JP2013083533A - 放射性物質の洗浄剤及び洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単かつ迅速に放射性物質を洗浄することができる洗浄剤及び洗浄方法を提供する。
【解決手段】セシウム137・セシウム134を主とする放射性物質を洗浄するのに適しており、金属イオン封鎖剤と、漂白剤と、界面活性剤とを含む液剤又は混合物よりなり、必要に応じて水で希釈される。使用時における金属イオン封鎖剤の濃度は0.05質量%以上、漂白剤の濃度は0.5質量%以上、界面活性剤の濃度は0.1質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】セシウム137・セシウム134を主とする放射性物質を洗浄するのに適しており、金属イオン封鎖剤と、漂白剤と、界面活性剤とを含む液剤又は混合物よりなり、必要に応じて水で希釈される。使用時における金属イオン封鎖剤の濃度は0.05質量%以上、漂白剤の濃度は0.5質量%以上、界面活性剤の濃度は0.1質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、道路、建物、又は木製品等に付着したセシウム137・セシウム134等の放射性物質を洗浄する洗浄剤及び洗浄方法に関する。
東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い、セシウム137・セシウム134を中心とした放射性物質による汚染が問題となっている。例えば、アスファルト又はコンクリート等の路面に付着した放射性物質は、水による洗浄では十分に除去することが難しく、路面の表面を溶かしたり、削ったりしなければ除去することができない。しかし、路面の表面を溶かすと有害なガスが発生し、削ると放射性物質を含む粉塵が空気中に飛散してしまい、またそれらの作業は時間も費用もかかり、広範囲にわたり処理を行う必要があることを考えると現実的ではない。そこで、簡単かつ迅速に放射性物質を洗浄することができる方法の開発が望まれていた。なお、セシウムの吸着材又は吸収剤についての報告があるが(例えば、非特許文献1参照)、路面等に付着したセシウムを洗浄するものではない。
川本徹 他、「プルシアンブルーを利用して多様な形態のセシウム吸着材を開発」、2011年8月24日発表、独立行政法人産業技術総合研究所、http://www.aist.go.jp/aist_i/press_release/pr2011/pr20110824/pr20110824.html
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、簡単かつ迅速に放射性物質を洗浄することができる洗浄剤及び洗浄方法を提供することを目的とする。
本発明の放射性物質の洗浄剤は、金属イオン封鎖剤と、漂白剤と、界面活性剤とを含むものである。
本発明の放射性物質の洗浄方法は、金属イオン封鎖剤と、漂白剤と、界面活性剤とを用いて放射性物質を洗浄するものである。
本発明の放射性物質の洗浄剤によれば、金属イオン封鎖剤と、漂白剤と、界面活性剤とを含むようにしたので、金属イオン封鎖剤により放射性物質を含む金属石鹸を不活性化し、漂白剤から発生する酸素により放射性物質を含む汚れを浮き上がらせると共に、放射性物質を酸化作用によって引きはがしやすくし、更に、表面のカビを漂白することにより有機物に付着しやすい放射性物質を洗い流すことができる。また、放射性物質が付着している箇所には油分も多く付着しているので、界面活性剤により放射性物質を含む汚れを除去しやすくすることができる。よって、簡単かつ迅速に放射性物質を洗浄することができる。
特に、洗浄時における金属イオン封鎖剤の濃度を0.05質量%以上、漂白剤の濃度を0.5質量%以上、界面活性剤の濃度を0.1質量%以上5質量%以下とするようにすれば、より高い効果を得ることができる。
また、本発明の放射性物質の洗浄方法によれば、金属イオン封鎖剤と、漂白剤と、界面活性剤とを用いるようにしたので、同様に、簡単かつ迅速に放射性物質を洗浄することができる。その際、金属イオン封鎖剤、漂白剤、及び界面活性剤のうちの少なくとも1種を含む洗浄剤を1種又は2種以上用いて、放射性物質を洗浄するようにしてもよい。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本実施の形態の放射性物質の洗浄剤は、セシウム137・セシウム134を主とする放射性物質を洗浄するのに適したものであり、金属イオン封鎖剤と、漂白剤と、界面活性剤とを含む液剤又は混合物である。路面等に降り注いだ放射性物質は、金属石鹸となっている汚れに多く含まれているので、金属イオン封鎖剤を用いることにより、金属石鹸を不活性化し、洗浄しやすくすることができるからである。また、路面等に降り注いだ放射性物質は、路面等の表面の汚れに多く含まれているので、漂白剤を用いることにより、酸素等の発生で汚れを浮き上がらせると共に、強い酸化作用により放射性物質を引きはがしやすくすることができ、更に、表面のカビを漂白することにより有機物に付着しやすい放射性物質を洗い流すことができるからである。加えて、放射性物質が付着している箇所には、油分も多く付着しているので、界面活性剤を用いることにより、放射性物質を含む汚れを洗浄しやすくすることができるからである。
金属イオン封鎖剤は、有機系の方が洗浄効果は高いが、無機系でもよく、いずれか1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。有機系金属イオン封鎖剤としては、例えば、ヒドロキシ・カーボネイト系、アミノ・カーボネイト系、又はヒドロキシ・アミノカーボネイト系が挙げられる。ヒドロキシ・カーボネイト系としては、例えば、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、又はそれらの塩が挙げられ、アミノ・カーボネイト系としては、例えば、ニトリロ酸酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、又はそれらの塩が挙げられ、ヒドロキシ・アミノカーボネイト系としては、例えば、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、又はその塩が挙げられる。無機系金属イオン封鎖剤としては、例えば、重合リン酸系が挙げられ、具体的には、オルソリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラリン酸ナトリウム、又はヘキサメタリン酸ナトリウム等が挙げられる。
漂白剤は、過酸化水素水などの酸素系でも、次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系でもよく、また、いずれか1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。但し、洗浄する場所、例えば路面などが酸性の場合には、塩素系漂白剤を用いると有毒な塩素が発生するので、酸素系を用いることが好ましい。
界面活性剤には、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤、又は非イオン系界面活性剤のいずれを用いてもよく、1種を単独で用いてもよいが、陰イオン系界面活性剤と陽イオン系界面活性剤とを混ぜる以外は2種以上を混合して用いてもよい。陰イオン系界面活性剤としては、例えば、アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、又はポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミドが挙げられる。陽イオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、又はジアルキルジメチルアンモニウム塩が挙げられる。両性イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム、アルキルベタイン、又はアルキルアミンオキシドが挙げられる。非イオン系界面活性剤としては、例えば、しょ糖脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、又はポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが挙げられる。
この放射性物質の洗浄剤は、必要に応じて水で希釈されていてもよく、また、使用の際に、水で希釈して用いるようにしてもよい。洗浄時の洗浄剤における金属イオン封鎖剤の濃度は、例えば、0.05質量%以上1質量%以下とすれば好ましく、0.1質量%以上0.4質量%以下とすれば更に好ましい。この範囲内においてより高い効果を得ることができるからである。
洗浄時の洗浄剤における漂白剤の濃度は、例えば、0.5質量%以上とすることが好ましく、30質量%以下とすればより好ましく、2質量%以上6質量%以下とすれば更に好ましい。この範囲内においてより高い効果を得ることができるからである。なお、漂白剤の濃度は、洗浄対象が土や砂利である場合には、舗装道路等に比べて濃度を高くした方が好ましく、例えば、2質量%以上とすることが好ましい。
洗浄時の洗浄剤における界面活性剤の濃度は厳密に規定する必要はないが、濃度が高いと、道路等の場合、洗浄剤を水で流す際に洗浄剤が残ってしまい、スリップ等の原因となることがあるので注意が必要である。界面活性剤の濃度は、例えば、0.1質量%以上5質量%以下とすることが好ましく、0.5質量%以上2質量%以下とすればより好ましい。この範囲内においてより高い効果を得ることができるからである。
なお、洗浄剤は、洗浄時(すなわち使用時)の濃度で保存しておいてもよいが、洗浄時よりも高濃度に濃縮した状態で保存しておき、洗浄時に上記濃度となるように希釈して用いるようにしてもよい。濃縮して保存する場合には、例えば、保存時の洗浄剤における金属イオン封鎖剤の濃度を0.2質量%以上1質量%以下、漂白剤の濃度を過酸化水素の場合で6質量%以上30質量%以下、界面活性剤の濃度をアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムの場合で2質量%以上10質量%以下とすることが好ましい。また、漂白剤の濃度を6質量%以上とすると劇物指定となるので、劇物指定を回避する場合には、6質量%未満とすることが好ましい。
この洗浄剤を用い、例えば、次のようにして放射性物質を洗浄する。まず、例えば、金属イオン封鎖剤、漂白剤、及び界面活性剤を含む洗浄剤を洗浄箇所にまんべんなく散布する。その際、洗浄剤における金属イオン封鎖剤、漂白剤、及び界面活性剤の濃度は、上述した範囲内となるようにすることが好ましい。例えば、予め上述した濃度に調整されている洗浄剤であればそのまま用い、濃縮されている場合には、希釈して濃度を調整する。
また、金属イオン封鎖剤、漂白剤、及び界面活性剤のうちのいずれか1種以上を含む洗浄剤を2種以上混合又は複合して用いてもよい。例えば、散布の前に混合して用いてもよく、別々に散布し、複合して用いてもよい。
洗浄剤を散布したのち、所定の時間、例えば3分から5分程度放置し、乾燥する前に、ブラシ等で軽く磨き、生じた茶褐色の泡を水で流すことが好ましい。例えば、道路を洗浄する場合であれば、回転ブラシ付の道路高圧洗浄車で作業を行えば効果的である。これにより、放射性物質を洗浄することができる。
このように、本実施の形態によれば、金属イオン封鎖剤と、漂白剤と、界面活性剤とを用いるようにしたので、金属イオン封鎖剤により放射性物質を含む金属石鹸を不活性化し、漂白剤から発生する酸素により放射性物質を含む汚れを浮き上がらせると共に、放射性物質を酸化作用によって引きはがしやすくし、更に、表面のカビを漂白することにより有機物に付着しやすい放射性物質を洗い流すことができる。また、放射性物質が付着している箇所には油分も多く付着しているので、界面活性剤により放射性物質を含む汚れを除去しやすくすることができる。よって、簡単かつ迅速に放射性物質を洗浄することができる。
特に、洗浄時における金属イオン封鎖剤の濃度を0.05質量%以上、漂白剤の濃度を0.5質量%以上、界面活性剤の濃度を0.1質量%以上5質量%以下とするようにすれば、より高い効果を得ることができる。
(実施例1−1,1−2)
金属イオン封鎖剤としてEDTA−2Na(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)と、漂白剤と、界面活性剤としてアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムと、水とを混合して放射性物質の洗浄剤を作製した。その際、漂白剤として、実施例1−1では酸素系の過酸化水素水を用い、実施例1−2では塩素系の次亜塩素酸ナトリウムを用いた。また、放射性物質の洗浄剤における金属イオン封鎖剤の濃度を0.1質量%とし、漂白剤の濃度を実施例1−1の過酸化水素水では2質量%、実施例1−2の次亜塩素酸ナトリウムでは0.5質量%とし、界面活性剤の濃度を1質量%とした。
金属イオン封鎖剤としてEDTA−2Na(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)と、漂白剤と、界面活性剤としてアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムと、水とを混合して放射性物質の洗浄剤を作製した。その際、漂白剤として、実施例1−1では酸素系の過酸化水素水を用い、実施例1−2では塩素系の次亜塩素酸ナトリウムを用いた。また、放射性物質の洗浄剤における金属イオン封鎖剤の濃度を0.1質量%とし、漂白剤の濃度を実施例1−1の過酸化水素水では2質量%、実施例1−2の次亜塩素酸ナトリウムでは0.5質量%とし、界面活性剤の濃度を1質量%とした。
次いで、作製した放射性物質の洗浄剤をアスファルト路面に散布し、デッキブラシで擦ったのち、ホースにより流水することにより、放射性物質の洗浄を行った。そののち、アスファルト路面表面から1cm上方の位置で放射線量を測定した。なお、放射線量の測定には、γ線とβ線の合計値により測定を行う放射線測定器(S.E.社製 inspector+)を用いた。また、放射性物質の洗浄は、福島県伊達市南掘付近のアスファルト道路で行った。
実施例1−1,1−2に対する比較例として、市販の各種洗浄剤を用いて、実施例1−1,1−2と同様にして洗浄および放射線量の測定を行った。各種洗浄剤としては、比較例1−1では、金属イオン封鎖剤および界面活性剤(アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム)9質量%を含む浴室用洗浄剤Aとし、比較例1−2では、アルカリ剤および界面活性剤(アルキルアミンオキシド)1質量%を含む台所用洗浄剤Aとし、比較例1−3では、金属イオン封鎖剤および界面活性剤(脂肪酸アミドプロピルベタイン)4質量%を含むトイレ用洗浄剤Aとし、比較例1−4では、界面活性剤(陰イオン系界面活性剤)13.0質量%を含む食器用洗剤Aとし、比較例1−5では、界面活性剤(アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム,アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムおよびポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド)20質量%を含む食器用洗剤Bとし、比較例1−6では、塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム),界面活性剤(アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム)およびアルカリ剤(水酸化ナトリウム)を含む台所用漂白剤Aとし、比較例1−7では、塩酸および界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウム塩)を含むトイレ用洗浄・除菌剤Aとした。更に、比較例1−8では、水のみを用いて実施例1−1,1−2と同様にして洗浄および放射線量の測定を行った。得られた結果を表1に示す。なお、洗浄前の放射線量は6.3μSv/hであった。
表1に示したように、金属イオン封鎖剤,漂白剤および界面活性剤を含む放射性物質の洗浄剤を用いた実施例1−1,1−2よれば、洗浄前に比較して放射線量を低下させることができることが分かった。また、水により洗浄した1−8、あるいは金属イオン封鎖剤,漂白剤および界面活性剤のうちのいずれか1種または2種のみを含む比較例1−1〜1−7よりも、放射線量を飛躍的に低下させることができることが分かった。よって、金属イオン封鎖剤,漂白剤および界面活性剤を含む放射性物質の洗浄剤を用いるようにすれば、放射線量を低下させることができることが分かった。
(実施例2−1,2−2)
放射性物質の洗浄を福島県福島市宮代字乳児池のアスファルト道路で行ったことを除き、他は実施例1−1,1−2と同様にして洗浄剤の作製,洗浄および放射線量の測定を行った。また、比較例2−1として、水のみを用いて実施例2−1,2−2と同様にして洗浄および放射線量の測定を行った。
放射性物質の洗浄を福島県福島市宮代字乳児池のアスファルト道路で行ったことを除き、他は実施例1−1,1−2と同様にして洗浄剤の作製,洗浄および放射線量の測定を行った。また、比較例2−1として、水のみを用いて実施例2−1,2−2と同様にして洗浄および放射線量の測定を行った。
放射線量を測定した結果は、実施例2−1が1.49μSv/hであり、実施例2−2が1.45μSv/hであり、比較例2−1が2.40μSv/hであった。なお、洗浄前の放射線量は5.2μSv/h〜6.3μSv/hであった。すなわち、他の場所でも、金属イオン封鎖剤,漂白剤および界面活性剤を含む放射性物質の洗浄剤を用いるようにすれば、放射線量を低下させることができることが分かった。
(実施例3)
金属イオン封鎖剤としてEDTA−2Na(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)と、漂白剤として次亜塩素酸ナトリウムと、界面活性剤としてアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムと、水とを混合して放射性物質の洗浄剤を作製した。その際、放射性物質の洗浄剤における金属イオン封鎖剤の濃度を0.1質量%とし、漂白剤の濃度を2質量%とし、界面活性剤の濃度を2質量%とした。
金属イオン封鎖剤としてEDTA−2Na(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)と、漂白剤として次亜塩素酸ナトリウムと、界面活性剤としてアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムと、水とを混合して放射性物質の洗浄剤を作製した。その際、放射性物質の洗浄剤における金属イオン封鎖剤の濃度を0.1質量%とし、漂白剤の濃度を2質量%とし、界面活性剤の濃度を2質量%とした。
次いで、福島県福島市宮代字乳児池のアスファルト道路において、実施例1−1,1−2と同様にして放射性物質の洗浄を行い、実施例1−1,1−2と同様にして放射線量を測定した。その結果、放射線量は1.85μSv/hであった。なお、洗浄前の放射線量は5.2μSv/h〜6.5μSv/hであった。
(実施例4−1,4−2)
金属イオン封鎖剤としてEDTA−2Na(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)と、漂白剤として過酸化水素水と、界面活性剤としてアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムと、水とを混合して放射性物質の洗浄剤を作製した。その際、放射性物質の洗浄剤における金属イオン封鎖剤の濃度を0.1質量%とし、漂白剤の濃度を実施例4−1では2質量%、実施例4−2では6質量%とし、界面活性剤の濃度を1質量%とした。
金属イオン封鎖剤としてEDTA−2Na(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)と、漂白剤として過酸化水素水と、界面活性剤としてアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムと、水とを混合して放射性物質の洗浄剤を作製した。その際、放射性物質の洗浄剤における金属イオン封鎖剤の濃度を0.1質量%とし、漂白剤の濃度を実施例4−1では2質量%、実施例4−2では6質量%とし、界面活性剤の濃度を1質量%とした。
次いで、福島県福島市宮代字乳児池のウッドデッキについて、実施例1−1,1−2と同様にして放射性物質の洗浄を行い、実施例1−1,1−2と同様にして放射線量を測定した。また、比較例4−1として、水のみを用いて実施例4−1,4−2と同様にして洗浄および放射線量の測定を行った。
放射線量を測定した結果は、表2に示したように、実施例4−1が1.36μSv/hであり、実施例4−2が1.04μSv/hであり、比較例4−1が2.56μSv/hであった。なお、洗浄前の放射線量は8.00μSv/h〜10.71μSv/hであった。すなわち、金属イオン封鎖剤,漂白剤および界面活性剤を含む放射性物質の洗浄剤を用いるようにすれば、コンクリートやアスファルトだけでなく、木製の製品の表面の放射線量を低下させることができることが分かった。
(実施例5)
金属イオン封鎖剤の濃度を0.05質量%以上1質量%以下、漂白剤の濃度を0.5質量%以上30質量%以下、界面活性剤の濃度を0.1質量%以上5質量%以下の範囲で変化させたことを除き、他は実施例1−1,1−2と同様にして洗浄剤の作製,洗浄および放射線量の測定を行った。その結果、これらの範囲内で、より高い効果を得ることができた。
金属イオン封鎖剤の濃度を0.05質量%以上1質量%以下、漂白剤の濃度を0.5質量%以上30質量%以下、界面活性剤の濃度を0.1質量%以上5質量%以下の範囲で変化させたことを除き、他は実施例1−1,1−2と同様にして洗浄剤の作製,洗浄および放射線量の測定を行った。その結果、これらの範囲内で、より高い効果を得ることができた。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態及び実施例では、道路又は木製品等を洗浄する場合について具体的に説明したが、建物の外壁や、樹木等を洗浄する場合についても同様に用いることができ、また、庭石や砂利等を洗浄する場合に用いることもできる。
道路、建物、又は木製品等の放射性物質の洗浄に用いることができる。
Claims (6)
- 放射性物質を洗浄する洗浄剤であって、
金属イオン封鎖剤と、漂白剤と、界面活性剤とを含むことを特徴とする放射性物質の洗浄剤。 - 金属イオン封鎖剤の濃度が0.05質量%以上、漂白剤の濃度が0.5質量%以上、界面活性剤の濃度が0.1質量%以上5質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の放射性物質の洗浄剤。
- 金属イオン封鎖剤の濃度が0.05質量%以上、漂白剤の濃度が0.5質量%以上、界面活性剤の濃度が0.1質量%以上5質量%以下となるように希釈して用いることを特徴とする請求項1記載の放射性物質の洗浄剤。
- 金属イオン封鎖剤と、漂白剤と、界面活性剤とを用いて放射性物質を洗浄することを特徴とする放射性物質の洗浄方法。
- 金属イオン封鎖剤、漂白剤、及び界面活性剤のうちの少なくとも1種を含む洗浄剤を1種又は2種以上用いて、放射性物質を洗浄することを特徴とする請求項4記載の放射性物質の洗浄方法。
- 洗浄時の洗浄剤における金属イオン封鎖剤の濃度は0.05質量%以上、漂白剤の濃度は0.5質量%以上、界面活性剤の濃度は0.1質量%以上5質量%以下とすることを特徴とする請求項5記載の放射性物質の洗浄方法。
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