JP2013081077A - 光cdm送信回路および光cdm受信回路 - Google Patents

光cdm送信回路および光cdm受信回路 Download PDF

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【課題】QAM信号光およびパイロット光の信号帯域が送受信回路内で制限される場合であっても2乗検波により生成されるビート成分の強度を保つことができ、受信特性が劣化し難い光CDM送信回路および光CDM受信回路を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明においては、多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分間のシンボル位相差が1/(2B)[s]であり、各成分がシンボル中心である時に当該成分とパイロット光とが同相となる。そのため、多値信号光およびパイロット光の信号帯域が送受信回路内で制限されて信号波形が鈍った場合においても、パイロット光と多値信号光を構成する互いに光位相が直交する2成分のいずれかとが同相となる時に多値信号光におけるシンボル間の遷移時間内となることがない。よって、従来の方式において課題となる受信特性の劣化が生じない。ここで、Bは多値データのシンボル速度である。
【選択図】図2

Description

本発明は、光CDM送信回路および光CDM受信回路の構成に関する。
光符号分割多重(CDM:Code Division Multiplexing)方式は、固有符号に応じて符号拡散された光CDM信号を多重伝送する方式である。各々の送受信回路には、固有符号が割り当てられる。各送信回路は、割り当てられた固有符号に対応して符号拡散された光CDM信号を出力する。受信回路は、同じ固有符号を割り当てられた送信回路が出力する光CDM信号のみを復号可能であり、多重された光CDM信号から所望信号を選択的に受信する。
これまでに、パルス信号光の各光周波数成分の光位相を、送信回路に割り当てられた固有符号に応じて変調することにより、パルス信号光を時間軸上に拡散する方式が提案されている(例えば、非特許文献1及び2を参照。)。また、SSFBG(Superstructured Fiber Bragg Grating)などを用いて、パルス信号光を直接的に時間軸上に拡散する方式も提案されている(例えば、非特許文献3を参照。)。
しかしながら、これらの方式では、光位相の厳密な制御やチップ時間(=ビット時間/符号長)オーダの時間制御を行う光符復号デバイスが送受信回路内に必要となる。また、多元接続干渉(MAI:Multiple Access Interference)や、検波時に生じる信号光間コヒーレント干渉であるビート雑音により、受信特性が劣化する。信号光間の時間同期に基づく時間ゲートや、光媒質の非線形特性を用いた光閾値デバイス、前方誤り訂正(FEC:Forward Error Correction)の適用によりMAIやビート雑音の影響が低減できるが、受信回路構成が複雑化するという課題がある。
これに対し、図1のように、送信回路内の2値/多値変換手段における電気段での符号拡散および信号多重に基づいて生成された多値データで、各光周波数成分を多値振幅変調(ASK:Amplitude Shift Keying)した多値ASK信号光を光周波数多重した多波長信号光を送受信する方式が提案されている(例えば、非特許文献4を参照。)。
受信回路では、光周波数ごとに分波した各光周波数成分をそれぞれ直接検波して復調した多値データを、電気復号化手段にて、受信回路に割り当てられた固有符号に応じて加減算し、所望2値データを選択的に取り出す。直接検波により復調される多値データは、各シンボル値に対応する電圧レベルが等間隔であり、電圧レベル間隔は異なる光検波器が生成する多値データ間で一致する。よって、アダマール符号やビットシフトしたM系列符号などの直交符号を固有符号として用いる場合、加減算により非所望データ成分を除去することができる。また、光領域で信号光の多重を行わないため、検波時にビート雑音が生じない。つまり、この方式では、電気段で符復号化を行うため、光符復号デバイスが不要である上、MAIやビート雑音低減のために非特許文献1〜3で必要であった時間ゲートや光閾値デバイスが不要である。更には、電気段での符号拡散を空間的に行うため、時間拡散を行う非特許文献5の方式において要求されるチップレート(=ビットレート×符号長)での動作が不要であり、ビットレートと同等の動作速度を有する電気回路で構成可能である。
非特許文献4の方式では、送受信される多波長信号光の光周波数成分数は、固有符号のうち符号長が最長である固有符号の符号長Kと等しい。これに対して、非特許文献6では、各光周波数成分を2値/多値変換手段にて生成される多値データのうちの2個ずつを用いて直交振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)する方式が提案されている(図2)。各光周波数成分を多値データのうちの1個ずつを用いて多値ASKする非特許文献4の方式と比べて、同じ固有符号を割り当てた際に必要となる光周波数成分数が半減し、光検波器数を削減できる。
非特許文献6では、位相雑音成分および偏光状態が多波長信号光と一致した多波長パイロット光を送信回路側から多波長信号光とともに送る自己ホモダイン型構成をとることにより、受信回路にて光位相および偏光状態の調整を行うことなく、QAM信号光から光電界強度・光位相の両情報を取り出す。よって、受信回路内に必要となる光部品は、非特許文献4の方式と同様に光周波数分波手段と光検波器のみである。多波長パイロット光の各光周波数成分は、多値データ(B[Symbol/s])に位相同期したクロック(B[Hz])を用いてπ/2位相変調(PSK:Phase Shift Keying)されている。パイロット光は、送信回路内の各光変調器の出力端において、QAM信号光を構成する互いに光位相が直交する2成分のうちのどちらかと同相となる。QAM信号光とパイロット光の光電界の時間変化は、互いに光位相が直交する2成分ごとに図3で表わされる。
受信回路では、光検波器にて各光周波数成分を2乗検波し、QAM信号光とパイロット光とのビート成分を主信号として取り出す。パイロット光の光位相が1/(2B)[s]ごとにπ/2シフトするため、QAM信号光が搬送する2個の多値データが交互に時分割多重される。ビート成分は、2光の同相成分間の光位相差(0またはπ)に応じて正負の値を取り、信号光の光電界強度に応じて絶対値が変動するため、本構成によりQAM信号光が復調される。時分割多重された多値データをDEMUX手段にて分離した後、電気復号化手段に割り当てられた符号に応じた加減算により所望2値データが選択的に取り出される。
V.J.Hernandez, et al.,"A 320−Gb/s capacity (32−user×10Gb/s) SPECTS O−CDMA network testbed with enhanced spectral efficiency through forward error correction," J. Lightwave Technol., pp.79−86, Jan. 2007 P.Toliver, et al.,"Demonstration of high spectral efficiency coherent OCDM using DQPSK, FEC, and integrated ring resonator−based spectral phase encoder/decoders," OFC2007, PDP7, 2007 T.Hamanaka, et al.,"Compound data rate and data−rate−flexible 622 Mb/s−10 Gb/s OCDMA experiments using 511−chip SSFBG and cascaded SHG−DFG−based PPLN waveguide optical thresholder," IEEE J. Selected Topics in Quantum Electron., pp.1516−1521, Sep./Oct. 2007 S.Kaneko, et al.,"Beat−noise−free OCDM technique employing spectral M−ary ASK based on electrical−domain spatial code spreading," OFC2009, OThI5, 2009 G.C.Gupta, et al.,"A simple one−system solution COF−PON for metro/access networks," J. Lightwave Technol., pp.193−200, Jan. 2007 金子他,"電気段空間符号拡散に基づく周波数領域O−CDMへの直交振幅変調の適用",信学会総合大会, B−10−79, 2011)
しかしながら、非特許文献6の方式は、QAM信号光およびパイロット光の信号帯域が送受信回路内で制限される場合、信号波形が図4のように鈍り、QAM信号光を構成する互いに光位相が直交する2成分のいずれかとパイロット光とが同相となる時が、QAM信号光におけるシンボル間の遷移時間内となる。その結果、2乗検波により生成されるビート成分の強度が弱くなり、受信特性が劣化しやすいという課題がある。
そこで、上記課題を解決すべく、本発明は、QAM信号光およびパイロット光の信号帯域が送受信回路内で制限される場合であっても2乗検波により生成されるビート成分の強度を保つことができ、受信特性が劣化し難い光CDM送信回路および光CDM受信回路を提供することを目的とする。
上記課題の解決のため、本発明は、多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分間のシンボル位相差が1/(2B)となるように光変調を行うとともに、パイロット光を、前記多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分がシンボル中心である時に当該成分と同相とし、偏光状態が前記多値信号光と一致させることとした。ここで、Bは多値データのシンボル速度である。
具体的には、本発明に係る光CDM送信回路は、2種の符号要素で構成された符号長がK以下(Kは2以上の整数)であるN個(Nは2以上の整数)の固有符号に基づき、N個の2値データからK個のB[Symbol/s]多値データを生成する2値/多値変換手段と、それぞれ光周波数が異なる連続光が入力され、入力された前記連続光を分岐し、一方を前記多値データのうちの2個を用いてそれぞれ変調して2つの多値信号光を生成して出力し、他方をB[Hz]クロックを用いてπ/2位相変調したパイロット光を生成して出力する光変調手段と、各々の前記光変調手段が出力する前記多値信号光と前記パイロット光とを合波して、多波長信号光および多波長パイロット光を出力する光合波手段と、を備える。前記光変調手段は、出力する前記多値信号光について、前記多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分間のシンボル位相差を1/(2B)[s]とし、出力する前記パイロット光について、前記多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分がシンボル中心である時に前記成分と同相とし、且つ偏光状態を前記多値信号光と一致させることを特徴とする。
多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分間のシンボル位相差が1/(2B)[s]であり、各成分がシンボル中心である時に当該成分とパイロット光とが同相となる。そのため、多値信号光およびパイロット光の信号帯域が送受信回路内で制限されて信号波形が鈍った場合においても、パイロット光と多値信号光を構成する互いに光位相が直交する2成分のいずれかとが同相となる時に多値信号光におけるシンボル間の遷移時間内となることがない。このため、非特許文献6の方式において課題となる受信特性の劣化が生じない。
従って、本発明は、QAM信号光およびパイロット光の信号帯域が送受信回路内で制限される場合であっても2乗検波により生成されるビート成分の強度を保つことができ、受信特性が劣化し難い光CDM送信回路を提供することができる。
本発明に係る光CDM送信回路の前記2値/多値変換手段は、N個の拡散符号器、K個の加算器を有している。各々の前記拡散符号器は、前記固有符号が割り当てられ、割り当てられた前記固有符号の符号長以上の個数の出力端を持ち、前記固有符号を構成する各符号要素を前記出力端へ順に対応させた際に、前記2種の符号要素のうちの一方の符号要素に対応する前記出力端からは前記拡散符号器へ入力された2値データとシンボル値が一致する信号を出力し、他方の符号要素に対応する前記出力端からは0を出力する。k番目(k=1,2,・・・,K)の前記加算器は、k番目の前記多値データのシンボル値が、各々の前記拡散符号器のk番目の出力端からの出力信号のシンボル値の和となるように、各々の前記拡散符号器のk番目の出力端からの出力信号を加算する。
本発明に係る光CDM送信回路の前記光変調手段が出力する前記多値信号光を構成する互いに光位相が直交する2成分は、それぞれの光電界強度が、前記光変調手段へ入力された2個の前記多値データのうち対応する一方のシンボル値に応じて変動し、前記光変調手段内でのそれぞれの光位相シフト量が、前記光変調手段へ入力された2個の前記多値データのうち対応する一方のシンボル値に応じて、差がπである2値のいずれかとなることを特徴とする。
本発明に係る光CDM受信回路は、前記光CDM送信回路からの多波長信号光および多波長パイロット光が入力され、前記多波長信号光および前記多波長パイロット光を光周波数成分ごとに分波して出力する光周波数分波手段と、前記光周波数分波手段から入力光を2乗検波し、前記多値信号光と前記パイロット光とのビート成分を主信号として取り出すことで、前記多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分が搬送する多値データを交互に時分割多重する光検波器と、前記光検波器が出力する時分割多重された多値データを分離して、別々の分離出力端から出力するDEMUX手段と、1番目からN番目の前記固有符号のうちの1つが割り当てられ、前記DEMUX手段の各分離出力端が接続されており、割り当てられた前記固有符号を構成する前記符号要素を前記分離出力端へ順に対応させた際に、前記固有符号を構成する2種の前記符号要素のうちの一方に対応する前記分離出力端からの入力を正、他方の前記符号要素に対応する前記分離出力端からの入力を負として加える加減算を行い、前記2値/多値変換手段に入力された前記2値データのうちの1つを選択的に取り出す電気復号化手段と、を備える。
本発明は、QAM信号光およびパイロット光の信号帯域が送受信回路内で制限される場合であっても2乗検波により生成されるビート成分の強度を保つことができ、受信特性が劣化し難い光CDM送信回路および光CDM受信回路を提供することができる。
本発明に関連する光CDM伝送システムの構成例を説明する図である。 本発明に関連する光CDM伝送システムの構成例を説明する図である。 多値信号光及びパイロット光の光電界の時間変化を説明する図である。 多値信号光及びパイロット光の光電界の時間変化を説明する図である。 本発明に関連する光CDM送信回路の2値/多値変換手段の構成例を説明する図である。 本発明に関連する光CDM送信回路のプリバイアス回路の構成例を説明する図である。 本発明に関連する光CDM送信回路のプリバイアス回路の構成例を説明する図である。 本発明に係る光CDM送信回路の多値信号光及びパイロット光の光電界の時間変化を説明する図である。 本発明に係る光CDM送信回路の光変調手段の構成例を説明する図である。 本発明に係る光CDM送信回路の光変調手段の構成例を説明する図である。 本発明に係る光CDM受信回路の構成例を説明する図である。
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。また、枝番号を付さずに説明する場合は、その構成要素全てに共通する説明である。
本実施形態における光CDM伝送システムは、図2の光CDM伝送システムと同様に、光CDM送信回路201と、複数の光CDM受信回路202とが、光ファイバ伝送路203により接続された構成である。
光CDM送信回路201は、2種の符号要素で構成された符号長がK以下(Kは2以上の整数)であるN個(Nは2以上の整数)の固有符号に基づき、N個の2値データからK個のB[Symbol/s]多値データを生成する2値/多値変換手段11と、それぞれ光周波数が異なる連続光が入力され、入力された連続光を分岐し、一方を多値データのうちの2個を用いてそれぞれ変調して2つの多値信号光を生成して出力し、他方をB[Hz]クロックを用いてπ/2位相変調したパイロット光を生成して出力する光変調手段12と、各々の光変調手段12が出力する多値信号光とパイロット光とを合波して、多波長信号光および多波長パイロット光を出力する光合波手段13と、を備える。光変調手段12は、出力する多値信号光について、多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分間のシンボル位相差を1/(2B)[s]とする。また、光変調手段12は、出力するパイロット光について、多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分がシンボル中心である時に当該成分と同相とし、且つ偏光状態を多値信号光と一致させる。
図9は、光変調手段12の構成を説明する図である。光変調手段12には、それぞれ光周波数が異なる連続光が入力される。連続光は光変調手段内で分岐される。多値信号光生成部80Aは、連続光の一方を2値/多値変換手段11にて生成されたB[Symbol/s]多値データのうちの2個を用いて変調し、多値信号光を生成する。パイロット光生成部80Bは、連続光の他方をB[Hz]クロックを用いてπ/2位相変調し、パイロット光を生成する。
光周波数合波手段13は、アレイ導波路回折格子(AWG:Arrayed Waveguide Grating)や多層膜フィルタ等、あるいは光ファイバやPLC(Planar Lightwave Circuit)により作成された光カプラである。光周波数合波手段13は、各光変調手段12が出力する多値信号光とパイロット光とを合波し、多波長信号光および多波長パイロット光を光ファイバ伝送路203に出力する。多波長信号光および多波長パイロット光は光ファイバ伝送路203を介して各光CDM受信回路202へ伝送される。
ここで、多波長信号光の各光周波数成分の光強度は等しい。同様に、多波長パイロット光の各光周波数成分の光強度は等しい。光CDM送信回路201のように出力光の光周波数が異なる各光源と各光変調手段12を1対1に接続する構成の他、多波長光源の出力を光周波数成分ごとに分離して各光変調手段12へ入力する構成も可能である。単一モード光の出力を高周波正弦波で変調して多波長化する構成、モード同期レーザ等を多波長光源として用いることが可能である。
図5は、2値/多値変換手段11の構成を説明する図である。2値/多値変換手段11は、N個の拡散符号器21、K個の加算器22を有する。各々の拡散符号器21は、固有符号が割り当てられ、割り当てられた固有符号の符号長以上の個数の出力端23を持ち、固有符号を構成する各符号要素を出力端23へ順に対応させた際に、2種の符号要素のうちの一方の符号要素に対応する出力端23からは拡散符号器へ入力された2値データとシンボル値が一致する信号を出力し、他方の符号要素に対応する出力端23からは0を出力する。k番目(k=1,2,・・・,K)の加算器22は、k番目の多値データのシンボル値が、各々の拡散符号器21のk番目の出力端23からの出力信号のシンボル値の和となるように、各々の拡散符号器21のk番目の出力端23からの出力信号を加算する。
2値/多値変換手段11は、N個の固有符号に基づき、シンボル値がそれぞれd(t)〜d(t)であるN個の2値データから、シンボル値がそれぞれD(t)〜D(t)であるK個の多値データを生成する。Kは、N個の固有符号のうちで符号長が最長である固有符号の符号長である。固有符号としては、光周波数領域において符号化を行う光CDM方式において用いられるアダマール符号やビットシフトしたM系列符号などを用いる。多値データが各シンボル値に応じてとりうる電圧レベルは、所望の間隔となるように2値/多値変換手段11内にて調整される。
2値/多値変換手段11は、k番目(k=1,2,・・・,K)の多値データのシンボル値D(t)が数(1)で表わされる2値/多値変換を行う。
Figure 2013081077
n,kは固有符号n(n=1,2,・・・,N)のk番目の符号要素である。
拡散符号器21は、K個のスイッチ(SW)を備える。入力された2値データは分岐され、各SWを介して出力端23より出力される。拡散符号器21に割り当てられた固有符号を構成する各符号要素{1},{0}を各出力端23へ順に対応させた際に、符号要素{1}に対応する出力端23に接続するSWのみをONとすることにより、各出力端23からの出力は各符号要素の値cn,kと拡散符号器21への入力データのシンボル値d(t)との積cn,k×d(t)で表わされる。例えば、固有符号1{1,1,0,・・・,0}が割り当てられた拡散符号器21−1の出力端(23−11、23−12、23−13、・・・、23−1K)の出力信号のシンボル値は、d(t)=1の場合、順に“1”,“1”,“0”,・・・,“0”となり、d(t)=0の場合はすべて“0”となる。
プリバイアス回路24は、加算器22から出力される多値データが各シンボル値に応じてとる電圧レベルを調整する。プリバイアス回路24の構成例を図6に示す。プリバイアス回路24は、多値データの多値数をMとすると、M−1個以上の重み付け回路31を有する構成である。入力された多値信号は分岐され、各重み付け回路31へ入力される。重み付け回路31は、入力信号の電圧レベルが閾値電圧以上の場合に1を、閾値電圧以下の場合に0を出力する識別器32と、識別器32の出力に所定の重み付け係数(X,X,・・・)を乗じて出力する乗算器33を含む。各重み付け回路31の出力は加算され、光変調手段12へ出力される。
m番目(m=1,2,・・・,M−1)の重み付け回路31−mにおける識別器32の閾値電圧VTh_mは、入力多値データのシンボル値“m−1”に対応する電圧レベルと、シンボル値“m”に対応する電圧レベルとの間に設定される。ある時刻における入力多値データがシンボル値“i”に対応する場合、重み付け回路(31−1〜31−i)内の識別器32が1を出力し、他の識別器32が0を出力するため、各重み付け回路31の出力を加算したプリバイアス回路の出力は、X+X+…+Xとなる。同様に、入力多値データがシンボル値“i+1”に対応する場合、プリバイアス回路24の出力は、X+X+…+X+Xi+1となる。よって、プリバイアス回路24が出力する多値データの各シンボル値に対応する電圧レベルの間隔は、順に、X,X,・・・,XM−1となる。つまり、重み付け係数X〜XM−1を変化させることにより、各シンボル値に対応する電圧レベルの間隔が所望の比である多値データを、柔軟に生成することが可能である。
図7のように、多値データのシンボル値D(t)に応じてSW〜SWM−1のいずれかがONとなる回路をプリバイアス回路24として用いることも可能である。また、拡散符号器21、加算器22およびプリバイアス回路24での演算を予め記憶させたメモリとD/Aコンバータを組み合わせて2値/多値変換手段11を構成することもできる。
光変調手段12の出力端において、多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分間のシンボル位相差は1/(2B)[s]である。パイロット光は、多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分がシンボル中心である時に当該成分と同相となる。多値信号光とパイロット光の位相雑音成分および偏光状態は一致している。
光変調手段12が出力する多値信号光を構成する互いに光位相が直交する2成分は、それぞれの光電界強度が、光変調手段12へ入力された2個の多値データのうち対応する一方のシンボル値に応じて変動し、光変調手段12内でのそれぞれの光位相シフト量が、光変調手段12へ入力された2個の前記多値データのうち対応する一方のシンボル値に応じて、差がπである2値のいずれかとなる。
多値信号光とパイロット光の光電界の時間変化を、互いに光位相が直交する2成分ごとに図8に示す。各成分の光電界は2値/多値変換手段11から入力された2個の多値データのうち対応する一方のシンボル値に応じて変動する。ここで、多値データのとりうる電圧レベルは、多値変調の非線形性を補償するように2値/多値変換手段11内で調整されている。図8中の“M”は、光変調手段12へ入力される各多値データの多値度を表わす。
光変調手段の構成例を図9に示す。多値信号光生成部80Aは、アーム長が等しいMach−Zehnder干渉計の各アームに、強度変調にともなう位相チャープがないゼロチャープ型の光強度変調手段81を組み込んだ構成である。多値信号光生成部80Aへの入力光は分岐され、それぞれ振幅位相変調(APSK:Amplitude Phase Shift Keying)された後、再び合波される。合波した際に多値APSK信号光間で、光位相が互いに直交し、シンボル位相差が1/(2B)[s]となる。図9は、一方のアーム内のみで光位相調整を行う構成であるが、両方のアーム内にて光位相調整を行うことにより多値APSK信号光間の相対光位相差をπ/2とする構成も可能である。
図9の構成では、光強度変調手段81へ入力される多値データのうちの一方を、他方と比較して1/(2B)[s]だけシンボル位相調整手段91にて遅延させることにより、多値APSK信号光間のシンボル位相差を所望の値としている。図10のようにMach−Zehnder干渉計の各アームの光路長に光遅延線89を配置し、1/(2B)[s]だけ差をつけることで、図9の構成において必要であった電気段での遅延(シンボル位相調整手段91)を不要化することも可能である。
ゼロチャープ型の光強度変調手段81は、例えば、図9のように、差動信号生成手段83において生成した極性が反転関係にある2信号を、Dual−Drive Mach−Zehnder干渉計型の光強度変調器84の各電極に印加する構成により実現できる。Dual−Drive Mach−Zehnder干渉計型の光強度変調器84としては、2電極型LN強度変調器などがこれにあたる。差動信号生成手段83として、ディバイダとインバータを組み合わせた構成の他、差動アンプを用いることができる。
光変調手段12の出力端において、多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分がシンボル中心である時に当該成分とパイロット光が同相となるように、パイロット光のクロック位相および光位相が調整される。図9では、パイロット光生成部80Bへ入力するクロックの位相を電気段に配置したクロック位相調整手段86で調整しているが、図10の構成のようにパイロット光生成部80Bに所望の長さの光遅延線90を追加することにより、クロック位相調整手段86を不要化することも可能である。
図11は、図2の光CDM伝送システムが備える光CDM受信回路202の構成を説明する図である。光CDM受信回路202は、光CDM送信回路201からの多波長信号光および多波長パイロット光が入力され、多波長信号光および多波長パイロット光を光周波数成分ごとに分波して出力する光周波数分波手段42と、光周波数分波手段42から入力光を2乗検波し、多値信号光とパイロット光とのビート成分を主信号として取り出すことで、多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分が搬送する多値データを交互に時分割多重する光検波器43と、光検波器43が出力する時分割多重された多値データを分離して、別々の分離出力端46から出力するDEMUX手段44と、1番目からN番目の固有符号のうちの1つが割り当てられ、DEMUX手段44の各分離出力端46が接続されており、割り当てられた固有符号を構成する符号要素を分離出力端46へ順に対応させた際に、固有符号を構成する2種の符号要素のうちの一方に対応する分離出力端46からの入力を正、他方の符号要素に対応する分離出力端46からの入力を負として加える加減算を行い、2値/多値変換手段11に入力された2値データのうちの1つを選択的に取り出す電気復号化手段45と、を備える。
光CDM受信回路202へ入力された多波長信号光および多波長パイロット光は、光周波数分波手段42により光周波数成分ごとに分離される。各光周波数成分は、光周波数分波手段42の各出力端と1対1に接続された光検波器43に入力される。ここで、多波長信号光の各光周波数成分の光強度は等しいため、各光検波器43に入力される多値信号光の光強度は光検波器43間で等しい。同様に、多波長パイロット光の各光周波数成分の光強度は等しいため、各光検波器43に入力されるパイロット光の光強度は光検波器43間で等しい。光検波器43では2乗検波により多値信号光とパイロット光とのビート成分が主信号として取り出され、多値信号光が搬送する2個の多値データが交互に時分割多重される。DEMUX手段44は光検波器43と1対1に接続され、時分割多重された多値データを分離して、別々の分離出力端46から出力する。DEMUX手段44が出力する多値データは、各シンボル値に対応する電圧レベルが等間隔である。
電気復号化手段45は、DEMUX手段44の各分離出力端46からの多値データが入力される。割り当てられた固有符号を構成する各符号要素{1},{0}を入力端へ順に対応させた際に、{1}に対応する入力端からの入力を正、{0}に対応する入力端からの入力を負として加える加減算を行う。固有符号の直交性により、光CDM送信回路201において2値/多値変換手段11へ入力されたN個の2値データのうちの所望データが選択的に取り出される。ここで、上述のように、DEMUX手段44の出力する多値データは、各シンボル値に対応する電圧レベルが等間隔である。また、DEMUX手段44の前に配置された各光検波器43に入力される多値信号光とパイロット光の光強度は、光検波器43間で一致しているため、異なるDEMUX手段44の出力する多値データ同士で電圧レベル間隔が一致する。よって、電気復号化手段45における加減算により非所望データ成分は除去される。
図2中の各光CDM受信回路202は1個の電気復号化手段45を備える構成であるが、図11のように、それぞれ異なる固有符号を割り当てられた複数の電気復号化手段45を備えることも可能である。DEMUX手段44の出力は分岐され、各電気復号化手段45へ入力される。固有符号を割り当てられた各電気復号化手段45は、光CDM送信回路201内の2値/多値変換手段11にて同じ符号に基づいて符号拡散される2値データを出力する。一方、符号を割り当てられない電気符号化手段45が0を出力すると、各光CDM受信回路202が所望する情報量の大小に応じて、各光CDM受信回路202内の電気復号化手段45への固有符号の割り当てを動的に変化させることにより、伝送効率を向上させることが可能となる。つまり、大きな情報量を所望する光CDM受信回路202内の複数の電気復号化手段45へ固有符号を割り当てることにより、複数の信号を同時に受信し、一定時間に受信できる情報量を増大することが可能となる。
(本実施形態の効果)
本実施形態においては、多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分間のシンボル位相差が1/(2B)[s]であり、各成分がシンボル中心である時に当該成分とパイロット光とが同相となる。そのため、多値信号光およびパイロット光の信号帯域が送受信回路内で制限されて信号波形が鈍った場合においても、パイロット光と多値信号光を構成する互いに光位相が直交する2成分のいずれかとが同相となる時に多値信号光におけるシンボル間の遷移時間内となることがない。よって、非特許文献6の方式において課題となる受信特性の劣化が生じない。
11:2値/多値変換手段
12、12−1、12−2、・・・、12−K/2:光変調手段
13:光周波数合波手段
14、14−1、14−2、・・・、14−K/2:光源
21、21−1、21−2、・・・、21−N:拡散符号器
22、22−1、22−2、・・・、22−K:加算器
23、23−11、23−12、・・・:出力端
24、24−1、24−2、・・・、24−K:プリバイアス回路
31、31−1、31−2、・・・、31−M−1:重み付け回路
32:識別器
33:乗算器
42:光周波数分波手段
43、43−1、43−2、・・・、43−K/2:光検波手段
44、44−1、44−2、・・・、44−K/2:DEMUX手段
45、45−1、45−2、・・・、45−N:電気復号化手段
46、46−1、46−2、・・・、46−K:分離出力端
80A:多値信号光生成部
80B:パイロット光生成部
81:光強度変調手段
83:差動信号生成手段
84:光強度変調器
85:光位相調整手段
86:クロック位相調整手段
87:光位相変調器
88:光位相調整手段
89、90:光遅延線
91:シンボル位相調整手段
201:光CDM送信回路
202、202−1、202−2、・・・、202−N:光CDM受信回路
203:光ファイバ伝送路

Claims (4)

  1. 2種の符号要素で構成された符号長がK以下(Kは2以上の整数)であるN個(Nは2以上の整数)の固有符号に基づき、N個の2値データからK個のB[Symbol/s]多値データを生成する2値/多値変換手段と、
    それぞれ光周波数が異なる連続光が入力され、入力された前記連続光を分岐し、一方を前記多値データのうちの2個を用いてそれぞれ変調して2つの多値信号光を生成して出力し、他方をB[Hz]クロックを用いてπ/2位相変調したパイロット光を生成して出力する光変調手段と、
    各々の前記光変調手段が出力する前記多値信号光と前記パイロット光とを合波して、多波長信号光および多波長パイロット光を出力する光合波手段と、
    を備え、
    前記光変調手段は、
    出力する前記多値信号光について、前記多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分間のシンボル位相差を1/(2B)[s]とし、
    出力する前記パイロット光について、前記多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分がシンボル中心である時に前記成分と同相とし、且つ偏光状態を前記多値信号光と一致させることを特徴とする光CDM送信回路。
  2. 前記2値/多値変換手段は、N個の拡散符号器、K個の加算器を有しており、
    各々の前記拡散符号器は、
    前記固有符号が割り当てられ、割り当てられた前記固有符号の符号長以上の個数の出力端を持ち、前記固有符号を構成する各符号要素を前記出力端へ順に対応させた際に、前記2種の符号要素のうちの一方の符号要素に対応する前記出力端からは前記拡散符号器へ入力された2値データとシンボル値が一致する信号を出力し、他方の符号要素に対応する前記出力端からは0を出力し、
    k番目(k=1,2,・・・,K)の前記加算器は、
    k番目の前記多値データのシンボル値が、各々の前記拡散符号器のk番目の出力端からの出力信号のシンボル値の和となるように、各々の前記拡散符号器のk番目の出力端からの出力信号を加算することを特徴とする請求項1に記載の光CDM送信回路。
  3. 前記光変調手段が出力する前記多値信号光を構成する互いに光位相が直交する2成分は、
    それぞれの光電界強度が、前記光変調手段へ入力された2個の前記多値データのうち対応する一方のシンボル値に応じて変動し、
    前記光変調手段内でのそれぞれの光位相シフト量が、前記光変調手段へ入力された2個の前記多値データのうち対応する一方のシンボル値に応じて、差がπである2値のいずれかとなることを特徴とする請求項1または2に記載の光CDM送信回路。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の光CDM送信回路からの多波長信号光および多波長パイロット光が入力され、前記多波長信号光および前記多波長パイロット光を光周波数成分ごとに分波して出力する光周波数分波手段と、
    前記光周波数分波手段から入力光を2乗検波し、前記多値信号光と前記パイロット光とのビート成分を主信号として取り出すことで、前記多値信号光を構成する互いに光位相が直交する各成分が搬送する多値データを交互に時分割多重する光検波器と、
    前記光検波器が出力する時分割多重された多値データを分離して、別々の分離出力端から出力するDEMUX手段と、
    1番目からN番目の前記固有符号のうちの1つが割り当てられ、前記DEMUX手段の各分離出力端が接続されており、割り当てられた前記固有符号を構成する前記符号要素を前記分離出力端へ順に対応させた際に、前記固有符号を構成する2種の前記符号要素のうちの一方に対応する前記分離出力端からの入力を正、他方の前記符号要素に対応する前記分離出力端からの入力を負として加える加減算を行い、前記2値/多値変換手段に入力された前記2値データのうちの1つを選択的に取り出す電気復号化手段と、
    を備える光CDM受信回路。
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