JP2013098017A - 燃料電池用シール組成物及び燃料電池用シール - Google Patents

燃料電池用シール組成物及び燃料電池用シール Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池において、ガスバリア性、耐酸性、耐熱性に優れ、且つセパレータに対して堅牢に接合するとともに、層状剥離を起こし難いシールを設ける。
【解決手段】第1セパレータ20、第2セパレータ22に設けた第1シール36及び第2シール38は、非フッ素樹脂材、エラストマー及びフッ素樹脂材からなるシール用有機成分を含むシール組成物が硬化されて形成される。シール用有機成分を100重量%とするとき、この中のフッ素樹脂材の割合は、2〜10重量%に設定される。シール用有機成分のみでシール組成物としてもよいが、ガラスビーズ等を添加してシール組成物とすることが一層好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池の内部から反応ガス等が漏出することを防止するための燃料電池用シール組成物及び燃料電池用シールに関する。
燃料電池の単位セルは、アノード電極とカソード電極とが電解質を介して配設される電解質・電極接合体を1組のセパレータで挟持することで構成される。このような構成の単位セルにおいて、セパレータの両面縁部にはシールが形成される。燃料電池の運転に際しては、前記電解質・電極接合体を構成するアノード電極に対して水素を含んだ燃料ガスが供給されるとともに、カソード電極に対して酸素を含んだ酸化剤ガスが供給される。前記シールは、これら燃料ガス及び酸化剤ガスが燃料電池の外部に漏出することを防止するためのものである。
この種のシール(シール組成物)として、シリコーンゴムが主に採用されている。しかしながら、シリコーンゴムは耐酸性に懸念がある。このため、特許文献1、2において、耐酸性に優れるシールを安価で得るべく、ゴム状弾性体からなる粒子を樹脂マトリックスに分散させたシールが提案されている。
また、特許文献3に記載されるように、フッ素ゴムを含むシール(シール組成物)も、耐酸性に優れるシールとして広汎に採用されるに至っている。
特開2000−7890号公報 特開2007−184223号公報 特開昭60−64号公報
燃料電池用のシールには、耐酸性及びシール性能に優れているのみならず、セパレータから剥離し難いことが求められる。しかしながら、特に、フッ素ゴムを含むシールの場合、シリコーンゴム等の他のシールよりも剥離が比較的起こり易い。
このことから諒解されるように、耐酸性及びシール性能に優れ、しかも、セパレータに対して剥離し難いという性質を全て併せ持つシールはこれまでのところ知られていない。
セパレータとシールの接合強度を向上させるべく、公知技術であるプライマー塗布を行うことが想起される。すなわち、セパレータにシールを設ける前にプライマーを塗布し、その後、該プライマーにシールを設ける技術である。
しかしながら、この場合、プライマーを塗布する工程が必要であり、従って、シールが一体化したセパレータを得るまでの工程数を低減することが容易ではない。また、プライマーを用いる分だけコストも上昇してしまう。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、セパレータに対して十分な接合強度を示すとともに、耐酸性及びシール性能に優れた燃料電池用シール組成物及び燃料電池用シールを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、アノード電極とカソード電極とが電解質を介して配設される電解質・電極接合体を挟持するセパレータに設けられる燃料電池用シール組成物において、
シール用有機成分として、フッ素樹脂材以外の樹脂材と、エラストマーと、フッ素樹脂材とを含有し、
前記シール用有機成分の全量を100重量%とするとき、前記フッ素樹脂材の割合が2〜10重量%であることを特徴とする。
この燃料電池用シール組成物の硬化物である燃料電池用シールは、主成分であるフッ素樹脂材以外の樹脂材(以下、「非フッ素樹脂材」と表記することもある)が安価であるので、低コストで得ることができる。
また、非フッ素樹脂材は、金属や炭素材に対して良好に接合する。従って、非フッ素樹脂材を主成分とする燃料電池用シールと、セパレータとの間に十分な接合強度が確保される。
さらに、燃料電池用シールにはエラストマーが含まれている。このエラストマーにより、燃料電池用シールに優れた弾性が発現する。これにより、燃料電池が熱膨張ないし収縮する場合においても、優れたシール性能が得られる。
燃料電池用シールには、上記した非フッ素樹脂材及びエラストマーに加え、フッ素樹脂材が含まれている。このフッ素樹脂材により、該燃料電池用シールが、優れたガスバリア性、耐酸性及び耐熱性を示すようになる。なお、フッ素樹脂材は概して高価であるが、フッ素樹脂材の割合は2〜10重量%であり、さほど多くはない。このため、フッ素樹脂材を含めるようにしたことで燃料電池用シールを得るためのコストが上昇したり、燃料電池用シールが層状剥離を起こしたりすることが回避される。
シール用有機成分中の非フッ素樹脂材、エラストマーの割合は、任意に設定することが可能であるが、シール用有機成分の全量を100重量%とするとき、それぞれ、15〜85重量%、10〜65重量%であることが好ましい。
燃料電池用シール組成物には、ガラスビーズをさらに含めるようにしてもよい。この場合、非フッ素樹脂材とエラストマー、フッ素樹脂材が略均一に混ざり合う。すなわち、燃料電池用シール組成物中で非フッ素樹脂材、エラストマー、フッ素樹脂材が相分離を起こすことが抑制される。その結果、燃料電池用シールが層状剥離を起こすことを回避することができる。
なお、非フッ素樹脂材の好適な例としては、熱変形温度が比較的高いポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレン等が挙げられ、エラストマーの好適な例としては、オレフィン系エラストマーやウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマーが挙げられる。
また、本発明に係る燃料電池用シールは、上記した燃料電池用シール組成物からなることを特徴とする。
すなわち、この燃料電池用シールは、ガスバリア性、耐酸性及び耐熱性に優れ、且つ大きな弾性を示すとともに、セパレータに対して堅牢に接合する。さらに、層状剥離を起こし難い。
本発明においては、フッ素樹脂材以外の樹脂材(非フッ素樹脂材)と、エラストマーと、フッ素樹脂材とを配合して燃料電池用シール組成物ないし燃料電池用シールとしている。主成分である非フッ素樹脂材によってセパレータとの接合強度が確保されるとともに、エラストマーによって良好な弾性が発現する。さらに、フッ素樹脂材によって耐酸性や耐熱性等が優れたものとなる。また、フッ素樹脂材の割合が少ないので、燃料電池用シールを得るまでのコストが上昇することが回避される。
要するに、本発明によれば、ガスバリア性、耐酸性及び耐熱性に優れ、且つ大きな弾性を示すとともに、セパレータに対して堅牢に接合し、このために燃料電池の温度変化・体積変化に関わらず、長期間にわたって優れたシール性能を示す燃料電池用シールが低コストで得られる。
本実施の形態に係る燃料電池用シールを備える燃料電池(スタック)の要部縦断面説明図である。 燃料電池用シールにおける各成分の組成比(重量比)と、該燃料電池用シールの特性との関係を示す図表である。
以下、本発明に係る燃料電池用シール組成物につき、該燃料電池用シール組成物の硬化物である燃料電池用シールを備えた燃料電池との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以降においては、燃料電池用シール組成物、燃料電池用シールのそれぞれを、単にシール組成物、シールと表記することもある。
図1は、本実施の形態に係るシールが設けられたスタック(燃料電池)10の要部縦断面説明図である。このスタック10は、アノード電極12とカソード電極14とが電解質16を介して配設された電解質・電極接合体18と、この電解質・電極接合体18を挟持する第1セパレータ20、第2セパレータ22とで構成される単位セル24を備える。本実施の形態において、これら第1セパレータ20及び第2セパレータ22は、SUS304やSUS316等のステンレス鋼で構成されている。
アノード電極12及びカソード電極14は、それぞれ、電解質16側に臨むガス拡散層と、該ガス拡散層に接合された電極触媒層とを有する。このようなアノード電極12及びカソード電極14の構成は公知であることから、ここでは図示を省略するとともにその詳細な説明を省略する。
第1セパレータ20におけるアノード電極12に対向する面には、該アノード電極12に燃料ガスを供給・排出するために山部と谷部を交互に形成した波状の燃料ガス通過部26が湾曲して延在している。図1に示すように、燃料ガス通過部26の頂面は、アノード電極12から離間している。これにより燃料ガス通過部26とアノード電極12との間に中空部28が形成され、燃料ガスはこの中空部28を流通する。
一方、第2セパレータ22には、第1セパレータ20の燃料ガス通過部26に対し反対側に突出する波状の酸化剤ガス通過部30が設けられており、該酸化剤ガス通過部30の各頂面は、第1セパレータ20に指向して突出している。これにより該頂面がカソード電極14から離間することに伴って酸化剤ガス通過部30とカソード電極14との間に中空部32が形成され、この中空部32には、酸化剤ガスが流通される。
また、第1セパレータ20の燃料ガス通過部26と第2セパレータ22の酸化剤ガス通過部30の頂面が互いに反対側に突出しているため、燃料ガス通過部26、酸化剤ガス通過部30の頂面同士は互いに離間している。この離間によって、冷媒を流通させるための冷媒通路34が形成される。
以上の構成において、第1セパレータ20及び第2セパレータ22の両面縁部近傍には、第1シール36、第2シール38がそれぞれ設けられている。これら第1シール36及び第2シール38は、前記中空部28を流通する燃料ガス、前記中空部32を流通する酸化剤ガス、冷媒通路34を流通する冷媒のそれぞれを供給するための供給口、又は排出するための排出口(いずれも図示せず)をシールしている。
なお、これら第1シール36及び第2シール38は、第1セパレータ20に一体で設けられたシール組成物と、第2セパレータ22に一体で設けられたシール組成物とが重ね合わせられた後に硬化されることによって形成される。従って、実際のスタック10においては、これら第1シール36及び第2シール38は一体的に接合しているが、便宜上、第1セパレータ20に設けられたシール組成物が硬化した分を第1シール36と指称し、第2セパレータ22に設けられたシール組成物が硬化した分を第2シール38と指称するとともに、図1において第1シール36と第2シール38との間に破線を付し、両者の一体化前の境界部位を示している。
前記シール組成物は、少なくともシール用有機成分を含む。ここで、シール用有機成分とは、高分子(有機物)からなる3種の成分であり、具体的には、フッ素樹脂以外の樹脂材(非フッ素樹脂材)、エラストマー、及びフッ素樹脂材である。
先ず、非フッ素樹脂材は、シール組成物の主成分であり、第1シール36及び第2シール38に、第1セパレータ20、第2セパレータ22に対する十分な接合強度をもたらす成分である。さらに、燃料電池が室温よりも高温で運転されることから、非フッ素樹脂材としては、十分な耐熱性を示し、温度域に関わらず十分なシール性能が発現するものが好ましく選定される。
耐熱性の指標としては、熱変形温度(「荷重たわみ温度」とも呼称される)が挙げられるが、この熱変形温度が高いものであることが好ましい。特に、熱変形温度が120℃以上であるものが好適である。
以上のような性質を併せ持ち、且つ安価な樹脂材の好適な具体例としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン(PP)等が挙げられるが、非フッ素樹脂材は、特にこれらに限定されるものではない。
シール用有機成分の全量を100重量%とするとき、非フッ素樹脂材の割合は、15〜85重量%であることが好ましい。15重量%未満であると、第1シール36及び第2シール38のガスバリア性、耐酸性及び耐熱性が十分でなくなる傾向がある。また、85重量%を超えると、非フッ素樹脂材に基づいて得られる特性が主となり、エラストマー及びフッ素樹脂材に基づいて得られる特性が十分でなくなる。
次に、シール用有機成分に含まれるエラストマーは、第1シール36及び第2シール38に十分な弾性をもたらす成分である。燃料電池は、起動・運転停止に伴う温度変化に対応して熱膨張・熱収縮を起こす。第1シール36及び第2シール38は、弾性が大きいので、この際に熱膨張・熱収縮に追従して変形・復帰することが可能となる。
ガスバリア性、耐酸性及び耐熱性に優れていることに加えて大きな弾性を示す樹脂材は高価であるが、本実施の形態においては、エラストマーを配合することによって十分な弾性を得ている。従って、弾性がさほど大きくはないが安価である樹脂材を非フッ素樹脂材として選定することができるとともに、高価なフッ素樹脂材の配合量を少なくし得る。このため、第1シール36及び第2シール38を低コストで設けることが可能となる。
エラストマーの種類は、特に限定されるものではなく、オレフィン系エラストマーやウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等であってもよいが、安価であり且つ弾性が優れているということから、スチレン系エラストマーが特に好適である。
なお、スチレン系エラストマーの具体例としては、スチレン−エチレンブチレン−スチレン共重合体(SEBS)エラストマー、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)エラストマー、スチレン−エチレンプロピレン共重合体(SEP)エラストマー、スチレン−エチレンプロピレン−スチレン共重合体(SEPS)エラストマー、スチレン−エチレン−エチレンプロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)エラストマーが挙げられる。
エラストマーの好ましい割合は、シール用有機成分の全量を100重量%とするとき、10〜65重量%である。10重量%未満であると、弾性を大きくするためにはフッ素樹脂材の配合量を多くしなければならないので、コスト的に不利であるとともに、第1セパレータ20、第2セパレータ22から剥離し易くなる懸念がある。また、65重量%よりも多いと、非フッ素樹脂材及びフッ素樹脂材の量が相対的に少なくなるので、これら非フッ素樹脂材及びフッ素樹脂材に基づく特性を得ることが容易でなくなる。
次に、フッ素樹脂材は、第1シール36及び第2シール38に対して十分な耐熱性及び耐酸性を付与する成分である。すなわち、第1シール36及び第2シール38は、フッ素樹脂材を含むことにより、上記したような樹脂材のみからなる一般的なシールに比して優れた耐熱性を示す。また、フッ素樹脂材の優れた耐酸性により、第1シール36及び第2シール38が何らかの化学薬品(特に、酸性物質)に曝露された場合であっても、これら第1シール36及び第2シール38の弾性に変化が生じ難い。
フッ素樹脂材の割合が過度に少ないと、上記した各効果を得ることが困難である。また、フッ素樹脂材は、シール組成物中に分散した状態で存在しているが、フッ素樹脂材が過度に多いと、分散したフッ素樹脂材同士がシール組成物中で結着し、その結果として、非フッ素樹脂材との間で相分離を起こす懸念がある。このような事態が生じると、第1シール36及び第2シール38が層状剥離を起こす一因となる。以上のような不具合が惹起されることを回避するべく、フッ素樹脂材の割合は、シール用有機成分の全量を100重量%とするとき、2〜10重量%に設定される。
なお、フッ素樹脂材の種類は特に限定されるものではないが、好適な具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)等を挙げることができる。
この種のフッ素樹脂材は、非フッ素樹脂材に比して高価ではあるが、シール組成物に含まれるフッ素樹脂材の割合は2〜10重量%であり、主成分である非フッ素樹脂材や、エラストマーに比して比較的少ない。このため、第1シール36及び第2シール38を安価に得ることができる。
第1シール36及び第2シール38(シール組成物)には、上記のシール用有機成分の他、必要に応じ、導電剤、耐熱剤等を添加するようにしてもよい。特に、ガラスビーズを添加すると、第1シール36及び第2シール38の剛性が向上するとともに、非フッ素樹脂材、エラストマー及びフッ素樹脂材が互いに略均等に混ざり合うようになる。すなわち、上記したフッ素樹脂材同士の結着が起こり難くなり、その結果、第1シール36及び第2シール38に層状剥離が一層起こり難くなるとともに、第1シール36及び第2シール38が第1セパレータ20、第2セパレータ22から剥離し難くなる。
また、相溶剤を添加することによっても、非フッ素樹脂材、エラストマー及びフッ素樹脂材を略均等に混ぜ合わせることができる。相溶剤の好適な例としては、シランカップリング剤が挙げられる。
このように構成された単位セル24(図1参照)を含むスタック10、すなわち、燃料電池を運転するに際しては、水素含有ガス等の燃料ガスが中空部28からアノード電極12に供給されるとともに、空気等の酸化剤ガスが中空部32からカソード電極14に供給される。これらの反応ガスの存在下に、各電極12、14において電極反応が生じる。この燃料電池の運転の際に、単位セル24、すなわち、電解質・電極接合体18、第1セパレータ20、第2セパレータ22は、冷媒通路34に供給された冷媒(冷却水等)によって冷却される。
第1シール36及び第2シール38は、シール組成物同士が堅牢に接合し合い、しかも、シールすべき部位の形状に合致している。その上、第1シール36及び第2シール38は、主には非フッ素樹脂材に基づいて第1セパレータ20及び第2セパレータ22に堅牢に接合している。このため、第1シール36及び第2シール38は、優れたシール性能を示す。従って、上記のように燃料電池を運転している間、反応ガスや冷媒が外部に漏洩することが有効に回避される。
さらに、第1シール36及び第2シール38には、ガスバリア性、耐酸性及び耐熱性が、非フッ素樹脂材のみならず、フッ素樹脂材からも付与される。スタック10が固体高分子形燃料電池である場合、電解質16はスルホン酸基を有する固体高分子膜からなり、運転中に酸性雰囲気になる傾向があるが、この場合においても、第1シール36及び第2シール38が優れた耐酸性を示すので、ガスバリア性(シール性能)が維持される。しかも、耐熱性に優れるため、スタック10を運転するために高温に維持しても、十分なシール性能が得られる。
加えて、第1シール36及び第2シール38は、エラストマーに基づいて優れた弾性を示すため、起動・運転停止に伴ってスタック10が熱膨張・熱収縮を起こしても、これに追従して変形・復帰することが可能である。従って、この過程においても、十分なシール性能が保たれる。この弾性は、非フッ素樹脂材に基づいて、第1シール36及び第2シール38が何らかの化学薬品に曝露された後も維持される。
上記のスタック10を作製するに際しては、はじめに、上記したシール組成物を調製する。すなわち、非フッ素樹脂材、エラストマー及びフッ素樹脂材を所定の割合で混合し、シール用有機成分を得る。このシール用有機成分のみでシール組成物としてもよいし、上記したようなガラスビーズや無機充填剤、相溶剤、導電材、耐熱剤等をさらに添加してシール組成物としてもよい。ガラスビーズが配合されているときには、混合を行う際に非フッ素樹脂材、エラストマー及びフッ素樹脂材を粉砕・分散させ、これによりフッ素樹脂材が良好に分散すると推察される。
次に、第1セパレータ20又は第2セパレータ22の各端面の所定部位に対し、上記のようにして得たシール組成物を設ける。シール組成物を設ける手法としては、例えば、射出成形、インサート成形、トランスファー成形、コンプレッション成形等が挙げられる。なお、第1セパレータ20又は第2セパレータ22にプライマーを塗布する必要は特にない。
ここで、シール組成物を設けることに先んじて、第1セパレータ20又は第2セパレータ22の各端面に対し、サンドペーパーやブラスト等にて表面粗度を大きくする等の前処理を施すようにしてもよい。この場合、シール組成物がアンカー効果によって第1セパレータ20又は第2セパレータ22の各端面に留まり易くなるので、該シール組成物が第1セパレータ20又は第2セパレータ22から一層剥離し難くなる。
次に、第1セパレータ20と第2セパレータ22の間に電解質・電極接合体18を介装して単位セル24を構成し、さらに、単位セル24同士を積層してスタック10を形成する。この際、第1セパレータ20に設けられたシール組成物と、第2セパレータ22に設けられたシール組成物とが互いに重畳される。この重畳を行う前に、前記シール組成物を加熱して予め若干硬化させるようにしてもよい。
次に、シール組成物を成形型内で硬化させる。これにより該シール組成物の流動性が喪失し、硬化物としての第1シール36及び第2シール38が形成される。勿論、これら第1シール36及び第2シール38は硬化物であるので、塑性変形することはない。
以上により、シール組成物同士が堅牢に接合し合い、しかも、シールすべき部位の形状に合致した第1シール36及び第2シール38を備えたスタック10が得られるに至る。
上記から諒解されるように、本実施の形態に係るシール組成物によれば、第1セパレータ20及び第2セパレータ22にプライマーを塗布することなく、これら第1セパレータ20及び第2セパレータ22に対する接合強度が優れた第1シール36及び第2シール38が得られる。従って、プライマーを塗布する工程を省略することができるとともに、プライマーに費やしていたコストを低減することができる。
非フッ素樹脂材、エラストマーとして、東レ社製のPSS樹脂材であるA−900と、旭化成社のSEBSエラストマーであるタフタックH1052とをそれぞれ選定した。また、フッ素樹脂材として、ダイキン社製のPTFEであるルブロンL−5、又は三菱レイヨン社製のアクリル変性PTFEであるメタブレンA−3000を選定し、A−900、タフタックH1052の重量比を一定とする一方でルブロンL−5の混合比を種々変更した。
以上のシール用有機成分に対し、ポーターズバロティーニ社製のガラスビーズであるEMB−10を添加して二軸押出機であるTEM−48SS(東芝社製)にて300℃で混連し、シール組成物をペレットとして得た。
次に、このペレットを用いて三菱重工社製の350型射出成形機にて射出成形を行うことで、SUS316からなる矩形状のプレートの縁部に枠形状のシールを形成した。
ルブロンL−5の混合比が相違する各シールに対し、0〜10kgf/cmの荷重を垂直方向から100回繰り返して付加した後、該シールが剥離しているか否かを目視にて確認した。
これとは別に、各シールの弾性率を測定した後、pH1、80℃の硫酸水溶液にシールを前記プレートごと浸漬して1000時間放置した。その後、前記プレートを硫酸水溶液から取り出し、各シールの弾性率を再測定した。
以上の結果を、シール組成物におけるA−900、タフタックH1052、ルブロンL−5又はメタブレンA−3000の組成比(重量比)と併せて図2に示す。なお、図2には、フッ素樹脂材であるルブロンL−5又はメタブレンA−3000がシール用有機成分に占める割合を、重量%に換算して掲載している。
この図2から、ルブロンL−5又はメタブレンA−3000(フッ素樹脂材)を全く含まないNo.1、ルブロンL−5の組成比が少量であるNo.2では弾性率が大きく変化しているのに対し、シール用有機成分中のルブロンL−5又はメタブレンA−3000(フッ素樹脂材)の割合が2〜10重量%であるNo.3〜No.6においては、弾性率が維持されていることが分かる。
また、図2に示したように、ルブロンL−5が10重量%を超えるNo.7ではシールに層状剥離が生じていたが、No.3〜No.6においては、層状剥離は生じていなかった。
以上の結果から、シール用有機成分における非フッ素樹脂材の割合を2〜10重量%に設定することにより、耐酸性に優れるために酸性雰囲気下であっても弾性を維持し得、且つ層状剥離が生じ難いシールが得られることが明らかである。
10…スタック 12…アノード電極
14…カソード電極 16…電解質
18…電解質・電極接合体 20、22…セパレータ
24…単位セル 26…燃料ガス通過部
30…酸化剤ガス通過部 34…冷媒通路
36、38…シール

Claims (6)

  1. アノード電極とカソード電極とが電解質を介して配設される電解質・電極接合体を挟持するセパレータに設けられる燃料電池用シール組成物において、
    シール用有機成分として、フッ素樹脂材以外の樹脂材と、エラストマーと、フッ素樹脂材とを含有し、
    前記シール用有機成分の全量を100重量%とするとき、前記フッ素樹脂材の割合が2〜10重量%であることを特徴とする燃料電池用シール組成物。
  2. 請求項1記載の組成物において、前記シール用有機成分の全量を100重量%とするとき、フッ素樹脂材以外の前記樹脂材及び前記エラストマーの割合が、それぞれ、15〜85重量%、10〜65重量%であることを特徴とする燃料電池用シール組成物。
  3. 請求項1又は2記載の組成物において、前記シール用有機成分の他にガラスビーズをさらに含むことを特徴とする燃料電池用シール組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物において、フッ素樹脂材以外の前記樹脂材がポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレンのいずれかであることを特徴とする燃料電池用シール組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物において、前記エラストマーがスチレン系エラストマーであることを特徴とする燃料電池用シール組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載された燃料電池用シール組成物からなることを特徴とする燃料電池用シール。
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CN103951977A (zh) * 2014-04-18 2014-07-30 安徽省中日农业环保科技有限公司 一种汽车塑料件用玻璃微珠改性聚苯硫醚材料

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