JP2013045516A - 耐放射線素子及び耐放射線カメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】原子力施設や宇宙空間など高い放射線環境下で使用が可能な高い耐放射線性能を有する耐放射線素子及び耐放射線カメラを提供する。
【解決手段】透光性の窓を有する真空容器と、真空容器内の透光性の窓の内側に配設された透明電極アノードと、透明電極アノードよりも内側に設けられ、透光性の窓を介して受光した光から正孔を発生させるn型半導体、i型半導体、p型半導体からなる光電変換膜と、真空容器内において、光電変換膜と間隔をおいて配設された電界放出型の冷陰極電子源と、を具備している。
【選択図】図1
【解決手段】透光性の窓を有する真空容器と、真空容器内の透光性の窓の内側に配設された透明電極アノードと、透明電極アノードよりも内側に設けられ、透光性の窓を介して受光した光から正孔を発生させるn型半導体、i型半導体、p型半導体からなる光電変換膜と、真空容器内において、光電変換膜と間隔をおいて配設された電界放出型の冷陰極電子源と、を具備している。
【選択図】図1
Description
本発明は、原子力関連施設および宇宙空間などの放射線環境下で使用する場合に、高放射線に対して耐性を有する耐放射線素子及び耐放射線カメラに関する。
原子力発電所における原子炉の燃料や制御棒、高線量の照射材料に関する作業、廃棄物処理場における作業などの強放射線環境下の各種作業の遠隔監視用に、耐放射線カメラが用いられる。また、宇宙空間では、太陽風など強い放射線が照射される中で、宇宙船や宇宙衛星において記録観察用の耐放射線カメラが用いられる。ここで、放射線とはX線、α線、β線、γ線、中性子線、電子線あるいは重荷電粒子線等を含む広義の放射線を示す。
従来、γ線の多い場所では、耐放射線用として特殊用途向けに開発された特殊撮像管(ビジコン管)を用いた耐放射線カメラが用いられていた。しかしながら、従来のこの種の撮像管はサイズが大きく、更に特殊用途であるため非常に高価である。また、撮像された画像がモノクロ画像で出力されることから色彩判別等による詳密な監視が行えず監視性能面で課題もあった。
また、耐放射線カメラとして、CCD (Charge Coupled Device Image Sensor)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)と呼ばれる固体撮像素子を用いたものも使用されている。これら固体撮像素子が放射線でダメージを受けると、固体撮像素子自身が永久的に白くなってしまう白傷と呼ばれる欠陥が発生し、その画素の数が多くなると撮像結果を視認することができなくなる。また、白傷とならなくても、放射線による粒々の量子ノイズと呼ばれる砂嵐のような現象が画面に広がって視認し難くなる。このタイプの耐放射線カメラは、γ線の照射に弱く100kGy程度までの照射にしか耐えられない。
耐放射線カメラは、例えば、原子炉が運転停止状態の時のγ線を対象とした放射線作業場で使用されることがある。原子炉では、10年程度運転すると原子炉容器などが放射化しその周囲の線量率は10kGy/h程度の値になる。このため、原子炉容器周囲の保守作業や点検保守等のために放射線場で固体撮像素子を用いた耐放射線カメラを使用すると、10時間で交換が必要となり、交換のための作業で保守作業を中断せざるを得ないという課題も生じている。このような現象をできるだけ少なくするためには、撮像素子に放射線を当てないように遮蔽することが必要である。
X線やγ線の場合には、遮蔽材の重さや比重が大きいほど遮蔽能力が高くなる。このため、タングステンなどの材料も用いられているが、安価で加工しやすいため、一般的には鉛が用いられている。すなわち、カメラの周りに鉛を厚く巻き、レンズの前には鉛ガラスを配置する。これにより、低いエネルギーのX線やγ線は遮蔽され、ノイズも大幅に低減できる。しかし、カメラが大幅に重く大きくなってしまう。
これまで使用されている鉛遮蔽されたCCD素子の耐放射線カメラには、累積線量で200Mrads(2MGy)まで使用できるものがある。しかし、当該CCD素子は解像度が悪く視認しにくく、検査員の技術力で検査精度が左右される。また、CCD素子以外の素子を用いたカメラとしては、累積線量3Mrads(30kGy)のCID(Charge Injection Device)カメラが販売されている。
放射線照射によるCCD素子の損傷は、X線照射の場合では強力な電子が放出されて、CCD内部の絶縁体(SiO2)にプラスに帯電したままの粒子が残るというメカニズムによって起きる。この絶縁体は、電極の真下のシリコン電極から分離するために薄膜として設置されており、この絶縁体SiO2薄膜の中で生成される電荷は、電場を直接変化させるので、シリコンの電荷特性を変えてしまう。このためCCDは電荷移動が非効率になり、素子が動作を停止するといわれている。
一方、暗視カメラとしてHARP(High Advanced Rushing amorphous Photoconductor)光電変換膜とHEED(High-efficiency Electron Emission Device)と呼ばれる冷陰極電子源を組み合わせた小型で高感度なカメラがHARP撮像管に代わって開発されている(例えば、特許文献1参照。)。特にHEEDを用いた撮像素子は、従来の真空管やブラウン管と同じ構造で、真空読み出し用の電子ビームとして用いていた熱電子源(フィラメント)を、HEED冷陰極電子源に変更したものである。このため、CCD素子のような照射損傷が発生せず、カメラとして耐放射線性能が高いと考えられる。
また、このような電界放出型の冷陰極電子源を用いた耐放射線カメラが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、電界放出型の冷陰極電子源を用いた耐放射線カメラは、実際に製品として実現はされていない。
上述したとおり、従来からより高い耐放射線性能を有する耐放射線素子及び耐放射線カメラの開発が望まれていた。
本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたもので、その目的は、原子力施設や宇宙空間など高い放射線環境下で使用が可能な高い耐放射線性能を有する耐放射線素子及び耐放射線カメラを提供することにある。
本発明の耐放射線素子の一態様は、透光性の窓を有する真空容器と、前記真空容器内の前記透光性の窓の内側に配設された透明電極アノードと、前記透明電極アノードよりも内側に設けられ、前記透光性の窓を介して受光した光から正孔を発生させるn型半導体、i型半導体、p型半導体からなる光電変換膜と、前記真空容器内において、前記光電変換膜と間隔をおいて配設された電界放出型の冷陰極電子源と、を具備し、前記電界放出型の冷陰極電子源は、マトリクス状に配列され、前記正孔を読み取るための複数の電子放出素子と、前記電子放出素子の裏面側に形成され、走査回路からの走査パルスによって前記複数の電子放出素子を順次に駆動する複数の素子駆動回路を含む駆動層と、を有し、前記複数の電子放出素子のそれぞれは、前記複数の素子駆動回路のそれぞれに対して接続された裏面電極と、半導体からなり前記裏面電極の上に形成された電子供給層と、前記電子供給層の上に形成された絶縁層と、前記絶縁層の上に形成され且つ一定の電圧が印加される電極層と、を含むことを特徴とする。
本発明の耐放射線素子の他の態様は、透光性の窓を有する真空容器と、前記真空容器内の前記透光性の窓の内側に配設された透明電極アノードと、前記透明電極アノードよりも内側に設けられ、前記透光性の窓から発光した光を放出するための蛍光体膜と、前記真空容器内において、前記蛍光体膜と間隔をおいて配設された電界放出型の冷陰極電子源と、を具備し、前記電界放出型の冷陰極電子源は、マトリクス状に配列され、前記蛍光体を発光させるための複数の電子放出素子と、前記電子放出素子の裏面側に形成され、前記電子放出素子を駆動するための複数の素子駆動回路を含む駆動層と、前記複数の電子放出素子のそれぞれは、前記複数の素子駆動回路のそれぞれに対して接続された裏面電極と、半導体からなり前記裏面電極の上に形成された電子供給層と、前記電子供給層の上に形成された絶縁層と、前記絶縁層の上に形成され且つ一定の電圧が印加される電極層と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、原子力施設や宇宙空間など高い放射線環境下で使用が可能な高い耐放射線性能を有する耐放射線素子及び耐放射線カメラを提供することができる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
まず、実施形態の説明の前に、HARP−HEED撮像素子が耐放射線カメラになりうるかについて調査した確認試験について説明する。この確認試験では、X線の管電圧300kV(実効エネルギーピーク約230keV)で管電流3mAのX線源を用い、照射線量が約20krads/hの状況で照射を続けた。鉛で遮蔽したCCDカメラでも画面上にX線による量子ノイズ信号が発生したが、HARP−HEED撮像素子のカメラでは画面が暗くなる現象が見られたが量子ノイズ信号は見られなかった。(図8の試験結果の写真参照。)
この試験結果から、HARP−HEED撮像素子を耐放射線カメラとして利用できる可能性のあることがわかった。しかし、この実験では、HARP膜にかける電圧のゲインを上げていない状況であり、ゲインを上げていくとノイズ信号が鉛遮蔽したCCDカメラ以上に多くなる結果が得られた。(図9の試験結果の写真参照。図中のpositionの数字はHARP感度ゲインを表し、数字の大きいほどゲインが高い。position2がゲイン1倍でposition10が200倍のゲインとなっている。)
HARP光電変換膜は「電子のなだれ増倍現象」を利用する構成となっている。この膜に印加する電圧を増すことで電子倍増率(感度)を飛躍的に高めることができるが、暗電流や熱電子も同時に増加するため、画質劣化を引き起こす。この増幅現象は、放射線検出器と同じで原理であり、放射線が入ってエネルギーを失い電子になり、電気信号として取り出すのと同じである。すなわち、放射線がHARP膜内で電気信号となり、ノイズ信号となる。
従って、HARP膜の印加電圧が低い状態ではノイズ信号を発生し難かったと考えられる。また、HARP膜の主成分はアモルファスセレンであり、X線のフラットパネルに使用されている材料である。すなわち、アモルファスセレンは、X線やγ線にも感度があり、検出器として用いられているため、耐放射線カメラとして成立させるためにはHARP光電変換膜を用いることは適さないと考えられる。
上記の試験結果から、HARP光電変換膜は耐放射線性が低いため、耐放射線の高い光電変換膜を検討する必要がある。また、HARP光電変換膜を用いたHARP−HEED撮像素子のカメラは、暗視カメラとして開発された経緯もあり、暗い場所でも撮像できるメリットがあるが、HARP光電変換膜による光電増幅機能が使えなくなる場合には、撮像対象に照明を当てて明るくする必要がある。
次に、図1、図2を参照して本発明の耐放射線素子の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の耐放射線素子1の第1実施形態の全体概略構成を示すであり、図2は図1の耐放射線素子1の要部構成を拡大して模式的に示す図である。図1に示すように、第1実施形態に係る耐放射線素子(耐放射線撮像素子)1は、その全体が真空容器2中に収容されており、この真空容器2は、光透過性のガラス等から構成された窓3を具備している。
図2に示すように、この窓3の内側には、ITO膜などからなる透明電極アノード4が形成されており、透明電極アノード4の内側には、アモルファスシリコン膜からなるn型半導体5a、i型半導体5b、p型半導体5cがこの順で形成された構造を有する光電変換膜5が形成されている。光電変換膜5の内側には、電極7が形成され、これらの透明電極アノード4、光電変換膜5、電極7によって光電変換部8が構成されている。
図1中光電変換部8の下方には、間隔を設けて電界放出型の冷陰極電子源9が配設されており、光電変換部8と冷陰極電子源9との間には、メッシュ電極10が配設されている。冷陰極電子源9は、周知のHEED(High-efficiency Electron Emission Device)から構成されており、図2中に示す電子放出素子9aがマトリクス状に配列されて構成されている。
各電子放出素子9aには、素子駆動回路9bが設けられており、この素子駆動回路9bは、各電子放出素子9aに設けられた下部電極9cと電気的に接続されている。下部電極9cの上部には、アモルファスシリコン等の半導体からなる電子供給層9dと、二酸化シリコン等からなる絶縁膜9eがこの順で形成されており、絶縁膜9eの上には上部電極9fが形成されている。また、上部電極9fの上には、電極層としての機能と保護膜としての機能を併せ持つ炭素膜9gが形成されている。
上部電極9fには、電源11が接続されており、この電源11から上部電極9fに所定の電圧が印加されるようになっている。また、メッシュ電極10には、電源12が接続されており、この電源12から所定の電圧が印加されるようになっている。各電子放出素子9aは、走査回路(図示せず。)の走査信号に基づいて、素子駆動回路9bにより順次に駆動され、電子ビームを放出する。
光電変換部8の透明電極アノード4には、電源13が接続されており、この電源13から透明電極アノード4に所定の電圧が印加されるようになっている。また、透明電極アノード4は、コンデンサ14に接続されており、このコンデンサ14を介して信号電流が取り出される。すなわち、窓3を介して光電変換部8に光15が入射すると、光電変換膜5内で正孔「+」、電子「−」対が発生し、このうち、正孔「+」の電荷が、メッシュ電極10を介して冷陰極電子源9から供給される電子と結合すると、その際の中和電流が、コンデンサ14を介して入射光像に応じた映像信号として読み取れる構造となっている。
従来のアモルファスセレンを主成分としたHARP膜の場合は、セレン(Se:原子番号34)膜内で電子なだれを起こして電子増幅する機構である。このため、放射線がセレン膜内でイオンペアを作ると、その電子が増幅されて放射線に高い感度を有してしまう。
これに対して、第1実施形態のように、光電変換膜5にアモルファスシリコンを使用した場合、シリコン(Si:原子番号14)はセレンに比べて原子番号が小さく、X線やγ線との反応の吸収係数も小さくなるため(X線やγ線の場合、物質との光電効果による反応は原子番号の5乗に比例する。)、ノイズの発生も少なくなり、耐放射線性能が高くなる。
また、物質との反応の係数はX線やγ線のエネルギーに依存し、エネルギーの低い方が物質中での吸収係数が大きくなる。例えば、シリコンの場合、密度ρSiは2.33g/cm3で、エネルギー10keVの吸収係数はμSi10/ρSi=33.89cm2/gで、100keVの吸収係数μSi100/ρSi=0.1835cm2/g、1MeV(1000keV)の吸収係数μSi1000/ρSi=0.06361cm2/gである。X線が物質中を通過する場合の線吸収係数μで考えるとそれぞれの吸収係数に密度ρを乗じれば求められる。
セレンの場合、密度ρSeは4.5g/cm3でエネルギー10keVの吸収係数はμSe10/ρSe=44.14cm2/gで、100keVの吸収係数μSe100/ρSe=0.6278cm2/g、1MeV(1000keV)の吸収係数μSe1000/ρSe=0.05619cm2/gである。従って、10keVのμSi10が78.96cm−1、μSe10が198.63cm−1、100keVのμSi100が0.428cm−1、μSe100が2.825cm−1となる。
ここで、窓3に低エネルギーで吸収係数の大きい、鉛ガラスを用いれば、アモルファスシリコン膜内での吸収係数の大きい低エネルギーのX線、γ線の反応割合を減らすことができる。また、中性子は、硼素が吸収するので、中性子が存在する環境で使用する場合には、窓3に、硼素が含まれる硼珪酸ガラスに鉛を含有するガラスを用いるか、硼珪酸ガラスと鉛ガラスを合わせたペアガラスを用いることが好ましい。
また、光電変換部8の厚さが厚いと、その分X線やγ線の吸収が大きくなりノイズ発生の割合が多くなる。アモルファスシリコン膜ではX線やγ線よりもエネルギーの低い光の信号を取り出せればよいので、透明電極アノード4から電極7までの厚さを2μm以下の厚さとすることが好ましい。
図2に示す耐放射線素子の構成では、光学系で集光された光15が、X線、γ線に対して遮蔽能力のある鉛が含まれる窓3、または中性子に対して遮蔽能力がある硼素が含まれる窓3、透明電極アノード4を透過し、アモルファスシリコン膜からなり、n型半導体5a、i型半導体5b、p型半導体5cで構成される光電変換膜5で光電変換され、正孔と電子が発生する。そして、冷陰極電子源(HEED)9からの電子が、メッシュ電極10、電極7を介して光電変換膜5内の正孔と反応する際の中和電流を映像信号として読み取ることによって、2次元画像のイメージセンサーとして機能する。
この際に、光電変換膜5として、原子番号の小さいシリコンを用い、さらにこの光電変換膜5の膜厚を薄くすることによって、光学系とは関係なく入射する放射線に対してノイズの少ない耐放射線素子とすることができる。さらに、窓3に原子番号の大きい鉛を含むガラスを用い、さらに、中性子が含まれる放射線場で使用する場合は硼酸を含むガラスを用いること、及び、真空容器2の周りも鉛材等の遮蔽材で囲うことで更に放射線に対してノイズの少ない耐放射線素子とすることができる。
次に、第2実施形態に係る耐放射線素子について、図3を参照して説明する。この第2実施形態では、図2に示した耐放射線素子1のアモルファスシリコン膜からなるn型半導体5a、i型半導体5b、p型半導体5cに換えて、蛍光体層21を形成し、蛍光体層21の内側(図3中蛍光体層21の下側)に、アルミニウム(Al)膜22を形成したものである。蛍光体層21は、厚さを例えば0.1mm〜1mm程度とすることが好ましい。
また、蛍光体層21を構成する蛍光体としては、例えば、テルビウム(Tb)が賦活された酸硫化ガドリニウ無(Gd2O2S:Tb)又はユウロピウム(Eu)が賦活された酸硫化ユウロピウム(Gd2O2S:Eu)、又はこれらが賦活された酸硫化イットリウムを用いることができる。これらの蛍光体は、例えば、粉末をバインダーで固めて製作する方法や粉末を圧力容器に入れて高温高圧のヒップ処理で透明度を上げて固体にする方法等によって製作することができる。
冷陰極電子源(HEED)9は、放射線に対して影響を受け難く電子放出が可能である。これによって、図2に示した撮像用の耐放射線素子1と基本的な構造を同じにして、蛍光23を発光させる照明用の耐放射線素子(照明用発光素子)20を得ることができる。特に蛍光体として酸硫化ガドリニウムは、X線、γ線、中性子にも反応して発光するが、電子で発光させる場合と比べてその割合は少なく、放射線による発光が照明としての発光に大きな影響は与えない。なお、他の部分については、図1、図2に示した第1実施形態と同様に構成されているので、対応する部分には、同一の符号を付して、重複した説明は省略する。
次に、第3実施形態に係る耐放射線カメラ30について、図4を参照して説明する。図4(a)は耐放射線カメラ30の正面図であり、図4(b)は、耐放射線カメラ30の側面図である。図4に示すように、耐放射線カメラ30は、直径183mm長さ450mmの容器31内に、レンズ32及びレンズ駆動機構(図示せず)を組み込むとともに、耐放射線撮像素子として、図1、図2に示した耐放射線素子1を、組み込み、さらに、図3に示した照明用の耐放射線素子20を、レンズ32の左右に2セット組み込んだ構成となっている。
この耐放射線カメラ30では、撮像素子として耐放射線性能の高い耐放射線素子1を使用しているので、特に線量の高くない場所で使用する場合、従来使われていた重い鉛やタングステンの遮蔽を、薄くしたり無くしても、ノイズの少ない画像を得ることができる。このように耐放射線カメラ30を軽量化することによって、アーム等の耐放射線カメラ30を取付けるための取付機構35の機械強度及び耐放射線カメラ30を動かす場合の駆動系に対する負担を大幅に低減することができる。
また、耐放射線カメラ30では、照明についても、照明用の耐放射線素子20を用いているので、カメラシステム全体が、耐放射線性能の高いシステムとなっている。なお、耐放射線カメラ30は、水中や溶液中、真空中で撮像できるカメラ構成となっており、さらに、耐放射線カメラ30をアームや棒等の取付機構35に取り付けて使用できる構成となっている。
次に、図5を参照して第4実施形態に係る耐放射線カメラ40について説明する。なお、図5(a)は、耐放射線カメラ40の全体構成を示し、図5(b)は、要部構成を抜き出して示すものである。図5(b)に示すように、耐放射線カメラ40は、容器41の中央部にレンズ42及びレンズ駆動機構(図示せず。)を組み込むと共に、レンズ42の光軸上に図1、図2に示した撮像用の耐放射線素子1を組み込み、さらに、レンズ42の周囲に、図3に示した照明用の耐放射線素子20を複数組み込んだ構成を有している。なお、図5(b)において、44は、耐放射線カメラ40を遠隔操作及び画像信号を送信するための無線のアンテナを示している。
そして、図5(a)に示すように、この容器41を駆動機構43に固定した構成となっており、無線(または有線)によるリモートコントロールによって、レンズ42の方向を、パン・チルトすることができるようになっている。また、耐放射線カメラ40では、照明用の耐放射線素子20に通電して発光させることによって、暗い場所においても監視することができる。この耐放射線カメラ40は、監視場所に設置して、遠隔監視用として特に人が近づけない場所を長期間観察するのに向いている。また、遠隔監視用に限らず、ロボットの目としても利用することができる。
また、この耐放射線カメラ40においても、撮像素子として耐放射線性の高い耐放射線素子1を使用しているので、特に線量の高くない場所で使用する場合、従来使われていた重い鉛やタングステンの遮蔽を、薄くしたり無くして軽量化した状態で使用しても、ノイズの少ない画像を得ることができる。
次に、図6、図7を参照して第5実施形態について説明する。この第5実施形態では、ロボット50の頭部に、図1、図2に示した撮像用の耐放射線素子1と、図3に示した照明用の耐放射線素子20を搭載している。このロボット50は、高線量な放射線環境とされた場所等の危険な場所に、人間に代わって入り、その状態を確認することを目的としたものである。
また、ロボット50は、パルスX線源51とX線イメージインテンシファイア52とを具備し、壁や扉の向こう側をX線で透視することができるようになっている。この場合、パルスX線源51から放出されるパルスX線が対象物に当たり、戻ってきたX線をX線イメージインテンシファイア52で輝度信号として受ける。また、このX線イメージインテンシファイア52の2次元イメージセンサーとして、図1、図2に示した撮像用の耐放射線素子1を用いている。
図6に示すように、ロボット50のパルスX線源51からのX線ビームスキャニングでイメージ画像を得る場合には、X線イメージインテンシファイア52で受けたX線の信号を光に変換し、更にその光を撮像用の耐放射線素子1で輝度信号に変換する。この場合、全ての画素の輝度信号を積算して、信号の感度を上げ、パルスX線源51のスキャニング方向と合わせて透視イメージングを行うことが好ましい。
また、対象物内に何が入っているかわからないような物の内部を非破壊で検査する状況の場合には、胸の中にあるパルスX線源51を取り出し、対象物を胸のX線イメージインテンシファイア52の前において、撮像用の耐放射線素子1を2次元イメージングセンサーとして(画素を積算せずイメージとして)用い、対象物内部の非破壊検査を行うこともできる。
本来のロボットの目としての機能においても、このようなX線照射で散乱してくるX線で撮像用の素子がダメージを受けることを防ぐ必要があり、耐放射線性能が高い耐放射線素子1を用いることが重要である。
図7(a)、図7(b)は、ロボット50の手53の中に、放射線源54、蛍光体55、ファイバーオプティクスプレート56、図1に示した撮像用の耐放射線素子1等を埋め込んだ例を示している。図7(a)は、対向する2つの指53a、53bのうち、一方の指53aに放射線源54を埋め込み、他方の指53bの長手方向に沿って、複数の撮像用の耐放射線素子1とファイバーオプティクスプレート56を埋め込み、これらのファイバーオプティクスプレート56の上に位置するように蛍光体55を配設した構成を示している。これによって、指53aの放射線源54からの放射線で、指53aと指53bとの間に把持した物体60内を透視して物体60の内部のイメージングを行うことができる。図7(b)は、撮像用の耐放射線素子1が1つの場合を示している。
また、図7(c)は、放射線源54を移動させて離間させるとともに、撮像用の耐放射線素子1から蛍光体55とファイバーオプティクス56を外し、光学レンズ57を付けてカメラとして使用する場合を示している。
上記構成のロボット50において、その目となるイメージセンサーや暗闇を照らす照明は、高線量の放射線環境だけでなく、自ら具備する放射線源54からの放射線による損傷を少なくする必要があり、撮像用の耐放射線素子1及び照明用の耐放射線素子20は、重要な構成要素となる。
以上のように、どの方向から放射線が飛んでくるかわからない高線量な放射線環境下では、耐放射線素子そのものの耐放射線性能が高いものを使用することが必要であり、また、重い放射線遮蔽材料を削減して軽量化できることは、機動力と運動エネルギー量を少なくする上で重要である。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1……耐放射線素子、2……真空容器、3……窓、4……透明電極アノード、5……光電変換膜、5a……n型半導体、5b……i型半導体、5c……p型半導体、7……電極、8……光電変換部、9……冷陰極電子源、9a……電子放出素子、9b……素子駆動回路、9c……下部電極、9d……電子供給層、9e……絶縁膜、9f……上部電極、9g……炭素膜、10……メッシュ電極、11,12,13……電源、14……コンデンサ。
Claims (9)
- 透光性の窓を有する真空容器と、
前記真空容器内の前記透光性の窓の内側に配設された透明電極アノードと、
前記透明電極アノードよりも内側に設けられ、前記透光性の窓を介して受光した光から正孔を発生させるn型半導体、i型半導体、p型半導体からなる光電変換膜と、
前記真空容器内において、前記光電変換膜と間隔をおいて配設された電界放出型の冷陰極電子源と、
を具備し、
前記電界放出型の冷陰極電子源は、
マトリクス状に配列され、前記正孔を読み取るための複数の電子放出素子と、
前記電子放出素子の裏面側に形成され、走査回路からの走査パルスによって前記複数の電子放出素子を順次に駆動する複数の素子駆動回路を含む駆動層と、
を有し、
前記複数の電子放出素子のそれぞれは、前記複数の素子駆動回路のそれぞれに対して接続された裏面電極と、半導体からなり前記裏面電極の上に形成された電子供給層と、前記電子供給層の上に形成された絶縁層と、前記絶縁層の上に形成され且つ一定の電圧が印加される電極層と、
を含む
ことを特徴とする耐放射線素子。 - 請求項1記載の耐放射線素子であって、
前記光電変換膜は、アモルファスシリコンからなることを特徴とする耐放射線素子。 - 請求項1又は2記載の耐放射線素子であって、
前記透光性の窓が、X線とγ線に遮蔽能力を持つ鉛が含有されたガラスを含むことを特徴とする耐放射線素子。 - 請求項1〜3いずれか記載の耐放射線素子であって、
前記透光性の窓が、中性子に対して遮蔽能力を持つ硼素を含有するガラスを含むことを特徴とする耐放射線素子。 - 透光性の窓を有する真空容器と、
前記真空容器内の前記透光性の窓の内側に配設された透明電極アノードと、
前記透明電極アノードよりも内側に設けられ、前記透光性の窓から発光した光を放出するための蛍光体膜と、
前記真空容器内において、前記蛍光体膜と間隔をおいて配設された電界放出型の冷陰極電子源と、
を具備し、
前記電界放出型の冷陰極電子源は、
マトリクス状に配列され、前記蛍光体を発光させるための複数の電子放出素子と、
前記電子放出素子の裏面側に形成され、前記電子放出素子を駆動するための複数の素子駆動回路を含む駆動層と、
前記複数の電子放出素子のそれぞれは、前記複数の素子駆動回路のそれぞれに対して接続された裏面電極と、半導体からなり前記裏面電極の上に形成された電子供給層と、前記電子供給層の上に形成された絶縁層と、前記絶縁層の上に形成され且つ一定の電圧が印加される電極層と、
を含む
ことを特徴とする耐放射線素子。 - 請求項5記載の耐放射線素子であって、
前記蛍光体膜が、テルビウム(Tb)又はユウロピウム(Eu)原子が賦活された、酸硫化ガドリニウム又は酸硫化イットリウムを含むことを特徴とする耐放射線素子。 - 遠隔で画像を取得する耐放射線カメラであって、
撮像用のレンズと、当該レンズを通った光を電気信号に変換する撮像素子と、撮像対象に光を当てる照明機構とを具備し、
前記撮像素子は、請求項1記載の耐放射線素子であり、前記照明機構は、請求項5記載の耐放射線素子を含むことを特徴とする耐放射線カメラ。 - 請求項7記載の耐放射線カメラであって、
前記レンズと前記照明機構を、上下左右に駆動してするパン、チルトさせる駆動機構を具備し、当該駆動機構は、無線又は有線にてリモートコントロール可能とされていることを特徴とする耐放射線カメラ。 - 出力蛍光画像を撮像する撮像カメラを具備し、放射線にてイメージングするイメージインテンシファイアの耐放射線カメラであって、
前記撮像カメラが、請求項1記載の耐放射線素子を具備したことを特徴とする耐放射線カメラ。
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