JP2013017761A - 人工股関節 - Google Patents

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Abstract

【課題】 金属製のスプリングをアウターカップとイッナーカップの間に広く分布させ、受ける衝撃をより緩和するとともに、摩耗を減じて摩耗粉を原因とするルーズニングを抑制する人工股関節を提供する。
【解決手段】 寛骨臼に嵌入される内部が空洞の半球状の金属製のアウターカップと、アウターカップに嵌入される同じく内部が空洞の半球状の金属製のインナーカップと、インナーカップの内部に突出部分を有して才差運動可能に嵌入される略球状をした金属製の人工ヘッドと、人工ヘッドの突出部分に大腿骨に挿入されるステムに続くネックが差し込まれる人工股関節において、アウターカップの内面とインナーカップの外面との間に金属からなる筋状の弾性体を分散させて介在させ、インナーカップからアウターカップ又はその逆に衝撃が加わったときに弾性体が弾性変形して当該衝撃を吸収するとともに、変形が最大のときでも、アウターカップの内面とインナーカップの外面とに間隙が保たれるようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、摺動部が金属対金属の組み合わせで構成される人工股関節であり、歩行時や立ち上がり又は飛び降りたときの衝撃緩和性に優れた人工股関節に関するものである。
股関節は、体幹と下肢を繋ぐ関節で、大腿骨の先端(上端)に形成された大腿骨頭が骨盤の寛骨臼に才差運動(こまやすりこぎに似た立体的回動)可能に嵌め込まれた構造であり、人が動作する際、大腿骨の回動(屈伸)を許容し、足下から大腿骨に伝わる又はその逆から伝わる荷重を分散させて衝撃を緩和する役割を果たす。正常な股関節では正座、歩行、立ち上がり、階段の昇り降り、飛び降り等の動作をスムーズに行うことが可能であるが、変形性関節症や関節リウマチといった疾病や事故等で関節機能が滅失或いは大幅に低下した場合、人工股関節に頼らざるを得ない。
従来の人工股関節は、骨盤に固定するための半球状の凹部が形成された半球状の金属製のアウターカップと、このアウターカップに嵌入される同じく半球状の凹部が形成された超高分子量ポリエチレン等からなるインナーカップの組合せを有している。ところで、従来の人工股関節には、アウターカップとインナーカップ及びインナーカップの凹部に嵌入されて才差運動をする大腿骨頭に相当するヘッドとからなるスリーピース型と、アウターカップの凹部に直接金属製のヘッドを嵌入するツーピース型とがある。
スリーピース型は金属対樹脂型と称され(非特許文献1)、この超高分子量ポリエチレンが股関節に負荷される衝撃を緩和する特性がある。生体の股関節も同様で、関節表面に存在する軟骨等が衝撃緩和の役目を果たしている。しかし、このタイプのものは、超高分子量ポリエチレンの摩耗が問題になり、ポリエチレンの摩耗粉を白血球の一種であるアメーバ状細胞であって、細菌やウイルス及び死細胞を貪食するマクロファージは好餌としており、その捕食作用に基づいてサイトカインを放出して破骨細胞を活性化する。活性化した破骨細胞は大腿骨に挿入されるステムと骨との界面に侵入し、骨溶解を起こす。したがって、人工股関節に緩みが生じ(これをルーズニングという)、再手術が必要となるケースがある。
このため、特許文献1には、超高分子量ポリエチレンよりも耐摩耗性に優れた材料として炭素繊維強化ポリエーテルエーテルケトンを用いる提案がなされている。また、特許文献2には、摩耗粉を局所に留めて拡散しないようにソケット(アウターカップ)の端部を包むようにした提案もある。しかし、いずれもポリエチレン樹脂を使うことには変わりはないから、多かれ少なかれ摩耗の問題は生ずる。
このため、近年では、ツーピース型の金属対金属型のものが主流になりつつある。このタイプは金属対樹脂型に対して摩耗が少なく、ポリエチレンの摩耗に起因するルーズニングの生じ難い人工股関節として期待されている(非特許文献2)。しかし、このタイプのものは金属同士が直接接触しているため、立ち上がりや飛び降り等の激しい動作時の衝撃を緩和する能力に欠けており、身体に違和感を与えかねない。したがって、このタイプに要求される特性は、衝撃をいかに緩和させるかということになる。
そこで、本発明者らは下記特許文献3として、アウターカップにインナーカップに代えて金属製のインナースリーブを挿入し、インナースリーブとアウターカップとの間に上下方向に伸縮するコイルスプリングを介在させたものを提案している。これは構造が簡単で衝撃緩和力も十分であるが、あらゆる方向の衝撃を一つのコイルスプリングで直截的に受けるため、部分的緩和という面では物足りなさがあった。また、荷重に対する変位が大きいのも特徴である。このため、使用者(患者)が慣れない間は、違和感を生じさせることが否めなかった。
特開2008−054788号公報 特開2004−024868号公報 特願2010−006408号公報
Kurtz SM Muratoglu OK,Evans M,Edidin AA.Advances in the processing,sterilization,amd crosslinking of ultra-high molecular weight polyethylene for total joint arthroplasty Biomaterials 1990;20:1659-1685 Duncan Dowson,DSc,Cath Hardaker,Msc,Magnus Flett,MSc,and Graham H.A.hipjoint simulator study of the performance of Metal-on-Metal joint.The Journal of Arthroplasty Vol.19 No.8 Suppl.3 2004
このように金属対金属型人工股関節では、摩耗の問題があまり生じないことから、優れていることは明らかであるが、同時に、衝撃を緩和することも課題である。これを解決した人工股関節は未だ存在せず,その出現が待たれている。
本発明者らは、金属対金属型人工股関節において、より優れた衝撃緩和性を発揮させることを念頭に鋭意研究した結果、アウターカップとインナーカップとの間に特定の構造と配置の弾性体を介在させることで、違和感、不快感を与えることの少ない人工股関節を出現できることを見出し、ここに提案したものである。結論的には、上記した特許文献3の発明をより進化させたものといえる。
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、寛骨臼に嵌入される内部が空洞の半球状の金属製のアウターカップと、アウターカップに嵌入される同じく内部が空洞の半球状の金属製のインナーカップと、インナーカップの内部に突出部分を有して才差運動可能に嵌入される略球状をした金属製の人工ヘッドと、人工ヘッドの突出部分に大腿骨に挿入されるステムに続くネックが差し込まれる人工股関節において、アウターカップの内面とインナーカップの外面との間に金属からなる筋状の弾性体を分散させて介在させ、インナーカップからアウターカップ又はその逆に衝撃が加わったときに弾性体が弾性変形して当該衝撃を吸収するとともに、変形が最大のときでも、アウターカップの内面とインナーカップの外面とに間隙が保たれることを特徴とする人工股関節を提供したのである。
また、本発明は、以上の人工股関節において、請求項2に記載した。弾性体がガータースプリング、切れ目を入れた中空パイプ、板を薄い可撓性のある基板上で短手方向に連続させた帯状板バネのいずれかである構成、請求項3に記載した、インナーカップ又はインナーカップとアウターカップに溝を形成し、溝に弾性体を挿入した構成、請求項4に記載した、溝が周方向に複数形成される手段、請求項5に記載した、溝が径方向に複数形成された構成、請求項6に記載した、溝が螺旋状に形成された構成、請求項7に記載した、溝の断面形状が半球状、矩形状、波形状のいずれかである構成、請求項8に記載した、アウターカップとインナーカップの端部に弾性変形可能で両カップの間隙をシールするシール部材が装設される構成を提供する。
請求項1の発明によると、アウターカップとインナーカップとの間に筋状の弾性体を分散させて介在させたことにより、インナーカップからアウターカップ又はその逆に加わる衝撃を弾性体全体で受け止め、衝撃を緩和する。このとき、広い範囲に存在する弾性体は衝撃の伝達速度を遅らせ、より衝撃を緩和する。また、局所的に強い衝撃を受けても、その近傍の弾性体が他の部位へ分散させて全体の衝撃として受け止める。この結果、患者が感じる違和感、不快感及び疼痛の少ないものとなる。さらに、特定の個所における応力集中を受け難く、応力集中に基づく弾性体の破損の虞は少ない。加えて、弾性体は金属からなるものであるから、摩耗もあまり生ぜず、ルーズニングも生じ難くて耐久性の高いものになる。
また、弾性体の広い範囲での存在はアウターカップとインナーカップの均等な間隙を保持するのに寄与するとともに、衝撃を受けたときに弾性体の弾性変形はその最大のときでも両カップの間隙を確保するものであるから、両カップは衝突せず、強い衝撃として伝わらない。この場合、弾性体としては請求項2のものが考えられ、また、請求項3の構成によると、溝によって弾性体の位置がずれない効果があり、衝撃を効果的に受け止める。なお、溝の形成方法としては、請求項4〜6のものがあり、溝の断面形状としては、請求項7のものがある。さらに、請求項8の構成によると、両カップの間に溜まった金属粉が漏出するのが妨げられ、マクロファージの寄集を防止する。
本発明に係る人工股関節の概略図である。 本発明に係る人工股関節を各要素に分解した状態の斜視図である。 本発明に係る人工股関節の要部の断面図である。 アウターカップとインナーカップの関係を示す要部の断面図である。 アウターカップとインナーカップの関係を示す要部の断面図である。 アウターカップとインナーカップの関係を示す要部の断面図である。 アウターカップとインナーカップの関係を示す要部の断面図である。 アウターカップとインナーカップの関係を示す要部の断面図である。 弾性体を装着した状態のインナーカップの正面図と側面図である。 弾性体を装着した状態のインナーカップの正面図と側面図である。 弾性体を装着した状態のインナーカップの正面図と側面図である。 弾性体を装着した状態のインナーカップの正面図と側面図である。 アウターカップとインナーカップの関係を示す他の例の要部の拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。図1は本発明に係る人工股関節の概略図、図2は各要素の斜視図であるが、人工股関節は、寛骨臼1に嵌入されるアウターカップ4と、アウターカップ4に嵌入されるインナーカップ5と、インナーカップ5に嵌入され、大腿骨に挿入される大腿骨ステム8等からなる。アウターカップ4は、所定の肉厚を有して内部が空洞になった半球状をしており、寛骨臼1に骨セメントやねじ釘で固定的に装着される。なお、このアウターカップ4は、Co−Cr−Mo合金やチタン合金といった生体適合性金属で構成されている。
インナーカップ5も、アウターカップ4と同様な生体適合性金属で構成されるものであり、所定の肉厚を有して内部が空洞になっている半球状をしているもので、アウターカップ4の空洞(半球状凹部)に嵌入されるものである。したがって、インナーカップ5の形状も半球状をしていることになるが、ただ、アウターカップに嵌入されるため、その外径寸法はアウターカップ4の内径寸法よりも小さいし、後記するように、両カップ4、5の間には所定の間隙9が確保されるから、それに適合する寸法に調整されている。さらに、インナーカップ5はアウターカップ4に嵌入されるため、アウターカップ4は半球形状を超える深さのものにはなっていない(嵌入できないから)。
人工股関節はこれらの他に大腿骨に挿入される上記したステム8と、その上端からインナーカップ5に向けて約45°程度傾いて突出するネック7と、これに続くインナーカップ5から突出した突出部分6aを有する球状の人工ヘッド(以下ヘッド)6とを有している。ヘッド6はインナーカップ5に嵌入されてこの中で体液を潤滑材として才差運動を可能にするものであり、生体の股関節と同様な動きをする。このため、突出部分6aはこの才差運動をカバーする長さに設定されている。なお、突出部分6aの先端は平坦にカットされており、ここに穴13が形成され、この穴13にネック7が緊く嵌合されている。これらのステム8やネック7及びヘッド6も上記と同様な素材で構成されている。
本発明では、アウターカップ4とインナーカップ5との間に金属からなる筋状の弾性体2を介在させる。金属製としたのは、摩耗を生じ難くさせるためと、バネ定数を比較的高く設定できるからであり、筋状としたのは、インナーカップ5全体に広く分布させることができ、したがって、インナーカップ5からアウターカップ4へ伝わる衝撃を広い範囲で受け止めることができるからである。なお、弾性体2は、後記するインナーカップ5の周方向に巻く(鉢巻き状)もの、径方向に延ばすもの或いは螺旋状に巻くもの等が考えられるが、いずれも複数の条にしてインナーカップ5の広い面積に分布させている。
以上により、インナーカップ5からの衝撃は弾性体2からアウターカップ4に伝わるが、このときの衝撃を弾性体2が弾性変形して受け止める。この点で、弾性体2はインナーカップ5の広い範囲に分布しているのが適するのであり、弾性体2を複数の筋状のものにしておくのもそのためである。このとき、弾性体2の位置がずれては衝撃を効果的に受け止められないから、インナーカップ5の外面に溝3を形成し、この溝3に弾性体を嵌め込んでいる。
この場合の溝3の形状は半円形をしているものが通常であるが(図3〜図5)、矩形をしているもの(図6)、インナーカップ5の外面から壁状仕切り11を起立させたもの(図7)、壁状仕切り11に代えて鋸刃状仕切り12にしたもの(図8)が考えられる。これに伴い、弾性体2の断面形状にも種々のものが考えられが、一般的には、円形をしている。しかし、各種仕切り11、12等の形状に応じた矩形や多角形をしているものも考えられる。なお、溝3や弾性体2については後で詳しく説明する。
これにより、インナーカップ5からアウターカップ4に衝撃が伝わったとき、弾性体2が弾性変形することにより、その衝撃をアウターカップ4全体が受け止めて緩和する。ただ、弾性体2が弾性変形したとき、インナーカップ5がアウターカップ4に接触すると、アウターカップ4に衝撃として伝わるから、アウターカップ4の内径寸法とインナーカップ5の外径寸法をこれが起こらないように設定しておく。この点で、弾性体2はアウターカップ4とインナーカップ5との均等な間隙9を確保するのにも貢献している。
金属製の弾性体2には種々のものが考えられるが、一般的には、ガータースプリング、中空パイプ或いは帯条板バネ等がある。ガータースプリングとは、コイルスプリング(線材同士は密着させていることが多い)の端同士を連結したリング状のスプリングのことである。中空パイプとは、文字どおり、中空の金属パイプであるが、このままであると、径方向のバネ定数が高くなり過ぎるから、切れ目を入れてスプリング状のものにしている。帯状板バネとは、薄くて可撓性のある基板の上に金属製板を短手方向に連続させて貼着したものである。
弾性体2はインナーカップ5の周方向に巻くものだけではなく、径方向に延ばしたものでもよく、それには、溝3を径方向に形成し、この溝3をインナーカップ5の頂点で集結させている。さらに、溝3を螺旋状に形成したものでもよいし、帯状板バネを径方向に分布させたものでもよい。
次に、これらの詳細について記すと、一例として、図4に示すアウターカップ4を内径45.6mm、外径52mmとし、インナーカップ5を内径38mm、外径44mmとしたものを見てみる。この寸法のものによれば、アウターカップ4の内面とインナーカップ5の外面との間に0.8mmの間隙9があるものになり、この点が、従来の人工股関節と違う点である。また、この例では、インナーカップ5の外面に半径3mmの溝3を約半円程度(深さ2.5mm程度)刻成して数条形成しており、この溝3に弾性体2を装着している。
本例の弾性体2は、ガータースプリング2aであり、コイルの外径が5mm、線径0.8mm、ピッチ(線材間の長さ)4 mmのものを頂点から等間隔で4本配置している。これによると、ガータースプリング2aを巻いたときの外径とアウターカップ4の内面との寸法差は2.5mm程度となり、両カップ4、5の間隔9である0.8mmよりも1.7mm程度大きい。この違いはガータースプリング2aの延びによる縮径と両カップ4、5の押圧による潰れ(与圧)で吸収することになる。こうして、両カップ4、5の対面する間隙9を0.8mmに保つことになる。
以上を具現するためには、各ガータースプリング2aの長さを溝3の周長よりも短めにし、溝3に装着した場合に引っ張られて縮径し、溝3を締め付けるようにするのが好ましい。ガータースプリング2aは、この締付力によってインナーカップ5の溝3にしっかりと固定されることになる。また、人工股関節を装着したときに体重等で若干押し潰されて幾分、弾性変形していることもこれに関与する。なお、溝3についてであるが、図3及び図5に示すように、アウターカップ5にも溝3aを形成し、両方の溝3、3aに嵌め込んでおけば、より強固に固定される。ただ、この場合、両カップ4、5の溝3、3aの深さを調整し、その間隙9を0.8mmに保っておく必要がある。
股関節に負荷される荷重は、歩行時では3×103 N、正座から起立する場合は4×103 N程度といわれており、この荷重の伝達時間を長くすれば、荷重も減弱されて衝撃を緩和できる。股関節にかかる衝撃を緩和できれば、股関節を始めとして人体各部への負担が減らせるとともに、違和感、不快感も取り除くものとなる。本発明に係る人工股関節は、ガータースプリング2aを用いることでこのことを可能にしたものである。このように、ガータースプリング2aによる衝撃緩和の態様は、自身が径方向に弾性変形して衝撃の伝達を遅らせることであるが、ガータースプリング2aの弾性力がそれに寄与する。
ただし、限度一杯の衝撃がかかったときでも、アウターカップ4の内面とインナーカップ5の外面とは衝突してはならず、そのためにガータースプリング2aに与圧をかけたりしてバネ定数を調整しておくのは上記したとおりである。通常、ガータースプリング2aは線材同士が密着しているものをいうが、これでは衝撃を受けた際に力の逃げる領域がないため、剛体に近い状態であり、衝撃を十分に緩和することは困難である。しかし、巻数を減らす、つまり、ピッチ(線材間の長さ)を大きくとることで力を逃がして衝撃を緩和することが可能である。また、線材の径とコイルの外径とを適切に設計すれば、ピッチが零(密着している意味であり、正確にいえばピッチは線材の径ということになる)であっても、衝撃緩和用として使用することは不可能ではない。
ガータースプリング2aを装着する溝3の断面形状についても種々のものが考えられのは上記したが、もっとも一般的なものは、図4に示すインナーカップ5に円形(正確にいえば概略半円形)の溝3を形成するものである。また、図5に示すアウターカップ4にもこの溝3aを形成し、両方の溝3、3aでガータースプリング2aを受けるものもある。これによると、ガータースプリング2aは二つの溝3、3aでより安定的に位置決めされ、アウターカップ4がインナーカップ5からの衝撃を受けたときにも位置がずれることなく、安定して均等な襲撃を受けることができる。
また、図6に示す矩形の溝3bも考えられ(アウターカップ4にも溝3bを形成している)、これによると、ガータースプリング2aは溝3bの4点で拘束されることになって位置決めがより強化される。なお、ガータースプリング2aの断面自体を溝3bに沿う矩形にすることも考えられ、この場合は、ガータースプリング2aと矩形の溝3bとは面接触となり、より安定した位置決めを果たすことができるとともに、より効果的に衝撃を受けることができる。
次に、このようなガータースプリング2aの衝撃緩和性について万力を用いて静的圧縮試験を行ってみた。高い所からの飛び降りを想定して股関節にかかる最大の荷重を6×103 Nとしてこの荷重をかけてみた。ガータースプリング2aの仕様は、上記と同じコイルの外径5mm、線径0.8mmであり、コイルのピッチをそれぞれ0mm、2mm、4mmの計3種類のガータースプリングスプリング2aを用意し、ピッチの違いによる衝撃緩和の検証を行った。結果は、各種スプリングに上記荷重をかけたときのスプリングの径方向の変位量はそれぞれ0.21mm、0.25mm、0.38mmであった。
このことから、線材同士が密着しているガータースプリング2aでは剛体に近い状態であり、衝撃緩和用の弾性体としては適当とはいえないが、コイル間隔を広げることで弾性率(径方向のバネ定数)が低くなり、衝撃緩和の効果が期待できることがわかった。衝撃を受けたときの伝達速度を遅らせて緩和する目的からいえば、上記の検証ではピッチ4mmのものが最適であったが、この場合でも、変位は0.38mmであり、両カップ4、5が衝突することはない。このことは、線径やピッチを適宜選定することで人工股関節に適したものにできることを意味している。
本発明の場合、衝撃緩和用の弾性体2による衝撃緩和程度をどの位に設定するかが問題になるが、歩行時の3×103 Nの荷重が負荷されたときには、既にガータースプリング2aが幾らか弾性変形しているのが適するといえる。生体の股関節でもこの現象を呈しているからと想定できるからである。そして、急に立ち上がったときや階段の昇り降り等の中程度の衝撃である4×103 Nの荷重がかかったときには、ガータースプリング2aはかなり弾性変形している状態が適するといえる。
さらに、最大の衝撃と思われる高い所から飛び降りたとき等の6×103 Nの荷重がかかったときには、ほぼ限度一杯に弾性変形することが適していると想定できる。一方、ガータースプリング2aのバネ定数があまり高いと、患者自身がゴトゴトとした感を受け、違和感、不快感が生ずるといえる。なお、実験結果からいえば、衝撃緩和材としてのガータースプリング2aは、巻線同士が密着している場合はほぼ剛体になり、一種のストッパー作用を呈し、衝撃は受けるものの、通常に想定される限度を超えた強い衝撃にも耐えられるものとなる。
また、弾性体2としては、切れ目を入れた中空パイプ2bも可能性がある。大きな衝撃が加わると、中空パイプ2bは径方向に弾性変形して衝撃を緩和する。この点で、ピッチを有するガータースプリング2aと比べてさほど違いは見られない。なお、切れ目を有しない中空バイプも考えられるが、この場合はバネ定数が高い上記と同様なストッパー機能を有するものになる。
さらに、弾性体2としては、帯状板バネ2cも挙げられる。帯状板バネ2cとは、長尺状で薄くて可撓性のある基板に一定間隔で単位となる板バネを短手方向に多数配列した構造のものをいい、インナーカップ5を通して大きな衝撃がアウターカップ4側に加わったときにインナーカップ5上の帯状板バネ2c自身が圧縮されて弾性変形し、同時に隣の帯状板バネ2cにも順次衝撃を分担させることによって衝撃を分散、緩和する作用を有するものである。
インナーカップ5に装着する弾性体2や溝3の種類や配置について、図9〜図12((a)は正面図、(b)は(a)のA−A´断面図)を用いて説明するが、図9はインナーカップ5の外面(球状凸部)上に設けた複数の鉢巻き状の溝3にガータースプリング2aからなるスプリングを装着したもっとも一般的な例である。図10はインナーカップ5に放射状の溝3を設け、これに切れ目を入れた中空パイプ2bのスプリングを入れたものである。このタイプの利点として、単に垂直方向の荷重に対して衝撃を分散するのではなく、あらゆる方向にも対応できるのが特徴である。
図11はインナーカップ5に螺旋状の溝3を設け、紐状のガータースプリング2aを組み込んだものである。このタイプでは、用意するガータースプリング2aは1個のため、スプリングの製作及び装着が容易に行える利点がある。図12は帯状板バネ2cを用いた例であるが、一般的にはインナーカップ5の外面に放射状の溝3を設け、この溝3に帯状板バネ2dを点在させて並べればよい。このタイプは、簡易に取り外しが可能であり、患者の体重、ライフスタイルによって板バネの個数(全体の弾性力)を調整できる利点がある。なお、これらスプリングの種類と溝3の形状・配置との関係は上記に限定されるものではない。
図13はアウターカップ4とインナーカップ5との関係を示す他の例の拡大一部断面図であるが、金属製の弾性体2であっても両カップ4、5が変位するたびに弾性体2は両カップ4、5に擦れて摩耗粉は生ずる。一方で、両カップ4、5の端部は開放されているから、この摩耗粉は漏出し、これを貪食しようとしてマクロファージが寄集する。そこで、両カップ4、5の端部近くに両リング4、5に溝を形成してこの溝にOリング等のシール材14を挿設してダストシールとすれば、摩耗粉は漏出せず、マクロファージの寄集を抑制できる。もちろん、シール材14はマクロファージが間隙9内に侵入するのを抑える作用もする。
1 寛骨臼
2 衝撃緩和用スプリング
2a ガータースプリング
2b 切れ目を入れた中空パイプ
2c 帯状板バネ
3 衝撃緩和材用に設けた溝
3a 円形の溝
3b 矩形の溝
4 アウターカップ
5 インナーカップ
6 大腿骨ヘッド
6a 大腿骨ヘッドの突出部分
7 ネック
8 大腿骨ステム
9 間隙
10 大腿骨
11 壁状仕切り
12 鋸刃状仕切り
13 穴
14 シール材

Claims (8)

  1. 寛骨臼に嵌入される内部が空洞の半球状の金属製のアウターカップと、アウターカップに嵌入される同じく内部が空洞の半球状の金属製のインナーカップと、インナーカップの内部に突出部分を有して才差運動可能に嵌入される略球状をした金属製の人工ヘッドと、人工ヘッドの突出部分に大腿骨に挿入されるステムに続くネックが差し込まれる人工股関節において、アウターカップの内面とインナーカップの外面との間に金属からなる筋状の弾性体を分散させて介在させ、インナーカップからアウターカップ又はその逆に衝撃が加わったときに弾性体が弾性変形して当該衝撃を吸収するとともに、変形が最大のときでも、アウターカップの内面とインナーカップの外面とに間隙が保たれることを特徴とする人工股関節。
  2. 弾性体がガータースプリング、切れ目を入れた中空パイプ、板を薄い可撓性のある基板上で短手方向に連続させた帯状板バネのいずれかである請求項1の人工股関節。
  3. インナーカップ又はインナーカップとアウターカップに溝を形成し、溝に弾性体を嵌め込んだ請求項1又は2の人工股関節。
  4. 溝が周方向に複数形成される請求項3の人工股関節。
  5. 溝が径方向に複数形成される請求項3の人工股関節。
  6. 溝が螺旋状に形成される請求項3の人工股関節。
  7. 溝の断面形状が半球状、矩形状、波形状のいずれかである請求項2〜6いずれかの人工股関節。
  8. アウターカップとインナーカップの端部に弾性変形可能で両カップの間隙をシールするシール部材が装設される請求項1〜7いずれかの人工股関節。
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