以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
以下では、本発明に係る画像表示装置としてプロジェクタを例に説明するが、本発明に係る画像表示装置がプロジェクタに限定されるものではない。即ち、サブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれに起因した画質の低下は、プロジェクタに限らず種々の画像表示装置でも起こり得る現象であると考えられるため、本発明に係る画像表示装置はプロジェクタに限定されるものではない。
〔第1の実施形態〕
図1に、本発明に係る第1の実施形態における画像表示装置としてのプロジェクタの構成例のブロック図を示す。
第1の実施形態における画像表示装置としてのプロジェクタ10は、1画素を構成する複数のサブ画素に対応した画像信号に基づいて変調された光をスクリーンSCRに投射することで画像表示を行う。ここで、スクリーンSCRに投射された表示画像を構成する表示画素は、1画素を構成するサブ画素に対応した表示サブ画素により構成される。
プロジェクタ10は、画像処理装置としての画像処理部20と、画像表示部としての投射部100とを含む。
画像処理部20は、各サブ画素の画素値に対応した入力画像信号に対して、スクリーンSCRに投射された表示画像の各表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置のずれ量に応じた補正処理を行う。この入力画像信号は、図示しない画像信号生成装置によって生成され、画像処理部20に供給される。
この画像処理部20は、ずれ量記憶部22、ずれ量算出部24、ダミー画像信号付加部26、画像信号補正部28を含むことができる。ずれ量記憶部22は、表示画像内の所与の基準位置を基準として、表示画素を構成するサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量(広義には補正パラメータ)を記憶する。ずれ量算出部24は、表示画像の1画面の代表点としてずれ量記憶部22に記憶された複数の表示サブ画素のずれ量を用いた補間処理により、当該サブ画素位置におけるずれ量を算出することができる。これにより、ずれ量算出部24は、1画面の全画素について、表示サブ画素のずれ量を算出することができる。
ダミー画像信号付加部26は、サブ画素の入力画像信号に、入力画像の最端部のサブ画素の外側に設けられるダミーサブ画素に対応したダミー画像信号を付加する。このダミー画像信号付加部26によってダミー画像信号が付加された画像信号が、画像信号補正部28に供給される。画像信号補正部28は、ずれ量算出部24によって算出されたずれ量に基づいて、入力画像の各画素を構成するサブ画素に対応した画像信号の補正処理を行う。即ち、画像信号補正部28は、サブ画素の入力画像信号に、入力画像の最端部のサブ画素の外側に設けられるダミーサブ画素に対応したダミー画像信号が付加された画像信号に対して補正処理を行う。
投射部100には、画像処理部20によって補正処理が行われた画像信号が供給される。この投射部100は、例えば3板式の液晶プロジェクタにより構成され、1画素を構成するサブ画素の画像信号に基づいてスクリーンSCRに画像を投射する。より具体的には、投射部100は、画像処理部20によって補正された画像信号に基づいて、図示しない光源からの光を変調し、変調後の光を用いてスクリーンSCRに投射する。
図2に、図1の投射部100の構成例を示す。図2では、第1の実施形態における投射部100が、いわゆる3板式の液晶プロジェクタにより構成されるものとして説明するが、本発明に係る画像表示装置の投射部がいわゆる3板式の液晶プロジェクタにより構成されるものに限定されるものではない。
投射部100は、光源110、インテグレータレンズ112、114、偏光変換素子116、重畳レンズ118、R用ダイクロイックミラー120R、G用ダイクロイックミラー120G、反射ミラー122、R用フィールドレンズ124R、G用フィールドレンズ124G、R用液晶パネル130R(第1の光変調部)、G用液晶パネル130G(第2の光変調部)、B用液晶パネル130B(第3の光変調部)、リレー光学系140、クロスダイクロイックプリズム160、投射レンズ170を含む。R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bとして用いられる液晶パネルは、透過型の液晶表示装置である。リレー光学系140は、リレーレンズ142、144、146、反射ミラー148、150を含む。
光源110は、例えば超高圧水銀ランプにより構成され、少なくともR成分の光、G成分の光、B成分の光を含む光を射出する。インテグレータレンズ112は、光源110からの光を複数の部分光に分割するための複数の小レンズを有する。インテグレータレンズ114は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズに対応する複数の小レンズを有する。重畳レンズ118は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズから射出される部分光を液晶パネル上で重畳する。
また偏光変換素子116は、偏光ビームスプリッタアレイとλ/2板とを有し、光源110からの光を略一種類の偏光光に変換する。偏光ビームスプリッタアレイは、インテグレータレンズ112により分割された部分光をp偏光とs偏光に分離する偏光分離膜と、偏光分離膜からの光の向きを変える反射膜とを、交互に配列した構造を有する。偏光分離膜で分離された2種類の偏光光は、λ/2板によって偏光方向が揃えられる。この偏光変換素子116によって略一種類の偏光光に変換された光が、重畳レンズ118に照射される。
重畳レンズ118からの光は、R用ダイクロイックミラー120Rに入射される。R用ダイクロイックミラー120Rは、R成分の光を反射して、G成分及びB成分の光を透過させる機能を有する。R用ダイクロイックミラー120Rを透過した光は、G用ダイクロイックミラー120Gに照射され、R用ダイクロイックミラー120Rにより反射した光は反射ミラー122により反射されてR用フィールドレンズ124Rに導かれる。
G用ダイクロイックミラー120Gは、G成分の光を反射して、B成分の光を透過させる機能を有する。G用ダイクロイックミラー120Gを透過した光は、リレー光学系140に入射され、G用ダイクロイックミラー120Gにより反射した光はG用フィールドレンズ124Gに導かれる。
リレー光学系140では、G用ダイクロイックミラー120Gを透過したB成分の光の光路長と他のR成分及びG成分の光の光路長との違いをできるだけ小さくするために、リレーレンズ142、144、146を用いて光路長の違いを補正する。リレーレンズ142を透過した光は、反射ミラー148によりリレーレンズ144に導かれる。リレーレンズ144を透過した光は、反射ミラー150によりリレーレンズ146に導かれる。リレーレンズ146を透過した光は、B用液晶パネル130Bに照射される。
R用フィールドレンズ124Rに照射された光は、平行光に変換されてR用液晶パネル130Rに入射される。R用液晶パネル130Rは、光変調素子(光変調部)として機能し、R用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、R用液晶パネル130Rに入射された光(第1の色成分の光)は、画像処理部20によって補正されたR用の画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
G用フィールドレンズ124Gに照射された光は、平行光に変換されてG用液晶パネル130Gに入射される。G用液晶パネル130Gは、光変調素子(光変調部)として機能し、G用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、G用液晶パネル130Gに入射された光(第2の色成分の光)は、画像処理部20によって補正されたG用の画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
リレーレンズ142、144、146で平行光に変換された光が照射されるB用液晶パネル130Bは、光変調素子(光変調部)として機能し、B用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、B用液晶パネル130Bに入射された光(第3の色成分の光)は、画像処理部20によって補正されたB用の画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bは、それぞれ同様の構成を有している。各液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコン薄膜トランジスタをスイッチング素子として、各サブ画素の画像信号に対応して各色光の通過率を変調する。
クロスダイクロイックプリズム160は、R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bからの入射光を合成した合成光を出射光として出力する機能を有する。投射レンズ170は、出力画像をスクリーンSCR上に拡大して結像させるレンズであり、ズーム倍率に応じて画像を拡大又は縮小させる機能を有する。
図3に、図2の投射部100によりスクリーンSCRに投射された表示画像を構成する表示画素を模式的に示す。
スクリーンSCRに投射された表示画像を構成する表示画素PXは、プロジェクタ10が有する光変調素子(光変調部)の画素のスクリーンSCR上の像である輝点を有し、表示画素PXは、光変調部の画素に対応付けられる。そして、投射部100は、R用液晶パネル130Rの画素に対応したR成分の表示サブ画素PR、G用液晶パネル130Gの画素に対応したG成分の表示サブ画素PG、及びB用液晶パネル130Bの画素に対応したB成分の表示サブ画素PBの各表示サブ画素の輝点が重なるように投射する。このように、表示画素PXは、表示サブ画素PR、PG、PBにより構成される。
ところが、投射部100は図2のような構成を有しており、光学系の色収差や、光学系の構成部材の位置調整手段の調整精度等に起因して、スクリーン上における表示サブ画素の表示位置のずれが生じる。そこで、第1の実施形態では、例えば表示画素を構成するG成分の表示サブ画素PGの表示位置を基準として、当該表示画素を構成する他のR成分の表示サブ画素PRの表示位置のずれ量、及びB成分の表示サブ画素PBの表示位置のずれ量が記憶される。そして、このずれ量に基づいて、サブ画素の画像信号が補正される。
これにより、表示サブ画素の表示位置のずれが生じた場合であっても、例えば表示画像のエッジ部分や最端部において、解像感の低下や偽色の発生を抑えて、表示画像の画質の低下を抑えることができる。
以上のような構成を有する第1の実施形態におけるプロジェクタ10では、まずサブ画素のずれ量の取得処理が行われる。この取得処理は、例えばプロジェクタ10の製造時の検査工程で行われる。
図4に、第1の実施形態におけるプロジェクタ10の表示サブ画素位置のずれ量を測定する測定システムの構成例のブロック図を示す。図4において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
この測定システム200は、プロジェクタ10と、サブ画素位置測定部210と、パターン画像記憶部220とを含む。なお、プロジェクタ10が、サブ画素位置測定部210とパターン画像記憶部220とを含んでもよい。
サブ画素位置測定部210は、デジタルスチルカメラ等の撮像装置を含み、投射部100によって投射されたスクリーンSCR上の表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置を測定する。パターン画像記憶部220は、スクリーンSCRへの投射画像(表示画像)の表示サブ画素の位置を測定するためのパターン画像を記憶する。サブ画素位置測定部210は、パターン画像記憶部220に記憶されたパターン画像を用いて投射部100がスクリーンSCRに投射した画像を撮像し、この撮像データを画像情報として各表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置を測定する。サブ画素位置測定部210によって測定された表示サブ画素の表示位置のずれ量が、画像処理部20のずれ量記憶部22に格納される。
図5に、図4の測定システム200における表示サブ画素位置のずれ量の取得処理例のフロー図を示す。
まず、プロジェクタ10では、パターン画像記憶部220に記憶されたパターン画像に対応した画像情報を読み出し、投射部100が、該パターン画像をスクリーンSCRに投射する(ステップS10)。そして、パターン画像を投射した後、プロジェクタ10では、サブ画素位置測定部210が、スクリーンSCRへの表示画像を撮影する(ステップS12)。サブ画素位置測定部210は、スクリーンSCRへの表示画像の画素数よりも多い撮像画素数で、表示画像を撮影する。即ち、サブ画素位置測定部210は、スクリーンSCRへの表示画像の1画素分の表示画素を、1画素よりも多い撮像画素数で該表示画素を撮影して取り込む。
続いて、サブ画素位置測定部210は、表示サブ画素の表示位置を決定する(ステップS14)。そして、サブ画素位置測定部210又は画像処理部20は、表示画像内の所与の基準位置を基準として、ステップS14で決定した表示サブ画素の表示位置のずれ量を求めて(ステップS16)、ずれ量記憶部22に保存し(ステップS18)、一連の処理を終了する(エンド)。
図6に、第1の実施形態におけるパターン画像の撮像処理の一例を示す。図6において、図4と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図6では第1の実施形態におけるパターン画像をスクリーンSCRに投射したとき、1画素を構成するサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置が、互いにずれている。本来は、表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置が一致するようにプロジェクタ10の光学系が調整されているが、光学系の収差等に起因して、1表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置を完全に一致させることは容易ではない。
パターン画像記憶部220に記憶されるパターン画像は、スクリーンSCRへの投射領域PAの四隅の4画素を有する。各画素は、R成分の表示サブ画素、G成分の表示サブ画素及びB成分の表示サブ画素を有する。なお、各表示サブ画素は、模式的に矩形の形状を有しているものとして示しているが、実際にはレンズの歪曲収差等に起因して表示画素の形状が矩形にはならない。
図5のステップS12では、1画素を構成する全サブ画素を一度に投射し、サブ画素位置測定部210は、R成分のカラーフィルタFRを介して、スクリーンSCRの表示画像を撮像する。同様に、サブ画素位置測定部210は、G成分のカラーフィルタFGを介してスクリーンSCRの表示画像を撮像した後、B成分のカラーフィルタFBを介してスクリーンSCRの表示画像を撮像する。これにより、R成分のサブ画素に対応した表示サブ画素、G成分のサブ画素に対応した表示サブ画素、及びB成分のサブ画素に対応した表示サブ画素を取り込むことができる。
なお、表示サブ画素を取り込む方法は、図6で説明したものに限定されるものではなく、例えばサブ画素を表示して、カラーフィルタを介さずに、表示サブ画素を撮像することを色成分毎に繰り返してもよい。
図5のステップS12では、サブ画素位置測定部210又は画像処理部20は、サブ画素位置測定部210による撮像により、G成分のサブ画素に対応した表示サブ画素DG1〜DG4の撮像データを取得する。その後、図5のステップS14において、G成分のサブ画素に対応した表示画素DG1〜DG4の各表示画素の領域の中からG成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の位置を決定する。
この決定処理としては、画素値が最大の画素をサブ画素位置として決定することができ、例えば各表示画素の領域の輝度ヒストグラムを算出し、最高輝度の画素を画素値が最大の画素として特定することができる。或いは、各表示画素の領域の輝度ヒストグラムを算出し、所定の閾値以上の画素の重心位置をサブ画素位置として決定することができる。
また、同様に、R成分及びB成分についてもサブ画素に対応した表示サブ画素DR1〜DR4、DB1〜DB4に対応するサブ画素位置が決定される。この結果、R成分、G成分及びB成分の各表示サブ画素のサブ画素位置が決定され、例えばG成分のサブ画素に対応した表示サブ画素のサブ画素位置を基準としたR成分及びB成分のサブ画素に対応した表示サブ画素のサブ画素位置のずれ量がずれ量記憶部22に保存される。
即ち、第1の実施形態では、ずれ量は、G成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置を基準としたR成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量と、G成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置を基準としたB成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量とからなる。このように、基準位置は、画素を構成するG成分のサブ画素に対応する表示サブ画素の表示位置である。これにより、表示画素を構成する1つの表示サブ画素の表示位置を基準に、他の表示サブ画素の表示位置のずれ量を定義することで、保存すべきずれ量の容量を大幅に削減できるようになる。また、表示画素を構成する複数の色成分の表示サブ画素のうち、G成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置を基準位置とすることで、人間の眼に認識しやすい色成分の表示サブ画素を基準に他の色成分の表示サブ画素に対応した画像信号を補正することができ、画質の低下を防止できるようになる。
このようにサブ画素位置測定部210を備えてプロジェクタ10で投影された表示サブ画素を撮像してサブ画素の表示位置のずれ量を算出するようにすることで、表示サブ画素の表示位置のずれにプロジェクタの個体差があっても画質の低下を防止できるようになる。
続いて、図1の画像処理部20の各部の動作について説明する。
図7に、図1のずれ量算出部24の動作説明図を示す。
図7は、投射部100によって投射された表示画像(水平方向の画素数がW、垂直方向の画素数がH)の投射領域PAを表している。ずれ量記憶部22は、表示画像の四隅又は四隅付近の表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶している。
なお、図7では、例えばR成分の表示サブ画素PR1〜PR4の表示位置のずれ量を模式的に表している。このずれ量は、水平方向であるx方向のずれ量dx、垂直方向であるy方向のずれ量dyからなる。即ち、ずれ量記憶部22は、例えば表示サブ画素PR1の表示位置のずれ量について、x方向のずれ量dx[0]、y方向のずれ量dy[0]を記憶する。
ここで、表示サブ画素の表示位置のずれ量は、以下のように正規化されていることが望ましい。
図8に、第1の実施形態における表示サブ画素の表示位置のずれ量の説明図を示す。図8において、図7と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
プロジェクタ10の投射部100により投射された表示画像の投射領域PAのサイズは、一意に定まる。そこで、投射領域PAの水平方向の長さをDLEN、水平方向の画素数Dをとすると、DLEN/Dを1単位としたずれ量を求めることで、x方向のずれ量の数値が何画素分に相当するかを特定できる。同様に、投射領域PAの垂直方向の長さをHLEN、垂直方向の画素数をHとすると、HLEN/Hを1単位としたずれ量を求めることで、y方向のずれ量の数値が何画素分に相当するかを特定できる。
このように正規化された表示サブ画素PR1のずれ量dx[0]、dy[0]、表示サブ画素PR2のずれ量dx[1]、dy[1]、表示サブ画素PR3のずれ量dx[2]、dy[2]、及び表示サブ画素PR4のずれ量dx[3]、dy[3]を用いて、ずれ量算出部24は、投射領域PAの表示サブ画素PREのx方向のずれ量x_shift、y方向のずれ量y_shiftを算出する。
より具体的には、ずれ量算出部24は、ずれ量dx[0]〜dx[3]に基づいて、投射領域PAの左上隅を原点とする座標(x,y)に位置する表示サブ画素PREのx方向のずれ量x_shift(x,y)を算出する。このとき、ずれ量算出部24は、次式で示すように、線形補間処理によってずれ量x_shift(x,y)を算出する。
同様に、ずれ量算出部24は、ずれ量dy[0]〜dy[3]に基づいて、投射領域PAの左上隅を原点とする座標(x,y)に位置する表示サブ画素PREのy方向のずれ量y_shift(x,y)を算出する。
なお、図7及び図8では、投射領域PA内のR成分の表示サブ画素のずれ量を算出するものとして説明したが、投射領域PA内のB成分の表示サブ画素のずれ量も同様に算出できる。このように、ずれ量記憶部22が、例えば投射領域PAの四隅のずれ量のみを保存していても、ずれ量算出部24は、投射領域PA内のG成分を除く他の色成分の全表示サブ画素のずれ量を算出することができる。
図9に、図1の画像信号補正部28の動作説明図を示す。
図9は、例えばR成分の表示サブ画素に対応したサブ画素R(i,j)の画素値IMGs[i][j]の補正処理の説明図を表す。図9では、例えば投射領域の左上隅を原点とする座標系で定義されるR成分のサブ画素R(i,j)の周囲のR成分のサブ画素が模式的に示されている。ここで、例えばR成分のサブ画素R(i−1,j−1)は、画素値img[i−1][j−1]を有し、R成分のサブ画素R(i,j+1)は、画素値img[i][j+1]を有しているものとする。
図9のサブ画素R(i,j)に対応した表示サブ画素の表示位置は、G成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置を基準に、x方向にx_shift、y方向にy_shiftだけずれているものとする。このずれ量は、ずれ量記憶部22から読み出されたり、図7及び図8で説明したずれ量算出部24により算出される。
画像信号補正部28は、このずれ量に基づいて、当該サブ画素R(i,j)の周囲のサブ画素(x方向に隣接するサブ画素、y方向に隣接するサブ画素)の画素値を用いた面積階調法により、当該サブ画素R(i,j)の画素値IMGs[i][j]を求め、この画素値IMGs[i][j]を補正後の画像信号として投射部100に出力する。
この画像信号補正部28は、入力画像の各画素を構成するサブ画素の入力画像信号に、該入力画像の最端部のサブ画素の外側に設けられるダミーサブ画素に対応したダミー画像信号が付加された画像信号に対して、上記のずれ量に基づく補正処理を行う。
図1では、入力画像信号がプロジェクタ10又は画像処理部20に入力された時点で、このダミー画像信号はダミー画像信号付加部26によって付加される。しかしながら、画像信号補正部28は、入力画像信号にこのダミー画像信号が付加された画像信号に対して上記のずれ量に基づく補正処理を行うことができればよい。この場合、図1のプロジェクタ10はダミー画像信号付加部26が省略された構成を有することができる。例えば予めダミー画像信号が設定されたメモリの所定領域に入力画像信号を格納し、画像信号補正部28が、入力画像信号にダミー画像信号が付加された画像信号として該メモリから読み出した画像信号に対して上記の補正処理を行うことで実現できる。
ここで、ダミー画像信号について説明する。
図10(A)、図10(B)、図10(C)に、入力画像信号にダミー画像信号が付加されない画像信号に対する補正処理の説明図を示す。図10(A)は、水平方向に6画素、垂直方向に4画素を有する入力画像を模式的に表す。図10(B)は、図10(A)の画像信号に対して、図9で説明した補正処理の様子を表す。なお、図10(B)では、G成分の表示サブ画素の表示位置を基準にR成分及びB成分の表示サブ画素がx方向に1/3画素ずつずれているものとする。図10(C)は、図10(B)の画像信号に基づいて表示された表示画像を模式的に表す。
図10(A)は、例えば「白」の背景画像に、垂直方向に「黒」のスジを有する入力画像を表す。しかしながら、図10(B)では、入力画像信号にダミー画像信号が付加されない画像信号に対して補正処理が行われる。そのため、図10(C)の表示画像の水平方向の最端部の表示画素を構成するR成分又はB成分の表示サブ画素に対応したサブ画素は、補正処理に用いられるサブ画素が存在しないため、補正処理対象から外されるか、このサブ画素に対して例外的に補正を行う必要がある。その結果、本来は「白」又は「黒」を表示すべき画像であるにもかかわらず、図10(C)の表示画像の水平方向の最端部やエッジ部付近の表示画素F1、F2では、R成分又はB成分の表示サブ画素により偽色が発生したり、解像感が劣化したりする。このため、図10(C)に示すような偽色の発生や解像感の劣化を抑えるために、例外的な補正を行う必要があり、処理負荷が重くなってしまう。
そこで、第1の実施形態では、入力画像信号にダミー画像信号を付加することで、表示画素を構成する表示サブ画素に対応したサブ画素に対して例外的な補正処理を行うことなく、解像感の低下や偽色の発生を抑えることができるようになる。
図11(A)、図11(B)に、ダミー画像信号の説明図を示す。図11(A)は、入力画像に対応した入力画像信号を模式的に表す。図11(B)は、入力画像信号にダミー画像信号が付加された画像信号を模式的に表す。
図11(A)は、入力画像を構成する各画素の画素値が、それぞれD00、D01、・・・、D53であることを示している。各画素は、複数のサブ画素により構成されており、各画素の画素値は、各画素を構成する複数のサブ画素の画素値により構成される。例えば、画素値D00を有する画素は、R成分のサブ画素の画素値と、G成分のサブ画素の画素値と、B成分のサブ画素の画素値を有することになる。
これに対して、図11(B)では、入力画像の最端部のサブ画素の外側に設けられるダミーサブ画素に対応したダミー画像信号が付加されている。従って、入力画像の最端部のサブ画素により構成される画素の外側に、ダミーサブ画素により構成されるダミー画素に対応したダミー画像信号が付加される。図11(B)では、ダミーサブ画素の画素値「0」に対応したダミー画像信号が入力画像信号に付加され、ダミーサブ画素により構成されるダミー画素の画素値もまた「0」となる。
ここで、ダミー画像信号は、入力画像の最端部のサブ画素の輝度以下となる画素値を有していればよい。このため、ダミー画像信号が、最も輝度が低い画素値を有することで、最端部のサブ画素の輝度にかかわらず、ダミー画像信号は、必ず最端部のサブ画素の輝度以下となる画素値を有することになる。R成分、G成分及びB成分のダミーサブ画素に対応したダミー画像信号により指定される画素値が「0」のとき、最も輝度が低い「黒」の画素値となり、入力画像の最端部の画素の外側に、「黒」のダミー画素を設けることを意味する。
図12(A)、図12(B)、図12(C)に、入力画像信号にダミー画像信号が付加された画像信号に対する補正処理の説明図を示す。図12(A)は、水平方向に6画素、垂直方向に4画素を有する入力画像を模式的に表す。図12(B)は、図12(A)の画像信号に対して、図9で説明した補正処理を行う様子を表す。なお、図12(B)では、G成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、R成分及びB成分の表示サブ画素がx方向に沿ってそれぞれ反対方向に1/3画素ずつずれているものとする。図12(C)は、図12(B)の画像信号に基づいて表示された表示画像を模式的に表す。
図12(A)は、例えば「白」の背景画像に、垂直方向に「黒」のスジを有する入力画像を表すものとする。この場合、図12(B)では、入力画像信号にダミー画像信号が付加された画像信号に対する補正処理が行われる。そのため、図12(C)の表示画像の水平方向の最端部の表示画素を構成するR成分又はB成分の表示サブ画素に対応したサブ画素は、ダミー画像信号を用いた補正処理が行われるため、このサブ画素に対して例外処理を行うことなく全サブ画素について同様に補正処理を行うことができるようになる。しかも、最端部のサブ画素の輝度以下となる画素値を有するダミー画像信号を用いて最端部のサブ画素の画像信号を補正したので、図12(C)の表示画像の水平方向の最端部やエッジ付近の表示画素F10、F11では、R成分又はB成分の表示サブ画素による偽色の発生や解像感の劣化を抑えることができるようになる。
なお、図12(A)、図12(B)、図12(C)では、表示サブ画素の表示位置がx方向のみにずれている例を説明したが、y方向にずれている場合も同様である。
図13に、第1の実施形態におけるプロジェクタ10の表示画像の説明図を示す。
図13は、プロジェクタ10により投射された表示画像を模式的に表す。また、この表示画像では、図12(B)と同様に、G成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、R成分及びB成分の表示サブ画素の表示位置がx方向に1/3画素ずつずれているものとする。なお、図13では、表示画像の最端部から水平方向に変化する表示サブ画素の輝度を模式的に示している。
第1の実施形態では、プロジェクタ10が、表示サブ画素の表示位置のずれ量に応じてサブ画素に対応した画像信号を補正し、該画像信号に基づいて画像を表示する。このとき、画像信号の補正処理において、最端部のサブ画素の輝度以下となる画素値を有するダミー画像信号を用いるため、表示画像の最端部の表示サブ画素の輝度L1、L3が該表示サブ画素に対応した本来のサブ画素の画素値により指定される輝度L2、L4より小さくなるように表示することになる。
これにより、表示画像の最端部における偽色の発生や、解像感の劣化を防止できるようになる。
図14に、第1の実施形態におけるプロジェクタ10の表示画像の端部の表示画素の説明図を示す。
図14は、プロジェクタ10により投射された表示画像の端部の表示画素PTを模式的に表す。この表示画素PTは、R成分の表示サブ画素PTR、G成分の表示サブ画素PTG、B成分の表示サブ画素PTBにより構成される。図14では、表示画素PTを構成する表示サブ画素のうち、最端部の表示サブ画素がR成分の表示サブ画素PTRであるものとする。
第1の実施形態では、プロジェクタ10が、表示サブ画素の表示位置のずれ量に応じて、サブ画素に対応した画像信号を補正し、該画像信号に基づいて画像を表示する。このとき、G成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、R成分及びB成分の表示サブ画素の表示位置のずれ量が定められる。従って、ずれ量の基準となるG成分の表示サブ画素PTGに対応したサブ画素については、ダミー画像信号を用いた補正処理が行われず、このサブ画素の画素値に対応した輝度が補正処理の前後で変化しない。これに対して、R成分及びB成分の表示サブ画素PTR、PTBのうち、最端部の表示サブ画素PTRに対応したサブ画素については、ダミー画像信号を用いた補正処理が行われる。そのため、色成分毎に同一画素値の画像信号で画面全体に亘って単色表示を行った場合、すべての色成分の画像が均一の色の画像になることはない。図14では、R成分の単色表示を行った画像については、補正処理の結果、最端部の表示サブ画素PTRの輝度が、その内側の表示サブ画素PR1の輝度より低くなるように表示される。
このように、第1の実施形態では、1画素を構成するサブ画素に対応する色成分毎に、同一画素値の画像信号を用いて画面全体に亘って単色表示を順次行う場合に、投射部100は、いずれかの色成分において、表示画像の最端部の表示画素を構成する表示サブ画素の輝度が、この最端部より内側の表示サブ画素の輝度より低くなるように表示する。
上記のようにダミー画像信号を用いて、ずれ量に基づいてサブ画素に対応した画像信号を補正する画像処理部20の機能は、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェア処理で実現されてもよい。
図15に、第1の実施形態における画像処理部20のハードウェア構成例のブロック図を示す。
画像処理部20は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)80、読み出し専用メモリ(Read Only Memory:ROM)82、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)84、インターフェース(Interface:I/F)回路86を含む。CPU80、ROM82、RAM84及びI/F回路86は、バス88を介して接続されている。
ROM82には、プログラムが格納されており、バス88を介してプログラムを読み込んだCPU80が、該プログラムに対応した処理を実行することができる。RAM84は、CPU80が処理を実行するための作業用メモリとなったり、CPU80が読み込むプログラムが一時的に格納されたりする。I/F回路86は、外部からの入力画像信号のインターフェース処理を行う。
図1のずれ量記憶部22の機能は、ROM82又はRAM84により実現される。図1のずれ量算出部24、ダミー画像信号付加部26又は画像信号補正部28の機能は、ROM82又はRAM84に格納されたプログラムをバス88を介して読み込んで実行するCPU80により実現される。なお、図1には図示されない画像信号取得部は、外部から供給される入力画像信号をバッファリングする機能を有し、例えば図15のRAM84によりその機能が実現される。
図16に、第1の実施形態における画像処理部20を有するプロジェクタ10の処理例のフロー図を示す。
例えば、ROM82には、予め図16に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、CPU80がROM82に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図16に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
まず、画像処理部20は、入力画像信号取得ステップとして、図示しない画像信号生成装置から、入力画像の各画素を構成するサブ画素に対応した入力画像信号を取得する(ステップS20)。
続いて、画像処理部20は、ダミー画像信号付加部26において、ダミー画像信号付加ステップとして、入力画像の最端部のサブ画素の外側に設けられるダミーサブ画素に対応したダミー画像信号を、ステップS20で取得された入力画像信号に付加する(ステップS22)。例えばG成分の表示サブ画素の表示位置を基準にR成分及びB成分の表示サブ画素の表示位置のずれ量を定義するとき、G成分についてはダミー画像信号を付加することなく、R成分及びB成分についてのみ各色成分に対応した入力画像信号にダミー画像信号を付加する。ここで、ダミー画像信号は、上記のように、入力画像の最端部の当該色成分のサブ画素の輝度以下となる画素値を有する。例えばR成分のダミーサブ画素のダミー画像信号は、該ダミーサブ画素に隣接する入力画像の最端部のR成分のサブ画素の輝度以下となる画素値を有する。
次に、画像処理部20は、ずれ量算出部24において、ずれ量取得ステップとして、ずれ量記憶部22に記憶されたずれ量を取得する(ステップS24)。第1の実施形態では、例えば図6の投射領域PAの四隅のサブ画素のずれ量を取得する。
そして、画像処理部20は、ずれ量算出部24において、ずれ量算出ステップとして、図7及び図8で説明したように、ずれ量記憶部22に記憶されたずれ量に基づいて、表示画面のR成分及びB成分の全サブ画素のずれ量を算出する(ステップS26)。
その後、画像処理部20は、画像信号補正部28において、画像信号補正ステップとして、図9で説明したように、サブ画素毎に、ステップS26で算出されたずれ量に基づいて、当該サブ画素位置の画像信号を補正する(ステップS28)。
続いて、投射部100が、画像表示ステップとして、画像処理部20によって補正された画像信号に基づいて変調された光をスクリーンSCRに投射して、画像を表示し(ステップS30)、一連の処理を終了する(エンド)。
図17に、図16のステップS26、ステップS28の詳細の処理例のフロー図を示す。例えば、ROM82には、予め図17に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、CPU80がROM82に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図17に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
図16のステップS26のずれ量算出ステップでは、ずれ量算出部24が、R成分の全サブ画素のずれ量を算出する(ステップS40)。より具体的には、ずれ量算出部24は、ずれ量記憶部22に記憶された表示サブ画素のずれ量を用いて、表示画像内のR成分の全サブ画素のずれ量を補間処理により求める。図7及び図8では、線形補間法により求める例について説明したが、ずれ量算出部24は、ニアレストネイバー法、バイキュービック法等で、全サブ画素のずれ量を算出するようにしてもよい。
同様に、ずれ量算出部24は、B成分の全サブ画素のずれ量を算出する(ステップS42)。ステップS42においても、ずれ量算出部24は、ずれ量記憶部22に記憶された表示サブ画素のずれ量を用いて、表示画像内のB成分の全サブ画素のずれ量を補間処理により求める。
次に、画像信号補正部28は、入力画像信号の有無を判別する(ステップS44)。ステップS44において、入力画像信号がないと判別されたとき(ステップS44:N)、画像信号補正部28は、入力画像信号の入力を待つ。
ステップS44において、入力画像信号があると判別されたとき(ステップS44:Y)、画像信号補正部28は、入力画像信号のうちR成分の入力画像信号に対して、ステップS40で算出されたずれ量を用いて補正処理を行う(ステップS46)。続いて、画像信号補正部28は、入力画像信号のうちB成分の入力画像信号に対して、ステップS42で算出されたずれ量を用いて補正処理を行う(ステップS48)。
表示画像内のR成分及びB成分の全サブ画素について補正処理が終了するまで(ステップS50:N)、ステップS46に戻って画像内の各サブ画素の補正処理を行う。一方、表示画像内のR成分及びB成分の全サブ画素について補正処理が終了したとき(ステップS50:Y)、ずれ量に応じた補正処理を終了しないときは(ステップS52:N)、ステップS44に戻って処理を継続し、ずれ量に応じた補正処理を終了するとき(ステップS52:Y)、一連の処理を終了する(エンド)。
以上説明したように、第1の実施形態によれば、表示画素を構成する表示サブ画素のずれが生じた場合であっても、表示画像の最端部やエッジ付近の偽色の発生や解像感の劣化を抑えることができるようになる。また、最端部のサブ画素の輝度以下となる画素値を有するダミー画像信号を用いて最端部のサブ画素の画像信号を補正したので、最端部の表示画素を構成する表示サブ画素に対応するサブ画素の画像信号であるか否かにかかわらず、例外処理なくサブ画素の補正処理を行うことができ、処理負荷を大幅に低減し、補正処理の高速処理を実現できるようになる。
〔第2の実施形態〕
第1の実施形態では、入力画像信号にダミー画像信号を付加した画像信号を用意してから、画像信号補正部28が、表示サブ画素の表示位置のずれ量に応じて補正処理を行うものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る第2の実施形態では、入力画像信号が、表示画像の最端部の表示画素を構成する表示サブ画素に対応したサブ画素の画像信号であるか否かを検出し、この検出結果に応じて画像信号補正部が画像信号を補正することで、入力画像信号にダミー画像信号を付加した画像信号を用意することによって必要となるメモリ領域を確保することなく、上記のずれ量に応じた補正処理を行う。
図18に、本発明に係る第2の実施形態における画像表示装置としてのプロジェクタの構成例のブロック図を示す。図18において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第2の実施形態における画像表示装置としてのプロジェクタ300は、1画素を構成する複数のサブ画素に対応した画像信号に基づいて変調された光をスクリーンSCRに投射することで画像表示を行う。プロジェクタ300は、画像処理装置としての画像処理部310と、画像表示部としての投射部100とを含む。
画像処理部310は、各サブ画素の画素値に対応した入力画像信号に対して、スクリーンSCRに投射された表示画像の各表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置のずれ量に応じた補正処理を行う。この入力画像信号は、図示しない画像信号生成装置によって生成され、画像処理部310に供給される。
画像処理部310は、ずれ量記憶部22、ずれ量算出部24、最端サブ画素検出部312、画像信号補正部314を含むことができる。ずれ量記憶部22は、表示画像内の所与の基準位置を基準として、表示画素を構成するサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶する。ずれ量算出部24は、ずれ量記憶部22に記憶された複数のサブ画素のずれ量(例えば図6の投射領域PAの四隅のサブ画素のずれ量)を用いた補間処理により、当該サブ画素位置におけるずれ量を算出することができる。
最端サブ画素検出部312は、入力画像信号が、入力画像の最端部のサブ画素に対応した画像信号であるか否かを検出する。即ち、最端サブ画素検出部312は、入力画像信号が、表示画像の最端部の表示画素を構成する表示サブ画素に対応したサブ画素の画像信号であるか否かを検出する。最端サブ画素検出部312による検出結果は、画像信号補正部314に通知される。
画像信号補正部314は、ずれ量算出部24によって算出されたずれ量に基づいて、入力画像の各画素を構成するサブ画素に対応した画像信号の補正処理を行う。より具体的には、最端サブ画素検出部312により入力画像の最端部のサブ画素に対応した画像信号であると検出された入力画像信号に対して、画像信号補正部314は、該入力画像信号と周囲のサブ画素の画像信号と上記のダミーサブ画素に対応したダミー画像信号とを用いて、上記のずれ量の基づく補正処理を行う。即ち、画像信号補正部314は、入力画像信号のダミー画像信号を付加した状態で、第1の実施形態で説明した上記のずれ量に基づく補正処理を行う。
一方、最端サブ画素検出部312により入力画像の最端部のサブ画素に対応した画像信号ではないと検出された入力画像信号に対して、画像信号補正部314は、該入力画像信号と周囲のサブ画素の画像信号とを用いて、第1の実施形態で説明した上記のずれ量に基づく補正処理を行う。
投射部100には、画像処理部310によって補正処理が行われた画像信号が供給される。この投射部100は、例えば3板式の液晶プロジェクタにより構成され、画像処理部310によって補正された画像信号に基づいて、図示しない光源からの光を変調し、変調後の光を用いてスクリーンSCRに投射する。この投射部100の構成は、図2と同様であるため、詳細な説明を省略する。
第2の実施形態における画像処理部310の機能は、第1の実施形態における画像処理部20と同様に、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェア処理で実現されてもよい。例えば、第2の実施形態における画像処理部310は、図15に示すハードウェア構成を有する。
図19に、第2の実施形態における画像処理部310を有するプロジェクタ300の処理例のフロー図を示す。
例えば、ROM82には、予め図19に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、CPU80がROM82に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図19に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
まず、画像処理部310は、入力画像信号取得ステップとして、図示しない画像信号生成装置から、入力画像の各画素を構成するサブ画素に対応した入力画像信号を取得する(ステップS60)。このとき、画像処理部310は、最端サブ画素検出部312において、最端サブ画素検出ステップとして、入力画像信号が、入力画像信号が、入力画像の最端部のサブ画素に対応した画像信号であるか否かを検出する。この最端サブ画素検出ステップの検出結果は、画像信号補正部314に通知される。
続いて、画像処理部310は、ずれ量算出部24において、ずれ量取得ステップとして、ずれ量記憶部22に記憶されたずれ量を取得する(ステップS62)。第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、例えば図6の投射領域PAの四隅のサブ画素のずれ量を取得する。
そして、画像処理部310は、ずれ量算出部24において、ずれ量算出ステップとして、図7及び図8で説明したように、ずれ量記憶部22に記憶されたずれ量に基づいて、表示画面のR成分及びB成分の全サブ画素のずれ量を算出する(ステップS64)。
次に、画像処理部310は、画像信号補正部314において、画像信号補正ステップとして、図9で説明したように、サブ画素毎に、ステップS64で算出されたずれ量に基づいて、当該サブ画素位置の画像信号を補正する(ステップS66)。
続いて、投射部100が、画像表示ステップとして、画像処理部310によって補正された画像信号に基づいて変調された光をスクリーンSCRに投射して、画像を表示し(ステップS68)、一連の処理を終了する(エンド)。
図19のステップS64のずれ量算出ステップと、ステップS66の画像信号補正ステップの処理例は、図17と同様である。但し、第2の実施形態では、図17のステップS46のR成分の入力画像信号の補正処理と、ステップS48のB成分の入力画像信号の補正処理が、第1の実施形態と異なる。
図20に、第2の実施形態における画像信号補正処理の処理例のフロー図を示す。図20の処理は、図17のステップS46と、ステップS48において行われる。
図21(A)、図21(B)に、図20の処理の説明図を示す。
例えば、ROM82には、予め図20に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、CPU80がROM82に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図20に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
ステップS46のR成分の入力画像信号を補正する際、最端サブ画素検出部312により、入力画像信号に基づいてR成分の当該サブ画素の周辺4点の画像信号がある(最端サブ画素ではない)と検出されたとき(ステップS80:Y)、周辺の4点のサブ画素の画像信号を用いて、図9で説明したように当該サブ画素位置のサブ画素の画像信号の補正処理を行い(ステップS82)、一連の処理を終了する(エンド)。
即ち、ステップS82では、図21(A)に示すように、投射領域PA内の表示画素を構成するR成分の表示サブ画素SP0の水平方向に隣接するR成分の表示サブ画素SP1、SP2に対応するサブ画素の画像信号と、表示サブ画素SP0の垂直方向に隣接するR成分の表示サブ画素SP3、SP4に対応するサブ画素の画像信号とを用いて、図9で説明したように表示サブ画素SP0に対応したサブ画素の画像信号の補正処理を行う。
ステップS80において、入力画像信号に基づいて最端サブ画素検出部312によりR成分の当該サブ画素の周辺4点の画像信号がない(最端サブ画素である)と検出されたとき(ステップS80:N)、画像信号がないサブ画素位置のダミー画像信号と、当該サブ画素の周囲の画像信号とを用いて、図9で説明したように当該サブ画素位置のサブ画素の画像信号の補正処理を行い(ステップS84)、一連の処理を終了する(エンド)。
即ち、ステップS84では、図21(B)に示すように、投射領域PA内の表示画素を構成するR成分の表示サブ画素SP10の水平方向に隣接するR成分の表示サブ画素SP11に対応するサブ画素の画像信号と、表示サブ画素SP10の垂直方向に隣接するR成分の表示サブ画素SP12、SP13に対応するサブ画素の画像信号と、ダミーサブ画素DP1のダミー画像信号を用いて、図9で説明したように表示サブ画素SP10に対応したサブ画素の画像信号の補正処理を行う。
或いは、ステップS84では、図21(B)に示すように、投射領域PA内の表示画素を構成するR成分の表示サブ画素SP20の水平方向に隣接するR成分の表示サブ画素SP21、SP22に対応するサブ画素の画像信号と、表示サブ画素SP20の垂直方向に隣接するR成分の表示サブ画素SP23に対応するサブ画素の画像信号と、ダミーサブ画素DP2のダミー画像信号を用いて、図9で説明したように表示サブ画素SP20に対応したサブ画素の画像信号の補正処理を行う。
ここで、第1の実施形態と同様に、ダミー画像信号は、入力画像の最端部のサブ画素の輝度以下となる画素値を有していればよい。ダミー画像信号が、最も輝度が低い画素値を有することで、最端部のサブ画素の輝度にかかわらず、ダミー画像信号は、必ず最端部のサブ画素の輝度以下となる画素値を有することになる。R成分、G成分及びB成分のダミーサブ画素に対応したダミー画像信号により指定される画素値が「0」のとき、最も輝度が低い「黒」の画素値となる。
このような第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、図13又は図14に示す表示画像を表示させることができる。
以上説明したように、第2の実施形態によれば、表示画素を構成する表示サブ画素のずれが生じた場合であっても、表示画像の最端部やエッジ付近の偽色の発生や解像感の劣化を抑えることができるようになる。また、最端部のサブ画素の輝度以下となる画素値を有するダミー画像信号を用いて最端部のサブ画素の画像信号を補正したので、最端部の表示画素を構成する表示サブ画素に対応するサブ画素の画像信号であるか否かにかかわらず、例外処理なくサブ画素の補正処理を行うことができ、処理負荷を大幅に低減し、補正処理の高速処理を実現できるようになる。更に、第2の実施形態によれば、表示画像の最端部の表示画素を構成する表示サブ画素に対応したサブ画素の画像信号であるか否かを検出し、この検出結果に応じて画像信号補正部が画像信号を補正することで、入力画像信号にダミー画像信号を付加した画像信号を用意することによって必要となるメモリ領域を確保する必要がなくなる。
以上、本発明に係る画像処理装置、画像表示装置、画像処理方法、画像表示方法及びプログラムを上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記の各実施形態では、ずれ量記憶部が、表示画像内の全画素のうち代表点としてサンプリングされた複数のサブ画素のずれ量を記憶しておき、ずれ量算出部で任意のサブ画素のずれ量を算出するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ずれ量記憶部は、1画面全体のずれ量を記憶しておき、ずれ量算出部を省略してもよい。
(2)上記の各実施形態では、G成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、R成分の表示サブ画素の表示位置のずれ量及びB成分の表示サブ画素の表示位置のずれ量を保存していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、R成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、G成分の表示サブ画素の表示位置のずれ量及びB成分の表示サブ画素の表示位置のずれ量を保存してもよいし、B成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、R成分の表示サブ画素の表示位置のずれ量及びG成分の表示サブ画素の表示位置のずれ量を保存していてもよい。
(3)上記の各実施形態では、1画素を3つの色成分のサブ画素で構成されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。1画素を構成する色成分数が2、又は4以上であってもよい。
(4)上記の各実施形態では、各表示画素を構成する表示サブ画素のうちの1つの表示サブ画素の表示位置を基準位置として採用するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、スクリーン座標系の所定位置や各液晶パネルのパネル座標系の所定位置を基準位置としてもよい。
(5)上記の各実施形態では、光変調部としてライトバルブを用いるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。光変調部として、例えばDLP(Digital Light Processing)(登録商標)、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等を採用してもよい。
(6)上記の各実施形態では、光変調部として、いわゆる3板式の透過型の液晶パネルを用いたライトバルブを例に説明したが、2板、又は4板式以上の透過型の液晶パネルを用いたライトバルブを採用してもよい。
(7)上記の各実施形態では、全サブ画素のずれ量の補間処理方法や画像信号の補正処理方法として、バイリニア法、ニアレストネイバー法、バイキュービック法や面積階調法を例に挙げたが、本発明はこれらの処理方法に限定されるものではない。
(8)上記の各実施形態において、本発明を、画像処理装置、画像表示装置、画像処理方法、画像表示方法、及びプログラムとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明を実現するための画像表示方法の処理手順が記述されたプログラムが記録された記録媒体であってもよい。