JP2013063395A - 有害物質の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】汚染土壌の浄化を図りつつ、有害物質を吸収した植物から有害物質を効率良く回収し、処理することができる有害物質の処理方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る有害物質の処理方法は、放射性物質で汚染された汚染領域に放射性物質吸収植物を作付し、放射性物質吸収植物に放射性物質を蓄積させ、放射性物質を蓄積した放射性物質吸収植物を収穫し、放射性物質吸収植物中に含まれる放射性物質を処理する有害物質の処理方法であって、収穫した放射性物質吸収植物を加圧熱水と対向接触させて、放射性物質を熱水側に移行させて熱水排出液として抜き出すと共に、放射性物質が除去されたバイオマス固形分を熱水排出液の排出側とは異なる側から抜き出す水熱分解処理工程(S13)と、熱水排出液から放射性物質を処理する放射性物質処理工程(S14)とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射性物質で汚染された土壌、汚液、底泥等の汚染領域に放射性物質の蓄積能力の高い植物を作付けして汚染領域を放射性物質による汚染から浄化して汚染領域の回復を図りつつ、放射性物質を吸収した植物をバイオマス原料として用いてアルコールを製造すると共に放射性物質を含む廃棄物の低減を図る有害物質の処理方法に関する。
放射性物質により土壌、汚液、底泥等が汚染された場合、放射性物質の飛散量によっては生物、植物、環境などに深刻な悪影響を与える可能性が高い。そのため、土壌中に存在する放射性物質を除去して土壌等を浄化し、汚染土壌の回復を図るための更なる開発は、生物、植物、環境の将来の保全を図る上で重要な課題である。
放射性物質に汚染された土壌の浄化を行う場合、土の入れ替えや水等により洗浄する方法があるが、こうした土の入れ替えや水等により洗浄する方法では、対象とする土の量が多く、広域に汚染された土壌の浄化には莫大な費用を要する。
そこで、放射性物質や有害金属などの有害物質で汚染された土壌から有害物質のみを選択的に除去し、除去された有害物質が新たな汚染源とならない恒久的な土壌浄化法として、有害物質の蓄積能力の高い植物を利用するファイトレメディエーション(土壌修復)が提案されている。これは、特定の植物が有害物質を吸収し、大量に蓄積できることに着目し、このような植物を有害物質で汚染された土壌に植栽し、植物に有害物質を吸収し蓄積させる方法である。
こうした有害物質の除去方法として、例えば、有害物質で汚染された土壌に有害物質の蓄積能力の高い植物を植栽し、この植物に土壌中に含まれる有害物質を吸収させた後、植物を植栽地より除去することにより、有害物質で汚染された土壌の浄化処理を行う有害物質等による汚染土壌の浄化方法が開示されている(例えば、特許文献1、2、参照)。
特開2004−113858号公報 特開2004−290820号公報
しかしながら、特許文献1、2のように、植物に有害物質を吸収させて処理する方法では、有害物質を含む廃棄物が大量に発生する。
すなわち、例えば、放射性物質を吸収させた植物を収穫し、処理する際には、放射性物質を含む廃棄物(放射性廃棄物)が大量に発生する。放射性廃棄物を処理するためには莫大な費用を要するため、放射性廃棄物が大量に発生すると放射性廃棄物の処理費用が更に増大してしまう。また、有害金属を吸収させた植物を収穫し、処理する際には、有害金属を含む固形物(廃棄物)が大量に発生するため、同様に、廃棄物の処理費用が増大する。
そのため、汚染土壌を改質するに当たり、放射性物質や有害金属など有害物質で汚染された土壌に含まれる有害物質を吸収した植物を処理する際に生じる有害物質を含有する廃棄物の発生量の低減及び費用の低廉化を図ることができる有害物質の処理方法の出現が切望されている。
本発明は、前記問題に鑑み、汚染土壌の浄化を図りつつ、有害物質を吸収した植物から有害物質を効率良く回収し、処理することができる有害物質の処理方法を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、有害物質で汚染された汚染領域に有害物質吸収植物を作付し、前記有害物質吸収植物に前記有害物質を蓄積させ、前記有害物質を蓄積した前記有害物質吸収植物を収穫し、前記有害物質吸収植物中に含まれる前記有害物質を処理する有害物質の処理方法であって、収穫した前記有害物質吸収植物を加圧熱水と対向接触させて、前記有害物質を熱水側に移行させて熱水排出液として抜き出すと共に、前記有害物質が除去されたバイオマス固形分を前記熱水排出液の排出側とは異なる側から抜き出す水熱分解処理工程と、前記熱水排出液から前記有害物質を処理する有害物質処理工程と、を含む有害物質の処理方法である。
第2の発明は、第1の発明において、前記有害物質処理工程が、前記熱水排出液を加熱して前記有害物質を残渣として処理する液体分離工程を含むことを特徴とする有害物質の処理方法である。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記有害物質処理工程が、前記熱水排出液中に含まれる固形分を固液分離する固液分離工程を含み、前記熱水排出液中に含まれる固形分を固液分離して得られた液体に含まれる前記有害物質を吸着処理する吸着処理工程を含むことを特徴とする有害物質の処理方法である。
第4の発明は、第1乃至第3の何れか1つの発明において、前記有害物質処理工程が、前記熱水排出液中に含まれる有価物原料から有価物を生成する有価物生成工程を含むことを特徴とする有害物質の処理方法である。
第5の発明は、第4の発明において、前記有価物生成工程が、前記水熱分解装置から排出される前記熱水排出液を糖化する糖化工程を含むことを特徴とする有害物質の処理方法である。
第6の発明は、第4の発明において、前記有価物生成工程が、前記熱水排出液に酵素を添加して糖液を生成する糖液生成工程と、得られた前記糖液に、酵母を添加してアルコールを生成するアルコール発酵工程と、を含むことを特徴とする有害物質の処理方法である。
第7の発明は、第1乃至第6の何れか1つの発明において、前記有害物質吸収植物は、炭水化物系原料、リグニン成分及びヘミセルロース成分を含むセルロース系バイオマス原料であり、前記加圧熱水中に有害物質、リグニン成分及びヘミセルロース成分を移行し、前記有害物質吸収植物中から前記有害物質、リグニン成分及びヘミセルロース成分を分離し、前記バイオマス水熱処理物として、前記有害物質、リグニン成分及びヘミセルロース成分を含む水熱抽出画分を前記熱水排出液として生成すると共に、セルロース成分を含む固形画分を生成することを特徴とする有害物質の処理方法である。
本発明によれば、汚染土壌の浄化を図りつつ、有害物質を吸収した有害物質吸収植物から有害物質を効率良く回収し、処理することができる。すなわち、有害物質を吸収した有害物質吸収植物をバイオマス原料として用いて加圧熱水と向流で対向接触させて水熱分解することにより、有害物質吸収植物に含まれていた有害物質を一段処理で効率的に熱水排出液へ移行させることができる。これにより、糖やアルコールなどの有価物の原料となる固形画分と、放射性物質を含有する熱水排出液とを一段処理で効率的に分離することができる。よって、汚染土壌の浄化を図りつつ有害物質を吸収した有害物質吸収植物の有効利用を図ることができると共に、有害物質を効率良く回収し、処理することができる。
さらに、本発明によれば、汚染土壌の浄化を図りつつ、有害物質を吸収した有害物質吸収植物から生じる有害物質を含む廃棄物の減容化を図ることができる。すなわち、有害物質を吸収した有害物質吸収植物をバイオマス原料として用いて有害物質を含まないアルコールなどの有価物を製造することができると共に、有価物を製造する過程において生じる廃棄物には有害物質を高濃度に濃縮させることができる。よって、汚染土壌の浄化を図りつつ有害物質を吸収した有害物質吸収植物の有効利用を図ることができると共に、有害物質を含む廃棄物の減容を図り、廃棄物の処理に要する費用の軽減を図ることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る有害物質の処理方法の一例を示すフローチャートである。 図2は、本発明の第1の実施形態に係る有害物質の処理方法の一例の一部を示す図である。 図3は、放射性物質を蓄積した放射性物質吸収植物から放射性物質を除去する工程を簡略に示す図である。 図4は、バイオマスの水熱分解装置の構成の一例を示す概念図である。 図5は、バイオマスの水熱分解装置の他の構成の一例を示す概念図である。 図6は、本発明の第2の実施形態に係る有害物質の処理方法の一例を示すフローチャートである。 図7は、放射性物質を蓄積した放射性物質吸収植物から放射性物質を除去する工程を簡略に示す図である。 図8は、本発明の第3の実施形態に係る有害物質の処理方法の一例を示すフローチャートである。 図9は、放射性物質を蓄積した放射性物質吸収植物から放射性物質を除去する工程を簡略に示す図である。 図10は、本発明の第4の実施形態に係る有害物質の処理方法の一例を示すフローチャートである。 図11は、放射性物質を蓄積した放射性物質吸収植物から放射性物質を除去する工程を簡略に示す図である。 図12は、本発明の第4の実施形態に係る有害物質の処理方法の他の一例の一部を示す図である。 図13は、本発明の第4の実施形態に係る有害物質の処理方法の他の一例の一部を示す図である。 図14は、本発明の第4の実施形態に係る有害物質の処理方法の他の一例の一部を示す図である。
以下、本発明に係る有害物質の処理方法の実施の形態(以下、実施形態という)を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態で開示する構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせても良いし、適宜選択して用いてもよい。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る有害物質の処理方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、有害物質が放射性物質であり、有害物質吸収植物として放射性物質吸収植物を用いる場合について説明する。
図1は、本実施形態に係る有害物質の処理方法の一例を示すフローチャートである。図1に示すように、本実施形態に係る有害物質の処理方法は、以下の工程を含む。
(A) 有害物質である放射性物質で汚染された汚染土壌に有害物質吸収植物である放射性物質吸収植物を作付けし、作付した有害物質吸収植物に放射性物質を蓄積させる放射性物質吸収植物の作付け工程(ステップS11)
(B) 放射性物質を蓄積した放射性物質吸収植物を収穫する収穫工程(ステップS12)
(C) 収穫した放射性物質吸収植物を加圧熱水と対向接触させて、放射性物質を熱水側に移行させて熱水排出液として抜き出すと共に、放射性物質が除去されたバイオマス固形分を熱水排出液の排出側とは異なる側から抜き出す水熱分解処理工程(ステップS13)
(D) 熱水排出液から放射性物質を処理する放射性物質処理工程(ステップS14A)
本明細書において、放射性物質とは、放射能を持つ物質の総称で、例えばウラン(U)、プルトニウム(Pu)、トリウム(Th)のような核燃料物質、放射性元素もしくは放射性同位体、中性子を吸収又は核反応を起こして生成された放射化物質をいう。放射性物質として、具体的には、炭素14(C)、カリウム40(K)、マンガン54(Mn)、コバルト60(Co)、クリプトン85(Kr)、ストロンチウム90(Sr)、イットリウム90(Y)、テクネチウム99(Tc)、ヨウ素129(I)、ヨウ素131(I)、セシウム134(Cs)、セシウム137(Cs)、ラジウム226(Ra)、ラドン222(Rn)、プルトニウム238(Pu)、プルトニウム239(Pu)等が挙げられる。
<放射性物質吸収植物を作付する工程:ステップS11>
図2は、本実施形態に係る有害物質の処理方法の一例の一部を示す図である。図2に示すように、放射性物質11で汚染された汚染土壌12を調査して汚染土壌12に含まれる放射性物質11を調査する。汚染土壌12とは、放射性物質11で汚染された汚染領域をいい、地表に露出している土壌に限定されるものではなく、本実施形態においては、汚染土壌12には、放射性物質11で汚染された湿地帯、水田、湖、沼等の水中の底部の土壌等も含まれる。その後、汚染土壌12の利用形態を考慮し、汚染土壌12に含まれる放射性物質11を吸収するのに適した放射性物質吸収植物13を選定して、放射性物質11で汚染された汚染土壌12に放射性物質吸収植物13を作付する(ステップS11)。
放射性物質吸収植物13としては、放射性物質11など有害物質で汚染された土壌を浄化に適するために有害物質の蓄積能力を有する植物が用いられ、例えば、コケ植物、地被用草本類、わい性低木類、ツル植物類等がある。コケ植物としては、例えば、セン綱、タイ綱、ツノゴケ綱等が挙げられる。地被用草本類としては、例えば、サイトモ科、キツネノマゴ科、キク科、ヒメウラボシ科、ウラボシ科、ナズナ科、ナデシコ科、イソマツ科、スジヒトツバ科、ヤブレガサウラボシ科、イワデンダ科、ヒメシダ科、ツルキジノオ科、シシガシラ科、チャセンシダ科、シシラン科、ツルシダ科、シノブ科、マチン科、セリ科、ユリ科、ホングウシダ科、コバノイシカグマ科、タカワラビ科、ヘゴ科、コケシノブ科、ウラジロ科、ゼンマイ科、マツバラン科、ホウライシダ科、オシダ科、イノモトソウ科、イワヒバ科、アヤメ科、クワ科、シソ科、バラ科、カンアオイ科、ユキノシタ科、ラン科、アカザ科、シュウカイドウ科、キキョウ科、カヤツリグサ科、ツルナ科、マメ科、ゴマノハグサ科、ヒルガオ科、メギ科、トクサ科、イネ科、アカネ科、フクロソウ科、キンポウゲ科、ドクダミ科、ヒユ科、ザクロソウ科、アマ科、ヒカゲノカズラ科、ヒガンバナ科、サクラソウ科、タデ科、ナス科、ムサラキ科、カタバミ科、ブドウ科、イラクサ科、ハナシノブ科、クマツヅラ科、ツユクサ科、ベンケイソウ科、イワヒバ科、キョウチクトウ科、スミレ科、アブラナ科等が挙げられる。わい性低木類としては、例えば、イチイ科、ヒノキ科、センリョウ科、ツゲ科、モチノキ科、ツバキ科、オトギリソウ科、グミ科、マタタビ科、トケイソウ科、ミズキ科、ツツジ科、ジンチョウゲ科、トウダイグサ科、サボテン科、ヤシ科、トベラ科、マンサク科、フジウツギ科、モクセイ科、ロウバイ科等が挙げられる。ツル植物類としては、例えば、ヤブコウジ科、スイカズラ科、フジウツギ科、モクレン科、ノウゼンカズラ科、ニシキギ科、ウコギ科、アケビ科等が挙げられる。その他、オシロイバナ科、カバノキ科、フトモモ科、カンナ科、アブラナ科、メシダ科、ヤナギ科等が挙げられる。放射性物質吸収植物13には、これらの中から1種以上を組み合わせて用いることができる。放射性物質吸収植物13は、地域による気候や地形、土地の利用形態、土質等に合わせて、適宜植付けに適した植物を1種以上用いることができる。
上述した放射性物質吸収植物13のうち、芝草のようなイネ科の植物は有用であり、ヌカボ属、アワガエリ属、カモガヤ属、ウシノケグサ属、ドクムギ属、イチゴツナギ属、ヤギュウシバ属、ギョウギシバ属、カゼクサ属、シバ属、ムカデシバ属、ツルヒメシバ属、スズメノヒエ属、チカラシバ属、イヌシバ属等のいずれかから1種類以上用いることが好ましい。
特に、放射性物質吸収植物13のうち、例えば、タデ科のオオイタドリ、ミゾソバ、イラクサ科のアカソ、その他、スベリユヒ、アマランサス、ヒマワリ、カキチシャ等の栽培植物等は放射性物質のうちCsの吸収能力が高い。センリョウ科のヒトリシミズ科、イラクサ科のアカソ、ユキノシタ科のヤグルマソウ、その他、ヒマワリ、アマランサス等の栽培植物等は放射性物質のうちSrの吸収能力が高い。イグサ科のマルイ、アカザ科のオカヒジキ、キク科のタカサブロウ、その他、ヒマワリ、アマランサス等の栽培植物等は放射性物質のうちIの吸収能力が高い。本実施形態では、土壌は放射性物質11で汚染されているため、こうした放射性物質吸収植物13を用いることが好ましい。
また、放射性物質吸収植物13は、上記の植物等を用いて遺伝子を組み込んで形質転換した植物を作製して用いることもできる。
汚染土壌12が複数の放射性物質11により汚染されている場合は、相対的に生育特性に優れた植物、すなわち土壌の表層の放射性物質11の拡散を遮断する能力に優れた植物と、各放射性物質11に対する吸収能力が相対的に優れた植物を複数組み合わせて用いることが有効である。例えば、Cs、Sr、Iに汚染された土壌については、各放射性物質の吸収能力が比較的高い植物を複数用いる。具体的には、上述のように、タデ科のオオイタドリ、ミゾソバ、イラクサ科のアカソ、その他、スベリユヒ、アマランサス、ヒマワリ、カキチシャ等の栽培植物等はCsの吸収能力が高い。センリョウ科のヒトリシミズ科、イラクサ科のアカソ、ユキノシタ科のヤグルマソウ、その他、ヒマワリ、アマランサス等の栽培植物等はSrの吸収能力が高い。イグサ科のマルイ、アカザ科のオカヒジキ、キク科のタカサブロウ、その他、ヒマワリ、アマランサス等の栽培植物等はIの吸収能力が高い。そのため、こうした植物を放射性物質吸収植物13として用いて複数組み合わせて作付けするのが好ましい。
汚染土壌12に放射性物質吸収植物13を植栽すると、汚染土壌12に含まれる放射線物質11は放射性物質吸収植物13に吸収される。放射線物質11はイオン化されて放射性物質吸収植物13に吸収される。そして、放射性物質吸収植物13に吸収された放射線物質11は、放射性物質吸収植物13の根、茎、葉の順に流動し、各部位に蓄積されていく傾向にある。また、放射性物質吸収植物13は、イオン化された放射線物質11のみならず、安定な化合物として存在する放射線物質11もイオン化して吸収する。
汚染土壌12に含まれる放射性物質11を吸収するのに適した放射性物質吸収植物13を選定して、放射性物質11で汚染された汚染土壌12に放射性物質吸収植物13を作付し、放射性物質吸収植物13に放射性物質11を吸収し、蓄積させる。これにより、放射性物質11で汚染された土壌をそのまま残し、その土壌の利用形態を変えることなく、汚染土壌12から放射性物質11を除去することができる。
また、汚染土壌12が水田などのように土壌の表面に水14が存在する場合には、放射性物質吸収植物13として稲などを用いてもよい。
<放射性物質吸収植物の収穫工程:ステップS12>
図2に示すように、放射性物質11で汚染された汚染土壌12に放射性物質吸収植物13を作付し、作付けした放射性物質吸収植物13が十分生育し、放射性物質吸収植物13に放射性物質11を蓄積させた後、放射性物質吸収植物13を定期的に刈り取り、放射性物質11を蓄積した放射性物質吸収植物13を収穫する(ステップS12)。
汚染土壌12に含まれる放射性物質11を放射性物質吸収植物13内に蓄積した後、放射性物質11を蓄積した放射性物質吸収植物13を収穫することにより、放射性物質11を土壌から除去することができる。これにより、汚染土壌12に含まれる放射性物質11の除去効果が得られ、放射性物質11を含む汚染土壌12の浄化を効率よく行うことができる。この結果、放射性物質吸収植物13の根が伸びている土壌中の放射性物質11の含有量を環境基準値以下まで低減することができる。また、汚染土壌12を掘削等することなく土壌をそのまま保持した状態で浄化できるため、掘削等による放射性廃棄物の発生量を抑制することができる。
また、粉塵等の発生を抑制する観点からも、放射性物質吸収植物13は、掘り取るよりも地上部のみを刈り取ることが好ましい。放射性物質11は放射性物質吸収植物13の根にも放射性物質11が吸収されているため、放射性物質吸収植物13全体を除去したほうが放射性物質11の除去量は多い。しかし、土壌中の放射性物質11は放射性物質吸収植物13の根から吸収され地上部分(茎、葉)に茎、葉の順に転流する傾向にあるため、放射性物質吸収植物13の地上部分(茎と葉)のみを除去するだけでも十分な放射性物質11の除去効果を有する。
また、放射性物質吸収植物13が吸収する放射性物質11の量により汚染土壌12に含まれる放射性物質11の含有量は異なるが、放射性物質吸収植物13の作付けを繰り返し行うことで、汚染土壌12に含まれる放射性物質11の含有量が環境基準値以下にまで低減することができる。
次に、放射性物質吸収植物13を収穫した後、収穫した放射性物質吸収植物13をバイオマス原料として加圧熱水との対向接触による水熱分解処理工程(ステップS13)にて処理を行う。
本実施形態において、バイオマスとは、特に限定されるものではなく、地球生物圏の物質循環系に組み込まれた生物体又は生物体から派生する有機物の集積をいう(JIS K 3600 1258参照)。バイオマスは、セルロース系バイオマス原料や炭水化物系原料などを含み、バイオマスとしては、特に、木質系の例えば広葉樹、草本系等のリグノセルロース資源や農業系廃棄物、食品廃棄物等を用いるのが好ましい。また、セルロース系バイオマス原料としては、例えば稲藁、麦稈、コーンストーバー(トウモロコシの茎)、コーンコブ(トウモロコシの芯)、EFB(アブラヤシの空果房)等を例示することができる。また、炭水化物系原料としては、例えばトウモロコシ、米、小麦、大麦、キャッサバなどの穀物類を挙げることができる。本実施形態においては、放射性物質吸収植物13はセルロース系バイオマス原料として用いられる。
本実施形態において用いられるバイオマス原料は、汚染土壌に存在するあらゆるバイオマス原料を用いることができ、放射性物質吸収植物13などセルロース系バイオマス原料のように食用に用いることができないバイオマスの他に、炭水化物系原料などのように食用に用いることができるバイオマスも含むことができる。
<水熱分解処理工程:ステップS13>
図3は、放射性物質を蓄積した放射性物質吸収植物13から放射性物質11を除去する工程を簡略に示す図である。図3に示すように、収穫した放射性物質吸収植物はセルロース系バイオマス原料(以下、「バイオマス原料」という)20として用い、バイオマス原料20は粉砕機21で粉砕された後、水熱分解装置22Aに供給される。水熱分解装置22Aを用いて収穫した放射性物質吸収植物であるバイオマス原料20を加圧熱水と対向接触させて、放射性物質を熱水側に移行させて熱水排出液として抜き出すと共に、放射性物質が除去されたバイオマス固形分を熱水排出液の排出側とは異なる側から抜き出す(ステップS13)。
バイオマス原料20は、粉砕機21で、例えば5mm以下に粉砕され、バイオマス原料粉砕物24となる。バイオマス原料粉砕物24は、水熱分解装置22Aで水熱処理される。水熱分解装置22Aは、バイオマス原料粉砕物24を加圧熱水25と対向接触させつつ水熱分解し、加圧熱水25中に放射性物質、リグニン成分及びヘミセルロース成分を移行し、バイオマス原料20のバイオマス固体中から放射性物質、リグニン成分及びヘミセルロース成分を分離してなるものである。こうして、バイオマス原料20が水熱処理されたバイオマス水熱処理物は、バイオマス原料粉砕物24を水熱分解装置22Aで水熱処理され、バイオマス固形分である固形画分26と、加圧熱水25中に放射性物質、リグニン成分及びヘミセルロース成分を移行した水熱抽出画分(熱水排出液)27とになる。
(水熱分解装置)
バイオマスの水熱分解装置22Aの構成の一例の概念図を図4に示す。図4に示すように、水熱分解装置22Aは、バイオマス供給装置31と、反応装置32と、バイオマス抜出装置33とを有するものである。バイオマス供給装置31は、バイオマス原料粉砕物24を常圧下から加圧下に供給するものである。
反応装置32は、装置本体34内に設けられるスクリュー手段35と、装置本体34の外周に設けられる温度ジャケット36とを有する。反応装置32内に供給されたバイオマス原料粉砕物24を、いずれか一方(本実施形態では下方側)から装置本体34の内部にて、スクリュー手段35により他方(上方)へ搬送すると共に、バイオマス原料粉砕物24の供給箇所とは異なる他方(上方)の側から加圧熱水25、加圧窒素(N2)37を装置本体34の内部に供給し、バイオマス原料粉砕物24と加圧熱水25とを対向接触させつつ水熱分解するものである。これにより、放射性物質、リグニン成分及びヘミセルロース成分は加圧熱水25中に移行し、バイオマス原料粉砕物24中から分離され、水熱抽出画分27として反応装置32から排出される。
バイオマス抜出装置33は、反応装置32の他方からバイオマス固形分である固形画分26を抜出すものである。バイオマス抜出装置33は、固形画分26を冷却水で冷却して生じた脱水液38を反応装置32から排出される水熱抽出画分27に混合する。
本実施形態では、バイオマス原料粉砕物24を下端部側から供給しているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、これとは逆に上端部側から供給するようにしてもよく、この際には、加圧熱水25は下端部側から供給する。
常圧下から加圧下に供給するバイオマス供給装置31としては、例えばスクリューフィーダー、ピストンポンプ又はスラリーポンプ等の手段を挙げることができる。
反応装置32は、本実施形態では、縦型の装置としているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、傾斜型の装置や、水平型の装置としてもよい。ここで、縦型や傾斜型とするのは、水熱分解反応において発生したガスや原料中に持ち込まれたガス等が上方から速やかに抜けることができ、好ましいからである。また、加圧熱水25で分解生成物を抽出するので、抽出効率の点から上方から下方に向かって抽出物の濃度が高まることとなり、好ましいものとなる。
本実施形態では、バイオマス原料20を水熱分解装置22Aに供給する前に、前処理装置として、粉砕機21を用いて前処理するようにしているが、本実施形態は、これに限定されるものではなく、バイオマス原料20の粒径が十分小さい場合には粉砕機21を設けなくてもよい。また、バイオマス原料20又はバイオマス原料粉砕物24は粉砕機21又は水熱分解装置22Aに供給する前に洗浄装置により洗浄するようにしてもよい。なお、バイオマス原料20が例えば籾殻等の場合には、バイオマス原料20は水熱分解装置22Aに供給する前に粉砕機21等で粉砕処理することなく、そのままバイオマス供給装置31に供給してもよい。
反応装置32における、反応温度は180℃以上240℃以下とするのが好ましい。さらに好ましくは200℃以上230℃以下とするのがよい。これは、180℃未満の低温では、水熱分解速度が小さく、長い分解時間が必要となり、装置の大型化につながり、好ましくないからである。一方240℃を超える温度では、分解速度が過大となり、セルロース成分が固体から液体側への移行を増大すると共に、ヘミセルロース系糖類の過分解が促進され、好ましくないからである。また、ヘミセルロース成分は約140℃付近から、セルロースは約230℃付近から、リグニン成分は140℃付近から各々溶解するが、セルロースを固形分側に残し、且つ放射性物質を加圧熱水25中に溶解すると共に、ヘミセルロース成分及びリグニン成分が十分な分解速度を持つ180℃以上240℃以下の範囲とするのがよい。
反応圧力は装置本体34の内部が加圧熱水25の状態となる、各温度の水の飽和蒸気圧に更に0.1MPa以上0.5MPa以下の高い圧力とするのが好ましい。
反応時間は、20分以下とするのが好ましく、3分以上10分以下とするのがより好ましい。これはあまり長く反応を行うと過分解物の割合が増大し、好ましくないからである。
本実施形態では、反応装置32の装置本体34内の加圧熱水25とバイオマス原料粉砕物24との流動は、バイオマス原料粉砕物24と加圧熱水25とを対向接触させる、いわゆるカウンターフローで接触・撹拌・流動するようにすることが好ましい。
反応装置32では、バイオマス原料粉砕物24の固形分は底部側から供給され、加圧熱水25は頂部側から供給され、相互が対向して移動することにより、加圧熱水(熱水、分解物が溶解した液)25は、固体であるバイオマス原料粉砕物24とカウンターフローに固体粒子間に滲みながら移動することとなる。
本実施形態においては、反応装置32の内部には気体部分が存在することとなるので、加圧窒素(N2)37を内部に供給するようにしているが、本実施形態は、これに限定されるものではなく、反応装置32の内部に加圧窒素(N2)37を供給しなくてもよい。
反応装置32内におけるバイオマス原料粉砕物24の昇温は、反応装置32内で加圧熱水25と接触させ、直接熱交換することにより可能である。なお、必要に応じて、外部から水蒸気等を用いて加温するようにしてもよい。
水熱分解装置22Aにおいて、バイオマス原料粉砕物24と加圧熱水25とを対向接触させることにより、加圧熱水25に可溶化され易い成分から順次排出されると共に、バイオマス原料粉砕物24の投入部から熱水投入部まで温度勾配が生じるため、ヘミセルロース成分の過分解が抑制され、結果的に5炭糖成分を効率よく回収することができる。さらに、対向接触させることで、熱回収ができ、システム効率の観点から好ましいものとなる。
よって、水熱分解装置22Aに供給されたバイオマス原料20は、水熱分解装置22Aから固形画分(主にセルロース)26および水熱抽出画分27がバイオマス水熱処理物として排出される。水熱分解装置22Aにおいて放射性物質吸収植物13を加圧熱水25と向流(カウンターフロー)で対向接触させて水熱分解することにより、糖やアルコールの原料となる固形画分26と、放射性物質を含有する水熱抽出画分27とを一段処理で効率的に分離することができる。
水熱分解装置22Aは、図4に示すような構成に限定されるものではない。図5は、バイオマスの水熱分解装置の他の構成の一例を示す概念図である。図5に示すように、水熱分解装置22Bは、バイオマス供給装置41と、反応装置42と、バイオマス抜出装置33とを有する。なお、V11〜V15は、差圧調整弁(ON−OFF弁)を示す。
バイオマス供給装置41は、バイオマス原料(本実施形態では、例えば放射性物質吸収植物のうちの麦わら等)20のバイオマス原料粉砕物24を常圧下から加圧下に供給する装置である。バイオマス供給装置41としては、例えば、ピストンポンプ又はスラリーポンプ等のポンプ手段を挙げることができる。
反応装置42は、装置本体44内に設けられる固定撹拌手段45と、装置本体44の外周に設けられる温度ジャケット36とを有する。装置本体44内に供給されたバイオマス原料粉砕物24を、上下のいずれかの端部側(本実施形態では下端側)から垂直型装置本体(以下「装置本体」という)の内部を圧密状態で徐々に移動させると共に、バイオマス原料粉砕物24の供給とは異なる端部側(本実施形態では上端側)から加圧熱水25を装置本体44内部に供給し、バイオマス原料粉砕物24と加圧熱水25とを対向接触させつつ水熱分解し、加圧熱水25中に放射性物質、リグニン成分及びヘミセルロース成分を移行し、バイオマス原料粉砕物24中からリグニン成分及びヘミセルロース成分を分離してなる反応装置である。
バイオマス抜出装置33は、上述の通り、装置本体44の加圧熱水25の供給部側からバイオマス固形分である固形画分26を抜出すものである。
装置本体44の内部には、バイオマス原料粉砕物24をいわゆるプラグフローの圧密状態で撹拌するための固定撹拌手段45が設けられている。固定撹拌手段45が回転することにより、内部に送り込まれるバイオマス原料粉砕物24を軸方向に移動する際に、固定撹拌手段45が回転することで生じる撹拌作用によりバイオマス原料粉砕物24は撹拌される。固定撹拌手段45を装置本体44の内部に設けることにより、装置本体44内で固体表面、固体中の加圧熱水25の混合が進み、反応が促進される。
水熱分解装置22Bの反応装置42の装置本体44内の加圧熱水25とバイオマス原料粉砕物24との流動は、バイオマス原料粉砕物24と加圧熱水25との混合を効率よく行い、反応を促進する観点から、バイオマス原料粉砕物24と加圧熱水25とを対向接触させる、いわゆるカウンターフローで撹拌・流動するようにすることが好ましい。
水熱分解装置22Bは、プラグフロー型による水熱分解であるので、構造が簡易であり、固体であるバイオマス原料粉砕物24は、管中心軸と垂直に攪拌されながら、管中心軸と平行に移動することとなる。一方、加圧熱水25(熱水、分解物が溶解した液)は、固体に対しカウンターフローにて固体粒子間に滲みながら移動する。
また、プラグフローでは、加圧熱水25の均一な流れを実現することができる。固体のバイオマス原料粉砕物24が加圧熱水25により分解すると、分解物が熱水側に溶解する。分解部近傍は高粘度となり、未分解部近傍へ優先的に熱水が移動し、未分解部が続いて分解する。これにより、均一な熱水の流れが形成され、均一な分解が実現される。
水熱分解装置22Bは、装置本体44内に固定撹拌手段45を有しているため、水熱分解装置22Bにおける装置本体44内面の管壁の抵抗により、装置本体44内において、バイオマス原料粉砕物24の入口側に比べ、バイオマス原料粉砕物24の出口側の固体密度が減少すると共に、バイオマス原料粉砕物24の分解によりバイオマス固形分である固形画分26が減少する。このため、加圧熱水25の占める割合が増加し、液滞留時間が増加することにより、液中の分解成分が過分解する。このため、水熱分解装置22Bは、装置本体44内に少なくとも固定撹拌手段45を設けることで、加圧熱水25の占める割合を抑制し、液滞留時間を減少することにより、液中の分解成分が過分解することを抑制することができる。
よって、水熱分解装置22Bに供給されたバイオマス原料20は、水熱分解装置22Bから固形画分26および水熱抽出画分27がバイオマス水熱処理物として排出される。
<放射性物質処理工程:ステップS14A>
図3に示すように、水熱抽出画分27を熱水排出液として抜き出した後、熱水排出液27から放射性物質を処理する(ステップS14A)。水熱分解装置22A、22Bから排出された水熱抽出画分27を回収した後、水熱抽出画分27に移行した放射性物質は適宜処理される。
このように、本実施形態に係る有害物質の処理方法によれば、放射性物質吸収植物13を加圧熱水25と向流(カウンターフロー)で対向接触させて水熱分解することにより、バイオマス原料20に含まれていた放射性物質を一段処理で効率的に水熱抽出画分27へ移行させることができる。これにより、糖やアルコールの原料となる固形画分26と、放射性物質を含有する水熱抽出画分27とを一段処理で効率的に分離することができる。
したがって、本実施形態に係る有害物質の処理方法によれば、汚染土壌の浄化を図りつつ、放射性物質を吸収した放射性物質吸収植物から放射性物質を効率良く回収し、処理することができる。
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係る有害物質の処理方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る有害物質の処理方法において以下に示す各工程について、図1に示す本発明の第1の実施形態に係る有害物質の処理方法の各工程と共通する工程については説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態に係る有害物質の処理方法は、放射性物質処理工程(ステップS14B)が、水熱抽出画分(熱水排出液)27を加熱して放射性物質を残渣として処理する液体分離工程(ステップS21)を含むものである。
図7は、放射性物質を蓄積した放射性物質吸収植物13から放射性物質11を除去する工程を簡略に示す図である。図7に示すように、水熱分解後の水熱抽出画分(熱水排出液)27は蒸留塔(液体分離装置)51に送給され、蒸留塔51において水熱抽出画分27を加熱して、水熱抽出画分27を形成する液体(主に水)52を蒸発させ、気化してガス化した後、冷却して液体に戻す。これにより、水熱抽出画分27中に含まれる放射性物質と、水熱抽出画分27を形成する液体52とは分離される。蒸留塔51内に残った残渣53は放射性物質を含んでいるため、残渣53を焼却処理した後、放射性物質を含む廃棄物(放射性廃棄物)は廃棄される。
よって、本実施形態に係る有害物質の処理方法によれば、蒸留塔51において水熱抽出画分(熱水排出液)27の水分を加熱により蒸発させて放射性物質を含む残渣53を回収しているため、放射性廃棄物を減溶して、放射性物質を処理することができる。
本実施形態においては、液体分離装置として蒸留塔51を用いているが、これに限定されるものではなく、放射性物質と、水熱抽出画分27を形成する液体52とに分離できる液体分離装置であればよい。
蒸留塔51内で水熱抽出画分27を形成する液体52を蒸発して生じたガスが流通するガス流路には、ガス中に含まれる放射性物質を吸着するためのフィルタを備えた吸着処理装置を設けるようにしてもよい。ガス流路に吸着処理装置を設けることで、蒸留塔51で水熱抽出画分27を加熱して生じたガスに放射性物質が同伴される場合でも、ガスに同伴した放射性物質を吸着処理装置で吸着処理することができるため、ガスに同伴した放射性物質が系外に排出されるのを抑制することができる。
蒸留塔51から排出される液体52を送給するための液体流路には、液体52中に含まれる放射性物質を吸着するためのゼオライトを備えた吸着処理装置を設けるようにしてもよい。液体流路に吸着処理装置を設けることで、蒸留塔51から排出された液体52に放射性物質が同伴される場合でも、液体52に同伴した放射性物質をゼオライトで吸着処理することができるため、液体52に同伴した放射性物質が系外に排出されるのを抑制することができる。
[第3の実施形態]
図8は、本発明の第3の実施形態に係る有害物質の処理方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る有害物質の処理方法において以下に示す各工程について、図1、Aに示す本発明の第1、2の実施形態に係る有害物質の処理方法の各工程と共通する工程については説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態に係る有害物質の処理方法は、放射性物質処理工程(ステップS14C)が、水熱抽出画分(熱水排出液)27中に含まれる固形分を固液分離する固液分離工程(ステップS31)と、水熱抽出画分27中に含まれる固形分を固液分離して得られた液体に含まれる放射性物質を吸着処理する液体分離工程(ステップS32)とを含むものである。なお、液体分離工程(ステップS32)は、図6に示す本発明の第2の実施形態に係る有害物質の処理方法の液体分離工程(ステップS21)と同様であるため、説明を省略する。
図9は、放射性物質を蓄積した放射性物質吸収植物13から放射性物質11を除去する工程を簡略に示す図である。図9に示すように、水熱抽出画分27は固液分離装置55に送給され、固液分離装置55で水熱抽出画分(熱水排出液)27中に含まれる固形分を固液分離する(ステップS31)。
本実施形態においては、固液分離装置55としては、例えば、遠心分離機等が挙げられるが、これに限定されるものではなく、固形分と、水熱抽出画分27を形成する液体52とに分離できるものであればよい。
固液分離装置55で水熱抽出画分(熱水排出液)27中に含まれる固形分が分離された後、固形分56は乾燥機57に送給する。固液分離装置55で分離された固形分56は湿分を有しているため、乾燥機57で固形分56を加熱することで、固形分56中に含まれる放射性物質と、液体とは分離される。乾燥機57内に残った残渣53は固形分56に起因するものであり放射性物質を含んでいるため、残渣53を焼却処理した後、放射性廃棄物として廃棄される。
固液分離装置55で分離された液体58を排出するための液体排出流路59には、液体58中に含まれる放射性物質を吸着するための吸着処理装置60を設ける。吸着処理装置60で、水熱抽出画分27中に含まれる固形分56を固液分離して得られた液体58に含まれる放射性物質を吸着処理する(ステップS32)。液体排出流路59に吸着処理装置60を設けることで、固液分離装置55から排出された液体58に含まれる放射性物質を吸着処理することができるため、液体58に含まれる放射性物質が系外に排出されるのを抑制することができる。
吸着処理装置60としては、例えば、ゼオライトを備えた吸着処理装置などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、放射性物質と液体58とを分離できるものであればよい。
よって、本実施形態に係る有害物質の処理方法によれば、固液分離装置55において予め放射性物質を含む液体58を分離して、分離された液体58に含まれる放射性物質を吸着処理装置60で吸着させて放射性物質を回収しているため、放射性廃棄物を減溶して、放射性物質を処理することができる。
また、乾燥機57内で水熱抽出画分27を形成する液体52を蒸発して生じたガスが流通するガス流路には、上述と同様に、ガス中に含まれる放射性物質を吸着するためのフィルタを備えた吸着処理装置を設けるようにしてもよい。ガス流路に吸着処理装置を設けることで、乾燥機57で水熱抽出画分27を加熱して生じたガスに放射性物質が同伴される場合でも、ガスに同伴した放射性物質を吸着処理装置で吸着処理することができるため、ガスに同伴した放射性物質が系外に排出されるのを抑制することができる。
乾燥機57から排出される液体52を送給するための液体流路には、上述と同様に、液体52中に含まれる放射性物質を吸着するためのゼオライトを備えた吸着処理装置を設けるようにしてもよい。液体流路に吸着処理装置を設けることで、乾燥機57から排出された液体52に放射性物質が同伴される場合でも、液体52に同伴した放射性物質をゼオライトで吸着処理することができるため、液体52に同伴した放射性物質が系外に排出されるのを抑制することができる。
[第4の実施形態]
図10は、本発明の第4の実施形態に係る有害物質の処理方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る有害物質の処理方法において以下に示す各工程について、図1に示す本発明の第1の実施形態に係る有害物質の処理方法の各工程と共通する工程については説明を省略する。
図10に示すように、本実施形態に係る有害物質の処理方法は、放射性物質処理工程(ステップS14D)が、熱水排出液中に含まれる有価物原料から有価物としてアルコールを生成する有価物生成工程(ステップS41)と、液体分離工程(ステップS42)とを含むものである。なお、液体分離工程(ステップS42)は、図6に示す本発明の第2の実施形態に係る有害物質の処理方法の液体分離工程(ステップS21)と同様であるため、説明を省略する。
有価物生成工程(ステップS41)は、以下の工程を含む。
(A) 熱水排出液に酵素を添加して糖液を生成する糖液生成工程(ステップS41−1)
(B) 得られた糖液に、酵母を添加してアルコールを生成するアルコール発酵工程(ステップS41−2)
<有価物生成工程:ステップS41>
図11は、放射性物質を蓄積した放射性物質吸収植物13から放射性物質11を除去する工程を簡略に示す図である。図11に示すように、水熱抽出画分27を熱水排出液として抜き出した後、熱水排出液27から放射性物質を含む有価物として糖液及びアルコールを生成する(ステップS41)。
(糖液生成工程:ステップS41−1)
バイオマス水熱処理物のうち固形画分26は酵素糖化槽(C6)61に送給され、熱水排出液27は酵素糖化槽(C5)62に送給される。
酵素糖化槽(C6)61は、水熱分解装置22Aから排出される固形画分26中のセルロースを第1の酵素(セルラーゼ)63で酵素処理して6炭糖を含む第1の糖液64を得るものである。
酵素糖化槽(C5)62は、水熱分解装置22Aから排出される熱水排出液27中に移行されたヘミセルロース成分を第2の酵素65で酵素処理して5炭糖を含む第2の糖液66を得るものである。
酵素糖化槽(C6)61で得られた第1の糖液64と、酵素糖化槽(C5)62で得られた第2の糖液66とは、アルコール発酵原料として糖液供給管L11−1、L11−2を介してアルコール発酵槽67−1、67−2に各々供給される。
なお、本実施形態においては、固形画分26を酵素糖化槽(C6)61に送給しているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、固形画分26は糖化せず、そのまま排出してもよい。
(アルコール発酵工程:ステップS41−2)
アルコール発酵槽67−1、67−2に第1の糖液64、第2の糖液66を供給した後、第1の糖液64、第2の糖液66をアルコール発酵する。アルコール発酵槽67−1、67−2は、第1の糖液64、第2の糖液66に酵母(微生物)68を添加して発酵し、アルコール(有価物)69を生成する発酵槽である。第1の糖液64、第2の糖液66は、アルコール発酵槽67−1、67−2内でアルコール発酵槽67−1、67−2内に添加される酵母68により所定条件において発酵処理がなされる。アルコール発酵槽67−1、67−2においてアルコール発酵がなされたアルコール69はアルコール発酵液71として発酵液供給ラインL12−1、L12−2より蒸留塔72に送給される。
また、第2の糖液64は熱水排出液27に含まれていた放射性物質を含むため、アルコール発酵槽67−2で発酵処理されて生じるアルコール69は放射性物質を含んだまま蒸留塔72に送給される。また、アルコール発酵槽67−2で第2の糖液66を発酵処理して生じる残渣73は酵母残渣排出ラインL13−2から排出される。
また、第1の糖液64をアルコール発酵槽67−1で発酵処理して生じる残渣74は酵母残渣排出ラインL13−1から排出される。
また、残渣73、74は、上記のように、アルコール発酵槽67-1、67-2で排出されずアルコール発酵液71と供に蒸留塔72に送給してもよい。
<液体分離工程:ステップS42>
アルコール発酵液71は蒸留塔72で蒸留され、蒸留物75となる。蒸留塔72は、上述の蒸留塔51と同様であるため、説明は省略する。蒸留された蒸留物75は、アルコール供給ラインL14を通過して脱水器76など精製装置で精製され、アルコールタンク77に送給され、貯留される。このアルコールタンク77からアルコール供給ラインL15により必要に応じて製品であるエタノールなどのアルコール78が供給される。
また、蒸留塔72における蒸留残渣80は、蒸留残渣排出ラインL16により排出され、乾燥器82、冷却器83を通過して放射性廃棄物84として排出される。
このように、本実施形態に係る有害物質の処理方法によれば、汚染土壌の浄化を図りつつ、放射性物質を吸収した放射性物質吸収植物から生じる放射性廃棄物の減容化を図ることができる。
すなわち、従来から用いられている汚染土壌を除去する方法では、大量の汚染土壌を採取し、移送しなければならないため、莫大な経費と労力を要する上、除去した汚染土壌を別の場所に移転させるだけの一時的な処理策となることが多く、移転先でも同様に汚染問題を引き起こす可能性がある。そのため、汚染土壌を除去する方法は、恒久的な解決方策とはいえない。また、植物に放射性物質を吸収させて処理する方法だけでは、放射性廃棄物が大量に発生し、有効な解決方策とはいえない。これに対し、本実施形態に係る有害物質の処理方法では、放射性物質を吸収した放射性物質吸収植物をバイオマス原料として用いて放射性物質を含まないアルコールを製造することができると共に、放射性物質吸収植物からアルコールを製造する過程において残渣として生じる放射性廃棄物には放射性物質を高濃度に濃縮させることができる。よって、本実施形態に係る有害物質の処理方法によれば、汚染土壌の浄化を図りつつ、放射性物質を吸収した放射性物質吸収植物の有効利用を図ることができると共に、放射性廃棄物の減容を図り、放射性廃棄物の処理に要する費用の軽減を図ることができる。
特に、本実施形態に係る有害物質の処理方法を用いて生じる放射性廃棄物84の量は、放射性物質で汚染された汚染土壌を放射性廃棄物として処理する場合に比べて、例えば、1000分の1程度にまで減容することが可能となる。
また、放射性物質で汚染された地域で生産された農産物は風評被害を受けることで、こうした地域で生産された農産物は売買が拒否されるか売価が低下する場合もあるが、本実施形態に係る有害物質の処理方法によれば、こうした農産物もアルコールなどの有価物(有機原料)を製造するための原料として安定かつ安全に利用することができる。
また、放射性物質で汚染された地域で生産された農産物をアルコールなどの有価物を製造するための原料として用いることができるため、放射性物質で汚染された地域の住民の新たな雇用を創出することができると共に、汚染地域の住民の所得を確保することが可能となる。また、このようにして製造されたアルコールなどの有価物を有効活用することで、石油等の輸入比率を低減することに寄与することもできる。
また、放射性物質で汚染された地域で生産された農産物の有効利用も図ることで、放射性物質で汚染された地域において新たな産業を創出することに寄与することも可能となる。
なお、本実施形態においては、水熱抽出画分(熱水排出液)27中の放射性物質を含む廃棄物を減容して処理するようにしているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。水熱分解により得られた固形画分26側にも放射性物質が含有される場合には、熱水排出液27と同様に、蒸留塔72で生じる蒸留残渣80に放射性物質が含まれるため、放射性物質を含む廃棄物を減容して、放射性物質を処理することができる。
また、本実施形態においては、アルコール発酵液71をアルコール発酵槽67−1、67−2から発酵液供給ラインL12−1、L12−2により蒸留塔72に送給して蒸留しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。図12は、本実施形態に係る有害物質の処理方法の一部の他の一例を示す図である。図12に示すように、発酵液供給ラインL12−2に放射性物質を吸着処理するフィルタ−を備えた吸着処理装置86を設けるようにしてもよい。これにより、アルコール発酵液71中に残留した放射性物質を吸着処理することができるため、アルコール発酵液71中に残留した放射性物質を同伴することなくアルコール発酵液71を蒸留塔72に送給することができる。
吸着処理装置86としては、ゼオライトなど放射性物質を吸着する多孔質部材をフィルタの材料として用い、放射性物質とアルコール発酵液71とをフィルタで分離するものを用いているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、アルコール発酵液71を遠心分離する遠心分離装置などを用いてもよい。遠心分離操作などで得られた固形物は蒸発乾固することで放射性物質を含む廃棄物を減容して処理することができる。
また、本実施形態においては、蒸留塔72で蒸留された蒸留物75をアルコールタンク77に送給しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。図13は、本実施形態に係る有害物質の処理方法の一部の他の一例を示す図である。図13に示すように、アルコール供給ラインL14に蒸留物75中に残留した放射性物質を吸着処理するフィルタ−を備えた吸着処理装置87を設けるようにしてもよい。これにより、蒸留塔72からアルコール供給ラインL14に排出される蒸留物75中に残留した放射性物質を除去することができる。
アルコールタンク77に送給される蒸留物75に放射性物質が残留している場合には、吸着処理装置87で蒸留物75に残留している放射性物質を吸着処理装置87で除去することができる。これにより、より確実に放射性廃棄物を回収することができると共に、信頼性の高いアルコールを提供することができる。
吸着処理装置87は、吸着処理装置86と同様、ゼオライトなど放射性物質を吸着する多孔質部材をフィルタ−の材料として用いたものを用いているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、蒸留物75を遠心分離する遠心分離装置などを用いてもよい。遠心分離操作などで得られた固形物は蒸発乾固することで放射性物質を含む廃棄物を減容して処理することができる。
また、本実施形態においては、熱水排出液27を水熱分解装置22Aから糖液供給ラインL11−2によりアルコール発酵槽67−2に送給して発酵しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。図14は、本実施形態に係る有害物質の処理方法の一部の他の一例を示す図である。図14に示すように、糖液供給ラインL11−2に放射性物質を吸着処理するフィルタ−を備えた吸着処理装置88を設けるようにしてもよい。これにより、第2の糖液66中に含まれる放射性物質を吸着処理することができるため、第2の糖液66中に含まれる放射性物質を同伴することなく第2の糖液66をアルコール発酵槽67−2に送給することができる。
吸着処理装置88は、吸着処理装置86と同様、ゼオライトなど放射性物質を吸着する多孔質部材をフィルタ−の材料として用いたものを用いているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、第2の糖液66を遠心分離する遠心分離装置などを用いてもよい。遠心分離操作などで得られた固形物は蒸発乾固することで放射性物質を含む廃棄物を減容して処理することができる。
本実施形態においては、有価物生成工程(ステップS41)は、水熱分解装置から排出される熱水排出液に酵素を添加して糖液を生成する糖液生成工程(ステップS41−1)と、得られた糖液に、酵母を添加してアルコールを生成するアルコール発酵工程(ステップS41−2)とを含む場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、水熱分解装置を含むものであればよい。有価物生成工程(ステップS41)の他の例としては、例えば、セルロース、ヘミセルロース、リグニンを有価物に変換するための化学試薬を添加する化学手法や生物学的手法を用いて、固形画分26、水熱抽出画分27に含まれるセルロース、ヘミセルロース、リグニンをアルコール78に変換する方法等が挙げられる。
本実施形態においては、有害物質として放射性物質の場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、生物、植物、環境などに悪影響を与える可能性のあるものであればよく、例えば、軽金属や重金属などの有害金属、ダイオキシン、農薬、除草剤、化学薬品等においても本実施形態に係る有害物質の処理方法は同様に適用することができる。軽金属としては、例えば、アルカリ金属、ベリリウム(Be)やマグネシウム(Mg)などのアルカリ土類金属、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タリウム(TI)などが挙げられる。また、重金属としては、例えば、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、ヒ素(As)、クロム(Cr)、銅(Cu)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)などが挙げられる。
本実施形態においては、汚染領域として汚染土壌の場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、汚染された湿地帯、水田、湖、沼等においても本実施形態に係る有害物質の処理方法は同様に適用することができる。
本実施形態においては、有価物としてアルコールの場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、蒸留して得られるアルコール以外の液体であってもよい。
本実施形態では、第1の糖液64及び第2の糖液66を用いて有価物であるアルコール発酵を行う場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、発酵処理により求めるものとして、有価物であるアルコール類(エタノール、メタノール等)以外の、化成品原料となる石油代替品類又は食品・飼料原料となるアミノ酸類をアルコール発酵槽67−1、67−2で得ることができる。
化成品としては、例えばLPG、自動用燃料、航空機用ジェット燃料、灯油、ディーゼル油、各種重油、燃料ガス、ナフサ、ナフサ分解物であるエチレングリコール、エタノールアミン、乳酸、アルコールエトキシレート、塩ビポリマー、アルキルアルミニウム、PVA、酢酸ビニルエマルジョン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、MMA樹脂、ナイロン、ポリエステル等を挙げることができる。よって、枯渇燃料である原油由来の化成品の代替品及びその代替品製造原料として放射性物質吸収植物から生成される第1の糖液64及び第2の糖液66を効率的に利用することができる。
11 放射性物質
12 汚染土壌
13 放射性物質吸収植物
14 水
20 セルロース系バイオマス原料(バイオマス原料)
21 粉砕機
22A、22B 水熱分解装置
24 バイオマス原料粉砕物
25 加圧熱水
26 固形残渣画分(固形画分)
27 水熱抽出画分(熱水排出液)
31、41 バイオマス供給装置
32、42 反応装置
33 バイオマス抜出装置
34、44 装置本体
35 スクリュー手段
36 温度ジャケット
37 加圧窒素(N2
38 脱水液
45 固定撹拌手段
51 蒸留塔
52、58 液体
53 残渣
55 固液分離装置
56 固形分
57 乾燥機
59 液体排出流路
60、86〜88 吸着処理装置
61 酵素糖化槽(C6)
62 酵素糖化槽(C5)
63 第1の酵素(セルラーゼ)
64 第1の糖液
65 第2の酵素
66 第2の糖液
67−1、67−2 アルコール発酵槽
68 酵母(微生物)
69、78 アルコール
71 アルコール発酵液
72 蒸留塔
73、74 残渣
75 蒸留物
76 脱水器
77 アルコールタンク
80 蒸留残渣
82 乾燥器
83 冷却器
84 放射性廃棄物
L11−1、L11−2 糖液供給管
L12−1、L12−2 発酵液供給ライン
L13−1、L13−2 酵母残渣排出ライン
L14、L15 アルコール供給ライン
L16 蒸留残渣排出ライン
V11〜V15 差圧調整弁(ON−OFF弁)

Claims (7)

  1. 有害物質で汚染された汚染領域に有害物質吸収植物を作付し、前記有害物質吸収植物に前記有害物質を蓄積させ、前記有害物質を蓄積した前記有害物質吸収植物を収穫し、前記有害物質吸収植物中に含まれる前記有害物質を処理する有害物質の処理方法であって、
    収穫した前記有害物質吸収植物を加圧熱水と対向接触させて、前記有害物質を熱水側に移行させて熱水排出液として抜き出すと共に、前記有害物質が除去されたバイオマス固形分を前記熱水排出液の排出側とは異なる側から抜き出す水熱分解処理工程と、
    前記熱水排出液から前記有害物質を処理する有害物質処理工程と、
    を含む有害物質の処理方法。
  2. 請求項1において、
    前記有害物質処理工程が、前記熱水排出液を加熱して前記有害物質を残渣として処理する液体分離工程を含むことを特徴とする有害物質の処理方法。
  3. 請求項1又は2において、
    前記有害物質処理工程が、前記熱水排出液中に含まれる固形分を固液分離する固液分離工程と、
    前記熱水排出液中に含まれる固形分を固液分離して得られた液体に含まれる前記有害物質を吸着処理する吸着処理工程と、
    を含むことを特徴とする有害物質の処理方法。
  4. 請求項1乃至3の何れか1つにおいて、
    前記有害物質処理工程が、前記熱水排出液中に含まれる有価物原料から有価物を生成する有価物生成工程を含むことを特徴とする有害物質の処理方法。
  5. 請求項4において、
    前記有価物生成工程が、前記水熱分解装置から排出される前記熱水排出液を糖化する糖化工程を含むことを特徴とする有害物質の処理方法。
  6. 請求項4において、
    前記有価物生成工程が、前記熱水排出液に酵素を添加して糖液を生成する糖液生成工程と、
    得られた前記糖液に、酵母を添加してアルコールを生成するアルコール発酵工程と、
    を含むことを特徴とする有害物質の処理方法。
  7. 請求項1乃至6の何れか1つにおいて、
    前記有害物質吸収植物は、炭水化物系原料、リグニン成分及びヘミセルロース成分を含むセルロース系バイオマス原料であり、
    前記加圧熱水中に有害物質、リグニン成分及びヘミセルロース成分を移行し、前記有害物質吸収植物中から前記有害物質、リグニン成分及びヘミセルロース成分を分離し、
    前記バイオマス水熱処理物として、前記有害物質、リグニン成分及びヘミセルロース成分を含む水熱抽出画分を前記熱水排出液として生成すると共に、セルロース成分を含む固形画分を生成することを特徴とする有害物質の処理方法。
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