JP2018136399A - 画像表示装置およびその調整方法 - Google Patents

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拓 北川
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Abstract

【課題】 画像表示装置において、見切り画素を設けることなく、表示画像を構成するサブ画素全体についての位置ずれを補償しつつ、画素ずらし補正に起因した有効表示範囲の最外周の垂直ラインまたは水平ラインの表示のガタツキの発生を抑制する。
【解決手段】 画素ずらし補正部243は、表示対象画像におけるサブ画素の画像信号にサブ画素の位置ずれに応じた画素ずらし補正を施す。境界補正部242は、表示対象画像の最外周の水平方向および垂直方向のうち少なくとも一方のラインについて、画素ずらし補正によって当該ライン上のサブ画素が有効表示範囲外に移動することに起因したサブ画素の表示輝度の低下率のうち当該ライン上において低下の程度が最も大きい表示輝度の低下率に近づくように当該ライン上の各サブ画素の画像信号が示す輝度を低下させる境界補正を画素ずらし補正のための画素ずらし補正パラメータに施す。
【選択図】図4

Description

本発明は、プロジェクター等の画像表示装置およびその調整方法に関する。
プロジェクター等の画像表示装置には、表示対象画像のR(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分毎に、液晶ライトバルブやミラーデバイス等の光変調器が設けられる。そして、表示対象画像における複数の画素を各々構成するR、G、Bの各色成分のサブ画素の画像信号が、各々の色成分に対応した光変調器に与えられ、各光変調器の出力光が光学系を介することにより合成され、表示面に照射される。このようにして色成分の異なる各サブ画素の画像が表示面に重ね表示される。
ここで、プロジェクターによる表示画像の画素数を増加させると、光学系による各サブ画素の位置調整が難しくなる傾向がある。例えばプロジェクターが備える投射レンズは色収差を有し、波長によって屈折率が異なる。そのため、プロジェクターが有する光学系に関しては、高い収差精度が要求される。しかしながら、1画素を構成するサブ画素の表示位置をすべて正確に調整することは困難である。このため、各色成分に対応したサブ画素の表示位置が基準位置からずれる位置ずれを起こす。
このようなサブ画素の位置ずれの方向および距離は、同一画素に対応した各色成分のサブ画素間で一般的に異なる。このため、画像信号が示す本来の色が各画素が表示されない問題が生じる。
そこで、特許文献1に記載の技術では、表示対象画像の各サブ画素について、表示位置の基準位置からの位置ずれを求め、この位置ずれに基づく画素ずらし補正を各光変調器に供給する画像信号に施すことにより各サブ画素の表示位置の位置ずれの補償を行うようにしている。ここで、画素ずらし補正では、表示対象画像の各サブ画素の画像信号を用いた補間演算を行うことにより、各サブ画素の画像を位置ずれの方向と逆方向に、かつ、位置ずれの距離と同距離だけ移動させた画像信号を生成する。
特開2009−122156号公報
ところで、上述した画素ずらし補正を行うと、表示対象画像において有効表示範囲の境界近傍に位置するサブ画素の一部または全部が有効表示範囲外となって表示されず、当該サブ画素の表示輝度が低下する場合がある。この場合において、当該サブ画素と同一画素に属する他の色成分のサブ画素が有効表示範囲内にあって表示輝度の低下がない場合、その画素に色付きが発生するという問題がある。
この問題を解決するために、有効表示範囲内の画素に加えて、有効表示範囲の外側に余分な画素(以下、見切り画素という)を設けるという手段が採用される場合がある。図16に示す例では、R、G、Bの各色成分について、有効表示範囲の外側に2画素ずつ見切り画素Miが設けられている。この場合、画素ずらし補正により、有効表示範囲外となったサブ画素の画像を見切り画素Miを使用して表示することができるので、有効表示範囲の境界近傍の画素の色付きの発生を抑制することができる。図17に示す例では、G成分については画素ずらし補正が行われておらず、R、B各成分について、サブ画素の表示位置をG成分のサブ画素の表示位置に合わせる画素ずらし補正が行われている。この例では、図16においてR成分のサブ画素がG成分のサブ画素に対して左へ1画素ずれているので、有効表示範囲の右端のサブ画素(N番目のサブ画素)の右隣の見切り画素Miを利用し、図17に示すようにR成分の画像信号を右へ1画素移動させる画素ずらし補正を行っている。また、この例では、図16においてB成分のサブ画素がG成分のサブ画素に対して右へ2画素ずれているので、有効表示範囲の左端のサブ画素(1番目のサブ画素)の左隣の2個の見切り画素Miを利用し、図17に示すようにB成分の画像信号を左へ2画素移動させる画素ずらし補正を行っている。
しかし、この手段を採用するためには、液晶ライトバルブやミラーデバイス等の光変調器に、有効表示範囲内の画素に対応した素子の他、有効表示範囲外の見切り画素に対応した素子を設ける必要がある。
例えば1080p対応の液晶ライトバルブの場合、有効表示範囲内に1920×1080個の画素がある。この有効表示範囲の外側の上下左右に2画素ずつ見切り画素を追加するとなると、全体の画素数は1924×1084個に増加する。このように色付き抑制のために見切り画素を設けた場合には、見切り画素に対応した素子を光変調器に設ける必要があり、その分だけ光変調器が大型化する問題が発生する。また、見切り画素を画像表示に使用しない場合、光変調器における当該見切り画素に対応した素子への光照射が遮断される訳ではなく、当該見切り画素に対応した素子に供給する画像信号を黒表示に対応した画像信号にするだけである。従って、表示対象画像のコントラスト次第では、黒表示をしている見切り画素に対応した黒枠が視認されるという問題が発生する。このような事情により、見切り画素を設けていないプロジェクターも多い。
しかし、見切り画素を有しないプロジェクターにおいて画素ずらし補正を行うと、上述した有効表示範囲の境界近傍における色付きの問題が発生する。図18は、図16および図17に示す状況において、見切り画素Miを設けない場合に発生する問題を示している。この例では見切り画素Miがないため、R成分の右端のサブ画素(N番目の画素)が画素ずらし補正により有効表示範囲外となって表示されない。また、B成分の左端の2個のサブ画素(1番目、2番目のサブ画素)が画素ずらし補正により有効表示範囲外となって表示されない。従って、例えば有効表示範囲内を白一色で表示する場合に、中央は白色表示領域200Wとなるが、左端に2画素分の幅の縦縞状の黄色表示領域200Yが生じ、右端に1画素分の幅の縦縞状の青色表示領域200Bが生じる。
また、一般にプロジェクターでは、各サブ画素において個別的に位置ずれが生じ、サブ画素の位置ずれの方向および大きさは一般にサブ画素間で同じではない。このため、有効表示範囲の最外周の垂直ライン上または水平ライン上の各サブ画素が画素ずらし補正により有効表示範囲外に移動した場合に、これにより当該ライン上の各サブ画素の輝度がサブ画素間で異なる低下率で低下する。この輝度の低下率のサブ画素間のばらつきの影響は、例えば白枠線により囲まれた画像等、最外周の領域の色や輝度の変化が少ない画像を有効表示範囲一杯に表示する場合に顕著に現れる。例えば白枠線により囲まれた画像を有効表示範囲一杯に表示した場合、垂直ライン上または水平ラインの白枠線の表示に各サブ画素間の輝度の低下率のばらつきに起因したガタツキが生じ、これが画率劣化として視認される。
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、見切り画素を使用することなく、有効表示範囲内の各サブ画素の全体について位置ずれを補償しつつ、有効表示範囲の最外周の垂直ラインまたは水平ラインの表示のガタツキを抑制することができる画像表示装置およびその調整方法を提供することにある。
この発明は、複数の色成分に各々対応付けられた複数の光変調手段を有し、表示対象画像を構成する複数の画素に各々属する前記複数の色成分に対応した複数のサブ画素の画像信号により変調された光を前記複数の光変調手段により各々出力し、前記複数の光変調手段の出力光を合成して、前記複数の色成分からなる画像を表示面に重ね表示する画像表示手段と、前記表示対象画像におけるサブ画素の位置をずらす画素ずらし補正を前記複数の光変調手段における少なくとも1の光変調手段に供給されるサブ画素の画像信号に施すことにより、前記表示面に表示される各色成分の画像を構成するサブ画素の表示位置の基準位置に対する位置ずれを補償する画像信号補正手段とを具備し、前記画像信号補正手段は、前記表示対象画像の最外周の水平方向および垂直方向のうち少なくとも一方のラインについて、前記画素ずらし補正によって当該ライン上のサブ画素が有効表示範囲外に移動することに起因したサブ画素の表示輝度の低下率のうち当該ライン上において低下の程度が最も大きい表示輝度の低下率に近づくように当該ライン上の各サブ画素の画像信号が示す輝度を低下させる境界補正を行う境界補正手段を具備することを特徴とする画像表示装置を提供する。
この発明によれば、境界補正手段は、表示対象画像の最外周の水平方向および垂直方向のうち少なくとも一方のラインについて、画素ずらし補正によって当該ライン上のサブ画素が有効表示範囲外に移動することに起因したサブ画素の表示輝度の低下率のうち当該ライン上において低下の程度が最も大きい表示輝度の低下率に近づくように当該ライン上の各サブ画素の画像信号が示す輝度を低下させる境界補正を行う。この境界補正が行われるので、見切り画素を設けることなく、有効表示範囲内の各サブ画素の全体について位置ずれを補償しつつ、表示対象画像の最外周の水平方向や垂直方向の各ライン表示について、画素ずらし補正に起因したガタツキを抑制することができる。
上述した画像表示装置の一態様において、前記境界補正手段は、前記画素ずらし補正によって当該ライン上のサブ画素が有効表示範囲外に移動することに起因したサブ画素の表示輝度の低下率のうち当該ライン上において低下の程度が最も大きい表示輝度の低下率と同じだけ当該ライン上の各サブ画素の画像信号が示す輝度を低下させる境界補正を行うことが望ましい。
上述した画像表示装置の一態様において、前記境界補正手段は、前記最外周からNライン目(Nは1以上の整数)の1ライン上において前記有効表示範囲外への移動に起因した各サブ画素の表示輝度の低下率のうち低下の程度が最大である低下率が0である場合に、前記最外周からN+1ライン目の1ラインについて、前記境界補正を行うことが望ましい。
上述した画像表示装置の一態様において、前記境界補正手段は、水平方向のライン上のサブ画素として画像信号が示す輝度を第1の低下率だけ低下させる境界補正の対象となり、かつ、垂直方向のライン上のサブ画素として画像信号が示す輝度を第2の低下率だけ低下させる境界補正の対象となるサブ画素について、前記第1の低下率および前記第2の低下率のうち輝度の低下の程度が大きい方の低下率に近づくように画像信号が示す輝度を低下させる境界補正を行うことが望ましい。
上述した画像表示装置の一態様において、前記境界補正手段は、複数の色成分において、共通のライン上の各サブ画素が前記境界補正の対象となる場合に、当該複数の色成分における当該ライン上の各サブ画素の輝度の低下率の中から低下の程度が最大である低下率を選択し、当該複数の色成分の当該ラインについての境界補正において、選択した低下率に近づくように当該ライン上の各サブ画素の画像信号が示す輝度を低下させることが望ましい。
他の好ましい態様において、この発明は、複数の色成分に各々対応付けられた複数の光変調手段を有し、表示対象画像を構成する複数の画素に各々属する前記複数の色成分に対応した複数のサブ画素の画像信号により変調された光を前記複数の光変調手段により各々出力し、前記複数の光変調手段の出力光を合成して、前記複数の色成分からなる画像を表示面に重ね表示する画像表示装置の調整方法において、前記表示対象画像のサブ画素の前記表示面における表示位置の基準位置からの位置ずれを求める位置ずれ検出ステップと、前記表示対象画像におけるサブ画素の位置をずらす画素ずらし補正を前記複数の光変調手段における少なくとも1の光変調手段に供給されるサブ画素の画像信号に施すことにより、前記表示面に表示される各色成分の画像を構成するサブ画素の表示位置の基準位置に対する位置ずれを補償する処理を前記画像表示装置に行わせるための第1の調整ステップと、前記表示対象画像の最外周の水平方向および垂直方向のうち少なくとも一方のラインについて、前記画素ずらし補正によって当該ライン上のサブ画素が有効表示範囲外に移動することに起因したサブ画素の表示輝度の低下率のうち当該ライン上において低下の程度が最も大きい表示輝度の低下率に近づくように当該ライン上の各サブ画素の画像信号が示す輝度を低下させる境界補正を前記画像表示装置に行わせるための第2の調整ステップとを具備することを特徴とする画像表示装置の調整方法として実現される。
この態様によれば、上記境界補正ステップが実行されるので、見切り画素を設けることなく、有効表示範囲内の各サブ画素の全体について位置ずれを補償しつつ、表示対象画像の最外周の水平方向や垂直方向の各ライン表示について、画素ずらし補正に起因したガタツキを抑制することができる。
上述した画像表示装置の調整方法の一態様において、前記第2の調整ステップにおいて、前記画素ずらし補正によって当該ライン上のサブ画素が有効表示範囲外に移動することに起因したサブ画素の表示輝度の低下率のうち当該ライン上において低下の程度が最も大きい表示輝度の低下率と同じだけ当該ライン上の各サブ画素の画像信号が示す輝度を低下させる境界補正を前記画像表示装置に行わせることが望ましい。
この発明による画像表示装置の第1実施形態であるプロジェクターの構成例を示すブロック図である。 同プロジェクターの投射部の構成例を示す図である。 同プロジェクターの画像処理部のハードウェア構成を示すブロック図である。 同プロジェクターの画像信号補正部の機能構成を示すブロック図である。 表示面におけるサブ画素の表示位置の位置ずれの態様を例示する図である。 同画像信号補正部において行われる画素ずらし補正を説明する図である。 同画素ずらし補正に用いられる画素ずらし補正パラメータを例示する図である。 同画素ずらし補正において行われるサブ画素の位置ずれ方向の判別方法を説明する図である。 画素ずらし補正に起因して表示対象画像の最外周の垂直ラインの表示に生じるガタツキを説明する図である。 有効表示範囲の外側への画素ずらしを無効にする画素ずらし補正を説明する図である。 同実施形態における画素ずらし補正パラメータの境界補正を説明する図である。 同プロジェクターの動作を示すフローチャートである。 同プロジェクターの動作を示すフローチャートである。 この発明による画像表示装置の第3実施形態であるプロジェクターにおいて行われる境界補正を説明する図である。 同境界補正を説明する図である。 液晶パネルに設けられる見切り画素を説明する図である。 見切り画素を利用して行う画素ずらし補正を説明する図である。 見切り画素を設けないで画素ずらし補正を行った場合に生じる問題を説明する図である。
<第1実施形態>
図1は、この発明による画像表示装置の第1実施形態であるプロジェクターの構成例を示すブロック図である。
本実施形態におけるプロジェクター10は、1画素を構成する複数のサブ画素の画像信号に基づいて変調された光を表示面であるスクリーンSCRに投射することで画像表示を行う。このプロジェクター10は、画像処理部20と、パターン画像記憶部40と、サブ画素位置測定部30と、画像表示部としての投射部100とを含む。
画像処理部20は、図示しない画像信号生成装置からのサブ画素毎の入力画像信号に対して、スクリーンSCRに投射された画像の各画素を構成するサブ画素の表示位置の基準位置からの位置ずれ(あるいは位置ずれベクトル)に応じた補正処理を行う。サブ画素の位置ずれは、サブ画素位置測定部30の測定結果から算出される。パターン画像記憶部40は、スクリーンSCRへの投射画像(表示画像)のサブ画素の位置を測定するためのパターン画像を記憶する。サブ画素位置測定部30は、デジタルスチルカメラ等の撮像装置を含み、パターン画像記憶部40に記憶されたパターン画像を用いて投射部100がスクリーンSCRに投射した画像を撮像し、この撮像データを画像情報として各画素を構成するサブ画素の位置を測定する。サブ画素位置測定部30によって測定されたサブ画素の位置は、画像処理部20によるスクリーンSCRへの投射画像内の所与の基準位置を基準とした位置ずれの算出に用いられる。
画像処理部20は、位置ずれ記憶部22と、画像信号補正部24と、入力画像信号記憶部28とを含む。位置ずれ記憶部22には、スクリーンSCRへの投射画像(表示画像)内の所与の基準位置を基準として、サブ画素位置測定部30によって測定されたサブ画素の位置ずれを示す情報が記憶される。
入力画像信号記憶部28は、図示しない画像信号生成装置からの入力画像信号を記憶する。画像信号補正部24は、当該サブ画素の表示位置の位置ずれに応じて、入力画像信号記憶部28に記憶された当該サブ画素の入力画像信号を補正する。画像信号補正部24の処理対象となる入力画像信号は、ガンマ補正を経た画像信号であり、各色成分のサブ画素の表示輝度を示す情報を含む。
上記の画像信号補正部24からの画像信号は、投射部100に入力される。投射部100は、例えば3板式の液晶プロジェクターにより構成され、1画素を構成するサブ画素の画像信号に基づいて変調された光を用いてスクリーンSCRに画像を投射する。
図2に、図1の投射部100の構成例を示す。図2では、第1の実施形態における投射部100が、いわゆる3板式の液晶プロジェクターにより構成されるものとして説明するが、本発明に係る画像表示装置の投射部がいわゆる3板式の液晶プロジェクターにより構成されるものに限定されるものではない。
投射部100は、光源110、インテグレータレンズ112、114、偏光変換素子116、重畳レンズ118、R用ダイクロイックミラー120R、G用ダイクロイックミラー120G、反射ミラー122、R用フィールドレンズ124R、G用フィールドレンズ124G、R用液晶パネル130R(第1の光変調部)、G用液晶パネル130G(第2の光変調部)、B用液晶パネル130B(第3の光変調部)、リレー光学系140、クロスダイクロイックプリズム160、投射レンズ170を含む。R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130GおよびB用液晶パネル130Bとして用いられる液晶パネルは、透過型の液晶表示装置である。リレー光学系140は、リレーレンズ142、144、146、反射ミラー148、150を含む。
光源110は、例えば超高圧水銀ランプにより構成され、少なくともR成分の光、G成分の光、B成分の光を含む光を射出する。インテグレータレンズ112は、光源110からの光を複数の部分光に分割するための複数の小レンズを有する。インテグレータレンズ114は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズに対応する複数の小レンズを有する。重畳レンズ118は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズから射出される部分光を重畳する。
また、偏光変換素子116は、偏光分離膜とλ/2板とを有し、p偏光を透過させると共にs偏光を反射させ、p偏光をs偏光に変換する。この偏光変換素子116からのs偏光が、重畳レンズ118に照射される。
重畳レンズ118によって重畳された光は、R用ダイクロイックミラー120Rに入射される。R用ダイクロイックミラー120Rは、R成分の光を反射して、G成分およびB成分の光を透過させる機能を有する。R用ダイクロイックミラー120Rを透過した光は、G用ダイクロイックミラー120Gに照射され、R用ダイクロイックミラー120Rにより反射した光は反射ミラー122により反射されてR用フィールドレンズ124Rに導かれる。
G用ダイクロイックミラー120Gは、G成分の光を反射して、B成分の光を透過させる機能を有する。G用ダイクロイックミラー120Gを透過した光は、リレー光学系140に入射され、G用ダイクロイックミラー120Gにより反射した光はG用フィールドレンズ124Gに導かれる。
リレー光学系140では、G用ダイクロイックミラー120Gを透過したB成分の光の光路長と他のR成分およびG成分の光の光路長との違いをできるだけ小さくするために、リレーレンズ142、144、146を用いて光路長の違いを補正する。リレーレンズ142を透過した光は、反射ミラー148によりリレーレンズ144に導かれる。リレーレンズ144を透過した光は、反射ミラー150によりリレーレンズ146に導かれる。リレーレンズ146を透過した光は、B用液晶パネル130Bに照射される。
R用フィールドレンズ124Rに照射された光は、平行光に変換されてR用液晶パネル130Rに入射される。R用液晶パネル130Rは、光変調素子(光変調部)として機能し、R用画像信号(第1の色成分のサブ画素の画像信号)に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、R用液晶パネル130Rに入射された光(第1の色成分の光)は、R用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
G用フィールドレンズ124Gに照射された光は、平行光に変換されてG用液晶パネル130Gに入射される。G用液晶パネル130Gは、光変調素子(光変調部)として機能し、G用画像信号(第2の色成分のサブ画素の画像信号)に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、G用液晶パネル130Gに入射された光(第2の色成分の光)は、G用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
リレーレンズ142、144、146で平行光に変換された光が照射されるB用液晶パネル130Bは、光変調素子(光変調部)として機能し、B用画像信号(第3の色成分のサブ画素の画像信号)に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、B用液晶パネル130Bに入射された光(第3の色成分の光)は、B用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G、B用液晶パネル130Bは、それぞれ同様の構成を有している。各液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコン薄膜トランジスタをスイッチング素子として、各サブ画素の画像信号に対応して各色光の通過率を変調する。
クロスダイクロイックプリズム160は、R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130GおよびB用液晶パネル130Bからの入射光を合成した合成光を出射光として出力する機能を有する。投射レンズ170は、出力画像をスクリーンSCR上に拡大して結像させるレンズであり、ズーム倍率に応じて画像を拡大または縮小させる機能を有する。
図3は本実施形態における画像処理部20のハードウェア構成例を示すブロック図である。
画像処理部20は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)80と、読み出し専用メモリー(Read Only Memory:ROM)82と、ランダムアクセスメモリー(Random Access Memory:RAM)84と、インターフェース(Interface:I/F)回路86と、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等からなる不揮発性メモリー88とを含む。CPU80、ROM82、RAM84、I/F回路86および不揮発性メモリー88は、バス90を介して接続されている。
ROM82には、プログラムが格納されており、バス90を介してプログラムを読み込んだCPU80が、該プログラムに対応した処理を実行することができる。RAM84は、CPU80が処理を実行するための作業用メモリーとなったり、CPU80が読み込むプログラムが一時的に格納されたりする。I/F回路86は、外部からの入力画像信号のインターフェース処理を行う。不揮発性メモリー88は、各種の制御用パラメータの記憶手段として使用される。
図1の画像信号補正部24の機能は、ROM82またはRAM84に格納されたプログラムをバス90を介して読み込んで実行するCPU80により実現される。図1の位置ずれ記憶部22の機能は、不揮発性メモリー88またはRAM84により実現される。図1の入力画像信号記憶部28の機能は、I/F回路86またはRAM84により実現される。
図4は画像信号補正部24の詳細な機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、画像信号補正部24の機能は、画素ずらし補正パラメータ算出部241と、境界補正部242と、画素ずらし補正部243とに大別することができる。
ここで、画素ずらし補正パラメータ算出部241と、境界補正部242の各処理は、プロジェクター10の工場出荷前の検査時やプロジェクター10の定期点検時等、プロジェクター10による画像表示に先立つタイミングにおいて実行される。また、画素ずらし補正部243は、プロジェクター10が画像表示を行う際に実行される。
画素ずらし補正パラメータ算出部241は、画素ずらし補正部243による画素ずらし補正の実行に必要な画素ずらし補正パラメータを算出して不揮発性メモリー88に書き込む処理である。本実施形態において、画素ずらし補正パラメータ算出部241は、R、G、Bの各色成分について、画素ずらし補正パラメータを算出する。また、境界補正部242は、画素ずらし補正パラメータ算出部241が算出した画素ずらし補正パラメータに境界補正を施す手段である。なお、この境界補正については後述する。
ここで、図5および図6を参照し、本実施形態における画素ずらし補正について説明する。本実施形態における画素ずらし補正では、境界補正部242による境界補正を経た画素ずらし補正パラメータを使用する。しかし、以下では、説明を簡単にするため、画素ずらし補正のうち境界補正が関連する部分については説明を省略する。図5には、位置ずれを生じることなくスクリーンSCRにおける各々の基準位置に表示された1つの色成分(例えばR成分とする)のサブ画素A〜Pが例示されている。また、図5には、本来はサブ画素A〜Pとして表示されるべきであったが、各々の表示位置が下方向に0.3画素、右方向に0.4画素だけ基準位置からずれたサブ画素A’〜P’が例示されている。そして、図5では、サブ画素A〜Pにおける隣接するサブ画素間の境界が実線により示され、サブ画素A’〜P’における隣接するサブ画素間の境界が破線により示されている。位置ずれ記憶部22には、図5におけるサブ画素A’〜P’の表示位置のサブ画素A〜Pの表示位置(すなわち、基準位置)からの位置ずれを示す情報(この場合、下方向に0.3画素、右方向に0.4画素という情報)がサブ画素毎に記憶されている。
図6は図5におけるサブ画素F、G、JおよびKとサブ画素F’、G’、J’およびK’を拡大表示した図である。図6において、サブ画素F用の画像信号として、本来のサブ画素F用の画像信号をR用液晶パネル130Rに与えると、その画像信号に対応したサブ画素はサブ画素F’としてスクリーンSCRに表示される。画像全体としての位置ずれをなくすためには、表示対象画像においてサブ画素F’が占めている領域の輝度を示す画像信号をサブ画素F用のサブ画素信号としてR用液晶パネル130Rに供給すればよい。本実施形態では、以下説明するバイリニア法に基づく補間演算によりサブ画素F’が占めている領域の輝度を算出する。なお、補間演算のアルゴリズムは、バイリニア法に限定されるものではなく、ニアレストネイバー法、バイキュービック法等のアルゴリズムを使用してもよい。
図6において、サブ画素Fを右に0.4画素、下に0.3画素ずらしたサブ画素F’は、サブ画素Fの全領域の0・6×0.7=0.42倍の領域と、サブ画素Gの全領域の0.4×0.7=0.28倍の領域と、サブ画素Jの全領域の0.6×0.3=0.18倍の領域と、サブ画素Kの全領域の0.4×0.3=0.12倍の領域とを占める。
従って、サブ画素Fの輝度の0.42倍と、サブ画素Gの輝度の0.28倍と、サブ画素Jの輝度の0.18倍と、サブ画素Kの輝度の0.12倍との和を示す信号をサブ画素F用の画像信号としてR用液晶パネル130Rに供給すればよい。そうすれば、当該画像信号が示すサブ画素F’が位置ずれによりスクリーンSCRにおけるサブ画素F’の領域に表示される。すなわち、表示対象画像に対して位置ずれのないR成分の画像が表示面に表示されることになる。
一般的には、画素ずらし補正は、次のようにして行われる。すなわち、各々の基準位置にあるサブ画素A〜Pを含む画像平面において、1つの位置ずれしたサブ画素F'が跨る4個のサブ画素のうち左上のサブ画素の輝度をr0、右上のサブ画素の輝度をr1、左下のサブ画素の輝度をr2、右下のサブ画素の輝度をr3、位置ずれの右方向成分をα画素、下方向成分をβ画素とした場合、次式によりサブ画素F用の画像信号の輝度Rxを算出する。
Rx
=(1−α)・(1−β)・r0
+α・(1−β)・r1
+(1−α)・β・r2
+α・β・r3
=k0・r0+k1・r1+k2・r2+k3・r3
……(1)
ただし、k0〜k3は次の通りである。
k0=(1−α)・(1−β)
k1=α・(1−β)
k2=(1−α)・β
k3=α・β
……(2)
他のサブ画素についても同様である。すなわち、サブ画素A’〜P’が占める各領域の輝度を補間演算により求め、これらの各領域の輝度を示す各画像信号をサブ画素A〜P用の各画像信号としてR成分用の液晶パネル130Rに与えるのである。このように表示対象画像の各サブ画素を各々の位置ずれ方向とは逆方向(この例では上方向に0.3画素、左方向に0.4画素)に、かつ、位置ずれの距離と同距離だけずらした画像信号をR成分用の液晶パネル130Rに与えることにより、サブ画素A〜Pからなる表示対象画像に対して位置ずれしていない画像と実質的に同じ画像をスクリーンSCRに表示させることができる。
以上、R成分を例に説明したが、他の色成分についての画素ずらし補正も同様である。
画素ずらし補正パラメータ算出部241は、表示対象画像のR、G、Bの各色成分の各サブ画素について、このような画素ずらし補正の実行に必要な画素ずらし補正パラメータ、すなわち、上記式(2)の係数k0〜k3(上記の例では、0.42、0.28、0.18および0.12)を位置ずれ記憶部22に記憶されたずれ量α、βに基づいて算出し、不揮発性メモリー88に書き込む。図7には、このようにして不揮発性メモリー88に書き込まれた画素ずらし補正パラメータがマトリックス状に例示されている。例えば図7のマトリックスの第2行、第2列には、F’=0.42F+0.28G+0.18J+0.12Kなる式が記載されている。この式ではF、G、J、Kが前掲式(1)のr0〜r3であり、0.42、0.28、0.18、0.12が画素ずらし補正パラメータk0〜k3である。
そして、画素ずらし補正部243は、画像表示の際に、各色成分の各サブ画素について、当該サブ画素に対応した画素ずらし補正パラメータk0〜k3を不揮発性メモリー88から読み出す。そして、画素ずらし補正部243は、位置ずれ記憶部22に記憶された当該サブ画素の位置ずれを示す情報に基づいて、当該サブ画素が位置ずれ後において跨ぐ4つのサブ画素の輝度(前掲式(1)のr0〜r3)を求め、前掲式(1)の積和演算により位置ずれした当該サブ画素が占める領域の輝度Rxを算出する。
具体的には、次の通りである。図8に示すように任意のサブ画素Xの位置ずれは、4つの態様に分類することができる。すなわち、右下への位置ずれV0と、左下への位置ずれV1と、右上への位置ずれV2と、左上への位置ずれV3である。
サブ画素Xに右下への位置ずれV0が発生している場合、位置ずれV0の右方向成分αは正、下方向成分βは正となる。この場合、画素ずらし補正部243は、サブ画素Xの位置ずれ後のサブ画素X’の占める領域が跨ぐ4つのサブ画素が、サブ画素X、サブ画素Xの右のサブ画素、サブ画素Xの下のサブ画素、サブ画素Xの右下のサブ画素であると判断し、それら4つのサブ画素の輝度r0〜r3と、サブ画素Xに対応した補正パラメータk0〜k3を用いて前掲式(1)の補間演算を行い、位置ずれ後のサブ画素X’が占める領域の輝度Rxを算出する。
他の位置ずれV1〜V3が発生している場合も同様である。画素ずらし補正部243は、位置ずれの右方向成分α、下方向成分βに基づいて、位置ずれの方向を判断し、その判断結果に基づいて、位置ずれ後のサブ画素X’の占める領域が跨ぐ4つのサブ画素を判断し、それら4つのサブ画素の輝度r0〜r3と、サブ画素Xに対応した補正パラメータk0〜k3とを用いて、位置ずれ後のサブ画素X’が占める領域の輝度Rxを算出する。
そして、画素ずらし補正部243は、このようにして得られる位置ずれ後の各サブ画素の領域の輝度を示す画像信号を各サブ画素の画像信号として出力するのである。以上が本実施形態における画素ずらし補正の処理内容である。
ところで、以上説明した画素ずらし補正では、表示対象画像において有効表示範囲の境界近傍に位置するサブ画素が有効表示範囲外に移動し、当該サブ画素の表示輝度が低下する場合がある。以下、具体例を挙げて、この現象について詳述する。
図7において、R成分のサブ画素Fの画像信号は、画素ずらし補正により、サブ画素Fおよびその近傍の3つのサブ画素の画像信号に分散されており、これら4個のサブ画素の画像信号に分散されたサブ画素Fの画像信号の成分が画素ずらし補正後のサブ画素Fの輝度を表現する。すなわち、サブ画素Aの画像信号に含まれる成分0.12F、サブ画素Bの画像信号に含まれる成分0.18F、サブ画素Eの画像信号に含まれる成分0.28F、サブ画素Fの画像信号に含まれる成分0.42Fが、画素ずらし補正後のサブ画素Fの輝度を表現している。
ここで、サブ画素Fが有効表示範囲の左上隅のサブ画素であり、見切り画素はないものと仮定する。この場合、サブ画素E、A、Bは、有効表示範囲の外側にあるので、サブ画素E、A、Bの各画像信号に含まれる成分0.28F、0.12F、0.18Fが表示されず、画素ずらし補正後のサブ画素Fの表示輝度がサブ画素Fの画像信号が示す本来の輝度の0.42倍に低下する。以下、この低下前の表示輝度(この例ではF)に対する低下後の表示輝度(この例では0.42F)の比率(この例では0.42)を輝度低下率という。
有効表示範囲の境界の近傍の他のサブ画素においても同様な輝度低下が発生する。例えばサブ画素Gについては、画素ずらし補正によりサブ画素Bの画像信号に分散された成分0.12G、サブ画素Cの画像信号に分散された成分0.18Gが表示されないため、画素ずらし補正後のサブ画素Gの表示輝度がサブ画素Gの画像信号が示す本来の輝度の0.70倍に低下する。この場合、サブ画素Gの輝度低下率は0.70である。また、サブ画素Jについては、画素ずらし補正によりサブ画素Iの画像信号に分散された成分0.28J、サブ画素Eの画像信号に分散された成分0.12Jが表示されないため、画素ずらし補正後のサブ画素Jの表示輝度がサブ画素Jの画像信号が示す本来の輝度の0.60倍に低下する。この場合、サブ画素Jの輝度低下率は0.60である。
このような画素ずらし補正に起因したサブ画素の輝度の低下の影響は、特に白枠線により囲まれた画像を有効表示領域内一杯に表示するような場合に顕著に現れる。
図9(a)に示す例では、有効表示範囲内の画像の最外周の一部をなす右端のライン番号LNの垂直ライン上に1画素幅の白枠線の画像がある。そして、この1画素幅の白枠線の画像を構成する各サブ画素に位置ずれが生じている。この位置ずれの方向および距離は、白枠線を構成する各サブ画素間でばらばらである。図9(a)には、位置ずれの測定が行われるサンプリングサブ画素に丸印が示されている。これらのサンプリングサブ画素の位置ずれはサブ画素位置測定部30による測定結果に基づいて算出され、位置ずれ記憶部22に記憶される。また、サンプリングサブ画素以外のサブ画素の位置ずれは、サンプリングサブ画素の位置ずれを用いた補間演算により算出され、位置ずれ記憶部22に記憶される。
図9(a)には、ライン番号LNの垂直ライン上のサンプリングサブ画素について、画素ずらし補正における画素ずらしの方向と距離が示されている。ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号1および11の各水平ライン上にある各サンプリングサブ画素は、位置ずれが0であるので、画素ずらし補正は行われない。また、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号6の水平ライン上にあるサンプリングサブ画素は、左へ0.5画素の位置ずれがあるので、右へ0.5画素ずらす画素ずらし補正が行われる。また、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号16の水平ライン上にあるサンプリングサブ画素は、右へ0.5画素の位置ずれがあるので、左へ0.5画素ずらす画素ずらし補正が行われる。図9(a)では、図示を省略したが、サンプリングサブ画素以外のサブ画素についても、各々の位置ずれに基づく画素ずらし補正が行われる。
以下では、説明を簡単にするため、図9(a)に示すように、画素ずらし補正が行われる前の白枠線を構成する各サブ画素の輝度を各々1.0とする。
図9(b)は画素ずらし補正を行った後の白枠線を構成する各サブ画素の輝度を例示している。図9(b)において、ライン番号LN、LN−1の各垂直ライン上の各サブ画素を示す矩形枠内には数値が示されている。これらの数値は、画素ずらし補正前のライン番号LNの垂直ライン上の各サブ画素の輝度(上記1.0)のうち画素ずらし補正後においてライン番号LN、LN−1の各垂直ライン上の各サブ画素の画像信号が負担する輝度を示している。
例えばライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号1〜6の各水平ライン上にある各サブ画素は、画素ずらし補正により右方向に0〜0.5画素ずらされ、0〜0.5画素が有効表示範囲外となる。このため、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号1〜6の各水平ライン上にある各サブ画素は、元の各サブ画素の輝度の一部である輝度1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5を負担する。従って、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号1〜6の各水平ライン上にある各サブ画素の表示輝度は、1.0、0.9、0.8、0.6、0.5となる。
また、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号7〜11の各水平ライン上にある各サブ画素は、画素ずらし補正により右方向に0.5〜0画素ずらされ、0.5〜0画素が有効表示範囲外となる。このため、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号7〜11の各水平ライン上にある各サブ画素の輝度は、元の各サブ画素の輝度1.0の一部である輝度0.6、0.7、0.8、0.9、1.0を負担する。従って、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号7〜11の各水平ライン上にある各サブ画素の表示輝度は、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0となる。
一方、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、ライン番号12〜16の各水平ライン上にある各サブ画素は、画素ずらし補正により左方向に0.1〜0.5画素ずらされ、各サブ画素のうちの0.1〜0.5画素がライン番号LN−1の垂直ライン上に移動する。このため、画素ずらし補正前においてライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12〜16の各水平ライン上にある各サブ画素の輝度を、画素ずらし補正後では、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12〜16の各水平ライン上にある各サブ画素と、ライン番号LN−1の垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12〜16の各水平ライン上にある各サブ画素とが分担して負担することになる。例えばライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12の水平ライン上にあるサブ画素は、画素ずらし補正において左に0.1画素の画素ずらしが行われるので、画素ずらし補正後は、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12の水平ライン上にあるサブ画素が元のサブ画素の輝度の一部である0.9を負担し、ライン番号LN−1の垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12の水平ライン上にあるサブ画素が元のサブ画素の輝度の残りの一部である0.1を負担する。ライン番号13〜16の各水平ライン上の各サブ画素についても同様である。従って、画素ずらし補正前においてライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号13〜16の各水平ライン上にある各サブ画素については、画素ずらし補正後も輝度が変わらない。
このようにライン番号LNの垂直ライン上において、サブ画素の位置ずれが各サブ画素間で異なると、画素ずらし補正を行った場合に、ライン番号LNの垂直ライン上の各サブ画素の表示輝度が互いにばらばらの低下率で低下する。このため、ライン番号LNの垂直ライン上に表示される白枠線にガタツキが生じ、これが画像の品質劣化として視認される問題がある。
この問題を解決するための手段として、画素ずらし補正において有効表示範囲外への画素ずらしを無効にする方法が考えられる。すなわち、例えば有効表示範囲の右端のサブ画素の場合、右方向への画素ずらしを行わないという方法である。しかし、この方法は効を奏しない。以下、この点について説明する。
図10(a)は、図9(a)と同様なサブ画素の位置ずれが生じていることを前提とし、この位置ずれを補償するための画素ずらし補正の態様を示している。また、図10(a)では、図9(a)と異なり、ライン番号LNの垂直ライン上の各サブ画素の輝度とライン番号LN−1の垂直ライン上の各サブ画素の輝度との合計値2.0を示している。
図10(b)は、ライン番号LNの垂直ライン上のサブ画素については、右方向への画素ずらしを行わず、左方向への画素ずらしのみを行うという画素ずらしを行った結果を示している。図10(b)では、ライン番号LN−1、LN−2の垂直ライン上の各サブ画素の位置ずれは、ライン番号LNの垂直ライン上の各サブ画素LN−1の各サブ画素の位置ずれと各々同じであることを前提にしている。
図10(b)において、例えば有効表示範囲の右端のサブ画素について右方向への画素ずらしを行わないとすると、例えばライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号2〜6の各水平ライン上にある各サブ画素の画像信号は、画素ずらし補正後も、元の各サブ画素の輝度1.0を負担することになる。しかしながら、ライン番号LN−1の垂直ライン上の各サブ画素に、ライン番号LNの垂直ライン上の各サブ画素と同じ位置ずれがあると、画素ずらし補正により、例えばライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号2〜6の各水平ライン上の各サブ画素の画像信号が、ライン番号LN−1の垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号2〜6の各水平ライン上の各サブ画素の輝度の一部である0.1、0.2、0.3、0.4、0.5を負担することになる。この結果、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号2〜6の各水平ライン上にある各サブ画素の画像信号が負担すべき輝度は、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5となり、液晶パネルにより表示可能な輝度1.0を越える。このため、これらの各サブ画素の画像信号が示す輝度は全て1.0に制限される。従って、画素ずらし補正後において、ライン番号LN、LN−1の2本の垂直ラインの輝度の合計値は、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5となり、画素ずらし補正前の輝度2・0より低くなる。このように有効表示範囲外への画素ずらしを無効にしたとしても、ライン番号LN、LN−1の各垂直ライン上の各サブ画素の輝度の合計値が最大値2.0を越えるか否かに依存して輝度の低下が発生し、最外周の垂直ライン上においてサブ画素間の輝度の変化が発生し、白枠線の表示にガタツキが生じることとなる。
そこで、本実施形態では、境界補正部242を設けることにより、この白枠線に生じるガタツキを抑制している。
境界補正部242は、表示対象画像の最外周の水平方向および垂直方向の各ラインについて、画素ずらし補正パラメータを使用した画素ずらし補正によって当該ライン上のサブ画素が有効表示範囲外に移動することに起因したサブ画素の表示輝度の低下率のうち当該ライン上において低下の程度が最も大きい表示輝度の低下率に近づくように、例えば、当該低下率と同じだけ当該ライン上の各サブ画素の画像信号が示す輝度を低下させる境界補正を画素ずらし補正パラメータに施す手段である。
ここで、図11(a)および(b)を参照して、境界補正部242の処理内容を説明する。図11(a)には、外周が白枠線により囲まれた画像を有効表示範囲一杯に表示する際に、仮に画素ずらし補正パラメータ算出部241により算出された画素ずらし補正パラメータをそのまま用いて画素ずらし補正を行った場合の各サブ画素の輝度を示している。
図11(a)において、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号2〜10の各水平ライン上にある各サブ画素には、右方向へ0.1画素、0.2画素、0.3画素、0.4画素、0.5画素、0.4画素、0.3画素、0.2画素、0.1画素の画素ずらし補正が行われている。従って、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号2〜10の各水平ライン上にある各サブ画素の輝度は、画素ずらし補正により、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9に低下する。
また、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12〜16の各水平ライン上にある各サブ画素には、左方向へ0.1画素、0.2画素、0.3画素、0.4画素、0.5画素の画素ずらし補正が行われている。従って、画素ずらし補正前においてライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12〜10の各水平ライン上にある各サブ画素の輝度を、画素ずらし補正後は、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12〜10の各水平ライン上にある各サブ画素と、ライン番号LN−1の垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12〜10の各水平ライン上にある各サブ画素とが分担して負担する。この場合の分担の比率は、画素ずらし補正パラメータ算出部241により算出された画素ずらし補正パラメータから求めることが可能である(図7参照)。
ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号1、11の各水平ライン上にある各サブ画素については、画素ずらし補正が行われないので、画素ずらし補正による輝度の変化はない。また、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12〜16の各水平ライン上にある各サブ画素については、有効表示範囲内への画素ずらしが行われるので、画素ずらし補正による輝度の変化はない。従って、ライン番号LNの垂直ライン上の全サブ画素のうちライン番号6の水平ライン上にあるサブ画素の輝度が0.5と最も低く、輝度低下率が最低、すなわち、輝度の低下の程度が最大であるということができる。
そこで、境界補正部242は、ライン番号LNの垂直ライン上の各サブ画素の輝度低下率を一律に0.5に揃える境界補正を画素ずらし補正パラメータに施す。具体的には次の通りである。
画素ずらし補正後において、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号1〜11の各水平ライン上にある各サブ画素の輝度は、これらのサブ画素の画像信号のみが負担する。そこで、境界補正部242は、画素ずらし補正において、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号1〜11の各水平ライン上にある各サブ画素の画像信号に乗算される画素ずらし補正パラメータk0を全て0.5にする。
また、画素ずらし補正後において、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12〜16の各水平ライン上にある各サブ画素の輝度を、画素すらし補正後では、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12〜16の各水平ライン上にある各サブ画素の画像信号と、ライン番号LN−1の垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12〜16の各水平ライン上にある各サブ画素の画像信号とが負担する。そこで、境界補正部242は、ライン番号12〜16の各水平ライン毎に、輝度低下率0.5をライン番号LN−1の垂直ライン上のサブ画素の画像信号に乗算される画素ずらし補正パラメータとライン番号LNの垂直ライン上のサブ画素の画像信号に乗算される画素ずらし補正パラメータとの比により按分し、その結果得られる各値により各画素ずらし補正パラメータを置き換える。
例えばライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12の水平ラインにある輝度1.0のサブ画素に着目すると、画素ずらし補正後は、ライン番号LN−1の垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12の水平ラインにあるサブ画素の画像信号が輝度1.0の一部である輝度0.1を負担し、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12の水平ラインにあるサブ画素の画像信号が輝度1.0の一部である輝度0.9を負担する。この場合、ライン番号LN−1の垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12の水平ラインにあるサブ画素の画像信号に乗算される画素ずらし補正パラメータは0.1、ライン番号LN−1の垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12の水平ラインにあるサブ画素の画像信号に乗算される画素ずらし補正パラメータは0.9となっている。そこで、境界補正部242は、輝度低下率0.5を0.1:0.9の比で按分した値0.05と0.45を算出する。そして、境界補正部242は、ライン番号LN−1の垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12の水平ラインにあるサブ画素の画像信号に乗算される画素ずらし補正パラメータを0.05に補正し、ライン番号LNの垂直ライン上にあり、かつ、ライン番号12の水平ラインにあるサブ画素の画像信号に乗算される画素ずらし補正パラメータを0.45に補正するのである。ライン番号13〜16の水平ライン上にある各サブ画素に乗算される画素ずらし補正パラメータについても同様である。
以上、表示対象画像の右端を例に説明したが、境界補正部242は、左端、上端、下端についても同様な処理を行う。また、境界補正部242は、R、G、Bの各色成分について、以上の境界補正を実行する。
図12および図13は本実施形態によるプロジェクター10の動作を示すフローチャートである。工場での出荷時の検査あるいは出荷後の定期点検等において、調整指示がプロジェクター10に与えられると、プロジェクター10は図12に示す処理を実行する。
まず、プロジェクター10は、位置ずれ測定を行う(ステップS11)。具体的には、パターン画像記憶部40に記憶されたパターン画像に対応した画像情報を読み出し、投射部100が、該パターン画像をスクリーンSCRに投射する。そして、パターン画像を投射した後、プロジェクター10では、サブ画素位置測定部30が、スクリーンSCRへの投射画像を撮影し、サブ画素の表示位置を決定する。そして、画像処理部20は、投射画像内の所与の基準位置を基準として、サブ画素位置測定部30が決定したサブ画素の表示位置の位置ずれを求めて、位置ずれを示す情報を位置ずれ記憶部22(不揮発性メモリー88)に保存する。プロジェクター10では、以上の処理をR、G、Bの各色成分について実行する。
次にプロジェクター10では、画素ずらし補正パラメータ算出部241がR、G、Bの各色成分について、不揮発性メモリー88内の各サブ画素の位置ずれを示す情報に基づいて、各サブ画素の画素ずらし補正パラメータ(図7参照)を算出し、不揮発性メモリー88に保存する(ステップS12)。
次にプロジェクター10では、境界補正部242が、R、G、Bの各色成分について、不揮発性メモリー88内の画素ずらし補正パラメータに対して上述した境界補正を行い、境界補正後の画素ずらし補正パラメータを不揮発性メモリー88に保存する(ステップS13)。
以上が調整指示に応じて行われる処理の内容である。
次に、画像表示の指示が与えられると、プロジェクター10は図13に示す処理を実行する。まず、プロジェクター10では、画像信号補正部24が入力画像信号記憶部28を介して例えば1画面分(1垂直期間分)の画像信号を取得する(ステップS21)。
次にプロジェクター10では、画素ずらし補正部243が、R、G、Bの各色成分について、不揮発性メモリー88内の各サブ画素の位置ずれを示す情報と境界補正後の画素ずらし補正パラメータとを用いて、各サブ画素の画像信号に画素ずらし補正を施す(ステップS22)。画素ずらし補正部は、この処理を経たR、G、Bの各色成分の各サブ画素の画像信号をR用液晶パネル130R、G用液晶パネル130GおよびB用液晶パネル130Bに供給する。
そして、プロジェクター10では、表示終了の指示が与えられたか否かが判断され(ステップS23)、この判断結果が「NO」である場合はステップS21〜S22の処理が繰り返され、判断結果が「YES」であれば処理終了となる。
以上のように、本実施形態によれば、境界補正部242が、表示対象画像の最外周の水平方向および垂直方向の各ラインについて、画素ずらし補正によって当該ライン上のサブ画素が有効表示範囲外に移動することに起因したサブ画素の表示輝度の低下率のうち当該ライン上において低下の程度が最も大きい表示輝度の低下率に近づくように、例えば、当該低下率と同じだけ当該ライン上の各サブ画素の画像信号が示す輝度を低下させる境界補正を行う。従って、本実施形態によれば、見切り画素を設けることなく、有効表示範囲内の各サブ画素の全体について位置ずれを補償しつつ、表示対象画像の最外周の水平方向および垂直方向の各ライン表示について、画素ずらし補正に起因したガタツキを抑制することができる。なお、本実施形態では、白枠線表示を例にガタツキ抑制の効果を説明したが、本実施形態は、白枠線以外の画像、例えばグラデーション画像等、色や輝度の変化が少ない画像を表示する場合にも最外周のライン表示のガタツキを抑制する効果を奏する。
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、有効表示範囲外への画素ずらしが0.5画素以内である場合を例に境界補正の内容を説明した。しかし、画素ずらし補正において、有効表示範囲外に1画素以上の画素ずらしが行われる場合がある。画素ずらし補正により、有効表示範囲の例えば右端の垂直ライン上のサブ画素が右方向に1画素以上移動する場合、有効表示範囲の右端の垂直ライン上のサブ画素の輝度の低下率は0倍になる。この場合、有効表示範囲の右端から2ライン目のサブ画素にも画素ずらし補正に伴う輝度の低下が生じる。そして、2画素幅以上の幅の白枠線を有効表示範囲一杯に表示するような場合もあり、その場合には、有効表示範囲の右端から2ライン目の各サブ画素の輝度がばらついて、白枠線がガタツキ、画質の劣化として視認される可能性がある。
そこで、本実施形態において、境界補正部242は、有効表示範囲の右端の垂直ライン上の各サブ画素の画素ずらし補正に起因した輝度の低下率のうち最低値が0である場合、有効表示範囲の右端から2ライン目の垂直ライン上の各サブ画素について、画素ずらし補正に起因した輝度の低下率の最低値を求め、2ライン目の垂直ライン上の各サブ画素の輝度の低下率をこの最低の低下率に揃える境界補正を行う。また、境界補正部242は、有効表示範囲の右端から2ライン目の垂直ライン上の各サブ画素の画素ずらし補正に起因した輝度の低下率のうち最低値が0である場合、有効表示範囲の右端から3ライン目の垂直ライン上の各サブ画素について、画素ずらし補正に起因した輝度の低下率の最低値を求め、3ライン目の垂直ライン上の各サブ画素の輝度の低下率をこの最低の低下率に揃える境界補正を行う。以下、同様である。
一般化すると、本実施形態における境界補正部242は、最外周からNライン目(Nは1以上の整数)の1ライン上において有効表示範囲外への移動に起因した各サブ画素の表示輝度の低下率のうち最低値が0である場合に、最外周からN+1ライン目の1ラインについて、各サブ画素の輝度の低下率を当該ライン内の輝度の低下率の最低値に揃える境界補正を行う。
本実施形態によれば、有効表示範囲外へ水平方向または垂直方向に1画素以上の画素ずらしが行われる状況においても、例えば白枠線に囲まれた画像を有効表示範囲一杯に表示した場合に画素ずらし補正に起因して白枠線にガタツキが生じるのを抑制することができる。
<第3実施形態>
サブ画素に生じる位置ずれは各サブ画素間で同じではないので、例えば有効表示範囲の右端の垂直ライン上のサブ画素を有効表示範囲外へ右方向に移動させる画素ずらし補正と、有効表示範囲の上端の水平ライン上のサブ画素を有効表示範囲外へ上方向に移動させる画素ずらし補正とが行われる場合もある。この場合、有効表示範囲の右端の垂直ライン上の各サブ画素の画像信号は、輝度の低下率を当該ライン上のサブ画素の低下率の最低値である例えば第1の低下率に揃える境界補正の対象となる。一方、有効表示範囲の上端の水平ライン上の各サブ画素の画像信号は、輝度の低下率を当該ライン上のサブ画素の低下率の最低値である例えば第2の低下率に揃える境界補正の対象となる。従って、有効表示範囲の右端の垂直ライン上にあり、かつ、上端の水平ライン上にもあるサブ画素は、第1の低下率を用いた境界補正と第2の低下率を用いた境界補正の両方の対象となるという不都合が生じる。本実施形態は、この点に対処したものである。
図14は、画素ずらし補正パラメータ算出部241により算出された画素ずらし補正パラメータが示す各サブ画素の画素ずらしの水平方向成分、垂直方向成分が示されている。また、図14に示す例では、有効表示範囲の最外周の各サブ画素を右上方向にずらす画素ずらしが行われる。このため、有効表示範囲の右端の垂直ライン上の各サブ画素は、有効表示範囲外へ右方向に移動し、各サブ画素にはこの移動に起因した輝度の低下が生じる。そして、垂直ライン上の各サブ画素の輝度の低下率の中の最低値は0.5である。一方、有効表示範囲の上端の水平ライン上の各サブ画素は、有効表示範囲外へ上方向に移動し、各サブ画素にはこの移動に起因した輝度の低下が生じる。この水平ライン上の各サブ画素の輝度の低下率の中の最低値は0.2である。そこで、境界補正部242は、有効表示範囲の右端の垂直ライン上の各サブ画素のうち上端のサブ画素を除くサブ画素については輝度の低下率を0.5に揃え、有効表示範囲の上端の水平ライン上の各サブ画素のうち右端のサブ画素を除くサブ画素については輝度の低下率を0.2に揃え、有効表示範囲の右上隅のサブ画素については輝度の低下率を0.5および0.2のうち低い方の低下率0.2とする。
<第4実施形態>
一般にプロジェクターにおけるサブ画素の位置ずれは、R、G、Bの色成分毎にそれぞれ個別の方向に個別の移動量で発生する。このため、上記第1〜第3実施形態のように色成分毎に個別に境界補正および画素ずらし補正を行うと、例えば表示対象画像の右端の垂直ラインにおける輝度の低下率の最低値が、R成分は0.2、G成分は1、B成分は0.5という具合に異なった値になる場合がある。この場合、境界補正において色成分毎に個別に求めた輝度の低下率を採用すると、右端のライン表示のガタツキによる画質劣化を抑制することはできるものの、右端のライン表示に色付きが生じる問題が発生する。
そこで、本実施形態において境界補正部242は、複数の色成分において、共通のライン上の各サブ画素が境界補正の対象となる場合に、当該複数の色成分における当該ライン上の各サブ画素の輝度の低下率の中から低下の程度が最大である低下率を選択し、当該複数の色成分の当該ラインについての境界補正において、選択した低下率に近づくように、例えば、当該低下率と同じだけ当該ライン上の各サブ画素の画像信号が示す輝度を低下させる。具体的には、同一ラインについての輝度の低下率の最低値が、例えばR成分は0.2、G成分は1、B成分は0.5と異なる場合、境界補正部242は、これらの中の最低値0.2を各色成分に共通の低下率とし、当該ラインにおける各色成分のサブ画素の輝度を0.2倍に低下させるための画素ずらし補正パラメータの補正を行う。
本実施形態によれば、表示対象画像の端部のラインのガタツキによる画質の劣化を抑制しつつ、端部のラインの色付きをも抑制することができる。
以上、この発明の第1〜第4実施形態について説明したが、この発明には、これ以外にも他の実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)上記実施形態では、R、G、Bの各色成分を画素ずらし補正の対象とした。しかし、そのようにする代わりに、1の色成分(例えばG成分)を基準色成分とし、この基準色成分の各サブ画素の表示位置を基準位置とし、他の色成分のサブ画素について、表示位置の基準位置からの位置ずれを求め、境界補正および画素ずらし補正を行うようにしてもよい。
(2)上記各実施形態では、プロジェクターの工場出荷時の検査や出荷後の定期点検等、画像表示に先立つタイミングにおいて、位置ずれ測定、画素ずらし補正パラメータの算出、境界補正を行い、画像表示の際に画素ずらし補正を行うようにした。しかし、プロジェクターの工場出荷時の検査や出荷後の定期点検等、画像表示に先立つタイミングにおいて、位置ずれ測定のみを行い、画像表示の際に、画素ずらし補正パラメータの算出、境界補正、画素ずらし補正を行うようにしてもよい。また、この場合において、画素ずらし補正パラメータの算出、境界補正、画素ずらし補正を行う際に、位置ずれを示す情報、画素ずらし補正パラメータを記憶するための手段として、不揮発性メモリー88ではなく、RAM84を使用してもよい。この場合、画像処理の際に実行する処理の演算量が増えるが、記憶手段としてRAM84を使用することで、処理の高速化を実現することができる。
(3)上記実施形態では、プロジェクター10内に画素ずらし補正パラメータ算出部241、境界補正部242の機能を設けたが、これらの機能を実現する装置をプロジェクター10の外部に設け、この外部の装置が位置ずれ記憶部22内の位置ずれを示す情報に基づいて、各サブ画素についての上記画素ずらし補正パラメータの算出および境界補正を行い、境界補正後の画素ずらし補正パラメータを不揮発性メモリー88に書き込むようにしてもよい。この場合、プロジェクター1では、不揮発性メモリー88に記憶された画素ずらし補正パラメータを使用して、各サブ画素の画像信号に対する画素ずらし補正のみを行えばよい。
(4)境界補正部242としての機能を実現するプログラムを作成し、このプログラムを、境界補正部242としての機能を有していないが画素ずらし補正パラメータ算出部241としての機能および画素ずらし補正部243としての機能を有するプロジェクター10にインストールして使用するようにしてもよい。
(5)上記実施形態は、1画素を3つの色成分のサブ画素で構成されたが、本発明はこれに限定されるものではない。1画素を構成する色成分数が2または4以上であってもよい。
(6)上記実施形態では、光変調部として液晶パネルを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。光変調部として、例えばDLP(Digital Light Processing)(登録商標)、LCOS(Liquid Cristal On Silicon)等を採用してもよい。
(7)上記実施形態において、本発明を、画像表示装置およびその調整方法として説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、本発明による調整方法を実現するための処理手順が記述されたプログラムやこのプログラムが記録された記録媒体を頒布するという態様で本発明を実施してもよい。
10……プロジェクター、20……画像処理部、22……位置ずれ記憶部、24……画素信号補正部、28……入力画像信号記憶部、50……サブ画素位置測定部、40……パターン画像記憶部、100……投射部、80……CPU、82……ROM、84……RAM、86……I/F回路、88……不揮発性メモリー、90……バス、241……画素ずらし補正パラメータ算出部、243……画素ずらし補正部、242……境界補正部、110……光源、112,114……インテグレータレンズ、116……偏光変換素子、118……重畳レンズ、120R……R用ダイクロイックミラー、120G……G用ダイクロイックミラー、122,148,150……反射ミラー、124R…R用フィールドレンズ、124G……G用フィールドレンズ、130R……R用液晶パネル、130G……G用液晶パネル、130B……B用液晶パネル、140……リレー光学系、142,144,146……リレーレンズ、160……クロスダイクロイックプリズム、170……投射レンズ、SCR……スクリーン。

Claims (7)

  1. 複数の色成分に各々対応付けられた複数の光変調手段を有し、表示対象画像を構成する複数の画素に各々属する前記複数の色成分に対応した複数のサブ画素の画像信号により変調された光を前記複数の光変調手段により各々出力し、前記複数の光変調手段の出力光を合成して、前記複数の色成分からなる画像を表示面に重ね表示する画像表示手段と、
    前記表示対象画像におけるサブ画素の位置をずらす画素ずらし補正を前記複数の光変調手段における少なくとも1の光変調手段に供給されるサブ画素の画像信号に施すことにより、前記表示面に表示される各色成分の画像を構成するサブ画素の表示位置の基準位置に対する位置ずれを補償する画像信号補正手段とを具備し、
    前記画像信号補正手段は、前記表示対象画像の最外周の水平方向および垂直方向のうち少なくとも一方のラインについて、前記画素ずらし補正によって当該ライン上のサブ画素が有効表示範囲外に移動することに起因したサブ画素の表示輝度の低下率のうち当該ライン上において低下の程度が最も大きい表示輝度の低下率に近づくように当該ライン上の各サブ画素の画像信号が示す輝度を低下させる境界補正を行う境界補正手段を具備することを特徴とする画像表示装置。
  2. 前記境界補正手段は、前記画素ずらし補正によって当該ライン上のサブ画素が有効表示範囲外に移動することに起因したサブ画素の表示輝度の低下率のうち当該ライン上において低下の程度が最も大きい表示輝度の低下率と同じだけ当該ライン上の各サブ画素の画像信号が示す輝度を低下させる境界補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記境界補正手段は、前記最外周からNライン目(Nは1以上の整数)の1ライン上において前記有効表示範囲外への移動に起因した各サブ画素の表示輝度の低下率のうち低下の程度が最大である低下率が0である場合に、前記最外周からN+1ライン目の1ラインについて、前記境界補正を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
  4. 前記境界補正手段は、水平方向のライン上のサブ画素として画像信号が示す輝度を第1の低下率だけ低下させる境界補正の対象となり、かつ、垂直方向のライン上のサブ画素として画像信号が示す輝度を第2の低下率だけ低下させる境界補正の対象となるサブ画素について、前記第1の低下率および前記第2の低下率のうち輝度の低下の程度が大きい方の低下率に近づくように画像信号が示す輝度を低下させる境界補正を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の画像表示装置。
  5. 前記境界補正手段は、複数の色成分において、共通のライン上の各サブ画素が前記境界補正の対象となる場合に、当該複数の色成分における当該ライン上の各サブ画素の輝度の低下率の中から低下の程度が最大である低下率を選択し、当該複数の色成分の当該ラインについての境界補正において、選択した低下率に近づくように当該ライン上の各サブ画素の画像信号が示す輝度を低下させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1の請求項に記載の画像表示装置。
  6. 複数の色成分に各々対応付けられた複数の光変調手段を有し、表示対象画像を構成する複数の画素に各々属する前記複数の色成分に対応した複数のサブ画素の画像信号により変調された光を前記複数の光変調手段により各々出力し、前記複数の光変調手段の出力光を合成して、前記複数の色成分からなる画像を表示面に重ね表示する画像表示装置の調整方法において、
    前記表示対象画像のサブ画素の前記表示面における表示位置の基準位置からの位置ずれを求める位置ずれ検出ステップと、
    前記表示対象画像におけるサブ画素の位置をずらす画素ずらし補正を前記複数の光変調手段における少なくとも1の光変調手段に供給されるサブ画素の画像信号に施すことにより、前記表示面に表示される各色成分の画像を構成するサブ画素の表示位置の基準位置に対する位置ずれを補償する処理を前記画像表示装置に行わせるための第1の調整ステップと、
    前記表示対象画像の最外周の水平方向および垂直方向のうち少なくとも一方のラインについて、前記画素ずらし補正によって当該ライン上のサブ画素が有効表示範囲外に移動することに起因したサブ画素の表示輝度の低下率のうち当該ライン上において低下の程度が最も大きい表示輝度の低下率に近づくように当該ライン上の各サブ画素の画像信号が示す輝度を低下させる境界補正を前記画像表示装置に行わせるための第2の調整ステップと
    を具備することを特徴とする画像表示装置の調整方法。
  7. 前記第2の調整ステップにおいて、前記画素ずらし補正によって当該ライン上のサブ画素が有効表示範囲外に移動することに起因したサブ画素の表示輝度の低下率のうち当該ライン上において低下の程度が最も大きい表示輝度の低下率と同じだけ当該ライン上の各サブ画素の画像信号が示す輝度を低下させる境界補正を前記画像表示装置に行わせることを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置の調整方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113129846A (zh) * 2021-04-13 2021-07-16 北京显芯科技有限公司 背光控制方法、设备、系统及存储介质

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