JP2013092446A - 弾性波センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】弾性波センサのセンシングの正確性を向上させる。
【解決手段】弾性波センサ1は、圧電体2と、圧電体2の上に形成された複数の電極3、4と、圧電体2の上であって複数の電極3、4の間の伝搬路の上に形成された反応部5と、電極3によって励振される弾性波の特性を検出する検出部(図示せず)とを備え、反応部5は、枝分かれするように積み重なり、一体的に結合した複数の粒子からなることを特徴とする。この特徴により、反応部5の表面積が大きくなり、反応部5に吸着される検出対象物質量が増加する。このため、弾性波センサ1のセンシング精度が向上する。
【選択図】図2
【解決手段】弾性波センサ1は、圧電体2と、圧電体2の上に形成された複数の電極3、4と、圧電体2の上であって複数の電極3、4の間の伝搬路の上に形成された反応部5と、電極3によって励振される弾性波の特性を検出する検出部(図示せず)とを備え、反応部5は、枝分かれするように積み重なり、一体的に結合した複数の粒子からなることを特徴とする。この特徴により、反応部5の表面積が大きくなり、反応部5に吸着される検出対象物質量が増加する。このため、弾性波センサ1のセンシング精度が向上する。
【選択図】図2
Description
本発明は、特定物質に反応する反応部を備えた弾性波センサに関する。
従来の弾性波センサを、図9を用いて説明する。図9は、従来の弾性波センサの断面模式図である。
図9において、従来の弾性波センサ101は、圧電体102と、圧電体102の上に形成された入力電極103及び出力電極104と、圧電体102の上であって入力電極103及び出力電極104の間の伝搬路の上に形成された反応部105と、入力電極103によって励振される弾性波の特性を検出する検出部(図示せず)とを備える。
この弾性波センサ101の反応部105に対し検出対象物質を含む可能性のある物質(呼気、検査液等)を接触させることで、検出対象物質の付着に起因する弾性波の周波数変化を検出部が検出し、検出対象物質の有無、或はその濃度などを検知することができる。
なお、この出願に関連する先行技術文献として特許文献1が知られている。
しかし、弾性波センサが小型になると、反応部105の占有面積が小さくなり、反応部105に吸着される検出対象物質量が低下する。このため、弾性波センサ101のセンシング精度が低下するという問題があった。そこで、本発明は、弾性波センサのセンシング精度を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の弾性波センサは、圧電体と、前記圧電体の上に形成された複数の電極と、前記圧電体の上であって前記複数の電極の間の伝搬路の上に形成された反応部と、前記電極によって励振される弾性波の特性を検出する検出部とを備え、前記反応部は、枝分かれするように積み重なり、一体的に結合した複数の粒子からなることを特徴とする。
本発明の弾性波センサにおいて、反応部が枝分かれするように積み重なり、一体的に結合した複数の粒子からなるので、反応部の表面積が大きくなり、反応部に吸着される検出対象物質量が増加する。このため、弾性波センサのセンシング精度が向上する。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1の弾性波センサについて、図面を用いて説明する。図1は、実施の形態1における弾性波センサの上面模式図であり、図2は、実施の形態1における弾性波センサのAB断面における断面模式図である。
以下、本発明の実施の形態1の弾性波センサについて、図面を用いて説明する。図1は、実施の形態1における弾性波センサの上面模式図であり、図2は、実施の形態1における弾性波センサのAB断面における断面模式図である。
図1、図2において、弾性波センサ1は、トランスバーサル型の弾性波素子を用いたバイオセンサであって、生態の分子認識機構に基づいてタンパク質、遺伝子、シグナル分子などの検出対象物質をセンシングするものである。
この弾性波センサ1は、圧電体2と、圧電体2の上に形成された入力電極3及び出力電極4と、圧電体2の上であって入力電極3及び出力電極4の間の伝搬路の上に形成された繊維状の反応部5と、入力電極3によって励振される弾性波の特性(周波数特性など)を検出する検出部(図示せず)とを備える。この弾性波センサ1は、各種医療機器に内蔵されるマザーボードに搭載されるが、このマザーボードに圧電体2の電極3、4の形成面が対向するようにフェースダウン実装されていても良いし、マザーボードに電極3、4の形成面の裏面が接着されることでフェースアップ実装されていても良い。前者の場合は、電極3、4が金属バンプ等を介して検出部(図示せず)に電気的に接続され、後者の場合は、電極3、4が金属ワイヤ等を介して検出部(図示せず)に電気的に接続される。
尚、この検出部(図示せず)は、電極3によって励振される弾性波の周波数変化を検出するものが一般的であるが、弾性波の速度、振幅、波長等の他の特性の変化を検出しても良い。
上記の反応部5に対し検出対象物質を含む可能性のある物質(呼気、検査液等)を接触させることで、検出対象物質の付着による反応部5の質量変化に起因する弾性波の特性変化を検出部が検出し、検出対象物質の有無、或はその濃度などを検知することができる。
この反応部5が枝分かれするように積み重なり、一体的に結合した複数の粒子6からなることにより、反応部5の表面積が大きくなり、反応部5に吸着される検出対象物質量が増加する。このため、弾性波センサのセンシング精度が向上する。
以下、弾性波センサ1の各構成について詳述する。
圧電体2は、圧電単結晶基板からなり、例えば、水晶、ランガサイト系、ニオブ酸リチウム系、タンタル酸リチウム系、又はニオブ酸カリウム系の圧電基板である。反応部5に形成された枝分かれするように積み重なり一体的に結合した複数の粒子6は、例えば、最表面が酸化アルミニウムを主成分としている。
図2に示す様に、反応部5に形成された複数の粒子6は、圧電体2から表層に向かって立ち上がるツリー状の柱が多数密集し、霜柱状になっている。そして夫々のツリー状の柱は、複数の粒子6が一体に結合して、海ぶどう状に枝分かれしながら積み重なった形状である。なお、図3は、複数の粒子6からなる粒子層7をSEM(走査電子顕微鏡)で3万倍に拡大して撮影した写真である。
粒子6は核となる部分がアルミニウムで構成され、その上に酸化アルミニウムの膜が形成されている。微小な粒子6には、全体が酸化アルミニウムで構成されているものもある。
なお、図4に示すように、この粒子層7は、圧電体2の表面と接する第一の粒子層7aと、この第一の粒子層7a上に積層された第二の粒子層7bとで構成されている場合は、第一の粒子層7aの粒子径は、第二の粒子層7bの粒子径よりも大きくなるように形成されていることが望ましい。上記構成によって、第一の粒子層7aと圧電体2表層との密着性を向上することができるためである。
第一の粒子層7aは、厚みが数μmであり、第二の粒子層7bの厚みは(数十μm)よりも薄くした。
電極(入力電極3、出力電極4)は、夫々一対の櫛形電極の電極指同士が互いに噛み合う様に配置されたIDT(Inter Digital Transducer)電極であり、例えばSH(Shear−Horizontal)波やレイリー波等の弾性波を励振させる。これら電極3、4は、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、チタン、タングステン、白金、モリブデン又はクロムからなる単体金属、若しくはこれらを主成分とする合金、又はこれらの金属が積層された構成である。尚、電極3、4として、タングステン又はモリブデンを主成分とする層を含むと、これらの融点が高く反応部5の成長過程での電極溶解を防止でき、また、これらの密度が高いため、弾性波のバルク波変換によるロスも低減できる。
図5に示すように、反応部5に形成された複数の粒子6には、呼気等に含まれる可能性のある検出対象物質または検出対象物質と結合する結合物質に反応するプローブ8が表面に付着、密集し形成されている。
また、図6に示すように、この反応部5は、圧電体2上に電極3、4を覆うように設けられた誘電体膜9上における伝搬路の上方に設けられていても良い。
誘電体膜9は、例えば、酸化シリコン(SiO2)、ダイアモンド(C)、シリコン(Si)、窒化シリコン(SiN)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化タンタル(Ta2O5)若しくは、酸化アルミニウム(Al2O3)の単層構造又はこれらの積層構造、あるいはパリレンなどを用いることができるが、この限りではない。
次に本実施の形態1の弾性波センサ1における反応部5の形成方法の一例を説明する。
まず、ウエハ状の圧電体2の上に電極3、4を蒸着若しくはスパッタリング等で形成した後に、伝搬路を除いて電極3、4を覆うようにメタルマスクを形成する。
次に、反応部5に粒子6を形成する。粒子6の形成には、例えば蒸着を用いることができる。
1)上記の圧電体2を、蒸着槽内に配置して、0.01〜0.001Paの真空に保つ。
2)圧電体2周辺に酸素ガスに対してアルゴンガスの流量比を2〜4にした不活性ガスを流入して圧電体2周辺の圧力を20〜30Paの状態にする。
3)圧電体2の温度を70〜200℃の範囲に保つ。
4)蒸着源にアルミニウムを配設した状態で真空蒸着により複数の粒子6からなる粒子層7を形成する。
1)上記の圧電体2を、蒸着槽内に配置して、0.01〜0.001Paの真空に保つ。
2)圧電体2周辺に酸素ガスに対してアルゴンガスの流量比を2〜4にした不活性ガスを流入して圧電体2周辺の圧力を20〜30Paの状態にする。
3)圧電体2の温度を70〜200℃の範囲に保つ。
4)蒸着源にアルミニウムを配設した状態で真空蒸着により複数の粒子6からなる粒子層7を形成する。
このように形成された粒子層7のそれぞれの粒子6は、最表面が自然酸化による酸化皮膜(酸化アルミニウム)で覆われている。
ここで、さらに大気中など(少なくとも酸素下)で熱酸化させることによって、粒子6表面の酸化アルミニウムの厚みを厚くすることができる。粒子6の核となるアルミニウムの溶出を抑制することが可能となる。
上述の方法によると、低温下で複数の粒子6を形成させることが出来るので、圧電体2上に形成させた電極3、4などに与える負荷を少なくすることができる。
さらに、低温下で粒子6を形成させることによって、粒子径をさらに小さくすることができ、その結果さらに表面積を大きくすることができるため好ましい。
上述の方法によると、低温下で平均粒子径の小さい粒子6からなる粒子層7を形成したことにより、空孔径の最頻値が約0.03μmと極めて微細なものとなる。これは、比較用に示したエッチングによるアルミニウム箔の空孔径の最頻値である約0.15μmと比較して極めて微細化されたものであり、これにより、表面積を大きく拡大することができる。またこの粒子層7は、微小な粒子6がランダムに枝分かれして積み重なり、ある程度の厚みを持った層であるから、直線的な穴が規則的に形成された多孔質アルミナと比較して、表面積が大きくなり、センサの感度を向上させることができる。
ここで低温とは、70〜200℃程度の温度を示す。
なお、図4に示すような、粒子径の異なる第一の粒子層7aと第二の粒子層7bとを反応部5に形成させる場合は下記のような方法で形成させることができる。
・反応部5に対応した開口部を有するメタルマスクを上記の圧電体2上に配置する。
1)上記の圧電体2を、蒸着槽内に配置して0.01〜0.001Paの真空に保つ。
2)圧電体2周辺に酸素ガスに対してアルゴンガスの流量比を4〜6にした不活性ガスを流入して圧電体2周辺の圧力を10〜20Paの状態にする。
3)圧電体2の温度を200〜300℃の範囲に保つ。
4)蒸着源にアルミニウムを配設した状態で真空蒸着により第一の粒子層7aを形成する。
5)圧電体2周辺に酸素ガスに対してアルゴンガスの流量比を2〜4にした不活性ガスを流入して圧電体2周辺の圧力を20〜30Paの状態にする。
6)圧電体2の温度を70〜200℃の範囲に保つ。
7)蒸着源にアルミニウムを配設した状態で真空蒸着により第二の粒子層7bを形成する。
・反応部5に対応した開口部を有するメタルマスクを上記の圧電体2上に配置する。
1)上記の圧電体2を、蒸着槽内に配置して0.01〜0.001Paの真空に保つ。
2)圧電体2周辺に酸素ガスに対してアルゴンガスの流量比を4〜6にした不活性ガスを流入して圧電体2周辺の圧力を10〜20Paの状態にする。
3)圧電体2の温度を200〜300℃の範囲に保つ。
4)蒸着源にアルミニウムを配設した状態で真空蒸着により第一の粒子層7aを形成する。
5)圧電体2周辺に酸素ガスに対してアルゴンガスの流量比を2〜4にした不活性ガスを流入して圧電体2周辺の圧力を20〜30Paの状態にする。
6)圧電体2の温度を70〜200℃の範囲に保つ。
7)蒸着源にアルミニウムを配設した状態で真空蒸着により第二の粒子層7bを形成する。
上記の圧電体2上に配置したメタルマスクを取り外す。
上述と同様、熱酸化を行うことにより、粒子6最表面の酸化アルミニウムの厚みを厚くすることができる。
なお、この場合、1)の工程で、真空雰囲気は0.004Paに調整した。また、第一の粒子層7aとなる層の形成時において、酸素ガスに対してアルゴンガスの流量比を4とし、圧電体2周辺の圧力が20Paになるように不活性ガスの流量を調整した。更に、圧電体2の温度を300℃に設定した。また、第二の粒子層7bとなる層の形成時において、酸素ガスに対してアルゴンガスの流量比を4とし、圧電体2周辺の圧力が20Paになるように不活性ガスの流量を調整した。更に、圧電体2の温度を200℃に設定した。
なお、第一の粒子層7aの平均粒子径は0.1μm以上であれば、上記のとおりツリー構造体の根元部分と圧電体2との接触面積を十分大きくすることができる。また、第一の粒子層7aを形成する前に、例えばO2アッシング処理で圧電体2の表面を清浄化することで、反応部5と第一の粒子層7aとの密着性が増す。
なお、第一の粒子層7aを厚くしても、粒子6の小さい第二の粒子層7bを厚くする場合と比較して表面積の増大に寄与しにくいことから、第一の粒子層7aは極力薄い方がよい。
この結果、第一の粒子層7aは、この層を構成する粒子6の平均粒子径が0.2μmとなり、第二の粒子層7bより大きな粒子6で構成されている。また、第一の粒子層7aは、粒子6が持つエネルギーが大きく、表面の活性度が高いため、粒子6が大きく成長し、圧電体2と複数のツリー構造体の根元部分の接触面積が大きくなる。そしてその結果、粒子層7の機械的強度が増し、センサの信頼性を高めることができる。
なお、第二の粒子層7bの厚みは表面積増大に大きく寄与するため、第一の粒子層7aより厚く形成することが好ましい。また、第一の粒子層7aと第二の粒子層7bとは、同種の金属を用い、同一真空内で形成したため、第一の粒子層7aと第二の粒子層7bの境界は明確に現れない。
また、上記形成方法5)〜7)に示すように、第二の粒子層7bを形成する工程では、酸素ガスとアルゴンガスの流量比、周辺の圧力、反応部5の温度を、第一の粒子層7aを形成する工程とは変えたことで、金属粒子の運動エネルギーおよび粒子表面の活性度が抑えられ、金属粒子が成長しにくくなり、第二の粒子層7bの粒子6を第一の粒子層7aよりも小さくなるように形成できたと考えられる。
そして本実施の形態では、複数のツリー構造体の第一の粒子層7aおよび第二の粒子層7bが反応部5から表層に向かってアルミニウムの複数の粒子6が連なって形成され、かつ、夫々複数の枝に枝分かれして形成されているために、毛細管現象が起こりやすい状態となり、これにより測定したい試料溶液の含浸性に優れる。
なお、上記2)の工程では、その他の例として、酸素ガスおよびアルゴンガスを流入させずに蒸着を行ってもよい。
また、別の製造方法として、上記5)〜7)の工程では、第二の粒子層7bが第一の粒子層7aの表面から段階的に粒子径が小さくなるように形成するため、上記2)、3)の条件から酸素ガスに対してアルゴンガスの流量比を2〜4、不活性ガスを流入して圧電体2周辺の圧力を20〜30Pa、圧電体2の温度を150〜200℃の範囲に段階的に変化させてもよい。
その後、ウエハ状の圧電体2をダイシングにより個片に分割し、検出部等を接続し、弾性波センサ1を得る。
なお、図6に示すような、誘電体膜9を設け、誘電体膜9上に複数の粒子6からなる粒子層7を形成する場合は下記のような方法で形成させることができる。
まず、ウエハ状の圧電体2の上に電極3、4を蒸着若しくはスパッタリング等で形成した後に、誘電体膜9を蒸着若しくはスパッタリング等で圧電体2の上に電極3、4を覆うように形成する。誘電体膜9の上面は研磨等で平坦化されていても良いが、凹凸を有していても良い。
その後、誘電体膜9の上面において反応部5を形成する部分に上述のような方法で複数の粒子6からなる粒子層7を形成させることで弾性波センサ1を得ることができる。
次に反応部5に形成された粒子6に対して、プローブ8を形成する方法の一例を示す。
プローブ8は、DNA、RNA、糖鎖、抗体、など、それぞれ検出したいリガンド分子を捕捉可能な受容体や反応性物質を選択すればよい。また場合によっては測定したい物質を機能性分子として粒子層7に固定し、これらの物質と特異的に結合する受容体や反応性物質を粒子層7上に注入して反応をセンシングすることもできる。
粒子6表面にプローブ8と結合する適当な官能基を導入することにより、粒子6にプローブ8を容易に固定することができる。
粒子6とプローブ8との結合反応には、例えば、表面にアミノ基を導入した粒子6とプローブ8とをイオン結合させる方法、アルデヒド基を導入した粒子6とアミノ化したプローブ8とを共有結合させる方法、また架橋剤を用いて、粒子6上の官能基とプローブ8に修飾した官能基とを結合させる方法などが知られている。あるいは、有機物等からなる接着層で粒子6に付着されていても良い。
これらいずれの結合方法においても、プローブ8を適当な溶液に溶解して試料溶液とし粒子6上へスポットし、その微小な液滴中で結合反応を進行させ、その後水洗浄によって余剰のプローブ8を除去して弾性波センサを作製することができる。
このような構成により、反応部5におけるプローブ8を付着させるための表面積を大きくすることができるので、センサとしての感度を向上することができる。
また、複数の粒子6は、その表面が酸化アルミニウムで覆われているため、耐薬品性に優れる。
さらに、上記複数のツリー構造体が、個々の粒子6が複数に枝分かれして一体に結合した構造に形成されているために、応力負荷が分散され、破壊されにくくなる。そしてその結果、センサの機械的強度を高めることができる。
このように、反応部5が枝分かれするように積み重なり、一体的に結合した複数の粒子からなることにより、反応部5の表面積が大きくなり、反応部5に吸着される検出対象物質量が増加する。
すなわち本実施の形態は、粒子層7が枝分かれするように積み重なり、一体的に結合した複数の粒子からなるため、表面積が大きくなり、狭いスペースにもプローブ8を高密度に形成することができる。したがって、各プローブ8とリガンド分子との反応を十分得ることができ、大きな信号として検出することができる。そしてその結果、弾性波センサの感度を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、粒子層7として平均粒子径の小さい粒子6を形成したことにより、空孔径の最頻値が約0.03μmと極めて微細なものとなる。これは、エッチングしたアルミニウム箔の空孔径の最頻値が約0.15μmであることと比べて分かるように、極めて微細化されたものであり、これにより、表面積を大きく拡大することができる。
また本実施の形態の粒子層7は、複数の粒子6がランダムに枝分かれしながら成長した形状であるため、直線的な穴が規則的に形成された多孔質アルミナよりも表面積を大きくすることができる。
さらに、この粒子層7は、厚みをミリメートルオーダーまで厚くさせることができるため、さらに表面積を大きくすることができる。
なお粒子層7の粒子径は均一でもよいが、粒子層7の根元に粒子径の大きい第一の粒子層7aを設けたことにより、圧電体2と粒子層7の密着性に優れ、剥離を抑制できる。
このように本実施の形態で示す粒子層7は、表面積が大きく、さらに圧電体2との密着性も高いことから、この粒子層7を用いることで、高精度かつ高信頼性の弾性波センサを実現できる。
このため、弾性波センサのセンシング精度が向上する。
尚、上記弾性波センサ1の反応部5は、圧電体2の上面上であって、入力電極3と出力電極4との間の伝搬路上に形成されている場合について説明したが、入力電極3や出力電極の上に直接、若しくはこれら電極3、4を覆う酸化シリコン等の誘電体膜9を介して間接的に形成されていても良い。
特に、酸化アルミニウムからなる誘電体膜9上に反応部5が設けられているときは、反応部5の粒子6と誘電体膜9との熱膨張係数差は極めて小さいので、反応部5と誘電体膜9との密着性を向上させることができる。
尚、上記弾性波センサ1は、櫛形電極の電極指同士が互いに噛み合う様に配置されたIDT電極を有する弾性表面波素子を用いたセンサについて説明したが、例えば、圧電体2の上下に電極を有するFBAR(FilmBulk Acoustic Resonator)等のバルク波素子を用いたセンサであっても良い。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2の弾性波センサについて、図面を用いて説明する。図7は、実施の形態2における弾性波センサの上面模式図であり、図8は、実施の形態2における弾性波センサのCD断面における断面模式図である。尚、特に説明しない限りにおいて、実施の形態2の構成は実施の形態1の構成と同様であり、同一の符号をつけてその説明を省略する。
以下、本発明の実施の形態2の弾性波センサについて、図面を用いて説明する。図7は、実施の形態2における弾性波センサの上面模式図であり、図8は、実施の形態2における弾性波センサのCD断面における断面模式図である。尚、特に説明しない限りにおいて、実施の形態2の構成は実施の形態1の構成と同様であり、同一の符号をつけてその説明を省略する。
図7、図8において、弾性波センサ1は、共振器型の弾性波素子を用いたバイオセンサである。この弾性波センサ1における電極3は、一対の櫛形電極がその電極指同士が噛み合う様に配置されたIDT(InterDigital Transducer)電極からなる共振器を構成しており、この共振器は弾性波の伝搬方向におけるその両端に反射器10を備えていても良い。
また、この弾性波センサ1は、圧電体2の上に前記電極3を覆うように形成された誘電体膜9を備え、反応部5は誘電体膜9の上に形成された構成である。
この実施の形態2においても、反応部5が枝分かれするように積み重なり、一体的に結合した複数の粒子からなることにより、反応部5の表面積が大きくなり、反応部5に吸着される検出対象物質量が増加する。このため、弾性波センサのセンシング精度が向上する。
反応部5は、呼気等に含まれる可能性のある検出対象物質または検出対象物質と結合する結合物質に反応する粒子6からなる粒子層7である。誘電体膜9が反応部5の粒子6と同じ材料を含む場合(誘電体膜9、粒子6表面共に酸化アルミニウムなど)は、圧電体2と反応部5は直接接合される。このように、誘電体膜9と反応部5が直接接合されることで、反応部5が圧電体2に対し強固に固定される。特に、反応部5の粒子6表面が酸化アルミニウムからなる場合に、酸化アルミニウムからなる誘電体膜9上に反応部5が設けられているときは、反応部5と誘電体膜9との熱膨張係数差は極めて小さいので、反応部5と誘電体膜9との密着性を向上させることができる。
本発明にかかる弾性波センサは、センシングの正確性を向上させるとの効果を有し、各種医療機器等の電子機器に適用可能である。
1 弾性波センサ
2 圧電体
3 入力電極(電極)
4 出力電極(電極)
5 反応部
6 粒子
7 粒子層
8 プローブ
9 誘電体膜
10 反射器
2 圧電体
3 入力電極(電極)
4 出力電極(電極)
5 反応部
6 粒子
7 粒子層
8 プローブ
9 誘電体膜
10 反射器
Claims (7)
- 圧電体と、
前記圧電体の上に形成された複数の電極と、
前記圧電体の上であって前記複数の電極の間の伝搬路の上に形成された反応部と、
前記電極によって励振される弾性波の特性を検出する検出部とを備え、
前記反応部は、枝分かれするように積み重なり、一体的に結合した複数の粒子からなる弾性波センサ。 - 圧電体と、
前記圧電体の上に形成された電極と、
前記電極の上方に直接的又は誘電膜を介して間接的に形成された反応部と、
前記電極によって励振される弾性波の特性を検出する検出部とを備え、
前記反応部は、枝分かれするように積み重なり、一体的に結合した複数の粒子からなる弾性波センサ。 - それぞれの前記粒子の表面は、酸化アルミニウムを主成分とする
請求項1又は請求項2に記載の弾性波センサ。 - 前記反応部を構成する前記複数の粒子は、
前記圧電体と接する第一の粒子層と、
この第一の粒子層上に形成された第二の粒子層とを有し、
前記第一の粒子層を構成する粒子の平均粒子径は、
前記第二の粒子層を構成する粒子の平均粒子径より大きい請求項1又は請求項2に記載の弾性波センサ。 - 前記粒子の表面にはプローブが形成されている請求項1又は請求項2に記載の弾性波センサ。
- 前記圧電体は、水晶、ランガサイト系、ニオブ酸リチウム系、タンタル酸リチウム系、又はニオブ酸カリウム系のいずれかからなる圧電基板である請求項1又は請求項2に記載の弾性波センサ。
- 前記電極は、タングステン又はモリブデンを主成分とする電極層を含む請求項1又は請求項2に記載の弾性波センサ。
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JP (1) | JP2013092446A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013096866A (ja) * | 2011-11-01 | 2013-05-20 | Japan Radio Co Ltd | 弾性表面波センサ |
JP2013096867A (ja) * | 2011-11-01 | 2013-05-20 | Japan Radio Co Ltd | 弾性表面波センサ |
US9678042B2 (en) | 2011-11-01 | 2017-06-13 | Japan Radio Co., Ltd. | Surface acoustic wave sensor |
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2011
- 2011-10-26 JP JP2011234886A patent/JP2013092446A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013096866A (ja) * | 2011-11-01 | 2013-05-20 | Japan Radio Co Ltd | 弾性表面波センサ |
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