説明図で、本発明の実施の形態に係る曲げ加工装置の使用態様を示す部分側面図である。
被加工物220は、1対のダイ401、401上に載置された長方形状の強張力鋼平板がパンチ302によって曲げ加工され、断面U字状で紙面に垂直な方向に所定長さに形成されたブーム用部材である。パンチ302には、光学式測定装置本体100の光軸212とパンチ302の長さ方向(紙面に垂直な方向)の軸300とが平行になるように光学式測定装置本体100が配設されている。前述したようにして光学式測定装置本体100によって被加工物220の形状に関連するデータが測定される。
バック側側面領域1901は底面領域1903と直角に形成され又、フロント側側面領域1902は底面領域1903と直角に形成される。したがって、バック側側面領域1901とフロント側側面領域1902は平行に形成される。
また、hbはバック側側面領域1901の長さ、Rbはバック側湾曲領域1904の曲率半径、θbはバック側側面領域1901と底面領域1903の角度(バック側側面角度)、bbはZ軸によって2等分される底面領域1903のバック側の長さ、Hbは底面領域1903とバック側側面領域1901の縁部(図11のバック側の最上部)との距離である。
被加工部材220が当初予定の通りの形状に完成した状態では、Bb=B/2となり、バック側側面領域1901とフロント側側面領域1902は相互に平行に形成されると共に、底面領域1903と直角に形成される。
前記得られた測定データに基づいて被加工物220の形状、回転変位量、ズレ量についてのデータ等を取得し、被加工物220が当初予定の形状になるように被加工物220の各曲げ加工位置に曲げ加工を施す。
被加工物220の完成した形はブームの場合、前述したように断面がU字型の形状である。本実施の形態では、長方形平板状の高張力鋼(被加工物220)の曲げ加工処理は、先ず被加工物220のバック側を曲げ加工し、その後、フロント側を曲げ加工するように行う。
図12において、曲げ加工処理工程(1)〜(3)は被加工物220のバック側の曲げ加工処理工程を示し、曲げ加工処理工程(4)〜(7)は被加工物220のフロント側の曲げ加工処理工程を示している。被加工物220の曲げ加工処理は、バック側、フロント側ともに被加工物220の縁部側から中央部に向かって曲げ加工を行う。
以後、曲げ加工処理工程(3)まで、被加工物220をフロント側ダイ401からバック側ダイ401方向へ所定量ずつ送りながらパンチで負荷を加えることにより、所定の複数の曲げ加工位置を各々所定量曲げ加工する。
被加工物220が転倒せずに安定するか否かは、1対のダイ401、401を結ぶ方向(図13ではX軸方向)の座標Xgに依存している。したがって、ここでは座標Xgの算出方法を示す。
Xg={S1・(L−ΣSi+(S1/2)・cosΣθi+S2・cosΣθi+・・・+Sn・cosθn)+Sn−1・(L−ΣSi+(Sn−1/2)・cosΣθi+・・・+Sn・cosθn)+Sn・(L−ΣSi+(Sn/2)・cosθn)}/L ・・・(2)
図14において、X軸はフロント側ダイ401の上面からバック側ダイ401の上面方向に沿った軸、Z軸はパンチ302の軸でありダイ401、401の中点を通りX軸と直交する軸、RnはXZ軸原点Oから被加工物220のバック側縁部までの距離、θnは前記縁部がX軸となす角度、dsは微少角度dθに対する被加工物220の長さ、Gは被加工物220の重心位置で(Xg,Zg)はそのXZ座標である。
被加工物220の重心位置のX軸座標Xgは下記式によって表すことができる。
被加工物220が前記2点支持状態になって以降、曲げ加工可能な所定値以上の大きさの負荷がパンチ302によって被加工物220に加えられることになる。
図15は、被加工物220を前記2点支持状態に保持したり、被加工物220が転倒しないように安定した姿勢を確保できるようにする方法を示す説明図である。
図15(a)において、搬送ローラ2301上に平板状の被加工物220を載置し送り装置(図示せず)によって1対のダイ401、401方向(X軸方向)に送って、被加工物220の曲げ加工位置Mをパンチ302−2の真下(換言すればパンチ軸1101上であり又、1対のダイ401、401の中央位置)に配置する。
次に、パンチ302をパンチ302−2の位置まで引き上げることによって被加工物220−1に対する負荷を除荷する。これにより、被加工物220は自重(重心モーメント)によって、フロント側ダイ401で一点支持された状態で回転し、被加工物220−2の状態になる。
尚、図15(b)の例では、フロント側にのみ姿勢支持装置915を設けるようにしているが、バック側のみ、あるいはフロント側とバック側の双方に設けるようにしてもよい。
図16において、Bは被加工物220の回転支点となるフロント側ダイ401とパンチ302のパンチ軸の距離、hは曲げ加工位置とパンチ302のパンチ軸とのズレ量、Pは被加工物220に予め設定した曲げ加工位置(目標曲げ加工位置)Mの間隔(ピッチ)、δは2点支持状態からパンチ302を押し込むストローク(押し込み量)、θは被加工物220の曲げ量、Kは実際の曲げ加工位置、βは空回転の角度である。
尚、図16では説明を簡略化するために、パンチ302先端の断面形状は三角形状であり又、各ダイ401、401の支持部(図16では各ダイ401、401の上端部)の断面形状は三角形状としている。
このとき、一方のダイ401から他方のダイ401方向(即ち被加工物220の送り方向)への、曲げ加工位置Mとパンチ302のパンチ軸のズレ量hは次式で表すことができる。
h=B{1/cos(θ/2)−1} ・・・(4)
ズレ量は空回転角度に基づいて算出可能である。空回転角度の測定は、光学式測定装置本体100によって、前記非押圧状態と2点支持状態における被加工物220の姿勢を測定し、その差から空回転角度を得ることができる。光学式測定装置本体100による姿勢の測定は、各曲げ加工位置における曲げ加工の前に行うようにしてもよく、あるいは、前回曲げ加工を行ったときに測定した被加工物220の姿勢のデータを利用して今回のズレ量を算出し、適正な送り量を得るようにしてもよい。
図17において、Bは回転の支点となるダイ401の中心とパンチ302のパンチ軸の距離、hは曲げ加工位置とパンチ302の軸とのズレ量、Pは被加工物220に予め設定した曲げ加工位置の間隔(ピッチ)、δは2点支持状態からパンチ302を当該曲げ加工位置における最下位置まで押し込んだときのパンチ302のストローク(押し込み量)、θは曲げ量、Mは目標曲げ加工位置である。
h≒{δ+ρ((1/cosα)−1)}/sin(θ/2)+2πR・θ/360−B
・・・(5)
本発明の実施の形態では、このような場合でも前記ズレが生じないように、被加工物220の送り量を修正することにより、正確な位置で曲げ加工を行えるようにして、正確な形状に曲げ加工することを可能にしている。
図18の左半分は被加工物220のバック側を曲げ加工するときの説明、右半分は被加工物220のフロント側を曲げ加工するときの説明であり、前述したように、先ずバック側を加工した後、フロント側の加工を行うようにしている。
1804は、各曲げ加工位置において曲げ角度が大きくなるように変動した場合の、各曲げ加工位置における個別の曲げ角度と各曲げ加工位置における個別の目標曲げ角度との差の上限値(個別上限角度)である。1805は、各曲げ加工位置において曲げ角度が小さくなるように変動した場合の、各曲げ加工位置における個別の曲げ角度と各曲げ加工位置における個別の目標曲げ角度との差の下限値(個別下限角度)である。
丸印Kは、各曲げ加工位置における個別の曲げ角度と目標個別曲げ角度(各曲げ加工位置における曲げ角度の目標値)との差を示している。曲線1800bはバック側の累積曲げ角度と目標累積曲げ角度との差を示している。曲線1800fはフロント側の累積曲げ角度と目標累積曲げ角度との差を示している。
また、1806は、曲線1800bと曲線1800fの差であり、バック側の累積曲げ角度とフロント側の累積曲げ角度との差に相当し、対称性の程度(曲線1800bと1800fの差が小さい方が対称性がよい。)を表す。×印TK1、TK2は、フロント側とバック側の対称性を改善した点であり、この点では曲げ加工を行わずに白丸点で曲げ加工処理を行ったことを示している。
図18の例では、バック側の曲げ加工処理は、各曲げ加工位置における個別の曲げ角度や、累積の曲げ角度が、目標曲げ角度を基準として所定角度内に収まるように曲げ加工を行う。各曲げ加工位置において、各々1回の曲げ加工処理が行っている。これにより、曲線1800bの曲げ特性で曲げ角度が0度から90度まで曲げ加工される。
第3曲げ加工位置においては、バック側との対称性を考慮して、対称性が良くなるように曲げ加工角度を修正している。即ち、第3曲げ加工位置では、個別曲げ角度が大きくなるように加工している。また、第7曲げ加工位置に置いても、バック側との対称性を考慮して、対称性が良くなるように曲げ加工量を大きくしている。
曲げ加工の修正例としては、一度の加工では曲げ加工量が不足する場合は同一曲げ加工位置で複数回曲げ加工を行う、あるいは、複数の曲げ加工位置の曲げ加工量を修正することにより適正な総曲げ加工量が得られるようにする等である。これにより、正確な曲げ形状を得ることが可能になる。また、対称性を考慮して曲げ加工を行うため、対称性に優れた曲げ形状を得ることが可能になる。
図25〜図27は、記憶部909に記憶されるテーブルである。
図25に示すテーブルは、曲げ角度が適正か否かを判定するための曲げ角度判定テーブル(第1テーブル)である。曲げ角度判定テーブルは、被加工物220の各曲げ加工位置(「曲げライン」)における累積の曲げ角度や各曲げ加工位置における個別の曲げ角度と、予め定めた所定の曲げ角度(規定値)との関係を示している。図25には、曲げ加工位置が9つ(曲げラインNo.1〜曲げラインNo.9)の例を示している。
本実施の形態では、被加工部材220のバック側の曲げ加工が終了した後、フロント側を曲げ加工するように加工順序を決めている。フロント側を加工する際、曲げ加工が完了したバック側との対称性が一定範囲になるように曲げ加工する。
例えば、目標押し込み量に対して、オーバー押し込み量は0.5度多め、ややオーバー押し込み量は0.3度多め、抑制押し込みは0.3度少なめの押し込み量とする。
以上のように、処理部240は角度判定テーブル、修正加工テーブル、対称性考慮曲げ角度判定テーブルを参照して、各曲げ加工位置における個別の曲げ角度が所定の規定値内か否か、各曲げ加工位置までの累積の曲げ角度が所定の規定値内か否か、対称性は適正化否か判定して、判定結果に応じた処理を行うようにする。
処理部240の制御処理部909は、光学式測定装置本体110が測定した被加工物220の形状に関連するデータ及び記憶部910に記憶した目標曲げ加工位置のデータに基づいて、被加工物220を次の曲げ加工位置に送ったとき及び加工後に除荷したときに、被加工物220が転倒せずに安定するか否か(安定性)を判定する。
制御処理909は、転倒の恐れがあると判定した場合、姿勢支持装置915の支持ピン2303の突出量を制御して、被加工物220が安定するように姿勢を支持する(図19のステップS101)。
次に、制御処理部909は記憶部910に記憶した第1ラインの目標曲げ加工位置に被加工物220を送るようにアクチュエータ903を介して送り装置902を制御する(ステップS102)。送り装置902は制御処理部909の制御に応答して第1ラインがパンチ302のパンチ軸1101上にくるように被加工物220を送る。
次に光学式測定装置本体100及び処理部240は、被加工物220の形状に関連するデータを測定し、形状データや姿勢データの分離を行う(ステップS104)。
光学式測定装置本体100が図8の例のように複数の場合には、処理部240は、各光学式測定装置本体100が測定した被加工物220の形状に関連するデータを合成することにより被加工物220の形状に関連するデータを取得する(ステップS117)。
次に、データ分離処理部905は、座標変換後の被加工物220の形状に関連するデータから、所定角度を基準とする被加工物220の姿勢データを分離した後(ステップ119)、位置ズレ量データを分離し(ステップS120)、断面の形状データを得る(ステップS121)。
処理ステップS105では図21に示す処理が行なわれる。
図21において、重心算出処理部906は、データ分離処理部905によって得られた形状データから被加工物220の機械的寸法(実際の寸法)を算出する(ステップS122)。次に、重心算出処理部906は、底面領域1903を基準として側面領域1901、1902の角度を算出する(ステップS123)。
重心算出処理部906は、処理ステップS124において送り量が未知の場合(例えば図14に示すように各送り量が微細な量の場合)、前記式(3)を用いて重心位置GのX軸座標を算出する(ステップS128)。
制御処理部909は処理ステップS126において、重心位置GのX座標Xgが1対のダイ401、401の間にあると判定した場合は、被加工物220が転倒することなく安定していると判定して処理ステップS106へ移行する。
処理ステップS127では、制御処理部909は、図15(b)に関して説明したように姿勢指示装置915を駆動制御する。即ち、制御処理部909は、姿勢支持装置915から支持ピン2303を突出させて被加工物220に当接せしめることにより、被加工物220を安定姿勢に保つようにする。
特性算出処理部916は処理ステップS106において、図9に関して説明したようにして、被加工物220の曲げ特性及びスプリングバック特性を算出する。処理ステップS106の処理では図22に示す処理が行われる。
圧力センサ915は前記2点支持状態のとき所定値の圧力を検出するように設定されており、特性算出処理部916は圧力センサ915が前記所定値の圧力を検出したとき、被加工物220前記2点支持状態になったと判定する。データ分離処理部905は、圧力センサ915が前記所定値の圧力を検出したとき、光学式測定細内本体100から形状に関連するデータを取り込んで被加工物220の曲げ角度を算出する。
次に、制御処理部909はパンチ302を上方の初期位置まで引き上げて除荷する。処理部240は、除荷後の被加工物220の形状に関連するデータを光学式測定装置本体100から取り込む。データ分離処理部905はそのときの被加工物220の曲げ角度を算出する(ステップS132)。
次に処理部240は、予め定めたバック側の全ての曲げ加工位置について曲げ加工が完了したか否かを判定する(ステップS107)。本実施の形態では、バック側が9ライン、フロント側が9ラインの計18ラインとしている。処理ステップS107ではバック側9ラインの曲げ加工が完了したか否かを判定する。
処理部240は、処理ステップS108において個別或いは累積の少なくとも一方の曲げ角度が所定値に達していない(曲げ不足)と判定すると、押し込み更新量の算出及び曲げ角度の是正時事処理を行う(ステップS114)。
図23において、制御処理部909は、パンチ駆動部913を介して当該曲げ加工位置に設定された押し込み量だけパンチ302を押し込んで被加工物220を曲げ加工する(ステップS134)。
次に、制御処理部909は、光学式測定装置本体100から形状に関連するデータを取り込んで、今回の曲げ加工位置の曲げ角度とその目標曲げ角度(計画値)との差分を算出する。
次に、制御処理部909は、図25の曲げ角度判定テーブルを参照して、今回の曲げ角度が適正か否かを判定し方針を決定する(ステップS137)。制御処理部909は、処理ステップS137では、角度判定テーブルにおいて、記号(1)の箇所は、曲げ量が適正(適正曲げ)であり、修正が不要であり、処理ステップS138の処理を行うことなく処理ステップS103に移行する。記号(2)の箇所は、曲げ量が不足(曲げ不足)であり、同一の曲げ加工位置を2度押しで修正する(ステップS139)。
また、累積角度が過大の場合、複数ライン(例えば次ラインと次々ライン)で修正するときには、次ラインと次々ラインの両方を予定よりも所定量(前記抑制押し込みよりも小さい押し込み量)減らして押し込みを行う(均等抑制押し込み)ことにより、次ライン及び次々ラインでの曲げ角度が予定よりも小さい角度になるように加工する。
次に、制御処理部909は、予め定めた全ライン数(本実施の形態では、バック側のライン数とフロント側のライン数の合計である18ライン)の曲げ加工が完了したか否かを判定し(ステップS109)、所定のライン数の曲げ加工が完了していない場合には、ズレ量の算出と被加工物220の修正した送り量の算出処理を行う(S115)。
図24において、重心算出処理部906は、被加工物220を所定量送った場合の重心位置を算出する(ステップS140)。次に、重心算出処理部906は、目標押し込み量と除荷時の重心位置を算出する(ステップS141)。
次に、送り量算出処理部908は、被加工物220がパンチ302によって負荷を加えられていない非押圧状態(第1状態)と、被加工物220が曲がらない大きさの負荷をパンチ302によって加えられて1対のダイ401、402に当接している2点支持状態(第2状態)とにおいて測定した被加工物220の形状に関連するデータから前記第1状態と第2状態間の被加工物220の回転量(空回転量)を算出する。
処理部240は、処理ステップS109において予め定めた全ライン数の曲げ加工が完了したと判定するとフロント側も終了したと判定して処理を終了する。
処理部240は、図27の対称性考慮曲げ角度判定テーブルを参照して、曲げ加工済みのバック側形状との対称性を考慮してフロント側の曲げ角度が適正か否か即ち、被加工物220の形状に対称性を改善する必要が有るか否かを判定する(ステップS112)。
したがって、適正な負荷で加工することができるため、所望の形状に高精度に曲げ加工を行うことが可能になる。
また、被加工物の形状に関連するデータに基づいて算出した前記被加工物の重心が1対のダイの間にないとき、姿勢支持手段によって前記被加工物の姿勢を支持するようにしているため、被加工物が転倒等の不安定な状態になるのを抑制して安定した加工処理が可能になる。
したがって、適正な負荷で加工することができるため、所望の形状に高精度に曲げ加工を行うことが可能になる。
いるため、被加工物が転倒等の不安定な状態になるのを抑制して安定した加工処理が可能になる等の効果を奏する。
101・・・ケース
102、103・・・開口部
201・・・レーザ光源
202・・・2次元変位調整機構
203・・・角度調整機構
204・・・調整具
206・・・基板
205、212・・・光軸
207、209・・・円錐ミラー
208、210・・・頂点
211・・・円錐軸
213・・・受光レンズ
214・・・光検出素子
215・・・光検出部
216・・・測定用光
217・・・支持部材
218・・・取付け具
220・・・測定対象物(被加工部材)
230・・・電気ケーブル
240・・・処理部
301・・・プレス機
302・・・パンチ
303・・・パンチ凸部
304・・・パンチ凹部
401・・・ダイ
501・・・像
502・・・光切断ライン
901・・・圧力センサ
902・・・送り装置
903・・・アクチュエータ
904・・・座標変換処理部
905・・・データ分離処理部
906・・・重心算出処理部
907・・・押し込み量算出処理部
908・・・送り量算出処理部
909・・・制御処理部
910・・・記憶部
911・・・表示部
912・・・操作部
913・・・パンチ駆動部
914・・・送り量測定部
915・・・姿勢支持装置
1101・・・パンチ軸(プレス加圧軸)
Claims (10)
- ダイ上に被加工物を載置し、パンチの押し込み量に応じた負荷を前記被加工物の複数の曲げ加工位置に加えることによって前記被加工物を曲げ加工する曲げ加工装置において、
前記パンチを前記ダイに近づく方向と前記ダイから離れる方向に移動させるパンチ移動手段と、
前記被加工物を前記パンチの移動方向と交差する方向に送る送り手段と、
前記パンチに配設され前記被加工物の形状に関連するデータを測定する測定手段と、
前記各曲げ加工位置の目標曲げ量を表す目標曲げ量データを記憶する記憶手段と、
前記被加工物を送るように前記送り手段を制御すると共に、前記被加工物の曲げ加工位置に前記パンチで負荷を加えるように前記パンチ移動手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記被加工物の形状に関連するデータを測定するように前記測定手段を制御すると共に、前記記憶手段に記憶した目標曲げ量を参照して前記測定手段が測定した形状に関連するデータに基づいて次回の曲げ加工における前記パンチの押し込み量を決定し、次回の曲げ加工において前記パンチが前記押し込み量に対応する負荷を前記被加工物へ加えるように制御することを特徴とする曲げ加工装置。 - 前記制御手段は、前記曲げ加工位置における個別の曲げ量及び/又は累積の曲げ量に基づいて次回の曲げ加工における前記パンチの押し込み量を決定し、次回の曲げ加工において前記パンチが前記押し込み量に対応する負荷を前記被加工物へ加えるように制御することを特徴とする請求項1記載の曲げ加工装置。
- 前記制御手段は、前記被加工物が前記パンチによって負荷を加えられていない第1状態と、前記被加工物が曲がらない大きさの負荷を前記パンチによって加えられて1対の前記ダイに当接している第2状態とにおいて前記測定手段が測定した前記被加工物の形状に関連するデータから前記第1状態と第2状態間の前記被加工物の回転量を算出し、前記パンチが前記第2状態において目標折り曲げ位置に負荷を加えるように、前記回転量に基づいて前記被加工物の送り量を修正して送るよう前記送り手段を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の曲げ加工装置。
- 前記制御手段が前記被加工物の形状に関連するデータに基づいて算出した前記被加工物の重心が1対の前記ダイの間にないとき、前記被加工物の姿勢を支持するための力を前記被加工物に加える姿勢支持手段を備えて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の曲げ加工装置。
- 前記測定手段は、前記パンチに配設した光学式測定装置によって構成されて成り、
前記光学式測定装置は、
測定用光によって測定対象物を線状に照射する照射手段と、
測定用光を検出する光検出手段と、
少なくとも円錐台形の光反射領域を含み、前記測定対象物で反射した前記測定用光を前記光検出手段側に反射する光反射手段と、
前記照射手段からの前記測定用光を前記測定対象物側へ通すと共に前記測定対象物で反射した前記測定用光を前記光反射手段側へ通すように、少なくとも前記照射手段、光検出手段及び光反射手段を収容するケースと、
前記光検出手段が検出した測定用光に基づいて前記測定対象物の形状に関連するデータを算出する算出手段とを備えて成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の曲げ加工装置。 - 前記反射手段は少なくとも円錐台形の光反射領域を含む形状を有し、
前記光検出手段が受光した測定用光を、前記光検出手段の座標系から実座標系に変換して前記反射手段による像の歪みを解消する座標系変換手段を備えて成ることを特徴とする請求項5記載の曲げ加工装置。 - ダイ上に被加工物を載置し、パンチの押し込み量に応じた負荷を前記被加工物の複数の曲げ加工位置に加えることによって前記被加工物を曲げ加工する曲げ加工方法において、
前記被加工物の形状に関連するデータを測定し、
記憶手段に記憶した前記被加工物の目標曲げ量を参照して、前記測定した形状に関連するデータに基づいて次回の曲げ加工における前記パンチの押し込み量を決定し、次回の曲げ加工において前記パンチが前記押し込み量に対応する負荷を前記被加工物へ加えることを特徴とする曲げ加工方法。 - 前記曲げ加工位置における個別の曲げ量及び/又は累積の曲げ量に基づいて次回の曲げ加工における前記パンチの押し込み量を決定し、次回の曲げ加工において前記パンチが前記押し込み量に対応する負荷を前記被加工物へ加えることを特徴とする請求項7記載の曲げ加工方法。
- 前記被加工物が前記パンチによって負荷を加えられていない第1状態と、前記被加工物が曲がらない大きさの負荷を前記パンチによって加えられて1対の前記ダイに当接している第2状態とにおいて前記測定手段が測定した前記被加工物の形状に関連するデータから前記第1状態と第2状態間の前記被加工物の回転量を算出し、前記パンチパンチが前記第2状態において目標折り曲げ位置に負荷を加えるように、前記回転量に基づいて前記被加工物の送り量を修正して送ることを特徴とする請求項7又は8記載の曲げ加工方法。
- 前記被加工物の形状に関連するデータに基づいて算出した前記被加工物の重心が1対の前記ダイの間にないとき、前記被加工物の姿勢を支持するための力を前記被加工物に加えることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一に記載の曲げ加工方法。
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