以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係わるカメラの構成を示すブロック図であり、このカメラはデジタルカメラであり、カメラ本体100と交換レンズ200とから構成される。交換レンズ200は、カメラ本体のバヨネットマウント等を介して着脱自在に装着される。なお、本実施形態においては、カメラ本体100と交換レンズ200を別体に構成したが、一体に構成するようにしても勿論かまわない。
カメラ本体100内には、カメラ制御回路101、撮像素子103、フォーカルプレーンシャッタ104、表示用モニタ105、ストロボ106、レリーズ釦107、バッテリ108等が配置されている。また、交換レンズ200内には、レンズ制御回路201、焦点調節レンズ203、MF環204、絞り205等が配置されている。
カメラ制御回路101は、本体CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)121(図2参照)等を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)とその周辺回路等で構成される。レリーズ釦107を撮影者が操作すると撮像素子103、フォーカルプレーンシャッタ104等を制御すると共に、必要に応じてストロボ106の発光制御を行い、またレンズ制御回路201を通じて撮影動作等を実行する。後述するレンズ制御回路201内のレンズCPU221(図2参照)と連携し、カメラ全体の各種シーケンスを統括的に制御する。この制御は、フラッシュROM122(図2参照)に記憶されたプログラムに従って実行する。このカメラ制御回路101の詳細は、図2を用いて後述する。
撮像素子103は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子によって構成され、交換レンズ200によって形成された被写体像を画像信号に変換する。すなわち、カメラ制御回路101からの信号に従って、撮像素子103において画像信号の蓄積がなされ、また画像信号の読み出し等がなされる。なお、本明細書においては、撮像素子103からの出力に基づく信号は、画像信号の他に画像データと称する場合がある。
フォーカルプレーンシャッタ104は、レリーズ釦107の全押しに基づくカメラ制御回路101中のシャッタ制御回路126(図2参照)からの指示に応じて開閉動作を行い、交換レンズ200からの被写体光束を開閉する。この開閉時間は、カメラ制御回路101によって算出されたシャッタ速度に応じた時間である。
表示用モニタ105は、カメラ本体の背面等に配置されたLCD、有機EL等により構成される。表示用モニタ105は、静止画の撮影待機時や動画撮影時のライブビュー表示や、再生釦等の操作に応じた記録済みの撮影画像の再生表示や、メニュー釦等の操作に応じてメニュー画面等において設定情報の表示を行う。
ストロボ106は、レリーズ釦107の操作時に周囲が暗い場合等に、カメラ制御回路101中のストロボ制御回路125(図2参照)からの指示に応じて補助光を被写体に照明する。この発光は発光用コンデンサ(不図示)に蓄えられた電荷を用い、フォーカルプレーンシャッタ104の露光動作と同期して行う。
レリーズ釦107は、半押しでオンになるファーストレリーズスイッチ132(図2参照)と、半押しから更に押し込み全押しとなるとオンになるセカンドレリーズスイッチ133(図2参照)を有する。カメラ制御回路101は、ファーストレリーズスイッチ132がオンとなると、AE(Auto Exposure)動作やAF(Auto Focus)動作等の撮影準備シーケンスを実行する。また、セカンドレリーズスイッチ133がオンとなると、フォーカルプレーンシャッタ104等を制御し、撮像素子103等から被写体画像に基づく画像データを取得し、この画像データを記録媒体に記録する一連の撮影シーケンスを実行して撮影を行う。
バッテリ108は、カメラ本体100および交換レンズ200内の各部材、各回路に電源を供給する。
交換レンズ200内のレンズ制御回路201は、レンズCPU等を含むASICと、その周辺回路で構成される。カメラ制御回路101からの指示、または撮影者によるMF環204の操作に応じて、焦点調節レンズ203、絞り205の駆動制御等を行う。また、カメラ制御101からの要求に応じて、焦点距離、設定距離、絞り値等の種々のレンズ情報を送信する。この制御は、フラッシュROM(不図示)に記憶されたプログラムに従って実行する。このレンズ制御回路201の詳細は、図2を用いて後述する。
焦点調節レンズ203は、レンズ制御回路201からの指示に基づいて光軸方向に移動し、交換レンズ200の焦点状態を調節する。なお、本実施形態においては、単焦点レンズとして説明するが、勿論、焦点距離可変なズームレンズで構成してもよい。
MF環204は、交換レンズ200の外周に配置され、交換レンズ200の光軸中心の周りに回転操作が可能であると共に、光軸方向に沿って第1の位置と第2の位置の間でスライド操作が可能である。MF環204を交換レンズ200の前方側(被写体側)にスライドさせた第1の位置において回転操作することにより、マニュアルフォーカス操作が可能である。また、MF環204を交換レンズ200の後方側(撮像側)にスライドさせた第2の位置において回転操作することにより、レンジフォーカス操作が可能である。MF環204の第1の位置および第2の位置について、図3および図4を用いて後述する。
絞り205は、レンズ制御回路201からの指示に基づいて、開口面積を変化させ、交換レンズ200を通過する被写体光束の光量を調節する。
次に、カメラ制御回路101と、レンズ制御回路201の詳細について、図2を用いて説明する。カメラ制御回路101内には、本体CPU121が設けられており、この本体CPU121に、フラッシュROM(Read Only Memory)122、RAM(Random Access Memory)123、撮像素子制御回路124、ストロボ制御回路125、シャッタ制御回路126、画像処理回路127、表示回路128、操作スイッチ検出回路129、電源回路130、および通信回路131が接続されている。これらの各種回路と本体CPU121の間で、各種信号の入出力が行われる。
本体CPU121は、フラッシュROM122に記憶されているプログラム等に従って、カメラ全体の制御を統括する。また、カメラ本体通信回路131およびレンズ通信回路229を介してレンズCPU221と通信が可能であり、制御命令を出力すると共に、焦点調節レンズ203のレンズ位置等のレンズ情報を取得する。
フラッシュROM122は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであり、前述したように本体CPU121が実行するプログラムを記憶しており、また各種調整値等も記憶している。不揮発性メモリであればフラッシュROM以外のメモリを採用してもよい。RAM123は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSDRAM(Synchronous DRAM)等、電気的に書き換え可能な揮発性メモリであり、本体121において処理するための各種情報を一時的に記憶する。
撮像素子制御回路124は、ライブビュー表示、AE、AF、撮影時の露光等、画像データを必要とする処理の動作実行時に、被写体像を画像信号に変換するための撮像動作を撮像素子103に実行させる。撮像動作としては、撮像素子103における電荷蓄積制御や画像信号の読み出し等を行う。
ストロボ制御回路125は、ストロボ106に接続され、ストロボ106の充電、発光制御を行う。ストロボ制御回路125は、例えば、レンズCPU221から取得した焦点調節レンズ203のレンズ位置情報に基づいて、適正露光となるように発光量制御を行う。シャッタ制御回路126は、フォーカルプレーンシャッタ104に接続されており、本体CPU121からのシャッタ速度信号に基づいて、フォーカルプレーンシャッタ104の開閉制御を行う。
画像処理回路127は、撮像素子103から出力される画像信号に対して、A/D変換やフィルタ処理等の画像処理を施す。また画像処理を施すにあたって、ライブビュー表示用の画像処理を行い、この処理された画像信号に基づいて表示モニタ105にライブビュー表示する。また、記録用の撮影画像の画像処理を行い、この処理された画像データを記録媒体(不図示)に記録する。また、焦点検出領域内の画像信号から高周波成分をハイパスフィルタ処理することによって抽出処理を行い、AF評価値を算出する。したがって、画像処理回路127が焦点検出を行うための焦点検出部としての機能を果たす。本実施形態においては、焦点検出にあたっては公知のコントラストAFを採用しており、焦点調節レンズ203を移動させ、AF評価値がピークとなる位置を合焦位置とする。なお、焦点検出方法としては、コントラストAFに限らず、位相差AF等、他の方法を採用してもよい。
表示回路128は、表示用モニタ105に接続されており、ライブビュー表示や、記録媒体に記録されている撮影画像の再生表示や、メニュー画面等の各種撮影情報の表示を行う。
操作スイッチ検出回路129は、レリーズ釦107に連動するファーストレリーズスイッチ132およびセカンドレリーズスイッチ133、その他の検出スイッチ(不図示)と接続されており、これらのスイッチの操作状態を検出し、検出結果を本体CPU121に出力する。その他の検出スイッチとしては、電源のオンオフを行う電源釦に連動した電源スイッチ、カメラの撮影モードを切換える撮影モードスイッチ、メニュー画面を表示させるメニュー釦に連動したメニュースイッチ、記録媒体に記録されている撮影画像の再生表示を行わせる再生釦に連動した再生スイッチ、交換レンズ200の装着状態を検出するマウントスイッチ、動画撮影の開始および終了を指示する動画釦に連動した動画スイッチ等がある。
上記メニュー画面においては、焦点調節モード等の種々の撮影情報の設定を行う。メニュー画面において設定する焦点調節モードとしては、本実施形態においては、自動的に焦点調節レンズ203のピント合わせを自動的に行うオートフォーカスモード(AFモード)と、ピント合わせを手動で行うマニュアルフォーカスモード(MFモード)の2種類がある。なお、カメラ本体100における焦点調節モードの設定は、本実施形態のようにメニュー画面以外においても、専用釦等によって設定する等、他の方法によって設定するようにしても勿論かまわない。操作スイッチ検出回路129および本体CPU121等が、カメラ本体側に設けられ、焦点調節モードを設定する焦点調節モード設定部としての機能を果たす。
電源回路130は、バッテリ108と接続され、電源電圧の平滑化や昇圧等を行って、カメラ本体100や交換レンズ200内の各回路・各部材に電源を供給する。
カメラ本体通信回路131は、カメラ本体200の外部のマウント部に設けられた同期信号端子、データ端子等の複数の通信端子を有する。レンズ通信回路229を介して、本体CPU121とレンズCPU221が通信を行う。カメラ本体通信回路131とレンズ通信回路229間の通信は、本体と交換レンズの装着当初は非同期通信によって行うが、カメラ本体側で交換レンズの情報を取得後、装着された交換レンズ200が同期通信可能であれば、同期通信によって通信する。
レンズ制御回路201内には、レンズCPU221が設けられており、このレンズCPU221に、レンズ駆動回路222、レンズ位置検出回路223、MF環位置検出回路224、MF位置検出回路225、指標位置検出回路226、絞り駆動回路227、RAM228、通信回路229が接続されている。
レンズCPU221は、交換レンズ内に設けられたフラッシュROM(不図示)に記憶されたプログラムや各種調整値、レンズ位置検出回路223、MF環位置検出回路224、MF位置検出回路225、および指標位置検出回路226からの出力信号、および本体CPU121からの制御命令に従って、交換レンズ200内の制御を行う。具体的には、焦点調節レンズ203のレンズ駆動や、絞り205の絞り駆動等の各種駆動制御を行う。また、カメラ本体通信回路131およびレンズ通信回路229を介して、本体CPU121と通信を行い、本体CPU121からの動作命令の受信、交換レンズ200のレンズ動作状態や光学データ等のレンズ状態を示す情報の送信を行う。
レンズ駆動回路222は、ステッピングモータ等のアクチュエータや、モータドライバ等を含んで構成され、焦点調節レンズ203を光軸方向に駆動制御を行う。また、後述するレンジフォーカスモード(RFモード)で焦点調節を行う場合には、カメラ本体100からの同期通信用の同期信号をタイミング信号として用いて、焦点調節レンズ203の制動(加減速)制御を行う。また、焦点調節レンズ203を微小反転駆動させる所謂ウォブリング動作による駆動制御も可能である。
レンズ位置検出回路223は、焦点調節レンズ203の位置検出を行う。このレンズ位置検出回路223は、レンズ駆動回路222に含まれるステッピングモータ等の駆動用モータの回転量をパルス数に変換するフォトインタラプタ(PI)回路を含んで構成される。位置検出結果は、焦点調節レンズ203の絶対値が無限端等基準位置からのパルス数で表わす。
MF環位置検出回路224は、MF環204の交換レンズ200の光軸方向でのスライド位置を検出する。すなわち、MF環204は、交換レンズ204の前方側にスライドし、マニュアルフォーカス操作位置(MF位置、第1の位置)と、交換レンズ204の後方側にスライドし、レンジフォーカス操作位置(RF位置、第2の位置)の2つの位置に移動自在である。MF環位置検出回路224は、MF環204が第1の位置にあるか第2の位置にあるか否かを検出する。この位置検出機構については、図5を用いて後述する。
MF位置検出回路225は、PI回路を含んで構成され、MF環204の交換レンズ200の光軸中心に対する回転方向の相対位置変化量を検出する。すなわち、MF環位置検出回路224によって検出されるMF環204の位置がマニュアルフォーカス操作位置(MF位置、第1の位置)にある場合に、PI回路から出力されるパルス信号に基づいて、MF環204の回転方向、回転量、回転速度等を検出できる。このMF環204の回転検出に使用する検出用タイマは、レンズCPU221内の通常の内蔵タイマを用いる。PI回路のフォトインタラプタの構成について、図5を用いて後述する。
指標検出回路226は、リニアエンコーダやA/D変換回路等を含んで構成され、焦点調節レンズ203の駆動目標位置に対応する距離指標の検出を行う。すなわち、MF環位置検出回路224によって検出されるMF環204の位置がレンジフォーカス位置(RF位置、第2の位置)にある場合に、エンコーダ値のA/D変換結果に基づいてMF環204の交換レンズ200の光軸中心での回転方向位置で設定される駆動目標位置に対応する距離指標位置の検出を行う。すなわち、指標検出回路226は、MF環204によって設定された絶対的な距離の検出を行う。なお、MF環204がRF位置(第2の位置)にスライド操作された際に、MF環204の回転方向の絶対的な位置によって決まる距離に相当するように焦点調節レンズ203を制御するモードをレンジフォーカスモード(RFモード)と称する。このエンコーダ値を読み取る際に使用する検出用タイマのタイミング信号は、カメラ本体100と交換レンズ200の間で同期通信を行うためのレンズ通信同期信号を利用する。リニアエンコーダを用いた指標検出回路226の検出機構の一例の構成については、図6を用いて後述する。
絞り駆動回路227は、ステッピングモータ等のアクチュエータやモータドライバ等を含んで構成され、レンズCPU221からの絞り値に従って、絞り205の開口動作制御を行う。
RAM228は、レンズCPU221において使用する各種情報を一時格納するための揮発性のメモリである。
レンズ通信回路229は、交換レンズ200の外部のマウント部に設けられた同期信号端子、データ端子等の複数の通信接続端子を有し、カメラ本体通信回路131の通信接続端子と係合して、カメラ本体と通信を行う。このレンズ通信回路229を介して、本体CPU221からの焦点調節レンズ203や絞り205の制御命令等を受信し、また光学データ、レンズ位置情報、動作状態等のレンズ状態の情報を本体CPU221に送信する。
なお、カメラ制御回路101とレンズ制御回路201は、共同してカメラを制御することにより制御部としての機能を果たす。すなわち、この制御部は、MF環(リング部材)204が第1の位置にスライドした場合には、カメラ本体側で設定された焦点調節モードで焦点調節を行い、MF環204が第2の位置にスライドした場合には、カメラ本体側で設定された焦点調節モードによる焦点調節を停止し、MF環204で設定された絶対的な位置に応じた距離に、焦点調節用レンズ203のピント合わせを行う。
また、カメラ制御回路101とレンズ制御回路201は、共同してカメラを制御することにより、MF環204以外によるピント合わせ操作から、MF環204の回転操作の際の回転スピードに従って連続的にピント位置を切換える第1のレンズ制御部と、MF環204以外によるピント合わせ操作から、MF環204の位置に従って操作位置に相当するピント位置を切換える第2のレンズ制御部としての機能を果たす。ここで、第1のレンズ制御部における制御は、具体的にはAFモードからMFモードに切換える制御に相当するが、MF環204以外によりピント合わせ操作としては、AFモードに限らず、本体側で行うマニュアルフォーカス操作であってもよい(後述する第3のレンズ制御部においても同じ)。第2のレンズ制御部における制御は、具体的にはRFモードにおける制御に相当する。
さらに、カメラ制御回路101とレンズ制御回路201は、共同してカメラを制御することにより、MF環204以外によりピント合わせ操作、またはMF環204のリング操作に従ってピント位置を切換える第3のレンズ制御部と、MF環204以外によるピント合わせ操作に係わらず、MF環204のリング操作の位置に従って上記操作位置に相当するピント位置を切換える第4のレンズ制御部としての機能を果たす。ここで、第3のレンズ制御部による制御は、具体的にはAFモードまたはMFモードによる制御に相当し、第4のレンズ制御部による制御は、具体的にはRFモードによる制御に相当する。
次に、MF環204の第1の位置と第2の位置へのスライド操作について、図3および図4を用いて説明する。図3はMF環204が第1の位置にある場合を示し、図4はMF環204が第2の位置にある場合を示す。
交換レンズ200の後方側には、バヨネット部21が設けられている。このバヨネット部21は、図示しないカメラ本体100側のバヨネット部と係合することにより、交換レンズ200をカメラ本体100に装着可能である。基台22は、バヨネット部21と一体に構成され、バヨネット部21がカメラ本体100に装着されると、カメラ本体100に固定される。
MF環204は、交換レンズ200のレンズ鏡筒の外周部において、光軸Oの周りに回動可能、かつ光軸O方向に進退移動可能に配設された略円筒状の形状である。MF環204は、レンズ鏡筒の外周上に露出しており、撮影者の指が掛かるように配設されている。なお、MF環204の一部のみが外周上に露出するように構成しても勿論かまわない。
指標表示枠25は、基台部22に対して位置が固定され、レンズ鏡筒の外装部材の一部である。指標表示枠25は、MF環204が第1の位置(MF位置)にある場合でも、MF環204よりも前方側に配置されている。この指標表示枠25には、指標25aおよび被写体深度指標25bが表示されている。指標25aは後述する距離表示環24に設けられた距離目盛24aの基準指標を示し、被写体深度指標25bは、絞り205の絞り値に応じた被写体深度を、距離目盛24aに対して示す指標である。
図3に示す状態において、MF環204を光軸Oに沿って後方側(撮像側、カメラ本体側)の第2の位置にスライド移動させると、図4に示すように、距離表示環24が露出する。距離表示環24は、MF環204の内側に配設された略円筒状の部材であり、MF環204が第1の位置にある際には、MF環204と一体に移動することがない。しかし、MF環204が第2の位置に移動すると、距離表示環24はMF環204と一体に光軸O周りに回動可能である。
距離表示環24の外周面には、図4に示すように、焦点距離レンズ203のピントが合う距離(合焦距離)を表す距離目盛24aが表示されている。距離目盛24aは、最短合焦距離から無限遠までの距離を示す数値が周方向に沿って配列されている。距離表示環24が指標表示枠25に対して光軸O周りに回動することにより、指標25aが指し示す距離目盛24aの数値が変化する。
距離表示環24は、光軸O周りの回動範囲が制限されており、指標25aによって指示される距離範囲内でのみ回動可能である。したがって、距離目盛24aは、指標25aに対して最短合焦距離から無限遠までの距離を数値で表示する。
このように、本実施形態においては、MF環204が第1の位置(MF位置)に位置している場合には、図3に示すように、距離表示環24の距離目盛24aは、レンズ鏡筒の外部から見えない状態となる。一方、MF環204が第2の位置(RF位置)に位置している場合には、図4に示すように、距離目盛24aは、レンズ鏡筒の外部から見える状態となる。
距離表示環24は、前述したように、MF環204が第2の位置にある場合にのみ、MF環204とともに光軸O周りに回動するように構成され、MF環204が第1の位置(MF位置)にある場合には、MF環204は距離表示環24と独立して回動可能である。
すなわち、距離表示環24の内周部には、図5に示すように、係合ピン24bが径方向内側に突出するように設けられている。また、MF環204の内側筒部204bには、複数の係合部204aが配置されている。MF環204が第1の位置(MF位置)にある場合には、係合ピン24bはMF環204の係合部204aよりも後方側にあって、MF環204が光軸O周りに回動しても係合部204aと干渉しない位置ある。また、MF環204が第2の位置(RF位置)にある場合には、係合ピン24bは係合部204aと重なる位置に配置されている。したがって、MF環204が第2の位置にある場合には、距離表示環24はMF環204とともに光軸O周りを回動し、一方、MF環204が第1の位置にある場合には、MF環204が光軸O周りに回動したとしても距離表示環24は回動せずに停止したままとなる。
次に、MF環位置検出回路224とMF位置検出回路225の検出機構の構成について、図5を用いて説明する。MF環位置検出回路224は、フォトインタラプタ部224aを有している。このフォトインタラプタ部224aは、基台部22または基台部22と一体に構成された部材に固定されており、MF環204が第2の位置に位置している場合に、MF環204の少なくとも一部が検出範囲内に入る位置にあり、またMF環204が第1の位置に位置している場合には検出範囲外になる位置に設けられている。
なお、本実施形態においては、フォトインタラプタ部224aによってMF環204の位置を検出しているが、フォトインタラプタに限らず、MF環204の位置を検出可能であれば、他の検出センサを採用しても構わない。例えば、磁気センサやスイッチ等であってもよい。
MF位置検出回路225は、一対のフォトインタラプタ225aを有している。また、MF環204と一体に回動する内側筒204bの周方向には、所定の間隔で設けられた複数のスリット孔204cが設けられている。一対のフォトインタラプタ225aは、MF環204が第1の位置(MF位置)にある場合に、スリット孔204cの検出範囲内に設けられている。そして、一対のフォトインタラプタ225aからの出力信号に基づいて、MF環204の光軸O周りの回動方向、回動量、回転速度等の回転状態を検出する。
なお、MF位置検出回路225の検出センサは、MF環204が第1の位置(MF位置)にある場合に、MF環204の回転を検出可能であればよく、例えば、磁気式のロータリーエンコーダ―等でも構わない。
次に、指標位置検出回路226の検出機構について、図6を用いて説明する。指標位置検出回路226は、エンコーダ部226aを有している。このエンコーダ部226aは、距離表示環24の基台部22に対する光軸O周りの絶対的な回動位置を検出する。エンコーダ部226aは、導電体からなる所定ビット数のコードパターン226bと、コードパターン226bに摺動する導電体からなる接点部226cから構成される。
コードパターン226bは、距離表示環24の外周部配設されており、接点部226cは、基台部22と一体に構成された固定枠に配設されている。距離表示環24が光軸O周りに回動すると、その回動位置に応じて、接点部226cが接触するコードパターン226bの位置が変化する。指標位置検出回路226は、コードパターン226bと接点部226cの接触状態の変化を検出し、MF環204の光軸O周りの絶対的な回動位置を検出する。
なお、指標位置検出回路226は、基台部22に対する光軸O周りの絶対的な回動位置を検出することが可能であれば、接点方式のエンコーダ以外の構成を採用しても勿論かまわない。例えば、光学式または磁気式の絶対位置検出用のロータリーエンコーダであってもよく、また距離表示環24の光軸O周りの回動位置に応じて抵抗値が変化するポテンショメータであってもよい。また、本実施形態においては、絶対位置の検出にあたって、高速に検出するために、カメラ本体100と交換レンズ200との間の同期通信の際のレンズ通信同期信号を検出用タイマのタイミング信号として利用する。
次に、カメラ本体100と交換レンズ200の間でなされる同期通信の一例を、図7を用いて説明する。図7において、横軸は時間の流れを表し、縦軸にそれぞれの処理内容やタイミングを示す。カメラ本体処理において、処理B1では、前フレームで取得した画像データによりライブビュー画像の表示や、AF評価値の算出を行う。また処理B2では、レンズ状態通信により取得したレンズ状態データに基づいて、AF演算や各種設定変更等を行う。
垂直同期信号は、各フレームに対応して出力される信号である。撮像・読出しでは、撮像素子103において被写体像を撮像し、この撮像した画像データの読み出しを行う。なお、撮像・読出しが、図7において、菱形形状をしているのは、本実施形態においては、ライブビュー画像の取得時はローリングシャッタを採用しており、画素ラインごとに撮像と読出しを順次行うためである。
レンズ通信における通信BLでは、カメラ本体100から交換レンズ200にレンズ状態データ要求コマンドを送信し、このコマンドは交換レンズ200のレンズ状態を示すデータをカメラ本体100に送信することを要求する。また通信LBでは、レンズ状態データ要求コマンドに応じて、交換レンズ200がカメラ本体100にレンズ状態を示すデータを送信する。
レンズ通信同期信号は、カメラ本体100において垂直同期信号に応答して生成され、このレンズ通信同期信号はカメラ本体通信回路131の同期信号端子より交換レンズ200に出力される。レンズ位置取得信号は、所定のタイミング、例えば図7に示す例では、撮像素子103における電荷蓄積時間の略中央時点を経過した時点で状態が変化する。
また、交換レンズ200内における処理L1は、レンズ位置取得信号の状態変化タイミングでの焦点調節レンズ203の位置情報の取得、およびレンズ通信同期信号の受信タイミングでのMF環204の操作状態の検出を行う処理である。また処理L2は、カメラ本体100から受信したレンズ状態データ要求コマンドに応じて、焦点調節レンズ203の位置情報や、MF環204の操作状態等のレンズ状態データを送信する処理である。
図7のタイミングチャートに示すように、本実施形態における同期通信では、垂直同期信号に同期してカメラ本体100内において処理B1を実行し、また、垂直同期信号に同期してレンズ通信同期信号を交換レンズ200に送信する。
カメラ本体100内において処理B1を処理すると、交換レンズ200に対して通信BLによって、レンズ状態データ要求コマンドを送信する。交換レンズ200はレンズ状態データ要求コマンドを受信すると、レンズ状態を検出し、通信LBによってレンズ状態データを送信する。カメラ本体100はレンズ状態データを受信すると、処理B2を実行する。
また、交換レンズ200内において、レンズ位置を取得する処理L1はレンズ位置取得信号に同期して実行する。このレンズ位置取得信号は所定のタイミング、前述したように、図7の例においては、撮像素子103の画面中央による電荷蓄積時間の1/2が経過した時点で発生する。交換レンズ200は、レンズ位置取得信号の状態変化のタイミングでレンズ位置検出回路223によって焦点調節レンズ203の位置情報を取得する。これらの同期通信は、全体としては、レンズ通信同期信号に同期して実行される。
次に、本実施形態における焦点調節モードについて説明する。本実施形態においては、焦点調節モードとしては、オートフォーカスモード(AFモード)、マニュアルフォーカスモード(MFモード)、およびレンジフォーカスモード(RFモード)の3種類のモードが用意されている。AFモードは、撮像素子103からの画像データに基づくコントラストAFを用いた山登り法によって、自動的に焦点調節レンズ203のピント合わせを行う。またMFモードは、MF環204が第1の位置(MF位置)にある際に、手動でMF環204を回転させ、このときの回転状態に応じて焦点調節レンズ203を移動させてピント合わせを行う。AFモードとMFモードは、前述したように、カメラ本体100において、例えば、メニュー画面において設定される。
これに対して、RFモードでは、MF環204が第2の位置にある際に、MF環204を回動させ、距離表示環24の距離目盛24aを指標25aに合わせることにより距離設定を行い、この設定距離にピント合わせを行う。RFモードで事前に距離を設定した後に、電源オフし、その後RFモードで電源オンとすると、事前設定した距離にピントを合わせることができる。例えば、図8(a)に示すように、撮影者301が街などを散歩している際に、事前にRFモードで距離を設定しておくと、図8(b)に示すように、被写体303が突然現われた場合であっても、迅速に撮影することができる。
また、RFモードで距離設定後に、MF環204を第1の位置(MF位置)にスライドさせることによりMFモードやAFモードに切換えた場合であっても、MF環204を第2の位置にスライドさせると、設定された距離に直ちにピント合わせがなされる。
次に、本実施形態における撮影動作について、図9ないし図11に示すフローチャートを用いて説明する。このフローチャートは、主として、カメラ本体100内のフラッシュROM122に記憶されているプログラムに従って本体CPU121が実行するが、一部、MF環操作検出・動作処理のフロー中、RFモードが設定された場合には、交換レンズ200内のフラッシュROMに記憶されているプログラムに従って、レンズCPU221が主として実行する。
操作スイッチ検出回路129が、電源釦が操作されたことを検出すると、図9に示すフローチャートが動作を開始する。まず、交換レンズ200が装着されているか否かを判定する(S1)。この判定は、操作スイッチ検出回路129がマウントスイッチ等の状態を検出し、この検出結果に基づいて行う。この判定の結果、交換レンズ200が装着されていなかった場合には、交換レンズ200の装着を待つ、待機状態となる。待機中に撮影者により撮影パラメータの変更操作や過去に撮影した撮影画像の再生操作、焦点調節モードの設定等が行われた場合には、指示された動作を実行する。
ステップS1における判定の結果、交換レンズ200がカメラ本体100に装着された場合には、次に、レンズ通信を行う(S3)。ここでは、カメラ本体通信回路131およびレンズ通信回路229を介して、レンズCPU221と非同期通信を行う。この非同期通信により、焦点調節レンズ203等の動作パラメータ、色収差データ等の光学データなどのレンズデータ、同期通信が可能か否かの情報等を取得し、RAM123に記憶する。
レンズ通信を行うと、次に、同期通信を開始する(S5)。ここでは、図7を用いて説明したように、カメラ本体100から交換レンズ200にレンズ通信同期信号を送信し、この信号に同期して通信を行う。同期周期毎に焦点調節レンズ203等の動作状態やMF環204の操作状態等のレンズ状態データを取得して、レンズ状態に応じた制御動作を実行する。従って、レンズ通信同期信号が出力されるたびに、カメラ本体は、焦点調節レンズ203のレンズ位置に関するデータ、MF環204が第1の位置にあるか第2の位置にあるか、また絞り205の絞り値等の情報を取得でき、この情報に応じた制御動作を実行する。また、カメラ本体100からも、AF制御を行うための焦点調節レンズ203の駆動方向および駆動量、また絞り205の絞り込み量に関する制御命令を送信することができる。なお、ステップS3において行ったレンズ通信によって、同期通信が不可の交換レンズが装着された場合には、同期通信は行わない。
同期通信を開始すると、次に、ライブビュー表示を開始する(S7)。本体CPU121は撮像素子制御回路124より撮像素子103を同期周期毎に動作させて画像データを取得し、画像処理回路127においてライブビュー表示用の画像処理を施す。ライブビュー表示用に処理された画像データを用いて、表示回路128は表示用モニタ105にライブビュー表示を開始する。
ライブビュー表示を開始すると、次に、交換レンズ100が取り外されたか否かの判定を行う(S9)。ここでは、ステップS5において開始した同期通信の通信状態、およびステップS1と同様に、マウントスイッチの状態の少なくとも1つに基づいて、交換レンズ100が取り外されたか否かを判定する。この判定の結果、交換レンズ100が取り外された場合には、ステップS1に戻る。
ステップS9における判定の結果、交換レンズ100が取り外されておらず、装着されている場合には、次に、電源オフか否かの判定を行う(S11)。ここでは、操作スイッチ検出回路129が電源釦の操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。この判定の結果、電源オフであった場合には、終了処理を行う(S13)。ここでは、各種データの退避処理、リセット動作、電源系統の切断処理等の処理を行う。終了処理を行うと、このフローを終了する。
ステップS11における判定の結果、電源オフでなかった場合には、次に、MF環操作検出・動作処理を行う(S15)。ここでは、MF環204の操作状態に応じて焦点調節レンズ203の動作制御や設定処理を行う。すなわち、MF環204が交換レンズ200の後方側(撮像側)にスライドしている第2の位置にある場合には、カメラ本体100でAFモードに設定されているか、MFモードに設定されているかに係わらず、RFモードを実行する。一方、MF環204が交換レンズ200の前方側(被写体側)にスライドしている第1の位置にある場合には、カメラ本体100で設定されたAFモードまたはMFモードに従った制御を行う。MF環操作検出・動作処理の詳しい処理については、図10を用いて後述する。
MF環操作検出・動作処理を行うと、次に、動画スイッチがオンか否かを判定する(S17)。ここでは、操作スイッチ検出回路129が動画スイッチの操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。
ステップS17における判定の結果、動画スイッチがオフであった場合、すなわち、静止画撮影モードの場合には、1stレリーズスイッチがオンか否かを判定する(S19)。撮影者は、撮影に入る前に準備段階としてレリーズ釦を半押し操作する。ここでは、操作スイッチ検出回路129が1stレリーズスイッチの操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。この判定の結果、1stレリーズスイッチがオフであった場合には、ステップS9に戻る。
ステップS19における判定の結果、1stレリーズスイッチがオンであった場合には、次に、静止画測光・AFを行う(S21)。ここでは、静止画撮影用の測光、露出演算、AF等の撮影に必要な動作を実行する。測光および露出演算は、撮像素子103からの画像データに基づいて、被写体輝度を検出し、検出された被写体輝度に基づいて適正露光となるシャッタ速度および絞り値等の露出制御値を算出する。また、静止画撮影用のAFは、画像データから抽出した高周波成分(AF評価値)が最も大きくなるように、所謂山登り法によるAF動作を行う。なお、位相差AFによる自動焦点調節動作を行うようにしてもよい。
静止画測光・AFを行うと、次に、1stレリーズスイッチがオフか否かを判定する(S23)。撮影者は、撮影準備としてレリーズ釦を半押した後、レリーズ釦から手を離し撮影準備動作を中止する場合がある。ここでは、操作スイッチ検出回路129が1stレリーズスイッチの操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。この判定の結果、1stレリーズスイッチがオフであった場合には、後述するステップS41に進む。
一方、ステップS23における判定の結果、1stレリーズスイッチがオフでなかった場合、すなわちオンであった場合には、次に、2ndレリーズスイッチがオンか否かの判定を行う(S25)。撮影者は、ライブビュー表示を観察し、構図およびシャッタタイミングが決まると、レリーズ釦を全押し、撮影の実行を指令する。ここでは、操作スイッチ検出回路129が2ndレリーズスイッチの操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。この判定の結果、2ndレリーズスイッチがオフであった場合には、ステップS23に戻る。
ステップS25における判定の結果、2ndレリーズスイッチがオンであった場合には、撮影動作に移る。まず、撮像を行う(S27)。ここでは、ステップS21において算出した露出演算結果に基づいて、本体CPU121はレンズCPU221と通信を行い、絞り205の絞り込み動作を指示し、絞り込み動作完了後に撮像素子制御回路124、シャッタ制御回路126により撮像素子103およびフォーカルプレーンシャッタ104を制御し撮像動作を行う。撮像動作の終了後、撮像素子103から読み出された画像信号を画像処理回路127によって処理し画像データを取得する。
撮像を行うと、次に、画像データの記憶を行う(S29)。ここでは、本体CPU121は、ステップS27において取得した画像データをRAM123や、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の外部記憶媒体に記憶する。また、取得した画像データに基づいて、表示回路127を介して表示用モニタに、所定時間の間、撮影画像の表示を行う。
ステップS17における判定の結果、動画スイッチがオンであった場合には、動画撮影モードに入る。まず、動画撮影を開始する(S31)。本体CPU121は、撮像素子制御回路124により撮像素子103を同期周期毎に動作させて動画撮影を開始させる。撮像素子103から出力される画像信号を画像処理回路127で動画用に画像処理を施し、この動画用画像データをRAM123やコンパクトフラッシュ(登録商標)等の外部記憶媒体に記録を開始する。
動画撮影を開始すると、続いて、MF環操作検出・動作処理を行う(S33)。ここでは、ステップS15と同様に、MF環204の操作状態に応じて焦点調節レンズ203の動作制御や設定処理を行う。
MF環操作検出・動作処理を行うと、次に、動画測光・AFを行う(S35)。動画撮影用のAEとしては、静止画撮影時よりも細かい駆動ステップで絞り205を絞り駆動回路227により駆動させて撮像素子103に入射する被写体光量変化が滑らかになるように制御を行う。また、AFモードの場合には、動画撮影用のAFは山登りAF動作を行い、必要に応じて合焦付近で焦点調節レンズ203を微小反復駆動させる、所謂、ウォブリング動作等を実行する。
動画測光・AF動作を行うと、次に、動画スイッチがオフか否かを判定する(S37)。撮影者は動画撮影を終了する場合には、動画釦から手を離すので、ここでは、操作スイッチ検出回路129が動画スイッチの操作状態を検出し、この検出結果に基づいて判定する。この判定の結果、動画スイッチがオンであれば、ステップS33に戻り、動画撮影を続行する。
ステップS37における判定の結果、動画スイッチがオフであれば、次に、動画撮影終了処理を行う(S39)。ここでは、本体CPU121は、撮像素子制御回路124により撮像素子103の動作を停止させて、動画撮影を終了する。
ステップS29において画像データの記憶を行うと、またはステップS39において動画撮影終了を行うと、またはステップS23における判定の結果、1stレリーズスイッチがオフであった場合には、次に、表示の初期化を行う(S41)。ここでは、本体CPU121は、表示回路127により撮影画像表示や動画撮影パラメータ表示のクリア等を行って、表示用モニタ105における表示をライブビュー表示に戻す。表示の初期化を行うと、ステップS9に戻る。
次に、ステップS15およびS33におけるMF環操作検出・動作処理について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。なお、MF環検出・動作処理のフローの動作は、本体CPU121の制御の下にレンズCPU221によって実行されるが、RFモードを実行する際には、レンズCPU221が主になって実行される。MF環操作検出・動作処理のフローに入ると、まず、MF環204がRF位置にあるか否かの判定を行う(S51)。ここでは、MF環位置検出回路224がMF環204の位置を検出し、この検出結果に基づいてRF位置(レンジフォーカス位置、第2の位置)にあるか否かを判定する。
ステップS51における判定の結果、MF環204がRF位置にあった場合には、次に、L1のタイミングで距離指標設定フラグをセットする(S53)。L1のタイミングは、図7を用いて説明したように、レンズ通信同期信号がカメラ本体100から交換レンズ200に送信されるタイミングである。また、距離指標設定フラグは、MF環204がRF位置にスライドされ、RFモードに設定されたことを示すフラグである。
続いて、フォーカス設定は、AFか否かを判定する(S55)。本実施形態においては、交換レンズ100のピント合わせは、前述したようにAFモード、MFモード、RFモードがあり、このうち、AFモードとMFモードは、カメラ本体100の表示用モニタ105に表示したメニュー画面上で設定する。このステップでは、メニュー画面上でAFモードが設定されたか否かを判定する。なお、撮影者が未設定の場合もあることから、デフォルトとしていずれかのモードを設定しておく。
ステップS55における判定の結果、AFモードが設定されていた場合には、次に、レンズ制御コマンドの受信を停止する(S57)。前述したステップS51においてRFモードが設定されていたことから、カメラ100からレンズ制御コマンドを交換レンズ200に送信しても、交換レンズ200はレンズ制御コマンドを受信しないように設定する。なお、カメラ本体100は、交換レンズ200からのレンズ位置取得信号等の情報を受け取り可能としておく。レンズ位置情報を取得することにより、ストロボ106の制御にあたって、距離情報を考慮した発光量制御等を行うことができる。
ステップS55における判定の結果、フォーカス設定がAFモードでなかった場合には、次に、MF環204の回転検出センサをオフする(S59)。ステップS55における判定の結果、カメラ本体100側ではMFモードが設定されている。しかし、交換レンズ200ではMF環204がRF位置(第2の位置)にあり、RFモードが設定されていることから、MF環204が回動操作されても回動状態を検出する必要がない。そこで、MF環204の回転検出用のセンサ、すなわちフォトインタラプタ225a(図5参照)をオフする。
続いて、MFタイマ処理を行う(S61)。ここでは、フォトインタラプタ225aからの出力に基づいて、MF環204のスリット孔204cを計測するためのタイマ処理を行う。MFタイマ処理については、図11を用いて後述する。
MFタイマ処理を行うと、次に、MF環204の回転検出を停止する(S63)。ステップS59において検出用のセンサをオフし、ステップS61において回転検出用のタイマを終了したことから、このステップにおいて、MF環204の回転検出動作を停止する。
ステップS57において、レンズ制御コマンドの受信を停止すると、またはステップS63においてMF環回転検出停止を行うと、次に、L1のタイミングでRF設定位置の読み出しを行う(S65)。ここでは、図6を用いて説明したように、エンコーダ部226aによって、指標25aに対する距離目盛24aを読み取る。このエンコーダ部226aによる読み取りの際には、レンズ通信同期信号を、検出用タイマのタイミング信号として用いる。レンズ通信同期信号は、撮像素子103の撮像の際のフレームに同期しており、レンズCPU221の内蔵タイマより高速である。このため、タイマカウンタを増設しなくても、エンコーダ部226aの読み取りの際の高速のカウンタとして利用することが可能である。なお、この読み取ったRF設定値を交換レンズ200内のフラッシュROMに記憶してもよく、例えば、本体側操作で実現する距離指標位置への駆動位置のプリセット値として使用してもよい。
RF設定位置を読み出すと、次に、RF設定位置へレンズ駆動を行う(S67)。ここでは、レンズCPU221は、ステップS65において読み出したRF設定位置に対応する距離にピントが合うように焦点調節レンズ203を駆動させる。このステップS67においても、レンズ通信同期信号を利用することにより、焦点調節レンズ203の駆動制御を高速に行うことができ、撮影者がRF設定位置にMF環204を回動後、迅速に設定位置にピント合わせを行うことができる。
ステップS51における判定の結果、MF環204はRF位置になかった場合には、次に、L1のタイイングで距離指標設定フラグをクリアする(S71)。MF環204がRF位置(第2の位置)に位置しておらず、RFモードが解除されたことから、ステップS53においてセットされた距離指標設定フラグをリセットする。
続いて、ステップS55と同様に、フォーカス設定はAFモードか否かを判定する(S73)。この判定の結果、AFモードが設定されていた場合には、次に、レンズ制御コマンドの受信を開始する(S75)。前述したステップS51においてRFモードが設定されていないことから、カメラ100からレンズ制御コマンドを交換レンズ200に送信した際に、交換レンズ200のレンズCPU221はレンズ制御コマンドを受信するように設定する。
一方、ステップS73における判定の結果、AFモードが設定されていなかった場合、すなわちMFモードが設定されていた場合には、次に、MF環204の回転検出センサをオンする(S77)。焦点調節モードとして、MFモードを実行する場合には、MF環204の回転方向、回転量、回転速度等の回転状態を検出し、この検出結果に応じて、レンズCPU221は焦点調節レンズ203を駆動する。このステップでは、MF環204の回転状態を検出するためのセンサ、すなわちフォトインタラプタ225a(図5参照)をオンとする。
MF環204の回転検出センサをオンとすると、次に、MFタイマ処理を行う(S79)。ここでは、MF環204の回転検出のためのタイマ処理を行う。なお、このときは、RF設定に比較し、高速で読み取る必要性が低いことから、レンズCPU221の内蔵タイマでタイマカウントする。このMFタイマ処理の詳しい動作については、図11を用いて後述する。
MFタイマ処理を行うと、次に、MF環204の回転検出を開始する(S81)。フォトインタラプタ225aの出力は、MF環204と一体に回転するスリット孔204cの動きに応じて変化するので、フォトインタラプタ225aの出力に基づいてMF環204の回転状態を検出する。この検出された回転状態に基づいて、レンズCPU221は、焦点調節レンズ203の駆動制御を行う。
ステップS81においてMF環回転検出を開始すると、またはステップS75においてレンズ制御コマンドの受信を開始すると、またはステップS67においてRF設定位置へレンズ駆動を行うと、MF環操作検出・動作処理を終了し、元のフローに戻る。
次に、ステップS61およびS79におけるMFタイマ処理の詳しい動作について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。このMFタイマ処理は、MF環204の回転方向、回転量、および回転速度等の回転状態を検出する際に、交換レンズ200内で発生するクロックを計数するタイマカウンタのタイマ処理を実行する。
図11に示すMFタイマ処理のフローに入ると、まず、ステップS51と同様に、MF環204はRF位置にあるか否かを判定する(S91)。ここでは、MF環204の位置の検出結果に基づいてRF位置(レンジフォーカス位置、第2の位置)にあるか否かを判定する。
ステップS91における判定の結果、MF環204がRF位置になかった場合には、MFタイマカウンタのカウントが終了したか否かを判定する(S93)。次のステップS95においてMFタイマカウントを開始させるが、このMFタイマカウントが終了したか否かを判定する。この判定の結果、MFタイマカウントが終了した場合には、MF環204の回転検出用のタイマカウントを開始する(S95)。なお、このMFタイマカウントは、レンズCPU221内で、レンズCPUのクロックを用いたカウンタである。
ステップS91における判定の結果、MF環204がRF位置にある場合には、MF環204の回転検出タイマカウントを終了する(S97)。MF環204がRF位置にある場合には、エンコーダ部226a(図6参照)によって、MF環204で示す絶対的な距離に応じた位置に焦点調節レンズ203のピント合わせを行い、MF環204の相対的な回転量を検出しない。そこで、MF環204の回転検出タイマカウントを終了する。
ステップS95におけるタイマカウントを開始すると、またはステップS93における判定の結果、MFタイマカウントが終了していなかった場合、またはステップS97においてタイマカウントが終了した場合には、MFタイマ処理を終了し、元のフローに戻る。
このように本実施形態においては、焦点調節にあたって、AFモード、MFモード、RFモードの3つモードを有している。この3つのモードの切換えについて、図12を用いて説明する。図12において、状態1はAFモードであり、状態2はMFモードであり、状態3はRFモードである。このうち、AFモードおよびMFモードは、前述したようにカメラ本体100のメニュー画面で設定し、RFモードは交換レンズ200のMF環204を第2の位置にスライド移動させることにより設定できる。
状態1のAFモードは、カメラ本体100のメニュー画面で焦点調節設定としてAFモードが設定されたままであり、かつMF環204がMF位置(第1の位置)にある場合には、AFモードが維持される。状態2のMFモードは、カメラ本体100側でMFモードが設定されたままであり、かつMF204がMF位置(第1の位置)にある場合には、MFモードが維持される。
状態1のAFモードから状態2のMFモードに切換えるには、MF環204をMF位置(第1の位置)に維持したままで、カメラ本体100側で焦点調節設定としてMFモードに変更すればよい。逆に、MFモードからAFモードに切換えるには、MF環204をMF位置(第1の位置)に維持したままで、AFモードに変更すればよい。
状態1のAFモードから状態3のRFモードに切換えるには、MF環204をRF位置(第2の位置)にスライド操作するのみでよく、カメラ本体100における焦点調節設定の変更は不要である。逆に状態3のRFモードから状態1のAFモードに切換えるには、MF環204をMF位置(第1の位置)にスライド操作を行うとともに、カメラ本体100における焦点調節設定としてAFモードへの変更を行う。
状態2のMFモードから状態3のRFモードに切換えるには、MF環204をRF位置(第2の位置)にスライド操作するのみでよく、カメラ本体100における焦点調節設定の変更は不要である。逆に状態3のRFモードから状態2のMFモードに切換えるには、MF環204をMF位置(第1の位置)にスライド操作を行うとともに、カメラ本体100における焦点調節設定としてMFモードへの変更を行う。
以上説明したように、本発明の一実施形態においては、AFモード、MFモード、RFモードの3つの焦点調節モードがあり、このうち、AFモードおよびMFモードは、交換レンズ200に設けたMF環204を第1の位置に設定しておくと共に、カメラ本体100側においていずれかのモードを設定すればよい。一方、RFモードは、カメラ本体100側における焦点調節モードの設定とは係わりなく、交換レンズ200に設けたMF環204を第2の位置に設定するのみで、設定可能である。従来、交換レンズが装着されたカメラにおいては、カメラがマスターであり、交換レンズがスレーブの関係にあるのが一般的である。しかし、本実施形態においては、交換レンズ側においてRFモードを設定すると、焦点調節に関しては交換レンズ側がマスターとなる。このため、RFモードにおける焦点調節を迅速に実行することが可能となる。すなわち、交換レンズに設けられたリング部材(MF環)を操作することにより、焦点調節モードを自動的に切換えることができる。
また、本発明の一実施形態においては、リング部材としてのMF環204は、回転操作とスライド操作の2操作を可能としている。そして、回転操作でMFモード時の手動焦点調節とRFモード時の距離設定が可能であり、スライド操作によりRFモードの設定を可能としている。このため、撮影者は、ファインダ等に集中しながら、MF環204を操作するだけで、焦点調節モードの切換えと、距離調節を迅速に行うことができる。
また、本発明の一実施形態においては、リング部材としてのMF環204は、第1の位置ではMFモード時の手動焦点調節部材となり、また第2の位置ではRFモード時の距離設定部材となる。このため、2つの機能を有する調節部材を1つのリング部材で兼用することができ、小型にすることができる。
なお、本発明の一実施形態においては、カメラ本体100側でAFモードとMFモードの両方を切換えられるようにしていたが、カメラ本体100側では焦点調節モードとしては、この2つに限らず、他の焦点調節モードを設定可能でもよく、またAFモードとMFモードのいずれか一方を含むだけでもよい。
また、本発明の一実施形態においては、リング部材としてのMF環204は、第1の位置と第2の位置の2つの位置の間で移動していたが、第3の位置等、他の位置を設けるようにしても勿論かまわない。
また、本発明の一実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。