以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。先ず、図1〜図3には、本発明の一実施形態としての点滴スタンド10が示されている。この点滴スタンド10は、支柱12が基台14によって支持されており、図2及び図3に示されているように、支柱12が基台14に対して着脱可能とされている。なお、以下の説明中、上下方向とは、図1中の鉛直方向に相当する上下方向をいう。
より詳細には、支柱12は、図4に拡大正面図が示されているように、上下に延びるストレートなロッド形状とされている。支柱12は、一本の伸縮不能な構造であっても良いが、好適には複数本の中空管を内外挿して組み合わせることによりテレスコピック構造をもって伸縮可能な構造が採用される。支柱12の上端部分には、水平方向に突出する支持腕16が設けられており、この支持腕16により処置液収容体18や各種機器等が吊下支持可能とされている。
また、支柱12の下端部分には、外周面上に突出する環状突起20が一体的に形成されている。例えば、開口周縁部にフランジ部を備えたカップ形状のエンドキャップ22を、支柱12の下端に外嵌固定することにより、かかるエンドキャップ22のフランジ部によって環状突起20を形成することができる。
一方、基台14は、図5に拡大縦断面図が示されているように、中央の円形ブロック状のハブ部24を備えており、このハブ部24から平面放射状に延びる複数本の脚部26が形成されている。更に、各脚部26の先端にはキャスター28が装備されており、キャスター28の転動によって基台14がフロア上を滑動可能とされている。
また、ハブ部24には、上方に突出するハウジング30が設けられており、このハウジング30内に、支柱12の下部が内挿されて支持されるようになっている。なお、ハウジング30は、ハブ部24に対して、固定ボルト31等によって固定されている。
かかるハウジング30は、内部に収容スペース32が形成された中空構造とされていると共に、ハウジング30の周壁には、周上の一部において側方に向かって開口する側方窓部34が設けられている。この側方窓部34は、ハウジング30の上下方向略全長に亘って形成されており、収容スペース32が側方窓部34を通じて外部に開放されている。なお、ハウジング30には、蝶番構造をもって側方窓部34を覆う蓋体36が装着されており、この蓋体36によって側方窓部34が開閉可能とされている。
また、収容スペース32の上壁部38の中央部分には、側方窓部34側に開口するU字形の挿通切欠40が形成されている。そして、ハウジング30内で下部を支持された支柱12が、この挿通切欠40を通じて、上方に向かって突出されるようになっている。
また一方、基台14の収容スペース32の下部には、周壁内面から収容スペース32内に所定高さで突出する支持片42が設けられている。そして、図6に拡大斜視図が示されているように、ハウジング30内に収容された支柱12の下端部が、その環状突起20を支持片42上に載置されることにより、支柱12が軸方向下部において軸方向で位置決め支持されている。なお、本実施形態では、かかる支持片42によって軸方向支持部が構成されている。
また、収容スペース32において、支持片42の下方には、下側空間44が形成されている。この下側空間44は、支柱12における環状突起20より下方の軸方向長さよりも大きくされている。そして、支持片42で環状突起20を支持せしめた状態で、支柱12の下端面よりも下方に、支柱受渡し用の空間が所定大きさで確保されるようになっている。
さらに、収容スペース32の中央〜上部には、支柱12を軸直角方向で位置決め支持せしめるチャック部材46が組み込まれている。このチャック部材46は、図7〜10にも拡大した横断面図および縦断面図が示されているように、一対の開閉部材48a,48bが開閉可能に組み合わされることによって構成されている。
すなわち、開閉部材48a,48bは、周方向一方の端部側に設定された開閉軸49回りで相互に回動することで、周方向他方の端部側が相互に開閉するように組み合わされている。特に本実施形態では、開閉部材48a,48bが、何れも略半円形の断面形状をもって上下方向に所定長さで延びる長手構造を有する縦溝形の部材によって構成されている。
そして、閉状態では、一対の開閉部材48a,48bの周方向両端面が互いに重ね合わされて、上下方向に延びる円形断面の把持孔50を協働形成するようになっている。また、かかる閉状態から、一対の開閉部材48a,48bの前方(図7中の右方)側の重ね合わせ面が相互に開かれ、一対の開閉部材48a,48bの奥方(図7中の左方)側の重ね合わせ面の外周端部付近を開閉軸49として一対の開閉部材48a,48bが相対回動されることによって、図9に示される如き開状態とされるようになっている。
また、閉状態において、チャック部材46の前方(図7中の右方)には、一対の開閉部材48a,48bの突き合わせ部間に跨がって所定大きさの嵌合突起51が協働形成されている。かかる嵌合突起51はチャック部材46の前方に向かって突出する裁頭円錐形状とされており、チャック部材46の高さ方向で相互に離隔して複数個(本実施形態では2個)形成されている。また、蓋体36の内面には、これら嵌合突起51の各対応位置に、それぞれ、嵌合突起51に対応する穴内面形状をもった嵌合穴52が形成されている。そして、開閉部材48a,48bの閉状態下で、蓋体36が閉じられると、嵌合突起51が嵌合穴52に嵌まり込んで位置せしめられるようになっている。これにより、蓋体36の閉状態下では、嵌合突起51の嵌合穴52による係合作用に基づいて、一対の開閉部材48a,48bの開作動が阻止されるようになっており、開閉部材48a,48bの誤開作動を防止するロック機構が構成されている。
また、図11,12に示されているように、一対の開閉部材48a,48bにおける奥方の周方向端部間には、一対の開閉部材48a,48bの各一方から各他方に向かって突出して各他方の後面上に回り込む係合突部53a,53bが一体形成されている。そして、これら係合突部53a,53bの係合作用により、一対の開閉部材48a,48bが、相互に上下方向で位置決めされていると共に、一対の開閉部材48a,48bの開口方向となる水平方向一方向でも相互に位置決めされている。
なお、図12に示されているように、一対の開閉部材48a,48bの各一方から各他方の後面上に突出した係合突部53a,53bにおける、当該他方の開閉部材48a,48bの後面との対向面は、テーパ状に傾斜している。そして、一対の開閉部材48a,48bの閉状態下において、係合突部53a,53bにおける、当該他方の開閉部材48a,48bの後面との対向面間には、隙間54が形成されている。
この隙間54により、一対の開閉部材48a,48bにおける前述の如き奥方側の重ね合わせ面の外周端部付近を開閉軸49とした開作動が、係合突部53a,53bの存在下でも許容されている。また、一対の開閉部材48a,48bが開方向に相対変位した際には、隙間54が消失して係合突部53a,53bが開閉部材48a,48bの後面に当接することで、一対の開閉部材48a,48bの開方向への相対変位端が規定されるようになっている。なお、一対の開閉部材48a,48bの開方向端は、係合突部53a,53bとは別に開方向への相対変位規制手段を設けたり、一対の開閉部材48a,48bのハウジング30への当接構造などによって規定することも可能である。
さらに、一対の開閉部材48a,48bには、奥方側の重ね合わせ面を挟んだ両側部分において、それぞれ上下方向に延びる係合溝56a,56bが形成されている。そして、これら係合溝56a,56bに対して、第一及び第二のばね手段を構成する単一のばね部材である金属ばね58が係止されている。
金属ばね58は、図7〜10に示されているように、薄肉の金属板ばねであって、底部60と両側壁62,62からなる溝形断面を有しており、両側壁62,62の各先端部には溝内方に突出した係止部が一体形成されている。そして、この金属ばね58は、一対の開閉部材48a,48bの開閉軸49よりも奥方に位置して、開閉部材48a,48bに向かって開口して上下方向に延びる状態で配されており、両側壁62,62の各係止部が、一対の開閉部材48a,48bの係合溝56a,56bに係止されている。
これにより、金属ばね58による付勢力が、一対の開閉部材48a,48bの奥方に対して、それら開閉部材48a,48bを相互に接近方向に押し付ける方向に常時及ぼされるようになっている。また、付勢力の作用点となる一対の開閉部材48a,48bの係合溝56a,56bは、図7及び図9に示されているように、一対の開閉部材48a,48bの開閉軸49に対して、閉状態では支柱12側(図7中の右方)に位置する一方、開状態では支柱12と反対側(図9中の左方)に位置するように設定されている。
それ故、図7に示された一対の開閉部材48a,48bの閉状態では、金属ばね58の付勢力が、一対の開閉部材48a,48bに対して閉方向に及ぼされる。これにより、チャック部材46の閉状態が弾性的に保持される。また、図9に示された一対の開閉部材48a,48bの開状態では、金属ばね58の付勢力が、一対の開閉部材48a,48bに対して開作動方向に及ぼされる。これにより、チャック部材46の開状態が弾性的に保持される。これらの金属ばね58の付勢力が、一対の開閉部材48a,48bに対して、閉状態への保持力及び開状態への保持力として、選択的に及ぼされる。このことから明らかなように、本実施形態では、チャック部材46を閉状態に保持する第一のばね手段と、チャック部材46を開状態に保持する第二のばね手段とが、何れも金属ばね58で構成されている。
また、金属ばね58が組み付けられた一対の開閉部材48a,48bは、ハウジング30の収容スペース32内において、把持孔50が上下方向に延びる状態で収容されている。更に、ハウジング30には、上下方向中間部分で収容スペース32内に突出する中間受片64が形成されており、この中間受片64と上壁部38との間で一対の開閉部材48a,48bが軸方向に位置決めされて組み付けられている。
また、収容スペース32の奥方には、平板形状の支持プレート66が収容状態で固定されており、この支持プレート66に対して、金属ばね58の底部60が固定ビス68で固着されている。これにより、金属ばね58を介して、一対の開閉部材48a,48bが、収容スペース32内で、ハウジング30により開閉可能に保持されている。
なお、一対の開閉部材48a,48bには、固定ビス68の取付作業を容易とするために、前方及び奥方の各周壁部を貫通してサービスホール70が形成されている。また、一対の開閉部材48a,48bは、その閉状態下で把持孔50が、ハウジング30の上壁部38の挿通切欠40と同一中心軸上で上下方向に延びるように位置合わせされている。
さらに、収容スペース32には、一対の開閉部材48a,48bの開閉軸49よりも奥方に位置して、かかる開閉部材48a,48bを開閉作動させるための押圧部材としてのカム片72が配設されている。このカム片72は、金属ばね58と支持プレート66を貫通して配設されており、支持プレート66の奥方に配設された駆動ロッド74で作動されるようになっている。
駆動ロッド74は、ハウジング30内を上下方向に延びており、ハウジング30内で上下方向に変位可能に配設されている。そして、カム片72の奥方端部が、この駆動ロッド74に対して、連結ピン76により、回動可能に連結されている。また、カム片72は、ハウジング30に固定された支持プレート66の貫通孔77に挿通配置されている。これにより、駆動ロッド74の上下方向への変位に伴ってカム片72の奥方端部が上下方向に移動すると、図13及び図14に示されているように、カム片72の中間部分が支持プレート66の貫通孔77の上下端縁部に当接することで、カム片72が揺動変位せしめられるようになっている。
すなわち、駆動ロッド74が上方に位置せしめられた状態では、図14に実線で示されているように、カム片72は、その奥方端部が上方に位置し、前方端部が下方に垂れ下がった傾斜状態に保持される。そこから駆動ロッド74が下方に変位せしめられると、図14に仮想線で示されているように、カム片72は、その奥方端部が下方に変位するのに伴って、貫通孔77の下端縁部への当接作用で前方端部が上方に持ち上がり、略水平状態に移行する。要するに、駆動ロッド74を下方に変位させるような外力が及ぼされると、連動するカム片72にも略水平状態に移行させるような外力が及ぼされる。その結果、カム片72の前方端部が、支持プレート66から前方に向かって大きく突出することとなり、一対の開閉部材48a,48bの後面に対して押し付けられることとなる。
これにより、一対の開閉部材48a,48bは、図7,8に示された閉状態下において、奥方の左右方向(図7,9中の上下方向)両側を金属ばね58で係止されて位置決めされたままで、一対の開閉部材48a,48bの開閉軸49はカム片72で金属ばね58の係合溝56a,56bよりも前方(支柱12側、図9中の右方)に押し出される。その結果、図9,10に示されている如き開状態に移行されることとなる。
なお、開状態とされた一対の開閉部材48a,48bを閉状態に移行させるには、駆動ロッド74を上方に移動させてカム片72を傾斜状態にしてから、一対の開閉部材48a,48bに対して閉方向に外力を及ぼせば良い。実際には、開状態とされた一対の開閉部材48a,48bに対して支柱12を側方から差し入れて押し込むことにより、支柱12で一対の開閉部材48a,48bの底部を奥方に押圧することによって、閉方向へ作動させる外力が加えられることとなる。
また、金属ばね58の付勢力は、図7,9に示されている如き横断面において付勢力の作用点である係合溝56a,56bと開閉軸49とが直線上に並んだ平衡位置を境にして、一対の開閉部材48a,48bに対して開作動方向と閉作動方向とに択一的に作用する。要するに、チャック部材46を閉状態に保持する第一のばね手段と、開状態に保持する第二のばね手段とにより、チャック部材46が、開状態と閉状態とに選択的に状態保持される。それ故、一対の開閉部材48a,48bの開作動および閉作動が、適当な節度感をもって容易に且つ確実に実現されると共に、開状態および閉状態に安定して保持されることとなる。
更にまた、駆動ロッド74の下端部分は、ハウジング30からハブ部24を貫通して下方に突出しており、その下端に対して、外部操作部材78が係止されている。この外部操作部材78は、水平方向に延びる支軸80により、ハブ部24に対して揺動可能に取り付けられていると共に、ハブ部24との間に介装された圧縮スプリング82によって、常時、揺動方向一方の側に付勢されている。
そして、この外部操作部材78の揺動部位に設けられた係止軸84に対して、駆動ロッド74の下端が係止されており、外部操作部材78が圧縮スプリング82の付勢力で上向きに保持された状態下、外部操作部材78が上方に位置決め保持されるようになっている。また、かかる状態下、外部操作部材78の先端操作部86を、足踏み等で下方に向けて押下操作することにより、圧縮スプリング82の付勢力に抗して外部操作部材78が支軸80回りに揺動せしめられる。それに伴い、外部操作部材78に係止された駆動ロッド74が下方に向けて変位せしめられ、その結果、一対の開閉部材48a,48bが開方向に作動せしめられる。上記のように、一対の開閉部材48a,48bを開方向に作動させる外部操作部材78を設けることにより、駆動ロッド74及びカム片72を含んで開操作手段が構成されている。
なお、かかる外部操作部材78は、足踏み等による押下操作後に、圧縮スプリング82の付勢力より、揺動方向一方の側に付勢されて自動復帰するが、駆動ロッド74を介して駆動されるカム片72で開作動された一対の開閉部材48a,48bは、金属ばね58の付勢力に基づいて開状態に保持され得る。
従って、上述の如き構造とされた点滴スタンド10では、基台14に対して支柱12を水平方向の側方から装着して固定的に支持せしめることができる。即ち、基台14のハウジング30の蓋体36を開いて、開状態に保持された一対の開閉部材48a,48bの開放口を、側方窓部34を通じて開口させた状態下、支柱12の下部を水平方向の側方から、側方窓部34を通じて一対の開閉部材48a,48b内に出し入れすることができる。その後、支柱12を押し入れて一対の開閉部材48a,48bの奥方に押し当てることにより、一対の開閉部材48a,48bを閉状態とし、支柱12の下部を一対の開閉部材48a,48bで把持させることができる。
また、支柱12を一対の開閉部材48a,48b内に差し入れる際には、ハウジング30の支持片42に対して支柱12の環状突起20を載置するように軸方向に位置合わせすることで、支柱12の軸方向荷重をハウジング30で受けることができる。要するに、本実施形態では、基台14による支柱12の支持状態下、支柱12が一対の開閉部材48a,48bからなるチャック部材46で軸直角方向に位置決め支持されると共に、環状突起20で軸方向に位置決め支持される。
また、支柱12を基台14、言い換えると一対の開閉部材48a,48bから取り外す際には、先ず、ハウジング30の蓋体36を開いた状態で、外部操作部材78の先端操作部86を足踏み等で下方に向けて押下操作する。かかる操作により、一対の開閉部材48a,48bが開状態となり、側方窓部34を通じて、支柱12を水平方向に取り外すことが可能となる。
次に、図15には、基台14と別体に設けられて、患者支持装置(本実施形態ではベッド)88にアタッチメント部90を介して固定的に装着されるフレーム92と、フレーム92に設けられて、支柱12の下部を固定して支持する固定支持部94の構造が示されている。また、図16には、かかる固定支持部94により支柱12が支持されている状態が示されている。
フレーム92は板形状とされており、このフレーム92の一方の面にはベッド等の患者支持装置88に取り付けるアタッチメント部90が設けられている。本実施形態ではアタッチメント部90が、患者支持装置(ベッド)88を上下に挟み込むようにして固定されるようになっている。即ち、アタッチメント部90は上側取付片91a及び下側取付片91bを備えている。上側取付片91aはフレーム92に固着されており、下側取付片91bはフレーム92に対して上下可動とされている。これにより、上下取付片91a,91bで患者支持装置(ベッド)88の構造部材を挟んで、フレーム92を患者支持装置88に固定している。
また、フレーム92における、アタッチメント部90を有する面と反対の表面には、支柱12の下部を固定及び支持する固定支持部94が設けられており、固定支持部94は、載置部96と複数個(本実施形態では2個)の把持部98から構成されている。そして、載置部96と複数個の把持部98とによって協働して支柱12が固定及び支持されるようになっている。
載置部96は、フレーム92の下端に設けられており、支柱12の下部を軸方向で位置決め支持する。即ち、載置部96はフレーム92の表面上に突出しており、支柱12の下端面が載置されることによって支柱12の自重を支えるようにして、支柱12を軸方向で位置決め支持している。なお、載置部96に載置された支柱12は、支柱12の下端面が載置部96上を滑るように移動せしめられることで、支柱12が水平方向に取り出し可能とされている。また、載置部96の突出先端部分の上面は傾斜面とされており、先端側に行くに従って、高さが低くなっている。これにより、支柱12を水平方向で入れる際に、載置部96への打ち当たりを回避しつつ支柱を支持位置にまで案内するようになっている。
また、載置部96の上方に設けられた把持部98は、フレーム92の高さ方向で相互に離隔して設けられており、支柱12の下部を軸直角方向で位置決め支持するようになっている。即ち、把持部98は、フレーム92の表面に固定的に設けられたブロック形状とされており、その中央部分には、フレーム92からの突出方向先端面に開口して上下方向に延びるU字形の嵌合溝99が形成されている。この嵌合溝99の内周面が、支柱12の外周面形状に対応しており、嵌合溝99の深さ寸法も、支柱12の外径寸法と同じに設定されている。これにより、嵌合溝99に対して、支柱12が、開口部から奥方に嵌め入れられて収容されるようになっている。
また、把持部98における嵌合溝99の開口側端面には、嵌合溝99の幅方向一方の側においてロッド状の閂100が、支軸102回りで回動可能に取り付けられている。更にまた、嵌合溝99の幅方向他方の側に位置する開口側端面には、閂100の先端部を係止することで、嵌合溝99の開口部に掛け渡された状態で閂100を固定する係止ピン104が設けられている。
そして、嵌合溝99の開口部に対して、支柱12を水平方向に嵌め入れた後、閂100を支軸102回りで回動させて係止ピン104で係止させることで、嵌合溝99の開口部に閂100を掛け渡してロックすることにより、支柱12を把持部98により、軸直角方向に位置決め支持せしめるようになっている。
上述のとおり患者支持装置(ベッド)88に対して支柱12の下部を固定的に支持せしめる載置部96および把持部98は、前述の点滴スタンド10の基台14において支柱12の下部を固定的に支持せしめる支持片42およびチャック部材46に対して、支柱12の軸方向で異なる高さ位置に設定されて、互いに外れた位置に設けられている。
本実施形態では、下側の把持部98が、基台14におけるチャック部材46と支持片42との間に対応する位置に設けられていると共に、上側の把持部98が、ハウジング30の上壁部38よりも高い位置に設けられている。一方、載置部96は、基台14の収容スペース32において、支持片42の下方に形成された下側空間44に対応する高さ位置に設けられている。
これにより、患者支持装置88に固定されたフレーム92に対して、点滴スタンド10を対峙させて、フレーム92における載置部96および把持部98と基台14における支持片42およびチャック部材46とを相互に対向位置させつつ、点滴スタンド10をフレーム92に向けて接近移動させることにより、フレーム92の載置部96および把持部98が、基台14の支持片42およびチャック部材46を上下に避けて、基台14のハウジング30の内部(収容スペース32)や上方に差し入れられるようになっている。その結果、図17に示されているように、支柱12を、点滴スタンド10と患者支持装置88との間で受け渡して移設することが可能とされている。特にかかる受け渡しに際しては、図18に示されているように、点滴スタンド10側の支持片42およびチャック部材46と、患者支持装置88側の載置部96および把持部98との両方で、支柱12が軸方向で相違する位置で同時に固定的に支持されるようになっており、支柱12の倒れや外れ等のアクシデントが防止され得る。
因みに、図17(a)〜(c)には、点滴スタンド10から患者支持装置88に支柱12を受け渡して移設する工程が示されている。先ず、図17(a)に示されているように、フレーム92が装着された患者支持装置88に対して、移設する支柱12を固定的に支持せしめた点滴スタンド10を接近させる。
次に、図17(b)に示されているように、点滴スタンド10におけるハウジング30の蓋体36を開いてから、ハウジング30の側方窓部34をフレーム92の表面に対峙させ、フレーム92に設けられた載置部96と把持部98をハウジング30の内部や上方に対して水平方向で差し入れる。その後、図18に示されているように、点滴スタンド10側の支持片42およびチャック部材46で位置決め支持せしめたままで、支柱12を、フレーム92上の載置部96および把持部98によって位置決め支持せしめる。
なお、フレーム92における複数の把持部98では、その少なくとも一つにおいて、閂100を閉操作して支柱12の水平方向への抜け出しを阻止せしめるようにされる。また、かかる状態下では、支柱12を介して、フレーム92が固定された患者支持装置88に対して、点滴スタンド10の基台14が、連結固定されている。
続いて、図17(c)に示されているように、点滴スタンド10において、外部操作部材78の先端操作部86を足踏み等で下方に向けて押下操作して、一対の開閉部材48a,48bを開状態とし、基台14における支柱12への位置決め固定を解除する。その後、基台14を患者支持装置88から遠ざけるように水平方向に抜き取る。これにより、支柱12は基台14から外れ、フレーム92により患者支持装置88に対して固定的に支持される。なお、閂100が掛け渡されていない把持部98が残っている場合には、全ての把持部98において閂100を閉状態にする。これにより、支柱12を、点滴スタンド10の基台14から患者支持装置88へ移設する作業が完了する。
なお、上記とは逆に、患者支持装置88から基台14へ支柱12を受け渡す際の工程は上記の各作業を前後逆にして行うことによって実現される。簡単に説明すると、先ず、図17(c)に示されているように、支柱12を固定的に支持せしめた患者支持装置88のフレーム92に対して、支柱12が取り外された点滴スタンド10の基台14を対向位置せしめる。また、必要に応じてフレーム92上の複数の把持部98の一部において閂100を解除する一方、基台14の蓋体36を開け、フレーム92に対して基台14を接近移動させる。そして、図17(b)に示されているように、フレーム92上の載置部96と把持部98で固定的に支持されたまま、支柱12を、基台14の収容スペース32に押し入れて、図18に示されているように、支柱12をチャック部材46に押し付けることにより、一対の開閉部材48a,48bを閉作動させて、支持片42で軸方向支持せしめた状態で把持させる。このようにして支柱12を、フレーム92側と基台14側との両方で同時に固定的に支持せしめた状態から、フレーム92側の把持部98の閂100の全てを解除してフレーム92側への支柱12の固定力を開放した後、基台14を患者支持装置88から離隔方向に移動させることにより、支柱12を患者支持装置88から取り外して基台14だけに支持させて受け渡すことができる。
上述の構造とされた本実施形態の点滴スタンド10においては、固定用ねじの螺着や取り外し等といった時間と労力を要する作業が必要とされることなく、支柱12を基台14に対して、容易に且つ速やかに着脱することが出来る。しかも、基台14に対する支柱12の着脱を、鉛直方向に向けて支持した支柱12の中心軸に直交する水平方向に向けて支柱12を移動させることによって行うことが出来るから、着脱に際して支柱12を基台14から上方に抜き取ったり差し込んだりする必要がなく、作業を安全に行うことが可能になる。更に、基台14のチャック部材46と、フレーム92の固定支持部94との両方での支柱12の支持状態から、基台14のチャック部材46と、フレーム92の固定支持部94との一方による支持を解除するだけで、支柱12を基台14とフレーム92との間で受け渡すことができるため、容易に且つ安全に、しかも安定して速やかに移設することが可能になる。
特に本実施形態では、チャック部材46に把持された支柱12を取り外す操作も、外部操作部材78を足踏み等するだけでチャック部材46による支柱12の把持状態が解除されるようになっている。また、チャック部材46へ支柱12を把持させる際にも、支柱12をチャック部材46の奥方に押し付けるだけでチャック部材46による支柱の把持状態が実現されるようになっている。それ故、基台14に対する支柱12の固定および解除の操作を、一層容易に行うことができる。
また、本実施形態では、チャック部材46を構成する一対の開閉部材48a,48bに対して開方向および閉方向への付勢力を及ぼす第一及び第二のばね手段が、溝形の特定構造とされた単一のばね部材(金属ばね58)で構成されていることから、部品点数の減少と構造の簡略化が達成され得る。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその具体的な記載によって限定的に解釈されない。例えば、基台14において支柱12を軸方向で支持する支持片42や、フレーム92において支柱12を軸方向で支持する載置部96は、必ずしも必要でない。蓋し、基台14やフレーム92において、支柱12に対する軸方向の位置決め力が得られれば良く、例えばチャック部材46や把持部98によって支柱12の軸方向支持力が得られるならば、支持片42や載置部96は必要ない。要するに、基台14およびフレーム92において、支柱12に対する軸直角方向および軸方向の位置決め力を及ぼすものであれば、具体的な支持構造は限定されるものでなく、例えば基台14やフレーム92に取り付けた挿通ピンを支柱12に挿通すること等によっても、支持構造が実用可能である。
また、本実施形態では患者支持装置88として入院患者用ベッドを用いたが、これに限るものではなく、車椅子や施術ベッドなどでもよい。また、患者支持装置(特にベッド)88が、上下動可能とされているタイプでもよい。患者用ベッドは多くが30〜40cm程上下動するようになっている。その際、例えば、ベッドに対してフレーム92の位置がモーター等で上下動されて、基台14の高さに合わせることができるようにした構造等も採用可能である。或いは、ベッドを所定高さに位置合わせした状態下で、ベッドの支柱12の保持高さと基台14の支柱12の保持高さが合致するように設定しておけば、支柱12の受け渡しを支障なく行うことが出来る。具体的には、例えば、ベッドを最下端に移動させ、ベッドの支柱12の保持高さと、基台14の支柱12の保持高さを等しくする。これにより、支柱12の受け渡しを、ベッドを最下端に移動させてから行うこととし、上下動可能なベッドでも支柱12の受け渡しを安定して行うことが出来る。
また、本実施形態ではアタッチメント部90により患者支持装置88の上下を挟み込んで、患者支持装置88とフレーム92を固定していたが、これに限るものではなく、患者支持装置88の本体とフレーム92を接着や溶着、ボルト、リベット等で固着してもよい。また、患者支持装置88の構造材に対して巻き付けられる締付バンド等を用いて、フレーム92を患者支持装置88に固定することも可能である。更にまた、アタッチメント部90を介することなく、例えば患者支持装置88の構造部材などに対してフレーム92を一体形成したり、患者支持装置88の構造部材をフレーム92として利用する等しても良い。
さらに、図19には、本発明の点滴スタンドを構成する第二の実施形態としての基台110が示されている。なお、本実施形態の基台110は、その基本構造を第一の実施形態と同じにするものであるから、第一の実施形態と同様な構造とされた部材については図中に同一の符号を付することにより、詳細な説明を省略する。
すなわち、本実施形態の基台110では、第一の実施形態の基台14と、次の第一〜第三の点において相違している。第一の相違点は、チャック部材46を構成する一対の開閉部材48a,48bの開作動を阻止する安全機構が設けられていることである。第二の相違点は、ハウジング30に形成された収容スペース32の底面が、側方窓部34の前方に向かって滑らかに広がる押圧作用面112として形成されていることである。第三の相違点は、基台14で把持される支柱12に関するものであるが、支柱12の下端のエンドキャップ22には、外周面上において周方向で弦方向に広がる位置決め用の平坦面又は切欠き114が形成されていると共に、下面において開口する係合穴116が形成されていることである。
第一の相違点である上述の安全機構は、図20〜23に示されているように、駆動ロッド74に固設されたストッパ片118,118が、チャック部材46を構成する一対の開閉部材48a,48bの開方向への変位を阻止する機構によって実現されている。即ち、ストッパ片118,118は、駆動ロッド74の幅方向両側から、一対の開閉部材48a,48bの両側に向かって突出するように設けられている。特に本実施形態では、チャック部材46の長さ方向の中間部分と下端部分とにそれぞれ対応する位置に計二対のストッパ片118,118が形成されている。一方、一対の開閉部材48a,48bには、長さ方向の中間部分において、それぞれ、ストッパ片118よりも大きな開口窓120が形成されている。
そして、足踏ペダル式の外部操作部材78が足踏操作されておらずに駆動ロッド74が上端に位置せしめられることにより一対の開閉部材48a,48bが閉保持された状態が、図20,21に示されている。かかる閉保持状態では、一対のストッパ片118,118が、一対の開閉部材48a,48bの両側で開口窓120,120を上方に外れて位置せしめられていると共に、他の一対のストッパ片118,118が、一対の開閉部材48a,48bの両側で下端部にかかって位置せしめられている。
それ故、このように外部操作部材78が足踏操作されていない状態では、一対の開閉部材48a,48bの開方向への変位が二対のストッパ片118,118への当接によって阻止されるようになっている。
一方、足踏ペダル式の外部操作部材78が足踏操作されて駆動ロッド74が下方に移動して下側変位端に位置せしめられると、二対のストッパ片118,118も駆動ロッド74と共に下方に移動する。その結果、図22,23に示されているように、一対のストッパ片118,118が、一対の開閉部材48a,48bの両側で開口窓120,120内に位置せしめられると共に、他の一対のストッパ片118,118が、一対の開閉部材48a,48bを下方に外れて位置せしめられることとなる。
それ故、このように外部操作部材78が足踏操作されると、二対のストッパ片118,118による一対の開閉部材48a,48bの開作動阻止が解除される。その結果、駆動ロッド74で連動駆動されるカム片72,72の押圧作動による一対の開閉部材48a,48bの開作動が許容されて、チャック部材46の開放作動が実現されるのである。
このような二対のストッパ片118,118による安全機構を設けたことにより、本実施形態の基台110では、例えばハウジング30の蓋体36を開状態としたままでも、外部操作部材78を足踏操作しない限り、支柱12等に及ぼされる外力作用などによって、予期せずにチャック部材46が開放されることが防止される。
第二の相違点である上述の押圧作用面112は、ハウジング30の収容スペース32の底面が、側方窓部34の開口前方に向かって略水平か僅かに下方に傾斜した平坦面をもって形成されている。そして、この押圧作用面112は、後述する患者支持装置としてのベッド等に固定されるフレーム122(図24,30〜32参照)と基台110との間での支柱12の受け渡しに際して、フレーム122に対する支柱12の係止状態を解除する機能を発揮する。なお、このような押圧作用面112の係止解除機能は、後述する図30〜32の説明で明らかにする。
第三の相違点である上述のエンドキャップ22は、支柱12の下端に対して固着されており、図24に示されているように、外周面上に鍔状に突出する環状突起20において、その外周面上の適当な部位に形成された切欠き114を備えている。そして、図面上に明示はされていないが、この切欠き114は、後述する図32に示されている如き支柱12の基台110による保持状態下で、基台110のハウジング30の蓋体36が閉じられることにより、蓋体36の内面に突設された突起等に係合されるようになっている。
これにより、蓋体36を閉じたハウジング30内に保持された支柱12は、エンドキャップ22の切欠き114に対する蓋体36の内面突起等の係合作用により周方向の回転が阻止されて位置決めされている。それ故、基台110で支持された支柱12は、例えば外力などが作用しても、基台110上での中心軸回りの回転が阻止されて、安定した支持状態に保持され得る。
また、かかるエンドキャップ22において下面の中央に開口して形成された係合凹所としての係合穴116は、図24に示されているように、患者支持装置としてのベッド等に固定されるフレーム122に対して支柱12を支持せしめる際の固定支持に用いられる。この固定支持の機構について、以下に説明する。
すなわち、ベッド等に固定されるフレーム122には、支柱12の下部を固定的に支持するために、上端部分に把持部124が設けられていると共に、下端部分に係止部126が設けられており、これら把持部124と係止部126を含んで、支柱12の下端をフレーム122に支持せしめる固定支持部128が構成されている。
係止部126は、図25〜28に示されているように、下方に開口する中空構造の函体形状を有する載置台130を有しており、かかる載置台130がフレーム122から突出して固定されている。載置台130の上面には、半周を囲繞壁132で囲まれた平坦な載置面134が形成されている。また、載置台130の突出先端側には、載置面134から次第に下方に傾斜するスロープ状の案内面136が設けられている。
さらに、載置台130の底壁には、載置面134の中央部分に位置して貫通孔138が形成されている。この貫通孔138に対して、下方から係合部材140が上下に出入可能に嵌め入れられた状態で組み付けられている。なお、係合部材140の下端にはフランジ状突部が形成されており、係合部材140が上方に変位させられた際、貫通孔138から載置面134上に係合部材140の上端部分が所定高さで突出せしめられるが、係合部材140が貫通穴138から完全に抜け出してしまわないようになっている。
また、係合部材140の下方には、載置台130の中空内部に収容された状態で、解除操作部材としての作用レバー142が組付けられている。この作用レバー142は、長さ方向の中間部分に挿通された支軸144の回りで回動可能に支持されていると共に、支軸144に外挿装着された金属バネ146により、常時一方向に付勢されている。即ち、図27中において支軸144回りで左向きに付勢されており、図27に示される左回りの移動端に弾性的に位置決めされている。
この左回りの移動端に位置決めされた作用レバー142は、一方の端部において係合部材140の下面に当接されており、係合部材140を貫通穴138から上方に突出せしめた状態に保持するようになっている。また、作用レバー142の他方の端部は、載置台130の下端面から下方に向かって所定高さで突出せしめられている。そして、この下方に突出した作用レバー142の他方の端部に外力を加えて、作用レバー142を、図27中で右回りに、金属バネ146の付勢力に抗して回動させることにより、図29に示されているように、係合部材140への押し上げ力が解除されて、係合部材140が自重により下降せしめられ、貫通穴138内に係合部材140が収容位置せしめられるようになっている。
このような係止部126は、載置台130の載置面134に対して支柱12の下端が載置されることにより、支柱12を軸方向に位置決めして支持せしめることとなる。また、載置面134に載置された支柱12は、その軸直角方向の変位が囲繞壁132で阻止されることに加えて、図24に示されているように、係合穴116に対する係合部材140の係合作用によっても、軸直角方向の位置決めが実現されるようになっている。
特に本実施形態では、金属バネ146の付勢力に抗して作用レバー142を回動させることによる係合部材140の下降作動が、図30〜32に示されているように、基台110のフレーム122に対する接近操作で自動的に行われるようになっている。即ち、フレーム122の固定支持部128で支持された支柱12を、基台110側へ受け渡すに際しては、第一の実施形態と同様に、基台110のハウジング30の蓋体を開いてチャック部材46を開放させた状態で、基台110をフレーム122に対して接近移動させることとなる。この際、図30に示されているように、基台110のハウジング30の下部で前方に延び出した押圧作用面112が、フレーム122の載置台130の下に入り込み、基台側の部材としてのハブ部24の押圧作用面112上に乗るようにして載置台130が移動せしめられる。その結果、図31に示されているように、載置台130から下方に突出した作用レバー142がハウジング30の押圧作用面112に乗り上げて、作用レバー142が図中で右回りに回動せしめられ、それに伴って係合部材140が下方に移動する。このようにして、係止部126による支柱12に対する軸直角方向の規制が解除されることとなり、図32に示されているように、支柱12を基台110側へ移動させる受け渡しが許容されるのである。
一方、フレーム122に対して支柱12を支持せしめる固定支持部128を、上記係止部126と協働して構成する前記把持部124は、図33〜42に示されているように、開閉可能なフレーム側蓋体150を備えたフレーム側ハウジング152内に、開閉可能な一対のフレーム側開閉部材154,154からなるフレーム側チャック部材156が組み付けられた構造とされている。そして、フレーム側蓋体150の開操作により開かれたフレーム側ハウジング152の側方窓部155を通じて、支柱12がフレーム側チャック部材156に対して受け渡されるようになっている。
すなわち、把持部124は、その基本構造を、第一の実施形態における基台14において支柱12を把持するための構造と同じにしており、それを上下に小型化したものとして捉えると理解し易い。そして、かかる把持部124は、一対のフレーム側開閉部材154,154を開いた状態で支柱12を側方から受け渡し可能とされていると共に、一対のフレーム側開閉部材154,154を閉じた状態で支柱12の外周面を把持して軸直角方向に位置決め支持するようになっている。
なお、かかる把持部124は、基本的構造を基台14と同じにするが、開閉操作機構やロック機構などの細部において異なっていることから、以下に簡単に説明を追加する。
先ず、フレーム122に固定されるフレーム側ハウジング152には、上下に延びる溝形の板ばねからなるフレーム側ばね部材としてのフレーム側金属ばね158が固定されており、このフレーム側金属ばね158により開状態と閉状態に択一的に付勢保持されるようにして、一対のフレーム側開閉部材154,154が組み付けられている。なお、一対のフレーム側開閉部材154,154は、第一実施形態における基台14の一対の開閉部材48,48と同じ構造とされており、フレーム側蓋体150内面に係止されて開作動が阻止されるフレーム側嵌合突起151,151等も、第一実施形態における基台14と同様に備えており、フレーム側蓋体150が閉じられた状態下では支柱12を把持部124によって確実に把持し続けるための第二の安全ロック機構が構成されている。
また、一対のフレーム側開閉部材154,154を閉状態から開作動させるためのフレーム側押圧部材160が、フレーム側開閉部材154,154の後方上部に配設されている。このフレーム側押圧部材160は、水平方向に延びる軸部材162の略中央に固着されており、軸部材162と一体的に回動変位されるブロック形状とされている。更に、かかる軸部材162には、両端部分に対して左右の操作片164,164が固着されて取り付けられている。これら左右の操作片164,164は、フレーム側ハウジング152から上方に突出しており、かかる操作片164,164に対して手指等による外力を加えることにより、軸部材162を介して、フレーム側押圧部材160が回動せしめられるようになっている。
すなわち、本実施形態では、左右の操作片164,164と軸部材162を含んで、フレーム側押圧部材160を駆動するフレーム側外部操作部材が構成されている。そして、このフレーム側外部操作部材を操作して、フレーム側押圧部材160を一対のフレーム側開閉部材154,154に対して後方から押圧駆動させることで、かかる一対のフレーム側開閉部材154,154を閉状態から開作動させることができるようになっている。
特に本実施形態では、上記のフレーム側押圧部材160および左右の操作片164,164を利用して、閉状態にある一対のフレーム側開閉部材154,154における不用意なの開作動を阻止する開作動規制手段が構成されている。即ち、一対のフレーム側開閉部材154,154で保持された支柱12に対して大きな外力が及ぼされた場合等に、一対のフレーム側開閉部材154,154が強制的に開作動されて支柱12が外れてしまうことが防止されるようになっている。
具体的には、フレーム側押圧部材160の外方上端には、一対のフレーム側開閉部材154,154に向かって突出して、一対のフレーム側開閉部材154,154の上端部に設けられた係合凹部166に係止されることで一対のフレーム側開閉部材154,154の開作動を阻止するカギ形係止部168が形成されている。また、左右の操作片164,164には、一対のフレーム側開閉部材154,154の各側面から外方に突設される係合凸部170,170に係止されることで一対のフレーム側開閉部材154,154の開作動を阻止するフック形係止部172,172が形成されている。そして、これらカギ形係止部168およびフック形係止部172,172は、軸部材162に外挿されて組付けられた付勢バネ(図面上では明示せず)でフレーム側押圧部材160および左右の操作片164,164が軸部材162回りに常時付勢されていることにより、係合凹部166および係合突部170,170への係止状態に保持されるようになっている。
もっとも、これらカギ形係止部168およびフック形係止部172,172は、フレーム側開閉部材154,154が開操作されるのに伴って、係合凹部166および係合突部170,170から係止解除されて、一対のフレーム側開閉部材154,154の開作動が許容されるようになっている。それ故、フレーム側外部操作部材による正常な開操作に際しては、特別な解除操作を必要とすることがなく、フレーム側チャック部材156の速やかな開操作が可能とされている。
一方、このようにフレーム側外部操作部材によりフレーム側開閉部材154,154が開操作されると、カギ形係止部168やフック形係止部172,172による開作動阻止機能が自動解除されてしまうことから、フレーム側開閉部材154,154に予期しない外力が及ぼされたりした場合に、一対のフレーム側開閉部材154,154が不用意に開作動してしまうことが避けられない。そこで、本実施形態では、更に、フレーム側開閉部材154,154の誤作動を防止するための第一の安全ロック機構が設けられている。
この第一の安全ロック機構は、フレーム側ハウジング152内に組み込まれて、フレーム側開閉部材154の開作動を阻止するロックブロック176を含んで構成されている。かかるロックブロック176は、フレーム側ハウジング152内で上下方向に突設されたガイド軸178に沿って上下方向で移動可能とされていると共に、ガイド軸178に外挿装着された圧縮コイルスプリング180で常時上方に向かって付勢されている。
そして、圧縮コイルスプリング180で付勢された上端位置では、ロックブロック176の上部に形成されたロック部182が、係止片164に形成された係止部184に嵌まり込んで係止されている。ロック部182と係止部184との係止状態下では、フレーム側押圧部材160の軸部材162回りの回動が阻止されており、それ故、フレーム側開閉部材154の操作によるフレーム側開閉部材154,154の開作動が防止されている。
このようなロックブロック176による安全ロックを解除するために、ロック解除レバー186が設けられている。このロック解除レバー186は、軸部材162回りで回動可能な状態で、フレーム側ハウジング152から上方に突出して配設されており、フレーム側ハウジング152内に向かって下方に突出する解除用突部188を備えている。そして、このロック解除レバー186を、図39に示されたロック状態から軸部材162回りで図中の左方向に回転操作すると、解除用突部188が、ロックブロック176の上端面に形成された傾斜面を押圧して、ロックブロック176が、圧縮コイルスプリング180の付勢力に抗して下方に押し下げられるようになっている。
このようにして、ロックブロック176が押し下げられると、ロックブロック176のロック部182における係止片164の係止部184への嵌まり込みが解除される。これにより第一の安全ロック機構が解除されることとなり、フレーム側外部操作部材によるフレーム側チャック部材156の開操作が可能となるのである。
なお、フレーム側外部操作部材の予期しない作動を防止するための第一の安全ロック機構は、本実施形態のものに限定されることなく、例えばフレーム側ハウジング152から突出せしめられてフレーム側開閉部材154に当接することでフレーム側開閉部材154の開作動を阻止する阻止突起を、圧縮ばねで自動復帰する押ボタン構造をもって設けることなどによっても実現され得る。
その他、上述の第二の実施形態における各構造も、第一の実施形態と同様に、本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良を加えた態様において実施可能であり、また、そのような各態様は、何れも、本発明の範囲内に含まれるものである。