[第1の実施形態]
以下、図1−図8を参照しながら、第1の実施形態を説明する。
(通信システム全体の構成)
図1は、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14が使用される環境を説明するための概略図である。図2は、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14が使用される通信システム全体の概略図である。
図1、図2に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14は、例えば利用者の周囲に存在するプロジェクタ等の設備機器Aの関連情報を取得するための通信システムに組み込まれる。
例えば、利用者Uがはじめて訪問した会議室等でプレゼン等を実施する場合、該会議室等に設置されているプロジェクタ等の設備機器Aの使用法がわからず、プレゼン等の進行に支障が出ることがある。本実施形態にかかる通信システムでは、例えば操作機10と、通信タグ20と、携帯電話30と、情報提供部40と、を使用して、はじめての環境下に於いても、利用者Uの周囲に存在するプロジェクタ等の設備機器Aの使用法等を参照できる仕組みを提供する。なお、本実施形態では、プロジェクタ等の設備機器Aの使用法を参照する仕組みを説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、利用者Uの周囲に存在する、あらゆる機器の使用法等の関連情報を取得する際にも、以下の仕組みを使用することができる。
操作機10は、ポインティングレーザ光Lpを出射するレーザポインタ11と、ポインティングレーザ光Lpの再帰光Lr(後述する)の照度を検出する照度センサ12と、利用者Uの周囲に存在する設備機器Aの通信タグ20にID要求信号Srを送信するID要求信号送信ユニット13と、設備機器Aの通信タグ20から送信されたID情報信号Siを受信するID情報信号受信ユニット14と、ID情報信号Siに対応するIDコードCを、利用者Uが携帯する携帯端末30に送信する無線通信ユニット15と、レーザポインタ11、照度センサ12、ID要求信号送信ユニット13、ID情報信号受信ユニット14及び無線通信ユニット15を制御するコントローラ16と、を備える。
レーザポインタ11は、利用者Uによる、例えば機械スイッチ(図示しない)のON動作に基づき、ポインティングレーザ光Lpを出射する。ポインティングレーザ光Lpは、特に限定されるものではないが、本実施形態では、波長が約650nm、周波数が約450kHzのAM変調波を使用している。
照度センサ12は、レーザポインタ11近傍に配置され、通信タグ20の再帰性シート21(後述する)により反射された再帰光Lrの照度を検出する。照度センサ12は、センサ本体と、コンパレータと、を備える。センサ本体は、再帰光Lrの照度に対応する電圧信号を出力する。センサ本体は、特に限定されるものではないが、例えばフォトダイオード等を使用しても良い。コンパレータは、センサ本体から出力された電圧信号と、事前に付与された閾値と、を比較して、電圧信号が閾値よりも高いときに信号「1」、電圧信号が閾値よりも低いときに信号「0」を出力する。照度センサ12は、レーザポインタ11からポインティングレーザ光Lpが出射されたことをトリガとして起動され、再帰光Lrの照度を検出するための待機を開始しても良い。
ID要求信号送信ユニット13は、照度センサ12からの出力信号が「0」から「1」に変化したことをトリガとして、即ち照度センサ12が再帰光Lrを受光したことをトリガとして、ID要求信号Srを送信する。ID要求信号Srは、例えば設備機器Aに付与されたID情報を要求する信号である。ID要求信号送信ユニット13としては、例えば高指向性の赤外線送信モジュールを使用しても良い。赤外線送信モジュールは、例えば赤外LEDによる点滅パターンを利用して、ID要求コマンドを送信する。
ID情報信号受信ユニット14は、通信タグ20のID情報信号送信ユニット222から送信されたID情報信号Siを受信する。ID情報信号受信ユニット14は、受光素子141と、アンプ(図示しない)と、フィルタ(図示しない)と、検波回路(図示しない)と、を備える。受光素子141は、赤外線を受光して、赤外線の強度に対応する電圧信号を出力する。アンプは、受光素子141から出力された電圧信号を増幅する。フィルタは、アンプにより増幅された電圧信号からノイズを除去する。検波回路は、フィルタによりノイズが除去された電圧信号を検波して、ID情報信号Siに対応する電圧信号を出力する。ID情報信号受信ユニット14は、ID要求信号送信ユニット13からID要求信号Srが送信されたことをトリガとして起動され、ID情報信号Siを受信するための待機を開始しても良い。ID情報信号受信ユニット14の詳細構成は、後述することとする。
無線通信ユニット15は、コントローラ16により生成されたIDコードC(後述する)を、Bluetooth等の通信方式により、例えばペアリングされた携帯端末30に送信する。IDコードCは、ID情報信号受信ユニット14により受信されたID情報信号SiのID情報に操作機10の操作機IDを統合して、これをコード化したものである。本実施形態では、IDコードCの通信方式として、Bluetoothを採用しているが、本実施形態は、これに限定されるものではない。
(操作機10の概略構成)
図3は、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14が組み込まれる操作機10の概略構成を示していて、(a)は側面図、(b)は正面図である。
図3に示すように、操作機10は、利用者Uが把持する筺体10aを有していて、筺体10aの正面Sf側には、レーザポインタ11、照度センサ12、ID要求信号送信ユニット13、ID情報信号受信ユニット14が配列されている。
レーザポインタ11、照度センサ12、ID要求信号送信ユニット13、ID情報信号受信ユニット14は、それぞれ、ポインティングレーザ光Lpの出射部11o、再帰光Lrの照度の検出部12o、ID要求信号Srの送信部13o、ID情報信号Siの受信部14o、を筺体10aの外側に向けている。
ID要求信号送信ユニット13及びID情報信号受信ユニット14は、それぞれ筺体10aに取り付けられたフィルタカバー10bにより被覆されている。特に、ID情報信号受信ユニット14を被覆するフィルタカバー10bは、空間S(後述する)の側方に位置する隙間Soを被覆している。フィルタカバー10bは、ID要求信号SrやID情報信号Siの通信媒体である赤外線を選択的に透過させる。このため、ID要求信号SrやID情報信号Siの通信媒体である赤外線以外の波長領域の光は、フィルタカバー10bに遮断され、ID要求信号送信ユニット13及びID情報信号受信ユニット14に到達することはない。
(ID情報信号受信ユニット14の詳細構成)
図4は、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14の概略構成を示していて、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は平面図である。図5は、第1の実施形態にかかる第1、第2の絞り板144、145により規定される受光可能領域Rの概略図である。
図4、図5に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14は、赤外線を受光する受光素子141と、受光素子141を搭載する回路基板142と、操作機10の筺体10aに回路基板142を固定するブラケット143と、受光素子141に照射される赤外線の入射角範囲、即ち受光可能領域Rを規定する第1、第2の絞り板144、145と、を備える。
受光素子141は、素子本体141aと、素子本体141aの前面、即ち回路基板142とは逆側の表面に形成される受光部141bと、素子本体141aを封止する封止樹脂141cと、を備える。封止樹脂141cは、例えばエポキシ樹脂等の透明樹脂からなり、受光部141bの前方には、概して球面型の集光レンズ141rが形成されている。このため、第1、第2の絞り板144、145の第1、第2の透光孔144o、145oを透過した赤外線は、封止樹脂141cの集光レンズ141rにより集光され、受光素子141の受光部141bに照射される。受光素子141は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、エバーライト社のIRM-3640N3を使用している。
第1の絞り板144は、回路基板142に平行に配置され、受光素子141の受光部141bに対応する位置には、第1の透光孔144oが形成されている。第2の絞り板145は、第1の絞り板144に平行に配置され、第1の透光孔144oに対応する位置には、第2の透光孔145oが形成されている。
第1、第2の絞り板144、145は、所定間隔だけ離間していて、第1、第2の絞り板144、145間には、空間Sが形成されている。第1、第2の絞り板144、145の間隔L、即ち空間Sの高さは、特に限定されるものではないが、本実施形態では、約1mm〜5mmとしている。
第1、第2の透光孔144o、145oの形状は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、何れも円型としている。第1、第2の透光孔144o、145oの内周縁は、それぞれの中心に接近するほど薄くなるように傾斜している。このため、第1、第2の透光孔144o、145oの内周面で生じる赤外線の乱反射が抑制される。
第1、第2の透光孔144o、145oの内径dは、概して同等であるが、第1、第2の絞り板144、145の間隔をLとし、利用者Uが要求する受光可能領域Rの円錐角、即ち赤外線の最大入射角をθとしたときに、d=Ltanθの関係を満足するように決定される。なお、本実施形態では、第1、第2の透光孔144o、145oの内径dを、約1mm〜5mmとしている。
以上のような第1、第2の絞り板144、145は、複数の支柱146、本実施形態では、4本の支柱146により連結されている。4本の支柱146は、相互に離間していて、支柱146及び支柱146間には、隙間Soが形成されている。これにより、本実施形態にかかる第1、第2の絞り板144、145間の空間Sは、第1、第2の絞り板144、145の板面方向の側方に開放している。なお、ここでの板面方向とは、第1、第2の絞り板144、145の板面と平行な方向を意味する。
従って、受光可能領域Rの外側から第1、第2の絞り板144、145間の空間Sに入射した赤外線Lnは、図5に示すように、第1、第2の絞り板144、145の内面で反射を繰り返して、空間Sの側方に位置する隙間SoからID情報信号受信ユニット14の外側に逃がされる。逆に言えば、受光可能領域Rの外側から隙間Sに入射した赤外線Lnは、第1、第2の絞り板144、145の内面で反射を繰り返したとしても、受光素子141の受光部141bに照射されることがない。これにより、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14によれば、受光可能領域Rの内側から隙間Sに入射した赤外線だけを確実に受信することができる。
(通信タグ20の概略構成)
図6は、第1の実施形態にかかる通信タグ20の概略図である。
図6に示すように、本実施形態にかかる通信タグ20は、再帰性シート21と、通信モジュール22と、を備える。
再帰性シート21は、任意の方向から入射するポインティングレーザ光Lpを、該ポインティングレーザ光Lpの入射方向に反射する。即ち、レーザポインタ11から再帰性シート22に照射されたポインティングレーザ光Lpは、再帰性シート21の向きに依らず、レーザポインタ11側に反射される。
通信モジュール22は、ID要求信号受信ユニット221と、ID情報信号送信ユニット222と、ID要求信号受信ユニット221及びID情報信号送信ユニット222を制御するコントローラ223と、を備える。
ID要求信号受信ユニット221は、操作機10のID要求信号送信ユニット13から送信されたID要求信号Srを受信する。ID要求信号受信ユニット221は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、低指向性の、即ち広角型の赤外線受信モジュールを使用している。
ID情報信号送信ユニット222は、ID要求信号送信ユニット13からのID要求信号Srに基づき、コントローラ223のメモリ223b(後述する)に格納されたID情報を、ID情報信号Siとして送信する。ID情報は、設備機器A、B…を識別するために、通信タグ20それぞれに個別に付与されたものである。ID情報信号送信ユニット222としては、低指向性の、即ち広角型の赤外線送信モジュールが使用される。このため、ID情報信号送信ユニット222から送信されるID情報信号Siは、ID要求信号Srを送信している操作機10だけでなく、該操作機10の周囲の広範囲に送信されることになる。
コントローラ223は、CPU223aと、メモリ223bと、を備える。CPU223aは、メモリ223bに格納された制御プログラムに基づき、ID要求信号Srの受信からID情報信号Siの送信までの各種処理を実現する。メモリ223bは、CPU223aにより実行される制御プログラムの他、例えば通信タグ20に固有のID情報を格納している。
(情報提供部40の詳細構成)
図2に示すように、本実施形態にかかる情報提供部40は、データベースDBを格納する格納部41と、サービス選択/サービス実行部42と、を備える。
データベースDBは、通信タグ20のID情報と、通信タグ20が貼り付けられた設備機器A、B…の操作マニュアルや操作プログラム等のサービスと、を対応づけている。サービス選択/サービス実行部42は、携帯端末30から取得したID情報と、格納部41に格納されたデータベースDBと、に基づき、ID情報に対応する設備機器A、B…の操作マニュアルや操作プログラム等のサービスを選択して、該操作マニュアルや操作プログラム等を携帯端末20に送信する。情報提供部40としては、例えばサーバやクラウドを使用しても良い。
(操作機10に内蔵されたコントローラ16の機能ブロック)
図7は、第1の実施形態にかかる操作機10に内蔵されたコントローラ16の機能ブロック図である。
図7に示すように、本実施形態にかかるコントローラ16は、主として、CPU161と、メモリ162と、により構成され(図2参照)、再帰光検知判定部16aと、ID要求コマンド送信部16bと、ID情報識別部16cと、ID統合部16dと、外部通信I/F部16eと、送信処理部16fと、受信処理部16gと、を備える。
再帰光検知判定部16aと、ID要求コマンド送信部16bと、ID情報識別部16cと、ID統合部16dと、外部通信I/F部16eと、送信処理部16fと、受信処理部16gは、何れもメモリ162に記憶されている制御プログラムに基づき、CPU161により実現される。
再帰光検知判定部16aは、レーザポインタ11の機械スイッチ(図示しない)が押圧されたときに出力されるON信号により起動され、照度センサ12の出力信号、即ち「0」又は「1」に基づき、再帰光Lrを受光したかどうかを判定する。
ID要求コマンド送信部16bは、再帰光検知判定部16aが再帰光Lrを受光したと確認した場合、コントローラ16のメモリ162に記憶されたID要求コマンドに基づき、ID要求信号Srを生成して、送信処理部16fにID要求信号Srの送信を指示する。ID要求コマンドは、設備機器A、B…のID情報を要求するコマンドであるが、設備機器A、B…の種別に依らない共通コマンドである。
ID情報識別部16cは、ID情報信号受信ユニット14により受信されたID情報信号Siを、受信処理部16gから受け取り、該ID情報信号Siが、通信タグ20から送信された、設備機器A、B…を識別するためのID情報信号Siであるかどうかを識別する。ID情報信号Siは、送信処理部16fにより送信されたID要求信号Srへの応答信号である。
ID統合部16dは、ID情報識別部16cにより識別された、設備機器A、B…を識別するためのID情報に、操作機10の操作機IDを統合するとともに、これをコード化することで、IDコードCを生成する。
外部通信I/F部16eは、ID統合部16dにより生成されたIDコードCを、無線通信ユニット15から、無線通信ユニット15にペアリングされた携帯端末30に送信する。
携帯端末30は、外部通信I/F部16eから送信されたIDコードCを受信して、例えば情報提供部40等から、該IDコードCに対応する設備機器A、B…の関連情報を取得する。関連情報としては、例えば設備機器A、B…の操作マニュアルや操作プログラム等が挙げられる。
携帯端末30が操作マニュアルを取得した場合、携帯端末30のディスプレイに操作マニュアルを表示させれば、はじめて使用する設備機器であっても、簡単に使用することができる。又、携帯端末30が操作プログラムを取得した場合、操作プログラムを携帯端末30にセットアップすることで、携帯端末30の操作により、設備機器A、B…を簡単に使用することができる。
(操作機10に内蔵されたコントローラ16による処理のフローチャート)
図8は、第1の実施形態にかかる操作機10に内蔵されたコントローラ16による処理のフローチャートである。
本実施形態にかかるコントローラ16による処理フローは、利用者Uによるレーザポインタ11の機械スイッチの押圧により開始する。
処理フローが開始されたら、再帰光検知判定部16aは、レーザポインタ11の機械スイッチの押圧中に、照度センサ12が再帰光Lrを受光したかどうかを判定する(ステップS101)。
レーザポインタ11の機械スイッチの押圧中に、照度センサ12が再帰光Lrを受光したと判定したら(ステップS101のYes)、ID要求コマンド送信部16bは、設備機器AのID情報を要求するID要求コマンドに基づき、ID要求信号Srを生成して(ステップS102)、送信処理部16fにID要求信号Srの送信を指示する(ステップS103)。さらに、ID要求コマンド送信部16bは、ID要求信号Srの送信の指示を始点として、タイムカウントを開始する。ID要求信号送信ユニット13は、送信処理部16fからの指示に基づき、ID要求信号Srを送信する。このように、本実施形態では、照度センサ12が再帰光Lrを受光したことをトリガとして、ID要求信号Srを送信する。換言すれば、操作機10の先方、即ちID要求信号送信ユニット13の先方に、通信タグ20が確実に存在するときに、ID要求信号Srを送信する。このため、通信タグ20のID要求信号受信ユニット221にID要求信号Srを確実に受信させることができる。これにより、無暗にID要求信号Srを送信することによる消費電力の増加を防止することができる。
一方、レーザポインタ11の機械スイッチの押圧中に、照度センサ12が再帰光Lrを受光しないと判断したら(ステップS101のNo)、再帰光検知判定部16aは、再度、照度センサ12が再帰光Lrを受光したかどうかを判定する(ステップS101)。このように、本実施形態では、照度センサ12が再帰光Lrを受光しない限り、ID要求信号送信ユニット13を起動しない。このため、操作機10の消費電力を抑制することができる。
次に、ID情報識別部13cは、ID要求信号Srの送信の指示から所定時間内に、受信処理部16gがID情報信号Siを受信したかどうかを判定する(ステップS104)。
ID要求信号Srの送信の指示から所定時間内に、受信処理部16gがID情報信号Siを受信したと判定したら(ステップ104のYes)、ID統合部16dは、受信処理部16gにより受信されたID情報信号SiからID情報を取得するとともに、これに操作機10の操作機IDを統合して、IDコードCを生成する(ステップS105)。
一方、ID要求信号Srの送信の指示から所定時間内に、受信処理部16gがID情報信号Siを受信しないと判断したら(ステップS104のNo)、コントローラ16による処理フローは終了する。
次に、外部通信I/F部16eは、ID統合部16dにより生成されたIDコードCの、ペアリングされた携帯端末30への送信を無線通信ユニット15に指示する(ステップS106)。無線通信ユニット15は、外部通信I/F部16eからの指示に基づき、自身にペアリングされた携帯端末30にIDコードCを転送する。以上で、コントローラ16による処理フローが終了する。
以上の処理フローにより携帯端末30に送信されたIDコードCは、携帯端末30の通信機能により、例えばサーバやクラウド等の情報提供部40に転送される。情報提供部40のサービス選択/サービス実行部42は、格納部41に格納されたデータベースDBを参照して、携帯端末30から転送されたIDコードCに対応する設備機器Aの操作マニュアルや操作プログラム等のサービスを選択して、該サービスを携帯端末30に送信する。こうして、利用者Uは、自身の携帯端末30に、設備機器Aの操作マニュアルや操作プログラム等を取得することになる。
以上のように、本実施形態にかかる通信システムに於いて、設備機器Aに貼り付けられた通信タグ20のID情報信号送信ユニット222は、低指向性の赤外線、即ち広角型の赤外線を通信媒体として、ID情報信号Siを送信している。
このため、利用者Uが操作機10を操作しているときに、利用者Uの意図とは異なる設備機器Bに貼り付けられた通信タグ20のID情報信号送信ユニット222から送信されたID情報信号Siを受信する恐れがある。
しかし、本実施形態にかかる操作機10のID情報信号受信ユニット14は、受光素子141の受光部141bの前方に、第1、第2の絞り板144、145を備える。しかも、第1、第2の絞り板144、145間の隙間Sは、第1、第2の絞り板144、145の板面方向の側方に開放している。
このため、第1、第2の透光孔144o、145oにより規定される受光可能領域Rの外側から空間Sに入射したID情報信号Siは、第1、第2の透光板144、145の内面で反射を繰り返しても、最終的に空間Sの側方に位置する隙間SoからID情報信号受信ユニット14の外部に出射する。
従って、受光可能領域Rの外側から隙間Sに入射したID情報信号Siが受光素子141の受光部141bに照射されることがなく、ゆえに、受光素子141の受光部141bによるノイズ光の受光を低減することができる。
受光素子141の受光部141bにより受光されるノイズ光が低減すると、ID情報信号受信ユニット14は、ID情報の要求対象である設備機器AのID情報信号Siだけを確実に受信することができるので、ID情報の要求対象ではない、即ち利用者Uの意図とは異なる設備機器Bの操作マニュアルや操作プログラムを誤取得することもない。
なお、本実施形態では、受光部141bの前方に2枚の絞り板、即ち第1、第2の絞り板144、145を配置しているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、受光素子141の受光部141bの前方に3枚以上の絞り板を配置しても良い。これは、以降の実施形態でも同様である。
[第2の実施形態]
以下、図9を参照しながら、第3の実施形態を説明する。
図9は、第2の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Aの断面図である。
図9に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Aは、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14の第1の絞り板144を、第2の実施形態にかかる第1の絞り板144Aに置換したものである。
第1の絞り板144Aは、第2の絞り板145と同形状であるが、第2の絞り板145よりも板面方向に大きい。しかも、第1の絞り板144Aは、第2の絞り板145と同心となるように配置されている。このため、第1の絞り板144Aは、少なくとも第2の絞り板145の外周部よりも外側に延在している。
従って、利用者Uの意図とは異なる設備機器Bの通信タグ20から送信されたID情報信号Siが、即ちノイズ光Lnが第1、第2の絞り板144A、145の側方からアクセスしてきても、第1の絞り板144Aにより遮蔽されるので、第1、第2の絞り板144A、145間の隙間Sへの入射を防止することができる。よって、利用者Uが意図しない設備機器Bの通信タグ20から送信された、意図しないID情報信号Siの受信を、さらに確実に防止することができる。
[第3の実施形態]
以下、図10を参照しながら、第3の実施形態を説明する。
図10は、第3の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Bの断面図である。
図10に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Bは、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14に、赤外線吸収シート147を付加したものである。
赤外線吸収シート147は、複数、本実施形態では4本の支柱146の周囲に掛け渡され、第1、第2の絞り板144、145間の隙間Sを包囲している。赤外線吸収シート147の素材は、特に限定されるものではないが、第1、第2の絞り板144、145よりも赤外線の吸収率が高い素材であれば、例えば住友大阪セメント株式会社のクリアラスNIRシリーズ(登録商標)等を使用しても良い。
本実施形態によれば、受光可能領域Rの外側から第1、第2の絞り板144、145間の空間Sに入射した赤外線が赤外線吸収シート147により吸収されるので、利用者Uの意図とは異なる設備機器Bの通信タグ20から送信された、意図しないID情報信号Siの受信を、さらに確実に防止することができる。
[第4の実施形態]
以下、図11を参照しながら、第4の実施形態を説明する。
図11は、第4の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Cの断面図である。
図11に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Cは、第1の実施形態にかかるID情報受信ユニット14の第2の絞り板145を、第4の実施形態にかかる第2の絞り板145Cに置換したものである。
第2の絞り板145Cは、第1の実施形態にかかる第2の絞り板145と同形状であるが、複数の支柱146に対応する位置には、それぞれ挿通孔145hが形成されている。支柱146は、それぞれ第2の絞り板145Cの挿通孔145hにスライド可能に嵌入されている。これにより、第1の絞り板144は、第2の絞り板145Cを基準として、受光素子141の光軸方向に移動可能に配置されている。
従って、第1の絞り板144を受光素子141の光軸方向にスライドさせて、第1、第2の絞り板144、145Cの隙間Sの間隔Lを調整すれば、第1、第2の透光孔144o、145oにより規定される受光可能領域Rを容易に変更することができる。即ち、利用者Uの周囲の環境に応じた受光可能領域Rを簡単な調整で作り出すことができる。
[第5の実施形態]
以下、図12を参照しながら、第5の実施形態を説明する。
図12は、第5の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Dの断面図である。
図12に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Dは、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14の支柱146を、第5の実施形態にかかる壁部146Dに置換したものである。
壁部146Dは、第1、第2の絞り板144、145間に配置され、第1、第2の絞り板144、145間の空間Sを包囲している。壁部146Dの材料としては、赤外線透過型樹脂が使用される。即ち、受光素子141の受光部141bが受光する赤外線にとって透明な樹脂材料が使用される。
このため、第1、第2の絞り板144、145間の空間Sを壁部146Dで包囲しても、赤外線受光領域Rの外側から空間Sに入射した赤外線を、第1、第2の絞り板144、145の側方に逃がすことができる。従って、第1の実施形態と同様に、受光素子141の受光部141bによるノイズ光の受光を低減することができる。しかも、第1、第2の絞り板144、145を環状の壁部146Dにより連結することで、ID情報信号受信ユニット144Dの強度が高まるので、機械的外力による破損等を防止することもできる。なお、赤外線透過型樹脂の種類は、特に限定されるものではないが、例えば株式会社クラレのパラペット(登録商標)等を使用しても良い。
[第6の実施形態]
以下、図13を参照しながら、第6の実施形態を説明する。
図13は、第6の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Eの断面図である。
図13に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Eは、第5の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Dに、赤外線吸収シート147Eを付加したものである。
赤外線吸収シート147Eは、壁部146Dの内面に貼り付けられ、第1、第2の絞り板144、145間の空間Sを包囲している。赤外線吸収シート147Eの素材は、特に限定されるものではないが、第1、第2の絞り板144、145よりも赤外線の吸収率が高い素材であれば、例えば住友大阪セメント株式会社のクリアラスNIRシリーズ(登録商標)等を使用しても良い。
本実施形態によれば、受光可能領域Rの外側から第1、第2の絞り板144、145間の空間Sに入射した赤外線が赤外線吸収シート147Eにより吸収されるので、利用者Uの意図とは異なる設備機器Bの通信タグ20から送信された、意図しないID情報信号Siの受信を、さらに確実に防止することができる。
[第7の実施形態]
以下、図14を参照しながら、第7の実施形態を説明する。
図14は、第7の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Fの断面図である。
図14に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Fは、第5の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Dの壁部146Dを、第7の実施形態にかかる壁部146Fに置換したものである。
壁部146Fは、第1の絞り板144に連結される第1の壁部146F1と、第2の絞り板145に連結される第2の壁部146F2と、を備える。第1、第2の壁部146F1、146F2の材料としては、赤外線透過型樹脂が使用される。即ち、受光素子141の受光部141bが受光する赤外線にとって透明な樹脂材料が使用される。
第1の壁部146F1は、第1、第2の絞り板144、145間の空間Sを包囲していて、第1の壁部146F1の内面には、第1の螺子部146mが形成されている。第2の壁部146F2は、第1、第2の絞り板144、145間の空間Sを包囲していて、第2の壁部146F2の外面には、第1の螺子部146mと螺合する第2の螺子部146nが形成されている。これにより、第1の絞り板144は、第2の絞り板1455を基準として、受光素子141の光軸方向に移動可能に配置されている。
従って、例えば第1の絞り板144及び第1の壁部146F1を回転させて、第1、第2の絞り板144、145の間隔Lを調整すれば、第1、第2の透光孔144o、145oにより規定される受光可能領域Rを容易に変更することができる。即ち、利用者Uの周囲の環境に応じた受光可能領域Rを簡単な調整で作り出すことができる。
[第8の実施形態]
以下、図15、図16を参照しながら、第8の実施形態を説明する。
図15は、第8の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Gの平面図である。図16は、第8の実施形態にかかる第1、第2の絞り板144G、145により規定される受光可能領域Rdの概略図である。
図15、図16に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14Gは、第1の実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14の第1の絞り板144を、第8の実施形態にかかる第1の絞り板144Gに置換したものである。
第1の絞り板144Gは、第1の実施形態にかかる第1の絞り板144と同形状であるが、受光素子141の受光部141bに対応する位置には、第1の実施形態にかかる第1の透光孔144oとは異なる第1の透光孔144sが形成されている。第1の透光孔144sは、長方形型のスリットであって、少なくとも長辺の寸法が第2の透光孔145oの内径dよりも長い。
従って、第1、第2の透光孔144s、145oにより規定される受光可能領域Rdは、図16に示すように、長尺な長方形型となる。このため、例えば複数の設備機器A、B…が横方向に配列され、かつ、ID情報の要求対象である設備機器Aの上下方向には、他の設備機器が存在しない場合、受光可能領域Rdが上下に延びるように操作機10を把持することで、利用者Uの意図とは異なる設備機器BからのID情報信号Siの受信を防止しつつ、操作機10の上下ズレにマージンを持たせることができる。従って、利用者Uは、ID情報の要求対象である設備機器AからID情報信号Siを、より簡単に受信することができる。